説明

誘導ボール付きコンベア

誘導搬送システムは、モジュールベルト(17)と、複数の球体(25)と、複数の円筒形ローラ(74)とを備えている。モジュールベルト(17)は、列(59)をなして配設され、回転ロッドにより連結された複数のベルトモジュール(47)を備え、モジュール(47)は上面と底面とを有している。複数の球体(25)はベルトモジュール(47)に配設され、モジュール(47)の上面と底面を貫通して広がり、ベルト(17)に沿ってベルトの移動方向(65)に広がる複数の列(59)に位置決めされている。複数の円筒形ローラ(74)がベルトの移動方向(65)に沿って配設された長手方向軸を有し、少なくとも1つの円筒形ローラ(74)が、1つのローラ(74)が少なくとも2列の球体(25)に接触するように、隣接するベルトモジュール(47)の底面に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体的にモジュール式搬送ベルトに関し、特に、搬送システム上で製品を搬送するため、上面上に球体またはローラを備えたモジュールベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送ベルトの上面に円筒形ローラまたは球体を用いるローラコンベアは公知である。前記ローラの作用は、移動ベルト上に搬送される製品を集積することであり、背圧を削減し、搬送される製品を加速し、または、分類する目的ないしはガイドに沿って整列するために搬送される製品を搬送ベルトのいずれかの側に案内する。種類による分類に適用するため、多くの場合、ローラは作動しているベルトの下から、支持面より上方のローラを備えたベルトを滑らせることにより受動的に、または、ローラベルトの底側からローラに接触している他の駆動ベルトを備えたローラを駆動することにより積極的に駆動される。受動的に駆動することによる解法は、以下の特許権および公報の中で示されている。米国特許第6,758,323 B2号公報;米国特許第7,191,894 B2号公報;米国特許第7,249,671 B2号公報;WO特許第2007/108,852 A2号公報。
【0003】
WO特許第2007/108,852 A2号公報の図6には、平行な長手方向のシリンダが、支持面を駆動する代案として開示されている。このようなシリンダは、以下の特許権および公報の中で受動的に(駆動されない)および積極的に駆動する両作用の中で使用されている。米国特許第7,237,670 B1号公報;米国特許第7,249,669 B2号公報;米国特許第7,344,018 B2号公報および米国特許第2008/0023301 A1号公報。ベルトの上面上のローラに加えて、ボールまたは球体を同様に、同じ目的のため使用することができる。米国特許第5,238,099号公報に示されているように、ボールは、ボールに接触して配置された搬送ベルトによりベルトの下から駆動されてもよい。
【0004】
球体間の距離を短くすることで搬送中のより小さな製品の支持を向上すること、およびベルトあたりのシリンダの数を減らすことでコストを削減するという、システムに対する要求がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、独立請求項1に係る誘導搬送システムを提供することにより、前述した要求を満足させる。好適な実施形態が、従属請求項から明らかになる。
【0006】
本発明の本質は、以下にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
誘導搬送システムは、モジュールベルトと、複数の球体と、複数の円筒形ローラとを備えている。モジュールベルトは、列をなして配設され、回転ロッドにより連結された複数のベルトモジュールを備え、モジュールは上面と底面とを有している。複数の球体はベルトモジュールに配設され、モジュールの上面と底面を貫通して広がっている。球体は複数の列に位置決めされ、ベルトに沿ってベルトの移動方向に広がっている。複数の円筒形ローラがベルトの移動方向に沿って配設された長手方向軸を有し、少なくとも1つの円筒形ローラが、1つのローラが少なくとも2列の球体に接触するように、隣接するベルトモジュールの底面に配設されている。
【0008】
本発明に係る誘導搬送システムの個々のベルトモジュールが、対となる球体を有することが好ましい。
【0009】
本発明に係る誘導搬送システムの円筒形ローラが、同時に駆動されることが好ましい。
【0010】
本発明に係る誘導搬送システムの円筒形ローラが、同期駆動されることが好ましい。
【0011】
更に、本発明に係る誘導搬送システムが、駆動するスプロケットと駆動されるスプロケットとを備えたことが好ましい。
【0012】
本発明に係る誘導搬送システムの個々の円筒形ローラが、2列の球体に係合することが好ましい。
【0013】
本発明に係る誘導搬送システムのベルトモジュールが、煉瓦状に構成された列をなして配置されることが好ましい。
【0014】
発明に係る誘導搬送システムのベルトモジュールが、中間部と、前記中間部から延びる複数の第1リンク端部と、前記中間部から複数の前記第1リンク端部と反対方向に延びる複数の第2リンク端部とを有することが好ましい。
【0015】
発明に係る誘導搬送システムの前記第1リンク端部と前記第2リンク端部とが、横方向回転ロッド用の開口を有することが好ましい。
【0016】
前記隣接するモジュールの横方向回転ロッド用の開口を位置決めし、第1モジュールの前記第1リンク端部を隣接するモジュールの前記第2リンク端部に挿入できるように、発明に係る誘導搬送システムの前記第1リンク端部と前記第2リンク端部とがオフセットされることが好ましい。
【0017】
本発明は、図面に示されている。図面を通じて同じ参照番号は、同じまたは同様の部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のシステムを示す概略図である。
【0019】
【図2】他に応用された本発明のシステムを示す概略図である。
【0020】
【図3】明確にするためにベルトの一部が削除された本発明に係るシステムの実施形態を示す部分斜視図である。
【0021】
【図4】異なる角度から見た図3のシステムを示す部分斜視図である。
【0022】
【図5】明確にするためにベルトの一部が削除された図3のコンベアを示す平面斜視図である。
【0023】
【図6】図3のシステムの底面斜視図である。
【0024】
【図7】図3のシステムの一部を示す側面図である。
【0025】
【図8】ベルトのローラと球体との間の関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1では、複数の製品10が搬送システム上に示されている。搬送システムは、本発明に係る誘導搬送システム16の上流に配設された第1ベルト13を備えている。製品10は、ベルト13の上面12を矢印19の方向に搬送される。一旦、製品10が誘導システム16に到達すると、製品10はベルト17の上を図1に関して左側から右側に搬送され、同時に、球体25を用いてベルト17の片側に向かって搬送される。ベルト17は矢印18の方向に動いている。球体25は、ベルト17の上面14の上に広がっており、製品10と係合している。球体25の回転は、矢印26,27に示された曲線軌道に沿って製品を移動するのに使用することができる。曲線軌道は、ベルト17の対向する側部29と32との間に搬送するために設けられている。誘導システム16の下流では、一対のベルト35,38が異なる軌道に沿って製品を移動している。球体25を図1に関して下方に回転することにより、製品10は矢印26の方向に移動する。球体25の反対方向への回転により、製品10は矢印27に規定された軌道に沿って移動する。
【0027】
図2を参照すると、本発明の誘導システム16を示す他の例が示されている。第1ベルト13は、製品10を誘導システム16まで搬送する。一対のベルト41,44が、ベルト17に直角に延びている。以下に詳細に述べるように、球体25の動作が製品10をベルト41,44まで運搬する。
【0028】
図3を参照すると、本発明のモジュールベルト17は、中間部48を備えたモジュール47から構成されている。複数の第1リンク端部50が、中間部48から第1方向に延びている。複数の第2リンク端部53が、第1方向と反対の第2方向に延びている。第1リンク端部50と第2リンク端部53とは互いに対してオフセットされ、本開示に基づく技術分野の当業者にとって明らかなように、隣接するモジュール47の第1リンク端部50と第2リンク端部53とが噛合している。球体25は、中間部48に配設されている。球体25は対56で配設され、2つの球体25が短い距離だけ離れて配置されている。対56は、モジュールの隣接する列59の上に他の対56と位置決めされている。位置決めされた対56は、ベルトの長さに沿って、矢印65により示されたベルトの移動方向に延びる列62を形成している。ベルト17は、ベルト17と係合する歯71を有するスプロケット68により伝達されてもよい。
【0029】
複数の円筒形ローラ74が、ベルト17の下に配設されている。球体25は、ベルト17の上面よりも上側に広がり、かつ、ベルトの底面よりも下側に広がるので、円筒形ローラ74が球体25と係合し、駆動関係にあってもよい。円筒形ローラ74は同時に、また、同期して駆動してもよい。図4を参照すると、シリンダ74の時計回りの回転により、球体25は反時計回りに回転し、製品10が矢印77に示される軌道の方に進む。シリンダ74の反時計周りの回転により、球体25は時計回りに回転し、製品10が矢印80に示される軌道の方に進む。
【0030】
図5では、円筒形ローラ74に対するベルト17の配置が示されている。球体25が対で、モジュール47に配設されている。モジュール47の各列59が、第1ベルト端部90から第2ベルト端部93まで延びている。球体25の対は、矢印96で示されたベルトの移動方向に位置決めされている。ベルトモジュール47は、本開示に基づく技術分野の当業者にとって明らかなように、列から列まで煉瓦状に構成してもよい。
【0031】
図6に示すように、各円筒形ローラ74は2列の球体25に接触している。1列以上の球体25を駆動することにより、システムに必要とされる円筒形ローラ74の数を減らし、それによりコストを削減する。また、球体25の間隔を狭くすると、より小さな製品10の支持を向上させる。
【0032】
図7では、ベルト17とスプロケット68をより詳細に示している。スプロケット68は、シャフト(図示せず)を挿通するための中央開口100を有している。スプロケット68は従動して回転するように、ベルト17と嵌合している。スプロケット68は、ベルト17を駆動するためにリブ103、および/またはリンク端部と嵌合する歯71を有している。図示するように、球体25はベルト17の上面72の上側に広がり、ベルト17上の製品10と接触し、また、ベルト17の底面73の下側に広がり、円筒形ローラ74に接触する。
【0033】
図8では、概略図が、円筒形ローラ74と2つの球体25との同時係合を示している。矢印110で示された第1方向へのローラ74の回転が、個々の球体25を矢印113で示した反対方向に回転させる。
【0034】
本発明を特定の実施形態に関連して説明したが、本発明の範囲を説明した特定の構造に限定することを意図しておらず、それどころか、添付した請求項により規定された発明の範囲に含まれるであろう代案、改良例および均等物を包含するように意図している。
【符号の説明】
【0035】
16 誘導搬送システム
17 モジュールベルト
25 球体
47 ベルトモジュール
48 中間部
50 第1リンク端部
53 第2リンク端部
56 対
59 列
65 移動方向
68 スプロケット
72 上面
73 底面
74 円筒形ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
列(59)を成すように配設され、回転ロッドにより連結され、上面(72)と底面(73)を有する複数のベルトモジュール(47)からなるモジュールベルト(17)と、
前記ベルトモジュール(47)に配設され、前記モジュール(47)の上面(72)と底面(73)を貫通して広がり、前記ベルト(17)に沿ってベルトの移動方向(65)に延びる複数の列(59)として位置決めされた複数の球体(25)と、
前記ベルトの移動方向(65)に沿って配設された長手方向軸を有する複数の円筒形ローラ(74)であって、少なくとも1つの円筒形ローラ(74)が、少なくとも2列の球体(25)に接触するように、隣接する前記ベルトモジュール(47)の底面(73)に配設された円筒形ローラ(74)と、
を備えたことを特徴とする誘導搬送システム(16)。
【請求項2】
個々のベルトモジュール(47)が、対(56)となる球体(25)を有することを特徴とする請求項1に記載の誘導搬送システム(16)。
【請求項3】
前記円筒形ローラ(74)が、同時に駆動されることを特徴とする請求項1または2に記載の誘導搬送システム(16)。
【請求項4】
前記円筒形ローラ(74)が、同期駆動されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の誘導搬送システム(16)。
【請求項5】
更に、駆動するスプロケット(68)と駆動されるスプロケット(68)とを備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の誘導搬送システム(16)。
【請求項6】
個々の円筒形ローラ(74)が、2列の球体(25)に係合することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の誘導搬送システム(16)。
【請求項7】
前記ベルトモジュール(47)が、煉瓦状に構成された列(59)をなして配置されたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の誘導搬送システム(16)。
【請求項8】
前記ベルトモジュール(47)が、中間部(48)と、前記中間部(48)から延びる複数の第1リンク端部(50)と、前記中間部(48)から複数の前記第1リンク端部(50)と反対方向に延びる複数の第2リンク端部(53)とを有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の誘導搬送システム(16)。
【請求項9】
前記第1リンク端部(50)と前記第2リンク端部(53)とが、横方向回転ロッド用の開口を有することを特徴とする請求項8に記載の誘導搬送システム(16)。
【請求項10】
隣接するモジュール(47)の前記横方向回転ロッド用の開口を位置決めし、第1モジュール(47)の前記第1リンク端部(50)を隣接するモジュール(47)の前記第2リンク端部(53)に挿入できるように、前記第1リンク端部(50)と前記第2リンク端部(53)とがオフセットされたことを特徴とする請求項9に記載の誘導搬送システム(16)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2012−521336(P2012−521336A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501103(P2012−501103)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【国際出願番号】PCT/CH2010/000083
【国際公開番号】WO2010/108296
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(591270796)ハバシット アクチエンゲゼルシャフト (25)
【Fターム(参考)】