説明

誘導体化トリアジンをアフィニティーリガンドとして使用する抗体フラグメントの精製法

培地からのフラグメント抗体の分離法を提供する。該方法は、フラグメント抗体を含む培地を、支持マトリックスに付着させた合成アフィニティーリガンドと、フラグメント抗体が合成アフィニティーリガンドに結合する条件下で接触させることを含む。前記合成アフィニティーリガンドは、式(I):
【化1】


[式中、Qは、固体の支持マトリックスへの、所望によりスペーサー基を介していてもよい付着を表し;A及びBは、それぞれ独立して、水素結合が可能な一つ又は複数の置換基、好ましくは一つ又は複数の−OH、−SH又は−COH基で置換されている−Y−フェニル又は−Y−ナフチル基であり;各Yは、独立して、−NR、−O−又は−S−を表し;そして各Rは、独立して、H又はC1−4アルキル基を表す]を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラグメント抗体(fAbs)の精製法に関する。
【背景技術】
【0002】
フラグメント抗体(fAbs)は、様々な治療分野において重要性を増しつつある。fAbsの最も重要な製造法の一つは組換え技術によるものである。そのような技術は、宿主細胞を使用して所望のfAbを発現させ、次いでそれを生成培地から分離し、精製するというものである。精製は一般的にクロマトグラフィーによって達成されるが、通常、複雑な多段階プロセスである。この複雑さが必然的に、得られうるfAbの収量を制限する役割を担い、製造プロセスを著しく緩徐化することにもなる。従って、簡素化された操作に適した精製法を特定することが望ましいであろう。
【0003】
多くの全長抗体(whole antibody)は、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを用いることによって精製されている。しかしながら、プロテインAは、時として過酷なプロセス条件下における乏しい安定性、変性、高コスト、及びプロテインA自体が生物起源材料であるという事実に由来する規制上の懸念など、いくつかの欠陥を有すると認識されている。そこで、プロテインAにアフィニティーを有する抗体の精製の代替手段として合成アフィニティーリガンドが開発されてきた。
【0004】
fAbsは、プロテインAに対するアフィニティーを持たず、従って結合しないため、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーによって精製されない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一側面に従って、培地からのfAbの分離法を提供する。該方法は、fAbを含む培地を、支持マトリックスに付着させた合成アフィニティーリガンドと、fAbが合成アフィニティーリガンドに結合する条件下で接触させることを含む。ここで、前記合成アフィニティーリガンドは、式:
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、
Qは、固体の支持マトリックスへの、所望によりスペーサー基を介していてもよい付着を表し;
A及びBは、それぞれ独立して、水素結合が可能な一つ又は複数の置換基、好ましくは一つ又は複数の−OH、−SH又は−COH基で置換されている−Y−フェニル又は−Y−ナフチル基であり;
各Yは、独立して、−NR、−O−又は−S−を表し;そして
各Rは、独立して、H又はC1−4アルキル基を表す]
を有する。
【0008】
本発明の方法によって精製できるfAbsは、免疫グロブリンのドメイン又は免疫グロブリンのドメインの集合体(assembly)を含み、抗原に結合することが可能な抗体の一部分である。fAbsは、多くの態様において、少なくとも1本の重鎖(H鎖)、一般的にはV鎖、又はその機能的フラグメント、あるいは軽鎖(L鎖)、一般的にはV鎖、又はその機能的フラグメントを少なくとも一つの他方の鎖と共に含む。一定の態様において、fAbは、重鎖と軽鎖を含み、各鎖は定常ドメインと可変ドメインで構成されている。例えばFabのようなものである。他の態様において、fAbは2個以上のドメインを含む。典型的には、重鎖又は軽鎖いずれかの可変及び定常ドメインのいずれかの組合せ、2本の重鎖からの可変ドメインの組合せ、2本の軽鎖からの可変ドメインの組合せ、又は軽鎖からの可変ドメインと重鎖からの可変ドメインの組合せである。一部の態様において、fAbは、解離を防止するフレキシブルなポリペプチドリンカーによって結合されたV及びVドメインを含む(一本鎖Fv、scFv)。なお更なる態様において、fAbは単一ドメイン、又はそのフラグメントを含む。典型的には、可変重鎖もしくはそのフラグメント、又は可変軽鎖もしくはそのフラグメントのいずれかである。なお更なる態様において、fAbは、多量体形式、例えば、ビスscFv、Fab、Fab、ミニボディ(minibody)、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)又はタンダブ(tandab)である。
【0009】
本発明の方法によって精製できるfAbsの例は、重鎖と軽鎖の組合せを含むタンパク質又はポリペプチド構造体を含む。各鎖は定常ドメインと可変ドメインで構成され、そのような免疫グロブリンの軽鎖と重鎖は相互作用して単一の機能的抗原結合部位を形成している。
【0010】
更なる例は、V鎖ベースドメイン抗体を含む。これは標的に結合できるポリペプチドで、このポリペプチドは少なくとも一つの結合ドメインを含む。前記結合ドメインは可変重鎖抗体の単一可変ドメイン又はその機能的フラグメントである。
【0011】
なお更なる例は、V鎖ベースドメイン抗体を含む。これは標的に結合できるポリペプチドで、このポリペプチドは少なくとも一つの結合ドメインを含む。前記結合ドメインは可変軽鎖抗体の単一可変ドメイン又はその機能的フラグメントである。
【0012】
最も好ましくは、fAbsは組換え技術によって製造される。例えば、大腸菌(E.coli)のような原核宿主又はピキア・パストリス(メタノール資化性酵母、Pichia pastoris)のような真核宿主などの宿主細胞における発現によって製造される。
【0013】
好適なアフィニティーリガンドは、式:
【0014】
【化2】

【0015】
の化合物である。式中、Qは、固体の支持マトリックスへの、所望によりスペーサー基を介していてもよい付着を表し、A及びBは、それぞれ独立して、一つ又は複数の−OH、−SH又は−COH基で置換されている−NH−フェニル又は−NH−ナフチル基である。A又はBのいずれかがフェニルを表す場合、置換基、最も好ましくは−OHは、好ましくは−NH部分への結合に対してメタ又はパラ位に位置する。特に好適なアフィニティーリガンドは、式:
【0016】
【化3】

【0017】
の化合物を含む。式中、Qは、固体の支持マトリックスへの、所望によりスペーサー基を介していてもよい付着を表す。
【0018】
Qで表しうるスペーサー基は、所望により置換されていてもよいアミノアルキルアミノ部分などである。例えば、式−NH−(CHNH−Gの基(前記式中nは12までの正の整数、好ましくは2〜6であり、Gは固体の支持マトリックスである);式−NH−(CHO−Gの基(前記式中n及びGは前述の定義の通りである);式−O−(CHO−Gの基(前記式中n及びGは前述の定義の通りである);式−O−(CHCHO−Gの基(前記式中n及びGは前述の定義の通りである);式−NH−(CHO−Gの基(前記式中n及びGは前述の定義の通りである);式−NH−(CHNH−(CHO−Gの基(前記式中n及びGは前述の定義の通りであり、xは1〜6である)。一つ又は複数の−CH−部分は、一つ又は複数の置換基、例えばOH又はNH基によって置換されていてもよい。
【0019】
アフィニティーリガンドが付着できる固体の支持マトリックスはアフィニティークロマトグラフィーの分野で周知であり、合成ポリマー、例えばポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール又はポリスチレン、特に架橋合成ポリマー;無機支持体、例えばシリカ系支持体;及び特に多糖支持体、例えばデンプン、セルロース又はアガロースなどである。
【0020】
一定の態様において、Prometic Biosciences社からMAbsorbent A1P及びMAbsorbent A2Pの商標名で市販されている支持アフィニティーリガンドを用いて優れた結果が達成されている。
【0021】
fAbを含有する培地と支持アフィニティーリガンドとの接触は、fAbがアフィニティーリガンドに結合する条件下で実施される。多くの態様において、fAbを含む水溶液はほぼ中性のpH、例えばpH約6〜8、例えば6.5〜7.5、特にpH7である。一部の態様において、該水溶液は、高イオン強度、例えば75〜125mS/cmを有するが、多くの態様において、該水溶液は、好ましくは低イオン強度、例えば50mS/cm未満、例えば10〜40mS/cm、好ましくは約30mS/cm、例えば27〜33mS/cmを有する。接触は、好ましくは実質的にすべてのfAbがアフィニティーリガンドに結合するまで持続される。fAbを含む培地中に存在しうる多くの不純物はアフィニティーリガンドに結合しないので、培地中に残る。
【0022】
一般的に、支持アフィニティーリガンドはクロマトグラフィーのカラムに使用され、fAbを含む培地をカラムに流す。カラムへの1回通過が採用されうるが、代替として、培地をカラムに再循環させることもできる。2本以上のカラムを順々に使用してもよい。
【0023】
結合したfAbを含む支持体は、fAbの結合が保持される条件下で、一つ又は複数の洗浄液で洗浄することができる。例えば、fAbの性質にもよるが、低イオン強度及びほぼ中性のpHの水性緩衝液を使用するか、又はほぼ中性のpH及びfAbをロード(load)するのに使用された水溶液のイオン強度に相当する、又はそれより高いイオン強度の緩衝液を使用して洗浄する。
【0024】
次に、リガンドからfAbを放出させる溶液と接触させることによって、例えばイオン強度を変えることにより、fAbをアフィニティーリガンドから分離することができる。多くの態様において、溶離溶媒は、fAbをリガンドに付着させた際の培地よりも低いpHを有する水溶液、例えば2〜4の範囲のpHを有する緩衝液を含む。所望であれば、グラジエント溶離法を採用することもできる。
【0025】
本発明の第二の側面に従って、fAbの製造法を提供する。該方法は、
a)組換え技術によってfAbを製造して、fAbを含む培地を製造し;
b)fAbを含む培地を、支持マトリックスに付着させた合成アフィニティーリガンドと、fAbが合成アフィニティーリガンドに結合する条件下で接触させることを含む方法によってfAbを培地から分離し、ここで、前記合成アフィニティーリガンドは、式:
【0026】
【化4】

【0027】
[式中、
Qは、固体の支持マトリックスへの、所望によりスペーサー基を介していてもよい付着を表し;
A及びBは、それぞれ独立して、水素結合が可能な一つ又は複数の置換基、好ましくは一つ又は複数の−OH、−SH又は−COH基で置換されている−Y−フェニル又は−Y−ナフチル基であり;
各Yは、独立して、−NR、−O−又は−S−を表し;そして
各Rは、独立して、H又はC1−4アルキル基を表す]
を有し;そして
c)fAbをアフィニティーリガンドから放出させる
ことを含む。
【0028】
本発明の第二の側面による方法によって製造されたfAbsは、所望であれば更なる精製ステップ、例えば一つ又は複数のイオン交換クロマトグラフィー;疎水性に基づくクロマトグラフィー、例えばHIC、逆相クロマトグラフィー、疎水性電荷誘導クロマトグラフィー、又は混合モードクロマトグラフィー;又はサイズベースの精製法、例えばゲルろ過に付してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】SDS PAGEゲル
【図2】SDS PAGEゲル
【実施例】
【0030】
本発明を以下の実施例によって制限なしに例示する。
【0031】
実施例1
fAb(モノクローナル抗リゾチーム抗体D1.3由来)を組換え大腸菌株でペリプラズム発現によって製造した。総分子量47.4kDaのfAb(二本鎖−コンテスタント(contestent)ドメイン付きの可変軽鎖ドメインを含む重鎖及び定常ドメイン付きの可変軽鎖ドメインを含む重鎖)を細胞のペリプラズム(周辺腔)に分泌させ、次いで発酵増殖培地中に分泌させた。発酵終了時、発酵槽の上清中に存在するD1.3の量はおよそ100mg/Lであった。
【0032】
fAbD1.3の初期単離は、遠心分離による細胞物質の除去と、その後の0.45/0.2ミクロンフィルタに通すろ過を含んでいた。得られた清澄溶液は、29.3mS/cmの導電率と6.7のpHを有していた。
【0033】
直径1.6cmの2本のカラムに、一つのカラムにはPrometic Biosciences社のA1Pを、第二のカラムにはPrometic Biosciences社のA2P生体模倣プロテインAクロマトグラフィー媒体をそれぞれ2.5cmのベッド高まで詰めた。カラムの充填は、非対称性とHETPによって評価した。
【0034】
各カラムとも類似のプロトコルに従った。
【0035】
平衡化洗浄 50mM リン酸ナトリウム pH7
D1.3の結合化
ロード後洗浄 50mM リン酸ナトリウム pH7
溶離 50mM クエン酸ナトリウム pH3
再生 0.5M NaOH
いずれの場合も、D1.3のロード物質のコンディショニングは、pHを7に調整する以外は行わなかった。いずれの場合も、50mMクエン酸塩の溶離緩衝液で単一の溶出ピークが得られた。
【0036】
溶出画分のSDS PAGEゲルは、いずれの場合も高精製度のfAbD1.3が得られたことを示していた(図1及び図2参照)。
【0037】
比較例2
fAbD1.3をプロテインA媒体に結合させようとする比較実験を実施した。実施例1で使用したのと同じfAbD1.3のサンプルを1mlのMabSelect(GE Healthcare)のプロテインAカラムに適用した。fAbD1.3の発酵槽上清を遠心分離して細胞を除去し、0.45/0.2ミクロンフィルタに通してろ過し、pHを7に調整した。ロード物質の導電率は29mS/cmであった。
【0038】
準拠したクロマトグラフィープロトコルは製造業者がIgG結合用に推奨したものであった。
【0039】
平衡化洗浄 10mM リン酸ナトリウム、150mM NaCl pH7
D1.3のローディング
ロード後洗浄 10mM リン酸ナトリウム、150mM NaCl pH7
溶離 100mM クエン酸ナトリウム pH3
再生 10mM NaOH
100mMクエン酸塩の溶離緩衝液を適用したが溶出ピークは見られなかった。SDS PAGEによる溶出画分の検査で、溶出洗浄画分中にfAbD1.3は検出できず、fAbD1.3はプロテインA媒体には結合していないことが確認された。
【0040】
実施例3
系ドメインのフラグメント(抗TNFドメイン、TAR1−5−19 −国際特許出願WO2005035572A2の図12中、配列ID番号16)を組換え大腸菌株でのペリプラズム発現によって製造した。総分子量11.9kDaのドメインを細胞のペリプラズム(周辺腔)に分泌させ、次いで発酵増殖培地中に分泌させた。発酵終了時、発酵槽の上清中に存在する抗TNFドメインの量はおよそ2.4g/Lであった。
【0041】
ドメインTAR1−5−19の初期単離は、遠心分離による細胞物質の除去と、その後の0.45/0.2ミクロンフィルタに通すろ過を含んでいた。得られた清澄溶液は、約32mS/cmの導電率と7.2のpHを有していた。
【0042】
直径1.6cmの2本のカラムに、一つのカラムにはPrometic Biosciences社のA1Pを、第二のカラムにはPrometic Biosciences社のA2P生体模倣プロテインAクロマトグラフィー媒体を、4.3cm(A1P)及び2.3cm(A2P)のベッド高まで詰めた。カラムの充填は、非対称性とHETPによって評価した。
【0043】
各カラムとも類似のプロトコルに従った。
【0044】
平衡化洗浄 25mM リン酸ナトリウム pH7
TAR1−5−19ドメインの結合化
ロード後洗浄 25mM リン酸ナトリウム pH7
溶離 25mM リン酸ナトリウム pH7から25mM クエン酸ナトリウム pH3への15CVにわたるリニアグラジエント
再生 0.5M NaOH
いずれの場合も、抗TNFドメインのロード物質のコンディショニングは、pHを7に調整する以外は行わなかった。抗TNFドメインの結合は、SDS PAGEゲルによって評価され、10〜20mg/mlの量であると評価された。
【0045】
実施例4
系ドメインのフラグメント(抗ニワトリ卵白リゾチームドメインHEL4 −Jespersら、J Mol Biol(2004)337 893−903)を組換え大腸菌株中でのペリプラズム発現によって製造した。分子量12.8kDaのドメインを細胞のペリプラズム(周辺腔)に分泌させ、次いで発酵増殖培地中に分泌させた。発酵終了時、発酵槽の上清中に存在するHEL4ドメインの量はおよそ1.5g/Lであった。
【0046】
HEL4の初期単離は、遠心分離による細胞物質の除去と、その後の0.45/0.2ミクロンフィルタに通すろ過を含んでいた。得られた清澄溶液は、約31mS/cmの導電率と6.9のpHを有していた。
【0047】
直径1.6cmの2本のカラムに、一つのカラムにはPrometic Biosciences社のA1Pを、第二のカラムにはPrometic Biosciences社のA2P生体模倣プロテインAクロマトグラフィー媒体を、4.3cm(A1P)及び2.3cm(A2P)のベッド高まで詰めた。カラムの充填は、非対称性とHETPによって評価した。
【0048】
各カラムとも類似のプロトコルに従った。
【0049】
平衡化洗浄 25mM リン酸ナトリウム pH7
HEL4ドメインの結合化
ロード後洗浄 25mM リン酸ナトリウム pH7
溶離 25mM リン酸ナトリウム pH7から25mM クエン酸ナトリウム pH3への15CVにわたるリニアグラジエント
再生 0.5M NaOH
いずれの場合も、HEL4ドメインのロード物質のコンディショニングは、pHを7に調整する以外は行わなかった。HEL4ドメインの結合は、SDS PAGEゲルによって示された。
【0050】
実施例5
タンデム抗体フラグメントから誘導されたタンデム抗体フラグメント(二本鎖で構成されるタンダブ、各鎖は4個のドメイン(国際特許出願WO2007/088371の実施例15に記載のような(Vの形式の2個のV及び2個のVドメイン)を含有する)を組換え大腸菌株中でのペリプラズム発現によって製造した。総分子量約100kDaのタンダブを細胞のペリプラズム(周辺腔)に分泌させ、次いで発酵増殖培地中に分泌させた。発酵終了時、発酵槽の上清中に存在するタンダブの量は約100mg/Lと推定された。
【0051】
タンダブの初期単離は、遠心分離による細胞物質の除去と、その後の0.45/0.2ミクロンフィルタに通すろ過を含んでいた。得られた清澄溶液は、約31mS/cmの導電率と6.9のpHを有していた。
【0052】
直径0.7cmの2本のカラムに、一つのカラムにはPrometic Biosciences社のA1Pを、第二のカラムにはPrometic Biosciences社のA2P生体模倣プロテインAクロマトグラフィー媒体を3cmのベッド高まで詰めた。
【0053】
各カラムとも類似のプロトコルに従った。
【0054】
平衡化洗浄 25mM リン酸ナトリウム pH7
タンダブ抗体フラグメントの結合化
ロード後洗浄 25mM リン酸ナトリウム pH7
溶離 25mM クエン酸ナトリウム pH3
再生 0.5M NaOH
いずれの場合も、タンダブ抗体フラグメントのロード物質のコンディショニングは、pHを7に調整する以外は行わなかった。タンダブ抗体フラグメントの結合は、SDS PAGEゲルによって評価され、特異的結合及び溶出が検出された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
培地からのフラグメント抗体の分離法であって、フラグメント抗体を含む培地を、支持マトリックスに付着させた合成アフィニティーリガンドと、フラグメント抗体が合成アフィニティーリガンドに結合する条件下で接触させることを含み、前記合成アフィニティーリガンドは、式:
【化1】

[式中、
Qは、固体の支持マトリックスへの、所望によりスペーサー基を介していてもよい付着を表し;
A及びBは、それぞれ独立して、水素結合が可能な一つ又は複数の置換基で置換されている−Y−フェニル又は−Y−ナフチル基であり;
各Yは、独立して、−NR、−O−又は−S−を表し;そして
各Rは、独立して、H又はC1−4アルキル基を表す]
を有する方法。
【請求項2】
フラグメント抗体の製造法であって、
a)組換え技術によってフラグメント抗体を製造して、フラグメント抗体を含む培地を製造し;
b)フラグメント抗体を含む培地を、支持マトリックスに付着させた合成アフィニティーリガンドと、フラグメント抗体が合成アフィニティーリガンドに結合する条件下で接触させることを含む方法によって、フラグメント抗体を培地から分離し、ここで、前記合成アフィニティーリガンドは、式:
【化2】

[式中、
Qは、固体の支持マトリックスへの、所望によりスペーサー基を介していてもよい付着を表し;
A及びBは、それぞれ独立して、水素結合が可能な一つ又は複数の置換基で置換されている−Y−フェニル又は−Y−ナフチル基であり;
各Yは、独立して、−NR、−O−又は−S−を表し;そして
各Rは、独立して、H又はC1−4アルキル基を表す]
を有し;そして
c)フラグメント抗体をアフィニティーリガンドから放出させる
ことを含む方法。
【請求項3】
前記フラグメント抗体が、大腸菌又はピキア・パストリス宿主細胞の発現によって製造される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
水素結合が可能な置換基が、−OH、−SH又は−COH基から独立して選ばれる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
支持マトリックスに付着させた合成アフィニティーリガンドが、式:
【化3】

[式中、Qは、固体の支持マトリックスへの、所望によりスペーサー基を介していてもよい付着を表す]の化合物から選ばれる、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
Qが、式−NH−(CHNH−G;−NH−(CHO−G;−O−(CHO−G;−O−(CHCHO−G;−NH−(CHO−G;及び−NH−(CHNH−(CHO−G
[式中、nは12までの正の整数であり;
xは1〜6であり;そして
Gは固体の支持マトリックスである]の基からなる群から選ばれるスペーサー基を表す、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
nが2〜6である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記フラグメント抗体が6〜8のpHでリガンドに結合している、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記フラグメント抗体が6.5〜7.5のpHでリガンドに結合している、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記フラグメント抗体が、50mS/cm未満、好ましくは10〜40mS/cmのイオン強度を有する溶液中を用いてリガンドに結合される、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記フラグメント抗体が、10〜40mS/cmのイオン強度を有する溶液中を用いてリガンドに結合される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記フラグメント抗体が、Fab;scFv;単一ドメイン、又はそのフラグメント;ビスscFv、Fab、Fab、ミニボディ(minibody)、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)、テトラボディ(tetrabody)又はタンダブ(tandab)である、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記フラグメント抗体が、可変重鎖からの単一ドメイン又はそのフラグメント、あるいは可変軽鎖からの単一ドメイン又はそのフラグメントである、請求項12に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−521909(P2011−521909A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508993(P2011−508993)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001126
【国際公開番号】WO2009/138714
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(508236033)フジフィルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ ・ユーケイ・リミテッド (8)
【Fターム(参考)】