説明

誘導加熱されるサセプタの平衡温度を調整するシステム及び方法

【課題】ワークピースを誘導加熱するためのシステム。
【解決手段】ワークピース150を誘導加熱するためのシステムは、誘導コイル76、少なくとも一つのサセプタ表面板50、及び連結された電流コントローラ88を含むことができる。誘導コイル76は、交流電流86を導通させて、交流電流86により磁場を生成する。サセプタ表面板50には、ワークピース150が配置される。サセプタ表面板50は強磁性合金から形成することができ、この強磁性合金はキュリー温度を有し、磁場によりキュリー温度に近い平衡温度まで誘導加熱可能である。電流コントローラ88は、誘導コイル76に連結されて、サセプタ表面板50の少なくとも一つの加熱パラメータの変化を生じさせるように交流電流86を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して複合材料に関し、具体的には熱可塑性の物品を成形する間のそのような物品の加熱に関する。
【背景技術】
【0002】
複合品の成形においては、一般に、プリフォームを圧密化する間に、圧縮力を印加しながらプリフォームを加熱することが必要である。プリフォームを加熱するとき、一般的には、最終品に所望の機械特性が達成されるように、プリフォームを高温、且つプリフォームの材料系又は樹脂組成に対応する比較的狭い温度範囲内に維持することが望ましい。熱可塑性物品を成形するとき、熱可塑性樹脂の溶融温度を上回るまでプリフォームを加熱することにより、圧密化の間にプリフォーム全体に樹脂を流すことが必要である。
【0003】
熱可塑性物品に所望の機械特性を達成するためには、さらに、プロフォームの温度を、溶融温度から、それよりも低い第2の温度に低下させることによりプリフォームの温度を周期的に変化させ、所定の期間にわたってプリフォームを第2の温度に維持することが必要である。所定の期間にわたってプリフォームを第2の温度に維持するにより、熱可塑性物品に所望のレベルの結晶化度が達成される。結晶化度は、最終品の機械特性に影響しうる。最終的な熱可塑性物品の機械特性は、温度サイクリングの間の、プリフォームの加熱速度及び/又は冷却速度によっても影響されうる。
【0004】
従来の複合品成形技術では、プリフォームを圧密化して所望の形状にプリフォームを成形するために、オートクレーブ及び従来のツーリングを使用する。残念ながら、オートクレーブ及びツーリングは、一般に比較的大きな熱質量を有するので、最初にプリフォームを溶融温度に加熱するために膨大な時間を要する。加えて、オートクレーブ及びツーリングの熱質量が比較的大きいことにより、温度サイクリングの間に物品を冷却するために膨大な時間を要する。さらに、オートクレーブ及びツーリングの熱質量が比較的大きいことにより、最終品に最適な機械特性を達成するために特定の期間にわたって物品を所望の温度に維持することが困難になる。
【0005】
オートクレーブ及び従来のツーリングの使用に関連するさらなる欠点は、オートクレーブ及びツーリングの熱質量が比較的大きいために、物品を均一に加熱することが困難なことである。さらに、オートクレーブ及びツーリングの熱質量が大きいことにより、安全に取り扱える温度まで物品を冷却するために比較的長時間を要する。加えて、オートクレーブは、オートクレーブの内部及びツーリングを最初に加熱する間に、比較的大量の電力を消費する。
【0006】
このように、当技術分野において、プリフォームの加熱温度を高レベルで制御できるプリフォームの加熱システム及び方法に対する需要が存在する。加えて、当技術分野には、比較的短時間で、且つ最終品の機械特性が最適化されるように制御しながら、プリフォームを加熱及び冷却することを支援するシステム及び方法に対する需要が存在する。さらに、当技術分野には、プリフォーム全体に熱を均一に分配できるプリフォームの加熱システム及び方法に対する需要が存在する。好適には、このようなシステム及び方法はエネルギー効率及び経費効率のよい方法で運用される。
【発明の概要】
【0007】
高レベルの温度制御性をもって物品を加熱することに関する上記需要は、ワークピースを誘導加熱するためのシステムを提供する本発明により特に対処される。本発明の一態様によれば、誘導コイル、少なくとも一つのサセプタ表面板、及び電流コントローラを含むシステムが提供される。誘導コイルは、交流電流を導通させて、交流電流により磁場を生成する。サセプタ表面板には、ワークピースが配置される。サセプタ表面板は、キュリー温度を有する強磁性合金から形成することができ、強磁性合金は、磁場によりキュリー温度に近い平衡温度まで誘導加熱可能である。電流コントローラは、誘導コイルに連結されて、サセプタ表面板の少なくとも一つの加熱パラメータの変更を生じさせるように交流電流を調節する。
【0008】
有利には、電流コントローラは、サセプタ表面板の平衡温度に変化を生じさせるように、交流電流の周波数を調節する。好適には、電流コントローラは、サセプタ表面板の平衡温度を華氏約5〜15度だけシフトさせるように、交流電流の周波数を調節する。有利には、電流コントローラは、サセプタ表面板の平衡温度に変化を生じさせるように、交流電流のアンペア数を調節する。有利には、電流コントローラは、サセプタ表面板の加熱速度に変化を生じさせるように、交流電流の周波数を調節する。有利には、電流コントローラは、サセプタ表面板の加熱速度に変化を生じさせるように、交流電流のアンペア数を調節する。有利には、交流電流は、約1kHz〜300kHzの周波数範囲を有する。有利には、交流電流は、約10アンペア〜10,000アンペアのアンペア数を有する。有利には、誘導コイルは、複数の層にわたって延びる複数の上側コイル部分と下側コイル部分とを含む。有利には、誘導コイルは、上側コイル部分と下側コイル部分とを含み、一対のサセプタ表面板の間にワークピースが締め付けられるとき、上側ダイのコイル部分と下側ダイのコイル部分とが互いに電気的に連結して誘導コイルを形成する。有利には、システムは、サセプタ表面板を冷却するための冷却システムをさらに備える。有利には、システムはワークピースに圧縮力を印加するためのプレス機をさらに備える。
【0009】
本発明の一態様によれば、ワークピースの誘導加熱方法が提供される。この方法は、少なくとも一つのサセプタ表面板が隣接して装着される誘導コイルに交流電流を印加するステップを含み、このサセプタ表面板はキュリー温度を有する強磁性合金から形成される。この方法は、磁場を生成すること、及び磁場によりキュリー温度に近い平衡温度までサセプタ表面板を誘導加熱することを含む。方法は、また、交流電流の少なくとも一つの電流パラメータを調節すること、及び電流パラメータの調節により、サセプタ表面板の平衡温度をシフトさせることを含む。
【0010】
有利には、少なくとも一つの電流パラメータを調節するステップは、交流電流の周波数を調節すること、及びサセプタ表面板の平衡温度をシフトさせることを含む。好適には、周波数を調節するステップは、サセプタ表面板の平衡温度を華氏約5〜15度だけシフトさせるように、交流電流の周波数を調節することを含む。有利には、少なくとも一つの電流パラメータを調節するステップは、交流電流のアンペア数を調節すること、及びサセプタ表面板の平衡温度をシフトさせることを含む。有利には、少なくとも一つの電流パラメータを調節するステップは、交流電流の周波数を調節すること、及びサセプタ表面板の加熱速度を変化させることを含む。有利には、少なくとも一つの電流パラメータを調節するステップは、交流電流のアンペア数を調節すること、及びサセプタ表面板の加熱速度を変化させることを含む。有利には、方法は、ワークピースに圧縮力を印加するステップをさらに含む。有利には、方法は、サセプタ表面板を能動的に冷却するステップをさらに含む。さらなる実施形態では、ワークピースを誘導加熱する方法であり、サセプタ表面板が隣接して装着される誘導コイルに交流電流を印加することを含む方法が開示される。サセプタ表面板は、キュリー温度を有する強磁性合金から形成される。この方法は、交流電流によりサセプタ表面板に沿って磁場を生成すること、及び磁場によりキュリー温度に近い平衡温度までサセプタ表面板を誘導加熱することをさらに含む。方法は、さらに、サセプタ表面板と熱接触するワークピースを伝導加熱すること、及びキュリー温度より低い平衡温度でサセプタ表面板の温度を安定化させることを含む。方法は、また、交流電流の少なくとも一つの電流パラメータを調節すること、及び交流電流の電流パラメータを調節することにより、サセプタ表面板の少なくとも一つの特徴を変化させることを含む。
【0011】
上述のフィーチャ、機能および利点は、本発明の様々な実施形態において独立して達成可能であるか、又は他の実施形態において組み合わせることができる。これらの実施形態について、後述の説明及び添付図面を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の上述のフィーチャ及び他のフィーチャは、添付図面からさらに明らかとなる。図を通して、同様の参照番号は同様の部品を示す。
【0013】
【図1】ワークピースを誘導加熱する間にワークピースに圧縮力を印加するためのプレス機の一実施形態の斜視図である。
【図2】プレス機に装着された下側ダイの一実施形態の斜視図であり、この下側ダイは、サセプタ表面板を支持しており、誘導加熱のためにワークピースを受けるように構成されている。
【図3】開位置にある上側ダイ及び下側ダイの一実施形態の概略側面図であり、この上側ダイ及び下側ダイには、対応する上側サセプタ表面板及び下側サセプタ表面板が取り付けられており、さらには、一実施形態の上側サセプタ表面板及び下側サセプタ表面板を誘導加熱するための上側コイル部分及び下側コイル部分が示されている。
【図4】閉位置にある上側ダイ及び下側ダイの一実施形態の概略側面図であり、両サセプタ表面板の間にワークピースが締め付けられている。図示される位置実施形態では、上側コイル部分と下側コイル部分とが相互接続し、誘導コイルに電流が流れることによりサセプタ表面板に誘導電流が流れる。
【図5】図4の線5に沿った上側ダイ及び下側ダイの断面図であり、誘導コイル中の電流の流れにより生成される磁場を示しており、磁場の力線の方向は、誘導コイル中を流れる電流の方向に直交している。
【図6】図5の線6に沿った上側サセプタ表面板及び下側サセプタ表面板の部分拡大断面図であり、サセプタ表面板を流れる誘導電流の方向を示している。
【図7】磁性状態にあるサセプタ表面板の概略断面図であり、サセプタ表面板の表面に隣接して流れる誘導電流の濃度を示している。
【図8】図7に示す磁性状態でのサセプタ表面板の電流密度に対応する相対的電流密度を示す凡例である。
【図9】図7に示す磁性状態でのサセプタ表面板のサセプタ厚に対する電流密度のグラフであり、サセプタ表面板の表面に隣接する地点での比較的高マグニチュードの電流密度とその濃度、並びにサセプタ表面板の表面から内側に遠ざかるにつれて指数関数的に低下する電流密度を示している。
【図10】非磁性状態でのサセプタ表面板の概略断面図であり、サセプタ表面板の表面から内側に遠ざかるにつれてほぼ一様に低下する電流密度を示している。
【図11】図10に示す非磁性状態にあるサセプタ表面板の電流密度に対応する相対的電流密度を示す凡例である。
【図12】図10に示す非磁性状態でのサセプタ表面板のサセプタ厚に対する電流密度のグラフであり、サセプタ表面板の表面から内側に遠ざかるにつれてほぼ一様に低下する電流密度、並びに電流密のマグニチュードの低下を示している。
【図13】強磁性合金の温度に対する透磁率の図であり、温度がキュリー温度に近づくにつれて指数関数的に低下する透磁率を示しており、さらには、誘導コイルの電流パラメータの調節による平衡温度の変化を表わす低い及び高い平衡温度点を示している。
【図14】誘導コイルに異なる周波数/アンペア数の交流電流を印加することにより誘導加熱された強磁性材料の三つの異なる熱プロファイルをグラフ化したものであり、強磁性合金の平衡温度及び加熱速度に対するそれらの影響を示している。
【図15】サセプタ表面板の複数の異なる位置の熱プロファイルをグラフ化したものであり、誘導加熱による異なる位置での温度の均一性を示しており、さらには、能動的冷却によるサセプタ表面板の温度サイクリング能を示している。
【図16】サセプタ表面板の形成に使用できる広範な種類の強磁性合金のうちのいくつかの強磁性合金の図である。
【図17】ワークピースを誘導加熱し、及び交流電流の一又は複数の電流パラメータ(例えば、誘導コイルに印加する交流電流の周波数及び/又はアンペア数)を変更することによるワークピースの一又は複数の加熱パラメータの調節する方法のフロー図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に参照する添付図面は、本発明の種々の好ましい実施形態を例示することのみを目的としており、図1は、ワークピース150(図3)の誘導加熱の間にワークピース150に圧縮力14を印加するために使用されるプレス機12の一実施形態を示している。プレス機12は、ワークピース150を物品154(図4)に成形するために使用されるものである。ワークピース150の加熱は、プレス機12に動作可能に連結される一又は複数のサセプタ表面板(例えば、上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52)を用いて実行することができる。例えば、上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52は、プレス機12の対応する上側ダイ24及び下側ダイ26にそれぞれ取り付けられる。
【0015】
上側サセプタ表面板50及び/又は下側サセプタ表面板52は、強磁性合金66の組成によって変化するキュリー温度を有する導電性の強磁性合金66材料から形成される。これに関して、上側サセプタ表面板50及び/又は下側サセプタ表面板52を形成する強磁性合金66は、ワークピース150を加熱したいと思う所望の温度に基づいて選択することができる。例えば、強磁性合金66の組成は、上側サセプタ表面板50及び/又は下側サセプタ表面板52の平衡温度がワークピース150の所望の温度(例えば、ワークピース150の処理温度)とほぼ一致する又はそのような温度に相当するようなキュリー温度を有するように選択される。処理温度には、熱可塑性プリフォーム156中の樹脂158(図4)の溶融温度又はガラス転移温度が含まれる。しかしながら、所望の温度には、熱硬化性のワークピース150の所与のマトリックス材を硬化させる硬化温度が含まれてもよい。所望の温度には、金属製のワークピース150に所望の熱処理温度、又はワークピースの処理に関連する他の温度が含まれてもよい。
【0016】
図1では、上側サセプタ表面板52及び/又は下側サセプタ表面板52は、誘導加熱システム72の一部を形成する。上側サセプタ表面板52及び/又は下側サセプタ表面板52は、一又は複数の誘導コイル76を流れる交流電流86(図4)により平衡温度まで誘導加熱される。誘導コイル76は、上側ダイ24及び下側ダイ26に隣接して取り付けられる。一又は複数の誘導コイル76は、誘導コイル76を流れる交流電流86により磁場90(図5)を生成する。磁場90は、上側サセプタ表面板50及び/又は下側サセプタ表面板52と磁気的に連結されて、キュリー温度に近い平衡温度までサセプタ表面板50、52の誘導加熱を引き起こす。これに関して、サセプタ表面板50、52の温度がキュリー温度に接近するにつれて強磁性合金66の磁気的特性が弱まり、それによりサセプタ表面板50、52の誘導加熱が低減する。サセプタ表面板50、52の平衡温度に達した部分は非磁性状態になり、サセプタ表面板50、52のそのような部分における誘導電流の流れ94は、サセプタ表面板50、52の平衡温度を安定化又は維持するのに十分なレベルまで自動的に縮小する。このようにして、ワークピース150はほぼ均一に加熱される。
【0017】
有利には、本明細書に開示されるシステム10及び方法は、上側サセプタ表面板50及び/又は下側サセプタ表面板52の平衡温度及び/又は加熱速度を、微調整、変更、調節、又はシフトする手段として交流電流86(図4)の周波数を調節する手段も含む。加えて、システム10及び方法は、上側サセプタ表面板50及び/又は下側サセプタ表面板52の平衡温度及び/又は加熱速度を、微調整、変更、調節、又はシフトする手段として交流電流86の振幅又はアンペア数(A)を調節する手段を含む。例えば、システム10は、交流電流86の周波数又はアンペア数を増大させることにより上側サセプタ表面板50及び/又は下側サセプタ表面板52の平衡温度を上昇させる手段を提供することができる。このようにして、サセプタ表面板の温度は、特定の温度範囲内で、ワークピース150に所望の温度にさらに近づくように調節される。
【0018】
有利には、交流電流の周波数及び/又はアンペア数を制御することにより、新規の強磁性材料66の組成を考案する必要なく、且つやや高いキュリー温度を有する異なる強磁性合金66を調達する必要なく、サセプタ表面板の平衡温度及び加熱速度を、ワークピースに所望の温度及び加熱速度に概ね一致させることができる。これに関して、本明細書に開示されるシステム10及び方法は、サセプタ表面板の平衡温度及び加熱速度を調整する手段を提供し、粉末治金などにより新規の強磁性合金66を作製すること、又は発見が困難な強磁性合金66を検索することに関連する時間と費用を回避する。このようにして、本明細書において開示されるシステム10は、サセプタ表面板に利用可能な強磁性合金66を用いてワークピース150の所望に温度を微調整する又は概ね達成するための、費用効率がよく、且つ時間効率のよい方法を提供する。例えば、ワークピース150を加熱、モールディング、成形、圧縮、圧密化、硬化、シェーピング、又はその他の方法で処理するための所望の温度と概ね一致する平衡温度を有する市販の強磁性合金66を使用して、サセプタ表面板を形成することができる。本明細書に開示されるシステム10により、複合ワークピース150の所望の温度又は処理温度を微調整する手段、又はそのような所望の温度に近づける手段、或いは金属製のワークピース150の所与の熱処理プロセス(例えば、アニーリングプロセス)の温度を微調整する手段が提供される。
【0019】
図1は、上側ツール16及び下側ツール18を含むプレス機12の一実施形態を示している。上側ダイ24及び下側ダイ26は、上側ツール16及び下側ツール18のそれぞれに取り付けられている。上側ツール16及び/又は下側ツール18は、閉位置30と開位置28との間で、上側ダイ及び下側ダイを互いの方へ及び互いから離れるようにスライドさせることができるように、一又は複数のポスト20に取り付けられている。開位置において上側サセプタ表面板50と下側サセプタ表面板52との間にワークピース150を配置し、その後上側ダイ24及び/又は下側ダイ26を移動させて両ダイを互いに接近させることにより、上側サセプタ表面板50と下側サセプタ表面板52との間でワークピース150が締め付けられて、複合ワークピース150が圧密化される。
【0020】
誘導コイル76及びサセプタ表面板は、プレス機12に含まれる誘導加熱システム72の一部を形成している。誘導加熱システム72は、上側ダイ24及び/又は下側ダイ26の積層34中に形成される切り込み又は貫通孔44中に延びる一又は複数の誘導コイル76に交流電流86(図4)を供給する電源74を含むことができる。上記のように、且つ後述でさらに詳細に説明するように、誘導コイル76を流れる交流電流86は、上側サセプタ表面板50及び/又は下側サセプタ表面板52の周囲に磁場90(図5)を生成する。この磁場により、平衡温度になるまでサセプタ表面板は誘導加熱される。有利には、誘導加熱システム72は、交流電流86の一又は複数の電流パラメータを制御するために誘導コイル76に連結される電流コントローラ88を含む。例えば、電流コントローラ88は、サセプタ表面板の少なくとも一つの加熱パラメータに変化を生じさせるように、交流電流86の周波数を調節するように構成される。上述の一実施形態では、電流コントローラ88は、サセプタ表面板の平衡温度をシフトさせるように、交流電流86の周波数を調節するように構成されている。電流コントローラ88は、交流電流86の周波数を調節することによりサセプタ表面板の加熱速度を変化させ、それによりワークピース150の加熱速度に変化が生じるように構成されてもよい。また、電流コントローラ88は、交流電流86のアンペア数を調節することにより、サセプタ表面板の平衡温度のシフト又はサセプタ表面板の加熱速度の変化を引き起こすように構成することもできる。これについては後述でさらに詳細に説明する。
【0021】
図1では、誘導加熱システム72は、サセプタ表面板を能動的に冷却する冷却システム100を含んでいる。しかしながら、冷却システム100は、随意で、受動的手段(図示しない)によりサセプタ表面板を冷却するように構成されてもよい。一実施形態では、冷却システム100は冷却剤源を含み、冷却剤源からは、一又は複数の冷却剤導管102を用いて冷却剤上側ダイ24及び下側ダイ26に向かって冷却剤が方向づけられる。冷却剤は液体及び/又は気体の形態で供給される。冷却剤ライン104は、冷却ガス106がサセプタ表面板を冷却するためにサセプタ表面板の裏側表面56、60に向かうように、上側ダイ24及び/又は下側ダイ26を通って延びている。このようにして、ワークピース150の温度は、比較的速く、且つ制御されて低下し、ワークピース150の機械又は物理特性の最適化を助ける所望の期間にわたって低温に維持される。
【0022】
図2は、下側サセプタ表面板を支持するための下側ダイ26の一実施形態を示している。本明細書に記載される下側ダイ26及び下側サセプタ表面板52は、図1に示す上側ダイ24及び上側サセプタ表面板50とほぼ同様に構成されており、よって後述の下側ダイ26及び下側サセプタ表面板52の説明は、上側ダイ24及び上側サセプタ表面板にも適用可能である。図2に示す実施形態では、下側ダイ26は、互いに間隔を空けて配置された比較的薄い複数の板又は薄層34からなり、これらの層34の間には一連の空隙又はスペーシング38が画定される。一又は複数の下側コイル部分82は、積層34中に形成された貫通孔44を通って延びている。
【0023】
積層34の方向は、一又は複数の誘導コイル76に概ね垂直であり、プレス機12によって印加される圧縮力14(図4)の方向に概ね平行である。積層34と圧縮力14の方向が整列していることにより、積層34はサセプタ表面板50、52中に圧縮力14を効果的に伝達することができる。有利には、積層34間のスペーシング38は、上側コイル部分と下側コイル部分82とが互いに電気的に接続されるときに集約的に画定される、誘導コイル76を流れる交流電流86(図4)によって生じる磁場90(図5)の発する電磁エネルギーに対する干渉を最小化する。これに関して、積層34間のスペーシング38があることで、磁場90は主に下側サセプタ表面板52に連結し、積層34への連結は最小となる。
【0024】
下側ダイ26の積層34によって画定されるダイ表面46は、下側サセプタ表面板によって加熱されるワークピース150から形成される物品154(図4)の最終形状と相補的な輪郭を含むことができる。下側サセプタ表面板52は、モールディング表面54とは反対側に裏側表面60を有する。下側ダイ26の積層34は、下側サセプタ表面板の裏側表面と相補的な形状を有する。積層34は、タック溶接などの任意の手段により下側サセプタ表面板52に取り付けることができる。積層34は、通常は非磁性材料である比較的薄い(例えば、0.100〜0.50インチ厚)の材料、例えば様々な合金のうちのいずれか一つとして提供されるオーステナイト系ステンレス鋼から形成することができる。積層34は、セラミック材又は通常は非磁性的な他の材料から形成されてもよい。積層34は、比較的低いレベルの熱伝導率を有することにより下側サセプタ表面板上に対する積層34の熱的慣性効果を最小化する材料から形成されてもよい。しかしながら、積層34は、限定しないが、磁性材料又は非磁性材料を含み、且つ熱伝導率が比較的低い又は高い材料を含むいずれの材料から形成されてもよい。
【0025】
図2では、下側ダイ26を通って延びる複数の下側コイル部分82の数は、上側ダイ24(図1)を通って延びる対応する複数の上側コイル部分78(図1)と一致している。下側コイル部分82は、上側ダイ24と下側ダイ26とが閉位置30(図4)をとり、一又は複数の誘導コイル76からなる電気回路が完成するとき、上側コイル部分78(図3)に電気的に接続される。一実施形態では、上側コイル部分78と下側コイル部分82との結合によりらせん状に巻かれた誘導コイル76が形成されて、下側コイル部分82の一つの一端のエンドコネクタ84が、下側コイル部分82の他端のエンドコネクタ84が接続する上側コイル部分78とは異なる上側コイル部分84に電気的に接続される。システム10を図4に示す方向から見ると、相互接続された上側コイル部分78と下側コイル部分82とのらせん状の構成は、矩形形状を有している。しかしながら、誘導コイル76のらせん状の構成は、上側コイル部分78及び下側コイル部分82の形状又は構造に応じて矩形以外の形状を有してもよい。誘導コイル76は、交流電流86(図4)を導通させ、交流電流86により磁場90(図5)を生成する。上側コイル部分78と下側コイル部分82との相互接続が形成する一又は複数の誘導コイル76の構成によって、上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52は、その長さと幅にわたってほぼ均一に誘導加熱される。
【0026】
図2は、一又は複数の誘導コイル76の上方に位置する複数の冷却剤ライン104を含む能動的冷却システム100の一実施形態を示している。上述のように、冷却剤ライン104は、上側サセプタ表面板50及び/又は下側サセプタ表面板52(図1)を冷却するための冷却媒体を運搬する。一実施形態では、冷却剤ライン104は、上側サセプタ表面板50及び/又は下側サセプタ表面板52(図1)を強制空冷するためのガスを運搬する。例えば、冷却ガス106は、下側サセプタ表面板52の温度を下げるために下側サセプタ表面板52の裏側表面60に向けられる。上側サセプタ表面板50は、下側サセプタ表面板52と同じ方法で能動的に冷却することができる。一実施形態では、冷却剤ライン104は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のような重合材料などの通常は非磁性の材料から形成される。しかしながら、冷却剤ライン104は、磁性材料を含む様々に異なる材料のいずれか一つから形成されてよい。
【0027】
図3は、開状態28における上側ダイ24及び下側ダイ26を示しており、上側サセプタ表面板50と下側サセプタ表面板52との間にワークピース150が配置されており、このワークピース150はこの後上側ダイ24と下側ダイ26との間に締め付けられる。ワークピース150の形状、大きさ、構成、及び材料は様々でよい。例えば、ワークピース150は、複合品(図示しない)用のプリフォーム152として提供されてよく、例えば加熱され、上側サセプタ表面板50と下側サセプタ表面板52との間で圧密化される熱可塑性のプリフォーム156とすることができる。プリフォーム152は、プリフォーム152から形成される物品154の最終形状に近い形状で提供されてよい。上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52のモールディング表面54、58も、プリフォーム152から形成される物品154の最終形状と相補的な形状又は輪郭を有することができる。
【0028】
上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52は、ワークピース150の処理に関連する所望の温度に対応するキュリー温度を有する強磁性合金66から形成することができる。例えば、強磁性合金66には、熱可塑性プリフォーム156の処理温度に近いキュリー温度を有するものが選択される。これに関して、上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52は、熱可塑性プリフォーム156の溶融温度又はガラス転移温度に近いキュリー温度を有する強磁性合金66から形成することができる。しかしながら、上述のように、本明細書に記載されるシステム10は、様々に異なる材料のいずれか一つからなるワークピースを形成するために実施され、そのような材料には、熱可塑性材料から形成される複合プリフォーム及び/又は本明細書に開示されるシステム10及び方法を用いて熱処理される金属製ワークピースが含まれる。
【0029】
上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52は、誘導コイル76を流れる交流電流86(図4)によって生成される磁場90(図5)によりサセプタ表面板50、52の誘導加熱を強化するために、比較的小さな厚みで供給される。例えば、上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52の各々は、約0.050〜0.25インチの厚みを有する。一実施形態では、上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52はそれぞれ約0.100〜0.150インチの厚みで提供される。しかしながら、上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52は、限定されることなくどのような厚みに形成されてもよい。一実施形態では、上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52は、強磁性合金66材料のブロック又は板からモールディング表面54、58及び/又は裏側表面56、60の凹凸を有する形状を機械加工することにより形成することができる。しかしながら、上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52は、シートメタルを所望の形状に屈曲させることにより、或いは、他の様々な自動又は手動成形プロセスのいずれか一つを用いることにより、シートメタルから形成されてもよい。
【0030】
図4は、閉位置30にある上側ダイ24及び下側ダイ26と、それらのダイの間に締め付けられているワークピース150とを示している。圧縮力14は、ワークピース150を成形又は圧密化するためにプレス機12によって印加されている。上側ダイ24及び下側ダイ26が閉位置30へと移動すると、上側コイル部分及び下側コイル部分82のエンドコネクタ80、84により、誘導コイルの回路が閉じる。電源74によって誘導コイル76に交流電流86が供給されて、誘導コイル76に電流が流れる。誘導コイル76に交流電流86が流れることにより、上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52に誘導電流94(図4)が流れ、磁場90(図5)が生成されて上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52が誘導加熱され、ワークピース150が上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52と熱的に接触していることにより、ワークピース150が伝導加熱される。
【0031】
図5は、上側ダイ24及び下側ダイ26と、図6の上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52、並びにそれら表面板の間に締め付けられるワークピース150の断面図であり、誘導コイル76を流れる交流電流86によって生成される磁場90を示している。磁場90は、図4に示す誘導コイル76を流れる交流電流86の方向に対して概ね垂直な複数の力線92によって示されている。キュリー温度未満の温度では、磁場90は上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52の強磁性合金66に磁気的に連結している。上側ダイ24及び下側ダイ26を形成する、間隔を空けて配置された比較的薄い層34は、誘導コイル76を流れる交流電流86によって生成される磁場90に対する干渉を最小化することができる。
【0032】
図1及び2〜5に示す一又は複数の誘導コイル76が誘導コイル76の別の構成を制限するものではないことに注意されたい。これに関して、図1及び4は、上側コイル部分と下側コイル部分との相互接続により、らせん状に巻かれた誘導コイル76が形成さている様子を示しており、ここで、下側コイル部分82の一つの一端のエンドコネクタ84は、上述したように、下側コイル部分82の他端のエンドコネクタ84が接続する上側コイル部分78とは異なる上側コイル部分78に電気的に接続されている。誘導コイル76のこのようならせん状の構成により、有利には、図5に示す方向とほぼ同じ方向に向かう力線92(図5)を有する磁場90(図5)が形成される。加えて、このような誘導コイル76の構成により、さらに有利には、サセプタ表面板50、52の強磁性合金66(図6)が磁性状態にあるとき(図9)の、サセプタ表面板50、52の外表面(図6)(例えば、モールディング表面54、58(図6)及び裏側表面56、60(図6)に沿った誘導電流94(図5)密度が増大する。
【0033】
しかしながら、本明細書に開示されるシステム10は、誘導コイル76の様々な別の構成のいずれか一つを含むことができ、図1及び4に示して上述したような、らせん状に巻かれた誘導コイル76に限定されない。様々な実施形態のいずれか一つ(図示しない)では、一又は複数の誘導コイル76は、サセプタ表面板50、52(図5)の強磁性合金66(図5)との磁気的連結が最大になり、サセプタ表面板50、52が磁性状態であるとき(図9)に、サセプタ表面板50、52の外表面に隣接する誘導電流94(図6)の密度を増大させるような磁場90(図5)が得られるように配置される。さらにこれに関して、サセプタ表面板50、52の強磁性合金66は、サセプタ表面板50、52の温度がキュリー温度に近づいて強磁性合金66の磁気特性が低下する間に、サセプタ表面板50、52内部を流れる誘導電流94の電流濃度を最大にするものが選択される。強磁性合金66は、磁場90との磁気的な連結を最大化し、且つ交流電流86の所与の周波数又は周波数範囲の電流密度(図9)を最大化するものが選択されてもよい。
【0034】
図6は、上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52の一部分の部分断面図であり、それらの間に締め付けられているワークピース150を示している。図示のように、誘導電流94(図4)の流れは、誘導コイル76(図4)を流れる交流電流86(図4)によって生成される磁場90(図5)により、上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52の各々の内部で循環している。ワークピース150(例えば、プリフォーム152)は、上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52のモールディング表面54、58と熱的に接触している。誘導コイル76を交流電流86が流れることにより上側サセプタ表面板50及び下側サセプタ表面板52が加熱されると、ワークピース150の誘導加熱が引き起こされる。サセプタ表面板50、52中の誘導電流94の流れは、通常、温度が強磁性合金66のキュリー温度未満でサセプタ表面板50、52の強磁性合金66が磁性状態にあるとき、サセプタ表面板50、52の外表面の近くで(例えば、モールディング表面54、58、及び裏側表面56、60に沿って)濃縮される。
【0035】
図7〜9を参照する。図7は、サセプタ表面板200の一部分の概略図であり、キュリー温度未満で磁性状態206にあるサセプタ表面板200中の誘導電流94(図4)が測定された。図7は、サセプタ表面板200の外表面204に沿って流れる誘導電流94の濃度を示す。図8は、図7に示すサセプタ表面板200の断面中の異なる位置に対応する電流密度212を示す凡例である。図7に示すように、サセプタ表面板200は、外表面204の近くで比較的高い電流密度218を有し、内部で比較的低い電流密度220を有する。図9は、図7に概略的に示すサセプタ表面板200のサセプタ厚214に対する全体の電流密度212を示すグラフである。図9は、サセプタ表面板200の外表面204において増大した比較的高い電流密度218と、磁性状態206にあるサセプタ表面板200の外表面から内側に向かって離れるにつれて指数関数的に低下210する電流密度とをグラフで示している。図9では、外表面204における電流密度は約3.8×10アンペア/mである。
【0036】
図10〜12は、図7に示したものと同じサセプタ表面板200の一部分の概略図である。しかしながら、図10に示すサセプタ表面板200は、一定期間にわたって誘導加熱された後でサセプタ表面板200の温度がサセプタ表面板200を形成している強磁性合金66のキュリー温度に接近するか又は近くなったときに起こるような、非磁性状態208にある。キュリー温度に近い又はキュリー温度における磁性材料で生じる電流キャンセル(図示しない)の結果として、図10は、図9に示す磁性状態におけるサセプタ表面板200の外表面204における比較的高い電流密度218の大きさに対して、サセプタ表面板200の外表面204(例えば、モールディングライン表面、裏側表面)に沿った比較的低い電流密度220を示している。
【0037】
図11は、図10に示すサセプタ表面板200の断面中の異なる位置に対応する電流密度212を示す凡例である。図12は、図10に概略的に示すサセプタ表面板200のサセプタ厚214に対する全体の電流密度212を示すグラフである。図12は、図9に示す磁性状態における約3.8×10アンペア/mというサセプタ表面板200の高いマグニチュードの電流密度に対して、非磁性状態208における約5.0×10アンペア/mというサセプタ表面板200の外表面204に沿った低い電流密度のマグニチュードを示している。これに関して、図12に示す非磁性状態208におけるサセプタ表面板200の電流密度は、概ね図9に示す磁性状態におけるサセプタ表面板200の電流密度より低いマグニチュードのオーダーである。図12は、さらに、図9に示す磁性状態でのサセプタ表面板200の電流密度の指数関数的低下とは対照的に、サセプタ表面板200の外表面204から内側に離れるにつれて電流密度がほぼ一様に低下することを示している。
【0038】
図13は、強磁性合金材料の温度232に対する透磁率230をグラフ化したものであり、強磁性合金の温度232がこの強磁性合金のキュリー温度236に接近するにつれて、この強磁性合金から形成されるサセプタ表面板(図示しない)の透磁率230を表わす曲線が指数関数的に低下することを示している。図13は、さらに、曲線上の低い平衡温度238点と、曲線上の高い平衡温度240点とを示している。曲線上の低い平衡温度238点は、サセプタ表面板の比較的高い透磁率に対応し、この比較的高い透磁率は、誘導コイル(図示しない)を流れる交流電流(図示しない)の比較的低い周波数に対応している。曲線上の高い平衡温度240点は、サセプタ表面板の比較的低い透磁率に対応し、これには誘導コイルを流れる交流電流の周波数が高いことが必要である。図7に関連して記載したように、サセプタ表面板200が磁性状態であるとき、サセプタ表面板の外表面に沿って電流密度が上昇する。交流電流の周波数が増大するにつれて、サセプタ表面板の外表面に沿って濃縮される電流の部分が増大し、それにより、誘導電流の密度を増大させるために利用可能なサセプタ表面板の断面積の量が増大する。このようにして、所与のサセプタ厚について、周波数を上昇させるために交流電流を調節することにより、サセプタ表面板の平衡温度が上昇する。
【0039】
有利には、本明細書に開示されるシステム10は、図1及び4に示す電流コントローラ88を使用することなどにより、交流電流(図4)の周波数を調節する手段を提供する。一実施形態では、交流電流86は、約1kHz〜300kHzの周波数で一又は複数の誘導コイル76(図4)に供給される。例えば、交流電流86は、約2kHz〜20kHzの周波数範囲で供給することができる。交流電流86のアンペア数は、約10アンペア〜10,000アンペアの範囲内で誘導コイル76に供給されるが、交流電流は10アンペアより小さいアンペア数で供給されても、10,000アンペアを上回るアンペア数で供給されてもよい。また、交流電流86は、約10ボルト〜300ボルトの圧力で供給されてよいが、10ボルトより小さい電圧で供給されても、300ボルトを上回る電圧で供給されてもよい。
【0040】
一実施形態では、電流コントローラ88(図4)は、誘導コイル76(図4)に連結されて、サセプタ表面板の一又は複数の加熱パラメータの変化を生じさせるように交流電流86(図4)を調節する。例えば、電流コントローラ88は、サセプタ表面板50、52(図4)の平衡温度に変化又はシフトを生じさせるように、交流電流86を調節するように構成される。電流コントローラ88は、サセプタ表面板の初回加熱時に誘導コイル76に供給される交流電流86の周波数を調節するように構成されてもよく、及び/又はサセプタ表面板の平衡温度を上昇又は下降させるためのサセプタ表面板の初期平衡温度が達成されたら、交流電流86の周波数を調節するように構成されてもよい。
【0041】
電流コントローラ88(図4)は、一実施形態では、最初の平衡温度から平衡温度に華氏(F)約5〜15度の変化又はシフトを生じさせるために、交流電流86の周波数を調節するように構成されるが、平衡温度に華氏5度を下回る又は華氏15度を上回るシフトを生じさせるために、交流電流86の周波数を調節するように構成されてもよい。電流コントローラ88は、一実施形態では、サセプタ表面板50、52(図4)の最初の平衡温度から平衡温度に華氏(F)約±7度のシフトを生じさせるために、交流電流86の周波数を調節するように構成されるが、サセプタ表面板50、52の平衡温度に、それよりも大きな(すなわち、華氏±7度を上回る)シフトを生じさせるように構成されてもよい。平衡温度のシフトのマグニチュードは、交流電流86の周波数の変化のマグニチュードに基づいていてよい。
【0042】
一実施形態では、交流電流86の周波数のファクター2までの上昇又は下降、或いはファクター2を上回る上昇又は下降に対応して、平衡温度が華氏約5〜15にわたって上昇又は下降する。例えば、交流電流86の周波数が約10kHzから20kHzに上昇すると、平衡温度は華氏約5〜15度にわたって上昇する。同様に、交流電流86の周波数が約20kHzから10kHzに下降すると、平衡温度は華氏約5〜15度にわたって下降する。別の実施例では、交流電流86の周波数が約20kHzから40kHzに上昇すると、平衡温度は華氏約5〜15度にわたって上昇する。これに関して、サセプタ表面板50、52の平衡温度に所望の上昇又は下降を生じさせる交流電流86の周波数の上昇又は下降のマグニチュードは、初期平衡温度における交流電流86の周波数によって決まる。所与の平衡温度における交流電流86の周波数が比較的高い場合には、それに対応して、サセプタ表面板50、52の平衡温度に所与の上昇又は下降を生じさせるために、比較的大きな周波数の上昇又は下降が必要となる。
【0043】
また、平衡温度のシフトのマグニチュードは、サセプタ表面板50、52を形成する強磁性合金66の組成によって決まる。例えば、強磁性合金66(図4)の特定の組成は、交流電流86に同じ範囲の周波数変化を生じさせた時にそれとは異なる強磁性合金66の組成を使用した場合に生じる平衡温度の範囲と比較して、所与の範囲の周波数変化に対する平衡温度の範囲を広くする。
【0044】
電流コントローラ88(図1)は、サセプタ表面板50、52の一又は複数の加熱パラメータに変化が生じるように、交流電流86(図4)のアンペア数を調節することもできる。例えば、電流コントローラ88は、サセプタ表面板50、52の平衡温度を変化又はシフトさせてサセプタ表面板50、52の平衡温度を上昇又は下降させるように、アンペア数を調節することができる。例えば、電流コントローラ88は、交流電流86のアンペア数を少なくとも約10アンペア又は約10アンペアを上回る分だけ調節することにより、平衡温度を華氏約5〜15度にわたってシフトさせるように構成することができるが、平衡温度を華氏5度未満だけ又は華氏15度を上回るだけシフトさせるように、アンペア数を調節するように構成することもできる。電流コントローラ88は、交流電流86のアンペア数を調節することによりサセプタ表面板50、52の加熱速度を変化させるように構成されてもよい。
【0045】
図14は、異なる周波数及び/又は異なるアンペア数で誘導コイル(図示しない)に印加された交流電流(図示しない)によって誘導加熱した同じニッケル鋼強磁性合金(図示しない)からなるサセプタ材料の、三種類の熱プロファイル256、258、260をグラフ化したものである。第1の熱プロファイル256は、10kHzで20アンペア(A)の交流電流を印加した結果である。第2の熱プロファイル258は、第1の熱プロファイル256によって表される同じニッケル鋼強磁性合金66に10kHzで40アンペアの交流電流を印加した結果である。図14に示すように、第1の熱プロファイル256の場合の20アンペアから第2の熱プロファイル258の場合の40アンペアへとアンペア数を増大させることにより、第1の熱プロファイル256の比較的低い第1の加熱速度268が、第2の熱プロファイル258の比較的高い第2の加熱速度270へと上昇する。加えて、交流電流のアンペア数が第1の熱プロファイル256から第2の熱プロファイル258へと増大することにより、第1の熱プロファイル256の第1の平衡温度262が、第2の熱プロファイル258の第2の平衡温度264へと上昇する。
【0046】
図14には、平衡温度に対するアンペア数の変化の影響と、平衡温度に対する周波数の変化の影響との違いも示されている。例えば、第3の熱プロファイル260の高い第3の平衡温度266は、第2の熱プロファイル258の場合に低い周波数10kHzで大きなアンペア数40アンペアを印加したのに対し、周波数20,000Hz(20kHz)で小さなアンペア数30アンペアを印加した結果であり、これにより、少なくとも図14に示すニッケル鋼強磁性合金(図示しない)の組成については、平衡温度の変化に影響するものとして、(アンペア数より)周波数が優勢といえる。言うまでもなく、図14に示される熱プロファイル256、258、260は、サセプタに印加される交流電流(図示せず)の周波数又はアンペア数の調整に別の範囲を使用することを制限するものではない。これに関して、ここに開示されるシステム10の実施においては、交流電流の周波数及びアンペア数があらゆる範囲にわたっていてよい。
【0047】
図15は、サセプタ表面板(図示しない)上の異なる位置に取り付けられた複数の熱電対(図示しない)のほぼ同様の熱プロファイル280をグラフ化したものであり、強磁性合金の使用による異なる位置での温度の均一性と、本明細書に開示されるシステム10(図1)を使用した場合の温度サイクリングとを示している。有利には、サセプタ表面板の長さ及び幅にわたる温度の均一化は強磁性合金材料によって達成され、この場合、サセプタ表面板の平衡温度に到達した部分が非磁性となることにより、サセプタ表面板のこのような部分を流れる誘導電流が、この部分の温度を平衡温度で安定させるのに十分なレベルまで自動的に低減する。サセプタ表面板の平衡温度を下回る部分は磁性状態のままで、サセプタ表面板のそのような部分を、この部分も平衡温度に達するまで局所的に加熱し続ける。
【0048】
図15に示すように、熱プロファイル280の各々は、初期温度282からほぼ同じ加熱速度で上昇し、第1の期間288内にほぼ同じ第1の平衡温度284に到達する。図15は、さらに、第2の期間290の間は第1の平衡温度284がほぼ維持され、その後誘導コイル(図示しない)への交流電流(図示しない)の流れが停止することを示している。次いで、サセプタ表面板(図示しない)には能動的冷却(図示しない)が行われ、第3の期間292の間に、第1の平衡温度284は第2の平衡温度286まで低下する。例えば、冷却システム(図示しない)は、冷却ガス(図示しない)をサセプタ表面板(図示しない)に導き、ワークピース(図示しない)の残留熱及び/又はサセプタ表面板の残留熱を用いて制御下でサセプタ表面板の温度を第2の平衡温度286まで低下させる。このように、能動的冷却システム100を使用して、ワークピース及びサセプタ表面板の温度の低下速度を制御することができる。上述のように、ワークピース(例えば、熱可塑性プリフォーム)の加熱速度及び冷却速度を制御することができることで、最終品の機械特性及び/又は物理特性の最適化が容易に行える。
【0049】
図16は、強磁性合金66の成分である鉄、コバルト、及びニッケルの図290であり、このような成分は、サセプタ表面板(図示しない)に所望の加熱特性を達成するために、互いに又は他の合金に対しして様々に異なる割合のうちのいずれか一つに選択することができる。これに関して、サセプタ表面板に所望の平衡温度を付与するため、又は誘導コイル(図示しない)を流れる交流電流(図示しない)の一又は複数の電流パラメータを調節することによりサセプタ表面板に生じうる平衡温度の所望の範囲を達成するために、合金の様々な組み合わせを選択することができる。上述のように、このような電流パラメータには、誘導コイルを流れる交流電流の周波数及びアンペア数が含まれる。電流パラメータを調節することにより、サセプタ表面板の一又は複数の加熱パラメータを変化させることができる。例えば、電流パラメータは、サセプタ表面板の平衡温度又は加熱速度を上昇又は下降させるように調節される。さらに、平衡温度がシフトする範囲を広げるため又は狭めるため、或いは、交流電流の周波数又はアンペア数を所与の量だけ変化させることにより加熱速度が調節される範囲を広げるため又は狭めるために、合金の様々な組み合わせを選択することができる。
【0050】
図17は、ワークピース150(図4)の誘導加熱方法300のフロー図である。有利には、この方法は、交流電流86(図4)の一又は複数の電流パラメータを変更することによりワークピース150の一又は複数の加熱パラメータを調節することを含む。例えば、方法は、誘導コイル76(図4)に印加される交流電流の周波数及び/又はアンペア数を調節することにより、サセプタ表面板(図4)の平衡温度のシフト、及び/又はサセプタ表面板の加熱速度の変化を生じさせることを含む。
【0051】
図17の方法300のステップ302では、一又は複数の誘導コイル76(図4)に交流電流86(図4)が印加される。一又は複数のサセプタ表面板50、52(図4)は誘導コイル76に隣接して取り付けられる。サセプタ表面板50、52は、キュリー温度を有する強磁性合金66(図4)から形成される。キュリー温度は、サセプタ表面板50、52に接触するワークピース150(図4)に所望の温度に対応させることができる。一実施形態では、ワークピース150は、ワークピース150から形成される物品の最終形状に相補的なモールディング表面54、58を有する少なくとも二つのサセプタ表面板50、52の間に挟まれる。
【0052】
図17の方法300のステップ304は、誘導コイル76への交流電流86(図4)の印加によりサセプタ表面板50、52(図4)に沿った磁場90(図5)を生成することを含む。例えば、図4は、上側ダイ24及び下側ダイ26(図4)とが閉位置30にあるとき(図4)に上側コイル部分78と下側コイル部分82(図4)との電気接続によって形成される誘導コイル76(図4)に、交流電流86が印加されることを示している。
【0053】
図17の方法300のステップ306は、サセプタ表面板50、52(図4)をキュリー温度に近い平衡温度まで誘導加熱することを含む。サセプタ表面板50、52は、図5に示すように生成される磁場90(図5)により加熱される。サセプタ表面板50、52が磁場90に磁気的に連結されることにより、サセプタ表面板50、52は誘導加熱される。
【0054】
図17の方法300のステップ308は、サセプタ表面板50、52(図4)と熱的に接触するワークピース150(図4)を伝導加熱することを含む。ワークピース150とサセプタ表面板50、52との熱的接触は、サセプタ表面板50、52からワークピース150への伝導伝熱によりワークピース150の温度の上昇を引き起こす。サセプタ表面板50、52(図4)の温度は、キュリー温度未満の平衡温度で安定化する。これに関して、サセプタ表面板50、52の温度がキュリー温度に接近して強磁性合金66(図4)の磁気特性(例えば、透磁率)が低下し始めると、サセプタ表面板50、52の誘導加熱は弱まる。磁気特性の低下により、サセプタ表面板50、52の誘導加熱が弱まる。サセプタ表面板50、52の温度は、サセプタ表面板50、52内を流れる誘導電流94(図4)が、サセプタ表面板50、52の温度を平衡温度に維持するのに十分なレベルに自動的に弱まると安定化する。
【0055】
図17の方法300のステップ310は、交流電流86の少なくとも一つの電流パラメータを調節することを含む。例えば、電流パラメータは、交流電流86の周波数又はアンペア数を含む。交流電流86の周波数は、所定の範囲内で上昇又は降下させることができる。アンペア数も、所定の範囲内で上昇又は降下させることができる。
【0056】
図17の方法300のステップ312は、交流電流86(図4)の一又は複数の電流パラメータの調節により、サセプタ表面板の少なくとも一つの加熱特性を変化させることを含む。例えば、加熱パラメータには、交流電流86の周波数又はアンペア数を変更又は調節することによりシフトしうるサセプタ表面板の平衡温度が含まれる。加熱パラメータには、サセプタ表面板が加熱される加熱速度であり、且つ交流電流86のアンペア数の増大又は減少によってそれぞれ上昇又は低下しうる加熱速度が含まれてもよい。
【0057】
図17の方法300のステップ314は、サセプタ表面板50、52(図4)の加熱特性を調節することにより、ワークピース150(図4)の加熱を変更することを含む。例えば、ワークピース150の温度は、交流電流86(図4)の周波数及び/又はアンペア数を増大させることにより上昇させることができる。ワークピース150の加熱速度も、交流電流86(図4)の周波数及び/又はアンペア数を増大させることにより上昇させることができる。例えば、ワークピース150の加熱速度は、交流電流86の周波数及び/又はアンペア数を増大させることにより上昇させることができる。逆に、ワークピース150の加熱速度は、交流電流86の周波数及び/又はアンペア数を減少させることにより低下させることができる。
【0058】
ワークピース150(図4)の誘導加熱方法は、サセプタ表面板50、52(図4)を形成する強磁性合金66(図4)であって、ワークピース150(図4)が加熱される際の温度範囲に適合する強磁性合金を選択することも含みうる。これに関して、方法は、ワークピース150の所望の処理温度に対応するキュリー温度を有する強磁性合金66を選択することを含むことができる。強磁性合金66は、サセプタ表面板50、52の平衡温度がワークピース150に所望の温度の所定の範囲内に収まるようなキュリー温度を有するものが選択される。
【0059】
例えば、強磁性合金66には、サセプタ表面板50、52(図4)の平衡温度が、熱可塑性プリフォーム156(図4)に含まれる熱可塑性樹脂158(図4)の溶融温度又はガラス転移温度以上になるキュリー温度を呈するものを選択することができる。また、交流電流86(図4)を、交流電流86の周波数又はアンペア数を調節することによりサセプタ表面板50、52の平衡温度の微調整ができるように選択することで、熱可塑性プリフォーム156中の熱可塑性樹脂158に所望のレベルの粘度を達成するために必要なだけプリフォーム152の温度を上昇又は低下させて、圧密化の間にプリフォーム152の繊維質材料(図示しない)全体に樹脂158をほぼ均一に分布することが容易になる。
【0060】
当業者には、本発明の他の修正例及び改良例が明らかであろう。したがって、本明細書に記載及び例示した部分の具体的な組み合わせは、本発明の特定の実施形態を表しているに過ぎず、本発明の精神及び範囲に含まれる別の実施形態又はデバイスを制限するものではない。
【符号の説明】
【0061】
10 誘導加熱システム
12 プレス機
14 圧縮力
16 上側ツール
18 下側ツール
20 ポスト
24 上側ダイ
26 下側ダイ
28 開位置
30 閉位置
34 積層
38 スペーシング
44 貫通孔
46 ダイ表面
50 上側サセプタ表面板
52 下側サセプタ表面板
54、58 モールディング表面
56、60 裏側表面
66 強磁性合金
72 誘導加熱システム
74 電源
76 誘導コイル
78 上側コイル部分
80、84 エンドコネクタ
82 下側コイル部分
86 交流電流
88 電流コントローラ
90 磁場
92 (磁場の)力戦
94 誘導電流
100 能動的冷却システム
102 冷却剤導管
104 冷却剤ライン
106 冷却ガス
150 ワークピース
152 プリフォーム
154 物品
156 熱可塑性プリフォーム
158 熱可塑性樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(150)を誘導加熱するためのシステム(72)であって、
交流電流(86)を導通させて、交流電流(86)により磁場(90)を生成する誘導コイル(76)と、
ワークピース(150)が配置される少なくとも一つのサセプタ表面板(50)であって、キュリー温度を有し、磁場(90)によりキュリー温度に近い平衡温度まで誘導加熱可能な強磁性合金(66)から形成されているサセプタ表面板(50)と、
誘導コイル(76)に連結されて、サセプタ表面板(50)の少なくとも一つの加熱パラメータの変化を生じさせるように交流電流(86)を調節する電流コントローラ(88)と
を備えるシステム(72)。
【請求項2】
電流コントローラ(88)は、サセプタ表面板(50)の平衡温度の変化及びサセプタ表面板(50)の加熱速度の変化の一方又は両方を引き起こすように交流電流(86)の周波数を調節する、請求項1に記載のシステム(72)。
【請求項3】
電流コントローラ(88)は、サセプタ表面板(50)の平衡温度の変化及びサセプタ表面板(50)の加熱速度の変化の一方又は両方を引き起こすように交流電流(86)のアンペア数を調節する、請求項1に記載のシステム(72)。
【請求項4】
交流電流(86)は、
約1kHz〜300kHzの周波数範囲を有し、且つ
約10アンペア〜10,000アンペアのアンペア数を有している、
請求項1に記載のシステム(72)。
【請求項5】
誘導コイル(76)は上側コイル部分(78)及び下側コイル部分(82)を含み、且つ
上側コイル部分(78)及び下側コイル部分(82)が互いに電気的に連結されていることにより、ワークピース(150)が一対のサセプタ表面板(50、52)の間に締め付けられるときに誘導コイル(76)を形成する、
請求項1に記載のシステム(72)。
【請求項6】
サセプタ表面板(50)を冷却するための冷却システム(100)と、
ワークピース(150)に圧縮力(14)を印加するためのプレス機(12)と
をさらに備えている、請求項1に記載のシステム(72)。
【請求項7】
誘導加熱方法であって、
隣接して少なくとも一つのサセプタ表面板(50)が取り付けられる誘導コイル(76)に交流電流(86)を印加するステップであって、サセプタ表面板(50)が、キュリー温度を有する導電性の強磁性合金(66)から形成されているステップと、
磁場(90)を生成するステップと、
磁場(90)により、キュリー温度に近い平衡温度までサセプタ表面板(50)を誘導加熱するステップと、
交流電流(86)の少なくとも一つの電流パラメータを調節するステップと、
電流パラメータを調節することにより、サセプタ表面板(50)の平衡温度をシフトさせるステップと
を含む方法。
【請求項8】
サセプタ表面板(50)の平衡温度を華氏約5〜15度だけシフトさせるように、交流電流(86)の周波数を調節することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも一つの電流パラメータを調節するステップが、
交流電流(86)の周波数及びアンペア数の一方又は両方の調節と、
サセプタ表面板(50)の平衡温度をシフトさせること、及びサセプタ表面板(50)の加熱速度を変更することの一方又は両方と
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ワークピース(150)に圧縮力(14)を印加するステップと、
サセプタ表面板(50)を能動的に冷却するステップと
をさらに含む、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−115049(P2013−115049A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−258694(P2012−258694)
【出願日】平成24年11月27日(2012.11.27)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】