説明

誘導加熱アプリケーションのバランスのよい磁束ベクトルを使用したそのベアリングによるロールを出る電流を低減させるためのシステムと方法

システムは、導電材料から形成されるロール(119、212、504)を含み、ロールは軸(214)を中心に回転するように構成される。システムはまた、ロールの範囲内で多数の磁束(216a-216b)を生成するように構成される少なくとも一つの誘導加熱ワークコイル(202a-202b、402、412、422、432、502)を含む。各々の誘導加熱ワークコイルは、少なくとも2つの別に巻きつけられたコイル(204、406a-406b、416、426、436)を含む。空間的に合計されるとき、複数の磁束は、実質的にヌルの磁束ベクトルを有する。誘導加熱ワークコイルは、空間的に合計されるときに、実質的にヌルの磁束ベクトルを有する複数の磁束を個々に生成するように構成されるバランスのよい誘導加熱ワークコイルを表す。多数の誘導加熱ワークコイルはまた、空間的に合計されるとき、実質的にヌルの磁束ベクトルを有する複数の磁束を集合的に生成するように構成されるバランスを失った誘導加熱ワークコイルを表し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願についてのクロス・リファレンス>
[0001] この開示は、2008年4月15日に出願された(ドケット番号:H0019078-0108)「SYSTEM AND METHOD FOR REDUCING CURRENT EXITING A ROLL THROUGH ITS BEARINGS(そのベアリングによるロールを出る電流を減少させるためのシステムと方法)」とタイトルが付けられたシリアル番号12/103,195、および、2008年4月15日に出願された(ドケット番号:H0019526-0108)「SYSTEM, APPARATUS, AND METHOD FOR INDUCTION HEATING USING FLUX-BALANCED INDUCTION HEATING WORKCOIL(磁束バランス調整された(FLUX-BALANCED)
誘導加熱ワークコイル(WORKCOIL)を使用した誘導加熱のためのシステム、装置および方法)」とタイトルが付けられたシリアル番号12/103,239によってリファレンスとしてここに組み入れられる米国特許出願と関連する。
【0002】
[0002] この開示は、一般にロールを使用している紙生産システムおよびその他システムに関する。より具体的には、この開示は、誘導加熱アプリケーションのバランスのよい磁束ベクトルを使用してそのベアリングによるロールを出る電流を低減させるためのシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 紙生産システムおよび他の種類の連続ウェブシステムは、しばしば多くの大きい回動ロールを含む。例えば、逆回転するロールのセットが、形成されている紙シートを圧縮するために紙生産システムにおいて、使うことができる。逆回転するロールにより提供される圧縮の量は、誘導加熱装置の使用によって、しばしば制御される。誘導加熱装置はロールに電流を引き起こし、それはロールの表面を暖める。熱またはそれの欠如によって、ロールに拡張および縮小が生じ、それは形成される紙シートに適用される圧縮の量を制御する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004] この開示は、誘導加熱アプリケーションにおいてバランスがとれた磁束ベクトルを使用してそのベアリングを介してロールを出る電流を低減させる方法およびシステムを提供する。
【0005】
[0005] 第一の実施形態では、システムは、導電材料から形成されるロールを含み、ロールは軸を中心に回転するように構成される。システムはまた、ロールの範囲内で多数の磁束を生成するように構成される少なくとも一つの誘導加熱ワークコイルを含む。各々の誘導加熱ワークコイルは、少なくとも2つの別に巻きつけられたコイルを含む。空間的に合計されるときに、複数の磁束は、実質的にヌルの瞬間的な磁束ベクトルを有する。
【0006】
[0006] 特定の実施形態では、各々の誘導加熱ワークコイルは、少なくとも一つのコアを更に含み、少なくとも2つのコイルは、少なくとも一つのコアの周りに巻きつけられる。多数のコイルは、直列、並列、または、直列及び並列に配置され得る。
【0007】
[0007] 他の特定の実施形態では、ロールは、逆回転するロールのセットのうちの1つを表す。逆回転するロールは、ウェブ材料を圧縮するように構成される。また、少なくとも一つの誘導加熱アクチュエータは、少なくとも2つのコイルに結合される少なくとも一つの電力源と少なくとも一つの誘導加熱ワークコイルとを含む。加えて、システムは、逆回転するロールの少なくとも一部分によって提供される圧縮の量を制御するために、少なくとも一つの電力源を制御するように構成されるコントローラを更に含む。
【0008】
[0008] 更に別の特定の実施形態では、少なくとも一つの誘導加熱ワークコイルは、バランスのよい誘導加熱ワークコイルである。バランスのとれた誘導加熱ワークコイルは、空間的に合計されるときに、実質的にヌルの瞬間的な磁束ベクトルを有する複数の磁束を個別に生成するように構成される。
【0009】
[0009] さらに他の特定の実施形態では、多数の誘導加熱ワークコイルは、バランスを失った誘導加熱ワークコイルである。バランスを失った誘導加熱ワークコイルは、空間的に合計されるとき、実質的にヌルの瞬間的な磁束ベクトルを有する複数の磁束を集合的に生成するように構成される。
【0010】
[0010] 更に特定の実施形態では、ロールはシャフトおよびベアリングを更に含む。また、少なくとも一つの誘導加熱ワークコイルは、ロールの軸と実質的に平行の方向に流れる最小の電流を生成するように構成される。
【0011】
[0011] 第2の実施態様では、システムは、導電材料から形成されるロールを含み、ロールは軸を中心に回転するように構成される。システムはまた、ロールの範囲内で多数の磁束を生成するように構成される少なくとも一つの誘導加熱ワークコイルを含む。各々の誘導加熱ワークコイルは、少なくとも2つの別に巻きつけられたコイルを含む。多数の磁束は、ロールの実質的にヌルの瞬間的な電流ベクトルを生成するために実質的に各々をキャンセルする。
【0012】
[0012] 第3の実施形態では、方法は、ロールの付近に少なくとも一つの誘導加熱ワークコイルを配置することを含む。誘導加熱ワークコイルは、少なくとも一つのコアおよび少なくとも2つのコイルを含み、ロールは軸を中心に回転するように構成される。方法はまた、ロールの範囲内で多数の磁束を生成することを含む。多数の磁束は、ロールの軸と実質的に平行の方向に流れない電流を引き起こす。
【0013】
[0013] 他の技術的特徴は、以下の図、説明および特許請求の範囲から当業者にとって容易に明らかであろう。
[0014] この開示のより完全な理解のために、添付の図面と一緒に以下の記述を参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】[0015] 図1は、この開示による実施形態の紙生産システムを例示する。
【図2】[0016] 図2は、この開示によるロールに関する誘導加熱ワークコイル(workcoils)の実施形態の方位を例示する。
【図3A】[0017] 図3Aは、この開示による実施形態の誘導加熱ワークコイルを例示する。
【図3B】図3Bは、この開示による実施形態の誘導加熱ワークコイルを例示する。
【図4A】図4Aは、この開示による実施形態の誘導加熱ワークコイルを例示する。
【図4B】図4Bは、この開示による実施形態の誘導加熱ワークコイルを例示する。
【図4C】図4Cは、この開示による実施形態の誘導加熱ワークコイルを例示する。
【図4D】図4Dは、この開示による実施形態の誘導加熱ワークコイルを例示する。
【図5】[0018] 図5は、この開示によるロールに関する誘導加熱ワークコイルの実施形態の構成を例示する、
【図6】[0019] 図6は、この開示による磁束ベクトルを釣り合わせることによって、そのベアリングを介してロールを出る電流を低減させるための実施形態の方法を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0020] 以下に議論する図1乃至6ならびにこの特許書類における本発明の原理を用いた種々の実施形態は、例示のものであり、本発明の範囲を制限するように解釈されるべきではない。当業者は、本発明の原理が最適に配列された装置またはシステムのいかなるタイプにもおいて実装されることができると理解する。
【0016】
[0021] 図1は、この開示による実施形態の紙生産システム100を例示する。図1に示される紙生産システム100の実施形態は、説明だけのためにある。紙生産システム100の他の実施形態を、この開示の範囲内において、使うことができる。
【0017】
[0022] 図1に示すように、紙生産システム100は、抄紙機102、コントローラ104およびネットワーク106を含む。抄紙機102は、紙製品を生産するために用いるさまざまな構成要素を含む。この例では、さまざまな構成要素は、連続用紙ウェブ、または、リール110で集められたシート108を生産するために用いることができる。コントローラ104は、システム100の動作をモニタして、制御し、それは抄紙機102により生産される紙シート108の品質を維持するかまたは増大させるのを助けることができる。
【0018】
[0023] この例では、抄紙機102は、連続可動ワイヤスクリーンまたはメッシュ113上に機械全体に一様にパルプ・サスペンションを配布するヘッドボックス(headbox)112を含む。ヘッドボックス112に入っているパルプ・サスペンションは、例えば、0.2-3%の木繊維、充填材、および/または、水であるサスペンションの剰余を有する他の材料を含むことができる。ヘッドボック112は希釈アクチュエータのアレイを含むことがで、それはシート全体のパルプ・サスペンションに、希釈水または異なる組成物のサスペンションを配布する。希釈水は、結果として生じる紙シート108が、より同一のベース重量またはシート108全体のより同一の組成物を有することを確実にするのを助けるために用いることができる。ヘッドボックス112はまた、スライスリップアクチュエータのアレイを含むことができ、それは可動ワイヤスクリーンまたはメッシュ113上にヘッドボックス112を出すパルプ・サスペンションから機械全体のスライス開口部を制御する。スライスリップアクチュエータのアレイはまた、紙のベース重量またはシート108全体の紙の繊維方位角度の分布を制御するために用いることができる。
【0019】
[0024] 真空ボックスのようなドレナージエレメント114の列は、できるだけ多くの水を除去する。蒸気アクチュエータ116のアレイは紙シート108を透過して、紙シート108に蒸気の潜熱を放つホットスチームを生成し、それにより、シート全体の断面の紙シート108の温度を増やす。温度の増加は、紙シート108から追加的な水のより簡単な除去を可能にすることができる。rewetシャワー・アクチュエータ118のアレイは、紙シート108の一方または両方の表面上へ、水の小さい液滴を加える(空気噴霧であってもよい)。rewetシャワー・アクチュエータ118のアレイが、紙シート108の水分プロファイルを制御するために使うことができ、紙シート108の過乾燥を低減させまたは防止し、紙シート108のいかなる乾燥縞も修正し、または、(カレンダ操作のような)次の表層の処理の効果を強化する。
【0020】
[0025] 紙シート108は、次いで、しばしば、逆回転するロール119のいくつかのニップを有するカレンダに通される。誘導加熱ワークコイル120のアレイは、これらのロール119のさまざまなものの表層を暖める。各々のロール面が局所的に加熱するにつれて、ロール直径は局所的に拡大され、それゆえに、ニップ圧力が増大し、それは順番に局所的に紙シート108を圧縮して、熱エネルギーをそれへ移す。誘導加熱ワークコイル120のアレイは、したがって、紙シート108のキャリパー(厚み)プロファイルを制御するために用いることができる。カレンダのニップはまた、空気シャワーまたは蒸気シャワーのアレイのような他のアクチュエータアレイを備えていることができ、それは、紙シートの平滑性プロファイルまたは光沢プロファイルを制御するために用いることができる。
【0021】
[0026] 2つの追加的なアクチュエータ122-124を、図1に示す。厚いストックフローアクチュエータ122は、ヘッドボックス112で受け取られる流入ストックの濃度を制御する。蒸気フローアクチュエータ124は、乾燥シリンダ123から紙シート108に移転される熱量を制御する。アクチュエータ122-124は、例えば、それぞれ、ストックおよび蒸気の流れを制御するバルブに相当することができる。これらのアクチュエータが、紙シート108の水分および乾燥した重量を制御するために使うことができる。紙シート108を処理するのに、(紙シートの厚み、平滑性および光沢を改善するための)スーパーカレンダー装置または、(平滑性および紙シートの印刷可能性を改良するために紙の表面にcoatantの層を各々適用する)一つ以上のコーティング・ステーションのような追加的な構成要素を更に用いることができる。同様に、追加的なフローアクチュエータは、異なる種類のパルプおよび厚いストックの充填材材の比率を制御し、ストックに混入されるさまざまな添加物(例えば保持エイドまたは染料)の量を制御するために用いることができる。
【0022】
[0027] これは、紙製品を生産するのに用いられるあるタイプの抄紙機102の簡単な記載を示す。この種の抄紙機102に関する追加的な詳細は、従来技術において、周知で、この開示の理解のために必要とされない。また、これは、システム100で使うことができるある特定のタイプの抄紙機102を表す。紙製品を生産するためのいかなる他のまたは追加的な構成要素も含む他の機械または装置を使うことができうる。加えて、この開示は、紙シートを生産するシステムでの利用に限られておらず、紙シートを加工するシステム、若しくは、他の製品又は(プラスチック・シートまたはアルミホイルのような薄い金属フィルムのような)連続ウェブの材料を生産するかまたは処理するシステムで使用されうる。
【0023】
[0028] 製紙プロセスを制御するために、紙シート108の一つ以上の特性は、連続的にまたは繰り返し測定されることができる。シート特性は、製造プロセスの一つまたはさまざまな段階で測定されることができる。この情報は、次いで、抄紙機102の範囲内のさまざまなアクチュエータを調整することのように、抄紙機102を調整するために用いることができる。これは所望の目標からシート特性のいかなるバリエーションも補償するのを助けることができ、シート108の品質を確実にするのを助けることができる。
【0024】
[0029] 図1に示すように、抄紙機102は、一つ以上のセンサを含むことができるスキャナ126を含む。スキャナ126は、紙シート108を走査することができ、紙シート108の一つ以上の特徴を測定することができる。例えば、スキャナ126は、重量、水分、キャリパー(厚み)、光沢、色、平滑性または紙シート108のいかなる又は追加的な特徴をも測定するためのセンサも含むことができる。スキャナ126は、(センサのセットまたはアレイのような)紙シート108の一つ以上の特徴を測定または検出するためのいかなる適切な構造も含む。
【0025】
[0030] コントローラ104は、スキャナ126から測定データを受け取り、システム100を制御するためにデータを使用する。例えば、紙シート108が所望の特性で、又はその近くで、特性を有するように、コントローラ104は、抄紙機102のさまざまなアクチュエータを調整するために測定データを用いることができる。コントローラ104は、少なくともシステム100の一部の動作を制御するために、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらの組み合わせを含む。また、1台のコントローラがここで示されると共に、多数のコントローラは抄紙機102を制御するために用いることができる。
【0026】
[0031] ネットワーク106は、コントローラ104および(アクチュエータおよびスキャナのような)システム100のさまざまな構成要素に連結する。ネットワーク106は、システム100の構成要素間の通信を容易にする。ネットワーク106は、適切なネットワーク、または、システム100のコンポーネント間の通信を容易にしているネットワークの組合せを表す。ネットワーク106は、例えば、イーサネット・ネットワーク、電気信号ネットワーク(例えばHARTまたはFOUNDATION FIELDBUSネットワーク)、空気制御信号ネットワーク若しくは他の又は追加的なネットワークであってもよい。
【0027】
[0032] 動作の一態様において、誘導加熱ワークコイル120は、1またはそれ以上のロール119の表面に電流を起こすことによって、作動できる。ある在来のシステムでは、ロールに引き起こされる電流は、そのベアリングを通ってロールを出ることができる。これらのいわゆる「ベアリング電流」(また、「シャフト電流」ともいう)は、ロールを支えているベアリングに、早期の摩擦および損傷を導く。例えば、ベアリングは時々小距離によって、分かれることがあり、ベアリングの中を流れている電流はベアリングに穴をあけるかさもなければ損傷を与えるスパークを引き起こす。このため、ベアリングは、より短期間または所望より頻繁に交換されることを必要とする。これは、システム100のダウンタイムおよび金銭的損失に至る。絶縁されたベアリングが利用でき、使うことができるが、絶縁されたベアリングはしばしば従来のベアリングと比較して全く高価である。この開示によれば、それらのベアリングを介してロール119から流出する電流の量を低減させるか又は最小の量にするように、誘導加熱ワークコイル120は設計されるかまたは構成される。これは、ロール119の範囲内で誘導加熱ワークコイル120によってつくられる磁束をバランスさせることによってなされる。これはベアリングに対する損傷または摩擦の低減に至り、使用の増大および交換の減少という結果になる。追加的な詳細を、以下に説明する。
【0028】
[0033] 図1は紙生産システム100の1つの実施形態を例示するけれども、さまざまな変化を図1にすることができる。例えば、他のシステムは、紙シートまたは他の製品を生産するために用いることができる。また、さまざまな構成要素および単一のコントローラ104を有する単一の抄紙機102を含むとして示されると共に、プロダクション・システム100は適切な構造も有するいかなる数の抄紙機または他の生産機械を含むことができ、システム100はいかなる数のコントローラを含むことができる。加えて、図1は、誘導加熱ワークコイル120または他のワークコイルが設計されることができるかまたはバランスのよい磁束ベクトルを使用した一つ以上のロールのベアリングの中を流れる電流を減らすように構成されることができるある作動環境を例示する。この機能性は、他のいかなる適切なシステムでも用いられうる。
【0029】
[0034] 図2は、この開示によるロールに関する誘導加熱ワークコイルの例示の方位200を図示する。図2に示すように、2つの誘導加熱ワークコイル202aおよび202bは、互いに隣接して配置される。各々の誘導加熱ワークコイル202a-202bは、少なくとも2つの別々に巻かれたコイル204および少なくとも一つのコア206を含む。各々のコイル204は、一般に、コイルに巻かれた、または、コア206の少なくとも一部の周辺に巻きつけられた適切な伝導材料をあらわす。各々のコイル204は、例えば、リッツワイヤまたはコア206の周りに巻きつけられた他の伝導性のワイヤを表す。各々のコア206は、一般に、少なくとも一つのコイル204を介して流れる電流によってつくられる磁場を導くことができるかまたは集中させることができる構造を表す。各々のコア206は、例えば、フェライトを表す。ターミナルワイヤ208は、電力源210に各々のコイル204を結合する。一つ以上のワークコイルと一つ以上の電力源との組合せは、誘導加熱アクチュエータを形成する。各々の電力源210は、一般に、一つ以上のコイル204を介して流れる電気エネルギー源を表す。各々の電力源210は、例えば、特定の周波数(例えば16kHzまたは他の周波数)で作動する交流(AC)源を表す。AC信号は、コイル204の中を流れ、磁束を生成する。
【0030】
[0035] この例では、誘導加熱ワークコイル202a-202bは、ロール212に近接して配置され、それは軸214を中心に回転する。磁束216a-216bが、誘導加熱ワークコイル202a-202bによってロール212に生成され、ロール212の表面に電流を生成し、ロール212の表面を暖める。電流は一般的には、磁束216a-216bに対して直角(垂直)方向に流れる。電流の製造は、ロールの表面の熱の量を制御するように調整され、それはまた、紙シートまたは他の製品にロール212により適用される圧縮の量を制御する。
【0031】
[0036] ある実施形態では、誘導加熱ワークコイル202a-202bは、均衡を失ったワークコイルを表し、各々の個々のワークコイルが相当の非ヌルの合計空間ベクトルを有する磁束を生成することを意味する。これらの実施形態では、多数の均衡を失ったワークコイルは、それらの磁束が、互いに効果的にキャンセルし、実質的にゼロ・サムを生成するように向けられる。他の実施形態では、誘導加熱ワークコイル202a-202bは、バランスのよいワークコイルを表し、各々の個々のワークコイルが、実質的にゼロ・サム空間ベクトルを生成するように互いに効果的に相殺する磁束生成することを意味する。これらの実施形態いずれでも、誘導加熱ワークコイル202a-202bは、個々にまたは集合的に、実質的にヌルの瞬間的な電流ベクトルを生成し、軸214に対して並行に流れる電流はなく、その端のそのベアリングを介してロール212から電流は出ない。もちろん、バランスがとれた誘導加熱ワークコイル誘導加熱ワークコイルとバランスを失った誘導加熱ワークコイルとの組合せもまた、用いることができる。一般的には、空間的な合計が、実質的にヌルの瞬間的な磁束ベクトルを生じるとき、磁束ベクトルがロール212に生成される限り、誘導加熱ワークコイルのいかなる組合せも用いることができる。
【0032】
[0037] 図2に示される実施形態では、誘導加熱ワークコイル202a-202bは、均衡を失ったワークコイルである。これは、図3Aおよび3Bにより明らかに示される。図3Aに示すように、誘導加熱ワークコイル202a-202bは、脚に対向し、脚を接続する中心部を備えたC型またはU型であるオープンコア206を含む。また、コイル204はコア206の脚部の回りに巻きつけられる。一または多数のコイル204がコア206周辺で巻きつけられ得る点に注意すべきである。多数のコイル204が使われる場合、コイル204は、直列、並列、または、直列-並列構成で配置されることができる。
【0033】
[0038] 図3Bに示すように、磁束216a-216bが空間的に合計されたときに、実質的にヌルのフラックスベクトルとなるように、コア206は幾何学的に配置される。たとえば、誘導加熱ワークコイル202a-202bのコイル204が(電力源210からの信号によって)励起されるとき、各々のワークコイルの1本の脚部は、北磁極になり、各々のワークコイルの他の脚部は南磁極になる。磁束216a-216bは、北磁極から南磁極までの方向に生成される。ワークコイルの磁極が、互いに対向するように、ワークコイル202a-202bを配置し、励起することによって、磁束216a-216bはまた、互いに対向し、磁束216a-216bを空間的にキャンセルするのを助ける。
【0034】
[0039] 誘導加熱ワークコイル202a-202bがコアの脚部の回りにコイルを備えた全体的にU型またはC型のコアを有するとしてここで示されると共に、さまざまな他の種類の誘導加熱ワークコイルが使われることができた。追加的な誘導加熱ワークコイルの実施形態は、図4A乃至4Dに示される。図4Aでは、誘導加熱ワークコイル402は、一つ以上の接続されたE型コア404を含み、2つ以上のコイル406a-406bは、コア424の各々の2つの外側脚部周辺で長く別に巻きつけられる。図4Bでは、誘導加熱ワークコイル412は、Y型コア414を含み、一つ以上のコイル416は、別にY-構成に配置される各々の3つの外側脚部に巻きつけられる。図4Cでは、誘導加熱ワークコイル422は、多数のコア424a-424bを並列またはH-構成に含み、一つ以上のコイル426は、コア424a-424bの脚部に別に巻きつけられる。図4Dでは、誘導加熱ワークコイル432は、3本の脚を有するE型のコア434を含み、一つ以上のコイル436がコア434の各々の脚部に巻きつけられる。
【0035】
[0040] これらのワークコイルのいずれかが、ロール212と一緒に用いられ、配置され、ロール212の実質的にヌルな空間電流ベクトルを生産するために方位付けされうる。このため、電流の低減されたまたは最小の量は、ロール212の軸214と平行して流れることができる。これは、ロール212のベアリングを介したベアリング電流を減らすかまたは最小化するのを助けることができる。
[0041] 図2はロールに関する誘導加熱ワークコイルの方位200の一例を示すけれども、さまざまな変化を図2になすことができる。例えば、任意の適当な数の誘導加熱ワークコイルが、ロール212と一緒に用いることができうる。図3A乃至4Dは誘導加熱ワークコイルの実施形態を例示するけれども、さまざまな変化を図3A乃至4Dになすことができる。たとえば、他のいかなる適切な形状を有するコアおよびコア上の他のいかなる適切な位置のコイルも用いることができうる。一般に、実質的にヌルなフラックスベクトルを生成できるいかなる誘導加熱ワークコイルも、ここで使われることができる。
【0036】
[0042] 図5は、この開示によるロールに関して誘導加熱ワークコイルの例示の構成500を示す。図5に示すように、構成500は、ロール504の表面全体のエンド-to-エンドの仕方で互いに隣接して配置される多数の誘導加熱ワークコイル502を含む。誘導加熱ワークコイル502は、誘導加熱ワークコイル50ミリメートルごとのような、適切な間隔を有することができうる。構成500もまた、誘導加熱ワークコイル502の多数の列を含む。異なる列の誘導加熱ワークコイル502は、オフセットできるかまたはオフセットされることができず、列は適切な間隔を有しうる。
【0037】
[0043] 誘導加熱ワークコイル502は、異なる領域の電流またはロール504の伝導シェル506のゾーンを生成するように作動する。伝導のシェル506は、一般に、紙シートまたは形成されている他の製品と接触するロール504の部分を表す。伝導シェル506またはロール504は、いかなる適切な材料(例えば金属的強磁性材料)からも形成されることができる。電流はまた、異なる領域または回転504(例えばロール504が固い時)の領域において生成されうる。ゾーンによる流れる電流の量は、(電力源210の制御を介して)誘導加熱ワークコイル502のコイル内に流入しているエネルギー量を調整することにより制御されうる。この制御は、例えば、図1の紙生産システム100のコントローラ104により提供されうる。
【0038】
[0044] シャフト508を介して、並びに、ロール504のベアリング・ハウス510のベアリングを介して流れる電流を減らすかまたは最小化するために、誘導加熱ワークコイル502は、(i)実質低にヌルのフラックスベクトルを生成するバランスのとれたワークコイル、および/または、(ii)実質的にヌルのフラックスベクトルを集合的に生成する不均衡なワークコイルを呈する。その結果、低減されまたは最小化された電流の量が、ロール504のベアリングの中を流れる。
【0039】
[0045] 図5はロールに関する誘導加熱ワークコイルの構成500の1つの実施形態を例示するけれども、さまざまな変化を図5になすことができる。例えば、構成500は、均一または不均一の空間で、誘導加熱ワークコイル502のいかなる数の列を含み得る。また、各々の列は、均一または不均一の空間で、いかなる数の誘導加熱ワークコイル502を含み得る。
【0040】
[0046] 図6は、この開示による磁束ベクトルを釣り合わせることによって、そのベアリングによるロールを出た電流を低減させるための例示の方法600を示す。図6に示すように、一つ以上の誘導加熱ワークコイルは、ステップ602でロールに近接して配置される。例えば、これは紙カレンダのロール119の近くに1つまたは多数の誘導加熱ワークコイル120を配置することを含むことができる。任意の適当な数の誘導加熱ワークコイルは、ロールの近くに配置され、誘導加熱ワークコイルは、いかなる適切な装置または構成をも有することができ得る。特定の実施形態では、バランスのとれた誘導加熱ワークコイルはロール119の近くに個々に配置され、その一方で、均衡を失った誘導加熱ワークコイルは、ロール119の近くのグループに配置される。
【0041】
[0047] 誘導加熱ワークコイルは、ステップ604で正しい位置に置かれる。誘導加熱ワークコイルにより生成される磁束が実質的にヌルの空間合計を有するように、例えば、これは誘導加熱ワークコイルを正しい位置に置くことを含む。それらの磁束がすでに実質的にヌルの空間合計を有するので、バランスのよい誘導加熱ワークコイルはいかなる適切な方法でも正しい位置に置かれることができる。均衡を失った誘導加熱ワークコイルは、実質的にヌルの空間合計を有する磁束を生成するためにより正確な方位を必要とする。
【0042】
[0048] 一旦装置されて、正しい位置に置かれると、ロールは、ステップ606で紙シートまたは他の連続ウェブ製品の生産中に回転でき、電流がステップ608でロールによって生じる。電流は、誘導加熱ワークコイルのコイル204に、AC信号を出力することによって生成される。さらに、誘導加熱ワークコイルが実質的にヌルの空間合計を有する磁束を生成するので、電流の低減または最小化された量はロールのベアリングの中を流れる。
【0043】
[0049] 図6は、磁束ベクトルを釣り合わせることによって、そのベアリングを介してロールを出る電流を低減させるための1つの例示の方法600を示すけれども、さまざまな変化を図6になすことができる。例えば、一連のステップとして示されると共に、図6に示されるさまざまなステップはオーバーラップさせることができ、平行に生じさせることができ、異なる命令で生じさせることができ、または、複数回生じさせることができる。
【0044】
[0050] この特許文献の全体にわたって使用する特定の語句の定義を記載することは有益であろう。用語「結合」およびそれから派生するものは、2つまたはそれ以上のエレメントの間を直接または間接的に接続することを意味し、それらのエレメントが互いに物理的に接しているかいないかにかかわらない。用語「含む」および「からなる」並びにそれらから派生するものは、限定することなく包含するという意味である。用語「または」は、および/または、を意味する。フレーズ「関連した」および「それに関して」並びにそれらから派生したものは、相互接続、包含、接続、結合、通信、協同、インターリーブ、並列する、近縁、縛り、有する、特徴を備えた等という意味である。用語「コントローラ」は、デバイス、システムまたは、少なくとも一つの動作を制御するそれらの一部を意味する。コントローラは、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアまたは、少なくとも2つの同じものの組合せで実装されうる。特定のコントローラと関連する機能性を、ローカル又はリモートのいずれであっても、集中できまたは分配され得る。
【0045】
[0051] この開示は、特定の実施形態および全体的に関連した方法を記載しているけれども、これらの実施形態および方法の変更および他の実施形態は、当業者には明らかであろう。したがって、例示の実施形態の上記の説明は、この開示を拘束しない。以下の特許請求の範囲で規定される本願発明の精神および範囲を逸脱することなく、他の変更、置換、および、他の実施形態もまた可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝導材料からなるロール(119,212,504)であって、軸(214)を中心に回転するように構成されることを特徴とするロールと、
ロール内に複数の磁束(216a−216b)を生成するように構成された少なくとも1つの誘導加熱ワークコイル(202a−202b、402、412、422、432、502)と、
を有するシステムであって、
各誘導加熱ワークコイルは、少なくとも2つの別々の巻きコイル(204,406a−406b、416、426、436)からなり、空間合計されたとき、複数の磁束が、実質的にヌルの瞬時の磁束ベクトルを有することを特徴とするシステム。
【請求項2】
少なくとも1つの誘導加熱ワークコイルが、バランスがとれた誘導加熱ワークコイルであり、空間的な合計が実質的なヌルの瞬時の磁束ベクトルを有するとき、前記バランスがとれた誘導加熱ワークコイルは複数の磁束を個々に生成するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
複数の誘導加熱ワークコイルが、バランスがとれていない誘導過熱ワークコイルであり、空間的な合計が実質的なヌルの瞬時の磁束ベクトルを有するとき、前記バランスがとれていない誘導加熱ワークコイルは、複数の磁束を集合的に生成するように構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
伝導材料からなるロール(119,212,504)であって、軸(214)を中心に回転するように構成されることを特徴とするロールと、
ロール内に複数の磁束(216a−216b)を生成するように構成された少なくとも1つの誘導加熱ワークコイル(202a−202b、402、412、422、432、502)と、
を有するシステムであって、
各誘導加熱ワークコイルは、少なくとも2つの別々の巻きコイル(204,406a−406b、416、426、436)からなり、複数の磁束が、ロールの軸に対して実質的に並列な実質的にヌルの瞬時の電流ベクトルを生成するように互いに実質的にキャンセルすることを特徴とするシステム。
【請求項5】
ロール(119,212,504)と近接して少なくとも1つの誘導加熱ワークコイルを配置するステップ(602)であって、前記誘導加熱ワークコイルが、少なくとも1つのコア(206,404,414,424a−424b,434)および少なくとも2つのコイル(204,406a−406b,416,426,436)を有し、前記ロールが軸(214)を中心に回転するように構成されることを特徴とする配置するステップ(602)と、
前記ロール内で複数の磁束(216a−216b)を生成するステップ(608)であって、前記複数の磁束が、前記ロールの軸と実質的に平行な方向には流れない電流を生成することを特徴とする、生成するステップ(608)と、
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−520067(P2011−520067A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505070(P2011−505070)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2009/038855
【国際公開番号】WO2009/129045
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】