説明

誘導加熱装置

【課題】導電性板材を幅方向全体に亘って均一に加熱できる誘導加熱装置を提供する。
【解決手段】導電性板材Bの上下に中心部に磁路を設けた平板状コイル3、4を設置して導電性板材Bを加熱し、平板状コイル3、4の外周磁路が通る磁性金属容器5、6の左右端面に外周コイル9、10を設けて、その外周コイル9、10による磁路が導電性板材Bの両端部を通るように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば金属ベルトや金属シート等を誘導加熱する誘導加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属ベルトや金属シート等をソレノイドコイル方式又はトランスバースコイル方式の誘導加熱装置によって誘導加熱するものがある。
【0003】
しかしながら、この誘導加熱装置を用いて、金属シートを50Hz〜1000Hzの中周波電源で誘導加熱する場合、比較的磁気抵抗が小さい磁気回路を構成する必要がある。磁気抵抗が大きいほど力率は低くなり、加熱効率が悪くなるからである。
【0004】
また、従来の誘導加熱装置で金属シートを誘導加熱するものでは、金属シートの搬送方向に直交する方向(幅方向)の両端部は温度上昇が押さえられて低温となってしまうという問題がある。特に被加熱物を油圧で加圧しながら送り出す油圧加圧方式の誘導加熱装置では、油圧のシール構造部分よりも外側にコイルにより発生する磁束を循環させることが難しく、そのシール構造部分よりも外側に位置する金属シートの温度が低くなる不具合があるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−147596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、金属シート等の導電性板材を全体に亘って均一に加熱できる誘導加熱装置を提供することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る誘導加熱装置は、導電性板材を周波数50Hz〜1000Hzの中周波で誘導加熱するものであって、前記導電性板材が搬送される搬送通路と、前記搬送通路の上側に配置されて、中心部に前記搬送通路に直交する磁路が設けられた第1の平板状コイルと、前記搬送通路の下側に配置されて、中心部に前記搬送通路に直交する磁路が設けられた第2の平板状コイルと、前記第1の平板状コイルの周囲に配置され、前記第1の平板状コイルにより発生した磁束を前記搬送通路の左右外側に導く外周磁路を形成する第1の外周磁路部材と、前記第2の平板状コイルの周囲に配置され、前記第2の平板状コイルにより発生した磁束を前記搬送通路の左右外側に導く外周磁路を形成するとともに、前記第1の外周磁路部材と接続される第2の外周磁路部材とを備え、前記第1の外周磁路部材及び前記第2の外周磁路部材によって、前記第1及び第2の平板状コイルにより発生した磁束が前記搬送通路に搬送される導電性板材の左右両端部を通るように構成したことを特徴とする。なお、導電性板材の左右両端部とは、導電性板材の幅方向の両端部である。
【0008】
このようなものであれば、第1及び第2の平板状コイルで発生した磁束は、コイルの中心磁路から外周磁路を通って循環することになり、第1及び第2の平板状コイルの間にある導電性板材に誘導電流が誘起されて導電性板材が加熱される。特に、第1及び第2の外周磁路部材が、搬送通路の左右外側に外周磁路を延長するとともに、第1及び第2の外周磁路部材が互いに接続されているので、導電性板材の左右端部を中央部と同様に加熱させることができるだけでなく、外周磁路の磁気抵抗を小さくすることができる。また、第1及び第2の外周磁路部材の寸法を調整することによって、搬送通路の左右方向寸法を適宜設定することができる。
【0009】
また本発明に係る誘導加熱装置は、導電性板材を周波数50Hz〜1000Hzの中周波で誘導加熱するものであって、前記導電性板材の上側に配置されて、中心部に前記導電性板材に直交する磁路が設けられた第1の平板状コイルと、前記導電性板材の下側に配置されて、中心部に前記導電性板材に直交する磁路が設けられた第2の平板状コイルと、前記第1の平板状コイルの周囲に配置されて、当該第1の平板状コイルにより発生した磁束が通る外周磁路を形成する第1の外周磁路部材と、前記第2の平板状コイルの周囲に配置されて、当該第2の平板状コイルにより発生した磁束が通る外周磁路を形成する第2の外周磁路部材と、前記第1の外周磁路部材又は前記第1の外周磁路部材の周囲に配置される磁性金属容器の周囲に、前記第1の平板状コイルと同心状に巻回された第1の外周コイルと、前記第2の外周磁路部材又は前記第2の外周磁路部材の周囲に配置される磁性金属容器の周囲に、前記第2の平板状コイルと同心状に巻回された第2の外周コイルとを備え、前記第1及び第2の外周コイルにより発生した磁束が前記導電性板材の左右両端部を通るように構成したことを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、第1及び第2の平板状コイルによって導電性板材の中央部を加熱することができる。また、第1及び第2の外周磁路部材又は磁性金属容器の周囲に第1及び第2の外周コイルを設けているので、この第1及び第2の外周コイルにより発生する磁束によって導電性板材の左右両端部を加熱することができる。さらに、第1及び第2の平板状コイルの通電量と第1及び第2の外周コイルの通電量とを調節することによって、導電性板材の幅方向の温度分布を制御することが可能となる。
【0011】
さらに本発明に係る誘導加熱装置は、導電性板材を周波数50Hz〜1000Hzの中周波で誘導加熱するものであって、前記導電性板材の上側に配置されて、中心部に前記導電性板材に直交する磁路が設けられた第1の平板状コイルと、前記導電性板材の下側に配置されて、中心部に前記導電性板材に直交する磁路が設けられた第2の平板状コイルと、前記第1の平板状コイルの周囲に設けられて、前記第1の平板状コイルにより発生した磁束が通る外周磁路を形成する第1の外周磁路部材と、前記第2の平板状コイルの周囲に設けられて、前記第2の平板状コイルにより発生した磁束が通る外周磁路を形成する第2の外周磁路部材と、前記第1の外周磁路部材又は前記第1の外周磁路部材の周囲に配置される磁性金属容器と、前記第2の外周磁路部材又は前記第2の外周磁路部材の周囲に配置される磁性金属容器とにおける前記導電性板材の左右外側の面にそれぞれ接触して設けられた鉄心部材と、前記鉄心部材に巻回された外周コイルとを備え、前記鉄心部材によって前記外周コイルにより発生した磁束が前記導電性板材の左右両端部を通るように構成したことを特徴とする。
【0012】
このようなものであれば、第1及び第2の平板状コイルによって導電性板材の中央部を加熱することができる。また、第1及び第2の外周磁路部材又は磁性金属容器に接触して鉄心部材を設け、この鉄心部材に外周コイルを巻回しているので、外周コイルにより発生する磁束を第1及び第2の外周磁路部材又は磁性金属容器と導電性板材の左右端部とに通過させることができ、導電性板材の左右両端部を加熱することができる。さらに、第1及び第2の平板状コイルの通電量と外周コイルの通電量とを調節することによって、導電性板材の幅方向の温度分布を制御することが可能となる。
【0013】
上記の誘導加熱装置において、導電性板材の左右の温度分布をより一層均一化するためには、前記第1の平板状コイル及び前記第2の平板状コイルが、複数の平板状分割コイルに分割されており、それら複数の平板状分割コイルが、左右にずれて配置されていることが望ましい。特に、前記第1の平板状コイル及び前記第2の平板状コイルが、同一構成及び同一形状をなす2つの平板状分割コイルに分割されており、一方の平板状分割コイルの中心軸が、他方の平板状分割コイルの巻回コイルの巻回径を2分割する位置となるように配置されていることが望ましい。
【0014】
また本発明に係る誘導加熱装置は、導電性板材を周波数50Hz〜1000Hzの中周波で誘導加熱するものであって、前記導電性板材の上側に配置されて、中心部に前記導電性板材に直交する磁路が設けられた第1の平板状コイルと、前記導電性板材の下側に配置されて、中心部に前記導電性板材に直交する磁路が設けられた第2の平板状コイルと、前記第1の平板状コイルの周囲に配置され、前記第1の平板状コイルにより発生した磁束を前記導電性板材の外側に導く外周磁路を形成する第1の外周磁路部材と、前記第2の平板状コイルの周囲に配置され、前記第2の平板状コイルにより発生した磁束を前記導電性板材の外側に導く外周磁路を形成するとともに、前記第1の外周磁路部材と接続される第2の外周磁路部材とを備え、前記第1の外周磁路部材及び前記第2の外周磁路部材によって、前記第1及び第2の平板状コイルにより発生した磁束が前記導電性板材の端部を通るように構成したことを特徴とする。
【0015】
さらに本発明に係る誘導加熱装置は、導電性板材を周波数50Hz〜1000Hzの中周波で誘導加熱するものであって、前記導電性板材の上側に配置されて、中心部に前記導電性板材に直交する磁路が設けられた第1の平板状コイルと、前記導電性板材の下側に配置されて、中心部に前記導電性板材に直交する磁路が設けられた第2の平板状コイルと、前記第1の平板状コイルの周囲に設けられて、前記第1の平板状コイルにより発生した磁束が通る外周磁路を形成する第1の外周磁路部材と、前記第2の平板状コイルの周囲に設けられて、前記第2の平板状コイルにより発生した磁束が通る外周磁路を形成する第2の外周磁路部材と、前記第1の外周磁路部材又は前記第1の外周磁路部材の周囲に配置される磁性金属容器と、前記第2の外周磁路部材又は前記第2の外周磁路部材の周囲に配置される磁性金属容器とにおける前記導電性板材の外側の面にそれぞれ接触して設けられた鉄心部材と、前記鉄心部材に巻回された外周コイルとを備え、前記鉄心部材によって前記外周コイルにより発生した磁束が前記導電性板材の端部を通るように構成したことを特徴とする。
【0016】
加熱された導電性板材と第1及び第2の平板状コイルとを断熱するとともに、当該断熱構造を活かして導電性板材を保持するためには、前記第1の平板状コイル及び前記導電性板材の間に設けられて、前記導電性板材からの熱を断熱する第1の断熱部材と、前記第2の平板状コイル及び前記導電性板材の間に設けられて、前記導電性板材からの熱を断熱する第2の断熱部材とを備え、前記第1の断熱部材及び前記第2の断熱部材が、前記導電性板材を上下から保持することが望ましい。これならば、断熱部材の他に別途導電性板材を保持するための保持機構を不要にして装置構成を簡略化することができる。ここで、断熱及び保持を確実に行うためには、前記第1の断熱部材及び前記第2の断熱部材が、前記導電性板材の全周を覆うことにより保持することが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
このように構成した本発明によれば、金属シート等の導電性板材の平面方向端部の温度低下を抑えて、導電性板材の平面方向の均温化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態に係る誘導加熱装置の搬送方向に直交する断面を示す断面図。
【図2】第2実施形態に係る誘導加熱装置の搬送方向に直交する断面を示す断面図。
【図3】従来の油圧加圧方式の誘導加熱装置の一部断面を示す正面図。
【図4】従来の油圧加圧方式の誘導加熱装置を用いてSUS420・厚さ1.6mm×幅300mmを誘導加熱した場合の力率−周波数特性を示す図。
【図5】第2実施形態の誘導加熱装置を用いてSUS420・厚さ1.6mm×幅300mmを誘導加熱した場合の温度センサー位置を示す図。
【図6】第2実施形態の誘導加熱装置を用いてSUS420・厚さ1.6mm×幅300mmを誘導加熱したときのb4位置の昇温特性を示す図。
【図7】第2実施形態の誘導加熱装置において平板状コイルのみに通電した場合のa位置及びb位置の温度分析と平均温度分布を示す図。
【図8】第2実施形態の誘導加熱装置において平板状コイル及び外周コイルの両方に通電した場合のa位置及びb位置の温度分析と平均温度分布を示す図。
【図9】第3実施形態に係る誘導加熱装置の搬送方向に直交する断面を示す断面図。
【図10】第3実施形態に係る誘導加熱装置の搬送方向に沿った断面を示す断面図。
【図11】変形実施形態に係る誘導加熱装置の平板状コイルを示す平面図。
【図12】変形実施形態に係るバッチ処理タイプの誘導加熱装置の縦断面図。
【図13】変形実施形態に係るバッチ処理タイプの誘導加熱装置の縦断面図。
【図14】変形実施形態に係るバッチ処理タイプの誘導加熱装置の横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明に係る誘導加熱装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る誘導加熱装置100は、薄板状金属シート等の導電性板材を周波数50Hz〜1000Hzの中周波で連続的に誘導加熱するものである。導電性板材としては、例えばアルミニウム等の金属からなる板状又はシート状をなすものである。なお、アルミニウムシート等は、従来の中周波誘導加熱装置において誘導加熱しにくいものである。
【0021】
具体的にこのものは、図1に示すように、金属シートWが搬送される搬送通路2と、この搬送通路2の上側に配置されて、中心部に搬送通路2に直交する磁路が設けられた第1の平板状コイル3と、搬送通路2の下側に配置されて、中心部に搬送通路2に直交する磁路が設けられた第2の平板状コイル4と、第1の平板状コイル3の周囲に配置され、第1の平板状コイル3により発生した磁束を搬送通路2の左右外側に導く外周磁路を形成する第1の外周磁路部材5と、第2の平板状コイル4の周囲に配置され、第2の平板状コイル4により発生した磁束を搬送通路2の左右外側に導く外周磁路を形成する第2の外周磁路部材6とを備えている。
【0022】
第1の平板状コイル3及び第2の平板状コイル4は互いに同一構成及び同一形状をなし、平面視において概略矩形状をなすものである。これら平板状コイル3、4の中心部には、コイル中心磁路を形成する中心鉄心31、41が設けられている。また、平板状コイル3、4の搬送方向に直交する幅方向の寸法は、搬送通路2の幅方向の寸法と略同じかそれよりも大きい。このように構成することで、搬送通路2に搬送される金属シートWの幅方向の寸法よりも平板状コイル3、4の幅方向の寸法の方が大きくなるように構成している。さらに、第1及び第2の平板状コイル4と搬送通路2との間には絶縁板7が設けられており、コイル3、4と金属シートWとの間の短絡を防止している。なお、この絶縁板7により搬送通路2の上下面(上下の境界)が形成される。
【0023】
第1の外周磁路部材5及び第2の外周磁路部材6はそれぞれ、第1の平板状コイル3及び第2の平板状コイル4の周囲に配置されるものである。具体的には、第1の外周磁路部材5は、第1の平板状コイル3の上面、前後側面(搬送方向に沿った方向に対向する側面)及び左右側面(搬送方向に直交する方向に対向する側面)を覆うことにより第1の平板状コイル3を収容する磁性体金属からなるコイル収容容器であり、下面が開口する概略中空直方体形状をなす。また、第2の外周磁路部材6は、第2の平板状コイル4の下面、前後側面及び左右側面を覆うことにより第2の平板状コイル4を収容する磁性体金属からなるコイル収容容器であり、上面が開口する概略中空直方体形状をなす。
【0024】
また、本実施形態では、第1及び第2の外周磁路部材5、6の発熱を避けるために、第1及び第2の外周磁路部材5、6に、短絡電流防止用のスリットSを形成している。その他、第1及び第2の外周磁路部材5、6の発熱を避けるために、第1及び第2の外周磁路部材5、6を、珪素鋼鉄等の絶縁薄板磁性体を積層して構成しても良い。また、補助加熱等に使用するため積極的に第1及び第2の外周磁路部材5、6も加熱する場合には、中実又はスリットの深さを調整した磁性体を採用することが考えられる。
【0025】
さらに、第1の外周磁路部材5の左右側壁51、52は、搬送通路2よりも外側に位置しており、本実施形態ではこの左右側壁51、52が搬送通路2の左右側面(左右の境界)を形成する。同様に、第2の外周磁路部材6の左右側壁61、62は、搬送通路2よりも外側に位置しており、この左右側壁61、62が金属板搬送通路2の左右側面(左右の境界)を形成する。このように本実施形態では、第1の外周磁路部材5の左右側壁51、52及び第2の外周磁路部材6の左右側壁61、62が搬送通路2の幅方向の寸法を規定する。
【0026】
そして、第1の外周磁路部材5の左右側壁51、52の下端部と第2の外周磁路部材6の左右側壁61、62の上端部とは、互いに接続されている。このように第1の外周磁路部材5及び第2の外周磁路部材6を接続することで、第1及び第2の平板状コイル3、4により発生した磁束が通る磁路の磁気抵抗を小さくし、力率を高くして加熱効率を改善している。
【0027】
この誘導加熱装置100では、平板状コイル3、4により発生した磁束は、コイル中心に設置してある中心鉄心31、41により形成されるコイル中心磁路から外周磁路部材5、6により形成される外周磁路を通って循環する。これにより、第1の平板状コイル3及び第2の平板状コイル4の間にある金属シートWに誘導電流が誘起されて金属シートWが加熱される。また、第1の外周磁路部材5の左右側壁51、52及び第2の外周磁路部材6の左右側壁61、62が金属シートWの外側まで延長しているので、第1及び第2の平板状コイル3、4による磁路が、搬送通路2に搬送される金属シートWの左右両端部を通り、金属シートWの左右両端部を確実に加熱することができる。
【0028】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る誘導加熱装置100は、被処理物である絶縁物Wを上下1組の金属シートベルトBで加圧するとともに、その金属シートベルトBを周波数50Hz〜1000Hzの中周波で誘導加熱することで、被加熱物Wを加熱するものである。なお、図2において、前記第1実施形態に対応する部材には、同一の符号を付している。
【0029】
具体的にこのものは、図2に示すように、被加熱物Wが搬送される搬送通路2を形成する上下1組の金属シートベルトB(例えばSUS400の金属薄板)と、この金属シートベルトBの上側に配置されて、中心部に金属シートベルトBに直交する磁路が設けられた第1の平板状コイル3と、金属シートベルトBの下側に配置されて、中心部に金属シートベルトBに直交する磁路が設けられた第2の平板状コイル4と、第1の平板状コイル3の周囲に配置されて、当該第1の平板状コイル3により発生した磁束が通る外周磁路を形成する第1のコイル収容容器5と、第2の平板状コイル4の周囲に配置されて、第2の平板状コイル4により発生した磁束が通る外周磁路を形成する第2のコイル収容容器6と、上下1組の金属シートベルトBにより被加熱物Wを加圧するための加圧構造8とを有する。
【0030】
具体的に加圧構造8は、第1のコイル収容容器5を収容する磁性体金属からなる第1の油圧容器81と、第2のコイル収容容器6を収容する磁性体金属(例えばSS400)からなる第2の油圧容器82と、第1及び第2の油圧容器81、82と金属シートベルトBとの間に介在して設けられた絶縁物からなる油圧シール83、84と、第1及び第2の油圧容器81、82に封入された油圧用オイル85とを備える。このように、誘導加熱装置100に油圧加圧機構を付加した場合、高圧の油圧がかかるため、コイル収容容器5、6の外側に油圧容器81、82と油圧シール83、84が配置される構成となり、コイル収容容器5、6の幅方向の寸法が、金属シートベルトBの幅方向の寸法よりも小さい構造となる。このため、金属シートベルトBにおける油圧シール83、84から左右外側に出た部分は加熱されず、金属シートベルトBの左右両端部の温度上昇が大幅に低くなってしまう。
【0031】
しかして第2実施形態に係る誘導加熱装置100は、第1の外周磁路部材5の外側に、第1の平板状コイル3と同心状に巻回された第1の外周コイル9と、第2の外周磁路部材6の外側に、第2の平板状コイル4と同心状に巻回された第2の外周コイル10とを備える。
【0032】
具体的には、第1の外周磁路部材5の周囲に設けられた第1の油圧容器81の周囲に第1の外周コイル9が設けられるとともに、第2の外周磁路部材6の周囲に設けられた第2の油圧容器82の周囲に第2の外周コイル10が設けられている。第1の外周コイル9は、第1の平板状コイル3と同心円状に第1の油圧容器81の周囲に巻回して設けられている。また、第2の外周コイル10は、第1の平板状コイル3と同心円状に第2の油圧容器82の周囲に巻回して設けられている。
【0033】
そして、この第1の外周コイル9の周囲には、第1の外周コイル9の上面及び側周面を覆う磁性体金属からなる第1のカバー部材11が設けられ、第2の外周コイル10の周囲には、第2の外周コイル10の下面及び側周面を覆う磁性体金属からなる第2のカバー部材12が設けられている。また、第1のカバー部材11及び第2のカバー部材12は、それぞれ第1の油圧容器81及び第2の油圧容器82に設けられている。なお、第1のカバー部材11及び第2のカバー部材12には、発熱を防止するためのスリットSが形成されている。
【0034】
この第1及び第2のカバー部材11、12によって、第1及び第2の外周コイル9、10により発生した磁束が第1の油圧容器81の側壁及び第2の油圧容器82の側壁を介して金属シートベルトBの左右両端部を通過する磁路が形成される。これにより、金属シートベルトBの左右両端部を確実に加熱することができる。
【0035】
なお、第1のカバー体11の自由端部(側壁の下端部)と第2のカバー体12の自由端部(側壁の上端部)とを互いに接続して、第1及び第2の外周コイル9、10により発生した磁束が通る磁路の磁気抵抗を小さくし、力率を高くして加熱効率を改善しても良い。
【0036】
ここで、図3に示す従来の油圧加圧方式の誘導加熱装置を用いて、厚さ1.6mm×幅300mmのSUS420を誘導加熱した場合の力率−周波数特性を図4に示す。この図4から分かるように、周波数500Hz以上では、力率がほぼ同じであり、金属シート(特にSUS420)の誘導加熱においては、中周波数が適していることが分かる。
【0037】
次に、第2実施形態の誘導加熱装置を用いて厚さ1.6mm×幅300mmのSUS420を誘導加熱した場合の実験結果を示す。なお、この実験において、平板状コイルの中心鉄心は、2つのインボリュート鉄心(インボリュート曲線状に湾曲された湾曲部を有する多数の磁性鋼板を積層して円筒状に形成した鉄心)を用いている。また、温度センサーの設置位置は、図5に示すとおりである。
【0038】
まず第2実施形態の誘導加熱装置を用いて、温度センサー位置b4における昇温特性を図6に示す。このとき、平板状コイルには、交流電圧200V(周波数540Hz)を印加し、外周コイルには、交流電圧300V(周波数540Hz)を印加した。
【0039】
次に、第2実施形態の誘導加熱装置において、平板状コイルのみに通電した場合の、a位置及びb位置の温度分析とa位置及びb位置の平均温度分布を図7に示す。なお、平板状コイルには、流電圧200V(周波数540Hz)を印加した。このとき、金属シートベルトの幅方向の平均温度分布において最高温度と最低温度との差が、70.8℃であった。
【0040】
一方、第2実施形態の誘導加熱装置において、平板状コイル及び外周コイルの両方に通電した場合の、a位置及びb位置の温度分析とa位置及びb位置の平均温度分布を図8に示す。なお、平板状コイルには、交流電圧200V(周波数540Hz)を印加し、外周コイルには、交流電圧300V(周波数540Hz)を印加した。このとき、金属シートベルトの幅方向の平均温度分布において最高温度と最低温度との差が、17.1℃であった。このように、平板状コイルだけでなく外周コイルに通電することによって、金属シートベルトの幅方向の温度分布において均温化させることが分かる。
【0041】
なお、第2実施形態の誘導加熱装置100において、平板状コイル3、4の通電量と外周コイル9、10の通電量とを調整することで、金属シートベルトBの幅方向の温度分布を制御することが可能となる。
【0042】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る誘導加熱装置100は、前記第2実施形態と同様に、被加熱物である絶縁物Wを上下1組の金属シートベルトBで加圧するとともに、その金属シートベルトBを周波数50Hz〜1000Hzの中周波で誘導加熱することで、被加熱物Wを加熱するものである。なお、図9及び図10において、前記第1、第2実施形態に対応する部材には、同一の符号を付している。
【0043】
しかして第3実施形態の誘導加熱装置100は、図9及び図10に示すように、前記第2実施形態の外周コイル9、10及びカバー部材11、12の構成が異なり、第1の油圧容器81及び第2の油圧容器82における左右外側面にそれぞれ接触して設けられた鉄心部材13と、この鉄心部材13に巻回された外周コイル14とを有する。
【0044】
鉄心部材13は、カットコア型の巻鉄心であり、一方のカット面が第1の油圧容器81の側面に面接触して設けられ、他方のカット面が第2の油圧容器82の側面に面接触して設けられている。また、この鉄心部材13及び外周コイル14は、図9に示すように、被加熱物Wの搬送方向に沿って左右に複数個(図9では左右に3個)設けられている。
【0045】
この鉄心部材13によって、外周コイル14により発生した磁束が、第1の油圧容器81の側壁及び第2の油圧容器82の側壁を介して金属シートベルトBの左右両端部を通過する磁路が形成される。これにより、金属シートベルトBの左右両端部を確実に加熱することができる。
【0046】
なお、第1及び第2の油圧容器81、82の発熱を抑えて金属シートベルトBの左右両端部の発熱比率を大きくするために、第1及び第2の油圧容器81、82における鉄心部材接触面に適度の深さのスリットSを加工して短絡電流を低下させるようにしている。
【0047】
また、前記第2実施形態と同様に、平板状コイル3、4の通電量と外周コイル14の通電量とを調整することによって、金属シートベルトBの幅方向の温度分布を制御することが可能となる。
【0048】
なお、本発明は前記各実施形態に限られるものではない。
【0049】
例えば、前記第2実施形態においては、油圧加圧方式の誘導加熱装置を前提として外周コイル9、10及びカバー部材11、12を備えたものであったが、前記第1実施形態において、外周コイル9、10及びカバー部材11、12を備えたものであっても良い。この場合、誘導加熱装置100は、油圧容器81、82を有さないので、第1及び第2の外周磁路部材5、6の周囲に外周コイル9、10が設けられるとともに、第1及び第2のカバー部材11、12は、第1及び第2の外周磁路部材5、6に設けられる。
【0050】
また、前記第3実施形態においては、油圧加圧方式の誘導加熱装置を前提として鉄心部材13及び外周コイル14を備えたものであったが、前記第1実施形態において、鉄心部材13及び外周コイル14を有するものであっても良い。この場合、誘導加熱装置100は、油圧容器81、82を有さないので、第1及び第2の外周磁路部材5、6の側面にそれぞれ接触するように鉄心部材13を設ける。
【0051】
さらに図11に示すように、第1の平板状コイル3及び第2の平板状コイル4が、複数の平板状分割コイルに分割して、それら複数の平板状分割コイルを、左右にずれて配置させても良い。図11には、平板状コイル3、4を、互いに同一構成及び同一形状をなす2つの平板状分割コイルC1、C2に分割した場合を示している。この2つの平板状分割コイルC1、C2は、平板状コイル3、4と同様に、平面視において概略矩形状をなすものであり、その中心部には、コイル中心磁路を形成する中心鉄心C11、C12が設けられている。そして、2つの平板状分割コイルC1、C2は、中心軸が同一方向を向いて配置されるとともに、一方の平板状分割コイルC1の中心軸が、他方の平板状分割コイルC2の巻回コイルの巻回径を2分割する位置となるように配置している。つまり、平板状分割コイルC1、C2の中心鉄心C11、C12の幅寸法を2S、平板状分割コイルC1、C2の巻回コイルの巻回径をDとした場合、2つの中心軸のずれ幅が、D/2+Sとなるように配置している。これにより、金属シートの左右の温度分布をより一層均一化することができる。
【0052】
その上、前記実施形態では、導電性板材を搬送して処理する搬送処理タイプの誘導加熱装置であったが、本発明は、導電性板材毎に誘導加熱するバッチ処理タイプの誘導加熱装置にも適用可能である。
【0053】
この場合、図12に示すように、導電性板材Wの上側に配置されて、中心部に導電性板材Wに直交する磁路が設けられた第1の平板状コイル3と、導電性板材Wの下側に配置されて、中心部に導電性板材Wに直交する磁路が設けられた第2の平板状コイル4と、第1の平板状コイル3の周囲に配置され、第1の平板状コイル3により発生した磁束を導電性板材Wの外側に導く外周磁路を形成する第1の外周磁路部材5と、第2の平板状コイル4の周囲に配置され、第2の平板状コイル4により発生した磁束を導電性板材Wの外側に導く外周磁路を形成するとともに、第1の外周磁路部材5と接続される第2の外周磁路部材6とを備えている。そして、第1の外周磁路部材5及び第2の外周磁路部材7によって、第1及び第2の平板状コイル3、4により発生した磁束が導電性板材Wの平面方向端部を通るように構成されている。なお、図12においては、第1の外周磁路部材5及び第2の外周磁路部材6が直方体形状をなすことから、平面視矩形状をなす導電性板材Wを誘導加熱した場合には、その4つの側端部(周端部)を、導電性板材の中央部と同様に加熱させることができ、導電性部材の平面方向における温度分布を均一化することができる。
【0054】
ここで、第1の平板状コイル3及び導電性板材Wの間には、導電性板材Wからの熱を断熱する第1の断熱部材D1が設けられており、第2の平板状コイル4及び導電性板材Wの間には、導電性板材Wからの熱を断熱する第2の断熱部材D2が設けられている。第1の断熱部材D1は、第1の平板状コイル4の下面に設けられた絶縁板7と、4つの側壁(前後左右の側壁)とにより囲まれた空間全体に設けられている。また、第2の断熱部材D2は、第2の平板状コイル4の上面に設けられた絶縁板7と、4つの側壁(前後左右の側壁)とに囲まれた空間全体に設けられている。そして、これら第1の断熱部材D1及び第2の断熱部材D2により、導電性板材Wが上下から保持されるように構成されている。具体的には、第1の断熱部材D1及び第2の断熱部材D2が、導電性板材Wの全周を覆うことにより保持する。これならば、断熱部材D1、D2の他に別途導電性板材Wを保持するための保持機構を不要にして装置構成を簡略化することができる。また、第1の断熱部材D1及び第2の断熱部材D2が、導電性板材Wの全ての面を覆うことにより保持することから、断熱及び保持を確実に行うことができる。
【0055】
また、図13及び図14に示すように、前記第3実施形態の搬送処理タイプの誘導加熱装置をバッチ処理タイプの誘導加熱装置としても良い。この場合、鉄心部材13及び外周コイル14を、第1の外周磁路部材5の周囲に設けられた第1の容器151及び第2の外周磁路部材6の周囲に設けられた第2の容器152の4つの側面(前後左右の側面)にそれぞれ複数個設けるように構成する。この場合であっても、第1の断熱部材D1及び第2の断熱部材D2により導電性板材Wを保持する。なお、第1及び第2の容器151、152を有さずに、第1及び第2の外周磁路部材5、6の側面にそれぞれ接触するように鉄心部材13を設けても良い。
【0056】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
100・・・誘導加熱装置
W ・・・導電性板材(金属シート)
2 ・・・搬送通路
3 ・・・第1の平板状コイル
4 ・・・第2の平板状コイル
5 ・・・第1の外周磁路部材(第1の磁性金属容器)
6 ・・・第2の外周磁路部材(第2の磁性金属容器)
7 ・・・絶縁板
8 ・・・加圧構造
9 ・・・第1の外周コイル
10 ・・・第2の外周コイル
11 ・・・第1のカバー部材
12 ・・・第2のカバー部材
13 ・・・鉄心部材
14 ・・・外周コイル
C1 ・・・平板状分割コイル
C2 ・・・平板状分割コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性板材を周波数50Hz〜1000Hzの中周波で誘導加熱するものであって、
前記導電性板材が搬送される搬送通路と、
前記搬送通路の上側に配置されて、中心部に前記搬送通路に直交する磁路が設けられた第1の平板状コイルと、
前記搬送通路の下側に配置されて、中心部に前記搬送通路に直交する磁路が設けられた第2の平板状コイルと、
前記第1の平板状コイルの周囲に配置され、前記第1の平板状コイルにより発生した磁束を前記搬送通路の左右外側に導く外周磁路を形成する第1の外周磁路部材と、
前記第2の平板状コイルの周囲に配置され、前記第2の平板状コイルにより発生した磁束を前記搬送通路の左右外側に導く外周磁路を形成するとともに、前記第1の外周磁路部材と接続される第2の外周磁路部材とを備え、
前記第1の外周磁路部材及び前記第2の外周磁路部材によって、前記第1及び第2の平板状コイルにより発生した磁束が前記搬送通路に搬送される導電性板材の左右両端部を通るように構成したことを特徴とする誘導加熱装置。
【請求項2】
導電性板材を周波数50Hz〜1000Hzの中周波で誘導加熱するものであって、
前記導電性板材の上側に配置されて、中心部に前記導電性板材に直交する磁路が設けられた第1の平板状コイルと、
前記導電性板材の下側に配置されて、中心部に前記導電性板材に直交する磁路が設けられた第2の平板状コイルと、
前記第1の平板状コイルの周囲に配置されて、当該第1の平板状コイルにより発生した磁束が通る外周磁路を形成する第1の外周磁路部材と、
前記第2の平板状コイルの周囲に配置されて、当該第2の平板状コイルにより発生した磁束が通る外周磁路を形成する第2の外周磁路部材と、
前記第1の外周磁路部材又は前記第1の外周磁路部材の周囲に配置される磁性金属容器の周囲に、前記第1の平板状コイルと同心状に巻回された第1の外周コイルと、
前記第2の外周磁路部材又は前記第2の外周磁路部材の周囲に配置される磁性金属容器の周囲に、前記第2の平板状コイルと同心状に巻回された第2の外周コイルとを備え、
前記第1及び第2の外周コイルにより発生した磁束が前記導電性板材の左右両端部を通るように構成したことを特徴とする誘導加熱装置。
【請求項3】
導電性板材を周波数50Hz〜1000Hzの中周波で誘導加熱するものであって、
前記導電性板材の上側に配置されて、中心部に前記導電性板材に直交する磁路が設けられた第1の平板状コイルと、
前記導電性板材の下側に配置されて、中心部に前記導電性板材に直交する磁路が設けられた第2の平板状コイルと、
前記第1の平板状コイルの周囲に設けられて、前記第1の平板状コイルにより発生した磁束が通る外周磁路を形成する第1の外周磁路部材と、
前記第2の平板状コイルの周囲に設けられて、前記第2の平板状コイルにより発生した磁束が通る外周磁路を形成する第2の外周磁路部材と、
前記第1の外周磁路部材又は前記第1の外周磁路部材の周囲に配置される磁性金属容器と、前記第2の外周磁路部材又は前記第2の外周磁路部材の周囲に配置される磁性金属容器とにおける前記導電性板材の左右外側の面にそれぞれ接触して設けられた鉄心部材と、
前記鉄心部材に巻回された外周コイルとを備え、
前記鉄心部材によって前記外周コイルにより発生した磁束が前記導電性板材の左右両端部を通るように構成したことを特徴とする誘導加熱装置。
【請求項4】
前記第1の平板状コイル及び前記第2の平板状コイルが、複数の平板状分割コイルに分割されており、それら複数の平板状分割コイルが、左右にずれて配置されている請求項1、2又は3記載の誘導加熱装置。
【請求項5】
前記第1の平板状コイル及び前記第2の平板状コイルが、同一構成及び同一形状をなす2つの平板状分割コイルに分割されており、一方の平板状分割コイルの中心軸が、他方の平板状分割コイルの巻回コイルの巻回径を2分割する位置となるように配置されている請求項4記載の誘導加熱装置。
【請求項6】
導電性板材を周波数50Hz〜1000Hzの中周波で誘導加熱するものであって、
前記導電性板材の上側に配置されて、中心部に前記導電性板材に直交する磁路が設けられた第1の平板状コイルと、
前記導電性板材の下側に配置されて、中心部に前記導電性板材に直交する磁路が設けられた第2の平板状コイルと、
前記第1の平板状コイルの周囲に配置され、前記第1の平板状コイルにより発生した磁束を前記導電性板材の外側に導く外周磁路を形成する第1の外周磁路部材と、
前記第2の平板状コイルの周囲に配置され、前記第2の平板状コイルにより発生した磁束を前記導電性板材の外側に導く外周磁路を形成するとともに、前記第1の外周磁路部材と接続される第2の外周磁路部材とを備え、
前記第1の外周磁路部材及び前記第2の外周磁路部材によって、前記第1及び第2の平板状コイルにより発生した磁束が前記導電性板材の端部を通るように構成したことを特徴とする誘導加熱装置。
【請求項7】
導電性板材を周波数50Hz〜1000Hzの中周波で誘導加熱するものであって、
前記導電性板材の上側に配置されて、中心部に前記導電性板材に直交する磁路が設けられた第1の平板状コイルと、
前記導電性板材の下側に配置されて、中心部に前記導電性板材に直交する磁路が設けられた第2の平板状コイルと、
前記第1の平板状コイルの周囲に設けられて、前記第1の平板状コイルにより発生した磁束が通る外周磁路を形成する第1の外周磁路部材と、
前記第2の平板状コイルの周囲に設けられて、前記第2の平板状コイルにより発生した磁束が通る外周磁路を形成する第2の外周磁路部材と、
前記第1の外周磁路部材又は前記第1の外周磁路部材の周囲に配置される磁性金属容器と、前記第2の外周磁路部材又は前記第2の外周磁路部材の周囲に配置される磁性金属容器とにおける前記導電性板材の外側の面にそれぞれ接触して設けられた鉄心部材と、
前記鉄心部材に巻回された外周コイルとを備え、
前記鉄心部材によって前記外周コイルにより発生した磁束が前記導電性板材の端部を通るように構成したことを特徴とする誘導加熱装置。
【請求項8】
前記第1の平板状コイル及び前記導電性板材の間に設けられて、前記導電性板材からの熱を断熱する第1の断熱部材と、
前記第2の平板状コイル及び前記導電性板材の間に設けられて、前記導電性板材からの熱を断熱する第2の断熱部材とを備え、
前記第1の断熱部材及び前記第2の断熱部材が、前記導電性板材を上下から保持する請求項6又は7記載の誘導加熱装置。
【請求項9】
前記第1の断熱部材及び前記第2の断熱部材が、前記導電性板材の全周を覆うことにより保持する請求項8記載の誘導加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−256586(P2012−256586A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−29787(P2012−29787)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【出願人】(000110158)トクデン株式会社 (91)
【Fターム(参考)】