説明

誘導加熱調理装置およびそれを用いた包装食品および無菌包装食品の製造方法

【課題】米穀類、豆類などの食品を殺菌後、連続的に調理ないし炊飯して食味・食感に優れる包装食品や無菌包装食品を製造できる調理装置およびその調理装置を用いて連続的に効率よく調理ないし炊飯して容器に充填し密封シールして包装食品や無菌包装食品とする製造方法の提供。
【解決手段】少なくとも底部に磁力線の透過可能な材質53で構成される部分を設けた調理室12と、調理室12の前記部分の外側に設けた誘導加熱手段14と、上方に開口部21を有する複数の鍋3に必要に応じてそれぞれ開口部21を閉じるための蓋をして調理室12内を搬送方向に通過・移動させる移動手段と、を備えた包装食品や無菌包装食品用の誘導加熱調理装置1であって、前記移動手段により前記複数の鍋3を調理室12内を搬送方向に通過・移動させながら誘導加熱手段14で前記複数の鍋3を加熱して調理することを特徴とする誘導加熱調理装置1により課題を解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は誘導加熱調理装置およびそれを用いた包装食品の製造方法に関するものであり、更に詳細には、米穀類、豆類、米飯類、各種麺類、パスタ類、野菜、食肉類などの包装食品などの製造や、あるいはカレー、シチュー、スープなどの液状あるいは粘性のある、固形食品を含む無菌包装食品の製造を行うに当たり、必要な材料を入れた鍋を誘導加熱手段により連続的に加熱して効率よく調理して製品とすることができる誘導加熱調理装置およびそれを用いた包装食品の製造方法に関するものである。
さらに、これらの工程を必要に応じ無菌空間で行うことにより、無菌包装食品を製造することができる誘導加熱調理装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、食味や日持ちのよさから無菌包装食品の発展が目覚ましいが、固形物を含有する食品においては、解決すべき課題が多く、あまり進展していないのが実情である。
固形物を含有する食品は、液体や粘性のある流動食品と異なり、殺菌から充填包装までの輸送、運搬を密閉された配管で行うことができないため、大きな無菌空間と専用の各種装置が必要となる。しかし、大きな無菌空間を維持、管理することは非常に困難で、コストアップにもつながりやすい。
さらに、無菌包装食品は必ず殺菌を行うが、固形物を含有する食品においては殺菌のみに調理的効果を期待しても、食味や食感の面で不十分であることが多く、また一方で、調理工程に殺菌効果を期待しても、調理に必要な調味液などの副材料が加熱の際の熱伝達を妨げ、十分な殺菌効果が得られないか、十分な殺菌効果を得ようとすると品質へのダメージが大きく、同様に食味や食感の面で不十分であることが多い。
そのため、殺菌とは別に無菌的に調理することが必要となる。
【0003】
生米を圧力容器に入れ、圧力容器内に高温蒸気を充填して蒸煮し、得られた蒸煮米を小分け取りする無菌炊飯米の製造方法(特許文献1参照)、カップ容器に水浸漬米を入れ、蒸煮槽内に入れて蒸気により蒸煮殺菌し、蒸煮殺菌した米を袋に充填する袋入り無菌米飯の製造方法(特許文献2参照)、底部に複数の孔を設けたリテーナーに固形食品を充填し、蒸気を直接固形食品に接触させて加熱殺菌し、加熱殺菌した固形食品を包装容器に充填する固形食品の殺菌充填方法(特許文献3参照)などが提案されている。
しかし、いずれも殺菌後の調理工程あるいは炊飯工程がないか、もしくは調理工程が殺菌前の予備的なものであったり、充填包装後の殺菌処理に調理効果を頼るものであったりして、食品によっては食味・食感などが満足できるものではない。
【0004】
炊飯釜に充填した米を蒸気により炊飯し、炊飯した米飯を容器に移し替える無菌化米飯の製造方法(特許文献4参照)、洗米と水を入れた容器を水蒸気で満たされた無菌炊飯室内を移動させながら水蒸気を容器の底面に当てて加熱する連続無菌炊飯方法(特許文献5参照)、クリーンルームにおいて、浸漬水切米と水を入れた炊飯容体をコンベアで移送して炊飯機に導入し、スチームを間欠的に行って炊飯し、制菌ガスを炊飯容体内に導入して密封する無菌パック米飯製造法(特許文献6参照)などが提案されている。
これらは無菌的調理あるいは炊飯方法であるが、いずれも水蒸気加熱による調理である。水蒸気による加熱では、その加熱力不足により調理時間が長くなり、設備が巨大化したり、食品によっては水分過多になりやすく、食味・食感などが満足できるものではない。
【0005】
一方、昨今は加熱方式として誘導加熱方式を利用する調理装置が多く提案されている。
電磁加熱コイルの表面に順次に移送される鉄製もしくはステンレス製の発熱体としての受熱プレートを設け、電磁加熱コイルに通電して磁力線を発生させ受熱プレートに渦電流を流して発熱させ、受熱プレート上の食料品を焼き上げたり、加熱加工する全自動焼上加工機(特許文献7参照)、発熱体としての移動可能なスチールベルト面に被加熱物を乗せて搬送し、スチールベルト面と対向位置に誘導加熱用コイルを配置してスチールベルトを発熱させて被加熱物を加熱する際に、誘導加熱用コイルをスチールベルトの進行方向または進行方向と交差する方向に揺動可能に設けた加熱加工装置(特許文献8参照)などが提案されている。
また、保護枠に載置し長手方向に移動させる釜と、保護枠の外周部に並列して複数本設けて釜を加熱する加熱コイルと、加熱コイルの通電を制御する制御手段を備えた高周波誘導加熱式炊飯装置(特許文献9参照)、炊飯釜を搬送方向に移動させながら底板用誘導加熱コイルに通電して炊飯釜の底板部を加熱して炊飯する連続炊飯機(特許文献10参照)などが提案されている。
いずれも少ない排熱や制御の利便性など誘導加熱のメリットはあるが、無菌包装食品の調理を効率よく容易に行うことができる装置ではない。
さらに、誘導加熱可能な容器にて炊飯を行い、そのまま製品とする無菌包装米飯の製造方法(特許文献11参照)が提案されている。
これは、誘導加熱を利用した無菌包装米飯の炊飯方法であるが、専用の高価な容器を必要とするため製品コストが高くなる問題がある。
【特許文献1】特許第3515827号公報
【特許文献2】特開2000−308463号公報
【特許文献3】特許第3130697号公報
【特許文献4】特開2006−25607号公報
【特許文献5】特開2004−173518号公報
【特許文献6】特許第2725115号公報
【特許文献7】特開平5−95839号公報
【特許文献8】特開平9−215605号公報
【特許文献9】特開2003−111670号公報
【特許文献10】特開2003−310437号公報
【特許文献11】特開2007−20488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の第1の目的は、米穀類、豆類、米飯類、各種麺類、パスタ類、野菜、食肉類などの食品や、カレー、シチュー、スープなどの液状あるいは粘性のある食品を調理して包装食品を製造することができる、平易な機構の調理装置を提供することであり、
本発明の第2の目的は、そのような調理装置を用いて食味や食感の優れた包装食品を効率よく均一に製造するための包装食品の製造方法を提供することであり、
本発明の第3の目的は、これらの工程を必要に応じ無菌空間で行なうことによ
り、無菌包装食品を製造することができる誘導加熱調理装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意研究の結果、例えば無菌包装食品を製造するに際して、空間を隔てた対象物を加熱可能な誘導加熱手段を利用すれば、複雑な機構を持つ加熱源を、無菌空間とすべき調理空間の外部に設置することにより、平易な機構の無菌的な調理装置を構成することができ、さらに、その強力な誘導加熱により、食味や食感の優れた無菌包装食品を効率よく均一に製造できることを見いだし、またさらに、複数の材料をそれぞれに適した方法で個別に殺菌した後にそれらを加え、無菌的に調理することで、従来にない品質の無菌包装食品を製造できることを見いだし、本発明を成すに到った。
【0008】
前記課題を解決するための本発明の請求項1記載の誘導加熱調理装置は、少なくとも底部に磁力線の透過可能な材質で構成される部分を設けた調理室と、前記調理室の前記部分の外側に設けた誘導加熱手段と、上方に開口部を有する複数の鍋に必要に応じてそれぞれ前記開口部を閉じるための蓋をして前記調理室内を搬送方向に通過・移動させる移動手段と、を備えた包装食品用の誘導加熱調理装置であって、
前記移動手段により前記複数の鍋を前記調理室内を搬送方向に通過・移動させながら前記誘導加熱手段で前記複数の鍋を加熱して調理することを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項2記載の誘導加熱調理装置は、請求項1記載の誘導加熱調理装置において、
前記鍋を搬送方向に交差する方向に沿って間隔を置いて複数並べて配置するとともに、前記各鍋に対応してさらに搬送方向に沿って間隔を置いて鍋を複数並べて配置して、これらの全鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した複数の鍋パレットと、前記全鍋の底部を誘導加熱するために前記調理室の前記部分の外側に制御可能に所定数設置された誘導加熱コイルとを備え、
必要に応じて前記鍋の開口部を閉じるための蓋をして、前記移動手段により複数の前記鍋パレットを前記調理室内を搬送方向に通過・移動させながら前記誘導加熱手段で前記全鍋を加熱して調理することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3記載の誘導加熱調理装置は、請求項1記載の誘導加熱調理装置において、
前記鍋を搬送方向に交差する方向に沿って間隔を置いて複数並べて配置するとともに、前記各鍋に対応してさらに搬送方向に沿って間隔を置いて鍋を複数並べて配置して、これらの全鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した複数の鍋パレットと、前記全鍋の開口部を閉じるための複数の蓋を蓋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した複数の蓋パレットと、前記全鍋の底部を誘導加熱するために前記調理室の前記部分の外側に制御可能に所定数設置された誘導加熱コイルとを備え、
前記移動手段により、前記鍋パレットに前記蓋パレットを重ね合わせて前記全鍋の開口部を閉じた状態にした複数の複合パレットを前記調理室内を搬送方向に通過・移動させながら前記誘導加熱手段で前記全鍋を加熱して調理することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4記載の誘導加熱調理装置は、請求項3記載の誘導加熱調理装置において、
調理した後、前記複合パレットから前記蓋パレットを分離するための蓋パレット分離手段と、
前記蓋パレットを分離した前記鍋パレットの各鍋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の容器を重ね合わせて閉じるための鍋用容器供給装置と、
前記容器を重ね合わせた前記鍋パレットを天地反転させて内容物を前記容器側に移行させた後、前記鍋パレットを分離する反転手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項5記載の誘導加熱調理装置は、請求項3記載の誘導加熱調理装置において、
調理した後、前記複合パレットを天地反転させて内容物を前記蓋パレットの各蓋側に移行させた後、前記鍋パレットを分離する反転手段と、
内容物を移行させた前記蓋パレットの各蓋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の容器を重ね合わせて閉じるための蓋用容器供給装置と、
前記容器を重ね合わせた前記蓋パレットを天地反転させて内容物を前記容器側に移行させた後、前記蓋パレットを分離する反転手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項6記載の誘導加熱調理装置は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の誘導加熱調理装置において、
前記調理室の内部空気温度を制御して所定温度にする加熱手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項7記載の誘導加熱調理装置は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の誘導加熱調理装置において、
前記誘導加熱手段を前記調理室と区画した機械室内に設置し、前記誘導加熱手段を冷却するために前記機械室内に冷気を導入するための冷気導入手段と、前記機械室内で前記誘導加熱手段の発熱により加熱された気体を前記調理室へ導入するための加熱気体導入手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項8記載の誘導加熱調理装置は、請求項2から請求項7のいずれかに記載の誘導加熱調理装置において、
全鍋をスペーサを介して前記鍋パレットの鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定し、あるいはさらに全蓋をスペーサを介して前記蓋パレットの蓋固定用の枠の所定の位置に支持・固定したことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項9記載の誘導加熱調理装置は、請求項3から請求項8のいずれかに記載の誘導加熱調理装置において、
前記蓋パレットの各蓋の支持・固定位置が所定の範囲内で自由に移動可能にするための支持・固定位置移動手段を設けたことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項10記載の誘導加熱調理装置は、請求項1から請求項9のいずれかに記載の誘導加熱調理装置において、
前記蓋に少なくとも1つの水蒸気逃し穴を設けたことを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項11記載の誘導加熱調理装置は、請求項1から請求項9のいずれかに記載の誘導加熱調理装置において、
前記蓋と前記鍋を密封して嵌合するようにし、加圧調理機能を持たせたことを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項12記載の誘導加熱調理装置は、請求項11記載の誘導加熱調理装置において、
さらに圧力調整機能を設けたことを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項13記載の誘導加熱調理装置は、請求項1から請求項12のいずれかに記載の誘導加熱調理装置において、
前記調理室を略密閉し無菌空間とするための無菌空間形成手段を備えたことを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項14は、請求項1記載の誘導加熱調理装置を用いて連続的に調理する包装食品の製造方法であって、
鍋に調理に必要な材料をそれぞれ充填した後、必要に応じて前記鍋の開口部を閉じるための蓋をした複数の鍋を、前記移動手段により、前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱手段で加熱して調理した後、必要に応じて冷却し、そして内容物を別途用意した容器側に移行させ、包装手段により前記容器を密封シールして製品とすることを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項15は、請求項2記載の誘導加熱調理装置を用いて連続的に調理する包装食品の製造方法であって、
複数の鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した鍋パレットの全鍋に、調理に必要な材料をそれぞれ充填した後、複数の前記鍋パレットを、必要に応じて前記鍋の開口部を閉じるための蓋をして前記移動手段により、前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱コイルで加熱して調理した後、必要に応じて冷却し、そして内容物を別途用意した容器側に移行させ、包装手段により前記容器を密封シールして製品とし、そして使用した前記鍋パレットを洗浄して再使用することを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項16は、請求項3記載の誘導加熱調理装置を用いて連続的に調理する無菌包装食品の製造方法であって、
複数の鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した鍋パレットの全鍋に、調理に必要な材料をそれぞれ充填した後、前記鍋の開口部を閉じるための複数の蓋を蓋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した蓋パレットを重ね合わせて前記鍋の開口部を閉じた状態にした複合パレットを形成し、前記移動手段により、複数の前記複合パレットを前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱コイルで加熱して調理した後、必要に応じて冷却し、そして内容物を別途用意した容器側に移行させ、必要に応じて包装手段により前記容器を密封シールして製品とし、そして使用した前記鍋パレットおよび前記蓋パレットを洗浄して再使用することを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項17は、請求項16記載の包装食品の製造方法において、請求項4記載の誘導加熱調理装置を用いて連続的に調理した後、下記(1)〜(3)の工程により包装食品を製造することを特徴とする。
(1)前記蓋パレット分離手段を用いて前記複合パレットから前記蓋パレットを分離する。
(2)次いで、前記鍋用容器供給装置を用いて前記蓋パレットを分離した前記鍋パレットの各鍋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の容器を重ね合わせて閉じる。
(3)次いで、前記反転手段を用いて前記容器を重ね合わせた前記鍋パレットを天地反転させて内容物を前記容器側に移行させた後、前記鍋パレットを分離する。
【0025】
本発明の請求項18は、請求項16記載の包装食品の製造方法において、請求項5記載の誘導加熱調理装置を用いて連続的に調理した後、下記(1)〜(3)の工程により包装食品を製造することを特徴とする。
(1)前記反転手段を用いて前記複合パレットを天地反転させて内容物を前記蓋パレットの各蓋側に移行させた後、前記鍋パレットを分離する。
(2)次いで、前記蓋用容器供給装置を用いて内容物を移行させた前記蓋パレットの各蓋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の容器を重ね合わせて閉じる。
(3)次いで、前記反転手段を用いて前記容器を重ね合わせた前記蓋パレットを天地反転させて内容物を前記容器側に移行させた後、前記蓋パレットを分離する。
【0026】
本発明の請求項19は、請求項18記載の包装食品の製造方法において、
前記反転手段を用いてパレットを天地反転させる際に、前記蓋に設けた水蒸気逃し穴から、鍋内の余分な水分や結露水を鍋外に排出することを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項20は、請求項15から請求項18のいずれかに記載の包装食品の製造方法において、
前記反転手段を用いてパレットを天地反転させる際に、前記鍋または前記蓋と容器が密封して嵌合することを特徴とする。
【0028】
本発明の請求項21記載の無菌包装食品の製造方法は、請求項13記載の誘導加熱調理装置を用いて下記(1)〜(5)の工程により連続的に無菌包装食品を製造するに際して、少なくとも下記(2)〜(5)の工程を無菌空間で行うことを特徴とする。
(1)複数の鍋に調理に必要な材料をそれぞれ充填して殺菌する。
(2)必要に応じて、別途もしくは前記鍋の殺菌時に同時に殺菌した前記鍋の開口部を閉じるための蓋をする。
(3)前記複数の鍋を前記移動手段により、前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱手段で加熱して調理する。
(4)その後、必要に応じて冷却し、そして内容物を別途予め殺菌した容器側に移行する。
(5)次いで包装手段により前記容器を密封シールして製品とする。
【0029】
本発明の請求項22記載の無菌包装食品の製造方法は、請求項13記載の誘導加熱調理装置を用いて下記(1)〜(6)の工程により連続的に無菌包装食品を製造するに際して、少なくとも下記(2)〜(5)の工程を無菌空間で行うことを特徴とする。
(1)複数の鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した鍋パレットの全鍋に、調理に必要な材料をそれぞれ充填して殺菌する。
(2)必要に応じて、別途もしくは前記鍋の殺菌時に同時に殺菌した前記鍋の開口部を閉じるための蓋をする。
(3)次いで複数の前記鍋パレットを、前記移動手段により、前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱コイルで加熱して調理する。
(4)必要に応じて冷却し、そして、蓋をした場合は蓋を分離した後、前記鍋パレットの各鍋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の別途予め殺菌した容器を重ね合わせて閉じ、反転手段を用いて、前記鍋パレットを天地反転させて、内容物を前記容器側に移行する。
(5)包装手段により前記容器を密封シールして製品とする。
(6)そして使用した前記鍋パレットを洗浄して再使用する。
【0030】
本発明の請求項23記載の無菌包装食品の製造方法は、請求項13記載の誘導加熱調理装置を用いて下記(1)〜(6)の工程により連続的に無菌包装食品を製造するに際して、少なくとも下記(2)〜(5)の工程を無菌空間で行うことを特徴とする。
(1)複数の鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した鍋パレットの全鍋に、調理に必要な材料をそれぞれ充填して殺菌する。
(2)前記鍋の開口部を閉じるための複数の蓋を蓋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した後、別途殺菌した蓋パレットを重ね合わせて前記鍋の開口部を閉じた状態にした複合パレットを形成する。
(3)前記移動手段により、複数の前記複合パレットを、前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱コイルで加熱して調理する。
(4)必要に応じて冷却し、そして、反転手段を用いて前記複合パレットを天地反転させて内容物を前記蓋パレットの各蓋側に移行させた後、前記蓋パレットの各蓋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の別途予め殺菌した容器を重ね合わせて閉じ、反転手段を用いて前記蓋パレットを天地反転させて内容物を前記容器側に移行する。
(5)必要に応じて包装手段により前記容器を密封シールして製品とする。
(6)そして使用した前記鍋パレットおよび前記蓋パレットを洗浄して再使用する。
【0031】
本発明の請求項24記載の無菌包装食品の製造方法は、請求項13記載の誘導加熱調理装置を用いて下記(1)〜(6)の工程により連続的に無菌包装食品を製造するに際して、少なくとも下記(2)〜(5)の工程を無菌空間で行うことを特徴とする。
(1)複数の鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した鍋パレッの全鍋に、調理に必要な材料をそれぞれ充填し、前記鍋の開口部を閉じるための複数の蓋を蓋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した蓋パレットとともに殺菌する。
(2)前記鍋の開口部を閉じるための蓋パレットを重ね合わせて前記鍋の開口部を閉じた状態にした複合パレットを形成する。
(3)前記移動手段により、複数の前記複合パレットを、前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱コイルで加熱して調理する。
(4)必要に応じて冷却し、そして、反転手段を用いて前記複合パレットを天地反転させて内容物を前記蓋パレットの各蓋側に移行させた後、前記蓋パレットの各蓋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の別途予め殺菌した容器を重ね合わせて閉じ、反転手段を用いて前記蓋パレットを天地反転させて内容物を前記容器側に移行する。
(5)必要に応じて包装手段により前記容器を密封シールして製品とする。
(6)そして使用した前記鍋パレットおよび前記蓋パレットを洗浄して再使用する。
【0032】
本発明の請求項25記載の包装食品あるいは無菌包装食品の製造方法は、請求項14から請求項24のいずれかに記載の包装食品あるいは無菌包装食品の製造方法において、
包装食品あるいは無菌包装食品が固形物を含む包装食品あるいは無菌包装食品であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明の請求項1記載の誘導加熱調理装置は、少なくとも底部に磁力線の透過可能な材質で構成される部分を設けた調理室と、前記調理室の前記部分の外側に設けた誘導加熱手段と、上方に開口部を有する複数の鍋に必要に応じてそれぞれ前記開口部を閉じるための蓋をして前記調理室内を搬送方向に通過・移動させる移動手段と、を備えた包装食品用の誘導加熱調理装置であって、
前記移動手段により前記複数の鍋を前記調理室内を搬送方向に通過・移動させながら前記誘導加熱手段で前記複数の鍋を加熱して調理することを特徴とするものであり、
平易な機構で、設備を小型化でき、米穀類、豆類、米飯類、各種麺類、パスタ類、野菜、食肉類などの包装食品や、カレー、シチュー、スープなどの液状あるいは粘性のある、包装食品を、調理して製造するに当たり、例えば全鍋に調理に必要な材料をそれぞれ所定量充填した後、別途副材料を必要に応じて加え、前記鍋の開口部を閉じるための蓋を必要に応じてして、前記移動手段により前記複数の鍋を前記調理室内を通過・移動させながら、誘導加熱手段の強力な誘導加熱による急速な加熱により短時間で連続的に均一に調理することにより、従来にない食味・食感に優れた均一品質の包装食品を製造できるという顕著な効果を奏する。
【0034】
そして調理後は鍋から容器に自動的に充填し密封シールするようにすれば、より衛生的で、安全性に優れた、均一品質の包装食品製品を得ることができるという顕著な効果を奏する。
前記調理室の少なくとも底部に磁力線の透過可能な材質で構成される部分を設けるとともに前記部分の外側に誘導加熱手段を備えたので、調理室の構造が複雑でなく、調理空間内を容易に洗浄したり殺菌したりすることが可能となり、維持・管理が容易となる上、全鍋、全蓋、内容物などが調理空間を通過中に菌類により汚染されるのを防止でき、最終製品の食味・食感を損なわず、安全性、信頼性を向上できる。
【0035】
また、調理中に鍋から水蒸気がでたり、例え万一吹きこぼれなどがあっても、誘導加熱手段が損なわれることがなく、衛生的で、安全性が高い。
鍋の高さや調理物の内容量を制限すれば、鍋の側面を加熱するための誘導加熱コイルなどの複雑な機構も不要となるので、より平易な機構の調理装置となり、コストダウンも図れるという顕著な効果を奏する。
【0036】
調理物によっては蓋をすると温度、圧力を上げることができ良好な調理ができるとともに、調理物の飛び散りを防止できる。
水分を蒸発させて除いたり、煮詰めるような場合は、蓋をしない方が良好な調理ができるとともに、取り扱い易くなりコストダウンとなる。
【0037】
本発明の請求項2記載の誘導加熱調理装置は、請求項1記載の誘導加熱調理装置において、
前記鍋を搬送方向に交差する方向に沿って間隔を置いて複数並べて配置するとともに、前記各鍋に対応してさらに搬送方向に沿って間隔を置いて鍋を複数並べて配置して、これらの全鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した複数の鍋パレットと、前記全鍋の底部を誘導加熱するために前記調理室の前記部分の外側に制御可能に所定数設置された誘導加熱コイルとを備え、
必要に応じて前記鍋の開口部を閉じるための蓋をして、前記移動手段により複数の前記鍋パレットを前記調理室内を搬送方向に通過・移動させながら前記誘導加熱手段で前記全鍋を加熱して調理することを特徴とするものであり、
例えば、前記鍋パレットの全鍋に調理に必要な材料をそれぞれ所定量充填した後、副材料を必要に応じて加え、前記調理室内を前記移動手段により通過・移動させながら、前記誘導加熱コイルの強力な誘導加熱により急速に加熱するようにしたので、全鍋中の内容物をまとめて短時間で連続的により効率よく均一に調理でき大幅に生産効率を向上できる上、従来にない食味・食感に優れた均一品質の包装食品を製造できるというさらなる顕著な効果を奏する。
鍋の底面のみを加熱するため、側面加熱コイルなどの複雑な機構がなく、より平易な機構の調理装置となり、コストダウンを図れるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0038】
またパレットの枠を、各工程における搬送、運搬に利用し、十分に耐えうる丈夫な設計とすることで、個々の鍋を軽く軽量なものにすることが可能となり、薄く軽量な鍋は誘導加熱効率を向上させ、誘導加熱エネルギーを十分かつ急速に調理物に伝えることが可能となる。これにより、省エネの効果を奏するとともに、調理時間の一層の短縮、設備の小型化を実現でき、さらには食味・食感なども自在に調整することが可能となる。
またパレットに支持・固定する鍋の大きさを最終製品と同容量に設計すれば、より均一に個々の製品を製造することができる。調理後に急速な冷却を必要とする調理物の場合にも、より均一で急速な冷却を可能とする。
水分を蒸発させて除いたり、煮詰めるような場合は、蓋をしない方が良好な調理ができるとともに、取り扱い易くなりコストダウンとなる。
【0039】
本発明の請求項3記載の誘導加熱調理装置は、請求項1記載の誘導加熱調理装置において、
前記鍋を搬送方向に交差する方向に沿って間隔を置いて複数並べて配置するとともに、前記各鍋に対応してさらに搬送方向に沿って間隔を置いて鍋を複数並べて配置して、これらの全鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した複数の鍋パレットと、前記全鍋の開口部を閉じるための複数の蓋を蓋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した複数の蓋パレットと、前記全鍋の底部を誘導加熱するために前記調理室の前記部分の外側に制御可能に所定数設置された誘導加熱コイルとを備え、
前記移動手段により、前記鍋パレットに前記蓋パレットを重ね合わせて前記全鍋の開口部を閉じた状態にした複数の複合パレットを前記調理室内を搬送方向に通過・移動させながら前記誘導加熱手段で前記全鍋を加熱して調理することを特徴とするものであり、
例えば、前記鍋パレットの全鍋に調理に必要な材料をそれぞれ所定量充填して後、副材料を必要に応じて加え、前記鍋パレットに前記蓋パレットを重ね合わせて前記全鍋の開口部を閉じた状態にした複合パレットを形成し、前記移動手段により複数の複合パレットを前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱コイルの強力な誘導加熱により急速に加熱するようにしたので、大幅に生産効率を向上できる上、より衛生的で、安全性をより高めることができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0040】
また、パレットの枠を、各工程における搬送、運搬に利用し、十分に耐えうる丈夫な設計とすることで、個々の鍋や蓋を軽く軽量なものにすることが可能となり、薄く軽量な鍋や蓋は誘導加熱効率を向上させ、誘導加熱エネルギーを十分かつ急速に調理物に伝えることが可能となる。これにより、省エネの効果を奏するとともに、調理時間の一層の短縮、設備の小型化を実現でき、さらには食味・食感なども自在に調整することが可能となる。
またパレットに支持・固定する鍋の大きさを最終製品と同容量に設計すれば、より均一に個々の製品を製造することができる。調理後に急速な冷却を必要とする調理物の場合にも、より均一で急速な冷却を可能とする。
【0041】
調理物によっては蓋をすると温度、圧力を上げることができ良好な調理ができるとともに、調理物の飛び散りを防止できる。
【0042】
本発明の請求項4記載の誘導加熱調理装置は、請求項3記載の誘導加熱調理装置において、
調理した後、前記複合パレットから前記蓋パレットを分離するための蓋パレット分離手段と、
前記蓋パレットを分離した前記鍋パレットの各鍋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の容器を重ね合わせて閉じるための鍋用容器供給装置と、
前記容器を重ね合わせた前記鍋パレットを天地反転させて内容物を前記容器側に移行させた後、前記鍋パレットを分離する反転手段とを備えたことを特徴とするものであり、
蓋パレット分離手段と鍋用容器供給装置および反転手段を備えたので、食味や食感の優れた包装食品をより効率よく均一に製造できるというさらなる顕著な効果を奏する。
別途洗浄や殺菌が必要となってしまう受台のような部品を使用する必要がなくなり、衛生的に容易にしかも確実に容器に自動充填して製品とすることができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0043】
本発明の請求項5記載の誘導加熱調理装置は、請求項3記載の誘導加熱調理装置において、
調理した後、前記複合パレットを天地反転させて内容物を前記蓋パレットの各蓋側に移行させた後、前記鍋パレットを分離する反転手段と、
内容物を移行させた前記蓋パレットの各蓋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の容器を重ね合わせて閉じるための蓋用容器供給装置と、
前記容器を重ね合わせた前記蓋パレットを天地反転させて内容物を前記容器側に移行させた後、前記蓋パレットを分離する反転手段とを備えたことを特徴とするものであり、
少なくとも1つの反転手段および蓋用容器供給装置を備えたので、食味や食感の優れた包装食品をより効率よく均一に製造できるというさらなる顕著な効果を奏する。
連続的に調理あるいは炊飯した後、必要に応じて冷却し、複合パレットを天地反転させて、内容物を各蓋側に移行させてから、鍋パレットを分離し、各蓋に容器を供給して重ねて各蓋の開口部を閉じ、そして蓋パレットを天地反転させて内容物を前記容器側に移行させてから蓋パレットを分離するので、別途洗浄や殺菌が必要となってしまう受台のような部品を使用する必要がなく、衛生的に容易にしかも確実に容器に自動充填して製品とすることができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0044】
鍋内で炊飯された内容物の表面側は例えば内容物の米飯の米粒が立った状態になり見た目がよく最終製品の外観としてふさわしいことが多いのに対して、底面側は内容物が扁平で立体的でなくなり、最終製品の外観としてふさわしくないことが多いが、前記のように2回反転すると鍋内の表面側が容器内の表面側になるのでふっくらと仕上がり、また底部も2回反転することで米粒間に適度な隙間が生じるなど商品価値が向上し、良好な最終製品が得られるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0045】
本発明の請求項6記載の誘導加熱調理装置は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の誘導加熱調理装置において、
前記調理室の内部空気温度を制御して所定温度にする加熱手段を備えたことを特徴とするものであり、
加熱手段によりその内部空気温度を所定温度に制御して加熱された前記調理室内を前記移動手段により通過して搬送方向に移動させながら、誘導加熱手段により連続的にまとめて加熱するので、誘導加熱および制御された内部空気からの熱により適切な温度に急速に加熱でき、効率よくより均一に調理できるというさらなる顕著な効果を奏する。
鍋の誘導加熱手段からの電磁波が届かない部分も、内部空気からの熱により加熱できるので、鍋の側面加熱用誘導加熱コイルなどの複雑な機構の設置も不要となるため、より平易な機構の調理装置となり、コストダウンも図れるというさらなる顕著な効果を奏する。
また加熱により水蒸気が発生するような場合でも、空間内での結露水の発生を抑制することができ、より衛生的な調理が可能となる。
【0046】
本発明の請求項7記載の誘導加熱調理装置は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の誘導加熱調理装置において、
前記誘導加熱手段を前記調理室と区画した機械室内に設置し、前記誘導加熱手段を冷却するために前記機械室内に冷気を導入するための冷気導入手段と、前記機械室内で前記誘導加熱手段の発熱により加熱された気体を前記調理室へ導入するための加熱気体導入手段を備えたことを特徴とするものであり、
作動中に発熱する誘導加熱手段により機械室内が加熱されるが、例えば、冷気導入手段により常温の外気を機械室へ導入して誘導加熱手段を冷却すれば、誘導加熱手段の特性を発揮でき信頼性が一層向上するとともに、機械室内で加熱された気体を調理室へ導入するので熱効率が向上し省エネになり、さらにコストダウンを図れるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0047】
本発明の請求項8記載の誘導加熱調理装置は、請求項2から請求項7のいずれかに記載の誘導加熱調理装置において、
全鍋をスペーサを介して前記鍋パレットの鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定し、あるいはさらに全蓋をスペーサを介して前記蓋パレットの蓋固定用の枠の所定の位置に支持・固定したことを特徴とするものであり、
スペーサを用いることで鍋とパレットとの接触面積を減らすことができ、あるいはさらに蓋とパレットとの接触面積を減らすことができるので、鍋や蓋の熱がパレット側に伝導して失われ、加熱効率が低下するのを抑制ないし防止でき、加熱効率が向上して省エネになるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0048】
本発明の請求項9記載の誘導加熱調理装置は、請求項3から請求項8のいずれかに記載の誘導加熱調理装置において、
前記蓋パレットの各蓋の支持・固定位置が所定の範囲内で自由に移動可能にするための支持・固定位置移動手段を設けたことを特徴とするものである。
実際の生産においては、各鍋の内容物の調理にバラツキがでないようにすることが重要である。各鍋の内容物の調理のバラツキは、各鍋を誘導加熱した際の水分の蒸発量のバラツキによることが多く、鍋と蓋の嵌合が悪くなり、隙間ができると蒸気がリークするので各鍋間で蒸発量のバラツキが生じる。
各鍋および各蓋はそれぞれのパレットの所定の位置に支持・固定してあるが、完全に固定してしまうと、それぞれのパレットは加熱され長時間使用されると不規則な歪みが生じ、その結果、鍋と蓋の嵌合が悪くなってしまう。そこで、支持・固定位置移動手段を設けて、完全に固定せずに、鍋と蓋の嵌合が悪くなった場合に、支持・固定位置が予め所定の範囲内で自由に移動できるようにしておくことにより、鍋と蓋の嵌合を常によい状態に維持することができ、各鍋の内容物の調理のバラツキを抑えることができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0049】
本発明の請求項10記載の誘導加熱調理装置は、請求項1から請求項9のいずれかに記載の誘導加熱調理装置において、
前記蓋に少なくとも1つの水蒸気逃し穴を設けたことを特徴とするものであり、
調理中に鍋内の水蒸気を蓋の水蒸気逃し穴を経て逃がすことができるので、吹きこぼれが起きにくく、さらに衛生的で、安全性が向上するというさらなる顕著な効果を奏する。
【0050】
本発明の請求項11記載の誘導加熱調理装置は、請求項1から請求項9のいずれかに記載の誘導加熱調理装置において、
前記蓋と前記鍋を密封して嵌合するようにし、加圧調理機能を持たせたことを特徴とするものであり、
調理物によっては蓋と鍋を密封して嵌合すると温度、圧力を上げることができ、加圧調理が可能となり、調理時間を大幅に短縮することができるとともに、調理物の飛び散りや吹きこぼれや水蒸気のリークなどを防止でき、より衛生的で、安全性に優れた、均一品質の包装食品製品を得ることができるという顕著な効果を奏する。
【0051】
本発明の請求項12記載の誘導加熱調理装置は、請求項11記載の誘導加熱調理装置において、
さらに圧力調整機能を設けたことを特徴とするものであり、
圧力調整機能を設けたことにより温度、圧力を調整できるので、加圧調理機能により調理時間を大幅に短縮できるばかりでなく、原材料の特性に合わせた条件で調理ができ、調理物の飛び散りや吹きこぼれや水蒸気のリークなどをより防止でき、より衛生的で、より安全性に優れた、優れた食味、食感を有する均一品質の包装食品製品を得ることができるという顕著な効果を奏する。
【0052】
本発明の請求項13記載の誘導加熱調理装置は、請求項1から請求項12のいずれかに記載の誘導加熱調理装置において、
前記調理室を略密閉し無菌空間とするための無菌空間形成手段を備えたことを特徴とするものであり、
無菌空間形成手段により調理室を容易に無菌空間とすることができ、無菌空間とした前記調理室内を通過・移動させながら、誘導加熱手段の強力な誘導加熱による急速な加熱により短時間で連続的に均一に調理できるので、より衛生的で、安全性に優れた、均一品質の包装食品製品を得ることができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0053】
本発明の請求項14記載の発明は、請求項1記載の誘導加熱調理装置を用いて連続的に調理する包装食品の製造方法であって、
鍋に調理に必要な材料をそれぞれ充填した後、必要に応じて前記鍋の開口部を閉じるための蓋をした複数の鍋を、前記移動手段により、前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱手段で加熱して調理した後、必要に応じて冷却し、そして内容物を別途用意した容器側に移行させ、包装手段により前記容器を密封シールして製品とすることを特徴とするものであり、
米穀類、豆類、米飯類、各種麺類、パスタ類、野菜、食肉類などの固形食品や、カレー、シチュー、スープなどの液状あるいは粘性のある食品を調理して包装食品を製造する際に、必要な材料を入れた複数の鍋を調理室内を搬送方向に移動させながら、誘導加熱手段により連続的に複数の鍋をまとめてその強力な誘導加熱により急速に加熱して効率よく均一に調理でき、そして調理後は鍋から前記容器に自動的に充填し密封シールするようにすれば従来にない優れた食味・食感の均一品質の包装食品製品を得ることができるという顕著な効果を奏する。
【0054】
本発明の請求項15記載の発明は、請求項2記載の誘導加熱調理装置を用いて連続的に調理する包装食品の製造方法であって、
複数の鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した鍋パレットの全鍋に、調理に必要な材料をそれぞれ充填した後、複数の前記鍋パレットを、必要に応じて前記鍋の開口部を閉じるための蓋をして前記移動手段により、前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱コイルで加熱して調理した後、必要に応じて冷却し、そして内容物を別途用意した容器側に移行させ、包装手段により前記容器を密封シールして製品とし、そして使用した前記鍋パレットを洗浄して再使用することを特徴とするものである。
前記鍋パレットを使用し、前記調理室内を前記移動手段により前記鍋パレットを通過・移動させながら、前記誘導加熱コイルの強力な誘導加熱により急速に加熱するようにしたので、全鍋中の内容物をまとめて短時間で連続的により効率よく均一に調理でき、従来にない食味・食感に優れた均一品質の包装食品を製造できるという顕著な効果を奏する。
【0055】
使用済みの鍋パレットを洗浄・乾燥するなどすれば、容易に再使用でき、コストダウンを図れる上、衛生面および安全面での信頼性がより向上するというさらなる顕著な効果を奏する。
水分を蒸発させて除いたり、煮詰めるような場合は、蓋をしない方が良好な調理ができるとともに、取り扱い易くなりコストダウンとなる。
【0056】
本発明の請求項16記載の発明は、請求項3記載の誘導加熱調理装置を用いて連続的に調理する無菌包装食品の製造方法であって、
複数の鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した鍋パレットの全鍋に、調理に必要な材料をそれぞれ充填した後、前記鍋の開口部を閉じるための複数の蓋を蓋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した蓋パレットを重ね合わせて前記鍋の開口部を閉じた状態にした複合パレットを形成し、前記移動手段により、複数の前記複合パレットを前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱コイルで加熱して調理した後、必要に応じて冷却し、そして内容物を別途用意した容器側に移行させ、必要に応じて包装手段により前記容器を密封シールして製品とし、そして使用した前記鍋パレットおよび前記蓋パレットを洗浄して再使用することを特徴とするものであり、
鍋パレットの全鍋に、調理に必要な材料をそれぞれ所定量充填した後、必要に応じて副材料を前記鍋に加え、前記鍋パレットに前記蓋パレットを重ね合わせて前記全鍋の開口部を閉じた状態にした複合パレットを形成し、この複合パレットを前記調理室内を前記移動手段により通過移動させながら、前記誘導加熱コイルの強力な誘導加熱により急速に加熱するようにしたので、大幅に生産効率を向上できる上、より衛生的で、安全性をより高めることができるという顕著な効果を奏する。
【0057】
また、各パレットの枠を、各工程における搬送、運搬に利用し、十分に耐えうる丈夫な設計とすることで、個々の鍋や蓋を軽く軽量なものにすることが可能となり、薄く軽量な鍋や蓋は誘導加熱効率を向上させ、誘導加熱エネルギーを十分かつ急速に調理物に伝えることが可能となる。これにより、省エネの効果を奏するとともに、調理時間の一層の短縮、設備の小型化を実現でき、さらには食味・食感なども自在に調整することが可能となる。
またパレットに支持・固定する鍋の大きさを最終製品と同容量に設計すれば、より均一に個々の製品を製造することができ、また、鍋から容器への充填もより容易に行うことができる。調理後に急速な冷却を必要とする調理物の場合にも、より均一で急速な冷却を可能とする。
使用済みの鍋パレットおよび蓋パレットを洗浄・乾燥するなどすれば、容易に再度使用でき、コストダウンを図れる上、衛生面および安全面での信頼性がより向上するというさらなる顕著な効果を奏する。
調理物によっては蓋をすると温度、圧力を上げることができ良好な調理ができるとともに、調理物の飛び散りを防止できる。
【0058】
本発明の請求項17の発明は、請求項16記載の包装食品の製造方法において、請求項4記載の誘導加熱調理装置を用いて連続的に調理した後、前記(1)〜(3)の工程により包装食品を製造することを特徴とするものであり、
より衛生的で、安全性および信頼性に優れた、より均一品質の食味や食感の優れた包装食品製品を経済的に製造できるというさらなる顕著な効果を奏する。
別途洗浄や殺菌が必要となってしまう受台のような部品を使用する必要がなくなり、衛生的に容易にしかも確実に容器に自動充填して製品とすることができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0059】
本発明の請求項18の発明は、請求項16記載の包装食品の製造方法において、請求項5記載の誘導加熱調理装置を用いて連続的に調理した後、前記(1)〜(3)の工程により包装食品を製造することを特徴とするものであり、
より衛生的で、安全性および信頼性に優れた、より均一品質の食味や食感の優れた包装食品製品を経済的に製造できるというさらなる顕著な効果を奏する。
別途洗浄や殺菌が必要となってしまう受台のような部品を使用する必要がなくなり、衛生的に容易にしかも確実に容器に自動充填して製品とすることができるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0060】
鍋内で調理された内容物の表面側は例えば内容物の米飯の米粒が立った状態になり見た目がよく最終製品の外観としてふさわしいことが多いのに対して、底面側は内容物が扁平で立体的でなくなり、最終製品の外観としてふさわしくないことが多いが、前記のように2回反転すると鍋内の表面側が容器内の表面側になるのでふっくらと仕上がり、また底部も2回反転することで米粒間に適度な隙間が生じるなど商品価値が向上し、良好な最終製品が得られるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0061】
本発明の請求項19の発明は、請求項18記載の包装食品の製造方法において、 前記反転手段を用いてパレットを天地反転させる際に、前記蓋に設けた水蒸気逃し穴から、鍋内の余分な水分や結露水を鍋外に排出することを特徴とするものであり、
本発明の方法に従って例えば、パスタなどを茹でる調理を行う際には、包装する前に茹で汁を除去する必要があり、複合パレットを反転させる際に、蓋に設けた水蒸気逃し穴から、鍋内の茹で汁を鍋外に排出すれば、商品価値が向上し、よい最終製品が得られるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0062】
本発明の請求項20は、請求項15から請求項18のいずれかに記載の包装食品の製造方法において、
前記反転手段を用いてパレットを天地反転させる際に、前記鍋または前記蓋と容器が密封して嵌合することを特徴とするものであり、
調理物によっては反転手段を用いてパレットを天地反転させる際に、調理物の飛び散りやスープや汁などの液体のもれなどの恐れがあるが、鍋または蓋と容器を密封して嵌合することによりこれらを防止でき、より衛生的で、安全性に優れた、より均一品質の食味や食感の優れた包装食品製品を経済的に製造できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【0063】
本発明の請求項21記載の無菌包装食品の製造方法は、請求項13記載の誘導加熱調理装置を用いて前記(1)〜(5)の工程により連続的に無菌包装食品を製造するに際して、少なくとも前記(2)〜(5)の工程を無菌空間で行うことを特徴とするものであり、
例えば予め殺菌した米穀類、豆類、米飯類、各種麺類、パスタ類、野菜、食肉類などの固形食品や、カレー、シチュー、スープなどの液状あるいは粘性のある食品を少なくとも前記(2)〜(5)の工程を無菌的に調理ないし炊飯して無菌包装食品を製造する際に、必要な材料を入れた複数の鍋を略密閉し無菌空間とした調理室内を搬送方向に移動させながら、誘導加熱手段により連続的に複数の鍋をまとめてその強力な誘導加熱により急速に加熱して効率よく均一に調理し、そして調理後は鍋から容器に自動的に充填し密封シールするようにすれば従来にない優れた食味・食感の均一品質の無菌包装食品製品を得ることができるという顕著な効果を奏する。
材料および副材料をそれぞれに適した方法で個別に殺菌した後に無菌的にそれらを加えるので、加熱による殺菌を行う場合に熱伝達を妨げる副材料がなくなりその結果、殺菌効率がよくなり、同時に殺菌による品質劣化を最小限に抑制することができる。
【0064】
本発明の請求項22記載の無菌包装食品の製造方法は、請求項13記載の誘導加熱調理装置を用いて前記(1)〜(6)の工程により連続的に無菌包装食品を製造するに際して、少なくとも前記(2)〜(5)の工程を無菌空間で行うことを特徴とするものであり、
例えば所定数の鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した鍋パレットの全鍋に、調理に必要な材料をそれぞれ所定量充填して殺菌した後、別途殺菌した副材料を必要に応じて無菌空間で加え、次いで前記複数の鍋パレットを、前記移動手段により、略密閉し無菌空間とした前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱コイルの強力な誘導加熱により急速に加熱して調理し、必要に応じて無菌空間で冷却し、そして、前記鍋パレットの各鍋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の別途予め殺菌した容器を重ね合わせて閉じ、反転手段を用いて前記鍋パレットを無菌空間で天地反転させて、内容物を前記容器側に移行し、包装手段により前記容器を密封シールして製品とする各工程を無菌空間で行うようにしたので、全鍋中の内容物をまとめて短時間で連続的により効率よく均一に調理でき、従来にない食味・食感に優れた均一品質の無菌包装食品を製造できるという顕著な効果を奏する。
【0065】
使用済みの鍋パレットを洗浄・乾燥するなどすれば、容易に再度使用でき、コストダウンを図れる上、衛生面および安全面での信頼性がより向上するというさらなる顕著な効果を奏する。
材料および副材料をそれぞれに適した方法で個別に殺菌した後に無菌的にそれらを加えるので、加熱による殺菌を行う場合に熱伝達を妨げる副材料がなくなりその結果、殺菌効率がよくなり、同時に殺菌による品質劣化を最小限に抑制することができる。
水分を蒸発させて除いたり、煮詰めるような場合は、蓋をしない方が良好な調理ができるとともに、取り扱い易くなりコストダウンとなる。
【0066】
本発明の請求項23記載の無菌包装食品の製造方法は、請求項13記載の誘導加熱調理装置を用いて前記(1)〜(6)の工程により連続的に無菌包装食品を製造するに際して、少なくとも前記(2)〜(5)の工程を無菌空間で行うことを特徴とするものであり、
鍋パレットの全鍋に、調理に必要な材料をそれぞれ所定量充填して殺菌した後、別途殺菌した副材料を必要に応じて無菌空間で前記鍋に加え、前記鍋パレットに別途殺菌した前記蓋パレットを重ね合わせて前記全鍋の開口部を閉じた状態にした複合パレットを形成し、この複合パレットを略密閉し無菌空間とした前記調理室内を前記移動手段により通過移動させながら、前記誘導加熱コイルの強力な誘導加熱により急速に加熱して調理し、必要に応じて無菌空間で冷却し、そして、必要に応じて反転手段を用いて前記複合パレットを天地反転させて内容物を前記蓋パレットの各蓋側に移行させた後、前記蓋パレットの各蓋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の別途予め殺菌した容器を重ね合わせて閉じ、反転手段を用いて前記蓋パレットを天地反転させて内容物を前記容器側に移行する各工程を無菌空間で行うようにしたので、内容物をまとめて短時間で連続的により効率よく均一に調理でき、大幅に生産効率を向上できる上、より衛生的で、安全性をより高めることができ従来にない食味・食感に優れた均一品質の無菌包装食品を製造できるという顕著な効果を奏する。
【0067】
また、各パレットの枠を、各工程における搬送、運搬に利用し、十分に耐えうる丈夫な設計とすることで、個々の鍋や蓋を軽く軽量なものにすることが可能となり、薄く軽量な鍋や蓋は誘導加熱効率を向上させ、誘導加熱エネルギーを十分かつ急速に調理物に伝えることが可能となる。これにより、省エネの効果を奏するとともに、調理時間の一層の短縮、設備の小型化を実現でき、さらには食味・食感なども自在に調整することが可能となる。
またパレットに支持・固定する鍋の大きさを最終製品と同容量に設計すれば、より均一に個々の製品を製造することができ、また、鍋から容器への無菌的充填もより容易に行うことができる。調理後に急速な冷却を必要とする調理物の場合にも、より均一で急速な冷却を可能とする。
使用済みの鍋パレットおよび蓋パレットを洗浄・乾燥するなどすれば、容易に再度使用でき、コストダウンを図れる上、衛生面および安全面での信頼性がより向上するというさらなる顕著な効果を奏する。
材料および副材料をそれぞれに適した方法で個別に殺菌した後に無菌的にそれらを加えるので、加熱による殺菌を行う場合に熱伝達を妨げる副材料がなくなりその結果、殺菌効率がよくなり、同時に殺菌による品質劣化を最小限に抑制することができる。
調理物によっては蓋をすると温度、圧力を上げることができ良好な調理ができるとともに、調理物の飛び散りを防止できる。
【0068】
本発明の請求項24記載の無菌包装食品の製造方法は、請求項13記載の誘導加熱調理装置を用いて前記(1)〜(6)の工程により連続的に無菌包装食品を製造するに際して、少なくとも前記(2)〜(5)の工程を無菌空間で行うことを特徴とするものであり、
鍋パレットの全鍋に、調理に必要な材料をそれぞれ所定量充填し、前記鍋の開口部を閉じるための所定数の蓋を蓋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した蓋パレットとともに殺菌した後、別途殺菌した副材料を必要に応じて無菌空間で前記鍋に加え、前記鍋パレットに前記蓋パレットを重ね合わせて前記全鍋の開口部を閉じた状態にした複合パレットを形成し、この複合パレットを略密閉し無菌空間とした前記調理室内を前記移動手段により通過移動させながら、前記誘導加熱コイルの強力な誘導加熱により急速に加熱して調理し、必要に応じて無菌空間で冷却し、そして、必要に応じて反転手段を用いて前記複合パレットを天地反転させて内容物を前記蓋パレットの各蓋側に移行させた後、前記蓋パレットの各蓋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の別途予め殺菌した容器を重ね合わせて閉じ、反転手段を用いて前記蓋パレットを天地反転させて内容物を前記容器側に移行する各工程を無菌空間で行うようにしたので、内容物をまとめて短時間で連続的により効率よく均一に調理でき、大幅に生産効率を向上できる上、より衛生的で、安全性をより高めることができ従来にない食味・食感に優れた均一品質の無菌包装食品を製造できるという顕著な効果を奏する。
【0069】
また、各パレットの枠を、各工程における搬送、運搬に利用し、十分に耐えうる丈夫な設計とすることで、個々の鍋や蓋を軽く軽量なものにすることが可能となり、薄く軽量な鍋や蓋は誘導加熱効率を向上させ、誘導加熱エネルギーを十分かつ急速に調理物に伝えることが可能となる。これにより、省エネの効果を奏するとともに、調理時間の一層の短縮、設備の小型化を実現でき、さらには食味・食感なども自在に調整することが可能となる。
またパレットに支持・固定する鍋の大きさを最終製品と同容量に設計すれば、より均一に個々の製品を製造することができ、また、鍋から容器への無菌的充填もより容易に行うことができる。調理後に急速な冷却を必要とする調理物の場合にも、より均一で急速な冷却を可能とする。
使用済みの鍋パレットおよび蓋パレットを洗浄・乾燥するなどすれば、容易に再度使用でき、コストダウンを図れる上、衛生面および安全面での信頼性がより向上するというさらなる顕著な効果を奏する。
材料および副材料をそれぞれに適した方法で個別に殺菌した後に無菌的にそれらを加えるので、加熱による殺菌を行う場合に熱伝達を妨げる副材料がなくなりその結果、殺菌効率がよくなり、同時に殺菌による品質劣化を最小限に抑制することができる。
調理物によっては蓋をすると温度、圧力を上げることができ良好な調理ができるとともに、調理物の飛び散りを防止できる。
【0070】
本発明の請求項25記載の包装食品あるいは無菌包装食品の製造方法は、請求項14から請求項24のいずれかに記載の包装食品あるいは無菌包装食品の製造方法において、
包装食品あるいは無菌包装食品が固形物を含む包装食品あるいは無菌包装食品であることを特徴とするものであり、
米穀類、豆類、米飯類、各種麺類、パスタ類、野菜、食肉類などの固形食品を含む包装食品および無菌包装食品の製造や、あるいはカレー、シチュー、スープなどの液状あるいは粘性のある、固形食品を含む包装食品および無菌包装食品の製造を効率的かつ経済的に行って、従来にない食味・食感に優れた均一品質の包装食品および無菌包装食品を製造できるというさらなる顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
次に本発明の内容を詳細に説明する。
図1は、本発明の誘導加熱調理装置を用いて無菌包装米飯を製造する1例を模式的に説明するための説明図である。
図2(イ)は、本発明で用いる鍋パレットの1例を説明するための平面説明図であり、(ロ)は、その側面説明図である。
図3(イ)は、本発明で用いる蓋パレットの1例を説明するための平面説明図であり、(ロ)は、その側面説明図である。
図4は、鍋パレットに蓋パレットを重ね合わせて形成した複合パレットの端部の1例を説明するための断面説明図である。
図5は、図1に示した本発明の誘導加熱調理装置の調理装置本体の1例を説明するための断面説明図である。
図6は、図5に示した調理装置本体の説明図である。
なお、これらの図において同一符号の部分は同一機能をもつ部分である。
【0072】
次に、図を用いて本発明の誘導加熱調理装置を用いて無菌包装米飯を製造する1例を説明する。
図1において、1は本発明の誘導加熱調理装置を示す。
本発明の誘導加熱調理装置1は、洗浄した鍋パレット2の全鍋3に、浸漬後に水切りした浸漬米をそれぞれ所定量充填し、そして殺菌するための殺菌機4を備えている。
また、本発明の誘導加熱調理装置1は、炊き水殺菌機5、無菌空間とした炊き水充填・蓋被せ装置6、蓋パレット洗浄機7、蓋パレット殺菌機8を備えている。
殺菌機4で殺菌した後、全鍋3に炊き水殺菌機5で殺菌した炊き水を炊き水充填・蓋被せ装置6内で加え、次いで蓋パレット洗浄機7で洗浄し、蓋パレット殺菌機8で殺菌した蓋パレット9を炊き水充填・蓋被せ装置6内で前記鍋パレット2に重ね合わせて、鍋パレット2の全鍋3の開口部21を全蓋で閉じた状態にした複合パレット10を形成する。
【0073】
本発明の誘導加熱調理装置1は、調理装置本体11を備えている。調理装置本体11は、略密閉し無菌空間とした調理室12と、調理室12の下方の外側に一体的に区画して装着した機械室13を備えている。
前記複合パレット10を調理室12内を移動手段のチェーンコンベア50で回転ローラ51上を矢印で示した搬送方向に連続的に通過移動させながら全鍋3の底部56を加熱して連続的に調理するために、機械室13のコイル室40内に4列の誘導加熱コイル14が備えられている。
【0074】
そして、本発明の誘導加熱調理装置1は、反転手段15、容器を殺菌し、殺菌した容器を供給する容器殺菌供給機16、鍋パレット洗浄機18およびパレットリサイクルラインを備えている。
炊飯後、複合パレット10を反転手段15により天地反転させて、内容物を蓋パレット9の各8個の蓋側に移行させる。そして、複合パレット10から鍋パレット2を分離して反転装置15外に出して、鍋パレット洗浄機18へ移送して洗浄し、そして洗浄した鍋パレット2をパレットリサイクルラインを経て移送して再度使用するようになっている。
【0075】
反転手段15において、鍋パレット2を分離した蓋パレット9の各8個の蓋の開口部31に、図示しない容器を容器殺菌供給機16で紫外線照射法あるいはその他の公知の方法で殺菌処理し、殺菌処理した容器をそれぞれ重ね合わせる。
容器は各8個の蓋の開口部31を閉じることができる形態を有するようにプラスチックなどの材料を用いて形成されている。
【0076】
容器を重ね合わせた蓋パレット9を反転手段15により再度天地反転させて内容物をそれぞれ各容器側に移行させる。そして蓋パレット9を分離する。
本発明の誘導加熱調理装置1は、分離した蓋パレット9を洗浄するための蓋パレット洗浄機7および蓋パレット殺菌機8を備えている。また、分離した蓋パレット9を蓋パレット洗浄機7で洗浄し、蓋パレット殺菌機8で殺菌した蓋パレット9をリサイクルして炊き水充填・蓋被せ装置6へ供給して再度使用するためのパレットリサイクルラインを備えている。
【0077】
そして本発明の誘導加熱調理装置1は包装シール装置17およびフィルム殺菌機19を備えている。
包装シール装置17において、内容物を収容した容器をフィルム殺菌機19で殺菌された図示しないフィルムを用いて連続的に密封シールして包装して製品を得るようになっている。
【0078】
本発明でいう無菌空間には、例えば無菌空間形成手段としての防塵フィルタで濾過した高い清浄度を有する無菌空気を利用した、いわゆるクリーンルームやクリーンブースなどを適宜用いることができる。しかし、空間を密閉構造としやすく、かつ生産前に空間内を薬剤などで容易に殺菌でき、環境からの2次汚染に心配のない無菌チャンバーやアイソレータなどを用いることがより適している。
鍋パレットおよび全鍋、蓋パレットおよび全蓋、複合パレット、内容物、炊き水などを殺菌するためには水蒸気による加圧・加熱殺菌法あるいはその他の公知の方法を使用することができる。殺菌工程は、それぞれ個々に行ってもよいが、殺菌工程の効率を考慮すると、調理あるいは炊飯前にまとめて殺菌を行うことが好ましい。
【0079】
本発明で用いる鍋パレット2は、図2(イ)に矢印で示した搬送方向に交差する方向に沿って間隔を置いて4個の鍋3(A1−1〜A1−4)が鍋パレット2の鍋固定用の枠20および内枠22の所定の位置に支持・固定して結合してあるとともに、搬送方向に沿って間隔を置いて前記4個の鍋3に対応して4個の鍋3(A2−1〜A2−4)が前記枠20および内枠22の所定の位置に支持・固定して結合してある。
内枠22の両端部に位置合わせピン23が図2(ロ)に示したように上方に突き出て設けられている。
24はスペーサであり、図2(ロ)に示したように8個の前記鍋は鍋固定用の枠20および内枠22の所定の位置にスペーサ24を介してそれぞれ固定ボルト25を用いて支持・固定して結合してある。
【0080】
本発明で用いる蓋パレット9は、図3(イ)に矢印で示した搬送方向に交差する方向に沿って間隔を置いて4個の蓋38(B1−1〜B1−4)が蓋パレット9の蓋固定用の枠30および内枠32の所定の位置に支持・固定して結合してあるとともに、搬送方向に沿って間隔を置いて前記4個の蓋38に対応して4個の蓋38(B2−1〜B2−4)が前記枠30および内枠32の所定の位置に支持・固定して結合してある。
【0081】
内枠32の両端部には前記位置合わせピン23に対応する位置に、位置合わせピン23を挿入して位置合わせできるように位置合わせ穴33が貫通して設けられている。
【0082】
34はスペーサであり、図3(ロ)に示したように8個の前記蓋38は蓋固定用の枠30および内枠32の所定の位置にスペーサ34を介してそれぞれ移動式固定ボルト35を用いて支持・固定して結合してある。
一つの鍋パレットあるいは蓋パレットに結合する鍋あるいは蓋の数は、固定用の枠が鍋や蓋の重量により変形することがなく、また、各工程における搬送・運搬において支障のない数であればよく、特に限定されないが、鍋の大きさを最終製品と同容量に設計する場合には、搬送方向と交差する方向に概して3〜6個、搬送方向に概して1〜4個程度が望ましい。
【0083】
鍋パレット2の上方に蓋パレット9を重ね合わせて前記全鍋3の開口部21を全蓋で閉じることができる。
【0084】
本発明の誘導加熱調理装置1は加圧調理機能を有している。すなわち鍋3と蓋38は上記のようにスペーサ24、34を介してそれぞれ鍋パレット2および蓋パレット9の枠の所定の位置に支持・固定されており、鍋パレット2と蓋パレット9を重ね合わせて全鍋3の開口部21を対応する蓋38で密封して嵌合させて閉じた状態にして加圧調理できる。
各蓋38にはそれぞれ4個の水蒸気逃し穴36が設けられている。水蒸気逃し穴36の径は、水蒸気は外部に逃がすが、鍋内の圧力が所定の圧力となるよう、穴36の数と大きさを調整する。なお、穴36の径は約1〜10mm程度にすることが好ましい。
例えば、通常の炊飯などの調理において、鍋内の圧力を高圧にするためには穴36の径は1〜3mmがより好ましく、中圧にするためには3〜6mmがより好ましく、低圧にするためには6〜10mmがより好ましい。
また、本発明の誘導加熱調理装置1に他の圧力調整機能を設けた加圧調理機能を持たせることができる。すなわち圧力調整機能としては、上記のように蓋38に所定個数の水蒸気逃し穴36を設置する例に限定されず、各鍋内の圧力を自動的に調整できる小型自動開閉弁や鍋内の圧力が所定の圧力を超えたら蒸気を外部に吐出する逆止弁を設置するなどいずれも使用できる。
しかし、蓋38に所定個数の水蒸気逃し穴36を設置する方法は簡単で効果的かつ経済的であり好ましく使用できる。
【0085】
さらに、図5に示したように本発明の誘導加熱調理装置1は、鍋パレットおよび複合パレットなどを水平な搬送方向に連続的に移動させるための移送手段を備えている。
50は移送手段としてのチェーンコンベア、51は調理室12の側壁52の内部に固定して設置された自在に回転するローラであり、ローラ51の上に複合パレット10の両端部39を載置してささえて、複合パレット10を搬送方向に水平に移動し易くしている。
【0086】
図5、図6に示したように調理室12の天板26上には調理室12内を無菌空間にするための無菌空間形成手段としての除塵フィルタユニット27が設置されている。29はフィルタであり、給気ファン28によって吸引された外気をフィルタ29で処理してクリーンにして、調理室12内へ供給して調理室12内を無菌空間とするように構成されている。
本発明で使用する無菌空間形成手段はフィルタに限定されるものでなく、また、フィルタの数(1段、2段、3段・・・)も限定されない。公知の無菌空間形成手段を使用できるが、無菌化効率および経済性の観点から前記除菌フィルタユニット27は好ましく使用することができる。
【0087】
調理装置本体11に、調理室12の内部空気温度を制御して、例えば炊飯に適する所定温度にする図示しない加熱手段を備え、加熱手段によりその内部空気温度を所定温度に制御して加熱された調理室12内を通過して搬送方向に複合パレット10を移動させながら、誘導加熱コイルにより連続的にまとめて加熱するように構成すれば、誘導加熱および制御された内部空気からの熱により適切な温度に急速に加熱でき、効率よくより均一に炊飯できる。
【0088】
図5、図6に示したように機械室13は、コイル室40とインバータ室41を備えている。そして機械室13は冷却手段を備えている。
この冷却手段は、コイル室40とインバータ室41を冷却するために、外気を給気口42を経てインバータ室41へ吸入し、次いでコイル室40へ供給するための内部給気ファン43を備えており、コイル室40を冷却した後、排気口44を経てインバータ室41と区画して設けた排気室45へ送り、外部に排気する排気ファン46を備えている。
【0089】
誘導加熱コイル14は作動中に発熱してコイル室40内が加熱され、また、インバータ室41内も加熱されるが、前記冷却手段により良好に冷却されるので、コイル室40、インバータ室41およびインバータ54などが加熱されず正常に作動し、信頼性を一層向上できるとともに、省エネになる。
コイル室40およびインバータ室41を冷却した空気を利用して調理室12の内部空気温度の制御に使用することができる。
調理室12の内部空気温度を所定温度に制御し、所定温度に加熱された調理室12内を通過して搬送方向に複合パレット10を移動させながら、誘導加熱コイルにより連続的にまとめて加熱すれば、誘導加熱および所定温度に制御された内部空気からの熱により適切な温度に急速に加熱でき、効率よくより均一に調理できる。
【0090】
調理室12は図5、図6に示すように、磁力線透過可能な材料(例えば、エンジニアリングプラスチックの板、ガラス繊維強化プラスチックスのシートなど)53によりコイル室40と区画されている。コイル室40内には複数の誘導加熱コイル14が設置板55上に碍子などの固定部材によって所定位置に固定して設置されている。
コイル14は銅板コイルやリッツ線コイルなどを適宜使用できる。
例えば、銅板コイルの場合は、各誘導加熱コイル14は上方の磁力線透過可能な材料53に、例えば約2〜4mmの間隔で近接させて備えられている。
2mm未満であると各誘導加熱コイル14の熱により磁力線透過可能な材料53が変形したり亀裂が発生したりするなど悪影響がでる恐れがあり、4mmを超えると各誘導加熱コイル14による高効率の加熱ができない恐れがあり、いずれも好ましくない。
なお、調理室12の鍋3は、各底部56が磁力線透過可能な材料53に、例えば約3〜5mmの間隔で近接させて、搬送方向に水平に移動するようになっている。
3mm未満であると各底部56が磁力線透過可能な材料53に接触する恐れがあり、5mmを超えると各誘導加熱コイル14による高効率の加熱ができない恐れがあり、いずれも好ましくない。
インバータ室41にはインバータ54などが設置されている。
【0091】
誘導加熱コイル14は、図5に示すように全鍋3(A1−1〜A1−4、A2−1〜A2−4)の各底部56を誘導加熱して連続炊飯を行うために、4列の鍋に対応して所定の間隔を置いて設置された4列の誘導加熱コイル(C1−1〜C1−4)などから構成されており、さらに、搬送方向にも図示しない誘導加熱コイル(C2−1〜C2−4・・・)が、4個ずつまとめて所定の間隔を置いて所定数配置されている。
誘導加熱コイル(C1−1〜C1−4、C2−1〜C2−4・・・)は、それぞれ同一形状のものであり、例えば、導線が略正方形に複数回巻かれているとともに、中央空間部を有する略正方形板状に形成されたものである。
【0092】
導線を略正方形に巻くのは、鍋3の底部56を均一に加熱するため、配設作業の容易化のため、および、互いに隣接するコイル相互の発生する磁力線が干渉して打ち消し合ってしまうような悪影響を及ぼさない程度まで対向辺を平行に位置させることで互いに隣接するコイルとコイルとの間隙を狭めて配設できるようにするためであるが、その形状は適宜変更することができる。
【0093】
また、各コイルの中央部に所定の大きさの中央空間部を形成するのは、1つの1巡するコイルにおいても往路と復路では高周波電流の向きが逆となり、近づきすぎると互いに磁力線が干渉して打ち消し合ってしまうような悪影響を及ぼし合うこととなるからである。
【0094】
また、互いに隣接するコイルであって異なるインバータに接続されているもの同士間の間隙では、必ず、互いに磁力線が干渉して打ち消し合ってしまうような悪影響を及ぼし合わない程度の大きさとなっている。
【0095】
なお、各誘導加熱コイル14は各鍋3の底部56と搬送方向に交差する方向の巾がほぼ同一になっている。
インバータは、コイル4個ずつをまとめて制御できるように1つのインバータに接続されているが、例えば8個や12個などのコイルをまとめて1つのインバータに接続してもよい。また逆に、1個ずつのコイルに個別に接続し、それぞれ個別に制御してもよい。また、複数のコイルをまとめて接続する場合の、まとめるコイルの組み合わせ位置も、制御の必要性に応じて適宜変更できる。
【0096】
またインバータには、図示しない安全装置(保護装置)が組み込まれている。このため、誘導加熱コイル14の上方位置において、その略半分以上が鍋3の底部56によって覆われていない状態では、安全装置が作動し、誘導加熱コイル14にはインバータから電力が供給されずコイル電流が流されない。
【0097】
次に、本発明の誘導加熱調理装置1を用いて炊飯する例について説明する。
(イ)先ず、鍋パレット洗浄機18で洗浄されパレットリサイクルラインを経て移送された鍋パレット2の全鍋3に、浸漬後に水切りした浸漬米および必要な材料をそれぞれ所定量(例えば、鍋毎に炊飯後に約200gのご飯が得られる量)充填する。
(ロ)そして全鍋3に浸漬米をそれぞれ所定量充填した鍋パレット2を殺菌機4へ連続的に移送して殺菌する。
(ハ)殺菌した後、無菌空間とした炊き水充填・蓋被せ装置6へ連続的に移送する。
(ニ)水充填・蓋被せ装置6へ移送した鍋パレット2の全鍋3に、炊き水殺菌機5で殺菌した炊き水を所定量加える。
【0098】
(ホ)蓋パレット洗浄機7で洗浄し、蓋パレット殺菌機8で殺菌した蓋パレット9を無菌空間とした炊き水充填・蓋被せ装置6へ連続的に移送する。そして、この蓋パレット9を前記鍋パレット2に重ね合わせて、鍋パレット2の全鍋3(A1−1〜A1−4、A2−1〜A2−4)の開口部21を全蓋38(B1−1〜B1−4、B2−1〜B2−4)で閉じた状態の複合パレット10を形成する。
【0099】
(ヘ)複合パレット10の鍋パレット2側を下にして、この複合パレット10を略密閉し無菌空間とした調理室12内を矢印で示した搬送方向に連続的に通過移動させながら、調理室12の下方外側に一体的に装着した機械室13のコイル室40内に備えた誘導加熱コイル14を作動させて全鍋3の底部を加熱して連続的に炊飯する。
【0100】
調理室12の無菌空間は、その温度が制御して加熱されていることが好ましく、さらに40〜250℃に加熱されていることが好ましい。
調理室12の内部空気温度は食品の種類などによって異なるので、それぞれ最適な温度を設定して制御することが肝要である。
【0101】
鍋パレット2の全鍋(A1−1〜A1−4、A2−1〜A2−4)の各底部56が、誘導加熱コイル14(C1−1〜C1−4・・・)の位置する所定の位置にきた時、図示しない位置検出手段から信号を図示しないCPUなどのハードウェアおよびプログラムなどのソフトウェアなどにて構成された制御装置に送り、この位置信号とあらかじめ設定された炊飯カーブに基づいて前記制御装置が演算し、出力信号を発信電源のインバータ54に送り所定の誘導加熱コイルに高周波電流が供給されることにより磁力線が発生し、対応する底部56に渦電流が発生し、それにより底部56が急速に加熱されて、適切な炊飯条件下で連続的に炊飯が行われる。
【0102】
調理室12とコイル室40とを区画するために磁力線透過可能な材料53を用いたので、連続的に全鍋(A1−1〜A1−4、A2−1〜A2−4)の各底部56が、誘導加熱コイル14(C1−1〜C1−4、C2−1〜C2−4・・・・)によりまとめて加熱され、効率よく短時間で(例えば、5分〜60分、好ましくは10分〜20分)炊飯することができる。
【0103】
炊飯中に鍋3の蓋の水蒸気逃し穴36からでた水蒸気が凝縮して生じた水や、万一吹きこぼれなどがあっても、磁力線透過可能な材料53上に溜るので、コイル室40内の前記誘導加熱コイル14が損なわれることがない。また、インバータ室41内に設置されたインバータ54などが損なわれることがない。
【0104】
磁力線透過可能な材料53上に万一溜った水や吹きこぼれなどがあれば、洗浄殺菌して図示しない排出手段により系外に排出することができる。凝縮した水や吹きこぼれなどをこの排出手段により連続的あるいは定期的に系外に排出することもできるので衛生的で、安全性、信頼性が向上する。
【0105】
連続的に炊飯した後、次いで、図示しない空調装置などの冷却手段により冷却された無菌空間とした冷却室内を通過移動させながら、全鍋3内の内容物の内部の温度がおよそ20〜80℃になるまで冷却するのが好ましい。
【0106】
(ト)炊飯後、連続的に無菌空間とした反転装置15に移送する。
【0107】
(チ)そして、反転装置15により複合パレット10を天地反転させて全鍋3内の内容物を対応する蓋パレット9の全蓋38側に移行させる。
(リ)内容物を全蓋38側に移行させた後、複合パレット10の鍋パレット2を分離して反転装置15外に出し、鍋パレット洗浄機18に連続的に移送して、鍋パレット洗浄機18で洗浄しパレットリサイクルラインを経て再使用する。
【0108】
(ヌ)一方、全蓋38の開口部31に嵌合可能な図示しない複数の容器を容器殺菌供給機16で殺菌した後、反転装置15に移送、供給し、移送、供給した容器を蓋パレット9の全蓋38に重ね合わせて全蓋38の開口部31を閉じた状態にした後、反転装置15を作動して容器を重ね合わせた蓋パレット9を天地反転させて全蓋38内の内容物を対応する全容器側に移行させる。
内容物を容器側に移行させた後、蓋パレット9を分離して反転装置15外に出し、蓋パレット洗浄機7に移送し、洗浄し、蓋パレット殺菌機8で殺菌してパレットリサイクルラインを経て再使用する。
【0109】
(ル)内容物を収容した容器を無菌空間とした包装シール装置17へ連続的に移送する。
(オ)そして包装シール装置17へ連続的に移送された容器は、フィルム殺菌機19で殺菌された図示しないフィルムを用いて連続的に密封シールして、製品とされる。
【0110】
鍋パレット2や蓋パレット9と同様にして枠の所定の位置に複数例えば8個の容器を着脱自在に支持・固定した図示しない容器用パレットを用いれば、重ね合わせ易く、効率がよくなり、本発明において好ましく使用できる。
【0111】
本発明で用いる鍋パレット2は、図2(イ)、(ロ)に示したように、鍋固定用の枠20の内枠22の両端部に位置合わせピン23が上方に突き出て設けられており、そして8個の前記鍋は鍋固定用の枠20および内枠22の所定の位置に例えばステンレススチールなどの低熱伝導率材料製スペーサ24を介してそれぞれ固定ボルト25を用いて支持・固定されて結合されている。
本発明で用いる蓋パレット9は、図3(イ)、(ロ)に示したように、蓋固定用の枠30の内枠32の両端部には前記位置合わせピン23に対応して位置合わせピン23を挿入して位置合わせできるように位置合わせ穴33が貫通して設けられており、そして8個の前記蓋は蓋固定用の枠30および内枠32の所定の位置に例えばステンレススチールなどの低熱伝導率材料製スペーサ34を介してそれぞれ移動式固定ボルト35を用いて支持・固定されて結合されている。
この時、鍋パレット2の上方に蓋パレット9を重ね合わせる際に、位置合わせピン23が位置合わせ穴33に挿入されるようにすれば、前記全鍋3の開口部21を全蓋で容易に精度よく閉じた状態にして複合パレット10を形成することができる。
【0112】
ここで、鍋パレット2の鍋固定用の枠20や内枠22、蓋パレット9の蓋固定用の枠30や内枠32の材質として、強度が大きく、誘導加熱され難い、例えばステンレススチールやアルミニウムやアルミニウム合金などの非磁性体の材質を用いれば、誘導加熱を鍋に集中することができる。
【0113】
全鍋や全蓋を低熱伝導率材料製のスペーサ24やスペーサ34を介して鍋パレット2や蓋パレット9の所定の位置に支持・固定したので、誘導加熱された全鍋の熱が鍋パレット2側に伝導して失われず、また、蓋パレット9側にも伝導して失われず、加熱効率が低下するのを抑制ないし防止でき、加熱効率が向上し、省エネになる。
スペーサ24やスペーサ34を形成する低熱伝導率材料としては、ステンレススチールなどの金属でもよいが金属には限定されず、低熱伝導率を有するとともに耐熱性や強度や耐久性などに優れたセラミックス、エンジニアリングプラスチックスあるいはこれらの2つ以上の混合物を用いることができる。
これらのスペーサ24やスペーサ34の大きさ、厚さ、形状などは特に限定されないが、鍋パレット2や蓋パレット9への熱伝導を極力小さくするように、例えば、発泡体とし、厚さは厚くし、形状は波型やポーラス型として接触面積を小さくしたりすることが好ましい。
【0114】
鍋パレット2の8個の鍋3を鍋固定用の枠20および内枠22の所定の位置に固定ボルト25を用いて着脱可能に支持・固定して結合し、そして蓋パレット9の8個の蓋38を蓋固定用の枠30および内枠32の所定の位置に移動式固定ボルト35を用いて着脱可能に支持・固定して結合してあるので、各鍋や各蓋の交換、修理などが容易になる。
【0115】
ここで鍋は、最低限の強度を保つために丈夫である必要があるが、丈夫な鍋は重さが重くなり、しかも誘導加熱効率が低下する。
そこで、丈夫な鍋パレット2に肉厚の薄い磁性体の鍋を支持・固定することで強度と誘導加熱効率の両立が可能となる。誘導加熱効率が向上すると、前記のように炊飯時間を短縮でき、設備を小型化できる上、食感などの調整が自由自在となる。
【0116】
そこで鍋は、例えば、ステンレススチール、鉄鋼材料、外側の表面に磁性体を有する金属粉を溶着させたアルミニウム、鉄鋼材料とアルミニウムのクラッド材などの金属を用いて、外形が大体直方体状で、上面が開口した大体箱形状をなすように一体成型された比較的厚さの薄い肉厚のものであり、大体矩形板状の底部56を有している。なお、円形もしくは略円形の鍋底でもかまわない。
【0117】
肉厚の例としては、ステンレススチールの場合は1〜2mm厚さの例を挙げることができる。1mm未満では調理量によっては強度的に不足する恐れがあり、2mmを超えると熱効率が低下する恐れがある。
クラッド鋼の場合は2〜5mm厚さの例を挙げることができる。2mm未満では調理量によっては強度的に不足する恐れがあり、5mmを超えると熱効率が低下する恐れがある。
外側の表面に磁性体を有する金属粉を溶着させたアルミニウムの場合は3〜6mm厚さなどの例を挙げることができる。3mm未満では調理量によっては強度的に不足する恐れがあり、6mmを超えると熱効率が低下する恐れがある。
このように薄い肉厚の鍋を使用することにより鍋の底部56を急速に誘導加熱できるので、調理室12の所定温度に制御された無菌空間内を通過して搬送方向に移動しながら、適切な炊飯条件下で短時間で急速に炊飯することができる。したがって、薄い肉厚の鍋を使用することにより調理室12の無菌空間の搬送方向の長さを短縮でき、小型化、省スペース化、省エネ化などが可能になる。
【0118】
そして、鍋3の底部56の外周端部から、側板部57が略垂直上方向に向って一体に突出し、この側板部57の上周端部の搬送方向に沿った前部と後部が、鍋を鍋固定用の枠20と内枠22の所定の位置に支持・固定する支持・固定箇所を形成している。
側板部57を略垂直にするのは、内容積に対する底面積の割合を大きくして誘導加熱効率を上げるため、および鍋を反転させた場合に、内容物(炊き立ての飯など)が容易に所定の位置に落下しやすくするためで、位置がずれたりしないようにするためである。
【0119】
鍋および蓋の内表面をテフロン(登録商標)などでコーテイングしたりライニングしておけば内容物(炊き立ての飯など)が内表面に付着し難くその自重で容易に落下して容器などに移行し易くなる。
また鍋および蓋の内面にエンボス加工により前記内面より下方に陥没する凹部および前記内面より上方に突出する凸部を多数設け(以下凹凸状のエンボス加工と称す)ておけば内容物(炊き立ての飯など)が内表面に付着し難くその自重で容易に落下して容器などに移行し易くなる。
固形食品の種類によっては調理後の内容物を容器側へ移行させる際に、剥離性が悪く問題となる場合があり、剥離性が悪いと歩留りが低下したり、剥離した内容物の外観が損なわれる場合があり、また鍋や蓋を再使用する際にその洗浄性に悪影響がでる恐れがあるが、内面に凹凸状のエンボス加工を設けることにより剥離性が飛躍的に向上する。
例えば、炊きたての飯の場合は、凹凸状のエンボス加工における凹部や凸部の径や間隔を飯粒の大きさより小さくするなど、内容物により凹凸の形状や大きさを適宜工夫することで、剥離性を飛躍的に向上させることができる。
凹凸状のエンボス加工に加えてコーテイングやライニングを行うことで、さらに剥離性を向上させることができる。
また、鍋の深さは、目的とする調理量が例えば500g、200g、100gなど複数になる場合には、もっとも炊飯量の多いこの例では500gのものを収容でき、かつ調理・搬送中に吹きこぼれなどのないよう多少のゆとりをもって設計するのが好ましい。
【0120】
本発明で用いる蓋パレット9は、図3に示したように、ステンレススチールなどで作られた蓋固定用の枠30と内枠32の中に蓋38(B1−1〜B1−4)および蓋38(B2−1〜B2−4)を所定の位置に支持・固定して結合してある。
蓋パレット9の8個の各全蓋の開口部31が、鍋パレット2の対応する8個の各鍋の開口部21をそれぞれ閉じるように両パレットを図5に示すように位置合わせピン23が位置合わせ穴33に挿入されるようにして重ね合わせて複合パレット10を形成すると、蓋パレット9の端部39bが鍋パレット2の端部の上に重ね合わさるようになっている。
【0121】
ここで、蓋パレット9の蓋固定用の枠30、内枠32の材質としては、強度が大きく、誘導加熱され難い、例えばステンレススチールやアルミニウム、アルミニウム合金などの非磁性体の材質を用いことが好ましい。
【0122】
ここで蓋は、例えばステンレススチール、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属を用いて、鍋パレット2の対応する8個の各鍋の開口部21をそれぞれ閉じることができるように形成される。
図3に示したように、外形が大体直方体状で下面が開口した大体箱形状をなすように一体成型された比較的厚さの薄い肉厚のものであり、大体矩形板状の上面を有している。
そして、この上面の外周端部から、側板部37が略垂直下方向に向って一体に突出し、この側板部37の下周端部の搬送方向に沿った前部と後部が蓋を蓋固定用の枠30、内枠32の所定の位置に支持・固定する支持・固定箇所を形成している。
側板部37を略垂直にするのは、内容物(炊き立ての飯など)を蓋側に反転する場合、および内容物を収容した蓋を容器側に反転させた場合に、内容物が容易に所定の位置に落下しやすくするためで、位置がずれたりしないようにするためである。
また、蓋38の箱形状部の深さは、調理物の物性や内容量に従い適宜設定すればよい。
浅すぎると、内容物の多い調理物の反転の際にあふれてしまったり、所定の位置からずれてしまったり、容器を被せることが行いにくくなったり、都合が悪い場合があり、一方、深すぎると、内容物の少ない調理物の反転の際に、反転の方法によっては、調理物が斜めにずれて容器側に落下してしまう場合がある。
【0123】
鍋と蓋およびそれらを支持するパレット枠の製法は特に限定されるものではない。例えば、平板を用いてプレスにより製造してもよく、無垢からの削り出しでもよく、鋳型を用いた鋳造などによって製造することもできる。
【0124】
鍋と蓋の嵌合部における各内側寸法、蓋と容器の嵌合部における各内側寸法、鍋と容器の嵌合部における各内側寸法において、それぞれ嵌合部において所定のズレができるようにあらかじめ設計しておくことで、容器のシール部に内容物が付着するのを防止できる。
例えば、鍋の嵌合部と蓋の嵌合部と容器の嵌合部の形状が相似形の矩形であり、2回反転させて容器に内容物を移行させる場合は、鍋の嵌合部における長辺あるいは短辺の内側寸法をX、蓋の嵌合部における長辺あるいは短辺の内側寸法をY、容器の嵌合部における長辺あるいは短辺の内側寸法Zとしたとき、Z≧Y≧Xであって、かつ(Z/Y)=1.00〜1.05、(Y/X)=1.00〜1.05の関係となるようにあらかじめ設計しておくことで、容器のシール部に内容物が付着するのを防止できる。(Z/Y)と(Y/X)が1.00未満では、小さ過ぎて容器のシール部に内容物が付着するのを防止できない恐れがあり、(Z/Y)と(Y/X)が1.05を超えると大き過ぎて嵌合が不十分となる恐れがある。
例えば、鍋の嵌合部と蓋の嵌合部と容器の嵌合部の形状が相似形の矩形であり、1回反転で容器に内容物を移行させる場合は、鍋の嵌合部における長辺あるいは短辺の内側寸法をX、容器の嵌合部における長辺あるいは短辺の内側寸法Zとしたとき、Z>Xであって、かつ(Z/X)=1.00〜1.05の関係となるようにあらかじめ設計しておくことで、容器のシール部に内容物が付着するのを防止できる。(Z/X)が1.00未満では、小さ過ぎて容器のシール部に内容物が付着するのを防止できない恐れがあり、(Z/X)が1.05を超えると大き過ぎて嵌合が不十分となる恐れがある。
鍋の嵌合部と蓋の嵌合部と容器の嵌合部の形状が相似形の円形である場合は、それぞれ内径寸法がX、Y、Zとすれば上記の関係式が成り立つ。
【0125】
また、特別に遠心力や重力の向きを気にする必要のない平易な回転装置や落下装置を用いることでこれらの移載を容易に行うことができる。
【0126】
次に、蓋パレット9の各蓋の支持・固定位置を所定の範囲内で自由に移動できるようにするための支持・固定位置移動手段を設けた例について図3および図4を用いて説明する。
図4に示したように、鍋パレット2に蓋パレット9を重ね合わせて複合パレット10が形成されており、各蓋の端部に蓋パレット9の各蓋の支持・固定位置を所定の範囲内で自由に移動可能にするための支持・固定位置移動手段60が設けられている。
支持・固定位置移動手段60は、各蓋38を蓋固定用の枠30および内枠32の所定の位置に支持・固定するための移動式固定ボルト35、蓋固定用の枠30および内枠32に貫通して設けた穴61、スペーサ34などを含む部材から構成されている。
【0127】
穴61は、移動式固定ボルト35の軸部の外径(D1)より大きな内径(D2)を有し、すなわちD2>D1としてあるので、各蓋の支持・固定位置を所定の範囲内[最大(D2−D1)の範囲内]で自由に移動できるような大きさにしてある。
各鍋3および各蓋38はそれぞれのパレット2、9の所定の位置に支持・固定して結合してあるが、それぞれのパレット2、9は加熱され長時間使用されると不規則な歪みが生じ、その結果、鍋3と蓋38の嵌合が悪くなる。鍋3と蓋38の嵌合が悪くなり隙間ができると蒸気がリークするので各鍋3間で蒸発量のバラツキが生じ、各鍋3の内容物の調理にバラツキが生じる。
【0128】
このようにパレットに不規則な歪みが生じ嵌合が悪くなった場合でも、支持・固定位置移動手段60を設けることにより、調整を必要とする個所の移動式固定ボルト35あるいは全ての移動式固定ボルト35を調整して、各蓋38の支持・固定位置を最大(D2−D1)の範囲内で前後左右に自由に移動したり、また上下にも自由に移動して、位置合わせして鍋3と蓋38の嵌合をよくした後、その状態で前記移動式固定ボルト35により各蓋38をパレット9に再度支持・固定して結合することができる。
上記のように蓋38の蓋固定用の枠30および内枠32への支持・固定位置を所定の範囲内で自由に移動できるようにすることにより、鍋3と蓋38の嵌合が悪くなることがなく、その結果、各鍋3の内容物の調理のバラツキを抑えることができる。
しかし、D2をあまり大きくし過ぎると各蓋38を蓋固定用の枠30および内枠32の所定の位置にしっかりと支持・固定できなくなる恐れがあり、逆に、D2をあまり小さくし過ぎると各蓋38の支持・固定位置を自由に移動できる範囲が小さくなり過ぎて支持・固定位置移動手段60を設置する意味がなくなる恐れが生じる。
したがって各蓋38を蓋固定用の枠30および内枠32の所定の位置にしっかりと支持・固定できる範囲で、移動式固定ボルト35およびそのパッキングやスペーサ34の形状、寸法などを勘案して(D2−D1)が最大になるように設計することが肝要である。
【0129】
図6に示したように本発明の誘導加熱炊飯装置1の調理装置本体11は、水平方向に長手方向を有する細長状で直線型に形成されており、調理室12の一端部には図示しない略密閉型の供給口が形成され、他端部には図示しない略密閉型の排出口が形成されている。
【0130】
上記実施の形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0131】
例えば、各誘導加熱コイルの形状は、略正方形状には限定されず、矩形板状、略円形状、略楕円形状に類似するものでもよい。
【0132】
また、各誘導加熱コイルと各鍋の、搬送方向と交差する方向における対応関係は、1対1の関係に限定されず、1対2の関係、あるいは2対1の関係などにすることもできる。
各誘導加熱コイルと各鍋の、搬送方向における対応関係も特に限定されず、1対1の関係、1対2の関係、2対1の関係、あるいは1対1.5などにすることもできる。
【0133】
また、複合パレットの移動手段は、複合パレットを水平な搬送方向に連続的に移動させるものには限定されず、間欠的に移動させるものでもよく、あるいは下降傾斜または上昇傾斜した搬送方向に連続的・間欠的に移動させるものであってもよい。
【0134】
また、上記実施の形態の説明においては、本発明の誘導加熱調理装置を用いて固形食品を含む無菌包装食品の1例として無菌包装米飯を製造する例を説明したが、無菌包装米飯に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で他の本発明の誘導加熱調理装置および他の本発明の製造方法を用いて、米穀類、豆類、米飯類、各種麺類、パスタ類、野菜、食肉類などの固形食品を含む包装食品や無菌包装食品などの製造を行うこともでき、またカレー、シチュー、スープなどの液状あるいは粘性のある、固形食品を含む包装食品や無菌包装食品の製造も行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明の誘導加熱調理装置は、少なくとも底部に磁力線の透過可能な材質で構成される部分を設けた調理室と、前記調理室の前記部分の外側に設けた誘導加熱手段と、上方に開口部を有する複数の鍋に必要に応じてそれぞれ前記開口部を閉じるための蓋をして前記調理室内を搬送方向に通過・移動させる移動手段と、を備えた包装食品用の誘導加熱調理装置であって、
前記移動手段により前記複数の鍋を前記調理室内を搬送方向に通過・移動させながら前記誘導加熱手段で前記複数の鍋を加熱して調理することを特徴とするものであり、
平易な機構で、設備を小型化でき、米穀類、豆類、米飯類、各種麺類、パスタ類、野菜、食肉類などの包装食品や、カレー、シチュー、スープなどの液状あるいは粘性のある、包装食品を、調理ないし炊飯して製造するに当たり、例えば全鍋に調理に必要な材料をそれぞれ所定量充填した後、別途副材料を必要に応じて加え、別途もしくは前記鍋の殺菌時に同時に殺菌した前記鍋の開口部を閉じるための蓋を必要に応じてして、前記移動手段により前記複数の鍋を前記調理室内を通過・移動させながら、誘導加熱手段の強力な誘導加熱による急速な加熱により短時間で連続的に均一に調理することにより、従来にない食味・食感に優れた均一品質の包装食品を製造できるという顕著な効果を奏するので産業上の利用価値は甚だ大きい。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】本発明の誘導加熱調理装置を用いて無菌包装米飯を製造する1例を模式的に説明するための説明図である。
【図2】(イ)は、本発明で用いる鍋パレットの1例を説明するための平面説明図であり、(ロ)は、その側面説明図である。
【図3】(イ)は、本発明で用いる蓋パレットの1例を説明するための平面説明図であり、(ロ)は、その側面説明図である。
【図4】鍋パレットに蓋パレットを重ね合わせて形成した複合パレットの端部の1例を説明するための断面説明図である。
【図5】図1に示した本発明の誘導加熱調理装置の調理装置本体の1例を説明するための断面説明図である。
【図6】図5に示した調理装置本体の説明図である。
【符号の説明】
【0137】
D1 外径
D2 内径
1 誘導加熱調理装置
2 鍋パレット
3 鍋
4 殺菌機
5 炊き水殺菌機
6 炊き水充填・蓋被せ装置
7 蓋パレット洗浄機
8 蓋パレット殺菌機
9 蓋パレット
10 複合パレット
11 調理装置本体
12 調理室
13 機械室
14 誘導加熱コイル
15 反転装置
16 容器殺菌供給機
17 包装シール装置
18 鍋パレット洗浄機
19 フィルム殺菌機
20 鍋固定用の枠
21 開口部
22 内枠
23 位置合わせピン
24 スペーサ
25 固定ボルト
26 天板
27 除塵フィルタユニット
28 給気ファン
29 フィルタ
30 蓋固定用の枠
31 開口部
32 内枠
33 位置合わせ穴
34 スペーサ
35 移動式固定ボルト
36 水蒸気逃し穴
37 側板部
38 蓋
39 パレット端部
39a 鍋パレット端部
39b 蓋パレット端部
40 コイル室
41 インバータ室
42 給気口
43 内部給気ファン
44 排気口
45 排気室
46 排気ファン
50 チェーンコンベア
51 回転ローラ
52 側壁
53 磁力線透過可能な材料
54 インバータ
55 設置板
56 底部
57 側板部
60 支持・固定位置移動手段
61 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも底部に磁力線の透過可能な材質で構成される部分を設けた調理室と、前記調理室の前記部分の外側に設けた誘導加熱手段と、上方に開口部を有する複数の鍋に必要に応じてそれぞれ前記開口部を閉じるための蓋をして前記調理室内を搬送方向に通過・移動させる移動手段と、を備えた包装食品用の誘導加熱調理装置であって、
前記移動手段により前記複数の鍋を前記調理室内を搬送方向に通過・移動させながら前記誘導加熱手段で前記複数の鍋を加熱して調理することを特徴とする誘導加熱調理装置。
【請求項2】
前記鍋を搬送方向に交差する方向に沿って間隔を置いて複数並べて配置するとともに、前記各鍋に対応してさらに搬送方向に沿って間隔を置いて鍋を複数並べて配置して、これらの全鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した複数の鍋パレットと、前記全鍋の底部を誘導加熱するために前記調理室の前記部分の外側に制御可能に所定数設置された誘導加熱コイルとを備え、
必要に応じて前記鍋の開口部を閉じるための蓋をして、前記移動手段により複数の前記鍋パレットを前記調理室内を搬送方向に通過・移動させながら前記誘導加熱手段で前記全鍋を加熱して調理することを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理装置。
【請求項3】
前記鍋を搬送方向に交差する方向に沿って間隔を置いて複数並べて配置するとともに、前記各鍋に対応してさらに搬送方向に沿って間隔を置いて鍋を複数並べて配置して、これらの全鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した複数の鍋パレットと、前記全鍋の開口部を閉じるための複数の蓋を蓋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した複数の蓋パレットと、前記全鍋の底部を誘導加熱するために前記調理室の前記部分の外側に制御可能に所定数設置された誘導加熱コイルとを備え、
前記移動手段により、前記鍋パレットに前記蓋パレットを重ね合わせて前記全鍋の開口部を閉じた状態にした複数の複合パレットを前記調理室内を搬送方向に通過・移動させながら前記誘導加熱手段で前記全鍋を加熱して調理することを特徴とする請求項1記載の誘導加熱調理装置。
【請求項4】
調理した後、前記複合パレットから前記蓋パレットを分離するための蓋パレット分離手段と、
前記蓋パレットを分離した前記鍋パレットの各鍋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の容器を重ね合わせて閉じるための鍋用容器供給装置と、
前記容器を重ね合わせた前記鍋パレットを天地反転させて内容物を前記容器側に移行させた後、前記鍋パレットを分離する反転手段とを備えたことを特徴とする請求項3記載の誘導加熱調理装置。
【請求項5】
調理した後、前記複合パレットを天地反転させて内容物を前記蓋パレットの各蓋側に移行させた後、前記鍋パレットを分離する反転手段と、
内容物を移行させた前記蓋パレットの各蓋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の容器を重ね合わせて閉じるための蓋用容器供給装置と、
前記容器を重ね合わせた前記蓋パレットを天地反転させて内容物を前記容器側に移行させた後、前記蓋パレットを分離する反転手段とを備えたことを特徴とする請求項3記載の誘導加熱調理装置。
【請求項6】
前記調理室の内部空気温度を制御して所定温度にする加熱手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の誘導加熱調理装置。
【請求項7】
前記誘導加熱手段を前記調理室と区画した機械室内に設置し、前記誘導加熱手段を冷却するために前記機械室内に冷気を導入するための冷気導入手段と、前記機械室内で前記誘導加熱手段の発熱により加熱された気体を前記調理室へ導入するための加熱気体導入手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の誘導加熱調理装置。
【請求項8】
全鍋をスペーサを介して前記鍋パレットの鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定し、あるいはさらに全蓋をスペーサを介して前記蓋パレットの蓋固定用の枠の所定の位置に支持・固定したことを特徴とする請求項2から請求項7のいずれかに記載の誘導加熱調理装置。
【請求項9】
前記蓋パレットの各蓋の支持・固定位置が所定の範囲内で自由に移動可能にするための支持・固定位置移動手段を設けたことを特徴とする請求項3から請求項8のいずれかに記載の誘導加熱調理装置。
【請求項10】
前記蓋に少なくとも1つの水蒸気逃し穴を設けたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の誘導加熱調理装置。
【請求項11】
前記蓋と前記鍋を密封して嵌合するようにし、加圧調理機能を持たせたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の誘導加熱調理装置。
【請求項12】
さらに圧力調整機能を設けたことを特徴とする請求項11記載の誘導加熱調理装置。
【請求項13】
前記調理室を略密閉し無菌空間とするための無菌空間形成手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の誘導加熱調理装置。
【請求項14】
請求項1記載の誘導加熱調理装置を用いて連続的に調理する包装食品の製造方法であって、
鍋に調理に必要な材料をそれぞれ充填した後、必要に応じて前記鍋の開口部を閉じるための蓋をした複数の鍋を、前記移動手段により、前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱手段で加熱して調理した後、必要に応じて冷却し、そして内容物を別途用意した容器側に移行させ、包装手段により前記容器を密封シールして製品とすることを特徴とする包装食品の製造方法。
【請求項15】
請求項2記載の誘導加熱調理装置を用いて連続的に調理する包装食品の製造方法であって、
複数の鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した鍋パレットの全鍋に、調理に必要な材料をそれぞれ充填した後、複数の前記鍋パレットを、必要に応じて前記鍋の開口部を閉じるための蓋をして前記移動手段により、前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱コイルで加熱して調理した後、必要に応じて冷却し、そして内容物を別途用意した容器側に移行させ、包装手段により前記容器を密封シールして製品とし、そして使用した前記鍋パレットを洗浄して再使用することを特徴とする包装食品の製造方法。
【請求項16】
請求項3記載の誘導加熱調理装置を用いて連続的に調理する包装食品の製造方法であって、
複数の鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した鍋パレットの全鍋に、調理に必要な材料をそれぞれ充填した後、前記鍋の開口部を閉じるための複数の蓋を蓋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した蓋パレットを重ね合わせて前記鍋の開口部を閉じた状態にした複合パレットを形成し、前記移動手段により、複数の前記複合パレットを前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱コイルで加熱して調理した後、必要に応じて冷却し、そして内容物を別途用意した容器側に移行させ、必要に応じて包装手段により前記容器を密封シールして製品とし、そして使用した前記鍋パレットおよび前記蓋パレットを洗浄して再使用することを特徴とする包装食品の製造方法。
【請求項17】
請求項4記載の誘導加熱調理装置を用いて連続的に調理した後、下記(1)〜(3)の工程により包装食品を製造することを特徴とする請求項16記載の包装食品の製造方法。
(1)前記蓋パレット分離手段を用いて前記複合パレットから前記蓋パレットを分離する。
(2)次いで、前記鍋用容器供給装置を用いて前記蓋パレットを分離した前記鍋パレットの各鍋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の容器を重ね合わせて閉じる。
(3)次いで、前記反転手段を用いて前記容器を重ね合わせた前記鍋パレットを天地反転させて内容物を前記容器側に移行させた後、前記鍋パレットを分離する。
【請求項18】
請求項5記載の誘導加熱調理装置を用いて連続的に調理した後、下記(1)〜(3)の工程により包装食品を製造することを特徴とする請求項16記載の包装食品の製造方法。
(1)前記反転手段を用いて前記複合パレットを天地反転させて内容物を前記蓋パレットの各蓋側に移行させた後、前記鍋パレットを分離する。
(2)次いで、前記蓋用容器供給装置を用いて内容物を移行させた前記蓋パレットの各蓋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の容器を重ね合わせて閉じる。
(3)次いで、前記反転手段を用いて前記容器を重ね合わせた前記蓋パレットを天地反転させて内容物を前記容器側に移行させた後、前記蓋パレットを分離する。
【請求項19】
前記反転手段を用いてパレットを天地反転させる際に、前記蓋に設けた水蒸気逃し穴から、鍋内の余分な水分や結露水を鍋外に排出することを特徴とする請求項18記載の包装食品の製造方法。
【請求項20】
前記反転手段を用いてパレットを天地反転させる際に、前記鍋または前記蓋と容器が密封して嵌合することを特徴とする請求項15から請求項18のいずれかに記載の包装食品の製造方法。
【請求項21】
請求項13記載の誘導加熱調理装置を用いて下記(1)〜(5)の工程により連続的に無菌包装食品を製造するに際して、少なくとも下記(2)〜(5)の工程を無菌空間で行うことを特徴とする無菌包装食品の製造方法。
(1)複数の鍋に調理に必要な材料をそれぞれ充填して殺菌する。
(2)必要に応じて、別途もしくは前記鍋の殺菌時に同時に殺菌した前記鍋の開口部を閉じるための蓋をする。
(3)前記複数の鍋を前記移動手段により、前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱手段で加熱して調理する。
(4)その後、必要に応じて冷却し、そして内容物を別途予め殺菌した容器側に移行する。
(5)次いで包装手段により前記容器を密封シールして製品とする。
【請求項22】
請求項13記載の誘導加熱調理装置を用いて下記(1)〜(6)の工程により連続的に無菌包装食品を製造するに際して、少なくとも下記(2)〜(5)の工程を無菌空間で行うことを特徴とする無菌包装食品の製造方法。
(1)複数の鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した鍋パレットの全鍋に、調理に必要な材料をそれぞれ充填して殺菌する。
(2)必要に応じて、別途もしくは前記鍋の殺菌時に同時に殺菌した前記鍋の開口部を閉じるための蓋をする。
(3)次いで複数の前記鍋パレットを、前記移動手段により、前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱コイルで加熱して調理する。
(4)必要に応じて冷却し、そして、蓋をした場合は蓋を分離した後、前記鍋パレットの各鍋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の別途予め殺菌した容器を重ね合わせて閉じ、反転手段を用いて、前記鍋パレットを天地反転させて、内容物を前記容器側に移行する。
(5)包装手段により前記容器を密封シールして製品とする。
(6)そして使用した前記鍋パレットを洗浄して再使用する。
【請求項23】
請求項13記載の誘導加熱調理装置を用いて下記(1)〜(6)の工程により連続的に無菌包装食品を製造するに際して、少なくとも下記(2)〜(5)の工程を無菌空間で行うことを特徴とする無菌包装食品の製造方法。
(1)複数の鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した鍋パレットの全鍋に、調理に必要な材料をそれぞれ充填して殺菌する。
(2)前記鍋の開口部を閉じるための複数の蓋を蓋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した後、別途殺菌した蓋パレットを重ね合わせて前記鍋の開口部を閉じた状態にした複合パレットを形成する。
(3)前記移動手段により、複数の前記複合パレットを、前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱コイルで加熱して調理する。
(4)必要に応じて冷却し、そして、反転手段を用いて前記複合パレットを天地反転させて内容物を前記蓋パレットの各蓋側に移行させた後、前記蓋パレットの各蓋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の別途予め殺菌した容器を重ね合わせて閉じ、反転手段を用いて前記蓋パレットを天地反転させて内容物を前記容器側に移行する。
(5)必要に応じて包装手段により前記容器を密封シールして製品とする。
(6)そして使用した前記鍋パレットおよび前記蓋パレットを洗浄して再使用する。
【請求項24】
請求項13記載の誘導加熱調理装置を用いて下記(1)〜(6)の工程により連続的に無菌包装食品を製造するに際して、少なくとも下記(2)〜(5)の工程を無菌空間で行うことを特徴とする無菌包装食品の製造方法。
(1)複数の鍋を鍋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した鍋パレッの全鍋に、調理に必要な材料をそれぞれ充填し、前記鍋の開口部を閉じるための複数の蓋を蓋固定用の枠の所定の位置に支持・固定して結合した蓋パレットとともに殺菌する。
(2)前記鍋の開口部を閉じるための蓋パレットを重ね合わせて前記鍋の開口部を閉じた状態にした複合パレットを形成する。
(3)前記移動手段により、複数の前記複合パレットを、前記調理室内を通過・移動させながら、前記誘導加熱コイルで加熱して調理する。
(4)必要に応じて冷却し、そして、反転手段を用いて前記複合パレットを天地反転させて内容物を前記蓋パレットの各蓋側に移行させた後、前記蓋パレットの各蓋の開口部を閉じることができる形態を有する複数の別途予め殺菌した容器を重ね合わせて閉じ、反転手段を用いて前記蓋パレットを天地反転させて内容物を前記容器側に移行する。
(5)必要に応じて包装手段により前記容器を密封シールして製品とする。
(6)そして使用した前記鍋パレットおよび前記蓋パレットを洗浄して再使用する。
【請求項25】
包装食品あるいは無菌包装食品が固形物を含む包装食品あるいは無菌包装食品であることを特徴とする請求項14から請求項24のいずれかに記載の包装食品あるいは無菌包装食品の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−152106(P2009−152106A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329983(P2007−329983)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【特許番号】特許第4138861号(P4138861)
【特許公報発行日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000116297)ヱスビー食品株式会社 (40)
【出願人】(390007456)株式会社中西製作所 (26)
【Fターム(参考)】