説明

誘導化微小繊維ポリサッカライド

【課題】静電的および/または立体的な官能性を提供する置換基を含むように誘導された誘導化微小繊維セルロースの提供。
【解決手段】静電的および/または立体的な官能性を提供する置換基を含むように誘導された誘導化微小繊維セルロースであって、静電的官能性を提供する基が陰イオン電荷を含み、該誘導化微小繊維セルロースが、(1)亜硫酸塩、クラフトあるいは予備加水分解クラフトパルピング法で製造され、精製され、所望により漂白された木材パルプ、または(2)精製された木綿リンター、に由来し、置換度が0.02〜0.5であって、ゲルの全重量を基準に0.05重量%〜0.99重量%の濃度範囲の少なくとも1点で、水中においてゲルを形成することを特徴とする誘導化微小繊維セルロース。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は誘導された微小繊維ポリサッカライドに関する。さらに具体的には、本発明は、立体的および/または静電的な力によって安定化され、その静電的な力が陰イオン電荷によって、あるいは陰イオン電荷と陽イオン電荷の組合わせによって提供される微小繊維ポリサッカライドに関する。
【背景技術】
【0002】
自然界においては、しばしば、ポリサッカライドは繊維形態を有する形で存在する。自然界において、繊維形態で存在しないポリサッカライドは、しばしば繊維紡ぎ技術を用いて繊維形態に変換させることができる。繊維形態が天然起源であるかあるいは人工起源であるかを問わず、ポリサッカライドは、エネルギーを与えることによって繊維が小繊維および微小繊維の準形態へ変形しうるように存在することが多いであろう。
【0003】
このようにして得られる小繊維および微小繊維セルロースは、粘度などのレオロジー特性に影響を与える目的で、水性系へ添加剤として使用されるなど、応用利用が検討されてきた。これらの物質の水性系での使用レベルは約2重量%のオーダーであることが多く、この量以下では、これらの物質はあまり容量を占有せず、また全体として分布の不均一性を示す傾向にある。
【0004】
微小繊維化セルロースとその製造は、本明細書で参照文献として組み込まれている開示物である、米国特許第4,500,546号、第4,487,634号、第4,483,743号、第4,481,077号、第4,481,076号、第4,464,287号、第4,452,722号、第4,452,721号、第4,378,381号、第4,374,702号、第4,341,807号で論議されている。これらの文献の一部は、食品、化粧品、医薬品、塗料および掘削泥水を含む最終使用製品において有用であるとされる安定で均質な懸濁液での微小繊維化セルロースを記述することを目的としている。
【0005】
セルロースナノ小繊維は、国際特許第WO98/02486号(第PCT/FR97/01290号)、第WO98/02487号(第PCT/FR97/01291号)および第WO98/02499号(第PCT/FR97/01297号)で特徴づけられており、これらの開示は参照文献として本明細書に組み込まれている。ナノ小繊維は約2〜約10ナノメーターの範囲の直径を有することを特徴とする。
【0006】
欧州特許第EP845495号は、不溶性で、陽性に帯電していることを特徴とし、水の処理、とりわけ紙製造機械での水の処理のために使用される、陽イオン性セルロース粒子を論じている。紙生成において、この陽イオン性粒子は水から陰イオンのくずを取り除くと言われている。この粒子は、均一に粒子サイズを小さくするといわれる粉砕によって得られ、それにより粒子は、およそ1の長さ/直径比で表されるように一般的には球である。粒子サイズは0.001mm(すなわち1μm)、好ましくは0.01mm(10μm)である。
【0007】
欧州特許第EP859011号(「第EP’011号」)は、陽イオン性セルロース微小繊維あるいはその可溶性誘導体を得るための工程を示している。この工程は、陽イオン性セルロース誘導体を調製すること、および誘導体を透明なゲルを形成するための高圧力ホモジナイザーに通して加工することを包含するように記載されている。生成物を脱水および再水和することができる。水中で2%の濃度の生成物について粘度測定が報告されている。第EP’011号は、セルロースの置換度(「DS」)が0.1〜0.7であってよく、0.2〜0.7、0.3〜0.6、0.5〜0.6のDSがこの順でより好ましくなることを特徴とすることを示している。実施例には、最低0.24〜最高0.72までの範囲のDSを有するセルロースが示されている。ゲル化が、水中で、10g/Lの微小繊維濃度以上あるいは1%以上で起こることが報告されている。第EP’011号は、ゲル化を、G’>G”[式中、G’は動的貯蔵弾性率であり、G”は動的損失弾性率である]であるときに起こると定義している。
【0008】
微小繊維化キトサンが、乾燥すると一平面上の配向シートを形成することが、H.Yokata,J.Polymer Sci.,Part C:Polymer Letters,24:423−425(1986)によって報告されている。この文献は、水中において4%のキトサンのレベルで、26,600cpsの粘度(ブルックフィールド,20℃、ローター#7、10rpm)を有するゲルが形成されることに言及している。微小繊維化キトサンは商業的なキトサン層をGaulinホモジナイザーで均質化することで作る。商業的なキトサンは水酸化物ナトリウムを用いて脱アセチル化する。
【0009】
第JP59[1984]−84938号はキトサン懸濁液の製造方法を論じている。カニとロブスターから分離し精製された市販のキトサンを、最大長約1〜2mmの断片に粉砕する。この断片を15%キトサンまで水に懸濁させ、3,000〜8,000psiの高圧力ホモジナイザーに複数回通す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,500,546号明細書
【特許文献2】米国特許第4,487,634号明細書
【特許文献3】米国特許第4,483,743号明細書
【特許文献4】米国特許第4,481,077号明細書
【特許文献5】米国特許第4,481,076号明細書
【特許文献6】米国特許第4,464,287号明細書
【特許文献7】米国特許第4,452,722号明細書
【特許文献8】米国特許第4,452,721号明細書
【特許文献9】米国特許第4,378,381号明細書
【特許文献10】米国特許第4,374,702号明細書
【特許文献11】米国特許第4,341,807号明細書
【特許文献12】国際公開第98/02486号パンフレット
【特許文献13】国際公開第98/02487号パンフレット
【特許文献14】国際公開第98/02499号パンフレット
【特許文献15】欧州特許第EP845495号明細書
【特許文献16】欧州特許第EP859011号明細書
【特許文献17】特開昭59−84938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
食品に使用する陽イオン性物質の安定性の一般的な欠如を少なくとも一部の理由として、陽イオン官能基の存在なしに粘度に影響する特性が得られるような微小繊維ポリサッカライドを得ることが望まれているであろう。また、1%以下の濃度でゲルを形成できる、それにより経済的にかつ容易に処方でき、一方で必要なレオロジー挙動と分布の均質性も得られるような微小繊維ポリサッカライドを得ることも望ましいであろう。
【0012】
さらに、紙サイジングエマルションなどの市販のエマルションの安定性を改善するために、産業界において絶え間ない要求が存在している。現在、そのようなエマルションの安定化のための1つの方法は、陽イオン性デンプンなどの電荷物質の添加であり、サイジング成分の10〜20重量%に等しい量で添加することができる。スルホン酸塩などの陰イオン性成分との相互作用もまた安定性を改善できる。しかしながら、エマルションの破壊が、密度由来分離(クリーミングとも呼ばれる)により、あるいはゲル化によりそのようなエマルションにおいてなお発生する。したがって、長期安定性を提供するためにエマルションに添加することができる物質を開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、誘導された微小繊維ポリサッカライド、その製造方法、その使用のための応用に関する。この誘導化微小繊維ポリサッカライドは、静電的および/または立体的な官能性を提供する置換基を含んで誘導され、静電的な官能性が存在する場合には、それは陰イオン電荷の存在を含むが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例7、試料1の動的な機械的スペクトルを表す図である。
【図2】実施例7、試料2の動的な機械的スペクトルを表す図である。
【図3】実施例7、試料3の動的な機械的スペクトルを表す図である。
【図4】実施例7、試料4の動的な機械的スペクトルを表す図である。
【図5】実施例7、試料5の動的な機械的スペクトルを表す図である。
【図6】実施例13、試料1の動的な機械的スペクトルを表す図である。
【図7】実施例13、試料2の動的な機械的スペクトルを表す図である。
【図8】実施例13、試料3の動的な機械的スペクトルを表す図である。
【図9】約0.17の置換度を持つ実施例3で調製した試料である微小繊維カルボキシメチルセルロースの組織を、ウリナルアセテートでネガティブ染色し、10,000Xの倍率で測定した透過電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明における使用に適したポリサッカライドには、セルロース、ヘミセルロース、キチン、キトサン、グアールゴム、ペクチン、アルギネート、寒天、キサン、デンプン、アミロース、アミロペクチン、アルタナン、ゲラン、ミュータン、デキストラン、プルラン、フラクタン、イナゴマメゴム、カラゲーナン、グリコーゲン、グリコサミノグリカン、ムレイン、細菌莢膜ポリサッカライド、およびその誘導体が含まれる。これらの混合物も使用してよい。好ましいポリサッカライドはセルロース、キチン、キトサン、ペクチン、寒天、デンプン、カラゲーナン、およびその誘導体であり、単独であるいは組合わせで使用され、セルロースとの組合わせが最も好ましい。セルロースは、一例として、化学パルプ、機械パルプ、熱機械パルプ、化学熱機械パルプ、リサイクル繊維、新聞紙、木綿、ダイズ外皮、エンドウ外皮、トウモロコシ外皮、アヤ、麻、黄麻、ラミー、アンバリ麻、マニラ麻、サイザル麻、バガス、トウモロコシ、小麦、竹、ベロニア、細菌、藻類、真菌、微結晶セルロース、野菜および果実を含む任意の入手可能な供給源より入手してよい。セルロースの好ましい供給源としては、亜硫酸塩、クラフトあるいは予備加水分解クラフトパルピング法で製造され、精製され、所望により漂白された木材パルプ、精製された木綿リンター、果実、野菜が挙げられる。
【0016】
セルロースを用いて得ることができる誘導化微小繊維ポリサッカライドには、限定するものではないが、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース、疎水性修飾したカルボキシメチルセルロース、疎水性修飾したヒドロキシエチルセルロース、疎水性修飾したヒドロキシプロピルセルロース、疎水性修飾したエチルヒドロキシメチルセルロース、疎水性修飾したカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、疎水性修飾したヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、疎水性修飾したメチルセルロース、疎水性修飾したメチルヒドロキシプロピルセルロース、疎水性修飾したメチルヒドロキシエチルセルロース、疎水性修飾したカルボキシメチルメチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、硫酸セルロース、ビニル硫酸セルロース、リン酸セルロースおよびホスホン酸セルロースが含まれる。
【0017】
本発明の誘導化微小繊維セルロースは、水中において約0.01%〜約100%の濃度範囲で、または水中において約0.01%〜約50%の濃度範囲で、あるいは水中において約0.05%〜約0.99%の濃度範囲の少なくとも1点で、ゲルを形成することができる。他の実施様態においては、本発明の誘導化微小繊維セルロースは約0.95%の濃度で水中においてゲルを形成する。
【0018】
誘導化微小繊維ポリサッカライドは、それが実質的に不溶性である溶媒の存在下で使用してよい。溶媒の例としては、水、アルコール、油が挙げられる。
【0019】
静電的官能性を提供する基による誘導の場合、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドは、約0.5未満、約0.35未満、約0.2未満、約0.18未満、あるいは約0.1未満の置換度であってよい。好ましい置換度の範囲は、約0.02〜約0.5であり、約0.05〜約0.2がより好ましい。誘導化微小繊維ポリサッカライドが陰イオン電荷の形で静電的官能性を提供する置換基を含むように誘導される場合、陰イオン電荷の形で静電的官能性を提供するこれらの置換を表す置換度は好ましくは少なくとも約0.05である。陰イオン電荷を、例えばカルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基、またはその組合わせによって提供してよい。陽イオン電荷も存在する場合、両方の電荷を、同一の基あるいは置換基によって提供してよく(すなわち置換基は両性または双性イオン性であってよい)、または置換微小繊維ポリサッカライドは陰イオン電荷を含んでいる置換基と陽イオン電荷を含んでいる置換基の両方を含むように誘導してよい。さらに、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドは、少なくとも1つは陰イオン電荷を提供するように誘導され、少なくとももう1つの他のものは陰イオン電荷、陽イオン電荷あるいはその両方を提供するように誘導された、2つ以上の独立した誘導化微小繊維ポリサッカライドを混合することによって得ることができる。
【0020】
本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドが立体官能性を提供する置換基を含むように誘導される場合、誘導化微小繊維ポリサッカライドは約3.0未満、あるいは約1.5未満、あるいは約1.0未満、あるいは約0.5未満のモル置換を持っていてよい。モル置換の範囲は約0.5〜約3.0であってよい。立体的官能性は、限定しない例として、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、メチル基、エチル基、約4〜約30個の炭素を持つ直鎖あるいは分岐鎖アルキル、アルケニルあるいはアルキニル基、および/または約4〜約30個の炭素を持つアリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、環式およびヘテロ環式炭化水素によって提供することができる。
【0021】
好ましい実施様態において、誘導化微小繊維ポリサッカライドはカルボキシメチルセルロースを含み、約0.35未満または約2.0未満の置換度を持つ。置換度の範囲は約0.02〜約0.2までであり、約0.10〜約0.2までの範囲が好ましい。
【0022】
本発明の誘導化微小繊維セルロースは、約1%未満の濃度で水中においてゲルを形成することができる。
【0023】
さらなる実施様態において、本発明は、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドを含む食品組成物に関する。食品組成物は、限定しない例として、マヨネーズのような低脂肪、減脂肪あるいは脂肪不含の食品塗布物あるいはサラダドレッシングであってよい。また、食品組成物は薬理学的に活性な成分を含んでいてもよい。誘導化微小繊維ポリサッカライドは、特に薬理学的に活性な成分を含んでいる食品組成物の成分の制御性、持続性あるいは遅延性の放出を提供するかまたはそれを改善するために使用してよい。
【0024】
さらに他の実施様態において、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドはスキンケアローションまたはクリーム、または日焼け止めローションまたはクリームのような、非食品の塗布可能な組成物において使用することもできる。
【0025】
本発明はさらに、誘導化微小繊維セルロース、特に微小繊維カルボキシメチルセルロース(これに限定されるものではない)を含んでいる紙組成物に関する。
【0026】
誘導化微小繊維ポリサッカライドは、誘導化微小繊維ポリサッカライドを得るために微小繊維ポリサッカライドを処理する誘導工程を用いることによって製造することができる。また、誘導ポリサッカライドを微小繊維化して誘導化微小繊維ポリサッカライドを製造することができる。他の方法では、微小繊維化と誘導化の工程を実質的に同時に行ってよい。好ましい実施様態においては、セルロースをまずアルカリ条件下でモノクロロ酢酸あるいはその塩で誘導してカルボキシメチルセルロースを生成させ、このカルボキシメチルセルロースを水に懸濁させ、得られた懸濁液を均質化して微小繊維化カルボキシメチルセルロースを製造する。
【0027】
誘導工程は非微小繊維ポリサッカライドを陰イオン試薬のような膨潤剤と接触させることを含んでいてよく、アルカリ条件下で行ってよい。これらのアルカリ条件は、水酸化ナトリウム、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物、珪酸アルカリ、アルミン酸アルカリ、炭酸アルカリ、アミン、水酸化物アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、あるいはこれらの組合わせであるアルカリ試薬の存在下に、セルロースを陰イオン試薬と接触させることを含んでいてよい。誘導は高固体で行ってよい。
【0028】
微小繊維化は、微小繊維ポリサッカライドを生成するのに十分な条件下で非微小繊維ポリサッカライドにエネルギーを与えることで達成してよい。非微小繊維を、微小繊維化の前に任意に酵素処理してもよい。さらにとりわけ、微小繊維化は均質化、ポンピング、混合、加熱、蒸気暴露、加圧−減圧サイクル、衝撃、粉砕、超音波処理、マイクロ波曝露、粉砕およびこれらの組合わせを用いて実施してよい。好ましい実施様態において、非微小繊維化ポリサッカライドを、微小繊維セルロースを生成するのに十分な条件下でホモジナイザーに通す;これらの条件は少なくとも約3,000psiの圧力差を含み、少なくとも3回非微小繊維ポリサッカライドをホモジナイザーに通すことを含んでよい。
【0029】
方法は実質的に使用する溶媒に不溶性である誘導化微小繊維ポリサッカライドを生成するように行うべきである。水が好ましい使用溶媒であるが、他の溶媒(アルコールや油などを含むがこれらに限定はされない)も種々の応用のために意図される。
【0030】
本発明は、上記方法によって製造した誘導化微小繊維ポリサッカライドを包含する。
【0031】
他の実施様態では、本発明は、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドを液体組成物に導入することによって、液体組成物のレオロジー的特性を修飾する方法に関する。
【0032】
この方法は、例えばスケール制御および/または腐食制御を提供するために使用され得る水含有系に誘導化微小繊維ポリサッカライドを導入することによって行えばよい。誘導化微小繊維ポリサッカライドによって修飾することができるレオロジー的特性には、粘度、懸濁液安定性、ゲルの温度鈍感性、剪断可逆ゲル化、降伏応力および液体保持が含まれる。
【0033】
レオロジー修飾することができる液体組成物には、非限定的な例として、食品、医薬品、中性物質、個人ケア製品、繊維、紙、塗料、コーティング、構築組成物が含まれる。これらは、口ケア製品;表皮塗布のためのクリームまたはローション(保湿、夜用、老化防止あるいは日焼け止めクリームあるいはローションなど);減脂肪、低脂肪あるいは脂肪不含の食品塗布物(マヨネーズなど)を含む食品塗布物;およびドリル液を含む。
【0034】
本発明はさらに、コーティング組成物に誘導化微小繊維ポリサッカライドの有効量を導入することによって、コーティング組成物の物理的および/または機械的特性を改善する方法を包含する。この様式で改善される可能性のある物理的および/または機械的特性には、フィルム形成、均一化、垂れ耐性、強度、耐久性、分散、浸水(flooding)、浮遊および撥ねが含まれる。
【0035】
本発明は特に紙の製造および処理の分野で有用である。例えば、誘導化微小繊維セルロースは、紙製造の際のサイジング、強度、スケール制御、排水、脱水、保持、浄化、形成、吸着性、フィルム形成、膜形成、高分子電解質複合化の1つ以上を改善するために使用することができる。特定の例として、誘導化微小繊維セルロースを、排水助剤としておよび/またはサイジング剤として使用してよい。誘導化微小繊維ポリサッカライドを含んでいる高分子電解質複合体も本発明の意図の範囲内である。
【0036】
微小繊維化カルボキシルメチルセルロースは、紙適用での使用が特に好ましい実施様態である。さらなる例として、紙製造の際の排水および/または脱水の速度を増加させるために紙製造機械内で、製造の際の紙シートにおける有機および/または無機の分散粒子の保持のため、製造の際の紙シートの形成の均一性を改善するため、紙シートの強度を改善するために、紙製造工程において誘導化微小繊維セルロースを使用することができる。誘導化微小繊維セルロースを、紙製造で慣習的に使用される任意の混合剤および性能増強剤と組合わせて使用してよく、陽イオン性ポリアクリルアミド;ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド;陽イオン性デンプン;アンモニウムまたはモノ、ジもしくはトリアルキルアンモニウム置換基を含むセルロース誘導体;アンモニウムまたはモノ、ジもしくはトリアルキルアンモニウム置換基を含むグアールゴム誘導体;アミンおよび/またはポリアミンをエピクロロヒドリンと反応させることによって得られる樹脂;アルミニウム塩;加水分解または部分加水分解したアルミニウム塩;有機または無機の種と加水分解または部分加水分解したアルミニウム塩の複合体;エチレンオキシド、エチレンイミン、アリルアミンまたはビニルアミンの少なくとも1つのポリマー;およびエチレンオキシド、エチレンイミン、アリルアミンまたはビニルアミンの少なくとも1つのコポリマーまたはターポリマー;およびこれらの組合わせを含む。有機および/または無機の分散粒子の保持に関連して、保持される粒子には、パルプ微粉、充填剤、サイジング剤、色素、クレー、有害な有機微粒子物質、有害な無機粒子物質の1つ以上が含まれてよい。
【0037】
他の実施様態では、エマルション、分散体、またはフォーム系の安定性を、系中に本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドを含有させることによって改善することができる。誘導化微小繊維ポリサッカライドを、既存の系に加える、そのような系に処理されるであろう配合物に加える、またはそのような配合物の処理中に加えることができる。エマルション、分散体またはフォーム系への配合物の処理終了前に添加を行う場合、エマルション、分散体またはフォームを形成するために使用した処理条件を、同様に誘導化微小繊維ポリサッカライドを製造するのに使用してよい。すなわち、誘導された非微小繊維化ポリサッカライド[「非微小繊維化(non−microfibrillated)」が不完全に微小繊維化されたポリサッカライドを含む場合]を、処理終了前に配合物に加えてよく、これに続く処理をポリサッカライドが微小繊維化するような方法で行ってよい。あるいは、微小繊維化ポリサッカライドを配合物に加え、その後に、微小繊維化ポリサッカライドを誘導するように処理を行うことができる。他の態様では、誘導化と微小繊維化の両方を処理中に行ってよい。この方法で処理することができる系には、油中水型および水中油型のエマルションが含まれる。
【0038】
さらに本発明は、上記の方法によって製造したエマルション、分散体およびフォーム系を包含し、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドを含むエマルション、分散体またはフォーム系を包含する。
【0039】
本発明は誘導小繊維ポリサッカライドを含む。本発明の使用に適切なポリサッカライドには、限定するものではないが、セルロース、ヘミセルロース、キチン、キトサン、グアールゴム、ペクチン、アルギネート、寒天、キサン、デンプン、アミロース、アミロペクチン、アルタナン、ゲラン、ミュータン、デキストラン、プルラン、フラクタン、イナゴマメゴム、カラゲーナン、グリコーゲン、グリコサミノグリカン、ムレイン、細菌莢膜ポリサッカライド、およびその誘導体が含まれ、セルロースが好ましい。ポリサッカライドをそのまま使用しても、繊維構造を生成若しくは改善するために紡糸を使用してもよい。
【0040】
セルロースが本発明での使用に好ましいポリサッカライドである。本発明での使用のためにセルロースの供給源は、以下を包含する:(a)化学パルプ、機械パルプ、熱機械パルプ、化学的熱機械パルプ、リサイクル繊維、新聞紙からなどの木材繊維、(b)木綿からなどのような種子繊維、(c)ダイズ外皮、エンドウ外皮、トウモロコシ外皮からなどの種子鞘繊維、(d)アヤ、麻、黄麻、ラミー、アンバリ麻からなどの篩部繊維、(e)マニラ麻、サイザル麻からなどの葉繊維、(f)バガス、トウモロコシ、小麦からなどの茎あるいはわら繊維、(g)竹からなどの草繊維、(h)ベロニアなどの藻類からのセルロース繊維、(i)細菌または真菌、(j)野菜および果実から、とりわけテンサイ、そしてレモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツなどのかんきつ類果実からなどの柔細胞。これらのセルロース物質の微結晶性形態も使用してよい。好ましいセルロース供給源は、(1)亜硫酸塩、クラフト(硫酸塩)あるいは予備加水分解クラフトパルピング法により製造され、精製され、所望により漂白された木材パルプ、(2)精製された木綿リンター、および(3)果実、野菜、とりわけテンサイとかんきつ果実である。セルロース供給源は限定されず、任意の供給源を使用してよく、合成セルロースまたはセルロース類似物が含まれる。
【0041】
セルロースは、天然において、特定の階層的レベルの組織化および配向で存在する。セルロース繊維はその中で微小繊維を配置するような層状の第2の壁構造を含む。微小繊維には、結晶性と非晶質領域で配置されたセルロース分子をさらに含む多数の微小繊維が含まれる。セルロース微小繊維は、異なる植物種に対して、直径が約5〜約100ナノメーターの範囲であり、最も一般的には、直径が約25〜約35ナノメーターの範囲である。微小繊維は非晶質のヘミセルロース(とりわけキシログルカン)、ペクチンポリサッカライド、リグニン、(エクステンシンを含む)ヒドロキシプロリン多量糖タンパク質のマトリックス内で平行して走っている束の中に存在する。微小繊維は上で列記したマトリックス化合物によって占有された空間とおよそ3〜4nmはなれて位置する。マトリックス物質の特定の配列および配置と、どのようにしてそれらがセルロース微小繊維と相互作用するのかは完全にはまだわかっていない。
【0042】
本発明の目的において、ポリサッカライド微小繊維は、天然に存在するセルロース微小繊維に寸法で匹敵するほど小さな半径、大きな長さ−直径比構造を意味する。限定しない例として、ポリサッカライド微小繊維は、約20〜約100ナノメーターの範囲の直径と併せて、100を超える、500を超える、1,000を超えるような高いアスペクト比を提供する長さを有していてよい。本明細書ならびに請求項は微小繊維と微小繊維化について言及しているが、本発明の範囲は、(セルロースのあるいは他の)ナノ繊維をも包含し、本発明を実施することによって微小繊維から得られるレオロジー修飾、安定化および他の特性をナノ繊維のみ、あるいは微小繊維との組合わせを用いて得ることもできる。
【0043】
天然において、多くのポリサッカライドは微小繊維配列に存在しないが、しかしながら繊維紡績技術を用いることによってこれらのポリサッカライドから繊維を製造することが可能である。本発明の1つの実施様態においては、ポリサッカライドに由来する繊維糸を、天然にセルロースで見出される程度の寸法を有する繊維構造に誘導し、微小繊維化できることが検討される。天然のセルロースの構造、機能および生物発生のさらなる背景は、Haigler,C.H.,Cellular Chemistry and Its Applications,Nevell,pp.30−83(1985)でみることができ、このすべてが本明細書で参照文献として組み込まれる。
【0044】
本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドは微小繊維の形態であること、および立体のおよび/または静電的な官能性を提供する置換基の存在を特徴とする。存在する置換基の量は、いくつかの陰イオン性および陽イオン性の置換基の場合、置換度あるいはDSによって定量することができ、立体的な置換基の場合、モル置換あるいはMSによって定量すればよい。ポリサッカライドの分子量で変化するであろう置換度は、無水糖単位あたりの置換ヒドロキシル基の平均の数であり、一方、モル置換は無水糖単位あたりに加わった置換基の平均数である。DSとMSは、誘導されたポリサッカライドの溶解性を決定し、水性あるいは非水性いずれかの使用環境において実質的に不溶性である誘導化ポリサッカライドを得るために容易に調節され得る。使用環境がしばしば水性である一方、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドは、塗料、コーティング、ラッカー、油が豊富な食品、インク(限定するものではないがインクジェットインクを含む)、個人用ケア製品、化粧品および油中水型エマルションのような他の溶媒あるいは水性担体を含む用途に有用である。
【0045】
誘導化微小繊維ポリサッカライドを得るために、任意の適当な方法を使用することができる。特に、最終結果に達するように、ポリサッカライドに立体的および/または静電的な官能性を与えるための微小繊維化および誘導化の工程を別々にあるいは一緒に行ってよい。したがって、非微小繊維ポリサッカライドの出発物質は陰イオン基で、陰イオンおよび陽イオン基両方で、または陰イオン基と陽イオン基のブレンドまたは混合で誘導し、そして微小繊維化してよく、あるいはまず微小繊維化して、その後誘導化してもよい。あるいは、出発物質が微小繊維ポリサッカライドである場合には、誘導工程のみが必要であり、一方出発物質がすでに陰イオンあるいは陰イオンと陽イオン基の両方で適切に誘導されているポリサッカライドの場合、微小繊維化処理のみが必要となる。
【0046】
ポリサッカライドの置換度(静電的誘導に対する)および/またはモル置換(立体的誘導に対する)は、誘導化微小繊維ポリサッカライドが、意図した使用環境で存在する溶媒あるいは担体に、実質的に不溶性であろうように十分低くなければならない。多くの用途において、溶媒あるいは担体は水の可能性があり、そのような用途においては、置換度および/あるいはモル置換は、置換微小繊維ポリサッカライドが実質的に水に溶けないようなものでなければならない。しかしながら、他の適用において、異なる溶解性特徴を有する極性溶媒または担体(アルコールなど)を使用してよく、または非極性溶媒または担体(油など)を使用してもよく、このような場合、対象とする用途において使用する溶媒または単体(便宜上、以下「使用溶媒」と称する)に実質的に不溶性である誘導化微小繊維ポリサッカライドを得るために、置換度および/またはモル置換を調整すべきである。機能的に、誘導化微小繊維ポリサッカライドは、意図した用途において望んだ特性を提供するために使用環境下で十分に不溶性であるべきである。
【0047】
実質的に不溶性物質が存在することは、不溶性物質を観察するために十分な倍率の光学顕微鏡下で、使用溶媒または担体中における1〜5%の該当物質の懸濁液を観察することで確認することができる。サイズ決定は、微小繊維を分散させるのに効果的な非溶媒液体中に約0.1〜0.01%の、検討すべき物質の懸濁液を調製することによって行うことができる。そしてこの懸濁液を透過型電子顕微鏡(TEM)グリッド上で乾燥させ、試料を電子ビーム損傷から保護するためにコートし、1〜1000ナノメーターの範囲で構造物を観察するのに十分な倍率と焦点で調べる。微小繊維成分が存在する場合には、これらの条件下で検出することができ、光学顕微鏡下での不溶性とTEM下での微小繊維構造の組合わせが、実質的に不溶性の微小繊維物質の存在を示すであろう。例えば、約0.17のDSを持っている下記実施例3のように調製した微小繊維カルボキシメチルセルロースの透過型電子顕微鏡図の例である図9を参照のこと。
【0048】
簡素化のため、特に他に明記されない限り、用語「置換基」は本明細書で、ポリサッカライドへ立体的安定化を提供する化学種、陰イオン電荷を介してポリサッカライドに静電的官能性を提供する化学種、陽イオン電荷と陰イオン電荷の両方の組合わせによってポリサッカライドに静電的官能性を提供する化学種、あるいはこれらの組みあわせを意味するために用いられる。さらに、「静電的(electrostatic)」は、陰イオン電荷または、1つの置換基上に両方存在する基若しくは2つ以上の置換基上で別々に提供される基のいずれかとしての陰イオン電荷と陽イオン電荷の両方の組合わせのいずれかを意味する。「誘導化」は共有結合を生じる化学反応のみでなく、それにより置換基がポリサッカライドと十分に結合して、本発明のレオロジー的および他の利点を提供するような任意の工程をも意味し、例えば吸着を含む。最後に、ポリサッカライド上の陰イオン電荷と陽イオン電荷の両方の組合わせに関する言及は、両方の電荷型を含む置換基(すなわち両性および/または双性イオン性置換基)の使用;結果として陰イオン基と陽イオン基の両方を含む置換基が分散した誘導ポリサッカライドとなるような陰イオン電荷のみ若しくは陽イオン電荷のみを別々に含む置換基の併用;および、結果として陰イオン性の誘導ポリサッカライドと陽イオン性の誘導ポリサッカライドの両方を含むブレンドを生じるような少なくとも1つの誘導ポリサッカライドが少なくとも陰イオン置換基を含み、少なくとも他の1つの誘導ポリサッカライドが少なくとも陽イオン置換基を持つ2つ以上の誘導ポリサッカライドのブレンドを含む。しかしながら、「誘導した」には、天然でみられる濃度よりも高い濃度で、本発明により必要とされる立体的および/または静電的な官能性を提供するにすぎない基の、天然に存在するわずかな存在は含まれない。例えば、天然に存在するセルロースは極めて低いレベル陰イオン電荷を含んでいてよく、これは微小繊維化後も未だ存在することができる。しかしながら、その置換度がその天然の状態から変化しなかったこと、および、そのような微小繊維化セルロースに存在する電荷量が本発明の利点をもたらさないことを理由として、このような微小繊維化セルロースは本明細書で用いられる用語として「誘導化された」ものではない。
【0049】
本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドに至るために用いる工程の順序は重要ではない。したがって、誘導化微小繊維ポリサッカライドを作るために使用する出発物質は、微小繊維または非微小繊維の形態であってよい。同様に、出発物質はすでに立体的なおよび/または電荷的な置換基で誘導されていてもよいし、誘導されていなくてもよい。出発物質が非微小繊維ポリサッカライドである場合、置換をポリサッカライド上で行い、その後微小繊維化してよく、あるいはまず微小繊維化を行い、引き続き得られた微小繊維上で置換を行ってもよい。ポリサッカライドを繊維に加工し、繊維上で置換を行い、そしてさらに繊維を微小繊維に加工することも可能である。同様に、すでにそのような置換を含む任意の非微小繊維状のポリサッカライドを微小繊維状に加工してよい。さらに、誘導化および微小繊維化を同時に行ってもよい。
【0050】
全てではないが多くのポリサッカライドが、加工の前後のいずれにおいても、ある程度の量の微小繊維および非微小繊維構造の両方を含んでいると理解されるであろうし、2つの構造間の比率は、実質的に完全に微小繊維のポリサッカライドであるものから、実質的に完全に非微小繊維のポリサッカライドであるものでよいことが理解されるであろう。本明細書で使用するところの用語「微小繊維(microfibrillar)」、「微小繊維化(microfibrillated)」およびその類似語には、実質的に完全に微小繊維化されたポリサッカライド、および、少ないが明らかな量の非微小繊維構造を含んでいるが、本発明により提供される利点を与えるために十分に微小繊維化されたポリサッカライドを提供する実質的に微小繊維化されたポリサッカライドが含まれる。
【0051】
非微小繊維出発物質から微小繊維を製造するために必要なエネルギーを最小化し、および/または、処理の間またはその終了時点で抽出される水の量を減少させる工程が好ましい。この点について、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドは微小繊維化されたポリサッカライドを誘導することにより作ることができるが、ポリサッカライドがすでに誘導化されている場合、微小繊維化工程は一般的に必要とされるエネルギーは低く、および/または、より効率的であることに留意すべきである。理論によって拘束するわけではないが、これは、ポリサッカライド上の立体的および/または静電的な官能基の存在が繊維束構造を「ほぐす」ためであろう。
【0052】
使用エネルギーを小さくできるということは、コストを節約するだけでなく、ポリサッカライド微小繊維の破損を抑えることにもなる。したがって、すでに誘導化されているポリサッカライドを微小繊維化することは、微小繊維化した後に誘導化を行うのと比較して、相対的により長い微小繊維を備える誘導化微小繊維ポリサッカライドを生じ得る。このことは、特に、得られる誘導化微小繊維ポリサッカライドが制限されることなく水中に溶解できるレベル以下の誘導化量によって、微小繊維化に必要なエネルギーを著しく抑えることができることから明らかである。例えば、もたらされるDSが0.1または0.2のオーダーであるようなセルロースの誘導化は、ホモジナイザー、インピンジメントミキサー、または超音波処理機(ウルトラソニケーター)などの従来の剪断器具を用いて、微小繊維化できるのに十分な程セルロースの繊維束を「ほぐす」であろう。これらの低DSセルロース微小繊維は、50ナノメーターのオーダーの直径とともに、500ミクロンまでの長さを有し、その結果として1,000を超えるアスペクト比となる。低いDSは、微小繊維化を可能にする一方、低すぎるDSは、得られる物質を対象とする濃度で使用する溶媒若しくは担体に完全に溶解させる。理論によって拘束するわけではないが、繊維内の不溶性領域の存在は、低DSの最大ゲル形成を示しているデータが説明するであろう。これらのゲルは、より疎水性の非置換領域の弱い結合によって強化され得る。
【0053】
安定化または誘導化は、繊維および/または微小繊維上への置換基の生成または配置によって行う。置換基が、大部分、繊維または微小繊維の表面領域に結合するようになることが明らかである。正確な機構に関わらず、機能的な関係において、微小繊維−微小繊維の接触は立体的および/または静電的な機構または力によって阻害される。また、微小繊維の長さの少なくとも一部分における接触阻害におそらく起因して、置換基の存在は、微小繊維が、それらが誘導されていない時に比べてより大きな容量を占有する原因となる。容量がより多く占有され、物質がより均一的に分散しているので、得られる誘導化微小繊維ポリサッカライドのレオロジー性能は低濃度で高まる。
【0054】
立体的な力のを用いることについて、立体的な官能性または安定性は、凝集を阻止するために(セルロース繊維または微小繊維などの)粒子の周りに保護バリアまたはおおいを形成することにより提供される。これは例えば、ポリマーなどの物理学的に粒子の表面上に吸着する物質により行ってよく、それにより2つの粒子が、粒子の半径と吸着層の厚みの合計の2倍の距離より近づくことを防止する。2つの粒子は接近し、互いの距離は上述した距離に近づくので、2つの粒子上に吸着した層は相互作用する。ポリマー−ポリマー相互作用である可能性があると考えるようなこの相互作用は、結果として浸透力および/またはエントロピー力のような粒子を拒絶する力となる。このことは2つの粒子の凝集を防ぎ、安定化を提供する。立体的な力は一般的にサイズおよび/または置換基の配置でもたらされるので、ポリサッカライドに立体的な官能性または安定性をもたらすために用いる置換基は、中性、陰イオン性、陽イオン性、両親媒性、両性、および/または双生イオン性であってよい。
【0055】
理論によって拘束するわけではないが、誘導化微小繊維の表面は、いくつかの限定された 微小繊維間の相互作用がなお行えるように、いくつかの置換基のない領域を持っていると思われる。限定された相互作用は、ネットワーク形成を促進するために必要でさえあるかもしれず、降伏応力、剪断可逆ゲル化、弾性率の温度鈍感性などの対象のレオロジー特性の原因となってよい。また、繊維および微小繊維の長さ/直径比、あるいはアスペクトも本発明の物質の能力に寄与することは明らかである。
【0056】
ポリサッカライド上に置換基を生成または配置するために、任意の適切な処理を使用すればよい。便宜上、本明細書では、考え得る処理を一般的にまとめて「誘導化」と称する;しかしながら、本発明において、誘導化は、所望の利点を提供するためにポリサッカライドと十分に結合する置換基を有する(繊維および微小繊維ポリサッカライドを含む)ポリサッカライドとなり、共有結合を生じる化学的反応のみでなく、物理的吸着も含む任意の工程を意味するのに用いられる。さらに、本出願においては「誘導化」および「安定化」のいずれをも意味する。化学的に、両用語は同様の種類の処理、すなわちセルロース基質上への置換基の配置または生成を意味する。機能的に、「安定化」が、ポリサッカライドが微小繊維状である場合に主としてまたはもっぱら一般的に観察される官能性を示す場合、「誘導化」は一般的に広義の用語である。
【0057】
考え得る誘導化処理には、ポリサッカライドと置換基を結合させるのに用いることのできる任意の合成的な方法が含まれる。さらに一般的には、安定化または誘導化工程として、置換基の配置または生成を促進し、またはそれを生じる任意の工程若しくは工程の組合わせを使用してよい。例えば、繊維の表面に置換基をより配置または生成しやすくするために、非微小繊維化ポリサッカライドを処理するための条件には、一般的に、ポリサッカライドのアルカリ性化および膨潤が含まれるべきである。アルカリ性および膨潤は別々の剤によりもたらされてもよく、または、同じ剤がアルカリ性をもたらし、ポリサッカライドの膨潤を引き起こしてもよい。特に、アルカリ剤は複数の目的を果たすことが多く、それらはポリサッカライドと置換基との間における反応を触媒し、任意に誘導体を脱プロトン化し、誘導化を行うために試薬が接触できるようにポリサッカライド構造を膨張し開き得る。
【0058】
本発明を達成するために使用し得る特定の化学的方法には、限定するものではないが、微粒子ポリサッカライドの表面上またはその近くでの、陰イオン基(カルボキシル、硫酸、スルホン酸、ホスホン酸、および/あるいはリン酸など)の生成、陰イオンおよび陽イオン基両方(第4級アミンおよび/またはアミンなど)の生成、立体基の生成が含まれる。アルカリ条件は、好ましくは水酸化ナトリウムを使用することで達成する。選択したポリサッカライドに対する溶媒としての機能を有する任意の物質を使用してもよく、他のアルカリ剤にはアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属酸化物または水酸化物、珪酸アルカリ類、アルミン酸アルカリ類、炭酸アルカリ、脂肪族炭化水素アミン、とりわけ三級アミンを含むアミン類、水酸化物アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、塩化リチウム、N−メチルモルホリンN−オキシドなどが含まれる。触媒的な量のアルカリ剤に加えて、誘導化を容易にするために膨潤剤を加えてよい。原繊維間および結晶間膨張剤が好ましく、特に原繊維間膨潤をもたらすレベルで使用する膨潤剤、例えば適度に低濃度な水酸化ナトリウムが好ましい。
【0059】
本来の繊維ポリサッカライド構造上で行う場合、これらの誘導反応は、ポリサッカライド表面上の誘導化部位の性能を最大化するため特定条件を必要とし得る。例えば、木材パルプに由来するセルロースの場合、使用される膨張剤の濃度は、最終的なセルロースの性能に影響与えると思われる。とりわけ、水酸化ナトリウムの使用において、水酸化ナトリウムの濃度が流体学的性能に明らかに影響を与え得ることが判明している。
【0060】
これらの繊維ポリサッカライドの誘導化は、所望のレオロジー性能に著しく寄与せず、意図する最終用途組成物に溶解する微小繊維の形成を制限するような方法で行われることが好ましい。これは典型的に、より高いレベルでの誘導化が最終用途組成物に溶解するポリサッカライドを作るであろうレベルで作り出され得る誘導化度を制限する。具体的な制限は該当する用途に基づいて容易に決定することができるが、一般的な手引き的方法として、置換度(DS)が約0.5未満、または約0.35未満、または約0.2未満、または約0.18未満、または約0.1未満であることが望ましい。
【0061】
誘導化は、水中、有機溶媒(有機溶媒のみまたは水との混合物)、溶液中、高固体(水のみとの、または水と少量の有機溶媒との)を、限定するものではないが含む任意の適切な方法により行えばよい(本開示において、「高固体」は約25%以上のポリサッカライド含量を意味する)。
【0062】
ポリサッカライド上に位置してもよい任意の誘導化または官能基には、限定するものではないが、短鎖脂肪族および他の疎水性型の置換基、オリゴマーのおよびポリマーの置換基、例えば短鎖エチレンおよびプロピレングリコールなどの非帯電置換基、他の結合型官能性、界面活性剤様の官能性、メチル、エチル、プロピルおよびこれらの組合わせが含まれる。これらの置換基は任意であり、置換基はポリサッカライドの安定化を意図するものでなく、代わりに表面活性化、乳化力、吸着特性などの追加的な官能性を提供するものであってよい。
【0063】
ポリサッカライドの非微小繊維の形態を微小繊維の形態に処理する方法を、誘導化反応の前または後のいずれかで行ってよい。好ましい方法には、水性培体中の非微小繊維ポリサッカライドの希釈懸濁液においてホモジナイザーを使用することが含まれる。水性媒質は任意に、微小繊維の生成容易性を改善するために、膨張剤、例えば水酸化ナトリウムのような、とりわけ原繊維間および/または結晶間膨張剤などの添加剤を含み得る。微小繊維化のさらに好ましい方法には、未乾燥の誘導ポリサッカライドの水性懸濁液に機械的なエネルギーを用いることが含まれる。他の微小繊維化処理には、非限定的な例として、インピンジメントミキサーの使用、蒸気暴露、加圧減圧サイクル、凍結−解凍サイクル、衝撃、粉砕(ディスク粉砕など)、ポンピング、混合、超音波処理、マイクロ波曝露、粉砕の使用が含まれる。製粉後の均質化などのように、これらの組合わせも使用してよい。実質的に粒子のサイズを減少させる任意の方法を使用してよいが、粒子のサイズを減少させる一方でポリサッカライドの高いアスペクト比を保持する方法が好ましい。すでに記載したように、ポリサッカライドの置換度も、ポリサッカライドの微小繊維状への処理の容易さに影響する。
【0064】
粒子を生成する処理は、粒子をインサイシューで生成するように、最終利用における消費者によって行われてもよく、あるいは、上述したように水性媒質内で、物質を脱水し、得られる粒子を乾燥させることで行ってもよい。本明細書で以下、即用ゲルあるいはRTG形態と称する本発明の乾燥した粒子は、望ましいレオロジー特性を得るために、極性溶媒内で容易に再水化することができる。脱水は水を低極性溶媒で置換し、乾燥することによって行うことができ、また存在するならば、帯電基のプロトン化または遮蔽化によって促進できる。
【0065】
一般的な特性に関して、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドが特定の有用性を有する用途には、望ましいレオロジー特性に降伏応力、剪断可逆ゲル化、温度鈍感性の弾性率の少なくとも1つが含まれるような用途が含まれる。本明細書で記述したレオロジー特性を提供する能力は、種々の密度を有する液体および固体の混合物の安定性、口での感触を含むゲル様特性、膨潤性ゲル、上昇温度下での安定性、および水和と分散の制御を提供することを可能にする。
【0066】
さらに特定の用途および使用分野に関して、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドの有用性には、限定はしないが、食品、個人ケア製品、家庭用品、医薬品、中性物質、紙製造と処理、コーティング組成物、水処理、ドリル液、農業、構築物、流出制御および/または回収が含まれる。
【0067】
食品用途において、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドはレオロジー修飾剤として、例えば懸濁液でのクリーミングや沈殿を抑制することによる安定剤として、非消化性食品繊維として有用であり得る。これらはまた、例えばアイスクリーム製造や保存に際し、アイスクリーム結晶の成長を制御するために使用してもよい。
【0068】
個人ケア製品において、誘導化微小繊維ポリサッカライドは、エマルション、分散体、懸濁液およびフォームを安定化するため使用してよく、また上皮適用を考えた物を含むクリーム、ローション、ゲルおよび糊での使用でみることができる。代表的であるが排他的ではない例としては、日焼け止め;保湿あるいは老化防止クリームおよびローション;洗浄石鹸あるいはゲル;スティック、ポンプスプレー、エアゾール、ロールオンの形態を含む発汗抑制剤およびデオドラント;芳香放出ゲル;口紅、リップグロス、液体化粧製品;練り歯磨き、歯磨きおよび白色剤、クリーナーおよび粘着剤のような義歯ケア製品を含み、さらにソルビトール、ソルビトール−水混合液およびグレセロール−水混合液を含む口ケア製品;成分の制御性、持続性あるいは遅延性の放出が望ましい製品;軟膏(麻酔剤、防腐薬、および抗生物質軟膏を含む)、包帯、よい液体保持が望ましい造孔(オストミー)リングを含む傷ケア製品;おむつのような吸収性製品が含まれる。本発明は個人ケア製品にだけではなく、ポンプ動作によって分散される製品での他の用途においても特定の有用性を有し得る。誘導化微小繊維ポリサッカライドによって示される剪断可逆ゲル化は、ポンプ分散によく適し、その能力を、製品の統一した伝達を改善するためにエマルション、分散体およびフォームを安定させるために有利に組み合わせることができる。
【0069】
家庭用品の領域において、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドのレオロジー特性、およびそれらのエマルション、分散体およびフォームを安定化させる能力は、洗浄剤、シャンプー、クリーナーおよび空気清浄剤のような分野での有用性を提供する。特定の例としては、限定はしないが、クリーニング製品(洗浄剤、予備スポットクリーナー、柔軟剤のような織物処理組成物を含む);敷物および室内装飾材料シャンプー;トイレ便器クリーナー(特に水性あるいはゲル形状で供給される);空気清浄剤;家庭の表面をクリーニングおよび/または消毒するのに使用する液体、ゲル、ペーストおよび泡を含む一般目的のクリーニン剤が含まれる。
【0070】
医薬品用途において、誘導化微小繊維ポリサッカライドは、制御性、持続性あるいは遅延性の放出処方で、錠剤分解物質として、食品繊維として、とりわけ液体保持能力が重要である用途 (人工瘻{じんこう ろう}ケアなどの)の創傷治癒で、およびレオロジー修飾剤として有用性を有する。
【0071】
紙製造および処理の領域において、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドは、エマルション修飾および/または安定化、サイジング、保持、浄化、吸収、排水、成形(綿状化助剤として機能する)、沈殿あるいはスケール調節(無機沈殿の形成および/または増加を抑制する)、水処理、脱水、フィルムおよび膜形成、高分子電解質架橋、有害な有機および/または無機物質の除去で、紙コーティングで、および堅さ、濡れ強度、吸収度、柔軟性、強さ、引き裂き抵抗性、および折り曲げ抵抗性などの特性を改善することで有用性を有する。
【0072】
紙製造の面において、スケール制御は、パルプ化処理の際に形成する炭酸カルシウムおよびシュウ酸カルシウム沈殿の防止を意味する。スケール制御は、媒体内で塩結晶の成長および沈殿を防止するために塩結晶を分散し、核形成を阻害することにより、あるいは沈殿を導く結晶形態の形成を抑制するために結晶成長機構を改変することにより行うことができる。ミクロンおよびそれ未満の粒子サイズを持ち、適切な官能基で安定化した誘導化微小繊維セルロースの使用は、そのようなミクロ担体が沈殿を導く結晶成長を抑制するため、スケール沈殿を制御するのに役に立つであろう。さらに、セルロース性物質はその有機的な性質から、パルプ化工程からの回収がより容易であろう。好ましい官能基には、リン酸/ホスホル酸基、カルボン酸基、および硫酸/スルホン酸基が含まれるであろう。他の官能基と適切な使用レベルは、当業者によって容易に決定されてよく、使用の特定の環境に基づく。
【0073】
誘導化微小繊維セルロースはまた、紙製造中の排水および/または脱水の率を増加させるために、(パルプ微粉、充填剤、サイジング剤、色素、および/またはクレーなどの)有機および/無機分散化粒子を保持するために、有害な有機および無機粒子物質を保持するために、紙シートの形成の統一性を改善するために、そして紙シートの強さを改善するために、紙製造機械で使用してもよい。とくに排水に関しては、排出補助剤が紙機械上の紙スラリーから水を取り除く率を増加させる添加剤である。これらの添加剤は、より速い紙形成を可能にすることで、機械の能力を上げ、したがって収益性を増加させる。陰イオン的に帯電した微小繊維セルロース誘導体は、それのみあるいは他の帯電ポリマーとの組合わせのいずれかで、排水性を著しく増加させることができる。
【0074】
本発明の誘導化微小繊維セルロースは、コート紙でも使用してよく、そこではセルロース誘導体がカラーコーティングのレオロジーを制御するため、水分保持を提供するために使用され得、それによりベースシート中に浸透した水の量を調節する。
【0075】
塗料、インクなどのコーティング組成物において、誘導化微小繊維ポリサッカライドはレオロジー修飾を提供でき、撥ね、均一化、たれ抵抗性、浸水、浮遊などの特性を改善し、ゲル塗料でとりわけ有用性を有し得る。これらはまた色素分散および/または安定化、および電荷制御あるいは流動制御剤としての機能をも改善してよく、インクジェットインクなどのインクを含む。
【0076】
水処理の分野において、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドはスケール制御、すなわち水性系における無機沈殿の形成および/あるいは増加を抑制すること、浄化、綿状化、沈殿、凝集、電荷伝送、柔軟化を提供できる。
【0077】
掘削液において、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドは、レオロジー修飾を提供することができ、流体損失を抑制し、または防止し、第2次油回収を改善できる。
【0078】
農業的用途において、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドは、土壌処理に使用でき、水分保持、腐食抵抗性、凍結抵抗性、および肥料、殺虫剤、殺菌剤、除草剤などの農業的物質の制御性、持続性あるいは遅延性の放出を提供し得る。これらは、霜の害を最小限にするか防止するなど、作物保護のために使用してもよい。
【0079】
建築物において、誘導化微小繊維ポリサッカライドは乾燥壁泥、かしめ用資材、水溶性接着剤および板製造で使用できる。
【0080】
他の分野にいて、誘導化微小繊維ポリサッカライドは、油の吸収剤として、一般的にエマルション、分散体、およびフォーム(水注油型および油中水型エマルションを限定しないが含む)に対する安定剤として、および乳状化のために、液体の漏れを制御し、浄化するために使用できる。紙のサイジングエマルションのような市販のエマルションの安定性は、産業において繰り返されている問題点である。現行の市販エマルションは、油、ろう、水中に分散したロジン相から一般的に構成されるものを含む。これらの分散体は、一般的に、陽イオン性デンプン、リグニンスルホン酸ナトリウム、および硫酸アルミニウムなどの帯電した物質を加えることで安定化する。このような物質は一般的に、サイズ成分の重さで約10〜20%等量加えられる。得られる分散体は、一般的に0.2〜2ミクロンの粒子であり、例えば、互いに反発している粒子表面上の陽極に帯電したデンプンによる電荷反発によって安定化すると考えられる。
【0081】
エマルション破壊の原因は密度傾向分離である。密度傾向分離は、粘度を上げることにより、または液体内の内部構造により制限することができる。例えば、標準経年変化試験の間、約20センチポイズ未満の粘度を保持したエマルションは、処方への増粘剤の添加により初めに100100センチポイズと同等までに増加させたその粘度は、その後徐々に、粘度が許容できる限界を越えるまで増加しない限り、未だ許容される商業的粘度である。
【0082】
本結果を達成するための1つの方法は、最初にエマルション処方に加えた時点では粘度の実質的な増加を生じないが、エマルションを生成するためのエマルション調製物の通常の処理の間に、粘度を増加させる増粘剤を使用することであろう。これは、エマルション調製物への添加剤として、本明細書で記載されたように誘導されているが微小繊維化されていないポリサッカライドを含むことで遂行できる。その後、エマルション処方にエネルギー(一般的には高い剪断力)を加える場合、エマルション調製物をエマルションに変えるための処理の間、剪断は誘導化ポリサッカライドを微小繊維化し、エマルションの一部として存在する本発明の誘導化微小繊維化ポリサッカライドを生じる。そして誘導化微小繊維ポリサッカライドによって生成されたゲルは、剪断応力下では薄いが、剪断を止めた場合には再形成するであろう。さらに、そのような低DS/MSポリサッカライドの不溶性は、水性バルク相ではなくむしろ水中油型エマルションの油/水の界面で濃縮を生じることができ、望ましいであろう。
【0083】
事実上、同様の結果は、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドをエマルション処方へ、または最終エマルションへ、またはエマルションの生成の間の任意の時点で加えることにより達成され得る。別のバリエーションには、その後に続く処理が微小繊維化を完了するために十分なエネルギーを提供するであろう時点で、未だ部分的に微小繊維化した誘導ポリサッカライドをエマルション作製工程に導入することが含まれる。エマルション生成処理の一部分として、誘導化のいくつかあるいはすべてを行うことも可能であり、例えば、エマルション調製物がポリサッカライド微小繊維上に吸着する荷電種を含んでいてよく、またはそのような種がエマルション調製物の処理の間に、個別で、またはポリサッカライドとの組合わせにおいて加えられてよい。したがって、この最終結果を達成できるようないくつかの処理経路で、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドは、エマルションへの安定化添加剤として機能し得る。
【0084】
方法の選択が得られるエマルションの特性のいくつかのバリエーションとなる一方で、改善されたエマルション安定性の基本的な利点は、その最終結果として、最終エマルション内に本発明に誘導化微小繊維ポリサッカライドが存在するような任意の手順によって達成されるべきである。商業的に、処方に加え、高剪断あるいは他の適切な形態のエネルギーを与えた場合に、微小繊維化し、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドを生成するような粉末として、誘導化された非微小繊維化ポリサッカライドを顧客に供給することが望ましい。
【0085】
この改善されたエマルション安定性は、誘導化微小繊維ポリサッカライドの非存在下では十分に行えないであろうエマルション処方の使用を可能にするであろう。他の利点には、紙における改善された保持力、保持された微小繊維とパルプおよび充填剤微粉の結合による紙系からの水の改善された排水性、および高濃度の塩の存在下でのエマルション破損への抵抗性が含まれ得る。
【0086】
本発明の主題となる静電的に誘導された物質は、広いpH範囲(すなわち約2.5〜10またはそれ以上)およびイオン強度の水系へレオロジーをもたらすことがわかった。このpHおよびイオン強度への不感受性は、個人用ケアクリームやローション、食品生成物などの低pHおよび高塩濃度が存在する分野での使用を可能にする。
【0087】
上記に加えて、本発明の誘導化微小繊維ポリサッカライドは、与えられた環境に対して、陰イオン、陽イオン、両方のいずれかの電荷を提供する媒体を意味する。これは、代表的な例として、帯電した粒子を微粒子および他の汚染物の凝集のために使用する水処理で有用である。
【実施例】
【0088】
以下の実施例は、本発明の誘導化微小繊維セルロースを調製および使用するための様々な考え得る方法を示すものである。これらの実施例は単に例示するものであり、本発明を特定の化合物、方法、条件、あるいは適用に限定するものと解釈すべきではない。この記載において、「ゲル化(gelling)」は、G’>G”[ここで、G’は動的貯蔵弾性率であり、G”は動的損失弾性率である]であるときに起こると定義する。これは欧州特許第EP’011号で使用されている機能的な定義であり、一般的な背景については、Ferry,J.D.,Viscoelastic Properties of Polymers,John E.Wiley & Sons,NY,1980を参照のこと。
【0089】
実施例1(比較):微小繊維化した非誘導化セルロース
以下の3つの成分を、以下の重量%レベルで1ガロンジャー内に計量した。
【0090】
【表1】

【0091】
スラリーの撹拌をしない場合、セルロースは急速にジャーの底に沈降した。ジャーを振盪して固体を分散させた。次いで、スラリーを2段階Gaulin モデル 15MRホモジナイザーで処理した。第2段階を約1000psiにセットし、合計圧力が約8000psiであるように第1段階を調節した。スラリーを合計3.5時間処理した。得られたスラリーはより濃厚な稠度を持ち、セルロースは懸濁したままであった。この懸濁液をDI水で1.0%固体まで希釈したときに、得られた懸濁液はゲル特性を示さない粘性のスラリーであった。徐々に1%懸濁液が沈降し、表面に遊離水が残った。
【0092】
実施例2:カルボキシメチルセルロースI(CMC I)の調製と微小繊維化
イソプロパノール(IPA)とDI水を、空気駆動スターラー、ステンレススチール撹拌機、2つの圧力等分滴下漏斗、環流コンデンサー、窒素入口、減圧ラインおよび熱電対を装備した、窒素導入したジャケット付の樹脂釜に入れた。硫酸木材パルプ(およそ400μm長さ)を反応器に加え、この混合スラリーを10分間撹拌し、次いでスラリー温度を15℃まで冷却しながら、混合物に1時間窒素導入した。反応器を不活化した。混合スラリーの温度を約15℃に保ったまま、水性50%NaOHをゆっくりと反応器に加えた。苛性添加の完了後、スラリーを1時間撹拌した。反応スラリー温度を約15℃に保ったまま、水性モノクロロ酢酸(80%MCA)を漏斗で反応器にゆっくり加えた。MCA添加の後、反応スラリーを70℃まで加熱し、1.5時間保持した。反応スラリーを30℃以下に冷却し、氷酢酸を反応器に加えた。次いで、反応混合物を、焼結ガラス漏斗およびゴムダムで吸引減圧濾過した。湿ケーキ(ウエットケーキ)を、空気駆動スターラーおよび接地ステンレススチールビーカーを用いて15分間、565gの80%メタノール中でスラリー化し、次いで焼結ガラス漏斗およびゴムダムで吸引減圧濾過した。これを2回以上繰り返した。先の3回の洗浄から得た湿ケーキを、空気駆動スターラーおよび接地ステンレススチールビーカーを用いて純粋なメタノール1000g中で15分間スラリー化して脱水し、次いで焼結ガラス漏斗およびゴムダムで吸引減圧濾過した。最終の湿ケーキを、Lab−Line流動床乾燥機(モデル番号23852)中で35分間乾燥させた(5分間の風乾、10分間の50℃での熱乾燥、およびさらに20分間の70℃での熱乾燥)。カルボキシメチルセルロース(CMC)生成物を、1mmスクリーンを持つRetsch Grinding Mill(モデル2M1)を用いて粉砕した。
(本明細書の実施例は生成物の洗浄を示しているが、洗浄の必要性または量は、意図した適用に依存するであろう。)
【0093】
【表2】

【0094】
CMCスラリーの調製
800gの1%CMCスラリーを、以下の物質を用いて、表I中のそれぞれの試料から調製した。
【0095】
【表3】

【0096】
容器を密閉して振盪し、CMC固体を湿潤させ分散させた。放置した場合固体が沈降するので、スラリーをホモジナイザーに注入する直前まで容器を振盪した。
【0097】
CMCスラリーの均質化
懸濁液を、以下のように、撹拌供給ポットを装備したホモジナイザーで処理した。スラリーを充填する前に、ホモジナイザーのスイッチを入れた。ホモジナイザーから供給ポットまでの排出流をリサイクルすることにより、800グラムのスラリーを、約3000psiにて約20分間処理した。圧力をモニタし、合計圧力が約3000psiに維持されるように、第1段階のハンドホイールの適切な調節を行った。処理が終了した後、試料を収集し、ふたをしたジャーに保存するために、排出チューブを付け変えた。
【0098】
微小繊維化MCMIのレオロジー試験
実施例2で調製したそれぞれの微小繊維CMC試料のレオロジー特性を調べた。データをBohlin CS Rheometer(Bohlin Instruments,Cranbury,New Jersey)で収集した。動的貯蔵弾性率、動的損失弾性率、複合粘度および降伏応力を含む動的な機械的性質を測定した。
【0099】
レオメーター試験条件
温度曲線:測定系:PP40;25℃〜65℃;剪断応力:自動的;周波数:1Hz;温度傾斜率:5℃/60秒;測定間隔:20秒間;ギャップ:1mm。
降伏応力試験:測定系:CP4/40;ストレス:6.0E−02 〜 1.0E+02;スイープ時間:60.0秒;工程数:30;温度:手動(25℃);測定数:1;測定間隔:5秒間。
応力曲線試験:測定系:PP40;温度:手動(25℃);測定数:1;ギャップ:1mm;測定間隔:5秒間;周波数:1Hz。
【0100】
【表4】

【0101】
試料1の動的な機械的スペクトルのコピー(応力スイープ試験より得た)を図1に示す。
【0102】
実施例3:カルボキシメチルセルロースII(CMCII)の調製と微小繊維化
イソプロパノール(IPA)とDI水を、空気駆動スターラー、ステンレススチール撹拌機、2つの圧力等分滴下漏斗、環流コンデンサー、窒素引口、減圧ラインおよび熱電対を装備した、窒素導入したジャケット付の樹脂釜に入れた。硫酸木材パルプ(およそ400μm長)を反応器に加え、混合スラリーを10分間撹拌し、次いでスラリー温度を15℃まで冷やしながら、混合液に1時間窒素導入した。反応器を不活化した。混合スラリーの温度を約15℃に保ったまま、水性50%NaOHをゆっくりと反応器に加えた。スラリーを苛性添加の完了後、1時間撹拌した。水性モノクロロ酢酸(80%MCA)を、反応スラリー温度を15℃に保ったまま漏斗で反応器にゆっくり加えた。MCA添加後、反応スラリーを約70℃まで加熱し、1.5時間保持した。反応スラリーを30℃以下に冷却し、次いで焼結ガラス漏斗およびゴムダムで吸引減圧濾過した。湿ケーキを空気駆動スターラーおよび接地ステンレススチールビーカーを用いて15分間、80%メタノール565g中でスラリーにし、そして焼結ガラスおよびゴムダムで吸引減圧濾過した。これを2回以上行った。先の3回の洗浄から得た湿ケーキを脱水するために、15分間空気駆動スターラーおよび接地ステンレススチールビーカーを用いて純粋なメタノール1000g中でスラリー化し、そして焼結ガラスおよびゴムダムで吸引減圧濾過した。最終の湿ケーキをLab−Line流動床乾燥機(モデル番号23852)で35分間乾燥させた(5分間の風乾、10分間の50℃での熱乾燥およびさらに20分間の70度での熱乾燥)。カルボキシメチルセルロース(CMC)生成物を、1mmスクリーンを持つRetsch Grinding Mill(モデル2M1)を用いて粉砕した。
【0103】
【表5】

【0104】
スラリーの調製および均質化処理を、実施例2と同様にして行った。レオロジー試験を実施例2に記載したようにして行った。
【0105】
【表6】

【0106】
試料3の動的な機械的スペクトルのコピー(応力スイープ試験より得た)を図2に示す。
【0107】
実施例4:カルボキシメチルセルロースIII(CMCIII)の調製と微小繊維化
イソプロパノールとDI水を、空気駆動スターラー、ステンレススチール撹拌機、2つの圧力等分滴下漏斗、環流コンデンサー、窒素入口、減圧ラインおよび熱電対を装備した、窒素導入したジャケット付の樹脂釜に入れた。硫酸木材パルプ(およそ400μm長)を反応器に加え、混合スラリーを10分間撹拌し、次いでスラリー温度を約15℃まで冷やしながら、混合液に1時間窒素導入した。反応器を不活化した。混合スラリーの温度を約15℃に保ったまま、水性NaOH(50%NaOH)をゆっくりと反応器に加えた。スラリーを苛性添加の完了後、1時間撹拌した。水性モノクロロ酢酸ナトリウムを、80%MCA、50%水性NaOHおよびDI水を混合することにより調製した。この溶液を、反応スラリー温度を約15℃に保ったまま添加漏斗で反応器にゆっくり加えた。MCA添加後、反応スラリーを約70℃まで加熱し、1.5時間保持した。反応スラリーを30℃以下に冷却し、焼結ガラス漏斗およびゴムダムで吸引減圧濾過した。湿ケーキを、空気駆動スターラーおよび接地ステンレススチールビーカーを用いて15分間、80%メタノール、565g中でスラリーにし、次いで焼結ガラスおよびゴムダムで吸引減圧濾過した。これを2回以上行った。先の3回の洗浄から入手した湿ケーキを脱水するために、15分間空気駆動スターラーおよび接地ステンレススチールビーカーを用いて純粋なメタノール1000g中でスラリー化し、次いで焼結ガラスおよびゴムダムで吸引減圧濾過した。最終の湿ケーキをゴムスパチュラを用いて小粒子に壊し、次いで流動床乾燥機で35分間乾燥させた(5分間の風乾、10分間の50℃での熱乾燥およびさらに20分間の70度での熱乾燥)。生成物を、1mmスクリーンを持つRetsch粉砕機を用いて粉砕した。
【0108】
【表7】

【0109】
スラリーの調製および均質化処理を、30分間処理した試料番号#7を除き、実施例2と同様にして行った。レオロジー試験を実施例2に記載したようにして行った。
【0110】
【表8】

【0111】
試料3の動的な機械的スペクトルのコピー(応力スイープ試験より得た)を図3に示す。
【0112】
実施例5:湿ケーキの水洗浄によるCMCの調製
イソプロパノールとDI水を、空気駆動スターラー、ステンレススチール撹拌機、2つの圧力等分滴下漏斗、環流コンデンサー、窒素入口、減圧ラインおよび熱電対を装備した、窒素導入したジャケット付の樹脂釜に入れた。硫酸木材パルプ(およそ400μm長)を反応器に加え、混合スラリーを10分間撹拌し、次いでスラリー温度を15℃まで冷やしながら、混合液に1時間窒素導入した。反応器を不活化した。混合スラリーの温度を約15℃に保ったまま、水性NaOH(50%NaOH)をゆっくりと反応器に加えた。スラリーを苛性添加の完了後、1時間撹拌した。水性モノクロロ酢酸を、80%MCA、50%水性NaOHおよびDI水を混合することにより調製した。この溶液を、反応スラリー温度を15℃に保ったまま漏斗で反応器にゆっくり加えた。MCA添加後、反応スラリーを約70℃まで熱し、1.5時間保持した。反応スラリーを30℃以下に冷却し、焼結ガラス漏斗およびゴムダムで吸引減圧濾過した。湿ケーキを空気駆動スターラーおよび接地ステンレススチールビーカーを用いて15分間、650gのDI水中でスラリーにし、次いで焼結ガラスおよびゴムダムで吸引減圧濾過した。これをさらに1回繰り返した。先の2回の洗浄から入手した湿ケーキを、空気駆動スターラーおよび接地ステンレススチールビーカーを用いて、DI水1000g中、15分間でスラリー化し、次いで焼結ガラスおよびゴムダムで吸引減圧濾過した。最終の湿ケーキを流動床乾燥機で35分間乾燥させた(5分間の風乾、10分間の50℃での熱乾燥およびさらに20分間の70度での熱乾燥)。生成物を、1mmスクリーンを持つRetsch粉砕機を用いて粉砕した。
【0113】
【表9】

【0114】
スラリーの調製およびホモジナイザー処理、ならびにレオロジー試験を実施例2に記載のように行った。
【0115】
【表10】

【0116】
試料2の動的な機械的スペクトルのコピー(応力スイープ試験より得た)を図4に示す。
【0117】
実施例6:高固体反応
硫酸木材パルプ(約200μm長)を、スプレーノズルを装備したAbbey Ribbon Blender(モデル 0RM、Paul O.Abbe,Inc.,Little Falls,New Jersey)に入れた。反応器を密封し、系をゆっくりと撹拌しながら窒素を導入した。撹拌をおよそ125rpmまで速め、50%水性NaOHおよびDI水の溶液を反応器中に噴霧した。混合液を周囲温度で1時間混合した。モノクロロ酢酸ナトリウム(NaMCA)の水溶液を反応器中に噴霧し、反応器温度を75℃に上昇させ、2時間維持した。氷酢酸を反応器内に噴霧し、反応器をおよそ30℃まで冷却した。生成物を15分間、水3リットル中でスラリー化し、ゴムダムを用いて濾過した。このスラリー/濾過処理をさらに3回繰り返した。最終濾過固形物を流動床乾燥機で乾燥し、1mmスクリーンを使用したRetsch粉砕機内で粉砕した。
【0118】
【表11】

【0119】
スラリー調製:試料番号#2(DS=0.17)を水中で10%固体スラリーとして後処理した以外、実施例2と同様に行った。次いで、このスラリーをさらなる水およびGermaben(登録商標)IIと混合して新規スラリーを調製し、これをホモジナイザー中で処理した。
【0120】
【表12】

【0121】
最終スラリーが10%CMCスラリーの10重量%なので、実際のCMCレベルは1重量%である。試料番号#1を25分間処理したのを除いて、均質化を実施例2と同様に行い、レオロジー試験を実施例2のように行った。
【0122】
【表13】

【0123】
試料2の動的な機械的スペクトルのコピー(応力スイープ試験より得た)を図5に示す。
【0124】
実施例7:即用ゲル微小繊維化CMCの調製
実施例3で調製したCMCIIを使用して、実施例2のスラリー調製および均質化処理工程で記載したようにゲルを調製した(DS約0.16)。 次いでゲルを以下のように処理した(以下の表記は表XIの試料番号#1に関連し、同様の手順を他のすべての試料に対して使用した)。
【0125】
およそ2800mlのイソプロピルアルコールを、接地した12クォートステンレススチール(SS)ビーカーに加えた。IPAを室内空気によって駆動する天井スターラーの最高速度で撹拌した。IPAを撹拌するために、SSシャフト上のSSカウルブレードを使用した。約1400グラムの1%CMCIIゲルを、撹拌しながらIPAにゆっくりと加えた。物質比は2mlのIPA/1グラムゲルであった。IPAへのゲルの添加に約5分間かけた。ブレーカーをプラスチックフィルムで覆い、スラリーを10分間撹拌した。
【0126】
10分経過後、スラリーを張りつめた合成布を通して濾過した。スラリーは、重力により濾過した。IPAの蒸発を減らすために、濾過の間スラリーをプラスチックフィルムで覆った。濾過のスピードを補助するために、時折布上のスラリーをプラスチックスパチュラで撹拌した。濾過がほぼ終了したように見えた時に、湿ケーキを12クォートSSブレーカーへ移し戻した。
【0127】
およそ2800mlの新鮮なIPAをビーカーに加え、スラリーをさらに10分間、カウルブレード/空気スターラーで再び撹拌した。その後、スラリーを、#415 VWR濾紙を用いて20cmのBuechner漏斗で濾過した。湿ケーキをガラス結晶皿へ移した。皿と湿ケーキを乾燥させるために、減圧下80℃オーブンに一晩おいた。試料を一定重量まで乾燥させた。固体をWaring Blenderで粉砕した。
【0128】
脱水ゲルを、以下のように再水和して試験した。DI水とGermaben(登録商標)IIの予備混合液を調製した。
【0129】
【表14】

【0130】
次いで、水/Germaben(登録商標)II溶液を、表XIのレシピの即用ゲル乾燥CMCとともに、小さなワーリングブレンダーカップ内に計量した。ブレンダーカップを覆い、試料を均質性になるまで混合した。得られたゲルをガラスジャーに移した。その後、ボルテックスミキサーで撹拌した。レオロジー試験を実施例2に記載したように行った。
【0131】
【表15】

【0132】
試料1〜5の動的な機械的スペクトルのコピー(応力スイープ試験より得た)を、それぞれ図6〜10に示す。
【0133】
実施例8A:即用ゲル微小繊維化CMCの調製のための酸処理
実施例3で調製したゲルを、HClで酸性化してpHを約2.7に調節した。ゲルを遠心して約60%の水を除去した。次いで、濃縮したゲルを、ゲルの2倍重量に等しいIPAと混合することによりRTG形態に変換し、続いてBuechner漏斗で濾過し、さらに2倍重量のIPAともう一度混合した。湿ケーキを真空オーブンで乾燥させた。
【0134】
乾燥した固体を、水/Germaben(登録商標)II殺生物剤中、1%で再水和した。少量の高温乾燥ソーダを加え、試料をブレンダー上で混合した。粘度が撹拌と共に徐々にあがり、試料がゲル様になった。pHは約6.9であった。
【0135】
レオロジー試験を実施例2に記載のように行った。G’@5.75Pa:226Pa、降伏応力:17.4Pa。動的な機械的スペクトルのコピー(応力スイープ試験より得た)を図11に示す。
【0136】
実施例8B:即用ゲル微小繊維化CMCの調製のための酸処理
実施例3で調製したゲルの第2バッチのpHを、濃HClで約2.7に調節した。試料を遠心して約62%の水を除去した。約97gの濃縮ゲルを150mlのIPAでスラリー化した。少量の高温乾燥ソーダを加えることによりスラリーの撹拌中にpHを7.0に調節した。スラリーをBuechner漏斗で濾過し、湿ケーキの半分(試料A)を乾燥のため結晶皿中に計量した。試料Bとして、湿ケーキの他の半分を約75mlのIPA中で再スラリー化した。この湿ケーキをBuechner漏斗で濾過し、可能な限り多くのIPAを取り除くためにゴムダムで押した。両方の湿ケーキを減圧下に一定重量まで乾燥させ、固体をWaringブレンダー内で粉砕した。
【0137】
試料Aを1%の合計固体レベルのために水と混合し、素早くゲル化した。pHは約5.8であった。試料Bは、1%の固体レベルで水と撹拌したときにすぐにゲル化した。
【0138】
レオロジー試験を実施例2に記載のように行った。
試料A:G’@5.75Pa:471Pa、降伏応力:34.0Pa。動的な機械的スペクトルのコピー(応力スイープ試験より得た)を図12に示す。
試料B:G’@5.75Pa:403Pa、降伏応力:35.7Pa。動的な機械的スペクトルのコピー(応力スイープ試験より得た)を図13に示す。
【0139】
実施例9:微小繊維セルロースの誘導化
イソプロパノール(602.8g)とDI水(86.4g)を、空気駆動スターラー、ステンレススチール撹拌機、2つの圧力等分滴下漏斗、環流コンデンサー、窒素入口、減圧ラインおよび熱電対を装備した、窒素導入したジャケット付の樹脂釜に入れた。実施例1の微小繊維化セルロースを焼結ガラス漏斗およびゴムダムで減圧濾過した。湿ケーキを、空気駆動スターラーおよび接地ステンレススチールブレーカーを用いて、565gの80%イソプロパノール(IPA)中、15分間でスラリー化し、次いで焼結ガラス漏斗およびゴムダムで吸引減圧濾過した。これをさらに2回繰り返した。先の3回の洗浄から得た湿ケーキを脱水するために、15分間空気駆動スターラーおよび接地ステンレススチールビーカーを用いて、1000gの純粋IPA中でスラリー化し、次いで焼結ガラスおよびゴムダムで吸引減圧濾過した。スラリー温度を15℃まで冷却しつつ混合液に1時間窒素導入した後、36gの微小繊維化セルロース、228gのIPA、36gのDI水を含む得られた湿ケーキを反応器に加え、混合スラリーを10分間撹拌した。反応器を不活性化した。水性50%NaOH(10.52g)を、混合スラリー温度を約15℃に保った反応器へゆっくり加えた。スラリーを苛性添加の完了後1時間撹拌した。水性モノクロロ酢酸(7.26gの80%水性MCA)を、反応スラリー温度を約15℃に保ったまま漏斗で反応器にゆっくり加えた。MCA添加後、反応スラリーを約70℃まで熱し、1.5時間保持した。反応スラリーを30℃以下に冷却し、焼結ガラス漏斗およびゴムダムで吸引減圧濾過した。湿ケーキを、空気駆動スターラーおよび接地ステンレススチールビーカーを用いて15分間、80%メタノールの565g中でスラリーにし、次いで焼結ガラスおよびゴムダムで吸引減圧濾過した。これをさらに2回以上繰り返した。先の3回の洗浄から得た湿ケーキを脱水のために、空気駆動スターラーおよび接地ステンレススチールビーカーを用いて、純粋なメタノール1000g中、15分間でスラリー化し、次いで焼結ガラスおよびゴムダムで吸引減圧濾過した。最終の湿ケーキを流動床乾燥機で35分間乾燥させた(5分間の風乾、10分間の50℃での熱乾燥およびさらに20分間の70℃での熱乾燥)。生成物を、1mmスクリーンを持つRetsch粉砕機を用いて粉砕した。得られた物質のDSは0.14であった。
【0140】
生成物の1%水溶懸濁液を15分間、Waringブレンダー中で混合した。これは、時間と共に沈降することのない粘稠な懸濁液を与えた。
スラリーの調製:実施例2と同様。均質化を、他に記すことがなければ、実施例2のように行い、レオロジー試験を実施例2のように行った。
降伏応力:5.75Pa、G’@5.75Pa:363Pa。動的な機械的スペクトルのコピー(応力スイープ試験より得た)を図14に示す。
【0141】
実施例10:他のセルロース
CMCを、表XIIのセルロース供給源およびレシピを用いて、実施例3のように調製した。
【0142】
【表16】

【0143】
Solka Floc試料(試料2)のスラリー調製を、実施例2のように行った。均質化処理を実施例2のように行い、レオロジー試験を実施例2のように行った。
【0144】
【表17】

【0145】
試料2の動的な機械的スペクトルのコピーを図15に示す。
【0146】
実施例11:インピンジメントミキサーでのCMCの微小繊維化
使用した試料は、実施例3のように調製した低DS CMCの0.5%、1%および1.5%懸濁液である。それぞれのスラリーを合計100グラム計量した。Germaben(登録商標)II殺生物剤は、インピンジメントミキサーで処理した試料では使用しなかった。スラリーを、4オンスガラスジャー中に成分を計量することによって調製した。このジャーに蓋をし、振盪してCMC固体を濡らし、分散させた。
【0147】
【表18】

【0148】
Microfluidics Corporation モデル M110 Series インピンジメントミキサーを、使用前にDI水で洗った。水がポンプでくみ上げられるよう、圧力を好ましい設定に合わせた。インピンジメントミキサーを、充填漏斗のちょうど下部に至るまで、DI水がポンプでくみ上げられるように駆動させた。インピンジメントミキサーパイピングの温度を制御するために使用した温浴を50℃に設定した。
【0149】
試料ジャーを、試料漏斗を装填する直前に再び振盪した。試料を漏斗中に投入した。電気天井スターラーを試料漏斗内にあった。これを、CMCが均質に懸濁するのを保つのを補助するために回した。初回通過の後、スターラーは必要ではない。試料を、微小流動化装置を通してポンプでくみ上げ、収集ジャーに入れた。最初のDI残留物を含む初回に収集された物質を廃棄した。次いで、全試料がこの装置を1回通して処理されるまで、処理を続けた。
【0150】
4回通過する間、0.5%固体ゲルを6000psiで処理した。1.0%固体ゲルを同様の条件下で処理した。ちょうど3回通過する間に、1.5%固体ゲルを6000psiで処理した。
【0151】
【表19】

【0152】
試料1〜3の動的な機械的スペクトルのコピー(応力スイープ試験より得た)を図16〜18に示す。
【0153】
実施例12:微小繊維化した疎水性修飾カルボキシメチルセルロース(HMCMC)
テトラ−ブチルアルコール(TBA、750g)とHercules CMC 7H(約0.7のDS、100g)を、空気駆動スターラー、ステンレススチール撹拌機、2つの圧力等分滴下漏斗、環流コンデンサー、窒素入口、減圧ラインおよび熱電対を装備した、窒素導入したジャケット付の樹脂釜に入れた。混合液を25℃で1時間窒素導入した。水性NaOH(7.5%NaOH、54g)を、混合液スラリーの温度を約25℃に保った反応器にゆっくり加えた。スラリーを約15℃まで冷却し、約15℃で1時間撹拌した。セチルグリシダルエーテルの50%溶液(溶液40g)を、反応スラリー温度を15℃に保ったまま、滴下漏斗により反応器にゆっくり加えた。反応スラリーを約80℃まで加熱し、3.25時間維持した。反応スラリーを約50℃まで冷却し、70%硝酸9gを加えた。混合液を約30℃まで冷却し、焼結ガラス漏斗およびゴムダムで吸引減圧濾過した。湿ケーキを、空気駆動スターラーおよび接地ステンレススチールビーカーを用いて85%アセトン1000g中、15分間でスラリー化し、次いで焼結ガラスおよびゴムダムで吸引減圧濾過した。これをさらに2回繰り返した。先の3回の洗浄から得た湿ケーキを、空気駆動スターラーおよび接地ステンレススチールビーカーを用いて100%アセトン1000g中、15分間でスラリー化し、次いで焼結ガラスおよびゴムダムで吸引減圧濾過した。最終の湿ケーキを流動床乾燥機で35分間乾燥させた(5分間の風乾、10分間の50℃での熱乾燥およびさらに20分間の70℃での熱乾燥)。生成物を、1mmスクリーンを持つRetsch粉砕機を用いて粉砕した。得られた生成物のセチル含量は≦0.03重量%であった。
【0154】
スラリー調製、ホモジナイザー処理およびレオロジー試験を、実施例2に記載したように行った。G’@5.75Pa:319Pa、降伏応力:14Pa。動的な機械的スペクトルのコピー(応力スイープ試験より得た)を図19に示す。特定の実施例として、疎水性修飾した誘導化微小繊維セルロースを本明細書に記載したが、本発明の目的のためには、誘導化微小繊維セルロースは、約4〜約30個の炭素を持つ炭素基によって疎水性修飾してよい。
【0155】
実施例13:微小繊維化ヒドロキシエチルセルロース(HEC)
硫酸木材パルプ、tert−ブチルアルコール(TBA)、アセトン、イソプロパノール(IPA)およびDI水を、窒素導入した撹拌Chemco反応器(3パイント反応器:Chemco,Tulsa,OK)に入れた。反応器を窒素で不活化し、反応スラリー温度を20℃に合わせた。水性NaOH(50%NaOH)を反応器に加え、混合液を20℃で45分間撹拌した。エチレンオキシド(EO)を、反応スラリーを20℃に保ったまま、約5分間にわたり反応器に入れた。EOの添加後、反応スラリーを50℃まで加熱し、約45分間撹拌しながら50℃に保った。次いで、反応スラリーを約90℃まで加熱し、30分間撹拌しながら90℃に保った。反応スラリーを約50℃まで冷却し、70%硝酸を加えた。反応スラリーを30℃以下まで冷却し、次いで焼結ガラスおよびゴムダムで吸引減圧濾過した。湿ケーキを、空気駆動スターラーおよび接地ステンレススチールビーカーを用いて80%アセトン600g中、15分間でスラリー化し、次いで焼結ガラスおよびゴムダムで吸引減圧濾過した。これをさらに2回繰り返した。先の3回の洗浄から得た湿ケーキを、空気駆動スターラーおよび接地ステンレススチールビーカーを用いて100%アセトン600g中、15分間でスラリー化し、次いで焼結ガラスおよびゴムダムで吸引減圧濾過した。最終の湿ケーキを流動床乾燥機で35分間乾燥させた(5分間の風乾、10分間の50℃での熱乾燥およびさらに20分間の70℃での熱乾燥)。生成物を、1mmスクリーンを持つRetsch粉砕機を用いて粉砕した。
【0156】
【表20】

【0157】
ゲル化工程に数回の通過を必要としたことを除いて、スラリー調製およびホモジナイザー処理を、実施例2と同様に行った。
【0158】
【表21】

【0159】
試料1〜3の動的な機械的スペクトルのコピー(応力スイープ試験より得た)を図20〜22に示す。
【0160】
紙製造における排水助剤
以下の実施例は、排水改善助剤としての誘導化微小繊維ポリサッカライドの効果を示すものである。
【0161】
排水測定を、70%硬木材および30%軟木材からなる漂白クラフトパルプを用いて、Canadian Standard Freeness(CSF)テスターで行った。全ての濾水度試験を、TAPPI法 T227 om−92を使用して、pHが7.95〜8.05、アルカリ度が50ppm(炭酸カルシウムとして)、硬度が100ppm(炭酸カルシウムとして)である硬水において行った。0.3%のパルプ濃度を使用した。比較的高いCSF値ほど比較的良好な(速い)排水を示す。
【0162】
無水グルコース単位あたり約0.17電荷基の置換度を有する、実施例7で調製したRTG微小繊維化CMCを用いることにより、以下の結果が得られた。全ての充填材は、パルプに対する添加剤(乾燥基準)の割合(%)として計算した。
【0163】
実施例14:RTG CMC試料物質のみ
【0164】
【表22】

【0165】
実施例15:RTG CMC試料物質およびHercules Reten(登録商標)1232(R−1232)
【0166】
【表23】

【0167】
実施例16:RTG CMC試料物質およびHercules Kymene(登録商標)557Hレジン(K−557H)
K−557Hと物質の一定比2:1を使用した(KymeneはHercules Incorporatedの商標で登録されている)。2つの異なる開始パルプを使用し、1つは比較的高い自由度を持ち、もう一つは比較的低い自由度を持つ。
【0168】
【表24】

【0169】
実施例17:RTG CMC物質およびHercules Kymene 450レジン(K−450)
K−450と物質との一定の比率2:1を採用した。一方は比較的高い濾水度を有し、もう一方は比較的低い濾水度を有する2つの異なる出発パルプを使用した。
【0170】
【表25】

【0171】
通常のCMCと同様に、試料物質は、Hercules Kymene 557HまたはKymene 450レジンなどの添加剤の湿潤および乾燥強度活性を大きくする。すなわち、試料物質の使用の利点は、湿潤強度/乾燥強度/排水/保持助剤を兼ね備えた供給にある。
【0172】
紙サイジング組成物における使用
以下の実施例は、紙サイジングにおいて使用する組成物に関連して約0.15のDSを有する、実施例3で調製したCMC IIの使用に関する。
【0173】
実施例18
600mlビーカーを用いて、Precis(登録商標)787ケテンダイマー(Hercules Incorporated,Wilmington,Delawareより入手可能:PrecisはHercules Incorporatedの登録商標である)66.0g、CMC II(実施例3で調製:DS約0.15)1.5gおよびDI水232.5gを混合した。このプレ混合液を、Tekmar Ultra−turax SD45 ローター−ステーター高剪断ミキサー(Tekmar Company,Cincinnati,Ohio)を用いて、50の力設定で2分間撹拌することによって分散させた。次いで、このプレ混合液を素早くインピンジメントミキサーの供給チャンバー中に注いだ。約250rpmの機械撹拌で、プレ混合液を5000psiの圧力設定でインピンジメントミキサーに通した。エマルションを収集し、2回目の通過を行った。2回目の通過生成物を、清浄なジャーに収集し、撹拌棒を加え、ジャーに蓋をし、次いで5〜15℃の水浴中で冷却した。
【0174】
実施例19
Precisケテンダイマー66.0g、試料物質1.5g、水中50%硫酸アルミニウム(18H2O)溶液66.0g、およびDI水166.5gを用いて、実施例18と同様に行った。
【0175】
実施例20
Precisケテンダイマー66.0g、試料物質1.5g、25%(重量)の硫酸アルミニウム(18H2O)を含有する溶液132.0g、脱イオン水、pHを4.0にするために十分なアルカリ度、およびDI水100.5gを用いて、実施例18と同様に行った。
【0176】
実施例21
Precisケテンダイマー66.0g、脱イオン水中のCMC 7M(DS0.7)(Hercules Incorporated,Wilmington DE)の2%溶液75.0g、25%(重量)硫酸アルミニウム(18H2O)含有溶液132.0g、脱イオン水、pHを4.0にするために十分なアルカリ度、およびDI水27.0gを用いて、実施例18と同様に行った。
【0177】
実施例22
CMC II(実施例3で調製:DS約0.15)3.0gを、高剪断ミキサーを用いて50の力設定で5分間、DI水465g中に分散させ、次いで5000psiでインピンジメントミキサーに3回通した。実施例18のように、Precisケテンダイマー66.0gをDI水ゲル中の試料物質234.0gと混合し、高剪断ミキサーを用いて50の力設定で撹拌し、次いで5000psiでインピンジメントミキサーに2回通し、冷却した。
【0178】
実施例23
CMC II(実施例3で調製:DS約0.15)4.0gを、高剪断ミキサーを用いて50の力設定で5分間、DI水400g中で分散させ、次いで5000psiでMicrofluidizerに3回通してゲルを得た。
【0179】
8オンス広口ジャーにおいて、Precis787ケテンダイマー176.0gとDI水224.0gを混合した。このプレ混合液を、高剪断ミキサーにおいて50の力設定で5分間剪断し、次いで素早くインピンジメントミキサーの供給チャンバーに注いだ。約250rpmの機械撹拌を用いて、プレ混合液を5000psiの圧力設定でインピンジメントミキサーに通した。
【0180】
上記で調製したゲル150.0gを、Precisケテンダイマー44%エマルション150.0gと混合し、高剪断ミキサーを用いて50の力設定で5分間撹拌した。
【0181】
実施例24
8オンス広口ジャーにおいて、Precis787ケテンダイマー66.0g、実施例7で調製した前剪断して溶媒交換乾燥した物質(DS約0.16)1.5gおよびDI水232.5gを混合した。このプレ混合液を、高剪断ミキサーにおいて50の力設定で5分間剪断し、次いで素早くインピンジメントミキサーの供給チャンバーに注いだ。約250rpmの機械撹拌を用いて、プレ混合液を5000psiの圧力設定でインピンジメントミキサーに通した。エマルションを収集し、2回目の通過を行った。2回通過生成物を、清浄なジャーに収集し、撹拌棒を加え、ジャーに蓋をし、次いで5〜15℃の水浴中で冷却した。
【0182】
以下のページでは、TAPPI Standard Method T560を用いて、試料エマルションについて試験した結果を示す。
【0183】
【表26】

【0184】
次いで、実施例18、20、21、23および24からのエマルションを、サイジング組成物において試験した。結果をチャート1に示す。このデータを得るために用いた手順は以下の通りである。全ての試料を、5%(重量)D−150デンプン(Grain Processing Corp.,Muscatine,IA)を用いて調製した。それぞれの実施に対して5つの紙片および湿潤ピックアップシートを、湿潤ニップサイズプレスを用いてサイズプレスした。それぞれのシートを、220°F±5°Fで20秒間、ドラム乾燥機で乾燥プレスした。湿潤ピックアップシートの重量を、サイズプレスの前後に測定して、湿潤ピックアップ割合(%)を得た。Hercules Size Testing(HST)を、TAPPI手順T560を使用して、それぞれの紙シート(処理あたり5)で行った。
【0185】
【表27】

【0186】
実施例25−27
エマルションの系列を、表XVIIIで示した配合をにより、サイジング剤としてPrecisケテンダイマーではなくAquapel(登録商標)364サイジング剤を用いて調製した。それぞれの場合、試料を力設定6でBranson 350 Ultrasonicatorで超音波処理した。上質紙の試料を、エマルションを使用して連続式フォードリニア型機械で調製し、1%ギ酸インクを使用した標準HSTインク耐性試験(TAPPI Method T−530)を用いて100時間の自然老化の後、サイジング試験を行った。チャート2は、HSTサイジングの結果を示すものであり、この結果は、試料がHercon(登録商標)紙サイジング剤を使用した3つの市販品コントロールと少なくとも同等であるか、またはより良好であったことを示す。
【0187】
【表28】

【0188】
【表29】

【0189】
紙製造
サイジング例で使用した紙を、Canadian標準濾水度525まで粉々にした硬木材および軟木材パルプの混合物(75:25)からpH7で調製し、65.1g/m2の基本重量を有するシートを形成した。Hercon 70、Hercon 79、およびHercon 115サイジング剤を、全てパルプを基準に0.06%で加えた(トンあたり1.2ポンドに相当する)。硬度が50ppm、アルカリ度が25ppm、およびpHが8.1〜8.4である実験用水を使用した。
【0190】
食品および個人ケア組成物での使用
以下の実施例は、食品および個人ケア製品における誘導化微小繊維ポリサッカライドの使用に関する。
【0191】
実施例28:食品における脂肪代替品、粘度付与剤としての使用
【0192】
【表30】

【0193】
手順1:上記実施例7で調製したRTG微小繊維化CMC(DS約0.16)を、撹拌により水に分散させた。デンプンおよびマルトデキストリンを撹拌しながら加えた。混合物を80〜90℃まで加熱し、引き続き15〜20℃まで冷却した。卵の黄身、次いで酢を加えた。次いで、生成物をコロイドミルで混合した。この混合は、0.001インチギャップ設定でエマルションローターとステータを備えたGreercoコロイドミルモデルW250V−B(Greerco Corp.,Hudson,NH)に1回通すことから構成される。次いで、この生成物のテクスチャーを24時間後に評価した。
【0194】
手順2:上記実施例3で調製した1%微小繊維化CMCゲル(DS約0.16)に、残りの水を加えた。次いで、デンプンおよびマルトデキストリンを撹拌しながら加えた。混合物を80〜90℃まで加熱し、引き続き15〜20℃まで冷却した。卵の黄身、次いで酢を加えた。次いで、生成物をコロイドミルで混合した。次いで、この生成物のテクスチャーを24時間後に評価した。
【0195】
手順3:デンプンおよびマルトデキストリンを撹拌しながら水に加えた。混合液を80〜90℃まで加熱し、引き続き15〜20℃まで冷却した。卵の黄身、次いで酢を加えた。次いで、生成物をコロイドミルで混合した。次いで、この生成物のテクスチャーを24時間後に評価した。
【0196】
評価:粘度を、ブルックフィールド(モデルDV−II+)、20℃、ヘリパス、5rpm、スピンドルC、プログラムS93で測定した。
【0197】
RTG微小繊維化CMCまたは微小繊維化CMCのいずれかを含む生成物の外観は、切断したときに一定期間にわたりその形を保持するゲルの外観であり、離漿しない。生成物の一部をスプーンまたはスパチュラで引き上げると、過剰な粘着性の糸引きを有するようにはみられない(テクスチャーは短いと説明される)。これらは、低脂肪であって、スプーンですくい上げられるドレッシングおよびマヨネーズと同様の主観的テクスチャーの特徴である。
【0198】
実施例29:個人ケア製品での使用
【0199】
【表31】

【0200】
手順:パートAの成分を、水可溶性ポリマーが溶解するまで混合し、60〜65℃まで加熱した。微小繊維CMC以外のパートBの成分の全てを混合し、均質化するまで60〜65℃に加熱した。次いで、RTG微小繊維CMCをパートB中に分散させ、このパートBを激しく撹拌しながらパートAに加え、混合液が滑らかかつ均質になるまで撹拌を続けた。次いで、30℃まで冷却し、パートCを加えた。
性質
【0201】
【表32】

【0202】
本実施例は、界面活性剤/共界面活性剤ネットワーク形成系によって通常発揮される役割をになう、RTG CMC物質の水中油型エマルションを安定化する能力を示すものである。
【0203】
【表33】

【0204】
手順:パートAの成分を、水可溶性ポリマーが溶解するまで混合した。次いで、パートBの成分を混合し、パートBを激しく撹拌しながらパートAに加え、混合液が滑らかかつ均質になるまで撹拌を続けた。
性質
【0205】
【表34】

【0206】
本実施例は、界面活性剤/共界面活性剤ネットワーク形成系によって通常発揮される役割をになう、RTG CMC物質の水中油型エマルションを安定化する能力を示すものである。RTG CMCを室温で処理したが、通常の界面活性剤/共界面活性剤の系は加熱が必要である。
【0207】
【表35】

【0208】
手順:パートAの成分を混合し、75℃まで加熱した。次いで、RTG微小繊維CMC以外のパートBの成分を混合し、均質化するまで75℃に加熱した。次いで、RTG微小繊維CMCをパートB中に分散させた。次に、パートBを、混合液が滑らかかつ均質になるまでパートAに加えた。次いで、混合液を40℃まで冷却し、パートCを加えた。この組成物をpH3.5〜4.0にし、通常のキトサン、クレー混合物の代わりに微小繊維CMCを用いて安定化した。
性質
【0209】
【表36】

【0210】
本実施例は、RTG CMC物質の低pHで水中油型エマルション中を安定化する能力を示すものである。
【0211】
【表37】

【0212】
手順:パートAとパートBの成分を混合し、70℃まで加熱した。次いで、パートCを別々に加え、それぞれのパートC成分を加えた後に混合した。次いで、パートDを激しく撹拌しながら加え、混合液が滑らかかつ均質になるまで撹拌を続けた。次いで、パートEを加え、混合液を45℃まで冷却し、パートFを加えた。
性質
【0213】
【表38】

【0214】
本実施例は、微小繊維化CMCの有機日焼け止めでの使用を示すものである。
【0215】
【表39】

【0216】
手順:パートAの成分を混合し、50℃まで加熱した。微小繊維CMC以外のパートBの全ての成分を混合し、均質になるまで60〜65℃に加熱した。次いで、微小繊維CMCをパートB中に分散させ、次いでこれを激しく撹拌しながらパートAに加え、次いで混合液が滑らかかつ均質になるまで撹拌を続けた。パートDの成分を十分に混合した。パートCをABエマルションに加え、次いで適度に撹拌しながら、パートDをエマルションにゆっくり加え、30℃まで冷却した。
性質
【0217】
【表40】

【0218】
本実施例は、微小繊維化CMCの無機日焼け止めでの使用を示すものである。
【0219】
本明細書において、必要に応じて、特定の具体的な方法および材料を参照しながら本発明を説明した。これらの方法および材料の列挙は、単なる例示であって、いかなる意味においても本発明の範囲の限定を構成するものではない。当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載した具体的教示に対して変更または代替を認識および実施することができると考えるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電的および/または立体的な官能性を提供する置換基を含むように誘導された誘導化微小繊維ポリサッカライドであって、該静電的な官能性が陰イオン電荷からなる誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項2】
誘導化微小繊維ポリサッカライド中のポリサッカライドが、セルロース、ヘミセルロース、キチン、キトサン、グアールゴム、ペクチン、アルギネート、寒天、キサン、デンプン、アミロース、アミロペクチン、アルタナン、ゲラン、ミュータン、デキストラン、プルラン、フラクタン、イナゴマメゴム、カラゲーナン、グリコーゲン、グリコサミノグリカン、ムレイン、細菌莢膜ポリサッカライドおよびその誘導体の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項3】
ポリサッカライドが、セルロース、キチン、キトサン、ペクチン、寒天、デンプン、カラゲーナンおよびその誘導体の少なくとも1つを含む、請求項2に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項4】
誘導化微小繊維セルロースを含む、請求項3に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項5】
セルロースが、化学パルプ、機械パルプ、熱機械パルプ、化学熱機械パルプ、リサイクル繊維、新聞紙、木綿、ダイズ外皮、エンドウ外皮、トウモロコシ外皮、アヤ、麻、黄麻、ラミー、アンバリ麻、マニラ麻、サイザル麻、バガス、トウモロコシ、小麦、竹、ベロニア、細菌、藻類、真菌、微結晶セルロース、野菜および果実の少なくとも1つから得られる、請求項4に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項6】
セルロースが、亜硫酸塩、クラフトあるいは予備加水分解クラフトパルピング法で製造され、精製され、所望により漂白された木材パルプ;精製された木綿リンター;果実;および野菜の少なくとも1つから得られる、請求項5に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項7】
ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース、疎水性修飾カルボキシメチルセルロース、疎水性修飾ヒドロキシエチルセルロース、疎水性修飾ヒドロキシプロピルセルロース、疎水性修飾エチルヒドロキシエチルセルロース、疎水性修飾カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、疎水性修飾ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、疎水性修飾メチルセルロース、疎水性修飾メチルヒドロキシプロピルセルロース、疎水性修飾メチルヒドロキシエチルセルロース、疎水性修飾カルボキシメチルメチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、硫酸セルロース、ビニル硫酸セルロース、リン酸セルロースおよびホスホン酸セルロースの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項8】
誘導化微小繊維セルロースが、水中において約0.01%から約100%の濃度範囲でゲルを形成する、請求項4に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項9】
誘導化微小繊維セルロースが、水中において約0.01%から約50%の濃度範囲でゲルを形成する、請求項8に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項10】
誘導化微小繊維セルロースが、水中において約0.05%から約0.99%の濃度範囲中の少なくとも1点でゲルを形成する、請求項4に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項11】
溶媒をさらに含み、誘導化微小繊維ポリサッカライドが該溶媒に実質的に不溶性である、請求項1に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項12】
溶媒が水、アルコールまたは油である、請求項11に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項13】
溶媒が水である、請求項12に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項14】
誘導化微小繊維ポリサッカライドが、静電的官能性を提供する置換基を含むように誘導される、請求項13に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項15】
誘導化微小繊維ポリサッカライドが、約0.5未満の置換度を持つ誘導化微小繊維セルロースである、請求項1に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項16】
置換度が約0.35未満である、請求項15に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項17】
置換度が約0.2未満である、請求項16に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項18】
置換度が約0.18未満である、請求項17に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項19】
置換度が約0.1未満である、請求項18に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項20】
置換度が約0.02から約0.5の間である、請求項15に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項21】
置換度が約0.05から約0.2の間である、請求項20に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項22】
陰イオン電荷の形で静電的官能性を提供する置換基を含むように誘導され、陰イオン電荷の形で静電的官能性を提供する置換基を表している置換度が少なくとも約0.02である、請求項1に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項23】
陰イオン電荷が、カルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、またはその組合わせによって提供される、請求項1に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項24】
静電的官能性が、陰イオン電荷および陽イオン電荷の両方によって提供される、請求項14に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項25】
静電的官能性が、同一の置換基中に陰イオン電荷および陽イオン電荷の両方を含んでいる置換基によって提供される、請求項24に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項26】
静電的官能性が、陰イオン電荷を持つ置換基および陽イオン電荷を持つ置換基の両方によって提供される、請求項24に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項27】
誘導化微小繊維ポリサッカライドが、立体的官能性を提供する置換基を含むように誘導される、請求項13に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項28】
約3.0未満のモル置換を持つ、請求項27に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項29】
約1.5未満のモル置換を持つ、請求項28に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項30】
約1.0未満のモル置換を持つ、請求項29に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項31】
約0.5未満のモル置換を持つ、請求項30に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項32】
モル置換が約0.5から3.0の間である、請求項28に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項33】
置換基が、ヒドロキシエチル基;ヒドロキシプロピル基;メチル基;エチル基;約4〜約30個の炭素を持つ直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、アルケニルあるいはアルキニル基;約4〜約30個の炭素を持つアリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、環式およびヘテロ環式炭化水素、またはその組合わせの少なくとも1つを含む、請求項27に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項34】
誘導化微小繊維ポリサッカライドが誘導化微小繊維セルロースである、請求項33に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項35】
カルボキシメチルセルロースを含む、請求項4に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項36】
約0.35未満の置換度を持つ、請求項34に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項37】
約2.0未満の置換度を持つ、請求項36に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項38】
置換度が約0.02から約0.2の間である、請求項37に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項39】
置換度が約0.10から約0.2の間である、請求項38に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項40】
誘導化微小繊維セルロースが、水中において約1%未満の濃度でゲルを形成する、請求項4に記載の誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項41】
約0.10から約0.20の間の置換度を持つ微小繊維カルボキシメチルセルロース。
【請求項42】
静電的および/または立体的な官能性を提供する置換基を含むように誘導され、該静電的官能性が陰イオン電荷によって提供される、誘導化微小繊維ポリサッカライドを含む食品組成物。
【請求項43】
低脂肪、減脂肪または脂肪不含のマヨネーズの形の請求項42に記載の食品組成物。
【請求項44】
サラダドレッシングの形の請求項42に記載の食品組成物。
【請求項45】
薬理学的に活性な成分をさらに含む請求項42に記載の食品組成物。
【請求項46】
誘導化微小繊維ポリサッカライドが、少なくとも部分的に、薬理学的に活性な成分の制御性、持続性または遅延性の放出を提供する、請求項45に記載の食品組成物。
【請求項47】
静電的および/または立体的な官能性を提供する置換基を含むように誘導され、該静電的官能性が陰イオン電荷によって提供される、誘導化微小繊維ポリサッカライドを含む非食品組成物。
【請求項48】
傷ケア製品の形の請求項47に記載の非食品組成物。
【請求項49】
傷ケア製品が傷包帯である、請求項48に記載の非食品組成物。
【請求項50】
傷ケア製品が造孔リングである、請求項48に記載の非食品組成物。
【請求項51】
スキンケアローションまたはクリームの形の請求項47に記載の非食品組成物。
【請求項52】
日焼け止めローションまたはクリームの形の請求項47に記載の非食品組成物。
【請求項53】
口ケア組成物の形の請求項47に記載の非食品組成物。
【請求項54】
口ケア製品が練り歯磨きである、請求項53に記載の非食品組成物。
【請求項55】
肥料、除草剤、殺菌剤、または殺虫剤をさらに含む、請求項47に記載の非食品組成物。
【請求項56】
誘導化微小繊維ポリサッカライドが、少なくとも部分的に、肥料、除草剤または殺虫剤の制御性、持続性または遅延性の放出を提供する、請求項55に記載の非食品組成物。
【請求項57】
ドリル液の形の請求項47に記載の非食品組成物。
【請求項58】
静電的および/または立体的な官能性を提供する基を含むように誘導され、該静電的官能性が陰イオン電荷の存在からなる、誘導化微小繊維セルロースを含む紙組成物。
【請求項59】
誘導化微小繊維セルロースが微小繊維カルボキシメチルセルロースである、請求項58に記載の紙組成物。
【請求項60】
誘導化微小繊維ポリサッカライドの製造方法であって、以下の少なくとも1つを含んでなる方法:
(a)微小繊維ポリサッカライドを処理して誘導化微小繊維ポリサッカライドを得る誘導化工程;
(b)誘導された非微小繊維ポリサッカライドを処理して、誘導化微小繊維ポリサッカライドを得る微小繊維化工程;または
(c)非微小繊維ポリサッカライドを、実質的に同時に、微小繊維化および誘導化する工程;
ここで、該誘導化微小繊維ポリサッカライドは、静電的および/または立体的な官能性を提供する置換基を含むように誘導され、さらに該静電的官能性は陰イオン電荷によって提供される。
【請求項61】
ポリサッカライドが、セルロース、ヘミセルロース、キチン、キトサン、グアールゴム、ペクチン、アルギネート、寒天、キサン、デンプン、アミロース、アミロペクチン、アルタナン、ゲラン、ミュータン、デキストラン、プルラン、フラクタン、イナゴマメゴム、カラゲーナン、グリコーゲン、グリコサミノグリカン、ムレイン、細菌莢膜ポリサッカライド、およびその誘導体の少なくとも1つである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
ポリサッカライドが、セルロース、キチン、キトサン、ペクチン、寒天、デンプン、カラゲーナンおよびその誘導体である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
ポリサッカライドがセルロースであり、誘導化微小繊維ポリサッカライドが誘導化微小繊維セルロースである、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
セルロースが、化学パルプ、機械パルプ、熱機械パルプ、化学熱機械パルプ、リサイクル繊維、新聞紙、木綿、ダイズ外皮、エンドウ外皮、トウモロコシ外皮、アヤ、麻、黄麻、ラミー、アンバリ麻、マニラ麻、サイザル麻、バガス、トウモロコシ、小麦、竹、ベロニア、細菌、藻類、真菌、微結晶セルロース、野菜および果実の少なくとも1つから得られる、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
セルロースが、亜硫酸塩、クラフトあるいは予備加水分解クラフトパルピング法で製造され、精製され、所望により漂白された木材パルプ;精製された木綿リンター;果実;および野菜の少なくとも1つから得られる、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
以下の工程を含む請求項60に記載の方法:
(a)セルロースをアルカリ条件下でモノクロロ酢酸またはその塩で誘導して、カルボキシメチルセルロースを製造する工程;
(b)カルボキシメチルセルロースを水中に懸濁させて、懸濁液を形成させる工程;および
(c)該懸濁液を均質化して、微小繊維化したカルボキシメチルセルロースを製造する工程。
【請求項67】
誘導化工程が、非微小繊維ポリサッカライドを膨潤剤と接触させることを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項68】
接触をアルカリ条件下で行う、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
膨潤剤が陰イオン試薬である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
ポリサッカライドがセルロースである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
アルカリ条件が、水酸化ナトリウム、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物もしくは水酸化物、珪酸アルカリ、アルミン酸アルカリ、炭酸アルカリ、アミン、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、またはこれらの組合わせの少なくとも1つであるアルカリ試薬の存在下に、セルロースを陰イオン試薬と接触させることを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
誘導化工程を高固体で行う、請求項60に記載の方法。
【請求項73】
陰イオン電荷が、カルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基またはそれらの組合わせの存在を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項74】
誘導化工程がセルロースのカルボキシメチル化を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
誘導化微小繊維セルロースが、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルメチルセルロース、疎水性修飾カルボキシメチルセルロース、疎水性修飾ヒドロキシエチルセルロース、疎水性修飾ヒドロキシプロピルセルロース、疎水性修飾エチルヒドロキシエチルセルロース、疎水性修飾カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、疎水性修飾ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、疎水性修飾メチルセルロース、疎水性修飾したメチルヒドロキシプロピルセルロース、疎水性修飾メチルヒドロキシエチルセルロース、疎水性修飾カルボキシメチルメチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、硫酸セルロース、ビニル硫酸セルロース、リン酸セルロースおよびホスホン酸セルロースの少なくとも1つを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項76】
微小繊維化工程が、微小繊維ポリサッカライドを生成するに十分な条件下、ポリサッカライドにエネルギーを供給することを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項77】
微小繊維化工程の前に、非微小繊維ポリサッカライドを酵素処理することを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
均質化、ポンピング、混合、加熱、蒸気暴露、加圧−減圧サイクル、衝撃、粉砕、超音波処理、マイクロ波曝露および製粉の少なくとも1つを、非微小繊維ポリサッカライドに適用することを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
非微小繊維ポリサッカライドを、微小繊維ポリサッカライドを生成するに十分な条件下でホモジナイザーに通すことを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
条件が、少なくとも約3,000psiの圧力差で非微小繊維ポリサッカライドを通すことを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
非微小繊維ポリサッカライドを、少なくとも3回、ホモジナイザーに通すことをさらに含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
誘導化微小繊維ポリサッカライドが、水中において約0.01%から約100%の濃度範囲でゲルを形成する、請求項60に記載の方法。
【請求項83】
誘導化微小繊維ポリサッカライドが、水中において約0.01%と約50%の間の濃度範囲でゲルを形成する、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
誘導化微小繊維ポリサッカライドが、水中において約0.05%から約0.99%の濃度範囲内の少なくとも1点でゲルを形成する、請求項60に記載の方法。
【請求項85】
誘導化微小繊維ポリサッカライドが、水中において約0.9%の濃度でゲルを形成する、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
誘導化微小繊維ポリサッカライドが使用溶媒に実質的に不溶性である、請求項60に記載の方法。
【請求項87】
使用溶媒が水である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
誘導化微小繊維ポリサッカライドが、静電的官能性を提供する置換基を含むように誘導される、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
誘導化微小繊維ポリサッカライドが、約0.5未満の置換度を持つ誘導化微小繊維セルロースである、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
置換度が約0.35未満である、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
置換度が約0.2未満である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
置換度が約0.18未満である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
置換度が約0.1未満である、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
誘導化微小繊維セルロースが約0.02から約0.5の間の置換度を持つ、請求項89に記載の方法。
【請求項95】
置換度が約0.05から約0.2の間である、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
誘導化微小繊維ポリサッカライドが立体的置換基を含むように誘導される、請求項86に記載の方法。
【請求項97】
さらに、誘導化微小繊維ポリサッカライドが、静電的官能性を提供する置換基を含むように誘導される、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
誘導化微小繊維ポリサッカライドが約3.0未満のモル置換を持つ、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
モル置換が約1.5未満である、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
モル置換が約1.0未満である、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
モル置換が約0.5未満である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
モル置換が約0.5から3.0の間である、請求項98に記載の方法。
【請求項103】
誘導化微小繊維セルロースがカルボキシメチルセルロースである、請求項63に記載の方法。
【請求項104】
カルボキシメチルセルロースが約0.35未満の置換度を持つ、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
置換度が約2.0未満である、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
置換度が約0.02から約2.0の間である、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
置換度が約0.1から約0.2の間である、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
請求項60の方法によって製造した誘導化微小繊維ポリサッカライド。
【請求項109】
請求項63の方法によって製造した誘導化微小繊維セルロース。
【請求項110】
立体的官能性を提供する置換基を含むように誘導された、請求項63に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項111】
置換基が、ヒドロキシエチル基;ヒドロキシプロピル基;メチル基;エチル基;約4〜約30個の炭素を持つ直鎖あるいは分岐鎖の脂肪族基;またはこれらの組合わせの少なくとも1つを含む、請求項110に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項112】
陰イオン電荷によって静電的官能性を提供する置換基を含むように誘導された、請求項109に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項113】
陰イオン電荷が、カルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、またはその組合わせを含む、請求項112に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項114】
陰イオン電荷がカルボキシル基の存在を含む、請求項113に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項115】
静電的官能性が、陰イオン電荷と陽イオン電荷の両方によって提供される、請求項112に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項116】
静電的官能性が、同一の置換基中に陰イオン電荷と陽イオン電荷の両方を含む置換基によって提供される、請求項115に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項117】
静電的官能性が、陰イオン電荷を持つ置換基と陽イオン電荷を持つ置換基の両方によって提供される、請求項115に記載の誘導化微小繊維セルロース。
【請求項118】
組成物のレオロジー特性を修飾する方法であって、静電的および/または立体的官能性を提供する置換基を含むように誘導され、静電的官能性が陰イオン電荷によって提供される誘導化微小繊維ポリサッカライドを、該組成物に導入する工程を含む方法。
【請求項119】
組成物が液体を含む、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
液体が水である、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
スケール制御および/または腐食制御を提供するのに有効量で誘導化微小繊維ポリサッカライドを使用することを含む、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
誘導化微小繊維ポリサッカライドが誘導化微小繊維セルロースである、請求項118に記載の方法。
【請求項123】
レオロジー特性が、粘度、懸濁液安定性、ゲルの温度鈍感性、剪断可逆ゲル化、降伏応力、および液体保持の少なくとも1つである、請求項119に記載の方法。
【請求項124】
組成物が、食品、医薬品、個人ケア、繊維、紙、塗料、コーティング、または構築組成物である、請求項118に記載の方法。
【請求項125】
組成物が口ケア製品である、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
組成物が上皮適用のためのクリームまたはローションである、請求項124に記載の方法。
【請求項127】
組成物が、保湿、夜用、老化防止または日焼け止めクリームまたはローションである、請求項124に記載の方法。
【請求項128】
組成物が食品塗布物である、請求項124に記載の方法。
【請求項129】
食品塗布物が、減脂肪、低脂肪または脂肪不含の食品塗布物である、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
食品塗布物が、減脂肪、低脂肪または脂肪不含のマヨネーズである、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
組成物がドリル液である、請求項124に記載の方法。
【請求項132】
コーティング組成物の物理的および/または機械的特性を改善する方法であって、静電的および/または立体的官能性を提供する置換基を含むように誘導され、静電的官能性が陰イオン電荷によって提供される誘導化微小繊維ポリサッカライドの有効量を、該コーティング組成物に導入することによる方法。
【請求項133】
物理的および/または機械的特性が、フィルム形成、均一化、垂れ耐性、強度、耐久性、分散、浸水、浮遊および撥ねの少なくとも1つを包含する、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
紙製造中のサイジング、強度、スケール制御、排水、脱水、保持、浄化、形成、吸着性、フィルム形成、膜形成、高分子電解質複合化の少なくとも1つを改善する方法であって、該製造中に誘導化微小繊維セルロースを使用する工程を含み、該誘導化微小繊維セルロースが静電的および/または立体的置換基によって誘導され、さらに該静電的置換基が陰イオン電荷または陰イオン電荷と陽イオン電荷の両方の存在を含む方法。
【請求項135】
誘導化微小繊維セルロースが排水助剤としておよび/またはサイズ剤として使用される、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
誘導化微小繊維セルロースが微小繊維化カルボキシメチルセルロースである、請求項134に記載の方法。
【請求項137】
紙製造中の排水および/または脱水の速度を増加させるために、紙製造機において微小繊維化カルボキシメチルセルロースを使用することを含む、請求項136に記載の方法。
【請求項138】
さらに、微小繊維化カルボキシメチルセルロースを、陽イオン性ポリアクリルアミド;ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド;陽イオン性デンプン;アンモニウムまたはモノ、ジもしくはトリアルキルアンモニウム置換基を含むセルロースの誘導体;アンモニウムまたはモノ、ジもしくはトリアルキルアンモニウム置換基を含むグアールゴムの誘導体;アミンおよび/またはポリアミンをエピクロロヒドリンと反応させることによって得られる樹脂;およびこれらの組合わせの少なくとも1つの存在下に使用する、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
さらに、微小繊維化カルボキシメチルセルロースを、アルミニウム塩;加水分解または部分的加水分解したアルミニウム塩;有機または無機の種と、加水分解または部分的加水分解したアルミニウム塩の複合体;およびこれらの組合わせの少なくとも1つの存在下に使用する、請求項137に記載の方法。
【請求項140】
さらに、微小繊維化カルボキシメチルセルロースを、エチレンオキシド、エチレンイミン、アリルアミンまたはビニルアミンの少なくとも1つのポリマー;エチレンオキシド、エチレンイミン、アリルアミンまたはビニルアミンの少なくとも1つのコポリマーまたはターポリマー;およびこれらの組合わせの存在下に使用する、請求項137に記載の方法。
【請求項141】
製造中の紙シートにおける有機および/または無機の分散粒子の保持のために、紙製造機において微小繊維化カルボキシルメチルセルロースを使用することを含む、請求項136に記載の方法。
【請求項142】
分散粒子が、パルプ微粉、充填剤、サイズ剤、色素、クレー、有害な有機粒子物質、有害な無機粒子物質およびこれらの組合わせの少なくとも1つを含む、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
さらに、微小繊維化カルボキシメチルセルロースを、陽イオン性ポリアクリルアミド;ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド;陽イオン性デンプン;アンモニウムまたはモノ、ジもしくはトリアルキルアンモニウム置換基を含むセルロースの誘導体;アンモニウムまたはモノ、ジもしくはトリアルキルアンモニウム置換基を含むグアールゴムの誘導体;アミンおよび/またはポリアミンをエピクロロヒドリンと反応させることによって得られる樹脂;およびこれらの組合わせの少なくとも1つの存在下に使用する、請求項141に記載の方法。
【請求項144】
さらに、微小繊維化カルボキシメチルセルロースを、アルミニウム塩;加水分解または部分的加水分解したアルミニウム塩;有機または無機の種と、加水分解または部分的加水分解したアルミニウム塩の複合体;およびこれらの組合わせの少なくとも1つの存在下に使用する、請求項141に記載の方法。
【請求項145】
さらに、微小繊維化カルボキシメチルセルロースを、エチレンオキシド、エチレンイミン、アリルアミンまたはビニルアミンの少なくとも1つのポリマー;エチレンオキシド、エチレンイミン、アリルアミンまたはビニルアミンの少なくとも1つのコポリマーまたはターポリマー;およびこれらの組合わせの存在下に使用する、請求項141に記載の方法。
【請求項146】
製造中の紙シート形成の均一性を改善するために、紙製造機において微小繊維化カルボキシメチルセルロースを使用することを含む、請求項136に記載の方法。
【請求項147】
さらに、微小繊維化カルボキシメチルセルロースを、陽イオン性ポリアクリルアミド;ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド;陽イオン性デンプン;アンモニウムまたはモノ、ジもしくはトリアルキルアンモニウム置換基を含むセルロースの誘導体;アンモニウムまたはモノ、ジもしくはトリアルキルアンモニウム置換基を含むグアールゴムの誘導体;アミンおよび/またはポリアミンをエピクロロヒドリンと反応させることによって得られる樹脂;およびこれらの組合わせの少なくとも1つの存在下に使用する、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
さらに、微小繊維化カルボキシメチルセルロースを、アルミニウム塩;加水分解または部分的加水分解したアルミニウム塩;有機または無機の種と、加水分解または部分的加水分解したアルミニウム塩の複合体;およびこれらの組合わせの少なくとも1つの存在下に使用する、請求項146に記載の方法。
【請求項149】
さらに、微小繊維化カルボキシメチルセルロースを、エチレンオキシド、エチレンイミン、アリルアミンまたはビニルアミンの少なくとも1つのポリマー;エチレンオキシド、エチレンイミン、アリルアミンまたはビニルアミンの少なくとも1つのコポリマーまたはターポリマー;およびこれらの組合わせの存在下に使用する、請求項146に記載の方法。
【請求項150】
製紙機で製造される紙シートの強度を改善するために、紙製造機において微小繊維化カルボキシメチルセルロースを使用することを含む、請求項136に記載の方法。
【請求項151】
さらに、微小繊維化カルボキシメチルセルロースを、陽イオン性ポリアクリルアミド;ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド;陽イオン性デンプン;アンモニウムまたはモノ、ジもしくはトリアルキルアンモニウム置換基を含むセルロースの誘導体;アンモニウムまたはモノ、ジもしくはトリアルキルアンモニウム置換基を含むグアールゴムの誘導体;アミンおよび/またはポリアミンをエピクロロヒドリンと反応させることによって得られる樹脂;およびこれらの組合わせの少なくとも1つの存在下に使用する、請求項150に記載の方法。
【請求項152】
さらに、微小繊維化カルボキシメチルセルロースを、アルミニウム塩;加水分解または部分的加水分解したアルミニウム塩;有機または無機の種と、加水分解または部分的加水分解したアルミニウム塩の複合体;およびこれらの組合わせの少なくとも1つの存在下に使用する、請求項150に記載の方法。
【請求項153】
さらに、微小繊維化カルボキシメチルセルロースを、エチレンオキシド、エチレンイミン、アリルアミンまたはビニルアミンの少なくとも1つのポリマー;エチレンオキシド、エチレンイミン、アリルアミンまたはビニルアミンの少なくとも1つのコポリマーまたはターポリマー;およびこれらの組合わせの存在下に使用する、請求項150に記載の方法。
【請求項154】
エマルション、分散液または泡系の安定性を改善するための方法であって、静電的および/または立体的な置換基によって誘導され、該静電的置換基が陰イオン電荷の存在を含む誘導化微小繊維ポリサッカライドを系中に含有させる工程を含む方法。
【請求項155】
誘導化微小繊維ポリサッカライドを系に加える、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
系がエマルションからなり、さらに該エマルションがエマルション配合物の処理によって製造される、請求項155に記載の方法。
【請求項157】
誘導化微小繊維ポリサッカライドを、エマルション配合物の処理の完了前に加える、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
非微小繊維化ポリサッカライドをエマルション配合物の処理の完了前に加え、エマルション配合物を、非微小繊維化ポリサッカライドを微小繊維化するに十分な条件下で処理する、請求項156に記載の方法。
【請求項159】
さらに、非微小繊維化または部分的微小繊維化ポリサッカライドを非誘導化または部分的誘導化し、エマルション配合物を、それぞれ、非誘導化ポリサッカライドを誘導するのに十分な条件下、または部分的誘導化ポリサッカライドの誘導を完了させるのに十分な条件下で処理する、請求項158に記載の方法。
【請求項160】
非誘導化または部分的誘導化ポリサッカライドをエマルション配合物の処理の完了前に加え、エマルション配合物を、それぞれ、非誘導化ポリサッカライドを誘導するのに十分な条件下、または部分的誘導化ポリサッカライドの誘導を完了させるのに十分な条件下で処理する、請求項156に記載の方法。
【請求項161】
さらに、非誘導化または部分的誘導化ポリサッカライドを非微小繊維化または部分的微小繊維化し、エマルション配合物を、それぞれ、非誘導化ポリサッカライドを微小繊維化するのに十分な条件下、または部分的誘導化ポリサッカライドの微小繊維化を完了させるのに十分な条件下でさらに処理する、請求項160に記載の方法。
【請求項162】
系が油中水型または水中油型のエマルションである、請求項155に記載の方法。
【請求項163】
請求項154の方法によって得られる系。
【請求項164】
誘導化微小繊維ポリサッカライドを含むエマルション、分散液または泡からなる系であって、誘導化微小繊維ポリサッカライドが、静電的および/または立体的官能性を提供する置換基を含むように誘導され、さらに静電的官能性が陰イオン電荷によって提供される系。
【請求項165】
静電的および/または立体的官能性を提供する置換基を含む誘導化微小繊維ポリサッカライドを含む高分子電解質複合体であって、静電的官能性が陰イオン電荷を含む高分子電解質複合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−64134(P2013−64134A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−236999(P2012−236999)
【出願日】平成24年10月26日(2012.10.26)
【分割の表示】特願2000−598543(P2000−598543)の分割
【原出願日】平成12年2月8日(2000.2.8)
【出願人】(591223105)ハーキュリーズ・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】HERCULES INCORPORATED
【Fターム(参考)】