説明

誘導射撃訓練システム

【課題】標的照準装置と模擬発射装置からなる誘導制御システムの操作を簡易的にシミュレーションすることができる誘導射撃訓練システムを提供する。
【解決手段】標的を照準する標的照準装置1と砲弾の発射を模擬する模擬発射装置2を備える誘導射撃訓練システムであって、標的照準装置に設けられ標的を照準する照準手段14と、模擬発射装置に設けられ標的への砲弾発射のための操作を模擬する操作部24と、標的照準装置に設けられ操作部の操作に応じて模擬発射装置から標的への砲弾の発射を行なう代わりに標的照準装置から標的へレーザを照射することで標的への砲弾の発射をシミュレートするレーザ照射部19を有する誘導射撃訓練システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、標的照準装置と模擬発射装置を備える誘導射撃訓練システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、射撃訓練を目的としてレーザを応用した装置が製造され使用されてきている。このような装置は、実弾を使用せずにレーザを代用し、また、訓練状況を無線機能により通信し合うことで記憶・管理するものである。
特許文献1は、レーザを用いた火器により人員同志で射撃訓練を行なうための、無線装置を伴う訓練システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−70011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の訓練システムでは、標的照準装置とこれとは分離された模擬発射装置を用いた誘導射撃の訓練については、特に考慮されていなかった。
本発明は、標的照準装置と模擬発射装置を備える誘導射撃の訓練を簡易かつ安全に行うことができる誘導射撃訓練システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決する一実施形態は、
標的を照準する標的照準装置と砲弾の発射を模擬する模擬発射装置を備える誘導射撃訓練システムであって、
前記標的照準装置に設けられ、標的を照準する照準手段と、
前記模擬発射装置に設けられ、前記標的への砲弾発射のための操作を模擬する操作部と、
前記標的照準装置に設けられ、前記操作部の操作に応じて、前記模擬発射装置から前記標的への砲弾の発射を行なう代わりに前記標的照準装置から前記標的へレーザを照射することで、前記標的への砲弾の発射をシミュレートするレーザ照射部と、
を具備することを特徴とする誘導射撃訓練システムである。
【発明の効果】
【0006】
標的を照準する標的照準装置の操作と、標的へ砲弾を発射する模擬発射装置の操作を簡易かつ安全に訓練することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に係る誘導射撃訓練システムの概要を示す説明図。
【図2】当該誘導射撃訓練システムの通信方法の一例を示す説明図。
【図3】当該誘導射撃訓練システムの付加信号データフォーマットの説明図。
【図4】当該誘導射撃訓練システムの動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態である誘導射撃訓練システムは、図1に示すように、標的3を照準する標的照準装置1と、標的照準装置1の検出結果に基づいて標的3への砲弾発射操作をシミュレートする模擬発射装置2を有している。標的照準装置1と模擬発射装置2は、異なる場所(例えば数十m離間した位置)に配置されている。
【0009】
標的照準装置1は、全体の動作を制御する制御部11と、制御部11に接続され音声通信および音声信号に付加信号を伴って通信を行う第1通信部12と、制御部11に接続され操作情報等を画面に表示する表示部13と、標的3を照準するためのレーザを照射させるための操作が行なわれる操作部14と、第1通信部12に接続されたマイク付きヘッドフォン15と、第1通信部12に付加する付加信号を生成する付加信号生成部16と、第1通信部12から供給される音声信号に付加されている付加信号を解析する付加信号解析部17と、模擬発射装置2の砲弾の発射をシミュレートするためにレーザを照射するレーザ照射部19と、制御部11に接続されレーザ照射部19の方向や角度を制御する位置制御部18を有している。
【0010】
模擬発射装置2は、全体の動作を制御する制御部21と、制御部21に接続され音声通信および音声信号に付加信号を伴って通信を行う第2通信部22と、制御部21に接続され操作情報等を画面に表示する表示部23と、標的3に砲弾を発射するための操作をシミュレートする操作部24と、第1通信部22に接続されたマイク付きヘッドフォン25と、第2通信部22に付加する付加信号を生成する付加信号生成部26と、第2通信部22から供給される音声信号に付加されている付加信号を解析する付加信号解析部27を有している。
【0011】
模擬発射装置2は、操作のみをシミュレートするシミュレータであり実際に標的に砲弾を発射する必要はなく、砲弾発射部は省略されている。代わりに、砲弾発射を模するために、標的照準装置1のレーザ照射部19によるレーザ照射が行なわれる。また、表示部23や操作部24により、実際の誘導制御システムの模擬発射装置と同様の表示および操作ができるため、操作者の操作の訓練が可能となる。
【0012】
このような構成において、本発明に係る誘導射撃訓練システムは、図2の説明図および図4のフローチャートに示すように、以下のように動作する。始めに、標的照準装置1の電源を起動させ、(ステップS11)、模擬発射装置2の電源を起動させる(ステップS21)。次に、標的照準装置1の制御部11は、ヘッドフォン15等により相手と音声通話を行なうことにより、付加信号生成部16により音声信号N11に、訓練プログラムのプログラム番号、時刻情報、タイムテーブル等の付加情報N12を付加し、第1通信部12により模擬発射装置2の第2通信部22に送信する(ステップS12)。このときの付加信号のデータフォーマットの一例を図3に示す。特定の同期コードに続けて、番号情報、状況情報等をもったデータフォーマットの付加信号N22を音声信号N21に追加する。
【0013】
模擬発射装置2においては、制御部21の制御下により、第2通信部22から付加信号解析部27を用いて音声に付加した付加信号であるプログラム番号、時刻情報、タイムテーブルを抽出する。制御部21は、これらのデータに基づく操作上の表示を表示部23に行う(ステップS22)。
【0014】
次に、標的照準装置1の制御部11が操作部14からのレーザの発射操作信号を検出すると(ステップS13)、ヘッドフォン15等により相手と音声通話を行なうことにより、付加信号生成部16によりレーザの発射操作があったことを音声信号に付与して、第1通信部12を用いて第2通信部22に送信する(ステップS14)。なお、上記したレーザの発射は、標的に照準を合わせることに相当する。
【0015】
模擬発射装置2においては、音声に付加したレーザの発射操作信号を付加信号解析部27を用いて抽出し、この操作信号に基づいて操作上の表示を表示部23に行うと供に、操作部24の砲弾発射操作を可能とする(ステップS23)。
次に、模擬発射装置2の制御部21が、操作部24の砲弾発射操作信号を検出すると(ステップS24)、ヘッドフォン25等により相手と音声通話を行なうことにより、砲弾発射の操作信号を付加信号N22を付加信号生成部26により音声信号N21に付与して第2通信部22により送信する (ステップS25)。また、これに応じて、模擬発射装置2の制御部21は、発音部(図示しない)等をもちいて発射音を発生させる(ステップS26)。
【0016】
標的照準装置1の制御部11は、付加信号解析部17により、音声信号N21に付加した砲弾発射操作信号の付加信号N22を抽出し、砲弾発射の代用となるレーザ照射を位置制御部18及びレーザ照射部19を用いて標的に対して行う(ステップS15)。このときのレーザには、火器情報などが付加され、標的側ではこのレーザを受信することで、被弾したことを認識する。そして、標的照準装置1の制御部11は、抽出した砲弾発射操作信号を訓練状況を示すデータとして記憶領域に格納する(ステップS16)。
【0017】
以上のように、本発明に係る誘導射撃訓練システムでは、砲弾を発射することなくこれを代用するレーザを標的照準装置1から照射することで、安全に誘導制御システムの操作のシミュレーションを行なうことができる。また、標的照準装置1と模擬発射装置2の間の信号のやりとりを、当該信号を音声信号に付与することによって実行しているため当該信号専用の通信系が不要となり構成を簡略化することができる。
なお、上記実施形態では、標的照準装置1と模擬発射装置2との間の制御情報の通信を音声信号に付加して行なっているが、本発明はこのような通信形態に限定されるものではなく、音声信号とは別に通常の無線通信として制御信号を送受信することも可能である。
【0018】
以上記載した様々な実施形態は複数同時に実施することが可能であり、これらの記載により、当業者は本発明を実現することができるが、更にこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0019】
1…標的照準装置、2…模擬発射装置、3…標的、11…制御部、12…第1通信部、13…表示部、14…操作部、15…ヘッドフォン、16…付加信号生成部、17…付加信号解析部、18…位置制御部、19…レーザ照射部、21…制御部、22…第2通信部、23…表示部、24…操作部、25…ヘッドフォン、26…付加信号生成部、27…付加信号解析部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的を照準する標的照準装置と砲弾の発射を模擬する模擬発射装置を備える誘導射撃訓練システムであって、
前記標的照準装置に設けられ、標的を照準する照準手段と、
前記模擬発射装置に設けられ、前記標的への砲弾発射のための操作を模擬する操作部と、
前記標的照準装置に設けられ、前記操作部の操作に応じて、前記模擬発射装置から前記標的への砲弾の発射を行なう代わりに前記標的照準装置から前記標的へレーザを照射することで、前記標的への砲弾の発射をシミュレートするレーザ照射部と、
を具備することを特徴とする誘導射撃訓練システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−7465(P2011−7465A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154100(P2009−154100)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】