説明

誘導性間隔のある遮蔽電気ケーブル

電気リボンケーブル(102)は、ケーブルの端から端まで延在する少なくとも2つの細長い導体(106)を有する少なくとも1つの導体セット(104)を含む。導体(106)のそれぞれは、それぞれ対応する第1の誘導体(108)によってケーブルの長さに沿って包囲される。第1及び第2のフィルム(110、112)は、ケーブルの端から端まで延在し、ケーブルの両側に配置される。導体(106)は、ケーブルの長さに沿ってそれぞれの導体セット(104)の導体(106)の第1の誘電体(108)の間に一定間隔が維持されるように第1及び第2のフィルム(110、112)に固定連結される。第2の誘導体(116)は、それぞれの導体セット(104)のワイヤの第1の誘導体(108)の間の間隔(114)内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して電気信号伝送用遮蔽電気ケーブルに関し、特定すると、マス終端可能かつ高速電気特性を提供する遮蔽電気ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の電子機器に使用されるデータ伝送速度の増加のために、高速電磁信号(例えば1Gb/秒を超える)を効果的に伝送可能な電気ケーブルに対する需要がある。これらの目的のために使用されるケーブルの1つのタイプは同軸ケーブルである。同軸ケーブルは概して、絶縁体によって包囲された導電性ワイヤを含む。ワイヤ及び絶縁体は遮蔽体によって包囲され、ワイヤ、絶縁体、及び遮蔽体はジャケットによって包囲されている。電気ケーブルの他のタイプは、例えば金属箔によって形成された遮蔽層によって包囲された1つ以上の絶縁信号導体を有する遮蔽電気ケーブルである。
【0003】
これらのタイプの電気ケーブルはどちらも、終端のための特定の設計のコネクターの使用を要する場合があり、例えば複数の導体を個々の接点要素に同時接続するようなマス終端技法の使用には好適でない場合が多い。電気ケーブルは、これらのマス終端技法を促進するために開発されてきたが、これらのケーブルはしばしば、それらを量産する能力、それらの終端端部を調製する能力、それらの可撓性、及びそれらの電気性能において制約を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、電気リボンケーブルを目的とする。一実施形態では、電気リボンケーブルは、ケーブルの端から端まで延在する少なくとも2つの細長い導体を備える少なくとも1つの導体セットを備え、それらの導体のそれぞれが、それぞれ対応する第1の誘電体によってケーブルの長さに沿って包囲される。リボンケーブルは、ケーブルの端から端まで延在する、ケーブルの両端に配置される第1及び第2のフィルムを更に備え、導体は、ケーブルの長さに沿ってそれぞれの導体セットの導体の第1の誘電体の間に一定間隔が維持されるように、第1のフィルム及び第2のフィルムに固定連結される。リボンケーブルは、それぞれの導体セットのワイヤの第1の誘電体間の間隔内に配置された第2の誘電体を更に備える。
【0005】
より特定の実施形態では、第2の誘電体は、それぞれの導体セットの導体の第1の誘電体の間の最も近い点の間にケーブルの長さに沿って連続的に延在するエアギャップを備えることができる。これらの実施形態のいずれにおいても、第1及び第2のフィルムは第1及び第2の遮蔽フィルムを備えることができる。そのような場合は、第1及び第2の遮蔽フィルムは、ケーブルの横断面において少なくとも1つの導体が第1及び第2の遮蔽フィルムの組み合わせによって部分的にのみ取り巻かれるように配置され得る。これらの構成のいずれにおいても、ケーブルは、ケーブルの長さに沿って配置された、第1及び第2の遮蔽フィルムの少なくとも1つと電気通信するドレンワイヤを更に備えることができる。
【0006】
これらの実施形態のいずれにおいても、第1及び第2のフィルムの少なくとも1つは、ケーブルの横断面においてそれぞれの導体セットを部分的に取り巻くようにぴったりと適合するように形作られることができる。例えば、第1及び第2のフィルムの双方は、ケーブルの横断面においてそれぞれの導体セットを実質的に取り巻くようにぴったりと適合するように形作られた組み合わせであり得る。そのような場合、第1及び第2のフィルムの平坦な部分をともに連結して、少なくとも1つの導体セットのそれぞれの側に平坦なケーブル部分を形成することができる。
【0007】
これらの実施形態のいずれにおいても、第1及び第2のフィルムに導体の第1の誘電体を結合することができる。そのような場合、第1及び第2のフィルムの少なくとも1つは、剛性の誘導体層と、剛性の誘導体層に固定連結された遮蔽フィルムと、導体の第1の誘電体を剛性の誘導体層と結合する変形可能な誘電性接着層と、を備えることができる。
【0008】
これらの実施形態のいずれにおいても、ケーブルは、ケーブルの長さに沿って第1のフィルムと第2のフィルムの間に固定連結された1つ以上の絶縁性支持体を更に備えることができる。そのような場合、絶縁性支持体の少なくとも1つを2つの隣接する導体セットの間に配置すること、及び/又は絶縁性支持体の少なくとも1つを導体セットとケーブルの長手方向縁との間に配置することができる。
【0009】
これらの実施形態のいずれにおいても、第1の誘電体の誘電率は第2の誘電体の誘電率より高い場合がある。また、これらの実施形態のいずれにおいても、少なくとも1つの導体セットは少なくとも1Gb/秒の最大データ伝送速度のために適応可能である。
【0010】
本発明の別の実施形態では、電気リボンケーブルは、ケーブルの端から端まで延在する差動対ワイヤを備える複数の導体セットを備え、それぞれのワイヤはそれぞれ対応する誘電体によって包囲される。ケーブルは、ケーブルの端から端まで延在する、ケーブルの両端に配置された、第1及び第2の遮蔽フィルムを更に備える。ワイヤは、一定間隔のエアギャップがそれぞれの差動対ワイヤの誘導体間の最も近い点の間のケーブルの長さに沿って連続的に延在するように、第1のフィルム及び第2のフィルムに結合される。組み合わされた第1及び第2の遮蔽フィルムは、横断面においてそれぞれの導体セットを実質的に取り巻くように、ぴったりと適合するように形作られる。更に、第1及び第2の遮蔽フィルムの平坦な部分はともに連結されて、それぞれの導体セットのそれぞれの側に平坦なケーブル部分を形成する。
【0011】
この別の実施形態では、第1及び第2の遮蔽フィルムの少なくとも1つは、ワイヤに結合された変形可能な誘導性接着層と、変形可能な誘導性接着層に連結された剛性の誘導体層と、剛性の誘導体層に連結された遮蔽フィルムと、を備えることができる。更に、これらの他のケーブル実施形態はいずれも、少なくとも1Gb/秒の最大データ伝送速度のために適応された少なくとも1つの導体セットを含むことができる。
【0012】
これら及び多様な他の特徴は、本明細書に付随し本明細書の一部を成す請求項に具体的に指摘されている。また、本明細書の更なる部分を形成する図面と付随する説明文書とを参照すべきであり、これらには、本発明によるシステム、装置、及び方法の代表的な例が、例示及び説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明は、次の図面に示される実施形態に関連して説明される。
【図1a】代表的なケーブル構成体の斜視図。
【図1b】図1aの代表的なケーブル構成体の断面図。
【図2a】代表的な代替ケーブル構成体の断面図。
【図2b】代表的な代替ケーブル構成体の断面図。
【図2c】代表的な代替ケーブル構成体の断面図。
【図3a】関心対象の寸法を示す、代表的なケーブルの一部分の断面図。
【図3b】代表的な製造手順の工程を示すブロック図。
【図3c】代表的な製造手順の工程を示すブロック図。
【図4a】代表的なケーブル構成体の分析結果を示すグラフ。
【図4b】図4aの分析と関係する追加的な関心対象の寸法を示す断面図。
【図5a】遮蔽電気ケーブルを作製する代表的な方法を示す斜視図。
【図5b】遮蔽電気ケーブルを作製する代表的な方法を示す斜視図。
【図5c】遮蔽電気ケーブルを作製する代表的な方法を示す斜視図。
【図6a】遮蔽電気ケーブルを作製する代表的な方法の詳細を示す正面断面図。
【図6b】遮蔽電気ケーブルを作製する代表的な方法の詳細を示す正面断面図。
【図6c】遮蔽電気ケーブルを作製する代表的な方法の詳細を示す正面断面図。
【図7a】代表的な遮蔽電気ケーブルの作製に関する別の態様の詳細を示す正面断面図。
【図7b】代表的な遮蔽電気ケーブルの作製に関する別の態様の詳細を示す正面断面図。
【図8a】遮蔽電気ケーブルの別の代表的な実施形態の正面断面図。
【図8b】図8aに対応する詳細図。
【図9】別の代表的な遮蔽電気ケーブルの一部分の正面断面図。
【図10】別の代表的な遮蔽電気ケーブルの一部分の正面断面図。
【図11】代表的な遮蔽電気ケーブルの別の部分の正面断面図。
【図12】代表的な遮蔽電気ケーブルの電気的分離性能を従来の電気ケーブルと比較したグラフ。
【図13】別の代表的な遮蔽電気ケーブルの正面断面図。
【図14a】更なる代表的な遮蔽電気ケーブルの正面断面図。
【図14b】更なる代表的な遮蔽電気ケーブルの正面断面図。
【図14c】更なる代表的な遮蔽電気ケーブルの正面断面図。
【図14d】更なる代表的な遮蔽電気ケーブルの正面断面図。
【図14e】更なる代表的な遮蔽電気ケーブルの正面断面図。
【図15a】更なる代表的な遮蔽電気ケーブルの正面断面図。終端構成要素への遮蔽電気ケーブルの代表的な終端プロセスの異なる手順を示す上面図。
【図15b】更なる代表的な遮蔽電気ケーブルの正面断面図。終端構成要素への遮蔽電気ケーブルの代表的な終端プロセスの異なる手順を示す上面図。
【図15c】更なる代表的な遮蔽電気ケーブルの正面断面図。終端構成要素への遮蔽電気ケーブルの代表的な終端プロセスの異なる手順を示す上面図。
【図15d】更なる代表的な遮蔽電気ケーブルの正面断面図。終端構成要素への遮蔽電気ケーブルの代表的な終端プロセスの異なる手順を示す上面図。
【図16a】更なる代表的な遮蔽電気ケーブルの正面断面図。
【図16b】更なる代表的な遮蔽電気ケーブルの正面断面図。
【図16c】更なる代表的な遮蔽電気ケーブルの正面断面図。 図中、同様の参照番号は同様の構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明では、本明細書の一部を構成し、本発明が実施され得る様々な実施形態が実例として示される、添付図面を参照する。本発明の範囲から逸脱することなく構造的及び動作的な変更がなされ得ることから、他の実施形態が利用される場合もある点は理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は限定的な意味で解釈されるべきものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義されるものである。
【0015】
ますます多くの用途が、高速の高度な信号保全性の接続を要求している。これらの用途は、並列の差動駆動式導体対を含む2軸(二芯同軸)伝送線を使用する場合がある。それぞれの導体対は、1つのデータ伝送チャネル専用である場合がある。これらの目的のために選択される構成体は、多くの場合、遮蔽体又は他の被覆によってジャケット/包囲された導体対の緩い束である。これらのチャネルから更に高速を求め、1つのアセンブリ当たりにより多くのチャネルを求める用途がある。結果として、いくつかの用途は、現在の二芯同軸伝送線より改善された終端信号保全性、終端コスト、インピーダンス/スキューコントロール、及びケーブルコストを要求している。
【0016】
本開示は、差動駆動式導体セットに好適な遮蔽電気リボンケーブルを概して目的とする。そのようなケーブルは、導体間に正確な誘電性ギャップを含むことができる。これらのギャップは空気及び/又は他の誘電材料を含む場合があり、誘電率及び損失を低減し、ケーブルの硬さ及び厚さを減少し、隣接する信号線間のクロストークを低減することができる。加えて、リボン構成体であるため、ケーブルは同様のピッチのプリント基板コネクターに容易に終端することができる。そのような終端は非常に高い終端信号保全性を提供することができる。
【0017】
本明細書に開示する構成体は、導体間にギャップの特定の配置を有する、基板の片面又は両面に結合された並列絶縁ワイヤを概して含む場合がある。基板は接地平面を含んでも含まなくてもよい。そのようなケーブルは、例えば差動対及び2軸(二芯同軸)のような従来の束の構成体に代わる物として使用され得、より低いケーブルコスト、終端コスト、スキュー、及び終端パラシティックを有すると期待される。
【0018】
第1項:遮蔽電気ケーブル誘電体の構成
【0019】
図1a及び1bを参照すると、図はそれぞれ、本発明の代表的な実施形態によるケーブル構成体(又はその部分)の斜視図及び断面図を示す。概して、電気リボンケーブル102は、1つ以上の導体セット104を含む。それぞれの導体セット104は、ケーブル102の長さに沿って端から端まで延在する2つ以上の導体(例えばワイヤ)106を含む。導体セット104は、高速伝送(例えば、単一又は差動による1Gb/秒以上のデータ速度)に好適であり得る。導体106のそれぞれはケーブルの長さに沿って第1の誘導体108によって包囲される。導体106は、ケーブル102の端から端まで延在しケーブル102の両側に配置される第1のフィルム110及び第2のフィルム112に貼付される。ケーブル102の長さに沿って、それぞれの導体セット104の導体106の第1の誘導体108の間には、一定間隔114が維持される。第2の誘導体116は、間隔114内に配置される。誘導体116は、エアギャップ/ボイド及び/又は他の何らかの材料を含むことができる。
【0020】
導体セット104の部材間の間隔114は、ケーブル102が、終端の容易さ及び終端の信号保全性において改善されると同時に、標準的な包囲された二芯同軸ケーブルと同等又はそれ以上の電気特性を有するように、十分に一貫した間隔に作製され得る。フィルム110、112は、金属箔のような遮蔽材を含むことができ、フィルム110,112は導体セット104を実質的に取り巻くようにぴったりと適合するように形作ることができる。図の例では、フィルム110,112はともに挟み付けられて、導体セット104の外側及び/又は間のケーブル102に沿って長手方向に延在する平坦な部分118を形成する。平坦な部分118において、フィルム110,112は、導体セット104の周辺を実質的に取り巻き、例えば、フィルム110,112が互いに接合する小さい層(例えば絶縁体及び/又は接着剤)の部分を除き、導体セット104の周辺を実質的に取り巻く。例えば、遮蔽フィルムのカバー部分は、任意の所与の導体セットの周辺の少なくとも75%以上を総じて包含することができる。図中(及び本明細書の他の場所で)、フィルム110,112は分離したフィルム片として示される場合があるが、当業者は、導体セット104を包囲するためにフィルム110,112が代替的に単一のフィルムシートから(例えば長手方向の通り道/線の周囲で折り畳まれて)形成され得ることを理解するであろう。
【0021】
ケーブル102は、1つ以上の接地/ドレンワイヤ120のような追加的な特徴を含んでもよい。ドレンワイヤ120はケーブル102の長さに沿って連続的に又は離散した場所で遮蔽フィルム110,112に電気的に連結され得る。又は、ワイヤ120をケーブル102の端で接地接続するように接続してもよい。概して、ドレンワイヤ102は、ケーブルの一端又は両端に遮蔽材を電気終端(例えば接地)するための便利なアクセスを提供する。ドレン/接地ワイヤ120は、例えば、両方のフィルム110,112が遮蔽材を含むフィルム110,112の間にある程度のDCカップリングを提供するように構成されてもよい。
【0022】
ここで図2a〜2cを参照すると、断面図は、多様な代替ケーブル構成体配置(又はその部分)を図示しており、図中、同じ参照番号は他の図中の類似構成要素を示すために使用され得る。図2aにおいて、ケーブル202は図1a〜1bに図示したものと同様の構成体であり得るが、1枚のフィルム110のみが導体セットの周囲にぴったり沿って形成されて、挟まれた/平坦な部分204を形成している。ケーブル202の片面のもう1つのフィルム112は実質的に平面である。このケーブル202(及び図2b〜2cのケーブル212並びに222)は第1の誘導体108間の第2の誘導体としてギャップ114に空気を使用しているので、第1の誘導体108の最も近い点の間に明示的な第2の誘電材料116は示されていない。更なる説明を目的として、エアギャップ114は、空気誘導体、又は図1a及び1bに見られる材料116のような代替誘電材料のいずれかを表すものと理解される。更に、ドレン/接地ワイヤはこれらの代替配置には示されていないが、本明細書の他の場所で説明されるようにドレン/接地ワイヤを含むように適応することも可能である。
【0023】
図2b及び2cにおいて、ケーブル配置212及び222は前述のものと同様の構成体であり得るが、ここではどちらのフィルムもケーブル212,222の外面に沿って実質的に平面に構成される。ケーブル212では、導体セット104の間にボイド/ギャップ214がある。図示されているように、これらのギャップ214はセット104の部材間のギャップ114より大きいが、このケーブル構成に限定される必要はない。このギャップ214に加えて、図2cのケーブル222は、導体セット104の間の及び/又は導体セット104の外側の、ギャップ214に(例えば、導体セット104とケーブルの長手方向縁との間に)配置される支持体/スペーサー224を含む。
【0024】
支持体224はフィルム110,112に固定取り付けされ(例えば結合され)てもよく、ケーブル222の構造的硬さを提供すること及び/又はその電気的特性を調整することを助けることができる。支持体224は、所望によりケーブル222の機械的及び電気的特性を調整するための誘導性、絶縁性、及び/又は遮蔽性の材料の任意の組み合わせを含むことができる。図中、支持体224は円形断面で示されているが、楕円形及び矩形のような代替的断面形を有するようにも構成される。支持体224を別途形成し、ケーブル構築中に導体セット104に載せてもよい。他のバリエーションでは、支持体224をフィルム110,112の一部として形成すること、及び/又はケーブル222とともに液体形で(例えばホットメルトで)組み立てることができる。
【0025】
上述のケーブル構成体102,202,212,222は、図示されていない他の特徴を含むことができる。例えば、信号ワイヤ、ドレンワイヤ、及び接地ワイヤに加えて、ケーブルは、側波帯と呼ばれることのある孤立したワイヤを1つ以上追加的に含むことができる。側波帯は、電力又は任意の他の対象の信号を伝送するために使用できる。側波帯ワイヤ(及びドレンワイヤ)はフィルム110,112内に含めること、及び/又はフィルム110,112の外側に(例えばフィルムと追加的材料層との間に挟んで)配置することができる。
【0026】
上述のバリエーションは、得られるケーブルに望まれる、コスト、信号保全性、及び機械的特性に基づいて、材料及び物理的構成の多様な組み合わせを利用することができる。1つの考慮点は、図1a及び1bに示されるような、及び他の場所でギャップ114単独で表されるような、導体セット104間のギャップ114に配置される第2の誘電材料116の選択である。この第2の誘電体は、導体セットが差動対を含む場合、及び/又は1つの接地及び1つの信号である場合、及び/又は2つの緩衝する信号を運搬する場合に有利であり得る。例えば、第2の誘電体としてのエアギャップ114の使用は、低い誘電率及び低い損失をもたらし得る。エアギャップ114の使用はまた、低コスト、低重量、及びケーブルの可撓性の増加のような他の利点も有する場合がある。しかし、ケーブルの長さに沿ってエアギャップ114を形成する導体の一貫した間隔を確保するために、正確な加工が要求され得る。
【0027】
ここで図3aを参照すると、導体セット104の断面図は、導体106間に一貫した誘電率を維持するために有益なパラメーターを特定している。概して、導体セット104の誘電率は、図中の寸法300によって表されているように、導体セット104同士の間の最も近い点の間の誘導材料に対して敏感であり得る。したがって、一貫した誘電率は、誘電体108の一貫した厚さ302及び一貫したサイズのギャップ114(エアギャップであっても、別の、図1aに示した誘電体116のような誘電材料で充填してもよい)を維持することによって維持され得る。
【0028】
ケーブルの長さに沿って一貫した電気的特性を確保するために、導体106及び導電性フィルム110,112の双方のコーティングの幾何学を厳しく制御することが望ましい場合がある。ワイヤコーティングでは、これには導体106(例えば固体ワイヤー)を正確に均一な厚さの絶縁体/誘導材料108でコーティングすること、及び導体106がコーティング108の中で確実に中心に置かれるようにすることが関わる場合がある。コーティング108の厚さは、ケーブルに望まれる特定の特性に依存して増加又は減少され得る。場合によっては、コーティングのない導体が最適の特性(例えば、誘電率、容易な終端、及び幾何学の制御)を提供する場合があるが、用途によっては、最低限の厚さの主絶縁の使用が工業規格によって要求される。また、コーティング108は裸線よりよく誘電性基材110,112に結合することが可能であり得るので、有益である場合がある。にも関わらず、上述の多様な実施形態は絶縁体の厚さのない構成体もまた含み得る。
【0029】
ケーブルの組み立てに使用されたのとは異なるプロセス/機械を用いて誘電体108を導体106の上に形成/コーティングしてもよい。結果として、ケーブルの組み立て中にギャップ114(例えば、誘導体108同士の間の最も近い点)のサイズの変化を厳しく制御することは、一貫した誘電率を維持するために主要な懸念となる場合がある。使用される組み立てプロセス及び装置に依存して、導体106間の中心線距離304(例えばピッチ)を制御することによって同様の結果を得ることができる。この一貫性は、導体106の外径寸法306をいかに厳しく維持することができるか、及び全体の誘導体の厚さ302(例えば、誘導体108内の導体106の中心度)の一貫性に依存し得る。しかし、誘導効果は導体106に最も近い区域で最も強いので、隣接する誘導体108の最も近い区域の少なくとも近くで厚さ302を制御することができるならば、ギャップサイズ114の制御に集中することによって、最終組み立て中に一貫した結果を得ることが可能である。
【0030】
構成体の信号保全性(例えば、インピーダンス及びスキュー)は、信号導体106の互いに対する配置の正確さ/一貫性だけでなく、接地平面に対する導体106の配置の正確さにも依存する。図3aに示すように、フィルム110及び112はそれぞれ対応する遮蔽層308及び誘導層310を含む。遮蔽層308はこの場合接地平面として作用することができるので、ケーブルの長さに沿った寸法312の厳しい制御は有利であり得る。この例では、寸法312は上のフィルム110及び下のフィルム112の双方に対して同じく示されているが、いくつかの配置においてはこれらの距離は非対称であることも可能である(例えば、異なる誘電体310の厚さ/フィルム110,112の定数の使用、又はフィルム110,112の1つは誘電層310を有さない)。
【0031】
図3aに図示したようなケーブルの製造における1つの課題は、絶縁導体106,108が導電性フィルム110,112に取り付けられたときの距離312(及び/又はこれに相当する導体から接地平面までの距離)を厳しく制御することであり得る。ここで図3b〜cを参照すると、ブロック図は、本発明の実施形態によって製造中にどのようにして導体から接地平面までの一貫した距離を維持することができるかの一例を示す。この例では、フィルム(例としてフィルム112として指定されている)は前述のように遮蔽層308及び誘電層310を含む。
【0032】
導体から接地平面までの一貫した距離(例えば図3cの距離312)を確保するのを助けるために、フィルム112は多層コーティングフィルムをベースとして使用する(例えば層308及び310)。既知の制御された厚さの変形可能な材料320(例えば、ホットメルト接着剤)を、変形性がより低いフィルムベース308,310上に置く。図3cに示されるように、絶縁ワイヤ106,108を表面に押圧するにつれて、変形可能な材料320は、ワイヤ106,108が変形可能な材料320の厚さによって制御される深さに押し下げられるまで変形する。材料320,310,308の例としては、ポリエステル支持材308又は310上に置かれるホットメルト320が挙げられ、層308,310の別の層は遮蔽材を含む。あるいは、又はこれに加えて、工具の特徴で絶縁ワイヤ106,108を制御された深さでフィルム112に押圧してもよい。
【0033】
上述のいくつかの実施形態において、エアギャップ114は絶縁導体106,108間に、導体の中間平面に存在する。これは、差動対線の間、接地及び信号線(GS)の間、及び/又はビクティム信号線とアグレッサー信号線の間を含む多くのエンドアプリケーションにおいて有用であり得る。接地導体と信号導体との間のエアギャップ114は、例えばより薄い構成体及びより低い誘電率など、差動線に関して説明したのと同様の利益を呈することができる。差動対の2本のワイヤの場合、エアギャップ114でワイヤを分離することができ、これは、ギャップがない場合より少ないカップリングを提供し、したがって、より薄い構成体を提供する(より高い可撓性、より低いコスト、より少ないクロストークを提供する)。また、差動対導体間が最も近くなるこのやり方では、差動対導体間に存在する高い場のために、この場所における電気容量はより低くなり、構成体の効果的な誘電率に寄与する。
【0034】
ここで図4aを参照すると、グラフ400は、多様な実施形態によるケーブル構成体の誘電率の分析を示す。図4bで、ブロック図は、図4aの説明において参照される本発明の一例による導体セットの幾何学的特徴を含む。概して、グラフ400は、異なるケーブルピッチ304、絶縁体/誘導体の厚さ302、及びケーブルの厚さ402(後者は外側遮蔽層308の厚さを除く場合がある)で得られた異なる誘電率を図示する。この分析は、26AWG差動対導体セット104、100オームのインピーダンス、及び固体ポリオレフィンを絶縁体/誘導体108及び誘導層310に使用することを仮定する。点404及び406は絶縁体の厚さ8ミル(0.20mm)及びそれぞれ56ミル及び40ミル(1.02mm)のケーブル厚さ402での結果である。点408及び410は絶縁体の厚さ1ミル(0.03mm)及びそれぞれ48ミル(1.22mm)及び38ミル(0.97mm)のケーブル厚さ402での結果である。点412は絶縁体の厚さ4.5ミル(0.11mm)及び42ミル(1.07mm)のケーブル厚さ402での結果である。
【0035】
グラフ400に示されるように、ワイヤ周囲の絶縁体が薄いほど、有効誘電率が低くなる傾向がある。絶縁体が非常に薄いと、ワイヤ間の高い場のためによりきついピッチが誘電率を低減する傾向があり得る。しかし、絶縁体が厚いと、より大きいピッチがより多くの空気をワイヤの周囲にもたらし、有効誘電率を低下する。互いに干渉し得る2つの信号線では、エアギャップはそれらの間の容量性クロストークを制限するために有効な特徴である。エアギャップが十分であれば、信号線間に接地ワイヤが必要ない場合があり、コスト節減につながるであろう。
【0036】
グラフ400に示される誘電損失及び誘電率は、絶縁導体間にエアギャップを組み入れることによって削減され得る。これらのギャップによる削減は、ワイヤの周囲に発泡体絶縁体を用いる従来の構成体によって達成され得る削減と匹敵する(例えば、ポリオレフィン材料では1.6〜1.8)。更に、より低い誘電率及びより低い誘電損失を提供するように、本明細書に記載の構成体とともに発泡体の主絶縁体108もまた使用してよい。また、支持する誘導体310が部分的に又は完全に発泡体であってもよい。
【0037】
発泡の代わりに工学的エアギャップ114を使用することの潜在的利益は、発泡は導体106に沿って又は異なる導体106間で一貫性がなく、誘電率及び伝播遅延の変動をもたらし、スキュー及びインピーダンスの変動を増す場合があることである。固体絶縁体108及び正確なギャップ114を用い、有効誘電率をより容易に制御し、それによって、インピーダンス、スキュー、減衰損失、挿入損失などを含む電気性能の一貫性をもたらすことができる。
【0038】
第2項:追加的な遮蔽電気ケーブルの構成
【0039】
本項では、上述のケーブル構成体に適応可能な追加的な特徴を示し、説明する。前述したように、図及び説明に含まれるエアギャップ/誘導体は、空気及び/又は他の材料で作られた誘電体を含むものと意図される。
【0040】
ここで図14a〜14eを参照すると、これらの図の断面図は多様な遮蔽電気ケーブル又はそれらの部分を表す。図14aを参照すると、遮蔽電気ケーブル1402cは、誘電体ギャップ114cによって分離された2つの絶縁導体1406cを有する単一の導体セット1404cを有する。所望により、ケーブル1402cの幅に渡って間隔を開けて置かれた、ケーブルの長さに沿って延在する、複数の導体セット1404cを含むようにケーブル1402cを作製してもよい。絶縁導体1406cは、概ね単一平面に、かつ二芯同軸構成に、効果的に配置される。図14aの2軸ケーブル構成は、差動対回路配列又はシングルエンドの回路配列に使用できる。
【0041】
2つの遮蔽フィルム1408cは、導体セット1404cの両側に配置される。ケーブル1402cは、カバー領域1414c及び挟まれた領域1418cを含む。ケーブル1402cのカバー領域1414cにおいて、遮蔽フィルム1408cは導体セット1404cを覆うカバー部分1407cを含む。横断面において、組み合わせとしてのカバー部分1407cは導体セット1404cを実質的に取り巻く。ケーブル1402cの挟まれた領域1418cにおいて、遮蔽フィルム1408cは導体セット1404cのそれぞれの側に挟まれた部分1409cを含む。
【0042】
任意の接着層1410cを遮蔽フィルム1408cの間に配置してもよい。遮蔽電気ケーブル1402cは、接地ワイヤ又はドレンワイヤを含む場合がある接地導体1412と同様の任意の接地導体1412cを更に含む。接地導体1412cは、絶縁導体1406cから離間され、実質的に絶縁導体1406cと同じ方向に延在する。導体セット1404c及び接地導体1412cは、概して平面にそれらが横たわるように配置され得る。
【0043】
図14aの断面図に図示されているように、遮蔽フィルム1408cのカバー部分1407cの間に最大分離Dがあり、遮蔽フィルム1408cの挟まれた部分1409cの間に最小分離d1があり、絶縁導体1406cの間の遮蔽フィルム1408cの間に最小分離d2がある。
【0044】
図14aにおいて、接着層1410cは、ケーブル1402cの挟まれた領域1418cにおいて遮蔽フィルム1408cの挟まれた部分1409cの間に配置され、ケーブル1402cのカバー領域1414cにおいて、遮蔽フィルム1408cのカバー部分1407cと絶縁導体1406cとの間に配置されている。この配置では、接着層1410cはケーブル1402cの挟まれた領域1418cにおいて遮蔽フィルム1408cの挟まれた部分1409cをともに結合し、かつ遮蔽フィルム1408cのカバー部分1407cもまたケーブル1402cのカバー領域1414cにおいて絶縁導体1406cに結合している。
【0045】
図14bの遮蔽ケーブル1402dは、図14aのケーブル1402cと同様であり、同様の参照番号は同様の要素を特定するが、ケーブル1402dでは遮蔽フィルム1408cのカバー部分1407cとケーブルのカバー領域1414cの絶縁導体1406cとの間に任意の接着層1410dは存在しない。この配置では、接着層1410dはケーブルの挟まれた領域1418cにおいて遮蔽フィルム1408cの挟まれた部分1409cをともに結合するが、遮蔽フィルム1408cのカバー部分1407cをケーブル1402dのカバー領域1414cにおいて絶縁導体1406cに結合しない。
【0046】
ここで図14cを参照すると、図14aの遮蔽電気ケーブル1402cと多くのことに関し同様である遮蔽電気ケーブル1402eの横断面図が示されている。ケーブル1402eは、ケーブル1402eの長さに沿って延在する誘電ギャップ114eによって分離された2つの絶縁導体1406eを有する。ケーブル1402eの幅に渡って互いに間隔を開けて置かれた、ケーブル1402eの長さに沿って延在する、複数の導体セット1404eを有するようにケーブル1402eを作製してもよい。絶縁導体1406eが、撚り合わされた対のケーブルの配置において効果的に配置されることによって、絶縁導体1406eは互いに撚り合わされ、ケーブル1402eの長さに沿って延在する。
【0047】
図14dに図示されている別の遮蔽電気ケーブル1402fもまた、多くのことに関し図14aの遮蔽電気ケーブル1402cと同様である。ケーブル1402fは、ケーブル1402fの長さに沿って延在する4つの絶縁導体1406fを有する単一の導体セット1404fを含み、対向する導体はギャップ114fによって分離されている。ケーブル1402fの幅に渡って互いに間隔を開けて置かれた、ケーブル1402fの長さに沿って延在する、複数の導体セット1404fを有するようにケーブル1402fを作製してもよい。絶縁導体1406fが4つのケーブル配置において効果的に配置されることにより、絶縁導体1406fは、ケーブル1402fの長さに沿って絶縁導体1406fが延在する際に、互いに撚り合わされても撚り合わされなくてもよい。
【0048】
遮蔽電気ケーブルの更なる実施形態は、概ね単一平面に配置された複数の離間された導体セット1404、1404e、又は1404f、若しくはこれらの組み合わせを含んでもよい。所望により、遮蔽電気ケーブルは、導体セットの絶縁導体から離間され、かつ概ねこれと同じ方向に延在する複数の接地導体1412を含んでもよい。いくつかの構成では、導体セット及び接地導体を概して単一平面に配置してもよい。図14eは、このような遮蔽電気ケーブルの代表的な実施形態を図示する。
【0049】
図14eを参照すると、遮蔽電気ケーブル1402gは、概ね単一平面に配置される複数の離間された導体セット1404、1404gを含む。導体セット1404gは単一の絶縁導体を含むが、それ以外に関しては導体セット1404と同様に形成され得る。遮蔽電気ケーブル1402gは、導体セット1404、1404gの間及び遮蔽電気ケーブル1402gの両側又は両方の縁に配置される任意の接地導体1412を更に含む。
【0050】
第1及び第2の遮蔽フィルム1408は、ケーブル1402gの両側に配置され、横断面においてケーブル1402gがカバー領域1424及び挟まれた領域1428を含むように配置される。ケーブルのカバー領域1424において、第1及び第2の遮蔽フィルム1408のカバー部分1417は横断面においてそれぞれの導体セット1404、1404cを実質的に取り巻く。第1及び第2の遮蔽フィルム1408の挟まれた部分1419は、それぞれの導体セット1404、1404cの2つの側に、挟まれた領域1418を形成する。
【0051】
遮蔽フィルム1408は接地導体1412の周囲に配置される。任意の接着層1410は遮蔽フィルム1408の間に配置され、遮蔽フィルム1408の挟まれた部分1419を挟まれた領域1428においてそれぞれの導体セット1404、1404cの両側で互いに結合する。遮蔽電気ケーブル1402gは、同軸ケーブル構成(導体セット1404g)及び二芯同軸ケーブル構成(導体セット1404)の組み合わせを含み、したがってハイブリッドケーブル構成と呼ばれることがある。
【0052】
1つ又は2つ以上の遮蔽電気ケーブルをプリント基板又はパドルカードなどのような終端構成要素に終端してもよい。絶縁導体及び接地導体は概ね単一平面に配置され得るため、開示の遮蔽電気ケーブルはマスストリッピング(mass-stripping)、すなわち同時の、遮蔽フィルムのストリッピング及び絶縁導体からの絶縁に、及びマス終端、すなわち絶縁導体及び接地導体のストリップされた端部の同時の終端に好適であり、これは、より自動化されたケーブル組み立てプロセスを可能にする。これは、少なくともいくつかの本開示の遮蔽電気ケーブルの利点である。絶縁導体及び接地導体のストリップされた端部を、例えば、プリント基板上の接点導電性パス又は他の要素に例えば終端することができる。そうでなければ、絶縁導体及び接地導体のストリップされた端部を例えば電気コネクターの電気接点など任意の好適な終端装置の任意の好適な個々の接点要素に終端してもよい。
【0053】
図15a〜15dには、遮蔽電気ケーブル1502のプリント基板又は他の終端構成要素1514への代表的な終端プロセスが示されている。この終端プロセスは、マス終端プロセスであってもよく、ストリッピング(図15a〜15bに示される)、位置合わせ(図15cに示される)、及び終端(図15dに図示される)の工程を含む。概して本明細書に図示及び/又は記載されているどのケーブルの形状でもあり得る遮蔽電気ケーブル1502を形成するとき、遮蔽電気ケーブル1502の導体セット1504,1504a(後者は誘電体/ギャップ1520を有する)、絶縁導体1506、及び接地導体1512は、プリント基板1514上の接点要素1516の配置と一致され得、これは、位置合わせ又は終端中の遮蔽電気ケーブル1502の末端部のあらゆる大きな操作を排除することになる。
【0054】
図15aに図示されている工程では、遮蔽フィルム1508の終端部1508aは削除されている。任意の好適な方法、例えば機械的ストリッピング又はレーザーストリッピングが使用されてもよい。この工程は、絶縁導体1506及び接地導体1512の終端部を露出する。一態様において、遮蔽フィルム1508の終端部1508aのマスストリッピングが可能であるのは、それらが、絶縁導体1506の絶縁体から別個の一体化されて接続された層を形成するからである。絶縁導体1506から遮蔽フィルム1508を取り除くことは、これらの位置における短絡に対する保護を可能にし、また、絶縁導体1506及び接地導体1512の露出した終端部の独立した動きももたらす。図15bに図示された工程では、絶縁導体1506の絶縁体の終端部1506aが取り除かれている。任意の好適な方法、例えば機械的ストリッピング又はレーザーストリッピングが使用されてもよい。この工程は、絶縁導体1506の導体の終端部を露出させる。図15cに図示される工程では、遮蔽電気ケーブル1502は、遮蔽電気ケーブル1502の絶縁導体1506の導体の終端部と、接地導体1512の終端部が、プリント基板1514のコンタクト要素1516と位置合わせされるように、プリント基板1514と位置合わせされる。図15dに図示された工程では、遮蔽電気ケーブル1502の、絶縁導体1506の導体の終端部及び接地導体1512の終端部は、プリント基板1514のコンタクト要素1516に終端される。使用され得る好適な終端方法の例には、いくつかの例を挙げると、はんだ付け、溶接、圧締め、機械的圧締め、接着結合が挙げられる。
【0055】
場合によっては、本開示の遮蔽ケーブルは、1つ以上の長手方向のスリット又は他の、導体セット間に配置された分割部を含むものとして作製されてもよい。分割部は、遮蔽電気ケーブルの長さの少なくとも一部分に沿って個々の導体セットを分離するために使用され得、これによって遮蔽電気ケーブルの少なくとも横方向の可撓性を増加することができる。これは、例えば、遮蔽ケーブルを曲線状の外側ジャケット内により容易に配置することを可能にする。他の実施形態では、分割部は、個々の又は複数の導体セット及び接地導体を分離するように配置されてもよい。導体セット及び接地導体の間隔を維持するために、分割部は、遮蔽電気ケーブルの長さに沿って不連続であってもよい。遮蔽電気ケーブルの少なくとも1つの終端部において、導体セットと接地導体の間隔を維持するために、かつこれによってマス終端能力を維持するために、分割部は終端部の一方又は両方内に延在しない場合がある。分割部は任意の好適な方法、例えばレーザー切断又はパンチング等を使用して、遮蔽電気ケーブルに形成されてもよい。長手方向の分割部の代わりに、又はこれと組み合わせて、開口部の他の好適な形状、例えば穴などが本開示の遮蔽電気ケーブルに形成されて、遮蔽電気ケーブルの少なくとも横方向の可撓性を増加することができる。
【0056】
本開示の遮蔽ケーブルに使用される遮蔽フィルムは、多様な構成を有し得、多様な方法で作製され得る。場合によっては、1つ以上の遮蔽フィルムは導電性層及び非導電性高分子層を含むことができる。導電性層は、銅、銀、アルミニウム、金、及びこれらの合金を含むが、これに限定されない任意の好適な導電材料を含んでもよい。非導電性高分子層は、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリウレタン、アクリレート、シリコーン、天然ゴム、エポキシ、及び合成ゴム接着剤を含むが、これに限定されない任意の好適な高分子材料を含み得る。非導電性高分子層は、対象用途に好適な特性をもたらすために、1つ以上の接着剤及び/又は充填剤を含む場合がある。場合によっては、遮蔽フィルムの少なくとも1つは、導電性層と非導電性高分子層との間に配置される積層接着層を含んでもよい。非導電性層上に配置された導電性層を有する遮蔽フィルム、又はそうでなければ導電性の1つの主外面と対向する、実質的に非導電性の主外面とを有する遮蔽フィルムでは、遮蔽フィルムを所望によりいくつかの異なる配向で遮蔽ケーブルに組み入れることができる。場合によっては、例えば、導電性の表面が絶縁ワイヤ及び接地ワイヤの導体セットに面してもよく、場合によっては、非導電性の表面がそれらの構成要素に面してもよい。2つの遮蔽フィルムがケーブルの両側に使用される場合、フィルムは、導電性の表面が互いに面し、それぞれが導体セット及び接地ワイヤに面するように配向されてもよく、又はそれらは、非導電性の表面が互いに面し、それぞれが導体セットと接地ワイヤに面するように配向されてもよく、又はそれらは、1つの遮蔽フィルムの導電性の表面が導体セット及び接地ワイヤに面するが、もう一方の遮蔽フィルムの非導電性の表面はケーブルのもう一方の側から導体セットと接地ワイヤに面するように配向されてもよい。
【0057】
場合によっては、遮蔽フィルムの少なくとも1つは、適合性又は可撓性の金属箔のような独立した導電性フィルムであること又はそれを含むことができる。遮蔽フィルムの構成体は、例えば、遮蔽電気ケーブルの可撓性、電気性能、及び構成(例えば、接地導体の存在及び位置など)など、対象用途に好適な設計パラメーターの数を基準として選択されてもよい。場合によっては、遮蔽フィルムは一体形成された構成体を有してもよい。場合によっては、遮蔽フィルムは0.01mm〜0.05mmの範囲の厚さを有する。遮蔽フィルムは、望ましくは、導体セットの間の絶縁、遮蔽、及び精密な間隔を提供し、かつより自動化され、より低いコストのケーブル製造プロセスを可能にする。更に、遮蔽フィルムは、「シグナルサックアウト(signalsuck-out)」すなわち、共振(これによって高信号減衰が特定の周波数帯域で生じる)として知られる現象を防ぐ。この現象は一般的に、導電性遮蔽体が導体セットの周囲に巻き付けられている従来の遮蔽電気ケーブルに発生する。
【0058】
本明細書の他の場所で説明したように、ケーブル構成体に接着材料を使用して、ケーブルのカバー領域で1つ又は2つの遮蔽フィルムを1つ、いくつか、又は全ての導体セットに結合してもよく、及び/又は、接着材料を使用して、ケーブルの挟まれた領域で2つの遮蔽フィルムをともに結合してもよい。接着材料の層を少なくとも1つの遮蔽フィルムに配置してもよく、2つの遮蔽フィルムをケーブルの両側に使用する場合は、接着材料の層を両方の遮蔽フィルムに配置してもよい。後者の場合、遮蔽フィルムに使用される接着剤は、もう一方の遮蔽フィルムに使用された接着剤と好ましくは同じであるが、所望により異なっていてもよい。所与の接着層は電気的に絶縁性の接着剤を含むことができ、2つの遮蔽フィルムの間に絶縁性の結合を提供することができる。更に、所与の接着層は、少なくとも1つの遮蔽フィルムと、1つ、いくつか、又は全ての導体セットの絶縁導体との間、及び少なくとも1つの遮蔽フィルムと、1つ、いくつか、又は全ての接地導体(ある場合)との間に絶縁性の結合を提供してもよい。あるいは、所与の接着層は、導電性の接着剤を含んでもよく、2つの遮蔽フィルムの間に伝導性の結合を提供してもよい。更に、所与の接着層は、少なくとも1つの遮蔽フィルムと、1つ、いくつか、又は全ての接地導体(ある場合は)との間に伝導性の結合を提供してもよい。好適な導電性接着剤は、電流の流れを提供するために導電性粒子を含む。導電性粒子は、現在使用されている任意のタイプの粒子、例えば、球体、フレーク、ロッド、立方体、非晶質、又は他の粒子形状であり得る。それらは、カーボンブラック、カーボンファイバー、ニッケル球体、ニッケルがコーティングされた銅球体、金属がコーティングされた酸化物、金属がコーティングされた高分子繊維、又は他の類似の導電性粒子など、固体又は実質的に固体粒子であってもよい。これらの導電性粒子は、銀、アルミニウム、ニッケル、又は酸化インジウムスズなどの導電材料でめっきされている若しくはコーティングされている電気絶縁材料から作製されてもよい。金属がコーティングされた絶縁材料は、実質的に中空の粒子、例えば中空のガラス球体であってもよく、又はガラスビーズ若しくは金属酸化物など中実材料を含んでもよい。導電性粒子は、カーボンナノチューブなど、約数十マイクロメートルから、ナノメーターサイズの大きさまでの材料であってもよい。好適な導電性接着剤はまた、導電性高分子マトリックスを含んでもよい。
【0059】
所与のケーブル構成体に使用されるとき、接着層は、好ましくは、形においてケーブルの他の要素と実質的に適合し、ケーブルの屈曲運動に関して適合する。場合によっては、所与の接着層は実質的に連続であってもよく、例えば、所与の遮蔽フィルムの所与の主面の実質的に全長及び全幅に沿って延在する。場合によっては、接着層は実質的に不連続であっても/不連続を含んでもよい。例えば、接着層は、所与の遮蔽フィルムの長さ又は幅に沿った一部分においてのみ存在してもよい。不連続の接着層は、例えば、それぞれの導体セットの両側の遮蔽フィルムの挟まれた部分の間及び接地導体(存在する場合)の横の遮蔽フィルムの間に配置された複数の長手方向の接着ストライプを含むことができる。所与の接着材料は、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、及び硬化性接着材のうちの少なくとも1つであってもよく、又はそれを含んでもよい。接着層は、1つ以上の絶縁導体と遮蔽フィルムとの間の結合より実質的に強い遮蔽フィルム間の結合を提供するように構成されてもよい。これは、例えば、接着剤製剤の適切な選択によって達成され得る。この接着剤の構成の利点は、遮蔽フィルムが、絶縁導体の絶縁体から容易にストリップ可能であるということである。そうでなければ、接着層は、ほぼ同等の強さの遮蔽フィルム間の結合及び1つ以上の絶縁導体とその遮蔽フィルムとの間の結合を、提供するように構成されてもよい。この接着剤の構成の利点は、絶縁導体が遮蔽フィルム間に固定されるということである。この構成を有する遮蔽電気ケーブルが曲げられたとき、これは相対動作をほとんど許さないので、遮蔽フィルムの座屈の可能性を削減する。好適な結合強度は対象用途によって選択されてもよい。場合によっては、約0.13mm未満の厚さを有する、柔軟性のある接着層を使用してもよい。代表的な実施形態では、接着層は約0.05mm未満の厚さを有する。
【0060】
所与の接着層は、遮蔽電気ケーブルの所望の機械及び電気性能特性を達成するように適合してもよい。例えば、接着層は、導体セット間の区域において、遮蔽フィルムの間でより薄くなるように適合されてもよく、これは遮蔽ケーブルの少なくとも横方向の可撓性を増す。これは、遮蔽ケーブルを曲線状の外側ジャケット内により容易に配置することを可能にする。場合によっては、接着層は導体セットに直ぐに隣接する区域でより厚く、実質的に導体セットとぴったり適合するように適合されてもよい。これは、機械的強度を増し、これらの区域において遮蔽フィルムの曲線形を形成することを可能にし、例えばケーブルの屈曲中の遮蔽ケーブルの耐久性を増すことができる。加えて、これは、遮蔽ケーブルの長さに沿って遮蔽フィルムに対する絶縁導体の位置及び間隔を維持するのを助けることができ、遮蔽ケーブルのより均一なインピーダンス及びより優れた信号保全性を結果としてもたらし得る。
【0061】
所与の接着層は、導体セット間の区域、例えばケーブルの挟まれた領域において、遮蔽フィルム間から有効的に部分的に又は完全に取り除かれるように適合され得る。結果として、遮蔽フィルムはこれらの区域において互いに電気接触することができ、ケーブルの電気性能を高めることができる。場合によっては、接着層は遮蔽フィルムの少なくとも1つと接地導体との間で有効的に部分的に又は完全に取り除かれるように適合され得る。結果として、接地導体はこれらの区域において遮蔽フィルムの少なくとも1つと電気接触することができ、ケーブルの電気性能を高めることができる。薄い接着層が遮蔽フィルムの少なくとも1つと所与の接地導体との間に残る場合であっても、接地導体のアスペリティはその薄い接着層を通して破壊され、意図されるように電気接触を確立し得る。
【0062】
図16a〜16cは、3つの代表的な遮蔽電気ケーブルの断面図であり、遮蔽電気ケーブルにおける接地導体の配置の例を図示する。遮蔽電気ケーブルの一態様は、遮蔽体の正しい接地であり、そのような接地は数々の方法で達成され得る。場合によっては、任意の接地導体は、所与の接地導体の接地が1つ又は複数の遮蔽フィルムもまた接地するように遮蔽フィルムの少なくとも1つと電気接触することができる。そのような接地導体は、「ドレンワイヤ」とも呼ばれることがある。遮蔽フィルムと接地導体との間の電気接触は、例えば10オーム未満、又は2オーム未満、又はほぼ0オームのDC抵抗など、比較的低いDC抵抗によって特徴付けられる場合がある。場合によっては、所与の接地導体は遮蔽フィルムと電気接触せず、むしろ、例えばプリント基板、パドルボード、又は他の装置上の導電パス又は他の接触要素のような、任意の好適な終端構成要素の任意の個々の接触要素に独立に終端された、ケーブル構成体内の個々の要素であってもよい。そのような接地導体は、「接地ワイヤ」とも呼ばれることがある。図16aには、代表的な遮蔽電気ケーブルが図示されており、図の接地導体は遮蔽フィルムの外部に配置されている。図16b及び16cは、導体セットに含まれ得る、接地導体が遮蔽フィルムの間に位置づけられた実施形態を図示する。1つ以上の接地導体は、遮蔽フィルムの外側に、遮蔽フィルムの間に、又は両方の組み合わせで、任意の好適な位置に配置されてもよい。
【0063】
図16aを参照すると、遮蔽電気ケーブル1602aは、ケーブル1602aの長さに沿って延在する単一の導体セット1604aを含む。導体セット1604aは、2つの絶縁導体1606すなわち誘電性ギャップ1630によって分離された一対の絶縁導体を有する。ケーブル1602aの幅に渡って間隔を開けて置かれた、ケーブル1602aの長さに沿って延在する、複数の導体セット1604aを有するようにケーブル1602aを作製してもよい。ケーブルの両側に配置された2つの遮蔽フィルム1608aは、カバー部分1607aを含む。横断面において、組み合わせとしてのカバー部分1607aは導体セット1604aを実質的に取り巻く。任意の接着層1610aは、遮蔽フィルム1608aの挟まれた部分1609aの間に配置され、導体セット1604aの両側で遮蔽フィルム1608aを互いに結合する。絶縁導体1606は、シングルエンド回路配列又は差動対回路配列に使用することが可能な、概ね単一平面においてかつ二芯同軸ケーブルに効果的に、配置される。遮蔽電気ケーブル1602aは、遮蔽フィルム1608aの外側に配置された複数の接地導体1612を更に含む。接地導体1612は、導体セット1604aの上に、これの下に、又は両面上に配置される。所望により、ケーブル1602aは、遮蔽フィルム1608a及び接地導体1612を取り巻く保護フィルム1620を含む。保護フィルム1620は、保護層1621と、保護層1621を遮蔽フィルム1608a及び接地導体1612に結合する接着層1622と、を含む。あるいは、遮蔽フィルム1608a及び接地導体1612は、例えば導電性ブレイドなどの外側の導電性遮蔽部、及び外側の絶縁ジャケット(図示せず)によって包囲されてもよい。
【0064】
図16bを参照すると、遮蔽電気ケーブル1602bは、ケーブル1602bの長さに沿って延在する単一の導体セット1604bを含む。導体セット1604bは、2つの絶縁導体1606すなわち誘電性ギャップ1630によって分離された一対の絶縁導体を有する。ケーブルの幅に渡って間隔を開けて置かれた、ケーブルの長さに沿って延在する、複数の導体セット1604bを有するようにケーブル1602bを作製してもよい。ケーブル1602bの両側に配置された2つの遮蔽フィルム1608bは、カバー部分1607bを含む。横断面において、組み合わせとしてのカバー部分1607bは導体セット1604bを実質的に取り巻く。任意の接着層1610bは、遮蔽フィルム1608bの挟まれた部分1609bの間に配置され、導体セットの両側で遮蔽フィルムを互いに結合する。絶縁導体1606は、概ね単一平面に、かつ二芯同軸又は差動対ケーブル構成に効果的に配置される。遮蔽電気ケーブル1602bは、遮蔽フィルム1608b間に配置される複数の接地導体1612を更に含む。接地導体1612の2つは、導体セット1604bに含まれ、接地導体1612の2つは、導体セット1604bから離間される。
【0065】
図16cを参照すると、遮蔽電気ケーブル1602cは、ケーブル1602cの長さに沿って延在する単一の導体セット1604cを含む。導体セット1604cは、2つの絶縁導体1606すなわち誘電性ギャップ1630によって分離された一対の絶縁導体を有する。ケーブルの幅に渡って間隔を開けて置かれた、ケーブルの長さに沿って延在する、複数の導体セット1604cを有するようにケーブル1602cを作製してもよい。2つの遮蔽フィルム1608cは、ケーブル1602cの両側に配置され、カバー部分1607cを含む。横断面において、組み合わせとしてのカバー部分1607cは導体セット1604cを実質的に取り巻く。任意の接着層1610cは、遮蔽フィルム1608cの挟まれた部分1609cの間に配置され、導体セット1604cの両側で遮蔽フィルム1608cを互いに結合する。絶縁導体1606は、概ね単一平面に、かつ二芯同軸又は差動対ケーブル構成に、効果的に配置される。遮蔽電気ケーブル1602cは、遮蔽フィルム1608c間に配置される複数の接地導体1612を更に含む。接地導体1612の全ては、導体セット1604cに含まれる。接地導体1612の2つ、及び絶縁導体1606は、概ね単一平面に配置される。
【0066】
所望により、開示の遮蔽ケーブルを回路基板に、又は1つ以上の導電性ケーブルクリップを用いる他の終端構成要素に接続することができる。例えば、遮蔽電気ケーブルは概して単一平面に配置された、離間して置かれた複数の導体セットを含むことができ、それぞれの導体セットはケーブルの長さに沿って延在する2つの絶縁導体を含むことができる。2つの遮蔽フィルムは、横断面において、ケーブルの両側に配置され得、導体セットのそれぞれを実質的に取り巻くことができる。ケーブルクリップは、遮蔽フィルムの少なくとも1つが、ケーブルクリップに電気的に接触するようにクランプされるか、ないしは別の方法で、遮蔽電気ケーブルの終端部に取り付けられる。ケーブルクリップは、遮蔽電気ケーブルと接地基準との間の接地接続を確立するために、例えばプリント基板上の伝導性トレース又は他の接触要素のような接地基準への終端のために構成され得る。ケーブルクリップは、いくつかの例を挙げると、はんだ付け、溶接、圧締め、機械的圧締め、及び接着結合などを含む任意の好適な方法を使用して接地基準に終端されてもよい。終端時に、ケーブルクリップは、終端点の接触要素(例えば、プリント基板上の接触要素など)への、遮蔽電気ケーブルの絶縁導体の導体端部の終端を促進し得る。遮蔽電気ケーブルは、遮蔽フィルムの少なくとも1つに加えて、又はこれの代わりに、ケーブルクリップに電気的に接触し得る、本明細書に記載されるような1つ以上の接地導体を含んでもよい。
【0067】
図5a〜5cには、遮蔽電気ケーブルの代表的な作製方法が図示されている。具体的には、これらの図は、前記に示したケーブルの特徴を有し得る遮蔽電気ケーブルの代表的な作製方法を図示する。図5aに図示された工程において、絶縁導体506は、例えば押出しのような任意の好適な方法を用いて形成される、ないしは何らかの方法で提供される。絶縁導体506は、任意の好適な長さで形成されてもよい。絶縁導体506は次いで、そのように提供されてもよく、又は所望の長さに切断されてもよい。接地導体512(図5cを参照)は、同様なやり方で形成され、提供され得る。
【0068】
図5bに図示されている工程において、遮蔽フィルム508が形成される。任意の好適な方法、例えば連続ワイドウェブプロセスなどを使用して、単一層又は多層ウェブが形成されてもよい。遮蔽フィルム508は、任意の好適な長さで形成され得る。遮蔽フィルム508は次いで、そのように提供されてもよく、又は所望の長さ及び/又は幅に切断されてもよい。遮蔽フィルム508は、横断方向の部分的な折れ目を有するように事前に形成されて、長手方向の可撓性を増加することができる。1つ又は両方の遮蔽フィルムは柔軟性の接着層510を含み、これは任意の好適な方法(例えば積層又はスパッタリング)を使用して、遮蔽フィルム508上に形成され得る。
【0069】
図5cに図示されている工程では、複数の絶縁導体506、接地導体512、及び遮蔽フィルム508が提供される。形成ツール524が提供される。形成工具524は、完成された遮蔽電気ケーブルの所望の断面形に対応する形を有する一対の形成ロール526a,526bを含み(誘電体/ギャップ530を形成するための提供物を含み得る)、形成工具は咬合528もまた含む。絶縁導体506、接地導体512、及び遮蔽フィルム508は、本明細書に図示及び/又は記載された任意のケーブルのような所望の遮蔽ケーブルの構成にしたがって配置され、形成ロール526a、526bに近接して位置づけられ、その後、形成ロール526a、526bの咬合528へと同時に供給され、形成ロール526a、526bの間に配置される。形成工具524は、導体セット504,504a(後者は誘導体/ギャップを有する)及び接地導体512の周囲に遮蔽フィルム508を形成し、遮蔽フィルム508をそれぞれの導体セット504及び接地導体512の両側で互いに結合する。結合を促進するために熱が適用されてもよい。この実施形態では、導体セット504及び接地導体512の周辺に遮蔽フィルム508を形成すること並びに遮蔽フィルム508を互いに、それぞれの導体セット504及び接地導体512の両面上で結合することは、単一操作で生じるが、他の実施形態では、これらの工程は別個の操作で生じる場合がある。
【0070】
その後の製作作業において、長手方向分割部を導体セット間に形成してもよい。そのような分割部は、任意の好適な方法、例えばレーザー切断又はパンチング等を使用して、遮蔽ケーブルに形成されてもよい。別の任意の製作作業において、挟まれた領域に沿って縦に遮蔽電気ケーブルを数回折り畳んで束にし、任意の好適な方法を用いて外側の伝導性遮蔽体をその折畳まれた束の周囲に提供することができる。外側ジャケットもまた、例えば押出し成形のような任意の好適な方法を用いて外側の伝導性遮蔽体の周囲に提供され得る。他の実施形態では、外側伝導性遮蔽体を省き、外側ジャケットをそれ自体で、折り畳まれた遮蔽ケーブルの周囲に提供してもよい。
【0071】
図6a〜6cは、遮蔽電気ケーブルの代表的な作製方法の詳細を図示する。特定すると、これらの図は、遮蔽フィルムの形成及び結合工程中にどのようにして1つ以上の接着層をぴったり適合させて形作ることができるかを図示する。
【0072】
図6aに示される工程において、絶縁導体606、絶縁導体606から離間された接地導体612、及び2つの遮蔽フィルム608が提供される。遮蔽フィルム608はそれぞれ適合性接着層610を含む。図6b〜6cに図示される工程において、遮蔽フィルム608は、絶縁導体606及び接地導体612の周辺に形成され、互いに結合される。最初は、図6bに示されるように、接着層610は、その元の厚さをまだ有している。遮蔽フィルム608の形成及び結合が進むとき、接着層610は、完成された遮蔽電気ケーブル602(図6c)の所望の機械的及び電気的性能特性を達成するように適合される。
【0073】
図6cに図示されるように、接着層610は、絶縁導体606及び接地導体612の両側上の遮蔽フィルム608間で、より薄く適合し、接着層610の一部分は、これらの区域から離れて移動する。更に、接着層610は、絶縁導体606及び接地導体612に直接隣接する領域においてより厚く適合し、絶縁導体606及び接地導体612に実質的に適合し、接着層610の一部分はこれらの区域内に移動する。更に、接着層610は遮蔽フィルム608と接地導体612との間で効果的に除去されるように適合し、接着層610は、接地導体612が遮蔽フィルム608に電気的に接触するように、これらの領域から離れて移動する。
【0074】
図7a及び7bは、代表的な遮蔽電気ケーブルの製造中の、挟まれた領域に関係する詳細を示す。遮蔽電気ケーブル702(図7bを参照)は、2つの遮蔽フィルム708を用いて作製され、遮蔽フィルム708が実質的に平行であり得る挟まれた領域718(図7bを参照)を含む。遮蔽フィルム708は、非導電性高分子層708b、非導電性高分子層708b上に配置される導電性層708a、及び導電性層708a上に配置される停止層708dを含む。適合性接着層710は、停止層708d上に配置される。挟まれた領域718は、遮蔽フィルム708間に配置される長手方向の接地導体712を含む。遮蔽フィルムがともに強制的に接地導体の周囲に押し付けられた後、接地導体712は遮蔽フィルム708の導電性層708aと間接的に電気接触する。この間接的な電気接触は、導電性層708a及び接地導体712の、停止層708dによる制御された分離によって可能にされる。場合によっては、停止層708dは非導電性の高分子層であること又はそれを含むことができる。図示されるように、外圧(図7a)が使用されて、導電性層708aをともに押圧し、接着層710を接地導体712の周囲に強制的に適合する(図7b)。停止層708dは少なくとも同じ加工条件下では適合しないので、接地導体712と遮蔽フィルム708の導電性層708aとの間の直接的な電気接触は防ぐが、間接的な電気接触は達成する。停止層708dの厚さ及び誘導特性は、低い標的DC抵抗すなわち間接タイプの電気接触を達成するように選択され得る。いくつかの実施形態で、接地導体と遮蔽フィルムとの間の特徴的なDC抵抗は、所望の間接電気接触を達成するために例えば10オーム未満、又は5オーム未満であってよいが、0オームより大きくてよい。場合によっては、所与の接地導体と1つ又は2つの遮蔽フィルムとを直接電気接触させることが望ましく、そのような接地導体とそのような遮蔽フィルムとの間のDC抵抗は実質的に0オームであり得る。
【0075】
代表的な実施形態では、遮蔽電気ケーブルのカバー領域は所与の導体セットの片側又は両側上に位置づけられた同心領域及び移行領域を含む。同心領域内の所与の遮蔽フィルムの部分は、遮蔽フィルムの同心部分と呼ばれ、移行領域内の遮蔽フィルムの部分は遮蔽フィルムの移行部分と呼ばれる。この移行部分は、遮蔽電気ケーブルの高い製造性、並びに歪み及び応力緩和を提供するように構成され得る。遮蔽電気ケーブルの長さに沿って実質的に一定の構成に移行領域を維持すること(例えばサイズ、形、内容、及び曲率半径のような態様を含む)は、遮蔽電気ケーブルが実質的に均一の電気特性(例えば高周波分離、インピーダンス、スキュー、挿入損失、反射、形態転換、目穴開口部、及びジッターなど)を有することを助けることができる。
【0076】
加えて、導体セットが、差動対回路配列において接続可能な単軸ケーブル及び有効に二芯同軸ケーブルとして概ね配置されるケーブルの長さに沿って延在する2つの絶縁導体を含む実施形態のような特定の実施形態では、遮蔽電気ケーブルの長さに沿って実質的に一定の構成に移行部分を維持することは、有利にも、導体セットの両方の導体のために理想的な、同心からのほぼ同じ電磁場偏差を提供することができる。したがって、遮蔽電気ケーブルの長さに沿ったこの移行部分の構成の綿密な制御は、ケーブルの有利な電気性能及び特徴に寄与し得る。図8a〜10は、導体セットの片側又は両側に配置された遮蔽フィルムの移行領域を含む遮蔽電気ケーブルの多様な代表的な実施形態を図示する。
【0077】
図8a及び8bにおいて断面図で示されている遮蔽電気ケーブル802は、ケーブルの長さに沿って延在する単一の導体セット804を含む。ケーブルの幅に渡って互いに間隔を開けて置かれた、ケーブルの長さに沿って延在する、複数の導体セット804を有するようにケーブル802を作製してもよい。図8aには1つの絶縁導体806のみが示されているが、所望により複数の絶縁導体が導体セット804に含まれてもよく、複数の絶縁導体を分離する誘導体/エアギャップを更に含むこともできる。
【0078】
ケーブルの挟まれた領域に最も近くに位置づけられた導体セットの絶縁導体は、導体セットの末端導体であるとみなされる。導体セット804は、図中、単一の絶縁導体806を有し、遮蔽電気ケーブル802の挟まれた領域818の最も近くに位置づけられているので、末端導体でもある。
【0079】
第1及び第2の遮蔽フィルム808は、ケーブルの両側に配置され、カバー部分807を含む。横断面において、カバー部分807は導体セット804を実質的に取り巻く。任意の接着層810は遮蔽フィルム808の挟まれた部分809間に配置され、ケーブル802の挟まれた領域818において導体セット804の両側で遮蔽フィルム808を互いに結合する。任意の接着層810は、遮蔽フィルム808のカバー部分807を部分的又は完全に横切って、例えば、導体セット804の片側の遮蔽フィルム808の挟まれた部分809から導体セット804のもう1つの側の遮蔽フィルム808の挟まれた部分809まで、延在することができる。
【0080】
絶縁導体806は、シングルエンド回路配列に使用可能な同軸ケーブルとして効果的に配置される。遮蔽フィルム808は、導電性層808a及び非導電性高分子層808bを含むことができる。いくつかの実施形態では、図8a及び8bに図示されているように、両方の遮蔽フィルムの導電性層808aは絶縁導体に面する。あるいは、遮蔽フィルム808の1つ又は両方の導電性層の配向は、本明細書の他の場所に記載したように、逆であってもよい。
【0081】
遮蔽フィルム808は、導体セット804の末端導体806とほぼ同心の同心部分を含む。遮蔽電気ケーブル802は移行領域836を含む。ケーブル802の移行領域836における遮蔽フィルム808の部分は、遮蔽フィルム808の移行部分834である。いくつかの実施形態で、遮蔽電気ケーブル802は導体セット804の両側に位置づけられた移行領域836を含み、いくつかの実施形態では移行領域836は導体セット804の片側のみに位置づけられ得る。
【0082】
移行領域836は、遮蔽フィルム808及び導体セット804によって画定される。移行領域836における遮蔽フィルム808の移行部分834は、遮蔽フィルム808の同心部分811と挟まれた部分809との間の緩やかな移行をもたらす。例えば直角の移行又は移行点(移行部分と反対に)など、急な移行とは反対に、緩やかな又は円滑な移行、例えば実質的にS字状の移行は、遮蔽フィルム808に、移行部分836における応力緩和を提供し、遮蔽電気ケーブル802が使用中である場合に、例えば遮蔽電気ケーブル802を横方向若しくは軸方向に曲げるときに、遮蔽フィルム802への損傷を防ぐ。この損傷には、例えば導電性層808aでの破壊、及び/又は導電性層808aと非導電性高分子層808bとの間の剥離が含まれ得る。更に、緩やかな移行は、遮蔽電気ケーブル802の製造における遮蔽フィルム808への損傷(導電性層808a及び/又は非導電性高分子層808bの亀裂若しくは剪断が含まれ得る)を防ぐ。遮蔽電気リボンケーブルにおいて1つ、いくつか、又は全ての導体セットの1つの側又は両側に本開示の移行領域を使用することは、例えば、単一の絶縁導体の周囲に遮蔽体が概して連続的に配置される、従来のケーブル構成、又は一対の絶縁導体の周囲に遮蔽体が連続的に配置される典型的な従来の二芯同軸ケーブルのような、典型的な同軸ケーブルからの逸脱を表す。これらの従来の遮蔽構成は模範的な電磁的プロファイルをもたらし得るが、所与の用途における許容可能な電気特性を達成するためにそのようなプロファイルは必ずしも必要ない。
【0083】
本開示の遮蔽電気ケーブルの少なくともいくつかの一態様によると、許容可能な電気特性は、移行領域の電気的衝撃を低減することによって、例えば、移行領域のサイズを低減することによって及び/又は遮蔽電気ケーブルの長さに沿って移行領域の構成を綿密に制御することによって、達成され得る。移行領域のサイズを低減することは、電気容量偏差を低減し、複数の導体セット間で必要とされる間隔を低減し、これによって、導体セットのピッチを減少させる、及び/又は導体セット間の電気的絶縁を増加させる。遮蔽電気ケーブルの長さに沿った移行部分の構成の綿密な制御は、予測可能な電気的挙動及び一貫性を得ることに寄与し、高速伝送線のための条件をもたらし、電気的データが確実に送信され得るようにする。遮蔽電気ケーブルの長さに沿った移行領域の構成の綿密な制御は、移行部分のサイズがより低いサイズ制限に近づく際の因子である。
【0084】
検討されることが多い電気的特性は、伝送線の特性インピーダンスである伝送線の長さに沿ったインピーダンスの変動により、電力が標的に伝送されずに、反射してソースに戻される場合がある。理想的には、伝送線は、その長さに沿ってインピーダンスの変動は有しないが、対象用途によって、5〜10%の変動は許容可能である場合がある。二芯同軸ケーブル(差動駆動)で検討されることが多い別の電気的特性は、それらの長さの少なくとも一部分に沿って、1対の2つの伝送ラインの、スキュー、すなわち同等でない転送速度である。スキューは、差動信号のコモンモード信号への変換を生じさせ、これはソースに反射して戻される場合があり、伝送された信号強度を減少させ、電磁放射線を生じさせ、特定のジッターにおいてビット誤り率を著しく増大させる場合がある。理想的には、一対の伝送線はスキューを有さないが、対象用途によって−25〜−30dB未満から、対象の周波数まで(例えば6GHz)の差動のSパラメーター(differential S-parameter)SCD21若しくはSCD12値(伝送ラインの1つの端部から他方へと、差動モードからコモンモードへの変換を表す)が許容可能であり得る。あるいは、スキューはタイムドメインで測定され、要求される仕様と比較することができる。対象用途によって、約20ピコ秒/メートル(ps/m)未満、好ましくは約10ps/m未満が許容可能であり得る。
【0085】
許容可能な電気特性の達成を助けることを目的の一部として図8a及び8bを再び参照すると、遮蔽電気ケーブル802の移行領域836は、断面の移行面積836aをそれぞれ含む。移行面積836aは、好ましくは、導体806の断面積806aより小さい。図8bに最もよく示されているように、移行領域836の断面の移行面積836aは、移行点834’及び834”によって画定される。
【0086】
移行点834’は、遮蔽フィルムが導体セット804の末端絶縁導体806とほぼ同心である状態から偏移する場所に生じる。移行点834’は、遮蔽フィルム808の曲率のサインが変わる遮蔽フィルム808の屈曲点である。例えば、図8bを参照すると、上位の遮蔽フィルム808の曲率はその屈曲点すなわち図で上位の移行点834’で凹部下向きから凹部上向きに移行する。下位の遮蔽フィルム808の曲率はその屈曲点すなわち図で下位の移行点834’で凹部上向きから凹部下向きに移行する。他の移行点834”は、遮蔽フィルム808の挟まれた部分809間の分離が、挟まれた部分809の最低分離d1を例えば1、5、2など既定の因数によって超過する場所に生じる。
【0087】
加えて、それぞれの移行面積836aは、ボイド面積836bを含む場合がある。導体セット804のいずれかの側のボイド面積836bはほぼ同じである場合がある。更に、接着層810は、遮蔽フィルム808の同心部分811での厚さTac及び遮蔽フィルム808の移行部分834での、厚さTacより大きい厚さを有する場合がある。同様に、接着層810は、遮蔽フィルムの挟まれた部分809間の厚さTap、及び遮蔽フィルム808の移行部分834における厚さを有することができ、この厚さは厚さTapより大きい。接着層810は、断面の移行面積836aの少なくとも25%を表す場合がある。移行面積836aにおける接着層810の存在、特に厚さTac又は厚さTapよりも大きい厚さでの存在は、移行領域836におけるケーブル802の強度に寄与する。
【0088】
遮蔽電気ケーブル802の様々な要素の製造プロセス及び材料特性を綿密に制御することは、移行部分836におけるボイド部分836b及び柔軟性のある接着層810の厚さの変動を低減することができ、これは次に断面の移行面積836aの電気容量の変動を低減し得る。遮蔽電気ケーブル802は、導体806の断面積806aと実質的に等しい、又はこれよりも小さい断面の移行面積836aを含む、導体セット804の一方の側又は両側に配置される移行部分836を含み得る。遮蔽電気ケーブル802は、導体806の長さに沿って実質的に同じである断面の移行面積836aを含む、導体セット804の一方の側又は両側に配置される移行領域836を含み得る。例えば、断面の移行面積836aは、1mの長さにかけて50%未満変化する場合がある。遮蔽電気ケーブル802は、それぞれが断面の移行面積を含む導体セット804の両側に配置される移行領域836を含む場合があり、断面積834aの合計は導体806の長さに沿って実質的に同じである。例えば、断面積834aの合計は、1mの長さにわたって50%未満変化する場合がある。遮蔽電気ケーブル802は、それぞれが断面の移行面積836aを含む導体セット804の両側に配置される移行領域836を含む場合があり、断面の移行面積836aは実質的に同じである。遮蔽電気ケーブル802は、移行領域836が実質的に同一である、導体セット804の両側に配置される移行領域836を含み得る。絶縁導体806は、絶縁厚さTiを有し、移行領域836は絶縁厚さTi未満である横方向長さLiを有してもよい。絶縁導体806の中心導体は直径Dcを有し、移行領域836は直径Dc未満の横方向長さLiを有してもよい。上記の様々な構成は、所望の範囲に留まる特性インピーダンス、例えば、ターゲットインピーダンス値の5〜10%以内(例えば50オーム)を所与の長さ(例えば1メートル)にわたって提供してもよい。
【0089】
遮蔽電気ケーブル802の長さに沿って移行領域836の構成に影響し得る要因には、いくつかの例を挙げると、製造プロセス、導電性層808a及び非導電性高分子層808bの厚さ、接着層810、並びに絶縁導体806と遮蔽フィルム808との間の結合強度が挙げられる。一態様において、導体セット804、遮蔽フィルム808、及び移行領域836は、協働してインピーダンスを制御する関係に構成され得る。インピーダンスを制御する関係とは、導体セット804、遮蔽フィルム808、及び移行領域836が協働して、遮蔽電気ケーブルの特性インピーダンスを制御するように構成されることを意味する。
【0090】
図9には、代表的な遮蔽電気ケーブル902が、コネクターセット904にある2つの絶縁導体と、ケーブル902の長さに沿ってそれぞれ延在する、誘導体/エアギャップ944によって分離された、個々に絶縁された導体906と、を含む横断面において図示されている。2つの遮蔽フィルム908は、ケーブル902の両側に配置され、組み合わされて導体セット904を実質的に取り巻く。任意の接着層910は遮蔽フィルム908の挟まれた部分909間に配置され、ケーブルの挟まれた領域918において導体セット904の両側で遮蔽フィルム908を互いに結合する。絶縁導体906は、概ね単一平面に、かつ二芯同軸構成に効果的に配置され得る。二芯同軸構成は、差動対回路配列又はシングルエンド回路配列に使用できる。遮蔽フィルム908は、導電性層908a及び非導電性高分子層908bを含んでもよく、又は、非導電性高分子層908bを有さず導電性層908aを含んでもよい。図中、それぞれの遮蔽フィルムの導電性層908aは絶縁導体906に面して示されているが、代替実施形態においては遮蔽フィルムの1つ又は両方が逆の配向を有する場合がある。
【0091】
遮蔽フィルム908の少なくとも1つのカバー部分907は、導体セット904の対応する端部導体906とほぼ同心である同心部分911を含む。ケーブル902の移行領域において、遮蔽フィルム908の移行部分934は、遮蔽フィルム908の同心部分911と挟まれた部分909との間にある。移行部分934は、導体セット904の両側に位置づけられ、そのような部分のそれぞれが断面の移行面積934aを含む。断面の移行面積934aの合計は、好ましくは、導体906の長さに沿ってほぼ同じである。例えば、断面積934aの合計は、1mの長さにわたって50%未満変化する場合がある。
【0092】
加えて、2つの断面の移行面積934aは、ほぼ同じ及び/又はほぼ同一であり得る。移行領域のこの構成は、所与の長さ(例えば1mなど)にわたってターゲットインピーダンス値の所望の範囲、例えば5〜10%以内に両方とも留まる、それぞれの導体906(シングルエンド)のための特性インピーダンス、及び差動インピーダンスを寄与し得る。更に、移行領域のこの構成は、それらの長さの少なくとも一部分に沿って2つの導体906のスキューを最小限にすることができる。
【0093】
ケーブルが折り畳まれていない平面構成にあるとき、遮蔽フィルムのそれぞれは、ケーブル902の幅に渡って変化する曲率半径によって横断面において特徴付けられ得る。遮蔽フィルム908の最大曲率半径は、例えば、ケーブル902の挟まれた部分909にて、又は図9に図示した複数の導体ケーブルセット904のカバー部分907の中心点の近くにて生じ得る。これらの位置にて、フィルムは実質的に平坦であり、曲率半径は実質的に無限である。遮蔽フィルム908の最小曲率半径は、例えば、遮蔽フィルム908の移行部分934にて生じ得る。いくつかの実施形態では、ケーブルの幅に渡っての遮蔽フィルムの曲率半径は、少なくとも約50マイクロメートルであり、すなわち、曲率半径はケーブルの縁の間でケーブルの幅に沿ったどの点でも50マイクロメートルより小さいマグニチュードを有することがない。いくつかの実施形態では、移行部分を含む遮蔽フィルムの場合、遮蔽フィルムの移行部分の曲率半径は同様に少なくとも約50マイクロメートルである。
【0094】
同心部分及び移行部分を含む、折り畳まれていない平坦な構成にある遮蔽フィルムは、同心部分の曲率半径R1及び/又は移行部分の曲率半径r1によって特徴付けられ得る。これらのパラメーターはケーブル902に関して図9に図示されている。代表的な実施形態では、R1/r1は2〜15の範囲である。
【0095】
図10には、誘電体/エアギャップ1014によって分離された2つの絶縁導体1006を有する導体セットを含む別の代表的な遮蔽電気ケーブル1002が示されている。この実施形態で、遮蔽フィルム1008は、非対称構成を有し、図9のようなより対照的な実施形態と比べて移行部分の位置が変わる。図10では、遮蔽電気ケーブル1002は、絶縁導体1006の対称面からわずかにずれた平面にある遮蔽フィルム1008の挟まれた部分1009を有する。結果として、移行領域1036は、他の図示した実施形態と比べていくらかずれた位置及び構成を有する。しかし、2つの移行領域1036が、対応する絶縁導体1006に対して(例えば、導体1006間の縦面に対して)ほぼ対称に位置づけられること、及び遮蔽電気ケーブル1002の長さに沿って移行領域1036の構成を綿密に制御することを確実に行うことによって、なお許容可能な電気特性を提供するように遮蔽電気ケーブル1002を構成することが可能である。
【0096】
図11には、追加的な代表的な遮蔽電気ケーブルが図示されている。これらの図は、遮蔽電気ケーブルの導体セットを電気的に絶縁するためにケーブルの挟まれた部分がどのように構成されるかを更に説明するために使用される。導体セットは隣接する導体セットから、電気的に絶縁されてもよく(例えば、隣接する導体セット間のクロストークを最小限にするために)、又は遮蔽電気ケーブルの外部環境から電気的に絶縁されてもよい(例えば、遮蔽電気ケーブルから逃れる電磁放射を最小限にし、外部電源からの電磁干渉を最小限にするために)。どちらの場合も、挟まれた部分は様々な機械的構成体を含んで、電気的絶縁を実現することができる。いくつかの例を挙げると、例には、遮蔽フィルムの近接性、遮蔽フィルム間の高誘電率材料、遮蔽フィルムの少なくとも1つと直接的若しくは間接的に電気接触をする接地導体、隣接する導体セット間の延在する距離、隣接する導体セット間の物理的破断、長手方向、横断方向のいずれか、又は両方で遮蔽フィルムを互いに直接的に断続的に接触させること、及び導電性接着剤が挙げられる。
【0097】
図11で、遮蔽電気ケーブル1102は、ケーブル102の幅に渡って離間され、ケーブルの長さに沿って長手方向に延在する、2つの導体セット1104a、1104bを含む断面に示されている。それぞれの導体セット1104a、1104bは、ギャップ1144によって分離された2つの絶縁導体1106a、1106bを有する。2つの遮蔽フィルム1108は、ケーブル1102の両側に配置される。横断面において、遮蔽フィルム1108のカバー部分1107は、ケーブル1102のカバー領域1114において導体セット1104a、1104bを実質的に取り巻く。ケーブルの挟まれた領域1118において、導体セット1104a、1104bの両側に、遮蔽フィルム1108は、挟まれた領域1109を含む。遮蔽電気ケーブル1102で、遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109及び絶縁導体1106は、ケーブル1102が平面及び/又は折り畳まれていない配置にあるとき、概ね単一平面に配置される。導体セット1104a、1104b間に配置される挟まれた部分1109は、導体セット1104a、1104bを互いに電気的に絶縁するように構成される。図11に図示されるように、概ね平面において、折り畳まれていない配置に置かれたとき、導体セット1104aにおける第2の絶縁導体1106bに対する導体セット1104aにおける第1の絶縁導体1106aの高周波の電気的分離は、第2の導体セット1104bに対する第1の導体セット1104aの高周波の電気的分離より実質的に少ない。
【0098】
図11の断面図に図示されているように、ケーブル1102は、遮蔽フィルム1108のカバー部分1107間の最大分離D、遮蔽フィルム1108のカバー部分1107間の最小分離d2、及び遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109間の最小分離d1によって特徴付けられ得る。いくつかの実施形態で、d1/Dは0.25未満又は0.1未満である。いくつかの実施形態で、d2/Dは0.33より大きい。
【0099】
任意の接着層は、図示されているように、遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109間に含まれ得る。接着層は、連続していても、又は不連続であってもよい。いくつかの実施形態で、接着層はケーブル1102のカバー領域1114に完全に又は部分的に、例えば遮蔽フィルム1108のカバー部分1107と絶縁導体1106a、1106bとの間に延在し得る。接着層は、遮蔽フィルム1108のカバー部分1107上に配置され得、導体セット1104a、1104b上の一方の側の遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109から導体セット1104a、1104b上のもう一方の側の遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109まで、部分的又は完全に延在することができる。
【0100】
遮蔽フィルム1108は、ケーブル1102の幅に渡って曲率半径Rによって、及び/又は遮蔽フィルムの移行部分1112の曲率半径r1によって、及び/又は遮蔽フィルムの同心部分1111の曲率半径r2によって、特徴付けられ得る。
【0101】
移行領域1136において、遮蔽フィルム1108の移行部分1112は、遮蔽フィルム1108の同心部分1111と遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109との間に緩やかな移行をもたらすように配置され得る。遮蔽フィルム1108の移行部分1112は、遮蔽フィルム1108の屈曲点であり、同心部分1111の末端に相当する、第1の移行点1121から、遮蔽フィルム間の分離が、挟まれた部分1109の最小分離d1を既定因子によって超える第2の移行点1122まで、延在する。
【0102】
いくつかの実施形態で、ケーブル1102は、ケーブルの幅に渡って、少なくとも約50マイクロメートルである曲率半径Rを有する少なくとも1つの遮蔽フィルムを含み、及び/又は、遮蔽フィルム1102の移行部分1112の最小曲率半径r1は少なくとも約50マイクロメートルである。いくつかの実施形態で、同心部分の最小曲率半径と移行部分の最小曲率半径との比、r2/r1は、2〜15の範囲内である。
【0103】
いくつかの実施形態で、ケーブルの幅に渡っての遮蔽フィルムの曲率半径Rは少なくとも約50マイクロメートルである、及び/又は遮蔽フィルムの移行部分の最小曲率半径は少なくとも約50マイクロメートルである。
【0104】
場合によっては、記載されている任意の遮蔽ケーブルの挟まれた領域は、例えば少なくとも30度の角度αで横方向に曲げられ得る。挟まれた領域のこの横方向の可撓性は、例えば丸ケーブルに使用され得る構成のような任意の好適な構成において遮蔽ケーブルを折り畳むことを可能にし得る。場合によっては、挟まれた領域の横方向の可撓性は、2つ以上の比較的薄い個別の層を含む遮蔽フィルムによって可能になる。特に曲げ条件下では、これらの個々の層の一体性を保証するために、それらの間の結合は無傷のままであることが好ましい。挟まれた領域は、約0.13mm未満の最小厚さを有し、個々の層の間の結合強度は、プロセス又は使用時の熱暴露後に少なくとも17.86g/mm(1ポンド/インチ)である。
【0105】
本開示の任意の遮蔽電気ケーブルの電気性能にとって、ケーブルの挟まれた領域が所与の導体セットの両側でほぼ同じサイズ及び形を有することは有益であり得る。任意の寸法変化及び不均衡は、挟まれた領域の長さに沿って、電気容量及びインダクタンスの不均衡を生み出す場合がある。これは次いで、挟まれた領域の長さに沿ったインピーダンスの差、及び隣接する導体セット間のインピーダンス不均衡を生じさせる場合がある。これらの理由に関して少なくとも、遮蔽フィルム間の間隔の制御が望ましい場合がある。場合によっては、導体セットの両側のケーブルの挟まれた領域において、遮蔽フィルムの挟まれた部分は、約0.05mm以内の範囲で互いに離間され得る。
【0106】
図12は、従来の電気ケーブルの2つの隣接する導体セット間の導体セットが完全に分離される(すなわち共通接地を有さない(サンプル1))、及び遮蔽フィルム1108が約0.025mm離間される(サンプル2)、遮蔽電気ケーブル1102(図11に図示)の2つの隣接する導体セット間の、遠端クロストーク(FEXT)分離を示し、両方とも約3mのケーブル長さを有する。このデータを作成するテスト方法は当該技術において周知である。データはAgilent 8720ES 50MHz〜20GHz S−Parameter Network Analyzerを使用して生成された。遠端クロストークのプロットを比較することによって、従来の電気ケーブル及び遮蔽電気ケーブル1102が同様な遠端クロストーク性能を提供するということが分かる。とりわけ、約−35dB未満の遠端クロストークが大半の用途に好適であるということが一般に認められている。試験された構成に関して、従来の電気ケーブル及び遮蔽電気ケーブル1102の両方が満足のいく電気的絶縁性能を提供するということが図12から容易に分かる。遮蔽フィルムを離間する能力による、挟まれた部分の増加した強度と組み合わせて、この満足のいく電気的絶縁性能は、従来の電気ケーブルをしのぐ、本開示の少なくともいくつかの遮蔽電気ケーブルの利点である。
【0107】
上述の代表的実施形態において、遮蔽電気ケーブルは、横断面において遮蔽フィルムのカバー部分の組み合わせが所与の導体セットを実質的に取り巻き、離間した導体セットのそれぞれを個々に取り巻くように、ケーブルの両側に配置された2つの遮蔽フィルムを含む。しかし、いくつかの実施形態では、遮蔽電気ケーブルは、ケーブルの片側のみに配置された1つの遮蔽フィルムのみを包含してもよい。2つの遮蔽フィルムを有する遮蔽ケーブルと比較して、単一の遮蔽フィルムのみを遮蔽ケーブルに含むことの利点は、材料費の減少及び機械的可撓性、製造のしやすさ、及びストリッピングと終端のしやすさの増加を含む。単一の遮蔽フィルムは、許容可能なレベルの電磁干渉(EMI)分離をもたらすことができ、かつ近接の影響を低減することができ、これによって信号減衰を減少させる。図13は、1つの遮蔽フィルムのみを含むそのような遮蔽電気ケーブルの一例を図示する。
【0108】
図13で、遮蔽電気ケーブル1302は、1つの遮蔽フィルム1308のみを有するものとして示されている。絶縁導体1306は、それぞれが誘導体/ギャップ1314によって分離された一対の絶縁導体のみを有する2つの導体セット1304として配置されているが、本明細書に記載したような他の数の絶縁導体を有する導体セットもまた企図される。遮蔽電気ケーブル1302は、多様な代表的な場所にある接地導体1312を含むものとして示されているが、それらのいくつか又は全てを所望により省いてもよく、また、追加的な接地導体を含んでもよい。接地導体1312は導体セット1304の絶縁導体1306とほぼ同じ方向に延在し、遮蔽フィルム1308と、遮蔽フィルムとしては機能しない支持フィルム1346との間に位置づけられる。1つの接地導体1312は遮蔽フィルム1308の挟まれた部分1309に含まれ、3つの接地導体1312は導体セット1304の1つに含まれる。これらの3つの接地導体1312の1つは、絶縁導体1306と遮蔽フィルム1308との間に位置づけられ、これらの3つの接地導体1312の2つは、導体セットの絶縁導体1306と概ね同一平面上に配置される。
【0109】
信号ワイヤ、ドレンワイヤ、及び接地ワイヤに加えて、本開示の任意のケーブルは、ユーザーによって定められる任意の目的のための、典型的には絶縁された1つ以上の個々のワイヤもまた含むことができる。例えば動力伝達又は低速通信(例えば1MHz未満)には十分だが高速通信(例えば1Gb/秒を超える)には不十分なこれらの追加的なワイヤは、総じて側波帯と呼ばれる場合がある。側波帯ワイヤは動力信号、参照信号、又は任意の他の関心のある信号の伝達に使用され得る。側波帯内のワイヤは、典型的には互いに直接的に又は間接的に電気接触していないが、少なくともいくつかのケースでは、互いに遮蔽され得ない。側波帯は2つ以上、又は3つ以上、又は5つ以上のような任意の数のワイヤを含み得る。
【0110】
代表的な遮蔽電気ケーブルに関する更なる情報は、本明細書と同時出願され本明細書に参照により組み込まれる米国特許出願第61/378,877号「Connector Arrangements for Shielded Electrical Cable」(代理人整理番号第66887US002号)に見出される。
【0111】
第1項は、電気リボンケーブルであって、
【0112】
前記ケーブルの端から端まで延在する少なくとも2つの細長い導体を備える少なくとも1つの導体セットであって、それらの導体のそれぞれが、それぞれ対応する第1の誘電体によって前記ケーブルの一定の長さに沿って包囲される、導体セットと、
【0113】
前記ケーブルの端から端まで延在する、前記ケーブルの両端に配置される第1及び第2のフィルムであって、前記ケーブルの前記長さに沿ってそれぞれの導体セットの前記導体の前記第1の誘電体の間に一定間隔が維持されるように、前記導体が前記第1及び第2のフィルムに固定連結される、第1及び第2のフィルムと、
【0114】
前記それぞれの導体セットのワイヤの前記第1の誘電体の間の間隔内に配置された第2の誘電体と、を備える。
【0115】
第2項は、前記第2の誘導体が、前記それぞれの導体セットの導体の前記第1の誘導体の間の最も近い点の間に、前記ケーブルの前記長さに沿って連続して延在するエアギャップを含む、第1項に記載のケーブルである。
【0116】
第3項は、前記第1及び第2のフィルムが、第1及び第2の遮蔽フィルムを備える、第1項又は第2項に記載のケーブルである。
【0117】
第4項は、前記第1及び第2の遮蔽フィルムが、前記ケーブルの横断面において少なくとも1つの導体が前記第1及び第2の遮蔽フィルムの組み合わせによって部分的にのみ取り巻かれるように配置される、第3項に記載のケーブルである。
【0118】
第5項は、前記ケーブルの長さに沿って配置され、前記第1及び第2の遮蔽フィルムの少なくとも1つと電気通信する、ドレンワイヤを更に備える、第3項又は第4項に記載のケーブルである。
【0119】
第6項は、前記第1及び第2のフィルムの少なくとも1つが、前記ケーブルの横断面において、それぞれの導体セットを部分的に取り巻くようにぴったり適合して形作られる、第1項〜第5項のいずれか一項に記載のケーブルである。
【0120】
第7項は、前記第1及び第2のフィルム双方は、前記ケーブルの横断面においてそれぞれの導体セットを実質的に取り巻くようにぴったりと適合するように形作られた組み合わせであり得る、第6項に記載のケーブルである。
【0121】
第8項は、前記第1及び第2のフィルムの平坦な部分がともに連結されて、少なくとも1つの導体セットのそれぞれの側に平坦なケーブル部分を形成する、第6項又は第7項に記載のケーブルである。
【0122】
第9項は、前記導体の前記第1の誘導体が前記第1及び第2のフィルムに結合される、第1項〜第8項のいずれか一項に記載のケーブルである。
【0123】
第10項は、前記第1及び第2のフィルムの少なくとも1つが、
剛性の誘導体層と、
前記剛性の誘導体層に固定連結された遮蔽フィルムと、
前記導体の前記第1の誘導体を前記剛性の誘導体層に結合する変形可能な誘導性接着層と、を備える、第9項に記載のケーブルである。
【0124】
第11項は、前記ケーブルの長さに沿って前記第1のフィルムと前記第2のフィルムとの間に固定連結される1つ以上の絶縁支持体を更に備える、第1項〜第10項のいずれか一項に記載のケーブルである。
【0125】
第12項は、前記絶縁支持体の少なくとも1つが、2つの隣接する導体セットの間に配置される、第11項に記載のケーブルである。
【0126】
第13項は、前記絶縁支持体の少なくとも1つが、前記導体セットと前記ケーブルの長手方向縁との間に配置される、第11項又は12項に記載のケーブルである。
【0127】
第14項は、前記第1の誘導体の誘導率が、前記第2の誘導体の誘導率より高い、第1項〜13項のいずれか一項に記載のケーブルである。
【0128】
第15項は、前記少なくとも1つの導体セットが、少なくとも1Gb/秒の最大データ伝送速度のために適応される、第1項〜第14項のいずれか一項に記載のケーブルである。
【0129】
第16項は、電気リボンケーブルであって、
それぞれの導体が前記ケーブルの端から端まで延在する差動対ワイヤを備える複数の導体セットを備え、前記ワイヤのそれぞれが、それぞれ対応する誘電体によって包囲される、導体セットと、
前記ケーブルの端から端まで延在し、前記ケーブルの両側に配置される第1及び第2の遮蔽フィルムであって、それぞれの差動対のワイヤの前記誘導体の間の最も近い点の間に前記ケーブルの長さに沿って一貫した間隔で置かれたエアギャップが連続して延在するように前記ワイヤが前記第1及び第2のフィルムに結合される、第1及び第2の遮蔽フィルムと、を備え、
前記第1及び第2の遮蔽フィルムは組み合わされて、横断面においてそれぞれの導体セットを実質的に取り巻くようにぴったり適合して形作られ、前記第1及び第2の遮蔽フィルムの平坦な部分はともに連結されて、前記それぞれの導体セットのそれぞれの側上に平坦なケーブル部分を形成する。
【0130】
第17項は、前記第1及び第2の遮蔽フィルムの少なくとも1つが、
前記ワイヤに結合された変形可能な誘電性接着層と、
前記変形可能な誘導体層に連結された剛性の誘導体層と、
前記剛性の誘導体層に連結された遮蔽フィルムと、を備える、第16項に記載のケーブルである。
【0131】
第18項は、前記導体セットの少なくとも1つが、少なくとも1Gb/秒の最大データ伝送速度のために適応される、第16項〜第17項のいずれか一項に記載のケーブルである。
【0132】
代表的な実施形態の前述の説明は、例証及び説明の目的で提示されてきた。説明文は網羅的なものでもなく、開示された厳密な形態に本発明を限定するものでもない。以上の教示を考慮すれば、多くの修正形態及び変形形態が可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されるのではなく、むしろ本明細書に添付された「特許請求の範囲」によって限定されことが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気リボンケーブルであって、
前記ケーブルの端から端まで延在する少なくとも2つの細長い導体を備える少なくとも1つの導体セットであって、それらの導体のそれぞれが、それぞれ対応する第1の誘電体によって前記ケーブルの一定の長さに沿って包囲される、導体セットと、
前記ケーブルの端から端まで延在する、前記ケーブルの両端に配置される第1及び第2のフィルムであって、前記ケーブルの前記長さに沿ってそれぞれの導体セットの前記導体の前記第1の誘電体の間に一定間隔が維持されるように、前記導体が前記第1及び第2のフィルムに固定連結される、第1及び第2のフィルムと、
前記それぞれの導体セットのワイヤの前記第1の誘電体の間の間隔内に配置された第2の誘電体と、
を備える、電気リボンケーブル。
【請求項2】
前記第2の誘導体が、前記それぞれの導体セットの導体の前記第1の誘導体の間の最も近い点の間に、前記ケーブルの前記長さに沿って連続して延在するエアギャップを含む、請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記第1及び第2のフィルムが、第1及び第2の遮蔽フィルムを備える、請求項1又は2に記載のケーブル。
【請求項4】
前記第1及び第2の遮蔽フィルムが、前記ケーブルの横断面において少なくとも1つの導体が前記第1及び第2の遮蔽フィルムの組み合わせによって部分的にのみ取り巻かれるように配置される、請求項3に記載のケーブル。
【請求項5】
前記第1及び第2のフィルムの少なくとも1つが、前記ケーブルの横断面において、それぞれの導体セットを部分的に取り巻くように適合して形作られる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項6】
前記第1及び第2のフィルムの平坦な部分がともに連結されて、少なくとも1つの導体セットのそれぞれの側に平坦なケーブル部分を形成する、請求項5に記載のケーブル。
【請求項7】
前記導体の前記第1の誘導体が前記第1及び第2のフィルムに結合される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項8】
前記第1及び第2のフィルムの少なくとも1つが、
剛性の誘導体層と、
前記剛性の誘導体層に固定連結された遮蔽フィルムと、
前記導体の前記第1の誘導体を前記剛性の誘導体層に結合する変形可能な誘導性接着層と、
を備える、請求項7に記載のケーブル。
【請求項9】
前記ケーブルの長さに沿って前記第1のフィルムと前記第2のフィルムとの間に固定連結される1つ以上の絶縁支持体を更に備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載のケーブル。
【請求項10】
前記第1の誘導体の誘導率が、前記第2の誘導体の誘導率より高い、請求項1〜9のいずれか一項に記載のケーブル。

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図2b】
image rotate

【図2c】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図3c】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図5c】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図6c】
image rotate

【図7a】
image rotate

【図7b】
image rotate

【図8a】
image rotate

【図8b】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14a】
image rotate

【図14b】
image rotate

【図14c】
image rotate

【図14d】
image rotate

【図14e】
image rotate

【図15a】
image rotate

【図15b】
image rotate

【図15c】
image rotate

【図15d】
image rotate

【図16a】
image rotate

【図16b】
image rotate

【図16c】
image rotate


【公表番号】特表2013−521611(P2013−521611A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556054(P2012−556054)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/060623
【国際公開番号】WO2012/030364
【国際公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】