説明

誘導灯装置及び誘導灯システム

【課題】煙などが充満した場合でも、誘導灯装置を視認しやすくすることにより、屋内にいる人を安全に避難誘導する。
【解決手段】パネルユニット120は、避難誘導図形124を表示する誘導パネル121と、避難誘導図形124に隣接する周囲に設けられた透光部123を通して光を放射する光源を有する外周光源モジュール130とを有する。外周光源モジュール130の光源は、指向性が強く、2分の1ビーム角が30度以下である。制御回路(点灯制御部)は、煙感知装置からの煙感知信号に基づいて、煙を感知した場合に、外周光源モジュール130の光源を点灯させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火災発生時などの非常時に、屋内にいる人を避難誘導する誘導灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導灯装置は、火災発生時などに、消防法などで定められた避難誘導図形を表示することにより、屋内にいる人に、避難口の位置を知らせ、避難誘導をする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−165999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
火災の発生により煙が充満すると、誘導灯装置が見えづらくなる可能性がある。
この発明は、例えば上記のような課題を解決するためになされたものであり、煙などが充満した場合でも、誘導灯装置を視認しやすくすることにより、屋内にいる人を安全に避難誘導することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかる誘導灯装置は、避難誘導図形を表示する表示部と、2分の1ビーム角が30度以下の配光特性を有し、上記表示部に隣接する位置に設けられた光源と、煙を感知する煙感知装置からの煙感知信号を入力し、入力した煙感知信号に基づいて、上記煙感知装置が煙を感知した場合に、上記光源を点灯する点灯制御部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明にかかる誘導灯装置によれば、火災発生により煙などが充満した場合でも、誘導灯装置を視認しやすくなり、屋内にいる人を安全に避難誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態1における誘導灯装置100の外観を示す斜視図。
【図2】実施の形態1における誘導灯装置100の内部構造を示す正視図及び断面図。
【図3】実施の形態1におけるパネルユニット120の構造を示す正視図。
【図4】実施の形態1における誘導パネル121の構造を示す正視図及び断面図。
【図5】実施の形態1における外周光源モジュール130の構造を示す正視図及び断面図。
【図6】実施の形態1における誘導灯システム800及び誘導灯装置100を示すブロック図。
【図7】実施の形態1における誘導灯装置100の周辺における避難誘導図形124の見かけ上の輝度を示す図。
【図8】実施の形態1における誘導灯装置100の周辺における透光部123を通して見える光源132の見かけ上の輝度を示す図。
【図9】実施の形態2における誘導パネル121の構造を示す側面視拡大断面図。
【図10】実施の形態3における誘導パネル121の構造を示す底面視拡大断面図。
【図11】実施の形態4における誘導パネル121の構造を示す底面視拡大断面図。
【図12】実施の形態5における誘導灯システム800及び誘導灯装置100を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
実施の形態1について、図1〜図8を用いて説明する。
【0009】
図1は、この実施の形態における誘導灯装置100の外観を示す斜視図である。
誘導灯装置100(誘導灯器具)は、避難口の近傍の壁面や天井面に設置される。誘導灯装置100は、火災発生などの非常時に、屋内にいる人に避難口(非常口)を知らせ、避難誘導をする。
誘導灯装置100は、例えば、本体110(誘導灯筐体)と、パネルユニット120とを有する。本体110は、例えば、直方体箱状である。パネルユニット120は、本体110の一面に配置されている。パネルユニット120は、表側に、消防法等で定められた避難誘導図形が描かれている。
【0010】
図2は、この実施の形態における誘導灯装置100の内部構造を示す正視図及び断面図である。
この図は、誘導灯装置100のパネルユニット120を外したところを示している。本体110は、パネルユニット120を配置する側が開口している。誘導灯装置100は、本体110の内側に、電源ユニット160と、バッテリー170と、主光源モジュール180と、ハーネス191,192とを有する。
主光源モジュール180(主光源回路)は、パネルユニット120に描かれた避難誘導図形を内側から照らして光らせる。主光源モジュール180は、本体110内部の上部に、下向きに配置されている。主光源モジュール180は、例えば、基板181と、光源182とを有する。光源182(主光源)は、例えばLEDや蛍光灯や冷陰極線ランプなど、電気エネルギーにより発光する光源である。光源182は、基板181に実装されている。基板181は、例えば、プリント配線板である。基板181には、プリント配線や基板181に実装された部品などにより、電源ユニット160から供給される電力を光源182に対して供給する回路が形成されている。
バッテリー170は、平常時において、電源ユニット160から供給される電力により充電される。バッテリー170は、停電時において、充電された電力を電源ユニット160に対して供給する。なお、バッテリー170は、誘導灯装置100の内部ではなく、誘導灯装置100の外部に別置きする構成であってもよい。
電源ユニット160は、平常時において、商用電源などの電源から電力(交流電力)の供給を受けて、バッテリー170を充電するとともに、主光源モジュール180に電力を供給して、光源182を点灯させる。また、電源ユニット160は、停電時において、バッテリー170から電力(直流電力)の供給を受けて、主光源モジュール180に電力を供給して、光源182を点灯させる。
ハーネス191は、電源ユニット160とバッテリー170との間を物理的・電気的に接続している。ハーネス192は、電源ユニット160と主光源モジュール180との間を物理的・電気的に接続している。
【0011】
図3は、この実施の形態におけるパネルユニット120の構造を示す正視図である。
パネルユニット120は、例えば、誘導パネル121と、外周光源モジュール130と、ハーネス193,194とを有する。
誘導パネル121は、光を透過する樹脂などの材料により形成されている。誘導パネル121は、例えば、平板部122と、導光部127(導光板)とを有する。平板部122は、誘導灯装置100の外側に露出する部分であり、例えば正方形板状である。平板部122の表側の面には、避難誘導図形124(表示部)が、中央に大きく描かれている。また、避難誘導図形124に隣接する周囲には、透光部123が設けられている。透光部123は、透明であり、光を拡散せず、そのまま透過する。導光部127は、避難誘導図形124の裏側に位置する。導光部127は、主光源モジュール180の光源182が放射した光を導いて、避難誘導図形124を照らす。避難誘導図形124は、導光部127が導いた光によって裏側から照らされ、略均一に発光する。なお、導光部127は、平板部122と別部品であってもよい。
外周光源モジュール130は、透光部123の裏側に配置されている。外周光源モジュール130は、光源を有する。外周光源モジュール130は、電源ユニット160から電力の供給を受けて、光源を点灯する。外周光源モジュール130の光源が放射した光は、透光部123を通して、誘導灯装置100の外部に放射される。
ハーネス194は、複数の外周光源モジュール130の間を、物理的・電気的に接続している。
ハーネス193は、電源ユニット160に接続される。ハーネス193は、電源ユニット160と、外周光源モジュール130との間を物理的・電気的に接続する。
【0012】
図4は、この実施の形態における誘導パネル121の構造を示す正視図及び断面図である。
平板部122は、例えば、溝部125と、係合部126とを有する。溝部125は、透光部123の裏側に設けられている。溝部125は、外周光源モジュール130の光源を収めるための空間である。係合部126は、溝部125の両側に設けられている。係合部126は、外周光源モジュール130と係合し、外周光源モジュール130を位置決めする。
導光部127は、例えば、入射部128と、拡散反射部129とを有する。入射部128は、パネルユニット120を本体110に取り付けたとき、主光源モジュール180の光源182の正面に位置する。入射部128は、光源182が放射した光を導光部127のなかに取り込む。拡散反射部129は、光源182が放射して入射部128から取り込まれた光を拡散反射して、避難誘導図形124を照射させる。
【0013】
図5は、この実施の形態における外周光源モジュール130の構造を示す正視図及び断面図である。
外周光源モジュール130(LEDモジュール)は、例えば、基板131と、光源132と、コネクタ133とを有する。光源132は、例えばLEDパッケージなど、点光源もしくは発光部分の面積が比較的狭い光源である。光源132は、黄色あるいは橙色の光を放射する。光源132が放射する光の主波長は、例えば、550nm以上620nm以下であり、望ましくは、570nm以上610nm以下である。この波長帯の光は、煙が充満した状態でも視認性に優れているからである。また、光源132は、指向性が強い光を放射する。光源132が放射する光の2分の1ビーム角は、例えば、30度以下であり、望ましくは、5度以下である。「2分の1ビーム角」とは、回転対称な配光を有する光源の配光特性を表わす指標のひとつであり、光源132が最も強い光を放射する中心方向に対して、その2分の1の強さの光を放射する方向がなす角度のことである。光源132は、基板131に実装されている。
コネクタ133は、ハーネス193,194と係合して、物理的・電気的に接続する。コネクタ133は、基板131に実装されている。
基板131は、例えばプリント配線板である。基板131には、プリント配線や基板131に実装された部品などにより、一方のコネクタ133に接続したハーネス193,194を介して電源ユニット160から供給された電力を光源132に対して供給するとともに、他方のコネクタ133に接続したハーネス194を介して他の外周光源モジュール130に供給する回路が形成されている。
【0014】
外周光源モジュール130を、誘導パネル121の係合部126に係合させて配置することにより、光源132は、避難誘導図形124の周囲に配置される。光源132は、誘導パネル121の平板部122に対して略垂直な方向を中心とする方向へ向けて光を放射する。複数の光源132は、ほぼ同じ方向へ向けて光を放射する。光源132が放射した光は、透光部123を通り、そのまま平板部122に対して略垂直な方向を中心とする方向へ向けて出射される。
【0015】
図6は、この実施の形態における誘導灯システム800及び誘導灯装置100を示すブロック図である。
誘導灯システム800は、例えば、誘導灯装置100と、煙感知装置810とを有する。煙感知装置810(煙感知器)は、誘導灯装置100の近くに設置される。煙感知装置810は、煙を感知し、煙感知信号を出力する。煙感知装置810が出力する煙感知信号は、煙感知装置810が感知した煙の濃度の値を表わすものであってもよいし、煙感知装置810が感知した煙の濃度が所定の閾値を超えたか否かを表わすものであってもよい。なお、煙感知装置810は、誘導灯装置100と一体に形成されたものであってもよい。
誘導灯装置100は、平常時において、商用電源などの電源ACから電力の供給を受けて動作する。誘導灯装置100は、例えば、電源ユニット160と、バッテリー170と、主光源回路185と、副光源回路135とを有する。主光源回路185は、上述した主光源モジュール180に形成された回路である。また、副光源回路135は、上述した複数の外周光源モジュール130に形成された回路をハーネス194で接続した回路である。
電源ユニット160は、例えば、停電検出回路161と、電源回路162と、制御回路163と、主点灯回路164と、副点灯回路165とを有する。
停電検出回路161は、電源ACからの電力供給の有無を検出し、平常時か停電時かを判定する。停電検出回路161は、判定した結果を表わす停電検出信号を出力する。
電源回路162(電源電圧切替回路)は、停電検出回路161が出力した停電検出信号を入力する。電源回路162は、入力した停電検出信号に基づいて、平常時であれば、電源ACから供給された電力を、バッテリー170を充電する電力や、制御回路163や主点灯回路164や副点灯回路165を動作させるための電力に変換する。また、電源回路162は、入力した停電検出信号に基づいて、停電時であれば、バッテリー170を放電することにより得られる電力を、制御回路163や主点灯回路164や副点灯回路165を動作させるための電力に変換する。
制御回路163(点灯制御部)は、例えばマイコンである。制御回路163は、電源回路162から供給される電力により動作する。制御回路163は、停電検出回路161が出力した停電検出信号と、煙感知装置810が出力した煙感知信号とを入力する。制御回路163は、入力した停電検出信号と、煙感知信号とに基づいて、主点灯回路164の動作を制御する主制御信号と、副点灯回路165の動作を制御する副制御信号とを生成する。制御回路163は、生成した主制御信号と副制御信号とを出力する。
主点灯回路164(誘導灯主光源点灯回路)は、制御回路163が出力した主制御信号を入力する。主点灯回路164は、入力した主制御信号が表わす指示に基づいて、電源回路162から供給された電力を、主光源回路185に供給する電力に変換する。
副点灯回路165(外周LED点灯回路)は、制御回路163が出力した副制御信号を入力する。副点灯回路165は、入力した副制御信号が表わす指示に基づいて、電源回路162から供給された電力を、副光源回路135に供給する電力に変換する。
【0016】
制御回路163は、例えば、次のように、主点灯回路164及び副点灯回路165を制御する。
停電検出回路161が停電を検出せず、かつ、煙感知装置810が煙を感知しない場合(煙感知装置810が感知した煙の濃度が閾値より低い場合を含む。以下同じ。)、制御回路163は、主点灯回路164を動作させ、主光源モジュール180の光源182を平常時の明るさで点灯させる。これにより、避難誘導図形124が面発光する。また、制御回路163は、副点灯回路165を動作させず、外周光源モジュール130の光源132を消灯させる。
停電検出回路161が停電を検出し、かつ、煙感知装置810が煙を感知しない場合、制御回路163は、主点灯回路164を動作させ、主光源モジュール180の光源182を停電時の明るさで点灯させる。これにより、避難誘導図形124が面発光する。また、制御回路163は、副点灯回路165を動作させず、外周光源モジュール130の光源132を消灯させる。
停電検出回路161が停電を検出せず、かつ、煙感知装置810が煙を感知した場合(あるいは、煙感知装置810が感知した煙の濃度が閾値より高い場合。以下同じ。)、制御回路163は、主点灯回路164を動作させ、主光源モジュール180の光源182を平常時よりも明るく点灯させる。これにより、避難誘導図形124が面発光する。また、制御回路163は、副点灯回路165を動作させ、外周光源モジュール130の光源132を点灯させる。
停電検出回路161が停電を検出し、かつ、煙感知装置810が煙を感知した場合、制御回路163は、主点灯回路164を動作させ、主光源モジュール180の光源182を停電時の明るさで点灯させる。また、制御回路163は、副点灯回路165を動作させ、外周光源モジュール130の光源132を点灯させる。
すなわち、外周光源モジュール130の光源132は、煙感知装置810が煙を感知した場合に点灯する。
【0017】
図7は、この実施の形態における誘導灯装置100の周辺における避難誘導図形124の見かけ上の輝度を示す図である。
網掛けの密度が高いほど、見かけ上の輝度が高いことを示す。
屋内に煙が充満している状態では、光が煙に当たって乱反射するので、避難誘導図形124から届く光は、誘導灯装置100からの距離が遠くなるにしたがって減衰する。
避難誘導図形124の見かけ上の輝度は、誘導灯装置100からの距離が遠くなるにしたがって低くなるので、誘導灯装置100から離れた位置では、避難誘導図形124を視認しにくくなる場合がある。
【0018】
図8は、この実施の形態における誘導灯装置100の周辺における透光部123を通して見える光源132の見かけ上の輝度を示す図である。
網掛けの密度が高いほど、見かけ上の輝度が高いことを示す。
光源132は、点光源もしくはそれに近い光源なので、避難誘導図形124に比べて輝度が非常に高い。このため、屋内に煙が充満している状態でも、光源132が遠くから見える。
更に、光源132が放射した指向性の強い光が煙に乱反射することにより、空中に光の筋が浮かび上がって見える。このため、光源132が光を放射する方向以外の方向から見ても、誘導灯装置100の存在を認識することができる。空中に浮かぶ光の筋を辿ることにより、誘導灯装置100の位置を認識することができるので、安全かつ迅速に避難をすることができる。
【0019】
また、屋内に煙が充満していない場合、光源132を点灯すると、光源132が発した光が直接見える位置にいる人には、眩し過ぎて、避難誘導図形124が見えにくくなる。このため、煙感知装置810が煙を感知しない場合は、光源132を消灯する。
【0020】
このように、煙感知装置810が煙を感知した場合は、避難誘導図形124が視認しにくくなるので、光源132を点灯することにより、誘導灯装置100の位置を認識させ、安全かつ迅速に避難できるようにする。また、煙感知装置810が煙を感知しない場合は、光源132を消灯することにより、避難誘導図形124を視認しやすくする。
また、光源132の指向性が強いので、煙に乱反射した光が筋状に見え、誘導灯装置100の位置を認識しやすい。複数の光源132が避難誘導図形124の周囲に配置され、光を放射する方向がほぼ同じなので、光の筋が太く見え、誘導灯装置100の位置を認識しやすい。
また、光源132が発する光が、黄色あるいはオレンジ色なので、煙が充満していても視認性が高い。
【0021】
なお、煙感知装置810が煙を感知した場合、制御回路163は、外周光源モジュール130の光源132を点滅させる構成であってもよい。例えば、制御回路163が、副点灯回路165を動作させ、停止させることを繰り返す構成であってもよいし、副点灯回路165のなかに点滅制御回路を設け、制御回路163が点滅動作を指示する副制御信号を生成し、副点灯回路165の点滅制御回路が、副制御信号による指示にしたがって、副光源回路135に対して電力を供給し、停止することを繰り返す構成であってもよい。
これにより、誘導灯装置100の位置を更に認識しやすくなる。また、光源132を点滅させることにより、外周光源モジュール130における平均消費電力を抑えることができるので、停電時における誘導灯装置100の点灯時間を長くすることができる。
【0022】
また、煙感知装置810が煙を感知した場合、制御回路163は、主光源モジュール180の光源182を、煙感知装置810が煙を感知しない場合よりも暗く点灯させる構成であってもよい。煙感知装置810が煙を感知した場合は、外周光源モジュール130の光源132が点灯(あるいは点滅)するので、避難誘導図形124の輝度を低くしても、誘導灯装置100の位置を認識させることができる。これにより、主光源モジュール180における消費電力を抑えることができるので、停電時における誘導灯装置100の点灯時間を長くすることができる。
あるいは、更に、煙感知装置810が煙を感知し、かつ、停電検出回路161が停電を検出した場合、制御回路163は、主光源モジュール180の光源182を点滅させ、あるいは、消灯させる構成であってもよい。そうすれば、主光源モジュール180における消費電力を更に抑えることができるので、停電時における誘導灯装置100の点灯時間を更に長くすることができる。
【0023】
実施の形態2.
実施の形態2について、図9を用いて説明する。
なお、実施の形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0024】
図9は、この実施の形態における誘導パネル121の構造を示す側面視拡大断面図である。
係合部126のうち、導光部127の上側及び下側に位置する溝部125の部分に設けられている係合部126は、溝部125の上側に設けられた係合部126のほうが、溝部125の下側に設けられた係合部126よりも深い。
これにより、係合部126に係合する外周光源モジュール130は、斜め下方向に傾いた状態となり、外周光源モジュール130の光源132は、矢印で示したように、斜め下方向に傾いた方向へ向けて光を放射する。
【0025】
誘導灯装置100が、天井面や避難口の上の壁面など、高い位置に設置される場合、光源132が放射した光が斜め下方向を向いていることにより、光源132が放射した光が、屋内にいる人の目に直接入る可能性が高くなる。また、煙に乱反射した光の筋が、斜め下方向へ向かうので、屋内にいる人が気づく可能性が高くなる。これにより、誘導灯装置100の位置を認識させることができ、安全かつ迅速に避難することができる。
【0026】
なお、避難誘導図形124の上側及び下側に配置された光源132だけでなく、避難誘導図形124の左側及び右側に配置された光源132も、放射する光が斜め下方向へ向かうよう、外周光源モジュール130を配置する構成であってもよい。
【0027】
実施の形態3.
実施の形態3について、図10を用いて説明する。
なお、実施の形態1または実施の形態2と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0028】
図10は、この実施の形態における誘導パネル121の構造を示す底面視拡大断面図である。
係合部126のうち、導光部127の左側及び右側に位置する溝部125の部分に設けられている係合部126は、溝部125の内側に設けられた係合部126のほうが、溝部125の外側に設けられた係合部126よりも深い。
これにより、係合部126に係合する外周光源モジュール130は、斜め外方向に傾いた状態となり、外周光源モジュール130の光源132は、矢印で示したように、斜め外方向に傾いた方向へ向けて光を放射する。
【0029】
このように、複数の光源132が光を放射する方向を異なる方向とし、外側へ広がる方向へ向けることにより、光源132が放射した光を直接見ることができる範囲が広くなる。また、煙に乱反射した光の筋が太くなり、誘導灯装置100の位置を認識しやすい。
【0030】
なお、避難誘導図形124の左側及び右側に配置された光源132だけでなく、避難誘導図形124の上側及び下側に配置された光源132も、放射する光が斜め外方向へ向かうよう、外周光源モジュール130を配置する構成であってもよい。
【0031】
実施の形態4.
実施の形態4について、図11を用いて説明する。
なお、実施の形態1〜実施の形態3と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0032】
図11は、この実施の形態における誘導パネル121の構造を示す底面視拡大断面図である。
係合部126のうち、導光部127の左側及び右側に位置する溝部125の部分に設けられている係合部126は、溝部125の外側に設けられた係合部126のほうが、溝部125の内側に設けられた係合部126よりも深い。
これにより、係合部126に係合する外周光源モジュール130は、斜め内方向に傾いた状態となり、外周光源モジュール130の光源132は、矢印で示したように、斜め内方向に傾いた方向へ向けて光を放射する。
【0033】
このように、複数の光源132が光を放射する方向を異なる方向とし、内側に集まる方向へ向けることにより、煙に乱反射した光の筋が明るくなり、誘導灯装置100の位置を認識しやすい。
【0034】
なお、避難誘導図形124の左側及び右側に配置された光源132だけでなく、避難誘導図形124の上側及び下側に配置された光源132も、放射する光が斜め内方向へ向かうよう、外周光源モジュール130を配置する構成であってもよい。
【0035】
実施の形態5.
実施の形態5について、図12を用いて説明する。
なお、実施の形態1〜実施の形態4と共通する部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0036】
図12は、この実施の形態における誘導灯システム800及び誘導灯装置100を示すブロック図である。
誘導灯システム800は、実施の形態1で説明した構成に加えて、更に、温度感知装置820(熱感知器)を有する。温度感知装置820は、誘導灯装置100の近くに設置される。なお、温度感知装置820は、誘導灯装置100と一体に形成されたものであってもよい。温度感知装置820は、誘導灯装置100の周辺の温度を感知し、温度感知信号を出力する。温度感知装置820が出力する温度感知信号は、温度感知装置820が感知した温度の値を表わすものであってもよいし、温度感知装置820が感知した温度が所定の閾値を超えたか否かを表わすものであってもよい。
【0037】
制御回路163は、停電検出回路161が出力した停電検出信号と、煙感知装置810が出力した煙感知信号と、温度感知装置820が出力した温度感知信号とを入力する。制御回路163は、入力した停電検出信号と、煙感知信号と、温度感知信号とに基づいて、主点灯回路164の動作を制御する主制御信号と、副点灯回路165の動作を制御する副制御信号とを生成する。
【0038】
制御回路163は、例えば、次のように、主点灯回路164及び副点灯回路165を制御する。
温度感知装置820が感知した温度が閾値より低い場合、制御回路163は、例えば実施の形態1で説明したのと同様にして、主点灯回路164及び副点灯回路165を制御する。
温度感知装置820が感知した温度が閾値より高い場合、制御回路163は、主点灯回路164及び副点灯回路165を動作させず、主光源モジュール180の光源182及び外周光源モジュール130の光源132を消灯させる。
【0039】
温度感知装置820が感知した温度が閾値より高い場合、誘導灯装置100の近くに炎が迫っている可能性がある。誘導灯装置100のある方向へ避難するとかえって危険なため、誘導灯装置100は、光源182及び光源132を消灯する。
【0040】
このように、温度感知装置820が感知した温度が閾値より高い場合、誘導灯装置100は、避難誘導をせず、屋内にいる人を、他の誘導灯装置などの誘導にしたがって避難させることにより、安全かつ迅速に避難させることができる。
【0041】
なお、温度感知装置820は、誘導灯装置100の近くに配置するのではなく、誘導灯装置100が誘導する先の非常口の近くや避難経路の途中に配置する構成であってもよい。
【0042】
以上、各実施の形態で説明した構成は、一例であり、他の構成であってもよい。例えば、異なる実施の形態で説明した構成を組み合わせた構成であってもよいし、本質的でない部分の構成を、他の構成で置き換えた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
100 誘導灯装置、110 本体、120 パネルユニット、121 誘導パネル、122 平板部、123 透光部、124 避難誘導図形、125 溝部、126 係合部、127 導光部、128 入射部、129 拡散反射部、130 外周光源モジュール、131,181 基板、132,182 光源、133 コネクタ、135 副光源回路、160 電源ユニット、161 停電検出回路、162 電源回路、163 制御回路、164 主点灯回路、165 副点灯回路、170 バッテリー、180 主光源モジュール、185 主光源回路、191,192,193,194 ハーネス、800 誘導灯システム、810 煙感知装置、820 温度感知装置、AC 電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
避難誘導図形を表示する表示部と、
2分の1ビーム角が30度以下の配光特性を有し、上記表示部に隣接する位置に設けられた光源と、
煙を感知する煙感知装置からの煙感知信号を入力し、入力した煙感知信号に基づいて、上記煙感知装置が煙を感知した場合に、上記光源を点灯する点灯制御部とを有することを特徴とする誘導灯装置。
【請求項2】
上記誘導灯装置は、上記光源を複数有し、
上記複数の光源は、上記表示部を取り囲む位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の誘導灯装置。
【請求項3】
上記複数の光源は、光を放射する中心方向が略同一であることを特徴とする請求項2に記載の誘導灯装置。
【請求項4】
上記光源は、光を放射する中心方向が、上記表示部の正面方向から見て外側または内側に傾いた方向であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の誘導灯装置。
【請求項5】
上記光源は、放射する光の主波長が550ナノメートル以上620ナノメートル以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の誘導灯装置。
【請求項6】
上記点灯制御部は、周辺温度を感知する温度感知装置からの温度感知信号を入力し、入力した温度感知信号に基づいて、上記温度感知装置が感知した周辺温度が所定の温度以上である場合に、上記光源を点灯しないことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の誘導灯装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の誘導灯装置と、
煙を感知し、上記誘導灯装置が入力する煙感知信号を生成する煙感知装置とを有することを特徴とする誘導灯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−247845(P2012−247845A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117083(P2011−117083)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】