説明

誘導装置

【課題】火災発生時において、避難方向を容易に視認でき、かつ正確に認識することができ、人々を安全に避難誘導することができる誘導装置の提供。
【解決手段】誘導装置は、板状の巾木2と、巾木2に設けられるLED3とを備え、LED3の点灯により避難方向を示す矢印4が表示される装置である。巾木2は、メタクリル樹脂またはポリエステル樹脂、水酸化アルミニウムなどの充填材および模様を形成するための模様形成材などを混合させて硬化させたものであり、外観が大理石状とされる。巾木2の裏面には、裏側へ開口するLED取付穴5が複数形成される。複数のLED取付穴5は、矢印4を描くように配置される。LED取付穴5には、LED3がその発光部8を表側へ向けて設けられる。巾木2の表面とLED取付穴5の底面との間の厚さXは、約8mmとされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災発生時において、建物内の人を避難誘導する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、避難方向を示す誘導灯として、下記特許文献1に開示される誘導灯が知られている。この誘導灯は、導光板(1)の端辺に設けられた光源(2,3)から導光板(1)内に入射させた光を、ピクトグラムが描かれた表示シート(17)が設けられた導光板(1)の一面から出射させるものであり、天井面(24)に取り付けられる。ここで、括弧書きの符号は、特許文献1中における符号である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−201215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の誘導灯は、天井に取り付けられているため、火災時の煙を吸い込まないように姿勢を低くして避難している人にとっては、体を起こすか首を上げるかしないと、誘導灯のピクトグラムを視認することができない。また、従来の誘導灯は、誘導灯全体が光っている中で、導光板に描かれたピクトグラムにより避難方向を示しているため、火災時の煙の中ではぼやけてしまう。従って、誘導灯のピクトグラムの示す避難方向を正確に認識できないおそれがあった。また、従来の誘導灯は、天井に取り付けられているため、火災時の煙でピクトグラムが見えなくなってしまうおそれがあった。
【0005】
また、従来の誘導灯は、廊下に露出して取り付けられるところ、廊下の見場を損なうためなどの理由から、消防法で定められた最低基準の設置数に留められていることが多く、このため人々を安全に避難誘導するには目的を十分に果たしていないおそれがある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、火災発生時において、避難方向を容易に視認でき、かつ正確に認識することができ、人々を安全に避難誘導することができる誘導装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、壁の下端部または通路に沿って設けられ、メタクリル樹脂もしくはポリエステル樹脂により表面が大理石状などの装飾面に仕上げられた板状に形成され、裏面に裏側へ開口する複数のLED取付穴が誘導標識を描くように配置される巾木もしくは床板と、前記LED取付穴に発光部を表側へ向けて設けられ、平常時には消灯しており、火災時に点灯するLEDとを備え、前記巾木もしくは前記床板の表面と前記LED取付穴の底面との間の厚さは、前記LEDを点灯したときその光を透過し得ると共に、前記LEDを消灯したときは、前記巾木もしくは前記床板の表面側から前記LEDが視認し得ない厚さとされることを特徴とする誘導装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、壁の下端部または通路に沿って設けられ、メタクリル樹脂もしくはポリエステル樹脂により表面が大理石状などの装飾面に仕上げられた板状に形成され、裏面に裏側へ開口する凹部が形成される巾木もしくは床板と、前記凹部に設けられ、表裏方向へ貫通する複数のLED取付穴が誘導標識を描くように配置される板状の保持体と、前記LED取付穴に発光部を表側へ向けて設けられ、平常時には消灯しており、火災時に点灯するLEDとを備え、前記巾木もしくは前記床板の表面と前記凹部の底面との間の厚さは、前記LEDを点灯したときその光を透過し得ると共に、前記LEDを消灯したときは、前記巾木もしくは前記床板の表面側から前記LEDが視認し得ない厚さとされることを特徴とする誘導装置である。
【0009】
さらに、請求項3に記載の発明は、壁の下端部または通路に沿って設けられ、メタクリル樹脂もしくはポリエステル樹脂により表面が大理石状などの装飾面に仕上げられた板状に形成され、裏面に裏側へ開口する有機EL取付穴が形成される巾木もしくは床板と、前記有機EL取付穴に設けられ、誘導標識の形状を有するシート状に形成され、平常時には消灯しており、火災時に点灯する有機ELとを備え、前記巾木もしくは前記床板の表面と前記有機EL取付穴の底面との間の厚さは、前記有機ELを点灯したときその光を透過し得ると共に、前記有機ELを消灯したときは、前記巾木もしくは前記床板の表面側から前記有機ELが視認し得ない厚さとされることを特徴とする誘導装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の誘導装置によれば、平常時にはインテリア性の高い装飾巾木もしくは床板として機能し、火災発生時にはLEDまたは有機ELに通電することで、平常時には全く見えなかった誘導標識が巾木もしくは床板に光と共に浮かび上がり、巾木もしくは床板に誘導標識を表示することができる。しかも、火災時には、巾木もしくは床板に誘導標識が描かれるので、煙の下に体を伏せた人から視認し易く、より確実に誘導できる。従って、建物内の美観を損なうことがなく、避難方向を容易に視認でき、かつ正確に認識することができ、人々を安全に避難誘導することができる。また、本発明の誘導装置によれば、誘導標識が左右方向を示す矢印とされ、左右どちらか一方へ向く矢印を表示するようにLEDや有機ELに通電することができる。従って、矢印の向きを火元から遠ざかる方向とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の誘導装置の実施例1の使用状態を示す概略図であり、LEDに通電した状態を示している。
【図2】図1おいてLEDに通電していない状態を示す概略図である。
【図3】図1の誘導装置を示す図であり、(a)は正面視概略説明図、(b)は一部を断面にして示す概略説明図である。
【図4】本発明の誘導装置の実施例2を示す図であり、(a)は正面視概略説明図、(b)は一部を断面にして示す概略説明図である。
【図5】本発明の誘導装置の実施例3を示す図であり、(a)は正面視概略説明図、(b)は一部を断面にして示す概略説明図である。
【図6】本発明の誘導装置の変形例を示す正面視概略説明図である。
【図7】本発明の誘導装置の別の変形例を示す概略説明図であり、LED取付穴で描かれる矢印を示している。
【図8】本発明の誘導装置のさらに別の変形例を示す図であり、(a)は左方向を示す矢印の概略図、(b)は左右双方向を示す矢印の概略図である。
【図9】各実施例の誘導装置の別の使用状態を示す概略図であり、矢印が表示された状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1および図2は、本発明の誘導装置の実施例1の使用状態を示す図であり、図1はLEDに通電した状態を示す概略図、図2はLEDに通電していない状態を示す概略図である。図3は、図1の誘導装置を示す図であり、(a)は正面視概略説明図、(b)は一部を断面にして示す概略説明図である。本実施例の誘導装置は、壁1の下端部に沿って設けられる略矩形板状の巾木2と、巾木2に設けられるLED(発光ダイオード)3とを備えており、LED3の点灯により避難方向を示す誘導標識4が表示される装置である。
【0014】
巾木2は、メタクリル樹脂またはポリエステル樹脂、水酸化アルミニウムなどの充填材および模様を形成するための模様形成材などを混合させて硬化させたものである。これにより、巾木2は、外観が大理石状に形成される。本実施例では、このようにして、巾木2の表面が大理石状などの装飾面に形成されている。巾木2の裏面には、裏側へ開口する略円形状のLED取付穴5が複数形成されている。LED取付穴5の底面と巾木2の表面との間の厚さXは、LED3を点灯したときその光を透過し得ると共に、LED3を消灯したときは、巾木2の表面側からLED3が視認し得ない厚さとされる。図示例では、厚さXは、約8mmとされている。厚さXは、6〜10mmであるのが好ましい。厚さXが6mmより小さいと、光源が透けて見えるおそれがあり、10mmより大きいと、透光性が阻害される。なお、図示例では、巾木2の表側上部の角部は、傾斜面に形成されている。
【0015】
複数のLED取付穴5は、誘導標識4を描くように配置されている。図示例では、複数のLED取付穴5は、左方向を示す矢印4を描くように配置されている。具体的には、複数のLED取付穴5で描かれる矢印4は、くの字部6と、くの字部6の屈曲部から右方へ延出する水平部7とから構成されており、くの字部6および水平部7は、二重線状に配置されたLED取付穴5で形成されている。このようにして描かれた矢印4は、巾木2に一または複数設けられる。図示例では、三つの矢印4が左右に等間隔に離隔して設けられている。
【0016】
各LED取付穴5には、LED3がその発光部8を表側へ向けて設けられる。LED3は、制御器9により制御される。制御器9は、火災が発生したことを自動的に感知する火災感知器10からの信号などに基づいて、LED3を制御するものである。
【0017】
次に、本実施例の誘導装置の動作について説明する。誘導装置は、駅、オフィス、病院、ホテル、ショッピングモールなどに設置される。具体的には、建物内の壁1の下端部に沿って設けられる。図示例では、誘導装置は、一方の壁面にのみ設けられているが、両方の壁面に設けられてもよい。
【0018】
平常時には、LED3に通電されておらず、LED3は消灯している。従って、図2に示すように、巾木2には矢印4が表示されない。この場合、巾木2の外観が大理石状に形成され、かつ、前述した厚さXを有しているため、外部からLED3が透けて見えることがない。
【0019】
そして、火災が発生すると、LED3が点灯する。具体的には、制御器9は、火災が発生した場合に、LED3に通電させる。これにより、平常時には全く見えなかった矢印4が巾木2に光と共に浮かび上がり、図1に示すように、巾木2に矢印4が表示される。
【実施例2】
【0020】
次に、本発明の誘導装置の実施例2について説明する。本実施例2の誘導装置も、基本的には前記実施例1と同様の構成である。そこで、以下では、両者の異なる点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。
【0021】
図4は、本発明の誘導装置の実施例2を示す図であり、(a)は正面視概略説明図、(b)は一部を断面にして示す概略説明図である。前記実施例1では、LED3は、巾木2に直接取り付けられたが、本実施例では、LED3は、保持体11を介して巾木2に取り付けられる。具体的には、本実施例の誘導装置は、壁1の下端部に沿って設けられる略矩形板状の巾木2と、巾木2に設けられる保持体11と、保持体11に設けられるLED3とを備える。
【0022】
巾木2は、メタクリル樹脂またはポリエステル樹脂、水酸化アルミニウムなどの充填材および模様を形成するための模様形成材などを混合させて硬化させたものである。これにより、巾木2は、外観が大理石状に形成される。本実施例では、このようにして、巾木2の表面が大理石状などの装飾面に形成されている。巾木2の裏面には、裏側へ開口する略矩形状の凹部12が形成されている。凹部12の底面と巾木2の表面との間の厚さXは、LED3を点灯したときその光を透過し得ると共に、LED3を消灯したときは、巾木2の表面側からLED3が視認し得ない厚さとされる。図示例では、厚さXは、約8mmとされているが、6〜10mmであるのが好ましい。なお、図示例では、巾木2の表側上部の角部は、傾斜面に形成されている。
【0023】
保持体11は、略矩形の板状とされ、凹部12よりも外形が若干小さく形成されている。従って、保持体11は、巾木2に形成された凹部12に設けることができる。保持体11には、表裏方向へ貫通するLED取付穴5が複数形成されている。複数のLED取付穴5は、誘導標識4を描くように配置されている。図示例では、複数のLED取付穴5は、左方向を示す矢印4を描くように配置されている。具体的には、複数のLED取付穴5で描かれる矢印4は、くの字部6と、くの字部6の屈曲部から右方へ延出する水平部7とから構成されており、くの字部6および水平部7は、二重線状に配置されたLED取付穴5で形成されている。
【0024】
各LED取付穴5には、LED3がその発光部8を表側へ向けて設けられる。LED3は、制御器9により制御される。制御器9は、火災が発生したことを自動的に感知する火災感知器10からの信号などに基づいて、LED3を制御するものである。なお、制御に関しては、前記実施例1と同様のため、説明は省略する。
【実施例3】
【0025】
次に、本発明の誘導装置の実施例3について説明する。図5は、本発明の誘導装置の実施例3を示す図であり、(a)は正面視概略説明図、(b)は一部を断面にして示す概略説明図である。本実施例の誘導装置は、壁の下端部に沿って設けられる略矩形板状の巾木2と、巾木2に設けられるシート状の有機EL(エレクトロルミネッセンス)22とを備えており、有機EL22の発光により避難方向を示す誘導標識4が表示される装置である。
【0026】
巾木2は、メタクリル樹脂またはポリエステル樹脂、水酸化アルミニウムなどの充填材および模様を形成するための模様形成材などを混合させて硬化させたものである。これにより、巾木2は、外観が大理石状に形成される。本実施例では、このようにして、巾木2の表面が大理石状などの装飾面に形成されている。
【0027】
巾木2の裏面には、裏側へ開口する有機EL取付穴23が形成されている。図示例では、有機EL取付穴23は、左方向を示す矢印状に形成されている。有機EL取付穴23は、巾木2に一または複数設けられる。たとえば、三つの有機EL取付穴23が左右に等間隔に離隔して設けられる。
【0028】
有機EL取付穴23の底面と巾木2の表面との間の厚さXは、有機EL22を点灯したときその光を透過し得ると共に、有機EL22を消灯したときは、巾木2の表面側から有機EL22が視認し得ない厚さとされる。図示例では、厚さXは、約4mmとされている。厚さXは、3〜5mmであるのが好ましい。厚さXが3mmより小さいと、光源が透けて見えるおそれがあり、5mmより大きいと、透光性が阻害される。なお、図示例では、巾木2の表側上部の角部は、傾斜面に形成されている。
【0029】
有機EL22は、誘導標識4の形状に形成されている。図示例では、有機EL22は、左方向を示す矢印4を示す形状とされ、有機EL取付穴23よりも外形が若干小さく形成されている。従って、有機EL22は、有機EL取付穴23に設けられる。本実施例では、有機EL22の厚さは、0.8〜1mmとされる。なお、有機EL取付穴23は、有機EL22を設けることができればよく、その形状は特に限定されない。
【0030】
有機EL22は、制御器9により制御される。制御器9は、火災が発生したことを自動的に感知する火災感知器10からの信号などに基づいて、有機EL22を制御するものである。具体的には、平常時には、有機EL22に通電されておらず、有機EL22は発光していない。従って、巾木2には矢印が表示されない。この場合、巾木2の外観が大理石状に形成され、かつ、前述した厚さXを有しているため、外部から有機EL22が透けて見えることがない。
【0031】
そして、火災が発生すると、有機EL22が発光する。具体的には、制御器9は、火災が発生した場合に、有機EL22に通電させる。これにより、平常時には全く見えなかった矢印が巾木2に光と共に浮かび上がり、巾木2に矢印が表示される。
【0032】
図6は、本発明の誘導装置の変形例を示す正面視概略説明図である。前記実施例1では、巾木2に形成されるLED取付穴5により描かれる矢印4は、左方向を示す矢印とされたが、本変形例では、左右双方向を示す矢印とされる。具体的には、複数のLED取付穴5で描かれる矢印4は、くの字部13と、くの字部13と間隔を空けて配置される逆くの字部14と、くの字部13の屈曲部と逆くの字部14の屈曲部との間を接続する水平部15とから構成されており、くの字部13、逆くの字部14および水平部15は、二重線状に配置されたLED取付穴5で形成されている。そして、各LED取付穴5には、LED3がその発光部8を表側へ向けて設けられる。
【0033】
本変形例の場合、火災が発生した場所に応じて、矢印4の向きを変更するように制御できる。たとえば、左右方向に並ぶ複数の部屋にそれぞれ設けられる火災感知器10の内、右端の部屋の火災感知器10が火災を感知した場合、制御器9は、左方向を示す矢印4を表示するように、LED3に通電させる。左端の部屋の火災感知器10が火災を感知した場合、制御器9は、右方向を示す矢印4を表示するように、LED3に通電させる。また、中央の部屋の火災感知器10が火災を感知した場合、制御器9は、中央の部屋の左側においては、左方向を示す矢印4を表示するように、LED3に通電させ、中央の部屋の右側においては、右方向を示す矢印4を表示するように、LED3に通電させる。
【0034】
このようにして、本変形例では、火元から遠ざかる方向を示す矢印4を表示することができる。従って、火元から遠い位置にある出口へ避難するように、建物内の人を誘導することができるため、より安全に避難誘導することができる。
【0035】
なお、前記実施例2においても、前記変形例と同様に、LED取付穴5により描かれる矢印4は、左右双方向を示す矢印としてもよい。そして、各LED取付穴5には、LED3がその発光部8を表側へ向けて設けられる。この場合も、前記変形例と同様に制御されて、矢印4の向きを変更することができる。また、前記実施例3において、有機EL22は、左右双方向を示す矢印状としてもよい。この場合も、前記変形例と同様に制御されて、矢印の向きを変更することができる。
【0036】
前記各実施例によれば、壁1の下端部に設けられる巾木2に矢印4が表示されるため、火災時の煙を吸い込まないように姿勢を低くして避難している人が、体を起こしたり首を上げたりすることなく、容易に矢印4を視認することができる。また、火災時に発生して上昇する煙によって、矢印4が見えなくなってしまうおそれがない。また、前記各実施例によれば、避難方向を示す矢印4自体が発光しているため、火災時の煙の中でも、矢印4の示す方向を正確に認識できる。また、前記各実施例の誘導装置は、避難口へ向かう通路の壁面に沿って設けることで、人々を安全に避難誘導することができる。
【0037】
また、前記各実施例によれば、LED3の消灯時や有機EL22が発光していない状態では、外部からLED3や有機EL22が透けて見えることがないため、巾木としか見えず、美観を損なうことがない。また、巾木2は外観が大理石状に形成されているため、高級感を持つインテリア性の高い装飾巾木となり、美観を向上させている。また、前記各実施例によれば、巾木2は、メタクリル樹脂を用いたものであるため、加工が容易である。また、巾木2,2同士を接続した際の継ぎ目16が目立たない。
【0038】
本発明の誘導装置は、前記各実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。たとえば、前記実施例1や前記実施例2では、くの字部6および水平部7は、二重線状に配置されたLED取付穴5で形成されたが、図7に示すように、一本の線状に配置されたLED取付穴5で形成されてもよい。同様に、前記変形例においても、くの字部13、逆くの字部14および水平部15は、一本の線状に配置されたLED取付穴5で形成されてもよい。
【0039】
また、矢印4の形状は、前記各実施例や前記変形例に示される形状に限らず、適宜に変更可能である。たとえば、図8(a)に示すように、左方向を示す矢印4は、左方へ行くに従って下方へ傾斜する傾斜部17と、傾斜部17の下端部から右方へ延出する水平部18とから構成されてもよい。また、図8(b)に示すように、左方へ行くに従って下方へ傾斜する左傾斜部19と、右方へ行くに従って上方へ傾斜する右傾斜部20と、左傾斜部19の下端と右傾斜部20の上端とを接続する水平部21とから構成されてもよい。いずれの場合も、傾斜部17,19,20や水平部18,21は、二重線状に配置されたLED取付穴5で形成されてもよいし、一本の線状に配置されたLED取付穴5で形成されてもよい。また、有機EL22の場合には、図8に示す矢印状に有機EL22が形成されている。
【0040】
また、制御器9は、矢印4が避難方向へ順次表示されるように、LED3や有機EL22に通電させてもよい。これにより、建物内の人をより確実に出口へ誘導することができる。
【0041】
また、前記各実施例では、誘導装置は、壁1の下端部に設置されたが、たとえば図9に示すように、通路24の幅方向略中央部に、通路24に沿って設置される。この場合、誘導装置は、通路24に沿って設けられる床板25と、床板25に設けられるLED3や有機EL22とを備えて構成される。なお、床板25は、巾木2と同様の構成であり、床板25へのLED3や有機EL22の取り付け、および制御に関しては前記各実施例と同様になされる。従って、通路24に設置した場合でも、前記各実施例と同様の作用効果を奏する。
【0042】
さらに、本発明の誘導装置は、避難誘導以外の目的でも使用することができる。たとえば、美術館や博物館などにおいて経路を示すものとして使用される場合、それらの施設において展示物の内容が期間によって異なるときには、その都度鑑賞経路を変更する必要があるが、巾木2や床板25に表示される矢印の向きを変更できるように、左右双方向を示す矢印としておけば、経路の変更にも対応することができる。
【符号の説明】
【0043】
2 巾木
3 LED
4 矢印(誘導標識)
5 LED取付穴
8 発光部
11 保持体
12 凹部
22 有機EL
23 有機EL取付穴
25 床板
X 厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁の下端部または通路に沿って設けられ、メタクリル樹脂もしくはポリエステル樹脂により表面が大理石状などの装飾面に仕上げられた板状に形成され、裏面に裏側へ開口する複数のLED取付穴が誘導標識を描くように配置される巾木もしくは床板と、
前記LED取付穴に発光部を表側へ向けて設けられ、平常時には消灯しており、火災時に点灯するLEDとを備え、
前記巾木もしくは前記床板の表面と前記LED取付穴の底面との間の厚さは、前記LEDを点灯したときその光を透過し得ると共に、前記LEDを消灯したときは、前記巾木もしくは前記床板の表面側から前記LEDが視認し得ない厚さとされる
ことを特徴とする誘導装置。
【請求項2】
壁の下端部または通路に沿って設けられ、メタクリル樹脂もしくはポリエステル樹脂により表面が大理石状などの装飾面に仕上げられた板状に形成され、裏面に裏側へ開口する凹部が形成される巾木もしくは床板と、
前記凹部に設けられ、表裏方向へ貫通する複数のLED取付穴が誘導標識を描くように配置される板状の保持体と、
前記LED取付穴に発光部を表側へ向けて設けられ、平常時には消灯しており、火災時に点灯するLEDとを備え、
前記巾木もしくは前記床板の表面と前記凹部の底面との間の厚さは、前記LEDを点灯したときその光を透過し得ると共に、前記LEDを消灯したときは、前記巾木もしくは前記床板の表面側から前記LEDが視認し得ない厚さとされる
ことを特徴とする誘導装置。
【請求項3】
壁の下端部または通路に沿って設けられ、メタクリル樹脂もしくはポリエステル樹脂により表面が大理石状などの装飾面に仕上げられた板状に形成され、裏面に裏側へ開口する有機EL取付穴が形成される巾木もしくは床板と、
前記有機EL取付穴に設けられ、誘導標識の形状を有するシート状に形成され、平常時には消灯しており、火災時に点灯する有機ELとを備え、
前記巾木もしくは前記床板の表面と前記有機EL取付穴の底面との間の厚さは、前記有機ELを点灯したときその光を透過し得ると共に、前記有機ELを消灯したときは、前記巾木もしくは前記床板の表面側から前記有機ELが視認し得ない厚さとされる
ことを特徴とする誘導装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−113115(P2011−113115A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266121(P2009−266121)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(397063796)
【出願人】(309039185)
【Fターム(参考)】