説明

誘電体バリア放電型低圧放電ランプ

【課題】 外部電極20,21を構成する素材に金属テープではなく導電性収縮チューブを用いることで、ランプ製造においてガラスランプ容器10の端部で円周方向での巻きムラを抑え、ひいては品質性能の安定したランプの制作を可能にし、かつランプの軽量化を図る。
【解決手段】 管状ガラスランプ容器10の管両端部の外周に外部電極20,21を配設し、管状ガラスランプ容器内に放電媒体60を封入し、かつガラスランプ容器の内周面に蛍光体層70を形成した誘電体バリア放電型低圧放電ランプ11にあって、ガラスランプ容器10の管両端の外周の外部電極のうち少なくとも一方は、導電性収縮チューブ30,31を被着して形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体バリア放電型低圧放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
管状ガラスランプ容器の外表面に電極を備える、いわゆる誘電体バリア放電型低圧放電ランプ(EEFL)として、例えば実開昭61−126559号公報に記載されたものが知られていている。この従来の低圧放電ランプの構成は、図3、図4に示すようなものである。
【0003】
図3、図4において、15は低圧放電ランプ、10は両端が封止された管状ガラスランプ容器である。この管状ガラスランプ容器10の内部には、希ガスもしくは水銀と希ガスの混合ガス等のイオン化可能な充填剤60が封入されている。管状ガラスランプ容器10の内壁面には蛍光体層70等が形成されている。なお、80は必要に応じてガラスランプ容器10の内周に形成される保護膜である。
【0004】
管状ガラスランプ容器10の両端部外面には、外部電極25,26が配設されている。この外部電極25,26は、電流導体層として例えばアルミニウム箔及び導電性粘着剤から成る金属テープ35,36を管状ガラスランプ容器10の両端外周に巻き付けて構成したものである。
【0005】
このような構成の低圧放電ランプ15では、ガラスランプ容器10内に電極が配設されていないために、電極の消耗が起こらず、寿命が長いという特徴がある。
【0006】
しかしながら、従来の誘電体バリア放電型低圧放電ランプの場合、外部電極225,26の素材が金属製であるため、ガラスランプ容器10の円周方向での巻きムラが生じやすく、ガラス表面との距離を均一に保つことが困難であり、ガラス表面との距離が不均一になることによってランプ間電圧が製品によってばらつきやすいという問題点があった。加えて、外部電極25,26に金属製素材を使用することで重量が大きくなってしまう問題点もあった。
【特許文献1】実開昭61−126559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、外部電極を構成する素材に金属テープではなく導電性収縮チューブを用いることで、ランプ製造においてガラスランプ容器の端部で円周方向での巻きムラを抑えることができ、ひいては安定したランプ間電圧を維持でき、またランプの軽量化が図れる誘電体バリア放電型低圧放電ランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、管状ガラスランプ容器の管両端部の外周に外部電極を配設し、前記管状ガラスランプ容器内に放電媒体を封入し、かつ前記ガラスランプ容器の内周面に蛍光体層を形成した誘電体バリア放電型低圧放電ランプにおいて、前記管両端の外周の外部電極のうち少なくとも一方は、導電性収縮チューブを被着して形成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ランプ間電圧のばらつきが少なく、品質の揃った製品の製作が可能であり、また軽量化も図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1、図2は本発明の1つの実施の形態の誘電体バリア放電型低圧放電ランプの構成を示している。図1、図2において、11は誘電体バリア放電型低圧放電ランプ、10は両端が封止された管状ガラスランプ容器である。この管状ガラスランプ容器10の内部には、希ガスもしくは希ガスの混合ガスと水銀等のイオン化可能な充填剤60が封入されている。管状ガラスランプ容器10の内壁面には蛍光体層70等が形成されている。80は必要に応じてガラスランプ容器10の内周に形成される保護膜である。この保護膜80は蛍光体層70が形成されていない管状ガラスランプ容器10の両端部の内周部にも形成してある。このような保護膜80を設けることで、蛍光体層70への水銀吸着による水銀消耗をなくし、ランプの長寿命化が図れる。
【0011】
管状ガラスランプ容器10の両端部外面に配設されている外部電極20,21は、本実施の形態では導電性収縮チューブ30,31で構成してある。このように外部電極20,21を導電性収縮チューブ30,31で構成することにより、それにゴム柔軟性があってガラス表面との密着性が良く、均一に密着させることができ、ランプ間電圧のばらつきを少なくでき、また金属テープよりも軽量化が図れる。
【実施例1】
【0012】
本発明の実施例を比較例ととも説明する。
【0013】
[本発明の実施例]
<管状ガラスランプ容器>
材質:ホウ珪酸ガラス。
【0014】
寸法:外径2.6mm、内径2.0mm、全長370mm。
【0015】
<外部電極>
材質:導電性収縮チューブ。
【0016】
寸法:厚み0.05mm、配設部の長さ:17mm。
【0017】
<蛍光体層>
材質:三波長蛍光体。厚み:20μm。
【0018】
<封入物>
封入ガス:ネオンとアルゴンの混合ガス(組成比:ネオン/アルゴン=90モル%/10モル%)。封入圧:60Torr。
【0019】
水銀:封入量3mg。
【0020】
[比較例]
本発明の実施例と同様の管状ガラスランプ容器、外部電極、蛍光体層、封入物であるが、外部電極には、次のものを用いた。
【0021】
<外部電極>
材質:アルミニウム箔の裏面に導電性粘着剤を塗布した金属テープ。
【0022】
寸法:厚み0.05mm、配設部の長さ:17mm。
【0023】
上記構成の実施例品と比較例品について、それぞれ10本ずつ用意し、ランプ電流4mAにして点灯させ、ランプ電圧を計測した。ランプ電圧の計測結果は表1に示すものであった。
【表1】

【0024】
この結果から、本発明の実施例品のランプ電圧にはランプ間でのばらつきが少なく、品質が揃っていることが証明された。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の1つの実施の形態の誘電体バリア放電型低圧放電ランプの軸方向断面図。
【図2】図1におけるII−II線断面図。
【図3】従来例の誘電体バリア放電型低圧放電ランプの軸方向断面図。
【図4】図2におけるIV−IV線断面図。
【符号の説明】
【0026】
10 管状ガラスランプ容器
11 低圧放電ランプ
20,21 外部電極
30,31 導電性収縮チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状ガラスランプ容器の管両端部の外周に外部電極を配設し、前記管状ガラスランプ容器内に放電媒体を封入し、かつ前記ガラスランプ容器の内周面に蛍光体層を形成した誘電体バリア放電型低圧放電ランプにおいて、
前記管両端の外周の外部電極のうち少なくとも一方は、導電性収縮チューブを被着して形成したことを特徴とする誘電体バリア放電型低圧放電ランプ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−4668(P2006−4668A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177167(P2004−177167)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)