説明

誘電体磁器組成物および電子部品

【課題】交流破壊電界が高く、静電容量の温度特性が良好であり、比誘電率が高く、耐還元性が良好な誘電体磁器組成物を提供すること。
【解決手段】(BaBi)TiOの組成式で表わされる主成分と、第1副成分と、第2副成分と、を有する誘電体磁器組成物であって、前記組成式中のyが0.001≦y≦0.010であり、かつ、前記組成式中のxとyの合計が0.975≦x+y≦1.010であり、前記第1副成分は、酸化亜鉛であり、前記第2副成分は、Y、La、Ce、Nd、Sm、MnおよびNiから選ばれる少なくとも1種の酸化物であり、前記第1副成分が前記主成分100重量部に対して2重量部以上12重量部以下含有されており、前記第2副成分は前記主成分100重量部に対して酸化物換算で0.008重量部以上0.08重量部以下含有されている誘電体磁器組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体磁器組成物および電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の一例であるセラミックコンデンサは様々な電子機器に使用されており、近年、高性能化に対する要求はますます高まっている。
【0003】
スイッチング電源回路のYコンデンサであり、ノイズフィルターとして使用されるセラミックコンデンサは絶えず電気的なストレスにさらされているため火災や感電の危険性がある。このため、これらを防ぐために安全規格認定のセラミックコンデンサが使用される。安全規格認定のセラミックコンデンサとしては、セラミックコンデンサが破壊されないこと、すなわち誘電体磁器組成物の交流破壊電界(ACVB)を高くすることが最も重要である。また、これらのセラミックコンデンサでは、静電容量の温度特性を良好にすることも重要であり、交流破壊電界と静電容量の温度特性を両立させることが好ましい。
【0004】
特許文献1および特許文献2には比較的交流破壊電界の高い誘電体磁器組成物が開示されている。しかし、いずれも交流破壊電界は高くても5kV/mm程度である。また、これらの文献には交流破壊電界と静電容量の温度特性を両立させた誘電体磁器組成物は開示されていない。
【0005】
また、前記セラミックコンデンサの電極としては、AgやCuの焼付け電極が使用される。しかしAgは大気中で焼付けが可能であるものの、コストが高い。一方、Cuは安価であるが、焼付けの際に還元雰囲気にする必要があり、コンデンサ素子が還元雰囲気に晒されることで、酸素空位が増加して半導体化する可能性がある。このため、コンデンサ素子の半導体化を防止するために、例えば特許文献3では、{Ba(1−x) Ca{Ti(1−y) ZrのA/Bの組成制御が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−096576号公報
【特許文献2】特開2003−104774号公報
【特許文献3】特開平10−36170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、交流破壊電界が高く、静電容量の温度特性が良好であり、比誘電率が高く、耐還元性が良好な誘電体磁器組成物を提供することである。また、本発明は、このような誘電体磁器組成物により構成される誘電体層を有する電子部品を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、上記目的を達成するために、鋭意検討を行った結果、誘電体磁器組成物の組成を特定の成分とし、これらの比率を所定範囲とすることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、上記課題を解決する本発明の実施形態に係る誘電体磁器組成物は、
(BaBi)TiOの組成式で表わされる主成分と、第1副成分と、第2副成分と、を有する誘電体磁器組成物であって、
前記組成式中のyが0.001≦y≦0.010であり、かつ、前記組成式中のxとyの合計が0.975≦x+y≦1.010であり、
前記第1副成分は、酸化亜鉛であり、
前記第2副成分は、Y、La、Ce、Nd、Sm、MnおよびNiから選ばれる少なくとも1種の酸化物であり、
前記第1副成分は前記主成分100重量部に対して2重量部以上12重量部以下含有されており、
前記第2副成分は前記主成分100重量部に対して酸化物換算で0.008重量部以上0.08重量部以下含有されている誘電体磁器組成物である。
【0010】
本発明によれば、交流破壊電界が高く、静電容量の温度特性が良好であり、比誘電率が高く、耐還元性が良好な誘電体磁器組成物を提供することができる。
【0011】
本発明の実施形態に係る電子部品は、前記誘電体磁器組成物または前記製造方法により得られる誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する。
【0012】
本発明の実施形態に係る電子部品としては、特に限定されないが、単板型セラミックコンデンサ、積層セラミックコンデンサが例示される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1(A)は本発明の一実施形態に係るセラミックコンデンサの正面図、図1(B)は本発明の一実施形態に係るセラミックコンデンサの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0015】
セラミックコンデンサ2
図1(A)、図1(B)に示すように、本発明の実施形態に係るセラミックコンデンサ2は、誘電体層10と、その対向表面に形成された一対の端子電極12,14と、この端子電極12,14に、それぞれ接続されたリード端子6,8とを有する構成となっており、これらは保護樹脂4に覆われている。
【0016】
セラミックコンデンサ2の形状は、目的や用途に応じて適宜決定すればよいが、誘電体層10が円板形状となっている円板型のコンデンサであることが好ましい。また、そのサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよいが、通常、直径が5〜20mm程度、好ましくは5〜15mm程度である。
【0017】
(誘電体層10)
誘電体層10は、本発明の実施形態に係る誘電体磁器組成物により構成される。
【0018】
本発明の実施形態に係る誘電体磁器組成物は、(BaBi)TiOの組成式で表される主成分と、第1副成分と、第2副成分と、を有し、前記組成式中のyは0.001≦y≦0.010であり、かつ、前記組成式中のxとyの合計が0.975≦x+y≦1.010である。
【0019】
前記組成式中のxは、Baの比率を表し、xは0.965≦x≦1.009、好ましくは0.976≦x≦0.996である。Baがこの範囲で含有されることにより静電容量の温度特性が良好となり、比誘電率が向上し、焼結性が良好になる傾向となる。
【0020】
前記組成式中のyは、Biの比率を表し、0.001≦y≦0.010、好ましくは0.003≦y≦0.009である。Biがこの範囲で含有されることにより、静電容量の温度特性が良好となり、比誘電率が向上する傾向となる。
【0021】
前記組成式中のxとyの合計、すなわちBaとBiの比率の合計は、好ましくは0.975≦x+y≦1.010、より好ましくは0.976≦x+y≦1.005である。xとyの合計量をこの範囲とすることにより、焼結性および比誘電率が向上する傾向となる。
【0022】
前記第1副成分は、酸化亜鉛である。
【0023】
本発明の実施形態に係る誘電体磁器組成物は、第1副成分を前記主成分100重量部に対して2重量部以上12重量部以下、より好ましくは、2.5重量部以上10重量部以下、さらに好ましくは3重量部以上10重量部以下含有する。第1副成分がこの範囲で含有されることにより、交流破壊電界が向上し、静電容量の温度特性が良好になる傾向となる。
【0024】
前記第2副成分は、Y、La、Ce、Nd、Sm、MnおよびNiから選ばれる少なくとも1種の酸化物であり、好ましくはCe、Mnから選ばれる少なくとも1種の酸化物でありであり、より好ましくはMnの酸化物である。
【0025】
本発明の実施形態に係る誘電体磁器組成物は、前記第2副成分を前記主成分100重量部に対して酸化物換算で0.008重量部以上0.08重量部以下、より好ましくは0.01〜0.08重量部、さらに好ましくは0.02〜0.08重量部含有する。第2副成分がこの範囲で含有されることにより、交流破壊電界が向上し、静電容量の温度特性が良好になり、耐還元性が良好になる傾向となる。
【0026】
本発明の実施形態に係る誘電体磁器組成物は、酸化ジルコニウムを前記主成分100重量部に対して1.0重量部未満含有されていることが好ましく、より好ましくは0重量部以上0.5重量部以下であり、さらに好ましくは0重量部である。酸化ジルコニウムがこの範囲を超えて含有されると、交流破壊電界が低下する傾向となる。
【0027】
誘電体層10の厚みは、特に限定されず、用途等に応じて適宜決定すれば良いが、好ましくは0.3〜2mmである。誘電体層10の厚みを、このような範囲とすることにより、中高圧用途に好適に用いることができる。
【0028】
(端子電極12,14)
端子電極12,14は、導電材で構成される。端子電極12,14に用いられる導電材としては、たとえば、Cu、Cu合金、Ag、Ag合金、In−Ga合金等が挙げられる。なお、従来は、端子電極の導電材にCuまたはCu合金を用いる場合、端子電極の焼付けを還元性雰囲気中で行う必要があるため、誘電体磁器組成物が半導体化する可能性があった。しかし、本発明の実施形態に係る誘電体磁器組成物は、耐還元性が良好であるため、端子電極にCuまたはCu合金を使用しても、焼付けの際の誘電体磁器組成物の半導体化を防ぐことができる。
【0029】
セラミックコンデンサの製造方法
次に、セラミックコンデンサの製造方法について説明する。
まず、焼成後に図1に示す誘電体層10を形成することとなる誘電体磁器組成物粉末を製造する。
【0030】
主成分の原料および第1副成分および第2副成分の原料を準備する。主成分の原料としては、Ba、Bi、Tiの各酸化物および/または焼成により酸化物となる原料や、これらの複合酸化物などが挙げられ、たとえば、BaCO、Bi、TiOなどを用いることができる。この他、たとえば水酸化物など、焼成後に酸化物やチタン化合物となる種々の化合物を用いることも可能である。その場合、金属元素の元素数が合うように、含有量を適宜変更すればよい。
【0031】
また、主成分の原料は、固相法により製造してもよいし、水熱合成法や蓚酸塩法などの液相法により製造してもよいが、製造コストの面から、固相法により製造することが好ましい。
【0032】
第1副成分および第2副成分の原料としては、特に限定されず、上記した各副成分の酸化物や複合酸化物、または焼成によりこれら酸化物や複合酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択して用いることができる。
【0033】
本発明の実施形態に係る誘電体磁器組成物の製造方法としては、まず主成分の原料または、主成分の原料と副成分の原料とを配合し、ジルコニアボールなどによるボールミルなどを用いて湿式混合する。
【0034】
得られた混合物を、造粒し、成形して、得られた成形物を、空気雰囲気中にて仮焼きすることにより、仮焼き粉を得ることができる。仮焼き条件としては、たとえば、仮焼き温度を、好ましくは1100〜1300℃、より好ましくは1150〜1250℃、仮焼き時間を、好ましくは0.5〜4時間とすれば良い。
【0035】
次いで得られた仮焼き粉を、ボールミルなどにより湿式粉砕して、さらに混合し、乾燥して誘電体磁器組成物粉末とする。上記のように、誘電体磁器組成物粉末を固相法により製造することで、所望の特性を実現しながら、製造コストの低減を図ることができる。
【0036】
次いで、得られた誘電体磁器組成物粉末にバインダを適量添加し、造粒し、得られた造粒物を、所定の大きさを有する円板状に成形することにより、グリーン成形体とする。そして、得られたグリーン成形体を、焼成することにより、誘電体磁器組成物の焼結体を得る。なお、焼成の条件としては、特に限定されないが、保持温度が、好ましくは1200〜1400℃、より好ましくは1250〜1350℃であり、焼成雰囲気を空気中とすることが好ましい。
【0037】
得られた誘電体磁器組成物の焼結体の主表面に、端子電極を印刷し、必要に応じて焼き付けすることにより、端子電極12,14を形成する。その後、端子電極12,14に、ハンダ付等により、リード端子6,8を接合し、最後に、素子本体を保護樹脂4で覆うことにより、図1(A)、図1(B)に示すような単板型セラミックコンデンサを得る。
【0038】
このようにして製造された本発明のセラミックコンデンサは、リード端子6,8を介してプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々異なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0040】
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る電子部品として誘電体層が単層である単板型セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る電子部品としては、単板型セラミックコンデンサに限定されず、上記した誘電体磁器組成物を含む誘電体ペーストおよび電極ペーストを用いた通常の印刷法やシート法により作製される積層型セラミックコンデンサであっても良い。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0042】
試料1〜40
主成分の原料として、BaCO、BiTiOおよび第2副成分を、それぞれ準備した。そして、準備したこれらの原料を、表1の試料1〜40に示す組成となるように、それぞれ秤量し、溶媒として純水を用いたジルコニアボールによるボールミルにより湿式混合した。
【0043】
次いで、得られた混合物を乾燥した後、5重量%の水を加えて造粒し、成形した。そして、得られた成形物を、空気中、1150℃、2時間の条件で仮焼した。仮焼後の粉体を、らいかい機で粗粉砕してメッシュパスを通した後、第1副成分(ZnO)を表1に示す組成となるように秤量し、添加し、湿式粉砕を行った。これを乾燥することにより、表1に示す各組成(試料1〜40の各組成)を有する誘電体磁器組成物粉末を得た。
【0044】
得られた誘電体磁器組成物粉末100重量部に対して、ポリビニルアルコール水溶液10重量部を添加し、次いで造粒して、メッシュパスを通した後、得られた造粒粉を396MPaの圧力で直径16.5mm、厚さ約1.2mmの円板状のグリーン成形体を得た。
【0045】
得られたグリーン成形体を、空気中、1250〜1350℃、2時間の条件で焼成することにより、円板状の焼結体を得た。
【0046】
そして、得られた焼結体の主表面の両面にAg電極を塗布し、さらに空気中、650℃で20分間焼付け処理を行うことによって、図1に示すような円板状のセラミックコンデンサの試料を得た。得られたコンデンサ試料の誘電体層10の厚みは約1mmであり、焼き付け電極の直径は12mmであった。
【0047】
また、得られた焼結体のうち、一部については、誘電損失の変化量の絶対値を測定するために、主表面の両面にCu電極を塗布し、還元雰囲気中、800℃で10分間焼付け処理を行うことによって、図1に示すような円板状のセラミックコンデンサの試料を得た。得られたコンデンサ試料の誘電体層10の厚みは約1mmであり、焼き付け電極の直径は12mmであった。
【0048】
そして、得られた各コンデンサ試料について、以下の方法により、交流破壊電界、比誘電率、静電容量の温度特性をそれぞれ評価した。評価結果を表1に示す。
【0049】
(交流破壊電界(ACVB))
交流破壊電界(ACVB)は、コンデンサの試料に対し、コンデンサの両端に交流電界を100V/sで徐々に印加し、100mAのもれ電流が流れた時点での電界値を交流破壊電界として測定した。交流破壊電界は高いほうが好ましく、本実施例では、6.0kV/mm以上を良好とした。
【0050】
(比誘電率(ε))
比誘電率εは、コンデンサ試料に対し、基準温度20℃において、デジタルLCRメータ(アジレントテクノロジー社製4274A)にて、周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1.0Vrmsの条件下で測定された静電容量から算出した(単位なし)。比誘電率は高いほうが好ましく、本実施例では、1500以上を良好とした。
【0051】
(誘電損失の変化量の絶対値(%))
Ag電極を有するコンデンサ試料の誘電損失とCu電極を有するコンデンサ試料の誘電損失とを、それぞれ基準温度20℃において、デジタルLCRメータ(アジレントテクノロジー社製4274A)にて、周波数1kHz,入力信号レベル(測定電圧)1.0Vrmsの条件下で測定した。
【0052】
そして、Ag電極を有するコンデンサ試料の誘電損失を「tanδ(Ag)」、Cu電極を有するコンデンサ試料の誘電損失を「tanδ(Cu)」とし、下記式(1)で表わされる誘電損失の変化量の絶対値(%)を算出した。
|tanδ(Cu)−tanδ(Ag)|・・・(1)
誘電損失の変化量の絶対値は耐還元性の指標となり、数値が小さいほど耐還元性が良好であることを意味する。本実施例では0.7以下を良好とした。
【0053】
(静電容量の温度特性)
コンデンサ試料に対して、−25℃〜85℃の温度範囲で静電容量を測定し、20℃での静電容量に対する−25℃および85℃での静電容量の変化率(単位は%)を算出した。本実施例では、静電容量変化率が−15%〜15%の間にあるものを良好とした。

【0054】
【表1】

【0055】
表1より、以下のことが確認できた。
【0056】
試料2〜4、6〜16、18、19より、第2副成分が、Y、La、Ce、Nd、Sm、MnおよびNiから選ばれる少なくとも1種の酸化物であり、前記第2副成分は前記主成分100重量部に対して酸化物換算で0.008重量部以上0.08重量部以下含有されている場合(試料2〜4、6〜7、11〜16、19)は、第2副成分がGd(試料8)、Dy(試料9)、Fe(試料10)、Co(試料18)の場合に比べて、誘電損失の変化量の絶対値が低いことから耐還元性が良好であり、特に、第2副成分がFe(試料10)の場合に比べて交流破壊電界が高くなることが確認できた。
【0057】
試料1〜4、6〜7、11〜16、19より、第2副成分が、Y、La、Ce、Nd、Sm、MnおよびNiから選ばれる少なくとも1種の酸化物であり、前記第2副成分は前記主成分100重量部に対して酸化物換算で0.008重量部以上0.08重量部以下含有されている場合(試料2〜4、6、11〜16、19)は、前記第2副成分の含有量が前記主成分100重量部に対して酸化物換算で0重量部の場合(試料1)に比べて、誘電損失の変化量の絶対値が低いことから、耐還元性が良好であることが確認できた。
【0058】
試料2〜7、11〜17、19より、第2副成分が、Y、La、Ce、Nd、Sm、MnおよびNiから選ばれる少なくとも1種の酸化物であり、前記第2副成分は前記主成分100重量部に対して酸化物換算で0.008重量部以上0.08重量部以下含有されている場合(試料2〜4、6、11〜16、19)は、前記第2副成分の含有量が前記主成分100重量部に対して酸化物換算で0.10重量部の場合(試料5、17)に比べて、交流破壊電界が高く、特に、試料5に比べて、誘電損失の変化量の絶対値および静電容量の温度特性が良好になることが確認できた。
【0059】
試料30〜40より、酸化亜鉛の含有量が2重量部以上12重量部以下の場合は(試料31〜36、38〜40)、この範囲から外れる場合(試料30、37)に比べ、交流破壊電界が高いことが確認できた。
【0060】
試料21〜24、26〜29より、組成式中のxとyの合計が0.975≦x+y≦1.010の場合(試料21〜24、26、29)には、xとyの合計がこの範囲から外れる場合(試料27、28)に比べ、緻密に焼結可能であり、かつ静電容量の温度特性が良好であることが確認できた。
【0061】
試料20〜25より、組成式中のyが0.001≦y≦0.008の場合は(試料21〜24)、yがこの範囲から外れる場合(試料20、25)に比べ、静電容量の温度特性が良好で、かつ比誘電率が高いことが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(BaBi)TiOの組成式で表わされる主成分と、第1副成分と、第2副成分と、を有する誘電体磁器組成物であって、
前記組成式中のyが0.001≦y≦0.010であり、かつ、前記組成式中のxとyの合計が0.975≦x+y≦1.010であり、
前記第1副成分は、酸化亜鉛であり、
前記第2副成分は、Y、La、Ce、Nd、Sm、MnおよびNiから選ばれる少なくとも1種の酸化物であり、
前記第1副成分が前記主成分100重量部に対して2重量部以上12重量部以下含有されており、
前記第2副成分は前記主成分100重量部に対して酸化物換算で0.008重量部以上0.08重量部以下含有されている誘電体磁器組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する電子部品。

【図1】
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【公開番号】特開2012−201581(P2012−201581A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70633(P2011−70633)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】