説明

読み取り装置、および、読み取り方法

【課題】コストの増大を抑制しつつ、容器内の液体の残量を検出する。
【解決手段】読み取り装置1は、液体4を収容する容器2の内あるいは表面に付されたRFIDタグ3との間で電波を送受信して、RFIDタグ3に格納されたデータを読み取る読み取り部1aと、RFIDタグ3が読み取り部1aから受信する電波の強度が所定の強度となるように、読み取り部1aがRFIDタグ3に送信する電波の強度を調整する調整部1bと、読み取り部1aがRFIDタグ3に送信する電波の強度を、容器2内の液体4の残量が所定量のときに読み取り部1aがRFIDタグ3に送信する電波の強度に相当する閾値と比較する比較部1cと、比較部1cが比較した比較結果を出力する出力部1dと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、RFIDタグからデータを読み取る読み取り装置、および、読み取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、点滴袋等の容器に収容された液体の残量を、容器に付した無線タグを用いて管理する方法が存在する。この方法では、無線リーダから送信された電波が容器内の液体により吸収および反射される特性を利用して、容器内の液体の残量を検出する。
【0003】
具体的には、検出したい残量の水位に対応する容器内の位置に無線タグを付しておき、無線リーダから電波を無線タグに送信し、この電波に応答して無線タグが発生する電波を、無線リーダが受信できたかどうかで、容器内の液体の残量を検出する。
【0004】
例えば、無線IC(Integrated Circuit)タグを水溶液収納容器に貼付して、無線ICタグが無線通信可能であるか否かに基づいて水溶液の有無を判断する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、水分を含む液体を収容可能な容器であって、監視基準液体量に対応する位置にRFID(Radio Frequency IDentification)タグを備える容器と、RFIDリーダと、容器のRFIDタグがRFIDリーダにより読み取れる場合に、監視基準液体量に応じた所定の対応処理を実行する対応処理部とを備える液体量監視システムが存在する(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−290402号公報
【特許文献2】特開2008−7190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、RFIDタグが発生する電波をRFIDリーダが受信できたかどうかで、容器内の液体の残量を検出する方法では、液体の残量を複数の段階で検出する場合には、容器内の複数の位置にRFIDタグを付する必要がある。このため、複数のRFIDタグが必要となり、コストが増大してしまう可能性がある。
【0008】
このような点に鑑み、開示の技術では、コストの増大を抑制しつつ、容器内の液体の残量を検出する読み取り装置、および、読み取り方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために以下のような読み取り装置、および、読み取り方法が提供される。
この読み取り装置は、液体を収容する容器の内あるいは表面に付されたRFIDタグとの間で電波を送受信して、RFIDタグに格納されたデータを読み取る読み取り部と、RFIDタグが読み取り部から受信する電波の強度が所定の強度となるように、読み取り部がRFIDタグに送信する電波の強度を調整する調整部と、読み取り部がRFIDタグに送信する電波の強度を、容器内の液体の残量が所定量のときに読み取り部がRFIDタグに送信する電波の強度に相当する閾値と比較する比較部と、比較部が比較した比較結果を出力する出力部と、を有する。
【0010】
この読み取り方法は、コンピュータが、液体を収容する容器の内あるいは表面に付されたRFIDタグとの間で電波を送受信して、RFIDタグに格納されたデータを読み取り、RFIDタグが受信する電波の強度が所定の強度となるように、RFIDタグに送信する電波の強度を調整し、RFIDタグに送信する電波の強度を、容器内の液体の残量が所定量のときにRFIDタグに送信する電波の強度に相当する閾値と比較し、比較結果を出力する。
【発明の効果】
【0011】
開示の読み取り装置、および、読み取り方法によれば、コストの増大を抑制しつつ、容器内の液体の残量を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態に係る読み取り装置の一例を示す図である。
【図2】第2の実施の形態に係る読み取りシステムの一例を示す図である。
【図3】第2の実施の形態に係る読み取り装置のハードウェアの一例を示す図である。
【図4】第2の実施の形態に係る点滴袋の一例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係る読み取りシステムの機能の一例を示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係るRFIDタグが受信する電波の強度の一例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係るデータ格納部に格納されたデータテーブルの一例を示す図である。
【図8】第2の実施の形態に係るデータ格納用装置の機能の一例を示す図である。
【図9】第2の実施の形態に係るデータ格納手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態に係る液体残量の検出手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】第2の実施の形態に係る電波強度の監視手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る読み取り装置の一例を示す図である。
【0014】
読み取り装置1は、読み取り部1aと、調整部1bと、比較部1cと、出力部1dとを有している。
読み取り部1aは、液体4を収容する容器2の内あるいは容器2の表面に付されたRFIDタグ3に、電波を送信する。RFIDタグ3は、データを格納しており、読み取り部1aから電波を受信すると、これに応答して、格納しているデータを含んだ電波を発生する。読み取り部1aは、RFIDタグ3が発生した電波を受信して、RFIDタグ3に格納されたデータを読み取る。
【0015】
なお、RFIDタグ3が電波を発生するには、RFIDタグ3が読み取り部1aから受信する電波が所定の強度以上である必要がある。
ここで、容器2内の液体4によって、読み取り部1aから送信された電波は吸収および反射される。このため、RFIDタグ3が受信する電波の強度をRFIDタグ3が電波を発生可能な所定の強度とする場合、読み取り部1aが送信する電波に必要な強度は、容器2内の液体4の残量に応じて変化する。
【0016】
例えば、容器2が液体4で満たされている場合は、RFIDタグ3が全て液体4で覆われているため、読み取り部1aから送信された電波の吸収は最も大きくなる。このため、RFIDタグ3が受信する電波の強度をRFIDタグ3が電波を発生可能な所定の強度とする場合、読み取り部1aが送信する電波に必要な強度は、最も大きくなる。
【0017】
また、容器2の途中まで液体4が収容されている場合は、RFIDタグ3の一部が液体4から露出しているため、読み取り部1aから送信された電波の吸収および反射は、容器2が液体4で満たされている場合に比べて小さくなる。このため、RFIDタグ3が受信する電波の強度をRFIDタグ3が電波を発生可能な所定の強度とする場合、読み取り部1aが送信する電波に必要な強度は、容器2が液体4で満たされている場合に比べて小さくなる。
【0018】
また、容器2が空の場合は、RFIDタグ3の全てが液体4から露出しているため、読み取り部1aから送信された電波の吸収および反射は最も小さくなる。このため、RFIDタグ3が受信する電波の強度をRFIDタグ3が電波を発生可能な所定の強度とする場合、読み取り部1aが送信する電波に必要な強度は、最も小さくなる。
【0019】
なお、容器2の表面にRFIDタグ3が付されている場合であっても、読み取り装置1とRFIDタグ3の間に液体4が位置する場所に配置することにより、RFIDタグ3が容器2内に付されている場合と同様となる。
【0020】
そのため、後述の記載においてはRFIDタグ3が容器2内に付されている場合で記載するが、特に記載しない限り、容器2の表面にRFIDタグ3が付されている場合も同様である。
【0021】
調整部1bは、RFIDタグ3が読み取り部1aから受信する電波の強度がRFIDタグ3が電波を発生可能な所定の強度となるように、読み取り部1aがRFIDタグ3に送信する電波の強度を調整する。
【0022】
比較部1cは、読み取り部1aがRFIDタグ3に送信する電波の強度を閾値と比較する。ここで、閾値は、容器2内の液体4の残量が所定量のときに、読み取り部1aが送信する電波の強度に相当する値である。
【0023】
出力部1dは、比較部1cが比較した比較結果を出力する。
次に、読み取り装置1による液体残量の検出手順について説明する。
まず、調整部1bが、読み取り部1aがRFIDタグ3に送信する電波の強度を最小値に設定する。次に、読み取り部1aが、RFIDタグ3に電波を送信する。読み取り部1aがRFIDタグ3が発生した電波を受信できなかった場合、調整部1bは読み取り部1aに送信する電波の強度を所定値(例えば「1」)大きくし、再度読み取り部1aからRFIDタグ3に電波を送信することを、RFIDタグ3が発生した電波を受信できるまで繰り返す。
【0024】
このようにしてRFIDタグ3が読み取り部1aから受信する電波の強度がRFIDタグ3が電波を発生可能な所定の強度となるように、読み取り部1aがRFIDタグ3に送信する電波の強度を調整する。
【0025】
次に、読み取り部1aが、調整部1bによって強度が調整された電波を、RFIDタグ3に送信する。
次に、比較部1cが、読み取り部1aがRFIDタグ3に送信する電波の強度を閾値と比較する。ここで、容器2内の液体4の残量が、所定量以下である場合には、読み取り部1aがRFIDタグ3に送信する電波の強度は、閾値以下となる。また、容器2内の液体4の残量が、所定量より多い場合には、読み取り部1aがRFIDタグ3に送信する電波の強度は、閾値より大きくなる。
【0026】
次に、出力部1dは、比較部1cが比較した比較結果を出力する。
このように、読み取り装置1では、読み取り部1aがRFIDタグ3に送信する電波の強度を、容器2内の液体4の残量が所定量のときに読み取り部1aが送信する電波の強度に相当する閾値と比較し、比較結果を出力する。
【0027】
この構成によれば、出力された比較結果を監視することで、容器2内の液体4の残量が、所定量になったことを検出することができる。また、この構成によれば、閾値を複数設定することで、容器2内の液体4の残量を、複数の段階で検出することができる。すなわち、複数のRFIDタグを必要としないため、コストを抑制することができる。
【0028】
[第2の実施の形態]
次に、第1の実施の形態の読み取り装置1をより具体的にした実施の形態を、第2の実施の形態として説明する。
【0029】
まず、読み取りシステムについて説明する。
図2は、第2の実施の形態に係る読み取りシステム10の一例を示す図である。
読み取りシステム10は、例えば、病院で用いられる。読み取りシステム10は、点滴用の液体15を収容し、RFIDタグ12が設けられた点滴袋11と、RFIDタグ12に格納されたデータを読み取る読み取り装置100と、読み取り装置100とネットワーク14を介して接続されたデータベース13とを有している。
【0030】
例えば、読み取り装置100および点滴袋11は、病院内のフロアに配置されている。データベース13は、病院内のフロアの外に配置されていてもよく、また、病院内のフロアに配置されていてもよい。
【0031】
次に、読み取り装置100のハードウェアの一例について説明する。
図3は、第2の実施の形態に係る読み取り装置のハードウェアの一例を示す図である。
読み取り装置100は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス108を介してRAM(Random Access Memory)102と複数の周辺機器が接続されている。
【0032】
RAM102は、読み取り装置100の主記憶装置として使用される。RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。
【0033】
バス108に接続されている周辺機器としては、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)103、グラフィック処理装置104、入力インタフェース105、光学ドライブ装置106、および通信インタフェース107がある。
【0034】
HDD103は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD103は、読み取り装置100の二次記憶装置として使用される。HDD103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を使用することもできる。
【0035】
グラフィック処理装置104には、モニタ104aが接続されている。グラフィック処理装置104は、CPU101からの命令に従って、画像をモニタ104aの画面に表示させる。モニタ104aとしては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や液晶表示装置などがある。
【0036】
入力インタフェース105には、キーボード105aとマウス105bとが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード105aやマウス105bから送られてくる信号をCPU101に送信する。なお、マウス105bは、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボールなどがある。
【0037】
光学ドライブ装置106は、レーザ光などを利用して、光ディスク106aに記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク106aは、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク106aには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。
【0038】
通信インタフェース107は、ネットワーク14に接続されている。通信インタフェース107は、ネットワーク14を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0039】
RFIDリーダライタ109は、アンテナ109aに接続されている。RFIDリーダライタ109は、アンテナ109aを介して外部から受信したデータをCPU101に送信する。また、RFIDリーダライタ109は、CPU101から送られてくるデータをアンテナ109aを介して外部に送信する。
【0040】
音声処理装置110は、スピーカ110aに接続されている。音声処理装置110は、CPU101からの命令に従って、音声をスピーカ110aから発生させる。
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。
【0041】
次に、点滴袋11の構造について説明する。
図4は、第2の実施の形態に係る点滴袋の一例を示す図である。図4(A)は、点滴袋の側面図に相当し、図4(B)は、図4(A)の点線A−A’に対応する断面図に相当する。
【0042】
点滴袋11には、内部に点滴用の液体15が収容されている。液体15は、例えば、生理食塩水や、ブドウ糖液である。さらに、点滴袋11の内部には、RFIDタグ12が設けられている。RFIDタグ12は、点滴袋11の側面11aから離間した中央部分に位置するように、例えば、点滴袋11の下端11bに固定されている。
【0043】
RFIDタグ12は、基体12aと、基体12a上に形成されたアンテナ12bとICチップ12cとを有している。アンテナ12bは、点滴袋11の深さ方向に延在している。すなわち、アンテナ12bは、点滴袋11内の液体15の残量に応じて、液体15から露出する面積が変化するように配置されている。また、RFIDタグ12には、防水加工が施されている。例えば、アンテナ12bおよびICチップ12cは、ゴムにより覆われている。
【0044】
図4では、RFIDタグ12が点滴袋11の側面11aから離間した中央部分に位置するように固定した場合を図示するが、RFIDタグ12は点滴袋11の表面にアンテナ12bが点滴袋11の深さ方向に延在するように貼付、あるいは点滴袋11の内の中央部分以外にアンテナ12bが点滴袋11の深さ方向に延在するように配置してもよい。また、RFIDタグ12を点滴袋11の表面に貼付する場合はRFIDタグ12に防水加工は不要となる。
【0045】
次に、読み取りシステム10の機能について説明する。
図5は、第2の実施の形態に係る読み取りシステムの機能の一例を示す図である。
まず、RFIDタグ12について説明する。RFIDタグ12は、制御部131と、データ格納部132とを有している。制御部131は、読み取り装置100から電波を受信すると、これに応答して、データ格納部132に格納されているデータを含んだ電波を発生する。なお、制御部131が発生する電波の強度は、制御部131が読み取り装置100から受信する電波の強度に依存する。
【0046】
ここで、点滴袋11内の液体15によって、読み取り装置100から送信された電波は吸収および反射される。このため、制御部131が受信する電波の強度を所定の強度とする場合、読み取り装置100が送信する電波に必要な強度は、点滴袋11内の液体15の残量に応じて変化する。この様子を、図6を用いて説明する。
【0047】
図6は、第2の実施の形態に係るRFIDタグが受信する電波の強度の一例を示す図である。
例えば、ケース21に示すように、点滴袋11が液体15で満たされている場合は、RFIDタグ12が全て液体15で覆われているため、読み取り装置100から送信された電波W1の吸収および反射は最も大きくなる。このため、RFIDタグ12が受信する電波W2の強度を所定の強度とする場合、読み取り装置100が送信する電波W1に必要な強度は、最も大きくなる。
【0048】
また、ケース22に示すように、点滴袋11の途中まで液体15が収容されている場合は、RFIDタグ12の一部が液体15から露出しているため、読み取り装置100から送信された電波W1の吸収および反射はケース21に比べて小さくなる。このため、RFIDタグ12が受信する電波W2の強度を所定の強度とする場合、読み取り装置100が送信する電波W1に必要な強度は、ケース21に比べて小さくなる。
【0049】
また、ケース23に示すように、点滴袋11が空の場合は、RFIDタグ12の全てが液体から露出しているため、読み取り装置100から送信された電波W1の吸収および反射は最も小さくなる。このため、RFIDタグ12が受信する電波W2の強度を所定の強度とする場合、読み取り装置100が送信する電波W1に必要な強度は、最も小さくなる。
【0050】
データ格納部132には、RFIDタグ12のID(IDentification)と、空のオフセット値と、液体15の種別と、点滴袋11の容量と、点滴袋11の使用期限とが格納されている。ここで、空のオフセット値とは、RFIDタグ12が受信する電波の強度を所定の強度とする場合、点滴袋11が液体15で満たされているときに読み取り装置100が送信する電波に必要な強度から、点滴袋11が空のときに読み取り装置100が送信する電波に必要な強度を差し引いた値に相当する。
【0051】
次に、読み取り装置100について説明する。図5に示すように、読み取り装置100は、読み取り部121と、電波強度調整部122と、比較部123と、警告部124と、設定部125とを有している。
【0052】
読み取り部121は、RFIDタグ12に電波を送信する。この電波には、例えば、860〜960MHzのUHF帯が用いられる。また、読み取り部121は、RFIDタグ12が発生した電波を受信して、RFIDタグ12のデータ格納部132に格納されたデータを読み取る。なお、RFIDタグ12が読み取り部121から受信する電波の強度が所定の強度に達していない場合、RFIDタグ12は、データを返答するために十分な電源が供給されないため、格納しているデータを返答しない。
【0053】
また、読み取り部121は、データ格納部132から読み取ったデータに基づいて、点滴袋11が使用可能かどうかを判定する。また、読み取り部121は、点滴袋11の使用状況をデータベース13に記録する。
【0054】
電波強度調整部122は、RFIDタグ12が読み取り部121から受信する電波の強度がRFIDタグ12が電波を発生可能な所定の強度となるように、読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度を調整する。
【0055】
例えば、点滴袋11が液体15で満たされている場合は、電波強度調整部122は、読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度を最も大きくする。また、点滴袋11の途中まで液体15が収容されている場合は、電波強度調整部122は、読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度を、点滴袋11が液体15で満たされている場合よりも小さくする。また、点滴袋11が空の場合は、電波強度調整部122は、読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度を最も小さくする。
【0056】
設定部125は、読み取り部121がRFIDタグ12のデータ格納部132から読み取った空のオフセット値に基づいて、空の判定値を算出し、さらに、閾値を設定する。
空の判定値は、点滴袋11が液体15で満たされているときに読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度から、空のオフセット値を差し引くことで算出する。すなわち、空の判定値は、点滴袋11が空のときに、読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度に相当する。
【0057】
閾値は、点滴袋11内の液体15の残量が所定量のときに、読み取り部121が送信する電波の強度に相当する値である。閾値は、点滴袋11が液体15で満たされているときに、読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度と、空の判定値との間で設定される。閾値は、複数設定されてもよい。閾値は、例えば、ユーザによる操作によって、変更することもできる。
【0058】
比較部123は、読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度を、設定部125が設定した閾値および設定部125が算出した空の判定値と比較する。警告部124は、比較部123の比較結果に応じて、例えば、スピーカ110aを鳴動させる等して、ユーザに対して警告を行う。
【0059】
次に、RFIDタグ12のデータ格納部132に格納されたデータテーブルについて説明する。
図7は、第2の実施の形態に係るデータ格納部に格納されたデータテーブルの一例を示す図である。
【0060】
データテーブル132aには、RFIDタグ12のIDと、空のオフセット値と、液体15の種別と、点滴袋11の容量と、点滴袋11の使用期限とが格納されている。なお、データテーブル132aを、データベース13に格納することもできる。この場合、データ格納部132には、RFIDタグ12のIDのみを格納しておけばよい。
【0061】
次に、RFIDタグ12のデータ格納部132に、データを格納する方法について説明する。データ格納部132へのデータの格納は、RFIDタグ12が設けられた点滴袋11と、例えば、データ格納用装置を用いて行われる。
【0062】
まず、データ格納用装置について説明する。
図8は、第2の実施の形態に係るデータ格納用装置の機能の一例を示す図である。
データ格納用装置200は、読み取り装置100の読み取り部121と同様の機能を備えた読み取り部201と、読み取り装置100の電波強度調整部122と同様の機能を備えた電波強度調整部202と、読み取り部201がRFIDタグ12に送信する電波の強度を測定する測定部203と、測定部203が測定した測定結果に基づいた計算を行う計算部204と、RFIDタグ12のデータ格納部132にデータを書き込む書き込み部205とを有している。
【0063】
次に、RFIDタグ12のデータ格納部132へのデータ格納手順について説明する。
図9は、第2の実施の形態に係るデータ格納手順の一例を示すフローチャートである。図9に示す処理は、例えば、読み取りシステム10を提供するメーカ側で行われる。
【0064】
[ステップS11]操作者が、点滴袋11の内部を、液体15によって満たす。
[ステップS12]測定部203が、読み取り部201が点滴袋11のRFIDタグ12に送信する電波の強度を測定する。ここで、読み取り部201が送信する電波の強度は、電波強度調整部202によって調整されているものとする。
【0065】
[ステップS13]操作者が、点滴袋11を空にする。
[ステップS14]測定部203が、読み取り部201が点滴袋11のRFIDタグ12に送信する電波の強度を測定する。ここで、読み取り部201が送信する電波の強度は、電波強度調整部202によって調整されているものとする。
【0066】
[ステップS15]計算部204が、ステップS12で測定部203が測定した測定値から、ステップS14で測定部203が測定した測定値を差し引いて、空のオフセット値を算出する。
【0067】
[ステップS16]書き込み部205が、RFIDタグ12のIDと、計算部204によって算出された空のオフセット値と、液体15の種別と、点滴袋11の容量と、点滴袋11の使用期限とを、RFIDタグ12のデータ格納部132に格納して処理を終了する。
【0068】
次に、読み取り装置100による液体残量の検出手順について説明する。
図10は、第2の実施の形態に係る液体残量の検出手順の一例を示すフローチャートである。なお、図10に示す処理を開始するにあたり、RFIDタグ12のデータ格納部132には、予めデータテーブル132aが格納されているものとする。また、点滴袋11は、液体15で満たされているものとする。
【0069】
[ステップS21]電波強度調整部122が、読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度を、最小値に設定する。
[ステップS22]読み取り部121が、RFIDタグ12に電波を送信する。
【0070】
[ステップS23]読み取り部121が、RFIDタグ12から発生した電波(応答電波)を受信できたかどうかを判定する。受信できた場合、読み取り部121は、処理をステップS25に進める。受信できなかった場合、読み取り部121は、処理をステップS
24に進める。
【0071】
[ステップS24]電波強度調整部122が、読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度を、「1」だけ大きくして処理をステップS22に戻す。
[ステップS25]読み取り部121が、RFIDタグ12のデータ格納部132に格納されたデータ(ID、空のオフセット値、液体種別、液体容量、および、使用期限)を読み取る。
【0072】
[ステップS26]読み取り部121が、読み取ったデータ(液体種別、液体容量、および、使用期限)に基づいて、点滴袋11が使用可能かどうかを判定する。この判定は、例えば、読み取り部121が、読み取ったデータを、データベース13に予め格納されている患者データと照合することで行われる。使用可能である場合、読み取り部121は、処理をステップS27に進める。使用可能ではない場合、読み取り部121は、処理をステップS31に進める。
【0073】
[ステップS27]読み取り部121が、点滴袋11の使用開始を、データベース13に記録する。
[ステップS28]設定部125が、読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度から、読み取り部121が読み取った空のオフセット値を差し引いた空の判定値を算出する。
【0074】
[ステップS29]設定部125が、閾値を設定する。
[ステップS30]読み取り装置100が、読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度を監視して処理を終了する。
【0075】
[ステップS31]警告部124が、液体異常を示す警告を行う。
[ステップS32]読み取り部121が、点滴袋11の使用終了を、データベース13に記録して処理を終了する。
【0076】
次に、上記ステップS30で示した電波強度の監視ステップの詳細について説明する。
図11は、第2の実施の形態に係る電波強度の監視手順の一例を示すフローチャートである。
【0077】
[ステップS41]電波強度調整部122が、読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度を、最小値に設定する。
[ステップS42]読み取り部121が、RFIDタグ12に電波を送信する。
【0078】
[ステップS43]読み取り部121が、RFIDタグ12から発生した電波(応答電波)を受信できたかどうかを判定する。受信できた場合、読み取り部121は、処理をステップS45に進める。受信できなかった場合、読み取り部121は、処理をステップS
44に進める。
【0079】
[ステップS44]電波強度調整部122が、読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度を、「1」だけ大きくして処理をステップS42に戻す。
[ステップS45]比較部123が、読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度が、設定部125が設定した閾値以下であるかどうかを判定する。閾値以下である場合、比較部123は、処理をステップS46に進める。閾値以下ではない場合、比較部123は、処理をステップS41に戻す。
【0080】
[ステップS46]比較部123が、読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度が、設定部125が算出した空の判定値以下であるかどうかを判定する。空の判定値以下である場合、比較部123は、処理をステップS48に進める。空の判定値以下ではない場合、比較部123は、処理をステップS47に進める。
【0081】
[ステップS47]警告部124が、点滴袋11内の液体の残量が、所定量未満であることを示す警告を行った後、処理をステップS41に戻す。
[ステップS48]警告部124が、点滴袋11が空であることを示す警告を行う。
【0082】
[ステップS49]読み取り部121が、点滴袋11の使用を終了したことを、データベース13に記録して処理を終了する。
以上説明してきたように、読み取り装置100では、比較部123が、読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度を、点滴袋11内の液体15の残量が所定量のときに読み取り部121が送信する電波の強度に相当する閾値と比較し、さらに、警告部124が、比較部123による比較結果に基づいて警告を行う。
【0083】
この構成によれば、点滴袋11内の液体15の残量が所定量になったとき、警告部124によって警告が行われるため、ユーザは、点滴袋11内の液体15の残量が所定量になったことを検知することができる。また、この構成によれば、閾値を複数設定することで、点滴袋11内の液体15の残量を、複数の段階で検出することができる。すなわち、複数のRFIDタグを必要としないため、コストを抑制することができる。
【0084】
また、この構成によれば、閾値の値を変更することのみで、検出したい液体15の残量値を変更することができるため、例えば、RFIDタグ12を配置する位置を変更したりする必要がない。
【0085】
また、読み取り装置100では、比較部123は、読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度を、点滴袋11が空のときに読み取り部121がRFIDタグ12に送信する電波の強度に相当する空の判定値と比較する。この構成によれば、点滴袋11が空になったとき、警告部124によって警告が行われるため、ユーザは、点滴袋11が空になったことを検知することができる。
【0086】
また、RFIDタグ12は、点滴袋11の側面11aから離間した中央部分に配置されている。この構成によれば、点滴袋11が深さ方向を軸として回転したとしても、RFIDタグ12と、読み取り装置100との間の距離を一定に保つことができるため、比較部123による比較をより精度よく行うことができる。これにより、点滴袋11内の液体15の残量が所定量になったことを、より精度よく検知することができる。
【0087】
RFIDタグ12は点滴袋11の内の中央部分以外に配置、あるいは点滴袋11の側面11aの表面に貼付してもよいが、RFIDタグ12と、読み取り装置100との間の距離を一定に保つために点滴袋11が深さ方向を軸として回転しないよう固定する必要がある。
【0088】
また、読み取りシステム10は、点滴袋11への適用に限られず、例えば、水サーバのボトルにも適用することができる。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、読み取り装置100が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD、DVD−RAM、CD−ROM/RWなどがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0089】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0090】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0091】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現することもできる。
【符号の説明】
【0092】
1,100 読み取り装置
1a,121 読み取り部
1b 調整部
1c,123 比較部
1d 出力部
2 容器
3,12 RFIDタグ
4,15 液体
10 読み取りシステム
11 点滴袋
11a 側面
11b 下端
12a 基体
12b アンテナ
12c ICチップ
13 データベース
14 ネットワーク
122 電波強度調整部
124 警告部
125 設定部
131 制御部
132 データ格納部
132a データテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する容器の内あるいは表面に付されたRFIDタグとの間で電波を送受信して、前記RFIDタグに格納されたデータを読み取る読み取り部と、
前記RFIDタグが前記読み取り部から受信する電波の強度が所定の強度となるように、前記読み取り部が前記RFIDタグに送信する電波の強度を調整する調整部と、
前記読み取り部が前記RFIDタグに送信する電波の強度を、前記容器内の液体の残量が所定量のときに前記読み取り部が前記RFIDタグに送信する電波の強度に相当する閾値と比較する比較部と、
前記比較部が比較した比較結果を出力する出力部と、
を有することを特徴とする読み取り装置。
【請求項2】
前記RFIDタグはアンテナを有し、
前記アンテナは、前記容器の深さ方向に延在していること、
を特徴とする請求項1記載の読み取り装置。
【請求項3】
前記閾値は複数設定されていること、
を特徴とする請求項1または2記載の読み取り装置。
【請求項4】
前記比較部は、前記読み取り部が前記RFIDタグに送信する電波の強度を、前記容器が空のときに前記読み取り部が前記RFIDタグに送信する電波の強度に相当する空の判定値と比較すること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の読み取り装置。
【請求項5】
前記容器の側面から離間した中央部分に、前記RFIDタグが配置されていること、
を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の読み取り装置。
【請求項6】
コンピュータが、
液体を収容する容器の内あるいは表面に付されたRFIDタグとの間で電波を送受信して、前記RFIDタグに格納されたデータを読み取り、
前記RFIDタグが受信する電波の強度が所定の強度となるように、前記RFIDタグに送信する電波の強度を調整し、
前記RFIDタグに送信する電波の強度を、前記容器内の液体の残量が所定量のときに前記RFIDタグに送信する電波の強度に相当する閾値と比較し、
比較結果を出力する、
ことを特徴とする読み取り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−7593(P2013−7593A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139097(P2011−139097)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】