説明

読取り距離を拡張したRFIDシステム

【課題】本発明は、一般的には、RFIDアンテナが、コンテナ上に取付けられたRFIDタグから情報を入手することを可能にする装置に関する。
【解決手段】本装置は、アンテナが発生したRF場を、RFIDタグの近くの位置に再現する。一実施の形態では、本装置は、ピックアップデバイスと、ピックアップデバイスに電気的に結合された再現デバイスとを具備する。別の実施の形態では、本装置は、アンテナとRFIDタグとの間を走るRF場のための磁路を作る少なくとも1つの磁気ロッドを具備する。別の実施の形態では、本装置は、ピックアップアンテナと再現アンテナとを具備し、再現アンテナは、該再現アンテナからRFIDタグの近くにRF信号を伝送するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、改良された無線周波数識別(RFID)システムに関する。より特定的には、本発明は、半導体製造設備のためのRFIDシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
普通のRFIDシステムは3つの部分、即ち、(i)走査アンテナ、(ii)データを解釈するデコーダを有するトランシーバ、及び(iii)情報でプログラムされているトランスポンダ(無線周波数タグ)を有している。
【0003】
走査アンテナは、比較的短い距離内に無線周波数信号を放射する。無線周波数(RF)放射は2つのことを行う。それは、トランスポンダタグ(即ち、RFIDチップ)との通信手段を与え、そして受動型RFIDタグの場合には、RFIDデバイスと通信してエネルギを供給する。RFIDデバイスは電池を含む必要はなく、従って、極めて長期間にわたって使用可能状態に留まることができる。
【0004】
走査アンテナは、ある表面に恒久的に取付けることができる。ハンドヘルドアンテナも使用可能である。一般的に言えば、アンテナは、必要とされる如何なる形状であることもできる。RFIDタグが走査アンテナの場を通過する時に、タグはアンテナからの活動化信号を検出する。この時点でRFIDチップが“目覚め”、タグはそのマイクロチップ上の情報を送信して走査アンテナにピックアップさせる。
【0005】
更に、RFIDタグは2つの型、即ち能動型または受動型の一方であることができる。能動型RFIDタグは、電源を内蔵している。能動型RFIDタグの1つの長所は、読取り器をタグから遙かに離間させても信号を受信できることである。これらのデバイスの若干が10年までの寿命スパンで作られているとは言え、寿命スパンが限定されていることは事実である。一方、受動型RFIDタグは電池を必要とせず、遙かに小さくすることができ、そして寿命スパンは実質的に制限されない。受動型及び能動型両タグRFIDシステムは、一般的に読取り範囲が約1mであるという制約を有しており、たとえそれを効率的に1mに到達するようにしてもアンテナを極めて大きくする必要があり、従って高価になる。
【0006】
RFIDタグは、バーコードまたは他の光学的に読取る技術が役立たないようないろいろな環境で読取ることができる。タグは物体の表面にある必要はなく(従って、摩耗を受けることがない)、読取り時間は典型的に100ミリ秒以下であり、そして多数のタグをアイテム毎にではなく、一度に読取ることができる。
【0007】
RFIDシステムは、半導体製造環境または製造設備に独特な難題を課している。例えば、300mmファブにおいては、ウェーハはフロントオープニングユニファイドポッド(FOUP)と呼ばれるコンテナ内に封入され、対応するキャリヤ識別情報を格納しているRFIDタグが各FOUPに取付けられる。FRIDタグ内に格納された情報は、例えば処理ツールのロードポート上に取付けられているRFID読取り器によって検索される。検索された情報は制御センターへ中継され、制御センターは相応にコマンドを発行して処理ツールに動作を指令する。一般に、ある製造設備内には数百のRFID読取り器が存在する。莫大な数のRFID読取り器はRFID動作に付加的なコストを追加する。
【0008】
半導体製造設備内の普通の自動化材料取扱システム(AMHS)は、設備を通してFOUPを輸送し、各コンテナを追跡する。各FOUPは、就中、ロットID、如何に多くのウェーハがFOUP内に格納されているか、ウェーハの処理のどのステージ(1つまたは複数の)を受けたか、FOUPを送る次の処理ステージは何か、等を識別するRFIDタグを含む。AMHSシステムは、そのコンテナの内容目録(インベントリ)を調べる必要があることが多い。そのためには、RFIDタグを読取ってコンテナを積極的に識別する必要がある。各コンテナ上のRFIDタグを読取るのは難問である。単にAMHSストッカーまたはAMHS輸送システムのバッファ(以下に、オーバーヘッドバッファまたはOHBともいう)内に格納されているFOUP上のRFIDタグを読取るだけでも、幾つかのステップを遂行しなければならないことが多い。
【0009】
普通のストッカーの場合には、ストッカーコントローラが先ずストッカーロボットに命令してFOUPにアクセスさせ、FOUPを貯蔵棚(ストレージシェルフ)から取り出させ、次いでFOUPを、RFID読取り器が設けられている専用の棚上に配置させる。RFIDタグを読取り、データベースを更新した後に、ストッカーコントローラはロボットに命令してFOUPを自由貯蔵棚上に戻させる。
【0010】
普通のAMHS輸送システムの場合には、コンテナは輸送ビークル上に、または輸送ルートに沿う貯蔵バッファ/棚にアクセス可能なビークル上に配置されている。AMHS内の材料を調べるために、輸送コントローラは先ずFOUPにアクセスするようにビークルをスケジュールしなければならない。ビークルは貯蔵棚からFOUPを取り出し、FOUPをストッカー(一般的に、RFID読取り器を有している)へ送る。RFID読取り器によって動作可能にされたストッカーはFOUPのRFIDタグを読取り、FOUPを貯蔵棚へ戻し、FOUPを、そのFOUPを始めに取り出した貯蔵棚へ、または別の自由貯蔵棚へ戻して格納する。明らかに、このプロセスは資源及び時間を大きく消費する。更に、この調査プロセスが進行している間は他の仕事を実行することはできない。従ってこの調査プロセスは、ファブの生産性を著しく制限する、または低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一方、RFID読取り器を各貯蔵棚上に配置すると極めて高価になり、複雑な解決策である。従って、改良されたRFIDシステムに対する要望が存在している。本発明は、改良されたRFIDシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一面は、RFIDタグの読取り距離を増加させるための低コスト解決策を提供することである。一実施の形態では、本発明は、貯蔵位置に着座しているコンテナ上に配置されたRFIDタグに近付けたアンテナから放射されるRF場を伝送するRFIDブリッジを備えている。アンテナとRFIDタグとの間の距離は、従来のRFアンテナ及びRFIDタグ配置を用いて可能である距離と比較して、数桁も増加する。
【0013】
本発明の別の面は、複数のRFIDタグを読取るのに必要なRFID読取り器の数を最小にしたRFIDシステムを提供することである。一実施の形態では、本発明は、RFIDブリッジが各コンテナ貯蔵位置に専用されるシステムを提供する。単一のRFアンテナを各RFIDブリッジの各ピックアップデバイスの間で移動させ、各コンテナのRFIDタグ内に格納されている情報を入手することができる。
【0014】
本発明の更に別の面は、アンテナとRFIDタグとの間でRF場を伝送するために、外部電力を殆ど、もしくは全く必要としないRFIDシステムまたは装置を提供することである。一実施の形態では、RFIDブリッジは、ピックアップデバイス、再現デバイス、及びピックアップデバイスと再現デバイスとの間にRF信号を伝送する信号伝送手段を備えている。一実施の形態では、ピックアップデバイスはアンテナとの磁気結合を形成している。別の実施の形態では、ピックアップデバイスはアンテナとの電磁結合を形成している。再現デバイスもRFIDタグと磁気結合、または電磁結合を形成することができる。
【0015】
本発明の更に別の面は、コンテナ上のRFIDタグの配置(例えば、コンテナの前面、コンテナの後面、コンテナの上面等)には関係なく、コンテナに取付けられたRFIDから情報を入手することができるRFIDシステムを提供することである。各RFIDブリッジの再現デバイスは、コンテナが貯蔵位置に着座している時にRFタグが再現デバイスに近付くように構成されている。従って、再現デバイスを貯蔵位置に対していろいろな位置に位置決めすることができる。
【0016】
本発明の別の面は、幾つかのコンテナのRFIDタグ内に格納されている情報を迅速に入手することができるRFIDシステムを提供することである。一実施の形態では、貯蔵位置は、例えば3つのコンテナを格納するための複数の貯蔵領域を含む。各貯蔵領域のために専用RFIDブリッジを用いることによって、各RFIDタグ内に格納されている情報を迅速に入手するのに、場合によってはアンテナを各ピックアップコイル間でほんの数インチだけ移動させればよい。この情報を入手するのに、コンテナを移動させる必要は全くない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態の概要図である。
【図2】本発明の代替実施の形態の概要図である。
【図3】本発明に組入れることができる回路の一実施の形態の回路図である。
【図4】本発明に組入れることができる回路の別の実施の形態の回路図である。
【図5】本発明に組入れることができる回路の更に別の実施の形態の回路図である。
【図6】本発明による拡張アセンブリの一実施の形態の概要図である。
【図7】本発明の更に別の実施の形態の概要図である。
【図8】本発明に組入れることができる回路の更に別の実施の形態の回路図である。
【図9】本発明による拡張アセンブリの別の実施の形態の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1−9を参照して以下に説明する本発明は、給電されているアンテナとRFIDタグとの間で無線周波数(RF)場を伝える種々のシステムを提供する。本発明の多くの実施の形態は、RFID読取り器がコンテナ貯蔵位置に対して移動する、またはその逆の応用に適している。
【0019】
図1は、RFIDシステム100を示している。この実施の形態では、RFIDシステム100は、就中、送信デバイス102、RFID読取り器108、RFIDタグ106、及びRFIDブリッジ130を含んでいる。RFID送信デバイス102及びRFID読取り器またはインタロゲータ108は、如何なる数のメカニズムまたはデバイス104内に収容しても差し支えない。一実施の形態では、RFID送信デバイス102及びRFID読取り器108は、頭上輸送(OHT)ビークルのような輸送ビークル内に収容されている。別の実施の形態では、RFID送信デバイス102及びRFID読取り器108はロボットアームメカニズム104(図9参照、詳細は後述)内に収容され、操作される。本発明を説明するだけの目的から、本発明の種々の実施の形態を、ロボットアームメカニズム104だけを参照して説明することにする。
【0020】
図1は、送信デバイス102に電気的に結合されているRFID読取り器108を示している。RFID読取り器108は、基本的に、マイクロプロセッサまたはデジタル信号プロセッサによって制御されるRF送信器及び受信器である。アシストテクノロジース社( Asyst Technologies, Inc. )製モデルNo. ATR9100のような普通のRFID読取り器を使用することができる。他のRFID読取り器も、本発明に使用することができる。送信デバイス102は、限定するものではないが、RFIDアンテナ、ワイヤーコイル、または磁芯(例えば、ポットコア、E字形コア、U字形コア、等)を有するワイヤーコイルを含むいろいろなデバイスからなることができる。
【0021】
RFIDタグ106は、一実施の形態では、コンテナ2に取付けられている(例えば、図6参照)。RFIDタグ106は、限定するものではないが、貯蔵位置構造、プロセスツール、または度量衡ツールのような他の構造に取付けることもできる(詳細は後述)。本発明と共に使用することができるRFIDタグ106の1つの型は、テキサスインスツルーメンツ( Texas Instrument )製の低周波RFIDタグ(TIRIS)を含む。他のRFIDタグも、本発明に使用することができる。
【0022】
RFIDタグ106及び送信デバイス102は、距離d1だけ離間している。上述したように、従来のRFID読取りシステムは、RFID送信デバイス102がRFIDタグ106に接近していない限りRFIDタグ106上に格納されている情報を読取ることはできない。説明の目的だけのために、この実施の形態では距離d1は1−3mである。この場合、従来のRFIDアンテナは、このような遠い距離のRFIDタグを読取ることはできない。距離d1は、他の距離であることができる。
【0023】
送信デバイス102とRFIDタグ106との間にRFIDブリッジ130を配置することによってこの問題が解消され、RFID送信デバイス102は、従来のRFID読取り器よりも離れた距離からRFIDタグ106を読取ることができるようになる。この実施の形態では、RFIDブリッジ130は、ケーブル116によって再現デバイスまたはコイル114に電気的に結合されているピックアップデバイスまたはコイル112を含む。RFIDブリッジ130は、実質的に、送信デバイス102とRFIDタグ106との間にRF信号を伝送するために変成器結合されたケーブル延長部として機能する。図1に示すように、ピックアップコイル112は、RFID送信デバイス102との電気または磁気結合を形成している。ピックアップコイル112と送信デバイス102との間の電気結合は、他の受動材料(例えば、非磁性及び/または非導電性材料)を用いて形成することもできる。
【0024】
動作中、ロボットアームメカニズム104は、送信デバイス102によって放射された無線周波数信号110をピックアップコイル112が受信、またはピックアップできるまで、送信デバイス102をピックアップコイル112に近付ける。再現コイル114は無線周波数信号110を再現する(図1にRF信号110’として示されている)。RF信号110’はRFIDタグ106を包み込み、この時点で送信デバイス102はRFIDタグ106を読取ることができる。
【0025】
RFIDブリッジ130は、送信デバイス102とRFIDタグ106との間で、実質的には2つの空芯変成器を通してRF信号110を伝送する。ピックアップコイル112と送信デバイス102との間の電気結合は、この実施の形態では、空気、真空、または何等かの非磁性及び/または非導電性材料を通してである。従って、ピックアップコイル112及び送信デバイス102は各々、第1の空気・変成器のコイルとして機能する。再現コイル114とRFIDタグ106との間の電気結合も、空気、真空、または何等かの非磁性及び/または非導電性材料を通してである。従って、再現コイル114及びRFIDタグ106は各々、第2の空気・変成器のコイルとして機能する。勿論、第1及び第2の変成器のコイル間(例えば、ピックアップコイル112と送信デバイス102との間、及び/または再現コイル114とRFIDタグ106との間)の電気結合は、他のガスを通してであることもできる。
【0026】
RFID読取り器108は、送信デバイス102を介してRFIDタグ106からデータを取得し、そのデータを処理するためにコンピュータに引き渡す。再現された無線信号110’がRFIDタグ106を“目覚め”させる。再現された無線信号110’の範囲内の各RFIDタグ106は、その独自の識別番号及びデータを、RFIDブリッジ130を通して送信デバイス102へ戻すように伝送する。送信デバイス102は、これらの識別番号を電子的に“聴取”し、この情報をRFID読取り器108へ戻す。これでFRID読取り器108及びRFIDタグ106は無線“会話”の準備が整い、これは、RFIDタグ106が物理的に取付けられている対象(例えば、FOUP、SMIFポッド、等)に関する情報を交換するために使用することができる。この会話は、RFIDタグ106がRFID読取り器108の範囲外に出るまで(例えば、RFIDタグ106が最早再現された無線信号110’の範囲内に存在しなくなるまで)、またはRFIDタグ106からの応答がRFID読取り器108によって回復できなくなるまで、継続される。
【0027】
ピックアップコイル112は、ケーブル116によって再現コイル114に電気的に接続されている。単にケーブル116の長さを伸縮させることによって、ピックアップコイル112と再現コイル114との間の離間距離を如何様にも調整することができる。一実施の形態では、ケーブル116は長さが1.5m、インピーダンスが50オームの同軸ケーブルからなっている。しかしながら、如何なる長さのケーブル116も使用することもでき、ケーブル116は如何なるインピーダンスを有することもできる。ピックアップコイル112及び再現コイル114は、限定するものではないが、印刷回路基板等のような他のデバイスを通して通信することができる。
【0028】
図2は、RFIDシステム300を示している。システム300は、ロボットアームメカニズム304、RFIDタグ306、及びRFIDブリッジ330を含む。この実施の形態では、1対の磁気ロッド(ダイポール接続形態)を使用して、明確な有形の戻り路を有する無線周波数(RF)場を作る。ロボット304は、就中、送信デバイス302及びRFID読取り器308を含む。送信デバイス302及びRFID読取り器308は、ケーブル(例えば、データケーブル)によって電気的に結合することも、または無線で互いに通信することもできる。
【0029】
RFIDブリッジ330は、第1の磁気ロッド312及び第2の磁気ロッド314を含む。第1の磁気ロッド312及び第2の磁気ロッド314は各々、単片構造からなることも、または複数の密に接続された片からなることもできる。この実施の形態では、RFIDブリッジ330が送信デバイス302へ戻すRF場のための制御された戻り路317を磁性材料が提供している。図2の実施の形態は、RF場310の転送効率が高く、また近傍デバイスからの妨害、及び近傍金属または磁性材料に起因する電子的挙動の変化に対して頑丈である。
【0030】
動作中、ロボット304は送信デバイス302をRFIDブリッジ330に近付ける。RFIDブリッジ330は、送信デバイス302が放射した無線周波数310を受信する。詳述すれば、第1の磁気ロッド312が、送信デバイス302の第1の端303から磁束315を引き出す。第2の磁気ロッド314は、送信デバイス302の第2の端305から磁束310を引き出す。両ロッド312及び314を同時に用いて送信デバイス302から磁束310を引き出すことによって、RFIDタグ306と送信デバイス302との間のRF結合が改善される。好ましい実施の形態では、そして送信デバイス302とRFIDタグ306との間の場の結合を最適化するために、磁気ロッド312及び314はそれらが角度θをなすように構成されている。図2に示すように、RFIDタグ306に近い側のロッド312と314との間のギャップ320のサイズは、RFIDタグ306の内側に位置しているRFID送信デバイス(図示してない)の高さに類似させることが好ましい。送信デバイス302に近い側のロッド312と314との間のギャップ322のサイズは、送信デバイス302の第1の端303と第2の端305との間の距離に類似させることが好ましい。ロッドの端間のギャップは、他の距離であっても差し支えない。
【0031】
RFIDブリッジ330は、ロッド312及び314の第1の端328及び329からロッド312及び314の第2の端324及び326まで伝送する磁束310の量を最大にする。また、RFIDブリッジ330は、ロッド312及び314の第2の端324と326との間に位置する空間320によってもたらされる漏洩磁束の量を最小にする。同時に、RFIDブリッジ330はまた、送信デバイス302と、ロッド312及び314の第1の端328及び329との間の磁気結合を最大にする。
【0032】
図2(及び図7)の実施の形態を図1と比較すると、送信デバイス302のための読取り範囲がより限定されている。ロッド312及び314(図2の実施の形態)及び磁気ロッド414(図7の実施の形態)における損失は、一般に、ケーブル116をベースとする配列(図1の実施の形態)における損失よりも大きい。更に、図1と比較して、図2及び7の実施の形態は、ロッド312及び/または314の長さにわたって位置し得る近傍外部材料に、より大きく感応する。従って、構造または支持材料及び/または磁性材料は、ロッド312及び314(図7の実施の形態においてはロッド414)から可能な限り遠去けることが好ましい。
【0033】
図1−2、5、及び7に示すRFIDブリッジ130は、従来の半導体(並びに他の業種)製造設備に設置することが容易である。例えば、RFIDブリッジ130は、安価なハードウェアを使用して既存貯蔵位置の側に固定することができる。再現コイル114は、コンテナ2が貯蔵位置に格納された時にコンテナのRFIDタグ106が位置する付近の貯蔵位置の何処かに簡単に取付けられる。ピックアップコイル112は、ロボット104上の送信デバイス102がアクセス可能な貯蔵位置の何処かに取付けることができる。ケーブル116は、再現コイル114をピックアップコイル112に電気的に接続する。換言すれば、RFIDブリッジ130は極めて柔軟なシステムまたは装置なのである。
【0034】
図3−4、及び8は、本発明に使用することができる回路の異なる実施の形態を示している。図3は、ロボット104、RFIDブリッジ130、及びRFIDタグ106の間の関係の概要図である。送信デバイス102をピックアップコイル112に近付けると、それらは実効的に空気・変成器を形成する。この実施の形態では、RF無線108と送信デバイス102とを接続する共振回路は、キャパシタC1及びキャパシタC2、及び送信デバイス102のインダクタンス(アセンブリ130からの結合インダクタンスを含む)を含み、これらが同調回路を形成している。(無線エレクトロニクス回路最適化の制約の故に)RFID無線はアンテナ及び関連ケーブルを1つの共振回路と見るのを好むことが多い。従って、図3の実施の形態の共振回路は、ケーブルの送信デバイス102に接続されている側上のキャパシタC1及びC2によって形成されている。RFIDブリッジ130は、一般的に、非共振誘導性アセンブリ(少なくとも、RFID読取り器のための関心周波数に関して)からなる。RFIDブリッジ130は、送信デバイス102とピックアップコイル112との間の結合から得られる空気・変成器を通して、送信デバイス102に誘導的に結合される。
【0035】
図4は、共振回路をRFIDブリッジ130に頼ることができる実施の形態を示している。この実施の形態では、キャパシタC3及びC4がRFIDブリッジ130の側にあり、インダクタンスは再現コイル114及びピックアップコイル112のインダクタンスである。従って、送信デバイス102及びRFID読取り器108は、主に非共振誘導性アセンブリ(少なくとも、RFID読取り器のための関心周波数に関して)である。図4の実施の形態は、最も効果的である場合にはより大きい巻線電流を、従ってより大きい磁束を供給する。
【0036】
図5は、RFIDブリッジ230を示している。この実施の形態では、RFIDブリッジ230は、第1の電磁(EM)アンテナ212及び第2のEMアンテナ214を含んでいる。第1のEMアンテナ212は、デバイス216によって第2のEMアンテナ214に電気的に結合されている。デバイス216は、単なる例示であるが、ケーブル、印刷回路基板、等からなることができる。第1のEMアンテナ212は、第2のEMアンテナ214に無線で接続することもできる。図1の実施の形態と同様に、第2のEMアンテナ214は、FOUPが着座している時に、または静止位置にある時に、アンテナ214がRFIDタグ106の近くに位置するように、ストッカー棚、バッファ棚、ツール、等の上に位置決めされる。第1のEMアンテナ212は、送信デバイス202をEMアンテナ212に容易に近付けることができるならば、何処に位置決めしても差し支えない。
【0037】
図5の実施の形態は、図1の実施の形態と同じように動作する。第1のEMアンテナ212は、送信デバイス202が第1のEMアンテナ212の範囲内に到来すると、送信デバイス202から放射される信号をピックアップする。第1のEMアンテナ212は、ビークル送信デバイス202からの信号をピックアップし、その信号を、デバイス216を通して(または、もしデバイス216が存在しなければ、無線で)第2のEM送信デバイス214へ伝送する。第2のEMアンテナ214はRFIDタグ106と通信し、RFIDタグ情報を第1のEMアンテナ212へ戻す。この情報は、ビークルのRFID読取り器108へ戻して中継される。
【0038】
図6は、RFIDシステム100の一実施の形態を示している。この実施の形態では、各RFIDブリッジ130は貯蔵位置150に取付けられる。即ち、RFIDブリッジ130aが、貯蔵位置150aに取付けられている。RFIDブリッジ130bが、貯蔵位置150bに取付けられている。RFIDブリッジ130cが、貯蔵位置150cに取付けられている。これら3つの貯蔵位置150は、ストッカー内の3つの貯蔵棚、3つのバッファ棚、3つの処理ツール等の代表である。
【0039】
各RFIDブリッジ130の再現コイル114は、貯蔵位置150に取付けられる。図6に示すピックアップコイル112は、各貯蔵位置150の前面に取付けられている。ピックアップコイル112は、ピックアップコイル112に送信デバイス102が容易にアクセス可能であるならば貯蔵棚150の他の位置に取付ける、または確保することができる(詳細は後述する)。通信デバイスまたはケーブル116は、ピックアップコイル112を再現コイル114に電気的に結合する。
【0040】
再現コイル114は、貯蔵位置150の如何なる部分にも取付ける、または確保することができる。図6の実施の形態では、再現コイル114は、コンテナ2が貯蔵位置150内に格納された時に、コンテナ2上に取付けられているRFIDタグ106の近くに再現コイル114が位置するように、貯蔵位置150の上側部分152に取付けられている。RFIDブリッジ130が柔軟であるので、RFIDタグ106がコンテナ2の何処に取付けられていようとも、システム100はRFIDタグ106を読取ることができる。もし、RFIDタグ106がコンテナ2の後面に取付けられていれば、コンテナ2が貯蔵位置150に着座した時に再現コイル114がRFIDタグ106を読取ることができるように、再現コイル114を貯蔵位置150の後方部分154に取付ければよい。
【0041】
再現コイル114のRF磁場がRFIDタグ106を越えて伸び、再現コイル114とRFIDタグ106との間の空気/真空ギャップを横切ることができるようにするためには、再現コイル114をRFIDタグ106に近付ける必要がある。ピックアップコイル112を含むRFIDブリッジ130の他方の端は、送信デバイス102を近付けた時に送信デバイス102が発生するRF磁場をピックアップコイル112が受信できる場所に配置することが好ましい。
【0042】
アーム107の先端115に位置している送信デバイス102を有するロボット104は、送信デバイス102を1つのピックアップコイル112に近付けるように運動可能である。その点において、ピックアップコイル112は、送信デバイス102が放射する無線波または信号110をピックアップする。ロボット104は、送信デバイス102をFOUP 2上のRFIDタグ106までさまざまに伸ばす必要はない。1つのコンテナ2を移動させずに各コンテナ2内の内容目録を識別するために、ロボット104は送信デバイス102を各ピックアップコイル112の間で移動させることができる。図6は、複数の貯蔵位置150にアクセスするために、ロボットアーム107を伸張/収縮させる(矢印120で示す)、回転させる(矢印122で示す)ことができることを示しており、また上昇/下降させることができる。
【0043】
ピックアップコイル112は、送信デバイス102が種々の距離から放射する信号をピックアップ、即ち受信することができる。一実施の形態では、ロボット104は、ピックアップコイル112の5cm以内に送信デバイス102を移動させる。次いで、ピックアップコイル112は信号を再現コイル114へ伝送し、再現コイル114はRFIDタグ106と通信する。再現コイル114は、RFIDタグ情報をピックアップコイル112へ戻して伝送する。この情報は、RFID読取り器108へ戻して中継される。RFID読取り器108が特定のRFIDタグ106から情報を入手すると、ロボット104は直ちに送信デバイス102を別のRFIDタグ106へ移動させることができる。これは、製造設備の貴重な時間を節約する。大きいアンテナを使用し、空気を通してRFIDタグの読取りパワーを転送する従来の方法に比して、RFIDブリッジ130は受動的なRFIDタグを読取るためのより小型の、受動的な、そして高価ではない解決策を提供する。
【0044】
RFIDブリッジ130は、コンテナ2上のRFIDタグ106の取付け位置を選択する際に、従来のRFIDシステムより大きい柔軟性を与える。現在は、コンテナがストッカー内に格納されている時に、RFIDタグをRFID読取り器及び特定の貯蔵位置に取付けられているアンテナと対面させるために、RFIDタグをコンテナの前面に取付けなければならない。このタグ位置が、貯蔵の配向、及び貯蔵デバイス及びロボットのアクセス空間及び経路の物理的レイアウトを大きく制約する。RFIDブリッジ130は、RFIDタグ106をコンテナ2上の何処にでも取付けることを可能にする。即ち、RFIDは、コンテナ、貯蔵棚、及びロボット間の物理的関係を更に制約することはない。ピックアップコイル112は、単に送信デバイス102がアクセスできればよい。図6は、各RFIDタグ106がコンテナ2の前面に取付けられていることを示している。RFIDタグ106が例えばコンテナ2の後面に取付けられていても(図示してない)、ピックアップコイル112は貯蔵位置150の前面に留まり、再現コイル114だけを移動させる。即ち、再現コイル114を、RFIDタグ106に近い位置まで移動させる。それでもケーブル116は、再現コイル114をピックアップコイル112に接続し続ける。ピックアップコイル112は貯蔵位置150の前面に留まり、送信デバイス102はRFIDタグ106がコンテナ2のどの表面上に位置していても読取ることができる。
【0045】
図6の実施の形態は、更に、送信デバイス102と貯蔵位置150との間に位置する外部材料/デバイス(例えば、機械的支持または他の構造)からのRF妨害の量を最小にする。従って貯蔵棚150は、鉄またはクロムのような金属または別の磁性材料からなることができる。貯蔵棚150は、他の多くの材料からなることができる。貯蔵棚150は、電子/RF雑音を発生する他の電気的/電子的デバイスを有することもできる。これらの妨害を最小化するために、ケーブル116は、例えばツイステッドペア及び/またはシールデッドペアまたは同軸であることができ、また鉄製のチャンネルまたはサスペンションワイヤー上に(近傍の電気/電子デバイスのための隣接する交流電力/信号ワイヤーと共に)配線することができる。この型のワイヤーは、隣接する交流電力ケーブルからの雑音、または鉄金属との電子的相互作用を原因とするそれ程重大ではない劣化を生ずる。
【0046】
RFIDタグを読取るために必要な電力レベルは、一般的に、RFIDアンテナとRFIDタグとの間の距離の3乗で増加するから、従来のRFIDシステムはより長い距離でRFIDタグを読取るためには大きいRF電力を発生しなければならない。これは、種々の電力、EMI、及び安全上の理由からRFIDアンテナとRFIDタグとの間に許容される実際の距離を制限する。説明している本発明の実施の形態は各々、送信デバイス102とピックアップコイル112との間、及びRFIDタグ106と再現コイル114との間の通信に必要なRF電力が小さくてよいので、動作に必要な電力は小さい。システムの総合電力要求が低いので、本発明はより安価なRFID無線を使用することが可能になり、システムのコストを低下させる。RF電力要求が低いことは、改良された品質制御をももたらす。もし、追跡している材料が例えばFOUP内に格納されているウェーハであれば、ウェーハが曝されるRFエネルギはより低いことが好ましい。大きいRFエネルギはウェーハを破壊するか、または品質を劣化させるからである。低電力要求はまた、応用または法令が低RF電力制約を要求するような場合に、新しい使用を可能にする。
【0047】
図7は、RFIDブリッジ430のモノポール構成を示している。この実施の形態では単一の磁気ロッド414が使用され、明確な有形戻り経路を用いずにRF場410を発生する。ロボット404は、就中、送信デバイス402及びRFID読取り器408を含んでいる。RFIDブリッジ430は、この実施の形態では、単一の磁気ロッド414からなっている。磁気ロッド414は、単片構造、または複数の密に接続された片からなることができる。磁気ロッド414はモノポール構造であり、低磁気抵抗の磁性材料を介して磁束410の広がりにわたって伸びている。RF場のための戻り路417は、空気を通してである。図7の実施の形態は、戻り路417が高い磁気抵抗を呈する空気を通るので、図2の実施の形態程効率的ではない。戻り路417は、近傍の雑音源からの妨害にも曝され、近傍金属または磁性材料からの非システマティック(決定及び/または制御することが容易でない)電子的挙動によって影響され得る。RFIDタグ406は、これらの効果を最小化するために磁気ロッド414の下に位置させることが好ましい。勿論、RFIDタグ406を他所に位置決めすることもできる。
【0048】
図8は、RFIDシステム100が2つの共振回路を含み得ることを示している。共振回路は、送信デバイス102及びピックアップコイル112によって形成される空気・変成器の各側に1つずつ存在している。この場合、キャパシタC5及びC6が送信デバイス102と組合されて1つの共振回路を構成している。キャパシタC7及びC8は、RFIDブリッジ130の側に第2の共振回路を構成している。この構成は、電子的設計にある課題をもたらすが(臨界結合より大きい場合の共振スプリット)、それ以外は実行可能なオプションである。
【0049】
図9は、RFIDシステム500を示している。この実施の形態では、各貯蔵位置550は種々のサイズの1つまたはそれ以上の、この実施の形態では3つまでのコンテナを格納することができる。従って各貯蔵位置550は、システム500が各コンテナの内容目録及び/または貯蔵位置を決定できるように、3つのRFIDブリッジ530を含んでいる。各貯蔵位置550は如何なる数のコンテナ2をも格納することができ、複数の貯蔵位置550を例えば垂直にスタックしてストッカー状装置を構成することができる。このシステム500は柔軟且つ効率的な貯蔵空間を提供し、種々のサイズのコンテナを貯蔵位置550の何れかの中に格納することを可能にする。
【0050】
図9は、貯蔵位置550aが3つのRFIDブリッジ、即ち、RFIDブリッジ530a1、RFIDブリッジ530a2、及びRFIDブリッジ530a3を含むことを示している。各RFIDブリッジ530aは、貯蔵位置550a内の貯蔵領域に専用されている。例えば、再現コイル514a1はトップ貯蔵領域に専用され、再現コイル514a2は中央貯蔵領域に専用され、そして再現コイル514a3は下側貯蔵領域に専用される。図9に示されているコンテナ2は、コンテナの左側に取付けられているRFIDタグ506を含む。従って、各再現コイル514aは、コンテナ2が1つの貯蔵領域内に着座した時に、再現コイル514aがRFIDタグ506に接近するように、またはその付近に位置するように貯蔵位置550aに位置決め、または取付けられる。RFIDタグ506が各コンテナ2の異なる位置(例えば、コンテナのトップ)に取付けられていれば、再現コイル514aは各々、貯蔵位置の対応する位置に取付けることができる。
【0051】
各RFIDブリッジ530aは、送信デバイス502が容易にアクセスできる位置(例えば、貯蔵位置550aの前方、もし貯蔵位置が天井取付けであれば貯蔵位置550aの下、等)に位置決めされているピックアップコイル512aを含む。RFIDブリッジ530a1はピックアップコイル512a1を含み、RFIDブリッジ530a2はピックアップコイル512a2を含み、そしてRFIDブリッジ530a3はピックアップコイル512a3を含む。各ピックアップコイル512aは、導体516aによって再現コイル514aに接続されているように図示されている。好ましい実施の形態では、ピックアップコイル512a1−512a3は、ロボット504が送信デバイス502を各ピックアップコイル512aに容易に近付けることができるように、垂直にスタックされている。各RFIDブリッジ530aは、他の構成を有することができる。例えば、ピックアップコイル512aは、アンテナ(例えば、図5)、電磁デバイス、磁気デバイス、等からなることができる。
【0052】
RFIDタグ506は、コンテナ2の容量またはサイズのような他の情報を含むこともできる。従って、ロボット504はRFIDタグ506を読取って、コンテナ2のサイズ(例えば、大容量FOUPまたは小容量FOUP)、貯蔵位置550が空であるか否か、等々を決定することができる。コンテナ存在センサーは最早不要であり、能動型及び/または被給電エレクトロニクスは貯蔵位置550から排除される。RFIDブリッジは材料コストを、並びに設置及び保守コストをも引き下げる。
【0053】
従来のシステムでは、同じ情報を得るために、RFIDアンテナを各個々のコンテナのRFIDタグへ近付けなければならなかった。本発明では、貯蔵領域毎に専用RFIDブリッジが設けられているので、RFID読取り器508は貯蔵位置550a内に格納されている各コンテナ2の内容目録を容易に決定し、及び/またはその貯蔵領域が空であるか否かを決定することができる。動作中、ロボット504は送信デバイス502をピックアップコイル512a3に近付け、下側貯蔵領域内に着座しているコンテナ2bの内容目録を入手する。次いで、ロボット504は送信デバイス502をピックアップコイル512a2に近付け、中央貯蔵領域内に着座しているコンテナ2aの内容目録を入手する。次いで、ロボット504は送信デバイス502をピックアップコイル512a1に近付け、上側貯蔵領域が空であることを決定する。3つの決定の全てが、送信デバイス502を短い距離(例えば、ピックアップコイル512a1とピックアップコイル512a3との間の距離)移動させるだけで達成されている。代替として、RFID送信デバイス502を3つのピックアップコイル512a1、512a2、及び512a3全部の通信範囲内に移動させ、その後に、何等の付加的な距離をも移動させることなく、3つのピックアップコイルの全部を読取ることができる。
【0054】
貯蔵位置550bも、3つのRFIDブリッジ、即ち、RFIDブリッジ530b1、RFIDブリッジ530b2、及びRFIDブリッジ530b3を含んでいる。各RFIDブリッジ530bは、貯蔵位置550b内の貯蔵領域に専用される。即ち、再現コイル514b1は貯蔵位置550b内の貯蔵領域に専用され、再現コイル514b2は中央貯蔵領域に専用され、そして再現コイル514b3は下側貯蔵領域に専用される。
【0055】
各RFIDブリッジ530bは、送信デバイス502が容易にアクセス可能な位置に位置決めされているピックアップコイル512bを含む。RFIDブリッジ530b1はピックアップコイル512b1を含み、RFIDブリッジ530b2はピックアップコイル512b2を含み、そしてRFIDブリッジ530b3はピックアップコイル512b3を含む。各ピックアップコイル512bは、導体516bによって再現コイル514bに接続されている。好ましい実施の形態では、ピックアップコイル512b1−512b3は、ロボット504が送信デバイス502を各ピックアップコイル512bに容易に近付けることができるように、垂直にスタックされている。各RFIDブリッジ530bは、他の構成を有することができる。例えばピックアップコイル512bは、アンテナ(例えば、図5)、電磁デバイス、磁気デバイス、等からなることができる。
【0056】
貯蔵位置550bは2つのコンテナ、即ち、コンテナ2c及びコンテナ2dを格納しているように図示されている。コンテナ2cは大容量コンテナであり、ボトム貯蔵領域及び中央貯蔵領域を占有している。コンテナ2dは図9に示したコンテナ2a及び2に類似し、トップ貯蔵領域を占有している。各再現コイル514bは、小容量コンテナまたは大容量コンテナの何れのRFIDタグ506からも情報を入手することができるように、貯蔵位置550b上に配置されている。ロボット504が送信デバイス502をピックアップコイル512b3に近付けると、RFID読取り器108はコンテナ2cのRFIDタグ506内に格納されている情報を入手する。ロボット504が送信デバイス502をピックアップコイル512b2に近付けても、再現コイル541b2の近くにはRFIDタグ506が位置していないので、RFID読取り器108は情報を入手しない。ロボット504が送信デバイス502をピックアップコイル512b1に近付けると、RFID読取り器108はコンテナ2dのRFIDタグ506内に格納されている情報を入手する。
【0057】
貯蔵位置550cは2つのコンテナ、即ち、コンテナ2e及びコンテナ2fを格納しているように図示されている。コンテナ2eはボトム貯蔵領域を占有し、コンテナ2fはトップ貯蔵領域を占有している。中央貯蔵領域は空である。各再現コイル514cは、3つの貯蔵領域の何れかに格納されているコンテナ上のRFIDタグ506から情報を入手することができるように、貯蔵位置550c上に配置されている。ロボット504が送信デバイス502をピックアップコイル512c3に近付けると、RFID読取り器108はコンテナ2eのRFIDタグ506内に格納されている情報を入手する。ロボット504が送信デバイス502をピックアップコイル512c2に近付けても、中央貯蔵領域は空であるのでRFID読取り器108は情報を入手しない。ロボット504が送信デバイス502をピックアップコイル512c1に近付けると、RFID読取り器108はコンテナ2fのRFIDタグ506内に格納されている情報を入手する。
【0058】
RFIDタグを遠隔的に読取るための上述したメカニズム及び方法は単なる例示に過ぎず、本発明はこれらに限定されるものではないことを理解されたい。RFID読取り範囲を拡張する方法及びシステムの好ましい実施の形態を説明したが、当業者ならば、システム内に若干の長所が達成されていることを理解できよう。また、本発明の範囲及び思想から逸脱することなく種々の変更、順応、及び代替実施の形態を考え得ることも理解されよう。例えば、ストッカーに関連してのRFIDブリッジ130の使用も、半導体製造設備内の他の機器と関連して使用することができ、また多くの上述した本発明の概念は他の非半導体製造応用への使用にも等しく適用されることは明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数識別送信デバイスが、ある貯蔵位置に着座しているあるコンテナに取付けられた無線周波数識別タグから情報を入手することを可能にする装置であって、
再現デバイスを備え、上記再現デバイスは、上記コンテナが上記貯蔵位置に着座している時に、上記コンテナに取付けられた無線周波数識別タグが上記再現デバイスに接近するように上記貯蔵位置に対して位置決めされ、
ピックアップデバイスを更に備え、上記ピックアップデバイスは、無線周波数識別アンテナを上記ピックアップデバイスに接近させることができるように上記貯蔵位置に対して位置決めされ、
上記無線周波数識別送信デバイスが放射した無線周波数を、上記ピックアップデバイスから上記再現デバイスへ伝送する手段を更に備えている、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
上記ピックアップデバイスは、磁気コイルからなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記再現デバイスは、磁気コイルからなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
上記ピックアップデバイスは、電磁アンテナからなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
上記再現デバイスは、電磁アンテナからなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
上記ピックアップデバイスは、上記無線周波数識別送信デバイスが上記ピックアップデバイスに接近して位置している時に、上記無線周波数識別送信デバイスと電磁結合を形成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
上記ピックアップデバイスは、上記無線周波数識別送信デバイスが上記ピックアップデバイスに接近して位置している時に、上記無線周波数識別送信デバイスと磁気結合を形成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
上記再現デバイスは、上記無線周波数識別タグと電磁結合を形成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
上記再現デバイスは、上記無線周波数識別タグと磁気結合を形成することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
あるコンテナ上に取付けられた無線周波数識別タグから情報を入手するシステムであって、
複数の貯蔵位置を有し、上記複数の貯蔵位置の各1つが1つのコンテナを格納するようになっているコンテナ貯蔵デバイスと、
無線周波数信号を放射する送信デバイスと、
複数の無線周波数識別ブリッジと、
を備え、
上記複数の無線周波数識別ブリッジの各1つは単一の貯蔵位置に関連付けられ、且つ、 再現デバイスを含み、上記再現デバイスは、上記コンテナが上記貯蔵位置内に着座している時に、上記コンテナに取付けられた上記無線周波数識別タグが上記再現デバイスに接近するように上記貯蔵位置に対して位置決めされ、
ピックアップデバイスを更に含み、上記ピックアップデバイスは、上記送信デバイスを上記ピックアップデバイスに接近操作することができるように上記貯蔵位置に対して位置決めされ、
上記送信デバイスによって放射された上記無線周波数信号を、上記再現デバイスへ伝送する手段を更に含み、
上記送信デバイスは、上記各無線周波数識別ブリッジの上記各ピックアップデバイスに接近操作することができる、
ことを特徴とするシステム。
【請求項11】
上記ピックアップデバイスは、磁気コイルからなることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
上記再現デバイスは、磁気コイルからなることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
上記ピックアップデバイスは、電磁アンテナからなることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
上記再現デバイスは、電磁アンテナからなることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
上記ピックアップデバイスは、上記送信デバイスが上記ピックアップデバイスに接近して位置している時に、上記送信デバイスと電磁結合を形成することを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
上記ピックアップデバイスは、上記送信デバイスが上記ピックアップデバイスに接近して位置している時に、上記送信デバイスと磁気結合を形成することを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
上記再現デバイスは、上記無線周波数識別タグと電磁結合を形成することを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
上記再現デバイスは、上記無線周波数識別タグと磁気結合を形成することを特徴とする請求項10に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−49578(P2013−49578A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−257944(P2012−257944)
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2009−514245(P2009−514245)の分割
【原出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(510242325)クロッシング オートメーション インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】