説明

読取装置、読取システム、およびプログラム

【課題】表示部の画像を撮像するための専用の読取装置を併設する必要がなくなり、かつPOS端末を操作するオペレータの作業量が増えることを防止する。
【解決手段】実施形態の読取装置は、撮像装置と、読取手段と、検出手段と、制御手段と、を備える。前記撮像装置は、画像を撮像する。前記読取手段は、前記撮像された画像から情報を読み取る。前記検出手段は、前記撮像された画像から、前記読取手段により読み取る情報を表示する表示部を備えた携帯端末を検出する。前記制御手段は、前記携帯端末が検出されなかった場合、前記表示部以外を撮像するための第1設定に従って前記撮像装置による画像の撮像を制御し、前記携帯端末が検出された場合に、前記表示部を撮像するための第2設定に従って前記撮像装置による画像の撮像を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、読取装置、読取システム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、QRコード(登録商標)などの二次元コードが広く普及している。また、二次元コードなどから情報を読み取る読取装置としてカメラ式スキャナを用いたPOS端末が市場に登場している。カメラ式スキャナを用いたPOS端末によれば、バーコードだけでなく、QRコード(登録商標)などの二次元コードや値引きシールを認識することができるので、商品の購入に対して付与する値引きを自動で行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年の携帯電話の普及に伴って、値引き等のサービスを受けるためのクーポンなどのデータが店舗から携帯電話に送付され、顧客が携帯電話の表示部にクーポンなどのデータを表示させて店頭に提示することによりサービスを受けるケースが増えている。しかしながら、携帯電話の表示部として用いられる液晶画面は発光しているため、POS端末において用いられているカメラ式スキャナに液晶画面をかざすと、POS端末が備える照明などの影響により、液晶画面に表示された情報を読み取ることができない。
【0004】
そのため、POS端末に携帯電話専用の読取装置を併設したり、オペレータがPOS端末を手作業で操作して携帯電話の液晶画面を読み取れる設定に切り替えたりする方法も考えられているが、POS端末が設置された店舗における設備費の増加やPOS端末を操作するオペレータの作業量を増やすことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の読取装置は、撮像装置と、読取手段と、検出手段と、制御手段と、を備える。前記撮像装置は、画像を撮像する。前記読取手段は、前記撮像された画像から情報を読み取る。前記検出手段は、前記撮像された画像から、前記読取手段により読み取る情報を表示する表示部を備えた携帯端末を検出する。前記制御手段は、前記携帯端末が検出されなかった場合、前記表示部以外を撮像するための第1設定に従って前記撮像装置による画像の撮像を制御し、前記携帯端末が検出された場合に、前記表示部を撮像するための第2設定に従って前記撮像装置による画像の撮像を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、本実施形態にかかるPOSシステムの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、POS端末および商品読取装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、PLUファイルのデータ構成を例示する概念図である。
【図4】図4は、撮像部の撮像範囲と商品との関係を示す図である。
【図5】図5は、撮像部の撮像範囲と携帯端末との関係を示す図である。
【図6】図6は、POS端末および商品読取装置の機能構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、本実施形態にかかる商品読取装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、フレーム画像から認識する「1」から「9」までの数字の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態にかかるPOSシステムの全体構成を示す斜視図である。図1に示すように、POS(Point Of Sales)システム1は、一取引にかかる商品の登録、精算を行うPOS端末11を備える。POS端末11は、チェックアウト台51上のドロワ21上面に載置されている。そして、POS端末11は、ドロワ21の開放動作を制御する。POS端末11は、オペレータ(ユーザ)によって押下操作されるキーボード22を上面に配置している。また、POS端末11は、キーボード22を操作するオペレータから見てキーボード22よりも奥側に、オペレータに向けて情報を表示する表示デバイス23を設けている。表示デバイス23は、表示面23aに情報を表示する。また、POS端末11は、タッチパネル26を表示面23a上に積層配置している。また、POS端末11は、表示デバイス23よりもさらに奥側に、顧客用表示デバイス24を回転自在に立設している。顧客用表示デバイス24は、その表示面24aに情報を表示する。なお、図1に示す顧客用表示デバイス24は、表示面24aを図1中手前側に向けているが、表示面24aが図1中奥側に向くように顧客用表示デバイス24を回転させることによって、顧客に向けて情報を表示する。
【0008】
POSシステム1は、POS端末11が載置されているチェックアウト台51とL字を形成するようにして、横長テーブル状のカウンタ台151を配置している。カウンタ台151の上面には、荷受面152が形成されている。荷受面152には、商品Aを収納する買物カゴ153が載置される。買物カゴ153は、顧客によって持ち込まれる第1の買物カゴ153aと、第1の買物カゴ153aから商品読取装置101を挟んだ位置に位置付けられる第2の買物カゴ153bとに分けて考えることができる。なお、買物カゴ153(第1の買物カゴ153a)は、いわゆるカゴ形状のものに限るものではなく、パン店等の店舗において用いられるトレーなどであっても良い。また、買物カゴ153(第2の買物カゴ153b)は、いわゆるカゴ形状のものに限るものではなく、ドーナツ店等の店舗において用いられる紙箱などであっても良い。
【0009】
カウンタ台151の荷受面152には、POS端末11とデータ送受信自在に接続された商品読取装置101が設置されている。商品読取装置101は、薄型矩形形状のハウジング102を備える。ハウジング102の正面には読取窓103が配置されている。ハウジング102の上部には、表示・操作部104が取り付けられている。表示・操作部104には、タッチパネル105が表面に積層された表示デバイス106が設けられている。表示デバイス106の右隣にはキーボード107が配設されている。キーボード107の右隣には、図示しないカードリーダのカード読取溝108が設けられている。オペレータから見て表示・操作部104の裏面左奥側には、顧客に情報を提供するための顧客用表示デバイス109が設置されている。
【0010】
このような商品読取装置101は、商品読取部110(図2参照)を備えている。商品読取部110は、読取窓103の奥側に撮像部164(図2参照)および照明部166(図2参照)を配置している。
【0011】
顧客によって持ち込まれた第1の買物カゴ153aには、一取引にかかる商品Aが収納されている。商品Aは、オペレータの手によって第2の買物カゴ153bへと移動される。この移動過程で、商品Aが商品読取装置101の読取窓103に向けられる。この際、読取窓103の奥側に配置された撮像部164(図2参照)は商品Aを撮像する。商品読取装置101では、撮像部164(図2参照)により撮像された画像に含まれる商品Aの全部または一部を検出する。商品読取装置101では、撮像部164(図2参照)により撮像された画像に商品Aの全部または一部が含まれることを検出した場合、その撮像された画像をPOS端末11へ出力する。POS端末11では、商品Aの各々について、商品Aの売上登録にかかる情報と商品Aの画像とが関連付けられたPLUファイルF1(詳細は後述する。図3参照)を参照して、商品読取部110の撮像部164(図2参照)により撮像された商品Aの全部または一部の画像から特定の物体である商品Aを認識することで売上登録を行う商品Aを特定する。さらに、POS端末11は、特定された商品Aの商品ID、商品分類、商品名、単価などの売上登録にかかる情報を、売上マスタファイル(図示しない)などに記録して売上登録を行う。
【0012】
また、商品読取装置101の読取窓103には、商品Aの値引き値等の情報を含むQRコード(登録商標)やバーコード等のコードシンボルを表示する液晶画面等の表示部501(図5参照)を有する携帯端末P(図5参照)や、商品Aの値引き値等の情報を含むQRコード(登録商標)やバーコード等のコードシンボルが印字されたクーポン券が向けられる。この際、読取窓103の奥側に配置された撮像部164(図2参照)は、表示部501(図5参照)に表示されたコードシンボルの画像またはクーポン券に印字されたコードシンボルの画像を撮像する。商品読取装置101では、撮像部164(図2参照)により撮像された画像に含まれるコードシンボルから、商品Aの値引き値等の情報を読み取る。そして、商品読取装置101は、商品Aの値引き値等の情報をPOS端末11へ出力する。POS端末11は、商品Aの値引き値等の情報を受け取った場合、撮像部164により撮像された画像から特定した商品Aの売上登録にかかる情報に、商品Aの値引き等の情報を付加して、売上マスタファイル(図示しない)などに記録して売上登録を行う。
【0013】
図2は、POS端末および商品読取装置のハードウェア構成を示すブロック図である。POS端末11は、情報処理を実行する情報処理部としてのマイクロコンピュータ60を備える。マイクロコンピュータ60は、各種演算処理を実行し各部を制御するCPU(Central Processing Unit)61に、ROM(Read Only Memory)62とRAM(Random Access Memory)63とがバス接続されている。
【0014】
POS端末11のCPU61には、前述したドロワ21、キーボード22、表示デバイス23、タッチパネル26、顧客用表示デバイス24がいずれも各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続されている。これらは、CPU61による制御を受ける。
【0015】
キーボード22は、「1」、「2」、「3」…等の数字や「×」という乗算の演算子が上面に表示されているテンキー22d、仮締めキー22e、および締めキー22fを含む。
【0016】
POS端末11のCPU61には、HDD(Hard Disk Drive)64が接続されている。HDD64には、プログラムや各種ファイルが記憶されている。HDD64に記憶されているプログラムや各種ファイルは、POS端末11の起動時に、その全部または一部がRAM63にコピーされてCPU61により順次実行される。HDD64に記憶されているプログラムの一例は、商品販売データ処理用のプログラムPRである。HDD64に記憶されているファイルの一例は、ストアコンピュータSCから配信されて格納されているPLUファイルF1である。
【0017】
PLUファイルF1は、店舗に陳列して販売する商品Aの各々について、商品Aの売上登録にかかる情報と、その商品Aの画像との関連付けが設定されたファイルである。図3は、PLUファイルのデータ構成を例示する概念図である。図3に示すように、PLUファイルF1は、商品Aごとに、ユニークに割り当てられた商品ID、商品Aが属する商品分類、商品名、単価などの商品Aの売上登録にかかる情報と、商品Aを撮像した商品画像と、を格納するファイルである。
【0018】
図2に戻り、POS端末11のCPU61には、ストアコンピュータSCとデータ通信を実行するための通信インターフェース25が入出力回路(図示せず)を介して接続されている。ストアコンピュータSCは、店舗のバックヤード等に設置されている。ストアコンピュータSCのHDD(図示せず)には、POS端末11に配信されるPLUファイルF1が格納されている。
【0019】
さらに、POS端末11のCPU61には、商品読取装置101との間でデータ送受信を可能にする接続インターフェース65が接続されている。接続インターフェース65には、商品読取装置101が接続されている。また、POS端末11のCPU61には、レシートなどに印字するプリンタ66が接続されている。プリンタ66は、CPU61の制御のもと、一取引の取引内容をレシートに印字する。
【0020】
商品読取装置101も、マイクロコンピュータ160を備える。マイクロコンピュータ160は、CPU161にROM162とRAM163とがバス接続されている。ROM162には、CPU161によって実行されるプログラムが記憶されている。CPU161には、撮像装置167、音声出力部165が各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続されている。撮像装置167、音声出力部165は、CPU161によって動作が制御される。表示・操作部104は接続インターフェース176を介してPOS端末11に接続されている。表示・操作部104はPOS端末11のCPU61によって動作が制御される。
【0021】
撮像装置167は、カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやカラーCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどであり、CPU161の制御の下で読取窓103から画像を撮像する撮像部164、およびLED(Light Emitting Diode)等であり、撮像部164により画像を撮像する撮像範囲をカバーするように照明光を照射する照明部166を備えている。
【0022】
例えば撮像部164は、所定のフレームレート(例えば、5000分の1秒)でフレーム画像を撮像する。そして、CPU161は、所定のフレームレートで順次撮像されたフレーム画像を、RAM163に保存する。なお、撮像部164は、CPU161によってフレーム画像を撮像するフレームレートが可変可能である。また、照明部166も、CPU161によってLEDを点灯する強度を可変可能である。
【0023】
図4は、撮像部の撮像範囲と商品との関係を示す図である。図5は、撮像部の撮像範囲と携帯端末との関係を示す図である。撮像部164は、図4に示すように、オペレータの手によって商品Aが撮像部164の撮像範囲Xに入れられると、商品Aの全部または一部を含む画像を撮像する。また、撮像部164は、図5に示すように、商品Aの撮像前または撮像後にオペレータの手によって携帯端末Pが撮像部164の撮像範囲Xに入れられると、携帯端末Pの表示部501に表示されているバーコード502やQRコード(登録商標)などのコードシンボルや、携帯端末Pのキー503(「1」から「9」までの数字が表示されたキーが3×3で配置されたテンキー、「♯」や「*」などが表示されたキーなど)を含む画像を撮像する。なお、携帯端末Pの表示部501に表示されているバーコード502は、商品Aの値引き値等の情報を含むものとする。また、携帯端末Pの表示部501は、例えば液晶画面など、光を発光することにより情報を表示するものである。
【0024】
図2に戻り、音声出力部165は、予め設定された警告音などを発生するための音声回路とスピーカなどである。音声出力部165は、CPU161の制御の下で警告音などの音声による報知を行う。
【0025】
さらに、CPU161には、POS端末11の接続インターフェース65に接続して、POS端末11との間でデータ送受信を可能にする接続インターフェース175が接続されている。CPU161は、商品読取装置101の撮像部164によって撮像された画像(商品Aの全部または一部を含む画像)および携帯端末Pの表示部501に表示されているコードシンボルから読み取った商品Aの値引き値等の情報を、接続インターフェース175を介して出力し、接続インターフェース65を介してPOS端末11に入力する。
【0026】
次に、CPU161、CPU61がプログラムを順次実行することで実現されるCPU161、CPU61の機能部について、図6を参照して説明する。図6は、POS端末および商品読取装置の機能構成を示すブロック図である。図6に示すように、CPU161は、プログラムを順次実行することにより、撮像制御部601、検出部602、読取部603、画像出力部604としての機能を備える。同様に、CPU61は、物体認識部605、商品登録部606としての機能を備える。
【0027】
撮像制御部601は、撮像部164に撮像オン信号を出力して撮像部164に撮像動作を開始させる。撮像制御部601は、撮像動作開始後に撮像部164が撮像してRAM163に保存されたフレーム画像を順次取り込む。撮像制御部601は、フレーム画像の取り込みを、RAM163に保存された順に行う。
【0028】
また、撮像制御部601は、撮像装置167によってフレーム画像が撮像されている間、値引き値等の情報が印字されたクーポン券や商品Aなど表示部501以外を撮像するための第1設定または携帯端末Pが備える表示部501を撮像するための第2設定に従って、撮像装置167によるフレーム画像の撮像を制御するものである。
【0029】
本実施形態では、撮像制御部601は、後述する検出部602により表示部501が検出された場合、第2設定に従って、予め設定されたフレームレート(例えば、5000分の1秒)よりも遅いフレームレートで撮像部164によるフレーム画像の撮像を制御するとともに、照明部166を消灯または照明部166の照度を予め設定された照度よりも下げる。なお、撮像制御部601は、表示部501が液晶画面である場合、当該液晶画面が有するバックライトが照射する光の照度に応じて、撮像部164のフレームレートを制御しても良い。
【0030】
一方、撮像制御部601は、後述する検出部602により表示部501が検出されなかった場合、値引き値等の情報が印字されているクーポン券や商品Aを撮像するために、第1設定に従って、予め設定されたフレームレート、例えば撮像ブレを少なくするために5000分の1秒程度のなるべく速い適正なシャッタースピードで撮像部164による撮像を制御するとともに、照明部166を点灯または照明部166の照度を予め設定された照度よりも上げる。
【0031】
さらに、撮像制御部601は、後述する検出部602により携帯端末Pが検出された場合、撮像装置167による撮像を制御する設定を第2設定に切り替える。第2設定に切り替えた後、後述する読取部603により情報が読み取られると、撮像制御部601は、撮像装置167による撮像を制御する設定を、第1設定に切り替える。
【0032】
検出部602は、撮像制御部601により取り込まれたフレーム画像に含まれる商品Aまたは携帯端末Pの全部または一部を、パターンマッチング技術や文字認識技術などを用いて検出する。
【0033】
本実施形態では、検出部602は、取り込まれたフレーム画像から肌色領域の有無を検出する。肌色領域が検出された場合、すなわち、オペレータの手の写り込みが検出された場合、検出部602は、取り込まれたフレーム画像を2値化した画像から輪郭線などを抽出する。これにより、検出部602は、オペレータの手が把持していると想定される商品Aまたは携帯端末Pの輪郭抽出を試みる。このとき、手の形状を示す輪郭と、それ以外の輪郭とが検出された場合は、オペレータが商品Aまたは携帯端末Pを把持していると判断する。
【0034】
ここで、オペレータが商品Aまたは携帯端末Pを把持していると判断した場合、検出部602は、フレーム画像から「1」から「9」までの数字などの所定の文字を認識する。さらに、検出部602は、認識した「1」から「9」までの数字が3×3などの所定の配置で配列されているか否かを判定する。そして、フレーム画像から「1」から「9」までの数字が認識されかつ当該認識された「1」から「9」までの数字が3×3の配置で配列されていると判定された場合、検出部602は、携帯端末Pのキー503が存在すると判断して、オペレータが把持しているものが携帯端末Pであると判断する。一方、所定の文字が認識されなかった場合、若しくは認識された所定の文字が所定の配置で配列されていなかった場合、検出部602は、オペレータが把持しているものが商品Aであると判断する。
【0035】
なお、本実施形態では、検出部602は、パターンマッチング技術や文字認識技術を用いて携帯端末Pの全部または一部を検出しているが、これに限定するものではない。例えば、検出部602は、携帯端末Pの基準画像を参照して、撮像部164により撮像されたフレーム画像から、特徴量としての色合いや表面の凹凸状況等の表面の状態を読み取ることによって特定の物体として携帯端末Pを認識する。なお、検出部602は、処理時間の短縮を図るため、携帯端末Pの輪郭や大きさを考慮しないものとする。携帯端末Pの全部または一部の検出に物体認識を用いることにより、検出部602は、キー503を有しない、タッチパネルにより操作する携帯端末を検出することができる。例えば、検出部602は、撮像部164により撮像されたフレーム画像から、タッチパネルが積層配置された液晶画面からの鏡面反射を特徴量として読み取ることにより、携帯端末を検出することができる。
【0036】
このように画像中に含まれる物体を認識することは一般物体認識(generic object recognition)と呼ばれている。このような一般物体認識については、下記の文献において各種認識技術が解説されている。
柳井 啓司,“一般物体認識の現状と今後”,情報処理学会論文誌,Vol.48,No.SIG16 [平成22年8月10日検索],インターネット<URL: http://mm.cs.uec.ac.jp/IPSJ-TCVIM-Yanai.pdf >
【0037】
また、画像をオブジェクトごとに領域分割することによって一般物体認識を行う技術が、下記の文献において解説されている。
Jamie Shottonら,“Semantic Texton Forests for Image Categorization and Segmentation”,[平成22年8月10日検索],インターネット<URL: http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.145.3036&rep=rep1&type=pdf >
【0038】
読取部603は、撮像制御部601により取り込まれたフレーム画像から、クーポン券に印字されたバーコードやQRコード等のコードシンボルを検出するとともに、検出したコードシンボルから、値引き値等の情報を読み取る。
【0039】
また、読取部603は、検出部602により携帯端末Pが検出された場合、撮像制御部601により取り込まれたフレーム画像から、携帯端末Pの表示部503に表示されたバーコード502やQRコードなどのコードシンボルを検出し、検出したコードシンボルから、値引き値等の情報を読み取る。
【0040】
画像出力部604は、撮像制御部601が取り込んだフレーム画像を接続インターフェース175を介してPOS端末11へ出力する。画像出力部604は、撮像制御部601が取り込んだフレーム画像を逐次POS端末11へ出力してもよいが、検出部602により商品Aの全部または一部が検出されたフレーム画像をPOS端末11へ出力するものとする。このように、検出部602により商品Aの全部または一部が検出されたフレーム画像をPOS端末11へ出力することで、商品Aの全部または一部が含まれていないフレーム画像によってPLUファイルF1を参照して実行する物体認識がPOS端末11で行われることを防止できる。特定の物体の認識処理は処理時間を要することから、特定の物体の認識の見込みのない、商品Aの全部または一部が含まれていないフレーム画像での処理を防止することで、処理時間の短縮を図ることができる。
【0041】
また、画像出力部604は、読取部603により値引き値等の情報が読み取られた場合、読み取った値引き値等の情報を、POS端末11へ出力する。
【0042】
物体認識部605は、PLUファイルF1の商品画像を参照して、商品読取装置101の撮像部164により撮像されたフレーム画像に含まれる商品Aの全部または一部の画像から、特徴量として色合いや表面の凹凸状況等の表面の状態を読み取ることによって特定の物体として商品Aを認識する。本実施形態では、物体認識部605は、上述した一般物体認識により商品Aの認識を行うものとする。なお、物体認識部605は、処理時間の短縮を図るため、商品Aの輪郭や大きさは考慮しないものとする。POS端末11では、物体認識部605の認識結果により、PLUファイルF1に予め登録されている商品の中から商品読取装置101が読み取った商品を特定できる。
【0043】
商品登録部606は、物体認識部605により認識された商品画像と関連する売上登録にかかる情報、すなわち、商品読取装置101が読み取った商品Aとして特定された商品Aの商品ID、商品分類、商品名、単価などを売上マスタファイルなどに記録して売上登録を行う。また、商品登録部606は、読取部603により読み取られた情報(例えば、値引き値等)が出力された場合、物体認識部605により認識された商品画像と関連する売上登録にかかる情報に、読取部603により読み取られた情報を付加して、売上マスタファイルに記録して売上登録を行うものとする。
【0044】
次に、商品読取装置101の動作について詳細に説明する。図7は、本実施形態にかかる商品読取装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【0045】
撮像制御部601は、撮像部164による撮像動作開始後、撮像部164が撮像してRAM163に保存されたフレーム画像を順次取り込む。なお、撮像制御部601は、撮像部164による撮像動作が開始された際、撮像部164による撮像を制御する設定を、第1設定に切り替えておくものとする。
【0046】
検出部602は、撮像制御部601により取り込まれたフレーム画像からのオペレータの手の写り込みの検出を開始する(ステップS701)。そして、取り込まれたフレーム画像からのオペレータの手の写り込みが検出されなかった場合(ステップS702:No)、検出部602は、ステップS701に戻り、フレーム画像からデータの検出を繰り返す。
【0047】
一方、取り込まれたフレーム画像からオペレータの手の写り込みが検出された場合(ステップS702:Yes)、検出部602は、フレーム画像から「1」から「9」までの数字を認識するとともに、認識した「1」から「9」までの数字が所定の配置に配列されているか否かを判断する(ステップS703)。図8は、フレーム画像から認識する「1」から「9」までの数字の配置を示す図である。検出部602は、例えば、図8に示すように、フレーム画像から認識した「1」から「9」までの数字が3×3に配列されているか否かを判断する。
【0048】
図7に戻り、認識した「1」から「9」までの数字が所定の配置に配列されていないと判断した場合(ステップS703:No)、読取部603は、取り込まれたフレーム画像から、クーポン券に印字されたコードシンボルを検出する(ステップS704)。次いで、読取部603は、検出したコードシンボルから、値引き値等の情報を読み取る(ステップS705)。なお、図示しないが、取り込まれたフレーム画像から商品Aが検出された場合には、画像出力部604が、撮像制御部601が取り込んだフレーム画像を接続インターフェース175を介してPOS端末11へ出力するものとする。
【0049】
認識した「1」から「9」までの数字が所定の配置に配列されていると判断した場合(ステップS703:Yes)、撮像制御部601は、撮像部164による撮像を制御する設定を、第1設定から第2設定に切り替える(ステップS706)。次いで、読取部603は、第2設定に切り替えられた後に撮像制御部601により取り込まれたフレーム画像から、携帯端末Pの表示部503に表示されたコードシンボルを検出する(ステップS707)。そして、読取部603は、検出したコードシンボルから、値引き値等の情報を読み取る(ステップS708)。撮像制御部601は、読取部603により情報が読み取られたか否かを判断する(ステップS709)。
【0050】
撮像制御部601は、読取部603により情報が読み取られたと判断した場合(ステップS709:Yes)、撮像部164による撮像を制御する設定を、第2設定から第1設定に切り替える(ステップS710)。一方、読取部603により情報が読み取られていないと判断した場合(ステップS709:No)、ステップS707に戻り、読取部603による情報の読み取りを繰り返す。
【0051】
読取部603により値引き値等の情報が読み取られた場合、画像出力部604は、読み取られた情報をPOS端末11へ出力するものとする。なお、画像出力部604がフレーム画像を出力した場合、POS端末11では、物体認識部605が、PLUファイルF1の商品画像を参照して、商品読取装置101の撮像部164により撮像されたフレーム画像に含まれる商品Aの全部または一部の画像から商品Aを認識する。次いで、商品登録部606が、物体認識部605により認識された商品画像と関連する売上登録にかかる情報に、画像出力部604から出力されたフレーム画像に付加された情報を付加して、売上マスタファイルに記録して売上登録を行うものとする。
【0052】
このように本実施形態にかかる商品読取装置101によれば、フレーム画像を撮像する撮像装置167と、撮像装置167により撮像された画像から情報を読み取る読取部603と、撮像されたフレーム画像から、読取部603により読み取る情報を表示する表示部501を備えた携帯端末Pを検出する検出部602と、携帯端末Pが検出されなかった場合、表示部501以外を撮像するための第1設定に従って撮像装置167による画像の撮像を制御し、携帯端末Pが検出された場合に、表示部501を撮像するための第2設定に従って撮像装置167による画像の撮像を制御する撮像制御部601と、撮像装置167により撮像されたフレーム画像から、表示部501に表示された情報を読み取る読取部604と、を備えることにより、携帯端末Pの表示部501に表示された情報の読み取りを行う際に、撮像装置167によりフレーム画像を撮像する設定が、第1設定から第2設定に自動的に切り替えられるので、表示部501の画像を撮像するための専用の読取装置を併設する必要がなくなり、かつPOS端末11を操作するオペレータの作業量が増えることを防止できる。
【0053】
なお、本実施形態のPOS端末11および商品読取装置101で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0054】
本実施形態のPOS端末11および商品読取装置101で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0055】
さらに、本実施形態のPOS端末11および商品読取装置101で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のPOS端末11および商品読取装置101で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0056】
本実施形態のPOS端末11および商品読取装置101で実行されるプログラムは、上述した各部(撮像制御部601、検出部602、読取部603、画像出力部604、物体認識部605、商品登録部606)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、撮像制御部601、検出部602、読取部603、画像出力部604、物体認識部605、商品登録部606が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0057】
なお、本実施形態においては、商品読取装置101側に撮像制御部601、検出部602、読取部603を備えるようにしたが、これに限るものではなく、POS端末11側に撮像制御部601、検出部602、読取部603を備えるようにしても良い。この場合、POS端末11が読取システムである。
【0058】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1 POSシステム
11 POS端末
101 商品読取装置
164 撮像部
166 照明部
167 撮像装置
501 表示部
503 キー
601 撮像制御部
602 検出部
603 読取部
P 携帯端末
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開2009−129266号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮像する撮像装置と、
前記撮像された画像から情報を読み取る読取手段と、
前記撮像された画像から、前記読取手段により読み取る情報を表示する表示部を備えた携帯端末を検出する検出手段と、
前記携帯端末が検出されなかった場合、前記表示部以外を撮像するための第1設定に従って前記撮像装置による画像の撮像を制御し、前記携帯端末が検出された場合に、前記表示部を撮像するための第2設定に従って前記撮像装置による画像の撮像を制御する制御手段と、
を備えた読取装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記撮像された画像から、所定の文字が認識されかつ当該認識された文字が所定の配置で配列されている場合に、前記携帯端末を検出する請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記撮像された画像から前記表示部が認識された場合に、前記携帯端末を検出する請求項1に記載の読取装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記撮像された画像から、前記表示部に表示された情報が読み取られた後、前記第2設定から前記第1設定に切り替えて前記第1設定に従って前記撮像装置による画像の撮像を制御する請求項1から3のいずれか一に記載の読取装置。
【請求項5】
画像を撮像する撮像装置と、
前記撮像された画像から情報を読み取る読取手段と、
前記撮像された画像から、前記読取手段により読み取る情報を表示する表示部を備えた携帯端末を検出する検出手段と、
前記携帯端末が検出されなかった場合、前記表示部以外を撮像するための第1設定に従って前記撮像装置による画像の撮像を制御し、前記携帯端末が検出された場合に、前記表示部を撮像するための第2設定に従って前記撮像装置による画像の撮像を制御する制御手段と、
を備えた読取システム。
【請求項6】
コンピュータを、
撮像装置により撮像された画像から読み取る情報を表示する表示部を備えた携帯端末を検出する検出手段と、
前記携帯端末が検出されなかった場合、前記表示部以外を撮像するための第1設定に従って前記撮像装置による画像の撮像を制御し、前記携帯端末が検出された場合に、前記表示部を撮像するための第2設定に従って前記撮像装置による画像の撮像を制御する制御手段と、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−45427(P2013−45427A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185161(P2011−185161)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】