説明

読取装置、読取装置の制御方法、及び、プログラム

【課題】読取対象物を読み取って、読取結果に応じて読取対象物を処理する読取装置を小型化できるようにする。
【解決手段】読取装置1は、読取対象物を搬送し、搬送される読取対象物に記録された情報を読取対象物の搬送路に設けられた読取手段によって読み取り、この読取結果に基づいて決定された読取後の動作内容に従って、処理制御部50Dが、読取対象物の搬送路上において読取手段より下流に設けられた処理手段により読取対象物を処理し、動作決定部50Cが動作内容を決定した後に、搬送制御部50Aが処理手段の処理位置または処理位置の前まで読取対象物を上流側に搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置、読取装置の制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、伝票等の読取対象物から情報を読み取り、読取結果に応じて排出先を切り替える読取装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の装置は、読取対象物であるシートからバーコードを読み取って、読み取りに成功したシートは正常シートとし、読み取りに失敗したシートは不良シートと判定する。そして、切換ゲートを動作させてシートの搬送先を切り替え、正常シートと不良シートを異なる排出部に排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−62798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の装置では、シートの正常と不良とを判定するまでシートが切換ゲートに達してしまうと、異なる排出部に排出することができない。このように、従来の読取装置は、読取結果に応じて読取対象物に対する処理を変える場合は、処理を行う位置までの搬送路を長く確保する必要があり、小型化が困難であった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、読取対象物を読み取って、読取結果に応じて読取対象物を処理する読取装置を小型化できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、読取対象物を搬送する搬送手段と、前記読取対象物の搬送路に設けられ、前記搬送手段により搬送される前記読取対象物に記録された情報を読み取る読取手段と、前記読取対象物の搬送路上で前記読取手段の下流に設けられた処理手段と、前記読取手段の読取結果に基づいて決定された読取後の動作内容に従って、前記処理手段によって前記読取対象物を処理させる処理制御手段と、前記読取後の動作内容が決定された後に、前記処理手段の処理位置または処理位置の前まで前記読取対象物を前記搬送手段によって上流側に搬送させる搬送制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、読取対象物に記録された情報の読取結果に応じて、その後に実行する動作内容を決定して当該処理を実行する場合に、搬送路の長さや各部の配置の都合によって、その処理を開始するときに読取対象物が処理位置に達していたとしても、読取対象物がいったん上流側に搬送されるので、正規の処理位置から処理を実行できる。これにより、搬送路長や各部の配置に関する制約を緩和できるので、読取装置の小型化が容易になる。
【0006】
また、本発明は、上記読取装置において、前記処理手段は、前記読取手段が前記読取対象物の読み取りを終えた時点で前記読取対象物が前記処理手段の処理位置より下流に達する位置に設けられたことを特徴とする。
本発明によれば、読取装置の一層の小型化を実現できる。
【0007】
また、本発明は、上記読取装置において、前記読取手段の読取結果に基づいて、読取後の動作内容を決定する動作決定手段を備えることを特徴とする。
本発明によれば、読取対象物に記録された情報の読取結果に基づいて、その後に実行する動作内容を速やかに決定できる。
【0008】
また、本発明は、上記読取装置において、前記読取対象物が排出される複数の排出部を備え、前記処理手段は、前記読取対象物の搬送経路に繋がる前記排出部を切り替える切替部として構成され、前記処理制御手段は、前記読取手段の読取結果に基づいて決定される前記複数の排出部のいずれかに前記読取対象物を排出させるように前記切替部を動作させることを特徴とする。
本発明によれば、読取結果に応じて読取対象物を排出する排出部を切り替えることで、読取対象物を分けて排出できる。
【0009】
本発明において、前記読取手段は、前記読取対象物に磁気的に記録された情報を読み取る読取部を備える構成としてもよい。
また、本発明において、前記読取手段は、前記読取対象物を光学的に読み取る読取部を備える構成としてもよい。
【0010】
また、本発明は、上記読取装置において、前記読取手段は、前記読取対象物に記録された情報を読み取る複数の読取部を有し、前記読取後の動作内容は、複数の前記読取部の読取結果に基づいて決定されることを特徴とする。
本発明によれば、複数の読取部による読取結果に基づいて、読取対象物に対する動作内容をきめ細かく決定して、より適切かつ有用な処理を行える。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明は、読取対象物を搬送し、搬送される前記読取対象物に記録された情報を前記読取対象物の搬送路に設けられた読取手段によって読み取り、読取結果に基づいて、読取後の動作内容を決定し、決定した動作内容に従って、前記読取対象物の搬送路上で前記読取手段の下流に設けられた処理手段により、前記読取対象物を処理し、動作内容を決定した後に、前記処理手段の処理位置または処理位置の前まで前記読取対象物を上流側に搬送することを備えることを特徴とする。
本発明の制御方法を実行することにより、読取対象物に記録された情報の読取結果に応じて、その後に実行する動作内容を決定して当該処理を実行する場合に、搬送路の長さや各部の配置の都合によって、その処理を開始するときに読取対象物が処理位置に達していたとしても、読取対象物がいったん上流側に搬送されるので、正規の処理位置から処理を実行できる。これにより、搬送路長や各部の配置に関する制約を緩和できるので、読取装置の小型化が容易になる。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明は、読取対象物を搬送し、前記読取対象物の搬送路に設けられた読取手段によって前記読取対象物に記録された情報を読み取る読取装置を制御する制御部が実行するプログラムであって、前記制御部を、前記読取対象物の搬送路上で前記読取手段の下流に設けられた処理手段によって、前記読取手段の読取結果に基づいて決定された読取後の動作内容に従って前記読取対象物を処理させる処理制御手段と、前記読取後の動作内容が決定された後に、前記処理手段の処理位置または処理位置の前まで前記読取対象物を前記搬送手段によって上流側に搬送させる搬送制御手段として機能させるためのプログラムである。
本発明のプログラムを実行することにより、読取対象物に記録された情報の読取結果に応じて、その後に実行する動作内容を決定して当該処理を実行する場合に、搬送路の長さや各部の配置の都合によって、その処理を開始するときに読取対象物が処理位置に達していたとしても、読取対象物がいったん上流側に搬送されるので、正規の処理位置から処理を実行できる。これにより、読取装置における搬送路長や各部の配置に関する制約を緩和できるので、読取装置の小型化が容易になる。
また、本発明は、上記プログラムを、上記制御部またはコンピューターにより読み取り可能に記録した記録媒体として実現してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、搬送路の長さや各部の配置の都合によらず、読取結果に応じた処理を正規の処理位置から実行できるので、搬送路長や各部の配置に関する制約を緩和でき、読取装置の小型化が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る読取装置の外観斜視図である。
【図2】読取装置の本体の平面図である。
【図3】読取システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図4】小切手の搬送状態を模式的に示す図である。
【図5】読取装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態に係る読取装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本第1の実施形態に係る読取装置1の外観斜視図である。
読取装置1は、読取対象物であるシート状の小切手や帳票類に対し、この読取対象物に記録された磁気インク文字の読み取り、読取対象物の両面の光学的読み取り、及び、当該読取対象物への文字等の記録を行う装置である。また、読取装置1はクレジットカード等のカード型の媒体に記録された磁気情報を読み取るリーダーとしての機能も備える。
【0016】
本実施形態では、読取対象物の一例として、小切手4を処理する場合を例に挙げて説明する。小切手4は、紙などのシート(用紙)に金額、振出人、通し番号、サインなどが印字または記載された帳票である。金額、振出人、通し番号、サイン等は表面4aに記録され、裏面4bには裏書き欄が設けられていて、記録ヘッド33(図2)によって裏書き印刷することが可能である。また、表面4aには小切手4の長辺方向に延びる磁気インク文字列4Aが形成されている。磁気インク文字列4Aは、磁気インクで印刷された複数の磁気インク文字(MICR文字)が並んで構成され、これらの文字により情報を磁気的に記録したものである。磁気インク文字列4Aは磁気的に読み取ることが可能であり、また、通常の文字として視認できるので光学的に読み取ることもできる。小切手4の短辺方向及び長辺方向のサイズは規格化されており、読取装置1では、一般的な小切手4のサイズをほぼ包含し得る最小サイズ及び最大サイズが規定され、この規定の範囲内の小切手4であれば処理できる。
【0017】
読取装置1は、本体下部を覆う下部ケース2、及び下部ケース2に被せられるカバー3からなる外装を有する。外装の前面には小切手4を挿入する挿入口6が開口し、挿入口6から本体の奥に向かう部分は複数の小切手4を貯留できるストッカー7となっている。また、カバー3には、上面視で略U字形状に、小切手4の搬送路となるスリット8が形成され、スリット8は読取装置1の前面側に設けられたポケット9に達している。
ストッカー7に貯留された小切手4は、後述するように1枚ずつ読取装置1の内部に取り込まれ、スリット8を通る間に処理されて、処理後の小切手4はポケット9に排出される。ポケット9には複数の小切手4を溜めることができる。
また、カバー3には、カバー3を開くためのレバー11と、クレジットカード等のカード類が通されるスリット12とが設けられている。
【0018】
図2は、読取装置1の外装内部に収容されている本体13の構成を示す平面図である。ストッカー7の一側面には略平板状のホッパー14が回動可能に取り付けられ、例えばアクチュエーターの駆動力によりホッパー14を回動させるホッパー駆動部15が配置されている。ホッパー駆動部15によりホッパー14が図中矢印方向に回動されると、ストッカー7に収容されている小切手4が他方の側面側に押しつけられる。ストッカー7の他方の側面には、ASFモーター62(図3)により駆動されるピックアップローラー17が配置されている。ホッパー14によってピックアップローラー17側に押しつけられた小切手4のうち1枚がピックアップローラー17に接触し、ピックアップローラー17の回転により搬送路Wに引き込まれる。
ストッカー7の奥には、一対のローラーで構成されるASF(Automatically Sheet Feeder)ローラー19が配置されている。ASFローラー19を構成する2つのローラーは、搬送路Wの両側に配置され、一方は後述する搬送モーター63(図3)の動力により回転し、他方のローラーは従動ローラーである。ピックアップローラー17に接した小切手4はASFローラー19に挟まれて、搬送路Wの下流へ搬送される。
【0019】
また、ストッカー7においてホッパー14が設けられた側の側面には、例えば透過型光センサーで構成され、ストッカー7における小切手4の有無を検出するASF用紙検出器16が設けられている。
このように、ストッカー7、ホッパー14、ホッパー駆動部15、ASF用紙検出器16、ピックアップローラー17及びASFローラー19は、複数の小切手4を収容して1枚ずつ繰り出すASFユニットを構成する。
【0020】
ASFローラー19の下流側には、小切手4の表面4aに接して磁気インク文字列4A(図1)を磁気的に読み取るMICR(Magnetic Ink Character Recognition)ヘッド23が配置されている。MICRヘッド23には、MICRローラー25が対向配置されている。MICRローラー25は小切手4をMICRヘッド23に押しつけながら回転し、小切手4を、MICR文字の読み取りに適した速度で搬送する。MICRヘッド23の上流側には、ASFローラー19により繰り出された小切手4をMICRヘッド23に案内する、一対のローラーからなるアシストローラー21が配置されている。
【0021】
また、搬送路W上においてアシストローラー21とMICRヘッド23との間には、用紙長検出器27が配置されている。用紙長検出器27は、例えば反射型光センサーで構成され、搬送路W上を通る小切手4の先端及び後端を検出する。用紙長検出器27の検出値は後述する制御部50により取得され、この検出値の変化に基づいて小切手4の長さが求められる。
搬送路W上でMICRヘッド23の下流側には、搬送路Wを挟んで対向する一対のローラーを有する搬送ローラー31が設けられ、搬送ローラー31によって小切手4は記録ヘッド33の記録位置へ搬送される。記録ヘッド33は本体13の後部に配置され、本体13の前部に収容されているインクカートリッジ35からインクの供給を受けて、小切手4にインクを吐出するインクジェット方式の記録ヘッドである。記録ヘッド33は小切手4の裏面4bに対向し、文字や画像を裏書き印刷する。
【0022】
記録ヘッド33の下流側には、小切手4を光学的に読み取るCIS(Contact Image Sensor)ユニットが配置されている。読取装置1は、小切手4の表面4aを読み取る表面CISユニット41と、裏面4bを読み取る裏面CISユニット43とが、搬送路Wを挟んで対向配置され、これら2つのユニットによって小切手4の両面を読み取り可能である。表面CISユニット41及び裏面CISユニット43の上流側と下流側には搬送ローラーが配置され、読み取り中の小切手4を安定して搬送する。表面CISユニット41及び裏面CISユニット43は、読取部、処理手段に相当する。
【0023】
表面CISユニット41、裏面CISユニット43の下流側には上述したポケット9が設けられている。ポケット9は、メインポケット9a(排出部)と、サブポケット9b(排出部)とに区画されており、それぞれに複数の小切手4を収容できる。メインポケット9aとサブポケット9bの各々には搬送路Wから繋がる搬送経路が形成され、この搬送経路を切り替える切替板45が配置されている。切替板45は、メインポケット9aに繋がる経路とサブポケット9bに繋がる経路のいずれか一方を塞ぐことで小切手4を他方に案内するガイドであり、切替板駆動部61(図3)によって駆動される。切替板45からメインポケット9aに繋がる経路には排出ローラー47が設けられ、切替板45からサブポケット9bに繋がる経路には排出ローラー49が設けられており、切替板45により案内された小切手4をスムーズにポケット9に排出する。切替板45は、切替板駆動部61とともに処理手段、切替部として機能する。
【0024】
読取装置1は、磁気インク文字列4Aの読み取りまたは解析に成功した小切手4をメインポケット9aに排出し、読み取りまたは解析に失敗した小切手4をサブポケット9bに排出する。メインポケット9a及びサブポケット9bの各々には、後述する排出紙検出器64(図3)が設けられる。排出紙検出器64は、例えば透過型光センサーで構成され、メインポケット9a及びサブポケット9bにおける小切手4の有無を検出する。
また、ストッカー7の側方にはMCRヘッド46が設けられている。MCRヘッド46は、スリット12(図1)を通るカード類に磁気的に記録された情報を読み取る磁気ヘッドである。
【0025】
図3は、読取装置1とホストコンピューター5とを接続して構成される読取システム10の機能的構成を示すブロック図である。
読取装置1は、読取装置1全体を制御するCPU、RAM、フラッシュROM等により構成される制御部50と、ヘッド駆動回路55、モータードライバー56、読取制御回路57、センサー駆動回路58、及びインターフェース部(I/F)59を有し、これらの各部は相互に通信可能に接続されている。
【0026】
制御部50は、フラッシュROMに記憶されている制御プログラムをCPUにより読み出して実行することにより、読取装置1の各部を制御する。制御部50は、RAMを備え、CPUが実行するプログラム及び処理対象のデータを一時的に保持するメモリーである。また、制御部50には、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43により読み取られた読取画像データを記憶するバッファーメモリー53が接続される。
【0027】
ヘッド駆動回路55は、制御部50の制御に従って記録ヘッド33に駆動電流を供給し、小切手4への印刷を実行させる。モータードライバー56は、ホッパー駆動部15に接続され、制御部50の制御に従ってホッパー駆動部15を動作させる。また、モータードライバー56は、切替板駆動部61、ASFモーター62、及び搬送モーター63に接続され、これら各モーターに駆動電流や駆動パルスを出力して、制御部50の制御に従い各モーターを動作させる。
【0028】
読取制御回路57は、MICRヘッド23、表面CISユニット41、裏面CISユニット43、及びMCRヘッド46に接続されている。読取制御回路57は、制御部50の制御に従って、スリット12(図1)にカード類が通される際にMCRヘッド46によって磁気情報を読み取らせ、MCRヘッド46が出力する読取信号をデジタル化して制御部50に出力する。同様に、読取制御回路57は、制御部50の制御に従ってMICRヘッド23によって磁気情報を読み取らせ、MICRヘッド23が出力する読取信号をデジタル化して制御部50に出力する。また、読取制御回路57は、制御部50の制御に従って、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43に駆動電流を出力して、小切手4の表面4a及び裏面4bの読み取りを実行させる。この際、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43の各々から出力される信号をデジタルデータ化し、制御部50に出力する。
センサー駆動回路58は、ASF用紙検出器16、用紙長検出器27及び排出紙検出器64に接続され、これらの各検出器に電流を供給して、所定周期で出力値を取得し、取得した出力値をデジタルデータに変換して制御部50に出力する。
インターフェース部59は、ホストコンピューター5に対して有線または無線で接続され、制御部50の制御に従って、ホストコンピューター5との間で制御データを含む各種データを送受信する。
【0029】
以上の構成において、ホッパー駆動部15、ASFモーター62及び搬送モーター63の各駆動部は、ホッパー14、ピックアップローラー17、ASFローラー19、MICRローラー25、搬送ローラー31及び排出ローラー47とともに搬送手段を構成する。
【0030】
制御部50は、制御プログラムを実行することにより、搬送制御部50A、読取制御部50B、動作決定部50C、処理制御部50D、及びサイズ検出部50Eの機能を実現する。
搬送制御部50A(搬送制御手段)は、モータードライバー56を介してホッパー駆動部15、ASFモーター62、及び搬送モーター63を制御して、小切手4の搬送を制御する。例えば、搬送制御部50Aは、小切手4を読取装置1が処理している間に、ストッカー7(図1)に貯留された次の小切手4の搬送を開始するか否かを判定し、次の小切手4の処理が可能になると、ホッパー駆動部15及びASFモーター62を動作させて次の小切手4をピックアップし、搬送路Wに搬送する。
また、搬送制御部50Aは、処理制御部50Dが切替板駆動部61を制御して切替板45を移動させる際に、既に小切手4が切替板45の位置に達している場合、搬送モーター63を逆転動作させて、小切手4を逆方向(上流側)に搬送させる。これにより小切手4は、切替板45の位置またはそれより上流に移動するので、切替板45を移動させることで、メインポケット9aまたはサブポケット9bのいずれか指定された側に排出できるようになる。
【0031】
図4は、小切手4の搬送状態を模式的に示す図であり、(A)は小切手4の光学的読取が終了した状態を示し、(B)は小切手4の排出までの搬送状態の変化を示す。
図4(A)及び(B)において、水平軸は搬送路W上の位置を示している。図中、位置(1)〜(5)は搬送路W上の処理位置を示している。具体的には、位置(1)はASF用紙検出器16が小切手4を検出する位置であり、位置(2)はMICRヘッド23が磁気読取を行う読取位置であり、位置(3)は記録ヘッド33がインクを吐出して記録を行う記録位置であり、位置(4)は表面CISユニット41及び裏面CISユニット43が光学的読取を行う読取位置であり、位置(5)は切替板45による切替位置である。
【0032】
小切手4は、最初にASF用紙検出器16により検出されて、ピックアップローラー17により搬送路Wに送り出され、その後は搬送モーター63の駆動力によって、位置(2)〜(4)を通過し、位置(5)で切替板45によってメインポケット9aまたはサブポケット9bに導かれる。ところが、搬送路W上における各処理位置の間隔が、小切手4の搬送方向の長さに対して短い場合には、小切手4は、上流側の処理の途中で、下流側の処理位置に到達してしまう。上流側の処理が表面CISユニット41及び裏面CISユニット43の読取処理である場合、図4(A)に示すように、小切手4は、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43の読取動作が終わった時点で位置(5)を超えてしまう。図4(A)では、小切手4の搬送方向後端が位置(4)に達した状態で、小切手4の先端部分(図中、破線で囲まれた部分)が位置(5)を超えている。この状態では、切替板45を移動させても小切手4の排出先を切り替えることはできない。
【0033】
図4(A)に示す例は、光学読取の処理位置である位置(4)と、排出先のポケットの切替を行う処理位置である位置(5)との間の距離が影響しているが、他の処理位置でも同様の問題が起こりえる。例えば、小切手4の磁気読取が終わった時点では小切手4の後端が位置(2)にあるが、このとき小切手4の先端が位置(4)に達してしまうことがある。この場合、磁気読取の結果に応じて、光学読取を行うか否かを決めるとしても、既に位置(4)を通り過ぎてしまった部分を読み取ることはできない。
【0034】
そこで本実施形態では、搬送制御部50Aの制御により、小切手4をいったん逆方向に搬送(バックフィード)することで、処理位置間の距離が短くても、定められた順で小切手4を処理できる。
搬送制御部50Aは、図4(B)に示すように、小切手4の光学読取が完了するまで小切手4を正方向(下流側)に搬送する(S1)。ここで、搬送制御部50Aは、切替板45によって小切手4の排出先を切り替えできるように、いったん小切手4をバックフィードする(S2)。搬送制御部50Aは、少なくとも小切手4の先端が位置(5)または位置(5)の上流に来るまでバックフィードする。そして、処理制御部50Dにより切替板45が移動された後、搬送制御部50Aは、小切手4を正方向すなわちポケット9に向けて搬送する(S3)。これにより、位置(4)における光学読取が完了した後で、切替板45によって小切手4の排出先のポケットを切り替えることができる。
【0035】
搬送制御部50Aが小切手4をバックフィードさせる量は、読取装置1で処理可能な小切手4のサイズ(搬送方向の長さ)と、搬送路W上の各処理位置の間隔により決定される。バックフィード量は、例えば、予め設定され、制御部50が備える不揮発性メモリー(図示略)等に記憶される規定値である。この場合、読取装置1で使用可能な小切手4のサイズの最大値を基準とし、この最大の小切手4を使用した場合に、バックフィードにより小切手4の先端が処理位置または処理位置より上流に来る量が、バックフィード量として設定される。具体的には、小切手4の最大サイズ(長さ)と、位置(2)と位置(5)との間隔または位置(4)と位置(5)との間隔により求められる。また、バックフィードの動作を、小切手4が切替板45を通過する際だけでなく、例えば表面CISユニット41及び裏面CISユニット43による読取の前に実行する場合には、バックフィード量を決める要素として、位置(2)と位置(4)との間隔を用いればよい。複数のバックフィード量が求められた場合には、より大きいバックフィード量を用いてもよいし、小切手4の位置により異なるバックフィード量を使い分けてもよい。
【0036】
図3に戻り、読取制御部50Bは、読取制御回路57を制御して、MICRヘッド23による磁気インク文字列4Aの磁気読み取りを実行させる。読取制御部50Bは、読取制御回路57から入力されるMICRヘッド23の出力値のデータを、インターフェース部59を介してホストコンピューター5に送信する。ホストコンピューター5は、読取装置1から受信したデータを解析して磁気インク文字列4Aの認識を行い、認識結果、すなわち磁気インク文字列4Aの認識に成功したか失敗したかを示すデータを読取装置1に送信する。読取制御部50Bは、インターフェース部59を介してホストコンピューター5から受信した認識結果に基づいて、磁気読取が成功したか否かを認識する。
【0037】
また、読取制御部50Bは、読取制御回路57を介して表面CISユニット41及び裏面CISユニット43を駆動し、小切手4の表面4a及び裏面4bの光学的な読み取りを実行する。読取制御部50Bは、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43の読取画像データをバッファーメモリー53に逐次格納するとともに、バッファーメモリー53に蓄積された読取画像データを所定バイト単位で読み出し、インターフェース部59を介してホストコンピューター5に送信する。ホストコンピューター5は、読取装置1から送信された読取画像データを受信する。さらに、磁気インク文字列4Aの認識が失敗したと判断された場合、読取制御部50Bは、表面CISユニット41の読取画像データを用いた文字認識(OCR)処理による磁気インク文字列4Aの情報をホストコンピューター5から取得する。この場合、読取制御部50Bは、表面CISユニット41の読取画像データをホストコンピューター5に送信する際に、OCR処理を要求する制御データを合わせて送信する。この要求に応じて、ホストコンピューター5は、受信した読取画像データのOCR処理を実行し、認識結果を示すデータを読取装置1に送信する。読取制御部50Bは、認識結果をホストコンピューター5から受信し、OCR認識が成功したか否かを認識する。
【0038】
動作決定部50C(動作決定手段)は、読取制御部50Bが磁気インク文字列4Aの読み取りに成功したか否かの結果に基づいて、小切手4に対して実行する動作内容を決定する。具体的には、動作決定部50Cは、読取制御部50BがMICRヘッド23による磁気インク文字列4Aの読み取り及び認識に成功した場合には、その小切手4に対する動作内容として、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43による読み取りと、メインポケット9aへの排出に決定する。また、読取制御部50BがMICRヘッド23による磁気インク文字列4Aの読み取り及び認識に失敗した場合には、その小切手4に対する動作内容を、表面CISユニット41の読取画像データに基づくOCR処理に決定する。さらに、OCR処理による磁気インク文字列4Aの認識に失敗した場合には、その小切手4に対する動作内容を、サブポケット9bへの排出に決定する。
【0039】
処理制御部50D(処理制御手段)は、動作決定部50Cが決定した小切手4に対する動作内容を実現するための制御を行う。具体的には、決定された動作内容が小切手4のメインポケット9aまたはサブポケット9bへの排出である場合は、切替板駆動部61を駆動して切替板45を移動させ、決定された側のポケットを搬送路Wに連通させる。また、処理制御部50Dは、決定された動作内容が、表面CISユニット41の読取画像データに基づくOCR処理である場合には、読取制御部50BにOCR処理を実行するための制御を引き継ぐ。ここで、処理制御部50Dの制御対象となる処理手段としては、切替板45及び切替板駆動部61が相当するが、このほか、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43と、これを制御する読取制御回路57も、処理手段として機能する。
サイズ検出部50Eは、センサー駆動回路58を介して用紙長検出器27の出力値を取得し、用紙長検出器27が小切手4の先端を検出してから後端を検出するまでの搬送モーター63による搬送量に基づいて、小切手4の長手方向すなわち搬送方向のサイズを検出する。
【0040】
図5は、読取装置1の動作を示すフローチャートである。
制御部50は、ホストコンピューター5から送信された小切手4の処理開始を指示するコマンドを受信して(ステップS11)、小切手4の処理を開始する。制御部50は、ASF用紙検出器16の検出値に基づいてストッカー7に小切手4があるか否かを判別し(ステップS12)、小切手4がない場合は(ステップS12;No)、小切手4がセットされるまで待機する。小切手4がストッカー7にある場合(ステップS12;Yes)、搬送制御部50Aは、ホッパー駆動部15及びASFモーター62を動作させて、ストッカー7内の小切手4の供給(搬送)を開始する(ステップS13)。搬送制御部50Aは、ASFローラー19及びアシストローラー21により小切手4を用紙長検出器27まで搬送し(ステップS14)、小切手4の先端が検出されると(ステップS14;Yes)、サイズ検出部50Eがサイズの検出を開始するとともに、読取制御部50BがMICRヘッド23によるMICR文字列の読取を開始する(ステップS15)。
サイズ検出部50Eは、用紙長検出器27により小切手4の後端が検出されるまで待機し(ステップS16)、小切手4の後端が検出されると(ステップS16;Yes)、小切手4のサイズを確定する(ステップS17)。
【0041】
読取制御部50Bは、MICRヘッド23による読取結果を取得して、インターフェース部59を介してホストコンピューター5へ転送し、ホストコンピューター5におけるMICR文字列の解析を実行させる(ステップS18)。その後、制御部50は、小切手4に対して記録ヘッド33による記録を行う(ステップS19)。
ここで、読取制御部50Bは、ホストコンピューター5から送信される制御データを受信し(ステップS20)、この制御データの内容に基づき、MICRヘッド23による磁気インク文字列4Aの磁気読取に成功したか否かを認識する(ステップS21)。
【0042】
磁気インク文字列4Aの読取に成功した場合(ステップS21;Yes)、動作決定部50Cは、小切手4の排出先をメインポケット9aに決定する(ステップS22)。すなわち、小切手4に対する動作内容を、メインポケット9aへの搬送に決定する。処理制御部50Dは、動作決定部50Cの決定に従って、切替板駆動部61を制御して切替板45をメインポケット9a側に移動させる(ステップS23)。この間、搬送制御部50Aは、小切手4の搬送を継続してもよいし、切替板45の移動が完了するまで小切手4の搬送を停止してもよい。
その後、読取制御部50Bは表面CISユニット41及び裏面CISユニット43によるスキャン(光学的読取)を開始させ(ステップS24)、読取画像データをバッファーメモリー53に格納する一方、バッファーメモリー53に格納された読取画像データのホストコンピューター5への転送を行う(ステップS25)。スキャンの終了後、搬送制御部50Aは、小切手4をポケット9へ搬送する動作を行い、小切手4は、切替板45に沿ってメインポケット9aへ排出される。
【0043】
一方、磁気インク文字列4Aの読取に失敗した場合(ステップS21;No)、動作決定部50Cは、実行する動作内容を、磁気インク文字列4AのOCR処理に決定し、読取制御部50Bは動作決定部50Cの決定に従って、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43によるスキャンを開始し(ステップS27)、ホストコンピューター5への読取画像データの送信を開始する(ステップS28)。
なお、小切手4の後端がMICRヘッド23の読取位置を通過した時点で、小切手4の先端が表面CISユニット41及び裏面CISユニット43の読取位置に達してしまっている場合には、ステップS27でスキャンを開始する前に、搬送制御部50Aの制御により小切手4をバックフィードしてもよい。
【0044】
読取制御部50Bは、ホストコンピューター5から送信される、OCR処理の正否を示す制御データを受信して(ステップS29)、OCR処理による磁気インク文字列4Aの認識に成功したか否かを認識する(ステップS30)。磁気インク文字列4Aの認識に成功した場合(ステップS30;Yes)、動作決定部50Cは、小切手4の排出先をメインポケット9aに決定する(ステップS31)。すなわち、小切手4に対する動作内容を、メインポケット9aへの搬送に決定する。また、磁気インク文字列4Aの認識に失敗した場合(ステップS30;No)、動作決定部50Cは、小切手4の排出先をサブポケット9bに決定する(ステップS32)。すなわち、小切手4に対する動作内容をサブポケット9bへの搬送に決定する。
【0045】
処理制御部50Dは、ステップS31またはS32で決定された動作内容に従って切替板45を移動させるため、まず、搬送制御部50Aにより小切手4をバックフィードさせる(ステップS33)。次いで、処理制御部50Dは、ステップS31またはS32で決定された内容に従って切替板45を移動させ(ステップS34)、搬送制御部50Aが小切手4をポケット9まで搬送する。これにより、小切手4は、磁気インク文字列4Aの認識に成功した場合はメインポケット9aに排出され、認識に失敗した場合はサブポケット9bに排出される。
これにより、小切手4の磁気インク文字列4Aが認識された場合は、正常な小切手4としてメインポケット9aに排出され、磁気インク文字列4Aの認識ができなかった場合は、正常に処理されなかった小切手4としてサブポケット9bに排出される。つまり、小切手4は、磁気インク文字列4Aの認識結果に基づいて、メインポケット9aとサブポケット9bに分けて排出される。
【0046】
以上のように、本発明を適用した第1の実施形態に係る読取装置1、及び読取装置1を備えた読取システム10によれば、ホッパー駆動部15、ASFモーター62、搬送モーター63、ピックアップローラー17、ASFローラー19、MICRローラー25、搬送ローラー31及び排出ローラー47を有し、読取対象物としての小切手4を搬送する搬送手段と、小切手4の搬送路Wに設けられ、搬送される小切手4に記録された情報を読み取る読取部としてのMICRヘッド23または表面CISユニット41、裏面CISユニット43と、小切手4の搬送路W上で読取手段の下流に設けられた処理手段としての切替板駆動部61あるいは表面CISユニット41及び裏面CISユニット43と、読取結果に基づいて動作決定部50Cにより決定された読取後の動作内容に従って、上記の処理手段によって小切手4を処理させる処理制御部50Dと、読取後の動作内容が決定された後に、処理位置または処理位置の前まで小切手4を上流側に搬送させる搬送制御部50Aとを備え、小切手4に記録された磁気インク文字列4Aの読取結果に応じて、その後に実行する動作内容を決定して当該処理を実行する場合に、搬送路Wの長さや各部の処理位置の都合によって、その処理を開始するときに小切手4が処理位置に達していたとしても、小切手4をいったん上流に搬送することで、正規の処理位置から処理を実行できる。これにより、搬送路長や各部の配置に関する制約を緩和できるので、読取装置1の小型化が容易になる。
【0047】
また、処理手段としての切替板45を、MICRヘッド23が小切手4の読み取りを終えた時点で小切手4の先端が切替板45の処理位置より下流に達する位置に設けることができ、より一層の小型化を実現する。また、読取装置1は、小切手4が排出される複数の排出部としてのメインポケット9a及びサブポケット9bを備え、動作決定部50Cは、読取手段の読取結果に基づいて、小切手4を排出する排出部をメインポケット9aかサブポケット9bに決定し、処理制御部50Dは、切替板45を動作させることにより、動作決定部50Cが決定した側のポケットに小切手4を排出させることで、読取結果に応じて小切手4を排出する排出部を切り替えることができる。
さらに、動作決定部50Cを備えることで、MICRヘッド23または表面CISユニット41、裏面CISユニット43の読取結果に基づいて、読取後の動作内容を速やかに決定できる。
【0048】
また、読取手段として、小切手4に記録された磁気インク文字列4Aを読み取るMICRヘッド23と、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43とを有し、動作決定部50Cによって、MICRヘッド23による磁気読取の認識結果と、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43を用いたOCR処理の認識結果に基づいて、動作内容が決定されるので、小切手4に対する動作内容をきめ細かく決定し、より適切かつ有用な処理を行える。
【0049】
[第2の実施形態]
図6は、本発明を適用した第2の実施形態に係る読取システム10の動作を示すフローチャートである。本第2の実施形態において、上記第1の実施形態に係る読取システム10と同様に構成される各部については同符号を付して説明を省略する。
図6の動作は、図5に示した動作に代えて実行される。なお、図6において、図5の動作と同様の処理ステップについては同じステップ番号を付す。
【0050】
制御部50は、ステップS11〜S19の動作を上記第1の実施形態と同様に実行する。ステップS19で記録ヘッド33による記録が実行された後、読取制御部50Bは、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43によるスキャンを開始させ(ステップS27)、インターフェース部59を介してホストコンピューター5への読取画像データの送信を開始する(ステップS28)。
ここで、読取制御部50Bは、ホストコンピューター5から送信されるMICRヘッド23による磁気インク文字列4Aの認識の正否を示す制御データを、インターフェース部59を介して受信して(ステップS41)、この制御データに基づき、磁気インク文字列4Aの認識に成功したか否かを認識する(ステップS42)。磁気インク文字列4Aの認識に成功した場合(ステップS41;Yes)、動作決定部50Cは、小切手4の排出先をメインポケット9aに決定する(ステップS43)。すなわち、小切手4に対する動作内容を、メインポケット9aへの搬送に決定する。また、磁気インク文字列4Aの認識に失敗した場合(ステップS42;No)、動作決定部50Cは、小切手4の排出先をサブポケット9bに決定する(ステップS44)。すなわち、小切手4に対する動作内容をサブポケット9bへの搬送に決定する。
【0051】
さらに、動作決定部50Cは、ステップS17で確定された小切手4のサイズを取得して、このサイズが、予め設定された基準以上であるか否かを判別する(ステップS45)。この基準は、図4(A)及び(B)に示したように、小切手4の後端がスキャン位置(4)を通過した時点で小切手4の先端が切替板45の処理位置(5)に達しない、小切手4の長さの上限に相当する。この基準は、事前に読取装置1又はホストコンピューター5の操作により設定され、制御部50が備える不揮発性メモリー(図示略)等に記憶されている。
【0052】
小切手4のサイズが基準以上である場合(ステップS45;Yes)、処理制御部50Dは、搬送制御部50Aにより小切手4をバックフィードさせる(ステップS46)。次いで、処理制御部50Dは、ステップS31またはS32で決定された内容に従って切替板45を移動させ(ステップS34)、搬送制御部50Aが小切手4をポケット9まで搬送する。また、小切手4のサイズが基準より小さい場合(ステップS45;No)、処理制御部50Dは、小切手4をバックフィードさせることなく、ステップS34に移行して切替板45を移動させる。これにより、搬送制御部50Aにより小切手4がポケット9へ搬送されると、小切手4は、動作決定部50Cが決定した側のポケットへ排出される。
【0053】
このように、本第2の実施形態に係る読取装置1は、小切手4のサイズに応じてバックフィードを実行するか否かを判定し、必要な場合にのみ、バックフィードを行う。具体的には、小切手4のサイズが所定以上であれば、搬送路W上の処理位置の間隔が小切手4のサイズに対して短いため、バックフィードが必要であると判定して、切替板45を動かす前にバックフィードする。例えば、読取装置1で処理可能な小切手4のうち、サイズが小さいものについては、搬送路W上の各処理位置の間隔が十分に確保されている場合には、バックフィードの回数を減らすことができ有効である。
【0054】
なお、上記各実施形態は本発明を適用した一具体例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、読取システム10において、読取装置1が処理する読取対象物は小切手4に限定されないし、読取装置1で使用可能な読取対象物のサイズについても任意に変更できる。また、上記各実施形態では、読取制御部50Bが磁気インク文字列4Aの読み取りに成功したか否かの結果に基づいて、小切手4に対して実行する動作内容を決定する動作決定部50Cを読取装置1が有する構成として説明したが、この機能を、所定のプログラムに従ってホストコンピューター5が実行する構成としてもよい。また、上記各実施形態では、MICRヘッド23が読み取ったデータに基づく磁気インク文字列4Aの解析と、表面CISユニット41及び裏面CISユニット43の読取画像データに基づくOCR処理とを、ホストコンピューター5が実行する構成として説明したが、これらの処理を制御部50が実行してもよい。また、ホストコンピューター5と読取装置1とが同一の装置に組み込まれ、制御部50がホストコンピューター5の制御部と共通する構成としてもよい。また、ポケット9が備えるポケットはメインポケット9aとサブポケット9bの2つに限定されず、より多くのポケットに分かれていてもよく、動作決定部50Cが決定する動作内容がメインポケット9aとサブポケット9bの切替でない場合には、ポケット9を一つのポケットで構成してもよい。
【0055】
また、図3のブロック図に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、各機能部を独立したハードウェアにより構成する必要はなく、ソフトウェアとハードウェアとの協働により、複数の機能部の機能を1つのハードウェアに集約して実現することも、一つの機能部を複数のハードウェアにより実現することも勿論可能である。
また、読取装置1が備える記録手段としては、インクジェット式の記録ヘッド33を用いる構成に限定されず、サーマルラインプリンター、ドットインパクト式プリンター、レーザープリンター、熱昇華型プリンター等を用いることも可能である。また、上述の動作を行う制御部50のCPUが実行するプログラムは、制御部50を構成する不揮発性メモリーが記憶する構成に限らず、可搬型の記録媒体に記憶されている構成であってもよいし、或いは、通信回線を介して接続された他の装置にダウンロード可能に記憶され、これらの装置から読取装置1が上記プログラムをダウンロードして実行してもよく、その他の構成についても任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…読取装置、4…小切手(読取対象物)、5…ホストコンピューター(外部装置)、7…ストッカー、9…ポケット、9a…メインポケット(排出部)、9b…サブポケット(排出部)、10…読取システム、13…本体、16…ASF用紙検出器、23…MICRヘッド(読取部)、27…用紙長検出器、31…搬送ローラー(搬送手段)、33…記録ヘッド、41…表面CISユニット(読取部)、43…裏面CISユニット(読取部)、45…切替板、50…制御部、50A…搬送制御部(搬送制御手段)、50B…読取制御部(処理制御手段)、50C…動作決定部(動作決定手段)、50D…処理制御部(処理制御手段)、50E…サイズ検出部、61…切替板駆動部、63…搬送モーター(搬送手段)、W…搬送路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象物を搬送する搬送手段と、
前記読取対象物の搬送路に設けられ、前記搬送手段により搬送される前記読取対象物に記録された情報を読み取る読取手段と、
前記読取対象物の搬送路上で前記読取手段の下流に設けられた処理手段と、
前記読取手段の読取結果に基づいて決定された読取後の動作内容に従って、前記処理手段によって前記読取対象物を処理させる処理制御手段と、
前記読取後の動作内容が決定された後に、前記処理手段の処理位置または処理位置の前まで前記読取対象物を前記搬送手段によって上流側に搬送させる搬送制御手段と、
を備えることを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記読取手段が前記読取対象物の読み取りを終えた時点で前記読取対象物が前記処理手段の処理位置より下流に達する位置に設けられたことを特徴とする請求項1記載の読取装置。
【請求項3】
前記読取手段の読取結果に基づいて、読取後の動作内容を決定する動作決定手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記読取対象物が排出される複数の排出部を備え、
前記処理手段は、前記読取対象物の搬送経路に繋がる前記排出部を切り替える切替部として構成され、
前記処理制御手段は、前記読取手段の読取結果に基づいて決定される前記複数の排出部のいずれかに前記読取対象物を排出させるように前記切替部を動作させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の読取装置。
【請求項5】
前記読取手段は、前記読取対象物に磁気的に記録された情報を読み取る読取部を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の読取装置。
【請求項6】
前記読取手段は、前記読取対象物を光学的に読み取る読取部を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の読取装置。
【請求項7】
前記読取手段は、前記読取対象物に記録された情報を読み取る複数の読取部を有し、前記読取後の動作内容は、複数の前記読取部の読取結果に基づいて決定されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の読取装置。
【請求項8】
読取対象物を搬送し、搬送される前記読取対象物に記録された情報を前記読取対象物の搬送路に設けられた読取手段によって読み取り、
読取結果に基づいて、読取後の動作内容を決定し、
決定した動作内容に従って、前記読取対象物の搬送路上で前記読取手段の下流に設けられた処理手段により、前記読取対象物を処理し、
動作内容を決定した後に、前記処理手段の処理位置または処理位置の前まで前記読取対象物を上流側に搬送すること、
を備えることを特徴とする読取装置の制御方法。
【請求項9】
読取対象物を搬送し、前記読取対象物の搬送路に設けられた読取手段によって前記読取対象物に記録された情報を読み取る読取装置を制御する制御部が実行するプログラムであって、
前記制御部を、
前記読取対象物の搬送路上で前記読取手段の下流に設けられた処理手段によって、前記読取手段の読取結果に基づいて決定された読取後の動作内容に従って前記読取対象物を処理させる処理制御手段と、
前記読取後の動作内容が決定された後に、前記処理手段の処理位置または処理位置の前まで前記読取対象物を前記搬送手段によって上流側に搬送させる搬送制御手段と、
して機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate