説明

読取装置及び画像形成装置

【課題】読取装置の輸送時の振動や衝撃に起因する光学的な変動を防止するとともに、異物を適切に除去することができる技術を提供することが課題である。
【解決手段】筐体と、光源ユニットと、光源ユニットと連動して筐体内で原稿からの反射光の光路を規定するミラーユニットと、ミラーユニットを固定するためのロック機構と、を備え、ミラーユニットは、反射光を反射するミラー部材を含み、ロック機構は、ミラーユニットを固定するために操作される操作部材と、操作部材が接続される第1部材と、ミラーユニットの移動を許容する解除位置とミラーユニットを固定するロック位置との間で移動する第2部材と、を含むロック部材と、第2部材に取り付けられたクリーニング部材と、を含み、解除位置とロック位置との間で、第2部材が移動する間、クリーニング部材は、ミラー部材に対して摺接されることを特徴とする読取装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿上の画像を読み取る読取装置と、当該読取装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機やスキャナー装置といった画像形成装置は、多くの場合、透明な載置板と、載置板の下方で移動する光源ユニットと、光源ユニットと連動して移動するミラーユニットと、原稿からの反射光に基づき原稿の画像データを生成する光学素子(例えば、CCDカメラ)を備える。使用者は、載置板上に原稿を載置することができる。光源ユニットは、移動しながら発光し、原稿からの反射光をミラーユニットへ伝搬させる。ミラーユニットは、CCDカメラと光源ユニットとの間で所定の光学的距離が保たれるように移動する(例えば、特許文献1乃至3を参照)。
【0003】
上述の文献は、読取装置の輸送時における読取装置の光学部材に対する様々な固定技術を開示する。これらの固定技術は、読取装置の輸送の間の振動や衝撃に起因する読取装置の光学的な設定の変動を低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−235810号公報
【特許文献2】特開平7−234455号公報
【特許文献3】特開平7−240821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
読取装置の光学素子への異物(例えば、埃)の付着は、原稿の画像の読取に悪影響を及ぼす。特に、読取装置の輸送時において発生する振動や衝撃は、読取装置内において異物を浮遊させやすい。
【0006】
上述の開示技術は、光学素子への異物の付着に取り組むものではない。
【0007】
本発明は、読取装置内での異物を除去するための構造を備える読取装置と、当該読取装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る読取装置は、原稿が載置される載置板を含む筐体と、前記載置板に沿って移動し、前記原稿に向けて光を照射する光源ユニットと、前記光源ユニットと連動して前記筐体内で前記原稿からの反射光の光路を規定するミラーユニットと、前記ミラーユニットを固定するためのロック機構と、を備え、前記ミラーユニットは、前記反射光を反射するミラー部材を含み、前記ロック機構は、前記ミラーユニットを固定するために操作される操作部材と、該操作部材が接続される第1部材と、前記操作部材に対する操作によって前記ミラーユニットの移動を許容する解除位置と前記ミラー部材を覆い前記ミラーユニットを固定するロック位置との間で移動する第2部材と、を含むロック部材と、前記第2部材に取り付けられたクリーニング部材と、を含み、前記解除位置と前記ロック位置との間で、前記第2部材が移動する間、前記クリーニング部材は、前記ミラー部材に対して摺接されることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
上記構成によれば、光源ユニットは、原稿が載置された載置板に沿って移動し、光を原稿に向けて照射する。ミラーユニットは、光源ユニットと連動して筐体内で前記原稿からの反射光の光路を規定する。ミラーユニットは、反射光を反射するミラー部材を含む。ミラーユニットを固定するためのロック機構は、ミラーユニットを固定するために操作される操作部材と、ロック部材と、を含む。ロック部材は、操作部材が接続される第1部材と、操作部材に対する操作によって解除位置とロック位置との間で移動する第2部材とを含む。解除位置にある第2部材は、ミラーユニットの移動を許容する。一方、ロック位置にある第2部材は、ミラー部材を覆う。この結果、ミラーユニットは、固定される。解除位置とロック位置との間で、第2部材が移動する間、クリーニング部材は、ミラー部材に対して摺接されるので、ミラー部材に付着した異物は適切に除去される。
【0010】
上記構成において、前記操作部材は、回転操作される回転シャフトを含み、前記第1部材は、前記回転シャフトの回転に伴って回転することが好ましい(請求項2)。
【0011】
上記構成によれば、操作部材は、回転操作される回転シャフトを含む。第1部材は、回転シャフトの回転に伴って回転する。この結果、第2部材は、解除位置とロック位置との間で移動することができる。解除位置とロック位置との間で、第2部材が移動する間、クリーニング部材は、ミラー部材に対して摺接されるので、ミラー部材に付着した異物は適切に除去される。
【0012】
上記構成において、前記回転シャフトは、前記筐体に取り付けられることが好ましい(請求項3)。
【0013】
上記構成によれば、回転シャフトは、筐体に取り付けられるので、第2部材がロック位置にある間、ミラーユニットは、筐体に対して適切に固定される。
【0014】
上記構成において、前記クリーニング部材は、弾性的に圧縮変形する材料から形成されることが好ましい(請求項4)。
【0015】
上記構成によれば、クリーニング部材は、弾性的に圧縮変形する材料から形成されるので、クリーニング部材の摺擦の間、ミラー部材に過度の負荷は生じない。
【0016】
上記構成において、前記反射光に基づき、前記原稿の画像データを生成するデータ生成部を更に備え、前記ミラーユニットは、前記光源ユニットと前記データ生成部との間の所定の光学的距離を保ちつつ、前記筐体内で移動することが好ましい(請求項5)。
【0017】
上記構成によれば、読取装置は、反射光に基づき、原稿の画像データを生成するデータ生成部を更に備える。ミラーユニットは、光源ユニットとデータ生成部との間の所定の光学的距離を保ちつつ、筐体内で移動するので、データ生成部は、画像データを適切に生成することができる。
【0018】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上述の読取装置と、前記画像データに基づき画像を形成する画像形成部と、を備えることが好ましい(請求項6)。
【0019】
上記構成によれば、上述の読取装置が生成した画像データの基づき画像が形成される。したがって、読取装置内の異物に影響をほとんど受けることなく、画像が適切に形成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る読取装置及び画像形成装置は、読取装置内での異物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】画像形成装置として例示される複写機の概略的な斜視図である。
【図2】図1に示される複写機の内部構造の概略的な断面図である。
【図3】図1に示される複写機が備える読取装置の概略的な斜視図である。
【図4】図3に示されるミラーユニット及びロック機構の概略的な斜視図である。
【図5】図3に示されるミラーユニット及びロック機構の概略的な斜視図である。
【図6A】クリーニング層によるクリーニング動作を表す概略的な断面図である。
【図6B】クリーニング層によるクリーニング動作を表す概略的な断面図である。
【図6C】クリーニング層によるクリーニング動作を表す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、読取装置及び画像形成装置の一実施形態が説明される。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、読取装置及び画像形成装置の原理を限定するものではない。更に、以下の説明で用いられる「シート」との用語は、コピー用紙、トレーシングペーパー、厚紙、OHPシートや画像を形成することが可能な他のシートを意味する。
【0023】
<画像形成装置>
図1は、画像形成装置として例示される複写機100の概略的な斜視図である。尚、画像形成装置として、スキャナー装置や原稿の画像を読み取ることができる装置を搭載した他の装置が用いられてもよい。
【0024】
複写機100は、画像を形成するための様々な装置を収容する主筐体110を備える。主筐体110は、後述される読取装置を収容する上部筐体120と、上部筐体120の下方に設置される下部筐体130と、上部筐体120と下部筐体130との間に配設された中間筐体140と、を含む。
【0025】
複写機100は、下部筐体130に収容されたカセット150を更に備える。使用者は、カセット150を前方に引き出し、カセット150内にシートを収容することができる。その後、使用者は、カセット150を下部筐体130内に押し入れることができる。
【0026】
複写機100は、シートに画像を形成する画像形成部(後述される)を備える。下部筐体130は、画像形成部を収容する。画像形成部は、カセット150から搬送されたシートに画像を形成する。
【0027】
複写機100は、画像形成後のシートを排出するための排出機構(後述される)を備える。中間筐体140は、排出機構を収容する。上部筐体120と下部筐体130との間には、空間Rが形成される。中間筐体140内の排出機構は、空間Rにシートを排出する。下部筐体130の上面131には、排出されたシートが蓄積される。
【0028】
複写機100は、上部筐体120の上面を覆うカバー部材160を更に備える。カバー部材160は、主筐体110に対して回動自在に取り付けられる。使用者は、カバー部材160を上方に回動することができる。カバー部材160が上方に回動されると、原稿が載置される硝子板(後述される)が現れる。使用者は、カバー部材160上に原稿を載置した後、カバー部材160を下方へ回動することができる。この結果、原稿は、カバー部材160と硝子板との間で安定的に保持される。
【0029】
尚、カバー部材160は、硝子板上へ自動的に原稿を送り込むことができる機構を備えてもよい。このような機構として、様々な既知の複写機に用いられている原稿給紙機構が好適に用いられる。
【0030】
図2は、複写機100の内部の構造の概略的な断面図である。図1及び図2を用いて、複写機100の内部構造が説明される。
【0031】
上述の如く、複写機100は、原稿の画像を読み取る読取装置200を備える。読取装置200は、上部筐体120内に配設される。
【0032】
読取装置200は、上述の硝子板210に加えて、硝子板210の下方で左右に移動する光源ユニット220を備える。光源ユニット220は、硝子板210上に載置された原稿に向けて光を照射する光源部221と、原稿からの反射光を受ける第1ミラー部材222と、を備える。本実施形態において、透明な硝子板210は、載置板として例示される。代替的に、原稿を適切に支持し、原稿への入射光及び原稿からの反射光を透過させることができる他の部材(例えば、透明なプラスチック板)が載置板として用いられてもよい。
【0033】
読取装置200は、原稿からの反射光に基づき、原稿の画像に関するデータ(以下、画像データと称される)を生成するCCDカメラ230と、CCDカメラ230と光源ユニット220との間で反射光の光路を規定するミラーユニット240と、を更に備える。光源ユニット220の第1ミラー部材222は、ミラーユニット240に向けて原稿からの反射光を反射させる。ミラーユニット240は、第1ミラー部材222からの反射光を受ける第2ミラー部材241と、第2ミラー部材241の下方に配設された第3ミラー部材242と、を含む。第2ミラー部材241は、第1ミラー部材222からの反射光を第3ミラー部材242に向けて反射する。第3ミラー部材242は、第2ミラー部材241からの反射光をCCDカメラ230に向けて反射する。CCDカメラ230は、反射光を受光し、反射光の色相や強度に基づいて、画像データを生成する。本実施形態において、CCDカメラ230は、データ生成部として例示される。
【0034】
ミラーユニット240は、光源ユニット220の水平移動に連動して、左右に移動し、光源ユニット220とCCDカメラ230との間の光路長を一定に保つ。この結果、CCDカメラ230は、適切に、画像データを生成することができる。CCDカメラ230が生成した画像データは、上述の画像形成部400による画像形成に利用される。尚、画像形成部400の構造は、後述される。
【0035】
尚、光源ユニット220及びミラーユニット240を連動させる駆動機構として、既知の複写機に用いられている機構が用いられてもよい。CCDカメラ230に代えて、原稿からの反射光に基づいて、画像データを生成することができる他の光学的装置(例えば、CMOSカメラ)が用いられてもよい。
【0036】
複写機100は、上述のカセット150から画像形成部400までシートSを搬送並びに案内する給紙機構300を更に備える。上述の如く、カセット150内には、シートSの束が収容される。カセット150は、シートSの束の一端を押し上げる。給紙機構300は、カセット150内で押し上げられたシートSの束に当接するピックアップローラー310を備える。ピックアップローラー310は回転し、カセット150からシートSを引き出す。
【0037】
給紙機構300は、ピックアップローラー310から引き出されたシートSを下流へ搬送する給紙ローラー320と、ピックアップローラー310から引き出されたシートSをカセット150に向けて押し戻すように回転する分離ローラー325と、を更に備える。ピックアップローラー310が複数のシートSをカセット150から引き出すならば、給紙ローラー320に直接的に接触するシートSのみが下流へ搬送される一方で、他のシートSはカセット150へ押し戻される。ピックアップローラー310が1枚のシートSを引き出すならば、給紙ローラー320は、分離ローラー325に打ち勝ち、シートSを下流へ搬送する。かくして、シートSは、1枚ずつ下流へ搬送される。
【0038】
給紙機構300は、給紙ローラー320からのシートSを画像形成部400へ中継するレジストローラー対330を更に備える。レジストローラー対330は、画像形成部400での画像形成工程に合わせて、画像形成部400へシートSを送り込む。
【0039】
給紙機構として、シートを画像形成部へ搬送することができる他の様々な既知の構造が採用されてもよい。例えば、分離ローラー325に代えて、シートSに摩擦力を加えるパッドや、トルクに応じて回転の制御がなされるローラー構造が用いられてもよい。
【0040】
画像形成部400は、下部筐体130内で回転する感光体ドラム410と、感光体ドラム410の周面を略一様に帯電させる帯電器420と、を備える。画像形成部400は、略一様に帯電された感光体ドラム410の周面にレーザ光を照射する露光装置430を更に備える。露光装置430は、上述の画像データに従って、レーザ光を走査する。この結果、取得された画像データに対応する静電潜像が感光体ドラム410の周面に形成される。
【0041】
画像形成部400は、静電潜像が形成された感光体ドラム410の周面にトナーを供給する現像装置440を更に備える。現像装置440からのトナー供給の結果、静電潜像は現像(可視化)され、画像形成部400の周面にトナー画像が形成される。
【0042】
画像形成部400は、転写ローラー450を更に備える。レジストローラー対330から送られたシートSは、感光体ドラム410と転写ローラー450との間を通過する。この間、感光体ドラム410の周面のトナー画像は、静電気的に、シートSへ乗り移る。かくして、シートS上へのトナー画像の転写が完了する。
【0043】
画像形成部400は、トナー画像の転写後に残存するトナーを感光体ドラム410から除去するクリーニング装置460を更に備える。クリーニング装置460によって清浄化された感光体ドラム410の周面は、帯電器420によって再度帯電される。
【0044】
本実施形態において、画像形成部400は、単色のトナー画像をシートSに形成する。代替的に、複数の色相のトナーを用いて画像を形成する既知の画像形成部が用いられてもよい。
【0045】
本実施形態において、画像形成部400は、粉末状のトナーを用いて、トナー画像を形成する。代替的に、液状の現像剤を用いて、静電潜像が現像されてもよい。
【0046】
複写機100は、シートSに転写されたトナー画像を定着させる定着ユニット500を更に備える。定着ユニット500は、熱源(図示せず)が内蔵された加熱ローラー510と、トナー画像をシートSに定着させるための定着ローラー520と、加熱ローラー510及び定着ローラー520の周囲を周回する加熱ベルト530と、定着ローラー520に押しつけられる加圧ローラー540と、を備える。加熱ローラー510は、加熱ベルト530を加熱する。加熱ベルト530は、その後、定着ローラー520と加圧ローラー540との間を通過する。シートSは、定着ローラー520を取り巻く加熱ベルト530と加圧ローラー540との間を通過する。加圧ローラー540は、シートS上のトナー画像を加熱ベルト530に押しつける。この結果、トナー画像はシートSに定着される。
【0047】
定着ユニットとして、シート上のトナーを定着させることができる他の構造が採用されてもよい。例えば、トナー画像を定着させるための熱源として、誘導加熱ユニットが用いられてもよい。代替的に、シート上のトナー画像は、加熱されたローラーに直接的に押しつけられてもよい。既知の複写機において、トナー画像を定着させるために用いられている既知の設備の構造が定着ユニットに適用されてもよい。
【0048】
本実施形態において、上述の排出機構として、排出ローラー対590が用いられる。排出ローラー対590は、上部筐体120と下部筐体130との間の空間Rに、トナー画像の定着処理後のシートSを排出する。
【0049】
本実施形態において、複写機100は、シートSの一方の面にトナー画像を形成する。追加的に、複写機は、シートの両面にトナー画像を形成するための既知の装置を備えてもよい。
【0050】
<読取装置>
図3は、上述の読取装置200の概略的な斜視図である。図1乃至図3を用いて、読取装置200が説明される。
【0051】
読取装置200は、上述の硝子板210を支持する筐体205を更に備える。上述の光源ユニット220、ミラーユニット240及びCCDカメラ230は、筐体205内に収容される。
【0052】
筐体205は、上部筐体120内で適切に保持される。筐体205に取り付けられた硝子板210は、筐体205が上部筐体120に取り付けられると、上部筐体120の上面に露出する。
【0053】
筐体205は、左壁206と、左壁206とは反対側の右壁207と、左壁206及び右壁207の間で延びる正面壁208と、正面壁208とは反対側の背面壁209と、を含む。読取装置200は、ミラーユニット240を固定するためのロック機構600を更に備える。ロック機構600は、背面壁209を貫通し、筐体205内に挿入された回転シャフト610と、回転シャフト610の端部に取り付けられたハンドル611と、を備える。
【0054】
図1に示される如く、ハンドル611は、複写機100の筐体110外に現れる。使用者は、筐体110外に現れたハンドル611を動かし、回転シャフト610を回転することができる。後述されるように、ハンドル611及び回転シャフト610は、ミラーユニット240を読取装置200の輸送時に固定するために用いられる。読取装置200の輸送(複写機100の輸送)の後、使用者はハンドル611を再度操作し、ミラーユニット240の固定を解除することができる。固定の解除処理後、筐体205内の光源ユニット220及びミラーユニット240は、左壁206と右壁207との間で往復移動することができる。尚、ハンドルは、複写機の筐体内に収容されてもよい。この場合、使用者は、複写機の筐体の一部(例えば、外装板)を取り外し、ハンドルを握持並びに操作してもよい。本実施形態において、ハンドル611及び回転シャフト610は、操作部材として例示される。
【0055】
<ロック機構>
図4及び図5は、ミラーユニット240及びロック機構600の概略的な斜視図である。図3乃至図5を用いて、ミラーユニット240及びロック機構600が説明される。
【0056】
ミラーユニット240は、上述の第2ミラー部材241及び第3ミラー部材242に加えて、第2ミラー部材241及び第3ミラー部材242を保持する保持フレーム245を備える。第2ミラー部材241は、第3ミラー部材242から離間して保持される。
【0057】
ロック機構600は、上述のハンドル611及び回転シャフト610に加えて、ロック部材620を備える。ロック部材620は、回転シャフト610に接続された接続部材621と、接続部材621の上端縁からミラーユニット240へ向けて突出する突出部材622と、を含む。接続部材621は、略L字状の断面を有するL字部材623と、L字部材623から下方に延出し回転シャフト610に一体的に接続された接続アーム624と、を含む。したがって、接続部材621及びこれに連なる突出部材622は、回転シャフト610の回転に伴って回転する。本実施形態において、接続部材621は、第1部材として例示される。
【0058】
図4及び図5に示されるミラーユニット240は、筐体205の左壁206の近傍に配設されている。図4に示される突出部材622は、第3ミラー部材242の右方に存在しない一方で、図5に示される突出部材622は、第3ミラー部材242の右方に存在する。したがって、図4に示されるミラーユニット240は、右壁207に向かって移動することができるのに対し、図5に示されるミラーユニット240の右壁207への移動は突出部材622によって規制される。以下の説明において、図4に示される突出部材622の位置は、解除位置と称される。また、図5に示される突出部材622の位置は、ロック位置と称される。ハンドル611及び回転シャフト610の操作によって、突出部材622は、解除位置とロック位置との間で移動する。本実施形態において、突出部材622は、第2部材として例示される。また、ロック部材620は、ロック部材として例示される。
【0059】
ロック機構600は、突出部材622の下面に接着されたクリーニング層630を更に備える(図4参照)。クリーニング層630は、弾性的に圧縮変形可能な材料(例えば、スポンジ、ゴムや他の適切な材料)から形成される。本実施形態において、クリーニング層630は、クリーニング部材として例示される。
【0060】
<クリーニング動作>
図6A乃至図6Cは、クリーニング層630によるクリーニング動作を表す概略的な断面図である。図2、図3、図6A乃至図6Cを用いて、クリーニング動作が説明される。
【0061】
図6Aに示される突出部材622は、解除位置に存し、接続部材621の上端縁から第2ミラー部材241と第3ミラー部材242との間に向けて、略水平に突出する。第2ミラー部材241及び第3ミラー部材242は、光源ユニット220の第1ミラー部材222からの反射光をCCDカメラ230に向けて案内するための反射ミラー249を含む。第2ミラー部材241の反射ミラー249は下方を向いているのに対し、第3ミラー部材242の反射ミラー249は上向きである。したがって、筐体205内で浮遊する異物(例えば、埃)は、第2ミラー部材241の反射ミラー249よりも第3ミラー部材242の反射ミラー249に付着しやすい。後述される如く、クリーニング層630は、第3ミラー部材242に付着した異物を除去するために用いられる。本実施形態において、第3ミラー部材242の反射ミラー249は、ミラー部材として例示される。
【0062】
図6Bに示される突出部材622は、解除位置とロック位置との間に存する。クリーニング層630は、突出部材622の先端に取り付けられた第1層631と、第1層631と接続部材621との間で延びる第2層632と、を含む。第1層631は、第2層632よりも厚い。回転シャフト610が回転されると、突出部材622は第3ミラー部材242の反射ミラー249に覆い被さるように移動する。この間、第1層631は、第3ミラー部材242の反射ミラー249に押しつけられ、圧縮変形しながら第3ミラー部材242の反射ミラー249を摺接しながら移動する。
【0063】
図6Cに示される突出部材622は、ロック位置に存する。図6Bに示される回転シャフト610が更に回転されると、突出部材622は、ロック位置に到達する。このとき、反射ミラー249が取り付けられた第3ミラー部材242の面248は、クリーニング層630及び突出部材622に完全に覆われる。かくして、ミラーユニット240は、固定される。
【0064】
上述の如く、クリーニング層630は、圧縮変形可能な弾性材料から形成される。したがって、輸送時に生じた衝撃は、クリーニング層630によって適切に吸収される。したがって、ミラーユニット240に過度の衝撃は伝達されにくくなる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
上述の実施形態の原理は、原稿からの反射光を利用して原稿の画像を読み取る読取装置及び当該読取装置によって読み取られた画像を形成する様々な画像形成装置に適用される。
【符号の説明】
【0066】
100・・・・・複写機(画像形成装置)
200・・・・・読取装置
205・・・・・筐体
210・・・・・硝子板(載置板)
220・・・・・光源ユニット
230・・・・・CCDカメラ(データ生成部)
240・・・・・ミラーユニット
249・・・・・反射ミラー(ミラー部材)
400・・・・・画像形成部
600・・・・・ロック機構
610・・・・・回転シャフト
611・・・・・ハンドル(操作部材)
620・・・・・ロック部材
621・・・・・接続部材(第1部材)
622・・・・・突出部材(第2部材)
630・・・・・クリーニング層(クリーニング部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置される載置板を含む筐体と、
前記載置板に沿って移動し、前記原稿に向けて光を照射する光源ユニットと、
前記光源ユニットと連動して前記筐体内で前記原稿からの反射光の光路を規定するミラーユニットと、
前記ミラーユニットを固定するためのロック機構と、を備え、
前記ミラーユニットは、前記反射光を反射するミラー部材を含み、
前記ロック機構は、
前記ミラーユニットを固定するために操作される操作部材と、
該操作部材が接続される第1部材と、前記操作部材に対する操作によって前記ミラーユニットの移動を許容する解除位置と前記ミラー部材を覆い前記ミラーユニットを固定するロック位置との間で移動する第2部材と、を含むロック部材と、
前記第2部材に取り付けられたクリーニング部材と、を含み、
前記解除位置と前記ロック位置との間で、前記第2部材が移動する間、前記クリーニング部材は、前記ミラー部材に対して摺接されることを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記操作部材は、回転操作される回転シャフトを含み、
前記第1部材は、前記回転シャフトの回転に伴って回転することを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記回転シャフトは、前記筐体に取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記クリーニング部材は、弾性的に圧縮変形する材料から形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項5】
前記反射光に基づき、前記原稿の画像データを生成するデータ生成部を更に備え、
前記ミラーユニットは、前記光源ユニットと前記データ生成部との間の所定の光学的距離を保ちつつ、前記筐体内で移動することを特徴とする請求項4に記載の読取装置。
【請求項6】
請求項5に記載の読取装置と、
前記画像データに基づき画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2013−7885(P2013−7885A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140316(P2011−140316)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】