読取装置

【課題】読取対象面に対する読取装置の指示方向とその読取対象面とがなす角度の許容範囲を広くする。
【解決手段】読取装置は、光源1021及び1022を備え、光源1021を点灯させ、光源1022を消灯させる第1の組合せと、光源1022を点灯させ、光源1021を消灯させる第2の組合せと、光源1021及び光源1022をともに点灯させる第3の組合せのいずれかを、同じ組合せが連続しないように選択して光を照射する。同じ組合せが連続すると、ある特定の組合せにおいて光量の不足や過剰が生じた場合に正確な読み取りが妨げられる状態が連続するが、同じ組合せが連続しないと、かかる場合であっても正確な読み取りが妨げられる状態が連続しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
読取装置において、十分な光量を得るために光源の数を増やしたり光源の位置を工夫したりするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−86462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、読取対象面に対する読取装置の指示方向とその読取対象面とがなす角度の許容範囲を広くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の請求項1に係る読取装置は、読取対象面に対して、それぞれが異なる方向から光を照射する複数の照射手段と、前記複数の照射手段により照射された光のうちの前記読取対象面において反射した反射光を読み取る読取手段と、光を照射する照射手段の組合せを順次切り替えながら前記複数の照射手段に光を照射させる制御を行う制御手段とを備える構成を有する。
【0005】
本発明の請求項2に係る読取装置は、請求項1に記載の構成において、前記制御手段が複数の組合せをあらかじめ決められた順序で選択する制御を繰り返すことを特徴とする。
本発明の請求項3に係る読取装置は、請求項1又は2に記載の構成において、前記読取手段が読み取りの条件を前記組合せに応じて異ならせることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る読取装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載の構成において、前記複数の照射手段として、第1の照射手段と第2の照射手段とを含み、前記制御手段が、前記第1の照射手段が光を照射し、前記第2の照射手段が光を照射しない第1の組合せと、前記第2の照射手段が光を照射し、前記第1の照射手段が光を照射しない第2の組合せとをあらかじめ決められた順序で切り替えることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る読取装置は、請求項4に記載の構成において、前記制御手段が、前記第1の組合せと、前記第2の組合せと、前記第1及び第2の照射手段がともに光を照射する第3の組合せとをあらかじめ決められた順序で切り替えることを特徴とする。
本発明の請求項6に係る読取装置は、請求項1ないし5のいずれかに記載の構成において、前記読取手段により読み取られる反射光を表す画像情報に対応する情報を時間的に連続して出力する出力手段を備え、前記出力手段が、前記反射光に含まれる正反射光成分があらかじめ定められた条件を満たす場合に、当該反射光に対応する前記情報を無効とし、又は補完することを特徴とする。
本発明の請求項7に係る読取装置は、請求項1ないし6のいずれかに記載の構成において、前記読取対象面に前記複数の照射手段が照射する光の位置の目標となる位置を指し示すための指示部材を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1に記載の構成によれば、決められた照射手段のみから光が照射される場合に比べ、読取対象面に対する読取装置の指示方向とその読取対象面とがなす角度の許容範囲を広くすることができる。
本発明の請求項2に記載の構成によれば、同構成を有しない場合に比べ、複雑な制御を行わないでも読み取りの失敗を抑えることができる。
本発明の請求項3に記載の構成によれば、反射光の光量等が組合せ毎に相違する場合であっても、その相違を抑える方向に読み取りの条件を変えることができる。
本発明の請求項4に記載の構成によれば、読取装置の傾き角が比較的小さい場合に、正確な読み取りができないことを少なくすることができる。
本発明の請求項5に記載の構成によれば、読取装置の傾き角が比較的小さい場合と、読取装置の傾き角が比較的大きい場合とにおいて、正確な読み取りができないことを少なくすることができる。
本発明の請求項6に記載の構成によれば、同構成を有しない場合に比べ、正確でない可能性が高い情報が出力されることを妨げることができる。
本発明の請求項7に記載の構成によれば、同構成を有しない場合に比べ、光が照射される位置(すなわち読み取りの対象となる位置)を使用者に容易に認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[実施形態]
図1は、本発明の一実施形態である読取装置の使用態様を示す図である。本実施形態の読取装置10は、ペン様の外観を有し、使用者に把持されて用いられる。使用者による操作は、読取装置10で筆記をするようにこれを移動させるものである。使用者は、読取装置10の先端で読取対象物Objを指示し、その表面に光が当たるように読取装置10を移動させる。読取装置10は、その動作のオン・オフを切り替えるスイッチを備えてもよいが、外部装置から電力を供給され、外部装置が動作している間動作するものであってもよい。
【0008】
読取対象物Objは、例えば、紙や、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、その表面(以下「読取対象面」という。)に画像が形成されている。読取対象面に形成される画像は、特に限定されないが、本実施形態においては、読取対象面における位置(座標)を表す画像であるとする。この画像は、例えば、座標をあらかじめ定められた規則に従って符号化し、その符号を点や線で形成されるパターンによって表したものである。以下においては、かかる符号化された画像のことを「コード画像」といい、このコード画像が表す情報を「コード情報」という。
【0009】
読取対象物Objが紙である場合、コード画像は、読取対象物Objたる紙の使用前(製造時)から、その表面にあらかじめ形成されたものであってもよいし、画像形成装置により文字等の他の画像が形成される場合に、当該他の画像とあわせて形成されるものであってもよい。
【0010】
本実施形態のコード情報は、位置情報と識別情報を含む。ここにおいて、位置情報とは、読取対象面における各位置の座標を表す情報をいう。本実施形態の位置情報は、読取対象面のあらかじめ定められた位置(中心や四隅のいずれか等)や他の画像の位置に対してあらかじめ定められた位置を原点とした直交座標系における座標を表すものであり、以下においては、一方を「X座標」、他方を「Y座標」という。また、本実施形態の識別情報は、あらかじめ定められた規則で付与される数字列である。識別情報は、読取対象物Objを識別するための情報であってもよいし、コード画像が画像形成装置により形成される場合には、コード画像とともに形成される画像を識別するための情報(タイトル等)であってもよい。
なお、直交座標系は、読取対象面や他の画像の外に仮想的な原点を定義したものであってもよい。
【0011】
本実施形態において、読取対象面に対する読取装置10の指示方向とは、円柱状である読取装置10の軸からみて先端に向かう方向のことをいう。また、本実施形態において、読取装置10の指示方向とその読取対象面とがなす角度とは、読取対象面に対して指示方向がなす角度のうちの最小のものをいう。以下においては、読取対象面の法線からこの角度を減じたものを「傾き角」という。
【0012】
図2は、傾き角を説明するための図である。図2(a)のように、読取装置10が読取対象面に対して“立った”状態である場合、傾き角は0°に近い。例えば、図2(a)に示すように、読取装置10が読取対象面に対して垂直であれば、傾き角は0°である。一方、図2(b)のように、読取装置10が読取対象面に対して“寝た”状態である場合、傾き角は90°に近くなる。例えば、図2(b)に示すように、読取装置10の指示方向と読取対象面とがなす角度が30°である場合、傾き角は60°である。すなわち、本実施形態における傾き角は、読取装置10が“立った”状態を基準(傾きのない状態)とし、その状態からどの程度傾いているかを表す指標である。
【0013】
図3は、読取装置10の先端部の内部構造を示す図である。図3(b)は、図3(a)中の矢印Aで示す方向を観察方向とした場合の先端部の内部構造を示す図である。読取装置10は、使用者に把持される筐体10cの先端に、開口部10aを有する。開口部10aからは、指示部材101の一部が露出している。指示部材101は、読取装置10が読み取る位置の目標となる位置を指し示すものであり、より望ましくは、その先端(露出する側)が細くなっている。指示部材101の先端からは、インク等が出るようになっていてもよい。なお、読取装置10が読み取る位置とその目標となる位置とは、これらの間隔があらかじめ決められていれば足り、これらが一致する必要はない。
【0014】
読取装置10は、筐体10cの内部に、光源1021、1022、拡散レンズフィルム1031、1032、フィルタ104、絞り105、レンズ106、プリズム107及び光センサ108を備える。光源1021及び1022は、例えば、LED(Light Emitting Diode)や有機EL(Electro-Luminescence)発光素子であり、光をあらかじめ定められた方向に照射する。光源1021及び1022は、光の照射方向が光源1021と1022とで異なる。本実施形態の光源1021及び1022による照射方向は、図3(a)に示す方向から観察した場合に、指示部材101に対して対称になるように設けられている。拡散レンズフィルム1031及び1032は、光源1021及び1022により照射された光を拡散させる。拡散レンズフィルム1032は、図3(b)において図示されないが、光源1021に対応するように設けられている。光源1021(又は1022)及び拡散レンズフィルム1031(又は1032)は、これらが協働して本発明における照射手段として機能する。
【0015】
なお、光源1021と光源1022とを区別する必要がない場合、以下においては、必要に応じて、これらを「光源102」と総称する。同様に、拡散レンズフィルム1031と拡散レンズフィルム1032とを区別する必要がない場合、以下においては、必要に応じて、これらを「拡散レンズフィルム103」と総称する。
【0016】
フィルタ104、絞り105、レンズ106及びプリズム107は、光源1021及び1022により照射された光のうちの読取対象面において反射した反射光を光センサ108に導くための光学部材である。フィルタ104は、光センサ108に入射する反射光を調整する機能を有する。フィルタ104は、例えば、光センサ108が検知対象としない波長領域がある場合に、その波長領域の光をカットする。絞り105は、光センサ108に入射する反射光の量を制限するとともに光学系の被写界深度を所望の深度に設定する機能を有する。レンズ106は、光センサ108に入射する反射光を集束させる機能を有する。プリズム107は、反射光の進行方向を変化させ、光センサ108に入射させる機能を有する。なお、プリズム107は、ミラーによって代用されてもよく、また、読取装置10の太さを問題としない場合であれば、反射光学系を設けずに、光センサに直接光を導いてもよい。光センサ108は、読取対象面からの反射光を読み取るものであり、本発明における読取手段の一例である。光センサ108は、基板108bとセンサ面108sとを有し、読取対象面からの反射光を検知し、検知した反射光の明るさ(強度)に応じた画像情報を生成する。光センサ108としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子が採用される。画像情報は、反射光の明るさをビット値で表した情報であり、本実施形態においては、8ビット(256階調)であるとする。
【0017】
図4は、読取装置10の制御系の構成を示すブロック図である。読取装置10は、発光制御部111と、コード検出部112と、情報処理部113とを備える。発光制御部111は、光源102による光の照射を制御する。発光制御部111は、光源1021及び1022の少なくともいずれかを照射させる指示に従って、光源1021及び1022の点灯及び消灯を制御する。本実施形態においては、光源1021を点灯させ、光源1022を消灯させる組合せ(以下「第1の組合せ」という。)と、光源1022を点灯させ、光源1021を消灯させる組合せ(以下「第2の組合せ」という。)と、光源1021及び光源1022をともに点灯させる組合せ(以下「第3の組合せ」という。)の3通りの組合せを用いるとする。発光制御部111は、これらの組合せのいずれかを選択し、選択した組合せに応じた光源102を点灯させる。
【0018】
コード検出部112は、あらかじめ定められた規則に従い、光センサ108により取得された画像情報からコード情報を検出するための処理を実行する。この処理のことを、以下では「デコード」という。本実施形態においては、画像情報から位置情報と識別情報の両方が検出される場合と、画像情報から位置情報が検出され、識別情報の検出に失敗する場合と、画像情報から識別情報が検出され、位置情報の検出に失敗する場合とがあるものとする。情報処理部113は、本発明における出力手段の一例であり、コード検出部112により検出されたコード情報の出力を制御する。情報処理部113は、必要に応じて、後述するコード情報の補完や無効化を行ってもよい。なお、情報処理部113によるデータの出力先は、外部装置と有線又は無線により通信する通信手段であってもよいし、読取装置10内部に半導体メモリ等の記憶手段を備える場合には、この記憶手段であってもよい。情報処理部113は、光センサ108のフレームレートに応じて、コード情報を時間的に連続して出力する。
【0019】
なお、以下においては、発光制御部111、コード検出部112及び情報処理部113を総称して「制御部110」ともいう。制御部110は、単一の演算処理装置により実現されてもよいし、複数の演算処理装置の協働により実現されてもよい。
【0020】
本実施形態の読取装置10の構成は、以上のとおりである。この構成のもと、本実施形態の読取装置10は、使用者に把持された状態で光を照射し、その反射光の検知を受け付ける状態になる。読取装置10は、この状態でコード画像を読み取ると、コード画像のデコードを試みる。
【0021】
読取装置10の制御部110は、使用者による使用時において、光を照射する光源102の組合せをあらかじめ定められた周期(例えば、毎秒60回)で順次切り替えながら光源102の点灯及び消灯を行う。このとき、制御部110は、光を照射する光源102の組合せが直前の組合せと異なる(同じにならない)ように組合せを切り替えながら、光源102に光を照射させる。例えば、制御部110は、第1の組合せ、第2の組合せ、第3の組合せ、第1の組合せ、第2の組合せ、…、といった具合に、決められた順序での切り替えを繰り返す。あるいは、制御部110は、第1の組合せ、第3の組合せ、第2の組合せ、第3の組合せ、第1の組合せ、第3の組合せ、第2の組合せ、第3の組合せ、…、といった具合に、それぞれの組合せの出現頻度が同じにならない制御を行ってもよい。この場合、第1及び第2の組合せが4回に1回の頻度で出現するのに対して、第3の組合せの出現頻度は、2回に1回である。
【0022】
なお、以下においては、繰り返される組合せのパターンの最小単位のことを「繰り返し単位」という。例えば、第1の組合せ、第2の組合せ、第3の組合せ、第1の組合せ、第2の組合せ、…、といった切り替えが繰り返される場合であれば、「第1の組合せ、第2の組合せ、第3の組合せ」が繰り返し単位に相当する。また、第1の組合せ、第3の組合せ、第2の組合せ、第3の組合せ、第1の組合せ、第3の組合せ、第2の組合せ、第3の組合せ、…、といった切り替えが繰り返される場合であれば、「第1の組合せ、第3の組合せ、第2の組合せ、第3の組合せ」が繰り返し単位に相当する。すなわち、繰り返し単位とは、選択される組合せの順序を規定するものである。
【0023】
読取装置10においては、読取装置10と読取対象面とが特定の位置関係にある場合に、拡散反射光成分に加え、正反射光成分を比較的多く含む反射光が光センサ107に検知されることがある。かかる位置関係とは、読取対象面を入射面とした場合に、光源1021(又は1022)により照射された入射光の入射角と光センサ108に向かう反射光の反射角とが同一か、あるいは近似する関係にあることであり、読取装置10の傾き角が0°に近い状態のときに生じる。なお、反射光における正反射光成分の分布は、入射面たる読取対象面の表面性状に応じて異なる。例えば、読取対象面に形成された画像によっては、正反射光成分が特定方向にほぼ集中する場合もあるし、正反射光成分が特定方向を中心にある程度分布する場合もある。正反射光成分を比較的多く含む反射光が検知された場合、光センサ108が生成する画像情報は、光の強度(又は明度)が飽和し、あるいは局所的に極めて強度が高い状態となり、本来の画像を認識できない領域を含むことがある。
【0024】
本実施形態の読取装置10においては、光源1021又は1022の一方と光センサ108とが上記特定の位置関係にある場合、光源1021又は1022の他方と光センサ108とは、当該特定の位置関係にならない。よって、光センサ108によって読み取られる画像情報は、上記特定の位置関係を満たさない場合のものが、少なくとも繰り返し単位中に1回は出現する。したがって、本実施形態においては、使用者に把持された読取装置10が上記特定の位置関係を満たす状態が継続した場合であっても、本来の画像を認識できない場合が繰り返し単位以上に連続することがない。
【0025】
また、読取装置10の傾き角が90°に近い状態であると、そうでない状態の場合に比べ、光源1021又は1022と読取対象面との距離が大きくなることがある。例えば、図5に示すように、光源1021が上方(読取対象面より遠い側)にあり、光源1022が下方(読取対象面より近い側)にある場合、読取対象面を照らす単位面積当たりの光量は、読取対象面までの距離の相違により、光源1022が照射する場合よりも光源1021が照射する場合の方が少なくなる。そうすると、この状態で光源1022が消灯し、光源1021が点灯すると、光源1022が点灯して光源1021が消灯する場合に比べ、読取対象面を照らす光量が不足することになる。このとき、光源1021及び1022の双方をともに点灯するようにすれば、かかる光量の不足が補われる。
【0026】
したがって、本実施形態の読取装置10は、第1ないし第3の組合せをすべて用いて繰り返し単位を構成し、この繰り返し単位に応じた態様で読取対象面を読み取るようにすれば、傾き角が0°に近い状態と90°に近い状態の双方における正確な読み取りを許容する状態が得られる。このとき、本実施形態の読取装置10によれば、傾き角が一定であって光量が過剰又は不足である状態が継続した場合であっても、繰り返し単位中の少なくとも1回は光量が適切な状態で読取対象面に光が照射され、本来の画像を認識できない場合が繰り返し単位以上に連続することがない。つまり、本実施形態の読取装置10によれば、単一の同じ組合せを連続して用いる場合(例えば、光源1021のみを点灯し続ける場合)に比べ、ある特定の組合せについてみた場合には、同じ組合せが繰り返される間隔が長くなるが、本来の画像の認識の確からしさが向上する。
【0027】
なお、本実施形態は、第1の組合せと第2の組合せを含み、第3の組合せを含まない繰り返し単位を用いてもよいものである。この場合、繰り返し単位は、光源1021又は1022の一方が点灯し、他方が消灯することを交互に切り替えるものとなる。このようにした場合、傾き角が0°に近い状態における正確な読み取りを許容する状態が得られる。
【0028】
[実施形態の具体例]
上述した実施形態の読取装置10の具体例は、以下のとおりである。なお、図3中の各部の縮尺は、実際のものと異なっている。本例においては、視野として4.5mm×4.5mmが必要なコード画像を光学倍率0.4倍で12μmの画素に結像する配置を採用している。
【0029】
本例においては、ドット(点)を複数組み合わせたコード画像が用いられる。コード画像は、本例においては黒色のトナーを用いて作成する。コード画像の各ドットは、600dpi(dots per inch)の画素を2×2画素分用いて表現される。そのため、ドットのサイズは、84.6μm×84.6μmである。また、ドット間の距離(あるドットの中心から隣接するドットの中心までの距離)は、最短で169.2μmとする。なお、本例においては、コード画像をドットの有無によって表し、ドットの色や濃淡が情報を有しないものであるとする。しかしながら、本発明におけるコード画像は、ドットの色や濃淡が情報を有するものであってもよい。
【0030】
読取装置10に要求されるのは、最も近接したドットどうしを解像できる能力である。以上の条件でコード画像が形成される場合、読取装置10には、84.6μm×84.6μm以下の像を識別する解像度が要求される。
【0031】
光源102としては、中心波長が850nmの赤外LEDを用いる。光源102の広がり角度(強度が最大値の半値になる角度)は、13°である。拡散レンズフィルム103としては、スポット光源に対する円形拡散角度が20°であるポリカーボネート製のフィルムを用いる。この構成は、光源102から約20mm先にある読取対象面に対して、読取装置10が傾いた状態であっても均一な光を照射することを可能にする。なお、指示部材101の先端の位置は、読取装置10の一般的な仕様に対して想定する傾き角に応じて定められる。光源102の駆動回路としては、チャージポンプ型のLEDドライバを用いる。
【0032】
フィルタ104としては、可視光をカットするフィルタを用いる。このフィルタ104は、波長が850nmの光の透過率が85%以上であり、波長が700nmの光の透過率が5%以下である。また、フィルタ104の厚さは、0.5mmである。また、絞り105の直径は、0.8mmであり、レンズ106としては、波長850nmにおける焦点距離が9.12mmである厚さ1.5mmの平凸レンズを用いる。絞り105は、被写界深度を大きく確保するために設けられており、読取装置10の傾きに応じて読取対象面までの距離が大きく変動することを考慮して設計されている。レンズ106から読取対象面までの距離は、31.92mm程度を想定しており、光学倍率0.4倍でセンサ面108sに画像が結像されるように設計されている。
【0033】
光センサ108としては、CMOSセンサを用いる。本例の光センサ108は、像の同時性や乱れを考慮し、ローリングシャッター方式ではなくグローバルシャッター方式を採用する。本例の光センサ108は、画素サイズが12μmであり、画素数が24336(156×156)画素の8ビットデータを出力する。光センサ108の駆動周波数は13.5MHzであり、そのフレームレートは60fps(frames per second)である。さらに、光センサ108は、850nmにおける分光感度が可視域(550nm)に対して60%以上あるものが望ましい。
【0034】
光センサ108には、ゲインや露光時間がパラメータとして設定される。このパラメータは、反射光の読み取りの条件を表すものの一例である。光センサ108は、決められた値のパラメータを用いてもよいが、光を照射する光源、すなわち上述した組合せに応じてパラメータを異ならせてもよい。パラメータを組合せに応じて異ならせる場合には、制御部110が光センサ108にパラメータを設定する。また、光センサ108の画素の全体ではなく、一部を切り出して画像情報を生成する場合には、切り出し位置を上述した組合せに応じて異ならせてもよい。
【0035】
図6は、光源102の駆動と光センサ108の露光の関係を示すタイミングチャートである。ここでは、説明の便宜上、第1の組合せと第2の組合せを交互に選択し、第3の組合せを用いない繰り返し単位を用いて説明を行う。
【0036】
制御部110は、決められた時間間隔で光源1021及び1022を交互に駆動するためのイネーブル信号(En1、En2)を出力する。光源1021及び1022は、イネーブル信号に応じて光を照射する。光源102は、本例においてはチャージポンプ型のLEDドライバが用いられているため、イネーブル信号の出力が開始された直後に必要な光量が照射されるのではなく、一定の遅延時間と立ち上がり時間の後に必要な光量が照射される。よって、イネーブル信号の出力時間は、必要な(実効的な)露光時間に加え、この遅延時間と立ち上がり時間とを考慮して決める必要がある。本例においては、必要な露光時間が200μsecであり、遅延時間と立ち上がり時間の合計が190μsecであるため、イネーブル信号の出力時間は390μsecである。ただし、イネーブル信号の出力時間は、使用者の筆記の速度やコード画像のドットのサイズに応じて変化するため、必要に応じて10〜3000μsec程度の範囲から適当に設定される。光センサ108においては、イネーブル信号に同期して露光、すなわち電荷の蓄積が行われた後、一定時間後に電荷が読み出される。
【0037】
イネーブル信号の出力間隔(T1)は、フレームレートが60fpsであるとすると、16.7(≒1/60)msecである。よって、本例においては、1回の繰り返し単位につき33.3msecの時間を要する。そうすると、本例における露光のデューティ比は、1.2(200/16700)%である。
【0038】
フレームレートは、本例の値に限らず、コード画像のドットサイズや使用者の筆記速度に応じて設定される。よって、イネーブル信号の出力間隔も、コード画像のドットサイズ、期待される分解能、使用者の筆記速度などに応じて設定される。使用者の筆記速度は、本発明の発明者の調査(被験者10人)によると、0cm/sec以上40cm/sec以下であった。この筆記速度40cm/secで最大分解能となり得るコード画像のドット間距離(本例では169.2μm)での分解能を満足しようとすると、フレームレートが237(≒40/0.169)fpsであれば十分である。この場合、イネーブル信号の出力間隔(T1)は、4.2msecである。
【0039】
一方、許容し得るフレームレートの最小値は、使用者の筆記速度が40cm/secである場合において、2mmの直線を描いたときにその長さが50%短縮されて見えることを許容するとすると、40(=40/(2×0.5))fpsとなる。この場合、イネーブル信号の出力間隔(T1)は、25msecである。
【0040】
以上より、本例における使用に適するフレームレートの範囲は、40fps以上237fps以下程度であり、本例における使用に適するイネーブル信号の出力間隔(T1)の範囲は、4msec以上25msec以下程度である。
【0041】
本例において、画像情報は、光センサ108の各画素の明るさを示す8ビットデータを1ビットデータ(すなわち2値のデータ)に変換してからデコードが行われる。つまり、制御部110は、画像情報に対して2値化処理を実行する。2値化処理における閾値は、一定であってもよいが、上述した組合せに応じて異ならせてもよい。この場合、この閾値は、反射光の読み取りの条件の一例に相当する。また、2値化処理の結果は反射光の強度の影響を強く受けるため、2値化処理における閾値は、反射光の強度や読取装置10の傾き角に応じて異なるようにしてもよい。例えば、制御部110は、過去に取得した8ビットデータの変化に応じて閾値を異ならせてもよいし、読取装置10の傾き角を検知する検知手段を設け、傾き角に応じて閾値を異ならせてもよい。また、2値化処理の閾値を異ならせる場合には、pタイル法、モード法、判別分析法などを用いてもよい。さらに、コード画像が本実施形態のようにドットである場合には、Quoitフィルタや微分フィルタを用いてもよい。
【0042】
制御部110は、2値化処理が行われた画像情報をデコードし、コード情報の検出を試みる。本例において、コード情報には、位置情報と識別情報とが含まれ、位置情報には、X座標の値とY座標の値とが含まれる。すなわち、制御部110は、識別情報、X座標の値及びY座標の値の3種類の情報の検出を試みる。
【0043】
本例において、コード情報の検出が正しく行われない場合としては、コード情報の検出自体に失敗する場合と、コード情報の検出自体は成功したが、検出された値が正しくない場合とがあり、また、両者の場合を組み合わせたもの(例えば、位置情報の検出に失敗し、検出された識別情報の値が正しくない場合)も生じ得る。以下においては、これらの場合を総称して「デコードエラー」という。
【0044】
なお、検出された値が正しいか否かの判断は、前後に検出されたコード情報を用いて行われる。例えば、識別情報については、同一の読取対象物Objにおいて一定である場合であれば、前後に検出された他の識別情報と異なる値で検出された識別情報は、誤検出である可能性が高い。そこで、制御部110は、検出された識別情報を、当該識別情報の直前に検出された識別情報や、当該識別情報より前に検出されたあらかじめ定められた数の識別情報と比較するなどし、値の正誤を判断する。また、制御部110は、検出された識別情報を、当該識別情報の直前及び直後に検出された識別情報と比較してもよい。なお、位置情報については、使用者の筆記速度として想定された速度を超える座標の変化があった場合を誤検出とみなす。
【0045】
制御部110は、デコードエラーが生じたコード情報の取り扱い方法として、これを無効とする場合と補完して用いる場合とを有する。ここにおいて、コード情報を「無効とする」とは、コード情報がコード画像を表す値として扱われないようにすることをいうものである。コード情報を無効にする方法としては、当該コード情報に相当する値を削除し、これを出力しないようにするものと、当該コード情報に相当する値を無効であることを示す値に書き換え、これを出力するものとが挙げられる。前者の方法を用いると、連続して出力されるコード情報から時間情報(1フレーム当たりの変位)が失われるが、後者の方法を用いると、連続して出力されるコード情報から時間情報が失われない。
【0046】
また、コード情報の補完は、他のコード情報を参照することにより行われる。例えば、識別情報の補完は、当該識別情報の前後のあらかじめ定められた期間に検出された他の(1又は複数の)識別情報を参照し、当該他の識別情報のうちの最頻値に書き換えることで行われる。また、位置情報の補完は、当該位置情報の前後のあらかじめ定められた期間に検出された他の位置情報を参照し、当該他の位置情報から予測されるX座標及びY座標に書き換えることで行われる。なお、これらの補完においては、隣接するフレームの情報のみを参照してもよい。
【0047】
なお、上述した実施形態の構成においては、隣接するフレーム毎に照射の条件を異ならせることにより、一方の条件ではデコードエラーが生じやすい傾き角であっても、他方の条件ではデコードに成功する確率が高くなるため、補完の効果が高まる。なぜならば、デコードエラーが連続すればするほど、補完の精度が落ちやすくなるからである。
【0048】
[変形例]
上述した実施形態は、本発明の一例である。本発明は、例えば、以下の変形例を適用可能である。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、必要に応じて、これらを組み合わせて適用してもよい。
【0049】
(変形例1)
本発明は、検知した反射光から正反射光成分を多く含む領域(以下「正反射領域」という。)を検出する検出手段を備え、かかる検出手段による検出結果をデコードなどに利用するものであってもよい。
図7は、本例に係る構成を示すブロック図である。なお、この図は、上述した実施形態の図4に対応するものであり、図4と共通の構成に対しては図4と共通の符号を付している。つまり、図7の構成は、コード検出部112に代えてコード検出部114を備える点が図4の構成と異なるものであり、その他の点は図4の構成と共通するものである。
【0050】
コード検出部114は、その内部に検出手段の一例である正反射検出部114aを含む。コード検出部114は、上述した実施形態のコード検出部112の機能に加え、正反射領域を検出する機能を有する。正反射検出部114aは、光センサ108により取得された2値化処理前の画像情報から検出を行ってもよいし、2値化処理後の画像情報から検出を行ってもよい。なお、正反射光成分を多く含むか否かは、あらかじめ定められた条件(明度等)によって決められる。
【0051】
2値化処理前の画像情報から正反射領域を検出する場合、正反射検出部114aは、画像情報の平均明度と最大明度とを算出し、これらの差分があらかじめ定められた閾値を超える領域がある場合には、かかる領域を正反射領域、すなわち正反射光成分についてあらかじめ定められた条件を満たす領域であると判断する。また、2値化処理後の画像情報から正反射領域を検出する場合、正反射検出部114aは、あるドットと当該ドットに隣接するドットとの明度差を算出し、明度差があらかじめ定められた閾値を超えるドットがある場合には、正反射領域が含まれていると判断する。
【0052】
コード検出部114は、正反射領域を検出した場合には、コード情報が検出されたときであっても、検出したコード情報を用いず、これを無効としたり、あるいは補完したりしてもよい。なぜならば、正反射領域を検出した場合には、本来読み取るべき画像が正確に読み取られていない可能性が高いからである。
【0053】
(変形例2)
本発明の照射手段は、上述した拡散レンズフィルム1031(又は1032)を含まない構成であってもよい。また、本発明の照射手段は、光を照射方向が3方向以上になるよう、光源を3個以上設けてもよい。
また、本発明において読み取りの対象となる画像は、上述したコード画像に限らない。例えば、本発明において読み取る画像は、識別情報を含まないコード情報を表した画像であってもよいし、符号化されていない文字等の画像であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の読取装置の使用態様を例示する図
【図2】傾き角を説明するための図
【図3】読取装置の先端部の構造を示す断面図
【図4】読取装置の制御系の構成を示すブロック図
【図5】光源の位置による光量の相違を説明するための図
【図6】光源の駆動と光センサの露光の関係を示すタイミングチャート
【図7】読取装置の制御系の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0055】
10…読取装置、101…指示部材、102、1021、1022…光源、108…光センサ、110…制御部、111…発光制御部、112、114…コード検出部、114a…正反射検出部、113…情報処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象面に対して、それぞれが異なる方向から光を照射する複数の照射手段と、
前記複数の照射手段により照射された光のうちの前記読取対象面において反射した反射光を読み取る読取手段と、
光を照射する照射手段の組合せを順次切り替えながら前記複数の照射手段に光を照射させる制御を行う制御手段と
を備えることを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記制御手段が複数の組合せをあらかじめ決められた順序で選択する制御を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記読取手段が読み取りの条件を前記組合せに応じて異ならせることを特徴とする請求項1又は2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記複数の照射手段として、第1の照射手段と第2の照射手段とを含み、
前記制御手段が、
前記第1の照射手段が光を照射し、前記第2の照射手段が光を照射しない第1の組合せと、
前記第2の照射手段が光を照射し、前記第1の照射手段が光を照射しない第2の組合せと
をあらかじめ決められた順序で切り替える
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の読取装置。
【請求項5】
前記制御手段が、前記第1の組合せと、前記第2の組合せと、前記第1及び第2の照射手段がともに光を照射する第3の組合せとをあらかじめ決められた順序で切り替えることを特徴とする請求項4に記載の読取装置。
【請求項6】
前記読取手段により読み取られる反射光を表す画像情報に対応する情報を時間的に連続して出力する出力手段を備え、
前記出力手段が、前記反射光に含まれる正反射光成分があらかじめ定められた条件を満たす場合に、当該反射光に対応する前記情報を無効とし、又は補完する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の読取装置。
【請求項7】
前記読取対象面に前記複数の照射手段が照射する光の位置の目標となる位置を指し示すための指示部材を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−152602(P2010−152602A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329428(P2008−329428)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】