説明

読影レポート検索装置

【課題】容易に必要な情報を得ることができ、さらに、検索時間を短縮することができる読影レポート検索装置を提供する。
【解決手段】読影レポート検索装置9において、作成済の読影レポートが単語の組み合わせからなる最小意味単位で構造化されて変換されたレポート情報である最小意味単位の集合を格納する格納部9dと、作成中の読影レポートを最小意味単位で構造化し、最小意味単位の集合に変換する手段と、変換した作成中の読影レポートの最小意味単位の集合と、格納部9dに格納された作成済の読影レポートの最小意味単位の集合とを比較し、格納部9dから作成中の読影レポートに類似する作成済の読影レポートを検索する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像に対する読影レポートを検索する読影レポート検索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像保管転送システム(PACS)は、例えば、医用画像撮影装置、医用画像サーバ装置、読影レポート作成支援装置、読影レポートサーバ装置及びビューア装置等がLAN等のネットワークを介して接続され構築されている。なお、医用画像撮影装置としては、例えば、X線診断装置、X線CT装置(X線断層撮影装置)、MRI装置(磁気共鳴撮影装置)、超音波診断装置及び核医学診断装置等が挙げられる。
【0003】
通常、医用画像撮影装置により撮影された医用画像はネットワークを介して医用画像サーバ装置に送られて保存される。読影依頼を受けた読影医は、医用画像サーバ装置に保存された読影対象の医用画像を表示装置により表示し、読影レポート作成支援装置を用いてその医用画像に対する読影レポートを作成する。完成した作成済の読影レポートは読影レポートサーバ装置に送られ、テキストデータで保存される。
【0004】
ここで、読影レポート作成支援装置は、患者等の被検体の医用画像に対する読影レポートの作成を支援する装置であり、その読影レポートを作成する読影医等の作成者により用いられる(例えば、特許文献1参照)。この読影レポート作成支援装置としては、読影レポートサーバ装置に格納された過去の読影レポート(過去レポート)から、現在作成中の読影レポートに類似する過去レポートを検索する読影レポート検索装置として機能する読影レポート作成支援装置も提案されている。このとき、検索したい単語や診断名(病名)等が入力され、その単語や診断名等に基づいて過去レポートが検索される。
【特許文献1】特公平4−20350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、読影レポートのデータはテキストデータで保存されているため、単語で検索する場合には、ヒット率が悪く、必要な情報を抽出することが困難であり、加えて検索時間も長くなってしまう。また、診断名等で検索する場合でも、検索対象となる読影レポートが膨大であるため、必要な情報を抽出することが困難であり、加えて検索時間も長くなってしまう。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、容易に必要な情報を得ることができ、さらに、検索時間を短縮することができる読影レポート検索装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施の形態に係る特徴は、読影レポート検索装置において、作成済の読影レポートが単語の組み合わせからなる最小意味単位で構造化されて変換されたレポート情報である最小意味単位の集合を格納する格納部と、作成中の読影レポートを最小意味単位で構造化し、最小意味単位の集合に変換する手段と、変換した作成中の読影レポートの最小意味単位の集合と、格納部に格納された作成済の読影レポートの最小意味単位の集合とを比較し、格納部から作成中の読影レポートに類似する作成済の読影レポートを検索する手段とを備えることである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容易に必要な情報を得ることができ、さらに、検索時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施の一形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る医用画像保管転送システム1は、患者等の被検体から医用画像を撮影する医用画像撮影装置としてのX線CT装置(X線断層撮影装置)2及びMRI装置(磁気共鳴撮影装置)3と、医用画像を保存する医用画像サーバ装置4と、医用画像に対する読影レポートを保存する読影レポートサーバ装置5と、医用画像及び読影レポート等の画像を表示する診察用のビューア装置6と、医用画像等の画像を表示する読影用のビューア装置7と、医用画像に対する読影レポートの作成を支援する読影レポート作成支援装置8と、参照用の過去の読影レポート(過去レポート)を検索する読影レポート検索装置9とにより構成されている。これらの装置2〜9は、LAN(Local Area Network)等のネットワーク10を介して接続されており、相互に通信可能に形成されている。
【0011】
X線CT装置2及びMRI装置3は、それぞれ被検体の部位の医用画像を撮影するモダリティである。これらのX線CT装置2及びMRI装置3は、それぞれ撮影した医用画像の画像データを医用画像サーバ装置4に送信する。
【0012】
医用画像サーバ装置4は、X線CT装置2及びMRI装置3から送信された画像データ及びその画像データに付帯する付帯情報を適宜保管し、さらに、ビューア装置6、7の要求に応じてそのビューア装置6、7に画像データを提供する。なお、医用画像サーバ装置4は、医用画像に対する経時差分、統合(Fusion)、断面変換(MPR)、3D表示変換及び付帯情報管理等の機能を有している。また、医用画像サーバ装置4は、画像データを保管する場合、その画像データに付帯する付帯情報を読影レポートサーバ装置5に送信する。
【0013】
ここで、付帯情報は、患者情報や検査情報等を含んでいる。患者情報としては、例えば患者ID、患者名、性別、年齢、投薬履歴、家族歴、病歴及び嗜好暦等が挙げられる。また、検査情報としては、例えば、CTやMR等の検査名(検査種別)、検査部位、検査日、担当医、血液検査情報、心電図情報及び病理検査情報等が挙げられる。
【0014】
読影レポートサーバ装置5は、医用画像サーバ装置4から付帯情報を受け取り、その付帯情報を含む作成前(入力前)の読影レポート(所見入力欄や診断入力欄等が空白状態である読影レポート)をレポート番号に関連付けて保存し、さらに、読影レポート作成支援装置8の要求に応じてその読影レポート作成支援装置8に作成前の読影レポートを提供する。また、読影レポートサーバ装置5は、読影医により作成された作成済(入力済)の読影レポートを適宜保管し、さらに、ビューア装置6の要求に応じてそのビューア装置6に作成済の読影レポートを提供する。
【0015】
ビューア装置6は、医用画像サーバ装置4に保管された医用画像や読影レポートサーバ装置5に保管された作成済の読影レポート等の画像を表示する装置である。このビューア装置6は例えば病院内の診察室に設置されており、患者の担当医等に医用画像や読影レポートを提供する。これにより、担当医は医用画像及び読影レポートを閲覧することができる。
【0016】
ビューア装置7は、医用画像サーバ装置4に保管された医用画像等の画像を表示する装置である。このビューア装置7は例えば病院内の読影室に設置されており、読影レポートを作成する読影医等の作成者に医用画像を提供する。これにより、作成者は読影対象の医用画像を閲覧することができる。
【0017】
読影レポート作成支援装置8は、読影レポートサーバ装置5に保管された作成前の読影レポートに対する作成作業を支援する装置である。この読影レポート作成支援装置8は例えば病院内の読影室にビューア装置7と並べて設置されており、作成者が読影レポートを作成する場合の作成作業を支援する。
【0018】
このような読影レポート作成支援装置8は、作成者(利用者)からの入力操作を受け付ける入力部、及び読影レポートを表示するレポート表示部(いずれも図示せず)を備えている。入力部は、読影医等の作成者により入力操作される操作部であり、作成者により読影レポートを作成する際に用いられる。この入力部としては、例えば、マウスやキーボード等の入力デバイスを用いる。また、レポート表示部は、作成用の読影レポート及び参照用の過去レポート等の読影レポートを表示する表示装置である。このレポート表示部としては、例えば、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等を用いる。
【0019】
ここで、作成者はビューア装置7に表示された医用画像を閲覧しながら、読影レポート作成支援装置8を用いてその読影対象である医用画像に対する読影レポートを作成する。完成した作成済の読影レポートは読影レポートサーバ装置5及び読影レポート検索装置9に送信される。また、作成中(入力中)の読影レポートも、入力部に対する作成者の入力操作、例えば検索キーの押下に応じて、読影レポート検索装置9に送信される。
【0020】
読影レポート検索装置9は、作成中の読影レポートの受信に応じて、読影レポートサーバ装置5に保管された作成済の複数の読影レポート(過去レポート)から、受信した作成中の読影レポートに類似する過去レポートを検索し、ヒットした(見つけた)過去レポートを読影レポート作成支援装置8に知らせる。これに応じて、読影レポート作成支援装置8は、ヒットした過去レポートを読影レポートサーバ装置5から取得し、その過去レポートをレポート表示部に表示する。これにより、読影医等の作成者は、レポート表示部に表示された過去レポートを参照しながら、読影レポートに所見等の文章を入力し、作成中の読影レポートを完成させる。
【0021】
次いで、読影レポート検索装置9について詳しく説明する。
【0022】
図2に示すように、読影レポート検索装置9は、各部を制御するマイクロプロセッサ等の制御部9aと、各種のプログラムやデータを記憶するROMやRAM、フラッシュメモリ等の記憶部9bと、外部装置とネットワーク10を介して通信を行う通信部9cと、各種のデータベースを有する格納部9dとを備えている。これらの各部9a〜9dはバス9eにより電気的に接続されている。
【0023】
制御部9aは、記憶部9bに記憶された各種のプログラムやデータ等に基づいて各部を制御する。また、制御部9aは各種のプログラムに基づいて各種データの計算又は加工等を行う一連のデータ処理等を実行する。
【0024】
この制御部9aは、作成済の読影レポート(過去レポート)や作成中の読影レポートを構造化する構造化処理部11、作成中の読影レポートの付帯情報と過去レポートの付帯情報とを比較する付帯情報比較処理部12及び作成中の読影レポートと過去レポートとの類似度を算出する類似度算出処理部13等を具備している。
【0025】
記憶部9bは、制御部9aが実行する起動プログラム等の各種のプログラムを記憶するメモリであって、さらに、制御部9aのワークエリアとしても機能するメモリである。なお、起動プログラムは、読影レポート検索装置9の起動時に制御部9aにより読み出されて実行される。
【0026】
通信部9cは、LAN等のネットワーク10を介して外部装置との通信を行う通信インターフェースである。この外部装置としては、読影レポートサーバ装置5や読影レポート作成支援装置8等が挙げられる。
【0027】
格納部9dは、構造化処理部11の構造化に用いる構造化ルールを規定する構造化用辞書データベース21、作成済の読影レポートの付帯情報を過去レポートの付帯情報として保存する付帯情報保存データベース22、及び構造化処理部11により構造化された作成済の読影レポートを過去レポートとして保存する構造化過去レポート保存データベース23を具備している。この格納部9dとしては、例えば、ハードディスクドライブ等の記憶装置を用いる。
【0028】
構造化処理部11は、構造化用辞書データベース21を参照し、受信した作成済の読影レポートをテキストマイニング技術により最小意味単位で構造化し、最小意味単位の集合に変換する。すなわち、この最小意味単位の集合は、作成済の読影レポートが最小意味単位で構造化されて変換されたレポート情報である。さらに、構造化処理部11は、前述と同様に、受信した作成中の読影レポートに対してもテキストマイニングを行い、作成中の読影レポートを最小意味単位で構造化し、最小意味単位の集合に変換する。すなわち、この最小意味単位の集合は、作成中の読影レポートが最小意味単位で構造化されて変換されたレポート情報である。
【0029】
ここで、最小意味単位は、複数の単語の組み合わせにより構成されている。この最小意味単位としては、例えば、所見に関する所見記述の最小意味単位と、診断に関する最小意味単位との2種類が挙げられる。所見記述の最小意味単位は、所見名、部位名及び確定度の単語の組み合わせにより構成されている(所見記述の最小意味単位=「所見名、部位名、確定度」)。また、診断記述の最小意味単位は、診断名、部位名及び確定度の単語の組み合わせにより構成されている(診断記述の最小意味単位=「診断名、部位名、確定度」)。なお、所見名としては、例えば、陰影や集積、圧迫等が挙げられる。診断名としては、例えば、癌や癌転移等の病名が挙げられる。部位名としては、例えば、左肺や右肺、心臓、肝臓等が挙げられる。
【0030】
例えば、所見名が「陰影」であり、部位名が「左肺」であり、確定度が「ある」である場合には(「陰影、左肺、ある」)、その所見記述の最小意味単位は「陰影が左肺にある」ということを意味する。加えて、所見名が「集積」であり、部位名が「骨」であり、確定度が「ある」である場合には(「集積、骨、ある」)、その所見記述の最小意味単位は「集積が骨にある」ということを意味する。また、診断名が「癌」であり、部位名が「左肺」であり、確定度が「ある」である場合には(「癌、左肺、ある」)、その診断記述の最小意味単位は「癌が左肺にある」ということを意味する。さらに、診断名が「癌転移」であり、部位名が「右肺」であり、確定度が「ない」である場合には、その診断記述の最小意味単位は、「癌転移が右肺にない」ということを意味する。
【0031】
このような最小意味単位に基づいて、作成済の読影レポート及び作成中の読影レポートは構造化処理部11により構造化され、最小意味単位の集合に変換される。特に、作成済の読影レポートの最小意味単位の集合は、図3に示すように、レポートIDに関連付けて過去レポートとして構造化過去レポート保存データベース23に順次格納されていく。
【0032】
ここで、図3に示すように、レポートIDが「0001」である過去レポートは、「所見A、部位A、ある」+「診断A、部位A、ある」等の最小意味単位の集合に変換されている。レポートIDが「0002」である過去レポートは、「所見B、部位B、ある」+「所見C、部位C、ある」+「診断B、部位B、なし」等の最小意味単位の集合に変換されている。レポートIDが「0003」である過去レポートは、「所見D、部位A、なし」+「診断C、部位A、なし」等の最小意味単位の集合に変換されている。
【0033】
付帯情報比較処理部12は、作成中の読影レポートに付帯する付帯情報に基づいて、構造化過去レポート保存データベース23から作成中の読影レポートに類似する過去レポートを抽出して絞り込む。詳述すると、付帯情報比較処理部12は、作成中の読影レポートの付帯情報と付帯情報保存データベース22に格納された付帯情報とを比較し、付帯情報保存データベース22から作成中の読影レポートの付帯情報に関連する付帯情報を選択し、選択した付帯情報に対応する過去レポートを構造化過去レポート保存データベース23から抽出する。
【0034】
類似度算出処理部13は、作成中の読影レポートの最小意味単位の集合と、構造化過去レポート保存データベース23に格納された過去レポートの最小意味単位の集合とを比較し、構造化過去レポート保存データベース23から作成中の読影レポートに類似する過去レポート、すなわち類似度が高い過去レポートを検索する。詳述すると、類似度算出処理部13は、最小意味単位における単語の組み合わせ、最小意味単位の組み合わせ、最小意味単位の順序等から、作成中の読影レポートの最小意味単位の集合と、構造化過去レポート保存データベース23に格納された過去レポートの最小意味単位の集合とを比較し、作成中の読影レポートと過去レポートとの類似度を算出し、類似度が高い過去レポートのレポートIDを取得する。なお、付帯情報比較処理部12による絞り込みが行われた場合には、絞り込んだ過去レポートの最小意味単位の集合と、作成中の読影レポートの最小意味単位の集合とを比較し、絞り込んだ過去レポートと作成中の読影レポートとの類似度を算出し、類似度が高い過去レポートのレポートIDを取得する。
【0035】
次に、前述の読影レポート検索装置9の読影レポート検索動作について説明する。読影レポート検索装置9の制御部9aが読影レポート検索処理を実行する。
【0036】
図4に示すように、制御部9aは、作成中の読影レポートを受信したか否かを判断し(ステップS1)、作成中の読影レポートの受信に待機する(ステップS1のNO)。作成中の読影レポートは、読影レポート作成支援装置8からネットワーク10を介して送信される。例えば、読影医等の作成者が読影レポートの作成途中で作成中の読影レポートに類似する過去レポートを参照したい場合等に、読影レポート作成支援装置8の入力部を入力操作することに応じて、作成中の読影レポートが送信される。
【0037】
通常、読影レポートの作成を行う場合には、作成者は、読影レポート作成支援装置8の入力部を入力操作してレポートIDリスト等からレポートIDを選択する。これに応じて、読影レポート作成支援装置8は、選択されたレポートIDに対応する作成前の読影レポートを読影レポートサーバ装置5から取得し、その読影レポートをレポート表示部に表示する。加えて、読影用のビューア装置7は、選択されたレポートIDに対応する画像データを医用画像サーバ装置4から取得し、その医用画像を表示する。その後、作成者はその読影対象の医用画像を閲覧しながら、読影レポート作成支援装置8の入力部を入力操作して読影レポートを作成する。このとき、作成者は、作成中の読影レポートに類似する過去レポートを参照したい場合等に、読影レポート作成支援装置8の入力部を入力操作し、例えば検索キー等を押下する。これに応じて、読影レポート作成支援装置8は、作成中の読影レポートを読影レポート検索装置9に送信する。
【0038】
作成中の読影レポートを受信したと判断した場合には(ステップS1のYES)、その作成中の読影レポートを構造化処理部11により構造化し、最小意味単位の集合に変換する(ステップS2)。このとき、制御部9aは構造化処理部11により、構造化用辞書データベース21を参照し、受信した作成中の読影レポートをテキストマイニング技術により最小意味単位で構造化し、最小意味単位の集合に変換する。
【0039】
次いで、制御部9aは、絞り込みキーが押下されているか否かを判断する(ステップS3)。この絞り込みキーは、読影レポート作成支援装置8の入力部に設けられている。絞り込みキーが押下されている場合には、その旨を報知する報知信号が作成中の読影レポートの送信に加えられ、読影レポート作成支援装置8から読影レポート検索装置9に送信される。読影レポート検索装置9はその報知信号を受信し、絞り込みキーが押下されていることを検出する。
【0040】
絞り込みキーが押下されていると判断した場合には(ステップS3のYES)、付帯情報比較処理部12により、作成中の読影レポートに付帯する付帯情報に関連する付帯情報を付帯情報保存データベース22から選択し、選択した付帯情報に対応する過去レポートを構造化過去レポート保存データベース23から抽出する(ステップS4)。一方、絞り込みキーが押下されていないと判断した場合には(ステップS3のNO)、そのまま処理を進める。
【0041】
次いで、制御部9aは、作成中の読影レポートと過去レポートとを最小意味単位で比較し、作成中の読影レポートと過去レポートとの類似度を算出する(ステップS5)。なお、ステップS4により絞り込みが行われた場合には、類似度算出処理部13により、最小意味単位における単語の組み合わせ、最小意味単位の組み合わせ、最小意味単位の順序等から、作成中の読影レポートの最小意味単位の集合と、絞り込んだ過去レポートの最小意味単位の集合とを比較し、作成中の読影レポートと絞り込んだ過去レポートとの類似度を算出する。一方、絞り込みが行われなかった場合には、類似度算出処理部13により、最小意味単位における単語の組み合わせ、最小意味単位の組み合わせ、最小意味単位の順序等から、作成中の読影レポートの最小意味単位の集合と、構造化過去レポート保存データベース23に格納された過去レポートの最小意味単位の集合とを比較し、作成中の読影レポートと過去レポートとの類似度を算出する。
【0042】
その後、制御部9aは、類似度が高い順番に所定数の過去レポートをリスト化し、そのリストRを読影レポート作成支援装置8に送信し(ステップS6)、処理を終了する。このとき、図5に示すように、類似度が高い順番に所定数(例えば、5個)の過去レポートを示すリストRが生成される。読影レポート作成支援装置8は、そのリストRを受信してレポート表示部に表示する。これにより、読影レポート作成支援装置8のレポート表示部には、リストRが表示される。作成者がそのリストRから希望の過去レポートを選択すると、その過去レポートが読影レポートサーバ装置5から取得され、レポート表示部に表示される。作成者は、レポート表示部に表示された過去レポートを参照しながら、必要な情報を取得し、作成中の読影レポートを完成させる。
【0043】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、作成中の読影レポートを最小意味単位で構造化して最小意味単位の集合に変換し、変換した作成中の読影レポートの最小意味単位の集合と、構造化過去レポート保存データベース23に格納された過去レポート(作成済の読影レポート)の最小意味単位の集合とを比較し、構造化過去レポート保存データベース23から作成中の読影レポートに類似する過去レポートを検索することによって、類似過去レポートの参照や引用を容易かつ迅速に行うことが可能になるので、容易に必要な情報を得ることができ、さらに、検索時間を短縮することができる。また、容易かつ迅速に類似過去レポートを抽出することが可能になるので、症例検討会等のために資料収集を容易に行うことができる。
【0044】
加えて、作成済の読影レポートを最小意味単位で構造化し、最小意味単位の集合に変換し、変換した作成済の読影レポートの最小意味単位の集合を構造化過去レポート保存データベース23に登録することによって、完成した作成済の読影レポートの最小意味単位の集合を構造化過去レポート保存データベース23に順次保存することができる。
【0045】
さらに、作成中の読影レポートに付帯する付帯情報に基づいて、構造化過去レポート保存データベース23から作成中の読影レポートに類似する過去レポートを検索して絞り込み、絞り込んだ過去レポートの最小意味単位の集合と、変換した作成中の読影レポートの最小意味単位の集合とを比較し、絞り込んだ過去レポートから作成中の読影レポートに類似する過去レポートを検索することによって、絞り込みにより検索対象の過去レポート数が減少するので、検索時間をより短縮することができる。
【0046】
また、最小意味単位は、所見名、部位名及び確定度の単語の組み合わせにより構成されており、あるいは、診断名、部位名及び確定度の単語の組み合わせにより構成されていることから、作成中及び作成済の読影レポートを正確かつ迅速に構造化することが可能になるので、作成中及び作成済の読影レポートを最小意味単位の集合に正確に変換することができ、さらに、変換する変換時間を短縮することができる。
【0047】
(他の実施の形態)
なお、本発明は、前述の実施の形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【0048】
例えば、前述の実施の形態においては、読影レポート検索装置9を単独に設けているが、これに限るものではなく、読影レポート作成支援装置8に読影レポート検索装置9を組み込んで適用するようにしてもよい。
【0049】
また、前述の実施の形態においては、所見記述の最小意味単位を、所見名、部位名及び確定度の単語の組み合わせにより構成しており、診断記述の最小意味単位を、診断名、部位名及び確定度の単語の組み合わせにより構成しているが、これに限るものではなく、例えば、3つの単語に他の単語を加えてもよく、その単語数は複数であればよい。
【0050】
さらに、前述の実施の形態においては、ステップS4で絞り込み処理を付帯情報に基づいて行っているが、これに限るものではなく、例えば、作成者が単語等を自由に入力した情報であるフリー入力情報に基づいて絞り込み処理を行うようにしてもよい。
【0051】
最後に、前述の実施の形態においては、ステップS4で絞り込み処理を行っているが、これに限るものではなく、例えば、ステップS6で、作成中の読影レポートの付帯情報に基づいて、所定数の過去レポートから必要な過去レポートをさらに絞り込む絞り込み処理を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の一形態に係る医用画像保管転送システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す医用画像保管転送システムが備える読影レポート検索装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す読影レポート検索装置が備える構造化過去レポート保存データベースに格納される構造化過去レポートテーブルを説明するための説明図である。
【図4】図2に示す読影レポート検索装置が行う読影レポート検索動作の流れを説明するフローチャートである。
【図5】図4に示す読影レポート検索動作に応じて形成されるリストの一例を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0053】
9 読影レポート検索装置
9d 格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作成済の読影レポートが単語の組み合わせからなる最小意味単位で構造化されて変換されたレポート情報である前記最小意味単位の集合を格納する格納部と、
作成中の読影レポートを前記最小意味単位で構造化し、前記最小意味単位の集合に変換する手段と、
変換した前記作成中の読影レポートの前記最小意味単位の集合と、前記格納部に格納された前記作成済の読影レポートの前記最小意味単位の集合とを比較し、前記格納部から前記作成中の読影レポートに類似する前記作成済の読影レポートを検索する手段と、
を備えることを特徴とする読影レポート検索装置。
【請求項2】
前記作成済の読影レポートを前記最小意味単位で構造化し、前記最小意味単位の集合に変換する手段と、
変換した前記作成済の読影レポートの前記最小意味単位の集合を前記格納部に登録する手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の読影レポート検索装置。
【請求項3】
前記検索する手段は、前記作成中の読影レポートに付帯する付帯情報に基づいて、前記格納部から前記作成中の読影レポートに類似する前記作成済の読影レポートを検索して絞り込み、絞り込んだ前記作成済の読影レポートの前記最小意味単位の集合と、変換した前記作成中の読影レポートの前記最小意味単位の集合とを比較し、絞り込んだ前記作成済の読影レポートから前記作成中の読影レポートに類似する前記作成済の読影レポートを検索することを特徴とする請求項1又は2記載の読影レポート検索装置。
【請求項4】
前記最小意味単位は、所見名、部位名及び確定度の単語の組み合わせにより構成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の読影レポート検索装置。
【請求項5】
前記最小意味単位は、診断名、部位名及び確定度の単語の組み合わせにより構成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の読影レポート検索装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−253551(P2008−253551A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−99267(P2007−99267)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】