説明

課金システム、課金装置、課金方法、及びプログラム

【課題】非課金エリアへの進入の有無を誤りなく判定する。
【解決手段】エリア課金装置20の識別情報取得部23は、駐車場課金装置30から非課金エリアに存在する車両の識別情報を取得する。そして、課金対象外処理部24は、識別情報取得部23が識別情報を取得した時からの所定の期間を課金処理の対象外とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、課金対象エリアに存在する車両に対して課金を行う課金システム、課金装置、課金方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路を走行する車両に対する課金方法として、GPS(Global Positioning System)の測位結果を利用した課金方法が提案されている。GPSの測位結果を利用した課金方法の例としては、対距離課金方式や対時間課金方式が挙げられる。対距離課金方式とは、GPS測位結果等により特定された課金対象エリア内の走路の走行距離に基づいて課金額を算出して課金処理を行う課金方法であり、対時間課金方式とは、課金対象エリア内に滞在している時間に基づいて課金額を算出して課金処理を行う課金方法である。
【0003】
ところで、課金対象エリア内には、有料駐車場など、課金対象エリアにおける課金方式と異なる課金方式で課金を行う施設が設けられることがある。この場合、二重の課金を防ぐため、課金対象エリア内の走行に基づく課金を停止することが好ましい。つまり、車両が課金対象エリア内の有料駐車場に進入した場合には、課金対象エリア内の走行による課金から有料駐車場の課金に課金処理を切り替えることが好ましい。つまり、エリア課金を行う課金システムにおいて、課金対象エリア内の有料駐車場などを非課金エリアに設定することが好ましい。
【0004】
特許文献1には、課金対象エリア内に存在する駐車場や駐車禁止区域への車両に対する課金処理手法が開示されている。特許文献1に記載の方法によれば、課金システムは、予め地図情報と課金の対象地域及び課金額とを対応付けたエリア情報を記憶しており、GPS等によって推定された車両の位置情報とエリア情報とに基づいて課金処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3365296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法を用いた場合、車両が非課金エリアへ進入したにも関わらず、車両位置の推定誤差によって課金システムにおいて非課金エリアへの進入がないものとして課金処理がされてしまうおそれがある。具体的には、例えば交差点付近に駐車場への入退場口が設けられている場合に、特許文献1に記載の方法を用いると、GPSにおける車両位置の推定誤差によって、実際には車両が駐車場に進入したにも関わらず、課金システムにおいて駐車場へ進入していないと判定され、二重に課金処理がなされてしまう。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、非課金エリアへの進入の有無を誤りなく判定することができる課金システム、課金装置、課金方法、及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、課金対象エリアに存在する車両に対して課金を行う課金システムであって、前記課金対象エリアに存在する車両に対する課金処理を行う課金装置と前記課金対象エリアに設けられた非課金エリアに存在する車両の識別情報を取得して当該識別情報を前記課金装置に通知する識別情報取得装置と、を備え、前記課金装置は、前記識別情報取得装置から車両の識別情報を取得する識別情報取得部と、前記課金対象エリア内における車両の走行に基づいて課金額を算出し、当該車両に対して課金処理を行う課金部と、前記識別情報取得装置が前記車両の識別情報を取得した時からの所定の期間を当該識別情報が示す車両に対する前記課金部による課金処理の対象外とする課金対象外処理部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明においては、前記識別情報取得装置は、前記非課金エリアにおいて車両に搭載された車載器から当該車両の識別情報を受信することで車両の識別情報を取得し、前記課金装置の課金部は、前記課金対象エリア内における車両の走行に基づいて、当該車両に対する課金額を遂次算出し、前記課金装置の課金対象外処理部は、前記識別情報取得装置から車両の識別情報を取得した時に、当該識別情報が示す車両に対する前記課金部による課金額の算出を停止させることが好ましい。
【0009】
また、本発明においては、前記識別情報取得装置は、前記非課金エリアの境界に通信領域を有し、前記車両が非課金エリアの境界を通過するときに、当該車両に搭載される車載器から識別情報を受信することが好ましい。
【0010】
また、本発明においては、前記課金装置の課金対象外処理部は、前記識別情報取得装置が前記車両の識別情報を取得した時から、再度識別情報取得装置が当該車両の識別情報を取得した時までの期間を、当該識別情報が示す車両に対する前記課金部による課金処理の対象外とすることが好ましい。
【0011】
また、本発明においては、前記課金装置は、前記課金対象外処理部が課金処理の対象外とした時間を算出する対象外時間算出部と、前記対象外時間算出部が算出した時間が所定時間以下である場合に、前記課金対象外処理部による課金対象外の期間の開始時刻において前記車両が存在した地点から、前記課金対象外処理部による課金対象外の期間の終了時刻において前記車両が存在した地点まで課金対象エリアを走行した場合の標準経路に応じた課金額を特定し、前記車両に対して課金処理を行う追加課金部とを備えることが好ましい。
【0012】
また、本発明においては、識別情報取得装置は、前記課金対象エリアに設けられた非課金エリアに存在する車両の識別情報を取得して、当該識別情報と当該識別情報を取得した時刻とを前記課金装置に通知し、前記課金装置の課金対象外処理部は、前記識別情報取得装置が取得した情報に含まれる時刻から所定の終了時刻までの期間において前記課金部が課金処理した課金額を算出し、当該課金額を返金することが好ましい。
【0013】
また、本発明は、課金対象エリアに存在する車両に対する課金処理を行う課金装置であって、前記課金対象エリアに設けられた非課金エリアに存在する車両の識別情報を取得して当該識別情報を前記課金装置に通知する識別情報取得装置から、車両の識別情報を取得する識別情報取得部と、前記課金対象エリア内における車両の走行に基づいて課金額を算出し、当該車両に対して課金処理を行う課金部と、前記識別情報取得装置が前記車両の識別情報を取得した時刻からの所定の期間を当該識別情報が示す車両に対する前記課金部による課金処理の対象外とする課金対象外処理部とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、課金対象エリアに存在する車両に対する課金処理を行う課金装置を用いた課金方法であって、前記課金装置の識別情報取得部は、前記課金対象エリアに設けられた非課金エリアに存在する車両の識別情報を取得して当該識別情報を前記課金装置に通知する識別情報取得装置から車両の識別情報を取得し、前記課金装置の課金部は、前記課金対象エリア内における車両の走行に基づいて課金額を算出し、当該車両に対して課金処理を行い、前記課金装置の課金対象外処理部は、前記識別情報取得装置が前記車両の識別情報を取得した時からの所定の期間を当該識別情報が示す車両に対する前記課金部による課金処理の対象外とすることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、課金対象エリアに存在する車両に対する課金処理を行う課金装置を、前記課金対象エリアに設けられた非課金エリアに存在する車両の識別情報を取得して当該識別情報を前記課金装置に通知する識別情報取得装置から、車両の識別情報を取得する識別情報取得部、前記課金対象エリア内における車両の走行に基づいて課金額を算出し、当該車両に対して課金処理を行う課金部、前記識別情報取得装置が前記車両の識別情報を取得した時からの所定の期間を当該識別情報が示す車両に対する前記課金部による課金処理の対象外とする課金対象外処理部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、課金装置は、識別情報取得装置から非課金エリアに存在する車両の識別情報を取得することで、識別情報を取得した時刻から所定の終了時刻までの期間を課金処理の対象外とする。これにより、課金装置は、非課金エリアへの進入の有無を誤りなく判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態による課金システムの構成を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による駐車場課金装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態によるエリア課金装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】課金対象エリア内に設けられた駐車場と道路の例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による課金システムの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
《第1の実施形態》
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による課金システムの構成を示す概略ブロック図である。
課金システムは、課金対象エリアに存在する車両に対して課金を行うシステムであって、車両に搭載される車載器10、所定の課金対象エリア内におけるエリア課金を行うエリア課金装置20(課金装置)、課金対象エリア内に設けられた駐車場(非課金エリア)の利用に対する課金を行う駐車場課金装置30(識別情報取得装置)を備える。つまり、課金対象エリアに存在する車両のうち、駐車場に停車している車両に対しては、駐車場課金装置30が課金処理を行い、その他の車両に対しては、エリア課金装置20が課金処理を行う。
なお、車載器10は車両の所有者が所有する装置であり、エリア課金装置20はエリア課金の事業者が所有する装置であり、駐車場課金装置30は駐車場の管理人が所有する装置である。
【0019】
車載器10は、位置推定部11、カード情報読み出し部12、識別情報記憶部13、移動体通信部14、DSRC通信部15を備える。
位置推定部11は、GPSや自律航法に基づいて自装置の位置を推定する。
カード情報読み出し部12は、車載器10に設けられたカードスロットに挿入されたカードから、当該カードの情報(カード番号など)を読み出す。
識別情報記憶部13は、自装置を搭載する車両の識別情報を記憶する。
移動体通信部14は、携帯電話通信網やPHS(Personal Handy−phone System)通信網等の移動体通信網を介して、エリア通信装置との無線通信を行う。
DSRC通信部15は、DSRC(Dedicated Short Range Communications)通信によって駐車場の入退場口に通信領域を有するビーコンを介して駐車場課金装置30との無線通信を行う。
【0020】
エリア課金装置20は、位置情報受信部21、エリア課金部22(課金部)、識別情報取得部23、課金対象外処理部24、対象外時間算出部25、追加課金部26を備える。
位置情報受信部21は、移動体通信網を介して車載器10から、当該車載器10を搭載する車両の識別情報、カード情報及び位置情報を受信する。
エリア課金部22は、位置情報受信部21が受信した位置情報に基づいて課金額を算出し、位置情報受信部21が受信したカード情報を用いて車両に対して遂次課金処理を行う。なお、課金額の算出方法としては、対距離課金方式や対時間課金方式が挙げられる。
識別情報取得部23は、インターネットなどの広域ネットワークを介して駐車場課金装置30から駐車場に進入した車両または駐車場から退出した車両の識別情報を取得する。
課金対象外処理部24は、識別情報取得部23が駐車場課金装置30から駐車場に進入した車両の識別情報を取得したときに、エリア課金部22に当該車両に対する課金処理を停止させる。また、課金対象外処理部24は、識別情報取得部23が駐車場課金装置30から駐車場から退出した車両の識別情報を取得したときに、エリア課金部22に当該車両に対する課金処理を再開させる。
対象外時間算出部25は、課金対象外処理部24によって課金対象外となった時間を算出する。
追加課金部26は、対象外時間算出部25によって算出された時間が所定の時間より短い場合に、時間の間における車両の走行に基づいた課金額を、車両に対して課金処理を行う。
【0021】
駐車場課金装置30は、識別情報受信部31、識別情報通知部32、計時部33、駐車場課金部34を備える。
識別情報受信部31は、DSRC通信によって、駐車場の入退場口、すなわち駐車場の境界に通信領域を有するビーコンを介して、車両が非課金エリアの境界を通過するときに、車載器10から、当該車載器10を搭載する車両の識別情報及びカード情報を受信する。
識別情報通知部32は、識別情報受信部31が受信した識別情報を、広域ネットワークを介してエリア課金装置20に通知する。
計時部33は、車両毎に、識別情報受信部31が識別情報を受信した時刻から次に当該車両の識別情報を受信するまでの時間を計時する。
駐車場課金部34は、計時部33が計時した時間に基づいて課金額を算出し、車両に対して課金処理を行う。
【0022】
次に、本実施形態による課金システムの動作について説明する。まず、駐車場課金装置30の動作について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態による駐車場課金装置30の動作を示すフローチャートである。
駐車場課金装置30の識別情報受信部31は、駐車場の入退場口に通信領域を有するビーコンと車載器10との間でDSRC通信が確立したか否かを判定する(ステップS1)。識別情報受信部31は、DSRC通信が確立していないと判定した場合(ステップS1:NO)、DSRC通信が確立するまでステップS1の判定を繰り返す。
【0023】
他方、識別情報受信部31は、DSRC通信が確立したと判定した場合(ステップS1:YES)、車両が駐車場内に進入したと判定し、ビーコンを介して車載器10から当該車載器10を搭載する車両の識別情報を読み出す(ステップS2)。次に、識別情報通知部32は、識別情報受信部31が読み出した識別情報を、エリア課金装置20に通知する(ステップS3)。また、計時部33は、識別情報受信部31が識別情報を受信した時刻からの経過時間の計時を開始する(ステップS4)。
【0024】
次に、駐車場の入退場口に通信領域を有するビーコンと、ステップS2で識別情報を読み出した車載器10との間でDSRC通信が確立したか否かを判定する(ステップS5)。識別情報受信部31は、DSRC通信が確立していないと判定した場合(ステップS5:NO)、DSRC通信が確立するまでステップS5の判定を繰り返す。
【0025】
他方、識別情報受信部31は、DSRC通信が確立したと判定した場合(ステップS5:YES)、車両が駐車場内から退出したと判定し、ビーコンを介して車載器10から当該車載器10を搭載する車両の識別情報及びカード情報を読み出す(ステップS6)。次に、識別情報通知部32は、識別情報受信部31が読み出した識別情報を、エリア課金装置20に通知する(ステップS7)。また、計時部33は、ステップS4で開始した経過時間の計時を終了する(ステップS8)。そして、駐車場課金部34は、計時部33が計時した経過時間に基づいて課金額を算出し、ステップS6で識別情報受信部31が読み出したカード情報に従って課金処理を行う(ステップS9)。
これにより、駐車場課金装置30は、車両が駐車場内に滞在した時間に従った金額で、当該車両に対して課金処理を行うことができる。
【0026】
次に、エリア課金装置20の動作について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態によるエリア課金装置20の動作を示すフローチャートである。
エリア課金装置20は、以下に示すステップS11〜S22の処理を、全ての車両に対して、常時繰り返し実行する(ステップS10)。
【0027】
まず、エリア課金装置20の位置情報受信部21は、車載器10から移動体通信網を介して識別情報、位置情報及びカード情報を受信する(ステップS11)。次に、エリア課金部22は、位置情報受信部21が受信した位置情報が、課金対象エリア内の位置を示すか否かを判定する(ステップS12)。エリア課金部22は、位置情報が課金対象エリア外の位置を示すと判定した場合(ステップS12:NO)、課金処理を行わず、ステップS10による次のループ処理を実行する。
【0028】
他方、エリア課金部22は、位置情報が課金対象エリア内の位置を示すと判定した場合(ステップS12:YES)、ステップS11で受信した識別情報が示す車両が、課金停止状態にあるか否かを判定する(ステップS13)。なお、課金停止状態とは、当該車両が駐車場内に存在するためにエリア課金処理を停止している状態のことを示す。また、エリア課金部22は、内部メモリに、車両毎の状態を記憶しており、当該状態を参照することで、車両が課金停止状態であるか否かを判定する。
【0029】
エリア課金部22は、ステップS11で受信した識別情報が示す車両が、課金停止状態でないと判定した場合(ステップS13:NO)、ステップS11で位置情報受信部21が受信した位置情報に基づいて課金額を算出し、位置情報受信部21が受信したカード情報に従って課金処理を行う(ステップS14)。次に、識別情報取得部23は、駐車場課金装置30から、ステップS11で受信した識別情報と同じ識別情報が通知されたか否かを判定する(ステップS15)。なお、課金停止状態でないときに通知される識別情報は、車両が駐車場内に進入したときに、ステップS3で駐車場課金装置30が通知するものである。識別情報取得部23が、駐車場課金装置30から、ステップS11で受信した識別情報と同じ識別情報が通知されていないと判定した場合、(ステップS15:NO)、ステップS10による次のループ処理を実行する。すなわち、エリア課金部22は、車両が課金対象エリア内かつ駐車場外に存在する限り、遂次課金処理を行う。
【0030】
他方、識別情報取得部23が、駐車場課金装置30から、ステップS11で受信した識別情報と同じ識別情報が通知されたと判定した場合、(ステップS15:YES)、課金対象外処理部24は、エリア課金部22に対して課金処理を停止させる課金停止指示を出力する(ステップS16)。これにより、エリア課金部22は、内部メモリに記憶する車両の状態を課金停止状態に書き換える。次に、対象外時間算出部25は、識別情報取得部23が識別情報を取得した時刻と、ステップS11で取得した位置情報とを内部メモリに記録し(ステップS17)、ステップS10による次のループ処理を実行する。
【0031】
他方、ステップS13でエリア課金部22が、ステップS11で受信した識別情報が示す車両が、課金停止状態であると判定した場合(ステップS13:YES)、エリア課金部22は、課金処理を行わない。
次に、識別情報取得部23は、駐車場課金装置30から、ステップS11で受信した識別情報と同じ識別情報が通知されたか否かを判定する(ステップS18)。なお、課金停止状態であるときに通知される識別情報は、車両が駐車場内から退出したときに、ステップS7で駐車場課金装置30が通知するものである。識別情報取得部23が、駐車場課金装置30から、ステップS11で受信した識別情報と同じ識別情報が通知されていないと判定した場合、(ステップS18:NO)、ステップS10による次のループ処理を実行する。すなわち、エリア課金部22は、車両が駐車場内に存在する間、当該車両に対する課金処理を停止する。
【0032】
他方、識別情報取得部23が、駐車場課金装置30から、ステップS11で受信した識別情報と同じ識別情報が通知されたと判定した場合、(ステップS18:YES)、課金対象外処理部24は、エリア課金部22に対して課金処理を再開させる課金再開指示を出力する(ステップS19)。これにより、エリア課金部22は、内部メモリに記憶する車両の状態を課金状態に書き換える。次に、対象外時間算出部25は、識別情報取得部23が識別情報を取得した時刻と、内部メモリに記憶している時刻との差を演算することで、エリア課金部22が課金を停止していた時間である対象外時間を算出する(ステップS20)。次に、追加課金部26は、対象外時間算出部25が算出した対象外時間が、所定の閾値(例えば5分)より短いか否かを判定する(ステップS21)。追加課金部26が、対象外時間が所定の閾値より長いと判定した場合(ステップS21:NO)、ステップS10による次のループ処理を実行する。
【0033】
他方、追加課金部26は、対象外時間が所定の閾値より短いと判定した場合(ステップS21:YES)、内部メモリに記憶している位置と、ステップS11で受信した位置情報とから、課金対象エリアを走行した場合の標準経路に応じた課金額を特定する。そして、追加課金部26は、ステップS11で受信したカード情報に従って、特定した課金額の課金処理である追加課金処理を行う(ステップS22)。なお、追加課金における課金額の算出は、対距離課金方式の場合、例えば、駐車場の入口から出口までの標準経路の距離に相当する課金額を算出することで行っても良いし、対時間課金方式の場合、例えば、駐車場の入口から出口までの標準経路の距離を標準速度で除算した時間に相当する課金額を算出することで行っても良い。標準車速としては、予め定められた車速や、路線毎に定義した車速、駐車場内に進入する際の車速、その時刻に置いて同じ道路を走行している他の車両の車速などが挙げられる。そして、ステップS10による次のループ処理を実行する。
上述した処理を繰り返し実行することで、エリア課金装置20は、車両が課金対象エリア内かつ駐車場外に存在する場合に課金処理を行い、車両が駐車場内に存在する場合に課金処理を停止することができる。
【0034】
ここで、ステップS22による追加課金処理を行う理由について説明する。
図4は、課金対象エリア内に設けられた駐車場と道路の例を示す図である。
図4に示す例には、図面左下から図面左上へ延びる第1の道路と、図面右下から図面右上へ延びる第2の道路と第1の道路と第2の道路とを接続する第3の道路と、第3の道路より図面下方において第1の道路と第2の道路の間に設けられ、第1の道路側と第2の道路側とにそれぞれ入退場口を有する駐車場とが、課金対象エリア内に設けられている。
図4に示す例において、第1の道路の図面下側から第2の道路の図面下側へ移動するためには、第3の道路を走行する必要がある(図4の鎖線の経路)。しかしながら、駐車場内をショートカット走行して第1の道路の図面下側から第2の道路の図面下側へ移動することで(図4の点線の経路)、第3の道路を走行する場合より走行距離及び走行時間を短縮し、正規の道路走行時の課金を不正に免れることができてしまう。
【0035】
そこで、上述したステップS21〜S22の処理を行うことで、駐車場内の滞在時間が極端に短い場合に、車両がショートカット走行をしたと推定し、追加課金部26は、第1の道路側の駐車場の入退場口から、第3の道路を走行して第2の道路側の駐車場の入退場口まで移動した場合の課金額を特定し、追加課金処理を行う。これにより、正規の道路走行時の課金を不正に免れることを防ぐことができる。また、駐車場内に進入した時刻及び退出した時刻は、エリア課金装置20の内部メモリにログとして残るため、ショートカット走行をしたと判断したエビデンスとして用いることができる。
【0036】
このように、本実施形態によれば、課金装置は、識別情報取得装置から非課金エリアに存在する車両の識別情報を取得することで、識別情報を取得した時刻から所定の終了時刻までの期間を課金処理の対象外とする。これにより、課金装置は、非課金エリアへの進入の有無を誤りなく判定することができる。
【0037】
以上、図面を参照してこの発明の第1の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0038】
例えば、第1の実施形態では、駐車場課金装置30の識別情報受信部31が、駐車場の境界に通信領域を有するビーコンから識別情報の受信を行う場合を説明したが、これに限られない。例えば、駐車場にビーコンを設ける代わりに、DSRC通信を行うハンディターミナルを、駐車場の収受員に持たせ、収受員が、駐車場に駐車している車両に搭載された車載器10に対して、ハンディターミナルを用いた通信を行い、当該ハンディターミナルが受信した識別情報を、駐車場課金装置30に送信するようにしても良い。このようにハンディターミナルを用いることで、例えば路側帯を駐車エリアとする場合のように、駐車エリアの境界にビーコンの設置ができないような場合にも、本発明によるエリア課金を行うことができる。
【0039】
なお、上述したハンディターミナルを用いる場合、エリア課金装置20は、再度ハンディターミナルから識別情報を受信したときに、駐車が終了したと判断して課金を再開するようにしても良いし、車両が動き始めたときに、課金を再開するようにしても良い。
【0040】
また、上述した第1の実施形態では、入退場口に通信領域を有するビーコンを設け、進入時と退出時とで、2回識別情報を受信する場合を説明したが、これに限られない。例えば、入場口と退場口とが別個に設けられている場合、入場口側にのみビーコンを設けるようにしても良い。この場合、エリア課金装置20は、識別情報を取得した時刻より所定時間後の時刻を課金再開の時刻としても良いし、車両のGPS/DR測位によって駐車場から退出したと判定された時刻を課金再開の時刻としても良い。つまり、駐車場課金装置30は、識別情報を取得した時刻からの所定時間に基づいて課金処理を行っても良いし、識別情報を取得した時刻から車両のGPS/DR測位によって駐車場から退出したと判定された時刻までの時間にもとづいて課金処理を行っても良い。
【0041】
《第2の実施形態》
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態による課金システムの構成を示す概略ブロック図である。
第2の実施形態は、第1の実施形態と、駐車場課金装置40の構成が異なり、エリア課金装置20における課金対象外処理の方法が異なる。
第2の実施形態による駐車場課金装置40は、駐車場の入退場口に設けられる発券式の課金装置である。つまり、駐車場課金装置40は、発行した券が抜き取られた時刻から当該券を受け付けた時刻までの時間に基づいて課金処理を行う。
【0042】
具体的には、駐車場課金装置40は、発券部41、受券部42、駐車時間算出部43、駐車場課金部44、識別情報特定部45、識別情報通知部46を備える。
発券部41は、駐車場に進入する車両に対して、筐体に設けられた発券口から一意の識別情報を記憶する券を発行する。
受券部42は、駐車場を退出する車両から、筐体に設けられた受券口を介して券を受け付ける。
駐車時間算出部43は、発券部41が発行した券が抜き取られた時刻から、当該券と同じ識別情報を記憶する券を受け付けた時刻までの時間を算出する。
駐車場課金部44は、駐車時間算出部43が算出した時間に基づいて課金額を算出し、筐体に設けられた料金投入口を介して当該課金額の投入を受け付ける。
識別情報特定部45は、発券部41が発行した券が発券口から抜き取られたときに、駐車場の入口に存在する車両のナンバープレートの値(識別情報)を特定する。具体的には、収受員が目視でナンバープレートの値を確認して入力することで特定しても良いし、カメラがナンバープレートを撮像し、当該撮像結果に対してOCR(Optical Character Recognition)処理を行うことで特定しても良い。
識別情報通知部46は、識別情報特定部45が特定した識別情報を、発券部41が発行した券が抜き取られた時刻及び受券部42が券を受け付けた時刻に関連付けて、エリア課金装置20に通知する。
【0043】
エリア課金装置20の識別情報取得部23は、駐車場課金装置40から、2つの時刻に関連付けられた識別情報を取得する。課金対象外処理部24は、識別情報取得部23が取得した識別情報が示す車両が、関連付けられた時刻の間に課金された課金額を算出し、当該課金額をマイナス課金(返金)する命令をエリア課金部22に出力する。エリア課金部22は、マイナス課金命令を課金対象外処理部24から受け付けると、車両に対してマイナス課金処理を実行する。
これにより、エリア課金と駐車場における課金とで二重に課金がなされた時間におけるエリア課金分を返金することで、エリア課金装置20は、当該時間をエリア課金の対象が意図する処理を行うことができる。
【0044】
以上、図面を参照してこの発明の第2の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、第2の実施形態では、駐車場課金装置40が券に基づいて課金処理を行う自動機である場合を説明したが、これに限られず、収受員が手動で計算して料金収受を行う駐車場においても本課金システムを適用することができる。具体的には、PC(Personal computer)が、収受員から、車両の識別情報と駐車開始時刻と駐車終了時刻との入力を受け付け、当該情報を示す情報をエリア課金装置20に送信させるプログラムを実行することで、当該PCを識別情報取得装置として機能させることができる。
【0045】
上述の車載器10、エリア課金装置20、並びに駐車場課金装置30及び駐車場課金装置40は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0046】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0047】
10…車載器 11…位置推定部 12…カード情報読み出し部 13…識別情報記憶部 14…移動体通信部 15…DSRC通信部 20…エリア課金装置 21…位置情報受信部 22…エリア課金部 23…識別情報取得部 24…課金対象外処理部 25…対象外時間算出部 26…追加課金部 30…駐車場課金装置 31…識別情報受信部 32…識別情報通知部 33…計時部 34…駐車場課金部 40…駐車場課金装置 41…発券部 42…受券部 43…駐車時間算出部 44…駐車場課金部 45…識別情報特定部 46…識別情報通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
課金対象エリアに存在する車両に対して課金を行う課金システムであって、
前記課金対象エリアに存在する車両に対する課金処理を行う課金装置と
前記課金対象エリアに設けられた非課金エリアに存在する車両の識別情報を取得して当該識別情報を前記課金装置に通知する識別情報取得装置と、
を備え、
前記課金装置は、
前記識別情報取得装置から車両の識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記課金対象エリア内における車両の走行に基づいて課金額を算出し、当該車両に対して課金処理を行う課金部と、
前記識別情報取得装置が前記車両の識別情報を取得した時からの所定の期間を当該識別情報が示す車両に対する前記課金部による課金処理の対象外とする課金対象外処理部と
を備えることを特徴とする課金システム。
【請求項2】
前記識別情報取得装置は、前記非課金エリアにおいて車両に搭載された車載器から当該車両の識別情報を受信することで車両の識別情報を取得し、
前記課金装置の課金部は、前記課金対象エリア内における車両の走行に基づいて、当該車両に対する課金額を遂次算出し、
前記課金装置の課金対象外処理部は、前記識別情報取得装置から車両の識別情報を取得した時に、当該識別情報が示す車両に対する前記課金部による課金額の算出を停止させる
ことを特徴とする請求項1に記載の課金システム。
【請求項3】
前記識別情報取得装置は、前記非課金エリアの境界に通信領域を有し、前記車両が非課金エリアの境界を通過するときに、当該車両に搭載される車載器から識別情報を受信する
ことを特徴とする請求項2に記載の課金システム。
【請求項4】
前記課金装置の課金対象外処理部は、前記識別情報取得装置が前記車両の識別情報を取得した時から、再度識別情報取得装置が当該車両の識別情報を取得した時までの期間を、当該識別情報が示す車両に対する前記課金部による課金処理の対象外とする
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の課金システム。
【請求項5】
前記課金装置は、
前記課金対象外処理部が課金処理の対象外とした時間を算出する対象外時間算出部と、
前記対象外時間算出部が算出した時間が所定時間以下である場合に、前記課金対象外処理部による課金対象外の期間の開始時刻において前記車両が存在した地点から、前記課金対象外処理部による課金対象外の期間の終了時刻において前記車両が存在した地点まで課金対象エリアを走行した場合の標準経路に応じた課金額を特定し、前記車両に対して課金処理を行う追加課金部と
を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の課金システム。
【請求項6】
識別情報取得装置は、前記課金対象エリアに設けられた非課金エリアに存在する車両の識別情報を取得して、当該識別情報と当該識別情報を取得した時刻とを前記課金装置に通知し、
前記課金装置の課金対象外処理部は、前記識別情報取得装置が取得した情報に含まれる時刻から所定の終了時刻までの期間において前記課金部が課金処理した課金額を算出し、当該課金額を返金する
ことを特徴とする請求項1に記載の課金システム。
【請求項7】
課金対象エリアに存在する車両に対する課金処理を行う課金装置であって、
前記課金対象エリアに設けられた非課金エリアに存在する車両の識別情報を取得して当該識別情報を前記課金装置に通知する識別情報取得装置から、車両の識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記課金対象エリア内における車両の走行に基づいて課金額を算出し、当該車両に対して課金処理を行う課金部と、
前記識別情報取得装置が前記車両の識別情報を取得した時からの所定の期間を当該識別情報が示す車両に対する前記課金部による課金処理の対象外とする課金対象外処理部と
を備えることを特徴とする課金装置。
【請求項8】
課金対象エリアに存在する車両に対する課金処理を行う課金装置を用いた課金方法であって、
前記課金装置の識別情報取得部は、前記課金対象エリアに設けられた非課金エリアに存在する車両の識別情報を取得して当該識別情報を前記課金装置に通知する識別情報取得装置から車両の識別情報を取得し、
前記課金装置の課金部は、前記課金対象エリア内における車両の走行に基づいて課金額を算出し、当該車両に対して課金処理を行い、
前記課金装置の課金対象外処理部は、前記識別情報取得装置が前記車両の識別情報を取得した時からの所定の期間を当該識別情報が示す車両に対する前記課金部による課金処理の対象外とする
ことを特徴とする課金方法。
【請求項9】
課金対象エリアに存在する車両に対する課金処理を行う課金装置を、
前記課金対象エリアに設けられた非課金エリアに存在する車両の識別情報を取得して当該識別情報を前記課金装置に通知する識別情報取得装置から、車両の識別情報を取得する識別情報取得部、
前記課金対象エリア内における車両の走行に基づいて課金額を算出し、当該車両に対して課金処理を行う課金部、
前記識別情報取得装置が前記車両の識別情報を取得した時からの所定の期間を当該識別情報が示す車両に対する前記課金部による課金処理の対象外とする課金対象外処理部
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−73339(P2013−73339A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210716(P2011−210716)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】