説明

課金処理方法及びそのシステム

【課題】音声通信の着信通知時に再生されるコンテンツを発信側の通信端末から着信側の通信端末に送信するコンテンツ送信について利用者にとって意識しやすく直感的な課金が可能になる課金処理方法及び課金処理システムを提供する。
【解決手段】発信側の通信端末から着信側の通信端末へ発呼される音声通信の着信通知時に再生されるコンテンツを発信側の通信端末から通信ネットワークを介して着信側の通信端末に送信するコンテンツ送信について、発信側の通信端末を識別する発信元情報及びコンテンツの種別情報を含むように生成された通信利用情報を、通信ネットワークの通信利用情報収集装置から受信する。前記コンテンツの種別ごとに予め設定された料金計算用データに基づいて、前記受信した通信利用情報についてコンテンツの種別に応じた利用料金を計算し、この計算した利用料金に基づいて前記コンテンツ送信に対する課金済み通信利用情報を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークを介した通信端末間のコンテンツ送信について課金する課金処理方法及びそのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パケット交換網からなる通信ネットワークを介して携帯電話機(通信端末)でコンテンツをダウンロードしたりファイル添付の電子メールを送信したりする通信が行われた場合、その通信のデータ量(パケット量)に応じて利用料金を計算する従量課金が行われていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、近年において、携帯電話機間の音声通信を行う場合に、着信通知用のテキスト、画像、音声等のファイルからなるコンテンツを発信側の通信端末から通信ネットワークを介して着信側の通信端末に送信することができる通信サービスが行われるようになってきている。着信通知用のコンテンツを受信した着信側の通信端末では、着信通知動作として、受信したコンテンツのファイルを用いて着信通知の画像を表示したり音声を出力したりすることができる。
ところが、従来の課金処理方法では、上記パケット交換網を介した携帯電話機におけるコンテンツの送受信について、その送受信されるデータ量(パケット量)に応じた従量課金を行っていた。そのため、利用者にとって、上記コンテンツのファイル送信に対する課金を意識しにくく直感的な課金ではないという問題があった。
【0004】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、発信側の通信端末から着信側の通信端末へ発呼される音声通信の着信通知時に再生されるコンテンツを発信側の通信端末から着信側の通信端末に送信するコンテンツ送信について利用者にとって意識しやすく直感的な課金が可能になる課金処理方法及び課金処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る課金処理方法は、通信ネットワークを介した通信端末間のコンテンツ送信について課金する課金処理方法であって、発信側の通信端末から着信側の通信端末へ発呼される音声通信の着信通知時に再生されるコンテンツを該発信側の通信端末から通信ネットワークを介して該着信側の通信端末に送信するコンテンツ送信について、該発信側の通信端末を識別する発信元情報及び該コンテンツの種別情報を含むように生成された通信利用情報を、該通信ネットワークの通信利用情報収集装置から受信するステップと、前記コンテンツの種別ごとに予め設定された料金計算用データに基づいて、前記受信した通信利用情報について前記コンテンツの種別に応じた利用料金を計算するステップと、前記計算した利用料金に基づいて前記コンテンツ送信に対する課金済み通信利用情報を生成するステップと、を含むことを特徴とするものである。
また、本発明に係る課金処理システムは、通信ネットワークを介した通信端末間のコンテンツ送信について課金する課金処理システムであって、前記発信側の通信端末を識別する発信元情報及び前記コンテンツの種別情報を含む前記コンテンツ送信の通信利用情報を受信する受信手段と、前記コンテンツの種別ごとに予め設定された料金計算用データを記憶する記憶手段と、前記料金計算用データに基づいて、前記受信した通信利用情報について前記コンテンツの種別に応じた利用料金を計算する計算手段と、前記計算した利用料金に基づいて前記コンテンツ送信に対する課金済み通信利用情報を生成する生成手段と、を備えたことを特徴とするものである。
この課金処理方法及び課金処理システムでは、発信側の通信端末から着信側の通信端末へ発呼される音声通信の着信通知時に再生されるコンテンツが、発信側の通信端末から通信ネットワークを介して着信側の通信端末に送信されると、そのコンテンツ送信について、発信側の通信端末を識別する発信元情報及びコンテンツの種別情報を含むように通信利用情報が生成される。このコンテンツ送信について生成された通信利用情報を受信し、コンテンツの種別ごとに予め設定された料金計算用データに基づいて、受信した通信利用情報についてコンテンツの種別に応じた利用料金を計算する。このようにコンテンツの種別に応じて計算した利用料金に基づいて、前記コンテンツ送信に対する課金済み通信利用情報を生成することにより、前記コンテンツ送信についてコンテンツの種別ごとの課金処理を行うことができる。
【0006】
前記課金処理方法において、前記料金計算用データは、テキストのみからなるコンテンツ、画像のみからなるコンテンツ、音のみからなるコンテンツ及びこれらの複数種類のファイルを二以上組み合わせたコンテンツについて、それぞれイベント課金されるように個別設定されているものでもよい。
また、前記課金処理システムにおいて、前記料金計算用データは、テキストのみからなるコンテンツ、画像のみからなるコンテンツ、音のみからなるコンテンツ及びこれらの複数種類のファイルを二以上組み合わせたコンテンツについて、それぞれイベント課金されるように個別設定されているものでもよい。
この課金処理方法及び課金処理システムでは、テキストのみからなるコンテンツ、画像のみからなるコンテンツ、音のみからなるコンテンツ及びこれらの複数種類のファイルを二以上組み合わせたコンテンツから任意に選択されたコンテンツが、発信側の通信端末から着信側の通信端末に送信された場合でも、その送信されたコンテンツに種別に応じたイベント課金処理を行うことができる。
【0007】
前記課金処理方法において、前記通信利用情報収集装置は、通常のパケット通信の通信利用情報を収集する通信利用情報収集装置とは別に設けられた、前記コンテンツ送信の通信利用情報を専ら収集する専用の通信利用情報収集装置であってもよい。
また、前記課金処理システムにおいて、前記通信利用情報収集装置は、通常のパケット通信の通信利用情報を収集する通信利用情報収集装置とは別に設けられた、前記コンテンツ送信の通信利用情報を専ら収集する専用の通信利用情報収集装置であってもよい。
この課金処理方法及び課金処理システムでは、通常のパケット通信の通信利用情報を収集する通信利用情報収集装置とは別に設けられた専用の通信利用情報収集装置によって前記コンテンツ送信の通信利用情報が収集され、その専用の通信利用情報収集装置からコンテンツ送信の通信利用情報を受信している。そのため、通常のパケット通信の通信利用情報とコンテンツ送信の通信利用情報とを混在して収集する共通の通信利用情報収集装置から、両方の通信利用情報を混在した状態で受信する場合とは異なり、受信した情報から前記コンテンツ送信の通信利用情報を分離する処理が不要になる。
【0008】
前記課金処理方法において、前記通信利用情報は、通信サービスを識別可能な通信サービス識別情報を含み、前記通信利用情報収集装置から受信した通信利用情報に含まれる前記通信サービス識別情報に基づいて、前記発信側の通信端末から前記着信側の通信端末へコンテンツを送信する通信サービスの通信利用情報であるか否かを判断し、前記通信サービス識別情報に基づいて、前記コンテンツ送信の通信サービスの通信利用情報であると判断した場合に、前記コンテンツの種別に応じた利用料金の計算及び前記コンテンツ送信に対する課金済み通信利用情報の生成を行うようにしてもよい。
また、前記課金処理システムにおいて、前記通信利用情報は、通信サービスを識別可能な通信サービス識別情報を含み、前記通信利用情報収集装置から受信した通信利用情報に含まれる前記通信サービス識別情報に基づいて、前記発信側の通信端末から前記着信側の通信端末へコンテンツを送信する通信サービスの通信利用情報であるか否かを判断する判断手段を更に備え、前記通信サービス識別情報に基づいて、前記コンテンツ送信の通信サービスの通信利用情報であると判断した場合に、前記コンテンツの種別に応じた利用料金の計算及び前記コンテンツ送信に対する課金済み通信利用情報の生成を行うようにしてもよい。
この課金処理方法及び課金処理システムでは、通信利用情報収集装置から受信した通信利用情報に含まれる通信サービス識別情報に基づいて、前記コンテンツ送信の通信サービスの通信利用情報であると判断した場合に、前記コンテンツの種別に応じた利用料金の計算及びコンテンツ送信に対する課金済み通信利用情報の生成を行うことにより、他の通信サービスに対する課金と混同しないで、前記コンテンツ送信の通信サービスに対する個別課金を確実に行うことができる。
【0009】
前記課金処理方法において、前記コンテンツ送信の通信利用情報は、前記通信利用情報収集装置において可変長のデータフォーマットから予め設定された固定長のデータフォーマットに変換されたものであってもよい。
また、前記課金処理システムにおいて、前記コンテンツ送信の通信利用情報は、前記通信利用情報収集装置において可変長のデータフォーマットから予め設定された固定長のデータフォーマットに変換されたものであってもよい。
この課金処理方法及び課金処理システムでは、前記通信利用情報収集装置で収集されたコンテンツ送信の通信利用情報のデータフォーマットが可変長であって統一されていない場合でも、その可変長のデータフォーマットから予め設定された固定長のデータフォーマットに変換される。この変換後の固定長のデータフォーマットからなるコンテンツ送信の通信利用情報を受信して課金処理できるので、データ経済の確保を図ることができるとともに、利用者に対する請求書で必要とされるデータフィールド(データカラム)を充足できるようになる。
【0010】
前記課金処理方法において、前記音声通信は、回線交換網を介して前記発信側の通信端末と前記着信側の通信端末との間に確立された通話回線を介して行われ、前記コンテンツ送信は、前記通話回線の確立処理中又は該通話回線の確立処理前に、パケット網を介して前記発信側の通信端末と前記着信側の通信端末との間に確立されたセッションを介して行われ、前記コンテンツ送信の通信利用情報は、前記パケット網の通信中継装置から収集されたものであってもよい。
また、前記課金処理システムにおいて、前記音声通信は、回線交換網を介して前記発信側の通信端末と前記着信側の通信端末との間に確立された通話回線を介して行われ、前記コンテンツ送信は、前記通話回線の確立処理中又は該通話回線の確立処理前に、パケット網を介して前記発信側の通信端末と前記着信側の通信端末との間に確立されたセッションを介して行われ、前記コンテンツ送信の通信利用情報は、前記パケット網の通信中継装置から収集されたものであってもよい。
この課金処理方法及び課金処理システムでは、回線交換網を介した音声通信の着信通知用のコンテンツを、発信側の通信端末からパケット網に確立されたセッションを介して着信側の通信端末に送信したときのコンテンツ送信について、コンテンツの種別ごとの課金処理を適切に行うことができる。
【0011】
前記課金処理方法において、前記音声通信は、パケット網を介して前記発信側の通信端末と前記着信側の通信端末との間に確立されたセッションを介して行われ、前記コンテンツ送信は、前記発信側の通信端末と前記着信側の通信端末との間のセッションの確立処理後に、該セッションを介して行われ、前記コンテンツ送信の通信利用情報は、前記パケット網の通信中継装置から収集されたものであってもよい。
また、前記課金処理システムにおいて、前記音声通信は、パケット網を介して前記発信側の通信端末と前記着信側の通信端末との間に確立されたセッションを介して行われ、前記コンテンツ送信は、前記発信側の通信端末と前記着信側の通信端末との間のセッションの確立処理後に、該セッションを介して行われ、前記コンテンツ送信の通信利用情報は、前記パケット網の通信中継装置から収集されたものであってもよい。
この課金処理方法及び課金処理システムでは、パケット網を介した音声通信の着信通知用のコンテンツを、発信側の通信端末から当該パケット網に確立されたセッションを介して着信側の通信端末に送信したときのコンテンツ送信について、コンテンツの種別ごとの課金処理を適切に行うことができる。
【0012】
なお、上記課金処理方法及び課金処理システムにおいて、「課金」とは、前記コンテンツ送信などの通信について利用料金を計算し、その計算した利用料金に基づいて、利用者への請求などに用いる通信利用情報を生成することをいう。
また、「イベント課金」とは、通信サービスを利用するときの通信データ量や通信時間に応じて課金するのではなく、通信サービスの1回の利用ごとに課金すること、すなわち通信サービス利用というイベントを1単位としてイベントごとに課金すること、をいう。
また、上記着信通知に用いる画像のコンテンツは、静止画でもよいし、動画でもよい。また、上記着信通知に用いる音のコンテンツは、歌や演奏等の楽曲でもよいし、録音又は合成された任意の音声でもよい。
【0013】
また、上記音声通信及びコンテンツの送受信を行うことができる「通信端末」としては、PDC(Personal Digital Cellular)方式、GSM(Global System for Mobile Communication)方式、TIA(Telecommunications Industry Association)方式等の携帯電話機、IMT(International Mobile Telecommunications)−2000で標準化された携帯電話機、TD−SCDMA(Time Division Synchronous Code Division Multiple Access)方式の一つであるTD−SCDMA(MC:Multi Carrier)方式の携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)、自動車電話機等の音声通信機能を有する電話機が挙げられる。また、この「通信端末」としては、上記電話機のほか、音声通信機能を有するPDA(Personal Digital Assistance)やパーソナルコンピュータ等の通信端末も挙げられる。
また、上記課金処理システムにおける情報処理は、その課金処理システムに設けられたコンピュータで所定のプログラムを実行することによって実現することもできる。このコンピュータで用いるプログラムの受け渡しは、デジタル情報としてプログラムを記録したFD,CD−ROM等の記録媒体を用いて行ってもいいし、コンピュータネットワーク等の通信ネットワークを用いて行ってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、発信側の通信端末から着信側の通信端末へ発呼される音声通信の着信通知時に再生されるコンテンツを発信側の通信端末から着信側の通信端末に送信するコンテンツ送信についてコンテンツの種別ごとの課金処理を行うことにより、利用者にとって意識しやすく直感的な課金が可能になるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施形態に係る課金処理システムを含む通信システム全体の概略構成の一例を示す説明図である。この通信システムは、複数の通信端末としての携帯電話機10A,10B間で、音声通信(通話)を行ったり、その着信通知に用いるテキスト、画像、音等のコンテンツを送信したりする通信サービスを提供するものであり、通信ネットワークとしての携帯電話通信網20と、課金処理システム30とを用いて構成されている。携帯電話通信網20は、基地局21と、パケット交換網201と、IMS(IP multimedia subsystem)ドメイン202と、回線交換網203と、通信利用情報収集装置としてのMDGW(Mediation Gateway)26、28とを備えている。なお、本実施形態では、2台の携帯電話機10A,10B間の通信について例示するが、2台以上の多数の携帯電話機の通信についても同様に制御・処理することができる。
【0016】
また、本実施形態では、上記通信利用情報収集装置としてMDGWを利用した例を示しているが、従来例にみられるCDR−C(Call Detail Record - Collector)を利用するようにしてもよいし、各交換機とMDGWとの仲介的機能を備える他のゲートウェイを設けるようにしてもよい。
【0017】
上記基地局21は、管轄対象のセルごとに設けられ、携帯電話通信網20内の有線回線からのデータを無線インタフェースに合うデータフォーマットに変換し、管轄対象のセル内にある携帯電話機10A,10Bに無線電波で送信する。逆に無線電波で送信される携帯電話機10A,10Bからのデータを受信して有線インタフェースに合うデータフォーマットに変換し、携帯電話通信網20内の有線回線部分に転送する。
【0018】
上記パケット交換網201は、回線交換網203とともに携帯電話通信網20のコアネットワークを構成し、SGSN(Serving GPRS Support Node)22やGGSN(Gateway GPRS Support Node)23等のノードによってパケット通信を制御する。パケット交換網201のSGSN22は、基地局21が接続されている図示しない無線ネットワークコントローラとコアネットワーク側のパケット交換網との間のゲートウェイ機能と、図示しない各携帯電話機の位置管理を行なうHLR(Home Location Register)やVLR(Vertical Location Register)との間で情報を送受信する機能と 、セキュリティ管理及びアクセス制御を行う機能とを有する。また、GGSN23は、コアネットワーク側のパケット交換網と、IMSドメインや他のIPネットワークとの間のゲートウェイ機能を有する。パケット交換網201を介したパケットデータ通信の通信利用情報であるCDR(Call Detail Record)は、例えばSGSN22やGGSN23で生成され、MDGW26によって収集される。
【0019】
上記回線交換網203は、音声通信の交換機であるMSC(Mobile Switching Centre)27等を有する。MSC27は、図示しない位置登録データベース(HLR,VLR)等に接続され、各携帯電話機間の通信や各携帯電話機と携帯電話通信網20内の構成要素との間における通信を中継するように通信制御を行う。また、MSC27は、各携帯電話機と他の通信ネットワークとの間におけるSMS(Short Message Service)の送受信やUDI通信(データレート通信)を中継するように通信制御を行う。回線交換網203を介した音声通信(通話)の通信利用情報であるCDRは、例えばMSC27で生成され、MDGW28によって収集される。
【0020】
上記IMSドメイン202は、3GPP(3rd Generation Partnership Project)や3GPP2(3rd Generation Partnership Project 2)で標準化されたIMS(IP multimedia subsystem)の規格に準拠した、パケット通信を利用したマルチメディア通信サービスを提供するためのものである。このIMSドメイン202には、上記マルチメディア通信サービスの提供に用いるCSCF(Call Session Control Function)24とSIP(Session Initiation Protocol)サーバ25とを備えている。SIPサーバ25は、例えばRFC(Request For Comment)3261で規定されているSIP(Session Initiation Protocol)と呼ばれるIP電話の方式を利用して音声通信(通話)にマルチメディア機能を追加するための処理を行う。このSIPサーバ25を介して、例えば後述の着信通知用の音、画像、テキストなどのコンテンツを発信側の携帯電話機10Aから着信側の携帯電話機10Bに送信するコンテンツ送信を行うことができる。また、CSCF24は、各携帯電話機10A,10BとIMSドメイン202内にあるSIPサーバ25等の各種サーバとの間のSIPパケットの転送処理等を行う。各携帯電話機10A,10BとIMSドメイン202との間のパケット通信の通信利用情報であるCDRは、例えばIMSドメイン202に設けられているCSCF24、SIPサーバ25等のIMSノード、図示しないMMS(Multimedia Messaging Service)サーバ等のMMSノード、前述のパケット交換網201のGGSN23等で生成され、MDGW26によって収集される。
【0021】
上記MDGW26は、パケット交換網201から収集したIMSによる着信通知用コンテンツ送信のCDRのデータフォーマットが可変長であった場合には、その可変長のデータフォーマットから予め設定された固定長のデータフォーマットに変換する。この固定長のデータフォーマットは、後の課金処理等で共通に用いられるデータフォーマットである。この可変長CDRから固定長CDRへの変換の際に、例えば後の課金処理等で不要なデータ項目(データカラム)を削除するように処理される。また、後の課金処理等で必要とされるにもかかわらず上記収集された可変長CDRに欠落しているデータ項目(データカラム)があった場合、その欠落しているデータ項目が追加して充足するように処理される。この追加されたデータ項目には、後の課金処理等で処理エラーが発生しないように所定のダミーデータを挿入してもよい。
【0022】
表1は上記IMSノードから収集された変換前の可変長CDRの一例である。ここで、表1中の項番1の「RECORD_TYPE」は、当該可変長CDRが生成された通信サービスを識別するためのサービス識別情報(サービスID)であり、例えば当該可変長CDRを生成するSIPサーバ25等のアプリケーションノードで付与される。後の課金処理では、このサービス識別情報ごとに課金方法を切り換えることができる。上記「RECORD_TYPE」の値としては、例えば、IMS通信サービスの対して「I」、MMS通信サービスに対して「9」、3G−SMS通信サービスに対して「F」が設定される。なお、同一の通信サーブであっても、その中で更に詳細なサービス内容が多岐に分かれる場合は、それらの詳細なサービス内容を判定できるように、サブレコードタイプのような追加のデータ項目を設定してもよい。
【0023】
【表1】

【0024】
また、表1中の項番の「MEDIA_TYPE」の欄には、SIPメッセージのヘッダに記述された「MEDIA_TYPE」の情報が16進数に変換された所定桁の値(例えば4桁の値)が設定される。この「MEDIA_TYPE」の情報は、着信通知用コンテンツの種別情報(ファイルの種別情報)として用いることができる。例えば、「MEDIA_TYPE」の値に応じて、後述の課金処理におけるイベント課金の料金が設定される。
【0025】
表2は変換後の固定長CDRの一例であり、変換前後のデータ項目名の関係も示している。表2中の変換後の固定長CDRにおいて、メッセージ送出日付、メッセージ送出時刻、発信電話番号、メッセージ配送日付、メッセージ配送時刻、CDRバージョン、切断理由、添付ファイル、CDRログ出力ノード(1),(2)、シーケンス番号、セッション番号(1),(2)、IMSレコードタイプなどについては、表1に示した変換前のCDRの値を用いて設定される。例えば、表2中の変換後の固定長CDRにおける「添付ファイル」及び「IMSレコードタイプ」がそれぞれ、上記表1中の変換前の可変長CDRにおける「MEDIA_TYPE」及び「RECORD_TYPE」に対応している。また、表2中のレコードタイプ、課金用通話時間、課金処理用データ項目群、請求処理用データ項目群などについては、変換前の可変長CDRにない項目であり、変換処理の際に追加される。この追加設定された項目については、必要に応じてダミーデータが設定される。
【0026】
【表2】

【0027】
上記MDGW26で可変長CDRから固定長CDRへの変換を行うことにより、パケット交換機の種類や世代、CDRの供給元等の相違があっても、後の課金処理等を統一的に行なうことができる。また、不要なデータ項目(データカラム)を削除する場合は、CDRのデータを記憶する記憶デバイス等のハードウェア資源やCDRデータの送受信等のデータ処理に関して効率化を図ることができる。
【0028】
図2は、携帯電話機10Aから携帯電話機10Bに対して着信通知用コンテンツの送信及び音声通信の発呼の通信手順の一例を示すシーケンス図である。なお、発信側の携帯電話機10Aでは、音声通信(通話)の発呼時に着信側の携帯電話機10Bで再生して出力する音、画像、テキスト等の着信通知用のコンテンツを、所定の設定画面から登録・設定しておく。例えば、着信通知用のコンテンツとして、着信通知の際に出力する音(音楽のファイル)と、画像(静止画のファイル)と、テキスト(テキストファイル)とを登録・設定しておく。図3の例では、発信側の携帯電話機10Aの利用者が滞在している沖縄の音楽と沖縄の風景画像と沖縄に滞在している旨のテキストとが登録・設定されている。
【0029】
図2において、発信側の携帯電話機10Aは、携帯電話機10Bの電話番号を指定した発呼の操作を受け付けると、「SIP INVITE」のメッセージを、パケット交換網201を介してSIPサーバ25に送信する(S1,S2)。SIPサーバ25は、携帯電話機10Aから受信した「SIP INVITE」のメッセージを、パケット交換網201を介して着信側の携帯電話機10Bに転送する(S3,S4)。
【0030】
上記「SIP INVITE」のメッセージを受信した着信側の携帯電話機10Bは、「200 OK (INVITE)」のメッセージを、パケット交換網201を介してSIPサーバ25に送信する(S5,S6)。SIPサーバ25は、携帯電話機10Bから受信した「200 OK (INVITE)」のメッセージを、パケット交換網201を介して発信側の携帯電話機10Aに転送する(S7,S8)。また、上記「200 OK (INVITE)」のメッセージを中継して転送したパケット交換網201内のGGSN23は、課金を要求する「ACR (start)」のメッセージを、MDGW26に送信する(S9)。
【0031】
上記「200 OK (INVITE)」のメッセージを受信した発信側の携帯電話機10Aは、「SIP ACK」のメッセージを、パケット交換網201を介してSIPサーバ25に送信する(S10,S11)。SIPサーバ25は、携帯電話機10Aから受信した「SIP ACK」のメッセージを、パケット交換網201を介して着信側の携帯電話機10Bに転送する(S12,S13)。これにより、発信側の携帯電話機10Aと着信側の携帯電話機10Bとの間に、SIPによるピアツーピアセッションが確立される(S14)。
【0032】
上記ピアツーピアセッションが確立されると、携帯電話機10Aと携帯電話機10Bとは、TCP(Transmission Control Protocol)の3ウェイハンドシェイクを実行し、TCPレイヤでのコネクションを確立する。そして、発信側の携帯電話機10Aは、TCPレイヤでのコネクションにおける「MSRP SEND」メッセージを利用して、上記予め登録・設定されている画像等の着信通知用コンテンツのデータを、着信側の携帯電話機10Bに送信する(S15)。例えば、上記着信通知用コンテンツのデータとして、上記設定に基づいて、テキストファイルのみ、画像ファイルのみ、音ファイル(オーディオファイル)のみ、又はこれらのファイルを組み合わせたものが送信される。ここで、静止画の画像ファイルとしては、例えば、jpg形式(jpeg形式、jpe形式)、png形式、gif形式、Animated gif形式のファイルが例示できる。また、動画の画像ファイルとしては、例えば、3gp形式、mp4形式、swf形式、mmf形式のファイルが例示できる。また、音ファイル(オーディオファイル)としては、例えば、amr形式、mid形式(midi形式)、3gp形式、mp4形式、SP−MIDI形式のファイルが例示できる。
【0033】
上記コンテンツデータの受信を完了すると、携帯電話機10Bは、発信側の携帯電話機10Aに「200 OK SEND」メッセージを送信する(S16)。このようにして、着信通知用コンテンツのデータが発信側の携帯電話機10Aから着信側の携帯電話機10Bに送信される。携帯電話機10Bは、受信した着信通知用コンテンツのデータを内部メモリ等のデータ記憶手段に一時的に保存する。
【0034】
上記「200 OK SEND」メッセージは受信した発信側の携帯電話機10Aは、例えば3GPP仕様番号24.008に規定されている「SETUP」メッセージを、回線交換網203に送信することにより、着信側の携帯電話機10Bに対して発呼する(S17)。回線交換網203のMSC27は、携帯電話機10Aから受信した「SETUP」メッセージを携帯電話機10Bに転送する(S18)。なお、上記「SETUP」メッセージは、携帯電話機10Aから携帯電話機10Bに送信される音声通信の呼信号の一例である。
【0035】
上記「SETUP」メッセージは受信した着信側の携帯電話機10Bは、例えば3GPP仕様番号24.008に規定されている「ALERTING」メッセージを、回線交換網203に送信する(S19)。また、携帯電話機10Bは、上記一時的に保存しておいた着信通知用コンテンツを再生して出力することにより、携帯電話機10Aからの音声通信の発呼を着呼している旨を利用者に通知する(S20)。図3の例では、発信側の携帯電話機10Aの利用者が滞在している沖縄の音楽が再生されて出力されるとともに、沖縄の風景画像と沖縄に滞在している旨のテキスト「沖縄にいまーす」とを含む着信画像が表示されることにより、着信が利用者に通知される。
【0036】
上記回線交換網203のMSC27は、携帯電話機10Bから受信した「ALERTING」メッセージを携帯電話機10Aに転送する(S21)。発信側の携帯電話機10Aは、上記「ALERTING」メッセージを受信することより、着信側の携帯電話機10Bが着信通知状態にあること、すなわち着信通知用のコンテンツが再生されている状態であることを知る。
【0037】
上記「ALERTING」メッセージを送信した着信側の携帯電話機10Bは、「SIP BYE (confirmed)」のメッセージを、パケット交換網201を介してSIPサーバ25に送信する(S22,S23)。SIPサーバ25は、携帯電話機10Bから受信した「SIP BYE (confirmed)」のメッセージを、パケット交換網201を介して発信側の携帯電話機10Aに転送する(S24,S25)。上記「SIP BYE (confirmed)」のメッセージを中継して転送したパケット交換網201内のGGSN23は、例えばSIPサーバ25で生成された今回のコンテンツ送信に対する課金用CDRとともに「ACR (stop)」のメッセージをMDGW26に送信する(S26)。
【0038】
上記課金用CDRは、少なくとも発信側の携帯電話機10Aを識別する発信元情報(例えば電話番号)及び上記着信通知用コンテンツの種別情報としてのファイルの種別情報を含む。このファイルの種別情報は、例えば1バイト(8ビット)の2進数表記のデータフォーマットを用いた場合、互いに異なる桁にファイルに対応するフラグを設定するように、CDRに書き込むことができる。例えば、2進数表記したデータフォーマットの下位の第1ビット、第2ビット、第3ビット及び第4ビットそれぞれに、テキストファイル、音ファイル、静止画の画像ファイル、動画の画像ファイルのフラグを設定する。そして、テキストファイルのみ及び静止画の画像ファイルのみを送信したとき、CDR内のファイルの種別情報の値はそれぞれ、「00000001」(2進数)及び「00000100」(2進数)となる。また、テキストファイル及び音ファイルの2つのファイルを送信したとき、CDR内のファイルの種別情報の値は、「00000011」(2進数)となる。
【0039】
着信側の携帯電話機10Bで利用者が音声通信の発呼に応答する操作を行うと、携帯電話機10Bは、例えば3GPP仕様番号24.008に規定されている「CONNECTED」メッセージを、回線交換網203に送信する(S27)。回線交換網203のMSC27は、携帯電話機10Bから受信した「CONNECTED」メッセージを携帯電話機10Aに転送する(S28)。
【0040】
上記発信側の携帯電話機10Aが上記「CONNECTED」メッセージを受信することにより、携帯電話機10Aと携帯電話機10Bとの間で音声通信の回線が開通する(S29)。一方、上記ステップ25で「SIP BYE (confirmed)」のメッセージを受信すると、発信側の携帯電話機10Aは、「200 OK (BYE)」のメッセージを、パケット交換網201を介してSIPサーバ25に送信する(S30、S31)。SIPサーバ25は、携帯電話機10Aから受信した「200 OK (BYE)」のメッセージを、パケット交換網201を介して着信側の携帯電話機10Bに転送する(S32,S33)。これにより、携帯電話機10Aと携帯電話機10Bとの間のSIPによるピアツーピアセッションが終了する。
【0041】
なお、上記携帯電話機10Aと携帯電話機10Bとの間の音声通信に対するCDRは、回線交換網203のMSC27で生成され、MDGW28に送信される。
【0042】
上記課金処理システム30は、上記音声通信や上記コンテンツ送信のパケットデータ通信などについて生成された複数のCDRのレコードが書き込まれたCDRファイルを、上記MDGW26,28から所定のタイミングで受信し、各CDRに対応する通信について課金する処理を行う。
【0043】
図4は、上記課金処理システム30のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。なお、上記SGSN22、GGSN23、CSCF24、SIPサーバ25、MSC27やMDGW26、28も同様に構成することができる。この課金処理システム30は、システムバス310、CPU311、内部記憶装置、外部記憶装置314、入力装置315、出力装置316、及び通信装置317を備えている。上記内部記憶装置は、RAM312やROM313等で構成されている。上記外部記憶装置は、ハードディスクドライブ(HDD)や光ディスクドライブ等で構成されている。上記入力装置315は、マウスやキーボード等で構成されている。上記出力装置316は、ディスプレイやプリンタ等で構成されている。上記通信装置317は、所定の通信プロトコルにより、携帯電話通信網20のMDGW26、28等と通信するための装置である。
上記CPU311やRAM312等の構成要素はお互いに、システムバス310を介して、データやプログラムの命令等のやり取りを行っている。この課金処理システム30を所定の手順に従って動作させるためのプログラムはROM313や外部記憶装置314に記憶されており、必要に応じてCPU311やRAM312上の作業エリアに呼び出されて実行される。
【0044】
また、上記課金処理システム30は、一部又は全体を専用の制御装置として構成してもいいし、一部又は全体を汎用のコンピュータシステムを用いて構成してもよい。また、はそれぞれ、1台のコンピュータで構成してもいいし、複数の機能をそれぞれ受け持つ複数台のコンピュータをネットワークで結んで構成してもよい。
【0045】
図5は、本実施形態に係る課金処理システム30の主要な機能を抽出して示した機能ブロック図である。この課金処理システム30は、CDR受信手段350と料金計算用データ記憶手段351と利用料金計算手段352と課金済みCDR生成手段353とを備えている。
【0046】
上記CDR受信手段350は上記通信装置317等で構成され、上記GGSN23やMSC27で生成されMDGW26、28で集められた複数のCDRのレコードを含むCDRファイルを受信する。例えば、CDR受信手段350は、MDGW26、28で所定期間内に集められた複数のCDR(例えば1日分のCDR)のレコードが書き込まれたCDRファイルを受信する。
【0047】
上記料金計算用データ記憶手段351は上記内部記憶装置や外部記憶装置314等で構成され、上記MDGW26、28から受信した課金処理前のCDRから利用料金を計算するときに用いる料金計算用データ(課金用タリフ)を記憶する。ここで、上記着信通知用コンテンツ送信の利用料金を計算するときに用いる料金計算用データは、着信通知用コンテンツの種別、すなわち着信通知用コンテンツとして送信するファイルの種別に応じてイベント課金するように設定されている。例えば、1回の着信通知用コンテンツの送信ごとの料金として、xx円(テキストファイル)、yy円(画像ファイル)、zz円(音ファイル)というように設定する。複数のファイルを組み合わせて送信した場合は、個別ファイルの料金を加算して計算される。例えば、テキストファイルと画像ファイルとを組み合わせて送信した場合は、xx+yy円となる。
【0048】
なお、このような料金演算においては、着信通知用コンテンツの構成が増えれば増えるほど、料金が高くなることから、利用者の負担を軽減するため、所定の組み合わせについて、単なる重畳加算とは異なる安価な料金設定を別に設けるようにしてもよい。
【0049】
上記利用料金計算手段352は上記CPU311等で構成され、上記料金計算用データ記憶手段351に記憶されているコンテンツ(ファイル)の種別ごとに予め設定された料金計算用データに基づいて、上記MDGW26から受信した着信通知用コンテンツ送信の課金処理前のCDRについてコンテンツ(ファイル)の種別に応じた利用料金を計算する。
【0050】
上記課金済みCDR生成手段353は上記CPU311等で構成され、上記利用料金計算手段352で計算した利用料金に基づいて、上記着信通知用コンテンツ送信に対する課金済みCDRを生成することにより、課金処理を行う。具体的には、上記計算した利用料金の値を、該当するCDRの所定フィールドに書き込むことにより、課金済みCDRを生成する。この課金処理済みCDRは、所定のファイルに書き込まれ、利用者に対する請求処理等に使用される。
【0051】
図6は、上記構成の課金処理システム30において着信通知用コンテンツ送信のCDRについて課金処理するときの処理手順の一例を示すフローチャートである。
まず、課金処理システム30は、所定期間分(例えば1日分)のIMS関連のCDRファイルを、所定のタイミングでMDGW26から受信し(S101)、所定のCDR記憶手段に一旦保存する。
【0052】
次に、課金処理システム30は、MDGW26から受信したCDRファイルに書き込まれている複数のCDRから、着信通知用コンテンツ送信のCDRを抽出する(S102)。
【0053】
次に、課金処理システム30は、上記抽出した複数のCDRについて、送信対象となったコンテンツ(ファイル)の種別を判定し、その判定したコンテンツ(ファイル)の種別に応じた利用料金を計算する(S103、S104)。そして、計算した利用料金の値を該当するCDRの所定フィールドに書き込んで課金済みCDRを生成する(S105)。
【0054】
以上、本実施形態によれば、発信側の携帯電話機10Aから着信側の携帯電話機10Bへ発呼される回線交換網を介した音声通信の着信通知時に再生されるコンテンツ(ファイル)を発信側の携帯電話機10Aから着信側の携帯電話機10Bに送信するコンテンツ送信について、コンテンツ(ファイル)の種別ごとの課金処理を行うことにより、利用者にとって意識しやすく直感的な課金が可能になる。
また、本実施形態によれば、テキストのみからなるコンテンツ、画像のみからなるコンテンツ、音のみからなるコンテンツ及びこれらの複数種類のファイルを二以上組み合わせたコンテンツから任意に選択されたコンテンツ(ファイル)が、発信側の携帯電話機10Aから着信側の携帯電話機10Bに送信された場合でも、その送信されたコンテンツに種別に応じたイベント課金処理を行うことができる。
また、本実施形態によれば、通常のパケット通信の通信利用情報を収集するMDGWとは別に設けられたIMS専用のMDGW26によって上記IMSによる着信通知用コンテンツ送信のCDRが収集され、そのIMS専用のMDGW26から着信通知用コンテンツ送信のCDRを受信している。そのため、通常のパケット通信のCDRと着信通知用コンテンツ送信のCDRとを混在して収集する共通のMDGWから両方のCDRを混在した状態で受信する場合とは異なり、受信したCDRファイルから着信通知用コンテンツ送信のCDRを分離する処理が不要になる。
また、本実施形態によれば、MDGW26で収集されたIMSによる着信通知用コンテンツ送信のCDRのデータフォーマットが可変長であって統一されていない場合でも、その可変長のデータフォーマットから予め設定された固定長のデータフォーマットに変換される。従って、この変換後の固定長のデータフォーマットからなるIMSによる着信通知用コンテンツ送信のCDRを受信して課金処理できるので、データ経済の確保を図ることができるとともに、利用者に対する請求書で必要とされるデータフィールド(データカラム)を充足できるようになる。
【0055】
なお、上記実施形態では、回線交換網203を介した音声通信の着信通知の場合について説明したが、本発明は、パケット回線網201を介して発信側の携帯電話機10Aと着信側の携帯電話機10Bとの間に確立されたSIPセッションを介して行う音声通話の着信通知の場合についても、同様に適用できる。この場合は、上記SIPセッションを確立するときに発信側の携帯電話機10Aから着信側の携帯電話機10Bへ送信される「SIP INVITE」メッセージに、上記着信通知用コンテンツのファイルを添付してもよい。
【0056】
また、上記実施形態において、前記CDRは各携帯電話機で利用可能な通信サービスを識別可能な通信サービス識別情報(例えばサービスID)を含み、MDGW26から受信したCDRに含まれる通信サービス識別情報に基づいて、前記IMSによる着信通知用コンテンツ送信の通信サービスのCDRであるか否かを判断してもよい。そして、その通信サービス識別情報に基づいて、IMSによる着信通知用コンテンツ送信の通信サービスの通信利用情報であると判断した場合に、前記コンテンツの種別に応じた利用料金の計算及び前記コンテンツ送信に対する課金済みCDRの生成を行うようにしてもよい。この場合は、他の通信サービスに対する課金と混同しないで、IMSによる着信通知用コンテンツ送信の通信サービスに対する個別課金を確実に行うことができる。
【0057】
また、上記実施形態では画像等の着信通知用コンテンツを送受信する通信端末が携帯電話機の場合について説明したが、本発明は、画像等のコンテンツを送受信するものであれば、携帯電話機以外の他の通信端末の場合についても同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施形態に係る課金処理システムを備えた通信システム全体の概略構成の一例を示す説明図。
【図2】課金処理システムのハードウェア構成を示す概略構成図。
【図3】発信側携帯電話機から着信側携帯電話機に着信通知用コンテンツを送信するときの処理手順の一例を示すシーケンス図。
【図4】着信通知用コンテンツの送信の説明図。
【図5】課金処理システムの主要な機能を抽出して示した機能ブロック図。
【図6】着信通知用コンテンツ送信のCDRについて課金処理するときの処理手順の一例を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0059】
10 携帯電話機
10A 送信側の携帯電話機
10B 受信側の携帯電話機
20 携帯電話通信網
23 SMSC(ショート・メッセージ・サービス・センター)
30 課金処理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介した通信端末間のコンテンツ送信について課金する課金処理方法であって、
発信側の通信端末から着信側の通信端末へ発呼される音声通信の着信通知時に再生されるコンテンツを該発信側の通信端末から通信ネットワークを介して該着信側の通信端末に送信するコンテンツ送信について、該発信側の通信端末を識別する発信元情報及び該コンテンツの種別情報を含むように生成された通信利用情報を、該通信ネットワークの通信利用情報収集装置から受信するステップと、
前記コンテンツの種別ごとに予め設定された料金計算用データに基づいて、前記受信した通信利用情報について前記コンテンツの種別に応じた利用料金を計算するステップと、
前記計算した利用料金に基づいて前記コンテンツ送信に対する課金済み通信利用情報を生成するステップと、
を含むことを特徴とする課金処理方法。
【請求項2】
請求項1の課金処理方法において、
前記料金計算用データは、テキストのみからなるコンテンツ、画像のみからなるコンテンツ、音のみからなるコンテンツ及びこれらの複数種類のファイルを二以上組み合わせたコンテンツについて、それぞれイベント課金されるように個別設定されていることを特徴とする課金処理方法。
【請求項3】
請求項1又は2の課金処理方法において、
前記通信利用情報収集装置は、通常のパケット通信の通信利用情報を収集する通信利用情報収集装置とは別に設けられた、前記コンテンツ送信の通信利用情報を専ら収集する専用の通信利用情報収集装置であることを特徴とする課金処理方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの課金処理方法において、
前記通信利用情報は、通信サービスを識別可能な通信サービス識別情報を含み、
前記通信利用情報収集装置から受信した通信利用情報に含まれる前記通信サービス識別情報に基づいて、前記発信側の通信端末から前記着信側の通信端末へコンテンツを送信する通信サービスの通信利用情報であるか否かを判断し、
前記通信サービス識別情報に基づいて、前記コンテンツ送信の通信サービスの通信利用情報であると判断した場合に、前記コンテンツの種別に応じた利用料金の計算及び前記コンテンツ送信に対する課金済み通信利用情報の生成を行うことを特徴とする課金処理方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの課金処理方法において、
前記コンテンツ送信の通信利用情報は、前記通信利用情報収集装置において可変長のデータフォーマットから予め設定された固定長のデータフォーマットに変換されたものであることを特徴とする課金処理方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかの課金処理方法において、
前記音声通信は、回線交換網を介して前記発信側の通信端末と前記着信側の通信端末との間に確立された通話回線を介して行われ、
前記コンテンツ送信は、前記通話回線の確立処理中又は該通話回線の確立処理前に、パケット網を介して前記発信側の通信端末と前記着信側の通信端末との間に確立されたセッションを介して行われ、
前記コンテンツ送信の通信利用情報は、前記パケット網の通信中継装置から収集されたものであることを特徴とする課金処理方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかの課金処理方法において、
前記音声通信は、パケット網を介して前記発信側の通信端末と前記着信側の通信端末との間に確立されたセッションを介して行われ、
前記コンテンツ送信は、前記発信側の通信端末と前記着信側の通信端末との間のセッションの確立処理後に、該セッションを介して行われ、
前記コンテンツ送信の通信利用情報は、前記パケット網の通信中継装置から収集されたものであることを特徴とする課金処理方法。
【請求項8】
通信ネットワークを介した通信端末間のコンテンツ送信について課金する課金処理システムであって、
前記発信側の通信端末を識別する発信元情報及び前記コンテンツの種別情報を含む前記コンテンツ送信の通信利用情報を受信する受信手段と、
前記コンテンツの種別ごとに予め設定された料金計算用データを記憶する記憶手段と、
前記料金計算用データに基づいて、前記受信した通信利用情報について前記コンテンツの種別に応じた利用料金を計算する計算手段と、
前記計算した利用料金に基づいて前記コンテンツ送信に対する課金済み通信利用情報を生成する生成手段と、
を備えたことを特徴とする課金処理システム。
【請求項9】
請求項8の課金処理システムにおいて、
前記料金計算用データは、テキストのみからなるコンテンツ、画像のみからなるコンテンツ、音のみからなるコンテンツ及びこれらの複数種類のファイルを二以上組み合わせたコンテンツについて、それぞれイベント課金されるように個別設定されていることを特徴とする課金処理システム。
【請求項10】
請求項8又は9の課金処理システムにおいて、
前記通信利用情報収集装置は、通常のパケット通信の通信利用情報を収集する通信利用情報収集装置とは別に設けられた、前記コンテンツ送信の通信利用情報を専ら収集する専用の通信利用情報収集装置であることを特徴とする課金処理システム。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれかの課金処理システムにおいて、
前記通信利用情報は、通信サービスを識別可能な通信サービス識別情報を含み、
前記通信利用情報収集装置から受信した通信利用情報に含まれる前記通信サービス識別情報に基づいて、前記発信側の通信端末から前記着信側の通信端末へコンテンツを送信する通信サービスの通信利用情報であるか否かを判断する判断手段を更に備え、
前記通信サービス識別情報に基づいて、前記コンテンツ送信の通信サービスの通信利用情報であると判断した場合に、前記コンテンツの種別に応じた利用料金の計算及び前記コンテンツ送信に対する課金済み通信利用情報の生成を行うことを特徴とする課金処理システム。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれかの課金処理システムにおいて、
前記コンテンツ送信の通信利用情報は、前記通信利用情報収集装置において可変長のデータフォーマットから予め設定された固定長のデータフォーマットに変換されたものであることを特徴とする課金処理システム。
【請求項13】
請求項8乃至12のいずれかの課金処理システムにおいて、
前記音声通信は、回線交換網を介して前記発信側の通信端末と前記着信側の通信端末との間に確立された通話回線を介して行われ、
前記コンテンツ送信は、前記通話回線の確立処理中又は該通話回線の確立処理前に、パケット網を介して前記発信側の通信端末と前記着信側の通信端末との間に確立されたセッションを介して行われ、
前記コンテンツ送信の通信利用情報は、前記パケット網の通信中継装置から収集されたものであることを特徴とする課金処理システム。
【請求項14】
請求項8乃至12のいずれかの課金処理システムにおいて、
前記音声通信は、パケット網を介して前記発信側の通信端末と前記着信側の通信端末との間に確立されたセッションを介して行われ、
前記コンテンツ送信は、前記発信側の通信端末と前記着信側の通信端末との間のセッションの確立処理後に、該セッションを介して行われ、
前記コンテンツ送信の通信利用情報は、前記パケット網の通信中継装置から収集されたものであることを特徴とする課金処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−141518(P2009−141518A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313912(P2007−313912)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(501440684)ソフトバンクモバイル株式会社 (654)
【Fターム(参考)】