課金料金算出方法、課金料金算出装置およびプリンター課金システム
【課題】課金料金を請求する側、される側の両者にとって不利益のないビジネスモデルを実現する。
【解決手段】インクジェットプリンターの課金料金を算出するメーカーサーバー110であって、所定期間L1内にメンテナンス以外の実印刷に用いられたインク使用量である実印刷使用量PVを含む課金ステータス情報を取得する課金ステータス取得部342と、実印刷使用量PVが所定量V1以下であるか否かを判別する実印刷使用量判別部343と、実印刷使用量PVに応じて課金料金を算出する課金料金算出部344と、を備え、課金料金算出部344は、実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合、固定料金である第1の課金料金とし、実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合、実印刷使用量PVに応じて増加する第2の課金料金として、課金料金を算出する。
【解決手段】インクジェットプリンターの課金料金を算出するメーカーサーバー110であって、所定期間L1内にメンテナンス以外の実印刷に用いられたインク使用量である実印刷使用量PVを含む課金ステータス情報を取得する課金ステータス取得部342と、実印刷使用量PVが所定量V1以下であるか否かを判別する実印刷使用量判別部343と、実印刷使用量PVに応じて課金料金を算出する課金料金算出部344と、を備え、課金料金算出部344は、実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合、固定料金である第1の課金料金とし、実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合、実印刷使用量PVに応じて増加する第2の課金料金として、課金料金を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
インクジェットプリンターの課金料金算出方法、課金料金算出装置およびプリンター課金システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンターのインク使用量に応じて課金する課金方法が知られている。例えば特許文献1には、以下の方法が開示されている。インクジェットプリンターにより、光学式のセンサーを用いてインクタンク内のインク残量を計測し、当該インク残量に基づいてインク使用量を算出する。インクジェットプリンターに接続されたホストコンピュータは、インクジェットプリンターからインク使用量に関するデータを取得し、ネットワークを介してサービスセンターサーバーにインク使用量に関するデータを送信する。また、サービスセンターサーバーは、インク量・課金テーブルを参照して、インク使用量から課金料金を計算し、ユーザに請求を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−36582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的にインクジェットプリンターは、ヘッドまたはインク流路に混入した気泡の排出やインクの凝固防止のため、ヘッドクリーニングやフラッシング(捨て吐出)などのメンテナンスを行う。このため、特許文献1のように、インクタンク内のインク残量に基づいてインク使用量を算出する場合、印刷に用いられるインク使用量(以下、「実印刷使用量」と称する)だけでなく、メンテナンスに用いられるメンテナンス使用量も含めて課金料金が算出されることとなる。つまり、料金を請求される側の顧客にとっては、実質的な印刷以外に用いられたインク使用量についても料金を支払うこととなり、不満が生じてしまう。
【0005】
そこで、実印刷使用量のみに基づいて課金料金を算出する方法が考えられる。この場合、実印刷使用量を測定し、実印刷使用量とインク単価の積算値に基づいて課金料金を算出する方法が想定される。この方法であれば、顧客とって不利益感がなくなるばかりでなく、印刷量に応じて課金料金が明確となるため、予算が立てやすいといったメリットもある。ところが、上記の通りインクジェットプリンターは、メンテナンスが必要であるため、印刷を行わない場合にもインクが消費される。このため、料金を請求する側にとっては、印刷量の少ない顧客の場合、実印刷使用量よりもメンテナンス使用量の割合が高くなるため、インク消費量に対して請求額が少なくなり、ビジネスモデルとして成り立たないといった問題がある。したがって、実印刷使用量のみに基づいて課金料金を算出するビジネスモデルの適用は、印刷量の多い大手顧客のみに限定するしかなく、印刷量の少ない顧客は、現状、当該ビジネスモデルの適用外とならざるを得なかった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑み、課金料金を請求する側、される側の両者にとって不利益のないビジネスモデルを実現するためのインクジェットプリンターの課金料金算出方法、課金料金算出装置およびプリンター課金システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課金料金算出方法は、インク消費を伴うメンテナンスを実行するインクジェットプリンターの課金料金算出方法であって、所定期間L1内にメンテナンス以外の実印刷に用いられたインク使用量である実印刷使用量PVを取得する実印刷使用量取得ステップと、実印刷使用量PVが所定量V1以下であるか否かを判別する実印刷使用量判別ステップと、実印刷使用量PVに応じて課金料金を算出する課金料金算出ステップと、を備え、課金料金算出ステップは、実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合、固定料金である第1の課金料金とし、実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合、実印刷使用量PVに応じて増加する第2の課金料金として、課金料金を算出することを特徴とする。
【0008】
本発明の課金料金算出装置は、インク消費を伴うメンテナンスを実行するインクジェットプリンターの課金料金算出装置であって、所定期間L1内にメンテナンス以外の実印刷に用いられたインク使用量である実印刷使用量PVを取得する実印刷使用量取得部と、実印刷使用量PVが所定量V1以下であるか否かを判別する実印刷使用量判別部と、実印刷使用量PVに応じて課金料金を算出する課金料金算出部と、を備え、課金料金算出部は、実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合、固定料金である第1の課金料金とし、実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合、実印刷使用量PVに応じて増加する第2の課金料金として、課金料金を算出することを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合、すなわち印刷量が少ない顧客については、固定料金である第1の課金料金とするため、課金料金を請求する側の不利益を解消できる。つまり、全体的なインク消費量に対して請求額が少なくなることによってビジネスモデルが成り立たなくなるといった問題を解消できる。一方、実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合、すなわち印刷量が多い顧客(インクジェットプリンターのインク使用料金を支払う側)については、実印刷使用量PVに応じて増加する第2の課金料金とするため、顧客に不利益感を与えることがない。つまり、顧客にとっては、実質的な印刷のみに用いられたインク使用量について料金を支払えば良く、予算が立てやすいといったメリットもある。このように、印刷量に関係なく、課金料金を請求する側とされる側の両者にとって不利益のないビジネスモデルを実現することで、顧客を広げることができ、ビジネスモデルの更なる展開が期待できる。
なお、「固定料金」とは、所定期間L1における実印刷使用量PVに応じて変化しない料金であることを意味する。
また、「第2の課金料金」は、実印刷使用量PVをパラメーターとしたアルゴリズムに基づいて算出されれば良く、そのアルゴリズムは、1次関数や2次間数など種類を問わない。
また、「インク消費を伴うメンテナンス」とは、フラッシング(捨て吐出処理)やクリーニング処理におけるインク吸引処理等を指す。また、インクの初期充填処理に用いられるインク使用量についても、実印刷使用量に含めないことが好ましい。
【0010】
上記の課金料金算出方法において、第1の課金料金は、過去の実印刷使用量PVに応じて可変することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、過去の実印刷使用量PVに応じて第1の課金料金(固定料金)を可変することで、例えば印刷量の多い顧客に対して割引を行うなど、顧客メリットを高めることができる。
なお、「過去の実印刷使用量PV」とは、例えば所定期間が1ヶ月の場合、前月分の実印刷使用量、2ヶ月前の実印刷使用量、過去1年分の累計実印刷使用量、課金開始月から前月までの平均実印刷使用量などを指す。
また、メンテナンスに用いられたインク使用量であるメンテナンス使用量を取得する構成とし、第1の課金料金を、過去のメンテナンス使用量に応じて可変しても良いし、過去の総インク使用量(実印刷使用量+メンテナンス使用量)に応じて可変しても良い。また、第1の課金料金を、過去の同一期間における実印刷使用量とメンテナンス使用量の比率に応じて可変しても良い。さらに、第1の課金料金を、その月(課金料金の算出対象となる所定期間)の実印刷使用量、メンテナンス使用量、総インク使用量、実印刷使用量とメンテナンス使用量の比率、に応じて可変しても良い。
【0012】
上記の課金料金算出方法において、第2の課金料金は、実印刷使用量PVと係数C1(但し、C1>0)の積算値に基づいて算出され、係数C1は、過去の実印刷使用量PVに応じて可変することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、過去の実印刷使用量PVに応じて係数C1を可変することで、例えば印刷量の多い顧客に対して割引を行う(係数C1の値を小さくする)など、顧客メリットを高めることができる。
なお、メンテナンスに用いられたインク使用量であるメンテナンス使用量を取得する構成とし、係数C1を、過去のメンテナンス使用量に応じて可変しても良いし、過去の総インク使用量(実印刷使用量+メンテナンス使用量)に応じて可変しても良い。また、係数C1を、過去の同一期間における実印刷使用量とメンテナンス使用量の比率に応じて可変しても良い。さらに、係数C1を、その月(課金料金の算出対象となる所定期間)の実印刷使用量、メンテナンス使用量、総インク使用量、実印刷使用量とメンテナンス使用量の比率、に応じて可変しても良い。
【0014】
上記の課金料金算出方法において、過去の実印刷使用量PVは、前回の所定期間L1における実印刷使用量PVであることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、前回の所定期間L1における実印刷使用量PVに応じて、第1の課金料金や係数C1の値を可変することができる。
なお、「前回の所定期間L1」とは、例えば所定期間が1ヶ月の場合、前月分の実印刷使用量を指し、所定期間が1年の場合、昨年分の実印刷使用量を指す。
【0016】
上記の課金料金算出方法において、所定期間L1終了前の所定のタイミングにおける実印刷使用量PVを監視する実印刷使用量監視ステップと、所定のタイミングにおける実印刷使用量PVが所定量V0以下の場合(但し、0<V0≦V1)、警告を行う警告ステップと、をさらに備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、所定期間L1終了前の所定のタイミングにおける実印刷使用量PVが所定量V0以下の場合に警告を行うことで、顧客に対し第1の課金料金で課金される可能性があることを通知できる。つまり、第2の課金料金は第1の課金料金と比較して顧客メリットが大きいため、所定期間L1における実印刷使用量PVが所定量V1を満たしていない状況を、顧客に対して知らせることで、顧客側が、実印刷使用量PVを増やして第2の課金料金の適用を受けるといった対策を講じることができる。
なお、警告の方法としては、インクジェットプリンターに、プリンター警告を示すコマンドを送信したり、顧客の電子メールアドレスに電子メールを送信したりすることが考えられる。
【0018】
本発明のプリンター課金システムは、上記の課金料金算出装置と、少なくともインクジェットプリンターを含む印刷システムと、が通信可能に構成されたプリンター課金システムであって、印刷システムは、インク吐出により印刷を行う印刷部と、印刷部によるインク吐出の有無を検出する吐出検出部と、吐出検出部の検出結果に応じて、メンテナンスを行うメンテナンス部と、印刷部の印刷に用いられた実印刷使用量PVを計測する実印刷使用量計測部と、を備え、実印刷使用量取得部は、実印刷使用量計測部の計測結果を取得することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、インクジェットプリンターを含む印刷システムと、課金料金算出装置とが、離れた場所に設置されたシステム構成において、本発明を適用できる。
なお、「メンテナンス部」は、フラッシング(捨て吐出処理)やインク吸引処理等の「インク消費を伴うメンテナンス」に加え、ワイピング(ヘッドふき取り処理)等のインク吐出を伴わないメンテナンスも実行することが好ましい。
【0020】
上記のプリンター課金システムにおいて、吐出検出部は、印刷部による所定量分の印刷を終了するごとに、インク吐出の有無を検出し、メンテナンス部は、吐出検出部によりインク吐出「無」が検出された場合にメンテナンスを行うことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、効率的且つ確実にインクの吐出不良を防止できる。
なお、吐出検出部は、毎回全てのインク吐出ノズルに対して検出を行うのではなく、所定量分の印刷を終了するごとに、検出対象となるノズル(ノズル列)を切り替えても良い。また、インク吐出「無」が検出された場合は、検出対象となったノズルのみを対象としてメンテナンスを行うことが好ましい。この構成によれば、無駄なインク消費を削減できる。
【0022】
上記のプリンター課金システムにおいて、メンテナンス部は、温度、気圧、湿度のうち1以上の条件を含む環境条件に応じて、メンテナンスを行うことを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、温度、気圧、湿度等の環境条件に応じて、適切なメンテナンスを行うことができる。つまり、温度、気圧、湿度等の環境条件に応じて必要な最低限のメンテナンスを行うことで、無駄なインク消費を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】プリンター課金システムのシステム構成図である。
【図2】二つの前面カバーを閉じた状態のプリンターの外観斜視図である。
【図3】二つの前面カバーを開いた状態のプリンターの外観斜視図である。
【図4】インクカートリッジの外観斜視図である。
【図5】店舗内サーバーとプリンターの制御ブロック図である。
【図6】店舗内サーバーとプリンターの機能ブロック図である。
【図7】情報記憶部の模式図である。
【図8】メーカーサーバーとメインサーバーの機能ブロック図である。
【図9】電源オン時またはカートリッジ装着時の処理を示すフローチャートである。
【図10】インクエンド時の処理を示すフローチャートである。
【図11】課金ステータスの収集処理を示すフローチャートである。
【図12】実印刷使用量と課金料金との関係を示すイメージ図である。
【図13】第1の課金料金および第2の課金料金の算出方法を示す説明図である。
【図14】課金料金算出方法の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る課金料金算出方法、課金料金算出装置およびプリンター課金システムについて説明する。
【0026】
(プリンター課金システム概要)
図1は、プリンター課金システムSYのシステム構成図である。本実施形態に係るプリンター課金システムSYは、プリンターメーカー(インクカートリッジ供給者)100が複数のカラーインクジェット方式のプリンター240を購入したX社(カートリッジ使用者,顧客)200に対してインクカートリッジを提供し、X社200は各プリンター240において印刷に使用したインクの使用量に応じてプリンターメーカー100に対し課金料金を支払うビジネスモデルである。そのシステム構成は、各店舗に設置された複数のプリンター240と、店舗内の各プリンター240と接続された店舗内サーバー220,230と、各店舗の店舗内サーバー220,230と接続されたメインサーバー210と、メインサーバー210と接続されたメーカーサーバー110と、から成る。このうち、メーカーサーバー110は、課金料金算出装置として機能し、その他のメインサーバー210、店舗内サーバー220,230およびプリンター240は、印刷システムとして機能する。
【0027】
本プリンター課金システムSYにおいて、X社200は、例えば商品に関連したクーポン券を発券し、クーポン券の発券量に応じた広告収入を得る会社である。X社200は、他社であるY社400が管理する複数の店舗410〜440に、それぞれ店舗内サーバー220,230と、プリンターメーカー100から購入した複数のプリンター240とを設置する(図1では、図の簡略化のため店舗410,420にのみ、店舗内サーバー220,230とプリンター240を示す)。各プリンター240は、LANにより店舗内サーバー220,230と通信可能に接続される。
【0028】
Y社400は、例えば、スーパーマーケット等の小売店である。プリンター240は、レシート用プリンターとは別体のクーポン発行用プリンターであり、店舗410〜440内の各レジカウンター近辺に設置される。プリンター240は、同一店舗内に配置された店舗内サーバー220,230(以下、「店舗内サーバー220」と記載する)からの指示に応じて、POS端末から入力された商品情報に関するクーポン券等を発券するように構成されており、発券されたクーポン券は、Y社400のPOS端末担当者によって顧客に手渡される。
【0029】
メインサーバー210は、X社200の社内に設置されており、各店舗410〜440内の各店舗内サーバー220とインターネット、電話回線等の公共回線、または専用回線を介して通信可能に接続されている。メインサーバー210は、店舗内サーバー220に対し、プリンター240にて印刷するためのクーポンの画像データを、関連する商品の商品情報と共に送信する。また、店舗内サーバー220から、プリンター240によって発券されたクーポンの種類や枚数等の情報を収集する。
【0030】
本プリンター課金システムSYでは、プリンターメーカー100は、予めX社に対してインクカートリッジを提供しておく。X社200は、そのインクカートリッジをプリンター240に装着し、Y社400のレジカウンターに設置する。POS端末担当者が、商品に貼付されている商品コードを含むバーコードをスキャナで読み取り、当該商品コードに対応した商品情報を店舗内サーバー220に出力する。店舗内サーバー220は、商品情報を取得し、該当するクーポン情報がある場合、プリンター240にクーポンの画像データを送信して発券を行う。そして、各店舗410〜440に設置された各店舗内サーバー220は、接続された各プリンター240からインク使用量に関する情報を定期的に収集し、メインサーバー210に送信する。
【0031】
その後、X社200は、メインサーバー210に集められた各プリンター240のインク使用量に関する情報を、インターネット等を介してメーカーサーバー110に送信する。勿論、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体にインク使用量に関する情報を保存し、プリンターメーカー100に郵送しても良い。そして、メーカーサーバー110は、X社200から提出されたインク使用量に関する情報を集計し、インク使用量に対する課金料金を算出してX社200に請求する。また、本プリンター課金システムSYでは、インクが終了して取り外された空のインクカートリッジ20を、プリンターメーカー100が回収する。プリンターメーカー100は、回収したインクカートリッジ20にインクを再充填して、X社200に提供する。
【0032】
なお、本プリンター課金システムSYでは、クーポン券の発券に関して使用されたインク量に対してのみ課金義務を課すように構成されており、各種メンテナンス動作やインク充填動作(初期充填のためのインク吸引動作を含む)にともなって使用されるインク量に対しては課金が行われない。メンテナンス動作としては、印刷ヘッド247のフラッシング動作、クリーニングによるインク吸引動作、クリーニングによる目詰まり回復動作などが挙げられる。したがって、X社200にとっては、クーポンの発券に際し、直接使用されないインクの費用については意識することなく、インクジェット方式のプリンター240を用いて、表現力の高い高品質なクーポン券を発券することができるというメリットがある。
【0033】
また、課金料金については、所定期間(例えば、1ヶ月)内にクーポン券の発券に関して使用されたインク量(以下、「実印刷使用量PV」と称する)に応じて、決定される。但し、このように実印刷使用量PVに応じて課金を行う場合、印刷量の少ないプリンター240については、クーポン券の発券に関して使用されたインク量よりもメンテナンスに用いられるインク量が多くなるため、プリンターメーカー100にとって、ビジネスモデルとして成り立たなくなってしまう。そこで、印刷量の少ないプリンター240に対しては、ある一定の実印刷使用量PVとなるまで固定料金を請求することで、プリンターメーカー100のビジネスモデルとして成り立つようになる。詳細については、図12以降の図を参照して後述する。
【0034】
(プリンターの構成)
図2は、二つの前面カバーを閉じた状態のプリンター240の外観斜視図であり、図3は、二つの前面カバーを開いた状態のプリンター240の外観斜視図である。両図に示すように、本実施形態のプリンター240は、前面上部パネル2aおよびケースカバー2bから構成されるプリンタケース2の前面に、左側から順に電源スイッチ3、ロール紙カバー5、装着部開閉カバー7が配置されている。また、電源スイッチ3の上方には、プリンター240の状態をユーザに通知する複数のLEDランプ6が設けられている。ロール紙カバー5および装着部開閉カバー7は、下部に設けられた図示せぬヒンジを介していずれも前方に開閉可能に設けられている。
【0035】
ロール紙カバー5を開くと、図3に示すように、ロール紙11を収容した用紙収容部13が開放状態となり、この状態で、ロール紙11の交換が可能になる。一方、装着部開閉カバー7を開くと、カートリッジ装着部15が開放状態になり、カートリッジ装着部15へのインクカートリッジ20の着脱が可能になる。
【0036】
インクカートリッジ20は、カートリッジケース41内にイエロー、シアンおよびマゼンダの3色のカラーインクパックを一つにパッケージングしたものである。本実施形態のプリンター240の場合は、装着部開閉カバー7の開閉動作に連動して、カートリッジ装着部15内のインクカートリッジ20が後述するカートリッジ交換位置からカートリッジ使用位置にスライド移動する。
【0037】
図4は、プリンター240に取り付けられるインクカートリッジ20の外観斜視図である。インクカートリッジ20の背面21aの下部には、二つの位置決め孔26,26が形成されている。インクカートリッジ20は、プリンター240のカートリッジ装着部15に装着されるとき、この位置決め孔26,26に図示せぬ位置決めピンがガイドしながらスライドし、インクカートリッジ20の位置が固定される。また背面21aの中央部には、3つのインク供給口21bが開口しており、このインク供給口21bを介してインクカートリッジ20内の3色のインクがそれぞれプリンター240に供給される。
【0038】
また、位置決め孔26,26の間には、プリンター240で印刷に使用されることなく、メンテナンスで使用された廃インクを回収するための廃インク回収口28が設けられている。この廃インク回収口28を介して廃インクがインクカートリッジ20内に回収される。すなわち、本実施形態のインクカートリッジ20は、インクを供給するインクタンクとしてのみならず、廃インクを蓄える廃インクタンクの役割も兼ねている。
【0039】
また、インクカートリッジ20の一側面21cには、記憶素子27が接続端子27aの表面を露出した状態で埋め込み配置されている。この記憶素子27は、内部にインクカートリッジを識別するインクカートリッジIDを記憶したメモリであり、インク吐出回数等の情報を書き込むため、書き換え可能な不揮発性のメモリで構成されている。プリンター240からの記憶素子27へのデータの読み書きは、露出面に形成された接続端子27aを介して、プリンター240のカートリッジ装着部15側に設けられた図示せぬ接続端子と電気的に接続されることにより実行される。
【0040】
(店舗内サーバーとプリンターとの関係)
図5は、店舗内サーバー220とプリンター240の制御ブロック図である。同図に示すように、店舗内サーバー220は、CPU221と、ROM222と、RAM223と、HDD224と、入力装置225と、通信インタフェース226とを備えている。店舗内サーバー220は、CPU221がHDD224に記憶されたオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行しながら、通信インタフェース226を介してプリンター240に各種コマンドや印刷データを出力することにより、プリンター240を制御する。
【0041】
プリンター240は、CPU241と、フラッシュROM242と、RAM243と、通信インタフェース244と、印刷制御部245と、用紙搬送機構246と、印刷ヘッド247と、カバー開閉センサー248と、RTC(Real Time Clock)249と、カートリッジ装着部15と、を備えている。カバー開閉センサー248は、ロール紙カバー5および装着部開閉カバー7の開閉を検出する。RTC249は、実印刷使用量PVの計測期間(本実施形態では、1ヶ月)を計時するために用いられる。また、カートリッジ装着部15には、インクカートリッジ20が装着される。プリンター240は、CPU241がフラッシュROM242に記憶されたファームウェアを実行しながら、通信インタフェース244を介して店舗内サーバー220と通信を行うことにより印刷データを受信する。そして、印刷制御部245が各種コマンドや印刷データに基づき、用紙搬送機構246を介してロール紙11を搬送しつつ印刷ヘッド247を駆動してロール紙11への印刷を実行し、クーポンを発券する。
【0042】
(プリンターの機能)
図6は、プリンター240の内部処理を示した機能ブロック図である。同図に示すように、プリンター240内には、店舗内サーバー220から送信される各種コマンドや印刷データを受信する受信部301と、受信部301が受信した各種コマンドや印刷データを一時的に保持する受信バッファ302が設けられている。受信バッファ302によって受信されたデータは、コマンド解析部303によって解析され、制御コマンドの場合は制御コマンドバッファ304に、印刷データの場合には印刷バッファにDMA転送等により転送される。
【0043】
印刷バッファ305に一時保存された印刷データは、印刷データ生成部306によってデータ展開処理が行われてデータ変換され、最終的には印刷ヘッド247のノズル列に対応したドットパターンデータが生成されて印刷バッファ305に記憶される。このドットパターンデータは、例えば2ビットの階調データであり、印刷ヘッド247の各ノズルから吐出されるインクが(1)吐出されない、(2)小ドット、(3)中ドット、(4)大ドットのいずれに相当するかを表している。
【0044】
印刷部307は、この印刷バッファ305に記憶されたドットパターンデータを基に印刷ヘッド247を駆動するものであり、ロール紙11上に画像を形成することにより、クーポン券を作成する。一方、制御コマンドバッファ304に一時保存された制御コマンドデータは、主制御部308によって読み出され、用紙カットなど制御コマンドに応じた処理が実行される。
【0045】
実印刷使用量計測部309は、印刷バッファ305に記憶された印刷データまたはその印刷データを基に生成されたドットパターンデータに基づき、印刷ヘッド247から吐出されるインク量をドット単位で色毎にショット数としてカウントする。印刷ヘッド247から吐出されるインクは、小ドット、中ドット、大ドットによりインク使用量が異なるため、ドットサイズ(小ドット、中ドット、大ドット)別のインク使用量テーブルを用意しておき、各々のドットサイズ毎にショット数をカウントして、各ドットサイズのショット数と各ドットサイズのインク量の積算値から、その印刷に用いられるインク使用量(全色について合計した値)を決定する。また、実印刷使用量計測部309は、RTC249の計時結果に基づいて、月初めから月末までの1ヶ月分の累計インク使用量を計測する。つまり、月初めの最初の印刷時には、ショット数のカウント結果に基づくインク使用量を情報記憶部312に記憶し、2回目の印刷からは、ショット数のカウント結果に基づくインク使用量をそれまでの累計インク使用量に加算することにより、実印刷使用量PVを更新していく。
【0046】
なお、実印刷使用量計測部309は、ロール紙11への印刷に伴う印刷ヘッド247からのインク吐出に対応するインク量をドット単位で色毎にショット数としてカウントするものであり、例えば、フラッシング動作により印刷ヘッド247から吐出されたインクや、図示せぬインク吸引手段により印刷ヘッド247から吸引されたインク、目詰まり回復動作またはインク充填動作より使用されたインクなど、インクが印刷ヘッド247から吐出可能にするため使用されたインク量については、インク使用量のカウントを行わない。また、インクカートリッジ20がインクエンドとなった場合でも、インクカートリッジ20内にインクが残存している場合もあるが、この残存インクについてカウントを行うような処理は行わない。あくまで、インクが実際にロール紙11上に吐出され印刷に使用された場合のみを計測するように構成されている。
【0047】
インク残量解析部310は、インクカートリッジ20内のインク残量を色毎に計算して求めるものである。インクカートリッジ20の記憶素子27には、そのインクカートリッジ20内のインク残量の値が色毎に記憶されている。新規に装着したときを所定の初期値を基準として、印刷に使用されたインク量(上記実印刷使用量計測部309の測定結果に基づく)とメンテナンスに使用されたインク量を差し引いて、現時点でのインク残量を求める。インク残量は、印刷動作やフラッシング動作などの場合は、ショット数から使用インク量を換算し、吸引動作の場合は、予め定められた所定のインク量を使用インク量とする。なお、インク残量は、初期値に対する比率の値としてもよい。求められたインク残量は、所定のタイミング(例えば、印刷実行時ごと)に情報記憶部312に記憶されると共に、カートリッジ制御部311を介してインクカートリッジ20の記憶素子27に記憶される。
【0048】
このように、実印刷使用量計測部309によるインク使用量の測定は、課金料金の算出のためのみならず、インク残量管理の観点からも重要な機能である。つまり、プリンター240にRTC249を備えるだけで、所定期間L1における実印刷使用量PV、総インク使用量(実印刷使用量PV+メンテナンス使用量)、インク残量を算出し、管理することができる。
【0049】
カートリッジ制御部311は、プリンター240に装着されたインクカートリッジ20の記憶素子27からの情報の読み出しおよび記憶素子27への情報の書き込みを制御する制御部である。このカートリッジ制御部311の各種処理については、インクカートリッジ20のID読み取りと関連させて、後述する。情報記憶部312は、プリンター240の各種情報を記憶するための領域であり、例えばフラッシュROM242内の所定の領域に形成される。
【0050】
図7は、情報記憶部312におけるインクカートリッジID記憶領域の模式図である。情報記憶部312には、プリンター240を他のプリンターと識別するためのプリンターシリアル番号を記憶するプリンターシリアル番号記憶領域312a、現在装着されているインクカートリッジ20のインク残量値を記憶するインク残量値記憶領域312b、実印刷使用量計測部309によって計測された実印刷使用量PVを記憶する実印刷使用量記憶領域312c、新規装着されたインクカートリッジのIDと、インクエンドとなり交換された前インクカートリッジのIDを記憶するインクカートリッジID記憶領域312dが設けられている。
【0051】
インクカートリッジID記憶領域312dには、新規装着されたインクカートリッジIDとインクエンドとなったインクカートリッジIDとが区別して記憶されており、所定の数のインクカートリッジIDを記憶可能に構成されている。所定の数を超えて、インクカートリッジIDが書き込まれようとすると、何らかの問題があったことが考えられるため、エラーとする。なお、これらのインクカートリッジIDは、インクカートリッジ20が確実にプリンター240に装着されたか、そしてそのインクカートリッジ20が継続的にインクエンドとなるまで使用されたかどうかを示すものであり、課金ステータス情報として、店舗内サーバー230およびメインサーバー210を介し、最終的にメーカーサーバー110に送信される。また、各インクカートリッジIDは、RTC249の計時結果に基づいて、新規装着された日時またはインクエンドとなった日時を示す情報が付加される。これにより、プリンターメーカー100では、X社向けに出荷されたインクカートリッジの状況を把握することができる。
【0052】
送信情報生成送信部313は、店舗内サーバー220からの課金ステータス送信要求コマンドに応じて、プリンター240の情報記憶部312に記憶された課金に関わる情報(以下、課金ステータス)を収集して課金ステータス情報を生成し、店舗内サーバー220に返信する。ここで、課金ステータス情報とは、プリンターのプリンターシリアル番号、実印刷使用量PV、インク残量値、新規装着されたインクカートリッジID、インクエンドのインクカートリッジIDを含む。送信情報生成送信部313は、課金ステータス送信要求に対して、これらの情報を一つにまとめるとともに、この情報の信頼性を向上させるためにチェックサムを付加して課金ステータス情報とする。生成された課金ステータス情報は、送信部314を介して店舗内サーバー220に送信される。
【0053】
吐出検出部316は、印刷部307による所定量分の印刷を終了するごとに、各ノズルについてインク吐出の有無を検出する。「所定量」とは、クーポンの印刷枚数、印刷時間、吐出回数(全ノズルまたはノズル列ごとの吐出回数)などに応じて定まる。吐出検査方法としては、印刷ヘッド247のノズル面に対して不図示のヘッドキャップを対面させ、この状態で複数の吐出ノズルから帯電したインクを選択的に吐出させる。そして、吐出された帯電インクがヘッドキャップの吸収材に着弾したときに発生する電流の変化をすることにより吐出の有無を判断する。
【0054】
メンテナンス部317は、吐出検出部316の検出結果に応じて、クリーニング動作など各種メンテナンスを行う。例えば、吐出検出部316の検出結果から、所定数を超える吐出ノズルに対して吐出「無」と判定された場合、クリーニングを行う。また、メンテナンス部317は、温度、気圧、湿度等の環境条件に応じて、メンテナンスを行う。例えば、温度(環境温度)が高い場合には、印刷ヘッド247内に吐出不良の原因となる気泡が発生および成長する可能性が高いことを考慮して、頻繁にクリーニングを行い(上記吐出検出部316による検出周期(所定量の値)を短くする)、環境温度が低い場合には、吐出ヘッド内に気泡が発生および成長する可能性が低いことを考慮して、クリーニング回数を減らす(上記吐出検出部316による検出周期を長くする)ことが考えられる。なお、温度を測定するための温度計は、プリンター240内における印刷ヘッド247付近に設けられることが望ましい。その他、気圧計や湿度計を備え、これらの測定結果に応じて、上記吐出検出部316による検出周期を可変しても良い。また、検出周期を可変するのではなく、環境条件に応じて、クリーニング方法を可変したり、インク吸引量を可変したり、ワイピング回数を増やしたりすることが考えられる。
【0055】
実印刷使用量監視部318は、実印刷使用量計測部309の計測結果に基づき、月途中の所定のタイミング(例えば、毎月15日など)における実印刷使用量PVを監視する。また、警告部319は、実印刷使用量監視部318により監視した所定のタイミングの実印刷使用量PVが所定量V0(但し、所定量V0は、課金料金を算出する際のしきい値となる所定量V1以下の値となる)以下の場合に、LEDランプ6の点灯または点滅により警告を行う。これにより、Y社では印刷量の少ないプリンター240を把握でき、プリンター240の印刷量を平準化するための措置(プリンター240を入れ替えるなど)を行うことができる。なお、LEDランプ6の点灯または点滅に代えて、電子音の発生またはディスプレイ表示等によって警告を行っても良い。
【0056】
(店舗内サーバーの機能)
図6に示すように、店舗内サーバー220では、クーポンの印刷および課金ステータス取得に関わる機能として、送受信部321と、クーポン画像記憶部322と、クーポン選択部323と、課金ステータス取得部325と、課金ステータス記憶部326と、を備えている。
【0057】
送受信部321は、メインサーバー210およびプリンター240と通信を行う。クーポン画像記憶部322は、複数種類のクーポンを印刷するための画像データを記憶している。クーポン選択部323は、POS端末における会計処理をトリガーとして商品情報を取得し、当該商品情報に該当する画像データを、クーポン画像記憶部322の中から選択する。選択された画像データは、送受信部321を介してプリンター240に送信され、プリンター240により印刷される。このクーポンを顧客に手渡すことにより、Y社400としては、顧客の再来店(集客効果)が期待できる。
【0058】
課金ステータス取得部325は、プリンター240に対して課金ステータスを送信するよう要求するAPIであり、図示せぬ上位のアプリケーションプログラムからの指示に応じて、送受信部321を介してプリンター240に課金ステータス送信要求コマンドを送信する。本実施形態では、1ヶ月に一度(例えば、月初めに)送信する。課金ステータス送信要求コマンドの送信後、プリンター240から課金ステータス情報を受信すると、課金ステータス情報の受信確認をプリンター240に送信すると共に、受信した課金ステータス情報を課金ステータス記憶部326に記憶する。
【0059】
ここで、課金ステータス取得部325は、データ毎にチェックサムなど信頼性保証値を課金ステータス情報に付与する。この信頼性保証値は、パッケージデータ内部のデータを保証するためのデータであり、例えば全データの2進数表示の和を求める等の操作により求められる。この信頼性保証値を用いることにより、その後の処理で値が変更されたかどうか、またその後の送受信において正しく送受信が為されたかどうかを検証することができ、値が異なっていた場合、再送やエラー処理などを指示する。すなわち、課金ステータス取得部325は、課金ステータス情報に信頼性保証値を付加することによって、改ざん防止を図るとともに、エラーの有無を検出可能としてデータの信頼性を向上する。なお、課金ステータス情報への信頼性保証値の付加は、店舗内サーバー220内において、課金ステータス取得部325が行うとして説明したが、これに限らず、プリンター240内で、例えば、送信情報生成送信部313が課金ステータス情報に信頼性保証値を付加し、信頼性保証値付きの課金ステータス情報を店舗内サーバー220に送信する構成としてもよい。
【0060】
(メインサーバーの機能)
図8は、メーカーサーバー110とメインサーバー210の内部処理を示した機能ブロック図である。メインサーバー210は、クーポンの印刷および課金ステータスの授受に関わる機能として、送受信部331と、クーポン画像データベース332と、クーポン発券情報記憶部333と、課金ステータス収集部334と、課金料金記憶部335と、を備えている。
【0061】
送受信部331は、店舗内サーバー220およびメーカーサーバー110と通信を行う。クーポン画像データベース332は、複数種類のクーポンについて、その画像データと、関連する商品の商品情報とを紐付けて記憶している。クーポン画像データベース332内のデータは、各店舗内サーバー220に送信される。クーポン発券情報記憶部333は、プリンター240によって発券されたクーポンの種類や枚数等の情報を、各店舗内サーバー220から収集して記憶する。課金ステータス収集部334は、各店舗内サーバー220から、課金ステータス情報を収集する。収集した課金ステータス情報は、毎月、メーカーサーバー110に送信される。課金料金記憶部335は、メーカーサーバー110から通知された課金料金(各プリンター240の1ヵ月分の課金料金)を記憶する。
【0062】
(メーカーサーバーの機能)
メーカーサーバー110は、課金料金の算出に関わる機能として、送受信部341と、課金ステータス取得部342(実印刷使用量取得部)と、実印刷使用量判別部343と、課金料金算出部344と、課金料金通知部345と、を備えている。
【0063】
送受信部331は、メインサーバー210と通信を行う。課金ステータス取得部342(実印刷使用量取得部)は、各プリンター240の課金ステータス情報を取得する。ここでは、1ヶ月に一度(例えば、月初め)、前月1ヶ月の間、メンテナンス以外の実印刷に用いられた実印刷使用量PVをプリンター240ごとに(プリンターシリアル番号ごとに)取得する。実印刷使用量判別部343は、各プリンター240の実印刷使用量PVが所定量V1以下であるか否かを判別する。
【0064】
課金料金算出部344は、実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合、固定料金である第1の課金料金とし、実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合、実印刷使用量PVに応じて増加する第2の課金料金として、課金料金を算出する。ここで、「第1の課金料金」は、所定量V1と、所定期間L1内のメンテナンスに用いられるインク使用量であるメンテナンス使用量MVとの合計値に基づく料金である。なお、課金料金算出方法の詳細については後述する。課金料金通知部345は、メインサーバー210に対し、その管理下にある全プリンター240に対する課金料金を通知する。なお、全プリンター240に対する課金料金を合計し、請求額としてメインサーバー210に通知しても良い。
【0065】
(プリンターによるインクカートリッジのID読取1:カートリッジ装着時)
図9は、電源オン時またはインクカートリッジ20の装着時の処理を示すフローチャートである。カートリッジ制御部311は、プリンター240に新たなインクカートリッジ20が装着されると、そのインクカートリッジ20の記憶素子27からインクカートリッジのIDを読み出す。具体的には、まずプリンター240の電源が投入された場合、またはカバー開閉センサー248により装着部開閉カバー7が閉じられたことが検出された場合(S1:Yes)、インクカートリッジのIDおよびインク残量値を読み出して(S2)、情報記憶部312に記憶されているIDと一致しているかどうかチェックする(S3)。ここで、二つのIDが一致している場合は(S3:Yes)、続いて、情報記憶部312に記憶されている残量値と読み出したインク残量値が一致しているかどうかチェックする(S4)。ここで、二つのインク残量値が一致していれば、現在装着されているインクカートリッジ20は、電源投入前またはインクカートリッジ装着前と同一であると判断して終了する。
【0066】
一方、IDが一致しない場合(S3:No)およびインク残量値が一致しない場合(S4:No)は、現在装着されているインクカートリッジ20は、電源投入前またはインクカートリッジ装着前とは異なるインクカートリッジ20が挿入されていることとなり、カートリッジ制御部311は、読み出したインクカートリッジIDを記憶する(S5)。その後、カートリッジ制御部311は、装着されているインクカートリッジ20の記憶素子27からインク残量値を読み出し、読み出したインク残量値に基づいて、情報記憶部312のインク残量値記憶領域312bを更新する(S6)。なお、カートリッジ制御部311は、このとき同時に、インクカートリッジ20の記憶素子27内に設定された取付回数カウンターを一つ繰り上げる。この操作により、インクカートリッジ20が何回プリンターに装着されたかについてインクカートリッジ20内に情報が更新されていく。
【0067】
(プリンターによるインクカートリッジのID読取2:インクエンド時)
図10は、インクエンド時の処理を示すフローチャートである。本実施形態では、インク残量解析部310によって、インクエンドの判定が行われる。インク残量解析部310は、インクカートリッジ20内のインク残量を色毎に計算してインク残量値を求めるが、このインク残量値が少なくとも一つの色について所定値以下となった場合、インクエンドであると判定する。まず、インク残量解析部310は、インク残量値が少なくとも一つの色について所定値以下となったかどうかを監視する(S11)。この所定値は、インク残量解析部310のインク残量値と実際のインク残量値との間の誤差を考慮し、物理的なインクエンド(インクカートリッジ20内のインク量が0)ではなく、例えばインクカートリッジ20内の実際のインク残量値が数パーセントとなったらインクエンドと判定するような値に設定しておく。このような設定により、実際にインクが無くなる前にインクエンドとなるため、印刷ヘッド247によるインクの空打ちを防止し、印刷ヘッド247内への空気の流入を避けることができる。
【0068】
そして、インク残量値が少なくとも一つの色について所定値以下となると(S11:Yes)、プリンター240は、送信情報生成送信部313を介して店舗内サーバー220にインクエンドを通知するとともに、プリンター240外表面のLEDランプ6を点滅させて、ユーザにインクカートリッジ20の交換を促す(S12)。また、カートリッジ制御部311は、インクカートリッジ20の記憶素子27内のインクカートリッジIDを読み出し、読み出したインクカートリッジIDを情報記憶部312のインクカートリッジID記憶領域312dにインクエンドとなったインクカートリッジIDとして記憶する(S13)。
【0069】
インクエンドとなると、店舗内サーバー220は、インクカートリッジが交換されるまでそのプリンター240を用いた印刷を禁止する。その後、ユーザがインクカートリッジを交換すると、図9に示したシーケンスが動作し、新たなインクカートリッジ20がプリンター240に認識され、そのインクカートリッジ20がインクエンドで無ければ、印刷が再開される。このように、本実施形態では、新たに装着されたインクカートリッジ20のインクカートリッジIDと、インクエンドとなったインクカートリッジIDがプリンター240内に情報として記憶される。これらのインクカートリッジIDは、次に説明する処理により、店舗内サーバー220に集められ、最終的にはメーカーサーバー110に通知される。以下では、このインクカートリッジIDの収集処理について説明する。
【0070】
(プリンターからの課金ステータスの収集)
図10は、課金ステータスの収集を示すフローチャートである。まず、各プリンター240は、実印刷使用量計測部309により実印刷使用量PVを計測したり、インク残量解析部310およびカートリッジ制御部311により、装着されたインクカートリッジ20およびインクエンドとなったインクカートリッジ20のインクカートリッジIDを収集したりすることにより、課金ステータスを収集する(S21)。一方、店舗内サーバー220は、店舗内の全てのプリンター240に対して課金ステータス送信要求を送信する(S31)。各プリンター240は、課金ステータス送信要求を受信すると(S22)、情報記憶部312に記憶された課金ステータスにチェックサムを付加して課金ステータス情報を生成する(S23)。そして、送信情報生成送信部313は、生成した課金ステータス情報を店舗内サーバー220に送信する(S24)。
【0071】
その後、店舗内サーバー220は、プリンター240から課金ステータス情報を受信すると(S32)、受信した課金ステータス情報にデータの信頼性保持のための信頼性保証値を付加して保存する(S33)と共に、課金ステータス情報の受信確認をプリンター240に送信する(S34)。プリンター240は、課金ステータス情報の受信確認を受信すると(S25)、情報記憶部312をリセットする(S26)。その後、プリンター240の動作としては、再度S21に戻り、課金ステータスを収集し、S22〜S26を繰り返す。
【0072】
また、メインサーバー210は、店舗内サーバー220によるプリンター240からの課金ステータス情報取得後の所定のタイミングで、課金ステータス情報の送信を要求する課金ステータス情報送信要求を全ての店舗内サーバー220に送信する(S41)。店舗内サーバー220は、課金ステータス情報送信要求を受信すると(S35)、メインサーバー210に対して課金ステータス情報を送信する(S36)。そして、メインサーバー210は、店舗内サーバー220から課金ステータス情報を受信すると(S42)、その課金ステータス情報を保存しておく。これにより、プリンター240の故障やプリンター240の電源オフといった特殊事情を除きプリンター240が正しく動作している限りにおいて、全てのプリンター240の課金ステータス情報がメインサーバー210に収集される。そして、メインサーバー210は、収集した全プリンター240の課金ステータス情報を、メーカーサーバー110に送信する(S43)。このとき、メーカーサーバー110からのリクエストに応じて送信しても良いし、メインサーバー210が自発的に送信しても良い。
【0073】
上記した課金ステータス情報の収集モデルでは、店舗内サーバー220において課金ステータス情報に信頼性保証値が自動的に付加されているので、メインサーバー210およびメーカーサーバー110への送信時にデータの一部が壊れても、その正当性を保証することができる。また、万が一悪意によりデータの改ざんを行おうとしても信頼性保証値と課金ステータス情報の内容とが一致しなくなるため、改ざんの有無を発見し適切に対処することができる。
【0074】
(メーカーサーバーでの課金料金算出)
図12は、実印刷使用量PVと課金料金Yとの関係を示すイメージ図である。縦軸Yは、1ヶ月間の課金料金Yを表し、横軸Xは、1ヶ月間の実印刷使用量PVであり、印刷に使用したインク使用量を表している。上記の通り、メーカーサーバー110(課金料金算出部344)は、プリンター240ごとに計測された実印刷使用量PVが、予め定められた所定量V1以下であるか否かに応じて、異なる課金料金算出アルゴリズムを用いる。図12では、実印刷使用量PVと課金料金Yとの関係を太線で示している。同図に示すように、実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合は、固定料金である第1の課金料金とする。また、実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合は、実印刷使用量PVに応じて増加する第2の課金料金とする。なお、同図において、点線で示す直線(Y=C2×PV)は、インクカートリッジ20を購入した場合における、実印刷使用量PVと料金(価格)Yとの関係を示している。但し、計算式「Y=C2×PV」(但し、C2>0)において、「係数C2」は、インクカートリッジ20を購入した場合のインク単価を示すものであるが、実際は、プリンター稼動に伴ってメンテナンスにインクが消費されるため、実印刷使用量PVと料金(価格)Yは、単純な比例関係で表すことができない。しかし、あくまでも実印刷使用量PVに対する料金(経費)の関係を点線で示すことで、実線にて表した実印刷使用量PVと課金料金Yとの関係を示すイメージ図と比較するための目安として、補助的に用いている。
【0075】
以下、図13の説明図を参照し、第1の課金料金および第2の課金料金の算出方法について具体的に説明する。なお、同図に示す数値は、いずれも、説明上分かり易い数値を割り当てたものであり正確な値ではない。図13(a)に示すように、1ヶ月(所定期間L1)あたりのメンテナンス使用量MV(インク消費を伴うメンテナンスに用いられるインク使用量)は、プリンター240の仕様及びプリンター240に搭載されているメンテナンスのアルゴリズムから推測可能であり、ここでは、一例として5ccと定める。これは、実印刷使用量PVに関わらず必要となるインク使用量である。なお、インクを目詰まりさせないようにするためのメンテナンスのアルゴリズムは、プリンターユーザ(顧客)の使い方によって変動する。また、設定によりアルゴリズムを変動させることが可能である。つまり、プリンター240におけるユーザの使い方よって変動するメンテナンスのアルゴリズムパターン、若しくはプリンター240または店舗内サーバー230に設定されたアルゴリズムパターンを、メーカーサーバー110が取得し、取得したアルゴリズムパターンによって1ヶ月(所定期間L1)あたりのメンテナンス使用量MVの推測量を可変させても良い。総インク使用量(実印刷使用量PV+メンテナンス使用量MV)に占めるメンテナンス使用量MVの比率は、平均的なプリンターの使用頻度を考慮し、ここでは、1つの例として、総インク使用量に占めるメンテナンス使用量MVの比率を25%と定める。この比率が高い場合は、インクジェットプリンターを用いた課金ビジネスは成り立たなくなる。
【0076】
図13(b)は、1ヶ月あたりの総インク使用量を示す計算式である。上述のようにメンテナンス使用量MVを5cc、総インク使用量に占めるメンテナンス使用量MVの比率を25%とすると、1ヶ月あたりの総インク使用量は、5cc(メンテナンス使用量MV)÷25%(メンテナンス使用量MVの総インク使用量に占める比率)=20ccと算出される。図13(c)は、所定量V1を示す計算式である。所定量V1は、1ヶ月あたりの総インク使用量20ccから5ccを差し引いて、15ccと算出される。
【0077】
図13(d)は、第1の課金料金を算出する計算式である。インク1ccあたりの標準価格を100円とすると、1ヶ月あたりの総インク使用量が20ccであるから、第1の課金料金は、インク1ccあたりの標準価格と1ヶ月あたりの総インク使用量の積算値である2,000円と算出できる。つまり、実印刷使用量PVが所定量V1(この場合、15cc)となるまでは、実印刷使用量PVに基づいて課金料金Yを算出するのではなく、固定料金として課金料金Yを算出することで、プリンター240の実印刷使用量PVが少ない場合でも、プリンターメーカー100にとってのビジネスモデルを成り立たせることができるのである。
【0078】
図13(d)は、第2の課金料金を算出するための計算式を示している。第2の課金料金は、計算式「Y=C1×(V2−V1)+B」(但し、0<C1<C2)によって算出される。ここで、「係数C1」は、本ビジネスモデルを適用した場合のインク1ccあたりの価格(割引価格)、例えば60円を示し、「定数B」は、第1の課金料金(2,000円)を示す。この計算式により、例えば実印刷使用量PVがV2(30cc)の場合、課金料金Yは2,900円と算出できる。このように、第2の課金料金は、所定量V1を超えたインクの実印刷使用量(V2―V1)と係数C1の積算値に、固定料金を加算することによって算出される。
【0079】
なお、上記に示した係数や定数の値は、適宜変更可能である。例えば、C1の値を大きくし(但し、C1<C2を満たす範囲で)、第2の課金料金を、計算式「Y=C1×PV」によって算出しても良い。例えば、C1=90円に設定すると、実印刷使用量PVがV2(30cc)の場合の課金料金Yは90円×30cc=2,700円と算出できる。この構成によれば、第2の課金料金を単純化できるため、顧客(X社200)にとって分かり易い料金体系とすることができる。
【0080】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、実印刷使用量PVが予め定められた所定量V1以下である場合、すなわち印刷量が少ないプリンター240については、メンテナンス使用量MVを考慮した第1の課金料金とするため、課金料金を請求するプリンターメーカー100にとっては、全体的なインク消費量に対して請求額が少なくなることによってビジネスモデルが成り立たなくなるといった問題を解消できる。一方、実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合、すなわち印刷量が多いプリンター240については、実印刷使用量PVのみに応じて増加する第2の課金料金とするため(メンテナンス使用量MVは課金料金に反映されないため)、課金料金を請求されるX社200側も納得できる料金設定となる。このように、印刷量に関係なく、課金料金を請求する側とされる側の両者にとって不利益のないビジネスモデルを実現することで、顧客の窓口を広げることができ、プリンター課金システムSYの展開が期待できる。
【0081】
(課金料金算出方法の変形例)
以下、課金料金算出方法の各種変形例について説明する。例えば、第1の課金料金を、前月(前回の所定期間L1)の実印刷使用量PVに応じて可変しても良い。この場合、メーカーサーバー110内に過去の実印刷使用量PVを記憶しておくためのメモリが必要である。図14(a)は、しきい値を20ccとし、前月の実印刷使用量PVが20cc以上の場合、調整金額を減額し(−200円)、第1の課金料金を、2,000円(基本の固定料金)から200円差し引いた額とした例を示している。一方、図14(b)に示すように、前月(前回の所定期間L1)の実印刷使用量PVに応じて、「係数C1」の値を可変しても良い。同図は、しきい値を40ccとし、前月の実印刷使用量PVが40cc以上の場合、「係数C1」を減額した(基本のインク単価C1から10円差し引いた)例を示している。
【0082】
図14(a),(b)に示したように、前月分の実印刷使用量PVに応じて第1の課金料金(固定料金)や「係数C1」の値を可変することで、印刷量の多い顧客に対して割引を行うなどのサービスを実現できる。なお、上記の例では、前月分の実印刷使用量PVとしきい値とを比較したが、2ヶ月前の実印刷使用量、過去1年分の累計実印刷使用量など、過去における所定の期間における実印刷使用量としきい値とを比較し、その比較結果に応じて、第1の課金料金や「係数C1」を可変しても良い。また、過去の平均実印刷使用量に応じて、第1の課金料金や「係数C1」を可変しても良い。
【0083】
また、上記の実施形態では、課金ステータス情報に実印刷使用量PVを含める構成としたが、メンテナンス使用量MVを含める構成としても良い。この場合、各プリンター240において、所定期間L1内にメンテナンスに用いられたインク使用量をカウントし、これをメンテナンス使用量MVとして情報記憶部312に記録しておく。また、メンテナンス使用量MVは、課金ステータス情報の一部としてメーカーサーバー110に収集される。メーカーサーバー110は、過去のメンテナンス使用量MVを所定のメモリ内に記憶しておく。その上で、第1の課金料金や「係数C1」を、過去の所定の期間におけるメンテナンス使用量MVに応じて可変しても良い。また、第1の課金料金や「係数C1」を、過去の総インク使用量(実印刷使用量PV+メンテナンス使用量MV)に応じて可変しても良い。また、第1の課金料金や「係数C1」を、過去の同一期間における実印刷使用量PVとメンテナンス使用量MVの比率に応じて可変しても良い。さらに、第1の課金料金や「係数C1」を、その月(課金料金の算出対象となる所定期間L1)の実印刷使用量PV、メンテナンス使用量MV、総インク使用量、実印刷使用量PVとメンテナンス使用量MVの比率、に応じて可変しても良い。
【0084】
また、上記の実施形態では、プリンター240ごとに実印刷使用量PVの判別を行ったが、店舗410ごとに行っても良い。つまり、メーカーサーバー110は、その店舗410内の複数のプリンター240による合計実印刷使用量PVを算出し、当該合計実印刷使用量PVに応じて課金料金を算出しても良い。また、Y社400の管轄下店舗内にある全てのプリンター240、またはメインサーバー210で管理される全てのプリンター240による合計実印刷使用量PVを算出し、当該合計実印刷使用量PVに応じて課金料金を算出する構成としても良い。
【0085】
また、上記の実施形態では、第1の課金料金を固定料金としたが、所定期間L1内の実印刷使用量PVと、所定期間L1内のメンテナンス使用量MVとの合計値に基づいて、第1の課金料金を算出しても良い。つまり、実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合は、実印刷使用量PVおよびメンテナンス使用量MVをパラメーターとした計算式により第1の課金料金を算出し、実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合は、実印刷使用量PVのみをパラメーターとした計算式により第2の課金料金を算出しても良い。この場合、実印刷使用量PVが0(ゼロ)の場合と、所定量V1の場合とでは異なる第1の課金料金となるが、実際に消費されたインク使用量に基づく料金であるため、プリンターメーカー100側に不利益がない。また、更なる変形例として、メンテナンス使用量MVのみをパラメーターとした計算式に、所定量V1に基づく固定料金(所定量V1とインク単価の積算値=1,500円)を加算して、第1の課金料金を算出しても良い。
【0086】
また、上記の実施形態では、第1の課金料金と第2の課金料金の適用をしきい値V1(所定量V1)に応じて区別したが、メンテナンス使用量MVに対する実印刷使用量PVの割合が所定割合以上であるか否かに応じて、第1の課金料金と第2の課金料金の適用を区別しても良い。若しくは、総インク使用量(実印刷使用量PV+メンテナンス使用量MV)に対する実印刷使用量PVの割合が所定割合以上であるか否かに応じて、第1の課金料金と第2の課金料金の適用を区別しても良い。
【0087】
また、上記の実施形態において、実印刷使用量判別部343は、実印刷使用量PVが所定量V1以下であるか否かを判別したが、クーポンの印刷枚数が所定枚数以下であるか否かを判別しても良い。この構成によれば、X社200(顧客)は、第2の課金料金が適用されるしきい値を、枚数によって把握できる。
【0088】
(その他の変形例)
以下、課金料金算出方法以外に関する変形例について説明する。上記の実施形態において、実印刷使用量計測部309は、印刷バッファ305に記憶された印刷データまたはドットパターンデータに基づいて、印刷ヘッド247から吐出されるインク量をドット単位でカウントするものとしたが、吐出検出部316の検出結果に基づいて、印刷ヘッド247から実際に吐出されたインク吐出回数をカウントしても良い。この構成によれば、ノズルの目詰まりなどでインクが吐出されなかった場合、その分を実印刷使用量PVから差し引くことができる。つまり、より正確な実印刷使用量PVを計測できる。
【0089】
また、課金ステータス情報には、全色分を合計した実印刷使用量PVが含まれるものとしたが、実印刷使用量PVを色別に測定しても良い。この場合、課金料金算出部344は、色別のインク単価と各色の実印刷使用量PVに基づいて、第2の課金料金を算出しても良い。
【0090】
また、上記の実施形態では、課金ステータス情報に実印刷使用量PVを含めるのではなく、1ヵ月分の累計ショット数(色別でも良いし、全色合計でも良い)を含めても良い。この場合、店舗内サーバー220、メインサーバー210およびメーカーサーバー110のいずれかにおいて、ショット数からインク使用量に換算する演算処理を行う。
【0091】
また、上記の実施形態において、メインサーバー210は、1ヶ月ごとに課金ステータス情報を収集し、その都度メーカーサーバー110に送信するものとしたが、課金ステータス情報を収集・送信する周期は、1週間や1日など、所定期間L1未満であっても良い。また、メインサーバー210では、1週間ごとに課金ステータス情報を収集し、1か月分をまとめてメーカーサーバー110に送信するなど、収集する周期と送信する周期とは、必ずしも一致しなくても良い。
【0092】
また、上記の実施形態では、多色のインクが共通の1つのインクカートリッジで構成された例で説明したが、色毎に異なるインクカートリッジを用いても良い。また、インクジェットプリンターとインクカートリッジの例として説明したが、他にレーザープリンターやトナーカートリッジでも、本実施形態のショット数の代わりとして、所定通電時間単位とするなどトナー使用量に換算できる値を用いることにより、本実施形態と同様に実施することが可能である。
【0093】
また、上記の実施形態では、実印刷使用量監視部318により監視した所定のタイミングの実印刷使用量PVが所定量V0以下の場合、プリンター240の警告部319によって警告を行うものとしたが、これらをX社200のメインサーバー210で行っても良い。この構成によれば、クーポンの画像データに関連付ける商品情報などを可変することによって、プリンター240の印刷量(実印刷使用量PV)を調整することができる。但し、本変形例の場合、メインサーバー210において、課金ステータス情報を1週間ごと、または半月ごとに収集するなど、課金ステータス情報を収集する周期を所定期間L1以下とする必要がある。また、メーカーサーバー110内に、実印刷使用量監視部318および警告部319を備えても良い。この場合、メーカーサーバー110が課金ステータス情報を取得する周期を所定期間L1以下とする必要がある。また、警告方法としては、プリンター240やメインサーバー210に、警告を示すコマンドを送信したり、X社200宛ての電子メールアドレスに電子メールを送信したりすることが考えられる。
【0094】
また、上記の実施形態では、プリンターメーカー100、X社200、Y社400の3社によるビジネスモデルの展開例を示したが、プリンターメーカー100とY社400など、2社によるビジネスモデルとして展開しても良い。この場合、プリンターメーカー100がY社400に対してインクカートリッジを供給すると共に、課金料金を請求する。
【0095】
また、メーカーサーバー110を省略し、プリンター240内で課金料金の算出処理を行っても良い。この場合、プリンター240内に、上記のメーカーサーバー110における各部(課金ステータス取得部342(実印刷使用量取得部)、実印刷使用量判別部343、課金料金算出部344および課金料金通知部345)を備え、算出した課金料金を、店舗内サーバー220を介してメインサーバー210に通知する。この構成によれば、プリンター課金システムSYのシステム構成を簡素化できる。
【0096】
また、プリンター240の実印刷使用量計測部309を、店舗内サーバー220に備えても良い。この場合、店舗内サーバー220は、プリンター240に送信するクーポンの画像データに基づいて、ショット数を算出し、インク使用量を求める。
【0097】
また、上記に示したプリンター課金システムSY内の各構成要素をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリ等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターをプリンター課金システムSY内の各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0098】
20…インクカートリッジ 100…プリンターメーカー 110…メーカーサーバー 200…X社 210…メインサーバー 220,230…店舗内サーバー 240…プリンター 249…RTC 307…印刷部 309…実印刷使用量計測部 312…情報記憶部 312a…プリンターシリアル番号記憶領域 312b…インク残量値記憶領域 312c…実印刷使用量記憶領域 312d…インクカートリッジID記憶領域 316…吐出検出部 317…メンテナンス部 318…実印刷使用量監視部 319…警告部 342…課金ステータス取得部 343…実印刷使用量判別部 344…課金料金算出部 345…課金料金通知部 400…Y社 410…店舗 SY…プリンター課金システム
【技術分野】
【0001】
インクジェットプリンターの課金料金算出方法、課金料金算出装置およびプリンター課金システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンターのインク使用量に応じて課金する課金方法が知られている。例えば特許文献1には、以下の方法が開示されている。インクジェットプリンターにより、光学式のセンサーを用いてインクタンク内のインク残量を計測し、当該インク残量に基づいてインク使用量を算出する。インクジェットプリンターに接続されたホストコンピュータは、インクジェットプリンターからインク使用量に関するデータを取得し、ネットワークを介してサービスセンターサーバーにインク使用量に関するデータを送信する。また、サービスセンターサーバーは、インク量・課金テーブルを参照して、インク使用量から課金料金を計算し、ユーザに請求を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−36582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的にインクジェットプリンターは、ヘッドまたはインク流路に混入した気泡の排出やインクの凝固防止のため、ヘッドクリーニングやフラッシング(捨て吐出)などのメンテナンスを行う。このため、特許文献1のように、インクタンク内のインク残量に基づいてインク使用量を算出する場合、印刷に用いられるインク使用量(以下、「実印刷使用量」と称する)だけでなく、メンテナンスに用いられるメンテナンス使用量も含めて課金料金が算出されることとなる。つまり、料金を請求される側の顧客にとっては、実質的な印刷以外に用いられたインク使用量についても料金を支払うこととなり、不満が生じてしまう。
【0005】
そこで、実印刷使用量のみに基づいて課金料金を算出する方法が考えられる。この場合、実印刷使用量を測定し、実印刷使用量とインク単価の積算値に基づいて課金料金を算出する方法が想定される。この方法であれば、顧客とって不利益感がなくなるばかりでなく、印刷量に応じて課金料金が明確となるため、予算が立てやすいといったメリットもある。ところが、上記の通りインクジェットプリンターは、メンテナンスが必要であるため、印刷を行わない場合にもインクが消費される。このため、料金を請求する側にとっては、印刷量の少ない顧客の場合、実印刷使用量よりもメンテナンス使用量の割合が高くなるため、インク消費量に対して請求額が少なくなり、ビジネスモデルとして成り立たないといった問題がある。したがって、実印刷使用量のみに基づいて課金料金を算出するビジネスモデルの適用は、印刷量の多い大手顧客のみに限定するしかなく、印刷量の少ない顧客は、現状、当該ビジネスモデルの適用外とならざるを得なかった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑み、課金料金を請求する側、される側の両者にとって不利益のないビジネスモデルを実現するためのインクジェットプリンターの課金料金算出方法、課金料金算出装置およびプリンター課金システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課金料金算出方法は、インク消費を伴うメンテナンスを実行するインクジェットプリンターの課金料金算出方法であって、所定期間L1内にメンテナンス以外の実印刷に用いられたインク使用量である実印刷使用量PVを取得する実印刷使用量取得ステップと、実印刷使用量PVが所定量V1以下であるか否かを判別する実印刷使用量判別ステップと、実印刷使用量PVに応じて課金料金を算出する課金料金算出ステップと、を備え、課金料金算出ステップは、実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合、固定料金である第1の課金料金とし、実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合、実印刷使用量PVに応じて増加する第2の課金料金として、課金料金を算出することを特徴とする。
【0008】
本発明の課金料金算出装置は、インク消費を伴うメンテナンスを実行するインクジェットプリンターの課金料金算出装置であって、所定期間L1内にメンテナンス以外の実印刷に用いられたインク使用量である実印刷使用量PVを取得する実印刷使用量取得部と、実印刷使用量PVが所定量V1以下であるか否かを判別する実印刷使用量判別部と、実印刷使用量PVに応じて課金料金を算出する課金料金算出部と、を備え、課金料金算出部は、実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合、固定料金である第1の課金料金とし、実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合、実印刷使用量PVに応じて増加する第2の課金料金として、課金料金を算出することを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合、すなわち印刷量が少ない顧客については、固定料金である第1の課金料金とするため、課金料金を請求する側の不利益を解消できる。つまり、全体的なインク消費量に対して請求額が少なくなることによってビジネスモデルが成り立たなくなるといった問題を解消できる。一方、実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合、すなわち印刷量が多い顧客(インクジェットプリンターのインク使用料金を支払う側)については、実印刷使用量PVに応じて増加する第2の課金料金とするため、顧客に不利益感を与えることがない。つまり、顧客にとっては、実質的な印刷のみに用いられたインク使用量について料金を支払えば良く、予算が立てやすいといったメリットもある。このように、印刷量に関係なく、課金料金を請求する側とされる側の両者にとって不利益のないビジネスモデルを実現することで、顧客を広げることができ、ビジネスモデルの更なる展開が期待できる。
なお、「固定料金」とは、所定期間L1における実印刷使用量PVに応じて変化しない料金であることを意味する。
また、「第2の課金料金」は、実印刷使用量PVをパラメーターとしたアルゴリズムに基づいて算出されれば良く、そのアルゴリズムは、1次関数や2次間数など種類を問わない。
また、「インク消費を伴うメンテナンス」とは、フラッシング(捨て吐出処理)やクリーニング処理におけるインク吸引処理等を指す。また、インクの初期充填処理に用いられるインク使用量についても、実印刷使用量に含めないことが好ましい。
【0010】
上記の課金料金算出方法において、第1の課金料金は、過去の実印刷使用量PVに応じて可変することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、過去の実印刷使用量PVに応じて第1の課金料金(固定料金)を可変することで、例えば印刷量の多い顧客に対して割引を行うなど、顧客メリットを高めることができる。
なお、「過去の実印刷使用量PV」とは、例えば所定期間が1ヶ月の場合、前月分の実印刷使用量、2ヶ月前の実印刷使用量、過去1年分の累計実印刷使用量、課金開始月から前月までの平均実印刷使用量などを指す。
また、メンテナンスに用いられたインク使用量であるメンテナンス使用量を取得する構成とし、第1の課金料金を、過去のメンテナンス使用量に応じて可変しても良いし、過去の総インク使用量(実印刷使用量+メンテナンス使用量)に応じて可変しても良い。また、第1の課金料金を、過去の同一期間における実印刷使用量とメンテナンス使用量の比率に応じて可変しても良い。さらに、第1の課金料金を、その月(課金料金の算出対象となる所定期間)の実印刷使用量、メンテナンス使用量、総インク使用量、実印刷使用量とメンテナンス使用量の比率、に応じて可変しても良い。
【0012】
上記の課金料金算出方法において、第2の課金料金は、実印刷使用量PVと係数C1(但し、C1>0)の積算値に基づいて算出され、係数C1は、過去の実印刷使用量PVに応じて可変することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、過去の実印刷使用量PVに応じて係数C1を可変することで、例えば印刷量の多い顧客に対して割引を行う(係数C1の値を小さくする)など、顧客メリットを高めることができる。
なお、メンテナンスに用いられたインク使用量であるメンテナンス使用量を取得する構成とし、係数C1を、過去のメンテナンス使用量に応じて可変しても良いし、過去の総インク使用量(実印刷使用量+メンテナンス使用量)に応じて可変しても良い。また、係数C1を、過去の同一期間における実印刷使用量とメンテナンス使用量の比率に応じて可変しても良い。さらに、係数C1を、その月(課金料金の算出対象となる所定期間)の実印刷使用量、メンテナンス使用量、総インク使用量、実印刷使用量とメンテナンス使用量の比率、に応じて可変しても良い。
【0014】
上記の課金料金算出方法において、過去の実印刷使用量PVは、前回の所定期間L1における実印刷使用量PVであることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、前回の所定期間L1における実印刷使用量PVに応じて、第1の課金料金や係数C1の値を可変することができる。
なお、「前回の所定期間L1」とは、例えば所定期間が1ヶ月の場合、前月分の実印刷使用量を指し、所定期間が1年の場合、昨年分の実印刷使用量を指す。
【0016】
上記の課金料金算出方法において、所定期間L1終了前の所定のタイミングにおける実印刷使用量PVを監視する実印刷使用量監視ステップと、所定のタイミングにおける実印刷使用量PVが所定量V0以下の場合(但し、0<V0≦V1)、警告を行う警告ステップと、をさらに備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、所定期間L1終了前の所定のタイミングにおける実印刷使用量PVが所定量V0以下の場合に警告を行うことで、顧客に対し第1の課金料金で課金される可能性があることを通知できる。つまり、第2の課金料金は第1の課金料金と比較して顧客メリットが大きいため、所定期間L1における実印刷使用量PVが所定量V1を満たしていない状況を、顧客に対して知らせることで、顧客側が、実印刷使用量PVを増やして第2の課金料金の適用を受けるといった対策を講じることができる。
なお、警告の方法としては、インクジェットプリンターに、プリンター警告を示すコマンドを送信したり、顧客の電子メールアドレスに電子メールを送信したりすることが考えられる。
【0018】
本発明のプリンター課金システムは、上記の課金料金算出装置と、少なくともインクジェットプリンターを含む印刷システムと、が通信可能に構成されたプリンター課金システムであって、印刷システムは、インク吐出により印刷を行う印刷部と、印刷部によるインク吐出の有無を検出する吐出検出部と、吐出検出部の検出結果に応じて、メンテナンスを行うメンテナンス部と、印刷部の印刷に用いられた実印刷使用量PVを計測する実印刷使用量計測部と、を備え、実印刷使用量取得部は、実印刷使用量計測部の計測結果を取得することを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、インクジェットプリンターを含む印刷システムと、課金料金算出装置とが、離れた場所に設置されたシステム構成において、本発明を適用できる。
なお、「メンテナンス部」は、フラッシング(捨て吐出処理)やインク吸引処理等の「インク消費を伴うメンテナンス」に加え、ワイピング(ヘッドふき取り処理)等のインク吐出を伴わないメンテナンスも実行することが好ましい。
【0020】
上記のプリンター課金システムにおいて、吐出検出部は、印刷部による所定量分の印刷を終了するごとに、インク吐出の有無を検出し、メンテナンス部は、吐出検出部によりインク吐出「無」が検出された場合にメンテナンスを行うことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、効率的且つ確実にインクの吐出不良を防止できる。
なお、吐出検出部は、毎回全てのインク吐出ノズルに対して検出を行うのではなく、所定量分の印刷を終了するごとに、検出対象となるノズル(ノズル列)を切り替えても良い。また、インク吐出「無」が検出された場合は、検出対象となったノズルのみを対象としてメンテナンスを行うことが好ましい。この構成によれば、無駄なインク消費を削減できる。
【0022】
上記のプリンター課金システムにおいて、メンテナンス部は、温度、気圧、湿度のうち1以上の条件を含む環境条件に応じて、メンテナンスを行うことを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、温度、気圧、湿度等の環境条件に応じて、適切なメンテナンスを行うことができる。つまり、温度、気圧、湿度等の環境条件に応じて必要な最低限のメンテナンスを行うことで、無駄なインク消費を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】プリンター課金システムのシステム構成図である。
【図2】二つの前面カバーを閉じた状態のプリンターの外観斜視図である。
【図3】二つの前面カバーを開いた状態のプリンターの外観斜視図である。
【図4】インクカートリッジの外観斜視図である。
【図5】店舗内サーバーとプリンターの制御ブロック図である。
【図6】店舗内サーバーとプリンターの機能ブロック図である。
【図7】情報記憶部の模式図である。
【図8】メーカーサーバーとメインサーバーの機能ブロック図である。
【図9】電源オン時またはカートリッジ装着時の処理を示すフローチャートである。
【図10】インクエンド時の処理を示すフローチャートである。
【図11】課金ステータスの収集処理を示すフローチャートである。
【図12】実印刷使用量と課金料金との関係を示すイメージ図である。
【図13】第1の課金料金および第2の課金料金の算出方法を示す説明図である。
【図14】課金料金算出方法の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る課金料金算出方法、課金料金算出装置およびプリンター課金システムについて説明する。
【0026】
(プリンター課金システム概要)
図1は、プリンター課金システムSYのシステム構成図である。本実施形態に係るプリンター課金システムSYは、プリンターメーカー(インクカートリッジ供給者)100が複数のカラーインクジェット方式のプリンター240を購入したX社(カートリッジ使用者,顧客)200に対してインクカートリッジを提供し、X社200は各プリンター240において印刷に使用したインクの使用量に応じてプリンターメーカー100に対し課金料金を支払うビジネスモデルである。そのシステム構成は、各店舗に設置された複数のプリンター240と、店舗内の各プリンター240と接続された店舗内サーバー220,230と、各店舗の店舗内サーバー220,230と接続されたメインサーバー210と、メインサーバー210と接続されたメーカーサーバー110と、から成る。このうち、メーカーサーバー110は、課金料金算出装置として機能し、その他のメインサーバー210、店舗内サーバー220,230およびプリンター240は、印刷システムとして機能する。
【0027】
本プリンター課金システムSYにおいて、X社200は、例えば商品に関連したクーポン券を発券し、クーポン券の発券量に応じた広告収入を得る会社である。X社200は、他社であるY社400が管理する複数の店舗410〜440に、それぞれ店舗内サーバー220,230と、プリンターメーカー100から購入した複数のプリンター240とを設置する(図1では、図の簡略化のため店舗410,420にのみ、店舗内サーバー220,230とプリンター240を示す)。各プリンター240は、LANにより店舗内サーバー220,230と通信可能に接続される。
【0028】
Y社400は、例えば、スーパーマーケット等の小売店である。プリンター240は、レシート用プリンターとは別体のクーポン発行用プリンターであり、店舗410〜440内の各レジカウンター近辺に設置される。プリンター240は、同一店舗内に配置された店舗内サーバー220,230(以下、「店舗内サーバー220」と記載する)からの指示に応じて、POS端末から入力された商品情報に関するクーポン券等を発券するように構成されており、発券されたクーポン券は、Y社400のPOS端末担当者によって顧客に手渡される。
【0029】
メインサーバー210は、X社200の社内に設置されており、各店舗410〜440内の各店舗内サーバー220とインターネット、電話回線等の公共回線、または専用回線を介して通信可能に接続されている。メインサーバー210は、店舗内サーバー220に対し、プリンター240にて印刷するためのクーポンの画像データを、関連する商品の商品情報と共に送信する。また、店舗内サーバー220から、プリンター240によって発券されたクーポンの種類や枚数等の情報を収集する。
【0030】
本プリンター課金システムSYでは、プリンターメーカー100は、予めX社に対してインクカートリッジを提供しておく。X社200は、そのインクカートリッジをプリンター240に装着し、Y社400のレジカウンターに設置する。POS端末担当者が、商品に貼付されている商品コードを含むバーコードをスキャナで読み取り、当該商品コードに対応した商品情報を店舗内サーバー220に出力する。店舗内サーバー220は、商品情報を取得し、該当するクーポン情報がある場合、プリンター240にクーポンの画像データを送信して発券を行う。そして、各店舗410〜440に設置された各店舗内サーバー220は、接続された各プリンター240からインク使用量に関する情報を定期的に収集し、メインサーバー210に送信する。
【0031】
その後、X社200は、メインサーバー210に集められた各プリンター240のインク使用量に関する情報を、インターネット等を介してメーカーサーバー110に送信する。勿論、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体にインク使用量に関する情報を保存し、プリンターメーカー100に郵送しても良い。そして、メーカーサーバー110は、X社200から提出されたインク使用量に関する情報を集計し、インク使用量に対する課金料金を算出してX社200に請求する。また、本プリンター課金システムSYでは、インクが終了して取り外された空のインクカートリッジ20を、プリンターメーカー100が回収する。プリンターメーカー100は、回収したインクカートリッジ20にインクを再充填して、X社200に提供する。
【0032】
なお、本プリンター課金システムSYでは、クーポン券の発券に関して使用されたインク量に対してのみ課金義務を課すように構成されており、各種メンテナンス動作やインク充填動作(初期充填のためのインク吸引動作を含む)にともなって使用されるインク量に対しては課金が行われない。メンテナンス動作としては、印刷ヘッド247のフラッシング動作、クリーニングによるインク吸引動作、クリーニングによる目詰まり回復動作などが挙げられる。したがって、X社200にとっては、クーポンの発券に際し、直接使用されないインクの費用については意識することなく、インクジェット方式のプリンター240を用いて、表現力の高い高品質なクーポン券を発券することができるというメリットがある。
【0033】
また、課金料金については、所定期間(例えば、1ヶ月)内にクーポン券の発券に関して使用されたインク量(以下、「実印刷使用量PV」と称する)に応じて、決定される。但し、このように実印刷使用量PVに応じて課金を行う場合、印刷量の少ないプリンター240については、クーポン券の発券に関して使用されたインク量よりもメンテナンスに用いられるインク量が多くなるため、プリンターメーカー100にとって、ビジネスモデルとして成り立たなくなってしまう。そこで、印刷量の少ないプリンター240に対しては、ある一定の実印刷使用量PVとなるまで固定料金を請求することで、プリンターメーカー100のビジネスモデルとして成り立つようになる。詳細については、図12以降の図を参照して後述する。
【0034】
(プリンターの構成)
図2は、二つの前面カバーを閉じた状態のプリンター240の外観斜視図であり、図3は、二つの前面カバーを開いた状態のプリンター240の外観斜視図である。両図に示すように、本実施形態のプリンター240は、前面上部パネル2aおよびケースカバー2bから構成されるプリンタケース2の前面に、左側から順に電源スイッチ3、ロール紙カバー5、装着部開閉カバー7が配置されている。また、電源スイッチ3の上方には、プリンター240の状態をユーザに通知する複数のLEDランプ6が設けられている。ロール紙カバー5および装着部開閉カバー7は、下部に設けられた図示せぬヒンジを介していずれも前方に開閉可能に設けられている。
【0035】
ロール紙カバー5を開くと、図3に示すように、ロール紙11を収容した用紙収容部13が開放状態となり、この状態で、ロール紙11の交換が可能になる。一方、装着部開閉カバー7を開くと、カートリッジ装着部15が開放状態になり、カートリッジ装着部15へのインクカートリッジ20の着脱が可能になる。
【0036】
インクカートリッジ20は、カートリッジケース41内にイエロー、シアンおよびマゼンダの3色のカラーインクパックを一つにパッケージングしたものである。本実施形態のプリンター240の場合は、装着部開閉カバー7の開閉動作に連動して、カートリッジ装着部15内のインクカートリッジ20が後述するカートリッジ交換位置からカートリッジ使用位置にスライド移動する。
【0037】
図4は、プリンター240に取り付けられるインクカートリッジ20の外観斜視図である。インクカートリッジ20の背面21aの下部には、二つの位置決め孔26,26が形成されている。インクカートリッジ20は、プリンター240のカートリッジ装着部15に装着されるとき、この位置決め孔26,26に図示せぬ位置決めピンがガイドしながらスライドし、インクカートリッジ20の位置が固定される。また背面21aの中央部には、3つのインク供給口21bが開口しており、このインク供給口21bを介してインクカートリッジ20内の3色のインクがそれぞれプリンター240に供給される。
【0038】
また、位置決め孔26,26の間には、プリンター240で印刷に使用されることなく、メンテナンスで使用された廃インクを回収するための廃インク回収口28が設けられている。この廃インク回収口28を介して廃インクがインクカートリッジ20内に回収される。すなわち、本実施形態のインクカートリッジ20は、インクを供給するインクタンクとしてのみならず、廃インクを蓄える廃インクタンクの役割も兼ねている。
【0039】
また、インクカートリッジ20の一側面21cには、記憶素子27が接続端子27aの表面を露出した状態で埋め込み配置されている。この記憶素子27は、内部にインクカートリッジを識別するインクカートリッジIDを記憶したメモリであり、インク吐出回数等の情報を書き込むため、書き換え可能な不揮発性のメモリで構成されている。プリンター240からの記憶素子27へのデータの読み書きは、露出面に形成された接続端子27aを介して、プリンター240のカートリッジ装着部15側に設けられた図示せぬ接続端子と電気的に接続されることにより実行される。
【0040】
(店舗内サーバーとプリンターとの関係)
図5は、店舗内サーバー220とプリンター240の制御ブロック図である。同図に示すように、店舗内サーバー220は、CPU221と、ROM222と、RAM223と、HDD224と、入力装置225と、通信インタフェース226とを備えている。店舗内サーバー220は、CPU221がHDD224に記憶されたオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行しながら、通信インタフェース226を介してプリンター240に各種コマンドや印刷データを出力することにより、プリンター240を制御する。
【0041】
プリンター240は、CPU241と、フラッシュROM242と、RAM243と、通信インタフェース244と、印刷制御部245と、用紙搬送機構246と、印刷ヘッド247と、カバー開閉センサー248と、RTC(Real Time Clock)249と、カートリッジ装着部15と、を備えている。カバー開閉センサー248は、ロール紙カバー5および装着部開閉カバー7の開閉を検出する。RTC249は、実印刷使用量PVの計測期間(本実施形態では、1ヶ月)を計時するために用いられる。また、カートリッジ装着部15には、インクカートリッジ20が装着される。プリンター240は、CPU241がフラッシュROM242に記憶されたファームウェアを実行しながら、通信インタフェース244を介して店舗内サーバー220と通信を行うことにより印刷データを受信する。そして、印刷制御部245が各種コマンドや印刷データに基づき、用紙搬送機構246を介してロール紙11を搬送しつつ印刷ヘッド247を駆動してロール紙11への印刷を実行し、クーポンを発券する。
【0042】
(プリンターの機能)
図6は、プリンター240の内部処理を示した機能ブロック図である。同図に示すように、プリンター240内には、店舗内サーバー220から送信される各種コマンドや印刷データを受信する受信部301と、受信部301が受信した各種コマンドや印刷データを一時的に保持する受信バッファ302が設けられている。受信バッファ302によって受信されたデータは、コマンド解析部303によって解析され、制御コマンドの場合は制御コマンドバッファ304に、印刷データの場合には印刷バッファにDMA転送等により転送される。
【0043】
印刷バッファ305に一時保存された印刷データは、印刷データ生成部306によってデータ展開処理が行われてデータ変換され、最終的には印刷ヘッド247のノズル列に対応したドットパターンデータが生成されて印刷バッファ305に記憶される。このドットパターンデータは、例えば2ビットの階調データであり、印刷ヘッド247の各ノズルから吐出されるインクが(1)吐出されない、(2)小ドット、(3)中ドット、(4)大ドットのいずれに相当するかを表している。
【0044】
印刷部307は、この印刷バッファ305に記憶されたドットパターンデータを基に印刷ヘッド247を駆動するものであり、ロール紙11上に画像を形成することにより、クーポン券を作成する。一方、制御コマンドバッファ304に一時保存された制御コマンドデータは、主制御部308によって読み出され、用紙カットなど制御コマンドに応じた処理が実行される。
【0045】
実印刷使用量計測部309は、印刷バッファ305に記憶された印刷データまたはその印刷データを基に生成されたドットパターンデータに基づき、印刷ヘッド247から吐出されるインク量をドット単位で色毎にショット数としてカウントする。印刷ヘッド247から吐出されるインクは、小ドット、中ドット、大ドットによりインク使用量が異なるため、ドットサイズ(小ドット、中ドット、大ドット)別のインク使用量テーブルを用意しておき、各々のドットサイズ毎にショット数をカウントして、各ドットサイズのショット数と各ドットサイズのインク量の積算値から、その印刷に用いられるインク使用量(全色について合計した値)を決定する。また、実印刷使用量計測部309は、RTC249の計時結果に基づいて、月初めから月末までの1ヶ月分の累計インク使用量を計測する。つまり、月初めの最初の印刷時には、ショット数のカウント結果に基づくインク使用量を情報記憶部312に記憶し、2回目の印刷からは、ショット数のカウント結果に基づくインク使用量をそれまでの累計インク使用量に加算することにより、実印刷使用量PVを更新していく。
【0046】
なお、実印刷使用量計測部309は、ロール紙11への印刷に伴う印刷ヘッド247からのインク吐出に対応するインク量をドット単位で色毎にショット数としてカウントするものであり、例えば、フラッシング動作により印刷ヘッド247から吐出されたインクや、図示せぬインク吸引手段により印刷ヘッド247から吸引されたインク、目詰まり回復動作またはインク充填動作より使用されたインクなど、インクが印刷ヘッド247から吐出可能にするため使用されたインク量については、インク使用量のカウントを行わない。また、インクカートリッジ20がインクエンドとなった場合でも、インクカートリッジ20内にインクが残存している場合もあるが、この残存インクについてカウントを行うような処理は行わない。あくまで、インクが実際にロール紙11上に吐出され印刷に使用された場合のみを計測するように構成されている。
【0047】
インク残量解析部310は、インクカートリッジ20内のインク残量を色毎に計算して求めるものである。インクカートリッジ20の記憶素子27には、そのインクカートリッジ20内のインク残量の値が色毎に記憶されている。新規に装着したときを所定の初期値を基準として、印刷に使用されたインク量(上記実印刷使用量計測部309の測定結果に基づく)とメンテナンスに使用されたインク量を差し引いて、現時点でのインク残量を求める。インク残量は、印刷動作やフラッシング動作などの場合は、ショット数から使用インク量を換算し、吸引動作の場合は、予め定められた所定のインク量を使用インク量とする。なお、インク残量は、初期値に対する比率の値としてもよい。求められたインク残量は、所定のタイミング(例えば、印刷実行時ごと)に情報記憶部312に記憶されると共に、カートリッジ制御部311を介してインクカートリッジ20の記憶素子27に記憶される。
【0048】
このように、実印刷使用量計測部309によるインク使用量の測定は、課金料金の算出のためのみならず、インク残量管理の観点からも重要な機能である。つまり、プリンター240にRTC249を備えるだけで、所定期間L1における実印刷使用量PV、総インク使用量(実印刷使用量PV+メンテナンス使用量)、インク残量を算出し、管理することができる。
【0049】
カートリッジ制御部311は、プリンター240に装着されたインクカートリッジ20の記憶素子27からの情報の読み出しおよび記憶素子27への情報の書き込みを制御する制御部である。このカートリッジ制御部311の各種処理については、インクカートリッジ20のID読み取りと関連させて、後述する。情報記憶部312は、プリンター240の各種情報を記憶するための領域であり、例えばフラッシュROM242内の所定の領域に形成される。
【0050】
図7は、情報記憶部312におけるインクカートリッジID記憶領域の模式図である。情報記憶部312には、プリンター240を他のプリンターと識別するためのプリンターシリアル番号を記憶するプリンターシリアル番号記憶領域312a、現在装着されているインクカートリッジ20のインク残量値を記憶するインク残量値記憶領域312b、実印刷使用量計測部309によって計測された実印刷使用量PVを記憶する実印刷使用量記憶領域312c、新規装着されたインクカートリッジのIDと、インクエンドとなり交換された前インクカートリッジのIDを記憶するインクカートリッジID記憶領域312dが設けられている。
【0051】
インクカートリッジID記憶領域312dには、新規装着されたインクカートリッジIDとインクエンドとなったインクカートリッジIDとが区別して記憶されており、所定の数のインクカートリッジIDを記憶可能に構成されている。所定の数を超えて、インクカートリッジIDが書き込まれようとすると、何らかの問題があったことが考えられるため、エラーとする。なお、これらのインクカートリッジIDは、インクカートリッジ20が確実にプリンター240に装着されたか、そしてそのインクカートリッジ20が継続的にインクエンドとなるまで使用されたかどうかを示すものであり、課金ステータス情報として、店舗内サーバー230およびメインサーバー210を介し、最終的にメーカーサーバー110に送信される。また、各インクカートリッジIDは、RTC249の計時結果に基づいて、新規装着された日時またはインクエンドとなった日時を示す情報が付加される。これにより、プリンターメーカー100では、X社向けに出荷されたインクカートリッジの状況を把握することができる。
【0052】
送信情報生成送信部313は、店舗内サーバー220からの課金ステータス送信要求コマンドに応じて、プリンター240の情報記憶部312に記憶された課金に関わる情報(以下、課金ステータス)を収集して課金ステータス情報を生成し、店舗内サーバー220に返信する。ここで、課金ステータス情報とは、プリンターのプリンターシリアル番号、実印刷使用量PV、インク残量値、新規装着されたインクカートリッジID、インクエンドのインクカートリッジIDを含む。送信情報生成送信部313は、課金ステータス送信要求に対して、これらの情報を一つにまとめるとともに、この情報の信頼性を向上させるためにチェックサムを付加して課金ステータス情報とする。生成された課金ステータス情報は、送信部314を介して店舗内サーバー220に送信される。
【0053】
吐出検出部316は、印刷部307による所定量分の印刷を終了するごとに、各ノズルについてインク吐出の有無を検出する。「所定量」とは、クーポンの印刷枚数、印刷時間、吐出回数(全ノズルまたはノズル列ごとの吐出回数)などに応じて定まる。吐出検査方法としては、印刷ヘッド247のノズル面に対して不図示のヘッドキャップを対面させ、この状態で複数の吐出ノズルから帯電したインクを選択的に吐出させる。そして、吐出された帯電インクがヘッドキャップの吸収材に着弾したときに発生する電流の変化をすることにより吐出の有無を判断する。
【0054】
メンテナンス部317は、吐出検出部316の検出結果に応じて、クリーニング動作など各種メンテナンスを行う。例えば、吐出検出部316の検出結果から、所定数を超える吐出ノズルに対して吐出「無」と判定された場合、クリーニングを行う。また、メンテナンス部317は、温度、気圧、湿度等の環境条件に応じて、メンテナンスを行う。例えば、温度(環境温度)が高い場合には、印刷ヘッド247内に吐出不良の原因となる気泡が発生および成長する可能性が高いことを考慮して、頻繁にクリーニングを行い(上記吐出検出部316による検出周期(所定量の値)を短くする)、環境温度が低い場合には、吐出ヘッド内に気泡が発生および成長する可能性が低いことを考慮して、クリーニング回数を減らす(上記吐出検出部316による検出周期を長くする)ことが考えられる。なお、温度を測定するための温度計は、プリンター240内における印刷ヘッド247付近に設けられることが望ましい。その他、気圧計や湿度計を備え、これらの測定結果に応じて、上記吐出検出部316による検出周期を可変しても良い。また、検出周期を可変するのではなく、環境条件に応じて、クリーニング方法を可変したり、インク吸引量を可変したり、ワイピング回数を増やしたりすることが考えられる。
【0055】
実印刷使用量監視部318は、実印刷使用量計測部309の計測結果に基づき、月途中の所定のタイミング(例えば、毎月15日など)における実印刷使用量PVを監視する。また、警告部319は、実印刷使用量監視部318により監視した所定のタイミングの実印刷使用量PVが所定量V0(但し、所定量V0は、課金料金を算出する際のしきい値となる所定量V1以下の値となる)以下の場合に、LEDランプ6の点灯または点滅により警告を行う。これにより、Y社では印刷量の少ないプリンター240を把握でき、プリンター240の印刷量を平準化するための措置(プリンター240を入れ替えるなど)を行うことができる。なお、LEDランプ6の点灯または点滅に代えて、電子音の発生またはディスプレイ表示等によって警告を行っても良い。
【0056】
(店舗内サーバーの機能)
図6に示すように、店舗内サーバー220では、クーポンの印刷および課金ステータス取得に関わる機能として、送受信部321と、クーポン画像記憶部322と、クーポン選択部323と、課金ステータス取得部325と、課金ステータス記憶部326と、を備えている。
【0057】
送受信部321は、メインサーバー210およびプリンター240と通信を行う。クーポン画像記憶部322は、複数種類のクーポンを印刷するための画像データを記憶している。クーポン選択部323は、POS端末における会計処理をトリガーとして商品情報を取得し、当該商品情報に該当する画像データを、クーポン画像記憶部322の中から選択する。選択された画像データは、送受信部321を介してプリンター240に送信され、プリンター240により印刷される。このクーポンを顧客に手渡すことにより、Y社400としては、顧客の再来店(集客効果)が期待できる。
【0058】
課金ステータス取得部325は、プリンター240に対して課金ステータスを送信するよう要求するAPIであり、図示せぬ上位のアプリケーションプログラムからの指示に応じて、送受信部321を介してプリンター240に課金ステータス送信要求コマンドを送信する。本実施形態では、1ヶ月に一度(例えば、月初めに)送信する。課金ステータス送信要求コマンドの送信後、プリンター240から課金ステータス情報を受信すると、課金ステータス情報の受信確認をプリンター240に送信すると共に、受信した課金ステータス情報を課金ステータス記憶部326に記憶する。
【0059】
ここで、課金ステータス取得部325は、データ毎にチェックサムなど信頼性保証値を課金ステータス情報に付与する。この信頼性保証値は、パッケージデータ内部のデータを保証するためのデータであり、例えば全データの2進数表示の和を求める等の操作により求められる。この信頼性保証値を用いることにより、その後の処理で値が変更されたかどうか、またその後の送受信において正しく送受信が為されたかどうかを検証することができ、値が異なっていた場合、再送やエラー処理などを指示する。すなわち、課金ステータス取得部325は、課金ステータス情報に信頼性保証値を付加することによって、改ざん防止を図るとともに、エラーの有無を検出可能としてデータの信頼性を向上する。なお、課金ステータス情報への信頼性保証値の付加は、店舗内サーバー220内において、課金ステータス取得部325が行うとして説明したが、これに限らず、プリンター240内で、例えば、送信情報生成送信部313が課金ステータス情報に信頼性保証値を付加し、信頼性保証値付きの課金ステータス情報を店舗内サーバー220に送信する構成としてもよい。
【0060】
(メインサーバーの機能)
図8は、メーカーサーバー110とメインサーバー210の内部処理を示した機能ブロック図である。メインサーバー210は、クーポンの印刷および課金ステータスの授受に関わる機能として、送受信部331と、クーポン画像データベース332と、クーポン発券情報記憶部333と、課金ステータス収集部334と、課金料金記憶部335と、を備えている。
【0061】
送受信部331は、店舗内サーバー220およびメーカーサーバー110と通信を行う。クーポン画像データベース332は、複数種類のクーポンについて、その画像データと、関連する商品の商品情報とを紐付けて記憶している。クーポン画像データベース332内のデータは、各店舗内サーバー220に送信される。クーポン発券情報記憶部333は、プリンター240によって発券されたクーポンの種類や枚数等の情報を、各店舗内サーバー220から収集して記憶する。課金ステータス収集部334は、各店舗内サーバー220から、課金ステータス情報を収集する。収集した課金ステータス情報は、毎月、メーカーサーバー110に送信される。課金料金記憶部335は、メーカーサーバー110から通知された課金料金(各プリンター240の1ヵ月分の課金料金)を記憶する。
【0062】
(メーカーサーバーの機能)
メーカーサーバー110は、課金料金の算出に関わる機能として、送受信部341と、課金ステータス取得部342(実印刷使用量取得部)と、実印刷使用量判別部343と、課金料金算出部344と、課金料金通知部345と、を備えている。
【0063】
送受信部331は、メインサーバー210と通信を行う。課金ステータス取得部342(実印刷使用量取得部)は、各プリンター240の課金ステータス情報を取得する。ここでは、1ヶ月に一度(例えば、月初め)、前月1ヶ月の間、メンテナンス以外の実印刷に用いられた実印刷使用量PVをプリンター240ごとに(プリンターシリアル番号ごとに)取得する。実印刷使用量判別部343は、各プリンター240の実印刷使用量PVが所定量V1以下であるか否かを判別する。
【0064】
課金料金算出部344は、実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合、固定料金である第1の課金料金とし、実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合、実印刷使用量PVに応じて増加する第2の課金料金として、課金料金を算出する。ここで、「第1の課金料金」は、所定量V1と、所定期間L1内のメンテナンスに用いられるインク使用量であるメンテナンス使用量MVとの合計値に基づく料金である。なお、課金料金算出方法の詳細については後述する。課金料金通知部345は、メインサーバー210に対し、その管理下にある全プリンター240に対する課金料金を通知する。なお、全プリンター240に対する課金料金を合計し、請求額としてメインサーバー210に通知しても良い。
【0065】
(プリンターによるインクカートリッジのID読取1:カートリッジ装着時)
図9は、電源オン時またはインクカートリッジ20の装着時の処理を示すフローチャートである。カートリッジ制御部311は、プリンター240に新たなインクカートリッジ20が装着されると、そのインクカートリッジ20の記憶素子27からインクカートリッジのIDを読み出す。具体的には、まずプリンター240の電源が投入された場合、またはカバー開閉センサー248により装着部開閉カバー7が閉じられたことが検出された場合(S1:Yes)、インクカートリッジのIDおよびインク残量値を読み出して(S2)、情報記憶部312に記憶されているIDと一致しているかどうかチェックする(S3)。ここで、二つのIDが一致している場合は(S3:Yes)、続いて、情報記憶部312に記憶されている残量値と読み出したインク残量値が一致しているかどうかチェックする(S4)。ここで、二つのインク残量値が一致していれば、現在装着されているインクカートリッジ20は、電源投入前またはインクカートリッジ装着前と同一であると判断して終了する。
【0066】
一方、IDが一致しない場合(S3:No)およびインク残量値が一致しない場合(S4:No)は、現在装着されているインクカートリッジ20は、電源投入前またはインクカートリッジ装着前とは異なるインクカートリッジ20が挿入されていることとなり、カートリッジ制御部311は、読み出したインクカートリッジIDを記憶する(S5)。その後、カートリッジ制御部311は、装着されているインクカートリッジ20の記憶素子27からインク残量値を読み出し、読み出したインク残量値に基づいて、情報記憶部312のインク残量値記憶領域312bを更新する(S6)。なお、カートリッジ制御部311は、このとき同時に、インクカートリッジ20の記憶素子27内に設定された取付回数カウンターを一つ繰り上げる。この操作により、インクカートリッジ20が何回プリンターに装着されたかについてインクカートリッジ20内に情報が更新されていく。
【0067】
(プリンターによるインクカートリッジのID読取2:インクエンド時)
図10は、インクエンド時の処理を示すフローチャートである。本実施形態では、インク残量解析部310によって、インクエンドの判定が行われる。インク残量解析部310は、インクカートリッジ20内のインク残量を色毎に計算してインク残量値を求めるが、このインク残量値が少なくとも一つの色について所定値以下となった場合、インクエンドであると判定する。まず、インク残量解析部310は、インク残量値が少なくとも一つの色について所定値以下となったかどうかを監視する(S11)。この所定値は、インク残量解析部310のインク残量値と実際のインク残量値との間の誤差を考慮し、物理的なインクエンド(インクカートリッジ20内のインク量が0)ではなく、例えばインクカートリッジ20内の実際のインク残量値が数パーセントとなったらインクエンドと判定するような値に設定しておく。このような設定により、実際にインクが無くなる前にインクエンドとなるため、印刷ヘッド247によるインクの空打ちを防止し、印刷ヘッド247内への空気の流入を避けることができる。
【0068】
そして、インク残量値が少なくとも一つの色について所定値以下となると(S11:Yes)、プリンター240は、送信情報生成送信部313を介して店舗内サーバー220にインクエンドを通知するとともに、プリンター240外表面のLEDランプ6を点滅させて、ユーザにインクカートリッジ20の交換を促す(S12)。また、カートリッジ制御部311は、インクカートリッジ20の記憶素子27内のインクカートリッジIDを読み出し、読み出したインクカートリッジIDを情報記憶部312のインクカートリッジID記憶領域312dにインクエンドとなったインクカートリッジIDとして記憶する(S13)。
【0069】
インクエンドとなると、店舗内サーバー220は、インクカートリッジが交換されるまでそのプリンター240を用いた印刷を禁止する。その後、ユーザがインクカートリッジを交換すると、図9に示したシーケンスが動作し、新たなインクカートリッジ20がプリンター240に認識され、そのインクカートリッジ20がインクエンドで無ければ、印刷が再開される。このように、本実施形態では、新たに装着されたインクカートリッジ20のインクカートリッジIDと、インクエンドとなったインクカートリッジIDがプリンター240内に情報として記憶される。これらのインクカートリッジIDは、次に説明する処理により、店舗内サーバー220に集められ、最終的にはメーカーサーバー110に通知される。以下では、このインクカートリッジIDの収集処理について説明する。
【0070】
(プリンターからの課金ステータスの収集)
図10は、課金ステータスの収集を示すフローチャートである。まず、各プリンター240は、実印刷使用量計測部309により実印刷使用量PVを計測したり、インク残量解析部310およびカートリッジ制御部311により、装着されたインクカートリッジ20およびインクエンドとなったインクカートリッジ20のインクカートリッジIDを収集したりすることにより、課金ステータスを収集する(S21)。一方、店舗内サーバー220は、店舗内の全てのプリンター240に対して課金ステータス送信要求を送信する(S31)。各プリンター240は、課金ステータス送信要求を受信すると(S22)、情報記憶部312に記憶された課金ステータスにチェックサムを付加して課金ステータス情報を生成する(S23)。そして、送信情報生成送信部313は、生成した課金ステータス情報を店舗内サーバー220に送信する(S24)。
【0071】
その後、店舗内サーバー220は、プリンター240から課金ステータス情報を受信すると(S32)、受信した課金ステータス情報にデータの信頼性保持のための信頼性保証値を付加して保存する(S33)と共に、課金ステータス情報の受信確認をプリンター240に送信する(S34)。プリンター240は、課金ステータス情報の受信確認を受信すると(S25)、情報記憶部312をリセットする(S26)。その後、プリンター240の動作としては、再度S21に戻り、課金ステータスを収集し、S22〜S26を繰り返す。
【0072】
また、メインサーバー210は、店舗内サーバー220によるプリンター240からの課金ステータス情報取得後の所定のタイミングで、課金ステータス情報の送信を要求する課金ステータス情報送信要求を全ての店舗内サーバー220に送信する(S41)。店舗内サーバー220は、課金ステータス情報送信要求を受信すると(S35)、メインサーバー210に対して課金ステータス情報を送信する(S36)。そして、メインサーバー210は、店舗内サーバー220から課金ステータス情報を受信すると(S42)、その課金ステータス情報を保存しておく。これにより、プリンター240の故障やプリンター240の電源オフといった特殊事情を除きプリンター240が正しく動作している限りにおいて、全てのプリンター240の課金ステータス情報がメインサーバー210に収集される。そして、メインサーバー210は、収集した全プリンター240の課金ステータス情報を、メーカーサーバー110に送信する(S43)。このとき、メーカーサーバー110からのリクエストに応じて送信しても良いし、メインサーバー210が自発的に送信しても良い。
【0073】
上記した課金ステータス情報の収集モデルでは、店舗内サーバー220において課金ステータス情報に信頼性保証値が自動的に付加されているので、メインサーバー210およびメーカーサーバー110への送信時にデータの一部が壊れても、その正当性を保証することができる。また、万が一悪意によりデータの改ざんを行おうとしても信頼性保証値と課金ステータス情報の内容とが一致しなくなるため、改ざんの有無を発見し適切に対処することができる。
【0074】
(メーカーサーバーでの課金料金算出)
図12は、実印刷使用量PVと課金料金Yとの関係を示すイメージ図である。縦軸Yは、1ヶ月間の課金料金Yを表し、横軸Xは、1ヶ月間の実印刷使用量PVであり、印刷に使用したインク使用量を表している。上記の通り、メーカーサーバー110(課金料金算出部344)は、プリンター240ごとに計測された実印刷使用量PVが、予め定められた所定量V1以下であるか否かに応じて、異なる課金料金算出アルゴリズムを用いる。図12では、実印刷使用量PVと課金料金Yとの関係を太線で示している。同図に示すように、実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合は、固定料金である第1の課金料金とする。また、実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合は、実印刷使用量PVに応じて増加する第2の課金料金とする。なお、同図において、点線で示す直線(Y=C2×PV)は、インクカートリッジ20を購入した場合における、実印刷使用量PVと料金(価格)Yとの関係を示している。但し、計算式「Y=C2×PV」(但し、C2>0)において、「係数C2」は、インクカートリッジ20を購入した場合のインク単価を示すものであるが、実際は、プリンター稼動に伴ってメンテナンスにインクが消費されるため、実印刷使用量PVと料金(価格)Yは、単純な比例関係で表すことができない。しかし、あくまでも実印刷使用量PVに対する料金(経費)の関係を点線で示すことで、実線にて表した実印刷使用量PVと課金料金Yとの関係を示すイメージ図と比較するための目安として、補助的に用いている。
【0075】
以下、図13の説明図を参照し、第1の課金料金および第2の課金料金の算出方法について具体的に説明する。なお、同図に示す数値は、いずれも、説明上分かり易い数値を割り当てたものであり正確な値ではない。図13(a)に示すように、1ヶ月(所定期間L1)あたりのメンテナンス使用量MV(インク消費を伴うメンテナンスに用いられるインク使用量)は、プリンター240の仕様及びプリンター240に搭載されているメンテナンスのアルゴリズムから推測可能であり、ここでは、一例として5ccと定める。これは、実印刷使用量PVに関わらず必要となるインク使用量である。なお、インクを目詰まりさせないようにするためのメンテナンスのアルゴリズムは、プリンターユーザ(顧客)の使い方によって変動する。また、設定によりアルゴリズムを変動させることが可能である。つまり、プリンター240におけるユーザの使い方よって変動するメンテナンスのアルゴリズムパターン、若しくはプリンター240または店舗内サーバー230に設定されたアルゴリズムパターンを、メーカーサーバー110が取得し、取得したアルゴリズムパターンによって1ヶ月(所定期間L1)あたりのメンテナンス使用量MVの推測量を可変させても良い。総インク使用量(実印刷使用量PV+メンテナンス使用量MV)に占めるメンテナンス使用量MVの比率は、平均的なプリンターの使用頻度を考慮し、ここでは、1つの例として、総インク使用量に占めるメンテナンス使用量MVの比率を25%と定める。この比率が高い場合は、インクジェットプリンターを用いた課金ビジネスは成り立たなくなる。
【0076】
図13(b)は、1ヶ月あたりの総インク使用量を示す計算式である。上述のようにメンテナンス使用量MVを5cc、総インク使用量に占めるメンテナンス使用量MVの比率を25%とすると、1ヶ月あたりの総インク使用量は、5cc(メンテナンス使用量MV)÷25%(メンテナンス使用量MVの総インク使用量に占める比率)=20ccと算出される。図13(c)は、所定量V1を示す計算式である。所定量V1は、1ヶ月あたりの総インク使用量20ccから5ccを差し引いて、15ccと算出される。
【0077】
図13(d)は、第1の課金料金を算出する計算式である。インク1ccあたりの標準価格を100円とすると、1ヶ月あたりの総インク使用量が20ccであるから、第1の課金料金は、インク1ccあたりの標準価格と1ヶ月あたりの総インク使用量の積算値である2,000円と算出できる。つまり、実印刷使用量PVが所定量V1(この場合、15cc)となるまでは、実印刷使用量PVに基づいて課金料金Yを算出するのではなく、固定料金として課金料金Yを算出することで、プリンター240の実印刷使用量PVが少ない場合でも、プリンターメーカー100にとってのビジネスモデルを成り立たせることができるのである。
【0078】
図13(d)は、第2の課金料金を算出するための計算式を示している。第2の課金料金は、計算式「Y=C1×(V2−V1)+B」(但し、0<C1<C2)によって算出される。ここで、「係数C1」は、本ビジネスモデルを適用した場合のインク1ccあたりの価格(割引価格)、例えば60円を示し、「定数B」は、第1の課金料金(2,000円)を示す。この計算式により、例えば実印刷使用量PVがV2(30cc)の場合、課金料金Yは2,900円と算出できる。このように、第2の課金料金は、所定量V1を超えたインクの実印刷使用量(V2―V1)と係数C1の積算値に、固定料金を加算することによって算出される。
【0079】
なお、上記に示した係数や定数の値は、適宜変更可能である。例えば、C1の値を大きくし(但し、C1<C2を満たす範囲で)、第2の課金料金を、計算式「Y=C1×PV」によって算出しても良い。例えば、C1=90円に設定すると、実印刷使用量PVがV2(30cc)の場合の課金料金Yは90円×30cc=2,700円と算出できる。この構成によれば、第2の課金料金を単純化できるため、顧客(X社200)にとって分かり易い料金体系とすることができる。
【0080】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、実印刷使用量PVが予め定められた所定量V1以下である場合、すなわち印刷量が少ないプリンター240については、メンテナンス使用量MVを考慮した第1の課金料金とするため、課金料金を請求するプリンターメーカー100にとっては、全体的なインク消費量に対して請求額が少なくなることによってビジネスモデルが成り立たなくなるといった問題を解消できる。一方、実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合、すなわち印刷量が多いプリンター240については、実印刷使用量PVのみに応じて増加する第2の課金料金とするため(メンテナンス使用量MVは課金料金に反映されないため)、課金料金を請求されるX社200側も納得できる料金設定となる。このように、印刷量に関係なく、課金料金を請求する側とされる側の両者にとって不利益のないビジネスモデルを実現することで、顧客の窓口を広げることができ、プリンター課金システムSYの展開が期待できる。
【0081】
(課金料金算出方法の変形例)
以下、課金料金算出方法の各種変形例について説明する。例えば、第1の課金料金を、前月(前回の所定期間L1)の実印刷使用量PVに応じて可変しても良い。この場合、メーカーサーバー110内に過去の実印刷使用量PVを記憶しておくためのメモリが必要である。図14(a)は、しきい値を20ccとし、前月の実印刷使用量PVが20cc以上の場合、調整金額を減額し(−200円)、第1の課金料金を、2,000円(基本の固定料金)から200円差し引いた額とした例を示している。一方、図14(b)に示すように、前月(前回の所定期間L1)の実印刷使用量PVに応じて、「係数C1」の値を可変しても良い。同図は、しきい値を40ccとし、前月の実印刷使用量PVが40cc以上の場合、「係数C1」を減額した(基本のインク単価C1から10円差し引いた)例を示している。
【0082】
図14(a),(b)に示したように、前月分の実印刷使用量PVに応じて第1の課金料金(固定料金)や「係数C1」の値を可変することで、印刷量の多い顧客に対して割引を行うなどのサービスを実現できる。なお、上記の例では、前月分の実印刷使用量PVとしきい値とを比較したが、2ヶ月前の実印刷使用量、過去1年分の累計実印刷使用量など、過去における所定の期間における実印刷使用量としきい値とを比較し、その比較結果に応じて、第1の課金料金や「係数C1」を可変しても良い。また、過去の平均実印刷使用量に応じて、第1の課金料金や「係数C1」を可変しても良い。
【0083】
また、上記の実施形態では、課金ステータス情報に実印刷使用量PVを含める構成としたが、メンテナンス使用量MVを含める構成としても良い。この場合、各プリンター240において、所定期間L1内にメンテナンスに用いられたインク使用量をカウントし、これをメンテナンス使用量MVとして情報記憶部312に記録しておく。また、メンテナンス使用量MVは、課金ステータス情報の一部としてメーカーサーバー110に収集される。メーカーサーバー110は、過去のメンテナンス使用量MVを所定のメモリ内に記憶しておく。その上で、第1の課金料金や「係数C1」を、過去の所定の期間におけるメンテナンス使用量MVに応じて可変しても良い。また、第1の課金料金や「係数C1」を、過去の総インク使用量(実印刷使用量PV+メンテナンス使用量MV)に応じて可変しても良い。また、第1の課金料金や「係数C1」を、過去の同一期間における実印刷使用量PVとメンテナンス使用量MVの比率に応じて可変しても良い。さらに、第1の課金料金や「係数C1」を、その月(課金料金の算出対象となる所定期間L1)の実印刷使用量PV、メンテナンス使用量MV、総インク使用量、実印刷使用量PVとメンテナンス使用量MVの比率、に応じて可変しても良い。
【0084】
また、上記の実施形態では、プリンター240ごとに実印刷使用量PVの判別を行ったが、店舗410ごとに行っても良い。つまり、メーカーサーバー110は、その店舗410内の複数のプリンター240による合計実印刷使用量PVを算出し、当該合計実印刷使用量PVに応じて課金料金を算出しても良い。また、Y社400の管轄下店舗内にある全てのプリンター240、またはメインサーバー210で管理される全てのプリンター240による合計実印刷使用量PVを算出し、当該合計実印刷使用量PVに応じて課金料金を算出する構成としても良い。
【0085】
また、上記の実施形態では、第1の課金料金を固定料金としたが、所定期間L1内の実印刷使用量PVと、所定期間L1内のメンテナンス使用量MVとの合計値に基づいて、第1の課金料金を算出しても良い。つまり、実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合は、実印刷使用量PVおよびメンテナンス使用量MVをパラメーターとした計算式により第1の課金料金を算出し、実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合は、実印刷使用量PVのみをパラメーターとした計算式により第2の課金料金を算出しても良い。この場合、実印刷使用量PVが0(ゼロ)の場合と、所定量V1の場合とでは異なる第1の課金料金となるが、実際に消費されたインク使用量に基づく料金であるため、プリンターメーカー100側に不利益がない。また、更なる変形例として、メンテナンス使用量MVのみをパラメーターとした計算式に、所定量V1に基づく固定料金(所定量V1とインク単価の積算値=1,500円)を加算して、第1の課金料金を算出しても良い。
【0086】
また、上記の実施形態では、第1の課金料金と第2の課金料金の適用をしきい値V1(所定量V1)に応じて区別したが、メンテナンス使用量MVに対する実印刷使用量PVの割合が所定割合以上であるか否かに応じて、第1の課金料金と第2の課金料金の適用を区別しても良い。若しくは、総インク使用量(実印刷使用量PV+メンテナンス使用量MV)に対する実印刷使用量PVの割合が所定割合以上であるか否かに応じて、第1の課金料金と第2の課金料金の適用を区別しても良い。
【0087】
また、上記の実施形態において、実印刷使用量判別部343は、実印刷使用量PVが所定量V1以下であるか否かを判別したが、クーポンの印刷枚数が所定枚数以下であるか否かを判別しても良い。この構成によれば、X社200(顧客)は、第2の課金料金が適用されるしきい値を、枚数によって把握できる。
【0088】
(その他の変形例)
以下、課金料金算出方法以外に関する変形例について説明する。上記の実施形態において、実印刷使用量計測部309は、印刷バッファ305に記憶された印刷データまたはドットパターンデータに基づいて、印刷ヘッド247から吐出されるインク量をドット単位でカウントするものとしたが、吐出検出部316の検出結果に基づいて、印刷ヘッド247から実際に吐出されたインク吐出回数をカウントしても良い。この構成によれば、ノズルの目詰まりなどでインクが吐出されなかった場合、その分を実印刷使用量PVから差し引くことができる。つまり、より正確な実印刷使用量PVを計測できる。
【0089】
また、課金ステータス情報には、全色分を合計した実印刷使用量PVが含まれるものとしたが、実印刷使用量PVを色別に測定しても良い。この場合、課金料金算出部344は、色別のインク単価と各色の実印刷使用量PVに基づいて、第2の課金料金を算出しても良い。
【0090】
また、上記の実施形態では、課金ステータス情報に実印刷使用量PVを含めるのではなく、1ヵ月分の累計ショット数(色別でも良いし、全色合計でも良い)を含めても良い。この場合、店舗内サーバー220、メインサーバー210およびメーカーサーバー110のいずれかにおいて、ショット数からインク使用量に換算する演算処理を行う。
【0091】
また、上記の実施形態において、メインサーバー210は、1ヶ月ごとに課金ステータス情報を収集し、その都度メーカーサーバー110に送信するものとしたが、課金ステータス情報を収集・送信する周期は、1週間や1日など、所定期間L1未満であっても良い。また、メインサーバー210では、1週間ごとに課金ステータス情報を収集し、1か月分をまとめてメーカーサーバー110に送信するなど、収集する周期と送信する周期とは、必ずしも一致しなくても良い。
【0092】
また、上記の実施形態では、多色のインクが共通の1つのインクカートリッジで構成された例で説明したが、色毎に異なるインクカートリッジを用いても良い。また、インクジェットプリンターとインクカートリッジの例として説明したが、他にレーザープリンターやトナーカートリッジでも、本実施形態のショット数の代わりとして、所定通電時間単位とするなどトナー使用量に換算できる値を用いることにより、本実施形態と同様に実施することが可能である。
【0093】
また、上記の実施形態では、実印刷使用量監視部318により監視した所定のタイミングの実印刷使用量PVが所定量V0以下の場合、プリンター240の警告部319によって警告を行うものとしたが、これらをX社200のメインサーバー210で行っても良い。この構成によれば、クーポンの画像データに関連付ける商品情報などを可変することによって、プリンター240の印刷量(実印刷使用量PV)を調整することができる。但し、本変形例の場合、メインサーバー210において、課金ステータス情報を1週間ごと、または半月ごとに収集するなど、課金ステータス情報を収集する周期を所定期間L1以下とする必要がある。また、メーカーサーバー110内に、実印刷使用量監視部318および警告部319を備えても良い。この場合、メーカーサーバー110が課金ステータス情報を取得する周期を所定期間L1以下とする必要がある。また、警告方法としては、プリンター240やメインサーバー210に、警告を示すコマンドを送信したり、X社200宛ての電子メールアドレスに電子メールを送信したりすることが考えられる。
【0094】
また、上記の実施形態では、プリンターメーカー100、X社200、Y社400の3社によるビジネスモデルの展開例を示したが、プリンターメーカー100とY社400など、2社によるビジネスモデルとして展開しても良い。この場合、プリンターメーカー100がY社400に対してインクカートリッジを供給すると共に、課金料金を請求する。
【0095】
また、メーカーサーバー110を省略し、プリンター240内で課金料金の算出処理を行っても良い。この場合、プリンター240内に、上記のメーカーサーバー110における各部(課金ステータス取得部342(実印刷使用量取得部)、実印刷使用量判別部343、課金料金算出部344および課金料金通知部345)を備え、算出した課金料金を、店舗内サーバー220を介してメインサーバー210に通知する。この構成によれば、プリンター課金システムSYのシステム構成を簡素化できる。
【0096】
また、プリンター240の実印刷使用量計測部309を、店舗内サーバー220に備えても良い。この場合、店舗内サーバー220は、プリンター240に送信するクーポンの画像データに基づいて、ショット数を算出し、インク使用量を求める。
【0097】
また、上記に示したプリンター課金システムSY内の各構成要素をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリ等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターをプリンター課金システムSY内の各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0098】
20…インクカートリッジ 100…プリンターメーカー 110…メーカーサーバー 200…X社 210…メインサーバー 220,230…店舗内サーバー 240…プリンター 249…RTC 307…印刷部 309…実印刷使用量計測部 312…情報記憶部 312a…プリンターシリアル番号記憶領域 312b…インク残量値記憶領域 312c…実印刷使用量記憶領域 312d…インクカートリッジID記憶領域 316…吐出検出部 317…メンテナンス部 318…実印刷使用量監視部 319…警告部 342…課金ステータス取得部 343…実印刷使用量判別部 344…課金料金算出部 345…課金料金通知部 400…Y社 410…店舗 SY…プリンター課金システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク消費を伴うメンテナンスを実行するインクジェットプリンターの課金料金算出方法であって、
所定期間L1内に前記メンテナンス以外の実印刷に用いられたインク使用量である実印刷使用量PVを取得する実印刷使用量取得ステップと、
前記実印刷使用量PVが所定量V1以下であるか否かを判別する実印刷使用量判別ステップと、
前記実印刷使用量PVに応じて課金料金を算出する課金料金算出ステップと、を備え、
前記課金料金算出ステップは、前記実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合、固定料金である第1の課金料金とし、前記実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合、前記実印刷使用量PVに応じて増加する第2の課金料金として、前記課金料金を算出することを特徴とする課金料金算出方法。
【請求項2】
前記第1の課金料金は、過去の前記実印刷使用量PVに応じて可変することを特徴とする請求項1に記載の課金料金算出方法。
【請求項3】
前記第2の課金料金は、前記実印刷使用量PVと係数C1(但し、C1>0)の積算値に基づいて算出され、
前記係数C1は、過去の前記実印刷使用量PVに応じて可変することを特徴とする請求項1または2に記載の課金料金算出方法。
【請求項4】
前記過去の前記実印刷使用量PVは、前回の前記所定期間L1における前記実印刷使用量PVであることを特徴とする請求項2または3に記載の課金料金算出方法。
【請求項5】
前記所定期間L1終了前の所定のタイミングにおける前記実印刷使用量PVを監視する実印刷使用量監視ステップと、
前記所定のタイミングにおける実印刷使用量PVが所定量V0以下の場合(但し、0<V0≦V1)、警告を行う警告ステップと、をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の課金料金算出方法。
【請求項6】
インク消費を伴うメンテナンスを実行するインクジェットプリンターの課金料金算出装置であって、
所定期間L1内に前記メンテナンス以外の実印刷に用いられたインク使用量である実印刷使用量PVを取得する実印刷使用量取得部と、
前記実印刷使用量PVが所定量V1以下であるか否かを判別する実印刷使用量判別部と、
前記実印刷使用量PVに応じて課金料金を算出する課金料金算出部と、を備え、
前記課金料金算出部は、前記実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合、固定料金である第1の課金料金とし、前記実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合、前記実印刷使用量PVに応じて増加する第2の課金料金として、前記課金料金を算出することを特徴とする課金料金算出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の課金料金算出装置と、少なくとも前記インクジェットプリンターを含む印刷システムと、が通信可能に構成されたプリンター課金システムであって、
前記印刷システムは、
インク吐出により印刷を行う印刷部と、
前記印刷部によるインク吐出の有無を検出する吐出検出部と、
前記吐出検出部の検出結果に応じて、前記メンテナンスを行うメンテナンス部と、
前記印刷部の印刷に用いられた前記実印刷使用量PVを計測する実印刷使用量計測部と、を備え、
前記実印刷使用量取得部は、前記実印刷使用量計測部の計測結果を取得することを特徴とするプリンター課金システム。
【請求項8】
前記吐出検出部は、前記印刷部による所定量分の印刷を終了するごとに、前記インク吐出の有無を検出し、
前記メンテナンス部は、前記吐出検出部によりインク吐出「無」が検出された場合に前記メンテナンスを行うことを特徴とする請求項7に記載のプリンター課金システム。
【請求項9】
前記メンテナンス部は、温度、気圧、湿度のうち1以上の条件を含む環境条件に応じて、前記メンテナンスを行うことを特徴とする請求項7または8に記載のプリンター課金システム。
【請求項1】
インク消費を伴うメンテナンスを実行するインクジェットプリンターの課金料金算出方法であって、
所定期間L1内に前記メンテナンス以外の実印刷に用いられたインク使用量である実印刷使用量PVを取得する実印刷使用量取得ステップと、
前記実印刷使用量PVが所定量V1以下であるか否かを判別する実印刷使用量判別ステップと、
前記実印刷使用量PVに応じて課金料金を算出する課金料金算出ステップと、を備え、
前記課金料金算出ステップは、前記実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合、固定料金である第1の課金料金とし、前記実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合、前記実印刷使用量PVに応じて増加する第2の課金料金として、前記課金料金を算出することを特徴とする課金料金算出方法。
【請求項2】
前記第1の課金料金は、過去の前記実印刷使用量PVに応じて可変することを特徴とする請求項1に記載の課金料金算出方法。
【請求項3】
前記第2の課金料金は、前記実印刷使用量PVと係数C1(但し、C1>0)の積算値に基づいて算出され、
前記係数C1は、過去の前記実印刷使用量PVに応じて可変することを特徴とする請求項1または2に記載の課金料金算出方法。
【請求項4】
前記過去の前記実印刷使用量PVは、前回の前記所定期間L1における前記実印刷使用量PVであることを特徴とする請求項2または3に記載の課金料金算出方法。
【請求項5】
前記所定期間L1終了前の所定のタイミングにおける前記実印刷使用量PVを監視する実印刷使用量監視ステップと、
前記所定のタイミングにおける実印刷使用量PVが所定量V0以下の場合(但し、0<V0≦V1)、警告を行う警告ステップと、をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の課金料金算出方法。
【請求項6】
インク消費を伴うメンテナンスを実行するインクジェットプリンターの課金料金算出装置であって、
所定期間L1内に前記メンテナンス以外の実印刷に用いられたインク使用量である実印刷使用量PVを取得する実印刷使用量取得部と、
前記実印刷使用量PVが所定量V1以下であるか否かを判別する実印刷使用量判別部と、
前記実印刷使用量PVに応じて課金料金を算出する課金料金算出部と、を備え、
前記課金料金算出部は、前記実印刷使用量PVが所定量V1以下である場合、固定料金である第1の課金料金とし、前記実印刷使用量PVが所定量V1を超えた場合、前記実印刷使用量PVに応じて増加する第2の課金料金として、前記課金料金を算出することを特徴とする課金料金算出装置。
【請求項7】
請求項6に記載の課金料金算出装置と、少なくとも前記インクジェットプリンターを含む印刷システムと、が通信可能に構成されたプリンター課金システムであって、
前記印刷システムは、
インク吐出により印刷を行う印刷部と、
前記印刷部によるインク吐出の有無を検出する吐出検出部と、
前記吐出検出部の検出結果に応じて、前記メンテナンスを行うメンテナンス部と、
前記印刷部の印刷に用いられた前記実印刷使用量PVを計測する実印刷使用量計測部と、を備え、
前記実印刷使用量取得部は、前記実印刷使用量計測部の計測結果を取得することを特徴とするプリンター課金システム。
【請求項8】
前記吐出検出部は、前記印刷部による所定量分の印刷を終了するごとに、前記インク吐出の有無を検出し、
前記メンテナンス部は、前記吐出検出部によりインク吐出「無」が検出された場合に前記メンテナンスを行うことを特徴とする請求項7に記載のプリンター課金システム。
【請求項9】
前記メンテナンス部は、温度、気圧、湿度のうち1以上の条件を含む環境条件に応じて、前記メンテナンスを行うことを特徴とする請求項7または8に記載のプリンター課金システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−10283(P2013−10283A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145135(P2011−145135)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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