調光操作卓および操作装置
【課題】従前の調光操作卓に代替可能なタッチパネル方式の調光操作卓を提供する。
【解決手段】調光操作卓10は、表示手段18、入力手段19および制御手段を備える。表示手段18は、調光用の複数のフェーダを含む複数の操作部28が表示される表示面25を有する。入力手段19は、表示面25の操作部28に対して複数点同時に操作入力される位置を検知可能とする。制御手段は、入力手段19で検知された操作入力の位置に応じて操作部28に対する操作入力を判定するとともに、フェーダ26に対する操作入力の判定により調光レベルを調整する。
【解決手段】調光操作卓10は、表示手段18、入力手段19および制御手段を備える。表示手段18は、調光用の複数のフェーダを含む複数の操作部28が表示される表示面25を有する。入力手段19は、表示面25の操作部28に対して複数点同時に操作入力される位置を検知可能とする。制御手段は、入力手段19で検知された操作入力の位置に応じて操作部28に対する操作入力を判定するとともに、フェーダ26に対する操作入力の判定により調光レベルを調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル方式の調光操作卓および操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタジオや劇場などに設置されている複数の照明装置の調光を操作するために機械操作式調光操作卓が用いられている。この機械操作式調光操作卓は、多数の照明装置の調光レベルをそれぞれ操作する多数の機械操作式フェーダなどの操作部を備えており、照明演出に対応して多数の機械操作式フェーダを同時に操作する場合もある。
【0003】
また、タッチパネル方式を用いた小型で可般できる調光操作端末がある。この調光操作端末は、ディスプレイでフェーダを表示し、指をフェーダの表示部分にタッチして画面上を移動させることにより、調光レベルを調整するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。ただし、1点でしか操作入力することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−103126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の機械操作式調光操作卓では、機械操作式フェーダなどを用いているため、機械操作式フェーダなどへの塵埃の侵入や経年変化などによって機械的な故障が発生するおそれがある。
【0006】
また、タッチパネル方式の調光操作端末があるが、小型であるとともに1点でしか操作入力することができないため、実際の機械操作式調光操作卓の使用状況のように多数のフェーダを同時に操作することはできず、機械操作式調光操作卓の代替にはならない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、機械操作式調光操作卓と同様に使用可能なタッチパネル方式の調光操作卓、およびタッチパネル方式の操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の調光操作卓は、表示手段、入力手段および制御手段を備える。表示手段は、調光用の複数のフェーダを含む複数の操作部が表示される表示面を有する。入力手段は、表示面の操作部に対して複数点同時に操作入力される位置を検知可能とする。制御手段は、入力手段で検知された操作入力の位置に応じて操作部に対する操作入力を判定するとともに、フェーダに対する操作入力の判定により調光レベルを調整する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の調光操作卓によれば、表示手段の表示面で調光用の複数のフェーダを含む複数の操作部を表示し、表示面の操作部に対して複数点同時に操作入力される位置を入力手段で検知可能とするため、機械操作式調光操作卓と同様に使用可能なタッチパネル方式の調光操作卓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態を示す調光操作卓の正面図である。
【図2】同上調光操作卓の側面図である。
【図3】同上調光操作卓の入力手段の断面図である。
【図4】同上調光操作卓の表示面に表示する表示画像の説明図である。
【図5】第2の実施形態を示す調光操作卓の入力手段の断面図である。
【図6】第3の実施形態を示す調光操作卓の入力手段の断面図である。
【図7】第4の実施形態を示す調光操作卓の入力手段の断面図である。
【図8】第5の実施形態を示す調光操作卓の入力手段の断面図である。
【図9】第6の実施形態を示す調光操作卓の入力手段の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、第1の実施形態を、図1ないし図4を参照して説明する。
【0012】
図1および図2に、スタジオや劇場などに設置されている複数の照明装置の調光状態を操作する操作装置としての調光操作卓10を示す。この調光操作卓10は、筐体11を有し、筐体11の上側には矩形状の開口部12を有する枠部13が形成され、枠部13の下側には本体部14が形成されている。本体部14の下面には、机面などに調光操作卓10を設置するための複数の脚部15が取り付けられている。そして、筐体11の上面は、操作者側である前側に向けて下降傾斜されている。
【0013】
筐体11の枠部13内には、表示手段18が配置されているとともに、この表示手段18上に入力手段19、スイッチユニット20および案内部材21がそれぞれ配置されている。
【0014】
表示手段18は、例えば液晶表示装置などの大型で平面形のディスプレイ24が用いられている。このディスプレイ24の表示画像を表示する平面状の表示面25が、筐体11の開口部12に対向されている。
【0015】
表示面25に表示する表示画像の一例を図4に示す。表示面25には、複数の照明装置の調光レベルを操作するための複数のフェーダ26やスイッチ27などの複数の操作部28が表示されているとともに、複数の照明装置の点灯状態や各種情報を表示する複数の表示部29が表示されている。複数のフェーダ26は、左右方向に並んで表示されるとともに左右に2つの群に分かれて表示されている。各フェーダ26には、調光レベルに応じて例えば前側を基準として後側に向けて表示数が変化する複数のバー表示26aが前後方向に沿って表示されている。
【0016】
また、入力手段19は、複数点同時に指などで操作入力される位置を検知可能とするマルチタッチパネル32が用いられている。本実施形態では、赤外線遮光式のマルチタッチパネル32を用いた例について説明する。
【0017】
マルチタッチパネル32は、例えばガラスまたは樹脂などの透明な材料で形成された矩形板状の透明板33、およびこの透明板33の表面(上面)の4辺に沿って配置された矩形枠状の枠体34を有している。枠体34の4辺のうち、一方の隣接した2辺(例えば右側の辺と前側の辺)には検知光としての赤外線35を照射する複数の発光部36が辺に沿って配置され、他方の隣接した2辺(例えば左側の辺と後側の辺)に発光部36から照射された赤外線35を受光する複数の受光部37が辺に沿って配置されている。
【0018】
図3に示すように、発光部36から照射する赤外線35は、透明板33の表面(ディスプレイ24の表示面25)から所定距離だけ離れた位置を、透明板33の表面(ディスプレイ24の表示面25)と平行に照射される。なお、互いに対向する発光部36と受光部37との間で赤外線35を投受光する投受光方式では、マルチタッチしたときに検知できない死角部分が発生する場合もあるが、調光操作卓10の操作上、死角部分を使用しない場合には、この投受光方式を使用しても構わない。また、死角部分を無くす場合には、発光部36から扇状に赤外線35を照射して複数の受光部37で順次受光するようにスキャンし、これを全ての発光部36において順次行うことにより、死角部分が発生することなくマルチタッチを検知できる。
【0019】
枠体34の内側に形成されている開口部34aの寸法は、表示面25の少なくとも操作部28および表示部29を含む有効表示領域を開口部34aを通じて視認できる寸法とされている。
【0020】
なお、入力手段19としては、透明板33を用いず、ディスプレイ24の表示面25上に枠体34を配置してもよい。
【0021】
また、スイッチユニット20は、複数のスイッチ40が設けられたシートスイッチ41を有している。このシートスイッチ41は、シート状に薄く形成されていて、透明板33の表面に配置され、つまり、表示面25上の領域に配置されている。シートスイッチ41は表示面25のフェーダ26の表示領域より前側に配置され、各フェーダ26の位置毎に対とする2つのスイッチ40が前後に並んで配置されている。
【0022】
スイッチ40は、そのスイッチ40の周辺のシート表面より突出されており、所定の押圧力で押動されることにより電気的または機械的に反応してスイッチ操作信号が出るように構成され、操作者の指がスイッチ40に軽く触れただけでは反応しない構成となっている。
【0023】
そして、スイッチ40は、シート表面より突出されており、指がスイッチ40に触れることで、スイッチ40の位置を認識することができるため、このスイッチ40自体がこのスイッチ40を操作入力するための待機位置を案内する待機位置案内部42として構成されている。
【0024】
シートスイッチ41の一部には端子部が形成されており、この端子部が枠体34の外側に引き出されて筐体11内に配置される制御部に電気的に接続される。
【0025】
また、案内部材21は、例えばガラスまたは樹脂などの透明な材料で形成された矩形板状の案内パネル44を有している。この案内パネル44は、枠体34の開口部34aに配置可能とする外形寸法に形成され、透明板33の表面に配置されている。案内パネル44と透明板33との間にはシートスイッチ41が挟み込まれる。
【0026】
案内パネル44の厚み寸法は、透明板33の表面から赤外線35の通過高さまでの寸法より薄く形成されている。そのため、案内パネル44は、透明板33の表面に配置されるが、赤外線35を遮ることはない。
【0027】
案内パネル44には、表示面25に表示された複数のフェーダ26の位置およびシートスイッチ41のスイッチ40の位置に対応して操作入力案内部45としての孔部46,47が貫通形成されている。孔部46,47の孔幅は、指を挿入して透明板33またはスイッチ40に触れることが可能な寸法に設定されている。フェーダ26に対応した孔部46は、フェーダ26を操作入力する領域(表示面25におけるフェーダ26の表示領域)に沿って長孔状に形成されている。スイッチ40に対応した孔部47は、対とする2つのスイッチ40に亘って長孔状に形成されている。
【0028】
なお、案内部材21の寸法は、少なくとも操作部28およびスイッチ40を覆う大きさであればよい。また、案内部材21は、表示面25に表示する表示画像の種類に応じて取り換え可能としてもよい。
【0029】
さらに、フェーダ26および案内部材21の操作入力案内部45は、10個以上が好ましいが、操作者が両手で操作することを想定すれば、8個以上(両手の親指以外の8本の指に対応)であればよい。
【0030】
また、筐体11の本体部14内には、調光操作卓10を制御する制御手段50、および調光操作卓10に所定電源を供給する電源部などが配置されている。
【0031】
制御手段50は、ディスプレイ24およびマルチタッチパネル32を制御し、マルチタッチパネル32およびシートスイッチ41から信号を入力する。
【0032】
そして、制御手段50は、マルチタッチパネル32で検知された操作入力の位置に応じて操作部28に対する操作入力を判定するとともに、フェーダ26に対する操作入力の判定により調光レベルを調整する機能を有している。さらに、各スイッチ40の位置でのマルチタッチパネル32による操作入力の判定を無効とする機能を有している。
【0033】
また、調光操作卓10は、複数の照明装置を制御する調光制御盤にケーブルなどで接続される有線接続により、あるいは無線接続により、調光制御盤に調光信号を出力する。
【0034】
次に、調光操作卓10の動作を説明する。
【0035】
調光操作卓10の表示面25には、複数のフェーダ26、複数の照明装置の点灯状態や各種情報を表示する複数の表示部29が表示される。
【0036】
そして、フェーダ26を操作する場合には、操作者の指を案内パネル44の孔部46に挿入し、フェーダ26に沿って指を動かす。
【0037】
操作者の指を案内パネル44の孔部46に挿入することにより、指でマルチタッチパネル32の赤外線35を遮るため、制御手段50によって表示面25上の指の位置を判定し、その判定した指の位置に対応して表示面25に表示しているフェーダ26を特定する。
【0038】
操作者の指をフェーダ26に沿って動かすことにより、指でマルチタッチパネル32の赤外線35を遮る位置が移動するため、制御手段50によって指の位置および指をフェーダ26に沿って動かしている方向を判定し、その判定した指の位置および指をフェーダ26に沿って動かしている方向に対応して操作入力される調光レベルを特定する。
【0039】
制御手段50は、フェーダ26に対する調光レベルの操作入力に対応して、表示面25で表示しているフェーダ26のバー表示26aを変更するとともに、変更した調光信号を調光制御盤に出力する。これにより、調光制御盤を通じて照明装置の調光レベルが制御される。
【0040】
また、マルチタッチパネル32は複数点同時に操作入力される位置を検知可能であるため、操作者の複数の指を案内パネル44の複数の孔部46に挿入し、複数のフェーダ26に沿って複数の指を動かした場合にも、制御手段50によって複数の指の位置および複数の指を複数のフェーダ26に沿って動かしている方向をそれぞれ判定できるため、複数のフェーダ26を同時に操作入力できる。例えば、操作者の両手の全ての指を使用し、10個のフェーダ26を同時に操作入力することができ、あるいは、複数の操作者の指を使用し、10個以上のフェーダ26を同時に操作入力することができる。
【0041】
また、操作者の指を案内パネル44にあけられた孔部46に挿入するため、フェーダ26の位置を容易に認識することができる。さらに、孔部46がフェーダ26に沿って長孔状に形成されているため、指をフェーダ26に沿って動かす際に、孔部46の内縁によって指の移動を案内し、指がフェーダ26から外れるのを防止することができる。そのため、操作者が手元を見ずに、照明空間を映し出すモニターなどで照明状態を確認しながらでも、フェーダ26を確実に操作することができる。
【0042】
また、スイッチ40を操作する場合には、操作者の指を案内パネル44の孔部47に挿入してスイッチ40に軽く触れる。このとき、制御手段50は、スイッチ40の位置でのマルチタッチパネル32による操作入力の判定を無効としているため、指がスイッチ40に軽く触れただけでは反応することはない。そして、指によってスイッチ40を所定の押圧力で押動することにより、スイッチ40が電気的または機械的に反応してスイッチ操作信号を出力するため、制御手段50がスイッチ40の操作を判定し、対応する信号を調光制御盤に出力する。
【0043】
スイッチ40は、シート表面より突出されており、指がスイッチ40に触れることで、スイッチ40の位置を認識することができる。そのため、操作者が手元を見ずに、照明空間を映し出すモニターなどで照明状態を確認しながらでも、スイッチ40を操作することができる。
【0044】
また、表示面25のスイッチ27などの操作部28に対して指を操作することにより、指でマルチタッチパネル32の赤外線35を遮り、制御手段50によって表示面25上の指の位置を判定し、その判定した指の位置に対応して表示面25に表示しているスイッチ27などの操作部28を特定し、特定した操作部28の操作に対応する制御を行う。
【0045】
このように、本実施形態の調光操作卓10によれば、表示手段18の表示面25で調光用の複数のフェーダ26を含む複数の操作部28を表示し、表示面25の操作部28に対して複数点同時に操作入力される位置を入力手段19で検知可能とするため、機械操作式フェーダを用いた機械操作式調光操作卓に代替可能なタッチパネル方式の調光操作卓10を提供することができる。
【0046】
また、表示面25上の領域に、操作部28に対して操作入力する位置を案内する操作入力案内部45を設けているため、操作部28に対する操作入力を容易にできるとともに誤操作の発生を防止できる。
【0047】
また、表示面25上の領域にスイッチ40を配置し、このスイッチ40の位置での入力手段19による操作入力の判定を無効とするため、マルチタッチパネル32の表示面25上で別のスイッチ40を併用して操作入力することができ、調光操作卓10の操作入力の自由度を高めることができる。
【0048】
ところで、実際の運用では、従前の調光操作卓において、使用する全ての明かりの状態を制御する信号データを予め複数記憶させておき、状況に応じて次に仕込まれた明かりの制御データを出力するが、そのときにタイミングを取るために機械操作式スイッチに指を載せて待機し、タイミングをみて機械操作式スイッチを押し込む作業を繰り返している。しかしながら、タッチパネル方式の場合、指をタッチパネルに表示したスイッチに近付けた時点または触れた時点で反応してしまうことになる。タイミングをとるために目線は照明空間を映し出すモニターに向いているため、タッチパネルの決められた位置の空中に指を浮かせて待機することは非常に困難である。
【0049】
そこで、本実施形態では、マルチタッチパネル32において、スイッチ40を有するシートスイッチ41を表示面25上の領域に配置している。このシートスイッチ41のスイッチ40は、シート表面より突出しており、指がスイッチ40に触れることで、スイッチ40の位置を認識することができるため、このスイッチ40自体がこのスイッチ40を操作入力するための待機位置を案内する待機位置案内部42として構成されている。そのため、操作者は、指をスイッチ40上に軽く載せたまま待機することができ、手元を見ずに、照明空間を映し出すモニターで照明状態を確認しながら、スイッチ40を操作することができる。なお、上述したように、このスイッチ40の位置での入力手段19による操作入力の判定は無効としている。
【0050】
さらに、マルチタッチパネル32において、スイッチを操作するための指の待機位置を案内する待機位置案内部42を備えた第2ないし第5の実施形態を図5ないし図8に示す。なお、第1の実施形態と同じ構成については、同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0051】
図5に示す第2の実施形態では、マルチタッチパネル32上で赤外線35の通過位置より上方に支持板60が配置され、この支持板60に可動操作部61が上下方向に移動可能に取り付けられているとともにばねで上方に付勢されている。この可動操作部61の上部が待機位置案内部42として構成されている。
【0052】
そして、通常は、可動操作部61がばねの付勢で上方に移動し、可動操作部61で赤外線35を遮ることがない。操作者は、指を可動操作部61の待機位置案内部42上に軽く載せることにより、指で待機位置案内部42の位置を認識でき、その状態で可動操作部61(スイッチ)の操作に待機できる。指で可動操作部61をばねの付勢に抗して下方へ押し込むことにより、可動操作部61で赤外線35を遮るため、制御手段50でスイッチを操作したことを特定できる。
【0053】
また、図6に示す第3の実施形態では、支持板60の下面に蝶番63で可動操作部61が取り付けられているとともにばねで上方へ揺動するように付勢されている。可動操作部61には、支持板60に形成されている開口部から上方に突出する待機位置案内部42が設けられている。
【0054】
そして、通常は、可動操作部61がばねの付勢で上方に揺動し、可動操作部61で赤外線35を遮ることがない。操作者は、指を可動操作部61の待機位置案内部42上に軽く載せることにより、指で待機位置案内部42の位置を認識でき、その状態で可動操作部61(スイッチ)の操作に待機できる。指で可動操作部61をばねの付勢に抗して下方へ押し込むことにより、可動操作部61で赤外線35を遮るため、制御手段50でスイッチを操作したことを特定できる。
【0055】
また、図7に示す第4の実施形態では、支持板60の下面に蝶番63で可動操作部61が取り付けられているとともにばねで上方へ揺動するように付勢されている。可動操作部61は、断面略扇状で、ばねの付勢により、支持板60に形成された開口部から支持板60の上方へ突出される。可動操作部61には、支持板60に形成されている開口部から上方に突出する待機位置案内部42が設けられている。
【0056】
そして、通常は、可動操作部61がばねの付勢で上方に揺動し、可動操作部61で赤外線35を遮ることがない。操作者は、指を可動操作部61の待機位置案内部42上に軽く触れることにより、指で待機位置案内部42の位置を認識でき、その状態で可動操作部61(スイッチ)の操作に待機できる。指で可動操作部61をばねの付勢に抗して下方へ揺動させることにより、可動操作部61で赤外線35を遮るため、制御手段50でスイッチを操作したことを特定できる。
【0057】
このように、図5、図6および図7の各実施形態では、マルチタッチパネル32の表示面25上の領域に可動操作部61を配置することにより、可動操作部61(スイッチ)を操作するための待機位置を認識できるため、操作者が手元を見ずに、照明空間を映し出すモニターで照明状態を確認しながら、スイッチ操作ができる。
【0058】
また、図8に示す第5の実施形態では、支持板60に指を挿入可能とする挿入孔65が設けられている。挿入孔65の縁が待機位置案内部42として構成されている。
【0059】
そして、操作者は、指を挿入孔65に深く挿入せずに、挿入孔65の縁に配置することにより、指で挿入孔65の縁である待機位置案内部42の位置を認識でき、この状態で可動操作部61(スイッチ)の操作に待機できる。指を挿入孔65に挿入することにより、指で赤外線35を遮り、制御手段50でスイッチを操作したことを特定できる。
【0060】
このように、マルチタッチパネル32の表示面25上の領域に、操作部28に対して操作入力するための待機位置を案内する待機位置案内部42を配置するため、操作者が手元を見ずに、照明空間を映し出すモニターで照明状態を確認しながら、スイッチ操作ができる。
【0061】
また、図9に第6の実施形態を示す。なお、前記実施形態と同じ構成については、同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0062】
支持板60上に機械操作式フェーダ操作部と同様のフェーダ操作部67が配置されている。フェーダ操作部67の下面には赤外線35を遮光するスライド部68が突出され、このスライド部68が支持板60にフェーダ操作方向に沿って長孔状に形成されたスライド溝69を貫通されている。フェーダ操作部67が待機位置案内部42として構成されている。
【0063】
そして、操作者は、指をフェーダ操作部67に置いて前後方向にスライドさせる。フェーダ操作部67と一体にスライドするスライド部68により赤外線35を遮光する位置が移動するため、制御手段50によってスライド部68の位置および動かしている方向を判定し、その判定したスライド部68の位置および動かしている方向に対応して操作入力される調光レベルを特定する。
【0064】
このように、フェーダ操作部67を用いることにより、機械操作式フェーダと同様の感覚で操作することができる。
【0065】
なお、マルチタッチパネル32には、赤外線遮光式の他、例えば、静電容量式、三角測量式、カメラ式、表面弾性波式、抵抗膜式などのいずれを用いてもよい。これらのうち、複数点同時に操作入力される位置を検知することができる点で静電容量式が好ましい。この静電容量式は、パネル面に透明な電極を縦方向、横方向の格子状に配線し、指が触れた際に発生する静電容量の変化を計算して位置を検知する。
【0066】
また、例えば表面弾性波式など、パネル面に触れることで検知するマルチタッチパネル32の場合において、上述した図5ないし図7の実施形態の可動操作部61を用いるには、可動操作部61を操作した際に、可動操作部61がパネル面に接触するようにすればよい。
【0067】
また、操作入力案内部45は、孔部46,47に限らず、凹部、窪み、あるいは突条、突起などのいずれでもよく、いずれの場合にも操作性を良好にできる。また、リング状のフェーダの場合には、操作入力案内部45をリング状の孔部、凹部、窪み、あるいは突条、突起などに設ければよい。
【0068】
なお、運用形態や操作者の好みに合わせて、表示面25に表示するレイアウトを切り替えて使用することができるし、新たな操作パネル機能の追加が、基本的にはソフトウェアの追加、更新だけで実現できるため、長期に亘って少ない予算で効果的に機能の追加、改善を行うことができる。
【0069】
また、ディスプレイ24に複数の機械操作式調光操作卓のパネルレイアウトを表示することもでき、1台の調光操作卓10で複数の種類の機械操作式調光操作卓のバックアップとして使用できる。例えば、1つのテレビ局や会館などに複数の機械操作式調光操作卓が入っていても、1台の調光操作卓10だけで対応可能となったり、別の機械操作式調光操作卓での機能を擬似的に使用することができる。
【0070】
また、ディスプレイ24とマルチタッチパネル32を主とした構成であるので、大型の機械操作式調光操作卓と同じ機能でありながら、例えば、移動式のワゴンに乗せて移動させることができる。
【0071】
テレビ局などで大道具などの影になって照明の仕込みが実施しにくい場所があるが、その場所までケーブル付の調光操作卓を移動させるのは大変である。そこで、調光操作卓10がバッテリ、および調光制御盤に接続された通信機器と通信する通信手段を備えることにより、調光操作卓10を移動させて容易に調光操作できる。
【0072】
なお、表示面25の画面にテレビカメラ等から撮影した照明空間の映像を表示することにより、表示面25から目線を離さずに、フェーダ26などを操作することができる。
【0073】
また、操作装置として調光操作卓10について説明したが、例えば音響機器のイコライザなどにも適用でき、各種の操作装置に適用できる。
【符号の説明】
【0074】
10 操作装置としての調光操作卓
18 表示手段
19 入力手段
25 表示面
26 フェーダ
28 操作部
40 スイッチ
45 操作入力案内部
50 制御手段
61 可動操作部
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル方式の調光操作卓および操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタジオや劇場などに設置されている複数の照明装置の調光を操作するために機械操作式調光操作卓が用いられている。この機械操作式調光操作卓は、多数の照明装置の調光レベルをそれぞれ操作する多数の機械操作式フェーダなどの操作部を備えており、照明演出に対応して多数の機械操作式フェーダを同時に操作する場合もある。
【0003】
また、タッチパネル方式を用いた小型で可般できる調光操作端末がある。この調光操作端末は、ディスプレイでフェーダを表示し、指をフェーダの表示部分にタッチして画面上を移動させることにより、調光レベルを調整するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。ただし、1点でしか操作入力することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−103126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の機械操作式調光操作卓では、機械操作式フェーダなどを用いているため、機械操作式フェーダなどへの塵埃の侵入や経年変化などによって機械的な故障が発生するおそれがある。
【0006】
また、タッチパネル方式の調光操作端末があるが、小型であるとともに1点でしか操作入力することができないため、実際の機械操作式調光操作卓の使用状況のように多数のフェーダを同時に操作することはできず、機械操作式調光操作卓の代替にはならない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、機械操作式調光操作卓と同様に使用可能なタッチパネル方式の調光操作卓、およびタッチパネル方式の操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の調光操作卓は、表示手段、入力手段および制御手段を備える。表示手段は、調光用の複数のフェーダを含む複数の操作部が表示される表示面を有する。入力手段は、表示面の操作部に対して複数点同時に操作入力される位置を検知可能とする。制御手段は、入力手段で検知された操作入力の位置に応じて操作部に対する操作入力を判定するとともに、フェーダに対する操作入力の判定により調光レベルを調整する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の調光操作卓によれば、表示手段の表示面で調光用の複数のフェーダを含む複数の操作部を表示し、表示面の操作部に対して複数点同時に操作入力される位置を入力手段で検知可能とするため、機械操作式調光操作卓と同様に使用可能なタッチパネル方式の調光操作卓を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態を示す調光操作卓の正面図である。
【図2】同上調光操作卓の側面図である。
【図3】同上調光操作卓の入力手段の断面図である。
【図4】同上調光操作卓の表示面に表示する表示画像の説明図である。
【図5】第2の実施形態を示す調光操作卓の入力手段の断面図である。
【図6】第3の実施形態を示す調光操作卓の入力手段の断面図である。
【図7】第4の実施形態を示す調光操作卓の入力手段の断面図である。
【図8】第5の実施形態を示す調光操作卓の入力手段の断面図である。
【図9】第6の実施形態を示す調光操作卓の入力手段の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、第1の実施形態を、図1ないし図4を参照して説明する。
【0012】
図1および図2に、スタジオや劇場などに設置されている複数の照明装置の調光状態を操作する操作装置としての調光操作卓10を示す。この調光操作卓10は、筐体11を有し、筐体11の上側には矩形状の開口部12を有する枠部13が形成され、枠部13の下側には本体部14が形成されている。本体部14の下面には、机面などに調光操作卓10を設置するための複数の脚部15が取り付けられている。そして、筐体11の上面は、操作者側である前側に向けて下降傾斜されている。
【0013】
筐体11の枠部13内には、表示手段18が配置されているとともに、この表示手段18上に入力手段19、スイッチユニット20および案内部材21がそれぞれ配置されている。
【0014】
表示手段18は、例えば液晶表示装置などの大型で平面形のディスプレイ24が用いられている。このディスプレイ24の表示画像を表示する平面状の表示面25が、筐体11の開口部12に対向されている。
【0015】
表示面25に表示する表示画像の一例を図4に示す。表示面25には、複数の照明装置の調光レベルを操作するための複数のフェーダ26やスイッチ27などの複数の操作部28が表示されているとともに、複数の照明装置の点灯状態や各種情報を表示する複数の表示部29が表示されている。複数のフェーダ26は、左右方向に並んで表示されるとともに左右に2つの群に分かれて表示されている。各フェーダ26には、調光レベルに応じて例えば前側を基準として後側に向けて表示数が変化する複数のバー表示26aが前後方向に沿って表示されている。
【0016】
また、入力手段19は、複数点同時に指などで操作入力される位置を検知可能とするマルチタッチパネル32が用いられている。本実施形態では、赤外線遮光式のマルチタッチパネル32を用いた例について説明する。
【0017】
マルチタッチパネル32は、例えばガラスまたは樹脂などの透明な材料で形成された矩形板状の透明板33、およびこの透明板33の表面(上面)の4辺に沿って配置された矩形枠状の枠体34を有している。枠体34の4辺のうち、一方の隣接した2辺(例えば右側の辺と前側の辺)には検知光としての赤外線35を照射する複数の発光部36が辺に沿って配置され、他方の隣接した2辺(例えば左側の辺と後側の辺)に発光部36から照射された赤外線35を受光する複数の受光部37が辺に沿って配置されている。
【0018】
図3に示すように、発光部36から照射する赤外線35は、透明板33の表面(ディスプレイ24の表示面25)から所定距離だけ離れた位置を、透明板33の表面(ディスプレイ24の表示面25)と平行に照射される。なお、互いに対向する発光部36と受光部37との間で赤外線35を投受光する投受光方式では、マルチタッチしたときに検知できない死角部分が発生する場合もあるが、調光操作卓10の操作上、死角部分を使用しない場合には、この投受光方式を使用しても構わない。また、死角部分を無くす場合には、発光部36から扇状に赤外線35を照射して複数の受光部37で順次受光するようにスキャンし、これを全ての発光部36において順次行うことにより、死角部分が発生することなくマルチタッチを検知できる。
【0019】
枠体34の内側に形成されている開口部34aの寸法は、表示面25の少なくとも操作部28および表示部29を含む有効表示領域を開口部34aを通じて視認できる寸法とされている。
【0020】
なお、入力手段19としては、透明板33を用いず、ディスプレイ24の表示面25上に枠体34を配置してもよい。
【0021】
また、スイッチユニット20は、複数のスイッチ40が設けられたシートスイッチ41を有している。このシートスイッチ41は、シート状に薄く形成されていて、透明板33の表面に配置され、つまり、表示面25上の領域に配置されている。シートスイッチ41は表示面25のフェーダ26の表示領域より前側に配置され、各フェーダ26の位置毎に対とする2つのスイッチ40が前後に並んで配置されている。
【0022】
スイッチ40は、そのスイッチ40の周辺のシート表面より突出されており、所定の押圧力で押動されることにより電気的または機械的に反応してスイッチ操作信号が出るように構成され、操作者の指がスイッチ40に軽く触れただけでは反応しない構成となっている。
【0023】
そして、スイッチ40は、シート表面より突出されており、指がスイッチ40に触れることで、スイッチ40の位置を認識することができるため、このスイッチ40自体がこのスイッチ40を操作入力するための待機位置を案内する待機位置案内部42として構成されている。
【0024】
シートスイッチ41の一部には端子部が形成されており、この端子部が枠体34の外側に引き出されて筐体11内に配置される制御部に電気的に接続される。
【0025】
また、案内部材21は、例えばガラスまたは樹脂などの透明な材料で形成された矩形板状の案内パネル44を有している。この案内パネル44は、枠体34の開口部34aに配置可能とする外形寸法に形成され、透明板33の表面に配置されている。案内パネル44と透明板33との間にはシートスイッチ41が挟み込まれる。
【0026】
案内パネル44の厚み寸法は、透明板33の表面から赤外線35の通過高さまでの寸法より薄く形成されている。そのため、案内パネル44は、透明板33の表面に配置されるが、赤外線35を遮ることはない。
【0027】
案内パネル44には、表示面25に表示された複数のフェーダ26の位置およびシートスイッチ41のスイッチ40の位置に対応して操作入力案内部45としての孔部46,47が貫通形成されている。孔部46,47の孔幅は、指を挿入して透明板33またはスイッチ40に触れることが可能な寸法に設定されている。フェーダ26に対応した孔部46は、フェーダ26を操作入力する領域(表示面25におけるフェーダ26の表示領域)に沿って長孔状に形成されている。スイッチ40に対応した孔部47は、対とする2つのスイッチ40に亘って長孔状に形成されている。
【0028】
なお、案内部材21の寸法は、少なくとも操作部28およびスイッチ40を覆う大きさであればよい。また、案内部材21は、表示面25に表示する表示画像の種類に応じて取り換え可能としてもよい。
【0029】
さらに、フェーダ26および案内部材21の操作入力案内部45は、10個以上が好ましいが、操作者が両手で操作することを想定すれば、8個以上(両手の親指以外の8本の指に対応)であればよい。
【0030】
また、筐体11の本体部14内には、調光操作卓10を制御する制御手段50、および調光操作卓10に所定電源を供給する電源部などが配置されている。
【0031】
制御手段50は、ディスプレイ24およびマルチタッチパネル32を制御し、マルチタッチパネル32およびシートスイッチ41から信号を入力する。
【0032】
そして、制御手段50は、マルチタッチパネル32で検知された操作入力の位置に応じて操作部28に対する操作入力を判定するとともに、フェーダ26に対する操作入力の判定により調光レベルを調整する機能を有している。さらに、各スイッチ40の位置でのマルチタッチパネル32による操作入力の判定を無効とする機能を有している。
【0033】
また、調光操作卓10は、複数の照明装置を制御する調光制御盤にケーブルなどで接続される有線接続により、あるいは無線接続により、調光制御盤に調光信号を出力する。
【0034】
次に、調光操作卓10の動作を説明する。
【0035】
調光操作卓10の表示面25には、複数のフェーダ26、複数の照明装置の点灯状態や各種情報を表示する複数の表示部29が表示される。
【0036】
そして、フェーダ26を操作する場合には、操作者の指を案内パネル44の孔部46に挿入し、フェーダ26に沿って指を動かす。
【0037】
操作者の指を案内パネル44の孔部46に挿入することにより、指でマルチタッチパネル32の赤外線35を遮るため、制御手段50によって表示面25上の指の位置を判定し、その判定した指の位置に対応して表示面25に表示しているフェーダ26を特定する。
【0038】
操作者の指をフェーダ26に沿って動かすことにより、指でマルチタッチパネル32の赤外線35を遮る位置が移動するため、制御手段50によって指の位置および指をフェーダ26に沿って動かしている方向を判定し、その判定した指の位置および指をフェーダ26に沿って動かしている方向に対応して操作入力される調光レベルを特定する。
【0039】
制御手段50は、フェーダ26に対する調光レベルの操作入力に対応して、表示面25で表示しているフェーダ26のバー表示26aを変更するとともに、変更した調光信号を調光制御盤に出力する。これにより、調光制御盤を通じて照明装置の調光レベルが制御される。
【0040】
また、マルチタッチパネル32は複数点同時に操作入力される位置を検知可能であるため、操作者の複数の指を案内パネル44の複数の孔部46に挿入し、複数のフェーダ26に沿って複数の指を動かした場合にも、制御手段50によって複数の指の位置および複数の指を複数のフェーダ26に沿って動かしている方向をそれぞれ判定できるため、複数のフェーダ26を同時に操作入力できる。例えば、操作者の両手の全ての指を使用し、10個のフェーダ26を同時に操作入力することができ、あるいは、複数の操作者の指を使用し、10個以上のフェーダ26を同時に操作入力することができる。
【0041】
また、操作者の指を案内パネル44にあけられた孔部46に挿入するため、フェーダ26の位置を容易に認識することができる。さらに、孔部46がフェーダ26に沿って長孔状に形成されているため、指をフェーダ26に沿って動かす際に、孔部46の内縁によって指の移動を案内し、指がフェーダ26から外れるのを防止することができる。そのため、操作者が手元を見ずに、照明空間を映し出すモニターなどで照明状態を確認しながらでも、フェーダ26を確実に操作することができる。
【0042】
また、スイッチ40を操作する場合には、操作者の指を案内パネル44の孔部47に挿入してスイッチ40に軽く触れる。このとき、制御手段50は、スイッチ40の位置でのマルチタッチパネル32による操作入力の判定を無効としているため、指がスイッチ40に軽く触れただけでは反応することはない。そして、指によってスイッチ40を所定の押圧力で押動することにより、スイッチ40が電気的または機械的に反応してスイッチ操作信号を出力するため、制御手段50がスイッチ40の操作を判定し、対応する信号を調光制御盤に出力する。
【0043】
スイッチ40は、シート表面より突出されており、指がスイッチ40に触れることで、スイッチ40の位置を認識することができる。そのため、操作者が手元を見ずに、照明空間を映し出すモニターなどで照明状態を確認しながらでも、スイッチ40を操作することができる。
【0044】
また、表示面25のスイッチ27などの操作部28に対して指を操作することにより、指でマルチタッチパネル32の赤外線35を遮り、制御手段50によって表示面25上の指の位置を判定し、その判定した指の位置に対応して表示面25に表示しているスイッチ27などの操作部28を特定し、特定した操作部28の操作に対応する制御を行う。
【0045】
このように、本実施形態の調光操作卓10によれば、表示手段18の表示面25で調光用の複数のフェーダ26を含む複数の操作部28を表示し、表示面25の操作部28に対して複数点同時に操作入力される位置を入力手段19で検知可能とするため、機械操作式フェーダを用いた機械操作式調光操作卓に代替可能なタッチパネル方式の調光操作卓10を提供することができる。
【0046】
また、表示面25上の領域に、操作部28に対して操作入力する位置を案内する操作入力案内部45を設けているため、操作部28に対する操作入力を容易にできるとともに誤操作の発生を防止できる。
【0047】
また、表示面25上の領域にスイッチ40を配置し、このスイッチ40の位置での入力手段19による操作入力の判定を無効とするため、マルチタッチパネル32の表示面25上で別のスイッチ40を併用して操作入力することができ、調光操作卓10の操作入力の自由度を高めることができる。
【0048】
ところで、実際の運用では、従前の調光操作卓において、使用する全ての明かりの状態を制御する信号データを予め複数記憶させておき、状況に応じて次に仕込まれた明かりの制御データを出力するが、そのときにタイミングを取るために機械操作式スイッチに指を載せて待機し、タイミングをみて機械操作式スイッチを押し込む作業を繰り返している。しかしながら、タッチパネル方式の場合、指をタッチパネルに表示したスイッチに近付けた時点または触れた時点で反応してしまうことになる。タイミングをとるために目線は照明空間を映し出すモニターに向いているため、タッチパネルの決められた位置の空中に指を浮かせて待機することは非常に困難である。
【0049】
そこで、本実施形態では、マルチタッチパネル32において、スイッチ40を有するシートスイッチ41を表示面25上の領域に配置している。このシートスイッチ41のスイッチ40は、シート表面より突出しており、指がスイッチ40に触れることで、スイッチ40の位置を認識することができるため、このスイッチ40自体がこのスイッチ40を操作入力するための待機位置を案内する待機位置案内部42として構成されている。そのため、操作者は、指をスイッチ40上に軽く載せたまま待機することができ、手元を見ずに、照明空間を映し出すモニターで照明状態を確認しながら、スイッチ40を操作することができる。なお、上述したように、このスイッチ40の位置での入力手段19による操作入力の判定は無効としている。
【0050】
さらに、マルチタッチパネル32において、スイッチを操作するための指の待機位置を案内する待機位置案内部42を備えた第2ないし第5の実施形態を図5ないし図8に示す。なお、第1の実施形態と同じ構成については、同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0051】
図5に示す第2の実施形態では、マルチタッチパネル32上で赤外線35の通過位置より上方に支持板60が配置され、この支持板60に可動操作部61が上下方向に移動可能に取り付けられているとともにばねで上方に付勢されている。この可動操作部61の上部が待機位置案内部42として構成されている。
【0052】
そして、通常は、可動操作部61がばねの付勢で上方に移動し、可動操作部61で赤外線35を遮ることがない。操作者は、指を可動操作部61の待機位置案内部42上に軽く載せることにより、指で待機位置案内部42の位置を認識でき、その状態で可動操作部61(スイッチ)の操作に待機できる。指で可動操作部61をばねの付勢に抗して下方へ押し込むことにより、可動操作部61で赤外線35を遮るため、制御手段50でスイッチを操作したことを特定できる。
【0053】
また、図6に示す第3の実施形態では、支持板60の下面に蝶番63で可動操作部61が取り付けられているとともにばねで上方へ揺動するように付勢されている。可動操作部61には、支持板60に形成されている開口部から上方に突出する待機位置案内部42が設けられている。
【0054】
そして、通常は、可動操作部61がばねの付勢で上方に揺動し、可動操作部61で赤外線35を遮ることがない。操作者は、指を可動操作部61の待機位置案内部42上に軽く載せることにより、指で待機位置案内部42の位置を認識でき、その状態で可動操作部61(スイッチ)の操作に待機できる。指で可動操作部61をばねの付勢に抗して下方へ押し込むことにより、可動操作部61で赤外線35を遮るため、制御手段50でスイッチを操作したことを特定できる。
【0055】
また、図7に示す第4の実施形態では、支持板60の下面に蝶番63で可動操作部61が取り付けられているとともにばねで上方へ揺動するように付勢されている。可動操作部61は、断面略扇状で、ばねの付勢により、支持板60に形成された開口部から支持板60の上方へ突出される。可動操作部61には、支持板60に形成されている開口部から上方に突出する待機位置案内部42が設けられている。
【0056】
そして、通常は、可動操作部61がばねの付勢で上方に揺動し、可動操作部61で赤外線35を遮ることがない。操作者は、指を可動操作部61の待機位置案内部42上に軽く触れることにより、指で待機位置案内部42の位置を認識でき、その状態で可動操作部61(スイッチ)の操作に待機できる。指で可動操作部61をばねの付勢に抗して下方へ揺動させることにより、可動操作部61で赤外線35を遮るため、制御手段50でスイッチを操作したことを特定できる。
【0057】
このように、図5、図6および図7の各実施形態では、マルチタッチパネル32の表示面25上の領域に可動操作部61を配置することにより、可動操作部61(スイッチ)を操作するための待機位置を認識できるため、操作者が手元を見ずに、照明空間を映し出すモニターで照明状態を確認しながら、スイッチ操作ができる。
【0058】
また、図8に示す第5の実施形態では、支持板60に指を挿入可能とする挿入孔65が設けられている。挿入孔65の縁が待機位置案内部42として構成されている。
【0059】
そして、操作者は、指を挿入孔65に深く挿入せずに、挿入孔65の縁に配置することにより、指で挿入孔65の縁である待機位置案内部42の位置を認識でき、この状態で可動操作部61(スイッチ)の操作に待機できる。指を挿入孔65に挿入することにより、指で赤外線35を遮り、制御手段50でスイッチを操作したことを特定できる。
【0060】
このように、マルチタッチパネル32の表示面25上の領域に、操作部28に対して操作入力するための待機位置を案内する待機位置案内部42を配置するため、操作者が手元を見ずに、照明空間を映し出すモニターで照明状態を確認しながら、スイッチ操作ができる。
【0061】
また、図9に第6の実施形態を示す。なお、前記実施形態と同じ構成については、同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0062】
支持板60上に機械操作式フェーダ操作部と同様のフェーダ操作部67が配置されている。フェーダ操作部67の下面には赤外線35を遮光するスライド部68が突出され、このスライド部68が支持板60にフェーダ操作方向に沿って長孔状に形成されたスライド溝69を貫通されている。フェーダ操作部67が待機位置案内部42として構成されている。
【0063】
そして、操作者は、指をフェーダ操作部67に置いて前後方向にスライドさせる。フェーダ操作部67と一体にスライドするスライド部68により赤外線35を遮光する位置が移動するため、制御手段50によってスライド部68の位置および動かしている方向を判定し、その判定したスライド部68の位置および動かしている方向に対応して操作入力される調光レベルを特定する。
【0064】
このように、フェーダ操作部67を用いることにより、機械操作式フェーダと同様の感覚で操作することができる。
【0065】
なお、マルチタッチパネル32には、赤外線遮光式の他、例えば、静電容量式、三角測量式、カメラ式、表面弾性波式、抵抗膜式などのいずれを用いてもよい。これらのうち、複数点同時に操作入力される位置を検知することができる点で静電容量式が好ましい。この静電容量式は、パネル面に透明な電極を縦方向、横方向の格子状に配線し、指が触れた際に発生する静電容量の変化を計算して位置を検知する。
【0066】
また、例えば表面弾性波式など、パネル面に触れることで検知するマルチタッチパネル32の場合において、上述した図5ないし図7の実施形態の可動操作部61を用いるには、可動操作部61を操作した際に、可動操作部61がパネル面に接触するようにすればよい。
【0067】
また、操作入力案内部45は、孔部46,47に限らず、凹部、窪み、あるいは突条、突起などのいずれでもよく、いずれの場合にも操作性を良好にできる。また、リング状のフェーダの場合には、操作入力案内部45をリング状の孔部、凹部、窪み、あるいは突条、突起などに設ければよい。
【0068】
なお、運用形態や操作者の好みに合わせて、表示面25に表示するレイアウトを切り替えて使用することができるし、新たな操作パネル機能の追加が、基本的にはソフトウェアの追加、更新だけで実現できるため、長期に亘って少ない予算で効果的に機能の追加、改善を行うことができる。
【0069】
また、ディスプレイ24に複数の機械操作式調光操作卓のパネルレイアウトを表示することもでき、1台の調光操作卓10で複数の種類の機械操作式調光操作卓のバックアップとして使用できる。例えば、1つのテレビ局や会館などに複数の機械操作式調光操作卓が入っていても、1台の調光操作卓10だけで対応可能となったり、別の機械操作式調光操作卓での機能を擬似的に使用することができる。
【0070】
また、ディスプレイ24とマルチタッチパネル32を主とした構成であるので、大型の機械操作式調光操作卓と同じ機能でありながら、例えば、移動式のワゴンに乗せて移動させることができる。
【0071】
テレビ局などで大道具などの影になって照明の仕込みが実施しにくい場所があるが、その場所までケーブル付の調光操作卓を移動させるのは大変である。そこで、調光操作卓10がバッテリ、および調光制御盤に接続された通信機器と通信する通信手段を備えることにより、調光操作卓10を移動させて容易に調光操作できる。
【0072】
なお、表示面25の画面にテレビカメラ等から撮影した照明空間の映像を表示することにより、表示面25から目線を離さずに、フェーダ26などを操作することができる。
【0073】
また、操作装置として調光操作卓10について説明したが、例えば音響機器のイコライザなどにも適用でき、各種の操作装置に適用できる。
【符号の説明】
【0074】
10 操作装置としての調光操作卓
18 表示手段
19 入力手段
25 表示面
26 フェーダ
28 操作部
40 スイッチ
45 操作入力案内部
50 制御手段
61 可動操作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調光用の複数のフェーダを含む複数の操作部が表示される表示面を有する表示手段と;
表示面の操作部に対して複数点同時に操作入力される位置を検知可能とする入力手段と;
入力手段で検知された操作入力の位置に応じて操作部に対する操作入力を判定するとともに、フェーダに対する操作入力の判定により調光レベルを調整する制御手段と;
を具備していることを特徴とする調光操作卓。
【請求項2】
表示面上の領域に設けられ、操作部に対して操作入力する位置を案内する操作入力案内部を具備している
ことを特徴とする請求項1記載の調光操作卓。
【請求項3】
表示面上の領域に配置され、表示面へ向けて移動するように操作可能とし、表示面へ向けた移動により入力手段が操作入力を検知する可動操作部を具備している
ことを特徴とする請求項1または2記載の調光操作卓。
【請求項4】
表示面上の領域に配置されたスイッチを具備し、
制御手段は、スイッチの位置での入力手段による操作入力の判定を無効とする
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の調光操作卓。
【請求項5】
バッテリと;
外部と無線通信する通信手段と;
を具備していることを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載の調光操作卓。
【請求項6】
複数の操作部が表示される表示面を有する表示手段と;
表示面の操作部に対して複数点同時に操作入力される位置を検知可能とする入力手段と;
入力手段で検知された操作入力の位置に応じて操作部に対する操作入力を判定する制御手段と;
表示面上の領域に設けられ、操作部に対して操作入力する位置を案内する操作入力案内部と;
を具備していることを特徴とする操作装置。
【請求項7】
表示面上の領域に配置され、表示面へ向けて移動するように操作可能とし、表示面へ向けた移動により入力手段が操作入力を検知する可動操作部を具備している
ことを特徴とする請求項6記載の操作装置。
【請求項8】
表示面上の領域に配置されたスイッチを具備し、
制御手段は、スイッチの位置での入力手段による操作入力の判定を無効とする
ことを特徴とする請求項6または7記載の操作装置。
【請求項1】
調光用の複数のフェーダを含む複数の操作部が表示される表示面を有する表示手段と;
表示面の操作部に対して複数点同時に操作入力される位置を検知可能とする入力手段と;
入力手段で検知された操作入力の位置に応じて操作部に対する操作入力を判定するとともに、フェーダに対する操作入力の判定により調光レベルを調整する制御手段と;
を具備していることを特徴とする調光操作卓。
【請求項2】
表示面上の領域に設けられ、操作部に対して操作入力する位置を案内する操作入力案内部を具備している
ことを特徴とする請求項1記載の調光操作卓。
【請求項3】
表示面上の領域に配置され、表示面へ向けて移動するように操作可能とし、表示面へ向けた移動により入力手段が操作入力を検知する可動操作部を具備している
ことを特徴とする請求項1または2記載の調光操作卓。
【請求項4】
表示面上の領域に配置されたスイッチを具備し、
制御手段は、スイッチの位置での入力手段による操作入力の判定を無効とする
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載の調光操作卓。
【請求項5】
バッテリと;
外部と無線通信する通信手段と;
を具備していることを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載の調光操作卓。
【請求項6】
複数の操作部が表示される表示面を有する表示手段と;
表示面の操作部に対して複数点同時に操作入力される位置を検知可能とする入力手段と;
入力手段で検知された操作入力の位置に応じて操作部に対する操作入力を判定する制御手段と;
表示面上の領域に設けられ、操作部に対して操作入力する位置を案内する操作入力案内部と;
を具備していることを特徴とする操作装置。
【請求項7】
表示面上の領域に配置され、表示面へ向けて移動するように操作可能とし、表示面へ向けた移動により入力手段が操作入力を検知する可動操作部を具備している
ことを特徴とする請求項6記載の操作装置。
【請求項8】
表示面上の領域に配置されたスイッチを具備し、
制御手段は、スイッチの位置での入力手段による操作入力の判定を無効とする
ことを特徴とする請求項6または7記載の操作装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−105593(P2013−105593A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247791(P2011−247791)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(509137087)株式会社TBSテレビ (3)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(509137087)株式会社TBSテレビ (3)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
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