説明

調光装置およびプロジェクター

【課題】遮光部材の端部間の離間距離を保持し、減光率を向上できる調光装置およびプロジェクターを提供する。
【解決手段】調光装置は、入射する光束を遮光して通過光量を調整する調光装置であって、光束の照明光軸OAを挟み、照明光軸OAに対して略垂直な方向に沿った回動軸52ax,52bxを有する一対の回動部50a,50bと、一対の回動部50a,50bに保持され、回動軸52ax,52bxに略平行に延びて形成され、回動部50a,50bの回動に従動して光束を遮光する一対の遮光部60a,60bと、を備え、通過光量が最も少なくなる状態において、一対の遮光部60a,60bの相対する照明光軸OA側の端部64a,64bは、照明光軸OA方向の位置がそれぞれ異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源装置から射出された光束を画像情報に応じて光変調装置で変調し、スクリーン等に画像光として投写するプロジェクターが知られている。このプロジェクターには、投写される画像の明るさに対応させて、光変調装置に入射させる光束の光量を調節する調光装置を備えたものがある。この調光装置を備えるプロジェクターは、高いダイナミックコントラストを得ることができる。
【0003】
特許文献1には、(a1)光源と、(a2)光源からの光束を部分的に遮蔽可能な遮光部と、(a3)遮光部を動作させる駆動機構とを有する(a)照明光学系と、(b)照明光学系からの照明光によって照明される光変調装置とを備え、(c)遮光部が、駆動機構に駆動されて所定の回動軸のまわりに回動することで遮蔽領域の大きさを変化させ、(d)遮光部が、回動時の遮蔽領域と非遮蔽領域との境界部に対応する先端側端部を有し、(e)先端側端部が、第1の領域と、遮光部の回動時に第1の領域より光源側に位置する第2の領域とを備え、(f)第1の領域が、先端側端部において、複数個所に分離しており、(g)第2の領域が、第1の領域の間に位置するプロジェクターが開示されている。この構成により、遮光量の変化を比較的なだらかなものにしつつ、最大遮蔽状態において照明光量を十分に下げることのできるプロジェクターを提供するこができるとしている。
【0004】
なお、特許文献1の一対の遮光部材は、射出される光束の光軸を基準として観音開き状に上下方向(または左右方向)に開閉することで照明装置から射出される光束の光量を調整している。そして、一対の遮光部材は、光量が最も少なくなる状態(遮光部材が閉じた状態)において、一対の遮光部材の光軸側の端部間に、一定の間隔(離間距離)を有するように設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−118322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
調光装置による減光率(光束を遮る割合)を向上させる場合、光量が最も少なくなる状態(遮光部材が閉じた状態)における遮光部材の端部間の離間距離を小さくすることが必要となる。
特許文献1のように光源からの光束を小レンズがマトリクス状に配置されたレンズアレイを用いて部分光束とされた光路下流側に遮光部が配置されている場合において、最大遮光状態における一対の遮光部の間の領域がレンズアレイの小レンズの中心を含まず境界およびその周辺領域である場合には、境界およびその周辺部分の光束の強度が中心に比べて低いため、離間距離が大きくても比較的高い減光率とすることができる。しかし、最大遮光状態における一対の遮光部の間の領域が光束の強度の高いレンズアレイの小レンズの中心を含んでいる場合には、特に離間距離を小さくしないと十分な減光率を得ることが難しいという課題がある。
しかし、この離間距離を小さくしたり無くしたりした場合には、遮光部材の加工精度や調光装置の組立て精度等のバラツキにより、遮光部材が互いに干渉してしまうという課題がある。
従って、遮光部材の端部間の離間距離を保持し、減光率を向上できる調光装置およびプロジェクターが要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係る調光装置は、入射する光束を遮光して通過光量を調整する調光装置であって、光束の光軸を挟み、光軸に対して略垂直な方向に沿った回動軸を有する一対の回動部と、一対の回動部に保持され、回動軸に略平行に延びて形成され、回動部の回動に従動して光束を遮光する一対の遮光部と、を備え、通過光量が最も少なくなる状態において、一対の遮光部の相対する光軸側の端部は、光軸方向の位置がそれぞれ異なることを特徴とする。
【0009】
このような調光装置によれば、一対の遮光部の相対する光軸側の端部の位置を、光軸方向でそれぞれ異ならせることにより、遮光部の光軸側の端部同士の離間距離を光軸方向で確保することができ、光軸に垂直となる面内における遮光部の端部同士の離間距離を小さくすることができる。これにより、遮光部の加工精度や調光装置の組立て精度のバラツキを許容できると共に、減光率を向上させることができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に係る調光装置において、一対の遮光部は、回動軸に略平行に延びて形成される第1遮光部材と、通過光量が最も少なくなる状態において、第1遮光部材の光軸側の端部から延出し、光軸側に曲折して形成される第2遮光部材と、を有し、第2遮光部材の相対する光軸側の端部は、光軸に沿う方向の位置がそれぞれ異なることが好ましい。
【0011】
このような調光装置によれば、第1遮光部材が、通過光量が最も少なくなる状態において、例えば、略平行で面同士も略同一面となるように形成されていても、第2遮光部材の相対する光軸側の端部の位置を、光軸方向でそれぞれ異ならせることにより、遮光部の加工精度や調光装置の組立て精度のバラツキを許容できると共に、減光率を向上させることができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に係る調光装置において、一方の第2遮光部材は、一方の第1遮光部材の光軸側の端部から光束の光路下流側に曲折するように形成され、他方の第2遮光部材は、他方の第1遮光部材の光軸側の端部から光束の光路上流側に曲折するように形成されていることが好ましい。
【0013】
このような調光装置によれば、一方の第2遮光部材は光路下流側に曲折するように形成され、他方の第2遮光部材は光路上流側に曲折するように形成されることにより、相対する光路側の端部の位置を、光軸方向でそれぞれ異ならせることができる。この構成によれば、第2遮光部材を簡易な形状で構成することができると共に、上記効果を奏する。
【0014】
[適用例4]上記適用例に係る調光装置において、一対の遮光部の光軸側の端部には、切欠き部が備えられていることが好ましい。
【0015】
このような調光装置によれば、通過光量変化を調整することができるため、通過光量の変化を緩やかにすることができるとともに、色むらの発生を抑制することができる。
【0016】
[適用例5]上記適用例に係る調光装置において、一対の遮光部は、それぞれ切欠き部の大きさおよび形状の少なくともいずれかが異なることが好ましい。
【0017】
このような調光装置によれば、相対する遮光部の光路側の端部の位置を光軸方向で異ならせることに対応させて、相対する切欠き部の大きさおよび形状の少なくともいずれかを異ならせることで、通過光量の変化を更に緩やかにすることができるとともに、更に色むらの発生を抑制することができる。
【0018】
[適用例6]本適用例に係るプロジェクターは、光束を射出する光源装置と、光束を画像信号に応じて変調して画像光を形成する光変調装置と、上述したいずれかの調光装置と、を備えることを特徴とする。
【0019】
このようなプロジェクターによれば、光源装置から射出された光束を、調光装置で減光率を向上させて調整することができ、調整された光束を光変調装置で画像信号に応じて変調して画像光を形成する。これにより、形成された画像光のダイナミックコントラストを従来よりも向上させることができる。また、調光装置の切欠き部により、通過光量の変化を緩やかにすることができるため、画像光の急激な明るさの変化を抑制すると共に、色むらを抑制することができる。
【0020】
[適用例7]上記適用例に係るプロジェクターにおいて、光源装置から射出された光束を部分光束に変換する複数の小レンズを備えたレンズアレイをさらに備え、調光装置はレンズアレイの光源装置とは反対側に配置され、光軸側から見て、通過光量が最も少なくなる状態において、一対の遮光部の光軸側端部の間の領域に、複数の小レンズのうち少なくとも1つの小レンズの中心が配置されていることが好ましい。
【0021】
このようなプロジェクターによれば、通過光量が最も少なくなる状態において、一対の遮光部の光軸側端部の間の領域にレンズアレイの光束の強度の高くなる小レンズの中心が配置されている場合にも、上述した調光装置により、光軸側の端部の位置を、光軸方向でそれぞれ異ならせることにより、遮光部の光軸側の端部同士の離間距離を光軸方向で確保することができため、光軸に垂直となる面内における遮光部の端部同士の離間距離を小さくすることができる。従って、通過光量が最も少なくなる状態において、一対の遮光部の光軸側端部の間の領域に、複数の小レンズのうち少なくとも1つの小レンズの中心が配置された場合にも、減光率を向上できるプロジェクターを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係るプロジェクターの概略構成を模式的に示す図。
【図2】調光装置の概略構成を示す図。
【図3】調光装置における遮光部の動作範囲を示す図。
【図4】第2実施形態に係る調光装置の遮光部の概略構成を模式的に示す図。
【図5】第3実施形態に係る調光装置の遮光部の概略構成を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
【0024】
図1は、第1実施形態に係るプロジェクター1の概略構成を模式的に示す図である。図1を参照して、本実施形態のプロジェクター1の概略構成を説明する。本実施形態のプロジェクター1は、光源から射出される光束を画像情報に応じて変調してスクリーン等の投写面に拡大投写する電子機器である。
【0025】
図1を含む以降の図面では、各構成要素を図面上で認識できる程度の大きさとするため、各構成要素の寸法や比率を実際のものとは適宜異ならせて示している。また、図1を含む以降の図面では、説明の便宜上、XYZ直交座標系で記載する。XYZ直交座標系は、照明光軸OAに沿う光束の進行方向をX方向とし、X方向に直交する方向のうち水平方向に沿い、かつ、X方向先端側から見て右方向をY方向とする。さらに、X方向およびY方向に直交し、かつ、据置き姿勢での上方向をZ方向とする。なお、X方向先端側が光束射出方向である。従って、X方向基端側が光束の光路上流側となり、X方向先端側が光束の光路下流側となる。
【0026】
図1に示すように、プロジェクター1は、光学ユニット3、制御部(図示省略)、制御部等に電力を供給する電源ユニット(図示省略)、およびプロジェクター1内部を冷却する冷却ユニット(図示省略)等を備え、これら各装置が外装筺体2内部に収容されている。
【0027】
光学ユニット3は、制御部による制御に基づき、光源装置30から射出された光束を光学的に処理して画像情報に応じた画像光を形成して投写するユニットである。光学ユニット3は、光源装置30、照明光学装置31、色分離光学装置32、リレー光学装置33、電気光学装置34、およびこれら光学装置30〜34を内部に収容すると共に、投写レンズ35を所定位置で支持固定する光学部品用筺体36を備えて構成されている。
【0028】
光源装置30は、光源301およびリフレクター302を備える。光源装置30は、光源301から射出された光束をリフレクター302によって射出方向を揃え、照明光軸OAに対して平行化して照明光学装置31に向けて射出する。照明光軸OAは、光源装置30から被照明領域側に射出される光束の中心軸である。本実施形態の光源装置30は、超高圧水銀ランプを採用している。
【0029】
照明光学装置31は、第1レンズアレイ311と、第2レンズアレイ312と、偏光変換素子313と、重畳レンズ314と、平行化レンズ315と、を備えている。第1レンズアレイ311は、照明光軸OA方向から見て略矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。各小レンズは、光源装置30から射出された光束を部分光束に分割し、照明光軸OAに沿った方向に射出する。第2レンズアレイ312は、第1レンズアレイ311の小レンズから射出された部分光束に対応して、小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。第2レンズアレイ312は、第1レンズアレイ311から射出された部分光束をそれぞれ重畳レンズ314に向けて射出する。
【0030】
第1レンズアレイ311は小レンズがZ方向に奇数行配列され、Z方向の中心に配置された小レンズの中心はY方向からみて照明光軸OAと略一致している。なお、本実施形態の第1レンズアレイ311は、7行6列に配列され、Z方向に7行、Y方向に6列配列されている。
【0031】
偏光変換素子313は、第2レンズアレイ312から射出されたランダム偏光光となる各部分光束を液晶パネル341で利用可能な略1種類の偏光光に揃える機能を有する。なお、第2レンズアレイ312から射出され、偏光変換素子313によって略1種類の偏光光に変換された各部分光束は、重畳レンズ314によって、液晶パネル341の表面に略重畳される。なお、重畳レンズ314から射出された光束は、平行化レンズ315により平行化されて液晶パネル341に重畳される。平行化レンズ315は、詳細には、後述する3色の色光毎に設けられている。
【0032】
照明光学装置31には、光束の透過光量を調整する調光装置10が設置される。詳細には、本実施形態の調光装置10は、回動する一対の遮光部60a,60b(図2参照)を備えており、この遮光部60a,60bが、第1レンズアレイ311と第2レンズアレイ312との間に位置するように配置される。なお、調光装置10は、遮光部60a,60bが回動することにより、光源装置30(第1レンズアレイ311)から射出される光束の一部を遮光して光路下流側に通過させる光量を調整する。なお、調光装置10の詳細な構成と動作に関しては後述する。
【0033】
色分離光学装置32は、第1ダイクロイックミラー321と、第2ダイクロイックミラー322と、反射ミラー323と、を備えている。色分離光学装置32は、照明光学装置31から射出された光束を、赤色(R)光、緑色(G)光、青色(B)光の3色の色光に分離する。
【0034】
リレー光学装置33は、入射側レンズ331と、リレーレンズ333と、反射ミラー332,334と、を備えている。リレー光学装置33は、色分離光学装置32で分離されたR光をR光用の液晶パネル341Rまで導く。なお、本実施形態では、リレー光学装置33がR光を導く構成としているが、これに限定されず、例えば、B光を導く構成としてもよい。
【0035】
電気光学装置34は、入射側偏光板342と、光変調装置としての液晶パネル341(R光用の液晶パネルを341R,G光用の液晶パネルを341G,B光用の液晶パネルを341Bとする)と、射出側偏光板343と、クロスダイクロイックプリズム344と、を備えている。入射側偏光板342および射出側偏光板343は、液晶パネル341R,341G,341B毎に設けられている。
【0036】
液晶パネル341(341R,341G,341B)は、色分離光学装置32で色光毎に分離された光束を画像情報に応じて変調する。クロスダイクロイックプリズム344は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状を有し、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、2つの誘電体多層膜が形成されている。クロスダイクロイックプリズム344は、液晶パネル341R,341G,341Bで変調された各色光を合成し、投写レンズ35に射出する。
【0037】
投写レンズ35は、複数のレンズを組み合わせた組レンズで構成され、電気光学装置34で変調され合成された光束をスクリーン等の投写面上に拡大投写する。
【0038】
プロジェクター1は、調光装置10により電気光学装置34に入射する光束の光量を調整できるため、例えば、場面に応じて光束の光量を調整することにより、投写される画像において高いダイナミックコントラストを得ることができる。
【0039】
図2は、調光装置10の概略構成を示す図である。詳しくは、図2(a)はX方向先端側から見た斜視図であり、図2(b)はZ方向先端側から見た平面図である。図2(a)および(b)は、いずれも最大遮光状態を示している。図3は、調光装置10における遮光部60a,60bの動作範囲を示す図である。詳しくは、図3(a)は最大遮光状態における遮光部60a,60bの位置を示す図であり、図3(b)は最小遮光状態における遮光部60a,60bの位置を示す図である。図2、図3を参照して、調光装置10の構成および動作に関して説明する。なお、以下の図および説明では、一対備えられた各構成部材については、一方の部材の符号に「a」を付記し、他方の部材の符号に「b」を付記して識別する。
【0040】
図2に示すように、調光装置10は、固定部20と、駆動機構部40と、一対の回動部50a,50bと、一対の遮光部60a,60bと、を備えている。なお、調光装置10が遮光部60a,60bにより光束を最大限に遮光している状態(通過光量が最も少なくなる状態)を最大遮光状態といい、以降、適宜使用する。また、調光装置10が遮光部60a,60bにより光束を最小限に遮光している状態(通過光量が最大の状態(本実施形態では光束を遮らない状態))を最小遮光状態といい、以降、適宜使用する。
【0041】
固定部20は、固定部本体21を有し、光学部品用筺体36(図1参照)に取付けられて固定されている。固定部本体21は、板金等で形成されており、図示を省略するが、光学部品用筺体36に取付けるための取付部や、駆動機構部40および回動部50a,50bを支持するための開口部や軸受部等を有している。
【0042】
駆動機構部40は、モーター41と、モーター41の回転を回動部50a,50bに伝達するギヤ42と、を備えている。モーター41は固定部本体21のY方向先端側に固定されており、ギヤ42は固定部本体21のY方向基端側に配置されている。モーター41は、制御部(図示省略)により制御され、ギヤ42を回転させる駆動力を発生する。モーター41は、例えば、ステッピングモーターを用いることができる。なお、モーター41として、ボイスコイルモーター等の他のモーターを使用してもよく、その場合モーター41の回転を伝達する手段はギヤ42に限定されるものではない。
【0043】
回動部50a,50bは、ギヤ51a,51bと、回動支軸52a,52bと、後述する遮光部60a,60bを保持する保持部53a,53bと、を備えている。ギヤ51a,51bは、遮光部60a,60bの動作範囲に応じた寸法に設定されており、Y方向から見て略1/4円形状を有している。回動支軸52a,52bの中心軸である回動軸52ax,52bxは、照明光軸OAに対して略直交する方向であるY方向に沿って配置されている。
【0044】
ギヤ51a,51bは、回動支軸52a,52bを介して固定部本体21に支持されており、回動軸52ax,52bxを中心として回動可能である。ギヤ51a,51bは互いに噛合しており、ギヤ51a,51bの一方はギヤ42と噛合している。ギヤ51a,51bは、モーター41の回転がギヤ42を介して伝達されると、互いに同期して逆方向に高速回動する。保持部53a,53bは、ギヤ51a,51bのY方向基端側の面における回動支軸52a,52bから外れた位置に設けられている。
【0045】
ギヤ51a,51bは、歯形状は同一であるが、最大遮光状態と最小遮光状態において、遮光部60a,60bが図3に示すような位置関係とさせるために、それぞれの直径を異ならせている。本実施形態では、ギヤ51bの直径が、ギヤ51aの直径より若干大きく形成される。
【0046】
遮光部60a,60bは、照明光軸OAを間に挟んで対向配置されている。遮光部60a,60bは、回動部50a,50bに保持され、回動軸52ax,52bxに略平行に延びて形成される。より具体的には、一方の遮光部60aがZ方向先端側に配置され、他方の遮光部60bがZ方向基端側に配置されている。また、遮光部60a,60bは、第1レンズアレイ311と第2レンズアレイ312との間に設置され、光学部品用筺体36のY方向先端側から挿入される構成となっている(図2(b)参照)。
【0047】
遮光部60a,60bは、本実施形態では、回動軸52ax,52bxの方向、すなわちY方向に沿って延在する板状部材であり、板金プレス加工等により形成される。また、遮光部60a,60bは、第1遮光部材61a,61bと、第2遮光部材62a,62bと、支持部65a,65bと、を備えている。
【0048】
遮光部60aは、図2(a),図3(a)に示すように、最大遮光状態において、照明光軸OAに垂直となるYZ平面上に形成される第1遮光部材61aと、第1遮光部材61aの照明光軸OA側の端部から延出し、照明光軸OAに沿って曲折して形成される第2遮光部材62aと、を備えている。同様に、遮光部60bは、最大遮光状態において、第1遮光部材61aと略同一のYZ平面上に形成される第1遮光部材61bと、第1遮光部材61bの照明光軸OA側の端部から延出し、照明光軸OAに沿って曲折して形成される第2遮光部材62bと、を備えている。
【0049】
また、図2(a),図3(a)に示すように、一方の第2遮光部材62aは、詳細には、第1遮光部材61aの照明光軸OA側の端部から光束の光路下流側に曲折するように形成されている。そして、他方の第2遮光部材62bは、詳細には、第1遮光部材61bの照明光軸OA側の端部から光束の光路上流側に曲折するように形成されている。言い換えると、第2遮光部材62a,62bの相対する照明光軸OA側の端部64a,64bは、照明光軸OAに沿う方向の位置がそれぞれ異なり、Y方向から見た場合、一方の端部64aが、光路下流側に位置し、他方の端部64bが、光路上流側に位置する。
【0050】
また、図2(a),図3(a)に示すように、第2遮光部材62a,62bの端部64a,64bには、照明光軸OAを略中心として、照明光軸OAを通るXZ平面に対称形状となる円弧状(本実施形態では、略弓形状)の切欠き部63a,63bを備えている。また、切欠き部63a,63bの大きさは、それぞれ異ならせている。本実施形態では、一方の切欠き部63bの大きさが、他方の切欠き部63aより大きく形成されている。なお、切欠き部63a,63bの大きさは、X方向から見た開口面積が変化する場合に、それぞれの切欠き部63a,63bを通過する通過光量が同等となるように決めている。
【0051】
支持部65a,65bは、第1遮光部材61a,61bよりもZ方向における幅が狭い板状であり、第1遮光部材61a,61bからY方向先端側に延出している。支持部65a,65bは、延出方向の中間部でX方向側に屈曲しており、延出方向の先端部で保持部53a,53bに固定される。調光装置10は、第1遮光部材61a,61bの一端側(支持部65a,65b)を支持する片持ち構造で、遮光部60a,60bを保持している。
【0052】
図3(a),(b)において、第1レンズアレイ311および第2レンズアレイ312と、両者の間を光束が通過する通過領域TAとを2点鎖線で示している。第1レンズアレイ311と第2レンズアレイ312は、互いに略平行であり、照明光軸OAと略直交するように配置されている。また、固定部20、駆動機構部40、回動部50a,50bは、通過領域TAの外側に設置されるため、光束を遮光することは無い。
【0053】
図3(a)に示すように、遮光部60a,60bが最大遮光状態の場合、第2遮光部材62a,62bの端部64a,64bは、Y方向から見た場合、上述したように、端部64aを光路下流側に位置させ、端部64bを光路上流側に位置させている。従って、X方向(照明光軸OAに沿う方向)の端部64a,64b間には、離間距離D1を有している。離間距離D1は、遮光部60a,60bの加工精度や、調光装置10としての組立て精度のバラツキを加味した場合に、遮光部60a,60bの回動により、第2遮光部材62a,62bが互いに干渉しないための必要な距離として設定し、確保している。
【0054】
図3(a)に示すように、遮光部60a,60bが最大遮光状態の場合、端部64a,64bは、X方向から見た場合、照明光軸OAに垂直となる面内(XY平面内)で略重なる程度の離間距離D2を有している。従って、Z方向の端部64a,64b間は、離間距離D2を有し、その距離を従来と比較して小さくしている。なお、切欠き部63a,63bの部分が、通過光量を若干増やすことはあるが、離間距離D2を従来と比較して小さくしているため、最大遮光状態の場合、全体として通過光量を従来と比較して抑制することができ、減光率を向上させている。
【0055】
最大遮光状態から、3(b)に示すように、最小遮光状態とするには、ギヤ42の回動により、回動部50a,50bを回動させる。これに従動して、遮光部60a,60bは、回動軸52ax,52bxを中心に、観音開き状に上下方向に回転する。なお、遮光部60a,60bは、通過領域TAの外側に位置して停止する。遮光部60a,60bは、最小遮光状態の場合、光束の通過を遮らない。
【0056】
最大遮光状態と最小遮光状態との間において、回動部50a,50bの回動に応じて、遮光部60a,60bの回動角度が変化することにより、遮光部60a,60bによる光束の遮光領域が回動角度に応じて変化する。また、遮光部60a,60bの回動角度が変化することにより、略弓形状の輪郭を有する切欠き部63a,63bのX方向から見た開口面積が回動角度に応じて変化する。
【0057】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態の調光装置10によれば、遮光部60a,60bは、第1遮光部材61a,61bと第2遮光部材62a,60bとで構成されている。そして、最大遮光状態において、第2遮光部材62a,62bの相対する照明光軸OA側の端部64a,64bの位置を、照明光軸OAに沿う方向でそれぞれ異ならせることにより、離間距離D1を確保している。これにより、遮光部60a,60bの加工精度や調光装置10の組立て精度のバラツキを許容できる離間距離を保持できる。また、照明光軸OAに垂直となる面内で、端部64a,64b間の離間距離D2を極力小さくすることができるため、減光率を従来に比較して向上させることができる。
【0058】
本実施形態の調光装置10によれば、一方の第2遮光部材62aは光路下流側に曲折するように形成され、他方の第2遮光部材62bは光路上流側に曲折するように形成されることにより、相対する光路側の端部64a,64bの位置を、照明光軸OAに沿う方向でそれぞれ異ならせることができる。この構成によれば、第2遮光部材62a,62bを簡易な形状で構成することができると共に、上記効果を奏する。
【0059】
本実施形態の調光装置10によれば、一対の遮光部60a,60bの照明光軸OA側の端部64a,64bには、略弓形状の輪郭を有する切欠き部63a,63bが備えられている。そして、切欠き部63a,63bのX方向から見た開口面積が回動角度に応じて変化することにより、通過光量の急激な変化を抑制し、通過光量の変化を緩やかにすることができる。また、色むらの発生を抑制することができる。
【0060】
本実施形態の調光装置10によれば、相対する遮光部60a,60bの光路側の端部の位置を照明光軸OAに沿う方向で異ならせることに対応させて、相対する切欠き部63a,63bの大きさを異ならせているため、通過光量の変化を更に緩やかにすることができる。また、色むらの発生を抑制することができる。
【0061】
本実施形態のプロジェクター1によれば、光源装置30から射出された光束を、調光装置10で減光率を向上させて調整することができ、調整された光束を光変調装置(液晶パネル341)で画像信号に応じて変調して画像光を形成する。これにより、形成された画像光のダイナミックコントラストを従来よりも向上させることができる。また、調光装置10の切欠き部63a,63bにより、通過光量の変化を緩やかにすることができるため、画像光の急激な明るさの変化を抑制すると共に、色むらを抑制することができる。
【0062】
本実施形態の第1レンズアレイ311は、小レンズがZ方向に奇数行配列され、Z方向の中心に配置された小レンズの中心はY方向からみて照明光軸OAと略一致している。従って、最大遮光状態において、一対の遮光部60a,60bの照明光軸OA側の端部64a,64bの間の領域に光束の強度の高くなる小レンズの中心が配置される。しかし、本実施形態の調光装置10により、端部64a,64bの位置を、照明光軸OA方向でそれぞれ異ならせることにより、端部64a,64b同士の離間距離を照明光軸OA方向で確保することができため、照明光軸OAに垂直となる面内における端部64a,64b同士の離間距離を小さくすることができる。従って、最大遮光状態において、端部64a,64bの間の領域に、小レンズの中心が配置された場合にも、減光率を向上させることができる。
(第2実施形態)
【0063】
図4は、第2実施形態に係る調光装置11の遮光部70a,70bの概略構成を模式的に示す図である。図4を参照して、本実施形態の調光装置11および遮光部70a,70bの概略構成を説明する。なお、図4は、第1実施形態の調光装置10と異なる構成の部分を取り出した図であり、遮光部70a,70bの最大遮光状態を示している。
【0064】
本実施形態の調光装置11は、遮光部70a,70bの形状が、第1実施形態の遮光部60a,60bと異なっている。また、この遮光部70a,70bを回動させるための回動軸55ax,55bxが、遮光部70a,70bの動作に対応させているため、第1実施形態の回動軸52ax,52bxと異なる位置に設定されている。その他の構成は、第1実施形態と略同様となる。
【0065】
遮光部70a,70bは、第1遮光部材71a,71bと、第1遮光部材71a,71bの照明光軸OA側の端部から延出し、照明光軸OAに沿って曲折して形成される第2遮光部材72a,72bと、を備えている。第1遮光部材71a,71bは、第1実施形態の第1遮光部材61a,61bと同様に構成される。異なるのは、第2遮光部材72a,72bである。
【0066】
第2遮光部材72a,72bは、第1遮光部材71a,71bに対して、光路下流側に曲折している。詳細には、一方の第2遮光部材72aは、一方の第1遮光部材71aの端部から、光路下流側に角度も大きく曲折し、他方の第2遮光部材72bは、他方の第1遮光部材71bの端部から、光路下流側に、第2遮光部材72aに比べて小さい角度で光路下流側に曲折している。なお、第2遮光部材72a,72bの端部74a,74bには、照明光軸OAを略中心として、照明光軸OAを通るXZ平面に対称形状となる円弧状の切欠き部73a,73bを備えている。本実施形態では、一方の切欠き部73bの大きさが、他方の切欠き部73aより大きく形成されている。
【0067】
この構成により、第2遮光部材72aの照明光軸OA側の端部74aと、第2遮光部材72bの照明光軸OA側の端部74bとは、照明光軸OAに沿う方向の位置がそれぞれ異なり、Y方向から見た場合、一方の端部74aが、光路下流側に位置し、他方の端部74bが、端部74aに比較して光路上流側に位置する。従って、X方向(照明光軸OAに沿う方向)の端部74a,74b間には、離間距離D3を有している。離間距離D3は、第1実施形態と同様に、遮光部70a,70bの加工精度や、調光装置11としての組立て精度のバラツキを加味した場合に、遮光部70a,70bの回動により、第2遮光部材72a,72bが互いに干渉しないための必要な距離として設定し、確保している。
【0068】
また、遮光部70a,70bが最大遮光状態の場合、端部74a,74bは、X方向から見た場合、照明光軸OAに垂直となる面内(XY平面内)で略重なる程度の離間距離D4を有している。従って、Z方向の端部64a,64b間は、離間距離D4を有し、その距離を従来と比較して小さくしている。そのため、最大遮光状態の場合、通過光量を従来と比較して抑制することができ、減光率を向上させている。
【0069】
なお、遮光部70a,70bが最小遮光状態の場合、図示を省略するが、回動軸55ax,55bxを中心に遮光部70a,70bが、第1実施形態と同様に回動し、通過領域TAの外側に位置して停止する。遮光部70a,70bは、第1実施形態と同様に、最小遮光状態の場合、光束の通過を遮らない。
【0070】
なお、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
(第3実施形態)
【0071】
図5は、第3実施形態に係る調光装置12の遮光部80a,80bの概略構成を模式的に示す図である。図5を参照して、本実施形態の調光装置12および遮光部80a,80bの概略構成を説明する。なお、図5は、第1実施形態の調光装置10と異なる構成の部分を取り出した図であり、遮光部80a,80bの最大遮光状態を示している。
【0072】
本実施形態の調光装置12は、遮光部80a,80bの形状が、第1実施形態の遮光部60a,60bと異なっている。また、この遮光部80a,80bを回動させるための回動軸56ax,56bxが、遮光部80a,80bの動作に対応させるため、第1実施形態の回動軸52ax,52bxと異なる位置に設定されている。その他の構成は、第1実施形態と略同様となる。
【0073】
遮光部80a,80bは、一対の第1遮光部材81a,81bのみを備えて構成される。第1実施形態の曲折された第2遮光部材62a,62bは形成されていない。第1遮光部材81a,81bは、最大遮光状態において、照明光軸OA側の端部84a,84bが、回動軸56ax,56bx側の基端部85a,85bに比較して、それぞれ光路上流側に位置するように、傾斜した状態で設置される。また、第1遮光部材81a,81bの端部84a,84bは、照明光軸OAを略中心として、照明光軸OAを通るXZ平面に対称形状となる円弧状の切欠き部83a,83bを備えている。本実施形態では、一方の切欠き部83bの大きさが、他方の切欠き部83aより大きく形成されている。
【0074】
また、最大遮光状態において、第1遮光部材81a,81bの端部84a,84bは、照明光軸OAに沿う方向の位置がそれぞれ異なり、Y方向から見た場合、一方の端部84aが、光路下流側に位置し、他方の端部84bが、端部84aに比較して光路上流側に位置する。従って、X方向(照明光軸OAに沿う方向)の端部84a,84b間には、離間距離D5を有している。離間距離D5は、第1実施形態と同様に、遮光部80a,80bの加工精度や、調光装置12としての組立て精度のバラツキを加味した場合に、遮光部80a,80bの回動により、第1遮光部材81a,81bが互いに干渉しないための必要な距離として設定し、確保している。
【0075】
また、遮光部80a,80bが最大遮光状態の場合、端部84a,84bは、X方向から見た場合、照明光軸OAに垂直となる面内(XY平面内)で略重なる程度の離間距離D6を有している。従って、Z方向の端部84a,84b間は、離間距離D6を有し、その距離を従来と比較して小さくしている。そのため、最大遮光状態の場合、通過光量を従来と比較して抑制することができ、減光率を向上させている。
【0076】
なお、遮光部80a,80bが最小遮光状態の場合、図示を省略するが、回動軸56ax,56bxを中心に遮光部80a,80bが、第1実施形態と同様に回動し、通過領域TAの外側に位置して停止する。遮光部80a,80bは、第1実施形態と同様に、最小遮光状態の場合、光束の通過を遮らない。
【0077】
なお、第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができるほか、遮光部80a,80bをコンパクトに構成できるため、調光装置12の小型化が図れる。
【0078】
なお、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0079】
前記第1実施形態の調光装置10において、最大遮光状態の場合、端部64aはZ方向先端側に位置し、一方の端部64bはZ方向基端側に位置している。しかし、端部64aを延ばしてZ方向基端側に位置し、端部64bを延ばしてZ方向先端側に位置するように配置させてもよい。この場合、遮光部60a,60bの回動により、第2遮光部材62a,62bが互いに干渉しないための離間距離D1を適正に有することが必要である。このような構成とした場合、最大遮光状態において、切欠き部63a,63bによる通過光量を極力無くすことが可能となる。なお、これは、第2、第3実施形態においても同様である。
【0080】
前記第1実施形態の調光装置10において、ギヤ51a,51bは、歯形状は同一であるが、最大遮光状態と最小遮光状態において、遮光部60a,60bが図3に示すような位置関係とさせるために、それぞれの直径を異ならせた構成としている。しかし、遮光部60a,60bが最小遮光状態において、光束の通過を遮らない構成であればよく、最小遮光状態での遮光部60b側にスペースの余裕がある場合には、ギヤ51a,51bの直径が同一でも構わない。
【0081】
前記第1実施形態の調光装置10において、切欠き部63a,63bは、円弧状に形成され、詳細には略弓形状の輪郭を有している。しかし、切欠き部63a,63bは、円弧状に限られず、通過光量の変化を緩やかにできる形状であればよい。なお、これは、第2、第3実施形態においても同様である。
【0082】
前記第1実施形態の調光装置10において、一方の切欠き部63bの大きさが、他方の切欠き部63aより大きく形成されている。しかし、切欠き部63a,63bの大きさは、回動角度の変化に対応して切欠き部63a,63bのX方向から見た開口面積が変化する場合に、それぞれの切欠き部63a,63bを通過する通過光量が同等となるように決めることでよい。なお、これは、第2、第3実施形態においても同様である。
【0083】
前記第1実施形態の調光装置10において、第1遮光部材61a,61bは、最大遮光状態で、照明光軸OAに垂直となるように設置されている。しかし、これに限られず、第1遮光部材61a,61bは、第3実施形態の第1遮光部材81a,81bの設置と同様に、第1遮光部材61a,61bの照明光軸OA側の端部が、回動軸52ax,52bxの端部に比べて、光路上流側に位置するように傾斜させて設置することでもよい。このように傾斜させて設置した場合、特に、最大遮光状態において、第1遮光部材61a,61bに遮光されて反射した光束を照明光軸OAに対して外側に向かわせることができ、光源装置30に直接戻らないようにできる。これにより、光源装置30の温度上昇を抑制できる。なお、これは、第2実施形態においても同様である。
【0084】
前記第1実施形態の調光装置10において、遮光部60a,60bは、切欠き部63a,63bを有しているが、有していることには限定されず、遮光部60a,60bに切欠き部63a,63bを有していない構成としてもよい。このような構成にした場合、ダイナミックコントラストを更に向上させることができる。なお、これは、第2、第3実施形態においても同様である。
【0085】
前記第1実施形態の第1レンズアレイ311は、小レンズがZ方向に奇数行配列され、Z方向の中心に配置された小レンズの中心はY方向からみて照明光軸OAと略一致している。しかし、これに限られず、小レンズがZ方向に偶数行配列され、照明光軸OA上には、小レンズの中心を含まず境界およびその周辺領域が配置される場合であってもよい。なお、これは、第2、第3実施形態においても同様である。
【0086】
前記第1実施形態の調光装置10は、遮光部60a,60bが、Z方向に開閉する機構となっているが、Y方向に開閉する機構としてもよい。なお、これは、第2、第3実施形態においても同様である。
【0087】
前記第1実施形態の光源301は、超高圧水銀ランプを採用している。しかし、これに限定されず、高輝度発光する種々の放電型のランプを採用することができ、例えば、メタルハライドランプや高圧水銀ランプ等を採用することができる。
【0088】
前記第1実施形態の光学ユニット3は、R光、G光、B光に対応する3つの光変調装置(液晶パネル341)を用いる、いわゆる3板方式を採用している。しかし、これに限られず、単板方式の光変調装置を採用してもよい。また、コントラストを向上させるための光変調装置を追加して採用してもよい。
【0089】
前記第1実施形態の光学ユニット3は、透過型の光変調装置(透過型の液晶パネル341)を採用している。しかし、これに限られず、反射型の光変調装置を採用してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…プロジェクター、10…調光装置、30…光源装置、50a,50b…回動部、52ax,52bx…回動軸、60a,60b…遮光部、61a,61b…第1遮光部材、62a,62b…第2遮光部材、63a,63b…切欠き部、64a,64b…端部、341…液晶パネル、OA…照明光軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する光束を遮光して通過光量を調整する調光装置であって、
前記光束の光軸を挟み、当該光軸に対して略垂直な方向に沿った回動軸を有する一対の回動部と、
前記一対の回動部に保持され、前記回動軸に略平行に延びて形成され、前記回動部の回動に従動して前記光束を遮光する一対の遮光部と、を備え、
前記通過光量が最も少なくなる状態において、前記一対の遮光部の相対する前記光軸側の端部は、前記光軸方向の位置がそれぞれ異なることを特徴とする調光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の調光装置であって、
前記一対の遮光部は、
前記回動軸に略平行に延びて形成される第1遮光部材と、
前記通過光量が最も少なくなる状態において、前記第1遮光部材の前記光軸側の端部から延出し、前記光軸側に曲折して形成される第2遮光部材と、を有し、
前記第2遮光部材の相対する前記光軸側の端部は、前記光軸に沿う方向の位置がそれぞれ異なることを特徴とする調光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の調光装置であって、
一方の前記第2遮光部材は、一方の前記第1遮光部材の前記光軸側の端部から前記光束の光路下流側に曲折するように形成され、
他方の前記第2遮光部材は、他方の前記第1遮光部材の前記光軸側の端部から前記光束の光路上流側に曲折するように形成されていることを特徴とする調光装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の調光装置であって、
前記一対の遮光部の前記光軸側の端部には、切欠き部が備えられていることを特徴とする調光装置。
【請求項5】
請求項4に記載の調光装置であって、
前記一対の遮光部は、それぞれ前記切欠き部の大きさおよび形状の少なくともいずれかが異なることを特徴とする調光装置。
【請求項6】
前記光束を射出する光源装置と、
前記光束を画像信号に応じて変調して画像光を形成する光変調装置と、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の調光装置と、を備えることを特徴とするプロジェクター。
【請求項7】
請求項6に記載のプロジェクターであって、
前記光源装置から射出された前記光束を部分光束に変換する複数の小レンズを備えたレンズアレイをさらに備え、
前記調光装置は前記レンズアレイの前記光源装置とは反対側に配置され、
前記光軸側から見て、前記通過光量が最も少なくなる状態において、前記一対の遮光部の前記光軸側端部の間の領域に、前記複数の小レンズのうち少なくとも1つの小レンズの中心が配置されていることを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−41017(P2013−41017A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176578(P2011−176578)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】