説明

調剤薬局情報提供装置、調剤薬局情報提供方法、および、調剤薬局情報提供コンピュータプログラム

【課題】患者が、自分の都合の良いルート上にある調剤薬局を指定でき、また、患者が必要な薬の在庫を有する調剤薬局を検索することができる。
【解決手段】本発明の調剤薬局情報提供装置は、地図情報を記憶している地図情報記憶手段と、調剤薬局情報ごとの調剤薬局の位置情報と、医薬品在庫情報を記憶する調剤薬局情報記憶手段と、上記携帯端末から、処方箋情報と上記患者の現在地情報および目的地情報とを受信する処方箋情報受信手段と、上記地図情報記憶手段を参照し、上記現在地および目的地間のルート検索を行うルート検索手段と、上記ルート上に位置する調剤薬局を特定する調剤薬局特定手段と、上記処方箋情報に係る処方箋を在庫として有する調剤薬局を特定する情報処理手段と、上記携帯端末に対し、上記情報処理手段によって特定された調剤薬局を、上記地図上にルートと共に示した処理結果を上記携帯端末に送信する処理結果送信手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処方箋の発行を受けた患者に対して、調剤薬局に関する情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
病院にて処方箋を発行された患者は、通常、病院もしくは自宅の近所にある調剤薬局にて薬を得る。
しかしながら、訪れた調剤薬局に必ずしも処方箋に記載された薬の在庫があるとは限らない。患者は、最寄りの調剤薬局に訪れたのにも関わらず、必要な薬を受け取ることが出来ないこともあった。
【0003】
このような状況の下、特許文献1及び特許文献2では、患者が有するカメラ付き携帯電話を活用し、処方箋をカメラ機能にて撮影し、この処方箋画像情報を予め調剤薬局に送信するシステムが提案されている。この発明によれば、事前に患者自身で指定した調剤薬局に対して、処方箋画像データを送信し、患者がその調剤薬局を訪れた時点で即座に薬を受け取ることができ、患者の待ち時間を軽減することが可能な発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2009−115935
【特許文献2】特願2003−374677
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のシステムでは、処方箋を患者が携帯カメラにて撮影しなければならず、カメラ機能を有さない携帯電話には対応していない。また、複数の調剤薬局から、患者に必要な薬の在庫を持つ調剤薬局を検索することもできない。
上記特許文献2のシステムでは、処方箋を患者が携帯カメラにて撮影しなければならず、カメラ機能を有さない携帯電話には対応していない。また、調剤薬局での待ち時間を軽減することが目的であり、複数の調剤薬局から、患者に必要な薬の在庫を持つ調剤薬局を検索することもできない。
【0006】
そこで、本発明では、患者が、自分の都合の良いルート上にある調剤薬局を指定でき、また、患者が必要な薬の在庫を有する調剤薬局を検索することができることが目的である。
なお、ここでいう都合の良いルートとは、患者の現在地から、自宅や職場等の希望の目的地までの二地点間ルートのことを言う。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一の観点に係る調剤薬局情報提供装置は、処方箋を受け取る患者が利用し、現在地取得手段を有する携帯端末と、ネットワークを介して通信可能に構成され、上記患者に対し、処方箋によって処方される医薬品の在庫を有する調剤薬局に係る情報を提供する装置であって、地図情報を記憶している地図情報記憶手段と、
調剤薬局情報ごとの調剤薬局の位置情報と、医薬品在庫情報を記憶する調剤薬局情報記憶手段と、上記携帯端末から、処方箋情報と上記患者の現在地情報および目的地情報とを受信する処方箋情報受信手段と、上記地図情報記憶手段を参照し、上記現在地および目的地間のルート検索を行うルート検索手段と、上記ルート上に位置する調剤薬局を特定する調剤薬局特定手段と、上記処方箋情報に基づき、上記調剤薬局情報記憶手段を参照して、上記特定した調剤薬局情報に係る調剤薬局のうち、上記処方箋情報に係る処方箋を在庫として有する調剤薬局を特定する情報処理手段と、上記携帯端末に対し、上記情報処理手段によって特定された調剤薬局を、上記地図上にルートと共に示した処理結果を上記携帯端末に送信する処理結果送信手段と、を有するものとしてもよい。
【0008】
また、上記処方箋情報に基づき、医薬品情報記憶手段から処方された医薬品に係る医薬品情報を抽出する医薬品情報抽出手段を更に有し、上記処理結果送信手段は更に、上記医薬品情報を併せて上記携帯端末に送信するものとしてもよい。
【0009】
また、医薬品を提供する調剤薬局が利用する調剤薬局端末と更に、ネットワークを介して通信可能に構成され、上記調剤薬局端末から上記医薬品在庫情報を受信する医薬品在庫情報受信手段と、上記受信した医薬品在庫情報を上記調剤薬局情報記憶手段に登録し、上記医薬品在庫情報を更新する医薬品在庫情報更新手段とを、更に有するものとしてもよい。
【0010】
また、上記ルート検索手段は更に、複数のルートを検索し、上記調剤薬局特定手段は、各ルート毎に調剤薬局を特定し、上記携帯端末に対し、上記情報処理手段によってルート毎に特定された調剤薬局を、上記地図上に上記複数のルートと共に示した処理結果を上記携帯端末に送信するものとしてもよい。
【0011】
また、本発明の別の観点に係る調剤薬局情報提供方法は、処方箋を受け取る患者が利用し、現在地取得手段を有する携帯端末と、ネットワークを介して通信可能に構成され、上記患者に対し、処方箋によって処方される医薬品の在庫を有する調剤薬局に係る情報を提供する方法であって、地図情報を記憶している地図情報記憶手段と、調剤薬局情報ごとの調剤薬局の位置情報と、医薬品在庫情報を記憶する調剤薬局情報記憶手段と、を有するコンピュータにより、上記携帯端末から、処方箋情報と上記患者の現在地情報および目的地情報とを受信する処方箋情報受信処理と、上記地図情報記憶処理を参照し、上記現在地および目的地間のルート検索を行うルート検索処理と、上記ルート上に位置する調剤薬局を特定する調剤薬局特定処理と、上記処方箋情報に基づき、上記調剤薬局情報記憶手段を参照して、上記特定した調剤薬局情報に係る調剤薬局のうち、上記処方箋情報に係る処方箋を在庫として有する調剤薬局を特定する情報処理と、上記携帯端末に対し、上記情報処理手段によって特定された調剤薬局を、上記地図上にルートと共に示した処理結果を上記携帯端末に送信する処理結果送信処理と、を実行するものとしてもよい。
【0012】
また、本発明の別の観点に係る調剤薬局情報提供コンピュータプログラムは、処方箋を受け取る患者が利用し、現在地取得手段を有する携帯端末と、ネットワークを介して通信可能に構成され、上記患者に対し、処方箋によって処方される医薬品の在庫を有する調剤薬局に係る情報を提供する調剤薬局情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラムであって、上記コンピュータに対し、地図情報を記憶している地図情報記憶手段と、調剤薬局情報ごとの調剤薬局の位置情報と、医薬品在庫情報を記憶する調剤薬局情報記憶手段と、上記携帯端末から、処方箋情報と上記患者の現在地情報および目的地情報とを受信する処方箋情報受信処理と、上記地図情報記憶手段を参照し、上記現在地および目的地間のルート検索を行うルート検索処理と、上記ルート上に位置する調剤薬局を特定する調剤薬局特定処理と、上記処方箋情報に基づき、上記調剤薬局情報記憶処理を参照して、上記特定した調剤薬局情報に係る調剤薬局のうち、上記処方箋情報に係る処方箋を在庫として有する調剤薬局を特定する情報処理と、上記携帯端末に対し、上記情報処理手段によって特定された調剤薬局を、上記地図上にルートと共に示した処理結果を上記携帯端末に送信する処理結果送信処理と、を実行させるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、患者は、処方箋に記された薬の在庫を有する調剤薬局を簡単に検索することができる。また、自分の希望するルート上にある調剤薬局を簡単に検索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る調剤薬局情報提供装置の概要を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る調剤薬局情報提供装置の構成を示した機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る患者情報記憶部に記憶されるデータの一例を示した図である。
【図4】本発明の実施形態に係る調剤薬局情報記憶部に記憶されるデータの一例を示した図である。
【図5】本発明の実施形態に係る医薬品情報記憶部に記憶されるデータの一例を示した図である。
【図6】本発明の実施形態に係る調剤薬局情報提供装置において、患者が処方箋情報を送信し、処理結果を受信するまでの処理を示すシークエンス図である。
【図7】本発明の実施形態に係る調剤薬局情報提供装置において、調剤薬局が在庫情報を更新する処理を示すシークエンス図である。
【図8】携帯端末が、本発明の実施形態に係る調剤薬局情報提供装置から受信した処理結果を受信した携帯端末の表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る調剤薬局情報提供装置について、図を参照して説明する。
【0016】
図1を参照し、本実施形態に係る調剤薬局情報提供装置1による処理の概要を説明する。
本実施形態に係る調剤薬局情報提供装置1は、予め、複数の調剤薬局が利用する調剤薬局端末2から、医薬品の在庫に係る情報を受信し、これを記憶している。
調剤薬局情報提供装置1は、患者が使用する携帯端末3から送信される処方箋情報を受信すると、各調剤薬局の在庫情報に基づき、携帯端末3に対して、処方箋情報に係る医薬品在庫を有する調剤薬局の情報を送信する。
【0017】
図2に示されるように、本実施形態に係る調剤薬局情報提供装置1は、調剤薬局端末2及び携帯端末3とインターネットや移動体通信網等のネットワークNWを介して通信可能に構成されている。
【0018】
調剤薬局情報提供装置1は、CPU(Central Processing Unit)、CPUが実行するコンピュータプログラム、コンピュータプログラムや所定のデータを記憶するRAM(Read Only Memory)などの内部メモリ、及びハードディスクドライブなどの外部記憶装置により、通信処理部101、患者情報記憶部102、地図情報記憶部103、ルート検索部104、調剤薬局特定部105、情報処理部106、調剤薬局情報記憶部107、医薬品情報抽出部108、医薬品情報記憶部109、医薬品在庫情報更新部110を構成する。なお、調剤薬局情報提供装置1は、キーボードやマウスなどの入力装置、ディスプレイなどの表示装置を有していても良い。
【0019】
通信処理部101は、ネットワークNWを介して、調剤薬局端末2及び携帯端末3と所定のプロトコルに従ったデータの送受信処理を実行する処理部であって、Webブラウザなどによって実現される。具体的には、通信処理部101は、処方箋情報受信部、処理結果送信部、医薬品在庫情報受信部としての機能を果たす。
処方箋情報受信部は、患者が使用する携帯端末3から送信される処方箋情報、当該患者の現在地情報、および当該患者の目的地情報などを受信する。
なお、目的地情報とは、例えば、患者が希望する患者の自宅や職場が考えられる。
処理結果送信部は、ルート上に位置する調剤薬局のうち、処方箋情報に係る医薬品を在庫として有している調剤薬局に係る情報を、携帯端末3に送信する送信部である。
なお、ルートとは、患者の現在地から目的地までの二地点間を結ぶ道のりである。
医薬品在庫情報受信部は、調剤薬局端末2から、医薬品在庫情報を受信する受信部であり、調剤薬局での在庫状況を定期的に受信する。
【0020】
患者情報記憶部102は、処方箋に係る情報など、患者に関する情報を記憶している。
ここで、図3を用いて、患者情報記憶部102を説明する。
【0021】
患者情報記憶部102が記憶する患者情報としては、例えば、患者名、患者基本情報、保険情報、処方箋情報、検査歴、決済情報などが含まれる。
患者基本情報には、患者の住所、氏名、電話番号などの個人情報が含まれる。
処方箋情報とは、患者に発行された処方箋に係る情報をいう。
患者情報は、携帯端末3から送信される処方箋情報を記憶している。この処方箋情報が調剤薬局における在庫情報と照らし合わされることで、患者が処方された医薬品在庫を有する調剤薬局が検索される。
なお、患者基本情報は、それぞれの調剤薬局にてポイント発行サービスを行っている場合、ポイント情報を有してもよい。これにより、患者は、それぞれの調剤薬局を介さずとも、携帯端末3から、ポイント管理が可能となる。
なお、患者情報は、患者のこれまでの処方箋情報や検査歴を記憶するので、患者は、自分の処方された医薬品の履歴として(いわゆる、お薬手帳。)、本発明の調剤薬局情報提供装置1を使用することも可能となる。
なお、患者情報において、決済情報は、例えば、クレジットカード情報であり、予め登録しておくことにより、携帯端末3から調剤薬局情報提供装置1に処方箋情報を送信した際に、同時に、調剤薬局での支払いに代えて、クレジット決済を可能することができる。
【0022】
地図情報記憶部103は、携帯端末3から送信された患者の位置情報を元に、患者の希望目的地までのルートを解析するための地図情報を記憶した機能部である。なお、患者の希望目的地とは、患者の自宅や職場が考えられる。
【0023】
ルート検索部104は、地図情報記憶部103を参照し、患者が携帯端末3から送信する現在地情報および目的地情報に基づき、患者の現在地から目的地までのルートを検索する機能部である。
ルート検索の手法としては、例えば、最短距離検索、最短距離検索に準じ幹線沿いの道路を通るコース検索が考えられ、複数のルートを検索してもよい。
これにより、検索されたルートは、地図上に明示的に反映される。
【0024】
調剤薬局特定部105は、ルート検索部104が検索したルート上に位置する調剤薬局を特定し、当該調剤薬局の調剤薬局情報を抽出する機能部である。
また、ルートが複数抽出された場合は、ルート毎に、ルート上に位置する調剤薬局の調剤薬局情報が抽出される。
【0025】
情報処理部106は、携帯端末3から受信した処方箋情報に基づき、調剤薬局特定部105により検索したルート上に位置する調剤薬局のうち、後述する調剤薬局情報記憶部107を参照し、処方箋情報に係る医薬品を在庫として有している調剤薬局を特定する機能部である。
なお、詳しくは後述するが、在庫情報とは、調剤薬局が有する医薬品ごとの貯蔵数に係る情報のことである。
【0026】
調剤薬局情報記憶部107は、在庫情報を含め、調剤薬局に関する情報を記憶している。
ここで、図4を用いて、調剤薬局情報記憶部107を説明する。
【0027】
調剤薬局情報記憶部107は、例えば、調剤薬局に係る基本情報(位置情報・電話番号・薬剤師数)、評価情報、在庫情報、ジェネリック医薬品取扱いの有無などを記憶することができる。
【0028】
調剤薬局の位置情報によって、患者の現在地から目的地までのルートに、いずれの調剤薬局が存在するかを把握することができる。
位置情報とは、地図上で所在地を特定可能な情報であって、地図上での座標情報を含む。
調剤薬局情報は、在庫情報を有することにより、患者は、処方された医薬品の在庫を有する調剤薬局を検索することができる。
在庫情報とは、調剤薬局が有する医薬品ごとの貯蔵数に係る情報のことである。
なお、在庫情報は、調剤薬局に医薬品を卸す卸売り業者が管理し、卸売り業者の端末から、これを調剤薬局情報提供装置1に送信してもよい。
なお、調剤薬局情報における、評価情報は、例えば、特徴、セールスポイント、口コミ情報が挙げられる。
なお、調剤薬局情報は、ジェネリック医薬品取扱いの有無に係る情報も有しており、ジェネリック医薬品での調剤処方を希望する患者に対して、より安価な医薬品購入を可能としている。
【0029】
医薬品情報抽出部108は、患者に処方された医薬品に係る情報を、医薬品情報記憶部109から抽出する機能部である。
【0030】
医薬品情報記憶部109は、医薬品に係る情報全般を記憶する機能部である。
ここで、図5を参照して、医薬品情報記憶部109を説明する。
【0031】
医薬品情報記憶部109は、医薬品情報を記憶しており、具体的には、医薬品名、薬価、薬剤情報、服薬指導解説情報が挙げられる。
なお、服薬指導解説情報に関しては、各薬剤師毎に説明の内容に差が見られるが、予め医薬品情報401に登録しておくことにより、患者は、携帯端末3を介して、処方された医薬品に関して、いつでも一定の情報を得ることができる。
【0032】
医薬品在庫情報更新部110は、通信処理部101にて調剤薬局端末2から受信した医薬品在庫情報を調剤薬局情報記憶部107に登録し、医薬品在庫情報を更新する機能部である。
調剤薬局端末2から受信する、医薬品在庫情報は、在庫の変化分でも在庫数量全体のどちらでもよい。
変化分の場合は、変化があった医薬品の在庫数量のみを更新し、全体の場合は、調剤薬局の医薬品の在庫数量全体を更新する。
【0033】
調剤薬局端末2は、調剤薬局のユーザが利用する端末であって、例えば、この調剤薬局の局員、薬剤師などが調剤薬局端末2の操作者となる。図2では、ある1つの調剤薬局の調剤薬局端末2を1台のみ代表して図示しているが、実際には、複数の調剤薬局が利用する複数の調剤薬局端末2がネットワークNWで繋がっている。
なお、調剤薬局端末2は、ファクシミリ端末でもよい。多くの調剤薬局がファクシミリ端末を装備しているため、より容易に調剤薬局情報提供装置1と剤薬局端末2との間でデータの送受信が行われることが可能となる。
調剤薬局端末2は、通信処理部201と表示部202から構成される。
【0034】
通信処理部201は、ネットワークNWを介して、調剤薬局情報提供装置1との間でデータの送受信を実行する機能部である。
【0035】
表示部202は、液晶またはELディスプレイ(Electro Luminescent Display)などで構成され、調剤薬局情報提供装置1に送信する調剤薬局情報などを表示する。
【0036】
携帯端末3は、患者が利用する端末であって、例えば、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistance)、PHS(Personal Handyphone System)などから構成される。
携帯端末3は、通信処理部301、表示部302、読み取り部303および現在地特定部304なる機能部を有する。
なお、携帯端末3は、携帯電話機などを自力で操作することが困難な患者を考慮し、各医療機関に設置されたコンピュータ端末が代替してもよい。
【0037】
通信処理部301は、ネットワークNWを介して、調剤薬局情報提供装置1との間で、データの送受信を実行する機能部である。
【0038】
表示部302は、液晶またはELディスプレイ(Electro Luminescent Display)などで構成され、調剤薬局情報提供装置1に送信する処方箋情報などを表示する。
また、表示部302は、処方箋情報に係る処方箋を在庫として有している調剤薬局に係る情報を、患者の現在地から目的地までの道のりを示すルートと共に表示する。
【0039】
読み取り部303は、患者が、処方箋に付された処方箋情報をコード化したQRコード(登録商標)などの2次元コードや、バーコードなどを読み取る機能部である。
読み取り部303は、CCDカメラなどの撮影手段、コード化された情報をデコードするデコード手段などから構成される。読み取り部303によって、コード化された処方箋情報を取得できる。
なお、処方箋に付された処方箋情報は、バーコードなどではなく、ICタグとして付されていてもよい。その場合、携帯端末3には、ICタグに付された情報を取得する手段を設ける。
なお、携帯端末3が各医療機関に設置されたコンピュータ端末が代替する場合、読み取り部303は、処方箋を直接スキャナで読み込み、OCR判読を行ってもよい。これにより、携帯電話機などを自力で操作することが困難な患者の代わりに、各医療機関から直接、調剤薬局情報提供装置1に処方箋情報が送信されることが可能となる。
【0040】
現在地特定部304は、既知のグローバル・ポジショニング・システム(GPS: Global Positioning System)によって実現される。この現在地特定部304により、携帯端末3を所持する患者の現在地情報を取得することができる。
【0041】
次に、本実施形態に係る調剤薬局情報提供装置1が実行する、携帯端末3への情報提供の一連の流れについて図6を参照して説明する。
【0042】
まず、患者は、携帯端末3の読み取り部303により、処方箋に付されたQRコードなどの処方箋情報を読み取る。同時に、携帯端末3から、現在地特定部304によって取得された現在地情報および、患者が入力した目的地情報が送信される。(S701)
また、携帯端末3から送信された処方箋情報は、患者情報記憶部102に記憶され、蓄積される(S702)。
なお、目的地情報は、調剤薬局情報提供装置1に予め登録しておくようにしてもよい。
【0043】
その後、調剤薬局情報提供装置1では、ルート検索部104が、地図情報記憶部103を参照し、患者の現在地から、患者の希望する目的地までのルートを検索する。(S703)
なお、基本的には、このルート検索は、最短距離にて検索されるが、ルート検索部104は、幹線道路に沿ったコースなど、複数のルートを抽出してもよい。
【0044】
調剤薬局特定部105は、ルート検索部104が検索したルート上に位置する調剤薬局を、調剤薬局情報記憶部107に記憶された、各調剤薬局の位置情報に基づいて、特定する。(S704)
【0045】
これにより、患者の現在地から目的地までのルートに、いずれの調剤薬局が存在するかを把握することができる。
【0046】
次に、情報処理部106は、調剤薬局情報記憶部107に記憶された医薬品の在庫情報に基づいて、上記抽出されたルート上に位置する調剤薬局のうち、処方箋情報に係る医薬品の在庫を有している調剤薬局を特定する。(S705)
【0047】
上記抽出されたルート上に位置する調剤薬局のうち、処方箋情報に係る医薬品を在庫として有している調剤薬局の有無を判断する。(S706)
【0048】
上記抽出されたルート上に位置する調剤薬局のうち、処方箋情報に係る医薬品を在庫として有している調剤薬局が特定された場合は、医薬品情報抽出部108は、医薬品情報記憶部109を参照し、処方された医薬品に関する情報を抽出する。(S707)
【0049】
その後、通信処置部101は、抽出したルート上に位置する調剤薬局のうち、処方箋情報に係る医薬品を在庫として有する調剤薬局に係る情報、および上記処方された医薬品に関する医薬品情報を、携帯端末3に送信する。(S708)
なお、併せて、調剤薬局に係る情報である、調剤薬局の名称、住所、電話番号なども送信されてもよい。
【0050】
次に、図8を参照し、ルート上に位置し、在庫を有する調剤薬局情報として、携帯端末3に表示される処理結果の表示例を説明する。
表示部302により、現在地および目的地を結ぶルートが地図上に明示されている。
このルート上に位置し、患者の処方箋情報に係る医薬品の在庫を有する調剤薬局には星印900、901、902が付されている。
なお、この星印900、901、902は、星印に限定されず、例えば、図形、マーク、文字でもよい。また、色が付いてもよい。
【0051】
なお、この処理結果は、地図情報記憶部103からルート周辺地図を抽出した上、調剤薬局情報記憶部107に記憶されている調剤薬局に係る位置情報に基づき、調剤薬局の位置を反映させることで生成される。
【0052】
上記抽出されたルート上に位置する調剤薬局のうち、処方箋情報に係る医薬品を在庫として有している調剤薬局が存在しない場合は、エラーメッセージが携帯端末3に送信される。(S709)
ここでいうエラーメッセージとは、ルート上に、処方箋に係る医薬品の在庫を有する調剤薬局が存在しないことが分かるメッセージである。
なお、この場合、患者は、携帯端末3を介して宅配設定を行い、自宅などの希望の場所へ在庫のなかった医薬品の宅配を依頼できるようにしてもよい。
【0053】
次に、調剤薬局情報提供装置1に記憶されている、各調剤薬局の医薬品の在庫情報を更新する処理の流れについて、図7を参照して説明する。
【0054】
まず、在庫に変化のあった調剤薬局は、調剤薬局端末2を介して、医薬品在庫情報を調剤薬局情報提供装置1に送信する。(S801)
なお、医薬品在庫情報の調剤薬局情報提供装置1への送信は、在庫に変化があった際に送信するようにしてもよく、ある一定のタイミングで定期的に行われてもよい。
送信される在庫情報は、変化分であっても、数量全てであってもいずれでもよい。
【0055】
引き続き、通信処理部101が、調剤薬局端末2から送信された医薬品在庫情報を受信する。(S802)
【0056】
医薬品在庫情報更新部110が、通信処理部101にて受信した医薬品在庫情報を調剤薬局情報記憶部107に登録し、医薬品在庫情報を更新する。(S803)
その結果、情報処理部106は、処方箋情報に係る医薬品を有する調剤薬局の特定を、より正確に行うことができる。
【符号の説明】
【0057】
1 調剤薬局情報提供装置 2 調剤薬局端末
3 携帯端末 101 通信処理部
102 患者情報記憶部 103 地図情報記憶部
104 ルート検索部 105 調剤薬局特定部
106 情報処理部 107 調剤薬局情報記憶部
108 医薬品情報抽出部 109 医薬品情報記憶部
110 医薬品在庫情報更新部 201 通信処理部
202 表示部 301 通信処理部
302 表示部 303 読み取り部
304 現在地特定部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
処方箋を受け取る患者が利用し、現在地取得手段を有する携帯端末と、ネットワークを介して通信可能に構成され、
上記患者に対し、処方箋によって処方される医薬品の在庫を有する調剤薬局に係る情報を提供する装置であって、
地図情報を記憶している地図情報記憶手段と、
調剤薬局情報ごとの調剤薬局の位置情報と、医薬品在庫情報を記憶する調剤薬局情報記憶手段と、
上記携帯端末から、処方箋情報と上記患者の現在地情報および目的地情報とを受信する処方箋情報受信手段と、
上記地図情報記憶手段を参照し、上記現在地および目的地間のルート検索を行うルート検索手段と、
上記ルート上に位置する調剤薬局を特定する調剤薬局特定手段と、
上記処方箋情報に基づき、上記調剤薬局情報記憶手段を参照して、上記特定した調剤薬局情報に係る調剤薬局のうち、上記処方箋情報に係る処方箋を在庫として有する調剤薬局を特定する情報処理手段と、
上記携帯端末に対し、上記情報処理手段によって特定された調剤薬局を、上記地図上にルートと共に示した処理結果を上記携帯端末に送信する処理結果送信手段と、を有する、
ことを特徴とする調剤薬局情報提供装置。
【請求項2】
上記処方箋情報に基づき、医薬品情報記憶手段から処方された医薬品に係る医薬品情報を抽出する医薬品情報抽出手段を更に有し、
上記処理結果送信手段は更に、上記医薬品情報を併せて上記携帯端末に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の調剤薬局情報提供装置。
【請求項3】
医薬品を提供する調剤薬局が利用する調剤薬局端末と更に、ネットワークを介して通信可能に構成され、
上記調剤薬局端末から上記医薬品在庫情報を受信する医薬品在庫情報受信手段と、
上記受信した医薬品在庫情報を上記調剤薬局情報記憶手段に登録し、上記医薬品在庫情報を更新する医薬品在庫情報更新手段とを、更に有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の調剤薬局情報提供装置。
【請求項4】
上記ルート検索手段は更に、複数のルートを検索し、
上記調剤薬局特定手段は、各ルート毎に調剤薬局を特定し、
上記携帯端末に対し、上記情報処理手段によってルート毎に特定された調剤薬局を、上記地図上に上記複数のルートと共に示した処理結果を上記携帯端末に送信する、
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれかの項に記載の調剤薬局情報提供装置。
【請求項5】
処方箋を受け取る患者が利用し、現在地取得手段を有する携帯端末と、ネットワークを介して通信可能に構成され、
上記患者に対し、処方箋によって処方される医薬品の在庫を有する調剤薬局に係る情報を提供する方法であって、
地図情報を記憶している地図情報記憶手段と、
調剤薬局情報ごとの調剤薬局の位置情報と、医薬品在庫情報を記憶する調剤薬局情報記憶手段と、を有するコンピュータにより、
上記携帯端末から、処方箋情報と上記患者の現在地情報および目的地情報とを受信する処方箋情報受信処理と、
上記地図情報記憶処理を参照し、上記現在地および目的地間のルート検索を行うルート検索処理と、
上記ルート上に位置する調剤薬局を特定する調剤薬局特定処理と、
上記処方箋情報に基づき、上記調剤薬局情報記憶手段を参照して、上記特定した調剤薬局情報に係る調剤薬局のうち、上記処方箋情報に係る処方箋を在庫として有する調剤薬局を特定する情報処理と、
上記携帯端末に対し、上記情報処理手段によって特定された調剤薬局を、上記地図上にルートと共に示した処理結果を上記携帯端末に送信する処理結果送信処理と、を実行する、
ことを特徴とする調剤薬局情報提供方法。
【請求項6】
処方箋を受け取る患者が利用し、現在地取得手段を有する携帯端末と、ネットワークを介して通信可能に構成され、
上記患者に対し、処方箋によって処方される医薬品の在庫を有する調剤薬局に係る情報を提供する調剤薬局情報提供装置として機能させるためのコンピュータプログラムであって、上記コンピュータに対し、
地図情報を記憶している地図情報記憶手段と、
調剤薬局情報ごとの調剤薬局の位置情報と、医薬品在庫情報を記憶する調剤薬局情報記憶手段と、
上記携帯端末から、処方箋情報と上記患者の現在地情報および目的地情報とを受信する処方箋情報受信処理と、
上記地図情報記憶手段を参照し、上記現在地および目的地間のルート検索を行うルート検索処理と、
上記ルート上に位置する調剤薬局を特定する調剤薬局特定処理と、
上記処方箋情報に基づき、上記調剤薬局情報記憶処理を参照して、上記特定した調剤薬局情報に係る調剤薬局のうち、上記処方箋情報に係る処方箋を在庫として有する調剤薬局を特定する情報処理と、
上記携帯端末に対し、上記情報処理手段によって特定された調剤薬局を、上記地図上にルートと共に示した処理結果を上記携帯端末に送信する処理結果送信処理と、を実行させる、調剤薬局情報提供コンピュータプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−3996(P2013−3996A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137037(P2011−137037)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【特許番号】特許第4934229号(P4934229)
【特許公報発行日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【出願人】(511104082)株式会社グッドサイクルシステム (1)
【Fターム(参考)】