説明

調剤装置のカセット認識方法及びその装置

【課題】錠剤シート幅と略同幅の錠剤カセットを使用した場合でも、錠剤カセットの存在範囲やカセット仕様を容易に認識することができる調剤装置のカセット認識方法及びその装置を提供すること。
【解決手段】この調剤装置1は、所定幅を有する複数の錠剤カセット500,500,・・・に臨む所定の空間内で移動して各錠剤カセット内にそれぞれ縦方向に積載された錠剤シート900,900,・・・を一枚ずつチャッキングするチャッキングユニット400を備え、このチャッキングユニット400に、カセット位置を検出するための光センサ432と、カセット仕様を検出するためのリーダー431とを設けるとともに、各錠剤カセットのチャッキングユニット400に対向する側に、前記光センサ432で検出可能な孔部535と、リーダー431で検出可能なICタグ534とがそれぞれ設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調剤装置のカセット認識方法及びその装置に関し、特にPTP(プレス スルー パッケージ)錠剤シートと呼ばれる包装形式の錠剤を、錠剤カセットに入れて自動的に調剤する調剤装置のカセット認識方法及びその装置に好適である。
【背景技術】
【0002】
従来、病院等の薬局における調剤作業は薬剤師が医師の処方箋に従って行っているが、特に診療分野が広い総合病院等にあっては、常時取り出し可能にしておく錠剤の種類が多くなり、保管場所を必要とするばかりか、処方箋に基づいて調剤する作業は非常に精神的、肉体的に負担を強いられるものであった。
【0003】
そこで、予め設定したプログラムに基づいて所定の錠剤の所定個数分を、PTP錠剤シートの端数分を含めて自動的に調剤する調剤装置が開発された(例えば特許文献1,2参照)。なお、PTP錠剤シートとは、錠剤側を押圧することで底のアルミシート部分を破ることにより錠剤を取り出すようにした包装形式であり、一般には錠剤の10個以上を1枚のシート状にして供給される。
【0004】
ここでは、PTP錠剤シートを複数枚載置した錠剤カセットはカセット棚に収容されており、ヘッド装置に搭載されているチャッキング装置の爪部が、錠剤カセットの前面に形成されている溝部に直接潜入して、相対位置合わせを行うとともに、錠剤カセット内の最下位置にあるPTP錠剤シートをチャッキングして外部に取り出すようになっている。
【0005】
この錠剤カセット1000では、図11に示すように、円形フランジを有したストッパー1100は、1個で2個分用に使用できるように、半円部で掛止している。このストッパー1100と反対側にはローレットネジ1200が左右に一対設けられており、このローレットネジ1200をカセット棚1300に固定されている補強を兼ねた固定棒材1400のメスネジ1500に螺合することで錠剤カセット1000の両端をカセット棚1300に固定している。
【0006】
ここで、図示しないPTP錠剤シートは、外形形状がさまざまであり、これらの外形を規制して収容するために、錠剤カセット1000の外壁体1010の内側には、一対の幅規制部材1011が設けられている。これらの幅規制部材1011は、前壁体1020に穿設された長孔1030に挿通しているネジ1040により固定されており、これらのネジ1040を緩めてから幅規制部材1011をPTP錠剤シートの幅寸法に隙間分を設けて固定することで、全てのPTP錠剤シートの幅方向を規制できるようになっている。また、後壁体1024には、PTP錠剤シートの識別用のバーコード1023が貼り付けられており、ユーザがその都度バーコードリーダーで確認することでPTP錠剤シートの着脱時の誤挿入を防止している。
【0007】
なお、前壁体1020の上部には正方形のマーカー1021と直角三角形のマーカー1022とが塗装又は印刷されているが、これらはヘッド装置2000に搭載されている図示しない位置検出センサにより検出されて、調剤動作時に錠剤カセット1000に対する前記ヘッド装置の相対位置決めを行うためのものである。
【特許文献1】特開平4−269960号公報
【特許文献2】実開平5−054223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来技術では、錠剤カセット1000の幅寸法は同一であるので、例えばストッパー1100の位置だけでカセット棚1300上の錠剤カセット1000の位置を特定できる。しかしながら、これでは幅狭のPTP錠剤シートを混在使用する場合にも、常に幅広のカセット幅が必要となるため、カセット棚上の無駄な配置スペースを必要とすることとなる。
【0009】
そこで、PTP錠剤シートのシート幅に応じた幅寸法を有する錠剤カセット1000を使用することが考えられるが、その場合には、錠剤カセット1000ごとの幅寸法が異なることから、カセット棚1300上の錠剤カセット1000の位置の認識が困難となり、これに伴い錠剤カセットに積載されるPTP錠剤シートの薬剤情報の認識も困難となるといった問題があった。今後の薬剤種の増加に伴うカセット交換や並べ替えの頻度を考慮するとこの問題は深刻なものとなる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、PTP錠剤シートのシート幅に応じた幅寸法を有する錠剤カセットを使用した場合でも、カセット棚上の錠剤カセットの位置やカセット仕様を容易に認識することができる調剤装置のカセット認識方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第一の発明(方法)は、所定形状のカセット棚上に、それぞれ薬剤を収容可能な複数のカセットが並設された調剤装置のカセット認識方法であって、前記カセット棚上の各カセット側に設けられ、該各カセットの位置をそれぞれ示すカセット位置被検出部を、前記各カセットに対して相対移動可能なカセット位置検出手段で検出する工程と、前記カセット棚上の各カセット側に設けられ、該各カセット内に収容される薬剤の薬剤情報を含むカセット仕様をそれぞれ示すカセット仕様被検出部を、前記各カセットに対して相対移動可能なカセット仕様検出手段で検出する工程とを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
この第一の発明では、カセット仕様被検出部に予めカセット仕様を記憶しているが、その記憶内容は名称等の簡単なものに限定される。したがって、カセット仕様に係るほとんどの情報は、依然として、コントローラやこのコントローラに接続された制御装置側に記憶されているので、そのコントローラや制御装置側の負担が大きい。そこで、請求項2記載の発明のように、前記カセット棚上の各カセット側に設けられた前記カセット仕様被検出部に、該各カセット内に収容される薬剤の薬剤情報を含むカセット仕様を、前記各カセットに対して相対移動可能なカセット仕様書込検出手段で書込む工程を備えることが好ましい。
【0013】
第二の発明(装置)は、所定形状のカセット棚上に、それぞれ薬剤を収容可能な複数のカセットが並設された調剤装置のカセット認識装置であって、前記カセット棚上の各カセットの位置を検出するためのカセット位置検出手段と、該各カセット内に収容される薬剤の薬剤情報を含むカセット仕様を検出するためのカセット仕様検出手段とを前記各カセットに対して相対移動可能に設けるとともに、前記カセット棚上の各カセット側に、前記カセット位置検出手段で検出可能なカセット位置被検出部と、前記カセット仕様検出手段で検出可能なカセット仕様被検出部とをそれぞれ設けたことを特徴とするものである。
【0014】
この第二の発明も、前記第一の発明と同様に、カセット仕様被検出部に予めカセット仕様を記憶しているだけであるので、請求項4記載の発明のように、前記カセット棚上の各カセット側に設けられた前記カセット仕様被検出部に、該各カセット内に収容される薬剤の薬剤情報を含むカセット仕様を書込むためのカセット仕様書込手段を、前記各カセットに対して相対移動可能に設けることが好ましい。
【0015】
第一,第二の発明によれば、前記カセット棚上の各カセット側に設けられ、該各カセットの位置をそれぞれ示すカセット位置被検出部が、前記各カセットに対して相対移動可能なカセット位置検出手段で検出され、前記カセット棚上の各カセット側に設けられ、該各カセット内に収容される薬剤の薬剤情報を含むカセット仕様をそれぞれ示すカセット仕様被検出部が、前記各カセットに対して相対移動可能なカセット仕様検出手段で検出される。したがって、カセット内に収容可能な薬剤の種類等の如何にかかわらず、カセット棚上のカセットの位置やカセット仕様を容易に認識することができる。これにより、カセット棚上の各カセットを交換し或いは並べ替えたとしても、その都度人手でもって該各カセットの交換或いは並べ替え後の配置を確認する必要がなくなる。その結果、カセット棚上へのカセットの配置の自由度が向上して、カセット棚にできるだけ多くのカセットを搭載できるようになるため、薬剤の収納効率が高いものとなる。なお、この薬剤には、錠剤、PTP錠剤シート(錠剤シート)の他、アンプル等を含む。
【0016】
請求項2,4記載の発明によれば、前記カセット棚上の各カセット側に設けられた前記カセット仕様被検出部に、該各カセット内に収容される薬剤の薬剤情報を含むカセット仕様が、前記各カセットに対して相対移動可能なカセット仕様書込手段で書込まれるので、カセット側に薬剤情報を含むカセット仕様を記憶させることができる。したがって、コントローラ側での登録作業等を省略でき、薬剤の外形情報等をカセット側から取得することで、コントローラや制御装置側から機械動作に必要な外形情報等をダウンロードする必要がなくなる。これにより、コントローラ等のデーターベースを簡略化することができる。
【0017】
第三の発明(装置)は、それぞれ錠剤シートの幅寸法に応じたカセット幅を有する複数の錠剤カセットが該幅方向に列設されたカセット棚に臨む所定の空間内で移動して、各錠剤カセット内に積載された前記錠剤シートを一枚ずつチャッキングするチャッキングユニットを備えた調剤装置のカセット認識装置であって、前記チャッキングユニットに、カセット棚上の各錠剤カセットの位置を検出するためのカセット位置検出手段と、該各錠剤カセットに積載される錠剤シートの薬剤情報を含むカセット仕様を検出するためのカセット仕様検出手段とを設けるとともに、各錠剤カセットの前記チャッキングユニットに対向する側に、前記カセット位置検出手段で検出可能なカセット位置被検出部と、前記カセット仕様検出手段で検出可能なカセット仕様被検出部とをそれぞれ設けたことを特徴とするものである。
【0018】
第三の発明によれば、前記チャッキングユニットに設けられたカセット位置検出手段で、錠剤カセットの前記カセット位置検出手段に対向する側に設けられたカセット位置被検出部を検出することにより、カセット棚上の各錠剤カセットの位置が検出される。また、前記チャッキングユニットに設けられたカセット仕様検出手段で、錠剤カセットの前記カセット仕様検出手段に対向する側に設けられたカセット仕様被検出部を検出することにより、各錠剤カセットに積載される錠剤シートの薬剤情報を含むカセット仕様が検出される。したがって、PTP錠剤シートのシート幅に応じた幅寸法を有する錠剤カセットを使用した場合でも、カセット棚上の錠剤カセットの位置やカセット仕様を容易に認識することができる。これにより、カセット棚上の各錠剤カセットを交換し或いは並べ替えたとしても、その都度人手でもって該各錠剤カセットの交換或いは並べ替え後の配置を確認する必要がなくなる。その結果、カセット棚上への錠剤カセットの配置の自由度が向上して、カセット棚にできるだけ多くの錠剤カセットを搭載できるようになるため、錠剤シートの収納効率が高いものとなる。
【0019】
請求項6記載の発明ように、各錠剤カセットの前記チャッキングユニットに対向する側を該チャッキングユニットでスキャンして各錠剤カセットのカセット位置及びカセット仕様を検出するとともに、この検出された各錠剤カセットのカセット位置及びカセット仕様と、別途入力された処方箋データとに基づいて、前記チャッキングユニットを調剤時に動作させるための動作データを演算する制御手段を備えることが好ましい。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、各錠剤カセットの前記チャッキングユニットに対向する側を該チャッキングユニットでスキャンして各錠剤カセットのカセット位置及びカセット仕様を検出するとともに、この検出された各錠剤カセットのカセット位置及びカセット仕様と、別途入力された処方箋データとに基づいて、前記チャッキングユニットを調剤時に動作させるための動作データを演算する制御手段が備えられているので、当該動作データを容易に取得できるようになる。
【0021】
ところで、PTP錠剤シートのシート幅に応じた幅寸法を有する錠剤カセットを使用した場合に、カセット位置を認識するためには、カセット位置被検出部を複数化するか、高価な画像認識装置を使用する必要がある。そこで、請求項7記載の発明のように、前記カセット仕様にカセット幅情報を含めておき、前記制御手段は、前記カセット位置検出手段で検出されたカセット位置と、前記カセット仕様検出手段で検出されたカセット仕様に含まれるカセット幅情報とに基づいて、カセット棚上の各錠剤カセットの位置を示す棚位置データを演算する演算手段を含み、前記動作データの演算にこの棚位置データを用いることが好ましい。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、前記カセット仕様にカセット幅情報を含めておき、前記制御手段は、前記カセット位置検出手段で検出されたカセット位置と、前記カセット仕様検出手段で検出されたカセット仕様に含まれるカセット幅情報とに基づいて、カセット棚上の各錠剤カセットの位置を示す棚位置データを演算する演算手段を含み、前記動作データの演算にこの棚位置データを用いるようにしたので、PTP錠剤シートのシート幅に応じた幅寸法を有する錠剤カセットを使用した場合でも、カセット位置被検出部とカセット被仕様検出部とを検出するだけで、そのカセット位置を正確に認識できるようになる。したがって、カセット位置被検出部の数量を減じることができ、また高価な画像認識装置などを使用せずに済むので、安価な構成とすることができる。
【0023】
請求項8記載の発明のように、前記カセット位置被検出部は、前記錠剤カセットの前記チャッキングユニットに対向する側に設けられた光反射部であり、前記カセット位置検出手段は、この光反射部に投光してその反射光を受光する光センサであることが好ましい。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、前記カセット位置被検出部は、前記錠剤カセットの前記チャッキングユニットに対向する側に設けられた光反射部であり、前記カセット位置検出手段は、この光反射部に投光してその反射光を受光する光センサであるので、安価な構成でカセット位置を検出することができる。
【0025】
請求項9記載の発明のように、前記カセット仕様被検出部は、当該錠剤カセットのカセット仕様を予め記憶しておいたタグであり、前記カセット仕様検出手段は、このタグに記憶されたカセット仕様を非接触で読み取り可能なタグリーダーであることが好ましい。
【0026】
請求項9記載の発明によれば、前記カセット仕様被検出部は、当該錠剤カセットのカセット仕様を予め記憶しておいたタグであり、前記カセット仕様検出手段は、このタグに記憶されたカセット仕様を非接触で読み取り可能なタグリーダーであるので、安価な構成でカセット仕様を検出することができる。
【0027】
この第三の発明も、前記第一,第二の発明と同様に、カセット仕様被検出部に予めカセット仕様を記憶しているだけであるので、請求項10記載の発明のように、前記カセット棚上の各カセット側に設けられた前記カセット仕様被検出部に該各カセット内に収容される薬剤の薬剤情報を含むカセット仕様を書込むためのカセット仕様書込手段を、前記チャッキングユニットにさらに設けることが好ましい。
【0028】
請求項10記載の発明によれば、前記カセット棚上の各カセット側に設けられた前記カセット仕様被検出部に該各カセット内に収容される薬剤の薬剤情報を含むカセット仕様を書込むためのカセット仕様書込手段が、前記チャッキングユニットにさらに設けられているので、カセット側に薬剤情報を含むカセット仕様を記憶させることができる。したがって、コントローラ側での登録作業等を省略でき、また、薬剤の外形情報をカセット側から取得することで、コントローラ側から機械動作に必要な外形情報をダウンロードすることなく、コントローラのデーターベースを簡略化することができる。
【0029】
請求項11記載の発明のように、前記カセット仕様被検出部は、当該錠剤カセットのカセット仕様を記憶可能なタグであり、前記カセット仕様書込手段は、前記タグに記憶されるカセット仕様を非接触で書込み可能なタグライターであることが好ましい。
【0030】
請求項11記載の発明によれば、前記カセット仕様被検出部は、当該錠剤カセットのカセット仕様を記憶可能なタグであり、前記カセット仕様書込手段は、前記タグに記憶されるカセット仕様を非接触で書込み可能なタグライターであるので、安価な構成でカセット仕様を書込むことができる。なお、このタグライターを、前記タグリーダーと一体型のものとすれば、さらに安価な構成となり、かつ装置のコンパクト化にもつながる。
【発明の効果】
【0031】
第一、第二の発明によれば、カセット内に収容可能な薬剤の種類等の如何にかかわらず、カセット棚上のカセットの位置やカセット仕様を容易に認識することができる。これにより、カセット棚上の各カセットを交換し或いは並べ替えたとしても、その都度人手でもって該各カセットの交換或いは並べ替え後の配置を確認する必要がなくなる。その結果、カセット棚上へのカセットの配置の自由度が向上して、カセット棚にできるだけ多くのカセットを搭載できるようになるため、薬剤の収納効率が高いものとなる。
【0032】
第三の発明によれば、前記チャッキングユニットに設けられたカセット位置検出手段で、錠剤カセットの前記カセット位置検出手段に対向する側に設けられたカセット位置被検出部を検出することにより、カセット棚上の各錠剤カセットの位置が検出される。また、前記チャッキングユニットに設けられたカセット仕様検出手段で、錠剤カセットの前記カセット仕様検出手段に対向する側に設けられたカセット仕様被検出部を検出することにより、各錠剤カセットに積載される錠剤シートの薬剤情報を含むカセット仕様が検出される。したがって、PTP錠剤シートのシート幅に応じた幅寸法を有する錠剤カセットを使用した場合でも、カセット棚上の錠剤カセットの位置やカセット仕様を容易に認識することができる。これにより、カセット棚上の各錠剤カセットを交換し或いは並べ替えたとしても、その都度人手でもって該各錠剤カセットの交換或いは並べ替え後の配置を確認する必要がなくなる。その結果、カセット棚上への錠剤カセットの配置の自由度が向上して、カセット棚にできるだけ多くの錠剤カセットを搭載できるようになるため、錠剤シートの収納効率が高いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1は本発明の一実施形態に係る調剤装置1の主たる構成要素を示す分解斜視図である。
【0034】
図1に示すように、この調剤装置1は、箱状の装置本体100の奥側左右に2台設けられたYキャリッジ200,200と、これらのYキャリッジ200,200にそれぞれ支持されたXキャリッジ300,300と、これらのXキャリッジ300,300にそれぞれ支持されたチャッキングユニット400,400と、前記装置本体100の手前側左右に2台設けられ、複数の各錠剤カセット(カセットに相当する。)500,500,・・・を左右方向に並べて搭載可能なカセット棚600,600と、これらのカセット棚600,600の下部にそれぞれ配置されたカッティングユニット700,700と、左右のカセット棚600,600の下方に、両カセット棚600,600の左右両端間に亘って配置された1台の搬送コンベアユニット800とを備えている。
【0035】
以下、複数存在する構成要素については、その代表的なものについて説明する。
【0036】
Yキャリッジ200は、サーボモータ210と、このサーボモータ210で駆動される縦軸方向(図1中のY方向)のボールネジ220と、ボールネジ220の左右にそれぞれ配置された縦ガイド230,230と、ボールネジ220の回転により上下動するナット240とを備えており、Xキャリッジ300は、縦ガイド230,230に案内されつつ、ボールネジ220の回転によりナット240とともに上下動するキャリッジ本体310と、このキャリッジ本体310上に、サーボモータ410と、このサーボモータ410で駆動される横軸方向(図1中のX方向)のボールネジ415と、図示しないナットとを備えている。
【0037】
図2は錠剤カセット500のチャッキングユニット400に対向する側から見た斜視図、図3はその分解斜視図、図4はシート頭出し前の状態を示す側断面図,図5はシート頭出し時の状態を示す側断面図、図6はカセット本体520の本体下部540の具体的構成を示す斜視図である。なお、以下では、錠剤カセット500のチャッキングユニット400に臨む側を前、その反対側を後という。
【0038】
本実施形態における錠剤カセット500は、積載される各種PTP錠剤シート(錠剤シート、薬剤に相当する。)900よりも若干幅広に形成されている。したがって、錠剤カセット500としては、各種PTP錠剤シート900の有する幅に応じて、幅寸法のみが異なるものが複数用意される。それらの具体的な構成は、いずれも図2,図3に示すように、断面凹状をなす長尺のカセット基部510と、このカセット基部510の長手方向から着脱自在に嵌合されるカセット本体520とからなっている。
【0039】
カセット基部510の底板511の裏面側には、図4,図5に示すように、側面視L字状の突起512,512が前後(及び左右)にそれぞれ形成され、その底板511の後端は上方に屈曲されて弾性を有する舌片513が形成されている。前記底板511の後部の表面側には断面逆凹状の支持部材514が形成され、この支持部材514で片持ち支持される左右二条の舌片515,515がそれぞれ前部に向かって先下がりに形成されている。なお、支持部材514と、舌片515,515とは、前記図2に示すように、ともにカセット基部510の左右側壁516,517内に配置されており、この舌片515,515でPTP錠剤シート900,900,・・・の端数分がチャッキングされるようになっている。ただし、前記舌片515の条数は二条に限定されず、一条でもよいし、三条以上であってもよい。
【0040】
カセット本体520は、さらに複数のPTP錠剤シート900,900,・・・を積載可能な本体上部530と、この本体上部530の下部に一体となるように取り付けられた本体下部540とからなっている。
【0041】
本体下部540は、カセット本体520のカセット基部510への組み立て状態で、該カセット基部510の左右側壁516,517内に埋没して配置されるものであるが、その単体で見ると、図6に示すように、断面凹状の長尺形状をなした底板541上に前記本体上部530の一番下に積載されたPTP錠剤シート900を順次に取り出すためのリンク機構550を備えている。
【0042】
このリンク機構550は、前記本体下部540の底板541の後部にあって、その幅方向の略中央部に回転可能に軸支された回転部材542と、後端側がこの回転部材542の一端側に回転可能に連結され、かつ前端側の押圧部材543が前記チャック430による押圧力を受けると、引張りバネ544aによる弾性付勢力に抗して後向きに移動可能な第一のスライド部材544と、この第一のスライド部材544と平行に配置されるとともに、後端側が前記回転部材542の他端側に回転可能に連結され、かつ前記第一のスライド部材544と逆向きに移動可能な第二のスライド部材545とを備えており、この第二のスライド部材545に、前記一番下に積載されたPTP錠剤シート900を押し出すための押出部材546が立設されている。
【0043】
本体上部530は、図2〜図5に示すように、カセット本体520のカセット基部510への組み立て状態で、その後部から中間部にかけてカセット基部510の左右側壁516,517内に埋没して配置され、その中間部から前部にかけてカセット基部510の左右側壁516,517の上方に突出して配置される側面視L字状をなしており、当該突出させた前壁531が前端で互いに内側に屈曲されることにより、所定の間隙を介して対向配置されている。前壁531の上端同士は補強板532で互いに連結されている。
【0044】
この本体上部530の前面には、図2に示すように、各錠剤シート900,900,・・・のカセット仕様を検出するためのICタグ(タグ、カセット仕様被検出部に相当する。)534が取り付けられており、その直下にはカセット位置検出用の孔部(光反射部、カセット位置被検出部に相当する。)535が形成されている。そして、チャッキングユニット400に搭載されたリーダー(タグリーダー、カセット仕様検出手段に相当する。)431で前記ICタグ534に記憶されたカセット幅情報やカセット仕様情報を非接触で読み取ることができるようになっており、また、光センサ(カセット位置検出手段に相当する。)432で前記孔部535によりカセット位置情報を非接触で読み取ることができるようになっている。
【0045】
本体上部530の後部には、棒状部材533が起伏可能に立設されており、PTP錠剤シート900,900,・・・の充填時に倒伏させて、前記前壁531間にPTP錠剤シート900,900,・・・を挟み込んだ状態で、この棒状部材533を起立させることで、各PTP錠剤シート900,900,・・・を整列させるようになっている。
【0046】
チャッキングユニット400は、図1に示すように、キャリッジ本体310から前方(図1中のZ方向)に延びるZキャリッジ411と、このZキャリッジ411の後部に配置されたロータリーソレノイド420と、このロータリーソレノイド420で駆動されるチャック430と、このチャック430の左右にそれぞれ配置された横ガイド440,440と、横ガイド440,440間の下部に設けられた一次バケット450と、この一次バケット450の前部に設けられたラインセンサー460と、一次バケット450の下方に設けられたシャッター470付きの二次バケット480とを備えている。Zキャリッジ411は、いずれも図示しないサーボモータと、ボールネジと、ナットとからなっている。
【0047】
そして、PTP錠剤シート900の端数打ち抜きが不要である場合には、チャック430が前方へ移動して、そのチャック430で直接に錠剤カセット500の押圧部材543を押圧することで、そのリンク機構550の第一のスライド部材544を、引張りバネ544aによる弾性付勢力に抗して後退させる。この後退させた第一のスライド部材544で、回転部材542の一端側を押圧して該回転部材542を図6中の反時計回りに回転させる。すると、この回転させた回転部材542の他端側で第二のスライド部材545を前進させる。この前進させた第二のスライド部材545で押出部材546を前向きに移動させる。
【0048】
この移動された押出部材546で、錠剤カセット500の一番下側に積載されたPTP錠剤シート900の後端を押圧することにより、そのPTP錠剤シート900の先端が若干当該錠剤カセット500より突出して図4に示す状態から図5に示す状態となって、いわゆる頭出しがなされる。前記チャック430でその頭出しされたPTP錠剤シート900をチャッキングして前方に引っ張り出し、その引っ張り出したPTP錠剤シート900を一次バケット450内に落下させるためにチャック430によるチャッキングを解除する。Xキャリッジ300と、Yキャリッジ200とを用いて一次バケット450を二次バケット480上に移動させる。そして、一次バケット450の図示しない底部シャッターを開口して、PTP錠剤シート900を二次バケット480内に落下させる。ついで、二次バケット480の底部シャッター470を開口して、PTP錠剤シート900を搬送コンベアユニット800上に落下させる。
【0049】
カッティングユニット700は、PTP錠剤シート900の端数打ち抜きをするために、図示しない縦刃と横刃とを備えている。そして、PTP錠剤シート900の端数打ち抜きが必要である場合にも、前述したように、チャッキングユニット400のチャック430で錠剤カセット500の押圧部材543を押圧してリンク機構550で押出部材546を前向きに移動させる。
【0050】
この移動された押出部材546で、錠剤カセット500の一番下側に積載されたPTP錠剤シート900の後端を押圧することにより、そのPTP錠剤シート900の頭出しがなされる。前記チャック430でその頭出しされたPTP錠剤シート900をチャッキングして前方に引っ張り出し、今度はその引っ張り出したPTP錠剤シート900をチャッキングしたまま、カッティングユニット700に搬送する。そして、前記縦刃と横刃とを用いてPTP錠剤シート900の端数打ち抜きを行って、当該打ち抜いた端数分のPTP錠剤シート900を直接搬送コンベアユニット800上に落下させるようになっている。
【0051】
前記PTP錠剤シート900の端数打ち抜きを行った残部は、チャック430でチャッキングしたまま、もとの錠剤カセット500に戻すが、この場合には、PTP錠剤シート900の残部は、カセット基部510の舌片515,515下の残部収納部515aに頭出しした状態で挿入して収納される。
【0052】
この残部収納部515aに収納されたPTP錠剤シート900の残部は、その後、前記チャック430でその頭出しされたPTP錠剤シート900の残部をチャッキングして前方に引っ張り出して、ラインセンサー460で形状をチェックする。そして、PTP錠剤シート900の残部のさらなる端数打ち抜きが不要である場合には、そのPTP錠剤シート900の残部を、一次バケット450内に落下させるためにチャック430によるチャッキングを解除する。Xキャリッジ300と、Yキャリッジ200を用いて一次バケット450を二次バケット480上に移動させる。そして、一次バケット450の図示しない底部シャッターを開口して、PTP錠剤シート900を二次バケット480内に落下させる。ついで、二次バケット480の底部シャッター470を開口して、PTP錠剤シート900を搬送コンベアユニット800上に落下させる。
【0053】
一方、PTP錠剤シート900の残部のさらなる端数打ち抜きが必要である場合にも、前述したように、前記チャック430でカセット基部510の舌片515,515下の残部収納部515aから、その頭出しされたPTP錠剤シート900の残部をチャッキングして前方に引っ張り出す。その引っ張り出したPTP錠剤シート900の残部をチャッキングしたまま、カッティングユニット700に搬送する。そして、前記縦刃と横刃とを用いてPTP錠剤シート900残部のさらなる端数打ち抜きを行って、当該打ち抜いたさらなる端数分のPTP錠剤シート900を直接搬送コンベアユニット800上に落下させる。
【0054】
一方、前記PTP錠剤シート900のさらなる端数打ち抜きを行った残部は、チャック430でチャッキングしたまま、もとの錠剤カセット500に戻すが、この場合も、PTP錠剤シート900の残部は、カセット基部510の舌片515,515下の残部収納部515aに頭出しした状態で挿入して収納される。
【0055】
このようにして、錠剤カセット500に積載されたPTP錠剤シート900はその端数まで無駄なく調剤に供されることとなる。
【0056】
搬送コンベアユニット800は、ローラ群等801と、このローラ群等801で前後・左右方向に移動される錠剤取出バケット802,802とを備えている。そして、前記二次バケット480からシャッター470を介して落下したPTP錠剤シート900又はその残部は、ローラ群等801で前後・左右方向に移動され、錠剤取出バケット802,802のいずれかに落下されるようになっている。
【0057】
一方、前記カッティングユニット700から落下したPTP錠剤シート900の残部又はさらなる残部も、同様に、ローラ群等801で前後・左右方向に移動され、錠剤取出バケット802,802のいずれかに落下される。
【0058】
このようにして、錠剤取出バケット802,802には、調剤されたPTP錠剤シート900又はその残部が収納されるようになっている。
【0059】
図7は調剤装置1のカセット認識に係る制御系を示す機能ブロック図、図8はこの調剤装置1のカセット認識に係る概略動作を示すフローチャートである。
【0060】
本調剤装置1のカセット認識に係る制御系は、図7に示すように、調剤装置1に付設されるコントローラ10と、このコントローラ10からの各種データ及び別途入力された処方箋データに基づいて各種演算等を行う制御装置20とを備えている。
【0061】
コントローラ10は、チャッキングユニット400の調剤前のスキャン動作により、前記光センサ432で検出された各錠剤カセット500,500,・・・のカセット位置データを取り込むためのカセット位置データ取込部26と、これと同時に、前記リーダー431で検出されたカセット仕様データに含まれるカセット幅データを取り込むためのカセット幅データ取込部27及び前記リーダー431で検出されたカセット仕様データに含まれる薬剤情報等を取り込むためのカセット仕様データ取込部28と、チャッキングユニット400の調剤前の前記スキャン動作を制御するための指令信号を該チャッキングユニット400に向けて出力する第一動作指令部31と、チャッキングユニット400の調剤時のチャッキング動作を制御するための指令信号を該チャッキングユニットに出力する第二動作指令部32とを備えている。
【0062】
制御装置20は、調剤装置1に近接配置された汎用或いは専用コンピュータで構成されており、ROM21と、RAM22と、表示部23と、入力部24と、CPU(制御手段に相当する。)25と、記憶部30とを備えている。ROM21は調剤装置1の制御プログラムや予め設定された各種データ等を記憶するものであり、RAM22はデータを一時的に保管するものである。表示部23はLCD等からなり、ユーザへの各種メッセージを表示するものであり、入力部24はユーザの各種指示や処方箋データを入力するためのものである。
【0063】
CPU25はROM21に予め記憶しておいた制御プログラムに従って、コントローラ10を介して本調剤装置1の全体の動作を制御するものであり、前記カセット位置データとカセット幅データとに基づいて、カセット棚600上での各錠剤カセット500,500,・・・の位置を示す棚位置データを演算する演算手段として機能する。この棚位置データは、前記カセット仕様データに含まれる薬剤情報等と、前記処方箋データとともに、チャッキングユニット400を調剤時に動作させるための動作データを演算するのに用いられる。
【0064】
記憶部30は、コントローラ10からのカセット仕様データ及び前記棚位置データ等を全てCPU25経由で記憶するものである。この記憶部30は、制御装置20の外部やコントローラ10側に設けてもよい。
【0065】
以下、図8を参照して本調剤装置1のカセット認識に係るスキャン動作を説明する。いま、チャッキングユニット400は例えば図1中の左下側(ホームポジション)にて、待機状態にあるものとする。このような初期状態で、図8において、電源が投入されると、まず、RAM22へのデフォルト値の設定等の初期設定が行われる(ステップS1)。そして、ユーザが入力部でスキャン動作を選択するとする(ステップS2)。この場合には、予め設定されたプログラムに従って、各錠剤カセット500,500,・・・のスキャン動作を開始する(ステップS3)。
【0066】
例えば前記ホームポジションからカセット棚600の最上段の棚板602上に固定されている各錠剤カセット500,500,・・・を左から右側にスキャンしていき、その下の段では逆に右側から左側にスキャンしていく。そして、最下段の左側又は右側にいたって、スキャンを終了し、チャッキングユニット400はホームポジションに戻る。
【0067】
このスキャン動作中に、光センサ432は各錠剤カセット500,500,・・・の前面に形成された孔部535に投光してその反射光に含まれるカセット位置データを検出し、これと同時に、前記リーダー431は各錠剤カセット500,500,・・・の前面に取り付けられたICタグ534に記憶されたカセット幅データ及びカセット仕様データ等を検出する(ステップS4)。
【0068】
ついで、前記光センサ432で検出された各錠剤カセット500,500,・・・のカセット位置データをカセット位置データ取込部26で取り込み、前記リーダー431で検出されたカセット幅データをカセット幅データ取込部27で取込み、前記リーダー431で検出されたカセット仕様データをカセット仕様データ取込部28で取込む(ステップS5)。
【0069】
ついで、前記カセット位置データとカセット幅データとに基づいて前記棚位置データをCPU25で演算する(ステップS6)。
【0070】
このカセット仕様データ及び棚位置データをフラグ等で対応付けて記憶部30に記憶する(ステップS7)。
【0071】
チャッキングユニット400の調剤前の前記スキャン動作を終了する(ステップS8)。
【0072】
すると、ステップS2に戻り、今度はスキャン動作でないので(ステップS2でNO)チャッキングユニット400の調剤時のチャッキング動作が開始される(ステップS9)。この動作は、上記各構成要素において説明した通常の調剤動作であるので、その説明は省略する。
【0073】
この実施形態によれば、チャッキングユニット400に設けられた光センサ432で、錠剤カセット500の前面に設けられた孔部535を検出することにより、カセット棚600上の各錠剤カセット500,500,・・・の位置データが検出される。また、前記チャッキングユニット400に設けられたリーダー431で、錠剤カセット500の前面に設けられたICタグ534を検出することにより、各錠剤カセットに積載される錠剤シート900の薬剤情報を含むカセット仕様が検出される。したがって、PTP錠剤シート900のシート幅に応じた幅寸法を有する錠剤カセット500を使用した場合でも、カセット棚600上の錠剤カセット500の位置やカセット仕様を容易に認識することができる。これにより、カセット棚600上の各錠剤カセット500,500,・・・を交換し或いは並べ替えたとしても、その都度人手でもって該各錠剤カセット500,500,・・・の交換或いは並べ替え後の配置を確認する必要がなくなる。その結果、カセット棚600上への錠剤カセット500の配置の自由度が向上して、カセット棚600にできるだけ多くの錠剤カセット500を搭載できるようになるため、錠剤シート900の収納効率が高いものとなる。
【0074】
また、PTP錠剤シート900のシート幅に応じた幅寸法を有する錠剤カセット500を使用した場合でも、チャッキングユニット400に取り付けられた光センサ432で錠剤カセット500の前面の1個の孔部535を検出するとともに、リーダー431で錠剤カセット500の前面の1個のICタグ534を検出するだけで、そのカセット位置を正確に認識できるようになる。したがって、検出箇所を複数化したり、高価な画像認識装置などを使用したりせずに済むので、安価な構成とすることができる。
【0075】
なお、上記実施形態では、左右に2台のカセット棚600,600を配置しているが、前後に配置することとしてもよいし、1台、或いは3台以上のカセット棚を配置することとしてもよい。その場合には、各キャリッジ、チャッキングユニット、カッティングユニット等の台数もこれに対応したものとするのが作業効率の点から好ましい。
【0076】
また、上記実施形態では、カセット位置検出手段として光センサ432を使用し、またカセット位置被検出部として錠剤カセット500の前面に孔部535を形成しているが、カセット位置被検出部として錠剤カセット500の前面に光反射テープを貼設してもよいし、カセット位置検出手段として超音波センサ等他の種類のセンサを使用してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、カセット仕様検出手段としてリーダー431を使用し、またカセット仕様被検出部として錠剤カセット500の前面にICタグ534を取り付けているが、カセット仕様被検出部としてバーコードを印刷等して、カセット仕様検出手段としてのバーコードリーダーを使用してもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、各PTP錠剤カセット500,500,・・・は、カセット棚600の棚板602上に、該各PTP錠剤カセット500,500,・・・の幅方向に列設されているが、この棚板は静止した平板状のものに限定されず、例えば所定の軸心まわりに回転する円筒形状のものであってもよい。その場合には、チャッキングユニット400(或いはこれに搭載されるリーダー431及び光センサ432)を、この回転する棚板上に搭載された各PTP錠剤カセット500,500,・・・に対して相対移動させることで足りる。
【0079】
また、上記実施形態では、PTP錠剤シート900を積載可能な錠剤カセット500を例示しているが、本発明の適用範囲はこれに限定されることなく、本発明は例えば錠剤、PTP錠剤シート、アンプル等の薬剤一般を収納可能な種々のカセットにも適用することができることはいうまでもない。そのカセットの形状についても、前記例示のような特定の形状に限定されることはなく、カセット棚上に並設できるような所定の形状であればよい。
【0080】
ところで、上記実施形態では、錠剤カセット500側のICタグ534に薬剤情報を含むカセット仕様を予め記憶させているが、その内容は名称等の簡単なものに限定される。したがって、カセット仕様に係るほとんどの情報は、依然として、コントローラ10やこのコントローラ10に接続された制御装置20側に記憶されているので、そのコントローラ10や制御装置20側の負担が大きい。
【0081】
以下、コントローラ10や制御装置20側の負担を軽減するための構成例を説明する。図9は本構成に係る制御系を示す機能ブロック図、図10は本構成に係る概略動作を示すフローチャートである。ここでは、上記実施形態と共通する要素には同一符号を付し、その詳細説明を省略する。
【0082】
この構成では、錠剤カセット500の本体上部530の前面には、図2に示すように、各錠剤シート900,900,・・・のカセット仕様を検出するためのICタグ(カセット仕様被書込み部に相当する。)534が取り付けられており、その直下にはカセット位置検出用の孔部535が形成されている。
【0083】
そして、チャッキングユニット400に搭載された前記リーダー431と一体となったリーダー・ライター(タグライター、カセット仕様書込手段に相当する。)431aで前記ICタグ534にPTP錠剤シート900の薬剤情報を含むカセット仕様を非接触で書込むことができるようになっており、また、光センサ432で前記孔部535によりカセット位置情報を非接触で読み取ることができるようになっている。なお、本構成では、図2中の符号431を431aに読み替えるものとする。
【0084】
本構成に係る制御系は、図9に示すように、調剤装置1に付設されるコントローラ10と、このコントローラ10からの各種データ及び別途入力された処方箋データに基づいて各種演算等を行う制御装置20とを備えている。
【0085】
コントローラ10は、前記図7の構成に加えて、チャッキングユニット400の調剤前の#2スキャン動作により、前記リーダー・ライター431aでカセット仕様データを書込むためのカセット仕様データ書込部29を備えている。なお、カセット仕様データ取込部28aは、前記リーダー・ライター431aで検出されたカセット仕様データに含まれる薬剤情報等を取り込むためのものである。
【0086】
制御装置20は、調剤装置1に近接配置された汎用或いは専用コンピュータで構成されており、ROM21と、RAM22と、表示部23と、入力部24と、CPU25と、記憶部30とを備えている。ROM21は調剤装置1の制御プログラムや予め設定された各種データ等を記憶するものであり、RAM22はデータを一時的に保管するものである。表示部23はLCD等からなり、ユーザへの各種メッセージを表示するものであり、入力部24はユーザの各種指示や処方箋データを入力するためのものである。
【0087】
CPU25はROM21に予め記憶しておいた制御プログラムに従って、コントローラ10を介して本調剤装置1の全体の動作を制御するものであり、前記カセット位置データ等に基づいて、カセット棚600上での各錠剤カセット500,500,・・・の位置を示す棚位置データを演算する演算手段として機能する。この棚位置データは、前記カセット仕様データに含まれる薬剤情報等と、前記処方箋データとともに、チャッキングユニット400を調剤時に動作させるための動作データを演算するのに用いられる。
【0088】
記憶部30は、上記実施形態では、コントローラ10からのカセット仕様データ及び前記棚位置データ等を全てCPU25経由で記憶するものであるが、本構成では、カセット仕様データに含まれる薬品情報、形状情報等のほとんどが錠剤カセット500のICタグ534側に記憶し、この記憶部30への登録作業はしていないので、この記憶部30の記憶容量は小さいもので済む。なお、この記憶部30は、制御装置20の外部やコントローラ10側に設けてもよい。
【0089】
以下、図10を参照して本構成に係るスキャン動作を説明する。いま、チャッキングユニット400は例えば図1中の左下側(ホームポジション)にて、待機状態にあるものとする。このような初期状態で、図10において、電源が投入されると、まず、RAM22へのデフォルト値の設定等の初期設定が行われる(ステップS1)。そして、ユーザが入力部で#1スキャン動作を選択するとする(ステップS2)。この場合には、予め設定されたプログラムに従って、各錠剤カセット500,500,・・・の#1スキャン動作を開始する(ステップS3)。この後、上記と同様のステップS4〜S8を実行する。このときには、上記と同様のカセット仕様が予めICタグ534に記憶させているものとする。
【0090】
そして、#1スキャン動作を終了すると、ユーザが入力部で#2スキャン動作を選択するとする(ステップS9)。この場合には、予め設定されたプログラムに従って、各錠剤カセット500,500,・・・の#2スキャン動作を開始する(ステップS10)。
【0091】
この#2スキャン動作中に、リーダー・ライター431aを使用するが、この場合には、このリーダー・ライター431aで各錠剤カセット500,500,・・・のICタグ534にカセット仕様を書込む(ステップS11)。そして、すべてのICタグ534にカセット仕様が書込まれると、予め記憶された内容が更新後のカセット仕様に置き換わり、この時点で、#2スキャン動作を終了する(ステップS12)。
【0092】
すると、ステップS9に戻り、今度は#2スキャン動作でないので(ステップS9でNO)チャッキングユニット400の調剤時のチャッキング動作が開始される(ステップS13)。この動作は、上記各構成要素において説明した通常の調剤動作であるので、その説明は省略する。
【0093】
この実施形態によれば、カセット棚600の棚板602上の各錠剤カセット500,500,・・・側に設けられたICタグ534に該各錠剤カセット500,500,・・・内に収容される薬剤の薬剤情報を含むカセット仕様を書込むためのリーダー・ライター431aが、チャッキングユニット400にさらに設けられているので、錠剤カセット500側に薬剤情報を含むカセット仕様を記憶させることができる。したがって、コントローラ10や制御装置20側での登録作業等を省略でき、また、薬剤の外形情報を錠剤カセット500側から取得することで、コントローラ10や制御装置20側から機械動作に必要な外形情報をダウンロードすることなく、コントローラ10や制御装置20のデーターベースを簡略化することができる。
【0094】
また、ここでは、前記カセット仕様被検出部は、当該錠剤カセットのカセット仕様を記憶可能なICタグ534であり、前記カセット仕様書込み手段は、前記ICタグ534に記憶されるカセット仕様を非接触で書込み可能なリーダー・ライター431aであるので、安価な構成でカセット仕様を書込むことができる。
【0095】
なお、このリーダー・ライター431aは、リーダーとライターとを別体としてもよいが、このように一体型のものとすることで、さらに安価な構成となり、かつ装置のコンパクト化にもつながっている。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施形態に係る調剤装置の主たる構成要素を示す分解斜視図である。
【図2】錠剤カセットのチャッキングユニットに対向する側から見た斜視図である。
【図3】錠剤カセットの分解斜視図である。
【図4】錠剤カセットのシート頭出し前の状態を示す側断面図である。
【図5】錠剤カセットのシート頭出し時の状態を示す側断面図である。
【図6】カセット本体の本体下部の具体的構成を示す斜視図である。
【図7】本調剤装置のカセット認識に係る制御系を示す機能ブロック図である。
【図8】本調剤装置のカセット認識に係る概略動作を示すフローチャートである。
【図9】本調剤装置のカセット認識に係る他の制御系を示す機能ブロック図である。
【図10】本調剤装置のカセット認識に係る他の概略動作を示すフローチャートである。
【図11】従来の一例における錠剤カセットの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0097】
1 調剤装置
10 コントローラ
20 制御装置
25 CPU(制御手段、演算手段としての機能を含む。)
26 カセット位置データ取込部
27 カセット幅データ取込部
28,28a カセット仕様データ取込部
29 カセット仕様データ書込部
30 記憶部
31 第一動作指令部
32 第二動作指令部
100 装置本体
200 Yキャリッジ
300 Xキャリッジ
400 チャッキングユニット
431 リーダー(タグリーダー、カセット仕様検出手段に相当する。)
431a リーダー・ライター(タグライター、カセット仕様書込手段に相当する。)
432 光センサ(カセット位置検出手段に相当する。)
500 錠剤カセット(カセットに相当する。)
534 ICタグ(タグ、カセット仕様被検出部に相当する。)
535 孔部(光反射部、カセット位置被検出部に相当する。)
600 カセット棚
602 棚板
700 カッティングユニット
800 搬送コンベアユニット
900 PTP錠剤シート(錠剤シート、薬剤に相当する。)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定形状のカセット棚上に、それぞれ薬剤を収容可能な複数のカセットが並設された調剤装置のカセット認識方法であって、
前記カセット棚上の各カセット側に設けられ、該各カセットの位置をそれぞれ示すカセット位置被検出部を、前記各カセットに対して相対移動可能なカセット位置検出手段で検出する工程と、
前記カセット棚上の各カセット側に設けられ、該各カセット内に収容される薬剤の薬剤情報を含むカセット仕様をそれぞれ示すカセット仕様被検出部を、前記各カセットに対して相対移動可能なカセット仕様検出手段で検出する工程とを備えたことを特徴とする調剤装置のカセット認識方法。
【請求項2】
前記カセット棚上の各カセット側に設けられた前記カセット仕様被検出部に、該各カセット内に収容される薬剤の薬剤情報を含むカセット仕様を、前記各カセットに対して相対移動可能なカセット仕様書込手段で書込む工程を備えたことを特徴とする請求項1記載の調剤装置のカセット認識方法。
【請求項3】
所定形状のカセット棚上に、それぞれ薬剤を収容可能な複数のカセットが並設された調剤装置のカセット認識装置であって、
前記カセット棚上の各カセットの位置を検出するためのカセット位置検出手段と、該各カセット内に収容される薬剤の薬剤情報を含むカセット仕様を検出するためのカセット仕様検出手段とを前記各カセットに対して相対移動可能に設けるとともに、
前記カセット棚上の各カセット側に、前記カセット位置検出手段で検出可能なカセット位置被検出部と、前記カセット仕様検出手段で検出可能なカセット仕様被検出部とをそれぞれ設けたことを特徴とする調剤装置のカセット認識装置。
【請求項4】
前記カセット棚上の各カセット側に設けられた前記カセット仕様被検出部に、該各カセット内に収容される薬剤の薬剤情報を含むカセット仕様を書込むためのカセット仕様書込手段を、前記各カセットに対して相対移動可能に設けたことを特徴とする請求項3記載の調剤装置のカセット認識装置。
【請求項5】
それぞれ錠剤シートの幅寸法に応じたカセット幅を有する複数の錠剤カセットが該幅方向に列設されたカセット棚に臨む所定の空間内で移動して、各錠剤カセット内に積載された前記錠剤シートを一枚ずつチャッキングするチャッキングユニットを備えた調剤装置のカセット認識装置であって、
前記チャッキングユニットに、カセット棚上の各錠剤カセットの位置を検出するためのカセット位置検出手段と、該各錠剤カセットに積載される錠剤シートの薬剤情報を含むカセット仕様を検出するためのカセット仕様検出手段とを設けるとともに、
各錠剤カセットの前記チャッキングユニットに対向する側に、前記カセット位置検出手段で検出可能なカセット位置被検出部と、前記カセット仕様検出手段で検出可能なカセット仕様被検出部とをそれぞれ設けたことを特徴とする調剤装置のカセット認識装置。
【請求項6】
各錠剤カセットの前記チャッキングユニットに対向する側を該チャッキングユニットでスキャンして各錠剤カセットのカセット位置及びカセット仕様を検出するとともに、この検出された各錠剤カセットのカセット位置及びカセット仕様と、別途入力された処方箋データとに基づいて、前記チャッキングユニットを調剤時に動作させるための動作データを演算する制御手段を備えたことを特徴とする請求項5記載の調剤装置のカセット認識装置。
【請求項7】
前記カセット仕様にカセット幅情報を含めておき、
前記制御手段は、前記カセット位置検出手段で検出されたカセット位置と、前記カセット仕様検出手段で検出されたカセット仕様に含まれるカセット幅情報とに基づいて、カセット棚上の各錠剤カセットの位置を示す棚位置データを演算する演算手段を含み、前記動作データの演算にこの棚位置データを用いることを特徴とする請求項6記載の調剤装置のカセット認識装置。
【請求項8】
前記カセット位置被検出部は、前記錠剤カセットの前記チャッキングユニットに対向する側に設けられた光反射部であり、前記カセット位置検出手段は、この光反射部に投光してその反射光を受光する光センサであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の調剤装置のカセット認識装置。
【請求項9】
前記カセット仕様被検出部は、当該錠剤カセットのカセット仕様を予め記憶しておいたタグであり、前記カセット仕様検出手段は、このタグに記憶されたカセット仕様を非接触で読み取り可能なタグリーダーであることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の調剤装置のカセット認識装置。
【請求項10】
前記カセット棚上の各カセット側に設けられた前記カセット仕様被検出部に該各カセット内に収容される薬剤の薬剤情報を含むカセット仕様を書込むためのカセット仕様書込手段を、前記チャッキングユニットにさらに設けたことを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の調剤装置のカセット認識装置。
【請求項11】
前記カセット仕様被検出部は、当該錠剤カセットのカセット仕様を記憶可能なタグであり、前記カセット仕様書込手段は、前記タグに記憶されるカセット仕様を非接触で書込み可能なタグライターであることを特徴とする請求項10記載の調剤装置のカセット認識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−114036(P2008−114036A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103346(P2007−103346)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(593129342)高園産業株式会社 (232)
【Fターム(参考)】