説明

調味剤

【課題】飲食品に含まれるカドのある風味を、その基本風味を変えることなく、極少量の添加で、カドのとれた風味に調味することのできる調味剤、及び飲食品の基本風味を維持したまま、飲食品のカドのある風味をカドのとれた風味に調味することのできる飲食品の調味方法を提供すること。
【解決手段】以下の(a)(b)(c)(d)(e)の全てを満たす乳清ミネラルを有効成分として含有する調味剤。
(a)乳清ミネラルの固形分中の灰分含量が25〜75質量%
(b)乳清ミネラルの固形分中のカルシウム含量が2質量%未満
(c)乳清ミネラルの灰分中のカルシウム含量が5質量%未満
(d)乳清ミネラルの固形分中の乳酸含量が1.0質量%以上
(e)乳清ミネラルの固形分0.1質量%水溶液のpHが6.0〜7.5

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食品に含まれるカドのある風味を、その基本風味を変えることなく、極少量の添加で、カドがなく厚みのある風味とし、全体として調和のとれた風味とすることができる調味剤に関する。
【背景技術】
【0002】
塩味、苦味、辛味、甘味、酸味、旨味、渋味などの基本風味は、飲食品毎に好ましいバランスがある。
そして、従来より、その風味には口中での時間と強度の関係から、口に含んだ瞬間に強い風味を感じることを、カドがある風味として好ましくないものとし、口中に含んでしばらくしてからバランスよく風味が広がることを、風味に厚みがある、とかカドがとれた、まろやかであるなどとして好む傾向にある。
【0003】
しかし、カドのある風味を削減し、カドのとれたまろやかな厚みのある風味に改変することは、基本となる風味を変えないという条件下では大変難しいものであった。
そのため、極少量の成分を添加するだけで、そのカドのある風味を、カドがなく厚みのある風味とし、全体として調和のとれた風味とすることができる、いわゆる調味剤の開発が各種行なわれてきた。
【0004】
例えば、にがりを使用した調味剤(例えば特許文献1参照)、ピログルタミン酸塩を使用した調味剤(例えば特許文献2参照)などが提案されているが、特許文献1の調味剤は、苦味が極めて強いという問題があり、特許文献2の調味剤は、特定の風味の飲食品にしか効果がないという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開2003−135020号公報
【特許文献2】特開2001−299266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、飲食品に含まれるカドのある風味を、その基本風味を変えることなく、極少量の添加で、カドのとれた風味に調味することのできる調味剤、及び飲食品の基本風味を維持したまま、飲食品のカドのある風味を、カドのとれた厚みのある風味に調味し、全体として調和のとれた風味とすることのできる飲食品の調味方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、ある特定の組成の乳清ミネラルは、カドのある風味を持つ飲食品に極少量添加しただけであっても、極めて強い調味効果を示すことを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、以下の(a)(b)(c)(d)(e)の全てを満たす乳清ミネラルを有効成分として含有する調味剤を提供するものである。
(a)乳清ミネラルの固形分中の灰分含量が25〜75質量%
(b)乳清ミネラルの固形分中のカルシウム含量が2質量%未満
(c)乳清ミネラルの灰分中のカルシウム含量が5質量%未満
(d)乳清ミネラルの固形分中の乳酸含量が1.0質量%以上
(e)乳清ミネラルの固形分0.1質量%水溶液のpHが6.0〜7.5
また、本発明は、該調味剤をカドのある風味を有する飲食品に添加することを特徴とする、その基本風味を変えることなく、カドのとれた厚みのある風味に調味し、全体として調和のとれた風味とすることのできる飲食品の調味方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の調味剤は、飲食品に含まれるカドのある風味を、その基本風味を変えることなく、極少量の添加で、カドのとれた厚みのある風味に調味することができる。
また、本発明の調味方法は、極少量の添加で、飲食品の基本風味を維持したまま、カドのある風味を、カドのとれた厚みのある風味に調味することができる。
なお、これらの調味効果は水分の多い飲食品であるほど効果が高く、また、その調味された風味が口中で長く持続する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
まず、本発明の調味剤で使用する乳清ミネラルについて詳述する。
通常、乳清ミネラルとは、乳又は乳清から可能な限り蛋白質や乳糖を除去したものであり、高濃度に乳中の灰分を含有するという特徴を有する。
そのため、その灰分組成は、原料となる乳やホエー中の組成に近い比率で含有する。
【0010】
本発明の調味剤で使用する乳清ミネラルは、上記乳清ミネラルと異なり、カルシウム含量が低く、乳酸含量が高く、且つpHが高いという特徴を有するものである。すなわち、本発明の調味剤で使用する乳清ミネラルは以下の(a)(b)(c)(d)(e)の全てを満たすものである。
(a)乳清ミネラルの固形分中の灰分含量が25〜75質量%
(b)乳清ミネラルの固形分中のカルシウム含量が2質量%未満
(c)乳清ミネラルの灰分中のカルシウム含量が5質量%未満
(d)乳清ミネラルの固形分中の乳酸含量が1.0質量%以上
(e)乳清ミネラルの固形分0.1質量%水溶液のpHが6.0〜7.5
【0011】
本発明の調味剤で使用する乳清ミネラルは、固形分中の灰分含量は25〜75質量%、好ましくは30〜75質量%である。25質量%未満であると、他の有機成分が多くなり原料由来の風味が強過ぎて調味剤に適さなくなる。75質量%を超えると、苦味が強くなり調味剤に適さなくなる。
【0012】
また、本発明の調味剤で使用する乳清ミネラルは、固形分中のカルシウム含量は2質量%未満、好ましくは1質量%未満、さらに好ましくは0.5質量%未満である。2質量%以上になると、調味効果が著しく弱くなることに加え、得られる飲食品に濁りが生じやすくなる。なお、下限は特に制限はない。
【0013】
本発明の調味剤で使用する乳清ミネラルは、灰分中のカルシウム含量は5質量%未満、好ましくは3質量%未満、最も好ましくは2質量%未満である。5質量%以上であると、調味効果が著しく弱くなることに加え、得られる飲食品に濁りが生じやすくなる。なお、下限は特に制限はない。
【0014】
さらに、本発明の調味剤で使用する乳清ミネラルは、固形分中の乳酸含量は1.0質量%以上、好ましくは2〜25質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。1.0質量%未満であると調味効果が弱くなる。なお、ここでいう乳酸含量とは、一般的な手法である検体を過塩素酸によって処理した後、高速液体クロマトグラフ法で測定した結果得られるデータに基づくものであり、よって乳酸のみならず、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム等の塩の形態で含有するものも一括した量である。
【0015】
そして、本発明の調味剤で使用する乳清ミネラルは、固形分0.1質量%水溶液のpHが6.0〜7.5、好ましくはpHが6.5〜7.0である。6.0未満であると、調味効果が弱く調味剤として適さなくなり、7.5を超えると、製造時や使用時の加熱で褐変等が発生し易くなる。
【0016】
なお、乳清ミネラルを得る工程において、その出発物質としては、乳又はホエーを使用する。
上記乳としては、牛乳をはじめ、人乳、山羊乳、馬乳、さらにそれらを使用した脱脂乳、加工乳、及び、クリームなどが挙げられ、そのいずれでも使用することが可能である。また上記ホエーとしては、上記乳を使用してチーズを製造する際に副産物として得られるホエー、さらには、カゼイン製造の際に副産物として得られるホエー、乳を限外濾過することによって得られるホエーなど、いずれでも使用することができる。
さらに、チーズを製造する際に副産物として得られるホエー、及びカゼイン製造の際に副産物として得られるホエーは、その製造方法により酸性ホエーと甘性ホエーがあるが、そのどちらでも使用することができる。
【0017】
本発明の調味剤を得るためには、上記乳又はホエーの中でも、特に調味効果が高いことから、牛乳を使用してチーズを製造する際に副産物として得られるホエー、又はカゼイン製造の際に副産物として得られるホエーを使用することが好ましく、さらに好ましくは、牛乳を使用してチーズを製造する際に副産物として得られるホエーを使用し、特に好ましくは、牛乳を使用してチーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーを使用する。
【0018】
上述のとおり、本発明で使用する乳酸含量が高くカルシウム含量が低い乳清ミネラルを得るためには、従来の乳清ミネラルは直接使用することができない。よって、上記乳酸含量であり、上記カルシウム含量の乳清ミネラルを得るには、乳又はホエーから、膜分離、及び/又はイオン交換、さらには冷却により、乳糖と蛋白質を除去して乳清ミネラルを得る際に、あらかじめカルシウムを低減した乳を使用した酸性ホエーを用いる方法、あるいは、甘性ホエーから乳清ミネラルを製造する際にカルシウムを除去する工程を挿入することで得ることができるが、工業的に実施する上での効率やコストの点で、甘性ホエーから乳清ミネラルを製造する際にある程度ミネラルを濃縮した後に、カルシウムを除去する工程を挿入することで得る方法を採ることが好ましい。ここで使用する脱カルシウムの方法としては特に限定されず、調温保持による沈殿法やイオン交換など公知の方法を採ることができる。また、固形分中の灰分含量は、例えばナノ濾過膜分離時の膜処理条件を調整することによって調製でき、またpHは、例えば出発原料として使用する甘性ホエーを得る際のチーズ製造時の発酵時間を調整することで調製できる。
【0019】
なお、ホエーとして乳酸発酵を強度にすすめるか、あるいは、酸性ホエーを得る際に大量の乳酸を用い乳酸量を増やす方法なども考えられるが、得られた乳清ミネラルが(d)のpH条件を満たすことが困難となる。こうした場合、さらにアルカリ等の添加による中和工程を行う方法もあるが、味質が低下するため好ましくない。
【0020】
上記乳清ミネラルは、固形分が20質量%以上であれば流動状、ペースト状、粉末状等どのような形態であってもよいが、飲食品への混合性が良好であること、また、保存時の吸湿性が防止されることから粉末状であることが好ましい。
なお、流動状やペースト状である場合、その固形分は好ましくは20〜80質量%、更に好ましくは40〜70質量%であり、粉末状である場合、その固形分は好ましくは40〜100質量%、更に好ましくは70〜100質量%である。
【0021】
本発明の調味剤は、上記乳清ミネラルを有効成分として含有するものである。
本発明の調味剤は、上記乳清ミネラルをそのまま単独で使用してもよく、また、各種の添加剤と混合して、常法により粉体、顆粒状、錠剤、液剤などの形状に製剤化して用いてもよい。これらの製剤中の上記乳清ミネラルの含有量は、乳清ミネラル由来の固形分として好ましくは1〜100質量%、より好ましくは5〜100質量%、さらに好ましくは20〜100質量%、最も好ましくは50〜100質量%である。
【0022】
粉体、顆粒状、錠剤などの形状に製剤化するための添加剤としては、アルギン酸類、ペクチン、海藻多糖類、カルボキシメチルセルロース等の増粘多糖類や、乳糖、でんぷん、二酸化ケイ素等の賦形剤、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、ソルビトール、ステビア等の甘味料、微粒二酸化ケイ素、炭酸マグネシウム、リン酸二ナトリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等の固結防止剤、ビタミン類、香料、酸化防止剤、光沢剤などが挙げられ、これらの一種または二種以上のものが適宜選択して用いられる。本発明の調味剤中における上記各種添加剤の含有量は、添加剤によって異なるが、好ましくは90質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
液剤の形状に製剤化する場合は、液体に溶解または分散させることにより得られる。そのような液体としては、水、エタノール、プロピレングリコール等が挙げられる。本発明の調味剤中における上記液体の含有量は、好ましくは90質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
【0023】
次に本発明の飲食品について述べる。
本発明の飲食品は、本発明の調味剤を含有する飲食品である。
本発明の飲食品における、本発明の調味剤の含有量は、特に限定されず、使用する飲食品や、求める調味効果の強さに応じて適宜決定されるが、飲食品100質量部に対し、調味剤に含まれる乳清ミネラルの固形分として、好ましくは0.0001〜0.5質量部、より好ましくは0.0005〜0.2質量部、さらに好ましくは0.001〜0.1質量部である。0.0001質量部未満、又は0.5質量部を超えると、調味効果が認められ難く、また0.5質量部を超えると、乳清ミネラルの苦味が感じられるおそれがある。
【0024】
なお、本発明でいうところの飲食品としては、特に限定されるものではなく、例えば味噌、醤油、めんつゆ、たれ、だし、パスタソース、ドレッシング、マヨネーズ、トマトケチャップ、ウスターソース、とんかつソース、ふりかけ等の調味料、お吸い物の素、カレールウ、ホワイトソース、お茶漬けの素、スープの素等の即席調理食品、味噌汁、お吸い物、コンソメスープ、ポタージュスープ等のスープ類、焼肉、ハム、ソーセージ等の畜産加工品、かまぼこ、干物、塩辛、佃煮、珍味等の水産加工品、漬物等の野菜加工品、ポテトチップス、煎餅等のスナック類、食パン、菓子パン、クッキー等のベーカリー食品類、煮物、揚げ物、焼き物、カレー、シチュー、グラタン、ごはん、おかゆ、おにぎり等の調理食品、パスタ、うどん、ラーメン等の麺類食品、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド、風味ファットスプレッド等の油脂加工食品、フラワーペースト、餡等の製菓製パン用素材、パン用ミックス粉、ケーキ用ミックス粉、フライ食品用ミックス粉等のミックス粉、チョコレート、キャンディ、ゼリー、アイスクリーム、ガム等の菓子類、饅頭、カステラ等の和菓子類、コーヒー、コーヒー牛乳、紅茶、ミルクティー、豆乳、栄養ドリンク、野菜飲料、食酢飲料、ジュース、コーラ、ミネラルウォーター、スポーツドリンク等の飲料、ビール、ワイン、カクテル、サワー等のアルコール飲料類、牛乳、ヨーグルト、チーズ等の乳や乳製品等があげられる。
【0025】
次に、本発明の飲食品の調味方法について述べる。
本発明の飲食品の調味方法は、飲食品に対し上記本発明の調味剤を添加するものであり、飲食品の基本風味を維持したまま、飲食品のカドのある風味を、カドのとれた厚みのある風味に調味し全体として調和された風味とするものである。
本発明の調味剤を飲食品に添加する方法は、特に限定されず、対象となる飲食品の加工時、調理時、飲食時等に、飲食品またはその素材に混合、散布、噴霧、溶解等任意の手段により行なわれる。
【0026】
本発明の調味剤の、飲食品への添加量は、上述のとおり、飲食品100質量部に対し、調味剤に含まれる乳清ミネラルの固形分として、好ましくは0.0001〜0.5質量部、より好ましくは0.0005〜0.2質量部、さらに好ましくは0.001〜0.1質量部である。0.0001質量部未満、又は、0.5質量部を超えると、調味効果が認められ難く、また0.5質量部を超えると、乳清ミネラルの苦味が感じられるおそれがある。
【実施例】
【0027】
<乳清ミネラルの製造>
〔製造例1〕
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーをナノ濾過膜分離後、さらに、逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮した後、さらに80℃20分の加熱処理をして生じた沈殿を遠心分離して除去し、これをさらにエバポレーターで濃縮し、スプレードライ法により、固形分97質量%の乳清ミネラル1を得た。
【0028】
〔製造例2〕
上記乳清ミネラル1の加熱処理工程において、処理時間を半分にした以外は同様にして乳清ミネラル2を得た。
【0029】
〔製造例3〕
上記乳清ミネラル1の出発原料として、乳酸発酵時間を20%短縮した甘性ホエーを使用した以外は同様にして乳清ミネラル3を得た。
【0030】
〔製造例4〜7〕
さらに、上記乳清ミネラルを得る過程で、pH、及び乳酸含量を、出発原料に使用するチーズの発酵時間で調整し、固形分中の灰分含量をナノ濾過膜分離時の膜処理条件を調整することで調整し、カルシウム含量を加熱処理の処理時間で調整し、下記の表1の組成である製造例4〜7の乳清ミネラル4〜7を得た。
〔製造例8〕
チーズを製造する際に副産物として得られる甘性ホエーをナノ濾過膜分離後、さらに、逆浸透濾過膜分離により固形分が20質量%となるまで濃縮した。その後、さらに80℃20分の加熱処理をして生じた沈殿を遠心分離して除去し、これをさらにエバポレ-ターで濃縮し、固形分が40質量%の流動状の乳清ミネラル8を得た。
【0031】
以下の表1に各製造例において得られた乳清ミネラルの、(a)固形分中の灰分含量、(b)固形分中のカルシウム含量、(c)灰分中のカルシウム含量、(d)固形分中の乳酸含量、(e)固形分0.1質量%水溶液のpHを示す。
【0032】
【表1】

【0033】
<カレーソースの製造>
玉ねぎ400g、にんじん50g、セロリ20g、にんにく5g、しょうが10gをみじん切りにし、フライパンに投入し、さらにラード30gを加えてあめ色になるまで炒めた。さらに小麦粉30gとカレー粉20gを加えてさらに炒め、カレールウを得た。
一方、深鍋で、湯1200gを沸かし、ここへ固形コンソメ40gを投入してさらに加熱し、ここに上記カレールウを全量投入し、煮立たせた。
次いで、サラダ油、食塩、こしょうで炒めた牛ばら肉(角切り)480g、すりおろしたりんご100gを投入し、30分煮込み、カレーソースを得た。
【0034】
〔実施例1〕
上記製造例1で得た乳清ミネラル1をそのまま本発明の調味剤Aとし、上記カレーソース100質量部に対し0.001質量部添加して、10分間煮込み、本発明の飲食品であるカレーソース1を得た。ここで、上記カレーソースに調味剤Aを添加せずに10分煮込んだだけのカレーソースと比較試食したところ、本発明の飲食品であるカレーソース1は、調味剤Aを使用しないカレーソースに比べ、カドがなく、厚みのある風味で、あたかも一晩煮込んだかのような、全体として調和のとれた風味となっていた。
【0035】
〔実施例2〕
上記製造例2で得た乳清ミネラル2をそのまま本発明の調味剤Bとし、上記カレーソース100質量部に対し0.001質量部添加して、10分間煮込み、本発明の飲食品であるカレーソース2を得た。ここで、上記カレーソースに調味剤Bを添加せずに10分煮込んだだけのカレーソースと比較試食したところ、本発明の飲食品であるカレーソース2は、調味剤Bを使用しないカレーソースに比べ、カドがなく、厚みのある風味で、あたかも一晩煮込んだかのような、全体として調和のとれた風味となっていた。
【0036】
〔実施例3〕
上記製造例3で得た乳清ミネラル3をそのまま本発明の調味剤Cとし、上記カレーソース100質量部に対し0.001質量部添加して、10分間煮込み、本発明の飲食品であるカレーソース3を得た。ここで、上記カレーソースに調味剤Cを添加せずに10分煮込んだだけのカレーソースと比較試食したところ、本発明の飲食品であるカレーソース3は、調味剤Cを使用しないカレーソースに比べ、カドがなく、厚みのある風味で、あたかも一晩煮込んだかのような、全体として調和のとれた風味となっていた。
【0037】
〔比較例1〕
上記製造例4で得た乳清ミネラル4をそのまま比較例の調味剤Dとし、上記カレーソース100質量部に対し0.001質量部添加して、10分間煮込み、比較例の飲食品であるカレーソース4を得た。ここで、上記カレーソースに調味剤Dを添加せずに10分煮込んだだけのカレーソースと比較試食したところ、比較例の飲食品であるカレーソース4は、調味剤Dを使用しないカレーソースとほぼ同じ風味であり、調味剤A〜Cで見られた効果はまったく得られなかった。
【0038】
〔比較例2〕
上記製造例5で得た乳清ミネラル5をそのまま比較例の調味剤Eとし、上記カレーソース100質量部に対し0.001質量部添加して、10分間煮込み、比較例の飲食品であるカレーソース5を得た。ここで、上記カレーソースに調味剤Eを添加せずに10分煮込んだだけのカレーソースと比較試食したところ、比較例の飲食品であるカレーソース5は、調味剤Eを使用しないカレーソースとほぼ同じ風味であり、調味剤A〜Cで見られた効果はまったく得られなかった。
【0039】
〔比較例3〕
上記製造例6で得た乳清ミネラル6をそのまま比較例の調味剤Fとし、上記カレーソース100質量部に対し0.001質量部添加して、10分間煮込み、比較例の飲食品であるカレーソース6を得た。ここで、上記カレーソースに調味剤Fを添加せずに10分煮込んだだけのカレーソースと比較試食したところ、比較例の飲食品であるカレーソース6は、調味剤Fを使用しないカレーソースとほぼ同じ風味であり、調味剤A〜Cで見られた効果はまったく得られなかった。
【0040】
〔比較例4〕
上記製造例7で得た乳清ミネラル7をそのまま比較例の調味剤Gとし、上記カレーソース100質量部に対し0.001質量部添加して、10分間煮込み、比較例の飲食品であるカレーソース7を得た。ここで、上記カレーソースに調味剤Gを添加せずに10分煮込んだだけのカレーソースと比較試食したところ、比較例の飲食品であるカレーソース7は、調味剤Gを使用しないカレーソースとほぼ同じ風味であり、調味剤A〜Cで見られた効果はまったく得られなかった。
【0041】
<コーヒー牛乳の製造>
レギュラーコーヒー(モカブレンド)を使用してドリップ法にてコーヒー液を得た。このコーヒー液50g、牛乳47g、グラニュー糖3gを混合しコーヒー牛乳を得た。
【0042】
〔実施例4〕
上記調味剤Aを、上記コーヒー牛乳100質量部に対し0.02質量部添加して、十分混合し、本発明の飲食品であるコーヒー牛乳1を得た。ここで、調味剤Aを添加しない上記コーヒー牛乳と比較試食したところ、本発明の飲食品であるコーヒー牛乳1は、調味剤Aを使用しない上記コーヒー牛乳に比べ、カドがなく、厚みのある風味で、全体として調和のとれた風味となっており、その調味された風味が口中で長く持続するものであった。
【0043】
<容器入り即席麺の製造>
〔実施例5〕
市販の容器入りインスタントラーメン(麺、スープ、具材合計重量77g)を説明書どおり320gの熱湯を注ぎふたをして3分間待った後、ふたを外し、ここに上記調味剤Aを0.015g振りかけ、よく混ぜて食したところ、調味剤Aを使用しない上記容器入りインスタントラーメンに比べ、カドがなく、厚みのある風味で、あたかも長時間煮込んだかのような、全体として調和のとれた風味となっていた。
【0044】
<めんつゆの製造>
〔実施例6〕
醤油200g、市販の無添加本かつおだし20g、みりん50g、水730gを混合し煮立て、めんつゆを得た。上記製造例8で得た乳清ミネラル8を固形分10質量%となるよう水で希釈し、これをUHT殺菌処理(殺菌温度140℃、保持時間6秒)し、さらに、孔径φ0.2μmの濾過膜を通過させたものを本発明の調味剤Hとした。
なお、製造例8で得られた乳清ミネラル8は目視で若干の濁りが見られ、分光光度計により波長660nmにて吸光度を測定したところ、Abs. 0.0020であったのに対し、本発明の調味剤Hは目視で透明であり、分光光度計により波長660nmにて吸光度を測定したところ、Abs. 0.0000であった。また、細菌検査を行ったところ、一般生菌数が陰性であり、常温保管可能なものであった。
上記調味剤Hを、上記めんつゆ100質量部に対し0.04質量部添加し、十分に混合した後、ひと煮たちさせ、放冷し、本発明の飲食品であるめんつゆ1を得た。得られた本発明のめんつゆ1は、調味剤を添加せずにひと煮立ちさせただけのめんつゆに比べ、カドがなく、厚みのある風味で、全体として調和のとれた風味となっており、その調味された風味が口中で長く持続するものであった。
【0045】
<キムチの製造>
〔実施例7〕
上記調味剤Hを、市販のキムチ100質量部に対し0.04質量部添加しよく混ぜて一晩冷蔵庫で保管し、本発明の飲食品であるキムチを得た。得られた本発明のキムチは、調味剤Hを添加せず一晩冷蔵庫で保管しただけのキムチに比べ、カドがなく、自然な甘味があり、厚みのある風味で、全体として調和のとれた風味となっていた。
【0046】
<トマトケチャップの製造>
〔実施例6〕
上記調味剤Hを、市販のトマトケチャップ100質量部に対し0.04質量部添加しよく混ぜて1時間冷蔵庫で保管し、本発明の飲食品であるトマトケチャップを得た。得られた本発明のトマトケチャップは、調味剤Hを添加せず1時間冷蔵庫で保管しただけのトマトケチャップに比べ、カドがなく、自然な甘味があり、厚みのある風味で、全体として調和のとれた風味となっていた。
【0047】
<ミルクティーの製造>
〔実施例7〕
640mlの熱湯に市販の紅茶のティーバッグ(アッサム)4個を2分間浸漬し、さらにこれに牛乳71mlを添加、混合し、ミルクティーを得た。上記調味剤Hを、上記ミルクティー100質量部に対し0.04質量部添加しよく溶解させ、本発明の飲食品であるミルクティーを得た。得られた本発明のミルクティーは、調味剤Hを使用しないミルクティーに比べ、カドがなく、厚みのある風味で、全体として調和のとれた風味となっており、その調味された風味が口中で長く持続するものであった。
【0048】
<チーズ焼き菓子の製造>
〔実施例8〕
薄力粉80質量部、チーズパウダー(ロルフパウダーPP―100/宝幸水産(株))20
質量部、上白糖50質量部、ショートニング46質量部、全卵12質量部、食塩1質量部、水9質量部、重曹0.5質量部、炭安0.5質量部、上記調味剤A0.3質量部を用意し、シュガーバッター法にて生地を作製し、成型後、焼成しチーズビスケットを得た。これを食したところ、調味剤Aを使用しないで作製したチーズビスケットに比べ、カドがなく、厚みのある風味で、全体として調和のとれた風味となっていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)(b)(c)(d)(e)の全ての条件を満たす乳清ミネラルを有効成分として含有する調味剤。
(a)乳清ミネラルの固形分中の灰分含量が25〜75質量%
(b)乳清ミネラルの固形分中のカルシウム含量が2質量%未満
(c)乳清ミネラルの灰分中のカルシウム含量が5質量%未満
(d)乳清ミネラルの固形分中の乳酸含量が1.0質量%以上
(e)乳清ミネラルの固形分0.1質量%水溶液のpHが6.0〜7.5
【請求項2】
請求項1記載の調味剤を含有する飲食品。
【請求項3】
請求項1記載の調味剤を飲食品に添加することを特徴とする飲食品の調味方法。

【公開番号】特開2008−54666(P2008−54666A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160736(P2007−160736)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】