説明

調整される拘束装置および使用方法

拘束装置は、第1および第2の解剖学的構造を捕捉する拘束構造を含む。拘束構造と連結される移動制限部材は、第2の解剖学的構造から離れる方向の第1の解剖学的構造の相対移動に抵抗する力を提供するように適合される。調節部材は、移動制限部材または拘束構造と着脱可能に連結され、調節部材が移動制限部材または拘束構造と直接係合しているときに、移動制限部材によって提供される抵抗する力を変化させるように適合される。第1の解剖学的構造は、第1の棘突起を備え得、第2の解剖学的構造は、第2の棘突起または仙骨を備え得る。時には、第3の棘突起は、第1の棘突起と第2の棘突起または仙骨との間に配置され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦政府支援の研究開発の下で実行された発明に対する権利についての記述)
適用なし
(コンパクトディスクで提出された「シーケンスリスティング(SEQUENCE LISTING)」、表またはコンピュータプログラムリストの参照)
適用なし
(1.発明の分野) 本発明は、概して、医療方法およびデバイスに関する。より具体的には、本発明は、構造をともに保持するために使用される方法および調節または変調された拘束デバイスに関する。これらの拘束デバイスは、より多くの支持が必要とされる治癒過程初期においては、より高い保持力によって骨等の解剖学的構造を保持するために使用され得、後に治癒が進行するにつれて、より低い保持力およびより少ない支持が望まれる。他の実施形態は、逆の態様で働き、経時的に増大される保持力を提供する。経時的に保持力を変えることによって、単一デバイスが治癒過程の異なる段階に適応させるように使用され得、追加手術を必要とすることなく、拘束デバイスの長さまたは張力を自動的に調節する。例示的な内固定手術は、変性脊椎すべり症等における分節背部痛または分節不安定性を伴う患者の、骨折した骨の修復および脊椎分節の締結を含む。
【0002】
骨折した骨の現在の修復は、内固定デバイスの使用を含み得る。例えば、内固定デバイスの例示的使用は、骨折した大転子の修復を促進する。現在の手順では、硬いケーブルは、治癒中にそれらをともに保持するために、骨の骨折した部分の周囲に包まれ得る。ケーブルは、一般的には、治癒過程の経過の間、比較的一定の保持力を提供する。これは必ずしも望ましいとは限らない。いくつかの場合では、治癒過程初期には骨折した骨を堅固に保持することが望ましい。しかしながら、経時的に骨が治癒すると、一定の固定力は、後に組織がより低い負荷に適応するように再形成するときに、治癒を妨害する可能性がある組織に応力遮蔽することがあり得る。より高い圧縮力はまた、骨壊死を引き起こし得る。加えて、組織修復を推進するために、少量の微動または少量の負荷を許容することが望ましくあり得る。したがって、治癒過程が前進するにつれて、保持力を変えることができるデバイスを提供することが有利であろう。他の場合では、経時的に保持力を増大させるデバイスを提供することが有利である場合もある。これは、経時的に発展し得る弛みまたは弛緩が、治癒が進行するにつれて取り込まれることを可能にする。
【0003】
内固定はまた、内部の椎間板断裂または椎間板疾患をもたらす腰痛を有する患者を治療するために使用される。これは、骨締結デバイスの使用を含む。締結デバイスの多数の異なる種類が存在する。1つの種類は、棘突起または他の椎骨要素を包囲するために、非弾性のケーブルを使用し、それによって移動を制御する。締結の別の種類は、脊椎分節に連結される弾性テザー構造の使用を含む。いくつかの締結デバイスは、隣接棘突起の間に埋め込まれるスペーサの使用を含む。これらの取り組みは有望である一方で、それらは全て潜在的な欠点を有する。例えば、これらのデバイスのいくつかは侵襲性であり、周囲の靱帯の除去を必要とし、他においては静的適用に対して設計され、したがって、罹患した脊椎分節の移動を制止する。これは、固定化が同時融合の可能性を改善する助けとなる治癒初期には有利であり得るが、後にある移動が望ましい治癒過程においては望ましくない。さらに他のデバイスは、無制限の脊椎伸展を実質的に許容するが、デバイスによって提供される拘束力は、予め設定されているか、または脊椎分節移動の範囲に関連しており、したがって、デバイスは治癒過程の経過中に固定力を変更しない。
【0004】
椎間板疾患はまた、変性脊椎すべり症、異常分節の平行移動は、分節屈曲によって悪化する脊椎状態に関連している。変性脊椎すべり症の治療は、しばしば、神経衝突(減圧手術)を引き起こす骨または他の組織の除去を含み、さらなる不安定性を阻止するために骨融合と結合される。骨融合は時間がかかるので、全部分は、器具類、例えば、椎弓根ネジおよび安定棒を使用して、固定または安定化される(時には、融合されると見なされる)。この比較的強固な器具類は、しばしば、頑丈な骨形成のためにいくらかの荷重を必要とする、埋め込まれた融合材料を取り外す。さらに、器具類は、経時的に強固のままである。したがって、この場合もやはり、治癒過程の経過にわたって保持または固定力を変えることができる固定デバイスを提供することは有用であろう。
【0005】
上述の制約デバイスが有望である一方で、それらはしばしば、仮にそうなったとしても、それらが除去されるまで一貫した固定を提供する。したがって、制約デバイスは、圧力から治癒組織を遮蔽する。これはしばしば、治癒の初期段階において望ましいが、組織が再形成するときには組織修復を妨害する可能性もある。加えて、いくつかの場合では、これが組織修復を促進するときに少量の移動または少量の負荷を許容することもまた望ましい。さらに、制動機構の使用を介しての高衝撃の荷重から治癒組織を保護することが望ましくあり得る。したがって、前述の理由から、治癒または組織再生過程中に、保持力のようなデバイスの特性を変えることができる制約デバイスを提供する必要性が存在する。特に、そのようなデバイスは、治癒過程の間、最小侵襲性であり、医師によって容易に調整可能でなければならない。そのようなデバイスにとって、経時的にデバイスの拘束特性を自動的に変えることもまた望ましいであろう。加えて、デバイスの拘束特性が、配備機構もしくは生化学的環境を察知することに基づいて、またはデバイス環境への誘発変化に基づいて変化することもあり得る。
【背景技術】
【0006】
(2.背景技術の記載) 対象の特許および発行された明細書には、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、米国特許第5,092,866号、同第5,116,340号、同第5,180,393号、同第5,282,863号、同第5,395,374号、同第5,415,658号、同第5,415,661号、同第5,449,361号、同第5,456,722号、同第5,462,542号、同第5,496,318号、同第5,540,698号、同第5,562,737号、同第5,609,634号、同第5,628,756号、同第5,645,599号、同第5,725,582号、同第5,902,305号、同第Re.36,221号、同第5,928,232号、同第5,935,133号、同第5,964,769号、同第5,989,256号、同第6,053,921号、同第6,248,106号、同第6,312,431号、同第6,364,883号、同第6,378,289号、同第6,391,030号、同第6,468,309号、同第6,436,099号、同第6,451,019号、同第6,582,433号、同第6,605,091号、同第6,626,944号、同第6,629,975号、同第6,652,527号、同第6,652,585号、同第6,656,185号、同第6,669,729号、同第6,682,533号、同第6,689,140号、同第6,712,819号、同第6,689,168号、同第6,695,852号、同第6,716,245号、同第6,761,720号、同第6,835,205号、同第7,029,475号、同第7,163,558号、発行された米国特許出願公開第2002/0151978号、同第2004/0024458号、同第2004/0106995号、同第2004/0116927号、同第2004/0117017号、同第2004/0127989号、同第2004/0172132号、同第2004/0243239号、同第2005/0033435号、同第2005/0049708号、同第2005/0192581号、同第2005/0216017号、同第2006/0069447号、同第2006/0136060号、同第2006/0240533号、同第2007/0213829号、同第2007/0233096号、同第2008/0009866号、同第2008/0108993、国際公開第01/28442A1号、同第02/03882A2号、同第02/051326A1号、同第02/071960A1号、同第03/045262A1号、同第04/052246A1号、国際出願第2004/073532A1号、同第2008/051806号、同第2008/051423号、同第2008/051801号、同第2008/051802、および発行された外国特許出願第EP0322334A1号、および第FR2681525A1号が挙げられる。脊椎分節に適用された可撓性拘束の機械的特性は、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、Leahy et al. (2000) Proc.Inst.Mech.Eng.Part H:J.Eng.Med.214,No.5:489〜495、Minns et al. (1997) Spine 22 No.16:1819〜1825、Miyasaka et al.(2000) Spine 25,No.6:732〜737、Shepherd et al. (2000) Spine 25,No.3:319〜323、Shepherd et al. (2001) Medical Eng.Phys.23,No.2:135〜141、ならびにVoydeville et al. (1992) Orthop Traumato l2:259〜264に説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第3,648,691号明細書
【特許文献2】米国特許第4,643,178号明細書
【特許文献3】米国特許第4,743,260号明細書
【特許文献4】米国特許第4,966,600号明細書
【特許文献5】米国特許第5,011,494号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Papp et al.(1997) Spine 22:151〜155
【非特許文献2】Dickman et al.(1997) Spine 22:596〜604
【非特許文献3】Garner et al.(2002) Eur.Spine J.S186〜S191
【非特許文献4】Al Baz et al.(1995) Spine 20,No.11,1241〜1244
【非特許文献5】Heller(1997) Arch.Orthopedic and Trauma Surgery,117,No.1〜2:96〜99
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、解剖学的構造を拘束するために使用される方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、制約デバイスによって提供される力を調節する装置および方法に関する。そのような調節される制約デバイスの例示的な使用は、脊髄疼痛または骨折した骨を有する患者の治療等の整形外科的な内固定手術を含む。
【0010】
本発明の第1の側面では、拘束装置は、第1および第2の解剖学的構造を捕捉するように適合される拘束構造を備える。移動制限部材は、拘束装置と連結され、第2の解剖学的構造から離れる方向の第1の解剖学的構造の相対移動に抵抗する力を提供する。調節部材は、移動制限部材または拘束構造と連結され、移動制限部材または拘束構造と直接係合しているときに、移動制限部材によって提供される抵抗する力を変化させるように適合される。
【0011】
第1の解剖学的構造は、第1の棘突起を備え得、第2の解剖学的構造は、第2の棘突起または仙骨を備え得る。時には、第3の棘突起は、第1の棘突起と第2の棘突起または仙骨との間に配置され得る。第1の解剖学的構造は、大転子等の骨を備え得、第2の解剖学的構造は、そこから骨折または切断される骨の一部を備え得る。
【0012】
拘束構造は、ストラップ等の非弾性のテザーを実質的に備え得る。移動制限部材は、バネ等のコンプライアンス部材を備え得、拘束構造との一体化もあり得る。移動制限部材はまた、ダンパー要素を備え得る。時には、コンプライアンス部材は、エラストマーを備え得る。装置のいくつかの実施形態は、拘束構造と連結される第2のコンプライアンス部材をさらに備える。
【0013】
調節部材は、着脱可能に移動制限部材と連結される。調節部材は、隣接組織の拡張または収縮に応じて、拘束装置の再整列を可能にするように、コンプライアンス部材と拘束構造とを旋回可能に連結するピン継手を備え得る。調節部材は、移動制限部材の少なくとも一部を包含または嵌め込む生体吸収性カバーまたはブロックを備え得、それによって、移動制限部材の動きを制限し、またその剛性を増大させる。生体吸収性カバーはまた、カバーが腐食すると、拘束デバイスの堅固さを調節するように、変形構成で移動制限部材の一部を包含し得る。変形構成は、拘束を締め付ける非変形構成に戻ることによって拡張状態であり得、または変形構成は、拘束を弛緩する非変形構成に戻ることによって圧縮または収縮状態であり得る。カバーは、例えば、ポリ乳酸またはポリグリコール酸であり得る。調節部材は、調節部材を拡張または収縮構成に係止するための係止機構を備え得、過渡的な荷重または移動を吸収するダンパー要素も備え得る。ダンパーは、粘弾性材料を備え得、またはダンパーは、ダンパー内の構成要素の間の摩擦による過渡的な荷重または移動を吸収し得る。ダンパーは、生物分解する生分解性構成要素を備え得、ダンパー効果の調整をもたし得る。ダンパーは、移動制限部材と並列であるか、または直列であり得る。装置は、テザー構造と連結される第2のダンパー要素をさらに備える。
【0014】
他の実施形態では、調節部材は、移動制限部材と着脱可能に連結される制止部を備え得る。制止部は、クリップを備え得、移動制限部材とのクリップの係合は、移動制限部材の剛性を増大させ、移動制限部材からのクリップの係脱は、その剛性を減少させる。制止部は、生体吸収性であり得る。調節部材は、内側核および内側核上に少なくとも部分的に配置される外側鞘を備え得る。内側核または外側鞘のうちの一方は、生体吸収性であり得る一方で、他方は弾性である。
【0015】
装置はまた、拘束構造と連結される第2の係止機構を備え得る。係止機構は、第1および第2の解剖学的構造の周囲のループ内で、拘束構造を解放可能に保持するように適合される。係止機構はまた、拘束構造内の長さまたは張力を調整するために使用され得る。装置はまた、そこから放出され得る治療薬を運搬し得る。
【0016】
本発明の別の側面では、第1および第2の解剖学的構造をともに拘束するための方法は、移動制限部材を含む拘束構造を伴って、第1および第2の解剖学的構造を捕捉するステップを含む。移動制限部材は、第2の解剖学的構造から離れる方向の第1の解剖学的構造の相対移動に抵抗する力を提供する。移動制限部材によって提供される抵抗力は、移動制限部材または拘束構造と係合している調節部材で調節される。
【0017】
移動制限部材は、生分解性材料に少なくとも部分的に封入され得、したがって、調整するステップは、移動制限部材から生分解性材料を少なくとも部分的に腐食し、それによって、移動制限部材の剛性を低減するように、患者の身体に装置を埋め込むステップを含み得る。生分解性材料が腐食すると、移動制限部材はまた、拘束構造を締め付ける付勢されていない収縮構造に戻り得る。方法はまた、原位置において生分解性材料の腐食を増大するように適合される加速剤を提供することによって、生分解性材料の腐食速度を増大させるステップを含み得る。移動制限部材および/または拘束構造はまた、ダンパー要素を含み得、方法はさらに、第1と第2の解剖学的構造との間の相対移動を抑制するステップを含む。時には、移動制限部材は、クリップ等の制止要素で制止され得る。クリップは、移動制限部材の剛性を増大させ得る。拘束構造は、テザー構造を備え得、方法は、第1および第2の解剖学的構造の周囲のループ内で、テザー構造を係止するステップ、または拘束構造内の張力を調整するステップを含み得る。時には、方法はまた、骨形態形成タンパク質等の治療薬を放出するステップを含み得る。方法はまた、その長さまたは張力が実質的に固定されたままとなるように、拘束構造を係止するステップを含み得る。
【0018】
これらおよび他の実施形態を付属の図面に関連する以下の説明において、さらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】図1Aは、脊椎の腰部領域の概略図である。
【図1B】図1Bは、矢状平面に沿って切り取った、脊椎の腰部領域の一部分を示す斜視図である。
【図2】図2は、米国特許第7,458,981号に説明する種類の脊髄インプラントを図示する。
【図3】図3A−3Cは、拘束デバイス内の生体吸収性調節部材の例示的実施形態を図示する。
【図4】図4は、生体吸収性調節部材の代替的実施形態を図示する。
【図5】図5A−5Bは、調節部材として使用される機械的クリップのいくつかの実施形態を図示する。
【図6】図6は、調節部材としてのダンパーの使用を図示する。
【図7】図7A−7Cは、拘束デバイス内の、コンプライアンス部材およびダンパーの種々の構成を図示する。
【図8】図8A−8Bは、脊椎分節の治療における、調節部材を有する拘束デバイスの使用を図示する。
【図9】図9A−9Bは、骨折した骨の治療における、調節部材を有する拘束デバイスの使用を図示する。
【図10】図10は、複数の調節部材を有するコンプライアンス部材を図示する。
【図11】図11A−11Bは、生体吸収性調節部材の例示的実施形態を図示する。
【図12】図12は、ピン継手を有する調節部材を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
多数の内的な外科的固定手術が存在する。これらのいくつかは、背下部痛を治療するために使用される。図1Aは、棘突起(SP)、面関節(FJ)、層(L)、横突起(TP)、および仙骨(S)を含む、脊椎の腰領域を図示する概略図である。図1Bは、矢状平面に沿って切り取った脊椎の腰領域の一部分を示し、本開示において、しばしば使用される、「中立位置」、「屈曲」、および「伸展」という用語を提示するために有用である。
【0021】
本明細書において使用される場合、「中立位置」は、患者の脊椎がくつろいだ起立位置において静止する位置を指す。「中立位置」は、患者によって異なるであろう。通常、そのような中立位置は、脊椎がわずかに前方への凸形状およびわずかに後方への凹形状を有する腰椎のわずかな曲率または前弯によって特徴付けられるであろう。一部の場合においては、本発明の拘束の存在は中立位置を修正し得、例えば、デバイスは、未治療の脊椎の一部の伸展を有する「新規」の中立位置を画定する初期力を印加し得る。したがって、「中立位置」という用語の使用は、デバイスの存在、または不在との関連において使用されるものである。本明細書において使用される場合、「脊椎分節の中立位置」は、脊椎が中立位置にあるときの脊椎分節の位置を指す。
【0022】
さらに、本明細書において使用される場合、「屈曲」は、患者が前屈するときの脊椎分節における隣接椎骨間の移動を指す。図1Bを参照すると、患者が脊椎の中立位置から前屈する、すなわち、湾曲軸Aに対して右に前屈すると、椎骨板間Dの前方部分が圧縮されるように、前方側面の個々の椎骨L間の距離は減少する。対照的に、後方側面の個々の棘突起SPは、矢印Bで示す方向である離れる方向に移動する。したがって、屈曲は、患者が図1Bに図示する中立位置から前屈するときの隣接椎骨間の相対的動作を指す。
【0023】
また、本明細書において使用するとき、「伸展」は、患者が後屈し、脊椎が図1Bに図示する中立位置から延伸するときの個々の椎骨L間の移動を指す。患者が後屈すると、個々の椎骨の後方端部は、離れる方向に移動する。隣接椎骨上の個々の棘突起SPは、矢印Bで示す方向とは反対の方向に相互により接近する。
【0024】
図2は、関連する米国特許第7,458,981号に記載の種類の脊椎インプラントを示し、その全体の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。このインプラントは、背部痛の治療として使用される。それは、一対以上の棘突起と、または棘突起および仙骨と連結され、屈曲中の棘突起の広がりに対して弾性の制止部を提供する。図2に図示するように、インプラント10は、一般的には、一対のコンプライアンス要素16によって接合される上部ストラップ構成要素12および下部ストラップ構成要素14を有するテザー構造を備える。上部ストラップ12は、L4の棘突起SP4の上部に配置して示される一方、下部ストラップ14は、L5の棘突起SP5の底部上を延在して示されている。コンプライアンス要素16は、一般的には、棘突起SP4およびSP5が屈曲中に離れる方向に移動すると、ストラップが「弾力的」または「追従的」に引き裂かれるような態様に、ストラップ12および14に取り付けられるバネまたはゴムブロック等の内部要素を含む。この方法で、インプラントは、屈曲に抵抗する力を提供する棘突起上の弾性張力を提供する。力は、突起がさらに離れる方向に移動すると増加する。通常、ストラップ自体は、弾性またはコンプライアンスの程度が、制御され得、コンプライアンス要素16によってのみ提供されるように本質的に非追従的である。
【0025】
図2において図示される拘束デバイスは有望であるが、デバイスは、一般的には、デバイスが除去されるまで、剛性、大きさ、堅固さ等の比較的一定の固定された特性のみを提供する。したがって、拘束デバイスは、それが支持する組織に対して連続的な応力遮蔽を提供する。これは、治癒の初期段階の間は望ましくあり得るが、応力遮蔽は、組織がより低い荷重に適応するように再形成するときには、組織修復を妨害し得るので、治癒の後期段階では望ましくあり得ない。加えて、長期間にわたる過剰に高い固定力は、細胞壊死を引き起こす可能性がある。他の場合では、これが組織修復を促進する可能性があるとして、少量の微動または少量の荷重を許可することが望ましくもあり得る。したがって、図2において図示されるような拘束デバイスを提供する必要性が存在するが、治癒または組織再生過程中に、挿入される拘束力または張力、ならびに剛性および減衰等のデバイスの特性を変える可能性もある。特に、そのようなデバイスは、好ましくは、治癒過程中に医師によって調整可能であり、デバイスは、経時的にその拘束特性を自動的に変え得る。
【0026】
図3A〜3Cは、経時的に拘束力を変えるために、拘束デバイスとともに使用され得る調節部材の1つの例示的実施形態を図示する。図3Aでは、テザー306は、移動制限部材、ここでは、デバイスの長さを所望の位置で係止するためのコンプライアンス部材302および張力/サイズ調整機構308と連結される。この例示的実施形態では、コンプライアンス部材302の一部は、ポリ乳酸(PLA)等の生体吸収性材料304に封入され、荷重を封緘層に移動させ、システムの剛性を増大させる。他の実施形態では、コンプライアンス部材全体が封入され得る。他の生体吸収性材料が、当技術分野において知られており、ポリグリコール酸(PGA)等の材料を含むが、それに限定されない。PLAまたはPGAは、左旋性もしくは右旋性異性体のどちらか一方であり得るか、またはラセミ混合物が使用され得る。コンプライアンス部材302は、コイルバネであるが、エラストマー要素でもあり得、または他のバネのような要素が使用され得る。テザー構造306は、2つの解剖学的構造を包囲し、ループの大きさは、治癒過程中に2つの解剖学的構造が相互から離れることを防止するための係合機構308を使用して調整される。2つの解剖学的構造が相互に対して移動するときに、バネ302は伸張し、したがって、それらの動きを制止し、それらを相互に対して並置した状態に維持する、2つの解剖学的構造に対する圧縮力を及ぼす。テザー構造306は、2つの解剖学的構造を包囲するループを形成するための、ワイヤ、縫合糸、コード、ケーブル、リボン、または同様の構造であり得る。テザー306は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)またはポリエチレンテレフタレート(PET)等の繊維、金属、またはポリマーであり得る。テザー構造およびコンプライアンス部材の他の実施形態は、米国特許出願公開第2008/0319487号に記載されており、その全体の内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。係合機構308は、ループの大きさおよびその初期の張力を調整するように、テザー306の端部310、312がともに連結および固定されることを可能にする。例示的な係合機構308は、同時係属の米国特許出願第12/479,016号および米国仮特許出願第61/059,543号に記載されており、双方ともに参照により本明細書に組み込まれる。クリンプ、鉗子、クリート、結び等の他の係合機構はまた、所望のループの大きさにテザー構造を保持するために使用され得る。生体吸収性材料304は、コンプライアンス部材302の全てまたは一部を封入し、封入されるバネ302の一部が拡張および縮小することを阻止し、それによって、バネ302を効果的に剛性化させる。したがって、テザー構造は、相互から離れる方向の2つの解剖学的構造の移動に抵抗するより大きな力を及ぼす。
【0027】
テザー構造306が患者に埋め込まれた後に、生体吸収性材料304は、バネ302から離れるように腐食し始める。しばらくすると、材料304の相当量が腐食し、荷重は、より追従的なバネ302に移動する。このように、バネ302は、その通常の封入されないバネ特性を取り戻し、この場合、封入されている間、より剛性の小さいバネになり、より少ない制止力を提供する。図3Bは、生体吸収性材料304によって封入されているバネ302を図示し、図3Cは、生体吸収性材料がバネ302から離れるように腐食した後のバネ302を示す。このように、この実施形態では、生体吸収性材料304は、コンプライアンス部材302によって提供される力を経時的に調整する。
【0028】
いくつかの実施形態では、経時的にコンプライアンス部材特性をさらに変更するために、複数の調節部材がコンプライアンス部材上に配置され得る。例えば、図10において、コンプライアンス部材1002、ここではコイルバネは、コンプライアンス部材1002の異なる部分の周囲に配置される3つの生体吸収性ブロック1004、1006、および1008を有する。生体吸収性ブロックの各々は、異なる生物吸収速度を有し、したがって、例えば、ブロック1004は、最初に、コンプライアンス部材1002の剛性をわずかに増大させ、次に、ブロック1006の吸収が剛性をさらに増大させ、最終的に、ブロック1008の吸収が続き、コンプライアンス部材1002をその本来の状態および剛性に戻す。種々のブロックの生体吸収は、治癒過程または骨形成速度、ならびに吸収速度に影響を及ぼす薬剤または超音波等の、医師によって適用される付加的治療における種々の段階によって調節される。
【0029】
図4は、生体吸収性材料を同様に使用するコンプライアンスおよび調節部材の代替的実施形態を図示する。図4において、複数の外側繊維402が、中核404の周囲に配置されている。外側繊維402は弾性であり、バネの代わりにコンプライアンス部材としての機能を果たし、核404は、PLAもしくはPGAまたは先に開示された異性体のうちのいずれか等の非弾性の生体吸収性材料から製作される。内側核404は、弾性繊維が拡張することを阻止し、したがって、より剛性のコンプライアンス部材をもたらす。内側核が生体吸収されると、弾性繊維が荷重を引き受け、拘束される解剖学的構造の動きに抵抗する圧縮力を提供する。弾性繊維は、シリコン、ポリウレタンエラストマー等の弾性材料、または他の弾性材料から製造され得る。加えて、他の実施形態では、外側繊維は、調節部材の非弾性の生体吸収性部分であり得、内側核は、コンプライアンス部材の弾性部分であり得る。付加的な非弾性、非生体吸収性繊維は、弾性部分の伸長に二次的かつ恒久的な拘束を提供し得る。
【0030】
図3A〜3Cの実施形態では、コンプライアンス部材は、離散した構成要素であり、テザー構造から分離している。他の実施形態では、テザー構造とコンプライアンス部材とは、相互に一体化し得る。例えば、テザーは、バンジーコードと同様の弾性ストラップから製作され得る。したがって、テザーが伸張すると、弾性ストラップ内の弾性繊維は伸張させられ、それらは相互から離れる方向の解剖学的構造の動きに抵抗する圧縮力を提供する。
【0031】
代替的実施形態においては、図5A〜5Bにあるように、クリップまたは他の制止部が、コンプライアンス部材を調節するために使用され得る。図5Aでは、クリップ314が、コイルバネ302の部分に適用され、それによって、バネ302の一部を固定し、より剛性のバネ302をもたらす。図5Bでは、バネ302のより短い部分が小さいクリップ316によって固定される。これはさらにより剛性のバネをもたらすが、バネ302のより長い部分が固定される図5Aほど剛性ではない。バネ302の剛性を減少させるために、クリップ314または316は、治癒過程が継続すると、別の外科手術において医師により除去され得、またはクリップ314、316は、図3A〜3Cに対して先に説明されるものと同様の態様で、PLAまたはPGA等の生体吸収性材料から製作され得る。これは、より剛性またはより強固な固定が治癒過程初期に必要とされる状態を有する患者の利益になり、より追従的な固定は、治癒期間後において十分または有益でさえある。生体吸収性材料を使用する利点は、過程が追加の外科手術を必要としないことである。単一のクリップを使用することに加えて、複数のクリップがバネ302のいくつかの部分を短縮するために使用され得る。さらに、異なる生物吸収速度を有するクリップは、いくつかのクリップが他よりも先に吸収されるように使用され、それによって、バネ302によって提供される力をさらに調節または変調する。
【0032】
調整部材はまた、テザー構造内の過渡的な荷重または移動を低減するダンパー要素を備え得る。加えて、任意のダンパー要素は、コンプライアンス部材とともに含まれ得る。図6は、ダンパー604と直列であり、図3A〜3Cにおける上述の機構308等の、張力またはサイズ調整機構606を有するテザー構造602の例示的実施形態を図示する。この実施形態において、ダンパー604は、種々の特性による移動に一般的に抵抗するダッシュポットまたは衝撃吸収材であり得る。したがって、過渡的な荷重または移動は、ダンパー604によって低減される。ダンパーは、その減衰能力を増大または減少させるために調整され得る。例えば、医師は、ネジもしくはボルト等の締め具によって、ダンパー内のクランプ力またはオリフィスサイズを調整し得、または移動構成要素の間の摩擦を低減、もしくは流量を制限するために、先に説明されたもののような生体吸収性材料が使用され得る。
【0033】
種々の拘束デバイスにおいて、ダンパーおよびコンプライアンス要素は、所望のデバイス性能特徴を達成するために、異なる構成において結合され得る。例えば図7Aでは、テザー構造710は、ダンパー708およびコンプライアンス要素704の双方と連結される。コンプライアンス要素は、先に説明された生体吸収性カバーまたは同様に先に説明されたクリップ等の任意の調節部材706を有する。コンプライアンス部材704は、ダンパー708と並列である。テザー構造712、714の端部は、張力およびサイズ調整機構702とともに固定される。
【0034】
図7Bは、今回、ダンパー708がコンプライアンス部材704と直列しているという例外を除いて、図7Aの実施形態と類似する。図7Cは、複数のダンパーおよび複数のコンプライアンス部材を有する、さらに別の実施形態を図示する。この例示的実施形態において、コンプライアンス部材704は、ダンパー708と並列であり、コンプライアンス部材716は、ダンパー720と直列である。コンプライアンス部材704、716は、上述されたもの等の生体吸収性カバーまたはクリップを備える調節部材706、718を任意に有する。コンプライアンスデバイスの代替的実施形態は、好ましくは、脊椎分節の正中線の各側面に1つずつ対称的に配置される、二組のコンプライアンス部材を有し得る。加えて、ダンパーおよび/または調節部材の任意の組み合わせもまた、拘束デバイス内に含まれ得る。例えば、拘束デバイスは、脊椎分節の正中線の対向側面にそれぞれ1つずつ、2つのコンプライアンス部材、2つのダンパー、および2つの調節部材を含み得る。当業者は、多くの構成が可能であることを理解するであろう。
【0035】
図8A〜8Bは、上述の拘束デバイスの例示的な使用を図示する。図8Aでは、ヘルニア状椎間板812が、脊椎分節800内の椎体の間から突出する。時には、ヘルニア状椎間板の断片は、微小椎間板切除術と一般に呼ばれている手順において除去され得る。ヘルニア形成の治癒を促進するために(微小椎間板切除術の有無に関わらず)、拘束デバイスは、隣接する棘突起の周囲に埋め込まれる。最小侵襲性の埋込手順は、米国特許出願公開第2008/0108993号および第2008/0262549号により詳細に開示され、その全体の内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。ここで、非弾性のテザー構造806は、棘突起802の上部およびより低い棘突起804の周囲、または仙骨(図示されず)に巻き付けられる。テザー構造806は、PLAもしくはPGAまたはその異性体等の強固な生体吸収性材料808に封入されているコンプライアンス部材810を含む。第2の封入されたコンプライアンス部材はまた、脊椎正中線の別の側面の第一(図示されず)に対向して、拘束デバイス内に含まれ得る。強固な生体吸収性材料は、コンプライアンス部材810が拡張および縮小することを拘束し、したがって、脊椎分節800の屈曲は矢印814の方向に拘束される。ヘルニア形成が治癒するにつれて、生体吸収性材料808が吸収されて、コンプライアンス部材810を曝露し、そのバネ特性に従って、より自由に拡張および縮小することを可能にする。これは、矢印818の方向における脊椎分節800の通常の移動を回復させる一方で、さらにいくらかの安定性を提供し、こうして、損傷の再発を阻止することに役立つ。図8Bは、生体吸収性材料808が吸収された後のコンプライアンス部材を図示し、脊椎分節800がわずかに屈曲している。
【0036】
図9A〜9Bは、上述の拘束デバイスの別の例示的な使用を図示する。大転子902の骨折を有する患者は、治癒の初期段階の間、骨折に対してより大きい圧縮力、次に、骨が実質的に治癒されると、骨折の全域においてより小さい圧縮力を印加する拘束デバイスから利益を得ることができる。図9Aでは、1本のテザー904が、PLAまたはPGA等の材料906の生体吸収性ブロックに嵌め込まれ、それによって、テザー904の全長を短縮する。これは、コンプライアンス要素908に伸長を引き起こし、骨折部位902の全域に圧縮力を引き起こす。治癒後、図9Bに見られるように、ブロック906の生体吸収は、テザーの全長を増大させるテザー910の以前に嵌め込まれていた部分を自由にし、コンプライアンス部材912が弛緩することを可能にする。これは、治癒された骨上の圧縮力を低減する。他の実施形態では、コンプライアンス要素908は、図8A〜8Bの実施形態と同様の材料の生体吸収性ブロックに封入され得る。
【0037】
先に開示された実施形態は全て、最初に、ともに固定される解剖学的構造により高い拘束力を印加し、次に、経時的に力が低減される。初期の力が低下し、次に、経時的に増大する、拘束デバイスを提供することも可能である。例えば、図11A〜11Bは、デバイスが経時的に締め付ける、調節される拘束デバイスの例示的実施形態を図示する。テザーの上部1102aおよびテザーの下部1102bはともに、バネまたはエラストマー部材等のコンプライアンス部材1104に連結される。コンプライアンス部材1104は、PLAまたはPGA等の生体吸収性材料1106に嵌め込まれる一方で、コンプライアンス部材1104は、拡張構成内に変形される。デバイスはまた、一対の係止アーム1110を有する任意の係止機構1108を含む。使用中、コンプライアンス部材1104が拡張構成内に存在する間に、デバイスが埋め込まれる。経時的に、生体吸収性材料1106は腐食し、したがって、コンプライアンス部材1104はその非変形構成に戻り、それによって、テザー部分の上部および下部1102a、1102bをともに引き寄せ、デバイスを締め付け、および/またはデバイス内の張力を増大させる。任意の係止機構1108は、崩壊構成内にコンプライアンス部材を係止し、これによってテザーの上部1102aの遠位領域で係止アーム1110を係合し、それによって修復される標的組織の周囲のより堅固な構成内にデバイスを保持する。係止機構は、スナップ嵌合、戻り止め機構、プレス嵌合、または当業者に知られている他の機構を備え得る。この実施形態は、それにおいて有利であり、それは、治癒が発生する時にデバイスの締め付けを可能にし、術後処置を必要とすることなく、弛みが取り込まれるのを可能にする。コンプライアンス部材のコンプライアンスは、所望の特性を提供するために調整され得る。例えば、非常に硬いバネは、一旦吸収性層が腐食し、それが弛緩する時に、デバイス内に比較的大きい力を産生または放出し得ると、ごくわずかなコンプライアンスを提供する。加えて、変調される拘束デバイスのこの構成はまた、本明細書に記載の他の特性のうちのいずれかと直列または並列で使用され得る。さらなる他の実施形態では、生体吸収性クリップまたは楔部材(図示されず)は、拡張構成内でコンプライアンス部材を保持するために使用され得る。クリップまたは楔は、外科医によって除去され得るか、または生体吸収させ得、コンプライアンス部材がその非付勢構成に戻るのを可能にする。コンプライアンス部材は、吸収性構成要素が腐食し、コンプライアンス部材が放出される時に、拘束が弛緩する等の、圧縮構成内の吸収性構成要素に嵌め込まれる状況を含む、同様の機構が実現可能であることが当業者によって理解されることができる。
【0038】
図12は、ピン継手から形成される調節部材を有する拘束デバイスの例示的実施形態を図示する。拘束デバイスは、テザー1208がコンプライアンス部材1204に対して旋回するように、テザー1208をピン1206に旋回可能に連結するコンプライアンス部材1204を含む。デバイスに隣接する組織1202が拡張および縮小すると、拘束デバイス上の荷重は変化し得る。したがって、この機構的方向は、コンプライアンス部材1204が、拘束デバイスを再整列させるテザー1208に対して旋回することを可能にし、それにより、調節荷重は、周囲の組織1202の適合に応じて、コンプライアンス部材1204に移動される。
【0039】
さらに、上述の実施形態のいずれかはまた、骨、軟骨、または他の骨格組織の形成を誘発するために使用され得る骨形態形成タンパク質等の種々の治療薬または薬物を含む。治療薬は、生体吸収性材料が吸収されると、それが治療薬を放出するように、生体吸収性材料に含まれ得る。
【0040】
上記は、本発明の好ましい実施形態の完全な説明であるが、様々な代替、修正、および等価物が使用され得る。したがって、上記の説明は、付属の請求項によって定義される本発明の範囲を限定するものと解釈されてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
拘束構造であって、該拘束構造は第1および第2の解剖学的構造を捕捉するように適合されている拘束構造と、
該拘束構造と連結される移動制限部材であって、該移動制限部材は該第2の解剖学的構造から離れる方向への該第1の解剖学的構造の相対移動に抵抗する力を提供するように適合される移動制限部材と、
該移動制限部材または該拘束構造と連結される調節部材であって、該調節部材は、該移動制限部材または該拘束構造と直接係合しているときに、該移動制限部材によって提供される該抵抗する力を変化させるように適合される調節部材と
を備える、拘束装置。
【請求項2】
前記調節部材は、着脱可能に前記移動制限部材と連結される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記拘束構造は、実質的に非弾性または非伸張性のテザーを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記拘束構造は、ストラップを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の解剖学的構造は、第1の棘突起を備え、前記第2の解剖学的構造は、第2の棘突起または仙骨を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
第3の棘突起は、前記第1の棘突起と、前記第2の棘突起または仙骨との間に配置される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の解剖学的構造は、骨を備え、前記第2の解剖学的構造は、それから骨折または切断された該骨の一部を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記骨は、大転子を備える、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記移動制限部材は、コンプライアンス部材を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記コンプライアンス部材は、バネを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記コンプライアンス部材は、前記拘束構造と一体化している、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記コンプライアンス部材は、エラストマーを備える、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記拘束構造と連結される第2のコンプライアンス部材をさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記調節部材は、前記コンプライアンス部材と前記拘束構造とを旋回可能に連結するピン継手を備えることにより、隣接組織の拡張または収縮に応じて、該拘束装置の再整列を可能にする、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記移動制限部材は、ダンパー要素を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記調節部材は、前記移動制限部材の少なくとも一部を包含する生体吸収性カバーを備え、それにより、それの動きを制限し、該移動制限部材の剛性を増大させる、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記調節部材は、拡張構成にある前記移動制限部材の少なくとも一部を包含する生体吸収性カバーを備えることにより、該カバーが腐食すると、該調節部材が収縮構成に戻るように付勢され、それによって前記拘束構造を締め付ける、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
係止機構をさらに備え、該係止機構は前記調節部材を前記収縮構成に係止するように構成されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記調節部材は、収縮構成にある前記移動制限部材の少なくとも一部を包含する生体吸収性カバーを備えることにより、該カバーが腐食すると、該調節部材が拡張構成に戻るように付勢され、それによって、前記拘束構造を弛緩させる、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
係止機構をさらに備え、該係止機構は前記調節部材を前記拡張構成に係止するように構成されている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記生体吸収性カバーは、ポリ乳酸またはポリグリコール酸を含む、請求項16に記載の装置。
【請求項22】
前記調節部材は、過渡的な荷重または移動を吸収するように適合されるダンパー要素を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記ダンパーは、粘弾性材料を含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記ダンパーは、該ダンパー内の構成要素間の摩擦に起因する過渡的な荷重または移動を吸収する、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記ダンパーは、生分解性構成要素を備え、それの生分解は、ダンパー効果を調整する、請求項22に記載の装置。
【請求項26】
前記ダンパーは、前記移動制限部材と並列である、請求項22に記載の装置。
【請求項27】
前記ダンパーは、前記移動制限部材と直列である、請求項22に記載の装置。
【請求項28】
前記拘束構造と連結される第2のダンパー要素をさらに備える、請求項22に記載の装置。
【請求項29】
前記調節部材は、前記移動制限部材と着脱可能に連結される制止部を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記制止部は、クリップを備え、前記移動制限部材との該クリップの係合が、それの剛性を増大させ、一方、該移動制限部材からの該クリップの係脱は、それの剛性を減少させる、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記制止部は、生体吸収性である、請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記調節部材は、内側核と、該内側核上に少なくとも部分的に配置される外側鞘とを備え、該内側核または該外側鞘のうちの一方は生体吸収性であり、他方は弾性である、請求項1に記載の装置。
【請求項33】
前記拘束構造と連結される係止機構をさらに備え、該係止機構は、前記第1および第2の解剖学的構造の周囲のループ内に該拘束構造を解放可能に保持するように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項34】
前記拘束構造と連結される係止機構をさらに備え、該係止機構は、該拘束構造の張力または大きさを調整するように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項35】
治療薬をさらに備え、該治療薬は、前記装置によって運搬され、それから放出されるように適合される、請求項1に記載の装置。
【請求項36】
第1および第2の解剖学的構造をともに拘束する方法であって、該方法は、
拘束構造によって該第1および該第2の解剖学的構造を捕捉することであって、該拘束構造は、該第2の解剖学的構造から離れる方向への該第1の解剖学的構造の相対移動に抵抗する力を提供する移動制限部材を有する、ことと、
該移動制限部材または該拘束構造と係合している調節部材を用いて、該移動制限部材によって提供される該抵抗する力を調節することと
を含む、方法。
【請求項37】
前記第1の解剖学的構造は、第1の棘突起を備え、前記第2の解剖学的構造は、第2の棘突起または仙骨を備える、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
第3の棘突起は、前記第1の棘突起と、前記第2の棘突起または仙骨との間に配置される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の解剖学的構造は、骨を備え、前記第2の解剖学的構造は、それから骨折または切断された該骨の一部を備える、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
前記骨は、大転子を備える、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記調節部材は、前記コンプライアンス部材と前記拘束構造とを旋回可能に連結するピン継手を備えることにより、隣接組織の拡張または収縮に応じて、該拘束装置の再整列を可能にする、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記移動制限部材は、生分解性材料内に少なくとも部分的に封入されており、前記調節することは、患者の身体に前記装置を埋め込むことを含むことにより、該移動制限部材から該生分解性材料を少なくとも部分的に腐食させ、それによって、該移動制限部材の剛性を低減する、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記移動制限部材は、生分解性材料内に少なくとも部分的に封入されており、前記調節することは、患者の体に前記装置を埋め込むことを含むことにより、該移動制限部材から該生分解性材料を少なくとも部分的に腐食させ、それによって、該移動制限部材が、前記拘束構造を締め付ける付勢されていない収縮構成に戻ることを可能にする、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
前記拘束構造を係止することをさらに含み、それにより、それの長さまたは張力が、実質的に固定されたままとなる、請求項36に記載の方法。
【請求項45】
前記生分解性材料の腐食速度を増大させることをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記腐食を増大させるステップは、原位置において前記生分解性材料の腐食を増大させるように適合される加速剤を提供することを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記拘束構造は、ダンパー要素を備え、前記方法は、前記第1と前記第2の解剖学的構造との間の相対移動を抑制することをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項48】
前記移動制限部材は、ダンパー要素を備える、請求項36に記載の方法。
【請求項49】
前記調節することは、制止要素によって前記移動制限部材を制止することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項50】
前記制止することは、前記移動制限部材と係合されるクリップを提供することを含み、それにより、該移動制限部材の剛性を増大させる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記拘束構造は、テザー構造を備え、前記方法は、前記第1および第2の解剖学的構造の周囲のループ内に該テザー構造を係止することをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項52】
前記拘束構造内の張力または大きさを調整することをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項53】
治療薬を放出するステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項54】
前記治療薬は、骨形態形成タンパク質を含む、請求項53に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−508597(P2012−508597A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535799(P2011−535799)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/064217
【国際公開番号】WO2010/056870
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(509108906)シンピライカ スパイン, インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】