説明

調整可能なフォトニック結晶組成物

屈折率の周期的変調を備えたポリマーネットワークを有し、前記ポリマーネットワークが反射波長を有する調整可能なフォトニック結晶粒子であって、前記屈折率の周期的変調が外部刺激に対して応答性であり、前記反射波長が前記外部刺激に応答して変化する前記フォトニック結晶粒子と、前記粒子が分散している担体とを含む、調整可能なフォトニック結晶組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調整可能なフォトニック結晶に基づく組成物であって、そのような組成物に適している調整可能なフォトニック結晶粒子を含む前記組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトニック結晶は、その屈折率に周期的変調を有しており、その中で一定幅の波長範囲内の電磁波の伝播が妨げられるか制限されるフォトニックバンドギャップ又はストップギャップを生じる材料である(Yablonovitch, Phys. Rev. Lett., 58:2059, 1987)。これらのバンドのスペクトル位置は、その結晶中の周期的変調間の間隔によって決まる。反射されるストップバンドの波長は、反射スペクトルに、ブラッグピーク(Bragg peak)として知られる独特の反射ピークとして現れ得る。この結晶は、1次元、2次元又は3次元(3-D)の周期的構造を有することができる。
【0003】
1-Dのフォトニック結晶は、ブラッグミラー(Bragg mirror)とも称される周期的多層構造を有する。そのような構造体は、その層に垂直な一方向のみの入射光に対する反射ピークを有する。2-Dのフォトニック結晶は、二次元のみにおける変調を有する。そのような構造体は、繰り返し単位の面に沿った二方向の入射光に対する反射ピークを有する。3-Dのフォトニック結晶は、三次元全てにおいて順序付けられた周期性を有する。そのような構造体は、全方向の入射光に対して反射ピークを有する。これらのフォトニック結晶を製造するための方法としては、エッチング、及び3-Dのフォトニック結晶の場合は、微小粒子の自己組織化が挙げられる。そのようなフォトニック結晶は、該結晶の周期的構造が空間の周期的配列を含む逆結晶でもあり得る。
【0004】
逆フォトニック結晶は、テンプレート方式を使用して作製することができる。3-Dの逆フォトニック結晶については、微小粒子によって形成された3-Dのフォトニック結晶が溶浸性材料のためのテンプレートとして使用される。そのテンプレートが除去されたとき、結果として得られるものが規則配列された空間を有する逆フォトニック結晶である。そのようなテンプレート方式は、米国特許第6,261,469号に開示されている。この参考文献に開示されているフォトニック結晶は、多くの用途において適切ではあり得ないブロック形態をしている。
【0005】
フォトニック結晶の感度のために、屈折率又は格子間隔におけるわずかな変化が反射光における検出可能な変化をもたらす。これは、フォトニック結晶の屈折率又は格子間隔が外部刺激に応じて変調されるか又は制御することができる場合に役立つ。そのような用途の例は、米国特許出願公開第2004/0131799号、PCT出願公開第2008/098339号、及び米国特許出願公開第2009/0034051号に示されている。ヒドロゲル又はエラストマーマトリックス中に組み込まれている非細密充填球体(non-close-packed sphere)を含む変形可能なフォトニック結晶も知られており、例えば、Asherに対する米国特許第6,544,800号、Haacke等に対する米国特許第5,266,238号及び第5,368,781号、Holtz等によるNature 389:829〜832頁、FoulgerらによるAdvanced Materials 13:1898〜1901頁、Asher等によるJournal of the Material Chemical Society 116:4997〜4998頁、及びJethmalani等によるChemical Materials 8:2138〜2146頁で論じられている。
【0006】
外部刺激に応答することができるフォトニック結晶構造の例としては、光学フィルムの形態のコロイドフォトニック結晶が挙げられる(Busch等、Phys. Rev. E、58:3896頁、1998年;Xia等、Adv. Mater.、12:693頁、2000年)。これらの材料の反射波長の範囲は、フォトニック結晶の外部環境、光学特性、又は構造における変化に非常に敏感である。
【0007】
3-Dのフォトニック結晶の着色剤粒子、フレーク又は顔料としての使用が既に提案されている。フォトニック結晶の顔料、フレーク又は粒子の利点は、それらをインク又はペイント中に分散させることができ、フォトニック結晶の膜を表面に塗布することを容易にすることである。フォトニック結晶の顔料、フレーク又は粒子の塗膜は、インク又はペイント中の粒子の様々な又は無作為化された配向よってより広い視角における波長を反射することができる。インク又はペイント中のそのようなフォトニック結晶粒子の使用は提案されている。米国特許第6,756,115号は、3-Dのコロイド状フォトニック結晶粒子の着色顔料のための使用について記載している。米国特許出願公開第2006/0288906号は、顔料として又はインク中で使用可能なフォトニック結晶粒子を製造するためのプロセスについて記載している。PCT出願公開第2004/104115号は、顔料として3-Dのフォトニック結晶を有する層を含む基板表面のための多層塗膜について記載している。これらの用途は、オパール効果を有するインク、顔料及びコーティングを提供する。これらのインク、顔料及びコーティング中のフォトニック結晶は、特定の望ましい波長の光を反射するように設計される。回折格子に基づく多層回折顔料も、例えば米国特許第6,841,238号に提案されている。
【0008】
光学的効果を有するその他の顔料又はインクも提案されている。米国特許第6,695,905号は、ファブリペロ(Fabry-Perot)共振に基づいて光学的に変化する顔料の使用を提案している。米国特許第6,749,777号は、光学的効果のための回折顔料フレークの使用を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0131799号
【特許文献2】PCT出願公開第2008/098339号
【特許文献3】米国特許出願公開第2009/0034051号
【特許文献4】米国特許第6,544,800号
【特許文献5】米国特許第5,266,238号
【特許文献6】米国特許第5,368,781号
【特許文献7】米国特許出願公開第2006/0288906号
【特許文献8】PCT出願公開第2004/104115号
【特許文献9】米国特許第6,841,238号
【特許文献10】米国特許第6,695,905号
【特許文献11】米国特許第6,749,777号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Phys. Rev. Lett., 58:2059, 1987
【非特許文献2】Nature 389:829〜832頁
【非特許文献3】Advanced Materials 13:1898〜1901頁
【非特許文献4】Journal of the Material Chemical Society 116:4997〜4998頁
【非特許文献5】Chemical Materials 8:2138〜2146頁
【非特許文献6】Phys. Rev. E、58:3896頁、1998年
【非特許文献7】Adv. Mater.、12:693頁、2000年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
反射される波長を、外部刺激に応答するように又は制御できるように調整することができるフォトニック結晶の粒子、インク又は顔料を有することが望ましい。様々な用途における標準インク、コーティング及びペイントにおいて使用できるフォトニック結晶の顔料、フレーク又は粒子を有することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
いくつかの態様において、屈折率の周期的変調を備えたポリマーネットワークを有し、前記ポリマーネットワークが反射波長を有する調整可能なフォトニック結晶粒子であって、前記屈折率の周期的変調が外部刺激に対して応答性であり、前記反射波長が前記外部刺激に応答して変化する前記フォトニック結晶粒子と、前記粒子が分散している担体とを含む調整可能なフォトニック結晶組成物が提供される。
【0013】
いくつかの態様において、周期的構造を有するテンプレートであって、反射波長を有する前記テンプレートを形成するステップと、前記テンプレートにポリマー前駆体混合物を浸透させるステップと、前記ポリマー前駆体混合物を硬化させて、反射波長を有するポリマーネットワークを形成するステップと、前記ポリマーネットワークから前記テンプレートを取り外すステップと、前記ポリマーネットワークを細かく砕いて粒子を形成するステップとを含む、調整可能なフォトニック結晶粒子を製造する方法であって、前記ポリマーネットワークが、外部刺激に対して応答性であり、前記反射波長が前記外部刺激に応答して変化する前記方法が提供される。
【0014】
上記の組成物及び方法に関して、調整可能なフォトニック結晶粒子は、外部刺激、例えば、電気的刺激又は機械的刺激などに対して応答することができる。
【0015】
本開示の態様を、図面を参照して以下で詳細に論ずる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】調整可能なフォトニック結晶粒子を製造する方法の一例におけるステップを示すフローチャートである。
【図2】液体懸濁液中の機械的に調整可能なフォトニック結晶粒子の一例の画像である。
【図3】ガラス基板上のポリマーバインダーで被覆した機械的に調整可能なフォトニック結晶粒子の一例の画像である。
【図4】機械的に調整可能なフォトニック結晶粒子の一例の光学顕微鏡像である。
【図5】機械的に調整可能なフォトニック結晶粒子の一例の暗視野光学顕微鏡像である。
【図6】分離した機械的に調整可能なフォトニック結晶粒子の一例の高解像度の光学顕微鏡像である。
【図7】電気的に調整可能なフォトニック結晶粒子の一例の光学顕微鏡像である。
【図8】沈降により精製した後の電気的に調整可能なフォトニック結晶粒子の一例の光学顕微鏡像である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本出願中に論じられている全ての例及び実施形態は、説明のみを目的としており、限定することは意図されていない。
【0018】
本明細書に開示されている調整可能なフォトニック結晶粒子及び組成物は、これらの粒子及び組成物によって反射される波長又は波長の範囲を外部刺激に応じて変えることができるという意味で「調整可能」とみなされる。それ故、オパール効果を引き起こすことに加えて、上記粒子及び組成物は、とりわけ、検出器、表示器、認証、又はディスプレイの用途で使用することもできる。
【0019】
調整可能なフォトニック結晶顔料、フレーク又は粒子は、逆の1-D、2-D又は3-Dの調整可能なフォトニック結晶を含めた1-D、2-D又は3-Dの調整可能なフォトニック結晶に基づくことができる。特に、調整可能なフォトニック結晶粒子は、既知の調整可能なフォトニック結晶、例えば、米国特許出願公開第2004/0131799号、PCT出願公開第2008/098339号、PCT出願第PCT/CA2009/000745号に記載されているものに基づくことができる。粒子を作るために適する調整可能なフォトニック結晶は、とりわけ、電気的刺激又は機械的刺激(例えば圧縮)に応答することができる。フォトニック結晶により反射される波長は、屈折率の周期的構造変調によって決まる。それ故、フォトニック結晶により反射される波長は、フォトニック結晶構造(例えば、格子間隔)、屈折率、或いはフォトニック結晶の任意のその他の又は全ての成分における変化によって変えることができる。これらの粒子は、反射波長を制御可能にするために、適切な基材(例えば、電気的に調整できる粒子のための電極)に、直接又は(例えば、インク、コーティング又はペイントを形成するための)担体と組み合わせて適用することができる。
【0020】
一例において、調整可能なフォトニック結晶の顔料、フレーク又は粒子は、電気的に調整できる。即ち、フォトニック結晶粒子は、電気的刺激に応答する。フォトニック結晶粒子は、酸化又は還元することができる様々な電子配置又は状態を有する金属原子を含むことができる。金属原子における酸化又は還元の量を制御することによって、フォトニック結晶の全体の電荷が制御される。これが周囲の電解質及び/又は溶媒のフォトニック結晶粒子の中への流入又は外への流出を引き起こし、結晶粒子の膨張又は収縮をもたらす。この膨張又は収縮が結晶粒子中の格子間隔を変化させることにより、結晶粒子から反射される光の波長を変化させる。いくつかの例において、フォトニック結晶粒子は、ポリマーネットワークを形成する電気活性ポリマーを含む。
【0021】
調整可能なフォトニック結晶粒子が1-Dのフォトニック結晶に基づく場合、そのフォトニック結晶粒子は、応答性材料と非応答性の材料若しくは応答性の小さい材料とが周期的な交代層を含むことができ、その場合、その格子間隔は、応答性材料における変化(例えば、応答性ポリマー材料の膨張又は収縮)によって変化する。これらの層は、ミクロ粒子又はナノ粒子から成るものでもよい。ミクロ粒子又はナノ粒子の場合、その粒子は、自己組織化プロセスにより組織化された層又はフィルムを形成することができる。このミクロ又はナノ粒子は、約60ナノメートル〜約100マイクロメートルの大きさの範囲の断面の寸法を有することができ、又は約1ナノメートル〜約150ナノメートルの大きさの範囲のより小さい可能性がある。この1-Dのフォトニック結晶は、平らな薄板状の異なる材料の交代層、ミクロ若しくはナノ粒子材料の交代層、又は平らな薄板状の材料とミクロ若しくはナノ粒子との交代層を有することができる。1-Dのフォトニック結晶に対するその他の共通構造も適切であろう。
【0022】
調整可能なフォトニック結晶粒子が3-Dのフォトニック結晶に基づく場合、その調整可能なフォトニック結晶粒子は、埋め込まれた微小粒子の規則配列又は空間の規則配列を有するポリマーネットワークを含むことができ、その格子間隔は、ポリマーネットワークが外部刺激に応じて変化(例えば膨張又は収縮)するにつれて変化する。
【0023】
フォトニック結晶の顔料、フレーク又は粒子は、その屈折率の変化によって外部刺激に対して応答することもできる。例えば、電気的に調整可能なフォトニック結晶粒子の場合、このフォトニック結晶粒子の成分中の金属原子の電子配置における変化が、その成分の屈折率の変化をもたらすことができる。これにより、反射される波長の変化をもたらすことができる。
【0024】
別の例において、フォトニック結晶の顔料、フレーク又は粒子は、機械的刺激によって調整可能である。即ち、反射波長は、機械的変形、例えばフォトニック結晶粒子の圧縮などを含めた機械的刺激に応じて変わることができる。フォトニック結晶粒子は、弾性又は圧縮性の成分を有することができ、その結果、フォトニック結晶粒子の圧縮又は変形がその格子間隔の変化をもたらす。これが、反射される波長の変化を生じる。調整可能なフォトニック結晶粒子が1-Dのフォトニック結晶に基づく場合、その調整可能なフォトニック結晶粒子は、圧縮性材料と非圧縮性又は低圧縮性の材料との周期的交代層を含むことができ、その場合、その格子間隔は、その圧縮性材料(例えば圧縮性ポリマー)の圧縮によって変化する。調整可能なフォトニック結晶粒子が3-Dのフォトニック結晶に基づく場合、その調整可能なフォトニック結晶粒子は、埋め込まれた非圧縮性又は低圧縮性の微小粒子の規則配列、又は空間の規則配列を有する圧縮性の又は変形可能なポリマーネットワークを含むことができ、その格子間隔は、ポリマーネットワークが機械的に刺激される、例えば圧縮されるにつれて、調節される。
【0025】
フォトニック結晶の反射及び調整可能な特性はそのフォトニック結晶の大きさには左右されない。それ故、調整可能なフォトニック結晶を、大きさを減じて、インク、コーティング又はペイント中で使用するための顔料、粒子又はフレークにすることは、選択された波長を反射するその結晶の能力も、外部刺激によって調整する能力も損なわない。しかしながら、少なくとも一つの次元において少なくとも二層の格子間隔を有する大きさの粒子を提供することにより、必要な反射特性が得られ、ひいては望ましい反射を得ることを確保することができる。
【0026】
調整可能なフォトニック結晶の顔料、フレーク又は粒子は、標準的なインク、コーティング又はペイント等の組成物中に組み込むことができる。そのインク、コーティング又はペイント組成物の処方及び成分は、その粒子の調整可能な挙動を保護し又は高めるように選択することができる。例えば、その粒子が電気的に調整可能である場合、組成物は、粒子の調整可能な応答を改良するために導電性バインダー又は添加剤を含む導電性担体を含有させることができる。組成物は、例えば、バインダー又は添加剤を含む担体が相対的に透明であることを確保することによって、その粒子の反射波長における変化を検出できるように設計することができる。
【0027】
組成物中の粒子の配向は、ランダムでもよく、又は実質的に規則化されていてもよい。組成物の固化は、乾燥又は硬化によることができる。粒子の規則化は、組成物、適用方法及び/又は固化条件を制御することによって制御することができる。組成物の迅速な固化は比較的ランダムな粒子の配向をもたらすことができ、一方、遅く制御される固化は、実質的に規則化された粒子の配向をもたらすことができる。粒子の配向を制御するその他の方法としては、固化中の湿度、温度、及び/又は空気流の変化、剪断力の使用、電界又は磁界の適用、組成を変化させること(例えば、担体、又は組成物中の粒子の割合を変化させることによって)、又は組成物中の粒子分散の均一性を変化させることが挙げられる。粒子の配向は、組成物により反射される波長の強度に影響を及ぼすことができる。フォトニック結晶からの波長の反射は、格子間隔がその結晶の異なる次元に沿って異なるため、一般的には角度に依存する。かくして、実質的に規則化された粒子を有する規定の組成物、例えば規定のインク、コーティング又はペイントは、比較的狭い範囲の視角における望ましい波長を反射することができる。一方、比較的ランダムな粒子配向を有する規定の組成物は、より広い範囲の視角に対して望ましい波長を反射することができる。
【0028】
粒子の製造、構造、組成、及び用途の更なる詳細を以下で提供する。これらの記述は、説明のみの目的で提供され、限定することは意図されていない例又は実施形態を参照し得る。
【0029】
製造方法
調整可能なフォトニック結晶粒子を製造する方法の例について、説明のためであり限定することは意図しないでここで記載する。特に、調整可能な3-Dのフォトニック結晶粒子を製造する方法について記述する。しかしながら、当然のことながら、以下で記述する製造ステップは、1-D、2-D及び3-Dのフォトニック結晶粒子の全てに適用するように一般化できる。
【0030】
調整可能な3-Dのフォトニック結晶フィルムを、適当な基材上に最初に形成させる。適当な基材は、例えば、ガラス又はプラスチック材料であり得る。プラスチック材料は、曲げやすく又は伸ばすことができ、その後のフィルムの除去に役立ち得る。
【0031】
特に、逆フォトニック結晶に基づく調整可能なフォトニック結晶(例えば、電気的又は機械的に調整可能な粒子)を作製するための製造方法について説明する。異なる構造及び形態を有する電気的又は機械的に調整可能なフォトニック結晶の製造は、米国特許出願公開第2004/0131799号、PCT出願公開第2008/098339号及びPCT出願第PCT/CA2009/000745号に記載されており、それらの中に記載されているステップは、調整可能なフォトニック結晶の顔料、フレーク又は粒子のための製造ステップの基礎を形成することができる。
【0032】
製造方法の一例におけるステップを示すフローチャートである図1についてこれから言及する。
【0033】
ステップ10において、逆フォトニック結晶のためのテンプレートを、当技術分野で既知の技術を用いて最初に形成する。そのテンプレートは、細密の3-D構造であり得る。任意の適当な基材を使用することができる。可能性のある基材としては、紙、ガラス、プラスチック、金属、及びセラミックが挙げられる。そのテンプレートは、微小粒子から自己組織化させることができるか、又はそれは、例えば、固体層からエッチングすることができる。自己組織化法としては、蒸発が誘起する自己組織化(EISA)、同対流加熱(isoconvective heating)、沈殿、剪断アセンブリ、平行板閉じ込め、スピンコーティング、ディップコーティング、及びドロップキャスティングが挙げられる。球体堆積(sphere deposition)の方法は、米国特許第6,858,079号に開示されている。上記の開示された方法は、単分散のシリカ球を合成するステップと、そのシリカ球を精製するステップと、そのシリカ球を自己組織化して、基材上の複数の規則化された平面層にするステップとを含む。微小球は、修正型Stober法に従って合成することができる。実施形態の一例において、微小球は、約150〜900nmの範囲の直径を有することができる。
【0034】
テンプレートを作製するために適する微小粒子としては、約60ナノメートル〜約100マイクロメートルの断面の寸法を有する球体、楕円体、杆状体、多面体を含む球、立方体、及び多面体が挙げられる。その微小粒子は、絶縁体、ポリマー、金属、及び半導体を含めた材料から作製することができる。実施形態の一例において、微小粒子は、約60ナノメートル〜約100マイクロメートルの直径を有するシリカでできている単分散微小球(3〜5%)である。微小粒子は、ポリスチレン又はポリメタクリレート等のポリマー材料製でもあり得る。
【0035】
ステップ12において、微小粒子は、構造の安定性を増すため、及び後程のテンプレートのエッチングを容易にするために一緒に焼結又はネッキングすることができる。実施形態の一例において、テトラメトキシシラン蒸気を用いる夜通しの処理は微小粒子間のネッキングをもたらす。四塩化ケイ素の蒸気を用いるネッキングを含めたその他の適当なネッキング法を使用してもよい。ネッキングによるテンプレート中の微小粒子の相互連結は、逆フォトニック結晶中に相互連結した空間をもたらす。相互連結は、微小粒子を後程エッチングして取り除くのに役立ち得る。除去されない微小粒子は、逆フォトニック結晶の力学的及び光学的特性に影響を及ぼす可能性がある。蒸気処理によって微小球をネッキングする方法としては米国特許出願公開第2004/0062700号に開示されているものが挙げられる。開示されている方法は、金属酸化物の均一で制御可能な厚さの一様な層を用いてネッキングを形成することを含む。この金属酸化物層は、逐次積層法(layer-by-layer process)によって成長し、微小粒子表面に化学的に結合し、格子中の微小粒子間の細孔の大きさ又は空間容量を制御する作用に加えて、テンプレートの力学的安定性を高めるために役立つ。ネッキングは、テンプレートを作り上げる微小粒子の連結性の度合いを制御し、その結果、テンプレートの細孔の大きさ、充填率、力学的安定性及び光学特性を、その長距離秩序を乱すことなく、そして熱焼結に基づく従来のネッキング法において見られる格子収縮により引き起こされる亀裂の悪影響なしで、制御することに役立つ。テンプレート構造のそのような制御は、そのテンプレートにより作製される結果としての逆フォトニック結晶の制御に対応し得る。ネッキングは、米国特許第6,261,469号及び第6,517,763号に開示されている熱アニールによることも可能である。
【0036】
ステップ14において、テンプレートに架橋剤及び開始剤を含むモノマー又はプレポリマーの混合物であり得るポリマー前駆物質を浸透させる。その浸透は、溶融浸透、溶液浸透、気相浸透、電気泳動、凝華、又はその他の適当な方法によることができる。前駆物質混合物の組成物は、該テンプレートが十分に浸透されることを確保するために、望ましい粘度を与えるように選択することができる。その前駆物質を設計又は任意の成分を選択するとき、その混合物のテンプレート中への浸透の能力を考慮することは価値があり得る。その前駆物質混合物がテンプレートに十分浸透できないと、最終生成物に意図したものではない気泡又は空間をもたらし得る。逆フォトニック結晶内のいくらかの気泡(意図した空間以外)は許容できるものの、気泡の存在は、得られたフォトニック結晶の性能に影響を及ぼす可能性がある。浸透の度合いは、分子量とモノマー及び/又はプレポリマー混合物中に存在する架橋の程度とに依存し得る。浸透は、熱、撹拌、真空、圧力、希釈、又はその他の既知の技術によって補助することができる。実用目的に対しては、テンプレートは完全に浸透されている必要はなく、最終のフォトニック結晶中の気泡の存在は容認することができる。
【0037】
該混合物は、液体であり得、周囲条件において低い蒸気圧を有しており(即ち、該混合物成分の蒸発は、それが該混合物中の成分の比率を変化させるようなものではない)、未架橋状態で安定であり(即ち、それは浸透前には自然発生的に架橋はしない)、且つ、架橋可能である(即ち、該混合物は、架橋が生じること又は開始剤が機能することを防ぐことができる阻害剤は何ら含まない)。
【0038】
該混合物中の架橋剤及び開始剤の量は、硬化ポリマー中の望ましい量の架橋を達成するために選択することができる。可能性がある前駆物質組成物は、約0〜100重量%のモノマー、約0〜100重量%の架橋剤又は架橋性ポリマー、及び0〜20重量%の開始剤を含む。いくつかの組成物においては、架橋剤は、それ自体がポリマーのための主成分であり得、従ってモノマーの必要性はない。硬化ポリマーにおける架橋密度は、前駆物質混合物中の架橋剤の割合によって制御することができる。硬化ポリマーの空間率は、前駆物質混合物に、硬化後に例えば蒸発によって除去することができる不活性な物質、例えば溶媒など、を含めることによって制御することができる。得られるフォトニック結晶材料の特性を修正するために様々なポリマー及び非ポリマー添加剤を添加することができる。
【0039】
電気的に調整可能であるフォトニック結晶粒子について、粒子は、電気的刺激に応答するポリマー材料、例えば電気活性ポリマーなど、を含むことができる。例えば、粒子が、3-Dの逆フォトニック結晶に基づく場合、粒子は電気活性ポリマーネットワークを含むことができる。電気活性ポリマーの電気的応答は、電界又は電流に応答するポリマー上の原子又は(ポリマー骨格それ自体上の官能基、又は骨格にぶら下がっている鎖としての、或いはポリマーと混合されてはいるが結合はしていない)化学基の存在に起因し得る。これらは、該ポリマーが、電流が除去された後でさえも電荷を維持することができるように、酸化又は還元することができる原子又は基、例えば鉄原子又はチオフェン基(例えば、通常の市販されている導電性ポリマーのポリチオフェン中に見出される)であり得る。他の例において、ポリマーは、電界に応答はするが酸化又は還元はしない基を含む。そのような基としては、電界内で移動するが一旦その電界が除去されるとそれらの元の位置に戻る傾向があるイオン基が挙げられる。他の例において、ポリマーは、ポリマー構造それ自体が電界等の電気的刺激の影響下で寸法変化を示すことができるように、圧電特性を有することができる(例えば、該ポリマーは、ポリビニリデンジフルオリドであり得る)。
【0040】
電気活性ポリマー中で使用することができる可能性のある金属原子としては、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、レニウム、白金、パラジウム、ロジウム、亜鉛、及びこれらの組合せが挙げられる。これらの金属原子は、ポリマー中に化学的に一体化することができ、それらは、直接及び/又は結合単位を通して共に連結することができる。直接の連結又は結合単位それら自体が、該ポリマーに一定の化学的、物理的、電気化学的、光学的及び/又は電子特性を提供することができる。可能性のある結合単位としては、置換又は非置換のカルバニオン、共役カルバニオン、線状オレフィン、環状オレフィン、アセチレン、ホスフィン、アミン、カルボニル、カルベン、アルコキシド、及びこれらの組合せが挙げられる。金属原子は、置換又は非置換のカルバニオン、共役カルバニオン、線状オレフィン、環状オレフィン、アセチレン、ホスフィン、アミン、カルボニル、カルベン、アルコキシド、フラーレン及びこれらの組合せを含めた側鎖配位子を有することもできる。
【0041】
ポリマーは、メタロポリマーであり得る。メタロポリマーの一例は、ポリフェロセニルシラン(PFS)である。PFSは、その主鎖が、フェロセニルシクロペンタジエニル環の1位及び1'位によって連結されている、交互に並ぶ置換ケイ素原子及びフェロセン基から成るポリマーである。それは、遷移金属を触媒とする開環重合(ROP)又はアニオンROPを含めた多数の方法によって高分子量の状態で得ることができる(Foucherら、J. Am. Chem. Soc.、1992年、114巻、6246頁)。それぞれのこれらの記載されている方法は、より大量に拡大可能であり再現可能であり得る。
【0042】
ポリマーは、金属含有モノマー、オリゴマー又はプレポリマー、例えば、架橋メタロセノファンから形成することができる。可能性のある架橋メタロセノファンとしては、置換シラ-1-フェロセノファン、例えばジアルキルシラ-1-フェロセノファン、アルキルアルコキシシラ-1-フェロセノファン、ジアルコキシシラ-1-フェロセノファン、シクロアルキルシラ-1-フェロセノファン、ジアリールシラ-1-フェロセノファン、アルキルアリールシラ-1-フェロセノファン、アルキルアルケニルシラ-1-フェロセノファン、アルキルアルキニルシラ-1-フェロセノファン、及びこれらの組合せが挙げられる。金属含有架橋剤は、例えば、シクロブチルシラ-1-フェロセノファン、シラ-1,1'-ジフェロセノファン、1,2-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)アセチレン、1,4-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)ベンゼン、ビス(メチルシラ)-[1]-フェロセノファン)-1,4-ジエチルベンゼン、1,2-ビス(メチルシラ-[1]-フェロセノファン)エタン、及びこれらの組合せを使用することができる。
【0043】
その他の適切なポリマーとしては、ポリフェロセニルシラン、ポリチオフェン(例えば、ポリエチレンジオキシチオフェンのポリスチレンスルホネートとの錯体)、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセチレン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニリデン、ポリアセチレン、導電性ポリマー、共役ポリマー、メタロポリマー、ポリビニリデンジフルオリド、上記のポリマータイプを組み込んでいるコポリマー、及びこれらの組合せを挙げることができる。これらのポリマーは置換されていても置換されていなくてもよい。
【0044】
ポリマーネットワークは、線状のポリマー鎖を含むことができ、又は架橋ポリマーネットワークを提供するために所定密度の架橋基を含有することができる。これらの架橋は、例えば、共有結合、イオン結合、極性共有結合、化学結合、物理結合、分散相互作用、ファンデルワールス相互作用、ナノ粒子相互作用、表面相互作用、水素結合、配位結合、静電相互作用、疎水性相互作用、疎フルオロ性相互作用、相分離ドメイン、又はこれらの組合せに基づくことができる。ポリマー中の架橋の密度及び分布は、ポリマーに一定の剛性又は柔軟性を与えるように選択することができる。例えば高密度の架橋は、より剛性のポリマー材料をもたらすことができ、外部刺激に対してより小さく且つ/又はより遅い応答をもたらし得る。該架橋は、導電性又は電気絶縁性でもあり得る。
【0045】
一例において、ポリマー材料は、活性ラジカル開始剤の存在下で多官能チオールを用いて架橋されるペンダントビニル基を有するポリフェロセニルシランであり得る。
【0046】
機械的調整が可能であるフォトニック結晶粒子については、該粒子は、機械的刺激に対して応答するポリマー材料、例えば、圧縮可能な又は変形可能なポリマー又はエラストマーなどを含むことができる。例えば、該粒子が3-Dの逆フォトニック結晶に基づく場合、該粒子は、圧縮可能な又は機械的に変形可能なポリマーネットワークを含むことができる。適切なポリマー例としては、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリジエン、ワックス、及びこれらのコポリマー又は組合せが挙げられる。特定のポリマーは、エラストマーに関して下文で記載するモノマー及びプレポリマーを含む。エラストマーは、一般に、架橋した鎖を特徴とする。鎖を作製するためには多くのモノマーを一緒に重合することができる。それらは、かなりのセグメント運動が可能であるように、それらのガラス転移温度より上に存在する非晶質ポリマーである。そのため、周囲温度においてエラストマーは通常は比較的柔らかく(Eはほぼ3MPaに等しい)、変形可能である。それらの主要な用途は、シール、接着剤及び成形した柔軟な部品である。エラストマーは、通常は熱硬化する(即ち、加硫を必要とする)が、熱可塑性でもあり得る。長いポリマー鎖は、硬化中に架橋する。弾力性は、長鎖が加えられた応力を分配するためにそれ自体を再構成する能力から生じる。共有結合の架橋は、応力を除去されたときに、エラストマーがその元の形状に戻ることを確保する。この著しい柔軟性の結果、エラストマーは、特定の材料によって、一般的には5%から700%まで可逆的に伸びることができる。架橋なしか、又は短くて容易に再構成されない鎖では加えられた応力は永久歪みをもたらすであろう。
【0047】
ポリマーは、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリウレタン前駆体、架橋性ポリエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択されたモノマー及び/又はプレポリマーから形成することができる。メタクリル酸エステルの場合、それは、エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。アクリル酸エステルの場合、それは、ブトキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2-カルボキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。架橋性ポリエーテルの場合、それは、ポリエーテルジアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエーテルジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、オリゴエチレングリコールアクリレート、オリゴエチレングリコールメタクリレート、オリゴプロピレングリコールジアクリレート、オリゴプロピレングリコールジメタクリレート、オリゴプロピレングリコールアクリレート、オリゴプロピレングリコールメタクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。他のポリマーを使用することができる。多種多様の適当な重合性モノマー及び架橋剤が、Sartomer Company, Inc.から入手できる。適切なポリマーは、ネットワーク構造、及びその作動温度より低いガラス転移温度を有することができる。その他の可能性のある材料は、米国特許第6,946,086号に開示されている。
【0048】
架橋剤は、ジメタクリレート、トリメタクリレート、テトラメタクリレート、ジアクリレート、トリアクリレート、及びテトラアクリレートからなる群から選択することができる。架橋剤は、一般的には、使用されるモノマー又はプレポリマーに基づいて選択される。
【0049】
可能性のある開始剤としては、光開始剤(例えば、硬化がUV光によって開始される場合)及び熱開始剤(例えば、硬化が熱を加えることによって開始される場合)が挙げられる。光開始剤は、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドであり得る。熱開始剤が使用される場合、それは、ジクミルペルオキシドであり得る。開始剤は、モノマー又はプレポリマー及び架橋剤に基づいて一般的には選択される。
【0050】
ステップ16において、テンプレートが一旦浸透されると、該前駆物質はポリマーネットワークを形成するために紫外線(UV)又はその他の手段によって硬化される。その他の可能性のある硬化方法としては、空中養生、加熱、電子線、及びその他のタイプの放射線が挙げられる。硬化方法が電子線を使用することによる場合、前駆物質混合物中に開始剤及び/又は架橋剤を含むことを必要としない。
【0051】
ステップ18において、必要以上のポリマー材料は、テンプレートの表面から、例えば、上部表面からの機械的剥離又は磨耗などによって除去することができる。テンプレートの表面の余分なポリマー材料を最小限にするか無視できるほどにしてこのステップを省略することができるように、テンプレート中に浸透する前駆物質の量を制御することが可能である。例えば、テンプレート中に計量分配される前駆物質の量は、自動ディスペンサーによって制御することができる。硬化前に余分な前駆物質材料を除去することが可能であり得る。例えば、該テンプレートは、テンプレートに押し付けられる表面シートでカバーして、余分な前駆物質を搾り出すか、又は、余分な前駆物質がテンプレートに浸透することを防ぐことができ、或いは、余分な前駆物質材料は、テンプレートの表面からこすり落とすことができる。その表面シートは、プラズマ処理されているマイラー材料であり得る。その表面シートは、底部基材と同じ材料であり得る。表面シートをプラズマ処理することにより、前駆物質材料のそのシートへのより良好な接着を可能にすることができる。別法では、その表面シートは、硬化したポリマー並びにテンプレートがその表面シートに完全に移動するように設計することができる。この場合、過剰なポリマー層は、浸透したテンプレートの下部に留まり、このようにして硬化した材料の特性に影響を及ぼすことなく除去される。
【0052】
ステップ20において、まだ組み込まれているテンプレートと一緒のフィルムは、基材から剥がす。これは、例えば、ブレードを用いて基材から機械的にこすり落とすことによって行うことができる。その基材がポリマー又は弾性材料である場合、そのフィルムは、その基材を引き伸ばして解き放つか又はその基材を鋭く曲げてフィルムが折れて取れるようにするか、さもなければ基材から引き離すことによって除去することができる。そのフィルムは、例えば蒸留水の浴中で単純に基材から浮かせて離すこともできる。
【0053】
ステップ22において、基材から一旦解き放たれたら、そのフィルムは、任意の適当な方法を用いて、インク、コーティング又はペイント等の組成物中で使用するためのフレーク又は粒子に粉砕又は摩砕することができる。そのフィルムが基材からこすり落とされる場合はこすりの作用が既にフィルムを砕いてフレーク又は粒子にすることができるが、そのフレーク又は粒子の大きさを、インク、コーティング又はペイントでの使用に適するように減じるために、粉砕又は摩砕等による更なる粉砕を行うことができる。その粒子は、所望の用途に応じて粒子の大きさを低下させるために繰り返し粉砕又は摩砕することができる。例えば、その粒子は、インク又はペイントの粒子に対して一般的な大きさである直径が約15μmまで小さくすることができる。粒子の摩砕は、インク中の通常の顔料を摩砕するための既知の方法を用いて行うことができる。一般に、粒子の大きさに制限はないが、反射ピークのための少なくとも一つの次元に少なくとも二層の格子間隔が存在しなければならない。一般的な粒子は、1μmのオーダーから約200μmのオーダーまでの大きさの範囲であり得る。粉砕又は摩砕は、水溶液又は溶媒等の担体中に粒子を分散させることによって補助することができ、或いはドライで(即ち、何らの水溶液又は溶媒なしで)行うことができる。冷凍粉砕(cryo-milling)及び超音波処理を含めたその他の粉砕技術も適切であり得る。
【0054】
ステップ24において、テンプレートは、当技術分野では既知の技術を用いて、例えば、フッ化水素酸を導入することによってエッチング除去することができる。例えば、テンプレートがシリカ球を含む場合、それらは、Nature 405 (6785):437〜440 (2000年5月25日)においてBlancoらにより教示されているようにフッ化水素酸によりエッチングすることができる。それらはWiley-Intersiencesにより出版された(1979年5月) The Chemistry of Silica: Solubility, Polymerization, Colloid and Surface Properties and Biochemistry of SilicaにおいてIlerらにより教示されているように水酸化ナトリウムによりエッチングすることもできる。テンプレートがポリマー球を含む例において、それらは、Springerにより出版された(1989年12月31日) An Introduction to Polymer Colloids、第一版においてCandauらにより教示されているように、様々なポリマー溶媒によって溶解除去することができる。テンプレートは、別法では、フィルムを基材から解き放つ前に、この場合も当技術分野では既知の技術を使用してエッチングして取り除くことができる。テンプレートは、エッチング剤にさらされるテンプレートの表面を増して全てのテンプレートがエッチングされて取り除かれることを確保するために、フィルムがフレーク又は粒子に変換された後にエッチングして取り除くことが望ましいかもしれない。
【0055】
ステップ26において、一旦フィルムが、フレーク、顔料又は粒子に変換され、テンプレートがエッチングされて取り除かれたら、その粒子は精製することができる。例えば、精製は、残留しているいずれの化学物質も除去するために、蒸留法で粒子を洗浄することを含むことができる。精製は、粒子の大きさに対してそれらを分別するための粒子の沈殿を含むこともできる。精製は、細孔の大きさが制御されたフィルターを通す粒子の濾過を含むこともできる。粒子は、更に、熱、真空、又は例えば窒素のような不活性ガスを用いる気体流を用いて乾燥させることができる。
【0056】
粒子は、標準的なインク、コーティング又はペイント組成物等の組成物中で使用するのに適する調整可能なフォトニック結晶粒子(例えば、粒子中の応答性材料に応じて電気的又は機械的に調整可能な粒子)として使用することができる。
【0057】
上記の製造方法は、望ましい大きさに粉砕又は摩砕される粒子について記載しているが、望ましい粒子の大きさを得るその他の方法が可能である。例えば、フィルムは、均一な大きさ及び/又は規則正しい形状の粒子に切断することができる。フィルムは、粉砕又は切断が必要ないか又は最小限であるように、望ましい大きさで前もって製造することもできる。フィルムの製造は、既に望ましい大きさであるテンプレートを使用すればよい。
【0058】
組成物の配合
調整可能なフォトニック結晶粒子は、インク、コーティング又はペイント組成物を含む調整可能なフォトニック組成物を製造するために、標準的なインク又はペイント組成物等の組成物中に組み込むことができる。用語の「インク」、「コーティング」又は「ペイント」は、互換的に使用することができ、調整可能なフォトニック結晶粒子を分散させることができる全てのインク、コーティング、ペイント、スプレー、流体、ドライインク及び同様の組成物を対象とすることを意図している。
【0059】
上記の組成物は、バインダー、添加剤、及び溶媒を含むことができる担体を含む標準的なインク又はペイント中に普通に見出される成分を含むことができる。これらの成分は、固まったとき、フォトニック結晶粒子が外部刺激に応答して膨張及び収縮することを可能にするために少し柔軟性又は弾力性であってよい。これらの成分は、溶媒又は電解液の流入によって膨張するときのみ柔軟性であり得る。
【0060】
担体は、組成物が調整可能となるように設計される。例えば、電気的に調整可能な組成物に対して、担体(バインダー、溶媒、添加剤、及びその他の成分を含んでよい)は、導電性であるように設計することができる。同様に、機械的に調整可能な組成物に対して、その担体は、変形可能なように設計することができる。担体は、フォトニック結晶粒子に届き、反射される光を干渉することを避けるために比較的透明又は半透明であることができる。
【0061】
担体は、粒子の製造で使用される水溶液又は溶媒(例えば、粒子を粉砕又は摩砕するため、或いはテンプレートを除去するために使用される水溶液又は溶媒)を含むことができる。担体は、添加剤又はバインダーを含むこともできる。担体の一つ又は複数の成分は、該フォトニック結晶粒子の製造における任意のステップにおいて導入することができる。例えば、担体は、粒子を粉砕又は摩砕するために使用される水溶液又は溶媒を含むことができるため、適切な粉砕又は摩砕のステップにおいて導入することができる。その水溶液又は溶媒は、適切な粉砕又は摩砕ステップの完了後に担体から除去することができる。いくつかの例においては、その水溶液又は溶媒は除去されないが、それ自体が最終組成物の担体の一部である。これは、例えば、その溶液又は溶媒が組成物中でモノマー又はプレポリマーと共に分散され、その溶液又は溶媒及びモノマー又はプレポリマーがUV硬化されてポリマーネットワークを形成する場合であり得る。そのような例の実施形態は、揮発性有機化合物(VOC)を含まない。
【0062】
いくつかの例において、担体の一つ又は複数の成分は、フォトニック結晶粒子の細孔中に浸透することができ、その場合、一つ又は複数の浸透成分は、固化又は硬化後でさえもフォトニック結晶粒子における屈折率の周期的変調を保つように設計することができる。
【0063】
例としての組成物は、その担体がバインダー及び溶媒を含む配合を有しており、該組成物は、約10重量%以下のフォトニック結晶粒子と、約45重量%以下のバインダーと、約45重量%以下の溶媒とを含有する。適切なバインダーとしては、Incorez(商標)W2600(Industrial Copolymers Ltd.製)が挙げられ、適切な溶媒としては、エチレングリコールが挙げられる。場合によって、該配合物は、約1重量%以下のDupontによるZonyl(商標)9361等の界面活性剤を含むことができる。界面活性剤の添加は、ガラス又はプラスチック表面を含めた表面を良く濡らす組成物を得るために望ましいかもしれない。
【0064】
配合物の単純な例は、単にフォトニック結晶粒子、及び単にバインダー及び溶媒を有する担体を含有することができる。その粒子の重量%は、約0.1〜95%、一般的には約10〜30%の範囲であり得、そのバインダーの重量%は、約0.1〜99.9%、一般的には約10〜30%の範囲であり得、その溶媒の重量%は、約0〜99.8%、一般的には約40〜80%の範囲であり得る。そのバインダーは、純粋な形、又は溶媒に溶解若しくは懸濁されているポリマー化合物又はポリマー前駆物質化合物であり得る。その溶媒は水であり得る。
【0065】
適切なバインダーの例は、ポリマー樹脂である。可能性のあるバインダーとしては、次の参考文献: William Andrewにより2005年に出版されたFlickの「Paint & Ink Formulations Database」、Wileyにより2000年に出版されたBielemanの「Additives for Coatings」、及びCRC Pressにより2007年に出版されたTractonの「Coatings Materials and Surface Coatings」に記載されているものが挙げられる。その他の添加剤が、Rapraにより1997年に出版されたFouassierの「Photoinitiated Polymerisation: Theory and Applications」に記載されている。
【0066】
電気的に調整可能なフォトニック結晶の顔料、フレーク又は粒子を含有する組成物については、粒子が分散している担体の一つ又は複数の成分が導電性であり得る。例えば、担体は、炭素、金属(例えば銀)、又は導電性ポリマー等の導電性材料の含有によって電気伝導性を提供することができる。別法では、担体は、粒子が物理的に近接近状態であるか又は互いに接触した状態であり、粒子間の直接の電気伝導を可能にするように、組成物の比較的小さい成分として提供することができる。
【0067】
機械的に調整可能なフォトニック結晶粒子を含有する組成物については、その担体は、機械的に変形可能であり得、例えば圧縮可能であるか又は柔軟性であり得る。それは、インク及びペイント中で普通に使用される標準的な担体及び添加剤が、如何なる修飾も必要とせずにこの用途に対して十分に柔軟性であるか又は圧縮可能であることである。例えば、普通のラテックスペイント中に一般的に見られる成分は、十分な柔軟性を提供することができる。別法では、上記の成分が柔軟性がないか又は圧縮可能ではない場合であってさえ、適切な圧力が硬化したインク又はペイント中のフォトニック結晶粒子に依然として伝わるように、担体は組成物の比較的小さい成分として提供することができる。
【0068】
担体中に含むことができる可能性のある添加剤としては、表面活性剤、界面活性剤等の湿潤剤、消泡剤若しくは泡止め剤、pH調整剤、保湿剤、殺生物剤、増粘剤若しくはレオロジー調整剤、及びレベリング剤が挙げられる。インク又はペイントを、乾燥、UV照射、又は電子線照射によって硬化させることを可能にする硬化剤を存在させることもできる。担体は、クレー等の充填剤又は増量剤を含むことができる。
【実施例】
【0069】
調整可能なフォトニック結晶粒子の実施例を説明の目的のみのためにここで記載する。その実施例が粒子である場合、その粒子は担体を含む組成物中で使用するのに適する。
【0070】
図2は、液体懸濁液中の機械的に調整可能なフォトニック結晶粒子の実施例の画像を示している。その機械的に調整可能なフォトニック結晶粒子は、エラストマーのアクリレートポリマーネットワークを含み、その粒子はエタノール中に懸濁されている。粒径は、殆どが約20〜200μmの範囲に入る。粒子の粉砕は、乾式冷凍粉砕の方法を含んでいた。
【0071】
図3は、ガラス基板上に被覆した機械的に調整可能なフォトニック結晶粒子の実施例の画像を示している。その機械的に調整可能なフォトニック結晶粒子は、エラストマーのアクリレートポリマーネットワークを含み、担体は、ポリマーバインダーのIncorez(商標)W2600を含む。粒径は、殆どが約20〜200μmの範囲に入る。粒子の粉砕は、乾式冷凍粉砕の方法を含んでいた。
【0072】
図4は、機械的に調整可能なフォトニック結晶粒子の実施例の光学顕微鏡像を示している。この機械的に調整可能なフォトニック結晶粒子は、エラストマーのアクリレートポリマーネットワークを含み、粒径は、殆どが約20〜200μmの範囲に入る。粒子の粉砕は、乾式冷凍粉砕の方法を含んでいた。
【0073】
図5は、機械的に調整可能なフォトニック結晶粒子の実施例の暗視野光学顕微鏡像を示している。この機械的に調整可能なフォトニック結晶粒子は、エラストマーのアクリレートポリマーネットワークを含み、粒径は、殆どが約20〜200μmの範囲に入る。粒子の粉砕は、乾式冷凍粉砕の方法を含んでいた。
【0074】
図6は、分離した機械的に調整可能なフォトニック結晶の実施例の高解像度の光学顕微鏡像を示している。この機械的に調整可能なフォトニック結晶粒子は、エラストマーのアクリレートポリマーネットワークを含み、粒径は、殆どが約20〜200μmの範囲に入る。粒子の粉砕は、乾式冷凍粉砕の方法を含んでいた。
【0075】
図7は、電気的に調整可能なフォトニック結晶粒子の実施例の光学顕微鏡像を示している。この電気的に調整可能なフォトニック結晶粒子は、金属含有ポリマーネットワークを含み、粒径は、殆どが約5〜150μmの範囲に入る。粒子の粉砕は、粒子をエタノール中に分散させる超音波処理の方法を含んでいた。
【0076】
図8は、沈殿により精製した後の電気的に調整可能なフォトニック結晶粒子の実施例の光学顕微鏡像を示している。この電気的に調整可能なフォトニック結晶粒子は、金属含有ポリマーネットワークを含み、粒径は、殆どが約25〜100μmの範囲に入る。粒子の粉砕は、粒子をエタノール中に分散させる超音波処理の方法を含んでいた。
【0077】
応用
調整可能なフォトニック結晶粒子を含有する調製可能なフォトニック結晶組成物は、標準的なインク、コーティング又はペイントと同様に表面に適用することができる。それらは、通常の印刷方法、例えば、リソグラフィー又はオフセット法、フレキソグラフィー、グラビア印刷、スクリーン印刷、タコ印刷、活版、及びデジタル印刷等に対して好適であり得る。粒子は、スプレー、印刷、ディッピング、コーティング、及びその他の通常の方法によって適用することもできる。
【0078】
調整可能なフォトニック結晶粒子を含有する組成物は、添加剤、及び特定の印刷又は適用工程に適する特性(例えば、粘度及び乾燥効率)を有するように設計することができる。
【0079】
インク、コーティング又はペイントのような組成物の形で調整可能なフォトニック結晶を提供することによって、フォトニック結晶膜の大きな表面領域、又は平坦でない表面への適用を簡略化し、又は可能にすることができる。調整可能なフォトニック結晶組成物は、化粧品、装飾面、赤外線反射器、及びディスプレイを含めた調整可能なフォトニック結晶を使用することができる用途において使用することができる。調整可能なフォトニック結晶組成物は、同じ用途における調整可能なフォトニック結晶と同じ方法で制御することができる。加えて、この調整可能なフォトニック結晶組成物は、従来の調整可能なフォトニック結晶より広い視角を提供することができるために、調整可能なフォトニック結晶組成物は、従来の調整可能なフォトニック結晶のあまり望ましくない用途、例えば、広い視角が望まれる大きなディスプレイにおいて有用であり得る。
【0080】
電気的に調整可能なフォトニック結晶組成物、例えばインク、コーティング又はペイント等について、組成物は、電気的な刺激をそのフォトニック結晶粒子に与えることができる電極又はその他の導電性基材に適用することができる。粒子は、電気的な刺激を受けるために電極と直接接触することができ、或いは導電性の担体又はバインダー中に懸濁させることができる。粒子は、電気的刺激の伝導に役立つために、互いに接触した状態又は近接近状態にすることができる。
【0081】
機械的に調整可能なフォトニック結晶組成物は、それが適用される基材のタイプに関して制限はなくてよい。
【0082】
適用された組成物には、保護カバー又はコーティングを施すことができる。その保護カバー又はコーティングは、フォトニック結晶粒子に光が到達し、反射されることを可能にするように、比較的透明又は半透明であり得る。フォトニック結晶組成物が機械的に調整可能である場合、保護カバー又はコーティングは、例えば機械的に調整可能なフォトニック結晶粒子の圧縮を可能にするために、柔軟性又は圧縮可能であり得る。
【0083】
調整可能なフォトニック結晶粒子は、インク、コーティング又はペイント等の組成物の形で適用することができ、或いは、粒子自体を所望の表面に直接適用させ、その後その表面に固定することができる。
【0084】
調整可能なフォトニック結晶組成物の可能性のある用途としては、例えば、ラベル、包装、紙幣又はクレジットカード等のカード又は文書に印刷するときの偽造インク又は安全インクとしての使用が挙げられる。調整可能なフォトニック結晶組成物は、ディスプレイ表面の電極に粒子を適用することによってフォトニック結晶に基づくディスプレイを作成する効果的な方法を提供することもできる。その他の用途としては、例えば壁にペンキを塗る等、美観を目的としたインク、コーティング又はペイントとしての使用が挙げられる。調整可能なフォトニック結晶組成物は、従来の印刷におけるインクの中で使用することもできる。その他の用途としては、ディスプレイ、調整可能な色の建築上の主要物(例えば、壁、隔壁、天井、床)、調整可能な色製品及びアクセサリー、熱管理のための太陽赤外線の制御を調節することができるコーティング、軍事使用のための調整可能な熱線フィルター、圧力計、化粧塗料、及びその他多数において使用するためのコーティングとしての使用が挙げられる。
【0085】
この調整可能なフォトニック結晶粒子は、インク、ペイント又はコーティング等の組成物中に与えられているときは、従来のフォトニック結晶フィルムを超える利点を提供することができる。組成物中の粒子配置の規則性が小さいと、広い視角にわたって検出可能な反射を提供しうる。例えば、従来のインクと同様のスプレー又は印刷プロセスによって表面に適用することが安価且つ容易であり、また、従来の製造実務に対してより適合する。その組成物は、フォトニック結晶像のデザインにおいて、より大きな柔軟性及び無駄の低減を可能にすることができる。例えば、紙幣において、フォトニック結晶組成物は、単純なストリップ又はパッチよりむしろ複雑なデザインに、少ない無駄で(例えば印刷によって)使用することができる。なぜならば、より大きなフィルムからそのデザインを切り取ったり、移し取る必要がないからである。この調整可能なフォトニック結晶組成物は、輸送するのが容易であり、製造中に繰り返される取り扱いによる損傷に対してより丈夫であり得る。
【0086】
この開示は特定の実施例及び実施形態への言及を含むが、これらは説明のみを目的としており、限定することは意図されていない。開示の方法は、ステップの順序によって限定はされず、本明細書に提供されているステップの順序は、説明のみを目的としている。当然のことながら、本明細書に記載されていない変化及び修正は、この開示の範囲に含まれ、当業者には明らかであろう。引用されている全ての参考文献及び文書は、それら全体として参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈折率の周期的変調を備えたポリマーネットワークを有し、前記ポリマーネットワークが反射波長を有する調整可能なフォトニック結晶粒子であって、前記屈折率の周期的変調が外部刺激に対して応答性であり、前記反射波長が前記外部刺激に応答して変化する前記フォトニック結晶粒子と、
前記粒子が分散している担体と
を含む調整可能なフォトニック結晶組成物。
【請求項2】
周期的変調が、外部刺激に応答して拡大又は縮小する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
屈折率の周期的変調が、ポリマーネットワーク中の空間の三次元の規則配列から生じる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
屈折率の周期的変調が、異なる屈折率を有する材料の周期的多層から生じる、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ポリマーネットワークが電気活性ポリマーを含む電気的に活性なポリマーネットワークであり、外部刺激が電気的刺激である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
電気活性ポリマーが、ポリフェロセニルシラン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセチレン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニリデン、ポリアセチレン、導電性ポリマー、共役ポリマー、メタロポリマー、上記のポリマータイプを組み込んでいるコポリマー、ポリビニリデンジフルオリド、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ポリマーが、共有結合、イオン結合、極性共有結合、化学結合、物理結合、分散相互作用、ファンデルワールス相互作用、ナノ粒子相互作用、表面相互作用、水素結合、配位結合、静電相互作用、疎水性相互作用、疎フルオロ性相互作用、相分離ドメイン、又はこれらの組合せからなる群から選択される架橋を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
ポリマーが導電性又は電気絶縁性である架橋を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項9】
ポリマーが酸化還元活性基を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項10】
ポリマーネットワークが弾性ポリマーを含む弾性ポリマーネットワークであり、外部刺激が機械的刺激である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
ポリマーが、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリジエン、ワックス、及びこれらのコポリマー又は組合せからなる群から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ポリマーが、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリウレタン前駆体、架橋性ポリエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択されるモノマー又はプレポリマーを有するエラストマーである、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
モノマー又はプレポリマーがメタクリル酸エステルであり、前記メタクリル酸エステルがエチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
モノマー又はプレポリマーがアクリル酸エステルであり、前記アクリル酸エステルがブトキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2-カルボキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
モノマー又はプレポリマーが架橋性ポリエーテルであり、前記架橋性ポリマーがポリエーテルジアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエーテルジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、オリゴエチレングリコールジアクリレート、オリゴエチレングリコールジメタクリレート、オリゴエチレングリコールアクリレート、オリゴエチレングリコールメタクリレート、オリゴプロピレングリコールジアクリレート、オリゴプロピレングリコールジメタクリレート、オリゴプロピレングリコールアクリレート、オリゴプロピレングリコールメタクリレート及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
担体が、バインダー、溶媒、添加剤、充填剤、及び硬化剤からなる群から選択される少なくとも一つを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
更に、組成物が添加剤を含み、前記添加剤が、界面活性剤、消泡剤、表面活性剤、レベリング剤、硬化開始剤、pH調整剤、保湿剤、湿潤剤、殺生物剤、レオロジー調整剤、充填剤、導電剤、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
担体が、少なくとも一つの導電性成分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
担体が、少なくとも一つの機械的に変形可能な成分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
担体がバインダー及び溶媒を含み、組成物が約10重量%〜約30重量%の調整可能なフォトニック結晶粒子、約10重量%〜約30重量%のバインダー、及び約40重量%〜約80重量%の溶媒を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
担体がバインダー及び溶媒を含み、組成物が約10重量%以下の調整可能なフォトニック結晶粒子、約45重量%以下のバインダー、及び約45重量%以下の溶媒を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
担体が界面活性剤を更に含み、組成物が約5重量%以下の界面活性剤を更に含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
外部刺激が、機械的刺激、化学的刺激、及び電気的刺激からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
インク、コーティング、又はペイントである、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
電極表面に適用するのに適している、請求項1から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
周期的構造を有するテンプレートであって、反射波長を有する前記テンプレートを形成するステップと、
前記テンプレートにポリマー前駆体混合物を浸透させるステップと、
前記ポリマー前駆体混合物を硬化させて、反射波長を有するポリマーネットワークを形成するステップと、
前記ポリマーネットワークから前記テンプレートを取り外すステップと、
前記ポリマーネットワークを細かく砕いて粒子を形成するステップと
を含む、調整可能なフォトニック結晶粒子を製造する方法であって、
前記ポリマーネットワークが外部刺激に対して応答性であり、前記反射波長が前記外部刺激に応答して変化する前記方法。
【請求項27】
粒子を精製するステップを更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
担体中に粒子を分散させるステップを更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
外部刺激が、圧刺激、化学的刺激、及び電気的刺激からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
テンプレートが三次元の周期的構造を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
請求項26に記載の方法と、更に
担体中に粒子を分散させるステップと
を含む、調整可能なフォトニック結晶組成物を製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−528808(P2011−528808A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518997(P2011−518997)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001052
【国際公開番号】WO2010/009558
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(510314817)オパラックス インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】