説明

調整可能な体積を収容する薄膜処理装置

装置を使用して、生物試料を処理するための流体物質を添加および除去することができる。流体物質は、第1の基板と第2の基板の間で送達することができる。一方の基板は、試験片を運ぶ。流体物質層は、第1および第2の基板によって画定された間隙内で保持される。一方の基板を第2の基板に対して動かし、間隙内で流体物質を分散させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2009年11月13日出願の米国仮特許出願第61/261,267号の利益を主張する。この仮出願を、全体として参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は一般に、薄膜を使用して試料を処理する方法および装置に関する。より詳細には、本発明は、試料を処理するために調整可能な体積を収容する方法および装置に関係する。
【背景技術】
【0003】
生物試料を準備および分析するために、幅広い技法が開発されてきた。例示的な技法は、顕微鏡検査、マイクロアレイ分析(たとえば、蛋白および核酸のマイクロアレイ分析)、ならびに質量分析法を含む。1つまたは複数の液体を試料に添加することによって、試料は分析用に準備される。試料が複数の液体で処理された場合、分析に適した試料を生じさせるには、それぞれの液体の添加と後の除去の両方が重要になる可能性がある。
【0004】
生物試料、たとえば組織切片または細胞を保持する顕微鏡スライドは、普通なら透明または不可視の細胞または細胞構成要素に色およびコントラストを追加するために、1つまたは複数の染料または試薬で処理されることが多い。試料は、試料を保持するスライドを染料または他の試薬の容器内に手動で浸漬することによって、分析用に準備することができる。この労働集約型のプロセスの結果、処理に一貫性がなくなり、容器間に液体のキャリーオーバが生じることが多い。液体のキャリーオーバは、処理液の汚染および劣化を招く。これらのタイプの手動のプロセスは、過度の体積の液体を利用することが多く、その結果、特に染料または他の試薬が高価である場合、処理コストが比較的高くなり、またキャリーオーバによる劣化を受けやすい。
【0005】
「ディップアンドダンク(Dip and dunk)」式の自動化された機械は、手動浸漬技法と同様に、液体中に試料を浸漬する。これらの自動化された機械は、顕微鏡スライドを運ぶラックを開いた槽の中に浸水させることによって、試料をバッチごとに処理することができる。しかし残念ながら、ディップアンドダンク式の自動化された機械の槽容器内には、比較的大量の試薬が存在する。手動プロセスと同様に、液体が高価な試薬である場合、特に相当な量の試薬が廃棄される場合、処理コストは比較的高くなることがある。試薬槽容器は、キャリーオーバによる汚染のため、頻繁に空になることがある。開いた容器もまた、蒸発損失を受けやすく、蒸発損失は、試薬の濃度を著しく変え、その結果、処理に一貫性がなくなることがある。特別な取扱いおよび処分を必要としうる相当な体積の廃棄物を生じさせることなく試料を処理するのは、困難になることがある。
【0006】
試験片を準備するには、免疫組織化学および原位置ハイブリッド化による着色プロセスが使用されることが多い。顕微鏡スライド上の区分された固定の組織の免疫組織化学および原位置ハイブリッド化による着色率は、組織切片に直接接触するように配置された水溶液から固定の組織内へ分子(たとえば、共役生体分子)が拡散できる速度によって制限される。組織は、10%のホルムアルデヒド溶液中に配置することによって、切除直後に「固定」されることが多く、それにより、メチレン架橋を介して蛋白の大部分を架橋結合することによって自己触媒的分解から組織を守る。この架橋結合された組織は、個々の細胞および細胞小器官を密閉する脂質2重層メンブレンを含めて、拡散に対する多くのさらなる障壁を呈することがある。共役生体分子(抗体またはDNAプローブ分子)は比較的大きく、寸法は数キロダルトンから数百キロダルトンに及ぶことがあり、それによって共役生体分子がゆっくりと固体組織内へ拡散するのを抑制する。十分な拡散に対する典型的な時間は、数分から数時間の範囲内である。典型的な培養条件は、摂氏37度で30分である。
【0007】
拡散率は濃度勾配によって決まることが多く、したがって試薬内の共役体の濃度を増大させることによって、拡散率を増大させることができる。しかし残念ながら、共役体は非常に高価であることが多く、したがって共役体の濃度を増大させることは無駄が多く、経済的に実行可能でないことが多い。さらに、高濃度が使用されるとき、過度の量の共役体が組織内へ追いやられると、組織内に入り込み、洗い落とすのが困難であり、高レベルの非特定的な背景の着色を引き起こす。非特定的な背景の着色による雑音を低減させ、特定の着色の信号を増大させるには、培養時間の長い低濃度の共役体を使用することが多く、それによって共役体を特定の部位だけに結合させることができる。
【0008】
従来の組織学着色機器は、通常300μlの緩衝剤中で比較的大量の試薬(100μl)を使用することが多い。これにより、組織の上に位置する緩衝剤中の試薬の濃度はむしろ低くなる。一部の従来の機器は、上にある油層上へ接線方向に空気を交互に噴射することによって、試薬を混合する。試薬は、交互の空気噴射によって接触されると回転および逆回転し、それによって下にある水性の緩衝材中へ運動を与える。この混合は、特に激しくなくゆっくりと行われ、著しい蒸発損失をもたらす。大量の水洗い用の液体を使用して、油で覆われた大量の低濃度の試薬を物理的に移動させる。この水洗い手順により、大量の廃液が生じる。この廃液は有害な廃棄物であることがあり、激しい洗浄動作によって、組織を物理的に破壊する可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
少なくともいくつかの実施形態は、液体で濡れた湾曲表面を生物試料近傍に動かすことによって、試料と液体を接触させる方法を対象とする。濡れた湾曲表面と生物試料を分離する距離は、湾曲表面とスライドの間に液体のメニスカス層を形成するのに十分な距離である。メニスカス層は、生物試料の少なくとも一部分に接触する。
【0010】
メニスカス層は、間隙内に収容される比較的薄い膜とすることができる。基板は、メニスカス層を形成する異なる体積の流体を収容するように、異なる構成へ動かされる。メニスカス層を動かす毛細管作用は、それだけに限定されるものではないが、液体が接着力、凝集力、および/または表面張力のために濡れた湾曲表面とスライドの間の間隙を通って自然に蠕動する現象による層の動きを含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、基板は、廃棄物を蓄積し、かつ/または試料を処理し、培養し、もしくは他の方法で処理するために、平坦な構成、弧状の構成(たとえば、簡単な弧の構成、複雑な弧の構成、複合の弧の構成など)、または傾斜した構成(たとえば、V字状の構成、W字状の構成など)、ならびに任意の他の構成の間を動かされる。
【0012】
いくつかの実施形態では、試験片を運ぶスライドを処理するステーションは、第1のプラテンアセンブリと、第2のプラテンアセンブリと、第1のプラテンアセンブリを待機位置から処理位置に動かすように構成された駆動機構と、スライド位置決めデバイスとを含む。スライド位置決めデバイスは、スライド保持デバイスを備える。スライド位置決めデバイスは、スライド保持デバイスによって保持されたスライドを処理位置内の第1のプラテンアセンブリ近傍に位置決めするように動作可能であり、第1のプラテンアセンブリが待機位置にあるときは、スライドを第2のプラテンアセンブリ近傍に位置決めするように動作可能である。スライド位置決めデバイスは、第1のプラテンアセンブリおよび第2のプラテンアセンブリの1つの湾曲部分に沿ってスライドを動かしてスライド上の試料に液体を添加するように構成される。
【0013】
他の実施形態では、処理システムは、ローラユニット、スライドスライド保持デバイス、およびアクチュエータを備える。ローラユニットは、液体添加領域を有する湾曲部分を含む。アクチュエータは、スライドスライド保持デバイスに結合されており、その部分(湾曲部分など)に沿ってスライドスライド保持デバイスによって保持されたスライドを動かして毛細管間隙を画定するように構成される。特定の実施形態では、アクチュエータは、1つまたは複数のドライバ機構、モータ、歯車システム、ピストンアセンブリなどを含む。
【0014】
さらに他の実施形態では、方法は、スライドをスライドスライド保持デバイスに送達する。第1の液体が、スライドおよびローラユニットの第1の湾曲部分の少なくとも一方に送達される。スライドを第1の湾曲部分に沿って動かし、スライドとローラユニットの間の試料に第1の液体を添加する。この湾曲部分を使用して、異なる液体を試料に添加する。特定の実施形態では、湾曲部分は、1つのプロトコル全体を実行するために使用される使い捨て部分である。ローラユニット、使い捨て部分、およびスライドはともに、任意の数の異なる処理ステーションへ動かすことができる。他の実施形態では、第1の湾曲部分は、ローラユニットのホルダから取り外される。ローラユニットのホルダ上には、第2の湾曲部分が配置される。第2の湾曲部分を使用して、試料に追加の液体を添加することができる。スライドをローラユニットの第2の湾曲部分に沿って動かし、試料に第2の液体を添加する。特定の実施形態では、湾曲部分の一方または両方を、ローラユニットの少なくとも一部分に重なるカバーの形にすることができる。カバーは、比較的薄い材料シートを含むことができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、試料に液体を添加する装置は、スライドスライド保持デバイスと、平坦な構成と湾曲した構成の間を動ける変形可能な添加器とを備える。平坦な構成の変形可能な添加器は、スライドスライド保持デバイスによって保持されたスライドにまたがって延びるようになされる。湾曲した構成の変形可能な添加器は、スライドスライド保持デバイスによって保持されたスライドで高さが変動する毛細管間隙を画定するようになされる。
【0016】
装置は、平坦な構成と湾曲した構成の間で変形可能な添加器を動かすように構成された変換デバイスと、変形可能な添加器に機械的に結合された駆動機構とをさらに含むことができる。駆動機構は、湾曲した構成の変形可能な添加器をスライドに沿って動かすアクチュエータを含む。
【0017】
さらに他の実施形態では、顕微鏡スライド上の試料を処理するカバーは、本体、第1の複数の間隙要素、および第2の複数の間隙要素を含む。本体は、試薬添加領域を含む非平面状の第1の表面と、非平面状の第1の表面に対向する第2の表面とを有する。非平面状の第1の表面および第2の表面は、本体の厚さを画定する。いくつかの実施形態では、試薬添加領域は実質上、顕微鏡スライドが第1の複数の間隙要素および第2の複数の間隙要素にまたがって延びるとき、顕微鏡スライド上の試料が試薬添加領域に面するように、第1の複数の間隙要素と第2の複数の間隙要素の間に位置する。特定の実施形態では、顕微鏡スライドは、対向する間隙要素に物理的に接触し、対向する間隙要素の上を対向する間隙要素に沿って回転する。
【0018】
いくつかの実施形態では、スライド処理ステーションは、基礎ユニットと、基礎ユニットによって受け取れるカバーとを含む。カバーは、弧状の液体添加領域および間隙要素を含む。間隙要素は、液体添加領域の外側に位置決めされ、液体添加領域の長さに沿って互いから隔置される。間隙要素は、液体添加領域からスライドを隔置して、液体を収容するための間隙を画定するように寸法設定される。
【0019】
他の実施形態では、試験片を処理する装置は、第1の構成と第2の構成の間を動ける駆動機構と、駆動機構に結合された複数の試薬添加ステーションとを備える。試薬添加ステーションの少なくとも1つは、非平面状の表面およびスライド位置決めデバイスを含む。スライド位置決めデバイスは、スライドを運ぶように構成され、試薬受取り構成と試薬添加構成の間を動くことができる。スライド位置決めデバイスは、駆動機構が第1の構成から第2の構成に動くと、試薬受取り構成から試薬添加構成へ動かされる。
【0020】
いくつかの実施形態では、カバーは、1つまたは複数の使い捨て部分または再利用可能なメンブレン、膜、被覆、タイルなどを備える。いくつかの実施形態では、カバーは、単一の材料から作られた薄いメンブレンである。他の実施形態では、カバーは、複数の材料から作られた薄いメンブレンである。たとえば、メンブレンは、多層構造を有することができる。メンブレンの層の1つは、プラテンまたは他の適した表面に結合するための接着層とすることができる。
【0021】
カバーが膜または被覆である場合、このカバーは、キャリーオーバ汚染を防止または制限するために、単一のスライドを処理した後に廃棄することができる。いくつかの実施形態では、下にある支持表面は、1つまたは複数の間隙要素(たとえば、くぼみ、突起など)を含むことができる。カバーが表面に重なるとき、間隙要素は、カバーに沿って対応する途切れを形成することができる。いくつかの実施形態では、回転部は、顕微鏡スライド全体にシートを動かすように制御可能に分注される、シートなどの分注可能な材料を含む。シートのうちスライド上の部分は、カバーを形成する。シートの異なる部分を使用して、異なる処理流体を添加することができる。
【0022】
他の実施形態では、少なくとも1つの試料を運ぶスライドを処理するステーションは、プラテンアセンブリおよびスライド保持デバイスを含む。スライド保持デバイスは、プラテンアセンブリの湾曲部分に沿ってスライドを動かし、液体がプラテンアセンブリとスライドの間にあるときにスライド上の試料に液体を添加するように構成される。
【0023】
いくつかの実施形態では、流体を混合する方法は、第1の流体をスライド上へ分注するステップを含む。第1の流体を分注した後、第2の流体がスライド上へ分注される。スライドに対向する基板を使用して第1の流体と第2の流体を混合し、混合流体を生じさせる。混合物の所望のレベルの均質性は、混合動作によって実現することができる。特定の実施形態では、第1の流体は、第2の流体を分注する前に混合される。
【0024】
いくつかの実施形態では、着色装置が回転モードを有し、したがってスライドは、使い捨て部分を使用して、1つまたは複数の液体を試験片に添加する。使い捨て部分を使用して、培養中および/または液体の除去中に液体を添加することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、着色装置は、2つの使い捨て部分を使用して単一のスライドを処理する交換可能なユニットを含む。交換可能なユニットは、液体を添加し、培養を実行し、かつ/または液体を除去して、所望のプロトコルを実行することができる。他の実施形態では、追加の使い捨て部分を利用して、複雑な着色を実行することができる。本明細書では、「使い捨て部分」という用語は、カバー、基板、処理液体などのシステムまたは構成要素(もしくは構成要素の組合せ)に適用されるときは広義の用語であり、通常、それだけに限定されるものではないが、当該のシステムまたは構成要素が有限の回数だけ使用され、次いで廃棄されることを意味する。プラスチックタイルなどの一部の使い捨て構成要素は、一度だけ使用され、次いで廃棄される。いくつかの実施形態では、処理装置の複数の構成要素は、キャリーオーバ汚染をさらに防止または制限するために使い捨てである。他の実施形態では、構成要素は使い捨てではなく、任意の回数だけ使用することができる。たとえば、カバーは使い捨てではなく、カバーの特性をほとんど変えることなく、異なるタイプの清浄および/または滅菌プロセスにかけることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、試験片を運ぶスライドを処理するステーションは、第1のプラテンアセンブリと、第2のプラテンアセンブリと、第1のプラテンアセンブリを待機位置から処理位置へ動かすように構成された駆動機構とを含む。スライド位置決めデバイスは、スライド保持デバイスを備え、スライド保持デバイスによって保持されたスライドを処理位置内の第1のプラテンアセンブリ近傍に位置決めするように動作可能であり、第1のプラテンアセンブリが待機位置にあるときは、スライドを第2のプラテンアセンブリ近傍に位置決めするように動作可能である。スライド位置決めデバイスは、第1のプラテンアセンブリおよび第2のプラテンアセンブリの1つの湾曲部分に沿ってスライドを動かし、液体が第1のプラテンアセンブリおよび第2のプラテンアセンブリの1つとスライドの間にあるときにスライド上の試料に液体を添加するように構成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、駆動機構は、第1のプラテンアセンブリを待機位置と処理位置に交互に位置決めすることができる。第2のプラテンアセンブリは、実質上平坦な表面を有する。スライド位置決めデバイスは、実質上平坦な表面をまたいでスライドを配置する第1の構成と、スライドを実質上平坦な面から隔置したまま保つ第2の構成との間を動くことができる。第1のプラテンアセンブリは、ホルダと、ホルダに着脱自在に結合可能なカバーとを含む。ホルダは、電気エネルギーを受け取り、その電気エネルギーを使用して熱を生成するように構成された少なくとも1つの熱要素を含む。
【0028】
ステーションは、第1のプラテンアセンブリを保持するレール装置をさらに含むことができる。第1のプラテンアセンブリは、待機位置と処理位置の間をレール装置に沿って摺動可能である。スライド位置決めデバイスは、湾曲部分に対してスライドを動かしてスライドと湾曲部分の間に高さが可変の間隙を画定する回転モードと、第1のプラテンアセンブリおよび第2のプラテンアセンブリの他方上にスライドを配置する非回転モードとを有する。回転モードでは、湾曲部分に対して長手方向および/または横方向にスライドを回転させることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、試料処理システムは、ローラユニット、スライド保持デバイス、およびアクチュエータを含む。ローラユニットは、液体添加領域を含む湾曲部分を有する。アクチュエータは、スライド保持デバイスに結合される。アクチュエータは、スライド保持デバイスによって保持されたスライドを湾曲部分に沿って動かして、スライドと湾曲部分の間に変動する高さを有する毛細管間隙を画定するように構成される。
【0030】
ローラユニットは、第1の複数の個別の間隙要素と、第1の複数の個別の間隙要素から隔置された第2の複数の個別の間隙要素とを含む。液体添加領域の少なくとも一部分は、第1の複数の個別の間隙要素と第2の複数の個別の間隙要素の間に位置する。第1の複数の個別の間隙要素は、少なくとも0.0254mm(0.001インチ)の高さを有する少なくとも1つのくぼみを含むことができる。
【0031】
ローラユニットは、弧状のカバーと、カバーを受け取るための取付け領域を有するホルダとを含むことができる。湾曲部分は、弧状のカバーを含む。弧状のカバーは、柔軟性、半柔軟性、または剛性を有することができる。
【0032】
試料処理システムは、スライド把持器デバイスによって保持されたスライドの端部と湾曲部分の間で液体を送達するように位置決めされたポートを有する流体分注器をさらに含むことができる。ローラユニットは、毛細管間隙から液体を除去するように位置決めされた廃棄物ポートを含むことができる。アクチュエータは、スライド保持デバイスに結合することができ、したがってスライド保持デバイスは、毛細管作用を使用して毛細管間隙内の液体をローラユニットの廃棄物ポートの方へ動かすように、外部の湾曲部分に沿ってスライドを動かす。
【0033】
方法は、スライドをスライド保持デバイスに送達するステップを含むことができる。スライドおよびローラユニットの湾曲部分の少なくとも一方に、第1の液体が送達される。スライド把持器デバイスによって保持されたスライドをローラユニットの湾曲部分に沿って動かし、スライドとローラユニットの間の試料に第1の液体を添加する。スライドおよびローラユニットの湾曲部分の少なくとも一方に、第2の液体が添加される。スライド把持器デバイスによって、保持されたスライドをローラユニットの湾曲部分に沿って動かし、スライドとローラユニットの間の試料に第2の液体を添加する。
【0034】
この方法は、スライドを回転させることによって、第1の液体をローラユニットの廃棄物ポートの方へ動かすステップを含む。第1の液体は、スライドが廃棄物ポートに重なっている間に、廃棄物ポートを使用してスライドと湾曲部分の間の間隙から除去される。スライドは、スライド保持デバイスによって保持され、湾曲部分に沿って動かされる。ある実施形態では、スライドは、第1の複数の間隙要素、および第1の複数の間隙要素から隔置された第2の複数の間隙要素に沿って回転される。この方法は、スライドと湾曲部分の間から第1の液体を除去するステップと、ローラユニットのホルダから湾曲部分を取り外すステップとをさらに含むことができる。ローラユニットのホルダ上には、別の湾曲部分が配置される。
【0035】
いくつかの実施形態では、試験片を運ぶスライドを処理するステーションは、湾曲部分を有するプラテンアセンブリと、スライド保持デバイスとを含む。スライド保持デバイスは、プラテンアセンブリの湾曲部分に沿ってスライドを動かし、液体がプラテンアセンブリとスライドの間にあるときにスライド上の試料に液体を添加するように構成される。いくつかの実施形態では、このステーションは、スライド保持デバイスを有するスライド位置決めデバイスをさらに含むことができる。スライド位置決めデバイスは、湾曲部分に対してスライドを動かしてスライドと湾曲部分の間に高さが可変の間隙を画定する回転モードと、湾曲部分上にスライドを配置する非回転モードとを有する。
【0036】
さらに他の実施形態では、試料に液体を添加する装置は、スライド保持デバイスと、平坦な構成と湾曲した構成の間を動ける変形可能な添加器とを含むことができる。平坦な構成の変形可能な添加器は、スライド把持器デバイスによって保持されたスライドにまたがって延びるように構成される。湾曲した構成の変形可能な添加器は、スライド把持器デバイスによって保持されたスライドで高さが可変の毛細管間隙を画定するように構成される。変換デバイスは、平坦な構成と湾曲した構成の間で変形可能な添加器を動かすように構成され、変形可能な添加器には駆動機構が機械的に結合される。駆動機構は、スライド把持器デバイスによって保持されたスライドに沿って湾曲した構成の変形可能な添加器を動かすように動作可能なアクチュエータを含む。
【0037】
変形可能な添加器は、ホルダと、ホルダと噛合するように構成されたカバーとを含むことができる。カバーは、スライド把持器デバイスによって保持されたスライドに面するように位置決めされた複数の間隙要素を含む。変形可能な添加器は、開放位置と閉鎖位置の間を動くことができる。変形可能な添加器は、変形可能な添加器が閉鎖位置から開放位置の方へ動くと、スライド把持器デバイスから離れる。
【0038】
さらに他の実施形態では、顕微鏡スライド上の試料を処理するカバーは、試薬添加領域を含む非平面状の第1の表面と、非平面状の第1の表面に対向する第2の表面とを有する本体を含む。非平面状の第1の表面および第2の表面は、本体の厚さを画定する。特定の実施形態では、カバーは、第1の複数の間隙要素および第2の複数の間隙要素を含む。試薬添加領域は実質上、顕微鏡スライドが第1の複数の間隙要素および第2の複数の間隙要素にまたがって延びるとき、顕微鏡スライド上の試料が試薬添加領域に面するように、第1の複数の間隙要素と第2の複数の間隙要素の間に位置する。
【0039】
第1の複数の間隙要素は、本体の第1の長手方向の辺に沿って延びることができ、第2の複数の間隙要素は、本体の第2の長手方向の辺に沿って延びることができる。第2の長手方向の辺は、第1の長手方向の辺に対向する。本体の厚さは、第1の複数の間隙要素の少なくとも1つの高さより大きくすることができる。第1の複数の間隙要素は、互いから隔置されて線形に構成されたくぼみを含むことができる。第1の複数の間隙要素および第2の複数の間隙要素は、顕微鏡スライドが第1の複数の間隙要素の少なくとも1つおよび第2の複数の間隙要素の少なくとも1つに物理的に接触するときに顕微鏡スライドと本体の間に毛細管間隙を画定するように寸法設定することができる。本体は、約12.7cm(5インチ)〜約101.6cm(40インチ)の範囲内の曲率半径を有することができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、スライド処理ステーションは、基礎ユニットと、基礎ユニットによって受け取れるカバーとを含むことができる。カバーは、弧状の液体添加領域を含む。液体添加領域の外側に複数の個別の間隙要素を位置決めし、液体添加領域の長さに沿って互いから隔置することができる。複数の個別の間隙要素は、液体添加領域からスライドを隔置して、スライドと液体添加領域の間に液体を収容するための間隙を画定するように寸法設定することができる。
【0041】
スライド処理ステーションは、スライドとカバーの間で液体を送達して間隙を少なくとも部分的に充填するように位置決めされた出口ポートを含む流体分注器をさらに含むことができる。基礎ユニットは、廃棄物通路を含むことができる。カバーは、廃棄物通路と噛合してカバーおよび基礎ユニットを通る流体経路を画定する廃棄物ポートを含むことができる。一実施形態では、カバーは、第1の表面と、対向する第2の表面とを含む。第1の表面は液体添加領域を含み、廃棄物ポートは、第1の表面と第2の表面の間に延びる貫通孔である。一実施形態では、基礎ユニットは、スライド保持デバイスおよびアクチュエータを含む。スライド保持デバイスは、スライドを保持するように構成される。アクチュエータは、試料が間隙内に位置する間に液体添加領域の長さに沿ってスライド上の試料を動かすように、第1の位置と第2の位置の間を動くことができる。スライド処理ステーションは、カバー内の廃棄物ポートに流動的に結合された加圧デバイスをさらに含むことができる。加圧デバイスは、真空を印加して間隙から廃棄物ポートを介して液体を除去するようになされ、少なくとも1つのポンプを含むことができる。カバーは、高分子シートを含むことができる。基礎ユニットは、高分子シートを保持する真空チャックを含むことができる。
【0042】
さらなる実施形態では、試験片を処理する装置は、第1の構成と第2の構成の間を動ける駆動機構と、駆動機構に結合された複数の試薬添加ステーションと、スライドを運ぶように構成されたスライド位置決めデバイスとを含む。試薬添加ステーションの1つまたは複数は、非平面状の表面を含む。スライド位置決めデバイスは、駆動機構が第1の構成から第2の構成に動くとき、試薬受取り構成と試薬添加構成の間を動くことができる。
【0043】
試薬添加ステーションの少なくとも1つは、非平面状の表面およびスライド位置決めデバイスによって保持されたスライドの少なくとも1つの上へ試薬を分注するように位置決めされた出口ポートを有する分注ユニットを含む。スライド位置決めデバイスは、スライド位置決めデバイスによって保持されたスライドと非平面状の表面の間に高さが可変の毛細管間隙を画定するように位置決めすることができる。試薬添加ステーションの少なくとも1つは、回転モードおよび非回転モードを有する変換可能なデバイスを含む。非平面状の表面は、変換可能なデバイスが非回転モードであるとき、実質上平面の構成に動かすことができる。
【0044】
流体を混合する少なくともいくつかの実施形態は、スライド上へ第1の流体を分注するステップと、第1の流体を分注した後、スライド上へ第2の流体を分注するステップと、スライドに対向する基板を使用して第1の流体と第2の流体を混合し、混合流体を生じさせるステップとを含むことができる。第1の流体と第2の流体は、スライド上に送達されるとき、異なる温度とすることができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、自動式のスライド処理ステーションは、第1のプラテンアセンブリ、第2のプラテンアセンブリ、および駆動機構を備える。第1のプラテンアセンブリは、湾曲部分を有する。駆動機構は、第1のプラテンアセンブリを待機位置から処理位置に動かすように構成される。液体分注アセンブリが、液体を分注するように構成される。第2のプラテンアセンブリは、スライド位置決めデバイスを含む。スライド位置決めデバイスは、スライド保持デバイスを含む。スライド位置決めデバイスは、スライド保持デバイスによって保持されたスライドを第1のプラテンアセンブリ近傍に位置決めするように動作可能である。第1のプラテンアセンブリおよび第2のプラテンアセンブリは、第1のプラテンアセンブリの湾曲部分を、第2のプラテンアセンブリに保持されたスライドに対して長手方向または横方向に回転させて、スライドと湾曲部分の間に、スライド上の試料に液体を添加するのに十分な高さが変動する間隙を生じさせるように構成される。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1のプラテンアセンブリは、ホルダと、ホルダに着脱自在に結合されたカバーとを含む。カバーは、高さが変動する間隙内で液体に接触するために、試験片に面する比較的柔軟な表面を有する。ホルダは、比較的剛性である。たとえば、ホルダは、カバーより高い剛性を有することができる。カバーは、柔軟性プラスチックまたはエラストマから作ることができ、ホルダは、金属または硬質プラスチックから作ることができる。他の実施形態では、第1のプラテンアセンブリは、スライドより柔軟性の高い半柔軟性材料を含む試験片に面する表面を含む。たとえば、試験片に面する表面を形成する材料は、ガラスより高い柔軟性を有することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、方法は、試料を運ぶスライドを自動式のスライド処理ステーションのスライド位置決めデバイスに送達するステップを含む。スライドおよび自動式のスライド処理ステーションのローラユニットの湾曲部分の少なくとも一方に、液体が送達される。ローラユニットの湾曲部分を、スライド位置決めデバイスによって保持されたスライドに対して動かして(たとえば、回転)、スライド上の試料に液体を添加する。特定の実施形態では、液体は、スライドおよび湾曲部分によって画定された高さが変動する間隙内に位置する間に添加される。
【0048】
非限定的かつ非網羅的な実施形態について、以下の図面を参照して説明する。別段の指定がない限り、同じ参照番号は、様々な図面全体にわたって同じ部分または動作を指す。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】一実施形態による試料を処理する1対の基板の側面図である。
【図2】一実施形態による試料を処理する1対の基板の側面図である。
【図3】一実施形態による試料を処理する1対の基板の側面図である。
【図4】一実施形態による試料を処理する1対の基板の側面図である。
【図5】一実施形態による2つの試料を処理する1対の基板の側面図である。
【図6】一実施形態による2つの試料を処理する1対の基板の側面図である。
【図7】一実施形態によるスライド上で運ばれる試料に流体を添加することが可能なスライド処理装置の等角図である。
【図8】試験片を処理する図7のスライド処理装置の側面図である。
【図9】試験片を処理する図7のスライド処理装置の側面図である。
【図10】試験片を処理する図7のスライド処理装置の側面図である。
【図11】試験片を処理する図7のスライド処理装置の側面図である。
【図12】試験片を処理する図7のスライド処理装置の側面図である。
【図13】試験片を処理する図7のスライド処理装置の側面図である。
【図14】一実施形態による概ね垂直の向きに顕微鏡スライド上で運ばれる試験片を処理する準備ができたスライド処理装置の側面図である。
【図15】試験片に流体を添加する図14のスライド処理装置の側面図である。
【図16】顕微鏡スライド上で運ばれる試験片を処理する準備ができたスライド処理ステーションの等角図である。
【図17】図16のスライド処理ステーションの上面図である。
【図18】カバーがホルダから除去された状態を示す、図16のスライド処理ステーションの等角図である。
【図19】異なる流路構成を有するホルダの上面図である。
【図20】異なる流路構成を有するホルダの上面図である。
【図21】異なる流路構成を有するホルダの上面図である。
【図22】異なる流路構成を有するホルダの上面図である。
【図23】一実施形態によるカバーの等角図である。
【図24】図23のカバーの上面図である。
【図25】図23のカバーの側面図である。
【図26】間隙要素の詳細図である。
【図27】図17の線27−27に沿って切り取ったスライド処理ステーションの横断面図である。
【図28】スライドを動かして処理液体を攪拌するスライド処理ステーションの横断面図である。
【図29】廃棄物を除去するようにスライドが位置決めされた、スライド処理ステーションの横断面図である。
【図30】図29のスライド処理ステーションの一部分の詳細横断面図である。
【図31】スライド処理ステーションの円形のアレイを含む着色システムの等角図である。
【図32】一実施形態による自動式の処理システムを示す図である。
【図33】一実施形態による1対のプラテンアセンブリを有するスライド処理ステーションの等角図である。
【図34】線34−34に沿って切り取った図33のスライド処理ステーションの横断面図である。
【図35】傾斜した向きで顕微鏡スライドを保持してスライドの端部と下部プラテンアセンブリの間に間隙を形成するスライド処理ステーションの等角図である。
【図36】廃棄物を下部プラテンアセンブリの廃棄物ポートの方へ動かすように位置決めされたスライドの等角図である。
【図37】下部プラテンアセンブリの上で保持されたスライドの等角図である。
【図38】上昇位置にあるスライドと下部プラテンアセンブリの間に位置決めされた上部プラテンアセンブリの等角図である。
【図39】上部プラテンアセンブリ上で平坦に位置するスライドの等角図である。
【図40】スライドと上部プラテンアセンブリの間で流体の送達を可能にするように位置決めされたスライドの等角図である。
【図41】上部プラテンアセンブリ上に位置するスライドの等角図である。
【図42】廃棄物を廃棄物ポートの方へ動かすように位置決めされたスライドの等角図である。
【図43】上部プラテンアセンブリの上で保持されたスライドの等角図である。
【図44】スライドから離された上部プラテンアセンブリの等角図である。
【図45】図34のスライド処理ステーションの一部分の詳細横断面図である。
【図46】スライドラックとスライド処理ステーションの間で顕微鏡スライドを輸送するコンベアの等角図である。
【図47】顕微鏡スライドをスライド処理ステーション内へ装入する図46のコンベアの等角図である。
【図48】一実施形態によるスライド処理ステーションの等角図である。
【図49】図49は、スライド処理ステーション、および顕微鏡スライド上へ流体を分注する準備ができた流体分注器の側面図である。図49Aは、図49のスライド処理ステーションの一部分の詳細図である。
【図50】図49のスライド処理ステーションの側面横断面図である。
【図51】変換可能な機構、および変換可能な機構から隔置されたカバーの等角図である。
【図52】図51の変換可能な機構およびカバーの別の等角図である。
【図53】変形可能な添加器の正面図である。
【図54】湾曲した構成の変形可能な添加の側面図である。
【図55】開放位置にあるスライド処理ステーションの等角図である。
【図56】一実施形態によるスライドホルダの等角図である。
【図57】鞍状の対向部の等角図である。
【図58】図57の対向部の正面図である。
【図59】図57の対向部の側面図である。
【図60】線60−60に沿って切り取った図58の対向部の横断面図である。
【図61】一実施形態による対向部の長手方向の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、第1の基板80、第2の基板82、および第1の基板80と第2の基板82の間の物質86を示す。第1の基板80および第2の基板82は、処理液体などの物質86を管理するように互いに対して動かすことができる。物質86を管理することは、物質86を攪拌すること、第1の基板80の上部表面90に沿って物質86を分散させること、物質86を動かすこと、または他の方法で物質86を操作して上部表面90上の生物試料88を処理することを含むことができる。
【0051】
プロトコルは、高い処理コストおよび廃棄物管理を含む過度の体積の消費に伴う問題を最小化または回避するように最適化された液体体積を使用して実行することができる。いくつかの実施形態では、間隙91は、可変体積の処理を可能にするように第1の基板80および第2の基板82によって形成される変動する高さ、たとえば間隙の長さおよび/または幅に沿って変動する高さを有することができる。可変体積の処理では、最適化された体積の液体を処理に使用し、固定体積の処理(すなわち、各液体添加に一定の体積の液体のみを使用する処理)と比較すると、効率を増大させ、廃棄物の体積およびコストを低減させることができる。これらの低減は、消費される液体体積の低減に基づいて行うことができ、ならびに製造コスト、包装コスト、輸送コスト、顧客向けの仕事の流れの処理コスト(たとえば、入ってくる在庫ならびに出ていく廃棄物の管理のための処理コスト)、および流体管理の間接コストを含むより大きな液体体積の消費に関連する比較的高いコストを低減または回避することによって、システムコストの低減に基づいて行うことができる。過度の液体体積もまた、流体成分の過度の廃棄物体積または動作不良(たとえば、詰まり、漏れなど)を招くことがあり、機器の頻繁な再較正を必要とすることがある。基板80、82を使用して、試料88を効率的に処理しながら、液体体積がより大きいことに関連する問題の少なくとも一部を回避または制限することができる。
【0052】
間隙91は、基板80、82を動かさなくても、広い範囲の液体体積を収容することができる。いくつかの実施形態では、間隙91は、約10マイクロリットルより大きい液体体積を収容することができる。いくつかの実施形態では、間隙91は、約10マイクロリットル〜約200マイクロリットルの範囲内の液体体積を収容することができる。間隙91の高さプロファイルは、利用される液体の体積または特性に基づいて変動させることができる。大きな体積の液体で試料88を処理するために、間隙91の寸法を増大させて、過剰充填を回避することができる。いくつかの実施形態では、過剰充填は、分注される液体の体積が間隙91の体積(たとえば、第1の基板80と第2の基板82の間の体積)より大きいときに発生する。過剰充填は、特に基板80、82が直立した向きである場合、液体および/または流体の排水の落ち込みを含む、望ましくない状況を招く可能性がある。より小さいまたはより少ない液体体積が分注される場合、間隙91の寸法を低減させて、充填不足を回避することができる。充填不足は、液体86と試料88の間の不十分な接触および閉塞を招くことがある。図1は、間隙高さを低減させることによって、間隙高さプロファイルを変化させることによって、および/または間隙91に液体を追加することによって、液体86で充填できる間隙91の端部94a、94b(集合的に「94」)を示す。過剰充填なく相当な体積の液体を好都合に追加できると有利である。過剰充填および充填不足を防止することによって、異なるタイプの流体障害モード(たとえば、試薬性能の劣化)、試薬の無駄などを回避または制限することができる。
【0053】
処理プロトコルは、様々な処理基準(たとえば、化学的要件、摂取要件、溶解性制限、粘性など)を満たすために、異なる液体体積を必要とすることがある。試料88がパラフィン埋込み型の試験片である場合、比較的小さい体積の脱脂溶液(たとえば、12マイクロリットルのキシレン)を間隙91内に送達することができる。基板82を使用して、試料88に液体を添加する。たとえば、基板82を回転(たとえば、上部表面90から隔置された仮想平面に沿って回転、上部表面90に沿って回転、横方向へ回転、長手方向に回転など)させ、または他の方法で操作(たとえば、回転、平行移動、もしくは両方)して、液体86を添加することができる。基板82の試験片に面する表面92を使用して、試薬の体積を操作することができる。脱脂した後、比較的大量の試薬を間隙91内に送達することができる。たとえば、約80マイクロリットル〜約120マイクロリットルの体積の着色料を、間隙91内に送達することができる。着色料は、試料88に送達され、次いで除去される。したがって基板88、82は協働して、水洗い、着色、培養などのために異なる量の流体を保持することができる。
【0054】
図1の間隙91は、約5マイクロリットルの最小の保持容量(図1に実線で示す)および少なくとも約5マイクロリットル、50マイクロリットル、100マイクロリットル、または200マイクロリットルの最大の保持容量(図1に破線で示す)を有することができる。必要または所望に応じて、他の最小および最大の保持容量も可能である。最小の保持容量とは、間隙91内に収容して試料88に実質上添加できる液体の最も小さい体積である。最大の保持容量とは、過剰充填なく間隙91内に収容できる液体の最も大きい体積である。間隙91の狭くした領域は小さい液体体積を収容できるが、広くした間隙端部94は大きい液体体積を収容できるため、高さが変動する間隙91は、高さが均一の間隙より広い範囲の液体体積を収容することができる。広くした間隙端部94はまた、間隙91に液体を送達するのに好都合なアクセスを提供することができる。
【0055】
第2の基板82は、毛細管作用を介して液体86を動かすことができる。間隙91の高さが十分に小さいとき、間隙91は、液体の有無にかかわらず維持できる毛細管間隙である。水などの粘性が低い液体は、間隙91内で毛細管作用によって保持することができる。粘性が高い物質もまた、所望に応じて間隙91内で保持することができる。毛細管間隙91の一部分を毛細管間隙91の異なる部分より狭くして、毛細管作用をより大きくすることができる。液体86の薄膜は、間隙91の狭くした部分へ流れる傾向を有することができる。表面90、92上の任意の所与の位置における基板80と基板82の間の離隔距離は、時間とともに変動することができる。
【0056】
図1は、基板82全体が基板80から隔置されているところを示す。基板82が上部表面90に物理的に接触する場合、液体86は、接触界面に沿って流れる傾向を有することができる。基板82全体が基板80から隔置されているが、基板80、82は、液体86を実質上エンチャンバ(enchamber)することができる。
【0057】
一実施形態では、間隙要素は、基板82上に位置決めされた外方へ突出するくぼみとすることができる。間隙要素はまた、それだけに限定されるものではないが、1つまたは複数のポジショナ、レール、スペーサ、またはスペーサとして働くことが可能な他の構造上の特徴を含むことができる。いくつかの実施形態では、基板82は、上部表面90に接するように構成された1つまたは複数のレール(たとえば、まっすぐなレール、弧状のレールなど)を含む。さらに他の実施形態では、間隙要素は、基板80と基板82の間、または任意の他の適した位置に位置決めできる別個の構成要素とすることができる。間隙要素はまた、基板80と基板82の間の間隙を調整するために、寸法、位置、または向きを調整可能とすることができる。
【0058】
上部表面90全体で液体86を動かすために、液体86が図2に示す位置にくるまで、図1の基板82の第1の端部96を基板80の方へ動かすことができる。液体86はまた、図3に示すように、間隙91のうち第2の端部98によって形成された部分を狭くすることによって、基板82の対向する第2の端部98に動かすことができる。このようにして、端部96、98を交互に上下させて、たとえば毛細管作用または任意のタイプの自動力を介して液体86を動かすことができる。別法として、基板80を静止した基板82に対して動かして、液体86を同様に動かすこともできる。
【0059】
図4は、液体86が間隙91の相当な体積を充填するように、ほぼ均一の高さを有する間隙91を示す。間隙91の体積は、第1の基板80と第2の基板82の間の直接の体積である。図4の間隙91の保持容量の範囲は、図1の高さが変動する間隙91の保持容量の範囲より狭い。たとえば、図4の間隙91は、約0.008cmの公称間隙高さ、約2.5cmの幅、および約5cmの長さを有し、0.008cm×2.5cm×5cm=0.1cm=100マイクロリットルの体積の液体を実質上収容することができる。約1〜10マイクロリットルの過多または不足の結果、過剰充填または充填不足をもたらすことがある。図1の高さが変動する間隙91の最小の保持容量と最大の保持容量の差は、少なくとも約25マイクロリットル、50マイクロリットル、100マイクロリットル、もしくは150マイクロリットルとすることができ、またはそのような液体体積を包含する範囲である。
【0060】
湾曲した構成(図1参照)の基板82は、液体86の比較的大きい表面積を周囲環境に露出させる可能性がある。蒸発損失を低減させるために、基板82の曲率半径を増大させると、液体86の露出表面積を低減させることができる。図4の基板82は、相当な蒸発損失および/または試料損失を最小化または実質上解消するのに特によく適している。蒸発損失および試料損失を制御することによって、基板80、82を使用して、異なるタイプの培養手順、ならびに他の蒸発の少ない手順を実行することができる。
【0061】
本明細書では、「基板」という用語は広義の用語であり、それだけに限定されるものではないが、1つまたは複数の試料を運ぶことが可能なカバー、スライド、カバースリップ、材料片、板、メンブレン、膜(たとえば、被覆)、タイル、キャリアなどを含む。基板は、実質上剛性、半柔軟性、および/または柔軟性を有することができる。いくつかの実施形態では、基板80は顕微鏡スライドである。基板はまた、別の構成要素の一部とすることができる。たとえば、プラテンまたはホルダの外側表面が、基板を形成することができる。基板の寸法、特性(機械特性、化学特性、表面特性、および/または光学特性を含む)、ならびに構成は、実行される処理プロトコルおよび後の分析に基づいて選択することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、基板は、平坦または実質上平坦な基板とすることができる。「実質上平坦な基板」とは、それだけに限定されるものではないが、少なくとも1つの実質上平坦な表面を有する任意の物体を指すが、より一般的には、物体の両側に2つの実質上平坦な表面を有する任意の物体を指し、さらに一般的には、対向する実質上平坦な表面を有し、対向する表面の寸法は概ね等しいが、物体上のあらゆる他の表面より大きい、任意の物体を指す。実質上平坦な基板は、プラスチック、ゴム、セラミック、ガラス、シリコン、半導体材料、金属、これらの組合せなどを含めて、任意の適した材料を含むことができる。実質上平坦な基板の非限定的な例には、平坦なカバー、スライド(2.54cm(1インチ)×7.62cm(3インチ)の顕微鏡スライドと25mm×75mmの顕微鏡スライドの両方)、SELDIおよびMALDIチップ、シリコンウェーハ、または少なくとも1つの実質上平坦な表面を有する他の概ね平面の物体が含まれる。
【0063】
基板82は、広い範囲の構成をとり、または維持するために、半柔軟性、柔軟性、または剛性を有することができる。図1〜3は、簡単な弧の構成の基板82を示す。簡単な弧には、概ね均一の曲率を有する弧が含まれる。簡単な弧の曲率半径は、約1.27cm(0.5インチ)、2.54cm(1インチ)、12.7cm(5インチ)、50.8cm(20インチ)、63.5cm(25インチ)、76.2cm(30インチ)、88.9cm(35インチ)、101.6cm(40インチ)、114.3cm(45インチ)、またはそのような曲率半径を包含する範囲とすることができる。他の半径も可能である。いくつかの実施形態では、曲率半径は、約12.7cm(5インチ)〜約101.6cm(40インチ)の範囲内である。そのような基板は、必要であれば蒸発損失を実質上管理し、流体の動きを制御しながら、回転および/または揺動運動を使用して液体を添加するのによく適していることがある。他の実施形態では、基板82は、複雑な弧の構成または複合の弧の構成をとることができる。基板82が複雑な弧の構成である場合、基板82の少なくとも一部分は、変動する曲率を有することができる。基板82が複合の弧の構成である場合、基板82の一部分を簡単な弧とすることができ、基板82の別の部分を複雑な弧とすることができる。
【0064】
複数の関連する試験片を、単一の基板を使用して上部表面90上で処理することができる。これらの試験片は、同じ流体で同時に、または順次処理することができる。図5は、試料88a(破線で示す)を処理する液体86を示す。次いで液体86は、別の試料88bに動かされる。図6は、試料88b(破線で示す)を処理する液体86を示す。このようにして、液体86は、基板80に沿って任意の数の関連する試験片に動かすことができる。
【0065】
いくつかのプロトコルでは、関連する試験片88a、88bはどちらも、枯渇を回避するのに適した不揮発性の伝達流体または他の流体などの適当な溶液で水洗いすることができる。試験片88a、88bを安定化させた後、基板82は、試料88a近傍に間隙91の狭くした部分を形成することができる。試薬(たとえば、着色料)を間隙91に送達することができる。基板82を動かして、試験片88aと試験片88bの間で液体86の層を平行移動させることができる。試料88aを処理するために使用される液体86は、廃棄物ポート104(破線で示す)を介して除去することができる。廃棄物ポート106(破線で示す)を使用して、試料88bを処理するために使用される液体を除去することができる。このようにして、基板82を使用して、基板80の両端で試験片88a、88bを個別に処理することができ、基板80に沿って任意の他の適した位置にある任意の他の試験片も同様に処理することができる。
【0066】
図7は、位置決め機構99、基礎ユニット110、および廃棄物除去器130を含むスライド処理装置100を示す。基礎ユニット110は、顕微鏡スライド120によって運ばれる1つまたは複数の試験片に処理液体を添加するために使用される対向基板140を運ぶ。液体は、所望の長さの時間にわたって、さらには長期間にわたって、静的な状況で釣り合ったままである。基板140を使用して、処理液体を攪拌し、処理液体を分散させ、蒸発を制御し、または他の方法で処理液体を管理することができる。図示の基礎ユニット110は、基板140の裏面141に係合する。前面200(図8参照)は、試験片に面する表面である。処理流体の薄膜160は、生物試料187を処理することができる。
【0067】
位置決め機構99は、アクチュエータ194および枢動機構196を含む。枢動機構196は、基板140が回転する回転軸193を画定する。図8に示す位置から図9に示す位置へ基板140を回転させるために、アクチュエータ194は延びることができ、枢動機構196は回転することができる。
【0068】
処理液体160を試料187に効率的に添加して、処理液体(複数可)のコストを最小化または制限し、生じる廃液の量を最小化または制限することができる。基板140を操作(たとえば、平行移動、回転、振動、またはこれらの組合せ)して、液体160を動かすことができる。液体160を攪拌するために、基板140をスライド120に沿って回転させることができる。たとえば、湾曲した構成の基板140は、スライド120との物理的な接触によって回転することができる。他の実施形態では、基板140は、スライド120に沿って摺動することができる。
【0069】
液体160は、間隙170内で重力、毛細管力、および/または圧力変化(たとえば、真空などの減圧)などの異なる力のために、スライド120に沿って動かすことができる。図8の基板140は、たとえば試料187全体で前後に回転することによって、試料187全体で液体160を動かすのによく適している。基板140は、たとえば試料187を培養するために試料187全体に薄膜を形成するように、概ね平坦な構成をとることができる。
【0070】
スライド処理装置100は、異なる組織準備プロセスおよび取付けプロセスを実行することができる。組織準備プロセスは、それだけに限定されるものではないが、試験片を脱パラフィン化すること、試験片を調整すること(たとえば、細胞の調整)、試験片を着色すること、抗原回復を実行すること、免疫組織化学(IHC)によるラベル付けもしくは他の反応を実行すること、および/または原位置ハイブリッド化(ISH)によるラベル付けもしくは他の反応を実行すること、ならびに蛍光、顕微鏡検査、ミクロ分析、質量分析法、または他の分析法のために試験片を準備する他のプロセスを含むことができる。試験片がパラフィン内に埋め込まれた試料である場合、試料は、適当な脱パラフィン化流体(複数可)を使用して脱パラフィン化することができる。廃棄物除去器130が脱パラフィン化流体(複数可)を除去した後、任意の数の試薬を試験片に連続して添加することができる。次いでスライド120をカバースリップで覆い、ウェットマウントスライド、固定マウントスライドなどを作ることができる。
【0071】
細胞の調整は、架橋結合された抗原部位を、抗体および核酸プローブなどの大きい生体分子によってよりアクセスしやすいものにすることができる。スライド処理装置100は、細胞調整プロトコルを実行することができる。試料に熱を印加することは、細胞調整の1つの方法であり、したがって試料187に熱を供給することができる。熱は、直接印加(伝導)、間接的伝導(顕微鏡スライドを介する)、対流(加熱された空気を試料上へ誘導する)、または放射(赤外線もしくはマイクロ波)によって印加することができる。処理装置100は、任意の数の加熱用の熱要素を有することができる。細胞調整は通常、水溶液中で摂氏75〜100度から組織試料を培養し、十分な抗原性が得られるまである期間にわたって、通常30〜90分間にわたってその組織試料を保持することによって実行される。
【0072】
試料は、着色料、プローブ、他の試薬、洗滌水、および/または薬剤などの広い範囲の物質で処理することができる。これらの物質は、流体(たとえば、気体、液体、または気体/液体混合物)などとすることができる。これらの流体は、溶剤(たとえば、極性溶剤、非極性溶剤など)、溶液(たとえば、水溶液または他のタイプの溶液)などとすることができる。試薬には、それだけに限定されるものではないが、着色料、湿潤剤、抗体(たとえば、単クローン抗体、多クローン抗体など)、抗原回復流体(たとえば、水性または非水性の抗原回復溶液、抗原回復緩衝剤など)などが含まれる。着色料には、それだけに限定されるものではないが、染料、ヘマトキシリン着色料、エオシン着色料、ハプテン、酵素、もしくは蛍光成分などの検出可能なラベルを有する抗体もしくは核酸の共役体、または色を与え、かつ/もしくはコントラストを高めるための他のタイプの物質が含まれる。いくつかの実施形態では、試薬の形の処理液体が試料に添加される。処理中に消費される液体の体積を低減させるために、濃縮された液体を利用することができる。たとえば、濃縮された試薬を、大きい表面積で試料全体に均一に添加して、処理コストおよび廃棄物を低減させることができる。薄い試薬膜を試料に接触させたまま保って、試料による均一の試薬摂取を確実に高め、また確実に高めるのを助けることができる。過度の体積の試薬は、制御された形で除去できると好都合である。
【0073】
スライド120は、光学機器、たとえば顕微鏡または他の光学デバイスなどの機器を使用する試験のために試験片を運ぶことが可能な概ね平坦な透明の基板である。たとえば、スライド120は、試験片を支持するために前面210を有する概ね方形の透明材料片とすることができる。いくつかの実施形態では、スライド120は、約7.62cm(3インチ)(75mm)の長さおよび約2.54cm(1インチ)(25mm)の幅を有し、特定の実施形態では、バーコードなどのラベルを含むことができる。いくつかの実施形態では、スライド120は、約75mmの長さ、約25mmの幅、および約1mmの厚さを有する。スライド120は、ガラスまたは他の透明材料から作られた標準的な顕微鏡スライドの形とすることができる。スライド120は、特定の試験片の処理のために送達される液体(複数可)のタイプ、順序、およびタイミングを指定するコード化された命令とともに、機械可読コード(1次元もしくは多次元のバーコードもしくはインフォグリフ(infoglyph)、RFIDタグ、ブラッグ回折格子、磁気ストライプ、またはナノバーコードなど)を含むことができる。
【0074】
図8を参照すると、基礎ユニット110の作動アセンブリ180は、基板140を動かすように選択的に伸縮できるアクチュエータ182a〜e(集合的に「182」)を含む。作動アセンブリ180は、それだけに限定されるものではないが、1つまたは複数の駆動装置(たとえば、線形駆動装置、往復駆動装置など)、モータ(たとえば、ステッパモータ、駆動モータなど)、ソレノイド、ピストンアセンブリ、歯車列、これらの組合せ、または基板140を動かすことが可能な他の電子式、機械式、油圧式、もしくは空気圧式の構成要素を含むことができる。作動アセンブリ180は、アクチュエータ182および基板140を有するプラテンアセンブリの形とすることができる。そのような実施形態では、アクチュエータ182は、基板140を解放可能に保持する結合器を含むことができる。結合器は、吸引デバイス、機械的な結合器、または基板140とアクチュエータ182の間の相対的な動きを可能にする他のタイプの結合器の形とすることができる。図示の結合器は、ピンおよびブラケット構成の形である。他の実施形態では、アクチュエータ182は、基板140に永久的に接続される。
【0075】
基板140は、試料187の大部分または実質上全体に重なる。スライド120が標準的な顕微鏡スライドである場合、基板140は、約1.27cm(0.5インチ)(13mm)〜約7.62cm(3インチ)(76mm)の範囲内の長さ、約1.27cm(0.5インチ)(13mm)〜約2.54cm(1インチ)(25.5mm)の範囲内の幅、および約0.0508cm(0.02インチ)(0.5mm)〜約0.2032cm(0.08インチ)(2mm)の範囲内の厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、基板140は、約50mmの長さ、約24mmの幅、および約0.2mmの厚さを有する標準的なカバースリップである。必要または所望に応じて、他の寸法も可能である。基板140は、概ね多角形の形状(たとえば、正方形もしくは方形)、長円形の形状、または円形の形状を有することができる。基板140の形状は、スライド120の形状および寸法、ならびに試料187および/またはホルダの形状および寸法に基づいて選択することができる。基板140内には、加熱/冷却のための1つまたは複数の熱要素を組み込むことができる。そのような実施形態は、IHC処理、ISH処理などを実行するのによく適している。たとえば、熱要素は、基板140内に埋め込み、または基板140に結合し、アクチュエータアセンブリ180の電源に接続することができる。加熱/冷却はまた、処理チャンバを介して実現することもできる。たとえば、スライド処理装置100は、温度制御式の処理チャンバ内に位置決めすることができる。処理チャンバは、加熱/冷却要素、流体、真空ライン、加圧ライン、バルブ機構、これらの組合せなどを含むことができる。もちろん、スライド処理装置100を従来の計器、診断機器などに組み込むこともできる。
【0076】
基板140の下部表面200に沿って、複数の間隙要素183a〜i(集合的に「183」)が位置決めされる。間隙要素183は、毛細管間隙を維持するように、表面200をスライド120から隔置して保つことができる。間隙要素183の高さは、試料187の厚さに等しく、または試料187の厚さより大きくすることができる。基板140がスライド120に押し付けられた場合、間隙要素183は試料187を取り囲み、薄膜を維持するのに適した間隙を維持することができる。特定の実施形態では、間隙要素183は、試料187の圧縮を制限する働きをすることができる。間隙要素183は、試料187を損傷なく圧縮できるように、試料187の厚さにほぼ等しく、または試料187の厚さよりわずかに小さい高さを有することができる。
【0077】
基板140は、全体的または部分的に、1つまたは複数の高分子、プラスチック、複合物、ガラス、これらの組合せ、または概ね剛性、半剛性、および/もしくは柔軟性を有することができる他の適した材料から作ることができる。たとえば、基板140は、剛性のガラス板とすることができる。基板140が可撓性である場合、基板140は、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ゴム、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、またはこれらの組合せなどの1つまたは複数の高分子から作ることができる。基板140の組成は、それだけに限定されるものではないが、表面エネルギー、可撓性、湿潤性、化学的適合性、接着特性などを含む所望の特性に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、スライド120および基板140は、液体160を十分に収容するように、疎水性材料から作ることができる。
【0078】
廃棄物除去器130は、加圧デバイス220と、加圧デバイス220から延びる受取りライン230とを含む。加圧デバイス220は、液体160を受取りライン230内へ引き込むことができる。加圧デバイス220は、それだけに限定されるものではないが、1つまたは複数のポンプ、真空デバイス、あるいは流体の加圧もしくは真空の引込みまたはその両方が可能な他のタイプのデバイスを含むことができる。加圧デバイス220はまた、1つもしくは複数の廃棄物貯蔵槽を含むことができ、および/または別個の廃棄物貯蔵槽に接続することができる。廃棄物は、後の処分まで貯蔵するために、廃棄物貯蔵槽(複数可)に送達することができる。いくつかの実施形態では、加圧デバイス220内に処分システムが組み込まれる。他の実施形態では、廃棄物除去器130によって受け取った廃棄物が、補助処分システムへ経路指定される。廃棄物は、操作者または技術者、ならびに他のスライド処理機器を廃棄物に露出させることなく処分できると好都合である。
【0079】
受取りライン230は、それだけに限定されるものではないが、1つまたは複数の導管、パイプ、または流体が中を流れることができる他の構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、ライン230は、単腔の導管である。廃棄物除去器130がスライド120上に流体を送達する場合、ライン230を多腔の導管とすることができる。1つの内腔を通って、液体をスライド120に送達することができ、別の内腔を通って、廃棄物をスライド120から引き抜くことができる。ライン230の入口185は、液体が中を流れることができる1つまたは複数の開口または他のタイプの特徴を含むことができる。
【0080】
処理装置100は、異なる動作モードを有することができる。いくつかの実施形態では、装置100は、静的モードおよび動的モードを有する。動的モードでは、基板140を動かして液体160を攪拌することができる。たとえば、回転運動によって、試料187に沿って概ね均一に液体で覆うことができる。基板140は、試料187全体で任意の回数だけ前後に回転させることができる。液体160が比較的低い粘性を有する場合、基板140を比較的高速で動かすことができる。液体160が比較的高い粘性を有する場合、基板140を比較的低速で動かすことができる。基板140の速度を増大または低減させて、液体160の攪拌を増大または低減させることができる。攪拌は、流体摂取率、液体160中の成分の沈殿、成分の混合、これらの組合せなどに影響を与えることができる。処理装置100を使用してスライド上の混合を実行し、順次または同時に分注された流体を混合することもできる。たとえば、流体160の第1のアリコートは、スライド120上へ分注することができる。別の流体のアリコートは、基板140上へ分注し、流体160を使用して混合することができる。任意の数の流体を分注して、広い範囲の混合物を生じさせることができる。いくつかの動作モードでは、基板140を使用して流体160を攪拌することができる。流体160を攪拌した後、スライド120と基板140の間に別の流体を分注することができる。次いで基板140は、両方の流体を攪拌して、混合物を生じさせる。別法として、スライドから離れて試薬を混合し、事前に混合された状態でスライド上へ分注することもできる。
【0081】
静的モードでは、基板140を使用して、液体160の動きを最小化、制限、または実質上防止することができる。基板140は、過度の蒸発損失を回避するために、スライド120に対して静止した状態で保持することができ、また概ね平坦な構成、または比較的大きい曲率半径を有する構成をとることができる。装置100は、相当な長さの時間を必要としうる培養または他のプロセスを実行するために静的モードとすることができる。
【0082】
約100μlを超える大きい流体体積および約100μl未満の流体体積などの小さい流体体積を含む広い範囲の異なる体積の液体160を使用して、動的な処理および静的な処理を提供できると有利である。必要または所望に応じて、他の流体体積も可能である。
【0083】
図10を参照すると、基板140は平坦な構成であり、静的な処理に使用することができる。静的な処理は、それだけに限定されるものではないが、培養、熱処理、または最小の量の液体の動きを伴う他のタイプのプロセスを含むことができる。
【0084】
プロトコルは、基板140を使用して厚い層、薄膜、メニスカス層などを形成することを含むことができる。厚い液体層を形成するには、図8に示すように、基板140をスライド120および試料187から分離することができる。そのような実施形態は、ゲルなどの粘性の高い物質を使用して試料187を処理するのによく適している。ゲルが誤って流れ去った場合、間隙要素183は、望ましくない圧縮および関連する損傷から試料187を保護することができる。薄膜を形成するには、間隙要素183をスライド120へ押し付けることができる。基板140が湾曲した構成である場合、メニスカス層を形成することができる。
【0085】
図10〜13は、試料を処理する1つの方法を示す。液体160は、間隙170の対向する領域249が広くなるにつれて、毛細管作用を介して間隙170の領域247の方へ動かすことができる。図11は、液体160が基板140の領域247に位置するところを示す。領域247を広くし、領域249を狭くすることによって、この液体160を試料187に再添加することができる。領域249が狭くなるにつれて、液体160は端部142に蓄積する。図12は、液体160が狭くした領域249に蓄積されたところを示す。次いで廃棄物除去器130は、液体160を吸引することができる。
【0086】
液体160をさらに蓄積するために、および/または毛細管力を低減させるために、基板140の端部142をスライド120から離すことができる。図12の傾斜した下部表面200を回転させてスライド120から離すにつれて、液体160は入口185の開口215に近づけられる。基板140をスライド120に対して概ね平行の向きに動かして、液体160を廃棄物除去器130に可能な限り近づけることができる。次いで廃棄物除去器130は、間隙170から液体160を引き込むことができる。
【0087】
図10〜13の方法を用いて、基板140および/またはスライド120の隅部、側面、および/または端部を含む広い範囲の位置に液体を蓄積することができる。廃棄物除去器130の位置は、廃棄物蓄積の所望の位置に基づいて選択することができる。
【0088】
処理装置100は、概ね垂直の向き、水平の向き、傾斜した向きなどを含む異なる向きでスライドを処理することができる。図14および15は、スライド120に沿って流動性の物質213の動きを促進するように概ね垂直の向きのスライド120を示す。図14の基板140の端部142は、スライド120から離れて延び、拡大された間隙209を形成する。分注器アセンブリ208は、比較的大きい間隙209を通って物質213を出力することができ、したがって物質213は、毛細管間隙214の狭くした領域212で集まり始める。分注器アセンブリ208は、事前に混合された試薬を含む物質213を分注するピペットとすることができる。分注される物質213の体積は、約75マイクロリットル〜約500マイクロリットルとすることができる。重力が物質213を下方へ動かすのを助けるのに対して、基板140を前後に回転させて物質213を動かすことができ、それによって、狭くした領域212を充填する。
【0089】
図15は、間隙214が物質213で充填されたところを示す。基板140の下端部192をスライド120の方へ動かして、物質213をさらに分散させることができる。スライド120と基板140はともに、反時計回り(図14に矢印220で示す)または時計回り(矢印224で示す)に回転させることができる。培養プロセスを実行するために、スライド120を概ね水平の向きに動かすことができ、基板140は実質上平坦な構成をとることができる。別の流体で試料187を処理するために、スライド120を傾斜した向きまたは垂直の向きに動かすこともできる。スライド120の向きは、免疫組織化学プロセス(たとえば、脱パラフィン化、抗原回復、および検出(細胞調整))などの実行すべき処理に基づいて選択することができる。米国特許第6,544,798号に記載の水プロセスを使用する脱パラフィン化(熱を使用する水の脱パラフィン化)の場合、熱を供給して、生物試料187を浸す物質213(たとえば、水溶液)をパラフィンの融点を上回るまで加熱することができ、または基板140に内蔵された加熱器で試料187を直接加熱することができる。同特許を、参照により本明細書に組み込む。熱は、試料187をパラフィンの融点を上回るまで加熱して不混和性の水性相内にパラフィンを解放するのに十分な熱とすることができ、次いでパラフィンが除去される。1つまたは複数の加熱器211を作動して、基板140を加熱することができる。追加または別法として、加熱器217がスライド120の裏面に接触して加熱することができる。スライド120は、パラフィンおよび/またはキシレンもしくはリモネンなどの任意の溶剤の除去を促進するように、傾斜した向きとすることができる。いくつかのプロトコルでは、捕獲される流体の体積は、約15マイクロリットル〜約25マイクロリットルの範囲内で保たれる。特定のプロトコルでは、流体の体積は約15マイクロリットルである。処理中に任意の回数、ある体積の試薬、試薬緩衝剤、または水をピペットでスライド120上へ移し、流体体積を回復することができる。
【0090】
処理装置100は、スライド上の混合を実行することができる。第1の試薬を分注することができる。基板140を回転させて、スライド120と基板140の間の試薬を取り込む。次いで基板140は、流体の捕獲を維持しながら、ピペット分注のためのアクセスを可能にするように位置決めされる。別の試薬が分注される。次いで基板140を長手方向、横方向、またはその両方に回転させて、連続した回転周期で試薬を混合する。必要または所望に応じて、培養を実行することができる。
【0091】
図16および17は、ローラユニット310およびスライド位置決めデバイス316を含むスライド処理ステーション300を示す。スライド位置決めデバイス316は、顕微鏡スライド340を保持するスライド保持デバイス330と、スライド保持デバイス330(把持器デバイスを示すが、たとえば、空胴内でのスライドの少なくとも一部分の摩擦嵌合、またはクランプもしくはクリップなど、他のスライド保持の実施形態が、当業者には明らかであろう)を作動させるアクチュエータ320とを含む。スライド340は、片持ち梁式にスライド保持デバイス330から延び、ローラユニット310上に位置する。アクチュエータ320は、ローラユニット310に機械的に結合され、スライド保持デバイス330を運ぶ。スライド340および基板350(カバーの形で示す)は、スライド340の底部表面上で試験片(図17に破線260で示す)を処理することができる。スライド340は、回転運動でカバー350に沿って動き、液体を攪拌することができる。
【0092】
図18のプラテンアセンブリ361は、カバー350および基礎360を含む。基礎360は流路網370を含み、流路網370を通って真空を印加し、カバー350を基礎360の面359に接したまま保持することができる。カバー350が基礎360に重なるとき、カバー350の廃棄物ポート374は、基礎360の廃棄物通路の入口380と位置合わせされる。
【0093】
流路網370は、基礎360の周辺部に沿って延びる外側流路394を含む。外側流路394の対向する部分397、398間には、内部流路396が延びる。外側流路394は、カバー350の外周部を面359に接したまま保持することができ、内部流路396は、カバー350の中心領域を面359に接したまま保持することができる。他の流路構成も可能である。
【0094】
流路のパターン、数、寸法(たとえば、幅、深さなど)、および構成(たとえば、U字状、V字状など)は、カバー350と基礎360の間の所望の相互作用に基づいて選択することができる。図19は、外側流路400と、流路400の長手方向の辺404、406間に延びる横方向の内側流路402とを示す。内側流路402は、廃棄物ポート409と外側流路400の底部部分407の間の概ね中間に位置する。貫通孔408が、外側流路400を流体ラインに接続することができ、したがって貫通孔408を介して真空を印加することができる。図20は、単一の連続する外側流路412を示す。図21は、外側流路416と、外側流路416に流れ抑制部418を接続する流路420とを含む流路網を示す。貫通孔422を介して印加される真空で、カバーを面423に接したまま保持しながら、流れ抑制部418を吸引することができる。図22は、外側流路430および内側流路432を含む流路網429を有する基礎442を示す。内側流路432は、基礎442の本体440に沿って長手方向に延びる。内側流路432の端部446は、流れ抑制部448内に集められた流体が流路網429に入るのを防止するために、流れ抑制部448から隔置される。内側流路432は、カバーの中心領域を本体440に固定して接したまま保持するのに特によく適している。
【0095】
追加または別法として、基礎は、カバー350を選択的に保持および解放することが可能な1つまたは複数のクランプ、接着層、機械的な留め具などを含むことができる。いくつかの実施形態では、図16〜18の基礎360は静電チャックである。さらに他の実施形態では、基礎360は、1つまたは複数の受取り部(たとえば、孔、スロットなど)を含むことができる。カバー350は、これらの受取り部によって受け取られる突起または他の特徴を有することができる。
【0096】
図23〜25を参照すると、カバー350は、第1の列の間隙要素450および第2の列の間隙要素452を含む。2列の要素450、452間には、領域453が位置する。縁部454、456は、所望の液体添加領域453(たとえば、カバー350の上部表面全体、カバー350の上部表面の大部分、要素450と要素452の間の領域など)を提供するように、スライドに対して寸法設定することができる。特定の実施形態では、カバー350の上部表面の実質上全体が、試験片に印加される流体に接触する。したがって、カバー350とスライドの間の空間の大部分を液体で充填することができる。いくつかの実施形態では、試験片は、これらの列の要素450、452間に位置決めすることができる。分注される液体は、要素450、452を越えて、カバー350の縁部454、456の方へ流れることができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、間隙要素450、452は、所望の量の流体(たとえば、最小の量の流体)で試験片を処理するのを助けることができる。間隙要素450、452はまた、隣接する要素間の吸上げを防止、制限、または実質上防止するために、互いから隔置することができる。液体が間隙要素450、452の一方に到達した場合、液体は、その間隙要素とスライド340の間の接触界面に留まることができ、隣接する間隙要素へは流れない。間隙要素450、452は、液体を液体添加領域453近傍で保つために、カバー350の縁部454、456から隔置される。さらに、液体は、別の物体が縁部454、456に接触した場合でもスライドの下からの吸上げを防止するのに十分なほど、縁部454、456から離して保たれる。
【0098】
間隙要素450、452の列は、カバー350の長さに沿って長手方向に延びる。各列450、452の対向する間隙要素は概ね横方向に位置合わせされ、したがってスライド340(図16参照)は、横方向に位置合わせされた要素450、452に接触することができる。スライド340がカバー350に沿って動かされるにつれて、スライド340は、横方向に位置合わせされた間隙要素450、452と連続して接触する。列450、452はそれぞれ、互いに概ね類似させることができる。したがって、列450、452の一方についての説明は、別段の指示がない限り、他方にも等しく適用される。
【0099】
列450は、約5個の間隙要素〜約60個の間隙要素を含むことができ、隣接する間隙要素間の平均距離は、約0.127cm(0.05インチ)(1.27mm)〜約1.524cm(0.6インチ)(15.24mm)の範囲内である。図23および24の図示の実施形態を含むいくつかの実施形態では、列450は、試験片に面する表面として示す表面460から外方へ突出する19個の間隙要素を含む。他の実施形態では、列450は、約10個の間隙要素〜約40個の間隙要素を含む。上から見ると(図24参照)、列450は、概ね線形の構成を有する。他の実施形態では、列450は、ジグザグ形の構成、蛇行した構成、または任意の他の構成もしくはパターンを有する。
【0100】
間隙要素450は、互いから均一または不均一に隔置することができ、ほぼまっすぐな列を形成することができ、または互い違いに配置することができる。隣接する間隙要素450間の距離は、間隙要素の高さより大きくすることができ、および/またはカバー350の本体459の厚さt(図26参照)より小さくすることができる。必要または所望に応じて、他の間隔も可能である。カバー350の幅Wは、約1.524cm(0.6インチ)(15.24mm)〜約3.81cm(1.5インチ)(38mm)の範囲内とすることができる。他の幅も可能である。いくつかの実施形態では、幅Wは、スライド340の幅に等しく、またはスライド340の幅より大きい。流体がスライド340を越えて外方へ流れた場合、流体はカバー350上に留まることができる。
【0101】
図24を参照すると、列450と列452の間の距離Dは、試験片の寸法およびスライド340の寸法に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、距離Dは、約0.635cm(0.25インチ)(6.35mm)〜約2.54cm(1インチ)(25mm)の範囲内である。スライド340が標準的な顕微鏡スライドである場合、距離Dは、約1.27cm(0.5インチ)(12.7mm)未満とすることができる。
【0102】
図26は、間隙要素450の1つを示す。間隙要素450の高さHは、処理される試験片の厚さに基づいて選択することができる。間隙要素450は、試験片が組織切片であり、厚さが約0.0381cm(0.015インチ)(0.38mm)未満である場合、約0.0381cm(0.015インチ)(0.38mm)以下の高さHを有することができる。いくつかの実施形態では、高さHは、約0.00254cm(0.001インチ)(0.025mm)〜約0.0127cm(0.005インチ)(0.127mm)の範囲内である。特定の実施形態では、高さHは、厚さ約30ミクロン、20ミクロン、または10ミクロン未満の薄い組織切片を処理するために、約0.00762cm(0.003インチ)(0.076mm)である。間隙要素450の高さHと本体459の曲率半径Rの比は、約0.0001より大きくすることができる。たとえば、高さHと曲率半径Rの比は、約0.0001〜約0.0075の範囲内とすることができる。
【0103】
間隙要素のパターン、数、寸法、および構成は、試験片と液体の間の所望の相互作用に基づいて選択することができる。カバー350が間隙要素の領域を含む場合、これらの間隙要素をカバー350全体で均一または不均一に分散させて、異なるパターンを形成することができる。異なるパターンには、それだけに限定されるものではないが、1つまたは複数の列、アレイ、幾何学的な形状などを含むことができる。
【0104】
間隙要素450は、部分的に螺旋形のくぼみ、部分的に長円形のくぼみなどとすることができる。図示の要素450は、スライド340に損傷(たとえば、擦傷または引っ掻き)を与えることなくスライド340に摺動可能に接触するのに特によく適している実質上部分的に螺旋形のくぼみである。試験片が十分に大きい場合、または顕微鏡スライド340の片側へ動く場合、試験片は、試験片を損傷したり、スライド340に対して試験片を移動させたりすることなく、螺旋形のくぼみ450の上を摺動することができる。他の実施形態では、間隙要素450は、多面体の突起、円錐形の突起、切頭円錐形の突起、または多角形と弧状の形状の別の組合せの形とすることができる。
【0105】
図25の本体459は簡単な弧の形であり、曲率半径Rは、約5.08cm(2インチ)(5cm)〜約76.2cm(30インチ)(76cm)の範囲内である。いくつかの実施形態では、曲率半径Rは、約38.1cm(15インチ)(38cm)または約50.8cm(20インチ)(51cm)である。そのような実施形態は、スライド上で試薬を混合するのによく適している。曲率半径Rは、処理される試験片の数、流体攪拌の量、処理液体の特性、間隙要素450、452の高さなどに基づいて選択することができる。他の実施形態では、カバー350は、複雑な弧(たとえば、長円形の弧)、複合の弧などの形である。さらに他の実施形態では、カバー350は、実質上平面とすることができる。
【0106】
カバー350は、全体的または部分的に、高分子、プラスチック、エラストマ、複合物、セラミック、ガラス、または金属、ならびに処理流体および試験片と化学的に適合している任意の他の材料から作ることができる。例示的なプラスチックには、それだけに限定されるものではないが、ポリエチレン(たとえば、高密度ポリエチレン、直鎖状の低密度ポリエチレン、混合物など)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、またはこれらの組合せが含まれる。カバー350が使い捨てである場合、カバー350は、全体的または部分的に、比較的安価な材料から作ることができる。カバー350が剛性のである場合、カバー350は、全体的または部分的に、ポリカーボネート、ウレタン、ポリエステル、金属被覆板などから作ることができる。カバー350は、カバー350を保持するために使用される1つまたは複数のピン、くぎ、突起、受取り部、または他の特徴を有することができる。
【0107】
カバー350は、射出成型プロセス、圧縮成型プロセス、押出しプロセス、機械加工プロセス、またはこれらの組合せによって形成することができる。たとえば、射出成型プロセスを使用して、本体459および間隙要素450、452を製作することができる。次いで本体440内に、廃棄物ポート374を機械加工することができる。他の実施形態では、カバー350は、単層のメンブレン、多重メンブレン、膜、または被覆とすることができる。下にある構成要素が、1つまたは複数の間隙要素を有することができ、これらの間隙要素に対してカバー350は共形となり、対応する間隙要素(たとえば、膨らみ、突起など)を形成することができる。たとえば、図18の基礎360の面359上に、間隙要素を位置決めすることができる。カバー350が基礎360に重なるとき、カバー350は、間隙要素に対して共形となることができる。したがって、カバー350は、間隙要素を許容することができる。
【0108】
カバー350が膜の形である場合、この膜は接着層を含むことができる。接着層は、それだけに限定されるものではないが、1つまたは複数の感圧接着剤、接着ゲル、結合剤などを含むことができる。いくつかの実施形態では、この膜は、回転部から分注されるシートである。各スライドは、キャリーオーバ汚染を防止するために、シートの異なる部分で処理することができる。他の実施形態では、接着層を有する個々のシートが、プラテンアセンブリに塗布される。いくつかの非接着性の実施形態では、シートは、真空を介してプラテンアセンブリに接したまま保持される。他の実施形態では、シートは、接着層と真空の印加の両方によって、プラテンアセンブリに接したまま固定して保持される。
【0109】
カバー350はまた、被覆の形とすることができる。被覆は、被覆が硬化性材料、熱可塑性材料、熱硬化性材料、これらの組合せなどを含むかどうかに応じて、ローラ、噴霧器、ブラシ、または任意の他の適した塗布器を介して塗布することができる。いくつかの実施形態では、表面(たとえば、プラテンアセンブリの表面)に液体が塗布され、後に硬化される。被覆の上部表面は、添加領域を画定することができる。プラテンアセンブリが間隙要素を含む場合、被覆は、間隙要素の上に形成することができる。
【0110】
図16を再び参照すると、把持器デバイスの形のスライド保持デバイス330は、スライド340を把持するばねクリップ500を含む。ばねクリップ500は、スライド340を受け取るための開放または受取り位置と、スライド340を把持するための把持位置との間を動くことができる。スライド340がクリップ500のアーム502とアーム504の間に挿入されると、アーム502、504は、縁部472、474を固定して把持することができる。処理した後、スライド340は、スライド340を損傷することなく、および/またはスライド340がカバースリップで覆われている場合はカバースリップを妨害することなく、クリップ500から引き出すことができる。追加または別法として、スライド保持デバイス330は、スライド340を選択的に保持する1つまたは複数のクランプ、スロット、または他の構成要素もしくは特徴を有することができる。
【0111】
図16および17のアクチュエータ320は、ローラユニット310およびスライド保持デバイス330に回転可能に結合された細長い部材510、512を含む。細長い部材510、512は、リンクまたは他のタイプのコネクタとすることができる。スライド340をカバー350に沿って動かすために、蓄積器アーム580を回転させてスライド保持デバイス330を上方へ押し、細長い部材510、512を回転軸520の周りで回転させて、カバー350に実質上1点で接するようにスライド340を保つ。
【0112】
処理ステーション300はまた、処理流体を出力する分注器アセンブリ540を含むことができる。分注器アセンブリ540は、それぞれ流体を分注することが可能な1対のユニット544、546を含む。ユニット544、546それぞれの出口ポート554、556は、スライド340の端部558とカバー350の間の間隙に向けることができる。図示の出口ポート554、556は、物質が中を流れることができる導管の形である。
【0113】
ユニット544、546は、それだけに限定されるものではないが、1つまたは複数の流体源、ポンプ、フィルタ、バルブ、またはこれらの組合せ、ならびに他の流体構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、ユニット544、546は、遠隔の流体源から流体を受け取り、これらの流体を分注することができる。他の実施形態では、ユニット544、546は、流体貯蔵槽などの流体源を収容することができる。これらの流体源は、空になると再充填または交換できると好都合である。
【0114】
ユニット544、546は、流体の温度を制御することができる。図16の図示のユニット546は、流体を加熱または冷却することが可能な熱要素547(破線で示す)を含む。熱要素547は、1つまたは複数の加熱器(たとえば、抵抗性加熱器)および/または冷却デバイス(たとえば、ペルチェデバイス)を含むことができる。追加または別法として、ユニット544、546は、試薬を混合することが可能な1つまたは複数の混合デバイスを含むことができる。いくつかのプロトコルでは、2つ以上の試薬がユニット544に別々に送達される。ユニット544は、分注する前に2つ以上の試薬を混合することができる。他のプロトコルでは、事前に混合された試薬がユニット544、546に送達される。
【0115】
分注器アセンブリ540はまた、試薬(たとえば、事前に混合された試薬、水、緩衝剤など)を運ぶことが可能な1つまたは複数の流体分注器、ピペットなどの形とすることができる。分注器アセンブリ540がピペットを含む場合、ピペットを動かして、物質を順次送達することができる。ある体積の流体(たとえば、75マイクロリットルの物質、100マイクロリットルの物質、500マイクロリットルの物質)が、ピペットでカバー350上へ移される。スライド340を回転させて、液体を操作する。熱要素680a、680bを作動させて、スライド340を加熱することができる。処理中に1回または複数回、たとえば流体体積の回復、試薬濃度の調整などのために、ある体積の試薬、試薬緩衝剤、水、または他の物質が分注される。
【0116】
図27〜29は、試験片を処理する1つの方法を示す。通常、スライド340が処理ステーション300内へ装入される。スライド340とカバー350の間に、物質が送達される。スライド340をカバー350に沿って動かし、物質を試験片へ添加する。処理した後、カバー350を基礎360から取り出して別のカバーと交換し、引き続き同じ試験片を処理し、または別の試験片を処理すると好都合である。
【0117】
処理ステーション300に装入するために、スライド340の端部555(たとえば、ラベル端部)をスライド保持デバイス330内へ摺動させることができる。いくつかの実施形態では、端部555は、スライド保持デバイス330内へ手動で挿入される。他の実施形態では、ロボットハンドラがスライド340を装入する。スライド保持デバイス330は、スライド340と処理ステーション300を位置合わせする。装入された後、スライド340は、カバー350の端部部分563上に位置することができる。スライド340の端部558は、カバー350から離れて上方へ延び、開口544を画定する。
【0118】
図27を参照すると、流体分注器540は、開口544内に流体560を送達することができる。流体560は、高さが変動する間隙570に沿って進むことができる。スライド340を動かすことなく試験片に接触するのに十分な体積の流体560を分注することができる。別法として、スライド340を動かして、流体560を試験片に接触させることができる。
【0119】
図17および28は、流体560(図17に破線で示す)が試験片260に添加されたところを示す。流体560が間隙要素450、452に到達した場合、流体560は、間隙要素450、452に蓄積し、それによって流体560をスライド340の下で保つことができる。
【0120】
図27の間隙570が所望の体積の流体560で充填された後、アームアクチュエータ580がピン582の周りで回転される(矢印581で示す)。アームアクチュエータ580の端部584が上方(矢印590で示す)へ動くにつれて、アクチュエータ320とスライド保持デバイス330は協働して、スライド340をカバー350に沿って動かす。スライド保持デバイス330は、回転軸530の周りで自由に回転して、スライド340をカバー350近傍で、またはカバー350に接触したまま保つことができる。スライド340は、流体560上で浮遊することができる。
【0121】
カバー350は、ポート559および真空ライン557を介して引き込まれる真空を使用して、基礎360に接したまま固定して保持することができる。これにより、スライド340が操作されるときも、カバー350は静止したまま留まる。
【0122】
いくつかの動的動作モードでは、スライド340を繰り返し前後に動かして、流体560を攪拌(たとえば、混合)する。流体560の大部分は前後に回転されるが、残留の流体が、組織試料の表面上に残ることがある。スライド340は、流体560の一部を動かして、試料の表面上に残った層と混合することができる。したがって、流体560は、連続して勢いよく混合される。生物試料に接触するカバー350および/またはスライド340の界面化学は、カバー350および/またはスライド340の表面上に残る液体の量に影響を与える疎水性/親水性に基づいて選択することができる。カバー350は、親水性、疎水性、またはその両方とすることができる。親水性の実施形態では、カバー350は、添加された流体を好都合に分散できるように、親水性材料から大部分を作ることができる。疎水性の実施形態では、疎水性のカバー350および疎水性のスライドを使用して、添加された流体の分散を制限することができる。他の実施形態では、カバー350は、1つまたは複数の親水性の領域および1つまたは複数の疎水性の領域を含むことができる。たとえば、カバー350は、親水性の中心領域と、中心領域を取り囲む疎水性の外側領域とを含むことができる。これにより、流体を中心領域に沿って容易に分散させることができ、周囲の外側領域は、強化された流体管理を提供する。カバー350の最適の表面特性は、液体の所望の分散、閉じ込め、および/またはスライド340の特性に基づいて選択することができる。水溶液を使用するとき、疎水性のスライド表面と疎水性の低いカバー350が協働して、スライド340およびカバー350によって区切られた空間内で溶液を保つことができる。水溶液は、疎水性のスライド340によってはじかれ、カバー350に沿って分散する。逆に、親水性のスライド340は、スライド表面562の上に溶液をさらに分散させ、その結果、スライド340上により多くの「溜まり」を生じさせる。カバー350および/またはスライド340の最適の表面特性は、液体の所望の閉じ込め/分散に基づいて選択することができる。
【0123】
カバー上で混合する場合、カバー350上へ第1の試薬を分注することができる。スライド340を回転させて、試薬を取り込む。スライド340を過剰回転位置へ動かして、流体捕獲を維持しながら、カバー350とスライド340の間にアクセスを提供することができる。カバー350上に第2の試薬が分注される。スライド340を回転させて、連続した回転周期上で試薬を混合する。
【0124】
流体560を除去するために、廃棄物マニホルド部材600は、図27に示す待機位置から図29に示す廃棄物除去位置に動く。廃棄物マニホルド部材600が廃棄物除去位置に到達すると、マニホルド部材600の通路610の入口609が出口618と噛合される。廃棄物マニホルド部材600はアームアクチュエータ580を動かし、アームアクチュエータ580は、スライド340を図29に示す廃棄物除去位置へ動かす。図29および30のスライド340の端部558は、廃棄物ポート374に重なり、したがって廃棄物ポート374を介して流体560を除去することができる。重力、真空、吸上げ材料などを使用して、流体を廃棄物ポート374内へ引き込むことができる。いくつかの実施形態では、流体560は、廃棄物ポート374を通って貯蔵槽、吸収剤部材などへ流れることができる。貯蔵槽は、廃棄物容器、処分システムなどとすることができる。吸収剤部材は、少なくとも部分的に、スポンジ材料、吸上げ材料などを含む吸収性の高い材料から作ることができる。
【0125】
流体560が主に重力のために廃棄物ポート374を通過する場合、廃棄物ポート374の下に吸収剤部材(たとえば、パッドまたはシート)を位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、吸収剤部材は、カバー350の底部表面へ直接付着される。もちろん、吸収剤部材は、必要または所望に応じて、任意の他の適した位置に配置することができる。
【0126】
通路610を介して真空が印加された場合、流体560は、毛細管間隙570に沿って廃棄物ポート374の方へ流れ、最終的に廃棄物ポート374を通ることができる。図30は、流体Fが廃棄物ポート374を通り、基礎360の入口380を通って下方へ流れるところを示す。流体Fは、通路620に沿って出口618の方へ進む。このようにして、流体Fは、カバー350および基礎360を通って流体経路に沿って流れる。
【0127】
いくつかの実施形態では、十分な長さの時間にわたって真空が印加された後、間隙570内に残留の液体560は実質上残らない。適当な表面仕上げ(たとえば、表面の平滑性)および表面エネルギー(たとえば、カバー350の界面化学によって決まるエネルギー)は、流体560が間隙570から平滑かつ完全に流れる傾向を高めるように選択することができる。平滑性のレベルがより高く、表面エネルギーがより低ければ、間隙570に沿って移動するのに好ましく、一方、表面の不完全性がより多く、表面エネルギーがより高ければ、間隙570内に液体560を保持する傾向を有する。
【0128】
図30の流れ抑制部390は、カバー350と基礎360の界面に沿って入口380から離れる流体の流れを最小化、制限、または実質上防止することができる。流れ抑制部390は、入口380を取り囲む環状のU字状流路とすることができる。流体が界面640に沿って移動する場合、流体は、流れ抑制部390内へ流れ込み、流れ抑制部390内に集まる。したがって流れ抑制部390は、貯蔵槽として働くことができ、周期的に空にすることができる。任意の数の流れ抑制部、封止部材、逃がし特徴などを使用して、吸上げおよび/または毛細管作用によるカバー350の下の流体の流れを最小化、制限、または実質上防止することができる。
【0129】
図27の図示の実施形態を含むいくつかの実施形態では、基礎360は、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するように適合された熱要素680a、680b(集合的に「680」)を含む。熱要素680は、ISH、IHCなどのために熱サイクル、さらには急速熱サイクルを必要とする異なるプロトコルに対応することができる。熱要素680が熱を生成すると、熱はカバー350を通って試験片へ伝達される。熱要素680に送達される電気エネルギーの量を増大または低減させて、試験片および処理液体の温度を増大または低減させることができる。
【0130】
熱要素680は、抵抗性の加熱要素とすることができる。所望の動作パラメータに基づいて、異なるタイプの抵抗性の加熱要素(たとえば、板状の抵抗性加熱器、コイル状の抵抗性加熱器、ストリップ状の加熱器など)を選択することができる。冷却要素、加熱/冷却要素などの他のタイプの熱要素を利用することもできる。本明細書では、「冷却要素」という用語は、それだけに限定されるものではないが、試料、処理流体、および/またはスライド340の少なくとも一部分を実質上冷却するように熱を能動的に吸収することが可能な1つまたは複数の要素を含む広義の用語である。たとえば、冷却要素は、冷やした流体が中を流れる冷却管または流路とすることができる。
【0131】
いくつかの実施形態では、要素680は、ペルチェデバイスなどの加熱/冷却要素である。ペルチェデバイスは、電流が通過する方向に応じて、片側で熱くなり、反対側で冷たくなる固体の構成要素とすることができる。電流の方向を簡単に選択することによって、ペルチェデバイスを用いて所望の長さの時間にわたってスライド340を加熱することができる。電流の方向を切り換えることによって、要素680はスライド340を冷却する。他の実施形態では、加熱/冷却要素680は、作動流体が中を流れる流路である。加熱期間中は、加熱された流体を流路に通すことができ、冷却期間中は、冷やした流体を流路に通すことができる。加熱/冷却要素680の位置、数、およびタイプは、基礎360の所望の温度プロファイルに基づいて選択することができる。
【0132】
追加または別法として、カバー350は、加熱期間中に熱を生じさせるための加熱要素および冷却期間中に熱を吸収するための冷却要素などの熱要素を含むことができる。たとえば、カバー350は、1つまたは複数の埋込み型の熱要素を有することができる。カバー350が基礎360と噛合されると、基礎360が熱要素に電気エネルギーを提供するように、電気的接続を確立することができる。
【0133】
熱デバイスを使用して、スライド340を通って熱を伝達することもできる。そのような熱デバイスをスライド340の裏側に配置して、スライド340を通って試験片へ熱を伝達することができる。いくつかの実施形態では、カバー350とスライド340の裏側の熱デバイスは協働し、試験片の温度を制御する。いくつかの動作モードでは、スライド340に重なる熱デバイスは、スライド340を通って試験片へ熱を伝達することができる。試験片を冷却するには、カバー350内の熱デバイス(たとえば、冷却流路)は、熱を吸収することができる。このようにして、試験片を加熱または冷却することができる。
【0134】
図31は、スライド処理ステーションのアレイを有する着色システム700を示す。着色システム700は、それぞれの処理ステーション内にスライドが装入された状態で示す。スライド処理ステーションの一部は、試験片を自動的に処理するための流体分注器を含む。操作者または外部の流体送達システムは、流体分注器をもたない処理ステーションにあるスライド上に流体を送達することができる。外部の流体送達システムは、ロボットピペットシステムとすることができる。他の実施形態では、すべての処理ステーションが流体分注器を含むことができ、したがって各処理ステーションは、個々のプロトコルを実行することができる。処理ステーション内へ読取り器を組み込むことができ、スライドからの情報を取得して、適当なプロトコルを決定することができる。
【0135】
処理ステーションはそれぞれ、駆動機構702に機械的に接続することができる。駆動機構702を垂直(矢印704、706で示す)に動かして、スライドを動かすことができる。例として、図27のアームアクチュエータ580の端部720を、駆動機構702の円形の板730に結合することができる。円形の板730を下方(図31に矢印706で示す)へ動かすと、スライドを放射状に内方へ動かし、上方(図31に矢印704で示す)へ動かすと、スライドを放射状に外方へ動かす。スライドが動かされるとき、流体分注器は静止したままである。試験片を同時に処理するために、流体分注器は、板730が上昇位置にあるとき、それぞれの処理ステーションに流体を分注することができる。分注した後、板730を繰り返し上下に動かし、それぞれの顕微鏡スライドを振動させて流体を攪拌することができる。板730を回転軸731の周りで回転させて、スライドを静止した流体分注器へ動かすと、スライドを取り出すことなくプロトコル全体を実行することができる。添加された液体は、所望の時点で各スライドから除去することができる。これにより、各ステーションで個別化されたスライド処理を行うことができる。
【0136】
駆動機構702はまた、それだけに限定されるものではないが、1つまたは複数のモータ、歯車列、線形のスライド、アクチュエータ、ピストンアセンブリ、これらの組合せなどを含むことができる。駆動機構702の構成要素は、処理ステーションの構成に基づいて選択することができる。
【0137】
個別の並列処理を提供するために、各処理ステーションは、別々に動作可能な駆動機構に接続することができる。異なるステーションで、異なるプロトコルを実行することができる。
【0138】
いくつかの実施形態では、着色システム700は、コンベアに基づく着色器である。スライドは、手動で、または別個の装入器を使用して、装入することができる。スライドは、特定の位置に、たとえば15〜20秒ごとに装入することができる。スライドホルダ(スライド、把持器、クリップ、使い捨て部分、湾曲したプラテンなどを含む)の円形のアレイを、隣接する流体分注器へ周期的に前進させることができる。着色ステーション700の他の構成要素は、静止したまま留まることができる(たとえば、流体分注器、廃棄物ポートなど)。ヘマトキシリンおよびエオシン着色(H&E着色)の場合、スライドは、試験片が異なる液体を正しい順序およびタイミングで受け取るように、車輪の周囲を回る。複数の液体を分散させて、異なるプロトコルに対応することができる。最後のステーションでは、スライドをカバースリップで覆い、次いで車輪から取り外すことができる。異なるタイプのプロトコルを実行するために、図示の着色システム700に流体分注器を追加し、または取り外すことができる。したがって着色システム700は、1次着色、特殊な着色、IHC、IHS、H&E着色などを実行するために、処理に対する柔軟性を提供する。
【0139】
図32は、着色システム1105、流体処理システム1110、スライドシステム1116、およびカバーシステム1118を含む自動式の処理システム1100を示す。着色システム1105は、流体処理システム1110からの流体およびカバーシステム1118からのカバーを使用して、スライドシステム1116からのスライドを処理することができる。スライドは、スライドおよび試薬を手動で処理することに関連する問題を回避するために、人の介入なしに処理することができる。
【0140】
いくつかの実施形態では、着色システム1105は、図31に示す着色システム700などのスライド処理ステーションを有する可動式のカルーセルを含む。着色システム1105内には、バルブ機構、温度制御システム、センサ、または他のシステム(たとえば、カバースリッパ)を組み込むことができる。処理ステーションでは、カバースリッパが試験片の上にカバースリップを配置できるようにスライドを裏返すことによって、スライドをカバースリップで覆うことができる。カバースリップで覆われたスライドは、着色システムから取り出すことができる。
【0141】
流体処理システム1110は、それだけに限定されるものではないが、物質を保持するための1つまたは複数の容器を含むことができる。これらの容器は、1つまたは複数の流体ラインによって着色システム1105に接続することができる。これらの線を通って、溶剤(たとえば、極性溶剤、非極性溶剤など)、溶液(たとえば、水溶液または他のタイプの溶液)、取付け媒体、試薬などを送達することができる。容器からの物質を使用して、着色プロトコル(たとえば、1次着色、特殊な着色、IHC、ISHなど)、抗原回復プロトコルなどの異なるプロトコルを実行することができる。流体処理システム1110はまた、1つまたは複数のポンプ、フィルタ、固定のノズル(たとえば、固定のノズル流体分注器)、ピペットシステム、または他のタイプの流体分注器を含むことができる。固定のノズル流体分注器は、H&E流体、高性能のバルク着色料流体などを送達するのに特によく適している。ピペットシステムは、高性能の非バルク着色料流体を出力するのに特によく適している。
【0142】
スライドシステム1116は、処理する準備ができた試料を運ぶスライドを提供することができる。スライドシステム1116は、それだけに限定されるものではないが、加熱器またはスライド乾燥器(たとえば、導電性の乾燥器、対流式の乾燥器、炉など)、ならびに試料を準備するために使用される他のタイプの構成要素またはデバイスを含むことができる。スライドシステム1116はまた、所望の数のスライドを保持するのに適した任意の数のラック、トレイ、カートリッジ、または他の構造を含むことができる。1つまたは複数のスライド輸送器は、スライドシステム1116の構成要素間でスライドを動かすことができ、また着色システム1105を出し入れすることができる。
【0143】
カバーシステム1118は、それだけに限定されるものではないが、所望の数のカバーまたは他のタイプの基板を保持するのに適した1つまたは複数のラック、トレイ、カートリッジ、レセプタクル、または任意の他の構造を含むことができる。1つまたは複数の輸送器は、カバーシステム1118の構成要素間でカバーを運ぶことができる。これらのカバーは、使い捨てのカバーまたは多目的のカバーとすることができる。キャリーオーバおよび他の汚染を防止するには、これらのカバーを使い切りのものとすることができる。
【0144】
処理システム1100は、様々な構成要素と通信する制御システム1120をさらに含む。制御システム1120は、有線接続1122によって着色システム1105に通信するように結合され、またワイア接続1124、1126、1128によってそれぞれ流体処理システム1110、スライドシステム1116、およびカバーシステム1118に通信するように結合される。通信はまた、無線接続(無線ネットワーク接続を含む)および/または光接続を通じて実現することもできる。
【0145】
制御システム1120は通常、それだけに限定されるものではないが、1つまたは複数のコンピュータ、中央演算処理装置、処理デバイス、マイクロプロセッサ、デジタル信号処理装置、中央演算処理装置、処理デバイス、マイクロプロセッサ、デジタル信号処理装置(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、読取り器などを含むことができる。情報を記憶するために、制御システム1120は、それだけに限定されるものではないが、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの1つまたは複数の記憶要素を含む。記憶された情報は、最適化プログラム、組織準備プログラム、較正プログラム、索引付けプログラム、または他の実行可能なプログラムを含むことができる。制御システム1120は、最適化プログラムを実行して、性能を最適化することができる(たとえば、余分な試薬消費の低減、カバースリップで覆う時間の低減、生産性の増大、処理の一貫性の改善など)。処理は、処理速度の増大、処理量(たとえば、ある長さの時間内で処理されるスライドの数)の増大などのために、たとえば最適の予定を決定することによって最適化することができる。そのような最適の予定は、スライドを準備して着色システム1105に送達する予定とすることができる。いくつかの実施形態では、制御システム1120は、処理の待機時間を低減させるように装入順序を決定する。制御システム1120はまた、現在装入された試験片の処理中に次の試験片のためのピペット、ノズル、または流体分注器の装入を開始できるようにプログラムすることができる。これによって、現在の試験片がステーションから取り出されるとすぐに次の試験片へ流体を分注できるため、時間を節約する。
【0146】
処理システム1100は、任意の数の輸送器を含むことができる。輸送器は、それだけに限定されるものではないが、1つまたは複数のロボットハンドラもしくはアーム、X−Y−Z輸送システム、コンベア、これらの組合せ、または位置間で品物を運ぶことが可能な他の自動式の機構を含むことができる。輸送器は、品物を運ぶためにエンドエフェクタを有することができる。エンドエフェクタは、それだけに限定されるものではないが、把持器、吸引デバイス、ホルダ、クランプなどを含むことができる。エンドエフェクタは、温度センサ、真空センサ、表面センサ、位置センサなどを有することができる。いくつかの実施形態では、エンドエフェクタの真空センサは、品物の存在、またはカバー、スライド、試験片などの他の特性を検出することが可能である。エンドエフェクタは、スライドとカバーの両方を着色システム1105内へ装入することができる。処理した後、エンドエフェクタは、スライドおよびカバーを回収することができる。
【0147】
図33は、複数のプラテンアセンブリを使用して試験片を処理するための処理ステーション1200を示す。処理ステーション1200は、静止式の下部プラテンアセンブリ1210および可動式の上部プラテンアセンブリ1220を含む。スライド位置決めデバイス1230が、スライド保持デバイス1240およびローラ機構1244を含む。プラテンアセンブリ1210、1220によって、試料1317(破線で示す)を交互に処理することができる。図示の構成では、下部プラテンアセンブリ1210は、試験片1317を処理する準備ができている。スライド位置決めデバイス1230は、試験片1317を運ぶスライド1242を上昇させることができる。スライド1242が上昇されると、駆動機構1260が、上部プラテンアセンブリ1220をレール装置1290に沿って待機位置(図33に示す)から下部プラテンアセンブリ1210の真上にある処理位置(図38参照)へ平行移動させることができる。次いでスライド1242は、上部プラテンアセンブリ1220上へ降ろされる。
【0148】
レール装置1290は、1対のレール1292a、1292b(集合的に「1292」)と、レール1292aとレール1292bの間を延びる支持部1294とを含む。レール1292aは、カバーホルダ1266の一方の辺を保持し、他方のレール1292bは、カバーホルダ1266の他方の辺を保持する。カバーホルダ1266は、待機位置と処理位置の間をそれぞれのレール1292内のスロットに沿って摺動することができる。レール1292の寸法、構成(たとえば、まっすぐな構成、湾曲した構成など)、および特徴(たとえば、スロット、トラック、止め具など)は、上部プラテンアセンブリ1220の所望の運動に基づいて選択することができる。
【0149】
図33および34を参照すると、上部プラテンアセンブリ1220は、カバーホルダ1266およびカバー1268を含む。カバー1268は、実質上平坦な表面1270および2列の間隙要素1280、1282を含む。カバーホルダ1266は、加熱および冷却能力を提供できる熱要素1281を含む。いくつかの実施形態では、熱要素1281は、冷やした液体が中を流れる流路を含む冷却デバイスとすることができる。センサ(たとえば、サーミスタ)からのフィードバックを使用して、熱要素1281を制御することができる。特定の実施形態では、ホルダ1266は、熱要素1281が埋め込まれた板を含む。この板は、カバー1268に急速な熱伝達を提供するように、金属または他の熱伝導性材料から作ることができる。追加または別法として、カバーホルダ1266とカバー1268の間に温度センサを位置決めすることができる。さらに他の実施形態では、1つまたは複数のセンサがカバー1268内へ組み込まれる。
【0150】
図33および34を引き続き参照すると、下部プラテンアセンブリ1210は、レール1292に固定して結合されたカバーホルダ1300を含む。支持部1294は、ホルダ1300を受け取る窪んだ領域1302を有する。1つまたは複数の留め具(たとえば、ねじ、ナットおよびボルトアセンブリなど)、クランプ、接着剤、または他のタイプの結合器で、ホルダ1300を支持部1294に結合することができる。
【0151】
ローラ機構1244は、カムデバイス1250およびコネクタ1252a、1252bを含む。カムデバイス1250は、モータ1251と、図34に示すようにモータ1251の回転可能な出力シャフト1259に偏心して取り付けられたローラ1257とを含む。モータ1251は、回転軸1253の周りでローラ1257を回転させて、スライド保持デバイス1240の従動子1254を押すことができる。モータ1251は、それだけに限定されるものではないが、ステッパモータ、駆動モータ、または他のタイプの電気モータを含むことができる。
【0152】
図35〜44は、試験片1317を処理する1つの方法を示す。図35のスライド1242は、流体添加領域1316の上でスライド1242が中心にくるように、カバー1268の弧状の上部表面1310と概ね位置合わせされる。流体添加領域1316上に、流体を送達することができる(たとえば、手動で送達され、または流体分注器を介して送達される)。流体の送達を容易にするために、処理ステーション1200は、傾斜または直立した向きにすることができる。スライド1242とカバー1268の間の高さが変動する間隙は、過剰充填または充填不足なく流体を収容することができる。いくつかのプロトコルでは、約10μl〜約100μlの範囲内の流体体積を分注して、スライド1242の下に閉じ込めることができる。
【0153】
動的動作モードでは、スライド1242は、弧状の上部表面1310に沿って動かされる。スライド1242を前後に動かすと、試験片1317に流体を添加することができる。静的動作モードでは、スライド1242は、カバー1268に対して概ね静止したまま留まることができる。
【0154】
流体が試験片1317に添加された後、スライド位置決めデバイス1230は、スライド1242上の端部を持ち上げ、廃棄物(たとえば、未使用の液体)を廃棄物ポート1330の方へ動かす。図示の実施形態では、ローラ1257を回転させて、スライド端部1334を上方へ動かすことができる。スライド1242が傾斜するにつれて、流体は、廃棄物ポート1330の方へ動かされる。図36は、スライド1242が廃棄物を廃棄物ポート1330の方へ動かすために傾斜した向きにあるところを示す。
【0155】
使用された流体を除去した後、スライド位置決めデバイス1230は、図36のスライド1242を下部プラテンアセンブリ1210から離して持ち上げることができる。図37は、上昇位置にある概ね水平のスライド1242を示す。駆動機構1260は、上昇したスライド1242の下へ上部プラテンアセンブリ1220を押し込む。上部プラテンアセンブリ1220が図38の処理位置に到達した後、スライド1242を上部プラテンアセンブリ1220上へ下げることができる。図39は、スライド1242が上部プラテンアセンブリ1220上に位置するところを示す。
【0156】
スライド1242の端部1322を上部プラテンアセンブリ1220から離して持ち上げ、上部プラテンアセンブリ1220上に物質を送達することができる。図40は、端部1322が上部プラテンアセンブリ1220から離れるように傾斜したところを示す。端部1322の下に流体が導入された後、端部1322を下げ、毛細管作用を介してスライド1242の下に流体を分散させることができる。薄膜を形成するために、スライド1242は、図41に示すように、上部プラテンアセンブリ1220上で概ね平坦に位置することができる。所望の長さの時間後、スライド1242を傾斜させ(図42参照)、廃棄物を廃棄物ポート1350の方へ動かすことができる。廃棄物が吸引された後、スライド1242を上部プラテンアセンブリ1220から離して持ち上げることができる。
【0157】
図43は、スライド1242が上部プラテンアセンブリ1220の上に位置決めされたところを示す。上部プラテンアセンブリ1220は、図44に示すように、再び待機位置へ動かすことができる。試験片1317は、必要または所望に応じて、再び下部プラテンアセンブリ1210上で処理することができる。
【0158】
図示のスライド処理システム1200は、2つのプラテンアセンブリを有する。しかし、他の実施形態では、任意の数の可動式のプラテンアセンブリおよび静止式のプラテンアセンブリを有することができる。たとえば、スライド処理ステーションは、複数の可動式のプラテンアセンブリを有することができ、したがってそれぞれの可動式のプラテンアセンブリは、キャリーオーバを防止するために異なる物質を添加することができる。これらのプラテンアセンブリは、平坦な構成、非平面状の構成などを有することができる。
【0159】
図45は、流れ抑制部1360、1362の詳細図である。部分的に重複する流れ抑制部1360、1362は、接触界面1376が廃棄物ポート1350から十分離れて位置決めされるため、吸上げおよび/または毛細管作用を最小化、制限、または実質上解消することができる。流れ抑制部1360は、廃棄物ポート1350を取り囲む環状のU字状流路である。流れ抑制部1360の外側部分1364は、流れ抑制部1362の内側部分1365(V字状の流路として示す)にまたがって延びる。流れ抑制部1360の内側部分1366は、廃棄物通路1372の入口1370の少なくとも一部分にまたがって延びる。廃棄物ポート1350は、廃棄物通路1372を通って廃棄物(流体Fで表す)を案内するのを助けるために、入口1370と概ね同心円状とすることができる。廃棄物ポート1350が入口1370とはわずかにずれた場合でも、廃棄物はそれでもなお、廃棄物ポート1350を通って入口1370内へ流れる。
【0160】
図46を参照すると、装入装置1400は、処理ステーション1421のスライド保持デバイス1402を出し入れするように構成される。装入装置1400は、垂直方向に隔置された棚を有するラック1410からスライド1409を取る把持器1408を含む。把持器1408は、レール1420に沿って動き、図47に示すように、スライド1409をスライド保持デバイス1402内へ挿入する。処理ステーション1421を取り出すには、把持器1408をスライド1409の端部の上へ摺動させることができる。把持器1208は、スライド保持デバイス1402から離れるようにスライド1409を引く。このようにして、装入装置1400は顕微鏡スライドを出し入れすることができる。
【0161】
図46および47の位置決め車輪1430は、装入装置1400を処理ステーションの隣に位置決めするように回転することができる。他の実施形態では、各処理ステーションは、待機時間を回避するために、専用の装入装置を有することができる。
【0162】
図48は、スライド処理ステーション1440a〜i(集合的に「1440」)を示す。処理ステーション1440の1つについての説明は、別段の指示がない限り、他の処理ステーション1440にも等しく適用することができる。
【0163】
処理ステーション1440aは、カバーホルダ1444を含むプラテンアセンブリ1443と、ホルダ1444から隔置して示すカバー1446とを含む。カバー1446は、ホルダ1444の流路1447内に配置できる概ね剛性のタイルの形である。廃棄物ポート1450は、ホルダ1444内の廃棄物入口1451と位置合わせすることができる。タイル1446は、動的な処理の場合は(たとえば、手動で、または自動的に)設置し、静的な処理の場合は取り外すことができる。
【0164】
図48の処理ステーション1440gは、顕微鏡スライド1456を動的に処理する準備ができている。スライド1456を片持ち梁式に保持するスライド位置決めデバイス1457は、タイル1459の弧状の上部表面1458を使用して、スライド1456の下面上で運ばれる試験片に液体を添加することができる。静的な処理を実行するには、タイル1459を取り外すことができ、位置決めデバイス1457は、カバーホルダ1461の概ね平坦な上部表面上へスライド1456を下げることができる。
【0165】
図48のタイルを交換して、液体を添加するために使用される表面の曲率を変化させ、間隙要素などの寸法および構成を調整することができる。実行される所与のプロトコルに基づいて、使用者は、処理に適当なタイルを選択して装入することができる。
【0166】
図49および49Aは、プラテンアセンブリ1509、ローラユニット1520、および駆動機構1530を含む自動式の処理システム1500を示す。流体分注器1540が、プラテンアセンブリ1509のスライド位置決めデバイス1510によって保持されたスライド1534上に流体を送達することができる。ローラユニット1520は、スライド1534上で試験片1595を処理するために、異なる構成をとることができる。廃棄物ライン1532を介して、廃棄物を除去することができる。手動の処理に関連する問題なく、試料を急速に処理することができる。
【0167】
図50を参照すると、スライド位置決めデバイス1510は、スライド保持デバイス1511を含むことができ、本体1538がライン1536に接続される。ライン1536を介して真空が印加されると、スライド1534を本体1538の上部表面1541に接したまま固定して保持することができる。本体1538は、真空を印加するのに適した通路、貫通孔、流路、または任意の他の特徴の網を含むことができる。いくつかの実施形態では、スライド保持デバイス1511は、機械チャックを含んでおり、スライド1534を選択的に保持および解放することが可能な1つまたは複数のクランプ、接着層、機械的な留め具(たとえば、クランプ)などを含むことができる。他のタイプのスライドホルダを使用することもできる。たとえば、スライド保持デバイス1511を静電チャックとすることができる。
【0168】
図51および52のローラユニット1520は、変換デバイス1577と、それだけに限定されるものではないが、実質上平坦な構成(図51〜53に示す)、湾曲した構成(図54に示す)、または任意の他の適した構成を含む異なる構成間を動ける変形可能な添加器1544とを含むプラテンアセンブリ1521を含む。動的な処理の場合、変形可能な添加器1544は、カバー1594も湾曲した構成になるように、湾曲した構成とすることができる。静的な処理の場合、変形可能な添加器1544は、カバー1594がスライド1534上で平坦に位置するように、実質上平坦な構成とすることができる。カバー1594は、使用後、廃棄または再利用することができる。
【0169】
変形可能な添加器1544は、2つの支持部材1574、1576間に延びる曲げられる部材1570と、曲げられる部材1570に物理的に接続されたブラケット1572とを含むことができる。コネクタ1580a〜dは、図52の支持部材1574に枢動可能に結合され、コネクタ1582a〜dは、支持部材1576に枢動可能に結合される。ブラケット1572は、第1の部材1578aと、第2の部材1578bと、第1の部材1578aと第2の部材1578bの間に延びる細長い部材1577とを含む。
【0170】
曲げられる部材1570は、全体的または部分的に、比較的大きい弾性変形に耐えることが可能な金属(たとえば、鋼鉄、アルミニウム、チタンなど)、複合物、プラスチック、または他の弾性材料から作ることができる。ブラケット1572は、曲げられる部材1570に溶接し、または他の方法で結合することができる。
【0171】
図51に示すように、曲げられる部材1570の外面1596は、流路網1590および真空ポート1592を含む。カバー1594が外面1596に重なると、流路1590を介して真空を印加し、カバー1594を保持することができる。図50の真空ライン1597は、流路1590と流動的に連通しており、真空を印加することができる。
【0172】
図49の駆動部1579が、部材1578a、1578bを介して曲げられる部材1570に結合され、したがって駆動部1579が回転すると、曲げられる部材1570の中間が下方または上方へ曲がる。図54は、曲げられる部材1570の面1596が、矢印1600(図54)で示すように第1の部材1578aおよび第2の部材1578bを下方へ動かすことによって凸状の構成になったところを示す。カバー1594は、面1596の曲率に概ね一致する曲率を有する。凸状の面1596と湾曲したカバー1594はともに、スライド1534に沿って回転することができる。図55は、面1596が、矢印1602(図54)で示すように曲げられる部材1570の中心をスライド1534から離すことによって凹状の構成になったところを示す。凹状カバー1594は、スライド1534と協働し、試薬1599を使用して試験片1595の効果的なエンチャンバを提供することができる。
【0173】
処理システム1500を閉鎖構成(図50)から開放構成(図55)に動かして、使用されたカバー1594および/またはスライド1534を取り出すことができる。処理システム1500が閉鎖構成であるとき、プラテンアセンブリ1521は処理位置にある。処理システム1500が開放構成であるとき、プラテンアセンブリ1521は待機位置にある。図55の図示の輸送器1610は、カバーおよび/またはスライドを出し入れすることができる。処理システム1500を待機位置に動かすには、駆動機構1530を回転軸1676の周りで処理位置から待機位置へ回転させることができる。スライドを装入した後、駆動機構1530を回転軸1676の周りで閉鎖位置へ回転させることができる。
【0174】
図56は、本体1715およびポート1717を含む真空のスライドチャックまたはホルダの形の位置決めデバイス1510を示す。コネクタ1718に、真空ラインを結合することができる。真空を引き込んで、本体1715の面1719に接したままスライドを保持することができる。本体1715は、スライド温度を制御する1つまたは複数の熱要素を含むことができる。別法として、1つまたは複数の熱要素を、本体1715の裏面1720に結合することができる。
【0175】
試験片を処理するために、ピペットの形で示す図49の分注器1540は、スライド1534上に洗浄液を送達する。洗浄液を除去して、試薬を添加することができる。ローラユニット1520は、開放または待機構成へ動かすことができる。分注器1540は、スライド1534の上(たとえば、スライド1734の中間の上)を動き、スライド1534上へ試薬を分注する。ローラユニット1520が閉じると、所望の体積、回転距離、温度、およびCPM(速度)で培養を始める。ローラユニット1520は、周期的に回転して(たとえば、長手方向、横方向、またはその両方)、試薬を攪拌することができる。いくつかのプロトコルでは、保持されたスライド1534に対してプラテンアセンブリ1521の試験片に面する表面1593(図51)が長手方向または横方向に回転する動き(たとえば、長手方向に回転する動きおよび/または横方向に回転する動き)で、高さが変動する間隙を作ることができる。駆動機構1530は、それだけに限定されるものではないが、カバー1594の所望の動きを提供するのに適した1つまたは複数の線形アクチュエータ、ピストンアセンブリ、カム機構、モータ、ソレノイド、および/または他の構成要素を含むことができる。必要または所望に応じて、スライド上の混合を実行することもできる。試薬培養の終わりで、ローラユニット1520を開放位置に動かした後、試薬が除去される。洗浄液をバルク分注器から分注し、スライド1534を洗浄する。ローラユニット1520は閉じ、洗浄周期を始める。
【0176】
カバー1594は、流体経路を画定するように廃棄物通路またはポート1587に噛合できる廃棄物ポート1589(図51に破線で示す)を含むことができる。廃棄物ライン1532(図49および50)は、ポート1589、1587を介してスライド1534から離れるように廃棄物物質を引き込むことができる。任意選択のデバイス1630(図55参照)が、スライド1534から物質を除去するための廃棄物除去器として機能することもできる。デバイス1630は、図7〜13に関連して論じた廃棄物除去器130と同様に動作することができる。いくつかのプロトコルでは、廃棄物ライン1532と廃棄物除去器1630の両方を使用して、廃棄物物質が除去される。追加または別法として、デバイス1630は、液体分注器として働くことができる。
【0177】
ローラユニット1520は、プラテンアセンブリ180(図7参照)、プラテンアセンブリ361(図16参照)、プラテンアセンブリ1210(図33参照)、プラテンアセンブリ1220(図33参照)、およびプラテンアセンブリ1443(図48参照)を含む他のタイプのプラテンアセンブリを含むことができる。プラテンアセンブリの構成要素(たとえば、基礎、カバーなど)は、所望の処理能力に基づいて混合および整合させることができる。柔軟性、半柔軟性、および剛性のカバーまたは他のタイプの構成要素を、異なるタイプのプラテンアセンブリとともに用いることができる。
【0178】
図57〜60は、第1の方向に凸状であり、第2の方向にも凸状である鞍状の対向部1730を示す。図示の対向部1730は、1つの方向に凹状であり(たとえば、図57の凹面軸1732に沿って見ると凹状)、別の方向では凸状である(たとえば、図57の凸面軸1734に沿って見ると凸状)である表面1738を有する。
【0179】
曲率(たとえば、曲率半径Rを増大または低減させて、表面1738の中心領域1740とスライド1744(図58および59に破線で示す)の間の間隙の高さHを低減または増大させることができる。曲率Rはまた、対向部1730の長さに沿って変動することができる。曲率半径Rは、所望の回転動作に基づいて選択することができる。対向部1730は、本明細書に開示する実施形態とともに使用することができる。たとえば、対向部1730は、図16〜18の基板140、図35のカバー1268、図48のカバー1446、または図51のカバー1594として使用することができる。対向部1730は、柔軟性、半柔軟性、または剛性を有することができる。
【0180】
図60を参照すると、廃棄物ポート1741および通路1743を通って真空を引き込み、物質を除去することができる。対向部1730に沿って、任意の数の廃棄物ポートおよび通路を位置決めすることができる。
【0181】
図61は、基礎1772およびカバー1774を含む鞍状の対向部1770を示す。カバー1774は、使い捨てまたは再利用可能とすることができる。使い捨ての実施形態では、カバー1774は、柔軟性の高い材料から作ることができる。再利用可能な実施形態では、カバー1774は、スライドに繰り返し接触することに耐えることが可能な剛性材料から作ることができる。さらに他の実施形態では、カバー1774の一部分を柔軟性材料から作り、別の部分を剛性材料から作ることができる。
【0182】
本明細書に開示する実施形態は、平坦モードの処理、湾曲モードの処理、またはこれらの組合せを含めて、広い範囲の異なるタイプの処理を実行することができる。平坦モードの処理では、基板は、概ね平坦な構成とすることができる。基板は、構成要素(たとえば、ホルダ)によって保持することができ、添加された流体上で浮遊してもしなくてもよい。2009年6月30日出願の米国特許出願第61/222,046号は、液体上に基板を浮遊させるのに適した装置、方法、および構成要素を開示している。同願を、全体として参照により組み込む。いくつかの実施形態では、基板は、湾曲した構成とすることができ、この基板を使用して、スライドに沿って流体を分散させることができる。次いで基板を概ね平坦な構成に動かし、流体上で浮遊させることができる。特定の実施形態では、基板をホルダから分離して、基板を浮遊させることができる。他の実施形態では、ホルダは、基板が浮遊すると連続して基板を保持する。
【0183】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載する実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法、および技法は、米国特許出願第11/187,183号(公開第2006/0019302号)および米国特許出願第61/222,046号に記載の実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法、および技法のいずれか1つまたは複数に類似のものとすることができる。同願を、全体として参照により組み込む。さらに、特定の実施形態では、本明細書に記載する実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法、および技法は、上述の米国特許出願第11/187,183号に開示される実施形態、特徴、システム、デバイス、材料、方法、および技法のいずれか1つまたは複数に関連して適用または使用することができる。
【0184】
上述の様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。本明細書で参照し、かつ/または出願データシートで列挙する米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および特許以外の刊行物はすべて、全体として参照により本明細書に組み込む。実施形態の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願、および刊行物の概念を用いて修正し、さらなる実施形態を提供することができる。
【0185】
上記で詳述した説明の点から、上記その他の変更を実施形態に加えることができる。一般に、以下の特許請求の範囲では、使用される用語によって、特許請求の範囲が明細書および特許請求の範囲に開示する特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲に与えられる均等物の完全な範囲とともにすべての可能な実施形態を含むと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲部分を有する第1のプラテンアセンブリと、
前記第1のプラテンアセンブリを待機位置から処理位置に動かすように構成された駆動機構と、
液体を分注する液体分注アセンブリと、
スライド位置決めデバイスを備える第2のプラテンアセンブリとを備え、前記スライド位置決めデバイスがスライド保持デバイスを備え、前記スライド位置決めデバイスが、前記スライド保持デバイスによって保持されたスライドを前記第1のプラテンアセンブリ近傍に位置決めするように動作可能であり、前記第1のプラテンアセンブリおよび第2のプラテンアセンブリが、前記第1のプラテンアセンブリの前記湾曲部分を、前記第2のプラテンアセンブリに保持されたスライドに対して長手方向または横方向に回転させて、前記スライドと前記湾曲部分の間に、前記スライド上の試料に液体を添加するのに十分な高さが変動する間隙を生じさせるように構成される、
自動式のスライド処理ステーション。
【請求項2】
前記第1のプラテンアセンブリおよび前記第2のプラテンアセンブリの少なくとも一方が、電気エネルギーを受け取り、前記電気エネルギーを使用して熱を生成するように構成された少なくとも1つの熱要素を含む、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項3】
前記液体分注アセンブリが、電気エネルギーを受け取り、前記電気エネルギーを使用して熱を生成し、前記液体を加熱するように構成された少なくとも1つの熱要素を含む、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項4】
前記湾曲部分内の廃棄物ポートに流動的に結合された加圧デバイスをさらに備え、前記加圧デバイスが、前記高さが変動する間隙から前記廃棄物ポートを介して前記液体を引き込むように適合される、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項5】
前記湾曲部分および前記スライドから隔置された入口を含む廃棄物除去器をさらに備え、前記駆動機構が、前記第2のプラテンアセンブリに対して前記第1のプラテンアセンブリを動かし、毛細管作用を使用して前記液体を前記入口の方へ動かすように構成される、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項6】
前記液体分注アセンブリが、前記液体をピペットから前記スライドおよび前記湾曲部分の少なくとも一方の上へ、ならびに/または前記高さが変動する間隙内へ分注するように構成される、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項7】
前記液体分注アセンブリが、前記第2のプラテンアセンブリに結合された分注ユニットを含み、前記分注ユニットが、前記湾曲部分と前記スライド位置決めデバイスによって保持された前記スライドとの間に液体を分注するように位置決めされた出口ポートを有する、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項8】
前記スライド保持デバイスが、前記スライドを受け取るための開放位置と、前記スライドを把持するための把持位置との間を動くことができる、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項9】
前記スライド保持デバイスが、前記スライドを保持するための真空チャックを含む、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項10】
前記第1のプラテンアセンブリが、ホルダと、前記ホルダに着脱自在に結合されたカバーとを含み、前記カバーが、前記湾曲部分の少なくとも一部分を画定する、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項11】
前記第1のプラテンアセンブリが、ホルダと、前記ホルダに着脱自在に結合されたカバーとを含み、前記カバーが、前記高さが変動する間隙内の前記液体に接触するための比較的柔軟性のある試験片に面する表面を有し、前記ホルダが比較的剛性である、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項12】
前記第1のプラテンアセンブリが、前記スライドより柔軟性のある半柔軟性材料を含む試験片に面する表面を含む、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項13】
前記第1のプラテンアセンブリが、前記高さが変動する間隙内の前記液体に接触する試験片に面する表面を含み、前記試験片に面する表面が、剛性材料を含む、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項14】
前記液体分注アセンブリが、前記スライドと前記カバーの間で液体を送達して前記高さが変動する間隙を少なくとも部分的に充填するように位置決めされた出口ポートを含む、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項15】
前記第1および第2のプラテンアセンブリの少なくとも一方が、前記スライドと前記湾曲部分の間に前記高さが変動する間隙を画定するように寸法設定された間隙要素を含む、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項16】
前記第1のプラテンアセンブリが、液体添加領域と、前記液体添加領域の外側に位置決めされ、前記液体添加領域の長さに沿って互いから隔置された複数の個別の間隙要素とを含み、前記複数の個別の間隙要素が、前記スライドを前記液体添加領域から隔置して前記高さが変動する間隙を生じさせるように寸法設定される、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項17】
前記高さが変動する間隙を維持するための複数の間隙要素をさらに備え、前記間隙要素の少なくとも1つが、少なくとも約0.0254mm(0.001インチ)の高さを有する、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項18】
前記湾曲部分の少なくとも一部分が、約38.1cm(15インチ)〜約50.8cm(20インチ)の曲率半径を有する、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項19】
前記駆動機構が、前記第2のプラテンアセンブリに対して前記第1のプラテンアセンブリを動かし、毛細管作用を使用して前記高さが変動する間隙に沿って前記液体を動かすように動作可能である、請求項1に記載の自動式のスライド処理ステーション。
【請求項20】
試料を処理する方法であって、
第1の試料を運ぶ第1のスライドを自動式のスライド処理ステーションのスライド位置決めデバイスに送達するステップと、
前記第1のスライドおよび前記自動式のスライド処理ステーションのローラユニットの湾曲部分の少なくとも一方に第1の液体を送達するステップと、
前記スライド位置決めデバイスによって保持された前記第1のスライドに対して前記ローラユニットの前記湾曲部分を回転させ、前記第1の液体が前記第1のスライドおよび前記湾曲部分によって画定された高さが変動する間隙内に位置する間に、前記第1のスライド上の前記第1の試料に前記第1の液体を添加するステップと
を含む方法。
【請求項21】
前記第1の液体を前記第1の試料に添加した後、前記第1のスライドおよび前記ローラユニットの前記湾曲部分の少なくとも一方に第2の液体を送達するステップと、
前記第1のスライドに対して前記湾曲部分を動かして前記第2の液体を前記高さが変動する間隙に沿って動かすことによって、前記第2の液体を前記第1の試料に添加するステップと
をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1のスライドに対して前記湾曲部分を動かすことによって、前記第1の液体を前記ローラユニットの廃棄物ポートの方へ動かすステップと、
前記第1のスライドの少なくとも一部分が前記廃棄物ポートにまたがって延びる間に、前記廃棄物ポートを使用して前記高さが変動する間隙から前記第1の液体を除去するステップと
をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記湾曲部分の間隙要素を使用して前記第1のスライドに沿って前記湾曲部分を回転させるステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のスライドと前記湾曲部分の間から前記第1の液体を除去するステップと、
前記湾曲部分を画定するカバーを前記ローラユニットのホルダから取り出すステップと、
前記ローラユニットの前記ホルダ上に別のカバーを配置してから、第2のスライド上の第2の試料を処理するステップと
をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記スライド位置決めデバイスから前記第1のスライドを取り出した後、第2の試料を運ぶ第2のスライドを前記スライド位置決めデバイスに送達するステップと、
前記第1の液体に接触した前記湾曲部分の表面を使用して、前記第2のスライド上の前記第2の試験片に第2の液体を添加するステップと
をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の液体を分注した後、前記湾曲部分および前記第1のスライドの少なくとも一方の上へ第2の液体を分注するステップと、
前記第1のスライドに対する前記湾曲部分の長手方向または横方向の動きを使用して、前記第1の液体と前記第2の液体を混合するステップと
をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の液体を送達するステップが、約200マイクロリットル未満の前記第1の液体を分注することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の液体を送達するステップが、約50マイクロリットル〜約120マイクロリットルの前記第1の液体を前記高さが変動する間隙内へ分注することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の液体を送達した後、前記湾曲部分および前記第1のスライドの少なくとも一方の上に第2の液体を送達するステップと、
前記第1のスライドに対する前記湾曲部分の長手方向または横方向の動きを使用して、前記第1の液体と前記第2の液体を混合するステップと
をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
第1の物質と第2の物質を混合して前記第1の液体を作り出すステップと、
前記第1の液体を液体分注アセンブリから出力して、前記第1のスライドおよび前記湾曲部分の少なくとも一方に前記第1の液体を送達するステップと
をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記スライド位置決めデバイスおよび前記ローラユニットの少なくとも一方を使用して前記第1の液体を加熱するステップ
をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記第1のスライドに対して前記湾曲部分を回転させて前記第1の液体を前記高さが変動する間隙に沿って動かすことによって、前記高さが変動する間隙のプロファイルを調整するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のスライドから離れるように前記湾曲部分を回転させるステップであって、前記第1のスライドと前記第1のスライドから離れて回転した前記湾曲部分の一部分との間で前記第1の液体が送達されるステップ
をさらに含む、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【公表番号】特表2013−511048(P2013−511048A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539061(P2012−539061)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/056752
【国際公開番号】WO2011/060387
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(507179346)ベンタナ メディカル システムズ, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】