説明

調整可能な無炎ヒーター

【課題】
【解決手段】
製造時に加熱能力および性能を選択して調整しうる無炎ヒーター装置および方法であって、当該装置は容易に使用され長い寿命を有する。当該装置および方法は、軍事状況や緊急事態で使用されることがあるような無炎糧食ヒーターに使用されてもよい。装置の製造時に固体反応性成分(液体反応物、典型的に水を含まない)がすべて融合または混合されるとは限らない無炎加熱方法および装置が提供される。正確に言えば、乾燥粉末状の少なくとも1つの主成分(典型的に、マグネシウムと鉄の超腐食合金)は、触媒(通常、酢酸や酒石酸などの酸または酸性混合物)および界面活性剤などのすべての他の成分から物理的に分離された状態に保たれる。発熱化学反応は、水(アルカリ塩または非アルカリ塩)を加えた後に少なくとも1つ(典型的に乾燥粉末触媒)が水溶液になった後にのみ開始される。触媒溶液は、活性成分(たとえば、Mg−Fe合金)を含む、1つまたは複数の他の成分を含むポーチ状装置内の透水性ポケットを通り、その周辺を、またその中から流出する。それゆえ、流れる水性アルカリ塩溶液が反応性触媒アルカリ塩溶液を活性成分合金に運び、その後に相互反応成分を混合して所望の熱を発生するまで、触媒および活性成分は有効に接触しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火または炎などの外部エネルギー源を必要とせずに熱を生成するために発熱化学反応を利用する可搬型無炎加熱装置および方法に関する。特に、塩および水の存在下でマグネシウム−鉄合金の発熱反応に基づく無炎ヒーターが本明細書によって開示され、本装置は、例として、消費者市場、産業市場、軍事市場用の食べ物、飲料、またはその他の品目が挙げられるがこれらに限定されない品目、材料、または構成要素を加熱するための十分なエネルギーを発生する。特に、本開示は、製造時に加熱能力および性能を選択して調整しうる無炎ヒーター装置および方法に関し、本装置は容易に使用され長い寿命を有する。
【背景技術】
【0002】
マグネシウム−鉄超腐食合金を使用した無炎ヒーターの設計は、数十年間にわたって知られている。塩などの活性剤の存在下で、超腐食合金、典型的にマグネシウム−鉄合金は、水と反応し、熱を発生して水素ガスを放出する発熱反応を生じる。携帯用で、安全に保管し移送することができ、使用に便利な加熱装置を設計することが可能である。複数のこのような携帯用の無炎ヒーターが、特に食品の加熱用として知られている。
【0003】
たとえば、マグネシウム−鉄合金に基づく無炎糧食ヒーターパッドが、Kuhnらに付与された特許文献1に記載されており、その開示が参照によって本明細書において援用される。Kuhnらは、融合され、ポリエチレンなどの高分子材料の多孔質母材中に分散されたマグネシウム−鉄およびその他の成分など、超腐食金属合金からなる無炎糧食ヒーターパッドまたはケーキを説明している。このようなパッドがアルカリ塩水で濡れると、発熱反応が開始されて所望の物質を加熱するのに十分な熱を放出する。Kuhnらによって使用されたマグネシウム−鉄合金は、5原子百分率(10.8重量パーセント)の鉄を含んでいた。
【0004】
マグネシウム−鉄合金に基づく無炎糧食ヒーターの別の例は、Lamensdorfに付与された特許文献2に記載されており、その開示が参照によって本明細書において援用される。Lamensdorfは、マグネシウム−鉄合金粉末と塩および消泡剤との混合物をまず生成することによって作られた無炎糧食ヒーターについて教示している。さらに、融合粉末が均一に分配され、2つの長方形の不織ガスシートおよび水透過性プラスチックシートの選択的熱接合によって作られたポケットに封入される。
【0005】
有用な背景を提供する他の参照文献としては、Bellらに付与された特許文献3およびPayenらに付与された特許文献4が挙げられ、これらはいずれも参照によって本明細書において援用される。
【0006】
このような無炎糧食ヒーターは、一人分もしくは複数人数分の食べ物や飲料の加熱用、またはその他の用途用など、特定の使用のために特別に作られたデバイスに含められうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,522,190号明細書
【特許文献2】米国特許第5,611,329号明細書
【特許文献3】米国特許第6,248,257号明細書
【特許文献4】米国特許第7,258,117号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の発明は、無炎糧食ヒーターに関する方法および装置である。このようなヒーターは、水の容器や食品のトレー、その他の用途などの品目を加熱するために使用される。本方法および装置の最重要な態様では、装置の製造時に固体反応性成分(液体反応物質、典型的に水を含まない)が融合または混合しないわけではない。正しくは、少なくとも1つの主成分では、好ましくは乾燥粉末状の活性成分(典型的に、マグネシウムと鉄の超腐食合金)は、触媒(通常、当技術分野で周知の酢酸や酒石酸などの酸または酸性混合物)および界面活性剤などのすべての他の成分から物理的に分離された状態に保たれる。本発明では、発熱化学反応は、水(アルカリ塩または非アルカリ塩)を加えた後に少なくとも1つ(典型的に乾燥粉末触媒)が水溶液になった後にのみ開始される。触媒溶液は、活性成分(たとえば、Mg−Fe合金)を含む、1つまたは複数の他の成分を含むポーチ状装置内の透水性ポケットを通り、その周辺を、またその中から流出する。それゆえ、流れる水溶液がそれらの1つまたは複数を他に運び、その後に相互反応成分を混合して所望の熱を発生するまで、触媒および活性成分は有効に接触しない。好ましい実施形態では、装置は必要な活性剤、典型的に乾燥粉末状の塩を取り込み、淡水の適用は触媒だけでなく塩活性剤も溶解させ、これらの溶液を運んで互いに混合してMg−Fe合金と接触させる。内蔵型装置は、いかなる液体容器も含まず、水(アルカリ塩であるか否かを問わず)は別々かつ独立に供給される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下で、品目を無炎で加熱する方法を開示する。要約すると、方法は、ポーチを提供するステップと、ポーチ内で少なくとも2つの透水性ポケットを規定するステップと、少なくとも1つのポケット内に乾燥粉末活性成分を配置するステップと、乾燥粉末活性成分から物理的に分離された別のポケットに乾燥粉末触媒を配置するステップと、透水性ポケットを浸透するのに十分なアルカリ塩溶液でポーチを濡らし、触媒の大部分を溶液に溶解させるステップと、さらに酸性アルカリ塩溶液を透水性ポケットの中に移動させて活性成分と接触させ、ポーチ内で発熱反応を開始させるステップとを備える。ポーチを濡らすステップは、ポーチにアルカリ塩または非アルカリ塩水溶液を塗布するステップを備えていてもよい。装置ポーチが塩活性剤を保持するポケットを有していない場合、発熱反応を開始させるためにポーチにアルカリ塩溶液を塗布する必要がある。塩活性剤を保持するポケットを取り込む装置のこれらの実施形態の場合、装置に自然な非アルカリ塩水(plain, non-saline, water)を塗布するだけで、所望の反応をさらに活性化するアルカリ塩溶液を発生することになる。
【0010】
当該方法では、ポーチをオプションとして提供するステップは、一緒に接続された2つまたはそれ以上のポーチを提供するステップと、ポーチの各々で1つまたは複数のポケットを規定するステップとを備える。方法では、さらに、いずれか1つのポーチのポケットに1つまたは複数の成分が配置され、このような成分は活性成分と、触媒と、粉末塩活性剤と、粉末界面活性剤と、水素ゲッターと、不活性物質とからなる群から選択されるが、これらに限定されない。いずれか1つのポーチのポケット内に成分を配置するステップは、これらのポケットに2つまたはそれ以上の成分を配置するステップを備えることが好ましく、ポケットの少なくとも1つには活性成分が保持される。このようなポーチは、所望の品目を最適に加熱するマルチポーチヒーターを形成するための構成で一緒に接続されうる。
あるいは、方法は、ポーチ内で少なくとも2つの透水性ポケットを規定するステップが少なくとも3つのポケットを規定するステップを備えるプロセスを含んでいてもよく、さらに、少なくとも2つのポケット内に粉末活性成分のみを配置するステップと、触媒と、粉末塩活性剤と、粉末界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1つの他の成分をポーチ内の他のポケットに配置するステップとを備える。いずれのポケットも活性剤塩を含まない場合、ポーチを濡らすステップは、アルカリ塩溶液をポーチに塗布するステップを備えていてもよい。ポケットの少なくとも1つが粉末塩活性剤を保持する場合、ポーチを濡らすステップは、自然な非アルカリ塩水をポーチに塗布するステップを備えるだけでよい。ポーチ内の他のポケットに少なくとも1つの他の成分を配置するステップは、1つまたは複数の他の成分の粉末混合物を配置するステップを備えていてもよい。
【0011】
また、方法は、製造時に、装置の加熱性能が予め決定され、または「調整」されてもよいプロセスを含む。このようなプロセスでは、少なくとも3つのポケットを規定するステップは、閉じたポケットを密封するステップを備え、さらに、ポケット内の粉末成分の配置を選択的に測定することによって、発熱反応速度を選択的に調整するステップを備える。これらの測定するステップは、閉じたポケットを密封する前に行なわれる。ポーチ内で少なくとも2つの透水性ポケットを規定するステップは、好ましくは、ポーチ内に非脆弱な継ぎ目を形成することを意味する。本発明に関する方法の実施では、異なる反応性成分を保持するポケット間の継ぎ目または境界を開いたり破ったりする必要はない。
【0012】
さらに、以下では、先に要約した方法と一般に調和している装置が開示される。本発明による無炎糧食ヒーター装置は、ポーチ内の非脆弱な継ぎ目によるポーチ内の少なくとも2つの透水性ポケットと、第1のポケット内に配置された乾燥粉末活性成分と、乾燥粉末活性成分から物理的に分離された、第2のポケット内に配置された乾燥粉末触媒との基本的な形でポーチを備え、触媒の存在下にある活性成分は、アルカリ塩溶液の存在下で発熱反応し、ポーチが透水性ポケットに浸透するのに十分なアルカリ塩水で濡れると、触媒の大部分が溶液に溶解し、溶液は、透水性ポケットの中を移動してポーチ内で発熱反応を開始する。
【0013】
装置の1つの可能な実施形態は、ポーチの第1の1つに少なくとも2つのポケットと、ポーチの第2の1つに1つのポケットとを有する一緒に接続される2つの異なるポーチを備える。このデュアルポーチ実施形態では、1つまたは複数の成分が第1のポーチ内のポケットに配置され、成分は活性成分と、触媒と、粉末塩活性剤と、粉末界面活性剤と、水素ゲッターと、不活性物質とからなる群から選択されるが、これらに限定されない。また、1つの他の成分が第2のポーチ内のポケットに配置され、さらに、活性成分と、触媒と、粉末塩活性剤と、粉末界面活性剤と、水素ゲッターと、不活性物質とからなる群から選択されるが、この1つの他の成分は、第1のポーチ内のポケットのいずれにも配置されない成分の1つに選択される。この実施形態では、第1のポーチ内のポケットに2つまたはそれ以上の成分の粉末混合物が配置されることが容認される。第1のポーチ内の様々なポケットは、単一の成分または成分の混合物を含んでいてもよく、成分の混合物は第1のポーチ内のポケット間で異なっていてもよく、またはポケット間で一貫した混合物であってもよい。少なくとも1つのポケットは活性成分を含有すべきである。活性成分は、塩活性剤または触媒のいずれを有するポーチ内でも共通するポケットを共有しない。
【0014】
ポケットの少なくとも1つが粉末塩活性剤を保持する場合、ポーチを非アルカリ塩水で濡らすと、アルカリ塩溶液がポーチ間およびポケット間を移動する。アルカリ塩溶液が透水性ポケットに浸透すると、様々な相互反応成分が化学的に有効に接触し、したがって、発熱反応を開始する。いずれのポケットも粉末塩活性剤を保持しない場合、ポーチを濡らすステップは、アルカリ塩溶液を使用してポーチを濡らすことで達成できる。
【0015】
さらに、装置のこの実施形態に対しては、ポーチ内の少なくとも2つの透水性ポケットは、少なくとも3つのポケットを備えることが好ましく、その場合、装置は、さらに、粉末活性成分(典型的にMg−Fe合金)のみが少なくとも2つのポケット内に配置され、触媒と、粉末塩活性剤と、粉末界面活性剤と、水素ゲッターと、不活性物質とからなる群から選択される少なくとも1つの他の成分が、ポーチ内の他のポケットの各々に配置される構成を備える。ポケットの少なくとも1つが粉末塩活性剤を保持し、それによって、ポーチを非アルカリ塩水で濡らすと、ポーチ内のポケット間を移動するアルカリ塩溶液の中に塩活性剤が溶解する。これは、装置の「水活性化」バージョンである。いずれのポケットも粉末塩活性剤を保持しない場合、ポーチを濡らすステップは、アルカリ塩溶液を使用することによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本出願の一部を形成する添付図面は、以下の通りである。
【図1】本開示による放熱装置の第1の可能な実施形態の内部要素を示すために切断された部分を有する斜視図である。
【図2】図1に示す装置の概略断面図である。
【図3】本開示による放熱装置の製造方法を一般的に示すフローチャートである。
【図4a】選択された製造段階における本開示による放熱装置を示す概略図であり、本開示による製造方法を部分的に示す。
【図4b】選択された製造段階における本開示による放熱装置を示す概略図であり、本開示による製造方法を部分的に示す。
【図4c】選択された製造段階における本開示による放熱装置を示す概略図であり、本開示による製造方法を部分的に示す。
【図4d】選択された製造段階における本開示による放熱装置を示す概略図であり、本開示による製造方法を部分的に示す。
【図4e】選択された製造段階における本開示による放熱装置を示す概略図であり、本開示による製造方法を部分的に示す。
【図5a】選択された製造段階における本開示による放熱装置を示す概略図であり、本開示による別の製造方法を部分的に示す。
【図5b】選択された製造段階における本開示による放熱装置を示す概略図であり、本開示による別の製造方法を部分的に示す。
【図5c】選択された製造段階における本開示による放熱装置を示す概略図であり、本開示による別の製造方法を部分的に示す。
【図5d】選択された製造段階における本開示による放熱装置を示す概略図であり、本開示による別の製造方法を部分的に示す。
【図6】本開示による放熱装置の2ポケット実施形態の切断された部分を有する斜視図であり、右側ポケットには塩と活性剤組成の混合物がある。
【図7】本開示による放熱装置のさらに別の実施形態の概略断面図であり、活性剤組成を含む中央ポケットの周辺に活性成分を含む複数の断面ポケットを有する六角形構成を示す。
【図8a】本開示による放熱装置のさらに別の実施形態の概略図であり、透水性材料からなり、異なる成分または同じ成分を含む複数の断面ポケットと、異なるタイプの透水性材料から作られてもよくかつ異なる成分を含んでいてもよい追加ポーチとを有する長方形構成のポーチを示す。
【図8b】図8(a)の実施形態の断面図であり、断面は図8Aの線A〜Aに沿って切断されている。
【図9】本開示による無炎ヒーター装置の別の実施形態の概略図であり、たとえば、4つの外ポケットの各々におよそ15gのマグネシウム−鉄合金と、2つの内ポケットの各々におよそ3gの酒石酸を有する6ポケットポーチを示しており、さらに、水による活性化の前に6ポケットポーチに振りかけられる約8gの塩を含む別のポーチを示す。
【図10】本開示による無炎ヒーター装置の別の実施形態の概略図であり、たとえば、6つの外ポケットの各々におよそ20gのマグネシウム−鉄合金と、3つの内ポケットの各々におよそ4gの酒石酸を有する9ポケットポーチを示しており、このような装置はアルカリ塩溶液で活性化されてもよく、公称60〜100オンス(約1.7〜2.8kg)の食事を加熱しうる。
【図11】本開示による装置の実施形態において活性成分、触媒、およびアルカリ塩溶液を組み合わせた種々の組成を用いて加熱される90オンス(約2.5kg)の水トレーを加熱するときの、選択された時間における温度上昇と、所望温度を実現するために必要な時間とを示すグラフである。
【図12】開示された装置の実施形態を用いて様々な量の触媒で90オンス(約2.5kg)の試験水トレーの10分および30分の加熱後に実現された温度上昇を示すグラフである。 同様の要素は、図全体を通じて同様に表示される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、発熱化学反応を用いて給食または飲料(一人分または複数人数分)の加熱に使用される「無炎糧食ヒーター(FRH)」として特によく適している革新的なヒーターに関する。しかしながら、開示される装置および方法は、実用性が食品または飲料の加熱に限定されるものではなく、便利で、素早く、かつ安全な無炎の熱源が望まれる他の用途に実用性が見出せるかもしれない。また、改良された無炎ヒーター装置を製造し使用する方法も開示される。
【0018】
さらに、現在開示されている装置では、乾燥粉末化学成分がすべて融合されるわけでなく、むじろ、成分の1つまたは複数は、活性化の時点まで他のすべてから分離された状態に保たれる。
【0019】
本無炎糧食ヒーターを使用するために、乾燥粉末反応成分のそれぞれ1つを保持している物理的に異なるポケットを有するポーチを十分に濡らすための水が供給される。水は、透水性ポケットを通過して水溶性成分を溶解し、さらに、流れる水溶液が活性成分と自由に混合してこれを濡らし、発熱化学反応を開始する。反応が起こるためには、触媒成分(酒石酸などの酸)および活性剤成分(NaClなどの塩)の存在下で活性成分(典型的にマグネシウムの合金、典型的に超腐食Mg−Fe合金)がなければならない。活性成分がMg−Fe合金であるとき、反応は、一般に、Mg+2HO→Mg(OH)+H+熱(および水蒸気)によって特徴付けられる。
【0020】
成分
それゆえ、装置の主成分は、活性成分、触媒、および活性剤を含む。オプションの成分としては、1つまたは複数の界面活性剤、水素ゲッター材料、およびその他の不活性物質が挙げられる。
【0021】
下表1は、現在開示されている放熱装置に関する近似的な重量%範囲の成分のリストを示す。しかしながら、本発明の範囲は表1に列挙された含有量に制限されず、表1は本装置および方法に典型的なある一般概念を提供する。
【表1】

【0022】
本開示による活性成分は、好ましくはおよそ最大12重量%の鉄を含む粉末超腐食マグネシウム−鉄合金であることが好ましい。マグネシウム−鉄合金は約5重量%(2.25原子百分率)の鉄を含むことが最も好ましい。オプションとして、活性成分は、マグネシウム、鉄、および水素ゲッターの合金であってもよく、水素ゲッターはオプションである。あるいは、活性成分は、マグネシウム−鉄合金と水素ゲッターまたは不活性物質との混合でありうる。関連技術における周知の原理に従って、必要な成分の特徴または装置の使用目的が水素の放出を減少させる必要があることを示唆しているとき、水素ゲッターまたは不活性物質が含まれてもよい。開示された活性成分は、規定の合金や合金の規定の組成に限定されない。
【0023】
本開示による好ましい触媒は、活性化溶液のpHを管理し修正し、かつ/または発熱反応に対する触媒として働く酒石酸、または酢酸、またはクエン酸、または同様の弱酸である。しかしながら、触媒は、規定の成分や規定の量に限定されない。オプションである界面活性剤は、活性化溶液の表面エネルギーまたは表面張力を管理または修正するのに役立ちうる任意の周知の材料でありうる。
【0024】
本開示による好ましい活性剤は、塩化ナトリウムなどの塩であるが、開示された活性剤は、規定の塩や規定の量に限定されない。また、表1を参照する際には、活性剤は所望の発熱反応が起こるために必要であるが、装置自体の不可欠な要素であってもなくてもよいことを理解されたい。むしろ、一部の実施形態では、塩などの活性剤は、発明を現実に実施中に別の供給源から独立に加えられうる。それゆえ、利用される実施形態に応じて、水またはアルカリ塩溶液のいずれかが、放熱反応を開始するために必要である。塩が装置に取り込まれていると、反応を開始するために水が使用される(装置の「水による活性化」実施形態)。塩が装置の中に取り込まれていなければ、反応を開始するためにアルカリ塩溶液が必要である(「アルカリ塩による活性化」実施形態)。あるいは、触媒として、たとえば、酸もアルカリ塩溶液の中に取り込まれうる。さらに、代りに、エンドユーザーは、装置に塩(または塩および酒石酸の混合物)を加えたり振りかけたりして、淡水を用いて反応を開始しうる。
【0025】
活性成分(たとえば、超腐食金属合金)、触媒(たとえば、酒石酸、または酢酸であってもよい)、およびオプションとしての活性剤(たとえば、塩化ナトリウム)および/または界面活性剤を含む成分は、透水性不織ポーチの様々な密封ポケット内に個別に保持される。成分の少なくとも一部は、水またはアルカリ塩溶液が装置に加えられるような時点まで個々のポケット内で分離された状態に保たれ、その時点で、様々な成分が溶けて水溶液になり、それぞれのポケットを出て成分が全体的に混合されて所望の発熱反応を開始する。
【0026】
本開示および特許請求の範囲では、「粉末」は粒子、すなわち、小さい遊離粒子または塊の形をした固形物質を指し、粉砕されている固体である。「脆弱な」は、容易に引き裂かれ、開かれ、または破壊されることを意味し、本開示における「非脆弱な」は、比較的耐久性があり、かつ開かれ、破壊され、引き裂かれ、または破られるように意図的に工夫または志向されていない継ぎ目または境界を指す。「透水性」は、水が容易に通過する材料、すなわち、水溶液の通過に対する境界を実質的に無視しうる材料を表わす。
【0027】
装置の説明
本開示による水によって活性化される放熱装置10を示す図1および2を参照する。図示の例では、装置10は、2列に配置された6つのポケット16〜21を有する透水性不織布ポーチ14である。各列は、外側に2つの大きいポケット16、18および19、21と中央に小さいポケット17および20の3つのポケットを有する。この構成では、活性成分26、たとえば、乾燥粉末超腐食マグネシウム−鉄合金は、4つの大きいポケット16、18、19、および21の中にほぼ均等に分配される。触媒28、たとえば、酒石酸粉末は、小さいポケット17の1つに保持される。活性剤30、たとえば塩化ナトリウム粉末は、他の小さいポケット20に密封される。アルカリ塩活性化装置の別の実施形態では、小さいポケット20は、空であるか、または、触媒28のみが2つの小さいポケット17と20の間にほぼ均等に分配される。
【0028】
製造方法
また、本明細書によって、本発明による装置を効果的に製造するプロセスが開示される。図3は、放熱装置10を製造する方法を一般的に例示する。第1のステップは、活性成分26を製造することであり、これは、すべての実施形態において、好ましくは、マグネシウム−鉄合金粉末であり、鉄粒子はマグネシウムマトリクスと合金化され、またはマグネシウムマトリクスの中に埋め込まれる。オプションとして、水素ゲッターまたは不活性物質は、活性成分融合体の中に含まれていてもよい。好ましくは、水素ゲッター組成および/または不活性物質は、合金製造プロセスの一環として活性成分合金とともに直接取り込まれる。例として、マグネシウム−鉄合金の好ましい生産方法は、共粉砕純粋マグネシウム粉末および鉄粉末によるものである。(マグネシウム−鉄合金の生産は規定の方法に限定されない。)つぎに、オプションとして、成分の一部(全部ではない)が混合されてもよい。透水性シート、たとえば、不織布材料がこの後折り畳まれて、折り畳まれたシートの2辺を(何らかの適切な手段によって)密封することによって、ポーチ14が形成される。また、個々のポケット(たとえば、ポケット16〜21)は、ポーチ14を選択的に継ぎ合わせることによって形成される。これらのポケットはそれぞれ様々な成分で満たされ、成分が放熱装置10内に保持されるようにポーチ14は最終的に密封される。
【0029】
装置10のより具体的な段階的製造には複数の可能なオプションが存在する。いくつかの可能な生産方法をここで提示するが、これらのオプションの開示は制限を意図するものではない。
【0030】
例として、図4は、6ポケット放熱装置10を形成するための「充填密封」タイププロセスを示す。図4(a)に見られるように、製造は長方形片の透水性不織シート40で始まる。このシート40は、図4(a)に示す「折り目」41でまず折り畳まれる。シート40の2つの辺42、43は、密封されて1つの空所を有するポーチを形成する。つぎに、図4(b)に示すように、非脆弱な継ぎ目44、45は、3つのポケット46〜48を形成するためにポーチへの熱溶接などによるものとして選択的に規定される。図4(c)に見られるように、2つのポケット46、48は活性成分26(たとえば、超腐食合金粉末)を供給され(少なくとも部分的に充填され)、第3のポケット47は適切な粉末触媒28(または、NaClを含むが、これに限定されない活性剤塩30)を供給される。それゆえ、図4(c)は、測定された成分量を供給される第1の「列」を示す。成分26および28(または30)は、図4(d)に示すように、充填された(または部分的に充填された)ポケットの第1の列内にとどまるように、粉末を含むポケット46〜48は、この後、非脆弱な中間継ぎ目で密封される。こうして、ポケット52、53、54の第2の列が形成される。
【0031】
つぎに、第2の列の2つのポケット52、54は活性成分26を提供され、第3および中間ポケット53は塩(または、酒石酸などの触媒28であるがこれに限定されない)などの活性剤30を提供される。なお、水活性化埋め込みでは、第1の中間ポケット47が触媒を提供される場合、他の中間ポケット53は活性剤を提供され、逆も同様である。アルカリ塩活性化埋め込みでは、1つのポケット47または53は空であってもよく、他のポケットは触媒28を含み、または、47および53はいずれも触媒28を含んでいてもよい。最後に、図4(e)を参照すると、第2の列は、6ポケット放熱ポーチ装置10を完成させるために適切な非脆弱な最上部継ぎ目55で密封される。
【0032】
「充填密封」プロセスの変形形態は、「密封、充填、および密封」プロセスであり、2枚の透水性不織シートがわずか1枚の透水性不織シートに代わって使用される。また、変形形態は、2枚のシート40が継ぎ目41、42、43、44、および45を形成するためにまとめられて密封され、かくして、ポケット46、47、および48を形成することを除いて、図4(a)〜(e)を参照して理解されうる。つぎに、成分26は、ポケット46および48に充填され、成分28または30はポケット47に充填される。つぎに、継ぎ目49が形成され、さらなる成分26(または、おそらく別の成分28または30)がポケット52および54に充填され、成分28または30はポケット53に充填される。最後に、継ぎ目55が形成され、オプションとして、実施形態10を形成するために布が切断される。
【0033】
別の「滴下、折り畳み、および密封」製造プロセスでは、透水性シート58(たとえば、不織布)は、図5(a)に示すように、作業領域に平たく広げられる。様々な成分26、28、30が、図5(b)に見られるように、シート58の半分の所定位置で量に関して測定され、制御可能に滴下されて堆積される。図5(c)を参照すると、シートがつぎに成分を覆うように折り目41に沿って「2つに」折り畳まれる。二重カバーシート58が、それぞれのポケット46〜48および52〜54内の成分26、28、30を分離する非脆弱な継ぎ目42、43、44、45、および55を形成するために選択された線に沿って選択的に密封され、かくして、図5(d)の断面図に示す装置10を形成する。最終製品10は、図A(a)〜(e)を参照して前述の「充填密封」法の場合と実質的に同じ最終的な物理的構成である。
【0034】
「滴下、折り畳み、および密封」プロセスの変形形態は、「滴下密封」製造プロセスである。この方法では、2枚の透水性シート58が利用される。また、当該変形形態は、2枚の透水性シートの第1のシートが作業面に設置され、この変形形態では、第1のシートは図5(a)に明示する変形形態で利用されるシートのサイズの約半分であることを除けば、図5(a)〜(d)を参照してさらに理解されうる。成分26、28、30は、この後、測定されて、シート面上の所定の位置に設置される。つぎに、単一のシートを折り重ねる代わりに、第2の別のシートが、成分を覆うために第1のシートと整合されて第1のシートの上に設置される。最後に、2枚のシートは、図5(d)に見られるように、個々の対応するポケット内の成分26、28、30を分離する中間および周辺の継ぎ目を形成するために選択的に密封される。それゆえ、この変形形態では、折り目41(図5(a))がなく、代わりに、図5(a)〜(c)にはっきり見られる変形形態の折り畳まれたエッジの代わりに作られた1つの新たな継ぎ目がある。
【0035】
別のオプションとして、無充填ポケットを有するポーチが透水性布を折り畳んで密封することによって最初に形成されてもよい。次の独立したステップとして、空のポケットに要望通りに成分が充填される。このような無炎放熱装置または複数のこのような無炎放熱装置は、オプションとして輸送のために防水プラスチック袋で密封されうる。
前述の放熱装置は、食品、飲料などの品目を加熱する無炎熱を供給する携帯機器を提供するために、実質的に不透水性の構造のすべてまたは一部を有する容器を含むトレー、ボックス、袋、または他の適当な容器など、当技術分野で周知の様々な新たな構造要素のいずれかと組み合わせて使用されてもよい。
【0036】
放熱装置の使用
前述の放熱装置には様々な用途がありうる。放熱装置の使用法に関する以下の説明は、単なる例示を目的とするもので、本発明の範囲を限定するものと決して解釈されてはならない。
【0037】
前述のようなマルチポケット放熱ポーチ装置は、容器やトレーの中に設置されてもよく、加熱される品目は発熱装置の静止位置に設置されてもよい。水(利用される実施形態に応じて淡水またはアルカリ塩水)は、この後、容器またはトレーに注がれて透水性ポーチを濡らしてもよい。水は、透過性シート材料に浸透して、ポーチの様々なポケット内に含まれる成分と接触する。種々の成分が最初は装置の別々のポケット内で物理的に分離されるが、一定の成分は加えられた水に溶解し、それらそれぞれの溶液はポケットを自由に出て自由に混合する。
【0038】
たとえば、本開示による水によって活性化される無炎放熱装置が淡水を用いて活性化されると、水は塩および/または酒石酸を含むポケットなど、様々なポケットの中に浸透する。塩および酒石酸の一部は水に溶解する。得られる酸性アルカリ塩溶液(「活性化溶液」)は、活性剤および触媒を含むポケットから漏れ出た後、装置の他のポケットの中に浸透して活性成分(たとえば、Mg−Fe合金)と接触し、こうした接触によって発熱反応が開始し、所望の熱を発生する。活性化溶液は、温まると、触媒および活性剤粉末の平衡をさらに壊し、発熱反応は成分が費やされるまで続く。費やされた材料は、水酸化マグネシウムまたは酸化マグネシウムまたは2つの組合せである。これらは不活性物質であり、一般ごみとして廃棄されうる。
【0039】
さらに、装置の主要な特徴は、成分の一部が実際に使用する時まではほとんど混合されない状態に保たれることである。装置は、不織フェルトまたは布から製造されることが好ましい、透水性ポーチを備える。ポーチ内に提供される継ぎ目は、ポーチ内部の個別の閉じたポケットを規定し、それによって、各成分はそれ自体のポケットの中で物理的に分離される。(たとえば、ポーチは3つのポケットを有し、1つは塩を含み、1つは酒石酸を含み、1つはマグネシウム−鉄粉末を含む。)継ぎ目は、熱密封、または超音波密封、または接着剤もしくはその他同様の方法を使って形成されてもよい。
【0040】
発熱反応は、水またはアルカリ塩溶液を装置に注ぐか、あるいは装置を部分的に水またはアルカリ塩溶液に浸しオプションとして撹拌することによって開始される。水溶性成分(たとえば、塩、酒石酸)は、溶液に入り、この後、そしてこの後にのみこれらの成分が透過性ポーチ材料から外側に浸透することによって、それぞれのポケットから必ず漏れ出す。溶液は、溶解成分を装置内の他のポケットに輸送する。それゆえ、このような活性化溶液によって、溶解成分は他の(たぶん非溶解性または低溶解性)成分、たとえば、マグネシウム−鉄合金粉末を含むポケットに輸送されうる。総合的な結果は、すべての成分が最終的に透過性ポーチ材料を通ってすべての別々のポケットの中に流れる移動溶液の作用によって、湿式混合されることである。しかし、また、本発明にとってさらに都合よく、乾燥成分の少なくとも一部は、事前に混合されず、溶液が加えられて成分が混合されるまで、成分は別々のポケットに物理的に分離される。さらに、ポーチ内のポケットは、好ましい実施形態では、非脆弱な継ぎ目によって規定される。この機能は、使用前に種々のポケット内の乾燥粉末成分の物理的な分離の完全性を保護する。また、この機能は、成分を物理的に接触させるために、使用時に、パッケージ区画を破壊する必要のある周知のデバイスと装置を識別する。
【0041】
装置設計の例
上記の放熱装置は、様々な形状および構成で製造されうる。少なくとも、装置には2つのポケットセクションがあり、1つのセクションは活性成分(Mg−Fe)合金を保持し、他のセクションは第2の成分または成分の混合物を保持する。理論上は、放熱ポーチ装置は、2つよりも多い任意の数のポケットを有していてもよく、最大数はスターティングシート(starting sheet)のサイズと最終用途を含む、主に運用方法によって制限される。放熱装置のポケットは、所望の形状またはサイズにされて所望の構成で配置されうる。反応性成分の種類と量が所望の構成でポケットに収められ、装置内の種々の反応性成分の量および位置は、製造時に所定の加熱性能特性を有するように装置を「調整」することができる。それゆえ、ポケットサイズ、形状、および構成と、それぞれのポケット内の成分の種類および量とは、所与の最終用途に対する装置の性能を最適化して微調整するように全面的に変更されうる。
【0042】
さらに、オプションとして、成分のすべてでなく一部を融合することが可能であり、たとえば、触媒(たとえば、酒石酸)および活性剤(塩)は融合されてもよい。しかしながら、なお、反応性乾燥粉末成分のすべてが融合されるわけではない。水またはアルカリ塩溶液の装置への計画的な適用によって活性化が始まるまで、活性超腐食金属合金活性成分は、装置それ自体の対応するポケットの中で分離された状態に保たれることが好ましい。金属合金活性成分は、これらとともに取り込まれた不活性物質および/または水素ゲッターを有していてもよく、それゆえ、一定の好ましい実施形態では、活性成分を保持するポケットは、合金および水素ゲッター、または合金および不活性物質のみ、または合金、水素ゲッター、および不活性物質のみからなる活性成分または組成を含んでいてもよい。
装置は、複数のポーチで構成されもよく、作られる材料がポーチごとに異なっていてもよく、1つまたは複数のポーチが複数のポケットを有していてもよく、各ポーチが1つの結合ユニットに集められてもよく、成分が使用時にまとめられもよい。
【0043】
たとえば、装置10の2ポケット実施形態は、図6に見られるように、1つのポケットに配置された超腐食活性成分26と、第2のポケット61に触媒28および/または活性剤30とを有していてもよい。第2のポケット61が触媒のみを含む場合、装置10はアルカリ塩によって活性化される。第2のポケットが触媒と活性剤の選択された混合物を含む場合、装置は本発明の水による活性化バージョンである。このような実施形態では、ポーチ14の端は閉じた継ぎ目62、63、64で密封される。中央の仕切り継ぎ目65は、ポケット60と61を隔てる。
【0044】
あるいは、放熱装置10の3ポケットの実施形態は、2つの大きいポケットにMg−Fe合金粉末と、他の1つの小さいポケットに触媒(または、活性剤と混合された触媒)とを有していてもよい。さらに、Mg−Fe合金が単一の(比較的大きい)ポケットにあり、触媒が第2の(比較的小さい)ポケットにあり、活性剤が第3の(小さい)ポケットにあってもよい。それゆえ、無炎ヒーター装置の1つの好ましい実施形態は、3つのポケットを有するポーチからなってもよい。2つの大きい外側のポケットは、各々がおよそ10gの活性成分Mg−Fe合金粉末を含んでいてもよく、中心の小さいポケットはおよそ2gの酒石酸を含んでいてもよい。このような装置は、7〜9オンス(約198〜255g)の給食を加熱するために使用されうる。
【0045】
あるいは、放熱装置10は、オプションとして、図7に一般的に示すように、活性成分(たとえば、マグネシウム−鉄合金粉末)用の6つの周辺ポケット66〜71と、触媒用の中心ポケット72とを有するポーチ14として、六角形を規定するように作られてもよい。様々なポケット66〜72が、それぞれ含まれる乾燥成分を分離する非脆弱な継ぎ目(これもまた、適切な周知の手段によって形成される)によって規定される。
【0046】
図8(a)および8(b)に見られるように、装置10は、あるいは2つのポーチ74および76で作られてもよく、一緒に接続されている前述の方法に従って製造されることが好ましいが、必ずしもその必要はない。布タイプ1 75で作られた比較的大きいポーチ74は、2種類または3種類の成分85、85’、85”(たとえば、Mg−Fe合金粉末、水素ゲッター組成、界面活性剤、または触媒)を保持する4つのポケット80、81、82、83を有する。布タイプ1またはタイプ2 77で作られた比較的小さいポーチ76は、比較的大きいポケット80〜83内に保持されるもの(たとえば、製造時に、装置10が水またはアルカリ塩のいずれによって活性化されようと比較的大きいポケットの内容物に応じて選択される触媒または活性剤、および装置の所望の加熱特性)とは異なることが好ましいが必ずしもその必要がない成分86を保持するポケットを規定する。小さいポーチ76は、図8(a)および8(b)に示すように、比較的大きいポーチ74に接続または取り付けられることが好ましい。
【0047】
2つのポーチ74、76は、接着、熱密封、超音波ボンディング、縫製などの周知の方法によって一緒に接続されてもよい。この概念のさらなる拡大によって、実際にどんなタイプの幾何学形状も可能である装置10を設計することができ、任意の組合せの成分を任意の空間的定位で配置することができ、1つまたは複数の他の乾燥成分を封入し含むポーチ材料とは異なるポーチ材料に封入される少なくとも1つの乾燥成分を有する柔軟性を備える。異なる材料から作られた、または、たとえば、種々のコストの材料から作られた複数のポーチ74、76を組み合わせると、ポーチに異なる透水性(または、他の何らかの顕著な物理的特性)を持たせることができる。さらに、加熱される品目、材料、または構成要素の一定セクションに優先的に熱を供給するために、様々な幾何学的形状のマルチポーチヒーターも設計されうる。
【0048】
図9を参照すると、装置の別の実施形態は、6つのポケットを有する無炎ヒーターポーチ14からなってもよい。4つの大きい外ポケット92、94、95、および97の各々は、およそ15gのマグネシウム−鉄合金26を含み、2つの比較的小さい中心ポケット93および96の各々はおよそ3gの触媒酒石酸28を含む。別のポーチ15は、主ポーチ(キットなどで)とともに包装される。別の容器15は、たとえば、プラスチックや紙から作られてもよく、およそ8gの塩化ナトリウム粉末30を含む。無炎ヒーター装置のこの実施形態は、ユーザーが別の容器15を開いて塩を主ポーチ14の外部に広く分配することで活性化される。塩を別の容器15から透過性の主ポーチ14に分配するとともに、装置は、ユーザーが主ポーチ14を淡水で完全に濡らすことで活性化される。このような実施形態は、たとえば、50オンス(約1.4kg)の水を加熱してホットコーヒー、熱いお茶、ホットココア、または熱いスープを作るために採用されてもよい。
【0049】
また、図9は、考えられる別の方法を示唆しており、それによって、成分30が防水の別の容器15内の別の溶液に取り込まれる。このような成分は、界面活性剤と、触媒と、塩活性剤とからなる群から選択さてもよく、ポーチを濡らすステップは、使用時に直ちにポーチの外部に別の溶液を直接加えるステップを含んでいてもよい。別の溶液は、ポケットに浸透し、溶液内の様々な成分を輸送して超腐食合金に接すると混合して反応する。
図10は、装置10のさらに別の好ましい実施形態を概略的に示しており、装置10は透水性織物材料または不織材料からなるポーチ14に圧入または提供された仕切り継ぎ目を有する、前述の説明に従って規定された9つのポケット101、102、103、104、105、106、107、108、109を備える無炎ヒーターポーチ14からなる。6つの大きい外ポケット101、103、104、106、107、および109の各々は、たとえば、およそ20gのマグネシウム−鉄合金粉末26を含む。3つの小さい中心ポケット102、105、および108の各々は、たとえば、およそ4gの酒石酸28(界面活性剤あり、またはなし)を含む。このような装置は、アルカリ塩溶液をポーチ14に浸透させて成分を濡らし、得られる溶液を様々なポケット101〜109の間および中を移動させることによって活性化される。このようにして構成された装置10は、複数人数分60オンス(約1.7kg)〜100オンス(約2.8kg)の食事を加熱するために使用されうる。
【0050】
別の例として、装置のさらに別の好ましい実施形態は、図10に示すように構成されてもよく、9つのポケットを有する無炎ヒーターである。この別の実施形態では、6つの大きい外ポケット101、103、104、106、107、および109は、各々がおよそ30gの活性成分を含み、3つの小さい中心ポケット102、105、および108は、各々がおよそ6gの酒石酸を含む。また、このような装置10は、塗布されるアルカリ塩溶液を用いて活性化され、およそ100オンス(約2.8kg)〜130オンス(3.7kg)の水を加熱するのに十分な熱エネルギーを発生することになる。
【0051】
それゆえ、装置に関して広範な形状および構成が考えられる。基本仕様として、本発明の採用に先立って、触媒および/または塩活性剤を超腐食合金活性成分から物理的に分離すると、装置は広範な位置関係の任意数のポケットで製造されうる。さらに、各ポケットは、単一成分(多くの場合、活性成分)を含んでいてもよく、または成分の混合物(たとえば、触媒、塩活性剤、界面活性剤、および/もしくは水素ゲッターなどの1つまたは複数の他の成分の選択された混合物)を含んでいてもよい。他の実施形態では、特定のポケットは、塩活性剤、または界面活性剤のみ、または触媒のみなど、唯一の成分を保持してもよい。また、一部の実施形態では、活性成分は、本発明の範囲から逸脱することなく、1つまたは複数の不活性成分、またはおそらく水素ゲッターを有するポケットを共有していてもよい。具体的な設計は、用途と、その用途に関する加熱デバイスの構成とに基づいて選択される。さらに、装置の構成は、所与のデバイスで加熱されている食品/飲料への最適な熱伝達を実現する必要性によって影響される。
【0052】
性能の微調整
具体的な用途に応じて、無炎糧食ヒーターに対する種々の性能基準が存在してもよい。無炎糧食ヒーターの性能を評価する一般的な方法は、時間に対する温度を測定し記録しながら、その用途に対して加熱される食品または飲料に相当する一定量の水を加熱することである。典型的に、このような試験は、性能が評価されているデバイスをシミュレーションするセットアップを用いて実行される。
【0053】
下表2は、現在開示している装置の性能を、既に周知の無炎糧食ヒーター製品の性能と比較するものである。現在開示している装置に関する好ましい性能基準は、90オンス(約2.5kg)の水トレーを加熱するときに45分以内で少なくとも100°Fの温度上昇(ΔT)を実現することである。周知の製品では、約24分で100°FのΔTを実現することができ、45分で117°Fに達し、2時間で108°Fまで冷却された。対照的に、表2は、試験された現在開示されている(図10の)粉末無炎糧食ヒーターを示し、ちょうど20分で100°FのΔTを実現し、45分で118°Fに達し、2時間でまだ118°Fであった。
【表2】

【0054】
現在開示されている装置は、好ましい性能基準を十分に満足する。また、特に、この装置は、目標温度を16%速く実現し、周知の製品に比べて10°F高い温度差を維持した。それゆえ、開示された装置は、従来の周知のデバイスに対して性能優位性を有する。
【0055】
所与の用途に対する本放熱装置を設計し製造する際に、きわめて限られた実験を用いて当業者には周知である化学の原理を適用することによって、製品の様々な成分および/または構造配置のレベルを変更することによって装置の性能を調整することが可能である。例として、装置のセクションにおける様々な成分のレベルを変更することによって、水の加熱速度、実現されるピーク温度、および/または材料の高温持続時間を修正することが可能である。さらに、反応力学は、装置内のポケットのサイズ、形状、および/または配置を修正することによって制御され、微調整されうる。
【0056】
たとえば、図11は、Mg−Fe合金活性成分、触媒、およびアルカリ塩の量の3種類の組合せを用いて加熱されるときに、90オンス(約2.5kg)の水トレーの温度上昇の差を示す。性能は、30分の温度上昇の大きさで測定される。図11のグラフにおける構成Aは、144gの活性成分合金、450gのアルカリ塩、および1%の触媒で構成された。構成Bは、120gの活性成分合金、330gのアルカリ塩、および0%の触媒で構成された。構成Cは、105gの活性成分合金、290gのアルカリ塩、および1%の触媒で構成された。図11に提示された結果は、30分後に達した所望温度を30°Fも制御可能に修正することが可能であり、さらに、反応成分の割当を変更することによって温度上昇の勾配を変更することも可能であることを示す。
【0057】
本発明の説明に役立つさらなる実例として、図11は、90オンス(約2.5kg)の水トレーを加熱するときの120°Fの温度に達するのに必要な時間をさらに示す。結果は、所望温度に15分もかかって達するのを制御可能に修正することが可能であることを示す。
【0058】
別の例として、90オンス(約2.5kg)の試験水トレーを加熱するとき、温度上昇の速度は放熱装置内の触媒の量を変更することによって制御されうる。図12は、触媒の量を変更するために試験トレーの加熱10分後および30分後に実現した温度上昇のグラフを示す。このグラフで見られるように、0.5gの触媒粉末を含む装置を用いると、加熱10分後に、47°Fの温度上昇(ΔT)が実現されうるが、62°FのΔTは、1.2gの触媒粉末を含む装置で実現されうる。加熱30分後に、0.5gの触媒粉末を用いた装置は82°FのΔTをもたらし、1.2gの触媒粉末を用いた装置は107°FのΔTを提供しうる。
【0059】
それゆえ、上の例に示すように、開示された放熱装置の柔軟な設計により、装置内の成分の量を変更することで装置の性能を微調整しうる。さらに、装置は、ポーチ内のポケットの配置および形状および/またはマルチポーチ設計におけるポーチの構成を適切に設計することによって、微調整されてもよい。この微調整は、製造時に計画されて実施されてもよい。周知の熱化学原理および計算と簡単な実験とを適用すると、装置ポーチのそれぞれのポケットに割り当てられて堆積される活性成分合金、触媒、および活性剤のタイプ、量、および相対比率によって、機能を製造後の装置の使用目的に合わせて予想通りに設計することができる。
【0060】
本発明を実施する方法は前述の内容から明らかである。しかしながら、方法の一態様は装置のポーチの様々なポケットの間および中の溶解性成分を流れる溶液に輸送させうることがさらに観察されている。ポーチが前述のようにアルカリ塩溶液または非アルカリ塩溶液のいずれかで濡らされると、塩活性剤および触媒および/または界面活性剤などの成分は、たとえば、溶液に自由に混入し透過性ポケットの中を流れて、一般に水不溶性の活性成分に接触して所望の化学反応をもたらす。主ポーチ内の継ぎ目や境界を破る必要性はなくなる。
【0061】
それゆえ、要約すると、本明細書によって開示する1つの好ましい方法は、ポーチを提供するステップと、ポーチ内で少なくとも2つの透水性ポケットを規定するステップと、少なくとも1つの透水性ポケット内に乾燥粉末活性成分を配置するステップと、少なくとも1つの異なる透水性ポケット(すなわち、活性成分から物理的に分離された)に乾燥粉末触媒を配置するステップと、ポーチに塩活性剤を供給するステップと、その後の使用時に、透水性ポケットを浸透するのに十分な水でポーチを濡らし、塩活性剤および触媒の大部分を溶液に溶解させるステップと、得られる溶液を透水性ポケットの中に移動させて活性成分と接触させ、ポーチ内で発熱反応を開始させるステップと、の基本的なステップを備える。ポーチに塩活性剤を供給するステップは、a)乾燥粉末塩をポーチ内で規定された透水性ポケット内に配置するステップと、b)乾燥粉末塩を使用直前にポーチに設置するステップと、c)ポーチに塩活性剤を供給してポーチを水で濡らすステップがポーチにアルカリ塩溶液を塗布するステップに結合される別のサブプロセスとでありうる。
【0062】
方法は、好ましくは、乾燥粉末界面活性剤と、乾燥粉末水素ゲッターと、不活性物質とからなる群から選択される少なくとも1つの他の成分を少なくとも1つの透水性ポケット内に配置するステップをさらに備える。あるいは、ユーザーは、界面活性剤と、触媒と、塩活性剤とからなる群から選択される少なくとも1つの成分を別の溶液に取り込んでもよく、このようなプロセスでは、ポーチを濡らすステップは、ポーチをこの別の溶液で濡らすステップを含む。
【0063】
好ましくは、本発明では、少なくとも1つのポケット内の粉末活性成分の配置を選択的に測定し、かつ乾燥粉末塩および乾燥粉末触媒からなる群から選択される少なくとも1つの他の成分の他のポケット内の配置を選択的に測定することによって、発熱反応の速度を選択的に調整することが可能になり、測定するステップは、閉じたポケットを密封するステップの前に行なわれる。それゆえ、装置の製造時に、選択されたポケットの中に所定の定量化された成分量を配置することによって、装置の性能特性が、使用状況に適合させるための方法に従って事前に決定もしくは「調整」される。
【0064】
方法の最も好ましい実施では、マグネシウム−鉄合金を配置するステップは、およそ5重量%の鉄を含むマグネシウム−鉄合金を配置するステップ意味する。さらに、方法の1バージョンによると、水素ゲッターおよび/または不活性物質は、マグネシウム−鉄合金に取り込まれてもよい。水素ゲッターまたは不活性物質は、合金に取り込まれる場合が多いものの、別のプロセスでは実際にはどのポケットに配置されてもよい。
【0065】
当該方法の別のバージョンでは、ポーチ内で少なくとも2つの透水性ポケットを規定するステップは、少なくとも3つのポケットを規定するステップを含んでいてもよく、その場合、方法は、少なくとも1つのポケット内に粉末活性成分を配置するステップと、活性成分が配置されるポケットに加えて、ポーチ内の他のポケットの少なくとも1つに、触媒と、粉末塩活性剤と、粉末界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1つの他の成分を配置するステップとをさらに備えていてもよい。方法のこのバージョンでは、他のポケットの少なくとも1つは、粉末塩活性剤を保持し、ポーチを濡らすステップは、非アルカリ塩水をポーチに塗布するステップである。あるいは、いずれのポケットも粉末塩活性剤を保持していない場合、ポーチに塩活性剤を供給するステップは、使用直前に乾燥粉末塩をポーチに設置するステップを意味してもよい。いずれのポケットも粉末塩活性剤を保持していない場合、さらに別の方法では、ポーチに塩活性剤を供給するステップとポーチを濡らすステップとは、アルカリ塩溶液をポーチに塗布するステップを組み合わせたステップである。ポーチ内の他のポケットに少なくとも1つの他の成分を配置するステップは、他の成分の少なくとも2つの粉末混合物を配置するステップを含むことが好ましい。オプションとして、この方法は、さらにオプションとして、界面活性剤と、触媒と、塩活性剤とからなる群から選択される少なくとも1つの成分を別の溶液に取り込むさらに別のステップを含んでいてもよく、したがって、ポーチを濡らすステップは、その別の溶液でポーチを単に濡らすステップを備える。
【0066】
方法は、オプションとして、ポーチを提供するステップが2つまたはそれ以上のポーチを一緒に接続して提供するステップを備える、より高度なプロセスを含んでいてもよく、少なくとも2つの透水性ポケットを規定するステップは、これらのポーチの各々で少なくとも1つの透水性ポケットを規定するステップを備える。複数のポーチを使用するこの方法は、少なくとも1つのポケットに活性成分を配置する別のステップと、選択された他のポケット(すなわち、活性成分が配置されるポケットに加えて)に、触媒と、塩活性剤と、界面活性剤とからなる群から選択される1つまたは複数の成分を配置するステップとを有する。方法のこのバージョンは、前述のバージョンと同様に、任意のポケットに水素ゲッターまたは不活性成分を配置するステップを含んでいてもよい。さらに、先に要約したバージョンと同様に、ポケットの少なくとも1つが粉末塩活性剤を保持する場合、ポーチを濡らすステップは、ポーチに非アルカリ塩水を単に塗布するステップであることが好ましい。いずれのポケットも粉末塩活性剤を保持しない場合、ポーチに塩活性剤を供給するステップは、a)使用直前にポーチに乾燥粉末塩活性剤を設置するステップ、または、b)ポーチにアルカリ塩溶液を塗布して塩活性剤を供給するだけでなくポーチを濡らすステップを備えていてもよい。ポーチ内の他のポケットに少なくとも1つの他の成分を配置するステップは、他の成分の少なくとも2つの粉末混合物を配置するステップを意味することが好ましい。
【0067】
方法のすべての実施形態では、ポーチ内で少なくとも2つの透水性ポケットを規定するステップは、ポーチ内に非脆弱な継ぎ目を形成するステップを意味する。
【0068】
本開示による放熱装置および方法は、さらに重要な優位性を提供する。一般に、従来の無炎糧食ヒーターでは成分の全部または大部分が融合され、これによって装置の有効期限が制限される可能性がある。周知のデバイスおよび方法では、成分(活性成分Mg−Fe合金および触媒など)―これは混合された状態で互いに密接に接触している―は、混合物内の一定の他の成分と反応しうる。時間とともに、これは無炎ヒーターの性能の低下をもたらす可能性がある。例として、一定の触媒を含む一定の無炎糧食ヒーターは、約2年の有効期限後に温度上昇速度の低下を示すことが実証されている。
【0069】
対照的に、この開示された発明では、成分は主として別のポケットに封入されており、互いに密接に接触していない。この物理的分離の結果、使用前の保管中に成分が互いに反応する機会が限定される。それゆえ、開示された放熱装置は、有効期限が著しく長いという新たな利点を提供しうる。
【0070】
前述の好ましい実施形態を特に参照して本発明を詳しく説明してきたが、他の実施形態も同じ結果を実現しうる。本発明は従来の材料、方法、および機器を採用することによって実施されうる。したがって、このような材料、機器、および方法については、本明細書で詳しく記述しない。前述の説明では、本発明についての十分な理解を与えるために、具体的な材料、構造物、化学物質、プロセスなど、具体的詳細を記述した。しかしながら、当業者であれば認識されるように、本発明は、具体的に記述された詳細に頼らずに実施されうる。
【0071】
本発明の一部の実施形態であるが、その多用途性の数例を、本開示において説明している。本発明は、様々な他の組合せで利用され、本明細書に示した発明概念の範囲内で変更または修正されうることが理解される。本発明の修正は、当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲においてかかるすべての修正および等価物を網羅するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポーチを提供するステップと、
前記ポーチ内で少なくとも2つの透水性ポケットを規定するステップと、
少なくとも1つの透水性ポケットに乾燥粉末活性成分を配置するステップと、
前記活性成分から物理的に分離された少なくとも1つの異なる透水性ポケットに、乾燥粉末触媒を配置するステップと、
前記ポーチに塩活性剤を供給するステップと、
使用時に、前記透水性ポケットを浸透するのに十分な水で前記ポーチを濡らし、前記塩活性剤および前記触媒の大部分を溶液に溶解させるステップと、
前記得られる溶液を前記透水性ポケットの中に移動させて前記活性成分と接触させ、前記ポーチ内で発熱反応を開始させるステップと、
を備える品目を無炎加熱する方法。
【請求項2】
前記ポーチに塩活性剤を供給するステップは、前記ポーチ内で規定される透水性ポケット内に乾燥粉末塩を配置するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポーチに塩活性剤を供給するステップは、使用直前に前記ポーチに乾燥粉末塩を配置するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポーチに塩活性剤を供給するステップと前記ポーチを水で濡らすステップとは、前記ポーチにアルカリ塩溶液を塗布するステップを組み合わせたステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの透水性ポケット内に、乾燥粉末界面活性剤と、乾燥粉末水素ゲッターと、不活性物質とからなる群から選択される少なくとも1つの他の成分を配置するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
界面活性剤と、触媒と、塩活性剤とからなる群から選択される少なくとも1つの成分を別の溶液に取り込むステップをさらに備え、前記ポーチを濡らすステップは、前記ポーチを前記別の溶液で濡らすステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つのポケット内の粉末活性成分の前記配置を選択的に測定するステップと、
乾燥粉末塩および乾燥粉末触媒からなる群から選択される少なくとも1つの他の成分の前記他のポケット内の前記配置を選択的に測定するステップと、
によって前記発熱反応の速度を選択的に調整するステップをさらに備え、前記測定するステップは、閉じた前記ポケットを密封するステップの前に行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記乾燥粉末活性成分を配置するステップは、最大12重量%の鉄を含むマグネシウム−鉄合金を配置するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
最大12重量%の鉄を含むマグネシウム−鉄合金を配置するステップは、およそ5重量%の鉄を含むマグネシウム−鉄合金を配置するステップを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
水素ゲッターを前記マグネシウム−鉄合金に取り込むステップをさらに備える、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
不活性物質を前記マグネシウム−鉄合金に取り込むステップをさらに備える、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記ポーチ内で少なくとも2つの透水性ポケットを規定するステップは、少なくとも3つのポケットを規定するステップを備え、
前記粉末活性成分を少なくとも1つのポケットに配置するステップと、
前記ポーチ内の前記他のポケットの少なくとも1つに、活性成分が配置される前記ポケットに加えて、前記触媒と、粉末塩活性剤と、粉末界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1つの他の成分を配置するステップと、
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
水素ゲッターまたは活性物質のいずれかをいずれかのポケットに配置するステップをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記他のポケットの少なくとも1つは粉末塩活性剤を保持し、前記ポーチを濡らすステップは、非アルカリ塩水を前記ポーチに塗布するステップを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
いずれの前記ポケットも粉末塩活性剤を保持せず、前記ポーチに塩活性剤を供給するステップは、使用直前に、前記ポーチに乾燥粉末塩を配置するステップを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
いずれの前記ポケットも粉末塩活性剤を保持せず、前記ポーチに塩活性剤を供給するステップと前記ポーチを濡らすステップとは、前記ポーチにアルカリ塩溶液を塗布するステップを組み合わせたステップを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記ポーチ内の前記他のポケットに少なくとも1つの他の成分を配置するステップは、前記他の成分の少なくとも2つの粉末混合物を配置するステップを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
界面活性剤と、触媒と、塩活性剤とからなる群から選択される少なくとも1つの成分を別の溶液に取り込むステップをさらに備え、前記ポーチを濡らすステップは、前記ポーチを前記別の溶液で濡らすステップを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つのポケット内の粉末活性成分の前記配置を選択的に測定するステップと、
乾燥粉末塩および乾燥粉末触媒からなる群から選択される少なくとも1つの他の成分の前記他のポケットの前記配置を選択的に測定するステップと、
によって前記発熱反応の速度を選択的に調整するステップをさらに備え、前記測定するステップは、閉じた前記ポケットを密封するステップの前に行なわれる、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
ポーチを提供する前記ステップは、一緒に接続された2つまたはそれ以上のポーチを提供するステップを備え、
少なくとも2つの透水性ポケットを規定する前記ステップは、各ポーチ内で少なくとも1つの透水性ポケットを規定するステップを備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項21】
活性成分を少なくとも1つのポケットに配置するステップと、
選択された他のポケットに、活性成分が配置される前記ポケットに加えて、触媒と、塩活性剤と、界面活性剤とからなる群から選択される1つまたは複数の成分を配置するステップと、
をさらに備える、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
任意のポケットに水素ゲッターまたは不活性成分を配置するステップをさらに備える、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ポケットの少なくとも1つは粉末塩活性剤を保持し、前記ポーチを濡らすステップは、非アルカリ塩水を前記ポーチに塗布するステップを備える、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
いずれの前記ポケットも粉末塩活性剤を保持せず、前記ポーチに塩活性剤を供給するステップは、使用直前に、前記ポーチに乾燥粉末塩活性剤を配置するステップを備える、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
いずれの前記ポケットも粉末塩活性剤を保持せず、前記ポーチに塩活性剤を供給するステップと前記ポーチを濡らすステップとは、前記ポーチにアルカリ塩溶液を塗布するステップを組み合わせたステップを備える、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記ポーチ内の前記他のポケットに少なくとも1つの他の成分を配置するステップは、前記他の成分の少なくとも2つの粉末混合物を配置するステップを備える、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
界面活性剤と、触媒と、塩活性剤とからなる群から選択される少なくとも1つの成分を別の溶液に取り込むステップをさらに備え、前記ポーチを濡らすステップは、前記ポーチを前記別の溶液で濡らすステップを備える、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも1つのポケット内の粉末活性成分の前記配置を選択的に測定するステップと、
乾燥粉末塩および乾燥粉末触媒からなる群から選択される前記他の成分の1つまたは複数の混合物の前記他のポケット内の前記配置を選択的に測定するステップと、
によって前記発熱反応の速度を選択的に調整するステップをさらに備え、前記測定するステップは、閉じた前記ポケットを密封するステップの前に行なわれる、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記ポーチ内で少なくとも2つの透水性ポケットを規定するステップは、前記ポーチ内に非脆弱な継ぎ目を形成するステップを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
ポーチを提供するステップと、
前記ポーチ内で複数の透水性ポケットを非脆弱な継ぎ目で規定するステップと、
少なくとも1つの透水性ポケットに乾燥粉末活性成分を配置するステップと、
前記活性成分から物理的に分離された少なくとも1つの透水性ポケットに、乾燥粉末触媒を配置するステップと、
前記ポーチに塩活性剤を供給するステップと、
使用時に、前記透水性ポケットを浸透するのに十分な水で前記ポーチを濡らし、前記塩活性剤および前記触媒の大部分を溶液に溶融させるステップと、
前記得られる溶液を前記透水性ポケットの中に移動させて前記活性成分と接触させ、前記ポーチ内で発熱反応を開始させるステップと、
を備える品目を無炎加熱する方法。
【請求項31】
1つのポーチと、
前記ポーチ内の少なくとも2つの透水性ポケットと、
少なくとも1つの透水性ポケットに配置された乾燥粉末活性成分と、
前記活性成分から物理的に分離された、少なくとも1つの異なる透水性ポケットに配置された乾燥粉末触媒と、
塩活性剤と、
を備える装置であって、
前記ポーチは、使用時に、前記透水性ポケットを浸透するのに十分な水で濡らされ、前記塩活性剤および触媒の大部分を溶液に溶融させ、
前記得られる溶液を前記透水性ポケットの中に移動させて前記活性成分と接触させ、前記ポーチ内で発熱反応を開始させる、
品目を無炎加熱する装置。
【請求項32】
前記塩活性剤は、前記ポーチで規定された少なくとも1つの透水性ポケットに配置される乾燥粉末塩活性剤を備える、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記塩活性剤は、使用直前にポーチ外部に配置される乾燥粉末塩を備える、請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記塩活性剤は、使用直前にポーチ外部に塗布されるアルカリ塩溶液を備える、請求項31に記載の装置。
【請求項35】
少なくとも1つの他の透水性ポケットに配置される、乾燥粉末界面活性剤と、乾燥粉末水素ゲッターと、不活性物質とからなる群から選択される、少なくとも1つの他の成分をさらに備える、請求項31に記載の装置。
【請求項36】
界面活性剤と、触媒と、塩活性剤とからなる群から選択される少なくとも1つの成分を有する別の溶液を含む別の容器をさらに備え、前記別の容器内の前記別の溶液は、使用時に前記ポーチを濡らす、請求項31に記載の装置。
【請求項37】
少なくとも1つのポケットに密封される粉末活性成分の選択的に測定される量と、
乾燥粉末塩および乾燥粉末触媒からなる群から選択され、別のポケットに密封される少なくとも1つの他の成分の選択的に測定される量と、
を備え、
それによって、前記発熱反応の速度が選択的に微調整される、請求項31に記載の装置。
【請求項38】
前記活性成分は、最大12重量%の鉄を含むマグネシウム−鉄合金を備える、請求項31に記載の装置。
【請求項39】
前記マグネシウム−鉄合金は、およそ5重量%の鉄を含む、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記マグネシウム−鉄合金に取り込まれる水素ゲッターをさらに備える、請求項38に記載の装置。
【請求項41】
前記マグネシウム−鉄合金に取り込まれる不活性物質をさらに備える、請求項38に記載の装置。
【請求項42】
前記ポーチ内の前記少なくとも2つの透水性ポケットは少なくとも3つのポケットを備え、少なくとも1つのポケットに配置される前記粉末活性成分と、前記活性成分が配置される前記ポケットに加えて、前記ポーチ内の少なくとも1つの他のポケット内に配置される触媒と、粉末塩活性剤と、粉末界面活性剤とからなる群から選択される少なくとも1つの他の成分と、をさらに備える、請求項31に記載の装置。
【請求項43】
いずれかのポケットに配置される水素ゲッターまたは不活性物質を備える、請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記塩活性剤は、前記ポーチで規定される少なくとも1つの透水性ポケットに配置される乾燥塩活性剤粉末を備える、請求項42に記載の装置。
【請求項45】
いずれの前記ポケットも粉末塩活性剤を保持せず、前記塩活性剤は、使用直前に、前記ポーチに配置される乾燥粉末塩を備える、請求項42に記載の装置。
【請求項46】
いずれの前記ポケットも粉末塩活性剤を保持せず、前記塩活性剤は、使用直前に、前記ポーチに塗布されるアルカリ塩溶液を備える、請求項42に記載の装置。
【請求項47】
前記少なくなくとも1つの他の成分は、前記他の成分の少なくとも2つの粉末混合物を備える、請求項42に記載の装置。
【請求項48】
界面活性剤と、触媒と、塩活性剤とからなる群から選択される少なくとも1つの成分を有する別の溶液を含む別の容器をさらに備え、前記別の容器内の前記別の溶液は、使用時に前記ポーチを濡らす、請求項42に記載の装置。
【請求項49】
少なくとも1つのポケットに密封される粉末活性成分の選択的に測定される量と、
乾燥粉末塩および乾燥粉末触媒からなる群から選択され、別のポケットに密封される少なくとも1つの他の成分の選択的に測定される量と、
をさらに備え、
それによって、前記発熱反応の速度が選択的に微調整される、請求項42に記載の装置。
【請求項50】
一緒に接続された少なくとも2つのポーチと、
各ポーチ内の少なくとも1つの透水性ポケットと、
を備える、請求項31に記載の装置。
【請求項51】
少なくとも1つのポケットに配置された活性成分と、
前記活性成分を有する前記ポケットに加えて、少なくとも1つの他のポケット内に配置される触媒と、塩活性剤と、界面活性剤とからなる群から選択される1つまたは複数の成分と、
をさらに備える、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
不活性物質および水素ゲッターからなる群から選択される少なくとも1つの成分を含むポケットをさらに備える、請求項51に記載の装置。
【請求項53】
前記塩活性剤は、前記ポーチで規定された少なくとも1つの透水性ポケット内に配置された乾燥塩活性剤粉末を備える、請求項51に記載の装置。
【請求項54】
前記塩活性剤は、使用直前に前記ポーチ外部に配置される乾燥粉末塩を備える、請求項51に記載の装置。
【請求項55】
前記塩活性剤は、使用直前に前記ポーチ外部に塗布されるアルカリ塩溶液を備える、請求項51に記載の装置。
【請求項56】
少なくとも1つの他の透水性ポケット内に配置される、乾燥粉末界面活性剤と、乾燥粉末水素ゲッターと、不活性物質とからなる群から選択される、少なくとも1つの他の成分をさらに備える、請求項51に記載の装置。
【請求項57】
界面活性剤と、触媒と、塩活性剤とからなる群から選択される少なくとも1つの成分を有する別の溶液を含む別の容器をさらに備え、前記別の容器内の前記別の溶液は、使用時に前記ポーチを濡らす、請求項51に記載の装置。
【請求項58】
前記発熱反応の速度は、
少なくとも1つのポケットに密封される粉末活性成分の測定される量を取り込むステップと、
別のポケットに密封される少なくとも1つの他の成分の測定される量を取り込むステップと、
によって選択的に微調整される、請求項51に記載の装置。
【請求項59】
前記ポーチ内の前記少なくとも2つの透水性ポケットは、前記ポーチ内の非脆弱な継ぎ目によって規定される、請求項31に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図4e】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【図3】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−529005(P2012−529005A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513935(P2012−513935)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/001604
【国際公開番号】WO2010/141080
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(511302002)リード マニュファクチュアリング カンパニー (1)
【Fターム(参考)】