説明

調整可能便器

【課題】本発明の公共用調整可能便器は、床に対して便器の高さを自由に調整できる。
【解決手段】便器は、下部要素(1)と上部要素(2)とからなる。これらの要素は、内ネジ(14)を備えるスリーブと垂直ネジ(5)とによりスライド接続される。下部要素(1)内に装着されるネジ(5)は底から駆動要素(6)まで延び、平坦棒(4,7)に回転固定され、平坦棒(4,7)には、モーター(9)と大歯車(10)とを伴う平坦棒(8)が永久固定される。駆動要素(6,10)は、同じ水準に配置される。上部要素(2)は、任意の形状の便受け(11)を備え、便受けには汚水排出管(12)が永久接続され、上部要素(12)の内上面(13)には開口(15)に接続されるスリーブ(14)が取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床に対して自由に高さが調節可能な公共用調整可能便器に関する。
【背景技術】
【0002】
調整可能便器は、身障者、特に、運動障害がある人、様々なタイプの手術や外科処置後の回復期にある人並びに体重過多で異常体形の人のために意図される。
立位から座位に移ることが困難だと思われる身障者或いは体重過多者により使用されるための多くの便器が存在する。これらの便器は、使用者が使用者自身を支えることを可能にするレールのみと、通常組み合わされる。また、他人により上下されてもよい、使用者を持ち上げるプラットホームと組み合わされる便器も存在する。これらの手段の欠点は、使用範囲の狭さであり、実際、それらは多数の支持やレール(使用者に支持を提供する)の組付けを必要とするし、身障者による独力での便器の使用の、特に、想定される使用者が自力で立てないとか安定した立位を保てない際の、問題点を解決しない。
【0003】
特許文献1は、調整可能便器システムに言及する。これは、清水タンク、床に固定された下水パイプ、清水入口と使用済水出口とを備える便器と、清水タンクを便器入口に撓んで接続する可撓性清水導管と、便器出口を下水パイプに撓んで接続する可撓性使用済水導管と、便器を支え且つそれぞれの一端が床に取付けられそれぞれの他の一端が便器に取付けられる少数の別個に調整される便器の支持体を備えるシステムと、これらの支持体を互いに別々に移動させて便器を多数の平面内で移動させ便器を床に対して如何なる角度にも傾けるよう各支持体に接続される制御システムと、を有する。
特許文献1によるこの便器の欠点は、便器が油圧支持により持ち上げられても良い高さが限定されることである。加えて、便器を使用するには便器を使用者と共に傾け位置から水平位置まで移動させる必要から、支持構造は重大な過負荷に曝される。この便器のもう一つの欠点は、トイレの後壁内に垂直に位置する下水パイプに可撓性延長可能導管により接続される使用済水の水平方向出口に適合しないことである。
多くの障害者にとって、特に身障者或いは重大な体重過多に苦しむ人にとって、便器の使用は困難、時に、不可能な作業である。
【特許文献1】米国特許公報NO.6553582
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の主旨を構成する調整可能便器は、可撓性導管により清水タンクと接続される清水入口と、可撓性導管により使用済水排出管と接続される使用済水出口と組み合わされる。清水タンクは、直接に便器の後部に、トイレの壁に、或いは壁内に取付けられてもよい。使用済水は、便器後部の水平出口を通って排出されるか、便器底部に設けられる垂直出口を通って排出される。便器は、二つの基本要素により構成される。これらは、床上に設置される下部要素と、下部要素上に配置される上部要素とである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
床に固定される便器の下部要素は、便器の使用可能要素としての上部要素の安定して耐久性のある基礎を構成する。下部要素内には、便器を上下させる機械システムが組み込まれる。このシステムは、少なくとも二つのネジと、駆動機構を含む。下部要素内で、これらのネジは固定要素と組み合わされて、回転される。この要素が大歯車であれば有利である。便器の上部要素の効率的な上下を確実にするために、ネジは下部要素内に組み込まれて細長いスリーブの形態となり、左巻きのネジが細長いスリーブの形態の一端に導入され右巻きのネジが細長いスリーブの形態のもう一方の端に導入されることが有利である。各スリーブは内ネジを備え、ネジの出入りを促進する。スリーブの回転動作は、その開口から二つのネジのスリーブに対して相対する伸び方向と縮み方向への同時伸縮を可能にする。これらのスリーブは固定要素と組み合わされて回転動作する。この要素は大歯車であることが有利である。このタイプのネジは安定して上部便器要素の高さ上昇を可能にする。
【0006】
便器の上部要素に上下スライド動作をさせる駆動機構は、便器の下部要素に組み込まれる。駆動機構は、便器の使用者に安全な24Vを超えない電圧の電力で駆動される電気モーターと、可撓性歯付きベルトかチェーンとを有する。駆動機構に使用されるチェーンは、その故障の無い水平動作が確保されるよう構成される。減速器を通じて作用して、電気モーターは可撓性駆動ベルトを駆動し、ベルトの動きは、下部要素内に組み込まれた全てのネジ或いは右ネジ或いは左ネジを備えてネジと組み合わされるスリーブの同時回転運動に変換される。可撓性ベルトの動作方向に応じて、スリーブは左手或いは右手に便器の上部要素を上下させるようネジを制御する。
【0007】
便器の上部要素は、自由形状の適当な便受けを備える。便受けの後には、清浄水が流れて便器を洗い流すための開口がある。便受けの下部には、便受けから汚水を排出するための開口がある。この開口は不快な臭いを防ぐ空気防臭弁に接続される。他方、空気防臭弁は水平パイプを通じて外部可撓性蛇腹タイプ導管に接続され、この導管は便器の後部から排出される汚水を流す。空気防臭弁はまた、垂直可撓性蛇腹タイプ導管に接続される垂直パイプに接続され、垂直可撓性蛇腹タイプ導管は、便器の下の床に配置される垂直汚水導管に直接汚水を流す。上部要素内には、少なくとも二つのスリーブが組み込まれ、スリーブは便器の底部内のネジと同様に配置される。スリーブの内壁はネジが切られて便器の底部からネジが挿入されることを可能にする。
【0008】
便器の上部要素は、モーターと減速器の作動と非作動を制御するシステムにより作動される。一度作動されると、エンジンは駆動ベルトの作動を可能にして二つの方向へのネジの回転運動を生じさせ、便器の上部要素の昇降を生じさせる。便器の駆動機構は、有線接続或いは無線接続でいわゆる遠隔制御システムを利用して制御されても良い。
【0009】
本発明の主旨となる便器の有利な点は、その安定した構造であり、如何なる利用者の便器の利用も安全に保つ。加えて、本発明の主旨となる便器は、身障者による利用も、安全且つ容易に保つ。床に対して便座の高さを自由に設定できることは、便器が、非常に背の低い人も非常に背の高い人も利用できることを意味する。可撓性蛇腹式導管は、便器の拘束されない移動を促進し、その長さは、緩く下がって水の流れを妨げないように選択される。清浄水の便器への流れ込み及び使用済水の流れ出し用の蛇腹式導管の使用は、便所を美的にも改善する。
【実施例1】
【0010】
本発明の主旨は、構造図の形態で示され、図1は便器の不等角投影図であり、図2は組み立て前の便器の底部要素と上部要素を示し、図3は底部要素の上面図であり、図4は上部要素の底面図である。
【0011】
本発明の主旨を構成する便器の下部要素1は、それを床に固定するためのネジ用の開口3を備える。要素1の底の後部には、便器の後壁の前幅に沿って、設置平坦棒4が設けられ、底に永久固定された大歯車6を伴う二つのネジ5が設置平坦棒4上に旋回可能に装着される。全ての大歯車6が同じ水準に配置される。設置平坦棒4,7は平坦棒8のための支持構造を構成し、平坦棒8に、モーターの回転動作を大歯車10に伝達する減速器を備える電気モーター9が取付けられる。大歯車10は大歯車6と同じ水準に配置される。本発明の主旨を構成する便器の上部要素2は、便受け11を備え、便受けはそれに永久固定された汚水排出パイプ12を備える。開口15で終端をなすスリーブ14は、上部要素2の内上面13に取付けられる。底部要素1は、ハウジング16と組み合わされる。上部要素12はハウジング17と組み合わされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】便器の不等角投影図
【図2】組み立て前の便器の底部要素と上部要素を示す図
【図3】底部要素の上面図
【図4】上部要素の底面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床上に設置され清浄水入口と使用済水出口と接続される便受けセットと、可撓性使用済水導管と、別個に調整される複数の横支持体及び後支持体と、これらの支持体の制御システムと、を有する調整可能便器であり、
少なくとも内ネジ(14)付のスリーブと二つの垂直ネジ(5)とによりスライド接続される底部要素(1)と上部要素(2)とを有し、ネジ(5)は、底部要素(1)に組み付けられ、駆動要素(6)に接続され、平坦棒(4,7)に旋回可能に取付けられ、平坦棒(4,7)には、モーター(9)と駆動要素(10)とを伴う平坦棒(8)が永久固定され、駆動要素(6,10)は同一水準に配置され、上部要素(2)は、汚水排出管(12)に永久取付される自由形状の便受け(11)を備え、開口(15)で終端となるスリーブ(14)は上部要素(2)の内上面(13)上に設置される、調整可能便器。
【請求項2】
駆動要素(6,10)は、大歯車である、請求項1に記載の便器。
【請求項3】
ネジ(5)は細長いスリーブの形態の構造を有し、左ネジを備えるネジが細長いスリーブの一端で細長いスリーブに導入され、右ネジを備えるネジが細長いスリーブのもう一端で細長いスリーブに導入され、各スリーブは内ネジと永久取付された駆動要素(6)とを有する、請求項1に記載の便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−32268(P2007−32268A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−204492(P2006−204492)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(506258198)
【Fターム(参考)】