説明

調査装置及びコンピュータプログラム

【課題】刺激によって調査対象に対する被験者群の態度がどのように変化するのかを把握することに寄与することを図る。
【解決手段】被験者群に対し、調査対象に関する情報を提示して該調査対象に対する評価を取得する調査ステージを、調査ステージで取得した評価に基づいた刺激を新規の調査ステージで被験者に提示しながら、繰り返し行う調査実行モジュール2と、該取得された評価に関する情報を記憶するローデータ記憶部7、加工データ記憶部8と、調査ステージ間の評価の変化に関する分析データを生成する調査結果分析モジュール5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調査装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、商品やサービスに対する消費者の評価や購買等の行動は、商品を提供する企業が行うプロモーション活動や、インターネット上で広まる口コミ等のCGM(Consumer Generated Media)による情報などを受けて変化することが多い。特に近年はCGMの果たす役割が大きくなっているため、商品やサービスに対する消費者の評価を調査する際に、CGMの影響を考慮することが望まれる。従来、例えば特許文献1に記載の調査装置が知られている。この従来の調査装置では、相互評価用被験者に対して調査対象に対する既存の評価を提示して既存の評価に対する評価を取得し、既存の評価と該既存の評価に対する評価とを関連付けて記録している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−59206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の調査装置では、既存の評価の提示前後でそれぞれに調査対象に対する被験者の評価を取得するが、これだけでは、調査対象に対する被験者群の態度がどのように変化するのかを把握することが困難である。このため、CGMが消費者に与える影響を十分に解析することが難しい。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、刺激によって調査対象に対する被験者群の態度がどのように変化するのかを把握することに寄与することのできる調査装置及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係る調査装置は、被験者群に対し、調査対象に関する情報を提示して該調査対象に対する評価を取得する調査ステージを、前記調査ステージで取得した前記評価に基づいた刺激を新規の前記調査ステージで被験者に提示しながら、繰り返し行う調査手段と、前記取得された評価に関する情報を記憶する記憶手段と、前記調査ステージ間の前記評価の変化に関する分析データを生成する分析データ生成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る調査装置においては、前記調査ステージ毎に総合評価を集計する総合評価集計手段を備えたことを特徴とする。
本発明に係る調査装置においては、前記調査ステージ毎に部分評価を集計する部分評価集計手段を備えたことを特徴とする。
本発明に係る調査装置においては、前記調査ステージ毎に部分評価の重要度を算出する部分評価重要度算出手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る調査装置においては、前記調査ステージ毎かつ総合評価毎に、部分評価を集計する部分評価集計手段を備えたことを特徴とする。
本発明に係る調査装置においては、前記調査ステージ毎かつ総合評価毎に、部分評価の重要度を算出する部分評価重要度算出手段を備えたことを特徴とする。
本発明に係る調査装置においては、前記調査ステージ間で総合評価に変化のあった被験者と変化のなかった被験者を区別して、被験者に提示された刺激を集計する刺激集計手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る調査装置においては、前記調査ステージ間で総合評価に変化のあった被験者と変化のなかった被験者を区別して、被験者に提示された刺激の重要度を算出する刺激重要度算出手段を備えたことを特徴とする。
本発明に係る調査装置において、前記刺激集計手段は、前記調査ステージ間で総合評価に変化のあった被験者に提示された刺激を、変化の方向別に集計することを特徴とする。
本発明に係る調査装置において、前記刺激重要度算出手段は、前記調査ステージ間で総合評価に変化のあった被験者に提示された刺激の重要度を、変化の方向別に算出することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る調査装置においては、前記調査ステージ間で総合評価に変化のあった被験者と変化のなかった被験者を区別して、被験者に提示された刺激の基になった評価を行った被験者の属性を集計する属性集計手段を備えたことを特徴とする。
本発明に係る調査装置においては、前記調査ステージ間で総合評価に変化のあった被験者と変化のなかった被験者を区別して、被験者の属性を集計する属性集計手段を備えたことを特徴とする。
本発明に係る調査装置において、前記属性集計手段は、変化の方向別に前記属性を集計することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る調査装置においては、被験者の属性の値によって変化のしやすさが異なる属性を抽出する属性抽出手段を備えたことを特徴とする。
本発明に係る調査装置においては、総合評価の変化の有無別に、被験者属性の特徴的な値を検出する属性値検出手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る調査装置においては、前記調査ステージ間で総合評価に変化のあった被験者を対象にして、被験者に提示された刺激毎、被験者に提示された刺激の基になった評価を行った被験者の属性毎及び総合評価に変化のあった被験者の属性毎に、総合評価の変化量を算出する総合評価変化量算出手段を備えたことを特徴とする。
本発明に係る調査装置において、前記総合評価変化量算出手段は、総合評価の変化の方向別に、前記総合評価の変化量の算出を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る調査装置においては、複数の調査対象に係る前記分析データを前記調査ステージ毎に比較する出力データを生成する出力データ生成手段を備えたことを特徴とする。
本発明に係る調査装置において、前記出力データ生成手段は、調査対象と調査ステージと部分評価の関係を多次元で表現する出力データを生成することを特徴とする。
本発明に係る調査装置において、前記出力データ生成手段は、調査対象と調査ステージの組と、部分評価とを対象にした数量化3類の分析データである累積寄与率、列座標値及び行座標値に基づいて、調査対象と調査ステージの組と、部分評価とを多次元配置させる出力データを生成することを特徴とする。
本発明に係る調査装置において、前記出力データ生成手段は、調査対象と調査ステージの組と、部分評価と、被験者の属性とを対象にした数量化3類の分析データである累積寄与率、列座標値及び行座標値に基づいて、調査対象と調査ステージの組と、部分評価と、被験者の属性とを多次元配置させる出力データを生成することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るコンピュータプログラムは、被験者群に対し、調査対象に関する情報を提示して該調査対象に対する評価を取得する調査ステージを、前記調査ステージで取得した前記評価に基づいた刺激を新規の前記調査ステージで被験者に提示しながら、繰り返し行うステップと、前記取得された評価に関する情報を記憶手段に格納するステップと、前記調査ステージ間の前記評価の変化に関する分析データを生成するステップと、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであることを特徴とする。
これにより、前述の調査装置がコンピュータを利用して実現できるようになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、刺激によって調査対象に対する被験者群の態度がどのように変化するのかを把握することに寄与することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る調査装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る調査方法の全体手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る加工データの実施例である。
【図4】本発明の実施例1に係る分析データの構成例である。
【図5】本発明の実施例2に係る分析データの構成例である。
【図6】本発明の実施例3に係る分析データの構成例である。
【図7】本発明の実施例4に係る分析データの構成例である。
【図8】本発明の実施例5に係る分析データの構成例である。
【図9】本発明の実施例6に係る分析データの構成例である。
【図10】本発明の実施例7に係る分析データの構成例である。
【図11】本発明の実施例8に係る分析データの構成例である。
【図12】本発明の実施例9に係る分析データの構成例である。
【図13】本発明の実施例10に係る分析データの構成例である。
【図14】本発明の実施例10に係る分析データの他の構成例である。
【図15】本発明の実施例10に係る決定木の構成例である。
【図16】本発明の実施例11に係る分析データの構成例である。
【図17】本発明の実施例11に係る分析データの他の構成例である。
【図18】本発明の実施例11に係る決定木の構成例である。
【図19】本発明の実施例13に係る出力データの構成例である。
【図20】本発明の実施例13に係る出力データの他の構成例である。
【図21】本発明の実施例14に係る加工データの構成例である。
【図22】本発明の実施例14に係る度数集計表の例である。
【図23】本発明の実施例14に係る列座標値の例である。
【図24】本発明の実施例14に係る行座標値の例である。
【図25】本発明の実施例14に係る2次元マップの例である。
【図26】本発明の実施例14に係る2次元マップの他の例である。
【図27】本発明の実施例14に係る2次元マップの他の例である。
【図28】多重クロス表の例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る調査装置1の構成を示すブロック図である。図1において、調査装置1は、調査実行モジュール2と調査回答蓄積モジュール3と調査結果加工モジュール4と調査結果分析モジュール5と出力データ生成モジュール6とローデータ記憶部7と加工データ記憶部8と分析データ記憶部9を備える。
【0018】
調査実行モジュール2は、被験者群に対し、調査対象に関する情報を提示して該調査対象に対する評価を取得する調査ステージを繰り返し行う。このとき、調査実行モジュール2は、調査ステージを繰り返す度に、その繰り返しの中の過去の調査ステージで取得した評価に基づいた刺激を新規の調査ステージで被験者に提示する。これにより、調査対象に対する被験者の心証が提示された刺激によって変化すると、その心証の変化が調査対象に対する被験者の評価に反映されることが期待できる。
【0019】
調査回答蓄積モジュール3は、調査実行モジュール2が行う調査ステージで取得された評価に関する情報をローデータ記憶部7に格納する。ローデータ記憶部7は、各調査ステージで取得された評価に関する情報を蓄積する。調査結果加工モジュール4は、ローデータ記憶部7に蓄積された評価に関する情報を加工し、加工データを生成する。調査結果加工モジュール4は、生成した加工データを加工データ記憶部8に格納する。加工データ記憶部8は加工データを記憶する。
【0020】
調査結果分析モジュール5は、加工データ記憶部8内の加工データを用いて、調査ステージ間の評価の変化に関する分析データを生成する。調査結果分析モジュール5は、生成した分析データを分析データ記憶部9に格納する。分析データ記憶部9は分析データを記憶する。出力データ生成モジュール6は、分析データ記憶部9内の分析データを用いて、出力データを生成する。
【0021】
次に図2を参照して、図1に示す調査装置1の全体的な動作を説明する。図2は、本実施形態に係る調査方法の全体手順を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、調査ステージのことを単にステージと称する。
【0022】
図2において、ステップS1では、調査実行モジュール2が、第1ステージとして、被験者群に対し、調査対象に関するアンケートを提示して回答を取得する。アンケートの提示及び回答は、例えば、インターネット上のウェブサイトを利用してもよく、或いは電子メールを利用してもよい。そして、調査回答蓄積モジュール3が、その第1ステージの回答をそのままローデータ記憶部7に格納する。そして、調査結果加工モジュール4が、ローデータ記憶部7内の第1ステージの回答を加工し、加工データを加工データ記憶部8に格納する。
【0023】
次いで、ステップS2では、調査実行モジュール2がステージを更新する。これにより、ステージ番号が1だけ増加する。例えば、第1ステージから第2ステージに移る。以下、第nステージとする。
【0024】
次いで、ステップS3では、調査実行モジュール2が、被験者群に対し、調査対象を提示する。調査対象の提示は、調査対象に応じた種類のデータ(画像、音声、テキスト等)を用いる。次いで、ステップS4では、調査実行モジュール2が、被験者に対し、刺激を提示する。調査実行モジュール2は、ローデータ記憶部7内の回答を用いて、刺激を生成する。
【0025】
次いで、ステップS5では、調査実行モジュール2が、調査対象に関するアンケートを提示して回答を取得する。次いで、ステップS6では、調査回答蓄積モジュール3が、その第nステージの回答をそのままローデータ記憶部7に格納する。次いで、ステップS7では、調査結果加工モジュール4が、ローデータ記憶部7内の第nステージの回答を加工し、加工データを加工データ記憶部8に格納する。
【0026】
次いで、ステップS8では、調査実行モジュール2が、ステージの終了を判断する。この結果、ステージを終了する場合にはステップS9に進み、まだステージを終了しない場合にはステップS2に戻る。
【0027】
ステップS9では、調査結果分析モジュール5が、加工データ記憶部8内の加工データを用いて、調査ステージ間の評価の変化に関する分析データを生成する。そして、調査結果分析モジュール5は、生成した分析データを分析データ記憶部9に格納する。この後、出力データ生成モジュール6が、分析データ記憶部9内の分析データを用いて、出力データを生成する。出力データは、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等の表示装置の画面上で表示したり、印字装置で印字したり、インターネット等の通信回線を利用して送信したり、或いは可搬型記録媒体に格納したりすることができる。
【0028】
次に、本実施形態に係る、調査結果分析モジュール5が行う分析データ生成処理及び出力データ生成モジュール6が行う出力データ生成処理について、いくつかの実施例を挙げて説明する。
【0029】
まず、各実施例に共通の事項を説明する。
[調査対象]
調査対象は、1つ又は複数を任意に設定可能である。調査対象としては、例えば、商品、サービス、建造物、団体等が挙げられる。本実施例では、同様の商品を扱う3つの企業(A社、B社、C社)を調査対象とする。
【0030】
[評価]
調査対象に対する評価には、総合評価と部分評価がある。総合評価は、調査対象に対する総合的な評価である。通常、総合評価は数値で表現する。部分評価は、総合評価を構成する要素的な評価である。部分評価には、数値、テキスト、画像などを利用することができる。本実施例に係る総合評価は、調査対象の各社(A社、B社、C社)に対する選好度(5段階;5点:とても好き、4点:好き、3点:どちらともいえない、2点:嫌い、1点:とても嫌い)とする。被験者は、調査対象の企業(A社、B社、C社)毎に、選好度を5段階の中から1つ選択してアンケートに回答する。本実施例に係る部分評価は、第1ステージでは調査対象の各社(A社、B社、C社)に対する自由記述とし、第2ステージ以降では同様に自由記述または第1ステージで得られた回答(評価用語)からの選択とする。被験者は、調査対象の企業(A社、B社、C社)毎に、第1ステージでは評価をテキストで記述してアンケートに回答し、第2ステージ以降では評価をテキストで記述するか又はアンケートで提示された評価用語から選択するかしてアンケートに回答する。本実施例では、アンケートのテーマが「調査対象の各社(A社、B社、C社)のイメージ調査」であることをアンケートに明示する。このため、被験者は、部分評価として、調査対象の各社(A社、B社、C社)に対するイメージを表す語句(イメージ語)を回答する。
【0031】
調査結果加工モジュール4は、アンケート回答内の自由記述部分に対してテキストマイニング(text mining)を行い、表記ゆれ、同義語及び類義語の集約を行う。これにより、自由記述による部分評価を評価用語として使用することができるようになる。なお、部分評価が画像である場合には、各部分評価の画像を色相などの特徴量で数値化し、類似画像を集約する。
【0032】
[被験者の属性]
被験者の属性は、デモグラフィック属性および情報受動度とする。デモグラフィック属性には、性別、年齢、職業、居住地域、家族構成などがある。情報受動度には、情報交換をしないタイプ、情報を教えてもらうタイプ、情報を教えるタイプの3種類がある。アンケートの質問項目として被験者の属性を含める。被験者は、デモグラフィック属性及び情報受動度をアンケートで回答する。
【0033】
[刺激]
刺激には、アンケート回答に含まれる、調査対象に対する評価(総合評価もしくは部分評価)又は被験者の属性を用いることができる。本実施例では、被験者毎に、刺激を生成する。ある被験者に提示する刺激は、他の一被験者(刺激ユーザ)が一ステージで行った総合評価及び部分評価、並びに該刺激ユーザの属性とする。又、どの刺激ユーザのどのステージの評価を刺激に利用するのかは、無作為に選択する。
【0034】
なお、本実施例において、調査対象を提示するデータ及び調査対象に関するアンケートは、調査対象に関する情報である。又、被験者の識別子(被験者ID)、アンケート回答(調査対象に対する総合評価及び部分評価、並びに被験者の属性)及び被験者(アンケート回答者)に提示した刺激は、評価に関する情報である。
【0035】
被験者数は、調査対象の企業(A社、B社、C社)毎に、一定数(例えば100人)とする。ステージ数は、4つ(第1ステージから第4ステージまで)とする。
【0036】
図3は、本実施例に係る加工データの構成例である。調査結果加工モジュール4は、ローデータ記憶部7内のアンケート回答から、加工データを生成する。アンケート回答は、調査対象に対する評価(総合評価および部分評価)並びに被験者の属性を有する。図3に例示されるように、加工データは、調査対象、被験者、ステージ、被験者に提示した刺激、及び被験者の評価、に関する各情報を有する。具体的には、加工データは、調査対象の名称(対象名)と、被験者IDと、被験者の属性(被験者属性)と、ステージ番号と、被験者に提示した刺激(与えた刺激)と、与えた刺激の基になった評価を行った被験者(刺激ユーザ)の被験者IDと、刺激ユーザの属性と、被験者の総合評価と、被験者の部分評価との組を有する。調査結果分析モジュール5は、加工データを用いて分析データを生成する。なお、本実施例では、刺激ユーザの総合評価及び部分評価、並びに刺激ユーザの属性が、与えた刺激である。
【0037】
以下の各実施例で示す分析データの内容は、説明の便宜上のものであって、説明用の仮の内容である。
【実施例1】
【0038】
図4は、本発明の実施例1に係る分析データの構成例である。調査結果分析モジュール5は、調査対象別に、ステージ毎に総合評価を集計する。調査結果分析モジュール5は、その集計結果から、図4に例示されるように、一調査対象(図4の例はA社)に関する、被験者群の総合評価のステージ間の変化(図4の例は総合評価の各値の割合の変化)を表す分析データを作成する。この分析データから、被験者群の総合評価が刺激によってどのように変化するのかを把握することができる。図4の例では、A社の総合評価が、ステージが進むにつれて好き(4、5)の割合が増えていることが分かる。
【実施例2】
【0039】
図5は、本発明の実施例2に係る分析データの構成例である。調査結果分析モジュール5は、調査対象別に、ステージ毎に部分評価を集計する。調査結果分析モジュール5は、その集計結果から、図5に例示されるように、一調査対象(図5の例はA社)に関する、被験者群の部分評価のステージ間の変化(図5の例は部分評価の各評価用語の件数ランキングの変化)を表す分析データを作成する。この分析データから、被験者群の部分評価が刺激によってどのように変化するのかを把握することができる。図5の例では、A社の部分評価が、全ステージで共通して「オレンジ色」及び「音楽」が上位に登場していることが分かる。
【実施例3】
【0040】
図6は、本発明の実施例3に係る分析データの構成例である。調査結果分析モジュール5は、調査対象別に、ステージ毎に部分評価の重要度を算出する。重要度は次式で算出する。
重要度=当該ステージでの件数×(当該ステージでの件数÷全ステージでの総件数)
調査結果分析モジュール5は、その算出結果から、図6に例示されるように、一調査対象(図6の例はA社)に関する、被験者群の部分評価のステージ間の変化(図6の例は部分評価の各評価用語の重要度ランキングの変化)を表す分析データを作成する。この分析データから、被験者群の部分評価が刺激によってどのように変化するのかを把握することができる。図6の例では、A社の部分評価が、下線で示すように、第1ステージでは「若い」、第4ステージでは「おしゃれ」といった各ステージで特徴的なイメージ語が上位に登場していることが分かる。
【実施例4】
【0041】
図7は、本発明の実施例4に係る分析データの構成例である。調査結果分析モジュール5は、調査対象別に、調査ステージ毎かつ総合評価毎に、部分評価を集計する。調査結果分析モジュール5は、その集計結果から、図7に例示されるように、一調査対象(図7の例はA社)に関する、総合評価別(図7の例は総合評価の「4:好き」と「2:嫌い」の別)の、被験者群の部分評価のステージ間の変化(図7の例は部分評価の各評価用語の件数ランキングの変化)を表す分析データを作成する。この分析データから、総合評価別に、被験者群の部分評価が刺激によってどのように変化するのかを把握することができる。図7の例では、A社の部分評価が、好き嫌いともに、全ステージで共通して「オレンジ色」及び「音楽」が上位に登場していることが分かる。
【実施例5】
【0042】
図8は、本発明の実施例5に係る分析データの構成例である。調査結果分析モジュール5は、調査対象別に、ステージ毎かつ総合評価毎に、部分評価の重要度を算出する。調査結果分析モジュール5は、その算出結果から、図8に例示されるように、一調査対象(図8の例はA社)に関する、総合評価別(図7の例は総合評価の「4:好き」と「2:嫌い」の別)の、被験者群の部分評価のステージ間の変化(図8の例は部分評価の各評価用語の重要度ランキングの変化)を表す分析データを作成する。この分析データから、総合評価別に、被験者群の部分評価が刺激によってどのように変化するのかを把握することができる。図8の例では、A社の部分評価が、下線で示すように、好きと答えた被験者は、ステージが進むにつれて「若い」から「都会的」又は「おしゃれ」に変わっていくことが分かる。一方、嫌いと答えた被験者は、ステージにかかわらず「2番手」というイメージを持つことが分かる。
【実施例6】
【0043】
図9は、本発明の実施例6に係る分析データの構成例である。調査結果分析モジュール5は、調査対象別に、ステージ間で総合評価に変化のあった被験者と変化のなかった被験者を区別して、被験者に提示された刺激(与えた刺激)を集計する。調査結果分析モジュール5は、その集計結果から、図9に例示されるように、一調査対象(図9の例はA社)に関する、総合評価の変化の有無別の、刺激の比較(図9の例は各刺激の件数ランキングの比較)を表す分析データを作成する。この分析データから、総合評価の変化に寄与した刺激、総合評価の変化に寄与しない刺激を把握することができる。
【実施例7】
【0044】
図10は、本発明の実施例7に係る分析データの構成例である。調査結果分析モジュール5は、調査対象別に、ステージ間で総合評価に変化のあった被験者と変化のなかった被験者を区別して、被験者に提示された刺激(与えた刺激)の重要度を算出する。刺激の重要度の計算式は、上記部分評価の重要度の計算式と同様である。調査結果分析モジュール5は、その算出結果から、図10に例示されるように、一調査対象(図10の例はA社)に関する、総合評価の変化の有無別の、刺激の重要度の比較(図10の例は各刺激の重要度ランキングの比較)を表す分析データを作成する。この分析データから、総合評価の変化に寄与した刺激の重要度、総合評価の変化に寄与しない刺激の重要度を把握することができる。図10の例では、A社に関して、「若い」、「2番手」、「おしゃれ」、「A(A社の商標)」などの刺激が変化に影響を与えていることが分かる。
【実施例8】
【0045】
図11は、本発明の実施例8に係る分析データの構成例である。調査結果分析モジュール5は、調査対象別に、ステージ間で総合評価に変化のあった被験者に提示された刺激(与えた刺激)を、変化の方向別に集計する。調査結果分析モジュール5は、その集計結果から、図11に例示されるように、一調査対象(図11の例はA社)に関する、総合評価の変化の方向別(図11の例は、総合評価の好き(4、5)の方向(+方向)への変化と嫌い(2、1)の方向(−方向)への変化の別)の、刺激の比較(図11の例は各刺激の件数ランキングの比較)を表す分析データを作成する。この分析データから、総合評価の+方向への変化に寄与した刺激、総合評価の−方向への変化に寄与した刺激を把握することができる。なお、集計対象とする変化は、総合評価の方向別の変化だけではなく、部分評価の方向別の変化も集計対象にすることができる。例えば、部分評価としてのイメージ評価において、イメージの方向別の変化を集計対象とすることが挙げられる。イメージの方向の例としては、「さわやか系の方向」や「重厚系の方向」などがある。
【実施例9】
【0046】
図12は、本発明の実施例9に係る分析データの構成例である。調査結果分析モジュール5は、調査対象別に、ステージ間で総合評価に変化のあった被験者に提示された刺激(与えた刺激)の重要度を、変化の方向別に算出する。調査結果分析モジュール5は、その算出結果から、図12に例示されるように、一調査対象(図12の例はA社)に関する、総合評価の変化の方向別(図12の例は、総合評価の好き(4、5)の方向(+方向)への変化と嫌い(2、1)の方向(−方向)への変化の別)の、刺激の重要度の比較(図12の例は各刺激の重要度ランキングの比較)を表す分析データを作成する。この分析データから、総合評価の+方向への変化に寄与した刺激の重要度、総合評価の−方向への変化に寄与した刺激の重要度を把握することができる。図12の例では、A社に関して、「若い」及び「おしゃれ」は+方向への変化に、「2番手」及び「A(A社の商標)」は−方向への変化に、それぞれ影響を与えていることが分かる。
【0047】
上述の実施例1から9によれば、調査対象に対する被験者の総合評価もしくは部分評価、又は与えた刺激を分析することができる。
なお、部分評価が自由記述テキストではなく、アンケートで提示した個別評価得点であった場合には、決定木を使用することにより、総合評価の変化を起こすきっかけになったと推測される刺激を容易に抽出することができる。又、部分評価が自由記述テキストである場合にも、カテゴリ化を行い、集計度数が多ければ、決定木を使用することにより、総合評価の変化を起こすきっかけになったと推測される刺激を容易に抽出することが期待できる。
【0048】
又、部分評価が画像である場合には、画像分析を実施し、画像属性ランキングを作成することができる。この場合にも、決定木を使用することにより、画像属性の項目から、総合評価の変化を起こすきっかけになったと推測される刺激を容易に抽出することが期待できる。
【実施例10】
【0049】
図13は、本発明の実施例10に係る分析データの構成例である。調査結果分析モジュール5は、調査対象別に、ステージ間で総合評価に変化のあった被験者と変化のなかった被験者を区別して、被験者に提示された刺激(与えた刺激)の基になった評価を行った被験者(刺激ユーザ)の属性を集計する。調査結果分析モジュール5は、その集計結果から、図13に例示されるように、一調査対象(図13の例はA社)に関する、総合評価の変化の有無別の、刺激ユーザ属性の比較(図13の例は各刺激ユーザ属性の値(性別の値(男性、女性)、年代の値(20代、30代、40代))毎に件数及び割合の比較)を表す分析データを作成する。この分析データから、総合評価の変化に寄与した刺激ユーザ属性、総合評価の変化に寄与しない刺激ユーザ属性を把握することができる。
【0050】
又、調査結果分析モジュール5は、総合評価の変化の方向別に刺激ユーザ属性を集計する。調査結果分析モジュール5は、その集計結果から、図14に例示されるように、一調査対象(図14の例はA社)に関する、総合評価の変化の方向別(図14の例は、総合評価の好き(4、5)の方向(+方向)への変化と嫌い(2、1)の方向(−方向)への変化の別)の、刺激ユーザ属性の比較(図14の例は各刺激ユーザ属性の値(性別の値(男性、女性))毎に件数及び割合の比較)を表す分析データを作成する。この分析データから、総合評価の+方向への変化に寄与した刺激ユーザ属性、総合評価の−方向への変化に寄与した刺激ユーザ属性を把握することができる。図14の例では、+方向に変化させやすい刺激ユーザは女性が多く、−方向に変化させやすい刺激ユーザは男性が多いことが分かる。
【0051】
なお、被験者属性の種類が多い場合には、図15に例示するような決定木を作成することにより、分析データの生成が容易になる。又は、多重クロス表を作成してもよい。
【実施例11】
【0052】
図16は、本発明の実施例11に係る分析データの構成例である。調査結果分析モジュール5は、調査対象別に、ステージ間で総合評価に変化のあった被験者と変化のなかった被験者を区別して、被験者の属性を集計する。調査結果分析モジュール5は、その集計結果から、図16に例示されるように、一調査対象(図16の例はA社)に関する、総合評価の変化の有無別の、被験者属性の比較(図16の例は各被験者属性の値(性別の値(男性、女性)、情報受動度の値(情報交換をしないタイプ、情報を教えてもらうタイプ、情報を教えるタイプ))毎に件数及び割合の比較)を表す分析データを作成する。この分析データから、総合評価の変化しやすい被験者属性の値を把握することができる。又、総合評価の変化のしやすさを判定しやすい被験者属性を抽出することができる。図16の例では、情報受動度の値によって変化のしやすさが異なることが分かる。これにより、調査結果分析モジュール5は、情報受動度を、総合評価の変化のしやすさを判定しやすい被験者属性として抽出する。
【0053】
又、調査結果分析モジュール5は、総合評価の変化の有無別に、被験者属性の特徴的な値を検出する。この検出対象の被験者属性には、総合評価の変化のしやすさを判定しやすい被験者属性として抽出されたものを用いるようにしてもよい。調査結果分析モジュール5は、その検出結果から、図17に例示されるように、一調査対象(図17の例はA社)に関する、総合評価の変化の有無別の、被験者属性の特徴的な値(図17中の下線で示す値)の比較(図17の例は情報受動度の特徴的な値の比較)を表す分析データを作成する。この分析データから、総合評価の変化しやすい被験者属性の値、総合評価の変化しにくい被験者属性の値を把握することができる。図17の例では、情報を教えるタイプの人は総合評価が変化しやすく、情報交換をしないタイプの人は総合評価が変化しにくいことが分かる。
【0054】
なお、被験者属性の種類が多い場合には、図18に例示するような決定木を作成することにより、分析データの生成が容易になる。又は、多重クロス表を作成してもよい。
【0055】
上述の実施例10から11によれば、刺激ユーザ属性又は被験者属性が、総合評価の変化にどのような影響を与えるのかを分析することができる。
【実施例12】
【0056】
調査結果分析モジュール5は、ステージ間で総合評価に変化のあった被験者を対象にして、被験者に提示された刺激(与えた刺激)毎、与えた刺激の基になった評価を行った被験者(刺激ユーザ)の属性毎及び総合評価に変化のあった被験者の属性毎に、総合評価の変化量を算出する。これにより、与えた刺激、刺激ユーザ属性及び被験者属性の各々の変化量を比較することができる。さらには、総合評価の変化に関する重要な要因を把握することができる。又、調査結果分析モジュール5は、総合評価の変化の方向別に、該総合評価の変化量の算出を行うようにしてもよい。
【0057】
本実施例12によれば、与えた刺激、刺激ユーザ属性及び被験者属性を同列に扱って、総合評価の変化に関する効果を比較することができる。そして、その比較によって、総合評価の変化に関する重要な要因を把握することができるという効果が得られる。
【実施例13】
【0058】
図19は、本発明の実施例13に係る出力データの構成例である。出力データ生成モジュール6は、複数の調査対象に係る分析データをステージ毎に比較する出力データを生成する。図19の例では、出力データは、調査対象の各社(A社、B社、C社)に係るステージ毎に集計された総合評価の得点の平均値を並べてグラフ表示する。これにより、調査対象の各社(A社、B社、C社)について、ステージ毎に集計された総合評価の得点の平均値を比較することができる。そして、調査対象の各社(A社、B社、C社)のステージ間の総合評価の変化の違いを把握することができる。なお、図19の例では総合評価の得点の平均値を使用したが、総合評価の得点の集計値を使用してもよい。
【0059】
図20は、本発明の実施例13に係る出力データの他の構成例である。図20の例では、出力データは、調査対象の各社(A社、B社、C社)に係るステージ毎に作成された部分評価のランキングを並べて表形式で表示する。これにより、調査対象の各社(A社、B社、C社)について、ステージ毎に作成された部分評価のランキングを比較することができる。そして、調査対象の各社(A社、B社、C社)のステージ間の部分評価の違いを把握することができる。なお、図19の例では、ランキングを出力するようにしたが、調査対象の各社(A社、B社、C社)に係るステージ毎に、重要度の高い部分評価を一定数だけ選択しリスト形式で出力するようにしてもよい。また、部分評価としては、イメージ語等のテキストの他に、画像を利用することができる。又、部分評価として回答された画像に対し、画像特徴量の抽出を行って類似画像を集約し、集約後の画像(評価用画像)についてのランキングを作成してもよい。
【0060】
本実施例13によれば、調査対象とステージの組で、総合評価又は部分評価の異同を分析することができる。
【実施例14】
【0061】
出力データ生成モジュール6は、調査対象とステージと部分評価の関係を2次元で表現する出力データを生成する。以下、具体的に説明する。
図21は、本発明の実施例14に係る加工データの構成例である。図21の例では、加工データは、被験者IDと調査対象名とステージ番号と部分評価の各評価用語(図21の例では、「都会的」、「おしゃれ」、「大企業」、「ビジネス」、「動物」、「ユーモア」などのイメージ語)の出現の有(1)又は無(空白)との組を有する。
【0062】
調査結果分析モジュール5は、その加工データを用いて、図22に示されるような、調査対象とステージの組(調査対象−ステージ)対部分評価の度数集計表を作成する。次いで、調査結果分析モジュール5は、「調査対象−ステージ」対部分評価の度数集計表に対し数量化3類を用いて、「調査対象−ステージ」対部分評価を分析する。このとき、調査結果分析モジュール5は、固有値の寄与率(累積寄与率)を調べながら、次元数を決める。この例では、累積寄与率の高さに基づいて次元数を2とする。これにより2次元マップを作成するために、「調査対象−ステージ」を対象にした行座標値と、部分評価を対象にした列座標値とを算出する。図23は、部分評価を対象にした列座標値の例である。図24は、「調査対象−ステージ」を対象にした行座標値の例である。部分評価を対象にした列座標値は、2次元座標値(成分1、成分2)となる。「調査対象−ステージ」を対象にした行座標値は、2次元座標値(成分1、成分2)となる。
【0063】
出力データ生成モジュール6は、部分評価を対象にした列座標値(2次元座標値(成分1、成分2))と、「調査対象−ステージ」を対象にした行座標値(2次元座標値(成分1、成分2))とを用いて、「調査対象−ステージ」と部分評価の評価用語を2次元配置させる出力データを生成する。図25は、「調査対象−ステージ」と部分評価の評価用語を2次元配置した2次元マップの例である。図25において、成分1が第1次元の値となり、成分2が第2次元の値となる。この2次元マップによれば、調査対象間の相対的な位置づけ(競合関係)を把握しながら、同時にステージの進行に伴う該位置づけの変化も把握することができる。さらには、調査対象毎に、ステージの進行に伴う部分評価の変化を把握することができる。
【0064】
図26は、本発明の実施例14に係る2次元マップの他の例である。図26の例は、部分評価として画像も利用した場合の2次元マップ例である。2次元マップ上には評価用画像が配置される。
【0065】
図27は、本発明の実施例14に係る2次元マップの他の例である。図27の例では、「調査対象−ステージ」と部分評価(評価用語、評価用画像)と被験者属性を2次元配置する。このため、調査結果分析モジュール5は、「調査対象−ステージ」と部分評価(評価用語、評価用画像)と被験者属性とを対象にした数量化3類の分析を行い、累積寄与率を算出する。
なお、本実施例14では2次元マップを作成したが、次元数は、累積寄与率に基づいて任意に選択可能であって、3以上であってもよい。
【0066】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、本実施形態に係る分析データ生成処理で扱うデータ形式としては、「アイテムカテゴリ型」、「0−1型」といった加工データそのものを利用したり、或いは、注目する要因を対象にして図28に示すような多重クロス表を作成し利用したりすることができる。
【0067】
上述したように本実施形態によれば、調査対象に関し、刺激によって被験者群の評価がどのように変化するのか、さらにはどのような要因で評価が変化するのかを、効率的にシミュレーションすることができる。これにより、CGMが消費者に与える影響を十分に解析することが可能になるという格別の効果が得られる。
【0068】
又、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)被験者の調査対象に対する態度の変容の実態を把握することができる。例えば、商品に対する評価の収束方向を発見することができる。具体的には、刺激に応じて総合評価(好き又は嫌い)が上がる又は下がるなど、総合評価の収束方向を発見することができる。又は、刺激に応じて部分評価(イメージ語)が変化する(デザインに関するイメージ語が主だったものが、次第に価格に関するイメージ語が主となる)など、部分評価の収束方向を発見することができる。
【0069】
(2)被験者の調査対象に対する態度の変容のきっかけになった刺激(過去の評価、刺激ユーザ属性)を発見することができる。例えば、どのような過去の評価が商品に対する良い評価に貢献し、どのような過去の評価が商品に対する悪い評価に貢献するのかを発見することができる。又、どのような属性を持つ被験者からの刺激が商品に対する良い評価に貢献し、どのような属性を持つ被験者からの刺激が商品に対する悪い評価に貢献するのかを発見することができる。これは、例えば企業が発信したいメッセージを意図的に投入することで、商品に対する消費者の態度の変容をシミュレーションする場合などに利用することができる。
【0070】
(3)どのような属性を持つ被験者が調査対象に対する態度を変容しやすいのかを発見することができる。
(4)複数の調査対象間で、被験者の態度変容の内容、態度変容のきっかけとなる刺激、態度変容を起こしやすい被験者の特徴などを比較することができる。
【0071】
なお、本実施形態に係る調査装置1は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、あるいはパーソナルコンピュータ等のコンピュータシステムにより構成され、図1に示される調査装置1の各部の機能を実現するためのプログラムを実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0072】
また、その調査装置1には、周辺機器として入力装置、出力装置等(いずれも図示せず)が接続されるものとする。ここで、入力装置とはキーボード、マウス等の入力デバイスや、記録媒体からデータを読み出す読み出し装置等のことをいう。出力装置としては、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等の表示装置、記録媒体への記録装置、印字装置などが挙げられる。
また、上記周辺機器については、調査装置1に直接接続するものであってもよく、あるいは通信回線を介して接続するようにしてもよい。
【0073】
また、図2に示す各ステップを実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、調査処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disk)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0074】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0075】
1…調査装置、2…調査実行モジュール、3…調査回答蓄積モジュール、4…調査結果加工モジュール、5…調査結果分析モジュール、6…出力データ生成モジュール、7…ローデータ記憶部、8…加工データ記憶部、9…分析データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者群に対し、調査対象に関する情報を提示して該調査対象に対する評価を取得する調査ステージを、前記調査ステージで取得した前記評価に基づいた刺激を新規の前記調査ステージで被験者に提示しながら、繰り返し行う調査手段と、
前記取得された評価に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記調査ステージ間の前記評価の変化に関する分析データを生成する分析データ生成手段と、
を備えたことを特徴とする調査装置。
【請求項2】
前記調査ステージ毎に総合評価を集計する総合評価集計手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の調査装置。
【請求項3】
前記調査ステージ毎に部分評価を集計する部分評価集計手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の調査装置。
【請求項4】
前記調査ステージ毎に部分評価の重要度を算出する部分評価重要度算出手段を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の調査装置。
【請求項5】
前記調査ステージ毎かつ総合評価毎に、部分評価を集計する部分評価集計手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の調査装置。
【請求項6】
前記調査ステージ毎かつ総合評価毎に、部分評価の重要度を算出する部分評価重要度算出手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の調査装置。
【請求項7】
前記調査ステージ間で総合評価に変化のあった被験者と変化のなかった被験者を区別して、被験者に提示された刺激を集計する刺激集計手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の調査装置。
【請求項8】
前記調査ステージ間で総合評価に変化のあった被験者と変化のなかった被験者を区別して、被験者に提示された刺激の重要度を算出する刺激重要度算出手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の調査装置。
【請求項9】
前記刺激集計手段は、前記調査ステージ間で総合評価に変化のあった被験者に提示された刺激を、変化の方向別に集計することを特徴とする請求項7に記載の調査装置。
【請求項10】
前記刺激重要度算出手段は、前記調査ステージ間で総合評価に変化のあった被験者に提示された刺激の重要度を、変化の方向別に算出することを特徴とする請求項8に記載の調査装置。
【請求項11】
前記調査ステージ間で総合評価に変化のあった被験者と変化のなかった被験者を区別して、被験者に提示された刺激の基になった評価を行った被験者の属性を集計する属性集計手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の調査装置。
【請求項12】
前記調査ステージ間で総合評価に変化のあった被験者と変化のなかった被験者を区別して、被験者の属性を集計する属性集計手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の調査装置。
【請求項13】
前記属性集計手段は、変化の方向別に前記属性を集計することを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の調査装置。
【請求項14】
被験者の属性の値によって変化のしやすさが異なる属性を抽出する属性抽出手段を備えたことを特徴とする請求項12に記載の調査装置。
【請求項15】
総合評価の変化の有無別に、被験者属性の特徴的な値を検出する属性値検出手段を備えたことを特徴とする請求項14に記載の調査装置。
【請求項16】
前記調査ステージ間で総合評価に変化のあった被験者を対象にして、被験者に提示された刺激毎、被験者に提示された刺激の基になった評価を行った被験者の属性毎及び総合評価に変化のあった被験者の属性毎に、総合評価の変化量を算出する総合評価変化量算出手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の調査装置。
【請求項17】
前記総合評価変化量算出手段は、総合評価の変化の方向別に、前記総合評価の変化量の算出を行うことを特徴とする請求項16に記載の調査装置。
【請求項18】
複数の調査対象に係る前記分析データを前記調査ステージ毎に比較する出力データを生成する出力データ生成手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の調査装置。
【請求項19】
前記出力データ生成手段は、調査対象と調査ステージと部分評価の関係を多次元で表現する出力データを生成することを特徴とする請求項18に記載の調査装置。
【請求項20】
前記出力データ生成手段は、調査対象と調査ステージの組と、部分評価とを対象にした数量化3類の分析データである累積寄与率、列座標値及び行座標値に基づいて、調査対象と調査ステージの組と、部分評価とを多次元配置させる出力データを生成することを特徴とする請求項19に記載の調査装置。
【請求項21】
前記出力データ生成手段は、調査対象と調査ステージの組と、部分評価と、被験者の属性とを対象にした数量化3類の分析データである累積寄与率、列座標値及び行座標値に基づいて、調査対象と調査ステージの組と、部分評価と、被験者の属性とを多次元配置させる出力データを生成することを特徴とする請求項19に記載の調査装置。
【請求項22】
被験者群に対し、調査対象に関する情報を提示して該調査対象に対する評価を取得する調査ステージを、前記調査ステージで取得した前記評価に基づいた刺激を新規の前記調査ステージで被験者に提示しながら、繰り返し行うステップと、
前記取得された評価に関する情報を記憶手段に格納するステップと、
前記調査ステージ間の前記評価の変化に関する分析データを生成するステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2010−287068(P2010−287068A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140534(P2009−140534)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【出願人】(500475340)株式会社日経リサーチ (2)