調湿装置
【課題】冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続された吸着熱交換器を備えた調湿装置において、室内の目標換気量に対応しながら調湿運転できるようにする。
【解決手段】調湿装置に、供給空気及び上記排出空気の風量を変更するファン用インバータ(5)と、室内の目標換気量に応じてファン用インバータ(5)に指令を送る換気制御部(4)とを設ける。
【解決手段】調湿装置に、供給空気及び上記排出空気の風量を変更するファン用インバータ(5)と、室内の目標換気量に応じてファン用インバータ(5)に指令を送る換気制御部(4)とを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続された吸着熱交換器を利用して調湿運転を行う調湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、室内を調湿する調湿装置が知られている。例えば、特許文献1には、表面に吸着剤を担持させた吸着熱交換器を備えた調湿装置が開示されている。
【0003】
特許文献1の調湿装置は、2つの吸着熱交換器を備えた冷媒回路が設けられている。この冷媒回路は、第1の吸着熱交換器が凝縮器となって第2の吸着熱交換器が蒸発器となる第1動作と、第2の吸着熱交換器が凝縮器となって第1の吸着熱交換器が蒸発器となる第2動作とを、所定の時間間隔で交互に行う。蒸発器として動作する吸着熱交換器では、吸着剤に空気中の水分が吸着される。凝縮器として動作する吸着熱交換器では、水分が吸着剤から脱離して空気に付与される。
【0004】
又、特許文献1の調湿装置は、各吸着熱交換器を通過した空気の一方を室内へ供給して他方を室外へ排出する。除湿運転中の調湿装置では、第1及び第2の吸着熱交換器のうち蒸発器として動作する方を通過した室外空気が供給空気として室内へ供給され、凝縮器として動作する方を通過した室内空気が排出空気として室外へ排出される。また、加湿運転中の調湿装置では、第1及び第2の吸着熱交換器のうち蒸発器として動作する方を通過した室内空気が室外へ排出され、凝縮器として動作する方を通過した室外空気が室内へ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−078108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の調湿装置の場合、室外の新鮮な空気を調湿して室内に供給することができるものの、室内にいる人の人数に応じて変化する目標換気量に十分に対応できないことがあった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続された吸着熱交換器を備えた調湿装置において、室内の目標換気量に対応しながら調湿運転できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、室外の空気を供給空気として室内へ供給する給気ファン(26)と、室内の空気を排出空気として室外へ排出する排気ファン(25)と、一方を上記供給空気が通過して他方を上記排出空気が通過する第1及び第2吸着熱交換器(51,52)が接続されて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(50)とを備えた調湿装置を前提としている。
【0009】
そして、上記調湿装置において、上記供給空気及び上記排出空気の風量を変更する風量変更機構(5)と、室内の目標換気量に応じて上記風量変更機構(5)を制御する換気制御部(4)とを備えていることを特徴としている。
【0010】
第1の発明では、上記換気制御部(4)により、室内の目標換気量に応じて上記供給空気及び上記排出空気の風量が調整される。つまり、室内にいる人の人数が増えて目標換気量が大きくなると、上記供給空気及び上記排出空気の風量が大きくなって室内の換気量が増加する。一方、室内にいる人の人数が減って目標換気量が小さくなると、上記供給空気及び上記排出空気の風量が小さくなって室内の換気量が減少する。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、上記冷媒回路(50)には、運転容量可変の圧縮機(53)が接続され、上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上である場合に出力される高圧信号を受けると、上記圧縮機(53)の運転容量を上記高圧信号入力時よりも減少させる圧縮機制御部(1)を備えていることを特徴としている。
【0012】
第2の発明では、例えば上記換気制御部(4)によって上記供給空気及び上記排出空気の風量が少なくなって上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上になった場合に、上記圧縮機(53)の運転容量が減少する。これにより、上記第1又は第2吸着熱交換器(51,52)を流れる冷媒の流量が上記高圧信号入力時よりも少なくなり、上記供給空気及び上記排出空気の風量低下に起因する上記高圧圧力の上昇が抑えられる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、上記冷媒回路(50)における圧縮機(53)の吐出配管(53a)と吸入配管(53b)とを連通するバイパス配管(2)に取り付けられたバイパス弁(3)と、上記圧縮機(53)の運転容量が最低容量であり、且つ上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上の状態が所定時間継続する場合に出力される高圧回避信号を受けると、上記バイパス弁(3)を開状態に設定する第1バイパス弁開閉部(6)とを備えていることを特徴としている。
【0014】
第3の発明では、上記圧縮機(53)の運転容量が最低容量となって上記高圧圧力の上昇を抑えきれない場合に、上記バイパス弁(3)が開くようになる。
【0015】
第4の発明は、第1又は第2の発明において、上記冷媒回路(50)における圧縮機(53)の吐出配管(53a)と吸入配管(53b)とを連通するバイパス配管(2)に取り付けられたバイパス弁(3)と、上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上である場合に出力される高圧信号を受けると、上記バイパス弁(3)を開状態にし、上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値よりも小さい場合に出力される低圧信号を受けると上記バイパス弁(3)を閉状態にする第2バイパス弁開閉部(8)とを備えていることを特徴としている。
【0016】
第4の発明では、例えば上記風量変更機構(5)によって上記供給空気及び上記排出空気の風量が少なくなって上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上になった場合に、上記バイパス弁(3)が開く。こうすると、上記圧縮機(53)から吐出した冷媒の一部が該圧縮機(53)の吸入側へ戻り、残りの冷媒が第1又は第2吸着熱交換器(51,52)を流れる。
【0017】
これにより、第2の発明と同様に、上記第1又は第2吸着熱交換器(51,52)を流れる冷媒の流量が上記高圧信号入力時よりも少なくなり、上記供給空気及び上記排出空気の風量低下に起因する上記高圧圧力の上昇が抑えられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記換気制御部(4)により、室内の目標換気量に応じて上記供給空気及び上記排出空気の風量を調整することができる。これにより、上記調湿装置において、室内の目標換気量に見合う換気量に調整しながら調湿運転を行うことができる。
【0019】
また、上記第2の発明によれば、上記供給空気及び上記排出空気の風量低下に起因する上記高圧圧力の上昇を抑えることができる。これにより、室内の目標換気量が減少した場合でも、上記高圧圧力の上昇を抑えながら室内の換気量を減少させることができ、上記換気制御部(4)による換気制御を行いやすくすることができる。
【0020】
また、上記第3の発明によれば、上記圧縮機(53)の運転容量が最低容量となって上記高圧圧力の上昇を抑えきれない場合に、上記バイパス弁(3)が開く。ここで、このバイパス弁(3)は、上述したように、圧縮機(53)から吐出した冷媒の一部を該圧縮機(53)の吸入側へ戻すためのものである。このことから、上記バイパス弁(3)が開くと、上記圧縮機(53)の消費電力は変わらずに第1及び第2吸着熱交換器(51,52)の熱交換量だけが減少することとなり、上記冷媒回路(50)における冷凍サイクルの成績係数(COP)は低下する。
【0021】
したがって、上記バイパス弁(3)が開くタイミングを限定することで、上記冷媒回路(50)における冷凍サイクルの成績係数をできるだけ低下させずに、上記供給空気及び上記排出空気の風量低下に起因する上記高圧圧力の上昇を抑えることができる。
【0022】
また、上記第4の発明によれば、上記供給空気及び上記排出空気の風量低下に起因する上記高圧圧力の上昇を抑えることができる。これにより、室内の目標換気量が減少した場合でも、上記高圧圧力の上昇を抑えながら室内の換気量を減少させることができ、上記換気制御部(4)による換気制御を行いやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】前面側から見た調湿装置をケーシングの一部および電装品箱を省略して示す斜視図である。
【図2】調湿装置をケーシングの天板を省略して示す平面図である。
【図3】冷媒回路の構成を示す配管系統図であって、(A)は第1動作中の動作を示すものであり、(B)は第2動作中の動作を示すものである。
【図4】吸着熱交換器の概略斜視図である。
【図5】コントローラの構成を示すブロック図である。
【図6】その他の実施形態に係るコントローラの構成を示すブロック図である。
【図7】除湿換気運転の第1動作における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【図8】除湿換気運転の第2動作における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【図9】加湿換気運転の第1動作における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【図10】加湿換気運転の第2動作における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【図11】単純換気運転における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【図12】コントローラの高圧制御動作を示す制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態の調湿装置(10)は、室内の湿度調節と共に室内の換気を行うものであり、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調節して室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を室外に排出する。
【0025】
〈調湿装置の構造〉
調湿装置(10)の構造について説明する。なお、ここでの説明で用いる「上」「下」「左」「右」「前」「後」「手前」「奥」は、特にことわらない限り、調湿装置(10)を前面側から見た場合の方向を意味している。
【0026】
図1,図2に示すように、調湿装置(10)は、ケーシング(11)を備えている。また、ケーシング(11)内には、冷媒回路(50)が収容されている。この冷媒回路(50)には、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)、及び電動膨張弁(55)が接続されている。冷媒回路(50)の詳細は後述する。
【0027】
ケーシング(11)は、やや扁平で高さが比較的低い直方体状に形成されている。ケーシング(11)では、図1における左手前の側面(即ち、前面)を形成する部分が前面パネル部(12)となり、同図における右奥の側面(即ち、背面)を形成する部分が背面パネル部(13)となっている。また、このケーシング(11)では、同図における右手前の側面を形成する部分が第1側面パネル部(14)となり、同図における左奥の側面を形成する部分が第2側面パネル部(15)となっている。
【0028】
ケーシング(11)には、外気吸込口(24)と、内気吸込口(23)と、給気口(22)と、排気口(21)とが形成されている。外気吸込口(24)及び内気吸込口(23)は、背面パネル部(13)に開口している。背面パネル部(13)では、その下側部分に外気吸込口(24)が形成され、その上側部分に内気吸込口(23)が形成されている。給気口(22)は、第1側面パネル部(14)における前面パネル部(12)側の端部付近に配置されている。排気口(21)は、第2側面パネル部(15)における前面パネル部(12)側の端部付近に配置されている。
【0029】
ケーシング(11)の内部空間には、上流側仕切板(71)と、下流側仕切板(72)と、中央仕切板(73)と、第1仕切板(74)と、第2仕切板(75)とが設けられている。これらの仕切板(71〜75)は、何れもケーシング(11)の底板に立設されており、ケーシング(11)の内部空間をケーシング(11)の底板から天板に亘って区画している。
【0030】
上流側仕切板(71)及び下流側仕切板(72)は、前面パネル部(12)及び背面パネル部(13)と平行に配置されている。ケーシング(11)の内部空間において、上流側仕切板(71)は背面パネル部(13)寄りに配置され、下流側仕切板(72)は前面パネル部(12)寄りに配置されている。
【0031】
第1仕切板(74)は、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を右側から塞ぐように配置されている。第2仕切板(75)は、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を左側から塞ぐように配置されている。中央仕切板(73)は、上流側仕切板(71)及び下流側仕切板(72)と直交する姿勢で、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間に配置されている。中央仕切板(73)は、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を左右に区画している。
【0032】
図7にも示すように、ケーシング(11)内では、上流側仕切板(71)と背面パネル部(13)の間の空間が、上下2つの空間に仕切られている。上下に仕切られたこの空間は、上側の空間が内気側通路(32)を構成し、下側の空間が外気側通路(34)を構成している。
【0033】
内気側通路(32)は、内気吸込口(23)に接続するダクトを介して室内と連通している。内気側通路(32)には、空気から塵埃等を除去するための内気側フィルタ(27)が設けられている。内気側通路(32)は、この内気側フィルタ(27)によって前後に区画されている。内気側通路(32)における内気側フィルタ(27)の前側(下流側)の部分には、内気温湿度センサ(96)が収容されている。この内気温湿度センサ(96)は、空気の温度と相対湿度を計測する計測器であって、ケーシング(11)の天板に取り付けられている。
【0034】
外気側通路(34)は、外気吸込口(24)に接続するダクトを介して室外空間と連通している。外気側通路(34)には、空気から塵埃等を除去するための外気側フィルタ(28)が設けられている。外気側通路(34)は、この外気側フィルタ(28)によって前後に区画されている。外気側通路(34)における外気側フィルタ(28)の前側(下流側)の部分には、外気温湿度センサ(97)が収容されている。この外気温湿度センサ(97)は、空気の温度と相対湿度を計測する計測器であって、ケーシング(11)の底板に取り付けられている。
【0035】
上述したように、ケーシング(11)内における上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間は、中央仕切板(73)によって左右に区画されている。左右に仕切られたこの空間は、中央仕切板(73)の右側の空間が第1熱交換器室(37)を構成し、中央仕切板(73)の左側の空間が第2熱交換器室(38)を構成している。
【0036】
第1熱交換器室(37)には、第1吸着熱交換器(51)が収容されている。また、第1熱交換器室(37)には、冷媒回路(50)の電動膨張弁(55)が収容されている。第2熱交換器室(38)には、第2吸着熱交換器(52)が収容されている。各吸着熱交換器(51,52)は、全体として長方形の厚板状あるいは扁平な直方体状に形成されている。そして、吸着熱交換器(51,52)は、熱交換器室(37,38)内に立設され、熱交換器室(37,38)を前後に区画している。なお、吸着熱交換器(51,52)の詳細は後述する。
【0037】
図7にも示すように、ケーシング(11)の内部空間では、下流側仕切板(72)の前面に沿った部分が上下に仕切られている。上下に仕切られたこの空間は、上側の空間が給気側通路(31)を構成し、下側の空間が排気側通路(33)を構成している。
【0038】
上流側仕切板(71)には、開閉式のダンパ(41〜44)が4つ設けられている。各ダンパ(41〜44)は、概ね横長の長方形状に形成されている。具体的に、上流側仕切板(71)のうち内気側通路(32)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1内気側ダンパ(41)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2内気側ダンパ(42)が取り付けられる。また、上流側仕切板(71)のうち外気側通路(34)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1外気側ダンパ(43)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2外気側ダンパ(44)が取り付けられる。
【0039】
下流側仕切板(72)には、開閉式のダンパ(45〜48)が4つ設けられている。各ダンパ(45〜48)は、概ね横長の長方形状に形成されている。具体的に、下流側仕切板(72)のうち給気側通路(31)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1給気側ダンパ(45)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2給気側ダンパ(46)が取り付けられる。また、下流側仕切板(72)のうち排気側通路(33)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1排気側ダンパ(47)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2排気側ダンパ(48)が取り付けられる。
【0040】
ケーシング(11)内では、給気側通路(31)及び排気側通路(33)と前面パネル部(12)との間の空間が、仕切板(77)によって左右に仕切られている。この左右に仕切られた空間は、仕切板(77)の右側の空間が給気ファン室(36)を構成し、仕切板(77)の左側の空間が排気ファン室(35)を構成している。この仕切板(77)は、中央仕切板(73)よりも更に第2側面パネル部(15)寄りに立設されている。給気ファン室(36)及び排気ファン室(35)は、何れもケーシング(11)の底板から天板に亘る空間である。
【0041】
給気ファン室(36)には、給気ファン(26)が収容されている。また、排気ファン室(35)には排気ファン(25)が収容されている。給気ファン(26)及び排気ファン(25)は、何れも遠心型の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)である。これらのファン(25,26)は、ファンロータと、ファンケーシング(86)と、電動機であるファンモータ(89)とを備えている。図示しないが、ファンロータは、ファンケーシング(86)に収容され、ファンモータ(89)によって駆動される。
【0042】
給気ファン室(36)において、給気ファン(26)は、ファンケーシング(86)の吸入口(87)が下流側仕切板(72)と対面する姿勢で設置されている。また、この給気ファン(26)のファンケーシング(86)の吹出口(88)は、給気口(22)に連通する状態で第1側面パネル部(14)に取り付けられている。
【0043】
排気ファン室(35)において、排気ファン(25)は、ファンケーシング(86)の吸入口(87)が下流側仕切板(72)と対面する姿勢で設置されている。また、この排気ファン(25)のファンケーシング(86)の吹出口(88)は、排気口(21)に連通する状態で第2側面パネル部(15)に取り付けられている。
【0044】
給気ファン室(36)には、冷媒回路(50)の圧縮機(53)と四方切換弁(54)とが収容されている。圧縮機(53)及び四方切換弁(54)は、給気ファン室(36)における給気ファン(26)と仕切板(77)との間に配置されている。
【0045】
ケーシング(11)内において、第1仕切板(74)と第1側面パネル部(14)の間の空間は、第1バイパス通路(81)を構成している。また、ケーシング(11)内において、第2仕切板(75)と第2側面パネル部(15)の間の空間は、第2バイパス通路(82)を構成している。
【0046】
第1バイパス通路(81)の始端(背面パネル部(13)側の端部)は、外気側通路(34)だけに連通しており、内気側通路(32)からは遮断されている。第1バイパス通路(81)の終端(前面パネル部(12)側の端部)は、仕切板(78)によって、給気側通路(31)、排気側通路(33)、及び給気ファン室(36)から区画されている。仕切板(78)のうち給気ファン室(36)に臨む部分には、第1バイパス用ダンパ(83)が設けられている。第1バイパス用ダンパ(83)は、概ね縦長の長方形状に形成された開閉式のダンパである。
【0047】
第2バイパス通路(82)の始端(背面パネル部(13)側の端部)は、第2仕切板(75)に形成された連通口(76)を介して内気側通路(32)だけに連通しており、外気側通路(34)からは遮断されている。第2バイパス通路(82)の終端(前面パネル部(12)側の端部)は、仕切板(79)によって、給気側通路(31)、排気側通路(33)、及び排気ファン室(35)から区画されている。仕切板(79)のうち排気ファン室(35)に臨む部分には、第2バイパス用ダンパ(84)が設けられている。第2バイパス用ダンパ(84)は、概ね縦長の長方形状に形成された開閉式のダンパである。
【0048】
なお、図7の右側面図及び左側面図では、第1バイパス通路(81)、第2バイパス通路(82)、第1バイパス用ダンパ(83)、及び第2バイパス用ダンパ(84)の図示を省略している。
【0049】
ケーシング(11)の前面パネル部(12)では、その右寄りの部分に電装品箱(90)が取り付けられている(図2を参照)。電装品箱(90)は、直方体状の箱であって、その内部に制御用基板(91)と電源用基板(92)とが収容されている。制御用基板(91)及び電源用基板(92)は、電装品箱(90)の側板のうち前面パネル部(12)に隣接する部分(即ち、背面板)の内側面に取り付けられている。
【0050】
〈冷媒回路の構成〉
上記冷媒回路(50)について、図3を参照しながら説明する。
【0051】
上記冷媒回路(50)は、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)、及び電動膨張弁(55)が設けられた閉回路である。この冷媒回路(50)は、充填された冷媒を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。
【0052】
又、この冷媒回路(50)には、圧縮機(53)の吐出側に接続された吐出配管(53a)と吸入側に接続された吸入配管(53b)とを接続するバイパス配管(2)が設けられている。そして、このバイパス配管(2)にはバイパス弁(3)が取り付けられている。
【0053】
上記冷媒回路(50)において、圧縮機(53)の吐出配管(53a)が四方切換弁(54)の第1のポートに、該圧縮機(53)の吸入配管(53b)が四方切換弁(54)の第2のポートにそれぞれ接続されている。第1吸着熱交換器(51)の一端は、四方切換弁(54)の第3のポートに接続されている。第1吸着熱交換器(51)の他端は、電動膨張弁(55)を介して第2吸着熱交換器(52)の一端に接続されている。第2吸着熱交換器(52)の他端は、四方切換弁(54)の第4のポートに接続されている。
【0054】
上記四方切換弁(54)は、第1のポートと第3のポートが連通して第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図3(A)に示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通して第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図3(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。
【0055】
上記冷媒回路(50)では、2つの吸着熱交換器(51,52)のうち凝縮器として動作する方に高圧のガス冷媒が加熱用の熱媒体として供給され、蒸発器として動作する方に低圧の気液二相冷媒が冷却用の熱媒体として供給される。
【0056】
第1吸着熱交換器(51)と第2吸着熱交換器(52)のそれぞれは、フィン・アンド・チューブ熱交換器の表面に吸着剤を担持させたものである。
【0057】
図4に示すように、これら吸着熱交換器(51,52)は、銅製の伝熱管(58)とアルミニウム製のフィン(57)とを備えている。吸着熱交換器(51,52)に設けられた複数のフィン(57)は、それぞれが長方形板状に形成され、一定の間隔で並べられている。また、伝熱管(58)は、フィン(57)の配列方向に蛇行する形状となっている。つまり、この伝熱管(58)では、各フィン(57)を貫通する直管部と、隣り合った直管部同士を接続するU字管部(59)とが交互に形成されている。そして、吸着熱交換器(51,52)では、各フィン(57)の表面に吸着剤が担持されており、フィン(57)の間を通過する空気がフィン(57)に担持された吸着剤と接触する。
【0058】
本実施形態の吸着熱交換器(51,52)では、吸湿性を有する有機高分子材料が吸着剤として用いられている。吸着剤として用いられる有機高分子材料では、分子中に親水性の極性基を有する複数の高分子主鎖が互いに架橋されており、互いに架橋された複数の高分子主鎖が三次元構造体を形成している。
【0059】
本実施形態の吸着剤は、水蒸気を捕捉(即ち、吸湿)することによって膨潤する。この吸着剤が吸湿することによって膨潤するメカニズムは、以下のようなものと推測される。つまり、この吸着剤が吸湿する際には、親水性の極性基の周りに水蒸気が吸着され、親水性の極性基と水蒸気が反応することで生じた電気的な力が高分子主鎖に作用し、その結果、高分子主鎖が変形する。そして、変形した高分子主鎖同士の隙間へ水蒸気が毛細管力によって取り込まれ、水蒸気が入り込むことによって複数の高分子主鎖からなる三次元構造体が膨らみ、その結果、吸着剤の体積が増加する。
【0060】
このように、本実施形態の吸着剤では、水蒸気が吸着剤に吸着される現象と、水蒸気が吸着剤に吸収される現象の両方が起こる。つまり、この吸着剤には、水蒸気が収着される。また、この吸着剤に捕捉された水蒸気は、互いに架橋された複数の高分子主鎖からなる三次元構造体の表面だけでなく、その内部にまで入り込む。その結果、この吸着剤には、表面に水蒸気を吸着するだけのゼオライト等に比べ、多量の水蒸気が捕捉される。
【0061】
また、この吸着剤は、水蒸気を放出(即ち、放湿)することによって収縮する。つまり、この吸着剤が放湿する際には、高分子主鎖同士の隙間に捕捉された水の量が減少してゆき、複数の高分子主鎖で構成された三次元構造体の形状が元に戻ってゆくため、吸着剤の体積が減少する。
【0062】
なお、本実施形態の吸着剤として用いられる材料は、吸湿することによって膨潤して放湿することによって収縮するものであれば上述した材料に限定されず、例えば吸湿性を有するイオン交換樹脂であってもよい。
【0063】
〈コントローラの構成〉
上記調湿装置(10)は、コントローラ(93)を備えている。このコントローラ(93)は、制御用基板(91)に設けられており、各ダンパ(41〜48,83,84)の開閉、圧縮機(53)の運転周波数の調整、電動膨張弁(55)の開度の調節、四方切換弁(54)の切り換え等を行う。
【0064】
又、図5に示すように、コントローラ(93)には、圧縮機制御部(1)と換気制御部(4)とファン用インバータ(風量変更機構)(5)と第1バイパス弁開閉部(6)と判定部(7)とが設けられている。そして、これらのものを用いて行われる換気制御動作と高圧制御動作とは本発明の特徴であり、詳細は後述する。
【0065】
−運転動作−
本実施形態の調湿装置(10)は、三つの運転モード(除湿換気運転、加湿換気運転、単純換気運転)を実行可能である。つまり、この調湿装置(10)は、除湿換気運転と、加湿換気運転と、単純換気運転とを選択的に行う。
【0066】
除湿換気運転中や加湿換気運転中の調湿装置(10)は、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調節してから供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外へ排出する。一方、単純換気運転中の調湿装置(10)は、取り込んだ室外空気(OA)をそのまま供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)をそのまま排出空気(EA)として室外へ排出する。
【0067】
又、これら三つの運転モード中に、室内の目標換気量に応じて給気ファン(26)及び排気ファン(25)の運転周波数を増減する換気調整運転を行う。
【0068】
〈除湿換気運転〉
除湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。この除湿換気運転中において、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)は、常に閉状態となる。
【0069】
除湿換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(26)を運転すると、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれる。また、排気ファン(25)を運転すると、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。
【0070】
先ず、除湿換気運転の第1動作について説明する。図7に示すように、この第1動作中には、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が開状態となり、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。
【0071】
この第1動作中の冷媒回路(50)では、図3(A)に示すように、四方切換弁(54)が第1状態に設定される。この状態の冷媒回路(50)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。その際、冷媒回路(50)では、圧縮機(53)から吐出された冷媒が第1吸着熱交換器(51)、電動膨張弁(55)、第2吸着熱交換器(52)の順に通過し、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
【0072】
外気側通路(34)へ流入した第1空気は、第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、その表面に担持された吸着剤が第1空気から吸湿し、その際に生じた熱を冷媒が吸熱する。第2吸着熱交換器(52)を通過する間に除湿された第1空気は、第2給気側ダンパ(46)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン(26)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
【0073】
一方、内気側通路(32)へ流入した第2空気は、第1内気側ダンパ(41)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒によって加熱された吸着剤が放湿し、吸着剤から放出された水蒸気が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)を通過する間に水蒸気を付与された第2空気は、第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン(25)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
【0074】
次に、除湿換気運転の第2動作について説明する。図8に示すように、この第2動作中には、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が閉状態となる。
【0075】
この第2動作中の冷媒回路(50)では、図3(B)に示すように、四方切換弁(54)が第2状態に設定される。この状態の冷媒回路(50)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。その際、冷媒回路(50)では、圧縮機(53)から吐出された冷媒が第2吸着熱交換器(52)、電動膨張弁(55)、第1吸着熱交換器(51)の順に通過し、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となって第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となる。
【0076】
外気側通路(34)へ流入した第1空気は、第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、その表面に担持された吸着剤が第1空気から吸湿し、その際に生じた熱を冷媒が吸熱する。第1吸着熱交換器(51)を通過する間に除湿された第1空気は、第1給気側ダンパ(45)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン(26)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
【0077】
一方、内気側通路(32)へ流入した第2空気は、第2内気側ダンパ(42)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒によって加熱された吸着剤が放湿し、吸着剤から放出された水蒸気が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)を通過する間に水蒸気を付与された第2空気は、第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン(25)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
【0078】
〈加湿換気運転〉
加湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。この加湿換気運転中において、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)は、常に閉状態となる。
【0079】
加湿換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(26)を運転すると、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。また、排気ファン(25)を運転すると、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれる。
【0080】
先ず、加湿換気運転の第1動作について説明する。図9に示すように、この第1動作中には、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が閉状態となる。
【0081】
この第1動作中の冷媒回路(50)では、図3(A)に示すように、四方切換弁(54)が第1状態に設定される。そして、この冷媒回路(50)では、除湿換気運転の第1動作中と同様に、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
【0082】
内気側通路(32)へ流入した第1空気は、第2内気側ダンパ(42)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、その表面に担持された吸着剤が第1空気から吸湿し、その際に生じた熱を冷媒が吸熱する。第2吸着熱交換器(52)を通過する間に水分を奪われた第1空気は、第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン(25)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
【0083】
一方、外気側通路(34)へ流入した第2空気は、第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒によって加熱された吸着剤が放湿し、吸着剤から放出された水蒸気が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)を通過する間に加湿された第2空気は、第1給気側ダンパ(45)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン(26)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
【0084】
次に、加湿換気運転の第2動作について説明する。図10に示すように、この第2動作中には、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が開状態となり、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。
【0085】
この第2動作中の冷媒回路(50)では、図3(B)に示すように、四方切換弁(54)が第2状態に設定される。そして、この冷媒回路(50)では、除湿換気運転の第2動作中と同様に、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となって第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となる。
【0086】
内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第1空気は、第1内気側ダンパ(41)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、その表面に担持された吸着剤が第1空気から吸湿し、その際に生じた熱を冷媒が吸熱する。第1吸着熱交換器(51)を通過する間に水分を奪われた第1空気は、第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン(25)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
【0087】
一方、外気側通路(34)へ流入した第2空気は、第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒によって加熱された吸着剤が放湿し、吸着剤から放出された水蒸気が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)を通過する間に加湿された第2空気は、第2給気側ダンパ(46)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン(26)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
【0088】
〈単純換気運転〉
単純換気運転中における調湿装置(10)の動作について、図11を参照しながら説明する。この単純換気運転は、外気をそのまま室内へ供給しても室内の快適性が損なわれない時期(例えば、春季や秋季などの中間期)に行われる。つまり、この単純換気運転は、室内へ供給される空気の湿度調節は不要であるが、室内の換気は行う必要がある場合に実行される。
【0089】
この単純換気運転では、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第2外気側ダンパ(44)、第1給気側ダンパ(45)、第2給気側ダンパ(46)、第1排気側ダンパ(47)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。また、単純換気運転中において、冷媒回路(50)の圧縮機(53)は停止状態となる。つまり、単純換気運転中において、冷媒回路(50)での冷凍サイクルは行われない。
【0090】
単純換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(26)を運転すると、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ取り込まれる。外気吸込口(24)を通って外気側通路(34)へ流入した室外空気は、外気側フィルタ(28)を通過後に第1バイパス通路(81)へ流入し、第1バイパス用ダンパ(83)を通って給気ファン室(36)へ流入する。給気ファン室(36)へ流入した室外空気は、給気ファン(26)へ吸い込まれ、給気口(22)を通って室内へ供給される。
【0091】
また、単純換気運転中の調湿装置(10)において、排気ファン(25)を運転すると、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ取り込まれる。内気吸込口(23)を通って内気側通路(32)へ流入した室内空気は、内気側フィルタ(27)を通過後に第2バイパス通路(82)へ流入し、第2バイパス用ダンパ(84)を通って排気ファン室(35)へ流入する。排気ファン室(35)へ流入した室内空気は、排気ファン(25)へ吸い込まれ、排気口(21)を通って室外へ排出される。
【0092】
−コントローラの制御動作−
まず、上記コントローラ(93)が行う換気制御動作について説明した後、高圧制御動作について説明する。
【0093】
〈換気制御動作〉
上記換気制御動作は、上記換気制御部(4)と上記ファン用インバータ(5)とを用いて行われる。
【0094】
上記換気制御部(4)の入力側には、室内の二酸化炭素濃度を検出するCO2センサが電気的に接続されている。又、上記換気制御部(4)の出力側には、上記ファン用インバータ(5)が電気的に接続されている。この換気制御部(4)では、上記CO2センサからCO2濃度の検出値が入力されると、その検出値に応じた目標換気量が演算される。具体的に、室内のCO2濃度が高くなると、その濃度が高くなった分だけ目標換気量が増加するように演算される。また、室内のCO2濃度が低くなると、その濃度が低くなった分だけ目標換気量が減少するように演算される。
【0095】
そして、上記換気制御部(4)では、上記調湿装置における供給空気及び排出空気の風量が上述した目標換気量となるためのファン周波数信号を上記ファン用インバータ(5)に向かって出力する。
【0096】
上記ファン用インバータ(5)の入力側には、上述したように換気制御部(4)が電気的に接続されている。又、上記ファン用インバータ(5)の出力側には、上記給気ファン(26)及び排気ファン(25)が電気的に接続されている。そして、上記ファン用インバータ(5)では、上記換気制御部(4)からファン周波数信号を受けると、そのファン周波数信号に応じた周波数で上記給気ファン(26)及び排気ファン(25)が運転される。その結果、上記調湿装置の供給空気及び排出空気の風量が目標換気量に近づく。
【0097】
〈高圧制御動作〉
上記高圧制御動作は、上記判定部(7)と上記圧縮機制御部(1)と上記第1バイパス弁開閉部(6)とを用いて行われる。
【0098】
上記判定部(7)の入力側には、上記冷媒回路(50)の高圧圧力値を検出する高圧センサ(図示無し)と上記圧縮機(53)の運転周波数を検出する検出器(図示無し)とが電気的に接続されている。又、上記判定部(7)の出力側には、上記圧縮機制御部(1)と上記第1バイパス弁開閉部(6)とが電気的に接続されている。
【0099】
そして、この判定部(7)では、上記高圧センサから入力された検出値が制限値以上であると判定すると、上記圧縮機制御部(1)に向かって高圧信号を出力する。又、上記高圧センサから入力された検出値が制限値よりも小さいと判定すると、上記圧縮機制御部(1)に向かって低圧信号を出力する。さらに、上記高圧センサから入力された検出値が制限値以上であり且つ上記圧縮機(53)の運転周波数が最低周波数である状態が所定時間継続したと判定すると、上記第1バイパス弁開閉部(6)に向かって高圧回避信号を出力する。
【0100】
尚、この制限値は、上記冷媒回路(50)が高圧異常とならない範囲で設定される。
【0101】
上記圧縮機制御部(1)の入力側には、上述したように判定部(7)が電気的に接続されている。又、上記圧縮機制御部(1)の出力側には、上記圧縮機(53)が電気的に接続されている。そして、この圧縮機制御部(1)では、上記判定部(7)から高圧信号を受けると、上記圧縮機(53)の運転周波数を上記高圧信号入力時よりも減少させる。
【0102】
上記第1バイパス弁開閉部(6)の入力側には、上述したように判定部(7)が電気的に接続されている。又、上記第1バイパス弁開閉部(6)の出力側には、上記バイパス弁(3)が電気的に接続されている。そして、この第1バイパス弁開閉部(6)では、上記判定部(7)から高圧回避信号を受けると上記バイパス弁(3)を開状態に設定し、上記判定部(7)から低圧信号を受けると上記バイパス弁(3)を閉状態に設定する。
【0103】
次に、上記コントローラ(93)が行う高圧制御動作について、図12の制御フロー図を参照しながら説明する。
【0104】
まず、ステップST1では、上記判定部(7)において、上記高圧センサから入力された検出値が制限値以上であるか否かが判定される。その検出値が制限値以上であればステップST2へ移る。そうでなければステップST1に戻り、上記高圧センサの検出値が制限値以上になるまでステップST1の処理が繰り返される。
【0105】
ステップST2では、上記判定部(7)において、上記圧縮機(53)の運転周波数が最低周波数であるか否かが判定される。上記運転周波数が最低周波数でなければステップST3へ移り、該ステップST3において上記判定部(7)から上記圧縮機制御部(1)へ高圧信号が入力され、上記圧縮機(53)の運転周波数を現在よりも減少させる動作が行われる。この動作によって上記冷媒回路(50)の高圧圧力値が低下する。そして、ステップST3の処理が終わるとステップST1に戻り、該ステップST1において、ステップST3の処理後の上記高圧センサの検出値が制限値以上であるか否かが判定される。その検出値が制限値より小さくなっていれば、ステップST1の処理が繰り返される。そうでなければ、上記高圧センサの検出値が制限値よりも小さくなるまで、ステップST2、ステップST3、及びステップST1の処理が連続的に行われる。
【0106】
そして、この連続的な処理が行われている間に、上記圧縮機(53)の運転周波数が最低周波数になり、その後に所定時間を経過したことを確認した後で、ステップST4に移る。
【0107】
ステップST4では、上記判定部(7)から上記第1バイパス弁開閉部(6)へ高圧回避信号が入力されて上記バイパス弁(3)を開く動作が行われる。この動作によって上記圧縮機(53)から吐出された冷媒の一部が上記圧縮機(53)の吸入側へ戻り、残りが高圧側の吸着熱交換器に流入する。こうすることで、上記高圧側の吸着熱交換器を流れる冷媒の流量が上記バイパス弁(3)を開く前の流量よりも減少して、上記冷媒回路(50)の高圧圧力が低下する。
【0108】
ステップST5では、ステップST4の処理後の上記高圧センサの検出値が上記高圧センサの検出値が制限値以上であるか否かが判定される。その検出値が制限値以上であればステップST6へ移り、上記検出値が制限値よりも小さくなっていればステップST1へ移る。
【0109】
ここで、上記高圧制御動作の処理がステップST6に移るということは、上記圧縮機(53)の周波数制御を最小値まで減少させ、且つ上記バイパス弁(3)を開いても、上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値より小さくならなかったことを示している。
【0110】
このような場合には、ステップST6において上記給気ファン(26)及び上記排気ファン(25)の運転周波数を、上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値より小さくなるまで強制的に増加させる。
【0111】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、上記コントローラ(93)の換気制御部(4)により、室内の目標換気量に応じて上記調湿装置の供給空気及び上記排出空気の風量が調整される。つまり、室内にいる人の人数が増えて目標換気量が大きくなると、上記供給空気及び上記排出空気の風量が大きくなって室内の換気量が増加する。一方、室内にいる人の人数が減って目標換気量が小さくなると、上記供給空気及び上記排出空気の風量が小さくなって室内の換気量が減少する。
【0112】
このように、室内の目標換気量に応じて上記供給空気及び上記排出空気の風量を調整することができ、上記調湿装置において、室内の目標換気量に見合う換気量に調整しながら調湿運転を行うことができる。
【0113】
又、本実施形態によれば、上記換気制御部(4)によって上記供給空気及び上記排出空気の風量が少なくなって上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上になった場合に、上記圧縮機(53)の運転周波数が減少する。これにより、上記第1又は第2吸着熱交換器(51,52)を流れる冷媒の流量が上記高圧信号入力時よりも少なくなり、上記供給空気及び上記排出空気の風量低下に起因する上記高圧圧力の上昇が抑えられる。
【0114】
以上より、室内の目標換気量が減少した場合でも、上記高圧圧力の上昇を抑えながら室内の換気量を減少させることができ、上記換気制御部(4)による換気制御を行いやすくすることができる。
【0115】
又、本実施形態によれば、上記圧縮機(53)の運転周波数が最低容量となっても上記高圧圧力の上昇を抑えきれない場合に、上記バイパス弁(3)が開く。ここで、このバイパス弁(3)は、上述したように、圧縮機(53)から吐出した冷媒の一部を該圧縮機(53)の吸入側へ戻すためのものである。このことから、上記バイパス弁(3)が開くと、上記圧縮機(53)の消費電力は変わらずに第1及び第2吸着熱交換器(51,52)の熱交換量だけが減少することとなり、上記冷媒回路(50)における冷凍サイクルの成績係数(COP)は低下する。
【0116】
したがって、上記バイパス弁(3)が開くタイミングを制限することで、この成績係数をできるだけ低下させずに、上記供給空気及び上記排出空気の風量低下に起因する上記高圧圧力の上昇を抑えることができる。
【0117】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0118】
上記実施形態では、上記コントローラ(93)に第1バイパス弁開閉部(6)を設けて、上記圧縮機(53)の運転周波数が最低容量となっても上記高圧圧力の上昇を抑えきれない場合に、上記バイパス弁(3)を開くようにしていたが、これに限定されす、図6に示すように、第1バイパス弁開閉部(6)の代わりに第2バイパス弁開閉部(8)を設けてもよい。
【0119】
この第2バイパス弁開閉部(8)では、上記圧縮機(53)の運転周波数が最低容量とならなくても、上記バイパス弁(3)を開く。こうすることで、上記冷媒回路(50)における急激な高圧上昇にも素早く対応できるようになる。
【0120】
上記実施形態では、上記風量調整機構としてファン用インバータを用いて、上記給気ファン(26)及び排気ファン(25)の運転周波数を変更することにより、上記供給空気及び上記排出空気の風量を変更していたが、これに限定されず、例えば、上記風量調整機構として風量調整用のダンパを用いて、上記供給空気及び上記排出空気の風量を変更してもよい。
【0121】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0122】
以上説明したように、本発明は、冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続された吸着熱交換器を利用して調湿運転を行う調湿装置について有用である。
【符号の説明】
【0123】
1 圧縮機制御部
2 バイパス配管
3 バイパス弁
4 換気制御部
5 ファン用インバータ(風量変更機構)
6 第1バイパス弁開閉部
7 判定部
10 調湿装置
25 排気ファン
26 給気ファン
50 冷媒回路
51 第1吸着熱交換器
52 第2吸着熱交換器
53 圧縮機
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続された吸着熱交換器を利用して調湿運転を行う調湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、室内を調湿する調湿装置が知られている。例えば、特許文献1には、表面に吸着剤を担持させた吸着熱交換器を備えた調湿装置が開示されている。
【0003】
特許文献1の調湿装置は、2つの吸着熱交換器を備えた冷媒回路が設けられている。この冷媒回路は、第1の吸着熱交換器が凝縮器となって第2の吸着熱交換器が蒸発器となる第1動作と、第2の吸着熱交換器が凝縮器となって第1の吸着熱交換器が蒸発器となる第2動作とを、所定の時間間隔で交互に行う。蒸発器として動作する吸着熱交換器では、吸着剤に空気中の水分が吸着される。凝縮器として動作する吸着熱交換器では、水分が吸着剤から脱離して空気に付与される。
【0004】
又、特許文献1の調湿装置は、各吸着熱交換器を通過した空気の一方を室内へ供給して他方を室外へ排出する。除湿運転中の調湿装置では、第1及び第2の吸着熱交換器のうち蒸発器として動作する方を通過した室外空気が供給空気として室内へ供給され、凝縮器として動作する方を通過した室内空気が排出空気として室外へ排出される。また、加湿運転中の調湿装置では、第1及び第2の吸着熱交換器のうち蒸発器として動作する方を通過した室内空気が室外へ排出され、凝縮器として動作する方を通過した室外空気が室内へ供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−078108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の調湿装置の場合、室外の新鮮な空気を調湿して室内に供給することができるものの、室内にいる人の人数に応じて変化する目標換気量に十分に対応できないことがあった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続された吸着熱交換器を備えた調湿装置において、室内の目標換気量に対応しながら調湿運転できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、室外の空気を供給空気として室内へ供給する給気ファン(26)と、室内の空気を排出空気として室外へ排出する排気ファン(25)と、一方を上記供給空気が通過して他方を上記排出空気が通過する第1及び第2吸着熱交換器(51,52)が接続されて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(50)とを備えた調湿装置を前提としている。
【0009】
そして、上記調湿装置において、上記供給空気及び上記排出空気の風量を変更する風量変更機構(5)と、室内の目標換気量に応じて上記風量変更機構(5)を制御する換気制御部(4)とを備えていることを特徴としている。
【0010】
第1の発明では、上記換気制御部(4)により、室内の目標換気量に応じて上記供給空気及び上記排出空気の風量が調整される。つまり、室内にいる人の人数が増えて目標換気量が大きくなると、上記供給空気及び上記排出空気の風量が大きくなって室内の換気量が増加する。一方、室内にいる人の人数が減って目標換気量が小さくなると、上記供給空気及び上記排出空気の風量が小さくなって室内の換気量が減少する。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、上記冷媒回路(50)には、運転容量可変の圧縮機(53)が接続され、上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上である場合に出力される高圧信号を受けると、上記圧縮機(53)の運転容量を上記高圧信号入力時よりも減少させる圧縮機制御部(1)を備えていることを特徴としている。
【0012】
第2の発明では、例えば上記換気制御部(4)によって上記供給空気及び上記排出空気の風量が少なくなって上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上になった場合に、上記圧縮機(53)の運転容量が減少する。これにより、上記第1又は第2吸着熱交換器(51,52)を流れる冷媒の流量が上記高圧信号入力時よりも少なくなり、上記供給空気及び上記排出空気の風量低下に起因する上記高圧圧力の上昇が抑えられる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、上記冷媒回路(50)における圧縮機(53)の吐出配管(53a)と吸入配管(53b)とを連通するバイパス配管(2)に取り付けられたバイパス弁(3)と、上記圧縮機(53)の運転容量が最低容量であり、且つ上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上の状態が所定時間継続する場合に出力される高圧回避信号を受けると、上記バイパス弁(3)を開状態に設定する第1バイパス弁開閉部(6)とを備えていることを特徴としている。
【0014】
第3の発明では、上記圧縮機(53)の運転容量が最低容量となって上記高圧圧力の上昇を抑えきれない場合に、上記バイパス弁(3)が開くようになる。
【0015】
第4の発明は、第1又は第2の発明において、上記冷媒回路(50)における圧縮機(53)の吐出配管(53a)と吸入配管(53b)とを連通するバイパス配管(2)に取り付けられたバイパス弁(3)と、上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上である場合に出力される高圧信号を受けると、上記バイパス弁(3)を開状態にし、上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値よりも小さい場合に出力される低圧信号を受けると上記バイパス弁(3)を閉状態にする第2バイパス弁開閉部(8)とを備えていることを特徴としている。
【0016】
第4の発明では、例えば上記風量変更機構(5)によって上記供給空気及び上記排出空気の風量が少なくなって上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上になった場合に、上記バイパス弁(3)が開く。こうすると、上記圧縮機(53)から吐出した冷媒の一部が該圧縮機(53)の吸入側へ戻り、残りの冷媒が第1又は第2吸着熱交換器(51,52)を流れる。
【0017】
これにより、第2の発明と同様に、上記第1又は第2吸着熱交換器(51,52)を流れる冷媒の流量が上記高圧信号入力時よりも少なくなり、上記供給空気及び上記排出空気の風量低下に起因する上記高圧圧力の上昇が抑えられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記換気制御部(4)により、室内の目標換気量に応じて上記供給空気及び上記排出空気の風量を調整することができる。これにより、上記調湿装置において、室内の目標換気量に見合う換気量に調整しながら調湿運転を行うことができる。
【0019】
また、上記第2の発明によれば、上記供給空気及び上記排出空気の風量低下に起因する上記高圧圧力の上昇を抑えることができる。これにより、室内の目標換気量が減少した場合でも、上記高圧圧力の上昇を抑えながら室内の換気量を減少させることができ、上記換気制御部(4)による換気制御を行いやすくすることができる。
【0020】
また、上記第3の発明によれば、上記圧縮機(53)の運転容量が最低容量となって上記高圧圧力の上昇を抑えきれない場合に、上記バイパス弁(3)が開く。ここで、このバイパス弁(3)は、上述したように、圧縮機(53)から吐出した冷媒の一部を該圧縮機(53)の吸入側へ戻すためのものである。このことから、上記バイパス弁(3)が開くと、上記圧縮機(53)の消費電力は変わらずに第1及び第2吸着熱交換器(51,52)の熱交換量だけが減少することとなり、上記冷媒回路(50)における冷凍サイクルの成績係数(COP)は低下する。
【0021】
したがって、上記バイパス弁(3)が開くタイミングを限定することで、上記冷媒回路(50)における冷凍サイクルの成績係数をできるだけ低下させずに、上記供給空気及び上記排出空気の風量低下に起因する上記高圧圧力の上昇を抑えることができる。
【0022】
また、上記第4の発明によれば、上記供給空気及び上記排出空気の風量低下に起因する上記高圧圧力の上昇を抑えることができる。これにより、室内の目標換気量が減少した場合でも、上記高圧圧力の上昇を抑えながら室内の換気量を減少させることができ、上記換気制御部(4)による換気制御を行いやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】前面側から見た調湿装置をケーシングの一部および電装品箱を省略して示す斜視図である。
【図2】調湿装置をケーシングの天板を省略して示す平面図である。
【図3】冷媒回路の構成を示す配管系統図であって、(A)は第1動作中の動作を示すものであり、(B)は第2動作中の動作を示すものである。
【図4】吸着熱交換器の概略斜視図である。
【図5】コントローラの構成を示すブロック図である。
【図6】その他の実施形態に係るコントローラの構成を示すブロック図である。
【図7】除湿換気運転の第1動作における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【図8】除湿換気運転の第2動作における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【図9】加湿換気運転の第1動作における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【図10】加湿換気運転の第2動作における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【図11】単純換気運転における空気の流れを示す調湿装置の概略の平面図、右側面図、及び左側面図である。
【図12】コントローラの高圧制御動作を示す制御フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態の調湿装置(10)は、室内の湿度調節と共に室内の換気を行うものであり、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調節して室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を室外に排出する。
【0025】
〈調湿装置の構造〉
調湿装置(10)の構造について説明する。なお、ここでの説明で用いる「上」「下」「左」「右」「前」「後」「手前」「奥」は、特にことわらない限り、調湿装置(10)を前面側から見た場合の方向を意味している。
【0026】
図1,図2に示すように、調湿装置(10)は、ケーシング(11)を備えている。また、ケーシング(11)内には、冷媒回路(50)が収容されている。この冷媒回路(50)には、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)、及び電動膨張弁(55)が接続されている。冷媒回路(50)の詳細は後述する。
【0027】
ケーシング(11)は、やや扁平で高さが比較的低い直方体状に形成されている。ケーシング(11)では、図1における左手前の側面(即ち、前面)を形成する部分が前面パネル部(12)となり、同図における右奥の側面(即ち、背面)を形成する部分が背面パネル部(13)となっている。また、このケーシング(11)では、同図における右手前の側面を形成する部分が第1側面パネル部(14)となり、同図における左奥の側面を形成する部分が第2側面パネル部(15)となっている。
【0028】
ケーシング(11)には、外気吸込口(24)と、内気吸込口(23)と、給気口(22)と、排気口(21)とが形成されている。外気吸込口(24)及び内気吸込口(23)は、背面パネル部(13)に開口している。背面パネル部(13)では、その下側部分に外気吸込口(24)が形成され、その上側部分に内気吸込口(23)が形成されている。給気口(22)は、第1側面パネル部(14)における前面パネル部(12)側の端部付近に配置されている。排気口(21)は、第2側面パネル部(15)における前面パネル部(12)側の端部付近に配置されている。
【0029】
ケーシング(11)の内部空間には、上流側仕切板(71)と、下流側仕切板(72)と、中央仕切板(73)と、第1仕切板(74)と、第2仕切板(75)とが設けられている。これらの仕切板(71〜75)は、何れもケーシング(11)の底板に立設されており、ケーシング(11)の内部空間をケーシング(11)の底板から天板に亘って区画している。
【0030】
上流側仕切板(71)及び下流側仕切板(72)は、前面パネル部(12)及び背面パネル部(13)と平行に配置されている。ケーシング(11)の内部空間において、上流側仕切板(71)は背面パネル部(13)寄りに配置され、下流側仕切板(72)は前面パネル部(12)寄りに配置されている。
【0031】
第1仕切板(74)は、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を右側から塞ぐように配置されている。第2仕切板(75)は、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を左側から塞ぐように配置されている。中央仕切板(73)は、上流側仕切板(71)及び下流側仕切板(72)と直交する姿勢で、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間に配置されている。中央仕切板(73)は、上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間を左右に区画している。
【0032】
図7にも示すように、ケーシング(11)内では、上流側仕切板(71)と背面パネル部(13)の間の空間が、上下2つの空間に仕切られている。上下に仕切られたこの空間は、上側の空間が内気側通路(32)を構成し、下側の空間が外気側通路(34)を構成している。
【0033】
内気側通路(32)は、内気吸込口(23)に接続するダクトを介して室内と連通している。内気側通路(32)には、空気から塵埃等を除去するための内気側フィルタ(27)が設けられている。内気側通路(32)は、この内気側フィルタ(27)によって前後に区画されている。内気側通路(32)における内気側フィルタ(27)の前側(下流側)の部分には、内気温湿度センサ(96)が収容されている。この内気温湿度センサ(96)は、空気の温度と相対湿度を計測する計測器であって、ケーシング(11)の天板に取り付けられている。
【0034】
外気側通路(34)は、外気吸込口(24)に接続するダクトを介して室外空間と連通している。外気側通路(34)には、空気から塵埃等を除去するための外気側フィルタ(28)が設けられている。外気側通路(34)は、この外気側フィルタ(28)によって前後に区画されている。外気側通路(34)における外気側フィルタ(28)の前側(下流側)の部分には、外気温湿度センサ(97)が収容されている。この外気温湿度センサ(97)は、空気の温度と相対湿度を計測する計測器であって、ケーシング(11)の底板に取り付けられている。
【0035】
上述したように、ケーシング(11)内における上流側仕切板(71)と下流側仕切板(72)の間の空間は、中央仕切板(73)によって左右に区画されている。左右に仕切られたこの空間は、中央仕切板(73)の右側の空間が第1熱交換器室(37)を構成し、中央仕切板(73)の左側の空間が第2熱交換器室(38)を構成している。
【0036】
第1熱交換器室(37)には、第1吸着熱交換器(51)が収容されている。また、第1熱交換器室(37)には、冷媒回路(50)の電動膨張弁(55)が収容されている。第2熱交換器室(38)には、第2吸着熱交換器(52)が収容されている。各吸着熱交換器(51,52)は、全体として長方形の厚板状あるいは扁平な直方体状に形成されている。そして、吸着熱交換器(51,52)は、熱交換器室(37,38)内に立設され、熱交換器室(37,38)を前後に区画している。なお、吸着熱交換器(51,52)の詳細は後述する。
【0037】
図7にも示すように、ケーシング(11)の内部空間では、下流側仕切板(72)の前面に沿った部分が上下に仕切られている。上下に仕切られたこの空間は、上側の空間が給気側通路(31)を構成し、下側の空間が排気側通路(33)を構成している。
【0038】
上流側仕切板(71)には、開閉式のダンパ(41〜44)が4つ設けられている。各ダンパ(41〜44)は、概ね横長の長方形状に形成されている。具体的に、上流側仕切板(71)のうち内気側通路(32)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1内気側ダンパ(41)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2内気側ダンパ(42)が取り付けられる。また、上流側仕切板(71)のうち外気側通路(34)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1外気側ダンパ(43)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2外気側ダンパ(44)が取り付けられる。
【0039】
下流側仕切板(72)には、開閉式のダンパ(45〜48)が4つ設けられている。各ダンパ(45〜48)は、概ね横長の長方形状に形成されている。具体的に、下流側仕切板(72)のうち給気側通路(31)に面する部分(上側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1給気側ダンパ(45)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2給気側ダンパ(46)が取り付けられる。また、下流側仕切板(72)のうち排気側通路(33)に面する部分(下側部分)では、中央仕切板(73)よりも右側に第1排気側ダンパ(47)が取り付けられ、中央仕切板(73)よりも左側に第2排気側ダンパ(48)が取り付けられる。
【0040】
ケーシング(11)内では、給気側通路(31)及び排気側通路(33)と前面パネル部(12)との間の空間が、仕切板(77)によって左右に仕切られている。この左右に仕切られた空間は、仕切板(77)の右側の空間が給気ファン室(36)を構成し、仕切板(77)の左側の空間が排気ファン室(35)を構成している。この仕切板(77)は、中央仕切板(73)よりも更に第2側面パネル部(15)寄りに立設されている。給気ファン室(36)及び排気ファン室(35)は、何れもケーシング(11)の底板から天板に亘る空間である。
【0041】
給気ファン室(36)には、給気ファン(26)が収容されている。また、排気ファン室(35)には排気ファン(25)が収容されている。給気ファン(26)及び排気ファン(25)は、何れも遠心型の多翼ファン(いわゆるシロッコファン)である。これらのファン(25,26)は、ファンロータと、ファンケーシング(86)と、電動機であるファンモータ(89)とを備えている。図示しないが、ファンロータは、ファンケーシング(86)に収容され、ファンモータ(89)によって駆動される。
【0042】
給気ファン室(36)において、給気ファン(26)は、ファンケーシング(86)の吸入口(87)が下流側仕切板(72)と対面する姿勢で設置されている。また、この給気ファン(26)のファンケーシング(86)の吹出口(88)は、給気口(22)に連通する状態で第1側面パネル部(14)に取り付けられている。
【0043】
排気ファン室(35)において、排気ファン(25)は、ファンケーシング(86)の吸入口(87)が下流側仕切板(72)と対面する姿勢で設置されている。また、この排気ファン(25)のファンケーシング(86)の吹出口(88)は、排気口(21)に連通する状態で第2側面パネル部(15)に取り付けられている。
【0044】
給気ファン室(36)には、冷媒回路(50)の圧縮機(53)と四方切換弁(54)とが収容されている。圧縮機(53)及び四方切換弁(54)は、給気ファン室(36)における給気ファン(26)と仕切板(77)との間に配置されている。
【0045】
ケーシング(11)内において、第1仕切板(74)と第1側面パネル部(14)の間の空間は、第1バイパス通路(81)を構成している。また、ケーシング(11)内において、第2仕切板(75)と第2側面パネル部(15)の間の空間は、第2バイパス通路(82)を構成している。
【0046】
第1バイパス通路(81)の始端(背面パネル部(13)側の端部)は、外気側通路(34)だけに連通しており、内気側通路(32)からは遮断されている。第1バイパス通路(81)の終端(前面パネル部(12)側の端部)は、仕切板(78)によって、給気側通路(31)、排気側通路(33)、及び給気ファン室(36)から区画されている。仕切板(78)のうち給気ファン室(36)に臨む部分には、第1バイパス用ダンパ(83)が設けられている。第1バイパス用ダンパ(83)は、概ね縦長の長方形状に形成された開閉式のダンパである。
【0047】
第2バイパス通路(82)の始端(背面パネル部(13)側の端部)は、第2仕切板(75)に形成された連通口(76)を介して内気側通路(32)だけに連通しており、外気側通路(34)からは遮断されている。第2バイパス通路(82)の終端(前面パネル部(12)側の端部)は、仕切板(79)によって、給気側通路(31)、排気側通路(33)、及び排気ファン室(35)から区画されている。仕切板(79)のうち排気ファン室(35)に臨む部分には、第2バイパス用ダンパ(84)が設けられている。第2バイパス用ダンパ(84)は、概ね縦長の長方形状に形成された開閉式のダンパである。
【0048】
なお、図7の右側面図及び左側面図では、第1バイパス通路(81)、第2バイパス通路(82)、第1バイパス用ダンパ(83)、及び第2バイパス用ダンパ(84)の図示を省略している。
【0049】
ケーシング(11)の前面パネル部(12)では、その右寄りの部分に電装品箱(90)が取り付けられている(図2を参照)。電装品箱(90)は、直方体状の箱であって、その内部に制御用基板(91)と電源用基板(92)とが収容されている。制御用基板(91)及び電源用基板(92)は、電装品箱(90)の側板のうち前面パネル部(12)に隣接する部分(即ち、背面板)の内側面に取り付けられている。
【0050】
〈冷媒回路の構成〉
上記冷媒回路(50)について、図3を参照しながら説明する。
【0051】
上記冷媒回路(50)は、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)、及び電動膨張弁(55)が設けられた閉回路である。この冷媒回路(50)は、充填された冷媒を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。
【0052】
又、この冷媒回路(50)には、圧縮機(53)の吐出側に接続された吐出配管(53a)と吸入側に接続された吸入配管(53b)とを接続するバイパス配管(2)が設けられている。そして、このバイパス配管(2)にはバイパス弁(3)が取り付けられている。
【0053】
上記冷媒回路(50)において、圧縮機(53)の吐出配管(53a)が四方切換弁(54)の第1のポートに、該圧縮機(53)の吸入配管(53b)が四方切換弁(54)の第2のポートにそれぞれ接続されている。第1吸着熱交換器(51)の一端は、四方切換弁(54)の第3のポートに接続されている。第1吸着熱交換器(51)の他端は、電動膨張弁(55)を介して第2吸着熱交換器(52)の一端に接続されている。第2吸着熱交換器(52)の他端は、四方切換弁(54)の第4のポートに接続されている。
【0054】
上記四方切換弁(54)は、第1のポートと第3のポートが連通して第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図3(A)に示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通して第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図3(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。
【0055】
上記冷媒回路(50)では、2つの吸着熱交換器(51,52)のうち凝縮器として動作する方に高圧のガス冷媒が加熱用の熱媒体として供給され、蒸発器として動作する方に低圧の気液二相冷媒が冷却用の熱媒体として供給される。
【0056】
第1吸着熱交換器(51)と第2吸着熱交換器(52)のそれぞれは、フィン・アンド・チューブ熱交換器の表面に吸着剤を担持させたものである。
【0057】
図4に示すように、これら吸着熱交換器(51,52)は、銅製の伝熱管(58)とアルミニウム製のフィン(57)とを備えている。吸着熱交換器(51,52)に設けられた複数のフィン(57)は、それぞれが長方形板状に形成され、一定の間隔で並べられている。また、伝熱管(58)は、フィン(57)の配列方向に蛇行する形状となっている。つまり、この伝熱管(58)では、各フィン(57)を貫通する直管部と、隣り合った直管部同士を接続するU字管部(59)とが交互に形成されている。そして、吸着熱交換器(51,52)では、各フィン(57)の表面に吸着剤が担持されており、フィン(57)の間を通過する空気がフィン(57)に担持された吸着剤と接触する。
【0058】
本実施形態の吸着熱交換器(51,52)では、吸湿性を有する有機高分子材料が吸着剤として用いられている。吸着剤として用いられる有機高分子材料では、分子中に親水性の極性基を有する複数の高分子主鎖が互いに架橋されており、互いに架橋された複数の高分子主鎖が三次元構造体を形成している。
【0059】
本実施形態の吸着剤は、水蒸気を捕捉(即ち、吸湿)することによって膨潤する。この吸着剤が吸湿することによって膨潤するメカニズムは、以下のようなものと推測される。つまり、この吸着剤が吸湿する際には、親水性の極性基の周りに水蒸気が吸着され、親水性の極性基と水蒸気が反応することで生じた電気的な力が高分子主鎖に作用し、その結果、高分子主鎖が変形する。そして、変形した高分子主鎖同士の隙間へ水蒸気が毛細管力によって取り込まれ、水蒸気が入り込むことによって複数の高分子主鎖からなる三次元構造体が膨らみ、その結果、吸着剤の体積が増加する。
【0060】
このように、本実施形態の吸着剤では、水蒸気が吸着剤に吸着される現象と、水蒸気が吸着剤に吸収される現象の両方が起こる。つまり、この吸着剤には、水蒸気が収着される。また、この吸着剤に捕捉された水蒸気は、互いに架橋された複数の高分子主鎖からなる三次元構造体の表面だけでなく、その内部にまで入り込む。その結果、この吸着剤には、表面に水蒸気を吸着するだけのゼオライト等に比べ、多量の水蒸気が捕捉される。
【0061】
また、この吸着剤は、水蒸気を放出(即ち、放湿)することによって収縮する。つまり、この吸着剤が放湿する際には、高分子主鎖同士の隙間に捕捉された水の量が減少してゆき、複数の高分子主鎖で構成された三次元構造体の形状が元に戻ってゆくため、吸着剤の体積が減少する。
【0062】
なお、本実施形態の吸着剤として用いられる材料は、吸湿することによって膨潤して放湿することによって収縮するものであれば上述した材料に限定されず、例えば吸湿性を有するイオン交換樹脂であってもよい。
【0063】
〈コントローラの構成〉
上記調湿装置(10)は、コントローラ(93)を備えている。このコントローラ(93)は、制御用基板(91)に設けられており、各ダンパ(41〜48,83,84)の開閉、圧縮機(53)の運転周波数の調整、電動膨張弁(55)の開度の調節、四方切換弁(54)の切り換え等を行う。
【0064】
又、図5に示すように、コントローラ(93)には、圧縮機制御部(1)と換気制御部(4)とファン用インバータ(風量変更機構)(5)と第1バイパス弁開閉部(6)と判定部(7)とが設けられている。そして、これらのものを用いて行われる換気制御動作と高圧制御動作とは本発明の特徴であり、詳細は後述する。
【0065】
−運転動作−
本実施形態の調湿装置(10)は、三つの運転モード(除湿換気運転、加湿換気運転、単純換気運転)を実行可能である。つまり、この調湿装置(10)は、除湿換気運転と、加湿換気運転と、単純換気運転とを選択的に行う。
【0066】
除湿換気運転中や加湿換気運転中の調湿装置(10)は、取り込んだ室外空気(OA)を湿度調節してから供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外へ排出する。一方、単純換気運転中の調湿装置(10)は、取り込んだ室外空気(OA)をそのまま供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)をそのまま排出空気(EA)として室外へ排出する。
【0067】
又、これら三つの運転モード中に、室内の目標換気量に応じて給気ファン(26)及び排気ファン(25)の運転周波数を増減する換気調整運転を行う。
【0068】
〈除湿換気運転〉
除湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。この除湿換気運転中において、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)は、常に閉状態となる。
【0069】
除湿換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(26)を運転すると、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれる。また、排気ファン(25)を運転すると、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。
【0070】
先ず、除湿換気運転の第1動作について説明する。図7に示すように、この第1動作中には、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が開状態となり、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。
【0071】
この第1動作中の冷媒回路(50)では、図3(A)に示すように、四方切換弁(54)が第1状態に設定される。この状態の冷媒回路(50)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。その際、冷媒回路(50)では、圧縮機(53)から吐出された冷媒が第1吸着熱交換器(51)、電動膨張弁(55)、第2吸着熱交換器(52)の順に通過し、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
【0072】
外気側通路(34)へ流入した第1空気は、第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、その表面に担持された吸着剤が第1空気から吸湿し、その際に生じた熱を冷媒が吸熱する。第2吸着熱交換器(52)を通過する間に除湿された第1空気は、第2給気側ダンパ(46)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン(26)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
【0073】
一方、内気側通路(32)へ流入した第2空気は、第1内気側ダンパ(41)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒によって加熱された吸着剤が放湿し、吸着剤から放出された水蒸気が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)を通過する間に水蒸気を付与された第2空気は、第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン(25)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
【0074】
次に、除湿換気運転の第2動作について説明する。図8に示すように、この第2動作中には、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が閉状態となる。
【0075】
この第2動作中の冷媒回路(50)では、図3(B)に示すように、四方切換弁(54)が第2状態に設定される。この状態の冷媒回路(50)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。その際、冷媒回路(50)では、圧縮機(53)から吐出された冷媒が第2吸着熱交換器(52)、電動膨張弁(55)、第1吸着熱交換器(51)の順に通過し、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となって第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となる。
【0076】
外気側通路(34)へ流入した第1空気は、第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、その表面に担持された吸着剤が第1空気から吸湿し、その際に生じた熱を冷媒が吸熱する。第1吸着熱交換器(51)を通過する間に除湿された第1空気は、第1給気側ダンパ(45)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン(26)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
【0077】
一方、内気側通路(32)へ流入した第2空気は、第2内気側ダンパ(42)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒によって加熱された吸着剤が放湿し、吸着剤から放出された水蒸気が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)を通過する間に水蒸気を付与された第2空気は、第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン(25)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
【0078】
〈加湿換気運転〉
加湿換気運転中の調湿装置(10)では、後述する第1動作と第2動作が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。この加湿換気運転中において、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)は、常に閉状態となる。
【0079】
加湿換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(26)を運転すると、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。また、排気ファン(25)を運転すると、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれる。
【0080】
先ず、加湿換気運転の第1動作について説明する。図9に示すように、この第1動作中には、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が閉状態となる。
【0081】
この第1動作中の冷媒回路(50)では、図3(A)に示すように、四方切換弁(54)が第1状態に設定される。そして、この冷媒回路(50)では、除湿換気運転の第1動作中と同様に、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
【0082】
内気側通路(32)へ流入した第1空気は、第2内気側ダンパ(42)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、その表面に担持された吸着剤が第1空気から吸湿し、その際に生じた熱を冷媒が吸熱する。第2吸着熱交換器(52)を通過する間に水分を奪われた第1空気は、第2排気側ダンパ(48)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン(25)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
【0083】
一方、外気側通路(34)へ流入した第2空気は、第1外気側ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒によって加熱された吸着剤が放湿し、吸着剤から放出された水蒸気が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)を通過する間に加湿された第2空気は、第1給気側ダンパ(45)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン(26)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
【0084】
次に、加湿換気運転の第2動作について説明する。図10に示すように、この第2動作中には、第1内気側ダンパ(41)、第2外気側ダンパ(44)、第2給気側ダンパ(46)、及び第1排気側ダンパ(47)が開状態となり、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第1給気側ダンパ(45)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。
【0085】
この第2動作中の冷媒回路(50)では、図3(B)に示すように、四方切換弁(54)が第2状態に設定される。そして、この冷媒回路(50)では、除湿換気運転の第2動作中と同様に、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となって第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となる。
【0086】
内気側通路(32)へ流入して内気側フィルタ(27)を通過した第1空気は、第1内気側ダンパ(41)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、その表面に担持された吸着剤が第1空気から吸湿し、その際に生じた熱を冷媒が吸熱する。第1吸着熱交換器(51)を通過する間に水分を奪われた第1空気は、第1排気側ダンパ(47)を通って排気側通路(33)へ流入し、排気ファン(25)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
【0087】
一方、外気側通路(34)へ流入した第2空気は、第2外気側ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒によって加熱された吸着剤が放湿し、吸着剤から放出された水蒸気が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)を通過する間に加湿された第2空気は、第2給気側ダンパ(46)を通って給気側通路(31)へ流入し、給気ファン(26)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
【0088】
〈単純換気運転〉
単純換気運転中における調湿装置(10)の動作について、図11を参照しながら説明する。この単純換気運転は、外気をそのまま室内へ供給しても室内の快適性が損なわれない時期(例えば、春季や秋季などの中間期)に行われる。つまり、この単純換気運転は、室内へ供給される空気の湿度調節は不要であるが、室内の換気は行う必要がある場合に実行される。
【0089】
この単純換気運転では、第1バイパス用ダンパ(83)及び第2バイパス用ダンパ(84)が開状態となり、第1内気側ダンパ(41)、第2内気側ダンパ(42)、第1外気側ダンパ(43)、第2外気側ダンパ(44)、第1給気側ダンパ(45)、第2給気側ダンパ(46)、第1排気側ダンパ(47)、及び第2排気側ダンパ(48)が閉状態となる。また、単純換気運転中において、冷媒回路(50)の圧縮機(53)は停止状態となる。つまり、単純換気運転中において、冷媒回路(50)での冷凍サイクルは行われない。
【0090】
単純換気運転中の調湿装置(10)において、給気ファン(26)を運転すると、室外空気が外気吸込口(24)からケーシング(11)内へ取り込まれる。外気吸込口(24)を通って外気側通路(34)へ流入した室外空気は、外気側フィルタ(28)を通過後に第1バイパス通路(81)へ流入し、第1バイパス用ダンパ(83)を通って給気ファン室(36)へ流入する。給気ファン室(36)へ流入した室外空気は、給気ファン(26)へ吸い込まれ、給気口(22)を通って室内へ供給される。
【0091】
また、単純換気運転中の調湿装置(10)において、排気ファン(25)を運転すると、室内空気が内気吸込口(23)からケーシング(11)内へ取り込まれる。内気吸込口(23)を通って内気側通路(32)へ流入した室内空気は、内気側フィルタ(27)を通過後に第2バイパス通路(82)へ流入し、第2バイパス用ダンパ(84)を通って排気ファン室(35)へ流入する。排気ファン室(35)へ流入した室内空気は、排気ファン(25)へ吸い込まれ、排気口(21)を通って室外へ排出される。
【0092】
−コントローラの制御動作−
まず、上記コントローラ(93)が行う換気制御動作について説明した後、高圧制御動作について説明する。
【0093】
〈換気制御動作〉
上記換気制御動作は、上記換気制御部(4)と上記ファン用インバータ(5)とを用いて行われる。
【0094】
上記換気制御部(4)の入力側には、室内の二酸化炭素濃度を検出するCO2センサが電気的に接続されている。又、上記換気制御部(4)の出力側には、上記ファン用インバータ(5)が電気的に接続されている。この換気制御部(4)では、上記CO2センサからCO2濃度の検出値が入力されると、その検出値に応じた目標換気量が演算される。具体的に、室内のCO2濃度が高くなると、その濃度が高くなった分だけ目標換気量が増加するように演算される。また、室内のCO2濃度が低くなると、その濃度が低くなった分だけ目標換気量が減少するように演算される。
【0095】
そして、上記換気制御部(4)では、上記調湿装置における供給空気及び排出空気の風量が上述した目標換気量となるためのファン周波数信号を上記ファン用インバータ(5)に向かって出力する。
【0096】
上記ファン用インバータ(5)の入力側には、上述したように換気制御部(4)が電気的に接続されている。又、上記ファン用インバータ(5)の出力側には、上記給気ファン(26)及び排気ファン(25)が電気的に接続されている。そして、上記ファン用インバータ(5)では、上記換気制御部(4)からファン周波数信号を受けると、そのファン周波数信号に応じた周波数で上記給気ファン(26)及び排気ファン(25)が運転される。その結果、上記調湿装置の供給空気及び排出空気の風量が目標換気量に近づく。
【0097】
〈高圧制御動作〉
上記高圧制御動作は、上記判定部(7)と上記圧縮機制御部(1)と上記第1バイパス弁開閉部(6)とを用いて行われる。
【0098】
上記判定部(7)の入力側には、上記冷媒回路(50)の高圧圧力値を検出する高圧センサ(図示無し)と上記圧縮機(53)の運転周波数を検出する検出器(図示無し)とが電気的に接続されている。又、上記判定部(7)の出力側には、上記圧縮機制御部(1)と上記第1バイパス弁開閉部(6)とが電気的に接続されている。
【0099】
そして、この判定部(7)では、上記高圧センサから入力された検出値が制限値以上であると判定すると、上記圧縮機制御部(1)に向かって高圧信号を出力する。又、上記高圧センサから入力された検出値が制限値よりも小さいと判定すると、上記圧縮機制御部(1)に向かって低圧信号を出力する。さらに、上記高圧センサから入力された検出値が制限値以上であり且つ上記圧縮機(53)の運転周波数が最低周波数である状態が所定時間継続したと判定すると、上記第1バイパス弁開閉部(6)に向かって高圧回避信号を出力する。
【0100】
尚、この制限値は、上記冷媒回路(50)が高圧異常とならない範囲で設定される。
【0101】
上記圧縮機制御部(1)の入力側には、上述したように判定部(7)が電気的に接続されている。又、上記圧縮機制御部(1)の出力側には、上記圧縮機(53)が電気的に接続されている。そして、この圧縮機制御部(1)では、上記判定部(7)から高圧信号を受けると、上記圧縮機(53)の運転周波数を上記高圧信号入力時よりも減少させる。
【0102】
上記第1バイパス弁開閉部(6)の入力側には、上述したように判定部(7)が電気的に接続されている。又、上記第1バイパス弁開閉部(6)の出力側には、上記バイパス弁(3)が電気的に接続されている。そして、この第1バイパス弁開閉部(6)では、上記判定部(7)から高圧回避信号を受けると上記バイパス弁(3)を開状態に設定し、上記判定部(7)から低圧信号を受けると上記バイパス弁(3)を閉状態に設定する。
【0103】
次に、上記コントローラ(93)が行う高圧制御動作について、図12の制御フロー図を参照しながら説明する。
【0104】
まず、ステップST1では、上記判定部(7)において、上記高圧センサから入力された検出値が制限値以上であるか否かが判定される。その検出値が制限値以上であればステップST2へ移る。そうでなければステップST1に戻り、上記高圧センサの検出値が制限値以上になるまでステップST1の処理が繰り返される。
【0105】
ステップST2では、上記判定部(7)において、上記圧縮機(53)の運転周波数が最低周波数であるか否かが判定される。上記運転周波数が最低周波数でなければステップST3へ移り、該ステップST3において上記判定部(7)から上記圧縮機制御部(1)へ高圧信号が入力され、上記圧縮機(53)の運転周波数を現在よりも減少させる動作が行われる。この動作によって上記冷媒回路(50)の高圧圧力値が低下する。そして、ステップST3の処理が終わるとステップST1に戻り、該ステップST1において、ステップST3の処理後の上記高圧センサの検出値が制限値以上であるか否かが判定される。その検出値が制限値より小さくなっていれば、ステップST1の処理が繰り返される。そうでなければ、上記高圧センサの検出値が制限値よりも小さくなるまで、ステップST2、ステップST3、及びステップST1の処理が連続的に行われる。
【0106】
そして、この連続的な処理が行われている間に、上記圧縮機(53)の運転周波数が最低周波数になり、その後に所定時間を経過したことを確認した後で、ステップST4に移る。
【0107】
ステップST4では、上記判定部(7)から上記第1バイパス弁開閉部(6)へ高圧回避信号が入力されて上記バイパス弁(3)を開く動作が行われる。この動作によって上記圧縮機(53)から吐出された冷媒の一部が上記圧縮機(53)の吸入側へ戻り、残りが高圧側の吸着熱交換器に流入する。こうすることで、上記高圧側の吸着熱交換器を流れる冷媒の流量が上記バイパス弁(3)を開く前の流量よりも減少して、上記冷媒回路(50)の高圧圧力が低下する。
【0108】
ステップST5では、ステップST4の処理後の上記高圧センサの検出値が上記高圧センサの検出値が制限値以上であるか否かが判定される。その検出値が制限値以上であればステップST6へ移り、上記検出値が制限値よりも小さくなっていればステップST1へ移る。
【0109】
ここで、上記高圧制御動作の処理がステップST6に移るということは、上記圧縮機(53)の周波数制御を最小値まで減少させ、且つ上記バイパス弁(3)を開いても、上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値より小さくならなかったことを示している。
【0110】
このような場合には、ステップST6において上記給気ファン(26)及び上記排気ファン(25)の運転周波数を、上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値より小さくなるまで強制的に増加させる。
【0111】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、上記コントローラ(93)の換気制御部(4)により、室内の目標換気量に応じて上記調湿装置の供給空気及び上記排出空気の風量が調整される。つまり、室内にいる人の人数が増えて目標換気量が大きくなると、上記供給空気及び上記排出空気の風量が大きくなって室内の換気量が増加する。一方、室内にいる人の人数が減って目標換気量が小さくなると、上記供給空気及び上記排出空気の風量が小さくなって室内の換気量が減少する。
【0112】
このように、室内の目標換気量に応じて上記供給空気及び上記排出空気の風量を調整することができ、上記調湿装置において、室内の目標換気量に見合う換気量に調整しながら調湿運転を行うことができる。
【0113】
又、本実施形態によれば、上記換気制御部(4)によって上記供給空気及び上記排出空気の風量が少なくなって上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上になった場合に、上記圧縮機(53)の運転周波数が減少する。これにより、上記第1又は第2吸着熱交換器(51,52)を流れる冷媒の流量が上記高圧信号入力時よりも少なくなり、上記供給空気及び上記排出空気の風量低下に起因する上記高圧圧力の上昇が抑えられる。
【0114】
以上より、室内の目標換気量が減少した場合でも、上記高圧圧力の上昇を抑えながら室内の換気量を減少させることができ、上記換気制御部(4)による換気制御を行いやすくすることができる。
【0115】
又、本実施形態によれば、上記圧縮機(53)の運転周波数が最低容量となっても上記高圧圧力の上昇を抑えきれない場合に、上記バイパス弁(3)が開く。ここで、このバイパス弁(3)は、上述したように、圧縮機(53)から吐出した冷媒の一部を該圧縮機(53)の吸入側へ戻すためのものである。このことから、上記バイパス弁(3)が開くと、上記圧縮機(53)の消費電力は変わらずに第1及び第2吸着熱交換器(51,52)の熱交換量だけが減少することとなり、上記冷媒回路(50)における冷凍サイクルの成績係数(COP)は低下する。
【0116】
したがって、上記バイパス弁(3)が開くタイミングを制限することで、この成績係数をできるだけ低下させずに、上記供給空気及び上記排出空気の風量低下に起因する上記高圧圧力の上昇を抑えることができる。
【0117】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0118】
上記実施形態では、上記コントローラ(93)に第1バイパス弁開閉部(6)を設けて、上記圧縮機(53)の運転周波数が最低容量となっても上記高圧圧力の上昇を抑えきれない場合に、上記バイパス弁(3)を開くようにしていたが、これに限定されす、図6に示すように、第1バイパス弁開閉部(6)の代わりに第2バイパス弁開閉部(8)を設けてもよい。
【0119】
この第2バイパス弁開閉部(8)では、上記圧縮機(53)の運転周波数が最低容量とならなくても、上記バイパス弁(3)を開く。こうすることで、上記冷媒回路(50)における急激な高圧上昇にも素早く対応できるようになる。
【0120】
上記実施形態では、上記風量調整機構としてファン用インバータを用いて、上記給気ファン(26)及び排気ファン(25)の運転周波数を変更することにより、上記供給空気及び上記排出空気の風量を変更していたが、これに限定されず、例えば、上記風量調整機構として風量調整用のダンパを用いて、上記供給空気及び上記排出空気の風量を変更してもよい。
【0121】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0122】
以上説明したように、本発明は、冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続された吸着熱交換器を利用して調湿運転を行う調湿装置について有用である。
【符号の説明】
【0123】
1 圧縮機制御部
2 バイパス配管
3 バイパス弁
4 換気制御部
5 ファン用インバータ(風量変更機構)
6 第1バイパス弁開閉部
7 判定部
10 調湿装置
25 排気ファン
26 給気ファン
50 冷媒回路
51 第1吸着熱交換器
52 第2吸着熱交換器
53 圧縮機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外の空気を供給空気として室内へ供給する給気ファン(26)と、室内の空気を排出空気として室外へ排出する排気ファン(25)と、一方を上記供給空気が通過して他方を上記排出空気が通過する第1及び第2吸着熱交換器(51,52)が接続されて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(50)とを備えた調湿装置であって、
上記供給空気及び上記排出空気の風量を変更する風量変更機構(5)と、室内の目標換気量に応じて上記風量変更機構(5)を制御する換気制御部(4)とを備えていることを特徴とする調湿装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記冷媒回路(50)には、運転容量可変の圧縮機(53)が接続され、
上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上である場合に出力される高圧信号を受けると、上記圧縮機(53)の運転容量を上記高圧信号入力時よりも減少させる圧縮機制御部(1)を備えていることを特徴とする調湿装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記冷媒回路(50)における圧縮機(53)の吐出配管(53a)と吸入配管(53b)とを連通するバイパス配管(2)に取り付けられたバイパス弁(3)と、
上記圧縮機(53)の運転容量が最低容量であり、且つ上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上の状態が所定時間継続する場合に出力される高圧回避信号を受けると、上記バイパス弁(3)を開状態に設定する第1バイパス弁開閉部(6)とを備えていることを特徴とする調湿装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、
上記冷媒回路(50)における圧縮機(53)の吐出配管(53a)と吸入配管(53b)とを連通するバイパス配管(2)に取り付けられたバイパス弁(3)と、
上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上である場合に出力される高圧信号を受けると、上記バイパス弁(3)を開状態にし、上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値よりも小さい場合に出力される低圧信号を受けると上記バイパス弁(3)を閉状態にする第2バイパス弁開閉部(8)とを備えていることを特徴とする調湿装置。
【請求項1】
室外の空気を供給空気として室内へ供給する給気ファン(26)と、室内の空気を排出空気として室外へ排出する排気ファン(25)と、一方を上記供給空気が通過して他方を上記排出空気が通過する第1及び第2吸着熱交換器(51,52)が接続されて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(50)とを備えた調湿装置であって、
上記供給空気及び上記排出空気の風量を変更する風量変更機構(5)と、室内の目標換気量に応じて上記風量変更機構(5)を制御する換気制御部(4)とを備えていることを特徴とする調湿装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記冷媒回路(50)には、運転容量可変の圧縮機(53)が接続され、
上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上である場合に出力される高圧信号を受けると、上記圧縮機(53)の運転容量を上記高圧信号入力時よりも減少させる圧縮機制御部(1)を備えていることを特徴とする調湿装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記冷媒回路(50)における圧縮機(53)の吐出配管(53a)と吸入配管(53b)とを連通するバイパス配管(2)に取り付けられたバイパス弁(3)と、
上記圧縮機(53)の運転容量が最低容量であり、且つ上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上の状態が所定時間継続する場合に出力される高圧回避信号を受けると、上記バイパス弁(3)を開状態に設定する第1バイパス弁開閉部(6)とを備えていることを特徴とする調湿装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、
上記冷媒回路(50)における圧縮機(53)の吐出配管(53a)と吸入配管(53b)とを連通するバイパス配管(2)に取り付けられたバイパス弁(3)と、
上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値以上である場合に出力される高圧信号を受けると、上記バイパス弁(3)を開状態にし、上記冷媒回路(50)の高圧圧力が制限値よりも小さい場合に出力される低圧信号を受けると上記バイパス弁(3)を閉状態にする第2バイパス弁開閉部(8)とを備えていることを特徴とする調湿装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−2131(P2011−2131A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144419(P2009−144419)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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