説明

調理器

【課題】被調理物の粘度に拘らず、安価な構造で所定量の被調理物を吐出できる調理器を提供する。
【解決手段】本発明の調理器は、容器4と、容器4内の被調理物を外部に吐出する吐出手段としてのポンプ11と、ポンプ11の動作を制御する制御手段51と、を備え、粘度の高い流体でも吐出が可能なチューブポンプによりポンプ11を構成している。こうすると、容器4内の被調理物はチューブポンプを動作することで外部に吐出されるが、このチューブポンプは簡単な構造でありながら、粘度の高い被調理物であっても、被調理物の粘度に拘らず、被調理物を円滑に外部に吐出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の被調理物を吐出手段で外部に吐出する調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の調理器として、例えば特許文献1〜3における被調理物を外部に吐出する装置が知られている。これらは何れも、被調理物を加熱調理し、所定量を吐出する装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3267964号公報
【特許文献2】特開2006−199359号公報
【特許文献3】特開平6−179491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、容器内の被調理物は吐出手段を動作することにより外部に吐出されるが、粘度により被調理物はうまく吐出されなかったり、吐出量が減少したりする欠点があった。この点について、前記特許文献1の方式による吐出手段が提案されているが、難易度の高い構造が要求され、非常に高価なものであった。
【0005】
さらに、吐出量に対して、これを受けるカップが小さかった場合に、カップから被調理物が溢れ出す問題点も指摘されていた。
【0006】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、被調理物の粘度に拘らず、安価な構造で所定量の被調理物を吐出できる調理器を提供することにある。
【0007】
本発明の第2の目的は、被調理物の吐出時に異常があった場合でも、直ちに吐出を停止できる調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1における調理器は、容器と、前記容器内の被調理物を外部に吐出する吐出手段と、前記吐出手段の動作を制御する制御手段と、を備えた調理器において、前記吐出手段がポンプであることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2における調理器は、請求項1において、前記被調理物を選択する選択手段を備え、前記制御手段は、前記選択手段で選択した前記被調理物に拘らず、一定量の被調理物が吐出できるように、前記吐出手段の動作を制御するものであることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3における調理器は、容器と、前記容器内の被調理物を外部に吐出する吐出手段と、前記容器を加熱する加熱手段と、前記加熱手段および前記吐出手段の動作を制御する制御手段と、を備えた調理器において、前記被調理物を選択する選択手段を備え、前記制御手段は、前記選択手段で選択した前記被調理物に応じて、前記加熱手段および前記吐出手段の動作を制御するものであると共に、前記被調理物の吐出中に、当該吐出を強制的に停止させる操作手段を設けている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1の調理器によれば、容器内の被調理物は吐出手段であるポンプを動作することで外部に吐出されるが、このポンプは簡単な構造でありながら、被調理物の粘度に拘らず、被調理物を円滑に外部に吐出できる。したがって、被調理物の粘度に拘らず、安価な構造で所定量の被調理物を吐出できる。
【0012】
本発明の請求項2の調理器によれば、選択手段で選択した被調理物に応じて、制御手段がポンプの動作を制御できるので、どのような被調理物であっても、一定量の被調理物を外部に確実に吐出できる。
【0013】
本発明の請求項3の調理器によれば、被調理物を選択手段により選択するだけで、適切な加熱の制御と、吐出の制御を行なえると共に、所定量の被調理物を簡単に吐出できる。また、例えば吐出量に対し、受けるカップが小さい場合のように、被調理物の吐出中に何らかの異常が発生したときには、操作手段を操作することにより、直ちに被調理物の吐出を停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施例における調理器の正面図である。
【図2】同上、調理器の側面図である。
【図3】同上、図1のA−A線断面図である。
【図4】同上、操作・表示PC板ユニットの正面図である。
【図5】同上、シャッターの構成を示す平面図である。
【図6】同上、図5のB−B線断面図である。
【図7】同上、電気的構成を示すブロック図である。
【図8】同上、容器内の温度や圧力と、各部の動作状態を示すタイムチャートである。
【図9】本発明の第2実施例における調理器の操作・表示PC板ユニットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明におけるスープディスペンサーとしての調理器の好ましい実施例を説明する。
【0016】
図1〜図8は、本発明の第1実施例における調理器を示している。先ず、調理器各部の構成を、図1〜図3に基づき説明すると、1は本体、2は本体1の上部に設けられる蓋体であり、ここでの本体1と蓋体2の外郭は、各部品(パーツ)の分割形状を示してはいないものの、複数の部品で構成される。本体1には上面を開口した有底状の容器収容部3が設けられ、この容器収容部3に図示しない被調理物を収容する容器4が具備される。
【0017】
容器4は、底部を漏斗状にする一方で、上面を開口した有底筒状をなし、その上端には水平方向外側に拡がるフランジ部6が形成される。ここで使用する容器4は、磁性を有するステンレス鋼板などの磁性材料で形成される。一方、容器4の外面に対向して、容器収容部3の側部から底部にかけての外周囲には、加熱手段としての加熱コイル7が配設される。そして、この加熱コイル7に高周波電流を供給すると、加熱コイル7から発生する交番磁界により容器4が発熱し、容器4内のスープなどの被調理物を加熱するようになっている。なお、加熱コイル7に代わり例えばヒータ式などの加熱手段を用いてもよく、その場合は容器4が磁性材料である必要はない。
【0018】
前記本体1の後方には、蓋体2を軸支するためのヒンジ部8が設けられており、このヒンジ部8を中心として回動する蓋体2が、容器4の開口部を開閉自在に覆っている。また、図示してはいないが、蓋体2を閉状態に保つロック機構が、本体1と蓋体2に設けられる。蓋体2を閉じた状態で、容器4のフランジ部6と対向する蓋体2の部分には、弾性を有するパッキング9が設けられており、このパッキング9と容器4のフランジ部6が密着することで、蓋閉時に容器4を密封するようになっている。
【0019】
11は、容器収容部3の下方に設けられた吐出手段としてのポンプである。このポンプ11は、容器4内の被調理物を容器4ひいては本体1の外部に吸い出すものであり、その入口側には、液体の流入口12が設けられると共に、出口側には液体の流出口13が設けられる。また、容器4の最下部には被調理物の出口14が開口形成され、当該出口14とポンプ11の流入口12との間を、管体であるチューブ15で接続することで、容器4からポンプ11に至る第1の経路16が形成される。
【0020】
ここでのポンプ11は、好ましくは粘度の高い液体(被調理物)でも送流できるチューブポンプが用いられる。チューブポンプは図示しないが、弾性を有する送流管としてのチューブと、駆動源であるモータにより一方向に回転する回転板と、この回転板に取付けられるローラとにより構成され、回転板の回転に伴い各ローラでチューブをしごき回すことで、チューブ内の液体を送り出す構造となっている。
【0021】
容器収容部3の下方には、前記ポンプ11の他に、循環・吐出切替手段としての三方弁21が設けられる。この三方弁21は、一つの流入口22と、二方に分かれた流出口23,24とを備え、前記ポンプ11の流出口13と、三方弁21の流入口22との間を管体であるチューブ25で接続することで、ポンプ11から三方弁21に至る第2の経路26が形成される。また、三方弁21の流出口23は下方に開口しており、この流出口23に対向して、本体1の正面側に形成した受け部28の上面に、流出口23よりも大きな孔形状を有する吐出口29が開口形成される。これにより、流入口22と流出口23が連通するように三方弁21を切替えたときに、容器4,ポンプ11,三方弁21および吐出口29を順に通過して、吐出口29から本体1の外部に被調理物を吐出する吐出経路30が形成される。なお、前記受け部28は、図示しないカップなどの受け具を出し入れできる大きさで凹状に形成され、この受け具を受け部28に収容載置した状態で、吐出口29から受け具に被調理物が流出するようになっている。
【0022】
31は、容器4内から外部に至る吐出経路30に設けられた移動可能なシャッターである。このシャッター31は、流入口22と流出口23が連通するように三方弁21を切替え、且つポンプ11を動作させて、吐出経路30を経由して吐出口29から被調理物を吐出する場合に、吐出経路30を開放する一方で、ポンプ11の動作を停止した後で、吐出経路30に残留する被調理物が吐出口29から垂れ落ちるのを防止するために、吐出経路30を閉塞するように動作される。なお、本実施例では三方弁21の流出口23と吐出口29との間にシャッター31を介在させているが、吐出口29の出口側にシャッター31を設けてもよく、吐出経路30のどの位置にシャッター31を設けても構わない。
【0023】
一方、容器4には被調理物の出口34が開口形成され、当該出口34と三方弁21の流出口24との間に、管体であるチューブ35を接続することで、三方弁21から容器4に至る第3の経路36が形成される。これにより、流入口22と流出口24が連通するように三方弁21を切替えたときに、容器4,ポンプ11および三方弁21を順に経て、容器4に被調理物を循環させる循環経路37が形成される。
【0024】
容器4の底部外面には、当該容器4の温度を検知する温度検知手段41が具備される。この温度検知手段41で検知した温度によって、スープなどの被調理物の加熱調理や所定の温度での保温を、後述する制御手段51により制御するようになっている。
【0025】
蓋体2には、蓋体2で容器4の上面開口を覆った蓋閉時に、容器4の内外を連通する2つの排気通路42,43がそれぞれ別々に設けられる。排気通路42,43の一方の開口は、何れも容器4に臨んでおり、また排気通路42,43の他方の開口は、蓋体2の上面部に形成された共通の排気口44に連通している。排気通路42の途中には、前記ポンプ11や三方弁21と連動して当該排気通路42を閉塞または開放する吐出時開放弁45が設けられる。吐出時開放弁45は排気通路42の開閉手段として設けられ、後述する制御手段51により、その動作が制御される。具体的には、前記吐出経路30によりスープなどの被調理物を吐出する場合などに、吐出時開放弁45は排気通路42を開放して、容器4内を外気と同気圧にし、ポンプ11による吐出が円滑に行なわれるようにする。逆に、それ以外の場合には、吐出時開放弁45が排気通路42を閉塞するようになっている。
【0026】
また、別な排気通路43の途中には、保温時において密閉状態にある容器4内を、大気圧(外気圧)よりも低い圧力にする減圧手段としての減圧ポンプ47が設けられる。この減圧ポンプ47は蓋体2にあって、吐出時開放弁45と同様に、後述する制御手段51により、その動作が制御される。
【0027】
容器収容部3の外方にあって、容器4の外周部には、筒状の断熱材48が設けられる。また、蓋体2の内部には、好ましくは容器4の上面開口に臨む位置に、同様の断熱材49が設けられる。本実施例では、容器4からの熱が上方から逃げることを考慮して、特に蓋体2と容器4の外周上側の2箇所にそれぞれ断熱材48,49を設けているが、容器4からの熱の逃げを効果的に抑制できるならば、いずれか一方の断熱材48,49だけを設けてもよく、また容器4の外周全体を囲むように断熱材48を設けてもよい。さらに、断熱材48,49の全てまたは一部を、真空断熱材で構成してもよい。ここでの真空断熱材は、外郭部材の内部に密閉した真空層を有してなり、当該真空層により極めて高い断熱効果を得ることができる。
【0028】
51は、本体1の内部に設けられた電源PC板ユニット52と、本体1の正面中央部に設けられた操作・表示PC板ユニット53に組み込まれる制御手段である。ここで、操作・表示PC板ユニット53の詳細な構成を、図4に基づき説明すると、操作・表示PC板ユニット53は、複数の押釦式スイッチからなる操作部55と、複数のLEDからなる表示部56とを、共通するプリント基板上にそれぞれ実装配置して構成される。操作部55は、調理器としての運転を開始若しくは停止させる時に押動操作される運転/停止ボタン58と、吐出口29から被調理物を吐出させる時に押動操作される吐出ボタン59と、吐出口29からの被調理物の吐出量を変更する時に押動操作される吐出量設定ボタン60と、被調理物(スープ)の種類に応じた粘度を設定するために押動操作される粘度設定ボタン61と、容器4内における被調理物の保温温度を変更するために押動操作される温度設定ボタン62と、後述するセルフクリーニングモードを実行する際に押動操作されるセルフクリーニングボタン63と、を備えて構成される。また表示部56は、調理器として運転中か否かを表示する運転確認LED65と、制御手段51にて設定記憶された被調理物の吐出量を段階的に表示する吐出量表示LED66と、制御手段51にて設定記憶された被調理物の粘度を段階的に表示する粘度表示LED67と、制御手段51にて設定記憶された被調理物の保温温度を段階的に表示する温度表示LED68と、クリーニング工程の実行中か否かを表示するセルフクリーニング確認LED69と、を備えて構成される。
【0029】
なお、ここにある操作部55や表示部56はあくまでも一例に過ぎず、例えば操作部55としてダイヤル式やスライド式などの各種スイッチを採用したり、表示部56として各部の設定および動作状態を一纏めに表示するLCDなどを採用してもよい。また、操作・表示PC板ユニット53を本体1にではなく蓋体2に設けてもよいし、操作部55や表示部56の各部を、図4以外の配置としても構わない。
【0030】
図5および図6は、前述したシャッター31の構造を示している。同図において、シャッター31は、三方弁21の流出口23に装着されるキャップ71と、受け部28の上面部をなす天板73に設けた軸部74と、当該軸部74を中心に回動するマグネット75付きのアーム部76と、アーム部76の先端に取り付けられる開閉体77と、マグネット75の両側に配置される一対の電磁石78,79とにより構成される。前記キャップ71には、流出口23と吐出口29とを連通可能にする連通部80が形成され、この連通部80を開放または閉塞するように開閉体77が可動可能に設けられる。そして、一方の電磁石78にマグネット75が吸引されるように、各電磁石78,79に供給する電流を制御すると、開閉体77が連通部80を閉塞し、逆に他方の電磁石79にマグネット75が吸引されるように、各電磁石78,79に供給する電流を制御すると、開閉体77が連通部80から離れて、三方弁21の流出口23と天板73に形成した吐出口29が連通するようになっている。
【0031】
次に、図7に基づいて本実施例における調理器の電気的構成を説明する。同図において、制御手段51の入力ポートには、温度検知手段41と操作部55がそれぞれ接続されると共に、制御手段51の出力ポートには、加熱コイル7と、ポンプ11と、三方弁21と、吐出時開放弁45と、減圧ポンプ47と、表示部56と、電磁石78,79が、それぞれ接続される。そして制御手段51は、温度検知手段41からの検知信号や、操作部55からの操作信号を受けて、加熱調理時に出力ポートに接続した各部を制御する加熱調理制御手段81と、加熱調理後に行なわれる保温時において、出力ポートに接続した各部を制御する保温制御手段82をそれぞれ備えている。なお、加熱調理制御手段81や保温制御手段82が具体的にどのような制御を行なうのかについては、後程詳しく説明する。
【0032】
次に、図8のフローチャートを参照しながら、被調理物としてスープを作る場合を例に、その作用を説明する。
【0033】
蓋体2を開け、本体1の上方からスープ材料を容器4内に投入し、蓋体2を閉じてロック機構により蓋体2を閉状態に保つ。なお、スープ材料としては、予め調理されて冷凍保存されたものを、電子レンジなどで室温程度に解凍したものでもよい。次に、スープの保温温度を温度設定ボタン62で選択し、容器4内に投入したスープの粘度を粘度設定ボタン61で選択する。具体的には、温度設定ボタン62を押す毎に、「70」→「80」→「90」→「70」に対応した温度表示LED68が順に点灯し、その選択した保温温度が制御手段51に設定記憶される。同様に、粘度設定ボタン61を押す毎に、「低」→「中」→「高」→「低」に対応した粘度表示LED67が順に点灯し、その選択したスープの粘度が制御手段51に設定記憶される。
【0034】
因みに、液体状のスープは、具などをカップに入れておき、これを受け部28に収納載置して、容器4内のスープを具入りのカップに吐出する。またスープには、例えばコンソメスープなどのように粘度の低いものや、ポタージュスープなどのように粘度の高いものなど、様々な種類があるので、粘度設定ボタン61を押して、そのスープに合った粘度を選択することで、加熱調理制御手段81が最適な加熱調理を行なうようになっている。ここでは、コンソメスープなどの粘度の低いスープの場合、「低」の粘度を選択し、ポタージュスープなどの粘度の高いスープの場合、「高」の粘度を選択するのが好ましい。
【0035】
こうして、保温温度とスープの粘度を設定したら、運転/停止ボタン58を押動操作して、加熱調理制御手段81による加熱調理工程を実行する。この加熱調理工程では、温度検知手段41で検知される容器4の検知温度が所定値に達するまで、加熱コイル7を連続的に通電し、容器4内のスープ材料を加熱する。また加熱調理中において、加熱調理制御手段81は、流入口22と流出口24が連通するように三方弁21に切替信号を供給すると共に、排気通路42を開放するための動作信号を吐出時開放弁45に供給して、加熱調理中に容器4内のスープから発生する湯気などを、排気通路42を経由して排気口44に排出させる。ここで加熱調理制御手段81がポンプ11を動作させることにより、循環経路37によりスープを循環させ、容器4内のスープを攪拌して、焦げ付きなどの不具合が発生しないように、本体1内のスープ全体を均一に加熱できる。
【0036】
図8に示すように、容器4内のスープを効果的に攪拌するために、ポンプ11は所定の時間を有して通断電されるが、通電時間や断電時間をどの程度にするのかは特に限定しない。例えば、粘度設定ボタン61により設定したスープの粘度に応じて、ポンプ11の通電時間や断電時間をそれぞれ可変してもよい。
【0037】
なお、加熱調理中は、容器4内を減圧する必要がないため、加熱調理制御手段81により減圧ポンプ47をオフ状態に維持する。また加熱調理中は、三方弁21により流入口22と流出口24との間を連通すると共に、後ダレ防止用のシャッター31により吐出経路30を閉塞する。好ましくは、吐出ボタン59を押動操作しても、加熱調理制御手段81がこれを受け付けず、吐出口29からスープが吐出されないようにしてもよい。
【0038】
容器4の検知温度が所定温度に達すると、加熱調理制御手段81による加熱調理工程が終了し、代わって保温制御手段82による保温工程に移行する。この保温工程では、予め温度設定ボタン62で設定された保温温度に容器4の検知温度が近づくように、保温制御手段82が加熱コイル7を通断電制御する。また、保温工程に移行すると、排気通路42を閉塞するような動作信号が、保温制御手段82から吐出時開放弁45に供給され、容器4内のスープが外気と遮断される。保温制御手段82は、後述する吐出ボタン59の押動操作が行なわれない限り、排気通路42を閉塞し続ける。
【0039】
この状態で、保温制御手段82は減圧ポンプ47を所定時間動作させる駆動信号を、当該減圧ポンプ47に供給する。前述したように、排気通路42は吐出時開放弁45により閉塞されているので、減圧ポンプ47を作動すると、それまで常圧状態であった容器4内の圧力は次第に減少する。こうして、保温中は容器4内を減圧して容器4内の容器空間容積に対する酸素濃度を低くするので、スープの酸化劣化を低減することができ、当該スープを長時間美味しい状態に保つことができる。また、スープの保温可能時間が長くなるので、余ったスープの廃棄量も減少し、廃棄に伴う手間やスープを廃棄するというロスを低減できる。
【0040】
また、容器4からの熱の逃げは、断熱材48,49によって低減される。そのため、上記加熱調理工程時や保温工程時において、主に加熱コイル7の消費電力量を低減でき、調理器としてのエネルギーロスを減らすことが可能になる。特に、断熱材48,49として真空断熱材を用いることで、容器4からの熱の逃げをより効果的に低減できる。そのため、加熱調理工程時や保温工程時において、主に加熱コイル7の消費電力量をさらに低減でき、調理器としてのエネルギーロスを効果的に減らすことが可能になる。
【0041】
図8に示すように、保温制御手段82は一定時間毎に繰り返し駆動ポンプ47を動作させるが、その繰り返しの一定時間や、駆動ポンプ47の動作時間は、容器4内を減圧したときのスローリークの度合いなどを考慮して適宜設定すればよい。
【0042】
また保温制御手段82は、吐出ボタン59の押動操作が行なわれない限り、流入口22と流出口24が連通するような切替信号を三方弁21に供給する。したがって、この状態でポンプ11を動作させると、循環経路37によりスープを循環させ、容器4内のスープを攪拌して、本体1内のスープ全体を均一に保温できる。なお、ここでもポンプ11の通電時間や断電時間をどの程度にするのかは、特に限定しない。本実施例では、どの工程であるかに拘らず、常時は循環経路37が連通し、吐出ボタン59を操作したときにのみ、吐出経路30が連通して、吐出口29からスープが吐出するようになっている。
【0043】
保温中にスープを吐出する場合は、吐出ボタン59を押すと、吐出量設定ボタン60により予め設定記憶した吐出量のスープが吐出口29から吐出される。吐出量は吐出量設定ボタン60で切替えることができ、この設定した吐出量に応じて、保温制御手段82はポンプ11の駆動時間を決定する。具体的には、設定した吐出量が多いほど、ポンプ11の駆動時間を長くすればよい。吐出ボタン59を押動操作したときの操作信号を受けて、保温制御手段82は流入口22と流出口23が連通するように三方弁21に切替信号を供給すると共に、三方弁21の流出口23と吐出口29が連通するように、各電磁石78,79に電流を供給し、さらにポンプ11に駆動信号を供給する。これにより、駆動ポンプ11が作動して、容器4内のスープが吐出経路30を介して受け部28に載置収容されたカップに吐出される。
【0044】
本実施例では、容器4内のスープを容器4の外部に吸出すポンプ11として、粘度の高い液体を吐出できるチューブポンプを用いたことにより、粘度の低いスープから粘度の高いスープまで様々な種類のスープを吐出できるが、単に吐出量に応じた駆動時間でポンプ11を運転しても、スープの粘度によって吐出量が変わるので、スープの粘度を設定できる粘度設定ボタン61を設け、吐出量設定ボタン60で設定した吐出量のみならず、粘度設定ボタン61で設定したスープの粘度に応じて、保温制御手段82がポンプ11の駆動時間を決定している。つまり、ポンプ11としてのチューブポンプは、スープの粘度が高くなると単位時間における液体の流出量が減り、逆にスープの粘度が低くなると、単位時間における液体の流出量が増加する。そこで保温制御手段82は、設定した吐出量に応じて決定されるポンプ11の駆動時間に対して、選択したスープの粘度が高くなる程、そのポンプ11の駆動時間を長くし、選択したスープの粘度が低くなる程、そのポンプ11の駆動時間を短くすることで、最終的に吐出口29から吐出するスープの供給量を、粘度に拘らず一定にすることが可能になる。また、スープの吐出時には、吐出時開放弁45によって排気通路42が開放され、容器4内を外気と同気圧(大気圧)にするので、ポンプ11によるスープの吐出を円滑に行なうことができる。
【0045】
その後、吐出口29から一定量のスープが吐出され、保温制御手段82がポンプ11への動作を停止すると、それに連動して、三方弁21の流出口23と吐出口29との間をシャッター31が遮断するように、各電磁石78,79に電流を供給し、吐出経路30を閉塞する。これにより、吐出経路30に残留するスープが吐出口29から垂れ落ちるいわゆる後ダレを防止でき、吐出口29の下側にあって、受け部28のカップを置く部位の汚れを防ぐことができる。また、これにより、スープを吐出する毎に、吐出口29からこぼれたスープを拭き取るなどの手間も省ける。
【0046】
また、スープの吐出時には排気通路42が開放され、容器4内の圧力が大気圧に戻るので、スープの吐出後は、吐出時開放弁45により排気通路42を閉塞し、減圧ポンプ47を所定時間動作させて、容器4内を再度大気圧未満の状態に減圧する。これにより、保温時には容器4内を極力減圧状態に維持することができる。
【0047】
次に、制御手段51が実行するクリーニング工程について説明する。清掃を行なう場合、予め容器4に水またはぬるま湯などの洗浄液を入れて、セルフクリーニングボタン63を押動操作すると、制御手段51によるクリーニング工程が開始する。このクリーニング工程では、容器4内の洗浄液が所定の温度に達するまで、または所定の時間、上述した循環経路37が連通する状態でポンプ11を動作させながら、加熱コイル7により洗浄液を加熱して、容器4と循環経路37の内部を清掃する。その後で、吐出経路30が連通するように三方弁21を切替え、吐出口29から洗浄液を吐出して、吐出経路30の内部を清掃する。なお、清掃するときには、吐出口29の下に水受け容器を設置するか、または吐出口29に排水ホースを接続する。容器4の内部には被調理物を攪拌するための攪拌部材が設けられておらず、そうした攪拌部材を洗う必要がないので、クリーニング工程を実行することで、清掃を非常に簡単に行なうことができる。
【0048】
このように本実施例では、本体1に具備される容器4と、容器4内の被調理物を容器4ひいては本体1の外部に吐出する吐出手段としてのポンプ11と、容器4の内外を連通または閉塞する容器開閉手段としての吐出時開放弁45と、被調理物の吐出時に所定部である容器4の内外を連通させるように、所定手段であるポンプ11および吐出時開放弁45の動作を制御する制御手段51と、を備えた調理器において、容器4内を例えば減圧などで変圧する変圧手段としての減圧ポンプ47を備え、制御手段51は、容器4の内外を閉塞した状態で、減圧ポンプ47が動作するように当該減圧ポンプ47を制御している。
【0049】
つまり、容器開閉手段である吐出時開放弁45により容器4の内外を閉塞した状態で、減圧ポンプ47を動作させて容器4の内部を減圧することで、容器4内の酸素量を減らし、被調理物の酸化による劣化を防止することができる。そのため、所定時である保温中における被調理物の劣化を低減することができ、長時間の保温が可能になる。
【0050】
また本実施例では、容器4内から所定部である容器4の外部に至る経路としての吐出経路30を設け、この吐出経路30の好ましくは吐出口29に、経路開閉手段たる後ダレ防止用のシャッター31を設けている。この場合、被調理物が吐出経路30の吐出口29から吐出した後、被調理物を吐出口29から吐出しないときに、シャッター31で吐出口29を塞ぐことで、吐出口29からの被調理物の余計な滴下すなわち後ダレを防止できる。
【0051】
さらに本実施例では、容器4の開口部を覆う蓋体2を備え、容器4と蓋体2の一方または両方に断熱材48,49を具備している。
【0052】
この場合、被調理物からの熱が容器4を通して逃げるのを低減して、断熱性能を向上することができる。また、加熱手段である例えば加熱コイル7により容器4内の被調理物を加熱や保温するものでは、余計な電力消費を抑えて、消費電力の低減を図ることができる。
【0053】
さらに、断熱材48,49が特に真空断熱材であれば、断熱性に優れた真空断熱材により、被調理物からの熱の逃げを効果的に低減して、断熱性能を一層向上させることができる。また、余計な電力消費を効果的に抑えて、消費電力の低減効果を更に顕著なものとすることができる。
【0054】
本実施例では、容器4と、容器4内の被調理物を外部に吐出する吐出手段としてのポンプ11と、ポンプ11の動作を制御する制御手段51と、を備えた調理器において、粘度の高い流体でも吐出が可能なチューブポンプにより、ポンプ11を構成している。
【0055】
こうすると、容器4内の被調理物は吐出手段であるチューブポンプを動作することで外部に吐出されるが、このチューブポンプは簡単な構造でありながら、粘度の高い被調理物であっても、被調理物の粘度に拘らず、被調理物を円滑に外部に吐出できる。したがって、粘度の低い被調理物から粘度の高い被調理物まで、被調理物の粘度に拘らず、安価な構造で所定量の被調理物を吐出できる。
【0056】
また本実施例では、容器4内に投入する被調理物の種類を選択する選択手段としての粘度設定ボタン61を備え、粘度設定ボタン61で選択した被調理物の種類に拘らず、一定量の被調理物が吐出できるように、制御手段51がポンプ11の動作を制御する構成となっている。つまり、粘度設定ボタン61で選択した被調理物の種類に応じて、制御手段51がチューブポンプの動作を個々に制御できるので、どのような種類の被調理物であっても、一定量の被調理物を外部に確実に吐出できる。
【0057】
次に、本発明の第2実施例について、図9を参照しながら説明する。なお、第1実施例と共通する部分には共通する符号を付し、共通する箇所の説明は重複を避けるため極力省略する。
【0058】
本実施例は、操作・表示PC板ユニット53の構成が第1実施例のものとは異なる。以下、その相違点について説明すると、ここでは操作部55として、運転/停止ボタン58,吐出ボタン59,吐出量ボタン85,保温温度ボタン86,メニューボタン87,セルフクリーニングボタン63,第1切替ボタン88,第2切替ボタン89を備えており、また表示部56として、運転確認LED65,吐出量表示部91,温度表示部92,メニュー表示部93,クリーニング残時間表示部95を備えている。操作部55において、運転/停止ボタン58,吐出ボタン59およびセルフクリーニングボタン63は、第1実施例のものと共通しているが、吐出量ボタン85は、吐出口29からの被調理物の吐出量を変更する時に押動操作されるもので、吐出量ボタン85の押動操作に引き続いて、第1切替ボタン88若しくは第2切替ボタン89を押動操作すると、制御手段51に設定記憶された被調理物の吐出量が段階的に増減され、さらにこの状態で吐出量ボタン85を再度押動操作すると、その増減した吐出量が制御手段51に設定記憶される。保温温度ボタン86は、容器4内における被調理物の保温温度を変更する時に押動操作されるもので、保温温度ボタン86の押動操作に引き続いて、第1切替ボタン88若しくは第2切替ボタン89を押動操作すると、制御手段51に設定記憶された被調理物の保温温度が段階的に増減され、さらにこの状態で保温温度ボタン86を再度押動操作すると、その増減した保温温度が制御手段51に設定記憶される。メニューボタン87は、被調理物(スープ)の種類に応じたメニューを変更する時に押動操作されるもので、メニューボタン87の押動操作に引き続いて、第1切替ボタン88若しくは第2切替ボタン89を押動操作すると、制御手段51に設定記憶された調理メニューが切替り、さらにこの状態でメニューボタン87を再度押動操作すると、その切替った調理メニューが制御手段51に設定記憶される。
【0059】
本実施例における運転/停止ボタン58は、吐出口29から被調理物を吐出中に押動操作されると、制御手段51を介してポンプ11の動作を中断させ、被調理物の吐出を強制的に停止させる操作手段としての機能をも兼用している。操作手段としては独立したスイッチやボタンなどを設けてもよいが、操作部55を簡素化するために、運転/停止ボタン58のような別の機能を有する操作体と兼用させるのが好ましい。因みに、吐出口29から被調理物を吐出する以外の場合には、運転/停止ボタン58からの操作信号により、調理器としての運転と停止を受け付けるように制御手段51を構成している。
【0060】
一方、表示部56において、運転確認LED65は、第1実施例のものと共通しているので、ここでは説明しないが、吐出量表示部91は、制御手段51にて設定記憶された被調理物の吐出量を表示するもので、第1実施例の吐出量表示LED66に相当し、温度表示部92は、制御手段51にて設定記憶された被調理物の保温温度を表示するもので、第1実施例の温度表示LED68に相当する。またメニュー表示部93は、制御手段51にて設定記憶された調理メニューを表示するもので、例として図9では、「コンソメスープ」の調理メニューが表示されている。クリーニング残時間表示部95は、クリーニング工程の実行中に点灯し、その残時間を表示するもので、第1実施例におけるセルフクリーニング確認LED69の機能を一部兼用している。
【0061】
なお、第1実施例でも説明したように、ここにある操作部55や表示部56はあくまでも一例に過ぎず、適宜変更が可能である。また、それ以外の各部の構成は、第1実施例で説明したものと共通している。
【0062】
次に上記構成について、その作用を説明すると、スープ材料を容器4内に投入し、蓋体2を閉じてロック機構により蓋体2を閉状態に保つ。次に、調理メニューでスープの種類を設定スープの保温温度を温度設定ボタン62で選択し、容器4内に投入したスープの粘度を粘度設定ボタン61で選択する。本実施例では、メニューボタン87を押動操作すると、メニュー表示部93が点滅して、スープの種類に相当する調理メニューの入力変更が可能であることを表示する。次に、第1切替ボタン88若しくは第2切替ボタン89を押動操作して、メニュー表示部93に表示される調理メニューを順に変更させ、希望の調理メニューが表示されたらメニューボタン87を再度押動操作する。これにより、メニュー表示部93に表示される調理メニューが点滅から点灯に切替り、調理メニューの設定が完了する。ここでは、第1切替ボタン88を押す毎に調理メニューが一つずつ進み、第2切替ボタン89を押す毎に調理メニューが一つずつ戻るが、別な保温温度や吐出量の設定時にも用いられる。
【0063】
また保温温度ボタン86を押動操作すると、温度表示部92が点滅して保温温度の入力変更が可能であることを表示する。次に、第1切替ボタン88若しくは第2切替ボタン89を押動操作して、温度表示部92に表示される保温温度を順に変更させ、希望の保温温度が表示されたら保温温度ボタン86を再度押動操作する。これにより、温度表示部92に表示される保温温度が点滅から点灯に切替り、保温温度の設定が完了する。ここでは、第1切替ボタン88を押す毎に温度表示部92に表示される保温温度の数字が1℃ずつ増え、第2切替ボタン89を押す毎に保温温度の数字が1℃ずつ減るようになっており、保温温度を例えば70℃〜90℃の範囲で1℃単位に設定できる。
【0064】
同様に、吐出量ボタン85を押動操作すると、吐出量表示部91が点滅して保温温度の入力変更が可能であることを表示する。次に、第1切替ボタン88若しくは第2切替ボタン89を押動操作して、吐出量表示部91に表示されるスープの吐出量を順に変更させ、希望の吐出が表示されたら吐出量ボタン85を再度押動操作する。これにより、吐出量表示部91に表示されるスープの吐出量が点滅から点灯に切替り、吐出量の設定が完了する。ここでは、第1切替ボタン88を押す毎に吐出量表示部91に表示される吐出量の数字が10mlずつ増え、第2切替ボタン89を押す毎に吐出量の数字が10mlずつ減るようになっており、吐出量を例えば100ml〜250mlの範囲で10ml単位に設定できる。また、このスープの吐出量は、吐出時にも変更設定できる。
【0065】
制御手段51としては、調理メニューの違いを被調理物(スープ)の粘度の違いとして判断する以外、第1実施例と同様に加熱調理工程と保温行程を実行する。例えば制御手段51は、調理メニューとして「コンソメスープ」が設定されている場合、被調理物の粘度が低いものと判断し、調理メニューとして「ポタージュスープ」が設定されている場合、被調理物の粘度が高いものと判断する。そして保温制御手段82は、保温工程時に被調理物を吐出する際に、設定されている調理メニューに対応したスープの粘度が高くなる程、ポンプ11の駆動時間を長くし、スープの粘度が低くなる程、ポンプ11の駆動時間を短くすることで、最終的に吐出口29から吐出するスープの供給量を、粘度に拘らず一定にする。
【0066】
また、同じ調理メニューであっても、温度によってスープの粘度が変わる場合があるので、そうしたスープの粘度に対応した調理メニューを設定した場合には、温度検知手段41で検知される容器4の検知温度に応じて、所定の一定量の被調理物が吐出口29から吐出されるように、制御手段51の例えば保温制御手段82が、ポンプ11の運転時間を制御する構成とするのが好ましい。具体的には、特定のスープの粘度が変わる調理メニューに対して、温度検知手段41で検知される容器4の検知温度が低いほど、ポンプ11の運転時間を長くし、逆に温度検知手段41で検知される容器4の検知温度が高いほど、ポンプ11の運転時間を短くする。吐出口29からの吐出量は、ポンプ11の運転時間の長短により可変することができる。
【0067】
保温工程時には、吐出ボタン59を押動操作することにより、設定された調理メニューに拘らず、吐出量表示部91に表示される吐出量で、被調理物を吐出口29から簡単に吐出することができる。また、例えば設定した吐出量に対して、これを受けるカップが小さく、そのままではカップから被調理物が溢れる虞れのある場合には、手動で運転/停止ボタン58を押動操作する。保温制御手段82は、運転/停止ボタン58からの操作信号を受け付けて、ポンプ11の運転動作を中断し、直ちに被調理物の吐出を停止するので、被調理物をこぼすことなく、カップ内に被調理物を注ぎ入れることができる。
【0068】
以上のように、本実施例では容器4と、容器4内の被調理物を外部に吐出する吐出手段としてのポンプ11と、容器4を加熱する加熱手段としての加熱コイル7と、加熱コイル7およびポンプ11の動作を制御する制御手段51と、を備えた調理器において、被調理物の種類を選択する選択手段としてのメニューボタン87を備え、制御手段51は、メニューボタン87で選択した被調理物の種類に応じて、加熱コイル7やポンプ11の動作を制御するものであると共に、被調理物の吐出中に、当該吐出を強制的に停止させる操作手段としての運転/停止ボタン58を設けている。
【0069】
この場合、被調理物の種類をメニューボタン87により選択するだけで、その種類に適した適切な加熱や保温の制御と、吐出の制御を自動的に行なえると共に、被調理物の種類に拘らず、設定された所定量の被調理物を簡単に吐出できる。また、例えば設定した吐出量に対し、受けるカップが小さい場合のように、被調理物の吐出中に何らかの異常が発生したときには、手動で運転/停止ボタン58を操作することにより、直ちに被調理物の吐出を停止することができる。
【0070】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、吐出手段による被調理物の吐出動作は、保温工程時に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0071】
4 容器
11 ポンプ(吐出手段)
51 制御手段
58 運転/停止ボタン(操作手段)
61 粘度設定ボタン(選択手段)
87 メニューボタン(選択手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、前記容器内の被調理物を外部に吐出する吐出手段と、前記吐出手段の動作を制御する制御手段と、を備えた調理器において、
前記吐出手段がポンプであることを特徴とする調理器。
【請求項2】
前記被調理物を選択する選択手段を備え、
前記制御手段は、前記選択手段で選択した前記被調理物に拘らず、一定量の被調理物が吐出できるように、前記吐出手段の動作を制御するものであることを特徴とする請求項1記載の調理器。
【請求項3】
容器と、前記容器内の被調理物を外部に吐出する吐出手段と、前記容器を加熱する加熱手段と、前記加熱手段および前記吐出手段の動作を制御する制御手段と、を備えた調理器において、
前記被調理物を選択する選択手段を備え、
前記制御手段は、前記選択手段で選択した前記被調理物に応じて、前記加熱手段および前記吐出手段の動作を制御するものであると共に、
前記被調理物の吐出中に、当該吐出を強制的に停止させる操作手段を設けたことを特徴とする調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−42409(P2011−42409A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256692(P2010−256692)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【分割の表示】特願2008−29736(P2008−29736)の分割
【原出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】