説明

調理器

【課題】スライド変位によって開放端を開閉する扉がスライドしている際に不測にターンテーブルとターンテーブル駆動部とが係合することを抑制することができる調理器を提供する。
【解決手段】扉19は開放端17aを閉成しているときに開放端17aと対向する裏面との相対位置が平行に変化するようにスライドレール23,24を介して調理器本体14に対してスライド変位可能に支持され、ターンテーブル70は扉19の開閉に伴うスライド変位に連動して変位するように扉19に支持され、ターンテーブル駆動部40は扉19が開放端17aを開放している際にはターンテーブル70から退避されかつ扉19が開放端17aを閉成している際にはターンテーブル70と係合され、スライドレール70は扉19が開放端17aを開放している際にはスライドロックが解除されかつ扉19が開放端17aを閉成している際にはスライドロックされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスや電磁波を利用して被調理物を加熱調理する調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガスレンジや電子レンジ或いはこれらを併用したコンビネーションレンジ等の調理器にあっては、被調理物を収納して加熱する加熱室といった庫内と外部とは、回動式の扉によって開閉されるのが周知である。
【0003】
この際、扉は、庫内開放端(被調理物の出し入れ口)の下縁付近を回動支点とする上下回動タイプと、庫内開放端の側縁付近を回動支点とする左右回動タイプと(例えば、特許文献1参照)、が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平07−185734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した調理器にあっては、扉を上下若しくは左右で回動させるため、加熱途中で庫内の被調理物の加熱状況を扉開放状態で確認する際、扉が邪魔となって視認性を損なうといった問題が生じていた。
【0006】
そこで、本発明は、扉を前後方向にスライド変位させることができ、庫内の被調理物の視認性を向上することができる調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の調理器は、筐体形状の調理器本体と、該調理器本体の内部に形成されて被調理物を加熱調理するために前面に開放する庫内と、該庫内の開放端を開閉する扉と、前記庫内の底面中央付近で回転するターンテーブルと、前記庫内の前記底面よりも外側の前記調理器本体の内部に配置されて前記ターンテーブルを回転させるターンテーブル駆動部と、を備え、前記扉は前記開放端を閉成しているときに該開放端と対向する裏面との相対位置が平行に変化するようにスライドレールを介して前記調理器本体に対してスライド変位可能に支持され、前記ターンテーブルは前記扉の開閉に伴うスライド変位に連動して変位するように前記扉に支持され、前記ターンテーブル駆動部は前記扉が前記開放端を開放している際には前記ターンテーブルから退避されかつ前記扉が前記開放端を閉成している際には前記ターンテーブルと係合され、前記スライドレールは前記扉が前記開放端を開放している際にはスライドロックが解除されかつ前記扉が前記開放端を閉成している際にはスライドロックされ、ていることを特徴とする。
【0008】
本発明の調理器によれば、扉を前後方向にスライド変位させることができ、庫内の被調理物の視認性を向上することができるばかりでなく、スライド変位によって開放端を開閉する扉がスライドしている際に不測にターンテーブルとターンテーブル駆動部とが係合することを抑制することができる。
【0009】
前記ターンテーブル駆動部が前記扉による前記開放端の開放・閉成に伴う前記ターンテーブルとの退避・係合に連動して前記スライドレールと退避・係合するロック部により前記スライドロック及び前記スライドロック解除されることを特徴とする。
【0010】
ターンテーブルとターンテーブル駆動部との退避・係合にスライドレールとロック部との退避・係合を連動させることにより、ロック部によるロック・ロック解除の信頼性を向上することができる。
【0011】
前記ターンテーブル駆動部は、前記ターンテーブルの底面に退避・係合するように昇降する駆動テーブルと、該駆動テーブルを昇降させる昇降装置部と、該昇降装置部による前記駆動テーブルの昇降に連動して昇降して前記スライドレールと係合・退避するロック爪と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
一つの昇降装置部によって駆動テーブルとロック爪とを連動させることができ、ロック・ロック解除の信頼性を向上することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の調理器は、扉を前後方向にスライド変位させることができ、庫内の被調理物の視認性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉開放2段バット載置状態の調理器の斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉開放ターンテーブル載置状態の調理器の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉開放バット載置状態の調理器の側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉開放バット載置状態の調理器の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉開放上段バット途中停止状態の調理器の側面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る調理器の正面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、調理器の底面方向の斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、(A)は扉引き込み前の要部の斜視図、(B)は扉引き込み開始直前の要部の斜視図、(C)は扉引き込み開始直後の要部の斜視図、(D)は扉引き込み状態の要部の斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、ターンテーブルとターンテーブル駆動部との係合状態の要部の断面図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、ターンテーブルとターンテーブル駆動部とが離間状態の要部の断面図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、スライドロック状態の要部の正面図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、スライドロック状態の要部の説明図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、スライドロック状態の要部の拡大図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、スライドアンロック状態の要部の正面図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、スライドアンロック状態の要部の説明図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、スライドアンロック状態の要部の拡大図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉にテーブル保持フレームを装着した状態の説明図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉にターンテーブルを保持した状態の説明図である。
【図19】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉にターンテーブルを保持した状態の扉底面側の説明図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉に下段バットを保持した状態の説明図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉にバット保持フレームを装着した状態の説明図である。
【図22】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉に上下2段のバットを保持した状態の説明図である。
【図23】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉に上下2段のバットを保持した状態の扉底面側の説明図である。
【図24】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、上段バットにトングを係合させた状態の説明図である。
【図25】本発明の一実施形態に係る調理器を示し、上段バットをトングで浮かせた状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の一実施形態に係る調理器について、図面を参照して説明する。尚、以下に示す実施例は本発明の調理器における好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。また、以下に示す実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下に示す実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉開放2段バット載置状態の調理器の斜視図、図2は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉開放ターンテーブル載置状態の調理器の斜視図、図3は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉開放バット載置状態の調理器の側面図、図4は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉開放バット載置状態の調理器の説明図、図5は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉開放上段バット途中停止状態の調理器の側面図、図6は本発明の一実施形態に係る調理器の正面図、図7は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、調理器の底面方向の斜視図、図8は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、図8(A)は扉引き込み前の要部の斜視図、図8(B)は扉引き込み開始直前の要部の斜視図、図8(C)は扉引き込み開始直後の要部の斜視図、図8(D)は扉引き込み状態の要部の斜視図、図9は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、ターンテーブルとターンテーブル駆動部との係合状態の要部の断面図、図10は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、ターンテーブルとターンテーブル駆動部とが離間状態の要部の断面図、図11は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、スライドロック状態の要部の正面図、図12は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、スライドロック状態の要部の説明図、図13は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、スライドロック状態の要部の拡大図、図14は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、スライドアンロック状態の要部の正面図、図15は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、スライドアンロック状態の要部の説明図、図16は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、スライドアンロック状態の要部の拡大図、図17は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉にテーブル保持フレームを装着した状態の説明図、図18は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉にターンテーブルを保持した状態の説明図、図19は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉にターンテーブルを保持した状態の扉底面側の説明図、図20は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉に下段バットを保持した状態の説明図、図21は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉にバット保持フレームを装着した状態の説明図、図22は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉に上下2段のバットを保持した状態の説明図、図23は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、扉に上下2段のバットを保持した状態の扉底面側の説明図、図24は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、上段バットにトングを係合させた状態の説明図、図25は本発明の一実施形態に係る調理器を示し、上段バットをトングで浮かせた状態の説明図である。
【0017】
図1乃至図5において、本発明の調理器11は、被調理物をバーナの燃焼熱気によって加熱調理するオーブン調理と、被調理物をマグネトロンから照射されたマイクロ波によって加熱調理する電子レンジ調理と、を可能とした所謂コンビネーションレンジである。なお、図中、12は排気穴、13は燃焼ガスの供給管(図3,図5では接続部分のみ開示)である。
【0018】
また、バーナ本体(図示せず)を備えた調理器本体14は、外壁15と、前面に配置された操作部16と、庫内17を構成する内壁18と、庫内17の前面開口(開放端)17aを開閉する扉19と、を備えている。
【0019】
扉19は、前面に開閉操作用の取手20が設けられている。この取手20の中央裏面付近には、扉19の閉成状態から開放状態とする際の解除スイッチ21が設けられている。また、扉19の裏面には、図6に示すように、庫内17の前面開口17aの外側で内壁18の前面縁部18aと当接するパッキン22が設けられている。さらに、本実施の形態における扉19は、その裏面側の下方寄り両側縁部付近と中央寄り下縁部付近の2箇所の計4箇所でガイドレール23,24によって支持されている。
【0020】
扉19の裏面側下方寄り両側縁部に配置された一対のサイドスライドレール23は、三段の伸縮可能な外中内レール26A,26B,26Cを備えている(図11,図14に詳細図示)。最も外側(調理器本体14の内側)に位置して断面の大きい略コ字形状の外レール26Aは、一端から中レール26Bと内レール26Cとが出没可能となるように他端側が前面縁部18aから抜け止め状態で内壁18の外面又は外壁15の内面にスライド変位可能に支持されている。また、中レール26Bは外レール26Aとの間にボール27が介在され、このボール27によって外レール26Aの一端から出没可能となるように長手方向にスライド変位可能とされている。同様に、内レール26Cは、中レール26Bとの間にボール27が介在され、このボール27によって中レール26Bの一端から出没可能となるように長手方向にスライド変位可能とされている。さらに、外レール26Aは中レール26Bを、中レール26Bは内レール26Cを、それぞれ抜け止め状態で支持している。また、内レール26Cは、ブラケット25を介して一端側(先端側)で扉19の裏面を支持している。
【0021】
扉19の裏面側下方寄り下縁部に配置された一対のアンダースライドレール24は、三段の伸縮可能な外中内レール29A,29B,29Cを備えている(図11,図13,図14,図16に詳細図示)。最も外側(調理器本体14の内側)に位置して断面の大きい略コ字形状の外レール29Aは、一端から中レール29Bと内レール29Cとが出没可能となるように他端側が前面縁部18aから抜け止め状態で内壁18の外面又は外壁15の内面にスライド変位可能に支持されている。また、中レール29Bは外レール29Aとの間にボール30が介在され、このボール30によって外レール29Aの一端から出没可能となるように長手方向にスライド変位可能とされている。同様に、内レール29Cは、中レール29Bとの間にボール30が介在され、このボール30によって中レール29Bの一端から出没可能となるように長手方向にスライド変位可能とされている。さらに、外レール29Aは中レール29Bを、中レール29Bは内レール29Cを、それぞれ抜け止め状態で支持している。また、内レール29Cは、ブラケット28を介して一端側(先端側)で扉19の裏面を支持している。
【0022】
一方、内レール29Cの他端側には平板状の引込プレート(プレート部材)31が固定されている。この引込プレート31は、図7に示すように、内レール29Cの他端側に略水平状態で固定されて、内レール29Cのスライド変位に連動して変位する。また、引込プレート31の一端(先端)は扉19が閉成状態にあるときの扉19の開放を阻止する際に利用される(詳細は後述)。さらに、引込プレート31の他端(後端)は、中途部から端部に向かう程に先細りとなるように内側端縁が傾斜され、その中途部の内側端縁には外向きに拡開する略凹形状のガイド溝31aが形成されている。
【0023】
また、調理器本体14の奥側には、両端にバネ付勢された引込ローラ(ローラ体)32を保持したローラ保持プレート33が配置されている。これにより、扉19を開放状態からスライド変位させて閉成しようと押入れ操作すると、図8(A),(B)に示すように、その閉成完了直前で引込ローラ32が引込プレート31の他端側の内側端縁に弾性接触し、図8(C)に示すように、更なる扉19の押入れ操作によってガイド溝31aに引込ローラ32が位置したときに、そのガイド作用と弾性力とによって、図8(D)に示すように、引込ローラ32がガイド溝31aの底縁にガイドされ、扉19の全体を引き込むことができる。なお、図7において、符号34はアンダースライドレール24の下面を支持する支持プレートである。
【0024】
一方、内壁18の底面(底板)の略中央には、下方に向けて凹陥された凹陥部18bが形成されており、この凹陥部18bには回転かつ昇降可能な円盤状の駆動テーブル35が配置されており、凹陥部18bの下方空間には駆動テーブル35を回転及び昇降させるターンテーブル駆動部40が配置されている。
【0025】
ターンテーブル駆動部40は、駆動テーブル35を回転させる回転装置部と、駆動テーブル35を昇降させる昇降装置部と、を備えている。尚、回転装置部に関しては、駆動テーブル35が上昇している状態のときに所定方向等に駆動テーブル35を回転させるものであり、その動力伝達方式や回転制御方式等は公知の技術を適用することができる。したがって、以下の説明では、昇降装置部をターンテーブル駆動部40として説明する。
【0026】
ターンテーブル駆動部40は、図9乃至図16に示すように、駆動モータ41と、駆動モータ41の回転駆動をベルト42を介して伝達される昇降カム43と、昇降カム43の回転位置に応じて回動する昇降アーム44と、昇降カム43と同軸上に設けられて偏心位置(位相)がずれた上昇偏心カム45及び下降偏心カム46と、上昇偏心カム45及び下降偏心カム46の回転位置によってON/OFFされる上昇検出スイッチ47及び下降検出スイッチ48と、昇降アーム44の先端と係合して回転軸49と一体に駆動テーブル35を昇降させる昇降部50と、昇降部50に設けられてその上昇時に引込プレート31の一端(先端)と係合するロック爪51と、ターンテーブル70を回転させるターンテーブル回転駆動モータ52と、を備えている。
【0027】
このような構成においては、扉19が前面開口17aを閉成すると、図示を略する扉検出スイッチが作動して駆動モータ41を駆動させ、駆動テーブル35を上昇させると同時にロック爪51を上昇させる。
【0028】
駆動テーブル35が上昇すると、ターンテーブル70の丸バット本体71の底面に設けられたクラッチ部72に駆動テーブル35が係合し、駆動テーブル35の回転をターンテーブル70に伝達することができる。
【0029】
また、ロック爪51が上昇すると、引込プレート31の一端(先端)と係合し、引込プレート31の扉開放方向のスライド変位が阻止される。
【0030】
また、駆動モータ41が駆動すると、上昇偏心カム45と下降偏心カム46の回転位置によって上昇検出スイッチ47と下降検出スイッチ48とが逆転状態でON/OFFする。扉19が前面開口17aを閉成すると、駆動テーブル35とターンテーブル70との係合状態及びロック爪51と引込プレート31との係合状態を検出することで操作部16の操作による調理開始指令に対して調理を開始(例えば、バーナやマグネトロンの作動)させる。
【0031】
また、解除スイッチ21をONすると、調理状態の停止(例えば、バーナやマグネトロンの作動停止)すると共に、駆動モータ41が駆動してターンテーブル70から駆動テーブル35が退避(下降)すると同時に、引込プレート31からロック爪51が退避(下降)し、扉19の引き出し方向のスライド変位を許容して前面開口17aが開放される。
【0032】
ところで、本実施の形態では、図17乃至図25に示すように、ターンテーブル70は、テーブル保持フレーム60によって保持され、扉19のスライド変位に連動するように構成されている。これにより、ターンテーブル70に対する調理物の載置や取り出し、調理途中での調理具合の確認等を庫内17を覗き込むことなく行なうことができる。
【0033】
このテーブル保持フレーム60は、その一端が扉19の裏面下方に設けられた下フック36と係合して保持され、その他端には庫内17の底面(内壁18の底面)上を転動(走行)す円柱状ローラ61が設けられている。また、テーブル保持フレーム60は、ターンテーブル70の丸バット本体71の底面を浮遊状態で支持(保持)する支持突起62と、ターンテーブル70よりも高い位置で角バット90の角バット本体91を支持する支持フレーム部63と、を備えている。
【0034】
これにより、テーブル保持フレーム60はターンテーブル70又は角バット90の両方を同時に保持することができる。なお、実際の調理時には何れか一方を支持するのが一般的である。
【0035】
また、この角バット90は、同一のものを上下2段積みすることが可能となっている。この際、下段の角バット90には、一端が扉19の裏面中途部に設けられた上フック37と係合するバット保持フレーム80の他端の脚部81を支持する。
【0036】
バット保持フレーム80は、上段の角バット90の裏面側周縁を支持すると共に後端側を開放しており、例えば、図4に示す状態(実際には被調理物を載置)で扉19を閉成して調理を行ない、図5に示すように、その途中又は調理終了後に扉19をスライド変位させると、下段側の角バット90は扉19の開放位置と同位置にまで引き出し、上段側の角バット90は途中までの引き出しとすることができる。
【0037】
これにより、被調理物の調理具合の確認や取り出しを行なう際に、上段の角バット90が作業の邪魔となり難くすることができる。
【0038】
なお、扉19を閉成した際には、上下各段の角バット90は、庫内17の内壁18の両側面に形成されたバットガイド18c,18dによって支持させることができる。これにより、各保持フレーム60,80を用いずに、庫内17に角バット90を支持させることも可能であると共に、扉19の開閉に連動して押し入れ・引き出しを可能とすることができる。この際、上述した上段に関しては、例えば、バットガイド18dと角バット90との高さ方向の位置をバット保持フレーム80の高さによって調整することで、摩擦抵抗等によって途中までの引き出しを可能とする。また、バット保持フレーム80の後端を開放しているため、バット保持フレーム80と角バット本体91との間で雌雄の異なる係合部を設けたり、バットガイド18dの先端側を上向き(数ミリ)として摩擦抵抗を高くするなど、その方法は適宜とすることができる。さらに、バット保持フレーム80の後端の開放を切り替え可能とし、必要に応じて全部引き出しと途中引き出しとを切り替え可能とすることも可能である。
【0039】
このように、本発明によれば、複数のバット(70,90)を組み合わせて設置することができ、バリエーションに富んだ調理に貢献することができる。また、図24,図25に示すように、所謂トング38を用いた各バット70,90の出し入れも可能である。
【0040】
このように、本発明の調理器にあっては、庫内17の側面よりも外側の扉19の両側縁に一端が保持されかつ他端が調理器本体14の内部に支持された一対のサイドスライドレール23と、庫内17の底面よりも外側の扉19の下縁に一端が保持されかつ他端が調理器本体14の内部に支持されたアンダースライドレール24と、を備え、サイドスライドレール23とアンダースライドレール24とで扉19をスライド変位することで前面開口17aを開閉することにより、庫内17の調理物の調理状態を容易に確認することができる。
【0041】
この際、サイドスライドレール23とアンダースライドレール24とは、前面開口17aよりも外側を取り巻き状態でシールするように扉19の裏面に設けられたパッキン22よりも外方に配置されているため、庫内17から電磁波の漏れを抑制することができる。
【0042】
また、アンダースライドレール24は、ターンテーブル駆動部40を避けるように均等間隔で挟む位置に設けられているため、扉19からの荷重を均等に分散することができ、しかも扉19の開閉を容易に行なうことができる。
【0043】
また、ターンテーブル駆動部40は、扉19が前面開口17aを開放している際にはターンテーブル70から退避して非回転状態にあり、扉19が前面開口17aを閉成している際にはターンテーブル70と係合して回転状態にあるため、扉19が前面開口17aを開放している際にはターンテーブル駆動部40がターンテーブル70から退避して非回転状態にあることから、ターンテーブル70の引き出し等を許容することができる。
【0044】
この際、ターンテーブル駆動部40は、扉19が閉成している際には扉19の開放をロックしているため、扉19を閉成してターンテーブル駆動部40がターンテーブル70を駆動させる状態にあるときに、不測に扉19を開放させることを抑制することができる。
【0045】
さらに、扉19は、前面開口17aを閉成しているときにターンテーブル70からターンテーブル駆動部40を退避させると同時に扉19の開放ロック状態を解除する解除スイッチ21を備えていることにより、扉19を開放させる際には、ロックを解除させない限り不測に開放してしまうことを抑制することができる。
【0046】
また、扉19は前面開口17aを閉成しているときに前面開口17aと対向する裏面との相対位置が平行に変化するように調理器本体14に対してスライド変位可能に支持され、ターンテーブル70は扉19の開閉に伴うスライド変位に連動して変位するように扉19に支持されているため、扉19をスライドさせて前面開口17aを開閉させる際にターンテーブル70とターンテーブル駆動部40との係合状態を連動させることができ、ターンテーブル70とターンテーブル駆動部40とが係合状態となったまま扉19をスライドさせることを抑制することができる。
【0047】
また、そのスライドロックをターンテーブル駆動部40の昇降に連動させてアンダースライドレール24のスライドを機械的にロック爪51でロックさせることにより、安価かつ簡素な構成で不測に扉19がスライド変位してしまうことを抑制することができる。
【符号の説明】
【0048】
11…調理器
12…排気穴
13…ホース
14…調理器本体
15…外壁
16…操作部
17…庫内
17a…前面開口(開放端)
18…内壁
18a…前面縁部
18b…凹陥部
18c…バットガイド
18d…バットガイド
19…扉
20…ノブ
21…解除スイッチ
22…パッキン
23…サイドスライドレール
24…アンダースライドレール
25…ブラケット
26A…外レール
26B…中レール
26C…内レール
27…ボール
28…ブラケット
29A…外レール
29B…中レール
29C…内レール
30…ボール
31…引込プレート(プレート部材)
31a…ガイド溝
32…引込ローラ(ローラ体)
33…ローラ保持プレート
34…支持プレート
35…駆動テーブル
36…下フック
37…上フック
38…トング
40…ターンテーブル駆動部
41…駆動モータ
42…ベルト
43…昇降カム
44…昇降アーム
45…上昇偏心カム
46…下降偏心カム
47…上昇検出スイッチ
48…下降検出スイッチ
49…回転軸
50…昇降部
51…ロック爪
52…ターンテーブル回転駆動モータ
60…テーブル保持フレーム
61…円柱状ローラ
62…支持突起
63…支持フレーム
70…ターンテーブル
71…丸バット
72…クラッチ部
80…バット保持フレーム
81…脚部
90…角バット
91…角バット本体
92…網皿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体形状の調理器本体と、該調理器本体の内部に形成されて被調理物を加熱調理するために前面に開放する庫内と、該庫内の開放端を開閉する扉と、前記庫内の底面中央付近で回転するターンテーブルと、前記庫内の前記底面よりも外側の前記調理器本体の内部に配置されて前記ターンテーブルを回転させるターンテーブル駆動部と、を備え、前記扉は前記開放端を閉成しているときに該開放端と対向する裏面との相対位置が平行に変化するようにスライドレールを介して前記調理器本体に対してスライド変位可能に支持され、前記ターンテーブルは前記扉の開閉に伴うスライド変位に連動して変位するように前記扉に支持され、前記ターンテーブル駆動部は前記扉が前記開放端を開放している際には前記ターンテーブルから退避されかつ前記扉が前記開放端を閉成している際には前記ターンテーブルと係合され、前記スライドレールは前記扉が前記開放端を開放している際にはスライドロックが解除されかつ前記扉が前記開放端を閉成している際にはスライドロックされ、ていることを特徴とする調理器。
【請求項2】
前記ターンテーブル駆動部が前記扉による前記開放端の開放・閉成に伴う前記ターンテーブルとの退避・係合に連動して前記スライドレールと退避・係合するロック部により前記スライドロック及び前記スライドロック解除されることを特徴とする請求項1に記載の調理器。
【請求項3】
前記ターンテーブル駆動部は、前記ターンテーブルの底面に退避・係合するように昇降する駆動テーブルと、該駆動テーブルを昇降させる昇降装置部と、該昇降装置部による前記駆動テーブルの昇降に連動して昇降して前記スライドレールと係合・退避するロック爪と、を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の調理器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2013−100946(P2013−100946A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245062(P2011−245062)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(302071092)三洋テクノソリューションズ鳥取株式会社 (244)
【Fターム(参考)】