調理用プレート
【課題】加熱中に溶岩プレートががたつかないよう安定して支持することができるIH調理器用の調理用プレートを提供する。
【解決手段】調理用プレート10は、ベースプレート11と、ベースプレートの上面に載置され、下面がベースプレート上面の周縁部17と接触する溶岩プレート21とを備える。そして室温でベースプレート上面の中央部と溶岩プレート下面との間に隙間が形成され、ベースプレート11は加熱によって変形し、所定温度で隙間が閉じるよう構成される。
【解決手段】調理用プレート10は、ベースプレート11と、ベースプレートの上面に載置され、下面がベースプレート上面の周縁部17と接触する溶岩プレート21とを備える。そして室温でベースプレート上面の中央部と溶岩プレート下面との間に隙間が形成され、ベースプレート11は加熱によって変形し、所定温度で隙間が閉じるよう構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶岩プレートを備え、ガスコンロあるいはIH(Induction Heating)調理器によって加熱される調理用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
溶岩プレートの上で焼かれた肉や野菜等は、遠赤外線の効果により、中身に水分を残して加熱される。このため、うまみ成分を逃さず、鉄板プレート上に載せて焼いたものよりも美味しく焼けることが知られている。このような調理用の溶岩プレートとしては従来、例えば、実開昭63−147137号公報(特許文献1)に記載のごときものが知られている。特許文献1に記載の溶岩プレートは、多孔質の溶岩を焼肉板に適する所定形状のプレートに切削加工してなるものである。そして、上面に肉や野菜等の食料が置かれ、下面がガス火によって加熱される。
【0003】
また近年一般家庭に普及しつつあるIH調理器で、溶岩プレートを加熱する場合、ガス火のように溶岩プレートの下面を直接加熱することはできない。そこで特開2009−189724号公報(特許文献2)には、石焼プレートの下面に、メッキによる発熱層を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−147137号公報
【特許文献2】特開2009−189724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の溶岩プレートは一般的に厚みが20〜30mmであるが、これ以上厚みを小さくして薄く成形することができない。その理由として溶岩プレートは連通する気泡を含むところ、溶岩プレート下面がガス火に晒されると、気泡に堆積した食物の油分が引火する虞があるためである。
【0006】
さらに、溶岩石は多孔質の岩石であるためその強度が鉄板よりも弱く、衝撃を受けると割れおよび欠けが生じてしまう。特許文献1の溶岩プレートは単独で持ち運びされてガスコンロ上に載置されるため、衝撃を受け易い。このため、特許文献1の溶岩プレートは、容易に割れたり欠けたりしないよう十分な厚みを確保する必要がある。そうすると、厚みの大きな溶岩プレートの上面が焼肉に好適な所定温度に達するまで時間がかかってしまい速やかに肉を焼くことができない。
【0007】
また特許文献1の溶岩プレートをIH調理器で加熱する場合、ガス火のように溶岩プレートの下面を直接加熱することはできず、IH調理器のトッププレート上に鉄板などの発熱体(強磁性体)を載せ、この発熱体の上に溶岩プレートを載せる必要がある。そして上述した割れや欠けの問題を解決し、溶岩プレートを従来よりも薄くすることを目的として、ガス火であっても、溶岩プレートを鉄製等のベースプレート上に載置して使用することが望ましい。
【0008】
特許文献2に記載される石焼プレートにあっては、メッキによる発熱層が露出することから、この発熱層が摩耗および損傷してしまう。また多孔質の石焼プレートを持ち運んでIH調理器のトッププレート上に載せることから、石焼プレートが割れたり欠けたりしないよう厚みを大きくする必要がある。そうすると石焼プレート上面の加熱に時間がかかってしまう。さらに石焼プレート下面の孔がメッキによって全て塞がれてしまい、調理および掃除の際に問題が生じる。さらに石焼きプレートのうちメッキされた発熱層と石板部分の線膨張係数の違いから、温度差による割れや欠けが生じる懸念がある。
【0009】
しかし、単体の溶岩プレートを鉄板の上面に載せて加熱する構成にあっては、なおも以下に説明するような問題を生ずる。つまり、加熱によって鉄板が反り返り変形してしまい、溶岩プレートの中央部が持ち上げられて周縁部が鉄板から浮き上がってしまうという現象が生じていた。
【0010】
この現象につき詳しく説明する。図11は、IH調理器のトッププレートCの上に平坦な鉄板Bを敷き、鉄板Bの上に従来の平坦な溶岩プレートAを載せた状態を示す断面図である。室温において、溶岩プレートAの下面は鉄板Bの上面に面接触する。図12は、図11の鉄板を加熱した状態を示す断面図である。電磁誘導加熱により溶岩プレートAの周縁部が鉄板Bから浮き上がってしまい、隙間Dが生じていることがわかる。このため、肉や野菜等を箸でつついて調理中に溶岩プレートががたついてしまい、使い勝手が悪いものとなっていた。
【0011】
また調理中に溶岩プレートの周縁部と鉄板との間に隙間が生じてしまうことから、鉄板から溶岩プレートへの熱伝導が上手くいかなかった。このため、溶岩プレート上面の温度が不足したり、溶岩プレートが加熱されるまで時間がかかりすぎたりという問題があった。図13は、図11および図12に示す従来の構成の温度変化に示すものであり、トッププレートの上に鉄板(厚み2mm、直径200mmの円盤)を載せ、さらに鉄板の上面に溶岩プレート(厚み12mm、縦横250mmの正方形)を載せ、電磁誘導加熱したときの温度変化を示すグラフ図である。
【0012】
溶岩プレート上面中央部aの温度は、加熱開始時に30℃であった。このとき溶岩プレート下面中央部は鉄板上面中央部に接触していた(図11)。そして電磁誘導加熱により加熱開始から約10分経過後に150℃に達し、加熱開始から約15分経過後に172℃に達した。このときも溶岩プレート下面中央部は鉄板上面中央部に接触していた(図12)。
【0013】
溶岩プレート上面周縁部bの温度は、加熱開始時に30℃であった。このとき溶岩プレート下面周縁部は鉄板周縁部に接触していた(図11)。そして電磁誘導加熱により加熱開始から約10分経過後に119℃になり、加熱開始から約15分経過後に125℃になった。このとき溶岩プレート下面周縁部と鉄板上面周縁部との間に隙間が生じていた(図12)。このとき溶岩プレート周縁部と鉄板周縁部との隙間は最大3mmであった。
【0014】
図13から明らかなように、鉄板の上面に溶岩プレートを載せる構成では、溶岩プレート上面の温度が172℃しかないため調理に必要な温度に達せず、しかも温度上昇が遅く、熱効率が悪かった。また溶岩プレート上面中央部aと溶岩プレート上面周縁部bの温度差が加熱開始から約15分経過後に53℃もあり、温度差が大きい。このため溶岩プレート上面の温度にムラがあった。これまで電磁誘導加熱の場合につき説明したが、ガス火においても同様の問題が発生すると考えられる。
【0015】
本発明は、上述の実情に鑑み、加熱中に溶岩プレートを安定して支持することができるIH調理器用の調理用プレートを提供することを第1の目的とする。また調理中に溶岩プレートを下から効率良く加熱することができるIH調理器用の調理用プレートを提供することを第2の目的とする。しかも溶岩プレートの上面が所定温度に上昇するまでの加熱時間を短縮することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的のため本発明による調理用プレートは、ベースプレートと、ベースプレートの上面に載置され、下面がベースプレート上面の周縁部と接触する溶岩プレートとを備え、室温でベースプレート上面の中央部と溶岩プレート下面との間に隙間が形成され、ベースプレートは加熱によって変形し、所定温度で隙間が閉じるよう構成される。
【0017】
かかる本発明によれば、室温でベースプレート上面の周縁部が溶岩プレートを支持するので室温において溶岩プレートを安定して支持することができる。しかも、加熱中は隙間が閉じることから、ベースプレート上面の周縁部および中央部が溶岩プレートを支持する。したがって加熱中においても溶岩プレートを安定して支持することができる。これにより使用中に溶岩プレートががたつくことがない。また所定温度で隙間が閉じることから、ベースプレートの熱が溶岩プレートへ直接伝導する。したがってベースプレート周縁部および中央部が溶岩プレートを下から全体的に効率良く加熱することができる。しかも溶岩プレートは下からベースプレートによって支持されることから、従来の溶岩プレートよりも厚みを薄くしても強度上の問題、割れおよび欠けが生じにくい。そして、薄くされた溶岩プレートの下面全体がベースプレートの熱を受けることから、溶岩プレートの上面が所定温度に上昇するまでの加熱時間を短縮することができる。
【0018】
溶岩プレートとベースプレートとの隙間は、様々な実施形態によって実現可能である。1実施形態として、溶岩プレート下面またはベースプレート上面の双方を窪ませて凹部を形成する。他の実施形態として、ベースプレート上面および溶岩プレート下面の一方が平面であり、他方が中央部に凹部を有する。また溶岩プレートおよびベースプレート断面形状も特に限定されない。好ましい実施形態として、ベースプレート上面中央部に凹部が形成され、溶岩プレートの下面は平面である。かかる実施形態によれば、溶岩石を平面に成形することは容易であり、製造および加工効率が向上する。なお、ここでいう凹部は、凹部の断面形状が凹レンズのごとき下方に窪んだ円弧であってもよいが、凹部底面が平坦であることが好ましい。これによりベースプレートの凹部底面が持ち上がるよう容易に熱変形することができる。
【0019】
本発明の調理用プレートはガスコンロおよびIH調理器の双方で上述の効果を発揮することができる。1実施形態として、ベースプレートは、電磁誘導加熱によって発熱する発熱層を有する。かかる実施形態によればベースプレートが発熱層を有することから、ベースプレートの本体部が磁性体ではなくてもIH調理器で使用することができる。
【0020】
IH調理器を高温の発熱部から保護するため、ベースプレート下面に断熱層を設けるとよい。断熱層の材質は一実施形態に限定されるものではない。断熱層はベースプレート下面に貼り付け固定されるものであってもよく、流動体の状態でベースプレート下面に塗布され、その後硬化するものであってもよい。好ましい実施形態として、ベースプレートは発熱層よりも下方に樹脂および無機中空体を含む断熱層をさらに有する。かかる実施形態によれば、断熱層によって発熱層より下方への熱伝導が抑制され、発熱層より上方の溶岩プレートを効率よく加熱することができる。しかも断熱層は樹脂および無機中空体を含むことから磁力線の透過性が良い。さらに断熱層は樹脂を含むことから相手側の表面に強固に接着する。
【0021】
ベースプレートの本体部は金属であることが好ましい。より好ましい実施形態として、ベースプレートは、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されて上面の中央部に凹部が設けられ、下面に全周に亘って延びる突条が設けられる本体プレートをさらに有し、発熱層は本体プレートの下面のうち突条に囲まれた領域に溶射された強磁性体からなり、断熱層は突条に囲まれた領域に取り付けられて前記発熱層を被覆する。かかる実施形態によれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成される本体プレートを有することから、熱伝導率および強度が向上し、しかも調理用プレートの軽量化に資する。
【0022】
ベースプレートの下面は平坦であってもよいが、好ましい実施形態として、本体プレートの下面周縁部には放射状に延びる突条が形成される。アルミニウムおよびアルミニウム合金は熱伝導に優れることから、かかる実施形態によれば発熱層の熱を速やかにベースプレート周縁部へ熱伝導させることができる。なお放射状に延びる突条の本数は特に限定されない。
【0023】
一般的に溶岩プレートの平面寸法が大きくなるほどその厚みも大きくなるが、溶岩プレートの厚みは特に限定されない。好ましい実施形態として、溶岩プレートは厚さ12mm〜20mmである。かかる実施形態によれば、厚み20〜30mmであった従来の溶岩プレートよりも薄くすることから、溶岩プレートの上面を従来よりも速やかに上昇させることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
このように本発明は、非加熱状態はもとより、加熱された状態であっても溶岩プレートを安定して保持することができる。また、熱効率よく溶岩プレートを加熱することができる。さらに溶岩プレートの加熱時間が短縮され、肉や野菜を効率よく焼くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例になる調理用プレートを示す平面図である。
【図2】同実施例になる調理用プレートを示す正面図である。
【図3】同実施例になる調理用プレートを示す底面図である。
【図4】同実施例になる調理用プレートを示す側面図である。
【図5】室温における調理用プレートを示す断面図である。
【図6】所定温度まで加熱された調理用プレートを示す断面図である。
【図7】同実施例になる調理用プレートの温度変化を示すグラフ図である。
【図8】本発明の他の実施例になる調理用プレートを示す断面図である。
【図9】所定温度まで加熱された他の実施例の調理用プレートを示す断面図である。
【図10】他の実施例になる調理用プレートの温度変化を示すグラフ図である。
【図11】従来の溶岩プレートを鉄板に載せた状態を示す断面図である。
【図12】調理中に従来の溶岩プレートが鉄板から浮き上がった状態を示す断面図である。
【図13】従来品の溶岩プレートの温度変化を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施例になる調理用プレートを示す平面図であり、図中の左半分が溶岩プレートをベースプレート上に載せた状態、図中の右半分がベースプレートから溶岩プレートを取り外した状態である。図2は、同実施例になる調理用プレートを示す正面図である。図3は、同実施例になる調理用プレートを示す底面図である。図4は、同実施例になる調理用プレートを示す側面図である。図5は、同実施例になる調理用プレートを示す断面図であり、図3中、V−Vで断面とし矢印の方向からみた状態を示す。
【0028】
調理用プレート10は、ベースプレート11と、ベースプレート11の上面に載置される溶岩プレート21を備え、家庭用のIH調理器のトッププレート上に載せられて加熱される。ベースプレート11は正方形であり、アルミニウム製の本体プレート12と、本体プレートの下面に設けられた発熱層13と、断熱材料で形成されて発熱層13を覆う断熱層14とを有する。
【0029】
本体プレート12はベースプレート11の主要部をなす正方形の板であり、その左右側部には、外方へ張り出した1対の持ち手15が形成されている。本体プレート12の上面には、周縁に沿って形成された正方形の枠囲い部16と、枠囲い部16よりも内側に形成された周縁部17と、周縁部よりもさらに内側に形成された環状溝18とを有する。
【0030】
本体プレート12の上面の高さ位置は、枠囲い部16、周縁部17、環状溝18、および環状溝18に包囲された本体プレート12の上面中央部19においてそれぞれ異なる。具体的には、枠囲い部16で最も高く形成され、周縁部17で枠囲い部16よりも低く形成され、上面中央部19で周縁部17よりもさらに低く形成され、環状溝18で最も低く形成される。かくしてベースプレート11上面は、凹部である上面中央部19を有する。図5に示すように、この凹部は、上面中央部19を平坦な底面とし、環状溝18を側面とする窪みである。また周縁部17および環状溝18の底面も平面である。
【0031】
本体プレート12の下面には、環状の突条31と、突条31から本体プレートの周縁まで放射状に延びる8本の突条32が形成される。平面視において、突条31は環状溝18に沿って形成され、突条31の幅は環状溝18の溝幅よりも大きい。
【0032】
突条31に包囲される本体プレート12の下面中央部は、本体プレートの変形に追従するよう下地処理が施された後、強磁性体(鉄)が溶射され、発熱層13が設けられる。発熱層13は電磁誘導加熱によって発熱する。発熱層13の厚みは一定であってもよいが、変形を好適に実現するために発熱層13の中央が周縁よりも薄いことが好ましい。
【0033】
突条32は発熱層13の熱を速やかに拡散させる役割を果たす。またベースプレート周縁部の変形を抑える役割を果たす。放射状の突条32が設けられることにより、本体プレート12における中央部の厚みが周縁部の厚みよりも小さい。つまりベースプレート11の厚みは周縁部で大きく、中央部で小さくなる。平面視において一致する環状溝18および突条31は、ベースプレート中央部とベースプレート周縁部との境界になる。
【0034】
変形を好適に実現させる観点からベースプレート11の厚みは小さいほうが好ましい。本実施例では、本体プレート中央部の厚みを3〜5mmとすることが好ましい。より好ましくは本体プレート周縁部の厚みを6〜10mmとする。
【0035】
かくして、平面視において一致する環状溝18および突条31と、ベースプレート周縁部の放射状突条32と、発熱層13によって、図5の状態から図6の状態になるベースプレート中央部の反り返り変形が好適に実現されると考えられる。
【0036】
全周に亘って延びる無端の突条31に包囲される下面中央部に設けられた断熱層14は、発熱層13の下面に設けられ、突条31よりもわずかに下方へ盛り上がるよう形成される。断熱層14の材質は有機化合物である熱可塑性樹脂ないし熱硬化性樹脂と、無機化合物である無機中空体(発泡パーライト)を含む。
【0037】
熱可塑性樹脂は例えば、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド(PA)、ポイブチレンテレフタレート(PBT)、フッ素樹脂(PTFE)・ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSF)、液晶ポリマー(LCP)、あるいはこれらの混合物である。
【0038】
熱硬化性樹脂は例えば、シリコーン樹脂(SI)、変性シリコーン樹脂(MS)、フェノール樹脂(PF)、メラミン樹脂(MF)、ユリア樹脂(UF)、エポキシ樹脂(EP)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、あるいはこれらの混合物である。
【0039】
無機中空体は、多孔質の固体粒子であり、気泡を含み軽量である。また無機化合物であることから、不燃性であり熱に強い。
【0040】
樹脂は金属よりも熱伝導率が低く、無機中空体は気泡を含むことから熱伝導率が低く、これにより本実施例の断熱層14は断熱性能に優れる。また断熱層14は磁力線の透過を妨げず、発熱層13の下面に強固に接着して、本体プレート12の熱変形に追従して変形する。さらに断熱層14は発熱層13を被覆して保護する。
【0041】
溶岩プレート21は、天然の溶岩石から切り出された正方形の平板であり、上下面がそれぞれ平面であり、多数の気泡を含む。そしてベースプレート11から熱を受けて、焼肉などの調理に必要な温度まで加熱される。調理用プレート10が室温であるとき、溶岩プレート21の下面はベースプレート11の周縁部17と接触するが、ベースプレート11の上面中央部19と溶岩プレート21下面との間に隙間22が形成される。なおここでいう室温とは0℃〜40℃を意味する。そしてベースプレート11および溶岩プレート21の温度が0℃〜40℃に、ベースプレート上面中央部19と溶岩プレート下面中央部との間に隙間があると理解されたい。
【0042】
本実施例では、鹿児島県桜島産の溶岩石から溶岩プレート21を切り出して作成する。桜島産の溶岩石は黒色であり、富士山の溶岩石よりも多孔質であり、互いに連通する気泡を多数含む。桜島産の溶岩石は気泡の連通率が大きい。したがって肉の余分な油分を良く吸収することができる。溶岩プレート21は厚さ8mm〜18mmに作成される。図1に示すように、枠囲い部16は溶岩プレート21の外周と略同じ大きさおよび形状であり、溶岩プレート21は枠囲い部16によってベースプレート11上面に位置決めされる。あるいは変形例として、溶岩プレート21の材質は富士山の溶岩石であってもよいし、他の火山の溶岩石であってもよい。
【0043】
次に、調理用プレート10の使用状態について説明する。
【0044】
室温において、溶岩プレート21の下面周縁部は、図5に示すようにベースプレート11の上面の周縁部17に接触することから、溶岩プレート21はベースプレート11に安定して保持される。
【0045】
調理用プレート10は図示しないIH調理器のトッププレート上に置かれ、電磁誘導加熱によって発熱層13が発熱する。そうするとアルミニウム製の本体プレート12が所定温度まで速やかに加熱される一方、断熱層14は発熱層13から下側(トッププレート側)への熱移動を抑制する。
【0046】
かかる断熱層14により、IH調理器のトッププレートは高温にならないよう保護されるとともに、本体プレート12は溶岩プレート21を効率良く加熱する。
【0047】
所定温度にされたベースプレート11は、中央部が周縁部よりも持ち上がるよう反り返り変形する。そうすると、上面中央部19が溶岩プレート21の下面に接触し、隙間22が閉じる。これにより、本体プレート12から溶岩プレート21へ効率良く熱伝導する。またこのとき、周縁部17は溶岩プレート21の下面と接触したままであることから、溶岩プレート21は周縁部および中央部が全体的に加熱される。しかも加熱中、溶岩プレート21の下面周縁部は、図6に示すようにベースプレート11の上面の周縁部17に複数個所で接触することから、溶岩プレート21はベースプレート11に安定して保持される。
【0048】
本実施例の調理用プレートをIH調理器のトッププレート上に載置して加熱し、各部の温度を測定した。使用した調理用プレートは、本体プレート周縁部の厚み(突条32を含む)11mm、本体プレート中央部の厚み4mm、縦横290mmの正方形であり、溶岩プレートが厚み12mm、縦横250mmの正方形である。図7は、本実施例の調理用プレートにおける各部の温度変化を示すグラフ図であり、溶岩プレート上面の中央部Aと、この中央部から100mm離れた溶岩プレート上面の周縁部Bの温度変化を示す。
【0049】
溶岩プレート上面中央部aの温度は、加熱開始時に28℃であった。このとき溶岩プレート下面中央部と本体プレート上面中央部との隙間は3mmであった。そして電磁誘導加熱により加熱開始から約10分経過後に180℃に達し、加熱開始から約15分経過後に220℃になった。このとき溶岩プレート下面中央部と本体プレート上面中央部との隙間は閉じていた。
【0050】
溶岩プレート上面周縁部bの温度は、加熱開始時に28℃であった。このとき溶岩プレート下面周縁部は本体プレート上面周縁部に接触していた。そして電磁誘導加熱により加熱開始から約10分経過後に140℃になり、加熱開始から約15分経過後に180℃になった。このときも溶岩プレート下面周縁部は本体プレート上面周縁部に接触していた。溶岩プレート上面中央部aと溶岩プレート上面周縁部bの温度差は、加熱開始から約15分経過後に40℃であった。
【0051】
なおベースプレートの上面中央部19の温度は加熱開始から10〜15分経過後に所定の温度に達する。この所定温度は溶岩プレート21の上面中央部が焼肉等の調理に好適な170〜220℃になるときの温度であり、ベースプレート上面中央部においてさらに高温(250〜340℃)と考えられる。なお、本実施例における単位時間当たりの温度上昇はIH調理器の出力に左右されるものであり、今回の実験結果に限定されるものではない。
【0052】
このように本実施例によれば、溶岩プレート上面中央部の温度を15分間で220℃まで上昇させることができることがわかった。本実施例の場合と同じIH調理器を用いて同じ出力で加熱した図13に示す従来の構成と対比すると明らかなように、図7に示す本実施例によれば、溶岩プレート上面の温度が短時間で調理に必要な温度に達する。そして中央部aと周縁部bとの温度差が図13に示す従来の構成よりも少なく、溶岩プレート上面の温度ムラが少ない。そして断熱層14を有することから熱効率が良い。
【0053】
また本実施例によれば、調理用プレート10を持ち運んだり、トッププレート上に載置したり、電磁誘導加熱したりする間、溶岩プレート21は常にベースプレート11に支持されるため、従来の溶岩プレートよりも強度、割れ、および欠けが生じ難くなる。したがって従来の溶岩プレートよりも厚みを小さくすることができる。
【0054】
溶岩プレート21の上面には、肉、野菜等の被調理物が載せられる。溶岩プレート21は熱伝導により直接、被調理物を調理する他、遠赤外線を発生して、うまみ成分を損なわないよう被調理物を調理する。さらに溶岩プレート21に含まれる連通気泡が被調理物から余分な油分を吸収する。
【0055】
なお枠囲い部16の外周には、全周に亘り突条16eが形成されている。溶岩プレート21上から被調理物の汁などが溢れ出る場合であっても、汁は突条16eによってせき止められる。したがってトッププレートの汚れを防止することができる。
【0056】
次に本発明の他の実施例につき説明する。図8は、本発明の他の実施例になる調理用プレートを示す断面図である。図9は、所定温度まで加熱された他の実施例の調理用プレートを示す断面図である。前述した実施例と共通する部分については、同様の符号を付して説明を省略する。なお他の実施例の平面図については図1を、正面図については図2を、側面図については図4をそれぞれ準用されたい。
【0057】
他の実施例になる調理用プレート40は、ベースプレート41と、ベースプレート41の上面に載置され、下面がベースプレート41上面の周縁部17と接触する溶岩プレートとを備える。
【0058】
ベースプレート41は鉄製の磁性体であり、電磁誘導加熱によって発熱する。あるいはガス火で下方から加熱される。ベースプレート41の下面周縁部には周方向等間隔に複数の突起43が形成される。そしてベースプレート下面に突条を有さない。またベースプレート41は断熱層を有しないが、突起43がIH調理器のトッププレートと接触することにより、トッププレート41の下面の大部分はトッププレートに接触せず隙間ができる。この隙間が断熱の役割を果たし、ベースプレート41の熱がトッププレートへ熱伝導することを抑制する。なお突起43は、前述した第1実施例の断熱層14と同じ材質など、鉄よりも熱伝導率が低い材質で形成されていてもよい。
【0059】
図8に示すように、室温でベースプレート41上面の中央部19と溶岩プレート21下面との間に隙間22が形成される。
【0060】
ベースプレート41は加熱によって変形し、図9に示すように中央部19が持ち上がるよう反り返り変形する。そしてベースプレート41が所定温度に達すると隙間22が閉じる。この所定温度は溶岩プレート21の上面中央部が焼肉等の調理温度範囲である170〜220度になるときの温度であり、ベースプレート上面中央部の温度は溶岩プレート上面中央部よりもさらに80〜120℃高温と考えられる。
【0061】
図10は、他の実施例になる調理用プレートの温度変化を示すグラフ図である。溶岩プレート上面中央部aの温度は、加熱開始時に28℃であった。このとき溶岩プレート下面中央部と本体プレート上面中央部との隙間は3mmであった。そして電磁誘導加熱により加熱開始から約10分経過後に170℃に達し、加熱開始から約15分経過後に208℃になった。このとき溶岩プレート下面中央部と本体プレート上面中央部との隙間は閉じていた。
【0062】
溶岩プレート上面周縁部bの温度は、加熱開始時に28℃であった。このとき溶岩プレート下面周縁部は本体プレート上面周縁部に接触していた。そして電磁誘導加熱により加熱開始から約10分経過後に105℃になり、加熱開始から約15分経過後に140℃になった。このときも溶岩プレート下面周縁部は本体プレート上面周縁部に接触していた。溶岩プレート上面中央部aと溶岩プレート上面周縁部bの温度差は、加熱開始から約15分経過後に68℃であった。
【0063】
図13と比較しつつ図10を参照すると明らかなように、図8および図9に示す他の実施例においても、加熱によってベースプレート41が反り返り変形し、ベースプレート上面の周縁部およびベースプレート41の上面中央部19が接触することから、溶岩プレート21を全体的に効率よく加熱することができる。
【0064】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。例えば本体プレート12および溶岩プレート21は正方形に限らず、他の多角形であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明になる調理用プレートは、ガスコンロおよびIH調理器によって加熱される調理器具において有利に利用される。
【符号の説明】
【0066】
10 調理用プレート、11 ベースプレート、12 本体プレート、13 発熱層、14 断熱層、15 持ち手、16 枠囲い部、17 周縁部、18 環状溝、19 上面中央部、21 溶岩プレート、22 隙間、31,32 突条、40 調理用プレート、41 ベースプレート、43 突起。
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶岩プレートを備え、ガスコンロあるいはIH(Induction Heating)調理器によって加熱される調理用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
溶岩プレートの上で焼かれた肉や野菜等は、遠赤外線の効果により、中身に水分を残して加熱される。このため、うまみ成分を逃さず、鉄板プレート上に載せて焼いたものよりも美味しく焼けることが知られている。このような調理用の溶岩プレートとしては従来、例えば、実開昭63−147137号公報(特許文献1)に記載のごときものが知られている。特許文献1に記載の溶岩プレートは、多孔質の溶岩を焼肉板に適する所定形状のプレートに切削加工してなるものである。そして、上面に肉や野菜等の食料が置かれ、下面がガス火によって加熱される。
【0003】
また近年一般家庭に普及しつつあるIH調理器で、溶岩プレートを加熱する場合、ガス火のように溶岩プレートの下面を直接加熱することはできない。そこで特開2009−189724号公報(特許文献2)には、石焼プレートの下面に、メッキによる発熱層を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−147137号公報
【特許文献2】特開2009−189724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の溶岩プレートは一般的に厚みが20〜30mmであるが、これ以上厚みを小さくして薄く成形することができない。その理由として溶岩プレートは連通する気泡を含むところ、溶岩プレート下面がガス火に晒されると、気泡に堆積した食物の油分が引火する虞があるためである。
【0006】
さらに、溶岩石は多孔質の岩石であるためその強度が鉄板よりも弱く、衝撃を受けると割れおよび欠けが生じてしまう。特許文献1の溶岩プレートは単独で持ち運びされてガスコンロ上に載置されるため、衝撃を受け易い。このため、特許文献1の溶岩プレートは、容易に割れたり欠けたりしないよう十分な厚みを確保する必要がある。そうすると、厚みの大きな溶岩プレートの上面が焼肉に好適な所定温度に達するまで時間がかかってしまい速やかに肉を焼くことができない。
【0007】
また特許文献1の溶岩プレートをIH調理器で加熱する場合、ガス火のように溶岩プレートの下面を直接加熱することはできず、IH調理器のトッププレート上に鉄板などの発熱体(強磁性体)を載せ、この発熱体の上に溶岩プレートを載せる必要がある。そして上述した割れや欠けの問題を解決し、溶岩プレートを従来よりも薄くすることを目的として、ガス火であっても、溶岩プレートを鉄製等のベースプレート上に載置して使用することが望ましい。
【0008】
特許文献2に記載される石焼プレートにあっては、メッキによる発熱層が露出することから、この発熱層が摩耗および損傷してしまう。また多孔質の石焼プレートを持ち運んでIH調理器のトッププレート上に載せることから、石焼プレートが割れたり欠けたりしないよう厚みを大きくする必要がある。そうすると石焼プレート上面の加熱に時間がかかってしまう。さらに石焼プレート下面の孔がメッキによって全て塞がれてしまい、調理および掃除の際に問題が生じる。さらに石焼きプレートのうちメッキされた発熱層と石板部分の線膨張係数の違いから、温度差による割れや欠けが生じる懸念がある。
【0009】
しかし、単体の溶岩プレートを鉄板の上面に載せて加熱する構成にあっては、なおも以下に説明するような問題を生ずる。つまり、加熱によって鉄板が反り返り変形してしまい、溶岩プレートの中央部が持ち上げられて周縁部が鉄板から浮き上がってしまうという現象が生じていた。
【0010】
この現象につき詳しく説明する。図11は、IH調理器のトッププレートCの上に平坦な鉄板Bを敷き、鉄板Bの上に従来の平坦な溶岩プレートAを載せた状態を示す断面図である。室温において、溶岩プレートAの下面は鉄板Bの上面に面接触する。図12は、図11の鉄板を加熱した状態を示す断面図である。電磁誘導加熱により溶岩プレートAの周縁部が鉄板Bから浮き上がってしまい、隙間Dが生じていることがわかる。このため、肉や野菜等を箸でつついて調理中に溶岩プレートががたついてしまい、使い勝手が悪いものとなっていた。
【0011】
また調理中に溶岩プレートの周縁部と鉄板との間に隙間が生じてしまうことから、鉄板から溶岩プレートへの熱伝導が上手くいかなかった。このため、溶岩プレート上面の温度が不足したり、溶岩プレートが加熱されるまで時間がかかりすぎたりという問題があった。図13は、図11および図12に示す従来の構成の温度変化に示すものであり、トッププレートの上に鉄板(厚み2mm、直径200mmの円盤)を載せ、さらに鉄板の上面に溶岩プレート(厚み12mm、縦横250mmの正方形)を載せ、電磁誘導加熱したときの温度変化を示すグラフ図である。
【0012】
溶岩プレート上面中央部aの温度は、加熱開始時に30℃であった。このとき溶岩プレート下面中央部は鉄板上面中央部に接触していた(図11)。そして電磁誘導加熱により加熱開始から約10分経過後に150℃に達し、加熱開始から約15分経過後に172℃に達した。このときも溶岩プレート下面中央部は鉄板上面中央部に接触していた(図12)。
【0013】
溶岩プレート上面周縁部bの温度は、加熱開始時に30℃であった。このとき溶岩プレート下面周縁部は鉄板周縁部に接触していた(図11)。そして電磁誘導加熱により加熱開始から約10分経過後に119℃になり、加熱開始から約15分経過後に125℃になった。このとき溶岩プレート下面周縁部と鉄板上面周縁部との間に隙間が生じていた(図12)。このとき溶岩プレート周縁部と鉄板周縁部との隙間は最大3mmであった。
【0014】
図13から明らかなように、鉄板の上面に溶岩プレートを載せる構成では、溶岩プレート上面の温度が172℃しかないため調理に必要な温度に達せず、しかも温度上昇が遅く、熱効率が悪かった。また溶岩プレート上面中央部aと溶岩プレート上面周縁部bの温度差が加熱開始から約15分経過後に53℃もあり、温度差が大きい。このため溶岩プレート上面の温度にムラがあった。これまで電磁誘導加熱の場合につき説明したが、ガス火においても同様の問題が発生すると考えられる。
【0015】
本発明は、上述の実情に鑑み、加熱中に溶岩プレートを安定して支持することができるIH調理器用の調理用プレートを提供することを第1の目的とする。また調理中に溶岩プレートを下から効率良く加熱することができるIH調理器用の調理用プレートを提供することを第2の目的とする。しかも溶岩プレートの上面が所定温度に上昇するまでの加熱時間を短縮することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的のため本発明による調理用プレートは、ベースプレートと、ベースプレートの上面に載置され、下面がベースプレート上面の周縁部と接触する溶岩プレートとを備え、室温でベースプレート上面の中央部と溶岩プレート下面との間に隙間が形成され、ベースプレートは加熱によって変形し、所定温度で隙間が閉じるよう構成される。
【0017】
かかる本発明によれば、室温でベースプレート上面の周縁部が溶岩プレートを支持するので室温において溶岩プレートを安定して支持することができる。しかも、加熱中は隙間が閉じることから、ベースプレート上面の周縁部および中央部が溶岩プレートを支持する。したがって加熱中においても溶岩プレートを安定して支持することができる。これにより使用中に溶岩プレートががたつくことがない。また所定温度で隙間が閉じることから、ベースプレートの熱が溶岩プレートへ直接伝導する。したがってベースプレート周縁部および中央部が溶岩プレートを下から全体的に効率良く加熱することができる。しかも溶岩プレートは下からベースプレートによって支持されることから、従来の溶岩プレートよりも厚みを薄くしても強度上の問題、割れおよび欠けが生じにくい。そして、薄くされた溶岩プレートの下面全体がベースプレートの熱を受けることから、溶岩プレートの上面が所定温度に上昇するまでの加熱時間を短縮することができる。
【0018】
溶岩プレートとベースプレートとの隙間は、様々な実施形態によって実現可能である。1実施形態として、溶岩プレート下面またはベースプレート上面の双方を窪ませて凹部を形成する。他の実施形態として、ベースプレート上面および溶岩プレート下面の一方が平面であり、他方が中央部に凹部を有する。また溶岩プレートおよびベースプレート断面形状も特に限定されない。好ましい実施形態として、ベースプレート上面中央部に凹部が形成され、溶岩プレートの下面は平面である。かかる実施形態によれば、溶岩石を平面に成形することは容易であり、製造および加工効率が向上する。なお、ここでいう凹部は、凹部の断面形状が凹レンズのごとき下方に窪んだ円弧であってもよいが、凹部底面が平坦であることが好ましい。これによりベースプレートの凹部底面が持ち上がるよう容易に熱変形することができる。
【0019】
本発明の調理用プレートはガスコンロおよびIH調理器の双方で上述の効果を発揮することができる。1実施形態として、ベースプレートは、電磁誘導加熱によって発熱する発熱層を有する。かかる実施形態によればベースプレートが発熱層を有することから、ベースプレートの本体部が磁性体ではなくてもIH調理器で使用することができる。
【0020】
IH調理器を高温の発熱部から保護するため、ベースプレート下面に断熱層を設けるとよい。断熱層の材質は一実施形態に限定されるものではない。断熱層はベースプレート下面に貼り付け固定されるものであってもよく、流動体の状態でベースプレート下面に塗布され、その後硬化するものであってもよい。好ましい実施形態として、ベースプレートは発熱層よりも下方に樹脂および無機中空体を含む断熱層をさらに有する。かかる実施形態によれば、断熱層によって発熱層より下方への熱伝導が抑制され、発熱層より上方の溶岩プレートを効率よく加熱することができる。しかも断熱層は樹脂および無機中空体を含むことから磁力線の透過性が良い。さらに断熱層は樹脂を含むことから相手側の表面に強固に接着する。
【0021】
ベースプレートの本体部は金属であることが好ましい。より好ましい実施形態として、ベースプレートは、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されて上面の中央部に凹部が設けられ、下面に全周に亘って延びる突条が設けられる本体プレートをさらに有し、発熱層は本体プレートの下面のうち突条に囲まれた領域に溶射された強磁性体からなり、断熱層は突条に囲まれた領域に取り付けられて前記発熱層を被覆する。かかる実施形態によれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成される本体プレートを有することから、熱伝導率および強度が向上し、しかも調理用プレートの軽量化に資する。
【0022】
ベースプレートの下面は平坦であってもよいが、好ましい実施形態として、本体プレートの下面周縁部には放射状に延びる突条が形成される。アルミニウムおよびアルミニウム合金は熱伝導に優れることから、かかる実施形態によれば発熱層の熱を速やかにベースプレート周縁部へ熱伝導させることができる。なお放射状に延びる突条の本数は特に限定されない。
【0023】
一般的に溶岩プレートの平面寸法が大きくなるほどその厚みも大きくなるが、溶岩プレートの厚みは特に限定されない。好ましい実施形態として、溶岩プレートは厚さ12mm〜20mmである。かかる実施形態によれば、厚み20〜30mmであった従来の溶岩プレートよりも薄くすることから、溶岩プレートの上面を従来よりも速やかに上昇させることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
このように本発明は、非加熱状態はもとより、加熱された状態であっても溶岩プレートを安定して保持することができる。また、熱効率よく溶岩プレートを加熱することができる。さらに溶岩プレートの加熱時間が短縮され、肉や野菜を効率よく焼くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例になる調理用プレートを示す平面図である。
【図2】同実施例になる調理用プレートを示す正面図である。
【図3】同実施例になる調理用プレートを示す底面図である。
【図4】同実施例になる調理用プレートを示す側面図である。
【図5】室温における調理用プレートを示す断面図である。
【図6】所定温度まで加熱された調理用プレートを示す断面図である。
【図7】同実施例になる調理用プレートの温度変化を示すグラフ図である。
【図8】本発明の他の実施例になる調理用プレートを示す断面図である。
【図9】所定温度まで加熱された他の実施例の調理用プレートを示す断面図である。
【図10】他の実施例になる調理用プレートの温度変化を示すグラフ図である。
【図11】従来の溶岩プレートを鉄板に載せた状態を示す断面図である。
【図12】調理中に従来の溶岩プレートが鉄板から浮き上がった状態を示す断面図である。
【図13】従来品の溶岩プレートの温度変化を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施例になる調理用プレートを示す平面図であり、図中の左半分が溶岩プレートをベースプレート上に載せた状態、図中の右半分がベースプレートから溶岩プレートを取り外した状態である。図2は、同実施例になる調理用プレートを示す正面図である。図3は、同実施例になる調理用プレートを示す底面図である。図4は、同実施例になる調理用プレートを示す側面図である。図5は、同実施例になる調理用プレートを示す断面図であり、図3中、V−Vで断面とし矢印の方向からみた状態を示す。
【0028】
調理用プレート10は、ベースプレート11と、ベースプレート11の上面に載置される溶岩プレート21を備え、家庭用のIH調理器のトッププレート上に載せられて加熱される。ベースプレート11は正方形であり、アルミニウム製の本体プレート12と、本体プレートの下面に設けられた発熱層13と、断熱材料で形成されて発熱層13を覆う断熱層14とを有する。
【0029】
本体プレート12はベースプレート11の主要部をなす正方形の板であり、その左右側部には、外方へ張り出した1対の持ち手15が形成されている。本体プレート12の上面には、周縁に沿って形成された正方形の枠囲い部16と、枠囲い部16よりも内側に形成された周縁部17と、周縁部よりもさらに内側に形成された環状溝18とを有する。
【0030】
本体プレート12の上面の高さ位置は、枠囲い部16、周縁部17、環状溝18、および環状溝18に包囲された本体プレート12の上面中央部19においてそれぞれ異なる。具体的には、枠囲い部16で最も高く形成され、周縁部17で枠囲い部16よりも低く形成され、上面中央部19で周縁部17よりもさらに低く形成され、環状溝18で最も低く形成される。かくしてベースプレート11上面は、凹部である上面中央部19を有する。図5に示すように、この凹部は、上面中央部19を平坦な底面とし、環状溝18を側面とする窪みである。また周縁部17および環状溝18の底面も平面である。
【0031】
本体プレート12の下面には、環状の突条31と、突条31から本体プレートの周縁まで放射状に延びる8本の突条32が形成される。平面視において、突条31は環状溝18に沿って形成され、突条31の幅は環状溝18の溝幅よりも大きい。
【0032】
突条31に包囲される本体プレート12の下面中央部は、本体プレートの変形に追従するよう下地処理が施された後、強磁性体(鉄)が溶射され、発熱層13が設けられる。発熱層13は電磁誘導加熱によって発熱する。発熱層13の厚みは一定であってもよいが、変形を好適に実現するために発熱層13の中央が周縁よりも薄いことが好ましい。
【0033】
突条32は発熱層13の熱を速やかに拡散させる役割を果たす。またベースプレート周縁部の変形を抑える役割を果たす。放射状の突条32が設けられることにより、本体プレート12における中央部の厚みが周縁部の厚みよりも小さい。つまりベースプレート11の厚みは周縁部で大きく、中央部で小さくなる。平面視において一致する環状溝18および突条31は、ベースプレート中央部とベースプレート周縁部との境界になる。
【0034】
変形を好適に実現させる観点からベースプレート11の厚みは小さいほうが好ましい。本実施例では、本体プレート中央部の厚みを3〜5mmとすることが好ましい。より好ましくは本体プレート周縁部の厚みを6〜10mmとする。
【0035】
かくして、平面視において一致する環状溝18および突条31と、ベースプレート周縁部の放射状突条32と、発熱層13によって、図5の状態から図6の状態になるベースプレート中央部の反り返り変形が好適に実現されると考えられる。
【0036】
全周に亘って延びる無端の突条31に包囲される下面中央部に設けられた断熱層14は、発熱層13の下面に設けられ、突条31よりもわずかに下方へ盛り上がるよう形成される。断熱層14の材質は有機化合物である熱可塑性樹脂ないし熱硬化性樹脂と、無機化合物である無機中空体(発泡パーライト)を含む。
【0037】
熱可塑性樹脂は例えば、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド(PA)、ポイブチレンテレフタレート(PBT)、フッ素樹脂(PTFE)・ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリスルホン(PSF)、液晶ポリマー(LCP)、あるいはこれらの混合物である。
【0038】
熱硬化性樹脂は例えば、シリコーン樹脂(SI)、変性シリコーン樹脂(MS)、フェノール樹脂(PF)、メラミン樹脂(MF)、ユリア樹脂(UF)、エポキシ樹脂(EP)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、あるいはこれらの混合物である。
【0039】
無機中空体は、多孔質の固体粒子であり、気泡を含み軽量である。また無機化合物であることから、不燃性であり熱に強い。
【0040】
樹脂は金属よりも熱伝導率が低く、無機中空体は気泡を含むことから熱伝導率が低く、これにより本実施例の断熱層14は断熱性能に優れる。また断熱層14は磁力線の透過を妨げず、発熱層13の下面に強固に接着して、本体プレート12の熱変形に追従して変形する。さらに断熱層14は発熱層13を被覆して保護する。
【0041】
溶岩プレート21は、天然の溶岩石から切り出された正方形の平板であり、上下面がそれぞれ平面であり、多数の気泡を含む。そしてベースプレート11から熱を受けて、焼肉などの調理に必要な温度まで加熱される。調理用プレート10が室温であるとき、溶岩プレート21の下面はベースプレート11の周縁部17と接触するが、ベースプレート11の上面中央部19と溶岩プレート21下面との間に隙間22が形成される。なおここでいう室温とは0℃〜40℃を意味する。そしてベースプレート11および溶岩プレート21の温度が0℃〜40℃に、ベースプレート上面中央部19と溶岩プレート下面中央部との間に隙間があると理解されたい。
【0042】
本実施例では、鹿児島県桜島産の溶岩石から溶岩プレート21を切り出して作成する。桜島産の溶岩石は黒色であり、富士山の溶岩石よりも多孔質であり、互いに連通する気泡を多数含む。桜島産の溶岩石は気泡の連通率が大きい。したがって肉の余分な油分を良く吸収することができる。溶岩プレート21は厚さ8mm〜18mmに作成される。図1に示すように、枠囲い部16は溶岩プレート21の外周と略同じ大きさおよび形状であり、溶岩プレート21は枠囲い部16によってベースプレート11上面に位置決めされる。あるいは変形例として、溶岩プレート21の材質は富士山の溶岩石であってもよいし、他の火山の溶岩石であってもよい。
【0043】
次に、調理用プレート10の使用状態について説明する。
【0044】
室温において、溶岩プレート21の下面周縁部は、図5に示すようにベースプレート11の上面の周縁部17に接触することから、溶岩プレート21はベースプレート11に安定して保持される。
【0045】
調理用プレート10は図示しないIH調理器のトッププレート上に置かれ、電磁誘導加熱によって発熱層13が発熱する。そうするとアルミニウム製の本体プレート12が所定温度まで速やかに加熱される一方、断熱層14は発熱層13から下側(トッププレート側)への熱移動を抑制する。
【0046】
かかる断熱層14により、IH調理器のトッププレートは高温にならないよう保護されるとともに、本体プレート12は溶岩プレート21を効率良く加熱する。
【0047】
所定温度にされたベースプレート11は、中央部が周縁部よりも持ち上がるよう反り返り変形する。そうすると、上面中央部19が溶岩プレート21の下面に接触し、隙間22が閉じる。これにより、本体プレート12から溶岩プレート21へ効率良く熱伝導する。またこのとき、周縁部17は溶岩プレート21の下面と接触したままであることから、溶岩プレート21は周縁部および中央部が全体的に加熱される。しかも加熱中、溶岩プレート21の下面周縁部は、図6に示すようにベースプレート11の上面の周縁部17に複数個所で接触することから、溶岩プレート21はベースプレート11に安定して保持される。
【0048】
本実施例の調理用プレートをIH調理器のトッププレート上に載置して加熱し、各部の温度を測定した。使用した調理用プレートは、本体プレート周縁部の厚み(突条32を含む)11mm、本体プレート中央部の厚み4mm、縦横290mmの正方形であり、溶岩プレートが厚み12mm、縦横250mmの正方形である。図7は、本実施例の調理用プレートにおける各部の温度変化を示すグラフ図であり、溶岩プレート上面の中央部Aと、この中央部から100mm離れた溶岩プレート上面の周縁部Bの温度変化を示す。
【0049】
溶岩プレート上面中央部aの温度は、加熱開始時に28℃であった。このとき溶岩プレート下面中央部と本体プレート上面中央部との隙間は3mmであった。そして電磁誘導加熱により加熱開始から約10分経過後に180℃に達し、加熱開始から約15分経過後に220℃になった。このとき溶岩プレート下面中央部と本体プレート上面中央部との隙間は閉じていた。
【0050】
溶岩プレート上面周縁部bの温度は、加熱開始時に28℃であった。このとき溶岩プレート下面周縁部は本体プレート上面周縁部に接触していた。そして電磁誘導加熱により加熱開始から約10分経過後に140℃になり、加熱開始から約15分経過後に180℃になった。このときも溶岩プレート下面周縁部は本体プレート上面周縁部に接触していた。溶岩プレート上面中央部aと溶岩プレート上面周縁部bの温度差は、加熱開始から約15分経過後に40℃であった。
【0051】
なおベースプレートの上面中央部19の温度は加熱開始から10〜15分経過後に所定の温度に達する。この所定温度は溶岩プレート21の上面中央部が焼肉等の調理に好適な170〜220℃になるときの温度であり、ベースプレート上面中央部においてさらに高温(250〜340℃)と考えられる。なお、本実施例における単位時間当たりの温度上昇はIH調理器の出力に左右されるものであり、今回の実験結果に限定されるものではない。
【0052】
このように本実施例によれば、溶岩プレート上面中央部の温度を15分間で220℃まで上昇させることができることがわかった。本実施例の場合と同じIH調理器を用いて同じ出力で加熱した図13に示す従来の構成と対比すると明らかなように、図7に示す本実施例によれば、溶岩プレート上面の温度が短時間で調理に必要な温度に達する。そして中央部aと周縁部bとの温度差が図13に示す従来の構成よりも少なく、溶岩プレート上面の温度ムラが少ない。そして断熱層14を有することから熱効率が良い。
【0053】
また本実施例によれば、調理用プレート10を持ち運んだり、トッププレート上に載置したり、電磁誘導加熱したりする間、溶岩プレート21は常にベースプレート11に支持されるため、従来の溶岩プレートよりも強度、割れ、および欠けが生じ難くなる。したがって従来の溶岩プレートよりも厚みを小さくすることができる。
【0054】
溶岩プレート21の上面には、肉、野菜等の被調理物が載せられる。溶岩プレート21は熱伝導により直接、被調理物を調理する他、遠赤外線を発生して、うまみ成分を損なわないよう被調理物を調理する。さらに溶岩プレート21に含まれる連通気泡が被調理物から余分な油分を吸収する。
【0055】
なお枠囲い部16の外周には、全周に亘り突条16eが形成されている。溶岩プレート21上から被調理物の汁などが溢れ出る場合であっても、汁は突条16eによってせき止められる。したがってトッププレートの汚れを防止することができる。
【0056】
次に本発明の他の実施例につき説明する。図8は、本発明の他の実施例になる調理用プレートを示す断面図である。図9は、所定温度まで加熱された他の実施例の調理用プレートを示す断面図である。前述した実施例と共通する部分については、同様の符号を付して説明を省略する。なお他の実施例の平面図については図1を、正面図については図2を、側面図については図4をそれぞれ準用されたい。
【0057】
他の実施例になる調理用プレート40は、ベースプレート41と、ベースプレート41の上面に載置され、下面がベースプレート41上面の周縁部17と接触する溶岩プレートとを備える。
【0058】
ベースプレート41は鉄製の磁性体であり、電磁誘導加熱によって発熱する。あるいはガス火で下方から加熱される。ベースプレート41の下面周縁部には周方向等間隔に複数の突起43が形成される。そしてベースプレート下面に突条を有さない。またベースプレート41は断熱層を有しないが、突起43がIH調理器のトッププレートと接触することにより、トッププレート41の下面の大部分はトッププレートに接触せず隙間ができる。この隙間が断熱の役割を果たし、ベースプレート41の熱がトッププレートへ熱伝導することを抑制する。なお突起43は、前述した第1実施例の断熱層14と同じ材質など、鉄よりも熱伝導率が低い材質で形成されていてもよい。
【0059】
図8に示すように、室温でベースプレート41上面の中央部19と溶岩プレート21下面との間に隙間22が形成される。
【0060】
ベースプレート41は加熱によって変形し、図9に示すように中央部19が持ち上がるよう反り返り変形する。そしてベースプレート41が所定温度に達すると隙間22が閉じる。この所定温度は溶岩プレート21の上面中央部が焼肉等の調理温度範囲である170〜220度になるときの温度であり、ベースプレート上面中央部の温度は溶岩プレート上面中央部よりもさらに80〜120℃高温と考えられる。
【0061】
図10は、他の実施例になる調理用プレートの温度変化を示すグラフ図である。溶岩プレート上面中央部aの温度は、加熱開始時に28℃であった。このとき溶岩プレート下面中央部と本体プレート上面中央部との隙間は3mmであった。そして電磁誘導加熱により加熱開始から約10分経過後に170℃に達し、加熱開始から約15分経過後に208℃になった。このとき溶岩プレート下面中央部と本体プレート上面中央部との隙間は閉じていた。
【0062】
溶岩プレート上面周縁部bの温度は、加熱開始時に28℃であった。このとき溶岩プレート下面周縁部は本体プレート上面周縁部に接触していた。そして電磁誘導加熱により加熱開始から約10分経過後に105℃になり、加熱開始から約15分経過後に140℃になった。このときも溶岩プレート下面周縁部は本体プレート上面周縁部に接触していた。溶岩プレート上面中央部aと溶岩プレート上面周縁部bの温度差は、加熱開始から約15分経過後に68℃であった。
【0063】
図13と比較しつつ図10を参照すると明らかなように、図8および図9に示す他の実施例においても、加熱によってベースプレート41が反り返り変形し、ベースプレート上面の周縁部およびベースプレート41の上面中央部19が接触することから、溶岩プレート21を全体的に効率よく加熱することができる。
【0064】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。例えば本体プレート12および溶岩プレート21は正方形に限らず、他の多角形であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明になる調理用プレートは、ガスコンロおよびIH調理器によって加熱される調理器具において有利に利用される。
【符号の説明】
【0066】
10 調理用プレート、11 ベースプレート、12 本体プレート、13 発熱層、14 断熱層、15 持ち手、16 枠囲い部、17 周縁部、18 環状溝、19 上面中央部、21 溶岩プレート、22 隙間、31,32 突条、40 調理用プレート、41 ベースプレート、43 突起。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと、
前記ベースプレートの上面に載置され、下面がベースプレート上面の周縁部と接触する溶岩プレートとを備え、
室温で前記ベースプレート上面の中央部と前記溶岩プレート下面との間に隙間が形成され、
前記ベースプレートは加熱によって変形し、所定温度で前記隙間が閉じるよう構成された、調理用プレート。
【請求項2】
前記ベースプレートの上面中央部に凹部が形成され、前記溶岩プレートの下面は平面である、請求項1に記載の調理用プレート。
【請求項3】
前記ベースプレートは、電磁誘導加熱によって発熱する発熱層を有する、請求項1または2に記載の調理用プレート。
【請求項4】
前記ベースプレートは前記発熱層よりも下方に樹脂および無機中空体を含む断熱層をさらに有する、請求項3に記載の調理用プレート。
【請求項5】
前記ベースプレートは、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されて上面の中央部に前記凹部が設けられ、下面に全周に亘って延びる突条が設けられる本体プレートをさらに有し、
前記発熱層は前記本体プレートの下面のうち前記突条に囲まれた領域に溶射された強磁性体からなり、
前記断熱層は前記突条に囲まれた領域に取り付けられて前記発熱層を覆っている、請求項4に記載の調理用プレート。
【請求項6】
前記本体プレートの下面周縁部には放射状に延びる突条が形成される、請求項5に記載の調理用プレート。
【請求項7】
前記溶岩プレートは厚さ12mm〜20mmである、請求項1〜6のいずれかに記載の調理用プレート。
【請求項1】
ベースプレートと、
前記ベースプレートの上面に載置され、下面がベースプレート上面の周縁部と接触する溶岩プレートとを備え、
室温で前記ベースプレート上面の中央部と前記溶岩プレート下面との間に隙間が形成され、
前記ベースプレートは加熱によって変形し、所定温度で前記隙間が閉じるよう構成された、調理用プレート。
【請求項2】
前記ベースプレートの上面中央部に凹部が形成され、前記溶岩プレートの下面は平面である、請求項1に記載の調理用プレート。
【請求項3】
前記ベースプレートは、電磁誘導加熱によって発熱する発熱層を有する、請求項1または2に記載の調理用プレート。
【請求項4】
前記ベースプレートは前記発熱層よりも下方に樹脂および無機中空体を含む断熱層をさらに有する、請求項3に記載の調理用プレート。
【請求項5】
前記ベースプレートは、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されて上面の中央部に前記凹部が設けられ、下面に全周に亘って延びる突条が設けられる本体プレートをさらに有し、
前記発熱層は前記本体プレートの下面のうち前記突条に囲まれた領域に溶射された強磁性体からなり、
前記断熱層は前記突条に囲まれた領域に取り付けられて前記発熱層を覆っている、請求項4に記載の調理用プレート。
【請求項6】
前記本体プレートの下面周縁部には放射状に延びる突条が形成される、請求項5に記載の調理用プレート。
【請求項7】
前記溶岩プレートは厚さ12mm〜20mmである、請求項1〜6のいずれかに記載の調理用プレート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−254249(P2012−254249A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130227(P2011−130227)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(509008053)サンライズ産業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(509008053)サンライズ産業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】
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