説明

調理装置付き携帯食料又は緊急災害用備蓄食料、およびその使用方法

【課題】携帯食料、或いは緊急災害時の備蓄用食料を、時と場所を選ばずに簡単に調理することができるようにする。
【解決手段】厚さ80μmの高密度ポリエチレンフィルムで一端開口の発熱剤反応用外袋と外袋に入れる一端開口の調理用中袋を製造し、特定の粒度分布を有する粉体生石灰が15〜30%および粉体アルミニウム70〜85%から成る発熱剤を透水性の袋に充填し、さらに非透湿性外装袋に密封包装した発熱剤パックを外袋に入れ、所定の容器に充填され酸化防止、殺菌、静菌、除菌、或いは遮断包装した食材を中袋に入れ、さらに必要に応じ、発熱剤と反応させる反応水と、中袋に注水して食材を調理するための調理用水を非透湿性の容器に密封殺菌した水パックを付加し、外袋を覆う保温袋を付加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理装置付き携帯食料又は緊急災害用備蓄食料およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
災害対策基本法第5条5の2は、「市町村は、住民に直結した行政機関として防災の第一次的責任を果たすべく、他の地方公共団体等の協力を得て、地域防災計画を作成し、これらに基づいて防災に関する事務を実施し、住民の隣保共同の精神に基づく自主的防災組織を含む区域内の防災組織の整備充実、地方公共団体相互の協力に努めなければならない。」と規定している。これを受けて、市町村は、あらかじめ備蓄拠点を設け、非常用食料等の調達・確保および防災資機材等の整備に努めている。
【0003】
現在、備蓄されている非常用食料としては、保存期間が長く、かつ調理不要のものとして乾パン、缶詰、粉ミルク、即席麺等であり、米はアルファ(α)化米が主流である。
【0004】
アルファ化米は、米を蒸して、米の中の天然でんぷん(ベータ(β)でんぷん)をアルファ−でんぷんに変換し、80〜100℃で熱風乾燥した保存食であって、湯または水で膨潤させて食するものである。アルファ化米は、戦国時代の武士が用いたとされる乾飯(ほしい)と同じもので、単に空腹を満たすためのものであり、精米から炊いた米飯とは食味も食感も全く別異のものである。さらに、米をアルファ化米にするにはコストもかかる。
【0005】
無論、精米も備蓄されている。然しながら、大規模災害時には、ガス、電力等が自動的に遮断されることがあるので、焼く、煮る、ゆでる、蒸す、揚げる等食料を調理するのに必要な熱源がなくなることがある。LPガスや薪炭を熱源とする組立て式の調理器具(煮炊きレンジ)もあるが、高価でもあり、あらゆる市町村で備蓄されているわけではない。さらに、このような調理器具(煮炊きレンジ)は、1回に100〜300人分の調理をするためのものであり、少人数、極端な場合、1人分の米飯を炊くには使用できない。
【0006】
大規模災害時には、100〜300名の集団で体育館等に避難しているが、通常は家族単位で集まり、行動しているので、それなりのプライバシーを確保したいという要求もある。特に、緊急災害の避難場所にあっても、「食事」という本能の一つを満たす行為のプライバシーが確保されるならば、たとえ長期間の避難によるストレスも軽減されるものと期待される。
【0007】
従って、時と場所を選ばずに発熱することができる調理装置と食材をセットにして、1人分でも調理して個別に食することができるようになれば、上述した緊急災害時における要求を満足させることができる。また、かかる調理装置と食材をセットにすることにより、緊急災害時の備蓄食料としてだけではなく、家庭での備蓄食料、或いはアウトドアー用食料としても用途が拡大される。以下、本発明では、緊急災害時の備蓄食料、家庭での備蓄食料、およびアウトドアー用食料を包括して「携帯食料」と呼ぶものとする。
【0008】
ところで、本件出願人の一人は、「発熱剤」に関する発明について特許出願し、これは、特許第3467729号として登録されている。特許第3467729号に係わる発明は、「発熱剤の重量当たり、100メッシュ(−150μm90%以上)〜200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が15〜30%、および−330メッシュ(−45μm)が40〜60%、+330メッシュ(+45μm)が15〜30%、+235メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70〜85%から成る発熱剤」に関するものである。
【0009】
本件出願人の一人は、特許第3467729号に係わる発熱剤を、調理済み食品、たとえば、駅弁を収容する容器と連結した容器に収容し、調理済み食品を加熱する加熱容器を発明し、特許出願している(特願2002−350642号,特願2002−362482号、特願2003−110803号)。
【0010】
特許第3467729号に係わる発熱剤は、たとえば、アルミニウム75gと生石灰30gから成る発熱剤で、80ccの水と反応して約30秒後に約100℃の水蒸気を発生し、この温度を約30分間維持する能力を保有している。従って、特許第3467729号に係わる発熱剤の能力は、使用方法によっては、調理済み食品を加熱するだけではなく、調理していない食品、たとえば精米を炊くのに十分の能力である。
【0011】
【特許文献1】特許第3467729号
【特許文献2】特願2002−350642号
【特許文献3】特願2002−362482号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、使用者が飲食したい時に場所を選ばずに炊く、ゆでる、或いは蒸すことができる調理付き携帯食料、或いは緊急災害時の備蓄用食料を提供することである。
【0013】
本発明が解決しようとする別の課題は、使用者が飲食したい時に場所を選ばずに、携帯食料、或いは緊急災害時の備蓄用食料を、炊く、ゆでる、或いは蒸して調理する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明で調理方法に関して使用する用語「炊く」とは、本来、米に水を加えて加熱膨潤させ、でんぷんの糊化を行い、遊離水のほとんどなくなるまで加熱して飯を作ることを意味する。然しながら、地方によっては、米以外の加熱方法にも「炊き合わせ」「水炊き」「豆を炊く」等と使用されている。従って、本発明では「炊く」を後者の意味を含めた広義の意味で使用する。「炊く」要件は、でんぷんが十分糊化し、加熱中に吸水された水分が適当に水和し、ふっくら弾力性のある食品に仕上げることである。炊いて調理する食材としては、米、豆等穀類が例示される。
【0015】
本発明で調理方法に関して使用する用語「ゆでる」とは、食材をたっぷりの沸騰水中で加熱する煮操作の一種である。「ゆでる」際の要件は、食材が十分浸されるように使用する容器を大きめにするとともに、水量も多めに用意することである。即ち、たっぷりの湯は、食材を入れたときの温度低下も少なく、温度管理容易であり、加熱時間も短縮できる。ゆでて調理する食材としては、いも類、とうもろこし、豆類、麺類、卵、栗、野菜類等である。
【0016】
本発明で調理方法に関して使用する用語「蒸す」とは、水蒸気の熱源を利用し、食材を加熱調理する方法である。蒸して調理する食材としては、焼売、中華饅頭、おこわ類、蒸しパン、いも類等である。
【0017】
本発明は、特許第3467729号に係わる発熱剤が水と反応して発生する高熱量を利用して、水を約100℃に沸騰させ、この沸騰水で、食材を炊く、ゆでる、或いは蒸すことを、発明の要旨とするものである。
【0018】
従って、本発明の調理装置付き携帯食料は、発熱剤の質量当たり、100メッシュ(−150μm90%以上)〜200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が15〜30%、および−330メッシュ(−45μm)が40〜60%、+330メッシュ(+45μm)が15〜30%、+235メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70〜85%から成る発熱剤と該発熱剤と反応させる水とを入れる発熱剤反応用外袋と、食材と調理用の水を入れ外袋の中に入れる調理用中袋とを必須の部材として備えている。
【0019】
以下、各部材に関して説明する。発熱剤は、本件出願人の一人が発明者である特許第3467729号公報に記載されているので、その詳細は割愛する。
【0020】
本発明の調理装置付き携帯食料の部材の1つである外袋は、発熱剤と該発熱剤と反応させる水とを入れて発熱剤に発熱反応を起こさせ、水蒸気を発生させるためのものである。
【0021】
従って、外袋に要求される最も重要な物性は、発生した水蒸気を外袋の外部に漏出させずに、100%が中袋の調理用の水を沸騰させるのに消費することである。外袋に要求される次ぎに重要な性質は、携帯食料或いは緊急災害時の備蓄用食料に使用するものとして、軽量で嵩張らないこと、柔軟性があって多様な形状に変化して保存する場所の形状に追随性があること、厳しい環境下でも使用に耐える強度、耐候性、耐薬品性等各種物性に優れていることである。このような点を総合的に勘案すると、外袋の材料は、プラスチック製フィルムが適している。
【0022】
以下、外袋に適したプラスチック製フィルムを、先ず水蒸気の透過度から検討する。今、厚さT、表面積Sのプラスチック製フィルムの両側の水蒸気の分圧がそれぞれP1,P2とすると、定常状態で時間tに透過する水蒸気の量をQとすると、
Q={P・(P1−P2)・S・t}/T (1)
Q={P・ΔP・S・t}/T (2)
(2)式を変形して、
Q/{S・t}={P・ΔP}/T=q (3)
ある特定条件下におけるプラスチック製フィルムの単位面積、単位時間における、この水蒸気の透過量qを水蒸気透過度(WVTR)といい、その単位は、(g・m-2・24hr/25μm、40℃、90%RH)である。即ち、40℃、90%相対湿度において、厚さ25μm、表面積1m2のプラスチック製フィルムを24時間で透過する水蒸気の量をグラムで表したものである。
【0023】
本発明の外袋に適したプラスチック製フィルムは、水蒸気透過度(WVTR)が、30以下のものである。水蒸気透過度(WVTR)が30以上になると、水酸基を含むものが多くなり、水に対する溶解度係数が大きくなったり、或いは自由体積分率が高くなり、拡散係数が大きくなり、さらに、強度も低下するので好ましくない。
【0024】
本発明の外袋に適したプラスチック製フィルムを、好ましい順に例示すると、アルミ箔積層フィルム、セラミック蒸着積層フィルム、アルミ蒸着積層フィルム、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデンコート延伸ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデンコートポリプロピレン、2軸延伸ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンコート2軸延伸ナイロン、ポリ塩化ビニリデンコート2軸ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンコートセロファン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン(0.941〜0.965)、m−キシリレンアジアジパミド、無延伸ポリプロピレン等である。
【0025】
上述したフィルムは、厚さが25μmの場合である。前記式(3)より、水蒸気透過度とフィルムの厚さは反比例することが明らかである。また、他の条件が同じならば、フィルムの強度は、厚さにほぼ比例する。従って、所望によりフィルムの厚さを変えることにより、水蒸気透過度と強度を調整することができる。
【0026】
本発明の調理装置付き携帯食料は、アウトドアーや緊急災害時の避難場所等通常の日常生活より厳しい環境下で、それ自体が発熱剤と水を含んだ調理器具として使用される。従って、熱湯が漏出しないように自立性をもたせた構造にした方が、安全性、使い勝手という点からも好ましい。
【0027】
外袋の底には、発熱剤と反応水を入れ、さらに、調理用の水と食材を入れた中袋を外袋の中の発熱剤の上に入れるので、自立性構造にする場合、単に底材をヒートシールするだけではなく、両側面にマチをもたせた構造にする方が、安定性が確保できるので好ましい。外袋の底および両側面にマチを作る場合は、袋の中に折り込まれるようにすると、携帯食料としても、緊急災害時の備蓄用非常食料としても占有面積を小さくできるので好ましい。
【0028】
外袋を自立性構造にする場合の材料としては、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/低密度ポリエチレン/1軸延伸ポリエチレン/アルミ箔/エチレン酢酸ビニル共重合体、2軸延伸ナイロン/アルミ箔/ポリエチレン、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート/1軸延伸ポリエチレン/アルミ箔/ポリプロピレン等が好ましい。
【0029】
外袋の材料、形状、大きさは特段に限定されないが、たとえば、厚さ80μmの高密度ポリエチレンで、縦350mm、横230mmの長方形の袋に製袋する。
【0030】
外袋に入れる発熱剤パックは、発熱剤の質量当たり、100メッシュ(−150μm90%以上)〜200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が15〜30%、および−330メッシュ(−45μm)が40〜60%、+330メッシュ(+45μm)が15〜30%、+235メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70〜85%から成る発熱剤を、透水性材料、たとえば、所定の目付量の不織布、和紙、合成紙等の袋に充填し、さらにアルミ箔等非透水性材料の外装袋に包装したものである。
【0031】
発熱剤と反応させる水は、手近の常水を利用してもよい。然しながら、アウトドアー又は緊急災害時の避難場所等、常水が利用できない場合を想定して、発熱剤と反応する化学量論的量より幾分多めの水を、非透水性材料の袋に充填した水パックとして準備することが好ましい。
【0032】
次ぎに、中袋に関して説明する。中袋は、食材と、食材を調理するのに必要な水を入れて、外袋の中に収容されるものである。本発明の調理装置付き携帯食料を調理する方法は、外袋の中で発熱剤と水を反応させて約100℃の蒸気を発生させ、その蒸気で中袋の中の水を沸騰させ、中袋の中の水に浸漬させた食材を加熱・調理するものである。従って、中袋は、100℃以上の耐熱性があり、かつ沸騰した水を外部に漏出させない非透水性でなければならない。従って、中袋の材料は、前述した外袋と同じ材料でよい。
【0033】
中袋に入れる食材は、炊く、ゆでる、蒸す調理方法で調理できる食材ならば、特段に限定されない。ただし、本発明の対象は、個人が自己の嗜好に合わせて料理して飲食に供する食品と異なり、予め工業的に生産される規格商品としての携帯食料、或いは緊急災害時に備えた備蓄用食料であるので、貯蔵性、便宜性、安全性、品質の安定性・均一性、価格の安定性、多様性、流通の合理性等諸条件を満足させるものでなければならない。
【0034】
貯蔵性に関しては、緊急災害時に備えた備蓄用食料の場合、3〜5年間の貯蔵性が要求される。便宜性に関しては、携帯食料又は緊急災害時に備えた備蓄用食料として、料理の下ごしらえが不要であり、極めて短い時間に外部加熱するだけで食べることができなければならない。安全性に関しては、衛生面でも、医療面でも不十分な環境下で使用する携帯食料又は緊急災害時に備えた備蓄用食料として、完全に安全でなければならない、できれば、保存のための合成保存料や殺菌料などを添加してないものが好ましい。
【0035】
品質の安定性・均一性に関しては、3〜5年間貯蔵する必要があるので、その間に品質が低下してはならない。価格の安定性に関しては、特に経済的に不安定な状況になる大規模災害時に供給するには、価格が安定していることが重要である。多様性に関しては、たとえ緊急災害時の避難場所で使用するにしても、絶えず同じ非常食を飲食するよりは、日常生活とそれほど変わらない多種多様な食料を飲食することができれば、長期間にわたる避難生活によるストレスも軽減される。
【0036】
流通の合理性に関しては、緊急災害時に供給するには、流通経路の短縮化や、流通の円滑化・迅速化等が要求されるので、品質規格や衛生基準を定めてそれに合致するように製造した規格製品でなければならない。
【0037】
その他に、携帯食料、或いは緊急災害時の非常食に重要なことは、廃棄物をできるだけ出さないことである。そのためには、不可食部分を予め取り除いてあることが好ましい。
【0038】
このような要件を満たす食料は、酸化防止、殺菌、静菌、除菌、あるいは遮断包装して、品質規格や衛生基準を定めて製造した規格製品が好ましい。たとえば、米、豆等穀類は、真空包装、ガス置換包装、脱酸素剤封入包装した食料が好ましい。また、本発明では、レトルトパウチ食品、冷凍食品が、好ましく使用することができる。
【0039】
レトルトパウチ食品に関しては、日本農林規格(昭和50年10月23日農林省告示1019号,昭和52年12月5日農林省告示1240号)が、「レトルトパウチ食品とは、プラスチックフィルム若しくは金属泊又はこれらを多層に合わせたものを、袋状その他の形状に成型した容器(気密性および遮光性を有するものに限る)に調製した食品を詰め、熱溶融により密封卯し、加圧加熱殺菌したものをいう」と定義している。
【0040】
冷凍食品に関しては、食品衛生法のほかに、行政管理庁、厚生労働省、地方自治体、或いは冷凍食品関連産業協力委員会の定めた規格・基準がある。本発明の携帯食料、或いは緊急災害時に備えた備蓄用食料としての冷凍食品は、これらの規格・基準に適合したものとする。
【0041】
本発明は、携帯食料或いは緊急災害時の備蓄食料であるので、軽量で嵩張らないこと、柔軟性があって多様な形状に変化して、保存する場所の形状に追随性があること、厳しい環境下でも使用に耐える強度、耐候性、耐薬品性等各種物性に優れていることが要求される。この観点からも、プラスチックフィルム若しくは金属泊又はこれらを多層に合わせたものを、袋状その他の形状に成型した容器に充填されたレトルトパウチ食品、冷凍食品が好ましい。
【0042】
当然、本発明の携帯食料、或いは緊急災害時に備えた備蓄用食料としてのレトルトパウチ食品、或いは冷凍食品の容器は、食品衛生法に基づく容器包装の規格基準や、軟包装袋の試験方法を定めた日本工業規格を満たすものでなければならない。
【0043】
現在、レトルトパウチ食品、冷凍食品は多種多様なものが製造されているが、本発明の携帯食料或いは緊急災害時の備蓄食料の調理方法である炊く(煮る)或いはゆでて調理するレトルトパウチ食品、冷凍食品としては、いわゆるボイル・イン・バッグ(boil-in-bag)方式で、沸騰しているお湯にレトルトパウチ食品又は冷凍食品を袋のまま入れて中心が温まるまでゆでるもの、たとえば白飯、赤飯、五目飯等各種米飯類、マカロニグラタン、ゆでスパゲッティー等米飯でんぷん食品類、丼もの、おかゆ、卵製品、シチュー類、スープ類が例示される。
【0044】
また、蒸して調理するレトルトパウチ食品、冷凍食品としては、シューマイ、ギョーザ、中華饅頭等が例示される。
【0045】
本発明の調理装置付き携帯食料又は緊急災害時の備蓄用非常食料は、発熱剤の質量当たり、100メッシュ(−150μm90%以上)〜200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が15〜30%、および−330メッシュ(−45μm)が40〜60%、+330メッシュ(+45μm)が15〜30%、+235メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70〜85%から成る発熱剤を透水性材料製の内袋に充填しさらに非透水性材料の袋の包装した発熱剤パックと、所定の包装をした食材を入れた中袋を、前述した外袋の中に、使用手順書と一緒に同封して製造される。
【0046】
又は、本発明の調理装置付き携帯食料又は緊急災害時の備蓄用非常食料は、前述した外袋と、発熱剤の質量当たり100メッシュ(−150μm90%以上)〜200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が15〜30%、および−330メッシュ(−45μm)が40〜60%、+330メッシュ(+45μm)が15〜30%、+235メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70〜85%から成る発熱剤を透水性材料製の内袋に充填しさらに非透水性材料の袋の包装した発熱剤パックと、所定の包装をした食材を入れた中袋を、カートンケースに使用手順書と一緒に個別包装して製造される。この場合、カートンケースが、調理をする際の外袋等の自立性を補助するので便利である。
【0047】
なお、食料が、レトルトパウチ食品、或いは冷凍食品の場合は、そのまま中袋に入れて調理すればよいので、付帯部品は必要ない。食料が、真空パックされた米や豆類等で、湯と直接接触させて加熱・膨潤させる、いわゆる炊いて調理する必要がある食料の場合は、真空パックから米や豆類を一旦取り出して、透水性の袋に入れる必要がある。従って、その場合は、透水性の袋が付帯部品として必要である。
【0048】
また、外袋内で発生した水蒸気の熱が外部に逃散するのを防止したり、冬場、寒冷地、山等で使用する場合、又は炊いた飯を蒸して食味、食感をよくするために、外袋全体を収納する保温袋を使用することが好ましい。保温袋の材料、形状は特段に限定されない。極端な場合、毛布等にくるんでもよい。然しながら、緊急災害時用の備蓄用品とする場合は、柔軟性がある発泡樹脂シート又は断熱繊維ボードを、アルミ箔等断熱性フィルムで積層した材料で製造することが好ましい。
【0049】
このようにして製造した本発明の調理装置付き携帯食料又は緊急災害時の備蓄用食料の標準的な質量は、発熱剤パックが60g、食料が真空包装した米の場合100g、レトルトパウチ食品、冷凍食品の場合50〜250gとして、160g〜310gであり、また、総厚も40mm以下に押さえることができ、軽量でかつ嵩張らない。
【発明の効果】
【0050】
請求項1に記載した発明によると、携帯性、貯蔵性の点からも、また、誰でもが、時と場所を選ばずに手軽に使用できるという点からも、理想的な携帯食料又は緊急災害時の備蓄用食料が提供される。
【0051】
請求項2に記載した発明によると、食材が穀類の場合、沸騰した調理用水と直接接触させて加熱・膨潤させることができる。
【0052】
請求項3に記載した発明によると、水が貴重なアウトドアー、或いは断水する恐れがある大規模災害時の避難場所にあっても、清潔な水で調理することができる。
【0053】
請求項4に記載した発明によると、外袋を保温袋で覆うことにより、水蒸気による熱量の逃散を防止して熱効率を高めることができ、特に冬場或いは寒冷地にあっては効果的である。
【0054】
請求項5に記載した発明によると、外袋内で発生する水蒸気、および中袋内で沸騰する調理用水を外部に逃散させずに、完全に利用することができる。
【0055】
請求項6に記載した発明によると、外袋および中袋に使用するプラスチック製フィルムが特定されているので、さらなる展開開発が容易になる。
【0056】
請求項7に記載した発明によると、請求項1〜6のいずれか1項に記載した携帯又は緊急災害時の備蓄用食料を容易に使用することができる。
【0057】
請求項8に記載した発明によると、レトルトパウチ食品又は冷凍食品をそのまま加熱・調理することができるので、レトルトパウチ食品又は冷凍食品の用途が一層拡大される。
【0058】
請求項9に記載した発明によると、食材が、沸騰した調理用水と直接接触させて、いわゆる炊いて調理しなければならない穀類も完全に調理することができる。
【0059】
請求項10に記載した発明によると、アウトドアー又は災害時の避難場所でも精米を本格的に炊くことができる。
【0060】
請求項11に記載した発明によると、アウトドアー又は災害時の避難場所でも精米を手軽にかつ本格的に炊くことができるので、アルファー米より優れた食感、食味を味わうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
外袋、中袋
厚さ80μmの高密度ポリエチレンフィルムで所定の形状、サイズの非自立性外袋を製造する。厚さ80μmの高密度ポリエチレンフィルムで所定の形状、サイズの非自立性中袋を製造する。
【0062】
米の調製
携帯食料又は災害時の非常用食料として調理する場合、水は貴重なので、米は無洗米あるいは通常の精米を使用する。真空パックから米を取り出し、不織布製の袋に入れる。
【0063】
加水量
使用する米の質量の1.3〜2.0倍(平均は米量の1.5倍、米容量の1.2倍、加熱に伴う蒸発量10%を含む)の量の水を中袋に入れる。この際、水量は米の品質、保存期間、嗜好により調製する。ただし、約500mlという過剰量の水を入れることにより、中袋に入れて調理する殆どの食材を浸漬することができるので、水を正確に計量する手間を省くことができる。
【0064】
浸水
米粒の主成分であるでんぷんの糊化を十分行わせるために、米粒内に水を均一に分布させる。米の吸水速度は水温に影響されるが、平均的に約20〜30分間は急速。2時間で最大吸水量に達する。
【0065】
加熱
アルミ箔等非透水性材料の外装袋から、不織布等透水性材料の袋に包装した60gの発熱剤を取り出して外袋の底に置く。浸水が完了した米を入れた不織布製の袋を、水を入れたまま中央から折り曲げて、外袋の発熱剤の上におく。そのまま、外袋を保温袋の中に入れる。発熱剤に水130mlを注ぎ入れ、外袋を中央から折り曲げ、水が漏出しないように壁等に直立させる。直ちに約100℃の水蒸気が発生して、中袋の水を沸騰させる。この沸騰調理を約30分間継続する。
【0066】
蒸らし
約30分間経過したら、外袋から中袋を取り出し、さらに、中袋から飯入り不織布製袋を取り出す。このとき、不織布の目から、米を加熱膨潤に消費された炊飯水以外の余剰水が排出される。余剰水および中袋は不要になったので廃棄する。飯入り不織布製袋を、発熱剤が入っている外袋に入れて余熱を利用して約10分間蒸らす。この時点で、米の糊化が十分行われる。
【0067】
蒸らし終了後
蒸らし終了後、食器に移し、天地返しをして混ぜ、内部の水蒸気を発散させ、蒸気の結露を防ぎ、飯に再び付着させないようにする。
[実施例1]
【0068】
部品の製造、調達
外袋および中袋の製袋
JIS Z 1702-86の規格に準じた厚さ80μmの旭化成製高密度ポリエチレンで、縦350mm、横230mmの外袋、および縦250mm、横200mmの中袋を製袋した。
【0069】
発熱剤パックの製造
発熱剤の質量当たり100メッシュ(−150μm90%以上)〜200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が20g、および−330メッシュ(−45μm)が40〜60%、+330メッシュ(+45μm)が15〜30%、+235メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム40g、および食塩1.4gから成る発熱剤を、目付量が60g/m2、厚さ0.14mm、通気量20cc/cm2/sec、ヒートシール強度6.0kgの不織布製の袋に充填し、さらに、アルミ箔積層袋に入れて、ヒートシールした。
【0070】
米の用意
ガスバリヤー性、防湿性、突刺強度に優れたパウチに、無洗米1合を窒素ガスによるガス置換包装した。
【0071】
米充填用袋
目付量が60g/m2、厚さ0.14mm、通気量20cc/cm2/sec、ヒートシール強度6.0kgの不織布で、縦180mm、横130mmの袋を用意した。
【0072】
保温袋の用意
厚さ2mmの発泡ポリスチレンシートを断熱性PEフィルムで積層したシートをヒートシールして、縦400mm、横300mmの一端が開口している袋を製造し、保温袋とした。
【0073】
容器から無洗米1合を取り出して、0.5合に分けて、それぞれ不織布製の米充填用袋2袋に入れて、上端を折って封止した。中袋に調理用水約500ccを入れ、次いで、0.5合の米を入れた不織布製袋2袋を、調理用水の中に入れて、約20分間浸して、米粒内に水を均一に分布させた。
【0074】
アルミ箔の外装袋から、不織布の袋に包装した60gの発熱剤を取り出して外袋の底に置いた。浸水が完了した米を入れた不織布製の袋を、調理用水を入れたまま中央から折り曲げて、外袋の発熱剤の上においた。そのまま、外袋を保温袋の中に入れた。発熱剤に、水130mlを注水し、外袋を中央から折り曲げ、水が漏出しないように壁等に直立させた。直ちに約100℃の水蒸気が発生して、中袋の水を沸騰させた。この沸騰調理を約30分間継続した。
【0075】
約30分間経過した後、外袋から中袋を取り出し、さらに、中袋から飯入り不織布製袋を取り出した。このとき、不織布の目から、米を加熱膨潤に消費した炊飯水以外の余剰水を排出した。余剰水は不要になったので廃棄した。
【0076】
飯入り不織布製袋中袋に包んで、発熱剤が入っている外袋の中に再度戻して、余熱を利用して約10分間蒸らした。
【0077】
蒸らし終了後、飯を食器に移し、天地返しをして混ぜ、内部の水蒸気を発散させ、蒸気の結露を防ぎ、飯に再び付着させないようにした。
【0078】
官能検査−日常検査
分析能力を有し、訓練された鋭敏なパネラー20人を用意し、それぞれ隔離した。検査30分前より、たばこ、ガム、口紅を禁止し、各検査室の照明、室温、換気を同じ条件にした。
【0079】
3点試験法
官能検査に使用する標準品として、実施例1で使用したと同じ無洗米を同じ量、電気炊飯器で炊飯して、これを20人分用意した。一方、実施例1を40回繰り返して、同じサンプルを40個用意した。標準品1個と、サンプル2個の計3個一組をパネラー20人に与え、3点試験法による官能検査を行った。この際、順序効果を考慮して、食べる順序をランダムにし、位置効果を考慮して、中央と両端を交換し、符号効果を考慮して、標準品とサンプルには2桁以上の数字を付けた。パネラー20人に、標準品を指摘させたところ、パネラー20人全員の正解率は1/9であった。
【0080】
官能検査−嗜好検査
日常検査を行ったと同じパネラー20人を用意した。標準品として、実施例1で使用したと同じ無洗米を同じ量、電気炊飯器で炊飯して、これを20人分用意した。一方、実施例1を60回繰り返して、同じサンプルを60個用意した。標準品1個と、サンプル3個の計4個一組をパネラー20人に与えた。評点法でそれぞれ好ましさの程度を3,5,7、9段階に分け、その平均評点とばらつきを求め、統計学的処理を行った結果、パネラー20人の間で、1個の標準品と、3個のサンプの間で嗜好の優位差は見られなかった。
【0081】
[実施例2]
外袋および中袋、発熱剤パックは、実施例1と同じものを使用した。食材として、ポリプロピレン製容器本体と、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン製蓋から成る容器に入った味の素株式会社製(「HOT!1」(登録商品名)シリーズの冷凍食品である五目炒飯(250g入り)使用し、それを500ccの調理用水を入れた中袋に入れた。
【0082】
実施例1と同じ手順で、発熱剤入り不織布製袋を外袋の底に置いた。前記五目炒飯入り容器を入れた中袋を、調理用水を入れたまま中央から折り曲げて、外袋の発熱剤の上においた。そのまま、外袋を保温袋の中に入れた。発熱剤に、反応水130mlを注水し、外袋を中央から折り曲げ、水が漏出しないように壁等に直立させた。直ちに約100℃の水蒸気が発生して、中袋の水を沸騰させた。この沸騰調理を約30分間継続した。
【0083】
約30分間経過した後、外袋から中袋を取り出し、さらに、中袋から五目炒飯入り容器を取り出した。湯が入った中袋は不要になったので廃棄した。中袋から取り出した五目炒飯入り容器を、発熱剤が入っている外袋に再度戻して、約10分間余熱を利用して加熱した。蒸らし終了後、五目炒飯を試食した。その結果、五目炒飯に入っている米、および鶏肉、グリーンピース、スイートコーン、卵、にんじん、しいたけなどの具が完全に温まっていた。
【0084】
[実施例3]
食材として塩化ビニリデンチューブに詰められた味の素株式会社製(「HOT!1」(登録商品名)シリーズの冷凍食品であるコーンクリームスープ(90g使用した以外には、実施例2と同じ手順を繰り返して、試食した結果、十分に温まっていた。
【0085】
[実施例4]
食材として鶏卵5個を使用した。それを500ccの調理用水を入れた中袋に入れた。実施例2と同じ手順で、発熱剤入り不織布製袋を外袋の底に置いた。鶏卵5個を入れた中袋を、調理用水を入れたまま中央から折り曲げて、外袋の発熱剤の上においた。そのまま、外袋を保温袋の中に入れた。発熱剤に、反応水130mlを注水し、外袋を中央から折り曲げ、水が漏出しないように壁等に直立させた。直ちに約100℃の水蒸気が発生して、中袋の水を沸騰させた。この沸騰調理を約10分間継続した。約30分間経過した後、外袋から中袋を取り出し、さらに、中袋から鶏卵5個を取り出して、試食した結果、完全なゆで卵になっていた。
【0086】
[実施例5]
自衛隊戦闘糧食I型の調理
自衛隊では、缶で構成された長期保存可能な非常食を「戦闘糧食I型」と制式用語として呼称している。一方、レトルトパウチで構成された軽包装糧食を「戦闘糧食II型」と制式用語で呼称している。以下の実施例4では、加熱するのが、戦闘糧食II型より難しい戦闘糧食I型を使用した。
【0087】
使用した戦闘糧食I型の諸元
自衛隊で配給される戦闘糧食I型のメニューは糧食班が決定するためえらぶ事はできない。たとえば、メニュー3としては下記の内容である。
(1)主食
内径98.9mm、高さ68,5mmの平一号缶に充填された400g(2合強)の赤飯缶詰。(DSPN5004C*1)。
(2)副食(おかず)
内径74.0mm、高さ50.5mmの携帯缶に充填された鶏肉もつ野菜煮缶詰。(DSPN51088*1)。
(3)たくあん漬け
内径83.3mm、高さ30.0mmのポケット3号缶に充填されたたくあん付缶詰。(DSPN5101C*1)。
*1:防衛庁が装備し使用する物品を調達する場合において必要とされる調達物品の仕様(物品の形状、構造、品質、その他の特性、試験方法、検査方法その他これらの物性を確保するための方法又は装備品等の防錆び方法、包装方法その他の出荷条件をいう)について定めたものを防衛庁仕様と言い、その英語の頭文字をとってDSPという。
【0088】
暖かい糧食は自衛隊員の士気を高めるということで、自衛隊には糧食を加熱するための缶詰された固形状携帯燃料(ゲル状アルコール)が用意されている。しかし、現職の自衛隊員の中には、DSPN5004C等主食缶詰を直火で加温することはできないし、またDSPN51088等おかず缶は、小さくて火にかけることができないという意見が多く、結局冷えたまま喫食することが多くなっている。
【0089】
戦闘糧食の缶の外には「沸騰水中にて約25分間以上加熱すれば、通常3日間は喫食できるが、食前に暖めればさらによい」の指示が印刷されている。然しながら、戦闘糧食は、自衛隊員の訓練中に喫食する場合が殆どであり、水を沸かすための熱源がないのが通例である。
【0090】
そこで、本発明を利用して 上記主食缶と、おかず缶を加温することとした。
実施例1で使用したと同じ、外袋、中袋、保温袋を用意した。中袋に調理用水約500ccを入れ、次いで、主食缶とおかず缶を一緒に入れた。アルミ箔の外装袋から、不織布の袋に包装した60gの発熱剤を取り出して外袋の底に置いた。主食缶とおかず缶を入れ、調理用水を入れた中袋を適所から折り曲げて、外袋の発熱剤の上においた。そのまま、外袋を保温袋の中に入れた。発熱剤に、水130mlを注水し、外袋を適所から折り曲げ、水が漏出しないように壁等に直立させた。直ちに約100℃の水蒸気が発生して、中袋の水を沸騰させた。この沸騰調理を約30分間継続した。
【0091】
約30分間経過した後、外袋から中袋を取り出し、さらに、中袋から主食缶とおかず缶を取り出した。調理用水を廃棄し、中袋に主食缶とおかず缶を戻し、発熱剤が入っている外袋の中に再度戻して、余熱を利用して約10分間蒸らした。
【0092】
蒸らし終了後、主食とおかずを食器に盛り、喫食したところ、主食缶の赤飯の真ん中、おかず缶の鶏肉もつ野菜煮の全部が温まっていた。
【産業上の利用可能性】
【0093】
以上詳述したように、本発明の携帯食料又は緊急災害時の備蓄用食料は、個別に調理装置が組み込まれていて、しかも、標準品1個当たりの質量を160g〜310gに、総厚さを40mm以下にすることができるので、軽量でかつ嵩張らず、携帯性、貯蔵性の点からも、また、誰でもが、時と場所を選ばずに手軽に使用できるという点からも、理想的な携帯食料又は緊急災害時の備蓄用食料である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)発熱剤の質量当たり、100メッシュ(−150μm90%以上)〜200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体生石灰が15〜30%、および−330メッシュ(−45μm)が40〜60%、+330メッシュ(+45μm)が15〜30%、+235メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70〜85%から成る発熱剤を透水性の袋に充填し、さらに非透湿性外装袋に密封包装した発熱剤パックを入れた発熱剤反応用外袋と、(ロ)所定の容器に入れ酸化防止、殺菌、静菌、除菌、或いは遮断包装した食材を入れ、外袋の中に入れる非透湿性の調理用中袋とを備える携帯又は緊急災害時の備蓄用食料。
【請求項2】
一端が開口していて、食材を入れる調理用の透水性袋を中袋に付加してなる請求項1記載の携帯又は緊急災害時の備蓄用食料。
【請求項3】
外袋に注水して発熱剤と反応させる反応水と、中袋に注水して食材を調理するための調理用水を、非透湿性の容器に密封殺菌した水パックを付加してなる請求項1または2に記載の携帯又は緊急災害時の備蓄用食料。
【請求項4】
外袋を覆う保温袋を付加してなる請求項1〜3項のいずれか1項に記載の携帯又は緊急災害時の備蓄用食料。
【請求項5】
外袋と中袋が、水蒸気透過度(WVTR)が30(g・m-2・24hr/25μm、40℃、90%RH)以下のプラスチック製フィルムで製造されたものである請求項1〜4項のいずれか1項に記載の携帯又は緊急災害時の備蓄用食料。
【請求項6】
プラスチック製フィルムが、アルミ箔積層フィルム、セラミック蒸着積層フィルム、アルミ蒸着積層フィルム、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデンコート延伸ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデンコートポリプロピレン、2軸延伸ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンコート2軸延伸ナイロン、ポリ塩化ビニリデンコート2軸ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンコートセロファン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン(0.941〜0.965)、m−キシリレンアジアジパミド、無延伸ポリプロピレンから成る群から選択されたものである請求項5に記載の携帯又は緊急災害時の備蓄用食料。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の携帯又は緊急災害時の備蓄用食料の使用方法であって、
(1)中袋に、食材が完全に浸漬される量の調理用水を注水すること、
(2)食材を、注水した調理用水の中に完全に浸漬させ、調理用水が漏出しないように中袋を所定の位置で折り曲げること、
(3)発熱剤パックの非透湿性外装袋から透水性の袋に充填した発熱剤を取り出し、外袋の底に置くこと、
(4)外袋の底に置いた発熱剤の上に、前記調理水と食材を入れた中袋を置くこと、
(5)外袋に、発熱剤と反応させる反応水を注水し、発熱反応を起こさせて、約100℃の水蒸気を発生させ、中袋の中の調理用水を沸騰させることを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の携帯又は緊急災害時の備蓄用食料を使用する方法。
【請求項8】
食材が、所定の容器に包装されたレトルトパウチ食品又は冷凍食品であって、そのまま中袋の調理用水に浸漬させるようになっている請求項7に記載の方法。
【請求項9】
食材が、沸騰した調理用水と直接接触させて加熱・膨潤させる必要がある穀類であって、透水性の袋に入れて封止し、中袋の調理用水に浸漬させるようになっている請求項7の方法。
【請求項10】
食材が、精米である請求項9に記載した方法。
【請求項11】
(1)精米を透水性の袋を入れて封止すること、
(2)精米の質量の1.3〜2.0倍の量の調理用水を中袋に入れること、
(3)精米を入れて封止した透水性の袋を、中袋の調理用水に浸漬させること、
(4)米粒の主成分であるでんぷんの糊化を十分行わせるために、精米を調理用水に十分浸漬させて、調理用水を米粒内に均一に浸水させること、
(5)非透水性材料の外装袋から、透水性材料の袋に包装した発熱剤を取り出して外袋の底に置くこと、
(6)調理用水の漏出を防止するために、浸水が完了した精米を入れた透水性の袋を入れた中袋を調理用水を含んだまま、所定の位置から折り曲げて、外袋の発熱剤の上におくこと、
(7)外袋の発熱剤に反応水を注水し、外袋を中央から折り曲げ、反応水および発生する水蒸気の漏出を防止すること、
(8)発熱剤と反応水との反応により発生する約100℃の水蒸気を利用して、中袋の調理用水を沸騰させ、この沸騰約30分間継続すること、
(9)約30分間経過後、外袋から中袋を取り出し、さらに、中袋から精米入り透水性袋を取り出し、精米を加熱膨潤に消費した以外の余剰水を排出すること、
(10)余剰水および中袋を廃棄し、精米入り透水性袋を、発熱剤が入っている外袋に戻し、余熱を利用して約10分間蒸らすことを含む請求項10に記載の方法。









【公開番号】特開2006−6270(P2006−6270A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191497(P2004−191497)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000201157)船山株式会社 (4)
【出願人】(500067606)株式会社協同 (12)
【Fターム(参考)】