調理販売ユニット
【課題】前方を見ながら調理できる調理販売ユニットを提供する。
【解決手段】調理販売ユニット1は、上部に配置されたショーケースユニット10と、その下に配置され、ショーケースユニット10の内部の環境条件を制御するための温風供給ユニット20と、温風供給ユニット20の後方に配置された調理台ユニット50とを有する。この調理台ユニット50は、温風供給ユニット20の後方に収納される第1の位置P1と、ショーケースユニット10の後方に調理台ユニット50が露出する第2の位置P2とを移動する。
【解決手段】調理販売ユニット1は、上部に配置されたショーケースユニット10と、その下に配置され、ショーケースユニット10の内部の環境条件を制御するための温風供給ユニット20と、温風供給ユニット20の後方に配置された調理台ユニット50とを有する。この調理台ユニット50は、温風供給ユニット20の後方に収納される第1の位置P1と、ショーケースユニット10の後方に調理台ユニット50が露出する第2の位置P2とを移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵食品あるいは冷凍食品などを調理して販売するのに適したユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアなどにおいて、店頭で調理された食品を販売するケースが増加している。例えば、冷凍あるいは冷蔵された食品を店頭で加熱処理し、高温に保たれたショーケースに入れて販売する。
【0003】
特許文献1には、加熱調理品を収納して一定温度及び一定湿度で保管するドライ室とウェット室とが仕切られて併設され、少なくとも一方の室内に加温風を循環させて他方の室内への伝熱を行ってドライ室及びウェット室の保温及び保湿を行うことを特徴とする収納装置について記載されている。
【特許文献1】特開2005−111251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ショーケースの後方で、冷凍あるいは冷蔵された食品をホットプレートなどで加温あるいは調理し、ショーケースに温蔵して販売する方法が提案されている。この調理販売方法は、調理中に店員がカウンタの内側から店内の方向(以降では前方)を見渡せる。このことは種々の点で重要である。例えば、カウンタの内側から前方を向いて、顧客の様子を観察し、顧客が品物を購入するためにカウンタに近づいてきたことをいち早く察知することは、顧客サービスとして、また、売り上げ増加のために重要である。また、カウンタの内部から前方を見て、店内における不審な動きをいち早く察知することは、盗難などのトラブルを未然に防止し、さらに、店員自身の安全を確保するためにも重要である。
【0005】
一方、店員がカウンタの上で調理することは幾つかの問題がある。例えば、調理中に油、ソースなどが飛ぶことは茶飯事であり、カウンタの上を汚染したり、商品を汚染したり、ショーケースの窓を汚したり、さらには顧客の衣類を汚染する可能性がある。また、ショーケースの後方を調理場所に利用すると、調理器具がショーケースを開けて商品を取り出す際に邪魔になるという問題もある。さらに、ショーケースの容量を増やそうとして上に広げると、ショーケースが高くなり圧迫感を覚えることがある。一方、ショーケースを下に広げると、調理できる場所が下がってしまい、店員の手が届き難くなり、調理台として使用し難い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、少なくとも前壁および後壁が透光性で、後壁の少なくとも一部が扉となったショーケースユニットが上部に配置された調理販売ユニットであって、ショーケースユニットの下に配置され、ショーケースユニットの内部の環境条件を制御するための空調ユニットと、空調ユニットの後方に配置された調理台ユニットとを有する調理販売ユニットである。この調理販売ユニットにおいては、調理台ユニットは、空調ユニットの後方に収納される第1の位置と、ショーケースユニットの後方に当該調理台ユニットの少なくとも一部が露出する第2の位置とを移動する。調理台ユニットを第1の位置と第2の位置との間で移動させる手段としては、リンク、アームあるいはスライドレールなどを適用できる。移動させる手段は、スイッチなどにより自動で動作しても良く、店員が手動で操作しても良い。調理台ユニットを移動させる手段は、第2の位置で調理可能なように、調理台ユニットを第2の位置で保持できるものであることが望ましい。
【0007】
この調理販売ユニットでは、調理台ユニットを調理に使用しないときは、第1の位置に収納しておける。したがって、ショーケースユニットの下方に位置する空調ユニットの後方のスペースを利用し、ショーケースユニットの扉の開閉に影響を与えないように調理台ユニットを収納できる。一方、調理台ユニットを調理に使用するときは、第1の位置よりも高い第2の位置に移動させる。
【0008】
したがって、調理台ユニットが、左右に広がるショーケースユニットの下側であって、店員の操作しやすい高さよりも下側に広がっている場合であっても、調理台ユニットを使用しないときは、ショーケースユニットの扉を開閉して品物を取り出すのに支障がなく収納でき、一方、調理台ユニットを使用するときは、第2の位置に移動することにより、店員が操作しやすい位置となり、店員が調理台ユニットに設置される調理器具を用いて調理できる。
【0009】
調理台ユニットは、ワーキングテーブルと、そのワーキングテーブルの少なくとも前方および側方をカバーするフードとを含み、第1の位置では、フードを含めて調理台ユニットが空調ユニットの後方に収納され、第2の位置では、フードの少なくとも一部がショーケースユニットの後方に露出することが望ましい。第1の位置では、フードを含めて収納することにより、調理台ユニットとショーケースユニットの扉との干渉を防止できる。第2の位置では、ワーキングテーブルの少なくとも前方および側方、さらには、上方をカバーするフードにより、調理中の油などが飛んで、ショーケースの扉を含めた周囲を汚染することを防止できる。第2の位置では、フードの少なくとも一部がショーケースユニットの後方に露出するが、ワーキングテーブルを含めて調理台ユニットがショーケースユニットの後方に露出しても良い。
【0010】
フードは後方に傾斜し、空調ユニットの後方の壁は後方に傾斜しており、調理台ユニットは、第1の位置から第2の位置に向かって斜め後方に移動することが望ましい。ショーケースユニットの底壁から温風あるいは冷風をショーケース内に供給するために空調ユニットの後方の壁は、後方に傾斜、すなわち、上部が後方に向けて斜めに延びた状態になることが多い。調理台ユニットのフードを後方に傾斜することにより、空調ユニットの後方のスペースを有効利用できる。また、調理台ユニットを、第1の位置から第2の位置に向かって斜め後方に移動することにより、空調ユニットの後方の壁と干渉せずに調理台ユニットを移動できる。さらに、調理台ユニットが第1の位置から第2の位置に向かって後方に飛び出す状態になるので、調理台ユニットのワーキングテーブルが店員にとって使い易い位置になる。また、調理台ユニットのフードと、ショーケースユニットの後方の扉との間が開くので、ショーケースユニットの後方が調理中の油飛びなどにより汚染される可能性をさらに低くできる。また、調理中にショーケースユニットの後方の扉を開閉しないといけない事態にも対処し易くなる。
【0011】
調理台ユニットの移動に伴って、安全機能が働くようにしたり、補助機能をオンオフすることは有効である。例えば、調理台ユニットが第2の位置に移動すると使用可能な状態になる電源供給ユニットを設けることにより、調理器具が稼動状態で第1の位置に収納されることを未然に防止できる。電源供給ユニットが使用可能になる形態の一例は、電源コンセントが第2の位置のワーキングテーブル近傍に配置されており、調理台ユニットを第1の位置に移動するためには、調理器具の電源ケーブルを電源コンセントから引き抜く必要があるものである。第1の位置に調理台ユニットを移動させると電源コンセントがカバーされて使用できなくなり、第2の位置に調理台ユニットを移動すると電源コンセントのカバーが外れるようなものであっても良い。また、調理台ユニットが第1の位置に移動すると電源供給元のスイッチがオフになり、調理台ユニットが第2の位置に移動すると電源供給元のスイッチがオンになるような形態でも良い。
【0012】
調理台ユニットの補助機能の一例は、フードの内部から排気するファンであり、調理台ユニットが第2の位置に移動すると稼動するものである。調理台ユニットを第2の位置に移動するとオンになり、ワーキングテーブルを照明するランプを設置することも有効である。
【0013】
また、調理台ユニットが第2の位置にあるときに、ショーケースユニットの後方の扉が開閉できるように、ショーケースユニットの後壁に設けられた扉は、引き戸式であることが望ましい。
【0014】
また、この調理販売ユニットは、幾つかの形態の収納スペースを設けることができる。その1つは、空調ユニットの下に配置された収納ユニットであって、後方からアクセスされる収納スペースを備えた収納ユニットを設けることである。調理台ユニットは、第1の位置では、収納ユニットの上方に位置する。この収納スペースには冷蔵庫を設置することが可能であり、後方から冷蔵庫にアクセスできるようにすることにより、冷蔵あるいは冷凍食品の取出し、調理さらにショーケースへの収納までを基本的に店員は前方を見ながら行なうことができる。
【0015】
また、空調ユニットの後方に、第1の位置にある調理台ユニットと並ぶように収納トレイを配置することも可能である。フードにより調理中の汚れからは保護されるので、調味料などに限らず、ショーケースユニットに収納された商品の販売用のグッズ、例えば、トレイ、袋、包装紙などを収納しておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1に、本例の調理販売ユニットを正面図により示している。図2に、図1の調理販売ユニットを背面図により示している。図3に、図1の調理販売ユニットの概略構成を縦断面図により示している。
【0017】
本例の調理販売ユニット1は、コンビニエンスストアなどの店舗において、加熱調理された食品を商品として陳列および販売するのに好適な装置あるいはユニットである。この陳列販売用の調理販売ユニット1は、全体が店員の肩程度の高さのハウジング2を有し、このハウジング2により幾つかの機能あるいは構成部分が、一体の装置あるいは家具あるいはキャビネット状のユニットになるように組み合わされ、あるいは組み立てられたものである。すなわち、この調理販売ユニット1は、調理された商品を陳列するためにハウジング2の上部に配置されたショーケースユニット10と、このショーケースユニット10の下に配置された空調ユニット20と、この空調ユニット20の下方に配置された収納ユニット30とを含む。本例の調理販売ユニット1のショーケースユニット10は、調理された商品を温蔵するタイプであり、このショーケースユニット10の内部の雰囲気(環境条件)を制御するための空調ユニットは、温風を供給する温風供給ユニット20となっている。さらに、収納ユニット30には、保冷庫31と、この保冷庫31の内部を冷却するための冷却ユニット35とが設置されている。
【0018】
調理販売ユニット1のハウジング2は、全体が垂直方向に長い箱型であり、店舗内に設置したときに店舗の天井に向く上壁3と、店舗の床に向く下壁4と、それら3および4の間に配置された第1の隔壁5および第2の隔壁6とを有する。そして、調理販売ユニット1は、大まかには、5つの機能の区画A1、A2、A3、A4およびA5を備えている。上壁3と第1の隔壁5との間がショーケースユニット10の区画A1であり、調理された食品を保温した状態で陳列できる。このショーケースユニット10の下方であって、第1の隔壁5と第2の隔壁6との間が、ショーケースユニット10に温風を供給するための温風供給ユニット20の区画A2である。この区画A2の下方であって、第2の隔壁6と下壁4との間が、収納ユニット30の区画A3であり、冷蔵庫31と冷却ユニット35とが収納されている。この区画A3は、後方からアクセスされる収納スペースとなる。
【0019】
さらに、調理販売ユニット1の、第2の隔壁6の上、温風供給ユニット20の後方で、後方から見て左側の区画は収納トレイが設置された空間A4である。調理販売ユニット1の、第2の隔壁6の上、温風供給ユニット20の後方で、後方から見て右側の区画A5は、調理台ユニット50が配置された空間である。調理台ユニット50は、ホットプレートなどの調理器具100を設置可能なワーキングテーブル51と、テーブル51の前方、側方および上方を覆うフード52とを含む。
【0020】
この調理販売ユニット1は、コンビニエンスストアなどにおいて清算を行なうためのカウンタの一部として、あるいは、カウンタに隣接して設置するのに適したユニットである。この調理販売ユニット1は、調理台ユニット50がカウンタの内側となるように設置され、店員が前を向いて、店内を見ながら調理台ユニット50のワーキングテーブル51の調理器具100を用いて調理し、調理した品物をショーケースユニット10に陳列できる。したがって、本明細書において、調理販売ユニット1の前側あるいは前方とは、店舗あるいは店内を向いた方向を示し、後側あるいは後方とは、カウンタの内側を向いた方向を示す。
【0021】
ショーケースユニット10は、第1の収納室11と、その中に収納された第2の収納室12とを備えている。第1の収納室11は、加熱調理された商品のうち、たとえばアメリカンドッグなどの「パリッ」とした食感が好まれる商品(高温低湿で保存することが望ましい商品)を陳列するための第1の閉じられた空間S1を形成するためのものである。第1の空間S1は、温風供給ユニット20から供給される低湿度の温風により、湿度20%〜30%程度、温度65℃〜70℃程度に調整されている。
【0022】
第1の収納室(以下、乾燥室と称することもある)11は、ハウジング2の上部前壁を兼ねる透光性の第1の前壁61と、第1の収納室11を開閉するための透光性の第1のドア71とを備えている。第1の前壁61および第1のドア71は、たとえば、透明アクリル樹脂などにより形成されている。ショーケースユニット10の後壁となる第1のドア71は引き戸(スライドドア)タイプであり、左右に配置された複数、例えば、2枚の戸71aおよび71bを備えている。これらの戸71aおよび71bには、それぞれの外面に取手79が取り付けられている。これらの戸71aおよび71bは、それぞれ、上壁3の下面に設けられた溝と、隔壁5の上面に設けられた溝に摺動自在に嵌め込まれている。乾燥室11は、第1の前壁61と、第1のドア71と、ハウジング2の上壁3と、第1の隔壁5と、ハウジング2の左右の側壁8および9の上部とにより構成され、これらにより囲まれ、閉じられた第1の空間S1を形成している。第1の収納室11の空間S1には、第1の陳列棚(食品トレイ)18が設置されている。さらに、第1の収納室11の下方には第2の収納室12が収納されている。
【0023】
第2の収納室12は、第1の収納室11の床面(第1の隔壁5の上面)に配置された状態で、第1の収納室11に収納されている。第2の収納室12もショーケースユニット10の一部であるが、第1の前壁61と対峙する位置に設けられた透光性の第2の前壁62と、第1のドア71と対峙する位置に設けられた透光性の第2のドア72と、乾燥空間S1の第2の陳列棚(食品トレイ)を兼ねる上壁15と、左右の側壁16および17とを備えており、これら15、16および17と床を構成する第1の隔壁(下壁)5とにより、乾燥空間S1の内部に閉じられた空間S2を構成できるようになっている。したがって、この第2の空間S2は、温風供給ユニット20により供給される温風により周囲から間接的に加熱され、温度65℃〜70℃程度に調整されている。しかしながら、低湿の温風は第2の空間S2には入らないので、第2の空間S2は、第1の空間S1とは異なり、低湿度になるようには湿度調整されない。したがって、第2の空間S2は、湿度的には第1の空間S1とは独立した制御が可能であり、第2の空間S2の湿度は、陳列される商品から放出される水分に依存して制御することができる。
【0024】
このため、「しっとり」した食感が好まれる商品、すなわち、水分を比較的多く含んだ商品を陳列することにより、商品から放出される湿分により、湿度が70%程度といった比較的多湿な雰囲気に第2の空間S2の内部をすることができる。すなわち、第2の収納室12は、加熱調理された商品のうち、たとえば焼き鳥などの「しっとり」した食感が好まれる商品(高温高湿で保存することが望ましい商品)を陳列するために使用できる。
【0025】
第2の収納室12の、第2の前壁62および第2のドア72は引き戸タイプであり、たとえば、透明アクリル樹脂などにより形成されている。第2のドア72は、2枚の戸72aおよび72bを備えている。これらの戸72aおよび72bは、それぞれ、第2の陳列棚15の下面に設けられた溝と第1の隔壁5の上面に設けられた溝に摺動自在に嵌め込まれている。この第2のドア72は、ヒンジにより扉が旋回するスイングドアであっても良い。スイングドアは、一枚構成でも複数枚構成でも良く、また、左右に限らず、上下に旋回するタイプのドアであっても良い。高湿度室12には、第3の陳列棚(食品トレイ)19が収納されている。
【0026】
ショーケースユニット10は、第1の収納室11の下部に、第2の収納室12が収納された状態になっており、第1の収納室11の上部が陳列棚18および15が並んで高温低湿で保存するのに適した商品の陳列空間S1となり、第1の収納室11の下部の第2の収納室12の内部が高温多湿で保存するのに適した商品の陳列空間S2となっている。第1の前壁61と第2の前壁62との間には、空隙S3が設けられており、この空隙S3は、ショーケースユニット10の下側に配置された温風供給ユニット20から高温低湿の温風をショーケースユニット10の上部の収納空間S1に循環させるための経路の一部となる。また、第1のドア71と第2のドア72との間にも、空隙S4が設けられている。この空隙S4もまた、温風を循環させるための経路の一部となる。
【0027】
このショーケースユニット10は、前壁61および62が透光性であり、また、後壁を構成するドア71および72も透光性である。したがって、店員は、カウンタの内部からショーケースユニット10を通して店内を見渡すことができる。
【0028】
温風供給ユニット20は、第1の隔壁5を挟んで、ショーケースユニット10の下方に配置されている。第1の隔壁5には、第1のドア71と第2のドア72との間の空隙S4に対応する位置と、第1の前壁61と第2の前壁62との間の空隙S3に対応する位置と、第2の収納室12に対応する位置の3箇所に開口81、82および83が設けられている。温風供給ユニット20は、温風をショーケースユニット10に供給するためのファン21と、そのファン21の出口側に配置されたヒータ22とを備えている。このシステムでは、ドア71からある程度の空気が第1の収納室11から外界へ漏れ出させ、収納ユニット30の方向からフレッシュエアーを入れ、そのフレッシュエアーの温度をヒータ22により上昇することにより、相対湿度の低い乾燥した温風を生成するようにしている。第1の収納室11から回収される空気に含まれる湿分を除去するために、シリカゲルあるいは活性炭などを含む除湿剤を用いたり、小規模な冷却ユニットなどを用いた除湿装置を設置することも可能である。このような除湿装置に脱臭機能を付け加えても良い。
【0029】
温風供給ユニット20においては、ヒータ22は、第1の隔壁5に設けられた3つの開口81、82および83のうちの最も後側に設けられた、第1のドア71と第2のドア72との間の空隙S4に対応する第1の開口81の近傍に設けられている。ファン21は、温風供給ユニット収納室A2の略中央部に設けられており、第1の前壁61と第2の前壁62との間の空隙S3に対応する第2の開口82と、第2の収納室12に対応する第3の開口83とから吸気して、ヒータ22側に向けて送風するように配置されている。したがって、第1の開口81は、温風吹き出し口、第2の開口82は、温風吸い込み口となる。第3の開口83には、第2の収納室12内に設置された湿度センサに連動して開閉するダンパ84が設けられている。第2の収納室12内の空間S2の湿度が高くなりすぎると、ダンパ84が開いて吸気し、第2の収納室12内の圧力を下げ、乾燥空間S1の第2の陳列棚(食品トレイ)を兼ねる上壁15に設けられた通気孔(不図示)を介して乾燥した温風が第2の空間S2に引込まれるようになっている。したがって、例えば、第3の開口83のダンパ84をフルオープンにして、第2のドア72を開けて置くことにより、第2の収納室12の内部をドライ雰囲気にすることも可能である。この温風供給ユニット20が収納された区画A2は、前後の壁28および29を含めて不透明になっており、少なくとも前方からは内部の機器が見えないようになっている。
【0030】
通常の運用状態では、まず、温風供給ユニット20のヒータ22およびファン21を稼動させると、加熱され、相対湿度が低下した比較的低湿度の温風は、図3に実線矢印で示すように、第1の開口81から第1の収納室11の内部に吹き出される。第1の収納室11内においては、まず、第1のドア71と第2のドア72との間の空隙S4を通過し、第2の収納室12の上方の陳列棚15が配置された空間S1に達する。さらに、第1の前壁61と第2の前壁62との間の空隙S3を通過し、第2の開口82から温風供給ユニット20に吸い込まれ、回収される。
【0031】
このような低湿度の温風の循環により、乾燥空間S1に陳列された商品は加温されるとともに、自身が放出した湿分は持ち運ばれる。したがって、乾燥空間S1の雰囲気は、高温低湿で維持され、高温低湿で保存することが望ましい商品を陳列するのに適した空間(湿度20%〜30%程度、温度65℃〜70℃程度の空間)となる。
【0032】
一方、第2の収納室12の内部の空間S2は、乾燥空間S1内を循環する温風により間接的に加温されるため、乾燥空間S1と同程度の温度に維持される。一方、温風は第2の収納室12の内部には基本的には入り込まないので、陳列された商品から放出された湿分は、持ち運ばれない。したがって、第2の収納室12内の空間S2の湿度は、その空間に陳列される商品から放出される湿分に依存して決まる。多くの場合、調理された商品からは多量の湿分が放出されるので、調理された商品から放出される湿分により空間S2は、多湿な雰囲気になる。
【0033】
空間S2の湿度が所望の値よりも高くなると、ダンパ84の開口度を制御することにより湿度を下げることが可能である。相対湿度が90%あるいはその近傍になると、条件によって結露が発生しやすくなり、ショーケースとしては好ましくない。したがって、第2の収納室12の内部の空間S2の雰囲気は多湿であることが好ましいとしても、相対湿度が70〜80%程度を上限に制御することが好ましい。
【0034】
空間S2の湿度が設定値よりも高くなった場合、図3に破線で示すように、ダンパ84を所定の開口度で開き、第3の開口83を開放する。これにより、乾燥空間S1内の低湿の温風は、図3に破線矢印で示すように、上壁15の孔、第2のドア72の隙間などから、空間S2に流れ込み、湿度を減らすことができる。これにより、空間S2は、高温多湿で保存することが望ましい商品を陳列するのに適した条件(湿度70%程度、温度65℃〜70℃の空間)に維持される。
【0035】
ショーケースユニット10は、第1の収納室11により構成される乾燥空間の内部に、第2の収納室12が収納され、第2の収納室12が直に外界に面することはなく、外界に面した側は、高温低湿な雰囲気となる。したがって、ショーケースユニット10の表面が、調理販売ユニット1が設置されている店舗の空調の冷風に晒されて急激に温度が低下したとしても、ショーケースユニット10の内部で結露が発生する可能性は小さい。特に、第1の前壁61と第2の前壁62との間の空隙S3が、温風が循環するための経路の一部となっているため、低湿の温風がこれらの壁61および62の間を強制的に換気する。したがって、第1の前壁61と第2の前壁62との間S3を狭くしても、湿分が溜まることは殆どなく、結露は発生し難い。さらに、第1の前壁61と第2の前壁62との間S3を狭くしても、外界、すなわち、店舗内の空調の冷風による温度低下が、第2の前壁62あるいはその内側に及びにくい。したがって、内側が高温多湿の雰囲気になる第2の前壁62を第1の前壁61に近づけても、第2の前壁62の内側で結露は発生しにくい。このため、結露が発生する可能性を増加させることなく透光性の第2の前壁62を、透光性の第1の前壁61の方向に前進させることができ、これらの間S3を近づけることにより、第1の前壁61の外側から、第2の前壁62の内側の空間S2に陳列された商品が見易い調理販売ユニットを提供できる。
【0036】
したがって、店内から、顧客が第1および第2の空間S1およびS2に陳列された商品を前側から良好に視認でき、売り上げの向上に寄与する。さらに、前壁61および62を通して、店員は、ショーケースユニット10の後方から、店内を観察することができる。
【0037】
ショーケースユニット10においては、第1のドア71を開けることにより、第1の空間S1を後方の店員に向けて開放できる。さらに、第2のドア72を開けることにより、第2の空間S2を後方の店員側に向けて開放することができる。したがって、第1の空間S1および第2の空間S2に陳列された商品を後側から容易に出し入れできる。
【0038】
密閉性の高いドアを使用しても、ショーケースユニット内の空気が漏れ出す可能性は常にある。特に、商品を出し入れする際には、ショーケースユニットの空気が漏れ出すことを止めることはできない。この調理販売ユニット1では、第1の収納室11に商品を出し入れする際に外界に漏れ出す空気は、低湿の温風であり、漏れだしても結露が発生する可能性は小さい。逆に、第1の収納室11からはある程度の空気を常に外界に放出し、加熱して相対湿度の下がったフレッシュエアーを第1の収納室11に供給することにより、第1の収納室11の内部空間S1の雰囲気を高温低湿に保つことができる。
【0039】
第2の収納室12に商品を出し入れする際は、第2の収納室12から高湿の空気が漏れ出すが、漏れ出す先は、低湿高温の雰囲気の乾燥空間S1である。このため、この場合も、結露が発生する可能性は小さい。さらに、第1のドア71と第2のドア72との間には、第1の開口81から上方に向けて低湿の温風が吹き出すようになっている。したがって、第2のドア72を開けた状態で、第2のドア72の外側の方が、高湿になっている第2のドア72の内側よりも圧力が高く、高湿の空気が漏れ出す量は小さい。さらに、漏れ出した高湿の空気は、低湿の温風により混合されて上方に運ばれ、結露の要因になる可能性は小さい。
【0040】
したがって、本例の調理販売ユニット1のように、温風を後方のドア71とドア72の間S4に吹き上げ、前壁61および62同士の間S3から吸い込むような循環経路は、好適な一つの例である。特に、高湿の空気の漏れ出し量が大きい可能性があるドアの部分に大量な温風を高速で吹き出すようにすることにより、結露の発生を防止しやすい。また、前壁61および62同士の間の隙間S3は小さくなり圧力損失が発生する部分となるので、この部分を吸い込み側にすることより、ファン効率の低下を防止でき、騒音、振動などの発生も抑止しやすい。
【0041】
このように、この調理販売ユニット1によれば、気密性の低い引き戸のようなドアを第1の収納室11を開け閉めするドアとして採用でき、結露が生じる可能性が少ない。このため、ショーケースユニット10の後方の壁が結露などにより曇ることもなく、店員はカウンタの後方から、ショーケースユニット10を通して良好な視界を確保できる。
【0042】
ショーケースユニット10を開閉するドアは、スイングタイプのドアであっても良いが、ショーケースユニット10の後方にドアがスイングするスペースが必要になる。第1のドア71を引き戸タイプにしてショーケースユニット10を開閉するように構成した本例の調理販売ユニット1によれば、ショーケースユニット10に陳列された商品を後側から出し入れする際に、ドアを開け閉めするためのスペースを殆ど要しない。
【0043】
調理販売ユニット1の第2の隔壁6の下側は、すなわち、ハウジング2の下側は、後方のカウンタ内の店員の側からアクセスできる収納ユニット30となっている。したがって、ハウジング2の前方下側は不透明な壁37となっている。この収納ユニット30には、後方からアクセスできる蓋32を備えた冷蔵庫31が収納され、その奥に冷蔵庫31の内部を冷却するための冷却ユニット35が収納されている。冷蔵庫31の上下には、冷却ユニット35から放熱するための排気経路38および39のスペースが確保されている。冷却ユニット35は、ペルチェ素子34を含み、冷蔵庫31の内部から吸熱し、排気経路39に排熱する。排気経路38および39は、冷蔵庫31と収納ユニット30の収納スペースの間の左右の空間に配置しても良い。
【0044】
第2の隔壁6は、高温の排気が放出される上方の排気経路39と、温風供給ユニット20のファン21の吸気側とを接続する開口(連通孔)40を有する。したがって、冷却ユニット35により排熱するために加熱され、温度が高くなった排気が、フレッシュエアーとして温風供給ユニット20に供給され、ファン21により加圧され、さらに、ヒータ22により所望の温度まで加熱されて第1の収納室11に吹き出される。
【0045】
第1の収納室11においても、調理品から水分が放出されるので、温風を循環させるだけでは、乾燥状態を維持することは難しい。高温低湿の温風を生成する方法の1つは、外気を加熱して相対湿度の低い温風を生成することである。しかしながら、外気(フレッシュエアー)を入れるためには、高温になった空気を放出する必要があり、低温の外気を加熱するためにエネルギーを消費する。この調理販売ユニット1においては、フレッシュエアーを加熱するために、冷蔵庫31の冷却ユニット35の排熱を利用することにより、エネルギー消費を低減することができる。
【0046】
調理用の空間A5に配置された調理台ユニット50は、上下に移動可能であり、図4に、調理台ユニット50を上方に移動した状態を示している。このように調理台ユニット50は、図3に示すように、空調ユニットである温風供給ユニット20の後方に収納される第1の位置P1と、図4に示すように、ショーケースユニット10の後方で、当該調理台ユニット50が露出する、すなわち、ショーケースユニット10の後方に調理台ユニット50が現れる、第2の位置P2とを移動する。調理販売ユニット1のハウジング2の側壁8には、調理台ユニット50を第1の位置P1と第2の位置P2との間で移動させる手段としては、スライドレール59が取り付けられている。調理台ユニット50を移動するための手段としては、レール以外のアーム、リンクなどの適当な機構を採用できる。
【0047】
調理台ユニット50は、店員が手動で前方に動かしながら上方に持ち上げるとスライドレール59に沿って上方に移動する。第2の位置P2に調理台ユニット50が到達すると、調理台ユニット50を前方あるいは後方に動かすことにより、調理台ユニット50は第2の位置P2の高さにロックされる。したがって、第2の位置P2において、調理台ユニット50のワーキングテーブル51に設置された調理器具、たとえばホットプレート100により調理できる。調理が終了すると、調理台ユニット50を前方あるいは後方に動かしてロックを外し、下方に動かすと、調理台ユニット50はレール59に沿って下方に移動し、温風発生ユニット20の後方のスペースの第1の位置P1に収納される。調理台ユニット50を移動するモータなどの駆動機構を配置して、スイッチなどにより調理台ユニット50が自動的に動くようにしても良い。
【0048】
調理台ユニット50は、水平な方向に延びたワーキングテーブル51と、このワーキングテーブル51の前方、側方および上方を覆うフード52とを備えている。フード52は、前方をカバーする前壁52aと、上方をカバーする上壁52bと、側方をカバーする左右の側壁52cおよび52dとを含んでいる。フード52の前方の壁52aは、後方に傾斜している。温風供給ユニット20が収納された区画A2の後方の壁29も後方に傾斜しており、図3に示すように、調理台ユニット50を第1の位置P1に収納したときに、フード52と壁29との間に無駄な空間がほとんど発生しないようになっている。このため、温風供給ユニット20の後方のスペースを、調理台ユニット50を格納するためのスペースとして有効に利用できる。さらに、第1の位置P1から第2の位置P2に斜め後方に調理台ユニット50を移動することにより、フード52と、壁29との干渉を防止できる。
【0049】
さらに、フード52の高さは、調理台ユニット50を第1の位置P1に収納したときに、フード52の上方の壁52bがショーケースユニット10の底壁となる隔壁5の上面に到達しないように設計している。したがって、この調理販売ユニット1では、調理台ユニット50を調理に使用しないときは、調理台ユニット50を第1の位置P1に移動することにより、調理台ユニット50の全体を、フード52も含めて、ショーケースユニット10の下方に位置する温風供給ユニット20の後方のスペースに格納できる。このため、第1の位置P1に格納することにより、調理台ユニット50はショーケースユニット10の扉71の開閉に影響を与えないようにすることができる。また、第1の位置P1に収納された調理台ユニット50は、ショーケースユニット10に商品を出し入れする際に障害とならない。さらに、調理台ユニット50を第1の位置P1に収納することにより、ショーケースユニット10を通して店内を見る場合にも調理台ユニット50は邪魔にならない。
【0050】
一方、調理台ユニット50を調理に使用するときは、第1の位置P1よりも高い第2の位置P2に移動させる。したがって、ショーケースユニット10の底壁5が店員の操作しやすい高さよりも下側であっても、調理台ユニット50を調理のために無理なく使用できる。このことは、調理販売ユニット1の全高を低くしても、ショーケースユニット10としての高さを十分に確保できることを意味する。したがって、圧迫感を感じるほど高くない調理販売ユニット1であって、大きな容量のショーケースユニット10を有し、さらに、調理し易い高さに調理用のワーキングテーブル51がある調理販売ユニットを提供できる。
【0051】
調理するときは、調理台ユニット50を、ショーケースユニット10の後方の第2の位置P2に移動する。ワーキングテーブル51の前方および側方、さらには、上方をカバーするフード52があるので、この位置で調理をして調理中の油などが飛散しても、ショーケースユニット10の扉71を含めた周囲が汚染されることは少ない。さらに、調理台ユニット50は、第1の位置P1に対して、第2の位置P2は、斜め後方上部になり、調理台ユニット50とショーケースユニット10の後方の扉71との間には十分な空間が確保される。すなわち、調理台ユニット50は、第2の位置P2において、調理販売ユニット1の後方に若干突き出た状態となり、ワーキングテーブル51がショーケースユニット10の後方に若干離れる。したがって、ワーキングテーブル51の上で調理し易い環境になると共に、ショーケースユニット10から離れるので、油の飛散、油分を含む上昇気流などによりショーケースの壁面が汚染されるのを防止できる。
【0052】
また、調理台ユニット50を第2の位置P2にセットして調理中であっても、顧客の要望などに応じてショーケースユニット10から商品を取り出す場合がある。このような場合でも、調理台ユニット50が第2の位置P2ではショーケースユニット10から若干離れた位置になるので、邪魔になりにくい。さらに、この調理販売ユニット1においては、ショーケースユニット10の後方の扉71は引き戸タイプになっている。このため、調理台ユニット50が第2の位置P2にある状況でも、後方の扉71aおよび71bを開けて、ショーケースユニット10の内部の商品にアクセスできる。この状態は、第2の位置P2にある調理台ユニット50で調理した食品をショーケースユニット10に収納および陳列するときも有効であり、店員が無理な姿勢を取ることなく、商品を調理し、ショーケースユニット10に陳列できる。
【0053】
さらに、調理販売ユニット1では、調理台ユニット50の移動に伴って、安全機能が働くようになっている。例えば、図2に示すように、調理販売ユニット1の後ろ面の右側に電源コンセント58が配置されている。この電源コンセント58は、調理台ユニット50が第2の位置P2にあるときにのみ、調理器具100の電源コードを接続できる高さに設置されている。したがって、店員は、第2の位置P2に調理台ユニット50を移動した後に、電源コードを電源コンセント58に接続して調理器具100を使用する。調理後は、電源コンセント58から電源コードを外してから調理台ユニット50を第1の位置P1に格納する。したがって、調理器具100が通電した状態で格納されることを未然に防止できる。第1の位置P1に調理台ユニット50を移動させると電源コンセントがカバーされて使用できなくなり、調理台ユニット50が第1の位置P1に移動すると電源供給元のスイッチがオフになるといった安全機構を設置することも可能である。
【0054】
調理台ユニット50は、さらに、フード52の内部を排気する脱臭機能付きのファン55と、フード52の内部を照らすライト56とを備えている。これらのファン55およびライト56は、調理台ユニット50が第2の位置P2に移動すると稼動し、第2の位置P2から第1の位置P1に向かって動かすと停止する。
【0055】
温風供給ユニット20の後方に、調理台ユニット50と並ぶように設けられた区画A4は、収納トレイが配置されている。この区画A4は、収納位置P1の調理台ユニット50に隣接しており、調理中の油分などにより汚染されることは少なく、さらに、本例ではフード52により調理中の汚れからも保護されている。したがって、調味料などに限らず、ショーケースユニット10に収納された商品の販売用のグッズ、例えば、トレイ、袋、包装紙などを収納しておくことができる。
【0056】
このように、調理販売ユニット1は、ショーケースユニット10の後方で、調理しながら、その調理した商品をショーケースユニット10に並べて販売できるものである。調理中も、ショーケースユニット10を通して良好な視界を確保できるので、店員は前方を向き、カウンタの内側から店舗内を見渡しながら調理することが可能であり、調理しながら顧客の動向を観察できる。さらに、調理中に、油や、ソースなどが跳ねても、温風供給ユニット20およびショーケースユニット10により顧客および商品に影響が及ぶのを防止できる。また、包丁やナイフなどを使用して調理する場合も、それらにより顧客を傷つけたりする心配は少ない。ショーケースユニット10の後方で調理するので、さらに、そのような危険物に、カウンタの外側から手が届くこともなく、子供がいたずらに手を伸ばして傷ついたり、暴漢が武器として使用したりする事態が発生することを未然に防止できる。
【0057】
また、調理に要する素材を冷蔵庫31に収納しておくことが可能であり、冷蔵庫31へも、カウンタの内側から、店員が前方を向いた状態でアクセスできる。したがって、冷凍食品を取りだし、調理し、それを陳列する一連の作業を、店員は、基本的には店内の方向を見ながら行なうことができる。このため、店員が顧客に背を向ける機会を減らすことができるので、顧客に対するサービスを向上できる。また、店内の様子を観察できる機会が増えるので、盗難の防止にも効果がある。
【0058】
さらに、店員が後を向く機会を減らすことができるので、暴漢などの店員に対して危険が及ぶ可能性がある事態にも即座に対応することが可能となる。さらに、強盗、暴漢などが現れたときに、店員は、速やかにこの調理販売ユニット1の後側に移動することにより、暴漢と店員との間に調理販売ユニット1が入るようにすることができる。したがって、万一の事態が発生しても、店員に危害が及ぶ可能性を低くすることができる。
【0059】
カウンタと店内との間に障壁となるようなものを設置することは、顧客に対して店員がフレンドリーに接するオープンな雰囲気を低下させるものである。しかしながら、本例の調理販売ユニット1においては、顧客に対して展示販売するための透過性あるいは透光性のショーケースユニット10をバリアーとして利用する。さらに、調理販売ユニット1の全体の高さを低くしても、十分な容量のショーケースユニット10を含むことができる。例えば、調理販売ユニット1の高さを店員の肩程度に抑えることにより、カウンタに配置しても圧迫感を与えず、さらに、調理販売ユニット1の上から良好な視界を確保すること可能となる。したがって、カウンタ内あるいはカウンタに隣接して配置しても、オープンな雰囲気をそれほど低下させることはない。したがって、店舗内の雰囲気を損なわずに、店員の安全を向上することができる。
【0060】
なお、以上では、冷凍食品などを収納可能な収納ユニット30を下方に備えた調理販売ユニット1を例に本発明を説明しているが、収納ユニット30には、冷蔵庫の他に、温蔵庫を配置したり、調味料や、調理器具を収納するスペースを配置することも可能である。
【0061】
また、ショーケースユニット10は、温蔵を目的としたものになっているが、これに隣接して、あるいは接続して、冷蔵を目的とした収納室を設けることも可能である。また、ショーケースユニット10は、2室に分かれたものに限定されず、1室であっても良く、さらには、3室以上に分かれたものであっても良い。
【0062】
さらに、ショーケースユニット10の両側の側壁も透明あるいは透光性にすることにより、さらに、良好な視野を確保することができる。また、第1の収納室11および第2の収納室12には、それぞれの室内の照度を確保するために適当なタイプの照明Lを配置しているが、上部の壁3を透明にしたり、陳列棚18、15および19を透明にすることにより、照明Lを除き、店員にとってより店内が見やすいショーケースユニットを提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態にかかる調理販売ユニットを示す正面図。
【図2】図1の調理販売ユニットを示す背面図。
【図3】調理台ユニットが格納された第1の位置P1にある、図1の調理販売ユニットを示す縦断面図。
【図4】調理台ユニットが調理用の第2の位置P2にある、図1の調理販売ユニットを示す縦断面図。
【符号の説明】
【0064】
1 調理販売ユニット、 10 ショーケースユニット
20 空調ユニット(温風供給ユニット)
30 収納ユニット、 35 冷却ユニット
34 ペルチェ素子、 40 開口(連通孔、連通路)
50 調理台ユニット、51 ワーキングテーブル、 52 フード
61 第1の前壁 62 第2の前壁
71 第1のドア、 72 第2のドア
A3 収納スペース
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵食品あるいは冷凍食品などを調理して販売するのに適したユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストアなどにおいて、店頭で調理された食品を販売するケースが増加している。例えば、冷凍あるいは冷蔵された食品を店頭で加熱処理し、高温に保たれたショーケースに入れて販売する。
【0003】
特許文献1には、加熱調理品を収納して一定温度及び一定湿度で保管するドライ室とウェット室とが仕切られて併設され、少なくとも一方の室内に加温風を循環させて他方の室内への伝熱を行ってドライ室及びウェット室の保温及び保湿を行うことを特徴とする収納装置について記載されている。
【特許文献1】特開2005−111251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ショーケースの後方で、冷凍あるいは冷蔵された食品をホットプレートなどで加温あるいは調理し、ショーケースに温蔵して販売する方法が提案されている。この調理販売方法は、調理中に店員がカウンタの内側から店内の方向(以降では前方)を見渡せる。このことは種々の点で重要である。例えば、カウンタの内側から前方を向いて、顧客の様子を観察し、顧客が品物を購入するためにカウンタに近づいてきたことをいち早く察知することは、顧客サービスとして、また、売り上げ増加のために重要である。また、カウンタの内部から前方を見て、店内における不審な動きをいち早く察知することは、盗難などのトラブルを未然に防止し、さらに、店員自身の安全を確保するためにも重要である。
【0005】
一方、店員がカウンタの上で調理することは幾つかの問題がある。例えば、調理中に油、ソースなどが飛ぶことは茶飯事であり、カウンタの上を汚染したり、商品を汚染したり、ショーケースの窓を汚したり、さらには顧客の衣類を汚染する可能性がある。また、ショーケースの後方を調理場所に利用すると、調理器具がショーケースを開けて商品を取り出す際に邪魔になるという問題もある。さらに、ショーケースの容量を増やそうとして上に広げると、ショーケースが高くなり圧迫感を覚えることがある。一方、ショーケースを下に広げると、調理できる場所が下がってしまい、店員の手が届き難くなり、調理台として使用し難い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、少なくとも前壁および後壁が透光性で、後壁の少なくとも一部が扉となったショーケースユニットが上部に配置された調理販売ユニットであって、ショーケースユニットの下に配置され、ショーケースユニットの内部の環境条件を制御するための空調ユニットと、空調ユニットの後方に配置された調理台ユニットとを有する調理販売ユニットである。この調理販売ユニットにおいては、調理台ユニットは、空調ユニットの後方に収納される第1の位置と、ショーケースユニットの後方に当該調理台ユニットの少なくとも一部が露出する第2の位置とを移動する。調理台ユニットを第1の位置と第2の位置との間で移動させる手段としては、リンク、アームあるいはスライドレールなどを適用できる。移動させる手段は、スイッチなどにより自動で動作しても良く、店員が手動で操作しても良い。調理台ユニットを移動させる手段は、第2の位置で調理可能なように、調理台ユニットを第2の位置で保持できるものであることが望ましい。
【0007】
この調理販売ユニットでは、調理台ユニットを調理に使用しないときは、第1の位置に収納しておける。したがって、ショーケースユニットの下方に位置する空調ユニットの後方のスペースを利用し、ショーケースユニットの扉の開閉に影響を与えないように調理台ユニットを収納できる。一方、調理台ユニットを調理に使用するときは、第1の位置よりも高い第2の位置に移動させる。
【0008】
したがって、調理台ユニットが、左右に広がるショーケースユニットの下側であって、店員の操作しやすい高さよりも下側に広がっている場合であっても、調理台ユニットを使用しないときは、ショーケースユニットの扉を開閉して品物を取り出すのに支障がなく収納でき、一方、調理台ユニットを使用するときは、第2の位置に移動することにより、店員が操作しやすい位置となり、店員が調理台ユニットに設置される調理器具を用いて調理できる。
【0009】
調理台ユニットは、ワーキングテーブルと、そのワーキングテーブルの少なくとも前方および側方をカバーするフードとを含み、第1の位置では、フードを含めて調理台ユニットが空調ユニットの後方に収納され、第2の位置では、フードの少なくとも一部がショーケースユニットの後方に露出することが望ましい。第1の位置では、フードを含めて収納することにより、調理台ユニットとショーケースユニットの扉との干渉を防止できる。第2の位置では、ワーキングテーブルの少なくとも前方および側方、さらには、上方をカバーするフードにより、調理中の油などが飛んで、ショーケースの扉を含めた周囲を汚染することを防止できる。第2の位置では、フードの少なくとも一部がショーケースユニットの後方に露出するが、ワーキングテーブルを含めて調理台ユニットがショーケースユニットの後方に露出しても良い。
【0010】
フードは後方に傾斜し、空調ユニットの後方の壁は後方に傾斜しており、調理台ユニットは、第1の位置から第2の位置に向かって斜め後方に移動することが望ましい。ショーケースユニットの底壁から温風あるいは冷風をショーケース内に供給するために空調ユニットの後方の壁は、後方に傾斜、すなわち、上部が後方に向けて斜めに延びた状態になることが多い。調理台ユニットのフードを後方に傾斜することにより、空調ユニットの後方のスペースを有効利用できる。また、調理台ユニットを、第1の位置から第2の位置に向かって斜め後方に移動することにより、空調ユニットの後方の壁と干渉せずに調理台ユニットを移動できる。さらに、調理台ユニットが第1の位置から第2の位置に向かって後方に飛び出す状態になるので、調理台ユニットのワーキングテーブルが店員にとって使い易い位置になる。また、調理台ユニットのフードと、ショーケースユニットの後方の扉との間が開くので、ショーケースユニットの後方が調理中の油飛びなどにより汚染される可能性をさらに低くできる。また、調理中にショーケースユニットの後方の扉を開閉しないといけない事態にも対処し易くなる。
【0011】
調理台ユニットの移動に伴って、安全機能が働くようにしたり、補助機能をオンオフすることは有効である。例えば、調理台ユニットが第2の位置に移動すると使用可能な状態になる電源供給ユニットを設けることにより、調理器具が稼動状態で第1の位置に収納されることを未然に防止できる。電源供給ユニットが使用可能になる形態の一例は、電源コンセントが第2の位置のワーキングテーブル近傍に配置されており、調理台ユニットを第1の位置に移動するためには、調理器具の電源ケーブルを電源コンセントから引き抜く必要があるものである。第1の位置に調理台ユニットを移動させると電源コンセントがカバーされて使用できなくなり、第2の位置に調理台ユニットを移動すると電源コンセントのカバーが外れるようなものであっても良い。また、調理台ユニットが第1の位置に移動すると電源供給元のスイッチがオフになり、調理台ユニットが第2の位置に移動すると電源供給元のスイッチがオンになるような形態でも良い。
【0012】
調理台ユニットの補助機能の一例は、フードの内部から排気するファンであり、調理台ユニットが第2の位置に移動すると稼動するものである。調理台ユニットを第2の位置に移動するとオンになり、ワーキングテーブルを照明するランプを設置することも有効である。
【0013】
また、調理台ユニットが第2の位置にあるときに、ショーケースユニットの後方の扉が開閉できるように、ショーケースユニットの後壁に設けられた扉は、引き戸式であることが望ましい。
【0014】
また、この調理販売ユニットは、幾つかの形態の収納スペースを設けることができる。その1つは、空調ユニットの下に配置された収納ユニットであって、後方からアクセスされる収納スペースを備えた収納ユニットを設けることである。調理台ユニットは、第1の位置では、収納ユニットの上方に位置する。この収納スペースには冷蔵庫を設置することが可能であり、後方から冷蔵庫にアクセスできるようにすることにより、冷蔵あるいは冷凍食品の取出し、調理さらにショーケースへの収納までを基本的に店員は前方を見ながら行なうことができる。
【0015】
また、空調ユニットの後方に、第1の位置にある調理台ユニットと並ぶように収納トレイを配置することも可能である。フードにより調理中の汚れからは保護されるので、調味料などに限らず、ショーケースユニットに収納された商品の販売用のグッズ、例えば、トレイ、袋、包装紙などを収納しておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1に、本例の調理販売ユニットを正面図により示している。図2に、図1の調理販売ユニットを背面図により示している。図3に、図1の調理販売ユニットの概略構成を縦断面図により示している。
【0017】
本例の調理販売ユニット1は、コンビニエンスストアなどの店舗において、加熱調理された食品を商品として陳列および販売するのに好適な装置あるいはユニットである。この陳列販売用の調理販売ユニット1は、全体が店員の肩程度の高さのハウジング2を有し、このハウジング2により幾つかの機能あるいは構成部分が、一体の装置あるいは家具あるいはキャビネット状のユニットになるように組み合わされ、あるいは組み立てられたものである。すなわち、この調理販売ユニット1は、調理された商品を陳列するためにハウジング2の上部に配置されたショーケースユニット10と、このショーケースユニット10の下に配置された空調ユニット20と、この空調ユニット20の下方に配置された収納ユニット30とを含む。本例の調理販売ユニット1のショーケースユニット10は、調理された商品を温蔵するタイプであり、このショーケースユニット10の内部の雰囲気(環境条件)を制御するための空調ユニットは、温風を供給する温風供給ユニット20となっている。さらに、収納ユニット30には、保冷庫31と、この保冷庫31の内部を冷却するための冷却ユニット35とが設置されている。
【0018】
調理販売ユニット1のハウジング2は、全体が垂直方向に長い箱型であり、店舗内に設置したときに店舗の天井に向く上壁3と、店舗の床に向く下壁4と、それら3および4の間に配置された第1の隔壁5および第2の隔壁6とを有する。そして、調理販売ユニット1は、大まかには、5つの機能の区画A1、A2、A3、A4およびA5を備えている。上壁3と第1の隔壁5との間がショーケースユニット10の区画A1であり、調理された食品を保温した状態で陳列できる。このショーケースユニット10の下方であって、第1の隔壁5と第2の隔壁6との間が、ショーケースユニット10に温風を供給するための温風供給ユニット20の区画A2である。この区画A2の下方であって、第2の隔壁6と下壁4との間が、収納ユニット30の区画A3であり、冷蔵庫31と冷却ユニット35とが収納されている。この区画A3は、後方からアクセスされる収納スペースとなる。
【0019】
さらに、調理販売ユニット1の、第2の隔壁6の上、温風供給ユニット20の後方で、後方から見て左側の区画は収納トレイが設置された空間A4である。調理販売ユニット1の、第2の隔壁6の上、温風供給ユニット20の後方で、後方から見て右側の区画A5は、調理台ユニット50が配置された空間である。調理台ユニット50は、ホットプレートなどの調理器具100を設置可能なワーキングテーブル51と、テーブル51の前方、側方および上方を覆うフード52とを含む。
【0020】
この調理販売ユニット1は、コンビニエンスストアなどにおいて清算を行なうためのカウンタの一部として、あるいは、カウンタに隣接して設置するのに適したユニットである。この調理販売ユニット1は、調理台ユニット50がカウンタの内側となるように設置され、店員が前を向いて、店内を見ながら調理台ユニット50のワーキングテーブル51の調理器具100を用いて調理し、調理した品物をショーケースユニット10に陳列できる。したがって、本明細書において、調理販売ユニット1の前側あるいは前方とは、店舗あるいは店内を向いた方向を示し、後側あるいは後方とは、カウンタの内側を向いた方向を示す。
【0021】
ショーケースユニット10は、第1の収納室11と、その中に収納された第2の収納室12とを備えている。第1の収納室11は、加熱調理された商品のうち、たとえばアメリカンドッグなどの「パリッ」とした食感が好まれる商品(高温低湿で保存することが望ましい商品)を陳列するための第1の閉じられた空間S1を形成するためのものである。第1の空間S1は、温風供給ユニット20から供給される低湿度の温風により、湿度20%〜30%程度、温度65℃〜70℃程度に調整されている。
【0022】
第1の収納室(以下、乾燥室と称することもある)11は、ハウジング2の上部前壁を兼ねる透光性の第1の前壁61と、第1の収納室11を開閉するための透光性の第1のドア71とを備えている。第1の前壁61および第1のドア71は、たとえば、透明アクリル樹脂などにより形成されている。ショーケースユニット10の後壁となる第1のドア71は引き戸(スライドドア)タイプであり、左右に配置された複数、例えば、2枚の戸71aおよび71bを備えている。これらの戸71aおよび71bには、それぞれの外面に取手79が取り付けられている。これらの戸71aおよび71bは、それぞれ、上壁3の下面に設けられた溝と、隔壁5の上面に設けられた溝に摺動自在に嵌め込まれている。乾燥室11は、第1の前壁61と、第1のドア71と、ハウジング2の上壁3と、第1の隔壁5と、ハウジング2の左右の側壁8および9の上部とにより構成され、これらにより囲まれ、閉じられた第1の空間S1を形成している。第1の収納室11の空間S1には、第1の陳列棚(食品トレイ)18が設置されている。さらに、第1の収納室11の下方には第2の収納室12が収納されている。
【0023】
第2の収納室12は、第1の収納室11の床面(第1の隔壁5の上面)に配置された状態で、第1の収納室11に収納されている。第2の収納室12もショーケースユニット10の一部であるが、第1の前壁61と対峙する位置に設けられた透光性の第2の前壁62と、第1のドア71と対峙する位置に設けられた透光性の第2のドア72と、乾燥空間S1の第2の陳列棚(食品トレイ)を兼ねる上壁15と、左右の側壁16および17とを備えており、これら15、16および17と床を構成する第1の隔壁(下壁)5とにより、乾燥空間S1の内部に閉じられた空間S2を構成できるようになっている。したがって、この第2の空間S2は、温風供給ユニット20により供給される温風により周囲から間接的に加熱され、温度65℃〜70℃程度に調整されている。しかしながら、低湿の温風は第2の空間S2には入らないので、第2の空間S2は、第1の空間S1とは異なり、低湿度になるようには湿度調整されない。したがって、第2の空間S2は、湿度的には第1の空間S1とは独立した制御が可能であり、第2の空間S2の湿度は、陳列される商品から放出される水分に依存して制御することができる。
【0024】
このため、「しっとり」した食感が好まれる商品、すなわち、水分を比較的多く含んだ商品を陳列することにより、商品から放出される湿分により、湿度が70%程度といった比較的多湿な雰囲気に第2の空間S2の内部をすることができる。すなわち、第2の収納室12は、加熱調理された商品のうち、たとえば焼き鳥などの「しっとり」した食感が好まれる商品(高温高湿で保存することが望ましい商品)を陳列するために使用できる。
【0025】
第2の収納室12の、第2の前壁62および第2のドア72は引き戸タイプであり、たとえば、透明アクリル樹脂などにより形成されている。第2のドア72は、2枚の戸72aおよび72bを備えている。これらの戸72aおよび72bは、それぞれ、第2の陳列棚15の下面に設けられた溝と第1の隔壁5の上面に設けられた溝に摺動自在に嵌め込まれている。この第2のドア72は、ヒンジにより扉が旋回するスイングドアであっても良い。スイングドアは、一枚構成でも複数枚構成でも良く、また、左右に限らず、上下に旋回するタイプのドアであっても良い。高湿度室12には、第3の陳列棚(食品トレイ)19が収納されている。
【0026】
ショーケースユニット10は、第1の収納室11の下部に、第2の収納室12が収納された状態になっており、第1の収納室11の上部が陳列棚18および15が並んで高温低湿で保存するのに適した商品の陳列空間S1となり、第1の収納室11の下部の第2の収納室12の内部が高温多湿で保存するのに適した商品の陳列空間S2となっている。第1の前壁61と第2の前壁62との間には、空隙S3が設けられており、この空隙S3は、ショーケースユニット10の下側に配置された温風供給ユニット20から高温低湿の温風をショーケースユニット10の上部の収納空間S1に循環させるための経路の一部となる。また、第1のドア71と第2のドア72との間にも、空隙S4が設けられている。この空隙S4もまた、温風を循環させるための経路の一部となる。
【0027】
このショーケースユニット10は、前壁61および62が透光性であり、また、後壁を構成するドア71および72も透光性である。したがって、店員は、カウンタの内部からショーケースユニット10を通して店内を見渡すことができる。
【0028】
温風供給ユニット20は、第1の隔壁5を挟んで、ショーケースユニット10の下方に配置されている。第1の隔壁5には、第1のドア71と第2のドア72との間の空隙S4に対応する位置と、第1の前壁61と第2の前壁62との間の空隙S3に対応する位置と、第2の収納室12に対応する位置の3箇所に開口81、82および83が設けられている。温風供給ユニット20は、温風をショーケースユニット10に供給するためのファン21と、そのファン21の出口側に配置されたヒータ22とを備えている。このシステムでは、ドア71からある程度の空気が第1の収納室11から外界へ漏れ出させ、収納ユニット30の方向からフレッシュエアーを入れ、そのフレッシュエアーの温度をヒータ22により上昇することにより、相対湿度の低い乾燥した温風を生成するようにしている。第1の収納室11から回収される空気に含まれる湿分を除去するために、シリカゲルあるいは活性炭などを含む除湿剤を用いたり、小規模な冷却ユニットなどを用いた除湿装置を設置することも可能である。このような除湿装置に脱臭機能を付け加えても良い。
【0029】
温風供給ユニット20においては、ヒータ22は、第1の隔壁5に設けられた3つの開口81、82および83のうちの最も後側に設けられた、第1のドア71と第2のドア72との間の空隙S4に対応する第1の開口81の近傍に設けられている。ファン21は、温風供給ユニット収納室A2の略中央部に設けられており、第1の前壁61と第2の前壁62との間の空隙S3に対応する第2の開口82と、第2の収納室12に対応する第3の開口83とから吸気して、ヒータ22側に向けて送風するように配置されている。したがって、第1の開口81は、温風吹き出し口、第2の開口82は、温風吸い込み口となる。第3の開口83には、第2の収納室12内に設置された湿度センサに連動して開閉するダンパ84が設けられている。第2の収納室12内の空間S2の湿度が高くなりすぎると、ダンパ84が開いて吸気し、第2の収納室12内の圧力を下げ、乾燥空間S1の第2の陳列棚(食品トレイ)を兼ねる上壁15に設けられた通気孔(不図示)を介して乾燥した温風が第2の空間S2に引込まれるようになっている。したがって、例えば、第3の開口83のダンパ84をフルオープンにして、第2のドア72を開けて置くことにより、第2の収納室12の内部をドライ雰囲気にすることも可能である。この温風供給ユニット20が収納された区画A2は、前後の壁28および29を含めて不透明になっており、少なくとも前方からは内部の機器が見えないようになっている。
【0030】
通常の運用状態では、まず、温風供給ユニット20のヒータ22およびファン21を稼動させると、加熱され、相対湿度が低下した比較的低湿度の温風は、図3に実線矢印で示すように、第1の開口81から第1の収納室11の内部に吹き出される。第1の収納室11内においては、まず、第1のドア71と第2のドア72との間の空隙S4を通過し、第2の収納室12の上方の陳列棚15が配置された空間S1に達する。さらに、第1の前壁61と第2の前壁62との間の空隙S3を通過し、第2の開口82から温風供給ユニット20に吸い込まれ、回収される。
【0031】
このような低湿度の温風の循環により、乾燥空間S1に陳列された商品は加温されるとともに、自身が放出した湿分は持ち運ばれる。したがって、乾燥空間S1の雰囲気は、高温低湿で維持され、高温低湿で保存することが望ましい商品を陳列するのに適した空間(湿度20%〜30%程度、温度65℃〜70℃程度の空間)となる。
【0032】
一方、第2の収納室12の内部の空間S2は、乾燥空間S1内を循環する温風により間接的に加温されるため、乾燥空間S1と同程度の温度に維持される。一方、温風は第2の収納室12の内部には基本的には入り込まないので、陳列された商品から放出された湿分は、持ち運ばれない。したがって、第2の収納室12内の空間S2の湿度は、その空間に陳列される商品から放出される湿分に依存して決まる。多くの場合、調理された商品からは多量の湿分が放出されるので、調理された商品から放出される湿分により空間S2は、多湿な雰囲気になる。
【0033】
空間S2の湿度が所望の値よりも高くなると、ダンパ84の開口度を制御することにより湿度を下げることが可能である。相対湿度が90%あるいはその近傍になると、条件によって結露が発生しやすくなり、ショーケースとしては好ましくない。したがって、第2の収納室12の内部の空間S2の雰囲気は多湿であることが好ましいとしても、相対湿度が70〜80%程度を上限に制御することが好ましい。
【0034】
空間S2の湿度が設定値よりも高くなった場合、図3に破線で示すように、ダンパ84を所定の開口度で開き、第3の開口83を開放する。これにより、乾燥空間S1内の低湿の温風は、図3に破線矢印で示すように、上壁15の孔、第2のドア72の隙間などから、空間S2に流れ込み、湿度を減らすことができる。これにより、空間S2は、高温多湿で保存することが望ましい商品を陳列するのに適した条件(湿度70%程度、温度65℃〜70℃の空間)に維持される。
【0035】
ショーケースユニット10は、第1の収納室11により構成される乾燥空間の内部に、第2の収納室12が収納され、第2の収納室12が直に外界に面することはなく、外界に面した側は、高温低湿な雰囲気となる。したがって、ショーケースユニット10の表面が、調理販売ユニット1が設置されている店舗の空調の冷風に晒されて急激に温度が低下したとしても、ショーケースユニット10の内部で結露が発生する可能性は小さい。特に、第1の前壁61と第2の前壁62との間の空隙S3が、温風が循環するための経路の一部となっているため、低湿の温風がこれらの壁61および62の間を強制的に換気する。したがって、第1の前壁61と第2の前壁62との間S3を狭くしても、湿分が溜まることは殆どなく、結露は発生し難い。さらに、第1の前壁61と第2の前壁62との間S3を狭くしても、外界、すなわち、店舗内の空調の冷風による温度低下が、第2の前壁62あるいはその内側に及びにくい。したがって、内側が高温多湿の雰囲気になる第2の前壁62を第1の前壁61に近づけても、第2の前壁62の内側で結露は発生しにくい。このため、結露が発生する可能性を増加させることなく透光性の第2の前壁62を、透光性の第1の前壁61の方向に前進させることができ、これらの間S3を近づけることにより、第1の前壁61の外側から、第2の前壁62の内側の空間S2に陳列された商品が見易い調理販売ユニットを提供できる。
【0036】
したがって、店内から、顧客が第1および第2の空間S1およびS2に陳列された商品を前側から良好に視認でき、売り上げの向上に寄与する。さらに、前壁61および62を通して、店員は、ショーケースユニット10の後方から、店内を観察することができる。
【0037】
ショーケースユニット10においては、第1のドア71を開けることにより、第1の空間S1を後方の店員に向けて開放できる。さらに、第2のドア72を開けることにより、第2の空間S2を後方の店員側に向けて開放することができる。したがって、第1の空間S1および第2の空間S2に陳列された商品を後側から容易に出し入れできる。
【0038】
密閉性の高いドアを使用しても、ショーケースユニット内の空気が漏れ出す可能性は常にある。特に、商品を出し入れする際には、ショーケースユニットの空気が漏れ出すことを止めることはできない。この調理販売ユニット1では、第1の収納室11に商品を出し入れする際に外界に漏れ出す空気は、低湿の温風であり、漏れだしても結露が発生する可能性は小さい。逆に、第1の収納室11からはある程度の空気を常に外界に放出し、加熱して相対湿度の下がったフレッシュエアーを第1の収納室11に供給することにより、第1の収納室11の内部空間S1の雰囲気を高温低湿に保つことができる。
【0039】
第2の収納室12に商品を出し入れする際は、第2の収納室12から高湿の空気が漏れ出すが、漏れ出す先は、低湿高温の雰囲気の乾燥空間S1である。このため、この場合も、結露が発生する可能性は小さい。さらに、第1のドア71と第2のドア72との間には、第1の開口81から上方に向けて低湿の温風が吹き出すようになっている。したがって、第2のドア72を開けた状態で、第2のドア72の外側の方が、高湿になっている第2のドア72の内側よりも圧力が高く、高湿の空気が漏れ出す量は小さい。さらに、漏れ出した高湿の空気は、低湿の温風により混合されて上方に運ばれ、結露の要因になる可能性は小さい。
【0040】
したがって、本例の調理販売ユニット1のように、温風を後方のドア71とドア72の間S4に吹き上げ、前壁61および62同士の間S3から吸い込むような循環経路は、好適な一つの例である。特に、高湿の空気の漏れ出し量が大きい可能性があるドアの部分に大量な温風を高速で吹き出すようにすることにより、結露の発生を防止しやすい。また、前壁61および62同士の間の隙間S3は小さくなり圧力損失が発生する部分となるので、この部分を吸い込み側にすることより、ファン効率の低下を防止でき、騒音、振動などの発生も抑止しやすい。
【0041】
このように、この調理販売ユニット1によれば、気密性の低い引き戸のようなドアを第1の収納室11を開け閉めするドアとして採用でき、結露が生じる可能性が少ない。このため、ショーケースユニット10の後方の壁が結露などにより曇ることもなく、店員はカウンタの後方から、ショーケースユニット10を通して良好な視界を確保できる。
【0042】
ショーケースユニット10を開閉するドアは、スイングタイプのドアであっても良いが、ショーケースユニット10の後方にドアがスイングするスペースが必要になる。第1のドア71を引き戸タイプにしてショーケースユニット10を開閉するように構成した本例の調理販売ユニット1によれば、ショーケースユニット10に陳列された商品を後側から出し入れする際に、ドアを開け閉めするためのスペースを殆ど要しない。
【0043】
調理販売ユニット1の第2の隔壁6の下側は、すなわち、ハウジング2の下側は、後方のカウンタ内の店員の側からアクセスできる収納ユニット30となっている。したがって、ハウジング2の前方下側は不透明な壁37となっている。この収納ユニット30には、後方からアクセスできる蓋32を備えた冷蔵庫31が収納され、その奥に冷蔵庫31の内部を冷却するための冷却ユニット35が収納されている。冷蔵庫31の上下には、冷却ユニット35から放熱するための排気経路38および39のスペースが確保されている。冷却ユニット35は、ペルチェ素子34を含み、冷蔵庫31の内部から吸熱し、排気経路39に排熱する。排気経路38および39は、冷蔵庫31と収納ユニット30の収納スペースの間の左右の空間に配置しても良い。
【0044】
第2の隔壁6は、高温の排気が放出される上方の排気経路39と、温風供給ユニット20のファン21の吸気側とを接続する開口(連通孔)40を有する。したがって、冷却ユニット35により排熱するために加熱され、温度が高くなった排気が、フレッシュエアーとして温風供給ユニット20に供給され、ファン21により加圧され、さらに、ヒータ22により所望の温度まで加熱されて第1の収納室11に吹き出される。
【0045】
第1の収納室11においても、調理品から水分が放出されるので、温風を循環させるだけでは、乾燥状態を維持することは難しい。高温低湿の温風を生成する方法の1つは、外気を加熱して相対湿度の低い温風を生成することである。しかしながら、外気(フレッシュエアー)を入れるためには、高温になった空気を放出する必要があり、低温の外気を加熱するためにエネルギーを消費する。この調理販売ユニット1においては、フレッシュエアーを加熱するために、冷蔵庫31の冷却ユニット35の排熱を利用することにより、エネルギー消費を低減することができる。
【0046】
調理用の空間A5に配置された調理台ユニット50は、上下に移動可能であり、図4に、調理台ユニット50を上方に移動した状態を示している。このように調理台ユニット50は、図3に示すように、空調ユニットである温風供給ユニット20の後方に収納される第1の位置P1と、図4に示すように、ショーケースユニット10の後方で、当該調理台ユニット50が露出する、すなわち、ショーケースユニット10の後方に調理台ユニット50が現れる、第2の位置P2とを移動する。調理販売ユニット1のハウジング2の側壁8には、調理台ユニット50を第1の位置P1と第2の位置P2との間で移動させる手段としては、スライドレール59が取り付けられている。調理台ユニット50を移動するための手段としては、レール以外のアーム、リンクなどの適当な機構を採用できる。
【0047】
調理台ユニット50は、店員が手動で前方に動かしながら上方に持ち上げるとスライドレール59に沿って上方に移動する。第2の位置P2に調理台ユニット50が到達すると、調理台ユニット50を前方あるいは後方に動かすことにより、調理台ユニット50は第2の位置P2の高さにロックされる。したがって、第2の位置P2において、調理台ユニット50のワーキングテーブル51に設置された調理器具、たとえばホットプレート100により調理できる。調理が終了すると、調理台ユニット50を前方あるいは後方に動かしてロックを外し、下方に動かすと、調理台ユニット50はレール59に沿って下方に移動し、温風発生ユニット20の後方のスペースの第1の位置P1に収納される。調理台ユニット50を移動するモータなどの駆動機構を配置して、スイッチなどにより調理台ユニット50が自動的に動くようにしても良い。
【0048】
調理台ユニット50は、水平な方向に延びたワーキングテーブル51と、このワーキングテーブル51の前方、側方および上方を覆うフード52とを備えている。フード52は、前方をカバーする前壁52aと、上方をカバーする上壁52bと、側方をカバーする左右の側壁52cおよび52dとを含んでいる。フード52の前方の壁52aは、後方に傾斜している。温風供給ユニット20が収納された区画A2の後方の壁29も後方に傾斜しており、図3に示すように、調理台ユニット50を第1の位置P1に収納したときに、フード52と壁29との間に無駄な空間がほとんど発生しないようになっている。このため、温風供給ユニット20の後方のスペースを、調理台ユニット50を格納するためのスペースとして有効に利用できる。さらに、第1の位置P1から第2の位置P2に斜め後方に調理台ユニット50を移動することにより、フード52と、壁29との干渉を防止できる。
【0049】
さらに、フード52の高さは、調理台ユニット50を第1の位置P1に収納したときに、フード52の上方の壁52bがショーケースユニット10の底壁となる隔壁5の上面に到達しないように設計している。したがって、この調理販売ユニット1では、調理台ユニット50を調理に使用しないときは、調理台ユニット50を第1の位置P1に移動することにより、調理台ユニット50の全体を、フード52も含めて、ショーケースユニット10の下方に位置する温風供給ユニット20の後方のスペースに格納できる。このため、第1の位置P1に格納することにより、調理台ユニット50はショーケースユニット10の扉71の開閉に影響を与えないようにすることができる。また、第1の位置P1に収納された調理台ユニット50は、ショーケースユニット10に商品を出し入れする際に障害とならない。さらに、調理台ユニット50を第1の位置P1に収納することにより、ショーケースユニット10を通して店内を見る場合にも調理台ユニット50は邪魔にならない。
【0050】
一方、調理台ユニット50を調理に使用するときは、第1の位置P1よりも高い第2の位置P2に移動させる。したがって、ショーケースユニット10の底壁5が店員の操作しやすい高さよりも下側であっても、調理台ユニット50を調理のために無理なく使用できる。このことは、調理販売ユニット1の全高を低くしても、ショーケースユニット10としての高さを十分に確保できることを意味する。したがって、圧迫感を感じるほど高くない調理販売ユニット1であって、大きな容量のショーケースユニット10を有し、さらに、調理し易い高さに調理用のワーキングテーブル51がある調理販売ユニットを提供できる。
【0051】
調理するときは、調理台ユニット50を、ショーケースユニット10の後方の第2の位置P2に移動する。ワーキングテーブル51の前方および側方、さらには、上方をカバーするフード52があるので、この位置で調理をして調理中の油などが飛散しても、ショーケースユニット10の扉71を含めた周囲が汚染されることは少ない。さらに、調理台ユニット50は、第1の位置P1に対して、第2の位置P2は、斜め後方上部になり、調理台ユニット50とショーケースユニット10の後方の扉71との間には十分な空間が確保される。すなわち、調理台ユニット50は、第2の位置P2において、調理販売ユニット1の後方に若干突き出た状態となり、ワーキングテーブル51がショーケースユニット10の後方に若干離れる。したがって、ワーキングテーブル51の上で調理し易い環境になると共に、ショーケースユニット10から離れるので、油の飛散、油分を含む上昇気流などによりショーケースの壁面が汚染されるのを防止できる。
【0052】
また、調理台ユニット50を第2の位置P2にセットして調理中であっても、顧客の要望などに応じてショーケースユニット10から商品を取り出す場合がある。このような場合でも、調理台ユニット50が第2の位置P2ではショーケースユニット10から若干離れた位置になるので、邪魔になりにくい。さらに、この調理販売ユニット1においては、ショーケースユニット10の後方の扉71は引き戸タイプになっている。このため、調理台ユニット50が第2の位置P2にある状況でも、後方の扉71aおよび71bを開けて、ショーケースユニット10の内部の商品にアクセスできる。この状態は、第2の位置P2にある調理台ユニット50で調理した食品をショーケースユニット10に収納および陳列するときも有効であり、店員が無理な姿勢を取ることなく、商品を調理し、ショーケースユニット10に陳列できる。
【0053】
さらに、調理販売ユニット1では、調理台ユニット50の移動に伴って、安全機能が働くようになっている。例えば、図2に示すように、調理販売ユニット1の後ろ面の右側に電源コンセント58が配置されている。この電源コンセント58は、調理台ユニット50が第2の位置P2にあるときにのみ、調理器具100の電源コードを接続できる高さに設置されている。したがって、店員は、第2の位置P2に調理台ユニット50を移動した後に、電源コードを電源コンセント58に接続して調理器具100を使用する。調理後は、電源コンセント58から電源コードを外してから調理台ユニット50を第1の位置P1に格納する。したがって、調理器具100が通電した状態で格納されることを未然に防止できる。第1の位置P1に調理台ユニット50を移動させると電源コンセントがカバーされて使用できなくなり、調理台ユニット50が第1の位置P1に移動すると電源供給元のスイッチがオフになるといった安全機構を設置することも可能である。
【0054】
調理台ユニット50は、さらに、フード52の内部を排気する脱臭機能付きのファン55と、フード52の内部を照らすライト56とを備えている。これらのファン55およびライト56は、調理台ユニット50が第2の位置P2に移動すると稼動し、第2の位置P2から第1の位置P1に向かって動かすと停止する。
【0055】
温風供給ユニット20の後方に、調理台ユニット50と並ぶように設けられた区画A4は、収納トレイが配置されている。この区画A4は、収納位置P1の調理台ユニット50に隣接しており、調理中の油分などにより汚染されることは少なく、さらに、本例ではフード52により調理中の汚れからも保護されている。したがって、調味料などに限らず、ショーケースユニット10に収納された商品の販売用のグッズ、例えば、トレイ、袋、包装紙などを収納しておくことができる。
【0056】
このように、調理販売ユニット1は、ショーケースユニット10の後方で、調理しながら、その調理した商品をショーケースユニット10に並べて販売できるものである。調理中も、ショーケースユニット10を通して良好な視界を確保できるので、店員は前方を向き、カウンタの内側から店舗内を見渡しながら調理することが可能であり、調理しながら顧客の動向を観察できる。さらに、調理中に、油や、ソースなどが跳ねても、温風供給ユニット20およびショーケースユニット10により顧客および商品に影響が及ぶのを防止できる。また、包丁やナイフなどを使用して調理する場合も、それらにより顧客を傷つけたりする心配は少ない。ショーケースユニット10の後方で調理するので、さらに、そのような危険物に、カウンタの外側から手が届くこともなく、子供がいたずらに手を伸ばして傷ついたり、暴漢が武器として使用したりする事態が発生することを未然に防止できる。
【0057】
また、調理に要する素材を冷蔵庫31に収納しておくことが可能であり、冷蔵庫31へも、カウンタの内側から、店員が前方を向いた状態でアクセスできる。したがって、冷凍食品を取りだし、調理し、それを陳列する一連の作業を、店員は、基本的には店内の方向を見ながら行なうことができる。このため、店員が顧客に背を向ける機会を減らすことができるので、顧客に対するサービスを向上できる。また、店内の様子を観察できる機会が増えるので、盗難の防止にも効果がある。
【0058】
さらに、店員が後を向く機会を減らすことができるので、暴漢などの店員に対して危険が及ぶ可能性がある事態にも即座に対応することが可能となる。さらに、強盗、暴漢などが現れたときに、店員は、速やかにこの調理販売ユニット1の後側に移動することにより、暴漢と店員との間に調理販売ユニット1が入るようにすることができる。したがって、万一の事態が発生しても、店員に危害が及ぶ可能性を低くすることができる。
【0059】
カウンタと店内との間に障壁となるようなものを設置することは、顧客に対して店員がフレンドリーに接するオープンな雰囲気を低下させるものである。しかしながら、本例の調理販売ユニット1においては、顧客に対して展示販売するための透過性あるいは透光性のショーケースユニット10をバリアーとして利用する。さらに、調理販売ユニット1の全体の高さを低くしても、十分な容量のショーケースユニット10を含むことができる。例えば、調理販売ユニット1の高さを店員の肩程度に抑えることにより、カウンタに配置しても圧迫感を与えず、さらに、調理販売ユニット1の上から良好な視界を確保すること可能となる。したがって、カウンタ内あるいはカウンタに隣接して配置しても、オープンな雰囲気をそれほど低下させることはない。したがって、店舗内の雰囲気を損なわずに、店員の安全を向上することができる。
【0060】
なお、以上では、冷凍食品などを収納可能な収納ユニット30を下方に備えた調理販売ユニット1を例に本発明を説明しているが、収納ユニット30には、冷蔵庫の他に、温蔵庫を配置したり、調味料や、調理器具を収納するスペースを配置することも可能である。
【0061】
また、ショーケースユニット10は、温蔵を目的としたものになっているが、これに隣接して、あるいは接続して、冷蔵を目的とした収納室を設けることも可能である。また、ショーケースユニット10は、2室に分かれたものに限定されず、1室であっても良く、さらには、3室以上に分かれたものであっても良い。
【0062】
さらに、ショーケースユニット10の両側の側壁も透明あるいは透光性にすることにより、さらに、良好な視野を確保することができる。また、第1の収納室11および第2の収納室12には、それぞれの室内の照度を確保するために適当なタイプの照明Lを配置しているが、上部の壁3を透明にしたり、陳列棚18、15および19を透明にすることにより、照明Lを除き、店員にとってより店内が見やすいショーケースユニットを提供することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態にかかる調理販売ユニットを示す正面図。
【図2】図1の調理販売ユニットを示す背面図。
【図3】調理台ユニットが格納された第1の位置P1にある、図1の調理販売ユニットを示す縦断面図。
【図4】調理台ユニットが調理用の第2の位置P2にある、図1の調理販売ユニットを示す縦断面図。
【符号の説明】
【0064】
1 調理販売ユニット、 10 ショーケースユニット
20 空調ユニット(温風供給ユニット)
30 収納ユニット、 35 冷却ユニット
34 ペルチェ素子、 40 開口(連通孔、連通路)
50 調理台ユニット、51 ワーキングテーブル、 52 フード
61 第1の前壁 62 第2の前壁
71 第1のドア、 72 第2のドア
A3 収納スペース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも前壁および後壁が透光性で、前記後壁の少なくとも一部が扉となったショーケースユニットが上部に配置された調理販売ユニットであって、
前記ショーケースユニットの下に配置され、前記ショーケースユニットの内部の環境条件を制御するための空調ユニットと、
前記空調ユニットの後方に配置された調理台ユニットとを有し、
前記調理台ユニットは、前記空調ユニットの後方に収納される第1の位置と、前記ショーケースユニットの後方に当該調理台ユニットの少なくとも一部が露出する第2の位置とを移動する、調理販売ユニット。
【請求項2】
請求項1において、前記調理台ユニットは、ワーキングテーブルと、そのワーキングテーブルの少なくとも前方および側方をカバーするフードとを含み、
前記第1の位置では、前記フードを含めて前記調理台ユニットが前記空調ユニットの後方に収納され、前記第2の位置では、前記フードの少なくとも一部が前記ショーケースユニットの後方に露出する、調理販売ユニット。
【請求項3】
請求項2において、前記フードは後方に傾斜し、前記空調ユニットの後方の壁は後方に傾斜しており、
前記調理台ユニットは、第1の位置から第2の位置に向かって斜め後方に移動する、調理販売ユニット。
【請求項4】
請求項1において、前記調理台ユニットが前記第2の位置に移動すると使用可能な状態になる電源供給ユニットを有する、調理販売ユニット。
【請求項5】
請求項2において、前記調理台ユニットは、前記第2の位置に移動すると稼動するファンを含む、調理販売ユニット。
【請求項6】
請求項1において、前記ショーケースユニットの前記後壁に設けられた扉は、引き戸式である、調理販売ユニット。
【請求項7】
請求項1において、前記空調ユニットの下に配置された収納ユニットであって、後方からアクセスされる収納スペースを備えた収納ユニットを有し、前記調理台ユニットは、前記第1の位置では、前記収納ユニットの上方に位置する、調理販売ユニット。
【請求項8】
請求項1において、前記空調ユニットの後方に、前記第1の位置にある前記調理台ユニットと並ぶように配置された収納トレイを有する、調理販売ユニット。
【請求項1】
少なくとも前壁および後壁が透光性で、前記後壁の少なくとも一部が扉となったショーケースユニットが上部に配置された調理販売ユニットであって、
前記ショーケースユニットの下に配置され、前記ショーケースユニットの内部の環境条件を制御するための空調ユニットと、
前記空調ユニットの後方に配置された調理台ユニットとを有し、
前記調理台ユニットは、前記空調ユニットの後方に収納される第1の位置と、前記ショーケースユニットの後方に当該調理台ユニットの少なくとも一部が露出する第2の位置とを移動する、調理販売ユニット。
【請求項2】
請求項1において、前記調理台ユニットは、ワーキングテーブルと、そのワーキングテーブルの少なくとも前方および側方をカバーするフードとを含み、
前記第1の位置では、前記フードを含めて前記調理台ユニットが前記空調ユニットの後方に収納され、前記第2の位置では、前記フードの少なくとも一部が前記ショーケースユニットの後方に露出する、調理販売ユニット。
【請求項3】
請求項2において、前記フードは後方に傾斜し、前記空調ユニットの後方の壁は後方に傾斜しており、
前記調理台ユニットは、第1の位置から第2の位置に向かって斜め後方に移動する、調理販売ユニット。
【請求項4】
請求項1において、前記調理台ユニットが前記第2の位置に移動すると使用可能な状態になる電源供給ユニットを有する、調理販売ユニット。
【請求項5】
請求項2において、前記調理台ユニットは、前記第2の位置に移動すると稼動するファンを含む、調理販売ユニット。
【請求項6】
請求項1において、前記ショーケースユニットの前記後壁に設けられた扉は、引き戸式である、調理販売ユニット。
【請求項7】
請求項1において、前記空調ユニットの下に配置された収納ユニットであって、後方からアクセスされる収納スペースを備えた収納ユニットを有し、前記調理台ユニットは、前記第1の位置では、前記収納ユニットの上方に位置する、調理販売ユニット。
【請求項8】
請求項1において、前記空調ユニットの後方に、前記第1の位置にある前記調理台ユニットと並ぶように配置された収納トレイを有する、調理販売ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2007−282982(P2007−282982A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115638(P2006−115638)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(591150797)GAC株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(591150797)GAC株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
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