説明

調節可能な収率の構造を有する、重質供給原料のガソリンおよびプロピレンへの転化方法

本発明は、プロピレンおよびガソリンの製造において高い柔軟性を提供する重質供給原料の転化方法を記載する。該方法では、接触分解単位装置に続き、選択された製造に応じてC3/C4オレフィン、C4オレフィン、またはC4/C5オレフィンのオリゴマー化のための単位装置が用いられる。本発明による方法は、接触分解が単一の反応器または2つの異なる反応器内で行われる場合を包含し、各反応器は場合により上昇流または下降流の様式で作動する。場合により、オレフィン留分の水素化単位装置が、オリゴマー化単位装置の上流に置かれ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンおよびプロピレンの製造に関し高い柔軟性を有する、重質の炭化水素供給原料の転化方法に関する。より正確には、本発明の方法は、最小限の収率のガソリンと、供給原料の重量の10%に達し得る収率のプロピレンの共製造を可能にする。
【0002】
ガソリンの最小限の収率は、出発供給原料に依存するが、日常的な供給原料、例えば、真空蒸留物または常圧残油では、この最小限の収率は、投入供給原料に対して、40重量%超、好ましくは45重量%超である。
【0003】
プロピレンに対する需要が、長年の間大きく増加してきている。プロピレン製造の主たる源は、ナフサの水蒸気分解である。水蒸気分解法からのプロピレンの収率における増加は制限されているため、精製業者は、FCC(fluid catalytic cracking:流動接触分解)として知られる接触分解法を用いてますます多くのプロピレンを製造することを促されてきた。
【0004】
FCC法は、初留点が一般的に340℃超である重質の炭化水素供給原料を、より軽質な炭化水素フラクション、特にガソリン留分に転化することが可能であるが、これは、酸触媒の存在下に重質供給原料の分子を分解することによる。
【0005】
FCCはまた、高いオレフィン含有量を有する液化石油ガス(liquified petroleum gas:LPG)も大量に製造する。
【0006】
プロピレンの製造を目的とした接触分解の実施は、より厳格な操作条件(FCC反応器の出口における昇温、および触媒をより早く移動させること)を用いること、または分解触媒のために特定の添加剤を用いること、またはこれら2つの主要な手段の組み合わせのいずれかを必要とする。
【0007】
一般に、プロピレンの収率は、ガソリンの収率を損なって得られ、かつ、比較的厳格な操作条件と関連付けられる。
【0008】
本発明の方法において、操作条件が、プロピレンの製造を最大限にすることを目的として決定される場合でさえ、ガソリンの収率は、用いられる供給原料および触媒の性質に明らかに依存する最小限の値に維持される。
【0009】
プロピレンの製造が目的ではない場合、本方法は、ガソリンの製造を最大限にすることを可能とされ得る。
【0010】
従って、本発明の方法は、一般的に、最小限のガソリンの収率を有する、プロピレンおよびガソリンの共製造方法として表され得る。
【0011】
該方法は、C3/C4留分、またはC4留分、またはC4/C5留分からのオレフィンの接触分解およびオリゴマー化の連続する反応を採用し、用語「Cn」は、n個の炭素原子を含有する炭化水素の留分を示す。この方法により、一般的に投入供給原料に対して40重量%超である最小限の収率を有するガソリンと、幅広い範囲(特定の供給原料では10重量%までであり得る)内で調節され得る収率のプロピレンとが製造される。
【0012】
本発明は、ライザ技術を用いるかドロッパ技術を用いるかに拘わらず、全ての接触分解反応器の技術に適合する。
【背景技術】
【0013】
特許文献1には、接触分解に由来する4個および/または5個の炭素原子を含有するオレフィンの接触分解、選択的水素化、およびオリゴマー化のための工程を含む、重質供給原料の転化方法が記載されている。重質供給原料およびオリゴマーは、同じ触媒で、一緒にまたは別個に分解される。分解流出物は、共通の分留帯域において分離される。分留後に得られたC4留分またはC4/C5留分の一部がオリゴマー化される。C4留分が、二次的な供給原料として、オリゴマー化され、次いで分解される場合、この方法は、ガソリンの収率を保持しながらプロピレンの収率を増加させる。この引用特許と共通して、本発明の方法は、ガソリンの収率を僅かに増加させながらプロピレンの収率を増加させることが可能であるが、加えて、本発明は、プロピレンの製造がもはや望まれない場合、全く同じ設備を用いてかつ触媒を変えることなく、ガソリンの収率および単位装置(unit)の容量を相当増加させる可能性を提供する。
【0014】
特許文献2には、少なくとも1回のオリゴマー化工程と、生じたオリゴマーの接触分解のための工程とを含む、プロピレンおよびガソリンの製造方法が記載されている。4個および/または5個の炭素原子を含有するオレフィンから生じたオリゴマーが、接触分解単位装置において分解され、多量のプロピレンが生じる。従って、引用特許の方法のための供給原料は、沸点が340℃未満である「軽質の」炭化水素供給原料である。特許文献3に記載の方法とは対照的に、本発明の方法は、多くのガソリンと、多少のプロピレンとを得るための、沸点が340℃超である重質供給原料の転化に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】仏国特許発明第2837213号明細書
【特許文献2】仏国特許発明第2837100号明細書
【特許文献3】仏国特許発明第2837199号明細書
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、「マキシプロピレン」レジームにおける本発明の方法のためのフローチャートを示す。
【図2】図2は、「マキシガソリン」レジームにおける本発明の方法のためのフローチャートを示す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
(発明の簡単な説明)
本発明は、プロピレン、および最小限の収率を有するガソリンの共製造を目的とした、重質供給原料と称される、すなわち、沸点が約340℃超である炭化水素によって構成される炭化水素供給原料の転化方法に関する。
【0018】
本発明の方法は、少なくとも2つの反応工程、すなわち、第1の接触分解工程と、接触分解に由来する、C3およびC4オレフィン、またはC4オレフィン、またはC4およびC5オレフィンのオリゴマー化のための第2の工程とを含む。
【0019】
選択的なオレフィン水素化のための第3の反応工程が、特定の場合において、オリゴマー化の前に必要であり得る。
【0020】
本発明の方法は、2つの異なるレジーム(regime)に相当する以下の2つのタイプの製造が行われ得ることを意味する:
・ 接触分解単位装置単独での可能性のある収率に対して、最小限であるか、または僅かに増加さえしたガソリンの収率を維持しながらの、プロピレンの最大限の製造に相当する「マキシプロピレン(maxi propylene)」と称されるレジーム;または
・ プロピレンの製造を伴わない、ガソリンの最大限の製造に相当する「マキシガソリン(maxi gasoline)」と称されるレジーム。
【0021】
本発明の利点の1つは、上記に定義した2つのレジームの一方から他方へと、経時変動が可能であることである。また、「マキシプロピレン」レジームと「マキシガソリン」レジームの間のあらゆる中間様式において単位装置を操作することも可能である。
【0022】
この変動は、実施するのが非常に簡単である。なぜならそれは、接触分解単位装置およびオリゴマー化単位装置の操作条件を実質的に改変することなく、また用いられる触媒を明確に改変することなく、本質的に、オリゴマー化単位装置に入る供給原料を改変することからなるからである。
【0023】
「マキシプロピレン」様式において
・ 重質供給原料は、分解触媒の存在下、流動床接触分解反応器内で分解される;
・ 第2の比較的軽質の供給原料が、同じ分解触媒で、重質供給原料と別個に、または重質供給原料との混合物として、分解される。この第2の供給原料は、接触分解に由来する4個(または、4個および5個)の炭素原子を含有するオレフィンのオリゴマー化によって製造された少なくとも8個の炭素原子を含有するオレフィンを含む。以降、これを、C4オレフィン留分またはC4/C5オレフィン留分と呼ぶこととする;
・ 2種類の供給原料からの分解流出物は、共通の分留帯域に送られ、2種類の供給原料の分解のために用いられる触媒は、共通の再生帯域において再生される;
・ 接触分解からのC4(またはC4/C5)オレフィン留分は、オリゴマー化単位装置に送られる。オリゴマー化単位装置の前の、C4(またはC4/C5)留分の選択的水素化が、事前処理とともに、必要であり得、これにより、不純物、例えば、窒素含有および硫黄含有の化合物が除去される。形成されたオリゴマーの一部が接触分解のために送られ、これにより、プロピレンが製造される。それらが良好なプロピレン前駆体であるからである。再循環されないオリゴマーの残りは、接触分解によって製造されたガソリン留分と混合される。
【0024】
「マキシガソリン様式」において
・ 重質供給原料は、「マキシプロピレン」様式において用いられたものと同じ分解触媒の存在下、接触分解反応器内で分解される。他に分解された供給原料が存在しないので、マキシプロピレン様式の重質供給原料より多い量の重質供給原料が、転化され得る;
・ 接触分解からのC3/C4留分は、オリゴマー化単位装置に送られる。オリゴマー化単位装置の上流でのC3/C4留分の選択的水素化が必要であり得る;
・ 形成されたC6+オリゴマーは、ガソリン留分とより重質の留分に分離され、該ガソリン留分は、接触分解によって製造されたガソリン留分と混合され、より重質の留分は、軽油プールに組み入れられ得る。
【0025】
本方法のフローチャートに示され得るように(図1はマキシプロピレンレジームを、図2はマキシガソリンレジームを示す)、一方のレジームから他方のレジームへと変動することは、非常に簡単である。例として、「マキシプロピレン」レジームから「マキシガソリン」レジームへ移り変わるためには、C3+C4オレフィン留分(C4留分またはC4+C5留分だけではない)をオリゴマー化単位装置に送るだけで十分であり、これにより形成されたオリゴマーはもはや接触分解単位装置に再循環させられない。
【0026】
より正確には、本発明の340℃超の初留点を有する炭化水素供給原料からガソリンおよびプロピレンを共製造するための方法は、接触分解単位装置およびその後の「マキシプロピレン」(レジーム1)および「マキシガソリン」(レジーム2)と称される2つのレジームに従って機能することが可能なオリゴマー化単位装置を用い、その方法において:
・ 「マキシプロピレン」レジームでは、オリゴマー化単位装置のための供給原料は、接触分解に由来するC4留分またはC4/C5オレフィン留分によって構成されており、オリゴマー化単位装置からの流出物は、少なくとも部分的に接触分解単位装置への入口に再循環させられるC8+オリゴマー留分と、接触分解単位装置内で製造されたガソリン留分によって構成されている、方法からのガソリン留分と、接触分解のために再循環させられないオリゴマー化単位装置に由来するオリゴマー留分とに分離される;
・ 「マキシガソリン」レジームでは、オリゴマー化単位装置のための供給原料は、接触分解に由来するC3/C4オレフィン留分によって構成され、オリゴマー化単位装置からの流出物は、接触分解に由来するガソリン留分に添加されるC6+オリゴマー留分に分離され、これにより該方法によって製造されるガソリンが構成される;
プロピレンは、1つ以上の蒸留塔内での分離後のFCC流出物から2つのレジームにおいて得られる。
【0027】
次の段落で定義されるように、接触分解単位装置は、いくつかの種類(単一の反応器が重質供給原料および軽質供給原料を処理するもの、または2つの反応器があり、一方が重質供給原料を処理し、他方が軽質供給原料を処理するもの)に分類され得る。更に、各反応器は、ライザ様式またはドロッパ様式で機能し得る。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(発明の詳細な説明)
本発明によると、分解されるべき全体的な供給原料は、沸点が340℃超である炭化水素を50重量%超含有する。一般に、供給原料は、真空蒸留物または場合による常圧残油によって構成されている。全体的な分解された供給原料は、「マキシガソリン」様式では、沸点が340℃超である炭化水素を100重量%まで含有し得る。「マキシプロピレン」様式では、供給原料は、沸点が340℃超である炭化水素を、通常60重量%超、より通常には70重量%超、例えば70〜95重量%含有する。
【0029】
「マキシプロピレン」様式において要求される接触分解のための二次的な供給原料は、4個(または4個および5個)の炭素原子を含有するオレフィンをオリゴマー化することによって生じた8個の炭素原子を含むオレフィンによって本質的に構成されるオレフィンに富む留分を、一般的に2〜40重量%、より通常には4〜30重量%、より好ましくは6〜25重量%含有する。このオリゴマー留分は、無視できない量のパラフィンも含有し得る。
【0030】
二次的な供給原料は、C2〜C10のオレフィンから本質的に形成された他のオリゴマーも含み得る。
【0031】
本発明によると、分解触媒は、「マキシプロピレン」様式でも「マキシガソリン」様式でも同じである。それは、アルミナ、シリカ、またはシリカ−アルミナのマトリクス中に分散した超安定Y型ゼオライトによって構成される触媒であり、これに、ZSM−5ゼオライトをベースとする添加剤が添加され、分解単位装置内のZSM−5結晶の全量は、10重量%未満である。
【0032】
従って、本発明は、340℃以上の初留点を有する炭化水素供給原料からの、ガソリンおよびプロピレンの共製造方法であって、前記方法は接触分解単位装置に続き「マキシプロピレン」(レジーム1)および「マキシガソリン」(レジーム2)と称される2つのレジームに従って機能することが可能なオリゴマー化単位装置を用いる方法であって:
・ 「マキシプロピレン」レジームでは、オリゴマー化単位装置のための供給原料は、接触分解に由来するC4留分またはC4/C5オレフィン留分によって構成されており、オリゴマー化単位装置からの流出物は、少なくとも一部が接触分解単位装置への入口へと再循環させられるC8+オリゴマー留分と、接触分解単位装置内で製造されるガソリン留分によって構成される、該方法からのガソリン留分と、接触分解のために再循環させられないオリゴマー化単位装置に由来するオリゴマー留分とに分離され;
・ 「マキシガソリン」レジームでは、オリゴマー化単位装置のための供給原料は、接触分解に由来するオレフィンC3/C4留分によって構成されており、オリゴマー化単位装置からの流出物はC6+オリゴマー留分に分離され、該留分は、接触分解に由来するガソリン留分に添加されて、該方法によって製造されるガソリンを構成し;
プロピレンは、1つ以上の蒸留塔内での分離後にFCC流出物から2つのレジームにおいて得られる、方法として定義され得る。
【0033】
接触分解単位装置は、重質供給原料と軽質供給原料の両方を処理する単一の反応器、または、一方が重質供給原料を処理し、他方が軽質供給原料を処理する、2つの異なる反応器を含み得る。更に、各反応器は、ライザ様式またはドロッパ様式であり得る。通常、2つの反応器は、同じ流れの様式を有することになる。
【0034】
A)「マキシプロピレン」レジームにおいて
1)接触分解がライザ様式で単一の反応器内において行われる場合、反応器の出口温度(reactor outlet temperature:ROT)は、510〜580℃の範囲、好ましくは540〜590℃の範囲であり、C/O比は、8〜20の範囲である。
【0035】
2)反応器がドロッパ様式である場合、反応器の出口温度(ROT)は、550〜590℃の範囲であり、C/O比は、15〜50の範囲である。
【0036】
3)接触分解がドロッパ様式で2つの異なるFCC反応器内において行われる場合、重質供給原料の分解を行う第1のFCC反応器は、510〜580℃の範囲、好ましくは530〜560℃の範囲の反応器出口温度(ROT1)、および5〜10の範囲のC/O比で作動し、オリゴマー化単位装置からのC8+反応体(軽質供給原料と称される)の分解を行う第2のFCC反応器は、550〜650℃の範囲、好ましくは570〜620℃の範囲の反応器出口温度(ROT2)、および8〜25の範囲のC/O比で作動する。
【0037】
4)接触分解がドロッパ様式で2つの異なるFCC反応器内において行われる場合、重質供給原料の分解を行う第1のFCC反応器は、550〜700℃の範囲の反応器出口温度(ROT1)、および15〜50の範囲のC/O比で作動し、オリゴマー化単位装置からのC8+オリゴマー(軽質供給原料と称される)の分解を操作する第2のFCC反応器は、570〜700℃の範囲の反応器出口温度(ROT2)、および15〜50の範囲のC/O比で作動する。
【0038】
B)「マキシガソリン」レジームにおいて
1)接触分解がドロッパ様式で作動する1以上の反応器内において行われる場合、各分解反応器の反応器出口温度(ROT)は、500〜580℃の範囲、好ましくは520〜550℃の範囲であり、C/O比は、5〜10の範囲である。
【0039】
2)接触分解がドロッパ様式で作動する1以上の反応器内において行われる場合、各分解反応器の反応器出口温度(ROT)は、530〜650℃の範囲であり、C/O比は、15〜25の範囲である。
【0040】
2つのFCC反応器に由来する、使用済み触媒の流れは、当業者に知られるあらゆる気−固分離システムを用いて分解流出物から分離され、共通の基準帯域において再生される。
【0041】
接触分解反応器からの流出物(または2つのFCC反応器があるならば2種の流出物)は、分留帯域に送られて、ガソリン留分と以下のオレフィンを含有する留分を含む複数の留分が生じる:
・ 「マキシプロピレン」様式の場合4個(または4個および5個)の炭素原子を含有する;
・ 「マキシガソリン」様式の場合3個および4個の炭素原子を含有する。
【0042】
この、3個および4個の炭素原子を含有する留分(C3/C4と示される)または4個の炭素原子を含有する留分(C4と示される)または4個および5個の炭素原子を含有する留分(C4/C5と示される)は、オリゴマー化のために送られる。一般的に、この留分は、選択的水素化を経て、存在し得るジオレフィン化合物および/またはアセチレン化合物を還元することにより、オリゴマー化のサイクルタイムを増加させることが望ましい。1つ以上の蒸留塔によって構成される分離単位装置は、C4留分またはC4/C5留分またはC3/C4留分の抜き出しが可能となるように調節される。
【0043】
「マキシガソリン」様式において、生成したオリゴマーの大部分または全部が、接触分解流出物の分留によって得られたガソリン留分に添加される。ガソリンの収率は、沸点が340℃超である炭化水素の量に対して、従って、一般的に35〜65重量%の範囲、通常50〜60重量%の範囲である。プロピレンの収率は、沸点が340℃超である炭化水素の量に対して、その時一般的に1重量%未満であり、このプロピレンは、一般に、特に回収されない。
【0044】
「マキシプロピレン」様式において、生成したオリゴマーの一部、すなわち、少なくとも30%、好ましくは全部が、接触分解に再循環させられる。ガソリンの収率は、沸点が340℃超である炭化水素の量に対して、その時一般的に35〜55重量%の範囲、通常40〜50重量%の範囲である。プロピレンの収率は、沸点が340℃超である炭化水素の量に対して、その時一般的に4〜20重量%の範囲、通常5〜15重量%の範囲、より通常には7〜12重量%の範囲である。
【0045】
本発明の方法の種々の工程のための特定の条件が、以下に、より詳細に記載される。
【0046】
(1)接触分解(FCC))
FCC反応器のための触媒は、典型的には、平均粒子径が一般的に40〜140マイクロメートルの範囲、通常50〜120マイクロメートルの範囲である微粉末の形態で用いられる。
【0047】
接触分解のための触媒は、適切なマトリクス、例えば、アルミナ、シリカ、またはシリカ−アルミナ中に分散した少なくとも1種のY型ゼオライトを含有する。
【0048】
触媒は、MEL(例えば、ZSM−11)、MFI(例えば、ZSM−5)、NES、EUO、FER、CHA(例えば、SAPO−34)、MFS、MWWの構造型のうちの1つの形態選択性を有する少なくとも1種のゼオライトも含み得、あるいは、それは、NU−85、NU−86、NU−88、およびIM−5のゼオライトのうちの1つであり得、これも形態選択性を有する。形態選択性を有するこれらのゼオライトの利点は、より良好なプロピレン/イソブテンの選択性が得られる、すなわち、分解流出物中のプロピレン/イソブテンの比がより高いことである。
【0049】
ゼオライトの全量に対する形態選択性を有するゼオライトの割合は、用いられる供給原料および所望の生成物の構造に応じて変動し得る。頻繁には2〜60%、好ましくは3〜40%、特に3〜30重量%の形態選択性を有するゼオライトが用いられる。
【0050】
ゼオライト(単数または複数)は、シリカ−アルミナ、またはシリカ−アルミナをベースとするマトリクス中に分散し得、触媒の重量に対するゼオライト(すべて一緒にしたゼオライト)の割合は、通常3〜80重量%の範囲、好ましくは4〜50重量%の範囲、例えば5〜25重量%の範囲である。複数種のゼオライトが用いられる場合、それらは、単一のマトリクス中か、または複数の異なるマトリクス中に組み入れられ得る。形態選択性を有するゼオライトの全量は、10重量%未満である。
【0051】
接触分解反応器内において用いられる触媒は、アルミナ、シリカ、またはシリカ−アルミナのマトリクス中に分散した超安定Y型ゼオライトによって構成されてよく、これに、ZSM−5ゼオライトをベースとする添加剤が添加され、ZSM−5結晶の全量は10重量%未満である。
【0052】
接触分解反応器の流出物(FCC)を分離するための単位装置は、一般的に、FCC流出物の一次分離、ガスの圧縮および分留のためのセクション、並びに、種々の液体留分の分留のための蒸留を含む。
【0053】
このタイプの分留単位装置は、当業者に周知であり、意図された最終結果に依存する。「マキシプロピレン」レジームでは、C4留分またはC4/C5留分は、流出物から分離され、それは、オリゴマー化のために送られ、必要ならば選択的水素化の後にオリゴマー化のために送られる。
【0054】
「マキシガソリン」レジームにおいて、C3/C4留分は、流出物から分離され、それは、オリゴマー化のために送られ、必要ならば選択的水素化の後にオリゴマー化のために送られる。
【0055】
オリゴマー化のために送られる接触分解からのオレフィン留分は、他の単位装置から持ち込まれるオレフィンに富む留分、例えば、コークス化単位装置、水蒸気分解単位装置、メタノール−オレフィン転化単位装置等に由来するC3/C4留分またはC4留分と混合され得る。
【0056】
C4留分では、例えば、アルコールによるイソブテンのエーテル化、その後の蒸留によってイソブテンが抜き出され、オリゴマー化工程におけるイソブテンの存在を防止または制限し得る。この化合物は、FCCにおいてイソブテンへと再分解することが可能な異性体を形成する傾向があり、これにより、十分なイソブテンのパージが行われない場合、この化合物が蓄積するに至る傾向がある。
【0057】
イソブテンの抜き出し後、例えば、N−メチルピロリドン(N-methyl pyrrolidone:NMP)またはジメチルスルホキシド(dimethylsulphoxide:DMSO)またはこれらの異性体であり得る溶媒で、抽出蒸留を行い、溶媒と混合される供給原料中のパラフィンから不飽和部分を抜き出すことも可能である。これは、ブテン(あるいはさらにはブテン/ペンテン)またはプロピレン/ブテンを含んでいないC4(さらにはC4/C5)またはC3/C4パラフィンの混合物が、選択的水素化またはオリゴマー化に再循環させられ得ることを意味する。
【0058】
(2)選択的水素化(任意))
FCC流出物のC4留分またはC4/C5留分またはC3/C4留分は、少量のジエン(ジオレフィン)およびアセチレンを含有し、これらは、オリゴマー化触媒のコーキングを増加させ、従ってオリゴマー化反応器のサイクルタイムを減少させる。従って、ジエンおよびアセチレンのモノオレフィンへの選択的水素化は、本発明の方法において、必須でないが、好ましい。
【0059】
この工程の第1の目的は、ジオレフィン(またはジエン)をモノオレフィンに転換することである。モノオレフィンは、オリゴマー化工程3において生じるオリゴマーの源である。この工程の別の目的は、これらの留分中に存在する、痕跡量のアセチレン炭化水素を除去することである。なぜならそれらは、オリゴマー化に関して不要な化合物であるからである。アセチレン化合物も、モノオレフィンに転換される。選択的水素化流出物のジオレフィン化合物+アセチレン化合物の残留量は、典型的には、約1000重量ppm未満、好ましくは100重量ppm未満、より好ましくは20重量ppm未満である。
【0060】
一般に、この選択的水素化工程は、ニッケル、パラジウム、および白金からなる群より選択される少なくとも1種の金属を、アルミナ、シリカ、またはシリカ−アルミナを含む担体上に沈着させて含む触媒を用いて行われる。
【0061】
担体上のパラジウムの量は、一般に0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜1重量%であリ得る。
【0062】
選択的水素化のための操作温度は、一般的に0〜200℃の範囲であり、圧力は、一般に0.1〜5MPaの範囲、通常0.5〜5MPaの範囲であり、毎時空間速度は、一般に時間当たりかつ触媒の体積(m)当たり0.5〜20mの範囲、好ましくは時間当たりかつ触媒の体積(m)当たり0.5〜5mの範囲であり、H/(アセチレン+ジオレフィン化合物)のモル比は、一般的に0.5〜5の範囲、好ましくは1〜3の範囲である。
【0063】
選択的水素化を行うために、1以上の固定床反応器が、処理されるべき供給原料および水素(または相当なモル割合、例えば少なくとも50%の水素を含有するガス)に対して下降流並流様式で、または、処理されるべき供給原料に対して下降流様式かつ水素(または水素リッチなガス)に対して上昇流様式で用いられる。
【0064】
オリゴマー化のためにC5留分が送られる場合、C3留分およびC4留分の水素化単位装置から分離した単位装置、例えば選択的なガソリンの水素化単位装置において、例えば、この留分を選択的に水素化することが可能である。
【0065】
(3)オリゴマー化)
この工程の目的は、C4オレフィンまたはC4/C5オレフィン(「マキシプロピレン」レジーム)またはC3/C4オレフィン(「マキシガソリン」レジーム)をオリゴマー化して、炭素原子数が8以上であるモノオレフィンを含有する炭化水素の混合物を得ることである。一般に、C4オレフィンから出発し、大部分30個以下の炭素原子、主に8〜20個の範囲の炭素原子を含有するオリゴマーが得られる。
【0066】
オリゴマー化は、制限された数の分子を付加することにより、ポリマー化から区別され、本発明と関連して付加される分子数は、限界値が含まれて2〜10の範囲、一般的に2〜5の範囲、特に2〜4の範囲である。
【0067】
しかし、オリゴマーは、10を超える多数の分子でオリゴマー化された痕跡量のオレフィンを含み得る。通常、これらの痕跡量は、形成されるオリゴマーに対して、5重量%未満を表す。
【0068】
オリゴマー化は、1以上の反応器および1以上の触媒を用いて、1以上の工程で行われ得る。触媒および操作条件についての以下の記載は、工程のいずれか1つおよび/またはあらゆる反応器のいずれか1つに適用され得る:
・ 「マキシプロピレン」レジームにおいて、用いられるオリゴマー化触媒は、好ましくは、シリカ−アルミナをベースとする触媒である。温度は、100〜200℃の範囲であり、好ましくは140〜160℃の範囲である。圧力は、0.5〜10MPaの範囲である。
【0069】
・ 「マキシガソリン」レジームにおいて、用いられるオリゴマー化触媒は、好ましくは、シリカ−アルミナをベースとする触媒である。操作温度は、100〜200℃の範囲であり、好ましくは140〜160℃の範囲である。操作圧力は、2〜10MPa(1MPa=10パスカル)の範囲である。
【0070】
以降、図1および図2の記載を参照しながら本発明をより詳細に説明していくことにする。
【0071】
図1は、「マキシプロピレン」操作レジームにおいて、本発明の方法を実施するための設備を示す。
【0072】
真空蒸留物または常圧残油供給原料が、ライン(1)を介して導入される。
【0073】
接触分解反応器(R1)が、2つの別個のライン(1)およびライン(9)を介して供給される。
【0074】
接触分解(R1)からの流出物は、ライン(2)を介して排出され、分離帯域(S1)に導入される。
【0075】
分離帯域(S1)は、一般にガスコンプレッサおよび蒸留/吸収手段を含む。
【0076】
接触分解反応器(R1)からの流出物のC3+C4留分は、ライン(4)を介して分離帯域(S2)に送られる。C5−220℃留分に相当するガソリンは、ライン(15)を介して排出され、他のFCC流出物は、ライン(3)を介して排出される。
【0077】
分離帯域(S2)は、一般に蒸留手段を含む。主にプロピレンを含有するC3留分は、ライン(5)を介して排出される。高度にオレフィン性のC4留分は、ライン(6)を介してオリゴマー化反応器(R2)に送られる。
【0078】
オリゴマー化流出物は、ライン(7)を介して抜き出され、分離帯域(S3)中に導入される。分離帯域(S3)は、一般にオリゴマー化流出物の蒸留を含み、より重質のオリゴマーと、未反応のC4留分とが回収される。C4留分は主に、パラフィン化合物と、少量の未転換オレフィン化合物によって構成される。このC4留分は、ライン(8)を介して排出される。
【0079】
C8+オリゴマーは、部分的に、かつ好ましくは完全に、ライン(9)を介して接触分解反応器(R1)に導入され、ライン(14)は、R1に再循環させられないオリゴマーに相当する。オリゴマーが、接触分解のためにすべて送られるわけではない場合、残りのオリゴマーの大部分が、接触分解からのガソリンと混合される。R1におけるオリゴマーの分解は、設備のプロピレンの収率が増加することが可能であることを意味する。
【0080】
図2は、「マキシガソリン」レジームにおいて本発明の方法を実施するための設備を示す。
【0081】
接触分解反応器(R1)に、ライン(1)を介して真空蒸留物または常圧残油が供給される。
【0082】
FCC流出物からのC3+C4留分が、ライン(10)を介してオリゴマー化反応器(R2)に送られる。
【0083】
R2において反応しなかったC3+C4留分は、ライン(12)を介して分離帯域(S2)に送られる。S2においてC3留分から分離されたC4留分は、ライン(13)を介して排出される。
【0084】
形成されたC6+オリゴマーは、再循環させられず、ガソリン留分(ライン(11))を形成し、これは、接触分解反応器(ライン(15))からのガソリン留分と一緒になる。従って、この方法によって生じたガソリンは、ライン(15)およびライン(11)からの流出物の組み合わせによって構成されている。
【0085】
(実施例)
以降、従来技術の方法よりも向上した柔軟性を例証するために、3つの実施例を記載することとする。
【0086】
(実施例1(従来技術))
以下に示された主要な特徴を有する常圧残油供給原料を、2つのレジーム(「マキシガソリン」および「マキシプロピレン」)で作動するFCC型接触分解単位装置において処理した:
【0087】
【表1】

【0088】
触媒は、以下の特徴を有していた:
・ 触媒:シリカ−アルミナをベースとするマトリクス中に分散したYゼオライト;
・ 平均触媒径:70マイクロメートル;
・ 粒子の密度:1250kg/m
【0089】
反応帯域内の圧力は、0.2MPaに等しく、「マキシプロピレン」および「マキシガソリン」のレジームのための操作条件は、以下の通りであった:
【0090】
【表2】

【0091】
供給原料に対する、プロピレン、C4留分、およびガソリンの収率は、各レジームについて以下の通りであった:
【0092】
【表3】

【0093】
(実施例2(本発明に合致、図1に示される))
実施例1において処理された常圧残渣が、「マキシプロピレン」様式の本発明の方法において、実施例1の常圧残渣の分解条件下に、「マキシプロピレン」様式のために用いられた(反応器出口においてC/O=7.5および550℃)。
【0094】
接触分解流出物のC4留分を、分離帯域(S1)、次いで(S2)において分離し、その後、以下の条件下で作動するオリゴマー化反応器(R2)内に導入した:
・ 圧力:6.0MPa;
・ 温度:140〜160℃;
・ 空間速度:0.5〜1h−1
【0095】
オリゴマー化触媒は、無定形シリカ−アルミナであった。
【0096】
約83重量%のC4オレフィンが主に、C8オレフィンにオリゴマー化された。
【0097】
オリゴマー(分離帯域(S3)において未反応オリゴマーおよびC4パラフィンから分離された)を完全に、接触分解反応器(R1)に再循環させた。
【0098】
これらのオリゴマーの分解により、プロピレンの収率の増加が可能となり、分解されないオリゴマーにより、全体的なガソリンの収率の増加が可能となった。
【0099】
「マキシプロピレン」レジーム下での、常圧残油供給原料に対する、プロピレン、C4留分、およびガソリンの収率は、以下の通りであった:
【0100】
【表4】

【0101】
従って、従来技術の「マキシプロピレン」レジームと比較して、プロピレンでは2ポイント(9.3−7.2)の増加があったのと同時に、ガソリンでは5ポイント(49−44.1)の増加があった。
【0102】
(実施例3(本発明に合致、図2に示される))
再度、実施例1において処理された常圧残渣が、「マキシガソリン」様式の本発明の方法において、実施例1の常圧残渣の分解操作の条件下に、「マキシガソリン」様式のために用いられた(反応器出口においてC/O=7.1および528℃)。
【0103】
分離帯域(S1)において分離されたC3+C4留分を、以下の条件下で作動するオリゴマー化反応器(R2)内に導入した:
・ 圧力:6.6MPa;
・ 温度:130〜160℃;
・ 空間速度:0.5〜1h−1
【0104】
再び、オリゴマー化触媒は、無定形シリカ−アルミナであった。
【0105】
約87重量%のC3+C4オレフィンが、C8、C9、およびC12のオレフィンにオリゴマー化された。
【0106】
オリゴマーは、分離帯域(S3)において未反応のオリゴマーおよびパラフィンから分離され、このものは、常圧残油の分解からのガソリンに加えられ、非常に少ない割合で、軽油プールに加えられた。
【0107】
「マキシガソリン」レジーム(図2に示される)における、常圧残油供給原料に対する、プロピレン、C4留分、およびガソリンの収率は、以下の通りであった:
【0108】
【表5】

【0109】
従来技術の「マキシガソリン」レジームと比較して、ガソリンの収率が、8ポイント(55.2−47.1)増加した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触分解単位装置に続き「マキシプロピレン」および「マキシガソリン」と称される2つのレジームに従って機能することが可能なオリゴマー化単位装置を用いる、340℃超の初留点を有する重質炭化水素供給原料からのガソリンおよびプロピレンの共製造方法であって:
・ 「マキシプロピレン」レジームでは、オリゴマー化単位装置のための供給原料が接触分解に由来するC4留分またはC4/C5オレフィン留分によって構成されており、オリゴマー化単位装置からの流出物は、少なくとも一部が接触分解単位装置への入口へと再循環させられるC8+オリゴマー留分と、接触分解単位装置内で製造されるガソリン留分によって構成される、該方法からのガソリン留分と、接触分解のために再循環させられないオリゴマー化単位装置に由来するオリゴマー留分とに分離され;
・ 「マキシガソリン」レジームでは、オリゴマー化単位装置のための供給原料は、接触分解に由来するオレフィンC3/C4留分によって構成されており、オリゴマー化単位装置からの流出物はC6+オリゴマー留分に分離され、該留分は、接触分解に由来するガソリン留分に添加されて、該方法によって製造されるガソリンを構成し;
プロピレンは、1つ以上の蒸留塔内での分離後のFCC流出物から2つのレジームにおいて得られる、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の340℃超の初留点を有する炭化水素供給原料からのガソリンおよびプロピレンの共製造方法であって、「マキシプロピレン」レジーム下、接触分解がライザ様式で単一の反応器内において行われる場合、反応器の出口温度(ROT)が510〜580℃の範囲、好ましくは540〜590℃の範囲であり、C/O比が8〜20の範囲である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の340℃超の初留点を有する炭化水素供給原料からのガソリンおよびプロピレンの共製造方法であって、「マキシプロピレン」レジーム下、接触分解がライザ様式で2つの異なるFCC反応器内において行われる場合、重質供給原料の分解を行う第1のFCC反応器は、510〜580℃の範囲、好ましくは530〜560℃の範囲である反応器の出口温度(ROT1)、および5〜10の範囲であるC/O比で作動し、オリゴマー化単位装置に由来するC8+オリゴマー(軽質供給原料と称される)の分解を行う第2のFCC反応器は、550〜650℃の範囲、好ましくは570〜620℃の範囲である反応器の出口温度(ROT2)、および8〜25の範囲であるC/O比で作動する、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の340℃超の初留点を有する炭化水素供給原料からのガソリンおよびプロピレンの共製造方法であって、「マキシガソリン」レジーム下、接触分解がライザ様式で作動する1以上の反応器内において行われる場合、反応器の出口温度(ROT)が500〜580℃の範囲、好ましくは520〜550℃の範囲であり、C/O比が5〜10の範囲である、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の340℃超の初留点を有する炭化水素供給原料からのガソリンおよびプロピレンの共製造方法であって、「マキシプロピレン」レジーム下、接触分解がライザ様式で単一の反応器内において行われる場合、反応器の出口温度(ROT)が550〜700℃の範囲であり、C/O比が15〜50の範囲である、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の340℃超の初留点を有する炭化水素供給原料からのガソリンおよびプロピレンの共製造方法であって、「マキシプロピレン」レジーム下、接触分解がドロッパ様式で2つの異なるFCC反応器内において行われる場合、重質供給原料の分解を行う第1のFCC反応器は、550〜700℃の範囲である反応器の出口温度(ROT1)、および15〜50の範囲であるC/O比で作動し、オリゴマー化単位装置に由来するC8+オリゴマー(軽質供給原料と称される)の分解を行う第2のFCC反応器は、570〜700℃の範囲である反応器の出口温度(ROT2)、および15〜50の範囲であるC/O比で作動する、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の340℃超の初留点を有する炭化水素供給原料からのガソリンおよびプロピレンの共製造方法であって、「マキシガソリン」レジーム下、接触分解がドロッパ様式で作動する1以上の反応器内において行われる場合、反応器の出口温度(ROT)が530〜650℃の範囲であり、C/O比が15〜25の範囲である、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の340℃超の初留点を有する炭化水素供給原料からのガソリンおよびプロピレンの共製造方法であって、「マキシプロピレン」レジーム下、オリゴマー化単位装置が、100〜200℃の範囲、好ましくは140〜160℃の範囲の温度、および0.5〜10MPaの範囲の圧力で作動する、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の340℃超の初留点を有する炭化水素供給原料からのガソリンおよびプロピレンの共製造方法であって、「マキシガソリン」レジーム下、オリゴマー化単位装置が100〜200℃の範囲、好ましくは140〜160℃の範囲の温度、および2〜10MPaの範囲の圧力で作動する、方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の340℃超の初留点を有する炭化水素供給原料からのガソリンおよびプロピレンの共製造方法であって、C4留分またはC4/C5留分またはC3/C4留分が、オリゴマー化単位装置の上流に位置する選択的水素化単位装置に送られ、前記選択的水素化単位装置が、0〜200℃の範囲の温度、0.5〜5MPaの範囲圧力、時間当たりかつ触媒の体積(m)当たり0.5〜5mの範囲の空間速度、かつ1〜3の範囲のH/(アセチレン+ジオレフィン化合物)モル比で作動する、方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1つに記載の340℃超の初留点を有する炭化水素供給原料からのガソリンおよびプロピレンの共製造方法であって、接触分解反応器内において用いられる触媒は、アルミナ、シリカ、またはシリカ−アルミナのマトリクス中に分散した超安定Y型ゼオライトによって構成されており、これに、ZSM−5ゼオライトをベースとする添加剤が添加され、ZSM−5結晶の全量は10重量%未満である、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2012−500883(P2012−500883A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524422(P2011−524422)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【国際出願番号】PCT/FR2009/000945
【国際公開番号】WO2010/023369
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【Fターム(参考)】