説明

調節放出型多粒子のホットメルト押出成形

本発明は、調節放出型医薬製剤の組成物及び製法、並びに調節放出型多粒子剤をポリマーマトリックス又は蝋状マトリックスへ埋め込むための調製方法を含む。調節放出型多粒子剤は、公知の又は所望する薬物放出プロファイルを有する有効量の治療用化合物を含む。調節放出型多粒子剤は、ポリマーコーティングを含むことができ、又は粒子若しくはコア材料に組み込むことができる。ポリマーマトリックスは、高温で軟化又は融解し、熱加工の間にポリマーマトリックス内の調節放出型多粒子剤の分布を可能にする熱可塑性ポリマー又は脂肪親和性担体又はその混合物を含む。製剤化合物及び加工条件は、本来の調節放出型多粒子剤の制御放出特性及び/又は薬物保護特性を保持する方法で選定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、活性剤の制御放出の分野に関し、特に、調節放出型多粒子を含むホットメルト押出成形の組成物及び製法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景は、本発明の範囲を制限することなく、例えば薬剤のような活性剤の制御放出に関連して説明される。
【0003】
かかる特許の1つは、単位投与徐放性経口投与剤形が複数の溶融押出成形粒子剤を含むと指示され、それぞれの粒子が基本的に、治療用活性剤、1又は2以上の遅延剤、及び選択可能な水不溶性結合剤から本質的に成る多粒子の溶融押出成形についてのOshlack他の米国特許第6,335,033号(特許文献1)である。粒子は、長さが約0.1〜約12mmで、直径は様々なサイズが可能であり、各単位投与量は少なくとも約8時間以上にわたって治療用活性剤の放出をもたらす。単位投与量の調製方法並びに押出成形工程及び処理方法も開示されている。だが、放出プロファイルは溶融押出成形の種類によって決定される。さらに、溶融押出成形工程は、壊れやすい多粒子型薬物の放出のニーズへの対応ができない。この特許における薬物の放出は、粒子によってではなく、熱可塑性担体ポリマーの特性によって決まる。
【0004】
さらに別の特許は、溶融押出成形経口投与可能オピオイド製剤についてのOshlack et al.の米国特許第6,743,442号(特許文献2)である。簡単にまとめると、溶融押出成形法によって製造される複数の多粒子を含む生物学的に利用可能な徐放性経口オピオイド鎮痛薬剤形が説明されている。この特許は、徐放性医薬製剤であって、治療用活性剤と、アルキルセルロース、アクリル系ポリマー及びそれらの混合物からなる群から選択される1又は2以上の疎水性材料と、約30℃〜約200℃までの融点を持ち、天然の蝋、合成の蝋、脂肪酸、脂肪アルコール及びそれらの混合物からなる群から選択される1又は2以上の疎水性可融性担体との押出混合物を含み、上記押出混合物は、所望する治療効果を発揮するための有効量の治療用活性剤を含み、治療用活性剤の約8時間〜約24時間までの徐放性をもたらす単位投与量に分割され、上記押出混合物は、治療用活性剤と、1又は2以上の疎水性材料及び1又は2以上の疎水性可融性担体とを押出機内で混合して混合物を形成し、またその混合物を押出機を通して押出して形成される徐放性医薬製剤についての特許に関する。ここでも、放出プロファイルは溶融押出成形の種類によって決定され、溶融押出成形工程は、壊れやすい多粒子型薬物の放出のためのニーズへの対応ができない。また、この特許における薬物の放出は、粒子によってではなく、熱可塑性担体ポリマーの特性によって決まる。
【0005】
国際公開第2008/101743号(Gryczke 2008)(特許文献3)の中で開示された1つの方法は、酸性下での放出を抑えるための、ガラス転移温度は低いが透過性が異常に高いアニオン性ポリマー(オイドラギットFS)と、水不溶性ポリマー(オイドラギットRS、RL、又はNE)との混合に関わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,335,033号
【特許文献2】米国特許第6,743,442号
【特許文献3】国際公開第2008/101743号
【発明の概要】
【0007】
本発明は、本来の調節放出型多粒子の溶解特性を保持した状態でマトリックスへ埋め込むことにより、調節放出型多粒子の組成物及びその調製方法を提供する。本発明は、投与後に複数の単位投与系を放出する一体式の剤形の利点を合わせ持つ。本発明は、圧縮して錠剤にする、あるいはカプセルに詰めるといった調節放出型多粒子を単体システム(monolithic system)に製剤するために使用可能な他の方法に伴って発生する問題点の一部又は全部を克服することが分かっている。これらの短所には、以下のうちの1つ又は複数が含まれる。(1)とりわけ少量装填の場合に顕著だがこれに限らない、最終製品における内容物の均一性の問題、(2)埋め込み工程中にポリマーコーティング又はマトリックスなどの放出制御原理の障害が起き、最終製品の薬物溶解プロファイルが加工されない多粒子とは変化すること、(3)埋め込み工程を補助するため、又は多粒子の放出特性を保護するために、多量の賦形剤を必要とすることにより、多粒子単体システムの装填量に制約があること、(4)マトリックス形成原理の透過性が高いため、最終製品が水分に過敏であること、及び(5)最終製品への異物混入の可能性。
【0008】
一つの態様では、本発明は、有効量の1又は2以上の治療用化合物を有する1又は2以上の調節放出型多粒子を含む制御放出型医薬製剤を記載し、多粒子は、公知の薬物放出プロファイルを有し、熱加工されて熱可塑性ポリマーマトリックス又は脂質材料、あるいはその両方の中の押出物となり、熱加工条件は、その熱可塑性ポリマーマトリックス又は脂質材料から放出される際の、多粒子の公知の薬物放出プロファイルの大部分を維持する。
【0009】
本発明で説明される押出物は、少なくとも80%のインタクトな多粒子を含み、その多粒子はポリマーフィルムコーティングを備えている。一態様では、固有の薬物放出制御性又は薬物保護原理を持つ多粒子を含む制御放出型医薬製剤は、ポリマーマトリックス又は疎水性材料を含む。別の態様では、多粒子は腸溶性薬物放出コーティングを含む。さらに別の態様では、多粒子は、1又は2以上の治療用化合物の徐放と防水のために被覆される。
【0010】
別の態様では、調節放出型多粒子は、追加の水溶性トップコーティングで被覆され、マトリックス中に存在する1又は2以上の治療用化合物と1又は2以上の賦形剤との不適合を最小限にするために加工される。別の態様では、多粒子は、フィルムで被覆された薬物顆粒、フィルムで被覆された薬物装填済みペレット、又はフィルムで被覆され、薬物で積層されたノンパレルである。特定の態様では、多粒子はサイズが50〜800μmの範囲で、好ましくは300〜500μmであり、多粒子のポリマーフィルムコーティングは、多粒子の被覆なし重量で10%〜60%(重量パーセント)、より好ましくは15〜30%、最も好ましくは20〜30%のポリマーを含む。
【0011】
別の態様では、ポリマーフィルムコーティング中の1又は2以上のポリマーは、ポリメタクリル酸塩、セルロース誘導体、多糖類、タンパク質、又はビニルポリマーからなる群から選択され、さらにポリマーの重量パーセントで0〜30%の可塑剤を含む。本発明で使用される可塑剤は、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジブチル、及びフタル酸ジエチルからなる群から選択される水難溶性可塑剤である。さらに別の態様では、多粒子は、5〜80重量パーセントの1又は2以上の治療用化合物を含む。別の態様では、熱可塑性ポリマーマトリックスは、少なくとも部分的に結晶構造のポリマーで融点が80℃未満の1又は2以上の構成要素を含む。本発明中で使用される熱可塑性ポリマーは、分子量が約1,000,000未満のポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)コポリマー、ポリ(エチレングリコール)又はポリ(エチレンオキシド)からなる群から選択される。特定の態様では、多粒子の重量パーセントは5〜70重量パーセントであり、調節放出型多粒子は、水性媒体中で、2時間未満で溶解又は崩壊して調節放出型多粒子を放出する。
【0012】
本発明の調節放出型多粒子は、さらに、拡散によって薬物を放出する、腸溶性ポリマー又は水不溶性調節放出型ポリマーを含むと定義される。調節放出型多粒子は、腸溶性の被覆が施され、腸溶性コーティング調節放出型多粒子を含む剤形からは、酸性媒体中で10%未満の薬物が放出され、また媒体がpH6.8超に変更された場合、米国薬局方中で示される緩衝媒体中で45分間に80%超の薬物が放出される。
【0013】
一態様では、調節放出型多粒子は遅延剤マトリックスをさらに含み、この場合、遅延剤マトリックスは、腐食又は崩壊して調節放出型多粒子を放出する。別の態様では、マトリックスと調節放出型多粒子の両方が、フィルムコーティング又はマトリックスコーティング、あるいはその両方を施される。
【0014】
別の実施形態では、本発明は、有効量の1又は2以上の治療用化合物を有する1又は2以上の調節放出型多粒子を含む制御放出型医薬製剤であり、この場合、多粒子は、公知の薬物放出プロファイルを有し、熱加工されて、加工中の多粒子の完全性を維持する熱加工条件のもとで、熱可塑性ポリマーマトリックス又は脂質材料、あるいはその両方の中へ押出される。本発明の実施形態に記載される押出物は、少なくとも80%のインタクトな多粒子を含む。
【0015】
別の実施形態では、本発明は、平均粒径300〜3,000μmの1又は2以上の調節放出型ペレットを含む制御放出型医薬製剤を開示し、この場合、1又は2以上の調節放出型ペレットは、1又は2以上のアニオン性ポリマーのマトリックスに埋め込まれた薬用活性物質及び加工助剤を含む。一態様では、pH1.2の模擬胃液中で、薬用活性物質の10%が2時間後に放出され、pH6.8の緩衝液又はpH7.4の緩衝液中でさらに2時間後に少なくとも40%が放出される。別の態様では、pH6.8の緩衝液又はpH7.4の緩衝液中で、2時間後に薬用活性物質の60%超が放出される。
【0016】
特定の態様では、1又は2以上の調節放出型ペレットの平均粒径は500〜1000μmの間である。本発明の実施形態で説明される1又は2以上の調節放出型ペレットの粒径は、200、300、400、500、600、750、800、1000、1500、2000、2500、3000、及び5000μmである。
【0017】
一態様では、薬用活性物質の重量パーセントは0.1〜70%である。別の態様では、薬用活性物質の重量パーセントは5〜40%である。さらに別の態様では、薬用活性物質の重量パーセントは、0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、60、70、及び80%である。1又は2以上のアニオン性ポリマーは、メタクリル酸塩とメタクリル酸のコポリマーであり、前記1又は2以上のアニオン性ポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、クロトン酸、酢酸アリル、4−メチル−4ペントン酸、ビニルスルホン酸塩、スチレンスルホン酸塩、及びアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸からなる群から選択される。コポリマーは、少なくとも20%のメタクリル酸を含む。
【0018】
一態様では、1又は2以上の調節放出型ペレットは、破損又は変形の発生なく、少なくとも10Nの装填に耐えられる。別の態様では、1又は2以上の調節放出型ペレットは、錠剤、カプセル又はそれらの組合せを含む一体式の系に移行される。
【0019】
一実施形態では、本発明は、公知の薬物放出プロファイルを有する有効量の治療用化合物を含む調節放出型多粒子を多粒子の薬物放出制御又は薬物保護特性、あるいはその両方を保持する条件下での熱加工によって、熱可塑性ポリマーマトリックス又は親水性蝋含有マトリックスと混合するステップを含む制御放出型医薬製剤の調製方法を説明する。一態様では、熱加工は、単軸又は二軸押出機を用いて行われるホットメルト押出成形法によって実施される。
【0020】
別の態様では、多粒子は、乾式被覆工程、水性被覆工程、又は溶媒被覆工程によって施されるフィルムコーティングを含む。さらに別の態様では、多粒子は、流動床被覆法で被覆される。一態様では、熱加工は約100℃未満の温度で実施され、調節放出型多粒子は、疎水性ポリマー、親水性ポリマー、ガム、タンパク質由来材料、蝋、セラック、油及びこれらの混合物のうちの少なくとも1つで被覆されることによって徐放剤に形成される。
【0021】
別の実施形態では、本発明は、治療用化合物の制御放出を提供し、本発明の方法に従って調製される医薬製剤を含む医薬用固形剤形を説明する。一態様では、本発明で説明される組成物の好適な投与部位(site of administration)は経口経路である。別の態様では、制御放出は、即放型、徐放型、又は放出遅延型とさらに定義される。
【0022】
さらに別の実施形態では、本発明は、1又は2以上の調節放出型円筒形ペレットを含む制御放出型医薬製剤の調製方法を開示し、その調製方法は、(i)薬用活性物質、1又は2以上のアニオン性ポリマー、及び加工助剤を混合し、混合物を形成するステップと、(ii)前記混合物をホットメルト押出成形工程で加工して、1又は2以上の押出ストランドを形成するステップと、(iii)前記押出ストランドを切断して、前記1又は2以上の調節放出型円筒形ペレットを形成するステップとを含む。本発明の実施形態で説明される方法は、前記1又は2以上の調節放出型円筒形ペレットにポリマーフィルムコーティングを施し、前記1又は2以上の調節放出型円筒形ペレットを球状化するステップをさらに含む。
【0023】
一態様では、ホットメルト押出成形工程中の温度は200℃を超えない。別の態様では、ホットメルト押出成形工程中の少なくとも1つの加温帯の温度は、ポリマーのガラス転移温度を少なくとも10℃上回る。
【0024】
一実施形態では、本発明は、公知の薬物放出プロファイルを有する有効量の1又は2以上の治療用化合物を有する1又は2以上の調節放出型多粒子を選択するステップと、前記1又は2以上の調節放出型多粒子と熱可塑性ポリマーマトリックス又は親水性蝋含有マトリックスとを混合するステップと、押出物を成形するための変動条件下で前記熱可塑性ポリマーマトリックス又は親水性蝋含有マトリックスで多粒子を押出すステップと、押出成形のための薬物放出プロファイルを決定するステップと、熱可塑性ポリマーマトリックス又は親水性蝋含有マトリックスの選択及び1又は2以上の調節放出型多粒子の少なくとも80%が公知の薬物放出プロファイルを維持する押出成形条件を選択するステップとを含む制御放出型医薬製剤の調製のための1又は2以上の押出成形パラメータを決定する方法である。
【0025】
本発明の特徴及び利点をよりよく理解してもらうために、添付の図面を参照しながら、本発明を詳細に以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明によって提供されるホットメルト押出成形組成物の例示的実施形態の切断面を示す。
【図2】実施例2、4、7に従って調製され、実施例9に従って試験された組成物の薬物放出プロファイルのグラフである。
【図3】実施例2、4、7に従って調製され、実施例9に従って試験された組成物の薬物放出プロファイルのグラフである。マトリックス内のペレット装填量は30%。
【図4】実施例1〜4による、実施例9に従って試験された異なる多粒子についての、実施例7に従ったポロキサマ407中での30%多粒子の押出成形前及び押出成形後の、pH1.2の媒体中での2時間後の薬物放出を示す。
【図5】実施例1で定義され、実施例7に従い、又は実施例9に従って試験された場合は実施例8に従ったポロキサマ407中での加工の後に、実施例4に従って被覆された30%顆粒を使って調製された組成物の薬物放出プロファイルのグラフである。
【図6】実施例1で定義され、実施例7に従ったポロキサマ407中での加工の後に、実施例4に従って被覆された30%顆粒を使って調製された組成物の、実施例9に従って調製後直ちに試験した場合、及び室温(22±1℃)及び周囲相対湿度の中で1年間保管された後に試験した場合の、薬物放出プロファイルのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の様々な実施形態の作成及び使用は以下に詳細に説明されるが、本発明が、幅広く多様な特定の状況において具体化できる多数の応用可能な創意に富む概念を提供することを理解されたい。本明細書において説明する特定の実施形態は、本発明の作成及び使用の特定の方法を単に説明するものに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。
【0028】
本発明の理解を助けるために、下記にいくつかの用語を定義する。ここで定義される用語は、本発明に関連する分野の当業者によって一般に理解されている意味を有する。「1つの(a, an)」及び「上記(the)」といった用語は、もっぱら単数の存在を指すものではなく、説明において使用される具体例が属する分類一般を含む。本明細書中の用語は、本発明の特定の実施形態を説明するために使用されるが、その使用は、特許請求の範囲で明示される場合を除き、本発明を制限しない。
【0029】
本発明は、調節放出型製剤の組成物及び製法、並びに調節放出型多粒子をポリマーマトリックス又は蝋状マトリックスへ埋め込むための調製方法を含む。ポリマーマトリックスは、高温で軟化又は融解し、熱加工の間にポリマーマトリックス内の調節放出型多粒子の分布を可能にする熱可塑性ポリマー又は脂肪親和性担体又はそれらの混合物を含む。
【0030】
本発明は、平均粒径300〜3,000μmで、アニオン性ポリマーと1又は2以上の可塑剤を含むマトリックス中の薬用活性物質を含むペレットの製剤及び調製方法について、さらに詳述する。ペレットは、模擬胃液中で2時間にわたって10%未満の薬物を放出し、pH6.8及び/又はpH7.4の緩衝液中でさらに2時間後に少なくとも40%を放出する。
【0031】
従来、腸溶性ペレットの調製には、湿塊化や押出成形、球状化及び機能性皮膜などの複数の加工工程が関わっている。これらの方法は、有機溶媒又は水性溶媒、及び時間も費用も多用する乾燥処理の使用を必要とする。これらの従来の方法に従って製造されるペレットは、通常、機械的強度が低く、破砕性が高い。本発明のホットメルト押出成形工程は、腸溶性マトリックスペレットを、後続のフィルムコーティングを回避し、有機溶媒の使用を控えて、単一のステップと連続した方式で製造することを可能にする。薬物、アニオン系ポリマー及び任意の加工助剤を含む粉末混合物は、混合され、融解されて、製品形成金型を通過する前に、一軸又は二軸の回転スクリューによって加温した容器内に移される。ホットメルト押出ペレットは、技術的利点のほかに、従来の湿塊化法によって調製されたペレットと比較した場合の溶融押出マトリックスの空隙率が低いことにより、制御放出特性を保持したまま薬物装填量を多くすることができる(Young, C. R., Koleng, J. J., Ginity, J. W. M. Properties of drug-containing spherical pellets produced by a hot-melt extrusion and spheronization process. Journal of Microencapsulation 20: 613-625 (2003))。溶融押出ペレットは、さらに、直接圧縮して1単位の錠剤にするような下流の加工の間の破砕性が低く、機械的強度が高く、放出特性のロバスト性が高まる(Young, C. R., Dietzsch, C., McGinity, J. W. Compression of Controlled-Release Pellets Produced by a Hot-Melt Extrusion and Spheronization Process. Pharmaceutical Development & Technology 10: 133-139 (2005b))。
【0032】
ホットメルト押出成形による徐放性ペレット調製の成功は、いくつかの出版物(Follonier, N., Doelker, E., Cole, E. T. Evaluation of hot-melt extrusion as a new technique for the production of polymer-based pellets for sustained release capsules containing high loadings of freely soluble drugs. Drug Development and Industrial Pharmacy 20: 1323 - 1339 (1994); (de Brabander, C., Vervaet, C., Remon, J. P. Development and evaluation of sustained release mini-matrices prepared via hot melt extrusion. Journal of Controlled Release 89: 235-247 (2003); (Young, C. R., Crowley, M., Dietzsch, C., McGinity, J. W. Physicochemical properties of film-coated melt-extruded pellets. Journal of Microencapsulation 24: 57-71 (2007))、 及び特許(米国特許第005552159号:Solid depot drug form. Mueller, W., Spengler, R., Grabowski, S., Sanner, A. (1996)), (Oshlack, B., Huan, H.-P., Chasin, M. (2001) US 2001/0033865, Melt-extrusion multiparticulates)において報告されている。だが、模擬胃液中で2時間後に10%未満の薬物を放出する腸溶性ペレットの製造はいまだに困難である。小さなペレットは表面積が比較的大きいため、以前に薬物20%含有溶融押出オイドラギットL100−55マトリックスで実証された錠剤と比較すると、酸性下での薬物放出が増加する(非特許文献8)。もう1つの克服すべき困難な状況は、ポリマーの透過性と加工性の間の相反する傾向である。ガラス転移温度が低く融解粘度が低いアニオン性ポリマーは、酸性下での透過性が高すぎ、薬物含有量の10%超を放出する。他方、透過性が低く酸性下での保護性が高いポリマーは、ガラス転移温度が高く、融解粘度が高いため、ホットメルト押出成形法による加工が難しい。
【0033】
多粒子を含む剤形は、一体式の剤形より利点が多い。これらの利点は、消化管に沿った分布の改善、並びに生体利用効率の向上及び血漿レベル安定化の可能性、局所的に毒物濃度が高くなる可能性の回避、用量ダンピングのリスク軽減、食効又は生理学的要因に対する薬物吸収感受性の低下、胃の通過時間の再現性向上による薬理効果の迅速化と可変性の低下、並びに異なる活性又は放出速度をもたらす粒子の混合による製剤の柔軟性向上を含む。多粒子の後加工は、患者に投与の利便性の高い剤形を提供するために必要である。最終的な剤形としては錠剤又はカプセルのような単体システムが使用でき、こうした固形組成物は、貯蔵安定性、安全性及び患者の薬剤服用順守に関し、液体製剤より利点がある。
【0034】
最も一般的な2つの技術に、多粒子のカプセル充填と、圧縮錠剤化がある。いずれの手法にも多数の欠点があり、応用性が低い。カプセルは錠剤よりも費用集約的であり、また異物混入の危険性が高いことから安全性が劣るかもしれない。カプセルのシェルは含水性で、光、酸素及び水分に対する保護性がほとんどない。開封が困難であるため、投与量選択肢の柔軟性が劣る。
【0035】
錠剤化は、多粒子を強い一方向圧縮力にさらすことになり、それが、被覆の破裂及び/又は粒子の変形と破砕を引き起こす可能性がある。テオフィリン含有ペレットに塗布されたシュアリース(Surelease)E−7−7050及びメトセル(Methocel)A4C被覆のクラッキングを防ぐには、強度の高い粒子コアが必要と報告されている(Lundqvist, Å.E.K., Podczeck, F. & Michael Newton, J. Compaction of, and drug release from, coated drug pellets mixed with other pellets. European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 46, 369-379 (1998))。フィルムコーティングの塗布は、被覆の厚みのいかんに関わらず、薬物ペレットの強度に変化を与えなかった。被覆が破壊する前に多粒子コアが破砕し、続いてつぶれたコアが圧縮負荷を受けて変形した時に被覆が破裂した。Beckertと共同研究者は、固いペレットではなく、破砕強度の低い柔らかなペレットを使用した場合の、酸性媒体中の腸溶性コーティングペレットからのビサコジルの放出の改善を報告した(Young, C. R., Dietzsch, C., McGinity, J. W. Compression of Controlled-Release Pellets Produced by a Hot-Melt Extrusion and Spheronization Process. Pharmaceutical Development & Technology 10: 133-139 (2005b))。
【0036】
粒子の変形程度が低い状態でフィルムの損傷に耐えるためには、被覆の十分な破裂強度がさらに必要である。したがって、高度の被覆レベルを使用する場合以外は、もろいポリマーは被覆材料としての塗布に適さない。あるいは、圧縮時のフィルムの柔軟性を増すために大量の可塑剤を付加しなければならないが、この物質は貯蔵中に製品から浸出することがある。オイドラギットL30D−55フィルムの柔軟性は、これをオイドラギットNE30Dと混合することでさらに向上が可能だが、緩衝液ステージ中の薬物放出は、米国薬局方要件に適合しないおそれがある(Beckert, T.E., Lehmann, K., Schmidt, P.C. Compression of enteric-coated pellets to disintegrating tablets. International Journal of Pharmaceutics 143, 13-23 (1996))。オイドラギット(Eudragit)L30D−55のみを使ったフィルムは、TECを使って可塑化し、比較的高い被覆レベル(25%)にしても、圧縮によって引き起こされる損傷に耐えるには脆弱すぎる。コリコート(Kollicoat)30D MAE30DP単独で被覆されたペレットは、このポリマーの脆性のために圧縮後に腸溶性を失ったが、コリコート(Kollicoat)30D MAE30DPとコリコートEMM30Dの混合物は、酸性媒体中での十分な保護性を提供した(Dashevsky, A., Kolter, K., Bodmeier, R. Compression of pellets coated with various aqueous polymer dispersions. International Journal of Pharmaceutics 279, 19-26 (2004))。Altafと共同研究者らは、アクアコート(Aquacoat)ECD−30の被覆の破砕を、ペレットを追加のPEOの層でスプレー被覆することによって軽減した(Altaf, S.A., Hoag, S.W., Ayres, J.W. Bead compacts. II. Evaluation of rapidly disintegrating nonsegregating compressed bead formulations. Drug Dev IndPharm 25, 635-642 (1999))。膨張性ポリマーが溶解中に水和し、圧縮中に被覆内で形成されたクラックのシーリング材として作用したとみられる。
【0037】
融解ペレット化によって調製された蝋/デンプンのビーズ等の緩衝剤を重量パーセント50%の濃度で最終的な錠剤へ付加することは、オイドラギットNE 30Dで被覆された塩酸ジルチアゼムペレットの損傷を軽減することが実証された(Vergote, G.J., Kiekens, F., Vervaet, C., Remon, J.P. Wax beads as cushioning agents during the compression of coated diltiazem pellets. European Journal of Pharmaceutical Sciences 17, 145-151 (2002))。Debunneと同僚らは、圧縮後に被覆ピロキシカムのペレットの溶解特性を保持するために、類似の戦略をとった(Debunne, A., Vervaet, C. & Remon, J.-P. Development and in vitro evaluation of an enteric-coated multiparticulate drug delivery system for the administration of piroxicam to dogs. European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 54, 343-348 (2002))。可塑化されたオイドラギットL30D55のみで被覆された腸溶性ペレットは、2時間にわたって十分な胃酸耐性を提供したが、蝋状ペレットの量は有効ペレット装填量を超えざるを得なかった(Debunne, A., Vervaet, C., Mangelings, D., Remon, J.-P. Compaction of enteric-coated pellets: influence of formulation and process parameters on tablet properties and in vivo evaluation. European Journal of Pharmaceutical Sciences 22, 305-314 (2004))。さらに、これらの緩衝粒子の調製は労働・費用集約的であり、錠剤の崩壊を妨害するおそれがある。ペレットの錠剤用賦形剤としての多孔質の顆粒の利用も、ペレット表面のへこみ形成を低減することが示されたが、圧縮時に表面が扁平化することによる変形を防ぐことはできなかった(Tunon, Å., Alderborn, G. Granule deformation and densification during compression of binary mixtures of granules. International Journal of Pharmaceutics 222, 65-76 (2001))。緩衝剤として作用する錠剤成形用添加物の効率は、その粒径によってさらに制限される。エチルセルロース被覆テオフィリン粉末についてYao et alが実施した研究は、錠剤用賦形剤について、粒径の小さいほうが圧縮時の緩衝能の効率が良いため、フィルムの損傷防止性が優れていることを実証した(Yao, T., Yamada, M., Yamahara, H., Yoshida, M. Tableting of Coated Particles. II. Influence of Particle Size of Pharmaceutical Additives on Protection of Coating Membrane from Mechanical Damage during Compression Process. Chemical & Pharmaceutical Bulletin 46, 826-830 (1998))。
【0038】
以上で詳細に説明したように、圧縮時の粒子の変形は機能性フィルムの破裂を引き起こす。フィルムのクラッキングは錠剤中の粒子装填量の関数であり、多粒子の大量装填に対する圧縮法の適用性を制限する。約30重量パーセントに至る粒子装填のみの多粒子の表面は変形をこうむり、そのためフィルムが損傷することが報告されている(Beckert, T.E., Lehmann, K., Schmidt, P.C. Compression of enteric-coated pellets to disintegrating tablets. International Journal of Pharmaceutics 143, 13-23 (1996))。装填量が増えると、固い粒子の表面が相互に接触するため、錠剤内部での粒子の変形がさらに増える。個々の多粒子への崩壊は、圧縮時の粒子の融合によってさらに阻害される。この現象も、大量粒子装填の応用性を制約する。
【0039】
粒子と錠剤用添加物との粒径、粒子形状、及び真密度の違いのために、多粒子の錠剤化はさらに困難である。最終剤形の内容物の均一性は、錠剤成形中の混合物の分離及び粉体流動性の悪さによって損なわれるおそれがある。内容物の均一性に関する欠点を克服するために、被覆されたペレットに錠剤用賦形剤の被覆を直接かぶせる(Altaf, S.A., Hoag, S.W., Ayres, J.W. Bead compacts. I. Effect of compression on maintenance of polymer coat integrity in multilayered bead formulations. Drug Dev Ind Pharm 24, 737-746 (1998))、錠剤用賦形剤を同じ大きさの偽薬ペレットに加工する(El-Mahdi, I.M., Deasy, P.B. Tableting of coated ketoprofen pellets. Journal of Microencapsulation 17, 133-144 (2000))、あるいは粒径の小さい充填材を利用する(Wagner, K.G., Krumme, M., Schmidt, P.C. Investigation of the pellet-distribution in single tablets via image analysis. European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 47, 79-85 (1999))などの、様々な戦略が採用されてきた。これらのアプローチの大半は調製ステップを増やすことになり、結果的に操業費用がかさむ。Beckertと共同研究者らは、錠剤製剤中のペレット比率が内容物の均一性に及ぼす影響を調査した(Beckert, T.E., Lehmann, K., Schmidt, P.C. Compression of enteric-coated pellets to disintegrating tablets: uniformity of dosage units. Powder Technology 96, 248-254 (1998))。内容物の均一性は、ペレット装填量を最大70%まで増やすことで改善し、圧縮時の分離を阻害するペレットの浸透性クラスター形成により、充填剤の粒径には関係しなくなった。この高い装填レベルでは、錠剤の調製は難しくなり、結合力の強い充填材を利用する場合にのみ可能になった。だが、重量パーセント10%のペレットを含む錠剤は、薬物含有量の変動が大きく、内容物の均一性についての米国薬局方要件を満たさなかった。
【0040】
もう1つの方法として、空洞のある型に融解した担体とペレットを交互に注入することによって、腸溶性ペレットを錠剤型のプラグに埋め込むことができる(Schmidt, C., Bodmeier, R. A multiparticulate drug-delivery system based on pellets incorporated into congealable polyethylene glycol carrier materials. International Journal of Pharmaceutics 216: 9-16 (2001))。報告された工程は、手作業で不連続であり、かつ担体が硬化してペレットの沈殿を防止できるように中断を設ける必要があった。研究はさらに、担体としてポリエチレングリコールに、またマトリックス中のペレット装填量は8〜12%に制限された。
【0041】
熱加工は一般に、またとりわけホットメルト押出成形は、医薬品用のマトリックス系を製造するために、プラスチック産業が採用している。通常、治療用化合物は、粉末又は顆粒として製剤に含まれ、加工の際は、蝋又はポリマーなどの融解した熱可塑性担体に入れられて分散される。熱加工では、温度を上げて剪断力をかける。ホットメルト押出成形は、一般に、水難溶性化合物の固体分散体の調製に利用される。学術文献においては、押出製品中の薬物の固体状態及び区別される相の数に応じ、固体溶液、非晶混合物又は固体懸濁液が説明されている。大半の事例では、薬物粒子は粒径の低下、溶融、及び/又は現場での溶解を経験し、結果的に、バルク材と比較した場合の個体分散体中の活性化合物の特性が変化する。担体基材の非晶化、粒径低減、及び親水性コーティングは、大半の固体分散体で観察される溶解プロファイル上昇についての最も適切な説明である。Miller et alが出願した特許は、加工中又は貯蔵中の固体状態変形又は再集合を防止したうえで、結晶質又は非晶質の事前製造薬物粒子の二次凝集体を分解し、担体中の個々の粒子を分散させるための、ホットメルト押出成形による製剤及び調製方法を開示している(WO 2007/001451: Stabilized HME composition with small drug particles. Miller, D., McConville, J., McGinity, J.W., Williams, R.O. III (2007))。凝固後、材料は粉末に粉砕されて後加工されるか、又は錠剤、小ロッド、又はシリンダー状に切断されてその後球状化される。薬物放出の動力学は、主として担体材料の膨張及び浸食の動力学、剤形の形状、及び活性化合物の粒径と固体状態によって決まる。
【0042】
第1のステップとして、治療用化合物を含む調節放出型多粒子が調製される。次に、これらの調節放出型多粒子が、1又は2以上の押出成形可能な薬剤と混合され、例えばホットメルト押出成形法で押出されて最終製剤になり、その中で、50、60、70、80、90%、又はそれ以上の比率の調節放出型多粒子は、押出成形マトリックスからの放出の際に、押出成形以前と同一又は同等の放出プロファイルでその活性剤又は治療剤を放出する。例えば、最終製剤が、例えば胃を通過した後に調節放出型多粒子を放出する押出成形可能なマトリックスを含む場合、調節放出型多粒子は、その放出プロファイルによって薬物を放出し、それによって2つの別々の活性剤の放出のメカニズム又はプロファイルを提供する。
【0043】
本明細書で使用する際は、「多粒子(multi-particulates)」という用語は、調節型薬物放出プロファイルを有するペレット、ビーズ、球、小錠剤、シード、長球、又は顆粒等の1又は2以上の単位投薬システム(unit dosage system)を指すが、これらに限定されない。多粒子は、薬物放出制御及び/又は薬物保護のためのポリマーフィルム又はポリマーマトリックスなどのフィルム又はマトリックスを含み、その完全性又は効率性は、後加工中に発生することのある熱又は機械的力といった特定の条件の影響を受けやすい。「コア材料」という表現は、機能性被覆も含んでもよい、多粒子の内部部分の性質を説明する。「コア材料」の例には、ペレット(薬物とさらなる賦形剤とを含む球形のマトリックス系)、顆粒(大半が薬物で構成される球性が低い粒子)、又はノンパレル(薬物を含まない球形の粒子)がある。
【0044】
「治療用化合物(therapeutic compound)」、「薬物(drug)」、及び「活性薬用成分(active pharmaceutical ingredient)」という用語は互換的に使用され、体内で一定の薬理学的効果を示し、その目的のために投与される化学的実体を指す。
【0045】
治療用化合物の非限定的な例としては、抗生剤、鎮痛剤、ワクチン、抗痙攣剤、抗糖尿病剤、抗真菌剤、抗腫瘍剤、抗パーキンソン剤、抗リューマチ剤、食欲抑制剤、生物反応修飾物質、心血管作動薬、中枢神経系興奮薬、避妊薬、栄養補助食品、ビタミン、ミネラル、脂質、糖分、金属、アミノ酸(及び前駆体)、核酸及び前駆体、造影剤、診断用薬、ドーパミン受容体作動薬、勃起不全薬、排卵誘発剤、胃腸薬、ホルモン、免疫調整剤、抗高カルシウム血症薬、肥満細胞安定化薬、筋弛緩剤、栄養剤、点眼薬、骨粗鬆症薬、精神治療薬、副交感神経興奮剤、副交感神経遮断剤、呼吸器薬、鎮静催眠剤、皮膚・粘膜用薬、禁煙薬、ステロイド、交感神経遮断剤、尿路薬、子宮弛緩剤、膣剤、血管拡張剤、血圧降下剤、甲状腺機能亢進剤、抗甲状腺機能亢進剤、抗ぜんそく薬、めまい薬があるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、1又は2以上の治療用化合物は、水溶性薬物であったり、水難溶性薬物であったり、又は融点が低い薬物、融点が中程度の薬物、あるいは融点が高い薬物であったりする。治療用化合物は、安定化用の塩類を伴い、又は伴わずに提供されることがある。
【0046】
本明細書中で使用する際は、「破砕性(friability)」という用語は、本発明の多粒子又は粒子の、崩壊し、割れ、破裂し、又は加工若しくは取扱時の摩擦により被覆がこすれて剥落し、若しくは割れて剥落する傾向を指す。本発明において、多粒子にこうした破砕性が生じると、こうした粒子は要求される治療用化合物(又は薬物)の放出を提供することができず、またその剤形が使用できなくなる。本発明は、熱マトリックスと多粒子の同時押出成形のために選定される温熱条件が、押出マトリックスに押出される多粒子の破砕性を低減してほぼ排除し、それによって、押出されたマトリックスと多粒子の両方の放出プロファイルを合体させる利点があるために、従来技術に比べ、有意義な利点を提供する。特定の事例では、多粒子の破砕性は、多粒子が加工若しくは形成された方法、多粒子が被覆された方法、又は被覆(もしあれば)の組成物によって決定される。それに応じて、例えば(1又は複数の)粉末、シェル、被覆、結合剤、ポリマー、及び/又は賦形剤などの被覆(シェル)の組成物は、最終製品がチッピング、破損、摩擦、擦れ等に対して少なくとも中程度の抵抗性を持つように選定される。これを達成するための材料選定は当業者には周知であり、実施例中でさらに説明される。
【0047】
粒子を含む薬物の製造には様々な調製方法が使用され、高い機械的強度は必要ない。調製方法の例には、湿塊押出成形と球状化、湿式造粒法と噴霧積層化がある。ホットメルト押出成形、圧縮成形、又は類似の熱加工を含むその他の方法が利用できる。
【0048】
ポリマーコーティングは、薬物の放出を調整し、及び/又は薬物を環境から切り離して保護するために、コア材料に塗布することができる。被覆レベルは、熱加工時の安定性を確保するために10%超、より好ましくは重量パーセント20%超のポリマー重量利得とするべきである。熱加工温度より高温のガラス転移温度を有するポリマーの塗布は、被覆の現場軟化を防止するために必要かもしれない。だが、製剤の最適化は多粒子の高温暴露期間を最小限に抑制し、この要求は余分になる。調節放出型被覆と担体マトリックスの間の障壁として、追加の水溶性被覆を調節放出型被覆の最上層に塗布することを選択することができる。
【0049】
多粒子の中に存在するすべての賦形剤及び治療用化合物は、供給温度の下で十分な熱安定性をさらに提示するべきである。
【0050】
多粒子の粒径要件は、選択される方法及び加工条件に強く依存し、ホットメルト押出成形の場合には、押出機の構造に強く依存する。粒径が約800μmを超えず、好ましくは約300〜500μmの粒子は、ホットメルト押出成形による加工に最も適する。単軸押出機は、二軸押出機よりいくつかの利点があるが、最終目的は、熱加工の間に原粒子特性を保持することである。
【0051】
担体マトリックスは、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー又は融解可能脂質を含み、また、錠剤分解物質、流動促進剤、可塑剤、酸化防止剤、遅延剤若しくはその他の放出調製剤、界面活性剤、安定化剤又は加工助剤などのさらなる機能性賦形剤も含むことができる。「マトリックス」という用語は、多粒子を取り巻き、多粒子の剤形を提供する材料を指す。
【0052】
「熱可塑性」という用語は、ポリマーについて使用する場合、加温時に融解及び/又は軟化が発生して成形が可能になるうえ、良好な化学的安定性を維持する1又は2以上のポリマーを指す。マトリックス材料に使用できる熱可塑性ポリマーの例には、ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)コポリマー、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルアルコール)、カルボマー、ポリカルボフィル、セルロース誘導体、天然ゴム、ポビドン、ポリ(ビニルアセテート)、アルギン酸塩、アクリル系ポリマー及びメタクリルポリマーがあるが、これらに限定されない。脂質は、蜜蝋などの蝋、カルナバ蝋、グリセリド(モノ−、ジ−、トリ−)、GMS、GMO、スクロースステアリン酸塩を含む。コポリマー又は物理的混合物の形態での適切なポリマー及び/又は脂質の組合せがマトリックス材料として使用できることは考慮されており、本発明の範囲に含まれる。
【0053】
多粒子は、押出成形に先立って担体ポリマーと混合し、又は押出成形工程で容器に沿って別のポートを用いて担体に投与することができる。多粒子を金型帯の周辺に位置するポートから供給することは、粒子の熱ストレス及び剪断力への暴露を低減することができ、また多粒子の物理的及び機能的な完全性を高めることができる。
【0054】
熱加工の条件下で、多粒子は、原粒子の薬物放出特性がマトリックス製品中で保持されるように、全般的物理的完全性を保持しなければならない。これは、次の1又は2以上の要件に合致する担体ポリマーを利用することによって達成される。すなわち、比較的低い温度で融解又は軟化するため、その発生可能性が温度の関数として増加する軟化、変形、担体ポリマー中での溶解、又は温度の作用により可能性の増す化学分解などの熱に誘導される過程によって、多粒子の完全性が損なわれないこと。融解粘度が低いため、ホットメルト押出成形中のスクリューの回転にかかる抵抗が少なく、また多粒子にかかる剪断力を最小限に抑えること。固体状態中での流動性が高く、融解粘度が低いため、押出機容器からの移動が迅速に行え、組成物の押出機容器内滞留時間が短縮され、それによって材料が高温に暴露される時間が短縮されること。とりわけ小球グレードが優れた流動性を生む。粒径、球の形状及び真密度に関する多粒子との類似性により、混合物の分離を防ぎ、最終製品の内容物の均一性が確保されること。多粒子中の賦形剤との分子間相互作用の度合いが低く、押出成形時に熱可塑性担体との直接接触が起きること。
【0055】
結果として生じるマトリックス系は、ストランド、円筒、錠剤、中空管又はフィルムとして製造することができる。後加工には、造粒その他の切削技術、カレンダー加工、成型又は球状化など、所望の形状をもった剤形を作り出すための様々な製品成形技術を含むことができる。
【0056】
最終剤形は、薬物の制御放出及び/又は環境影響からの保護に関し、未加工多粒子に匹敵する性質を呈する。本明細書中で使用する際は、「調節放出(modified release)」及び「制御放出(controlled release)」という用語は互換的に使用され、米国薬局方31(<711> Dissolution. in USP 31-NF (2008))で使用される薬物放出プロファイルの即放性、徐放性又は放出遅延を説明することを意図し、放出制御要素の存在を必要とする。放出制御要素は機能性被覆であることができ、及び/又はマトリックス材料によって提供されることができる。
【0057】
本発明は、腸溶性マトリックスペレットのホットメルト押出成形のための製剤及び調製方法をさらに開示する。本発明中で説明されるペレットは、平均粒径が500〜3000μmで、好ましくは500〜1000μmであり、可塑化されたアニオン性ポリマーのマトリックス中の薬用活性物質(薬物)を含む。本明細書で開示されるペレットは、pH1.2の模擬胃液中で2時間後に薬物の10%未満を放出し、pH6.8の緩衝液又はpH7.4の緩衝液中でさらに2時間後に40%超を放出する。本発明中で開示されるペレットは、従来の方法で調製されたペレットより後加工に適する、高い機械的強度と低い破砕性をさらに提示する。後加工の例は、機能的フィルムコーティング、直接圧縮、カプセルへの充填及び単体システムへの溶融押出成形を含む。
【0058】
アニオン性ポリマーは、酸性ステージでプロトン化されるがpH上昇後にイオン化するアニオン基を含む。放出制御マトリックスとして使用されるアニオン性ポリマーは、低いpHにおいては不溶性で、溶出試験の酸性ステージにおける薬物透過性は低い。緩衝液ステージでは、ポリマーの酸性基がイオン化し、マトリックスの膨張及び/又は浸食により薬物の放出を増やす。特に適するのは、様々な比率のメタクリル酸塩とメタクリル酸のコポリマー(オイドラギットS及びオイドラギットL)又はその混合物である。
【0059】
溶融押出成形工程に使用される薬学的に許容されるアニオン性ポリマーは、高いガラス転移温度と加工条件における高い融解粘度を有する。本発明によると、許容される可塑剤又は可塑剤混合物は、ポリマーのガラス転移温度と融解粘度を引き下げ、高い加工温度で発生する熱分解を回避するために十分な量が製剤に加えられる。許容される可塑剤は、毒性がなく、安全と見られ、高度のアニオン性ポリマー可塑化効率を呈し、酸性ステージでの薬物放出を10%を上回るまで上昇させない。
【0060】
ペレットは、1又は2以上の薬用活性物質を含み、薬物レベルは合わせて約0.1〜70%、好ましくは5〜40%である。ペレット製剤は、ペレットの化学的安定性、加工性又は放出特性を向上させる、熱潤滑剤、流動促進剤、及び/又は酸化防止剤などの追加的な賦形剤及び/又は加工助剤をさらに含む。
【0061】
本発明のホットメルト押出成形の工程は、溶媒や労働集約的な乾燥処理を回避する1ステップの連続工程であることから、従来のペレット調製方法よりも有利である。開示された組成物の構成要素は、一般に利用可能な製粉機器及び混合機器を利用して、押出成形に先立って粒径を引き下げ、及び/又は混合することができる。一般に使用される様々な大きさの1又は2以上の温度帯を備える単軸又は二軸押出機が、本発明によって使用できる。ポリマーを十分に低い融解粘度に融解させるために、少なくとも1つの加温帯の温度は、可塑化ポリマーのガラス転移温度より、最低でも10℃、好ましくは最低30℃高くなるように選択されなければならない。押出温度は、ポリマーの、又はその他の製剤成分の熱分解温度よりもさらに低くなければならない。押出されたストランドの直径と形は、主としてダイオリフィスの直径及び形状によって決まるが、ポリマー溶融体の粘性と弾性を併せ持つ性質によって影響されることもある。本発明によれば、直径500〜1000μmの円形金型が好ましい。押出されたストランドは、熱い状態で、又は室温まで冷却した後に円筒形のペレットに切断することができ、またさらに球状化することができる。後続の連続法又は半連続法による小球化及び球状化のために、いくつかの技術が開発されている(Young, C. R., Koleng, J. J., McGinity, J. W. Production of spherical pellets by a hot-melt extrusion and spheronization process. International Journal of Pharmaceutics 242: 87-92 (2002)), (US 2007/ 0264328: Continuous melt spheronization apparatus and process for the production of pharmaceutical pellets. Ghebre-Sellassie, I., Martin, C., Elliot, B. (2007)), (European Patent No. 1563897 Device for producing round pellets. Rein R. (2005))。
【0062】
「腸溶性試験(enteric dissolution testing)」及び「腸内薬物放出(enteric drug release)」という用語は、放出遅延剤形について米国薬局方31チャプター<711>に説明されるものとして解釈される(<711> Dissolution. in USP 31-NF (2008))。
【0063】
「徐放性薬物放出」という用語は、徐放性剤形について米国薬局方31チャプター<711>に説明されるものとして使用される(<711> Dissolution. in USP 31-NF (2008))。
[実施例]
【実施例1】
【0064】
コア材料
【0065】
【表1】

【実施例2】
【0066】
ペレットの調製
所望する粒径のペレットの調製には次の手順が使用できる。薬物と微結晶性セルロースをボウルに入れ、使用前に10分間、完全に混合した。PVP K25を水に溶かし、この結合剤溶液を、撹拌中の粉末中に滴状に添加する。次に、湿塊化された材料をLCIベンチトップ造粒機に移し、0.6mmのスクリーンを通し、ブレード回転速度50rpmで押出した。押出されたストランドをCaleva Model 120スフェロナイザーに入れ、700rpmで3分間回転させる。得られたペレットを、40度のオーブンで24時間乾燥させ、篩にかける。300〜500μmの分級物を後続の腸溶性コーティングに使用する。
【0067】
【表2】

【実施例3】
【0068】
ノンパレルの薬物積層化
所望する粒径範囲の活性積層化ノンパレルは、次の手順を用いて調製された。
【0069】
【表3】

【0070】
100%の微結晶性セルロースNF製で、粒径300〜500μmのノンパレル(Celphere(登録商標)CP305、旭化成アメリカ社)の250gバッチをStrea−1流動床塗装装置(Acromatic-Fielder)内に導入し、テオフィリン及びHPMC E3の含水分散剤で積層化し、以下の条件を適用した。
【0071】
【表4】

【0072】
得られた積層化粒子を乾燥させ(40度のオーブンで24時間)、腸溶性コーティングに先立って篩にかけた。
【実施例4】
【0073】
コア材料の腸溶性コーティング
コア材料(ペレット、顆粒、ノンパレル)に腸溶性コーティングを施すには、次の製剤及び加工方法が使用できる。代替可能な機能性ポリマー、可塑剤又は粘着防止剤を使用することができる。フィルムコーティングされた粒子は、40度のオーブン又は被覆装置内で一晩乾燥させ、篩にかけて、300〜500μmの分級物を後続のホットメルト押出成形に使用することができる。
【0074】
【表5】

【0075】
【表6】

【0076】
腸溶性コーティング多粒子にポリマートップコーティングを追加塗布して、後続のホットメルト押出成形加工時の高温及び/又は剪断力に対する抵抗性を高めることができる。
【実施例5】
【0077】
腸溶性マトリックスペレットのホットメルト押出成形
所望する粒径の腸溶性マトリックスペレットの調製には、次の製剤及び手順を使用することができる。押出成形用粉末混合物は、使用前にマトリックスを可塑剤と混合し、その後、適切な混合装置を用いて薬物と混合することによって調製した。薬物を装填したポリマーストランドの調製に、同時回転二軸と円形の500μm金型を装備した小型押出機(Haake Minilab、Rheomax CTW5、Thermo Electron、ドイツ)が使用でき、その後、このストランドを切断して円筒状ペレットを得る。ペレットは、後続のステップで適切な球状化装置を用いて球状化することができる。
【0078】
【表7】

【実施例6】
【0079】
腸溶性マトリックスペレットのインビトロ法薬物放出試験
ペレットからの薬物放出特性は、米国薬局方31、方法<711>放出遅延剤形用方法Aに記載されるようにして決定することができる。媒体温度を37±0.5℃に保つために水槽付きパドル設備(装置2)を使用し、パドル速度を50rpmに設定した。製剤を、pH1.2の模擬胃液(ペプシンなし。酸性ステージとして参照)750ml中に2時間おき、その後に流体の部分標本を採取する。2時間後に、37±0.5℃で平衡化した0.20M三塩基リン酸ナトリウム250mlを付加し、媒体のpHをそれぞれ6.8又は7.4に引き上げた(緩衝液ステージ)。試験時間終了後、残りの粒子は、残留薬物を完全に放出するために高剪断力ホモジナイザーで混合することによって完全に破壊し、流体の部分標本をろ過して分析し、有効なHPLC法を用いて放出総量を決定した。少なくともn=3の全数平均値を得て、放出総量中の放出比率を%で報告した。
【0080】
【表8】


【実施例7】
【0081】
調節放出型多粒子のホットメルト押出成形
以下は、Randcastle Microtruder RCP−0750を用いて腸溶性粒子を埋め込んだ一体式マトリックスのホットメルト押出成形の実施例である。様々な担体ポリマーが使用でき、多粒子の装填量はさまざまに異なる。
【0082】
【表9】

【0083】
多粒子とポリマーを、Vシェルブレンダー又は代替可能な混合装置中で混合した。製剤は優れた流動性を発揮し、ホッパーを通し、追加的な力を加えず重力のみによって容器内へ供給された。ホッパー又は押出機内での混合要素の分離は、粒子が球状であり、また粒径と真密度が類似していることにより低減された。採用される押出機には、次の加工条件を使用する。押出成形装置、スクリュー速度、温度設定及びモーターの負荷/トルクは変更が可能である。
【0084】
【表10】

【実施例8】
【0085】
多粒子の直接圧縮
機能性被覆粒子(30%)、微結晶性セルロース(Ceolus(商標)KG−802、65%)、及び超崩壊剤(Ac−Di−Sol(登録商標)、5%)は、凹面10mm径金型を装備した単ステーション手動カーバープレスを用い、直接圧縮して円形の錠剤(333mg。100mg粒子に相当。)にすることができる。圧縮力は5kN、錠剤の固さは17.1±1.6kPであった。
【実施例9】
【0086】
腸溶性多粒子とホットメルト押出成形マトリックスのインビトロ法薬物放出試験
粒子又はホットメルト押出成形マトリックスからの薬物放出特性は、米国薬局方31、方法<711>放出遅延剤形用方法Aに記載されるようにして決定することができる。媒体温度を37±0.5℃に保つために水槽付きパドル設備(装置2)を使用し、パドル速度を100rpmに設定した。製剤を、pH1.2の模擬胃液(ペプシンなし。酸性ステージとして参照)750ml中に2時間おき、その後に流体の部分標本を採取する。2時間後に、37±0.5℃で平衡化した0.20M三塩基リン酸ナトリウム250mlを付加し、媒体のpHをそれぞれ6.8又は7.4に引き上げた(緩衝液ステージ)。試験時間終了後、残りの粒子は、残留薬物を完全に放出するために高剪断力ホモジナイザーで混合することによって完全に破壊し、流体の部分標本をろ過して分析し、有効なHPLC法を用いて放出総量を決定した。少なくともn=3の全数平均値を得て、放出総量中の放出比率を%で報告した。
一体式マトリックスへの押出成形前後の多粒子の溶解作用を図2〜図5に示す。
【実施例10】
【0087】
多粒子の引張強度の決定
コア材料、被覆多粒子、及びホットメルト押出ペレットの機械的強度は、Chatillon Universal Tension/Compression試験機モデルTCD−200を用いて決定した。円形の鋼製平板をDFGS 50デジタルフォースゲージに装着し、1個の粒子に向かって直径方向へ、クロスヘッド速度2.5mm/分で下ろした。荷重−たわみデータは、Chatillon Nexygen TCD荷重試験ソフトウェアを用いて収集した。機械的強度は、引っ張り強さとして報告し、次の式を用いて算定した:
σ=2P/πdl
【0088】
実験用に、直径(d)が長さ(l)と等しい標本を選択し、粒子の脆性分解が発生する最大荷重(P)を用いて計算した。
【0089】
【表11】

【0090】
【表12】

【0091】
本明細書で取り上げる実施形態は、いずれもいかなる方法、キット、試薬又は本発明の組成物に関しても実施可能であること、またその逆もまた同様であることが考慮されている。さらに、本発明の組成物は、本発明の方法を達成するために使用することができる。
【0092】
本明細書に記載される特定の実施形態は、例示として示されるものであり、本発明を制約するものではないと理解される。本発明の主たる特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態中に採用できる。当業者は、通常の経験をもって、本明細書中に記載される特定の手順について多数の同等物を認識し、又は確認することができる。こうした同等物は、本発明の範囲内にあり、本請求の対象となるものと考えられる。
【0093】
本明細書中で言及されるすべての出版物及び特許出願は、本発明が属する当業者の技能の水準を示す。すべての出版物及び特許出願は、それぞれの個別出版物又は特許出願が参照によって組み入れられることを特定かつ個別に明示された場合に準じて、ここでの参照によって組み入れられる。
【0094】
特許請求の範囲及び/又は明細書中で、「含む」という用語と合わせて「a」又は「an」の用語が使用される場合、「1つ」を意味することがあるが、また「1又は2以上の」、「少なくとも1つの」、及び「1つ以上の」の意味とも合致する。開示ではもっぱら代替物及び「及び/又は」を参照する定義を使用するが、特許請求の範囲で「又は」の用語が使用される場合には、明示的に代替物のみを指すとき、又は代替物が相互に排他的であるときを除き、「及び/又は」の意味で使用される。本出願の全体を通して、「約」の用語は、その値が、装置、その値を決定するために採用されている方法の固有の誤差のばらつき、又は研究対象中に存在するばらつきを含むことを示すために使用される。
【0095】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される際は、「含む(comprising)」(及び「含み(comprise)」、「含んだ(comprises)」等のその活用形)、「有する(having)」(及び「有し(have)」、「有した(has)」等のその活用形)、「含む(including)」(及び「含み(include)」、「含んだ(includes)」等のその活用形)、又は「含有する(containing)」(及び「含有し(contain)」、「含有した(contains)」等のその活用形)等の用語は、包括的又はオープン性を示し、追加の列記されていない要素又は方法ステップを排除しない。
【0096】
本明細書で使用する「又はその組合せ」の用語は、その用語の前に掲出された項目のすべての順列と組合せを指す。例えば、「A、B、C、又はその組合せ」は、A、B、C、AB、AC、BC、又はABCの少なくとも1つを含むことを意味し、また特定の文脈において順序が重要な場合は、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、又はCABも含む。この例の延長で、BB、AAA、MB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABB等、項目又は用語の1又は2以上の繰り返しを含む組合せは明示的に含まれる。熟練した当業者は、文脈から別途明らかな場合を除き、通常、項目又は用語の数に制限がないことを理解されよう。
【0097】
本明細書で開示され、請求される組成物及び/又は方法のすべては、本開示に照らして、過度の実験をせずに作成及び実行することができる。本発明の組成物及び方法は、好ましい実施形態について記載されているが、当業者にとっては、本発明の概念、精神及び範囲から逸脱することなく、組成物及び/又は方法に、また本明細書中で記載される方法のステップ又は一連のステップに、変形版が適用できることは明らかであろう。当業者にとって明らかなかかる類似の代替物及び変更はすべて添付の特許請求の範囲で定義される本発明の精神、範囲及び概念に含まれる。
(参考文献)
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15. Debunne, A., Vervaet, C., Mangelings, D., Remon, J.-P. Compaction of enteric-coated pellets: influence of formulation and process parameters on tablet properties and in vivo evaluation. European Journal of Pharmaceutical Sciences 22, 305-314 (2004).
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23. WO 2007/001451: Stabilized HME composition with small drug particles. Miller, D., McConville, J., McGinity, J.W., Williams, R.O. III (2007).
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25. Young, C. R., Koleng, J. J., McGinity, J. W. Production of spherical pellets by a hot-melt extrusion and spheronization process. International Journal of Pharmaceutics 242: 87-92 (2002).
26. US 2007/ 0264328: Continuous melt spheronization apparatus and process for the production of pharmaceutical pellets. Ghebre-Sellassie, I., Martin, C., Elliot, B. (2007).
27. European Patent No. 1563897 Device for producing round pellets. Rein R. (2005).


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の1又は2以上の治療用化合物を有する1又は2以上の調節放出型多粒子を含む制御放出型医薬製剤であって、前記多粒子が、公知の薬物放出プロファイルを有し、熱加工されて熱可塑性ポリマーマトリックス又は脂質材料、あるいはその両方の中の押出物となり、熱加工条件が、前記熱可塑性ポリマーマトリックス又は前記脂質材料から放出される際に多粒子の公知の薬物放出プロファイルの大部分を維持する制御放出型医薬製剤。
【請求項2】
押出物が、少なくとも80%のインタクトな多粒子を含む、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項3】
多粒子が、ポリマーフィルムコーティングを含む、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項4】
多粒子に固有の薬物放出制御又は薬物保護原理が、ポリマーマトリックス又は疎水性材料を含む、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項5】
多粒子が、腸溶性薬物放出コーティングを含む、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項6】
多粒子が、1又は2以上の治療用化合物の徐放のために被覆される、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項7】
多粒子が、1又は2以上の治療用化合物に防水性を付与するために被覆される、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項8】
調節放出型多粒子が、追加の水溶性トップコーティングで被覆される、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項9】
多粒子が、マトリックス中に存在する1又は2以上の治療用化合物と1又は2以上の賦形剤との不適合を最小限にするために加工される、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項10】
多粒子が、フィルムで被覆された薬物顆粒、フィルムで被覆された薬物装填済みペレット、又はフィルムで被覆され、薬物で積層されたノンパレルである、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項11】
多粒子のサイズが、50〜800μm、好ましくは300〜500μmである、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項12】
多粒子のポリマーフィルムコーティングが、前記多粒子の被覆なし重量基準で10%〜60%(重量パーセント)、より好ましくは15〜30%、最も好ましくは20〜30%のポリマーを含む、請求項3に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項13】
ポリマーフィルムコーティング中の1又は2以上のポリマーが、ポリメタクリル酸塩、セルロース誘導体、多糖類、タンパク質、又はビニルポリマーからなる群から選択される、請求項3に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項14】
ポリマーフィルムコーティングが、ポリマーの重量パーセント基準で0〜30%の可塑剤を含む、請求項3に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項15】
可塑剤が、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジブチル、及びフタル酸ジエチルからなる群から選択される水難溶性可塑剤である、請求項14に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項16】
多粒子が、5〜80重量パーセントの1又は2以上の治療用化合物を含む、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項17】
熱可塑性ポリマーマトリックスが、少なくとも部分的に結晶構造のポリマーで融点が80℃未満の1又は2以上の構成要素を含む、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項18】
熱可塑性ポリマーマトリックスが、分子量が約1,000,000未満のポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)コポリマー、ポリ(エチレングリコール)又はポリ(エチレンオキシド)からなる群から選択される、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項19】
多粒子の重量パーセントが、5〜70重量パーセントである、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項20】
調節放出型多粒子が、水性媒体中において2時間未満で溶解又は崩壊して調節放出型多粒子を放出する、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項21】
調節放出型多粒子が、拡散によって薬物を放出する腸溶性ポリマー又は水不溶性調節放出型ポリマーを含むとさらに定義される、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項22】
調節放出型多粒子が、腸溶性の被覆を施され、腸溶性コーティング調節放出型多粒子を含む剤形から酸性媒体中で10%未満の薬物が放出され、また媒体がpH6.8超に変更された場合、米国薬局方中で示される緩衝媒体中で45分間に80%超の薬物が放出される、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項23】
調節放出型多粒子が、遅延剤マトリックスをさらに含み、前記遅延剤マトリックスが、腐食又は崩壊して調節放出型多粒子を放出する、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項24】
マトリックスと調節放出型多粒子の両方が、フィルムコーティング又はマトリックスコーティング、あるいはその両方を施される、請求項1に記載の制御放出型医薬製剤。
【請求項25】
有効量の1又は2以上の治療用化合物を有する1又は2以上の調節放出型多粒子を含む制御放出型医薬製剤であって、前記多粒子が、公知の薬物放出プロファイルを有し、熱加工されて、加工中の多粒子の完全性を維持する熱加工条件下で、熱可塑性ポリマーマトリックス又は脂質材料、あるいはその両方の中の押出物となる制御放出型医薬製剤。
【請求項26】
押出物が、少なくとも80%のインタクトな多粒子を含む、請求項25に記載の製剤。
【請求項27】
平均粒径が300〜3,000μmの1又は2以上の調節放出型ペレットを含む制御放出型医薬製剤であって、前記1又は2以上の調節放出型ペレットが、1又は2以上のアニオン性ポリマーのマトリックスに埋め込まれた薬用活性物質及び加工助剤を含む制御放出型医薬製剤。
【請求項28】
pH1.2の模擬胃液中で、薬用活性物質の10%が、2時間後に放出され、pH6.8の緩衝液又はpH7.4の緩衝液中でさらに2時間後に少なくとも40%が放出される、請求項27に記載の製剤。
【請求項29】
pH6.8の緩衝液又はpH7.4の緩衝液中で、2時間後に薬用活性物質の60%超が放出される、請求項27に記載の製剤。
【請求項30】
1又は2以上の調節放出型ペレットの平均粒径が、500〜1000μmである、請求項27に記載の製剤。
【請求項31】
1又は2以上の調節放出型ペレットの粒径が、200、300、400、500、600、750、800、1000、1500、2000、2500、3000、及び5000μmである、請求項27に記載の製剤。
【請求項32】
薬用活性物質の重量パーセントが、0.1〜70%である、請求項27に記載の製剤。
【請求項33】
薬用活性物質の重量パーセントが、5〜40%である、請求項27に記載の製剤。
【請求項34】
薬用活性物質の重量パーセントが、0.1、0.5、1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、60、70、及び80%である、請求項27に記載の製剤。
【請求項35】
1又は2以上のアニオン性ポリマーが、メタクリル酸塩とメタクリル酸のコポリマーである、請求項27に記載の製剤。
【請求項36】
1又は2以上のアニオン性ポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル、クロトン酸、酢酸アリル、4−メチル−4ペントン酸、ビニルスルホン酸塩、スチレンスルホン酸塩、及びアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸からなる群から選択される、請求項27に記載の製剤。
【請求項37】
コポリマーが、少なくとも20%のメタクリル酸を含む、請求項35に記載の製剤。
【請求項38】
1又は2以上の調節放出型ペレットが、破損又は変形の発生なく、少なくとも10Nの装填に耐えられる、請求項27に記載の製剤。
【請求項39】
1又は2以上の調節放出型ペレットが、錠剤、カプセル又はそれらの組合せを含む単体システムに移行される、請求項27に記載の製剤。
【請求項40】
制御放出型医薬製剤の調製方法であって、多粒子の薬物放出制御特性又は薬物保護特性、あるいはその両方を保持する条件下での熱加工によって、公知の薬物放出プロファイルを有する有効な量の治療用化合物を含む調節放出型多粒子と、熱可塑性ポリマーマトリックス又は親水性蝋含有マトリックスとを混合するステップを含む方法。
【請求項41】
熱加工が、ホットメルト押出成形法によって実施される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
ホットメルト押出成形法が、単軸又は二軸押出機によって実施される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
多粒子が、乾式被覆工程、水性被覆工程、又は溶媒被覆工程によって施されるフィルムコーティングを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
多粒子が、流動床被覆法で被覆される、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
熱加工が、約100℃未満の温度で実施される、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
調節放出型多粒子が、疎水性ポリマー、親水性ポリマー、ガム、タンパク質由来材料、蝋、セラック、油及びこれらの混合物のうちの少なくとも1つで被覆されることによって徐放剤に形成される、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
治療用化合物の制御放出を提供し、請求項40に従って調製される医薬製剤を含む医薬用固形剤形。
【請求項48】
好ましい投与部位が、経口経路である、請求項47に記載の医薬用固形剤形。
【請求項49】
制御放出が、即放型、徐放型、又は放出遅延型とさらに定義される、請求項47に記載の医薬用固形剤形。
【請求項50】
1又は2以上の調節放出型円筒形ペレットを含む制御放出型医薬製剤の調製方法であって、
薬用活性物質、1又は2以上のアニオン性ポリマー、及び加工助剤を混合し、混合物を形成するステップと、
前記混合物をホットメルト押出成形工程で加工して、1又は2以上の押出ストランドを形成するステップと、
前記押出ストランドを切断して、前記1又は2以上の調節放出型円筒形ペレットを形成するステップと
を含む方法。
【請求項51】
1又は2以上の調節放出型円筒形ペレットにポリマーフィルムコーティングを施すステップをさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
1又は2以上の調節放出型円筒形ペレットを球状化するステップをさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
ホットメルト押出成形工程中の温度が、200℃を超えない、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
ホットメルト押出成形工程中の少なくとも1つの加温帯の温度が、ポリマーのガラス転移温度を少なくとも10℃上回る、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
制御放出型医薬製剤の調製のための1又は2以上の押出成形パラメータを決定する方法であって、
公知の薬物放出プロファイルを有する有効量の1又は2以上の治療用化合物を有する1又は2以上の調節放出型多粒子を選択するステップと、
前記1又は2以上の調節放出型多粒子と熱可塑性ポリマーマトリックス又は親水性蝋含有マトリックスとを混合するステップと、
押出物を成形するための変動条件下で前記熱可塑性ポリマーマトリックス又は親水性蝋含有マトリックスで多粒子を押出すステップと、
押出物の薬物放出プロファイルを決定するステップと、
前記1又は2以上の調節放出型多粒子の少なくとも80%が公知の薬物放出プロファイルを維持する、前記熱可塑性ポリマーマトリックス又は親水性蝋含有マトリックス、及び押出成形条件を選択するステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−501967(P2012−501967A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523974(P2011−523974)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/054374
【国際公開番号】WO2010/022193
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(500039463)ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム (115)
【Fターム(参考)】