説明

講義システム及び講義プログラム

【課題】受講者の受講履歴を講義者に的確にフィードバックさせることができる講義システムを提供すること。
【解決手段】本発明では、サーバーコンピューター(2)から講義者の講義内容を記録した講義データ(6)を受講者コンピューター(4a〜4d)に送信し、受講者が講義データ(6)を受講者コンピューター(4a〜4d)で受講する講義システム(1)及び講義プログラムにおいて、サーバーコンピューター(2)は、受講者コンピューター(4a〜4d)からの要求に応じて講義データ(6)を送信するとともに、送信した講義データ(6)の履歴を受講履歴データ(7)として記憶しておき、講義者コンピューター(3)からの要求に応じて受講履歴データ(7)を講義者コンピューター(3)で表示させるとともに、表示した受講履歴データ(7)の中から講義者コンピューター(3)で指示された部分に対応する講義データ(6)を講義者コンピューター(3)で表示させることにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバーコンピューターから講義者の講義内容を記録した講義データを受講者コンピューターに送信し、受講者が講義データを受講者コンピューターで受講する講義システム及び講義プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットに代表される電気通信回線網の普及や高速化に伴い、複数の受講者が自宅や教育機関などのコンピューターをそれぞれ所望の時間に利用して講義を受けられる講義システムが開発されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
この講義システムでは、サーバーコンピューターと受講者のコンピューターとを電気通信回線網で接続し、予め講義者の講義内容を講義データとしてサーバーコンピューターに記憶しておき、受講者のコンピューターからの要求に応じてサーバーコンピューターから講義データを受講者のコンピューターに送信し、受講者が受信した講義データを受講者のコンピューターを利用して受講するように構成している。
【0004】
この講義システムにおいて、受講者は、所望の時間に講義データを受講することができ、しかも、全ての講義データを一度に受講することも複数回に分けて分割して受講することもでき、さらには、講義データの一部分だけを受講したり一部分を繰返し受講することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−77740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の講義システムでは、受講者が全ての講義データを一度に受講してしまうとは限られず、むしろ、講義データのうちの苦手な部分や不明確な部分を重点的に繰り返して受講することが多く行われている。
【0007】
このように、従来の講義システムでは、受講者ごとに異なる様々な受講履歴で講義データが受講されているにもかかわらず、受講者の受講履歴が講義者にフィードバックされておらず、充分な学習効果が得られなくなるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、サーバーコンピューターと講義者コンピューターと受講者コンピューターとを電気通信回線網で接続し、サーバーコンピューターから講義者の講義内容を記録した講義データを受講者コンピューターに送信し、受講者が講義データを受講者コンピューターで受講する講義システムにおいて、サーバーコンピューターは、受講者コンピューターからの要求に応じて講義データを送信するとともに、送信した講義データの履歴を受講履歴データとして記憶しておき、講義者コンピューターからの要求に応じて受講履歴データを講義者コンピューターで表示させるとともに、表示した受講履歴データの中から講義者コンピューターで指示された部分に対応する講義データを講義者コンピューターで表示させることにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記サーバーコンピューターは、受講者毎に受講履歴データを記憶し、講義者コンピューターから指示された受講者の受講履歴データを講義者コンピューターに表示させることにした。
【0010】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記サーバーコンピューターは、複数の受講者の履歴に基づいて作成した受講履歴データを記憶し、講義者コンピューターに表示させることにした。
【0011】
また、請求項4に係る本発明では、サーバーコンピューターと講義者コンピューターと受講者コンピューターとを電気通信回線網で接続し、サーバーコンピューターから講義者の講義内容を記録した講義データを受講者コンピューターに送信し、受講者が講義データを受講者コンピューターで受講する講義システムを用いて講義を行わせる講義プログラムにおいて、受講者コンピューターからの要求に応じてサーバーコンピューターから受講者コンピューターに講義データを送信するとともに、送信した講義データの履歴を受講履歴データとして記憶しておき、講義者コンピューターからの要求に応じて受講履歴データを講義者コンピューターで表示させ、表示した受講履歴データの中から講義者コンピューターで指示された部分に対応する講義データを講義者コンピューターで表示させることにした。
【発明の効果】
【0012】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0013】
すなわち、本発明では、サーバーコンピューターと講義者コンピューターと受講者コンピューターとを電気通信回線網で接続し、サーバーコンピューターから講義者の講義内容を記録した講義データを受講者コンピューターに送信し、受講者が講義データを受講者コンピューターで受講する講義システムにおいて、サーバーコンピューターは、受講者コンピューターからの要求に応じて講義データを送信するとともに、送信した講義データの履歴を受講履歴データとして記憶しておき、講義者コンピューターからの要求に応じて受講履歴データを講義者コンピューターで表示させるとともに、表示した受講履歴データの中から講義者コンピューターで指示された部分に対応する講義データを講義者コンピューターで表示させることにしているために、受講者の受講履歴を講義者にフィードバックすることができるので、講義者が受講者の受講履歴を把握することができるとともに、受講者の受講履歴に基づいて講義データ(講義内容)の改良を行うことができ、受講者の学習効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】講義システムを模式的に示す説明図。
【図2】受講履歴データを概念的に示す説明図。
【図3】講義者コンピューターで表示される受講者毎の受講履歴と講義データを示す説明図。
【図4】講義者コンピューターで表示される全受講者の受講履歴と講義データを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る講義システム及び講義プログラムの具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1に示すように、講義システム1は、サーバーコンピューター2と講義者が使用する講義者コンピューター3と受講者A〜Dが使用する受講者コンピューター4a〜4dとをインターネット等の電気通信回線網5で接続している。サーバーコンピューター2には、講義者が行った講義内容が講義データ6として予め記憶されている。なお、以下の説明では便宜的に受講者が4人の場合について説明するが、受講者は一人であっても複数人であってもよい。また、1個の講義データ6の場合について説明するが、複数種類の講義データ6が混在し、いずれか1個の講義データ6を受講者が選択できるようにしてもよい。
【0017】
講義システム1は、サーバーコンピューター2で読み取り可能な記憶媒体に記憶した講義プログラムにしたがって以下に説明するように講義を行うようにしている。
【0018】
この講義システム1は、従来と同様に、サーバーコンピューター2と受講者コンピューター4a〜4dとが電気通信回線網5で接続されており、受講者コンピューター4a〜4dからの要求に応じてサーバーコンピューター2から講義データ6を受講者コンピューター4a〜4dに送信し、受講者が講義データ6を受講者コンピューター4a〜4dを利用して受講することができる。
【0019】
その際に、受講者コンピューター4a〜4dは、サーバーコンピューター2に対して講義データ6の最初から順番に送信するように要求することもでき、また、講義データ6の途中から送信するように要求することもでき、さらには、サーバーコンピューター2に対して送信を途中で停止するように要求することもできる。
【0020】
そして、本発明に係る講義システム1では、受講者が受講者コンピューター4a〜4dを用いてサーバーコンピューター2に講義データ6の送信や停止を要求したときに、サーバーコンピューター2がどの受講者(受講者コンピューター4a〜4d)に講義データ6のどの部分をいつ送信したのかを示す受講者の受講履歴を受講履歴データ7として記憶するようにしている。
【0021】
受講履歴データ7は、概念的に図2に示すように表される(なお、図2では、実際の受講開始又は終了時刻については省略している。)。すなわち、60分間の講義データ6について、受講者Aは、講義データ6の0:00から60:00の全てを一度に受講している。受講者Bは、講義データ6の0:00から30:00までを受講した後に、講義データ6の30:00から60:00までを受講している。受講者Cは、講義データ6の0:00から20:00までを受講した後に、講義データ6の10:00〜20:00を2度繰り返して受講し、その後、講義データ6の20:00から60:00までを受講している。受講者Dは、講義データ6の10:00から30:00を受講した後に、40:00から50:00までを受講している。
【0022】
また、受講履歴データ7は、各受講者毎の受講履歴を示すデータに限られず、全受講者の受講履歴を示すデータとしてもよい。この場合、全ての受講者の受講履歴を単純に合算して全受講者の受講履歴データ7としてもよく、全ての受講者の受講履歴に所定の重み付けをして算出したものを全受講者の受講履歴データ7としてもよい。図2に示す全受講者の受講履歴データ7では、全ての受講者の受講履歴の合計を全受講者の受講履歴データ7としている。
【0023】
この受講履歴データ7は、講義者コンピューター3からの要求に応じてサーバーコンピューター2から講義者コンピューター3に送信され、講義者コンピューター3で表示される。これにより、講義者は、いずれの受講者又は全受講者が講義データ6のどの時間帯を繰返し受講しているかなどといった受講者毎の受講の傾向を把握することができる。なお、受講履歴データ7は、受講者コンピューター4a〜4dには送信されないようにしている。また、どの受講者の受講履歴データ7を表示するのか或いは全受講者の受講履歴データ7を表示するのかは、講義者コンピューター3で選択することができるようにしている。
【0024】
受講履歴データ7を表示する際に、本発明に係る講義システム1では、図3又は図4に示すように、サーバーコンピューター2が講義者コンピューター3に受講履歴データ7を送信して表示させるとともに、受講履歴データ7の時間軸上を移動するポインタ8を講義者コンピューター3で操作可能に表示させている。
【0025】
そして、講義者が講義者コンピューター3でポインタ8を移動操作すると、ポインタ8で指示された部分の講義データ6をサーバーコンピューター2から講義者コンピューター3に送信し、受講履歴データ7とともに講義データ6をも講義者コンピューター3で表示させるようにしている。なお、講義者がポインタ8を移動操作すると、それに応じた部分(時間)の講義データ6が表示される。
【0026】
このように、講義システム1では、講義者コンピューター3に受講履歴データ7だけでなく特定部分の講義データ6までもが表示されるため、講義者は、講義内容(講義データ6)の具体的にどの部分について受講者が理解しにくいかなどの受講者の傾向を的確に把握することができる。
【0027】
以上に説明したように、上記講義システム1は、サーバーコンピューター2が、受講者コンピューター4a〜4dからの要求に応じて講義データ6を送信するとともに、送信した講義データ6の履歴を受講履歴データ7として記憶しておき、講義者コンピューター3からの要求に応じて受講履歴データ7を講義者コンピューター3で表示させるとともに、表示した受講履歴データ7の中から講義者コンピューター3で指示された部分に対応する講義データ6を講義者コンピューター3で表示させるように構成している。
【0028】
そのため、上記構成の講義システム1では、受講者の受講履歴を講義者にフィードバックすることができ、これにより、講義者が受講者の受講履歴を把握することができるとともに、受講者の受講履歴に基づいて講義データ6(講義内容)の改良を行うことができ、受講者の学習効果を向上させることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 講義システム 2 サーバーコンピューター
3 講義者コンピューター 4a〜4d 受講者コンピューター
5 電気通信回線網 6 講義データ
7 受講履歴データ 8 ポインタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバーコンピューターと講義者コンピューターと受講者コンピューターとを電気通信回線網で接続し、サーバーコンピューターから講義者の講義内容を記録した講義データを受講者コンピューターに送信し、受講者が講義データを受講者コンピューターで受講する講義システムにおいて、
サーバーコンピューターは、受講者コンピューターからの要求に応じて講義データを送信するとともに、送信した講義データの履歴を受講履歴データとして記憶しておき、講義者コンピューターからの要求に応じて受講履歴データを講義者コンピューターで表示させるとともに、表示した受講履歴データの中から講義者コンピューターで指示された部分に対応する講義データを講義者コンピューターで表示させることを特徴とする講義システム。
【請求項2】
前記サーバーコンピューターは、受講者毎に受講履歴データを記憶し、講義者コンピューターから指示された受講者の受講履歴データを講義者コンピューターに表示させることを特徴とする請求項1に記載の講義システム。
【請求項3】
前記サーバーコンピューターは、複数の受講者の履歴に基づいて作成した受講履歴データを記憶し、講義者コンピューターに表示させることを特徴とする請求項1に記載の講義システム。
【請求項4】
サーバーコンピューターと講義者コンピューターと受講者コンピューターとを電気通信回線網で接続し、サーバーコンピューターから講義者の講義内容を記録した講義データを受講者コンピューターに送信し、受講者が講義データを受講者コンピューターで受講する講義システムを用いて講義を行わせる講義プログラムにおいて、
受講者コンピューターからの要求に応じてサーバーコンピューターから受講者コンピューターに講義データを送信するとともに、送信した講義データの履歴を受講履歴データとして記憶しておき、講義者コンピューターからの要求に応じて受講履歴データを講義者コンピューターで表示させ、表示した受講履歴データの中から講義者コンピューターで指示された部分に対応する講義データを講義者コンピューターで表示させることを特徴とする講義プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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