説明

識別されるように構成されたタグまたは物体を識別可能な読み取り装置、関連の方法、およびシステム

識別されるように構成されたタグまたは物体を識別する読み取り装置が開示される。読み取り装置は、識別されるように構成されたタグまたは物体に配置された第1の識別特徴セットを読み取る、磁気光学読み取り素子である読み取り素子を含む。読み取り素子は、識別されるように構成されたタグまたは物体に配置された第2の識別特徴セットも読み取り、読み取り装置は、第1の識別特徴セットの読み取りから生成される第1の信号および第2の識別特徴セットの読み取りから生成される第2の信号が独立して使用されて、タグまたは物体を識別する第1の署名および第2の署名が導出されるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年7月9日に米国特許商標庁に出願された米国仮特許出願第61/224,128号明細書を参照し、その優先権の利益を主張するものである。上記米国仮特許出願第61/224,128号明細書の内容を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明の実施形態は、読み取り装置の分野に関する。例として、本発明の実施形態は、識別されるように構成されたタグまたは物体を識別することができる読み取り装置、それに関連する方法、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
最近、識別目的での磁場の使用が非常に広範囲に広がり、活発になった。これは、磁気パターンまたは磁性粒子を識別手段として利用する無数の保護物品に見られる。いくつかの例としては、通常、磁気インクまたは磁気ストリップを使用して、暗号化されたセキュリティ情報を記憶する、小切手、クレジットカード、またはチケット等のセキュリティ文書が挙げられる。他の例としては、磁性粒子を使用して、磁気指紋として機能するランダム配列を作成する偽造防止タグが挙げられる。さらに、磁気バーコードおよび磁気パターンも、磁気セキュリティ機能として人気を得つつある。
【0004】
磁場を識別に使用することは、素早く確実に読み取ることができる手頃な形態の不可視の識別であるため、人気である。それに加えて、磁場を使用する識別タグは一般に、磁場が磁性材料に固有の特徴であるため、機能するためにいかなる電力の追加も必要としない。
【0005】
しかし、セキュリティ機能分野での磁場を検出する手段は、非常に制限されてきている。大半の磁気保護物体、特にセキュリティカードおよび文書は一般に、物体の磁気面をスロットに通して、磁気信号を得ることを含む検出手段を採用している。そのようなスワイプ用途では、一般に、読み取り中の情報のトラックが意図されるトラックであることを保証するために、読み取り中の物品とリーダとの間に物理的なガイドを有する必要がある。機械的なスワイプ動作も、セキュア化された物体およびリーダセンサまたはガイドの両方を徐々に摩耗させる恐れがあると共に、残骸をガイド内に取り込ませ、引っ掻きをセキュア化された物体に生じさせる恐れがある。分解能が、高分解能の読み取りを必要とし、読み取り中のトラックが薄い場合、正しく読み取るために、非常に正確に位置合わせをする必要があり得る。それにも関わらず、セキュリティ度を増大させるには、磁場信号の分解能を微細レベルにする必要があることが多い。これは、改良されたユーザ使用性を有する新しい高分解能エリア検出手段の開発を促す。
【0006】
高分解能検出方法の一例は、磁気光学検出である。磁気光学ディスクおよび同様のデータ記憶装置の場合、磁気光学検出は、磁気光学ディスクの反射面から偏光を反射させることにより達成される。反射光の偏光は、反射面での、または反射面の周囲での磁場の存在により変わる(一般に、偏光のこの回転は、磁気光学カー効果によるものである)。偏光の変更を測定することにより、検出器は、反射面での磁場強度の測定値を得ることができる。このシステムは、ディスクのフォームファクタ(平坦であり丸い)およびディスクが曝される一般に良好な環境により、上手く機能する。しかし、セキュリティラベルおよびマークは、耐用年数中にひどい引っ掻きおよび他の過酷な状況に曝され得る。したがって、セキュリティラベルおよびマークの場合、読み取り中の基板(例えば、ラベル)が平坦で清潔な鏡面仕上げの反射面を含む必要がある読み取り方法を使用することは、常に実用的である訳ではない。
【0007】
都合のよいことに、磁気光学検出に対する代替の装置が存在する。一解決策は、読み取り装置自体の一部分として反射面を有し、それにより、装置内で内部的に光を反射することである。基板からの磁場が装置内の反射面から反射される光に影響を及ぼすことができるように、反射面を読み取るべき基板に密接に接触させる。これは、読み取り中の基板が、平坦な鏡面を有するという制約から解放されることを意味する。
【0008】
内部反射磁気光学リーダは、記憶装置の分野で使用するために多くのグループにより開発されたが、識別目的での使用は非常に限られている。磁気光学リーダのいくつかの例について以下に詳述する。
【0009】
米国特許第3,512,866号明細書には、磁気光学ハンドビューアが開示されている。このハンドビューアは特に、磁気光学原理を使用して、磁気テープ等の磁気媒体内の磁気状態の視覚表現を提供するように動作するように構築された装置に関連する。このハンドビューアは、カーおよびファラデーの磁気光学効果を使用して視覚表現を提供する。カー磁気光学効果は、磁性面から反射された光線の偏光の主方向の回転を生み出す。ファラデー磁気光学効果は、磁気媒体を通る光線の偏光の主方向の回転を生み出す。この磁気光学ハンドビューアは、カーおよびファラデーの磁気光学効果の組み合わせを使用して、光線の最大の振幅回転を提供する。
【0010】
米国特許第5,742,036号明細書には、磁気光学撮像技法を使用して機械可読マトリックスシンボルをマーキングし、捕捉し、復号化する方法が開示されている。この特許は、磁化可能材料の追加により基板材料上の機械可読マトリックスシンボルマーキングを強化すること、そして後に、マトリックスシンボルマーキングに関連する磁性を利用して、磁気光学読み取り装置を使用してマーキングを読み取ることを含む。しかし、この特許に記載される方法は主に、Vericode(登録商標)または粘性磁気化合物を堆積させることにより作られる他の機械可読マトリックスシンボルの検出を扱う。さらに、この特許には、磁気偽造防止シンボルの検出が記載されるが、非シンボル用途で磁気光学を使用すること、例えば、散乱磁性粒子に固有のランダム性の撮像に磁気光学を使用することが考慮されていない。換言すれば、この特許の磁気光学リーダは、磁性粒子で書かれたシンボルを認識するが、個々の粒子を読み取らず、固定領域内のランダム位置を、その領域が微細分解能で繰り返し不可能なパターンを有するように考えない。
【0011】
米国特許第5,920,538号明細書には、記憶されているデータを読み取る磁気光学読み取り方法、磁気光学読み取りヘッド、およびその製造方法が開示されている。この特許には、波長を有する照明光源と併せて使用される、磁気的に記憶されたデータを読み取る磁気光学読み取りヘッドが記載されている。この磁気光学読み取りヘッドは、磁気記憶媒体に面するように構成された表面を有する光学的に透明な基板と、ファラデー係数θを有し、上記基板の上記表面上に配置され、上記磁気記憶媒体に面するように構成されたファラデー効果回転子表面を有する、光学的に透明なファラデー効果回転子と、カー係数θを有し、上記ファラデー回転子表面上に配置される光学反射性カー効果回転子とを備え、θおよびθは、上記照明光の上記波長で同じ演算符号を有する。
【0012】
偽造防止技術の分野では、保護強化のために技術の組み合わせ、例えば、磁気データおよび光学データの両方の読み取りを使用することがかなり有利なことも分かっている。光学変換器と磁気変換器とを組み合わせたいくつかの例を、以下に詳述する。
【0013】
米国特許第3,612,835号明細書には、テストまたは読み取られる物品、例えば、紙幣または可視マークおよび磁気マークの両方を有する他の文書、読み取られるデータ記録テープ等の情報担持媒体、またはこれらと同様のものの光学的属性および磁気的属性の両方を感知する光学および磁気の結合変換器が開示されている。変換器は、ヘッドの磁芯の極を隔てる透明ギャップを有する磁気感知ヘッドと、ギャップと位置合わせされてヘッドに配置される光電素子とを備える。ヘッド外部で、物品の一側面がギャップの極に接触するか、またはその近傍にくると、物品は光源により照明され、それにより、物品の磁気的属性および光学的属性の両方を、物品と変換器とが相対移動する間に同時に検出することができる。
【0014】
米国特許第3,876,981号明細書には、磁気インクでプリントされた文字を認識する文字認識システムおよび方法であって、磁気変換器および光学変換器の両方を使用して文字を感知することにより、認識が強化される、文字認識システムおよび方法が開示されている。磁気変換器出力信号から導出された少なくとも1つの信号が、認識段階時に、または認識段階前に、光学変換器出力信号から導出された少なくとも1つの信号と結合される。
【0015】
米国特許第6,745,942号明細書には、磁気光学センサを通して光を反射器に向ける偏光光源を含む筐体を有する磁気シンボルリーダであって、反射器は、光を再び磁気光学センサを通し、次に少なくとも1つの解析器を通して少なくとも1つのカメラに反射する、磁気シンボルリーダが開示されている。ビューファインダにより、ユーザは、イメージが検出された場合、カメラからのイメージをプロセッサにより処理して、シンボルに関連する情報を外部ソースに出力するように、プロセッサが可能な場合には第2のカメラに結合されている間、ビューファインダカメラに見えているように磁気光学センサ上のイメージを監視することができる。解析器および偏光光源は、センサにより検出されたイメージのコントラストを提供する。磁気光学センサ近傍に配置されたバイアスコイルまたは消去コイルが、センサ上のイメージの解像度を上げるか、または消去することができる。
【0016】
磁気可読識別の初期の使用の1つを、米国特許第3,755,730号明細書に見出すことができる。米国特許第3,755,730号明細書には、塗料等の不透明保護層で隠された複数の磁化可能な識別表示を有する乗り物、家電、または器具が開示されている。この表示は、磁気リーダの使用により読み取ることができる。
【0017】
別の例が、PCT国際公開第2004/013735号パンフレットに開示されている。この公開出願には、品物に塗布される材料のマークを提供するシステムおよび関連する方法が開示されている。一実施形態では、磁性材料が所定のパターンで塗布される。構造化パターンにわたり1つの向きで磁性材料を蓄積することにより、自動的に感知可能な値を提供することができる。磁気的に読み取り可能な材料は、所定の繰り返し可能なパターンとして提供することができ、磁性材料は、少なくとも10,000〜100ドット/インチの範囲の分解能で表面に塗布される。
【0018】
文書および製品上の繰り返し可能な磁気パターンについてのさらなる従来技術について以下に説明する。
【0019】
米国特許第3,878,367号明細書には、磁気異方性を有する均一に分布した磁化可能材料を含む磁気記録層を有するセキュリティ文書であって、複数の選択された位置における材料が、参照位置に対して異なるように物理的に位置合わせされて、文書の認証に有用なコードパターン等の磁気的に検出可能な永久固定された情報パターンを提供する、セキュリティ文書が開示されている。
【0020】
米国特許第4,081,132号明細書には、担持体および一方が他方に重なった2層の磁化可能材料を有するセキュリティ文書であって、担持体および層がすべて一緒に接合された、セキュリティ文書が開示されている。一方の層は、情報記録用であり、他方の層は、検証目的で検査できる磁気構造を有する。この特許には、構造化層を作る好ましい方法が、磁化可能材料を堆積させて、構造の形態の情報層上の記録からの磁場の影響内に層を形成することであることが開示されている。記録は、構造化層が形成された場合に消去される。セキュリティ文書はクレジットカード、紙幣、または他の有価値紙であり得る。
【0021】
米国特許第3,803,634号明細書には、1つまたは複数の孔が磁気パターンプリント用マスタ磁気媒体のベース板に形成され、例示的に永久磁石で形成される1つまたは複数の磁化素子が、端面がベース板の表面から小さな距離だけ突出した状態で孔内に配置される、磁気プリント装置および方法が開示されている。コピー用スレーブ磁気媒体の磁性膜の表面は、磁化素子の端面に接触し、外部磁場が接触部分に印加される。所望の磁気パターンが、磁化素子の配列またはコピー用スレーブ磁気媒体に対する上記磁化素子の相対移動により、形成され、その結果、上記磁気パターンは、スレーブ磁気媒体の磁性膜上にコピーされる。
【0022】
米国特許第4,183,989号明細書には、少なくとも2つの機械検証可能なセキュリティ機能を有するセキュリティ装置、例えば、ストリップ、糸、またはプランシェット(planchette)を含むセキュリティ紙であって、セキュリティ機能のうちの1つが磁性材料であり、装置上に所定のパターンで磁気的に符号化またはプリントすることができ、セキュリティ機能のうちの第2の特徴は、X線吸収剤または金属等の発光材料である、セキュリティ紙が開示されている。
【0023】
米国特許第3,701,165号明細書には、磁気検出装置で検出可能な物質を保持するマークまたは縫い目を有する衣服が開示されている。衣服部分上で磁化された物質が、衣服製作プロセス中に検出された場合、縫い目の検出に応答して、続く衣服製作ステップが実施される。
【0024】
米国特許第4,180,207号明細書には、セキュア文書が開示されており、支持体に固定して取り付けられることにより生成され、本体は、セキュリティ機能を有すると共に、目に情報を伝達する形状を有する。例えば、本体は、文字、数、およびそれらと同様のものの開口部を有する磁化可能材料の層である。文書は、磁気検査装置および光学検査装置の両方により検査して、変更が行われていないことを照合確認することができる。セキュア文書を作成する方法および検査装置も記載されている。セキュリティ機能は、材料内に固定された磁気異方性パターンであり得る。
【0025】
米国特許第3,755,730号明細書には、塗料等の不透明保護層で隠された複数の磁化可能な識別表示を有する乗り物、家電、または器具が開示されている。この表示は、磁気リーダの使用により読み取ることができる。
【0026】
好ましい偽造防止磁気指紋を作成する際、磁性粒子を特定の様式で位置合わせして、区別可能な信号を与える必要がある。一手法が、米国特許出願公開第20060081151号明細書に開示されている。この特許出願には、凹板印刷で使用されるようなペースト様のインクを使用してプリントする方法および装置であって、インクが、薄膜光学可変フレークまたは回折フレーク等の特殊なフレークを含む、方法および装置が開示されている。この特許出願には、インク内のフレークの位置合わせ中にインクの粘度を一時的に低減させる熱源等のエネルギー源を有する装置も開示されている。
【0027】
同様の方法を米国特許第7,047,883号明細書にも見出すことができる。米国特許第7,047,883号明細書には、インク溶剤または塗料溶剤等の担体内で磁性フレークを位置合わせして、高速線形プリント動作で光学可変イメージを作成する装置および関連する方法が開示されている。イメージは、紙幣等の高価値文書上にセキュリティ機能を提供することができる。インク内の磁性フレークは、線形プリント動作中に磁石を使用して位置合わせされる。磁気顔料フレークを選択された向きにすることにより、装飾用途またはセキュリティ用途で有用な様々な錯覚に基づく光学効果を達成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
しかし、識別されるように構成されたタグまたは物体を識別する、十分な検証セキュリティを提供する、すなわち、識別の信頼性が十分に高い読み取り装置、システム、および方法がやはり必要とされている。
【0029】
本発明の目的は、そのような読み取り装置、システム、および方法を提供することである。この目的および他は、各独立クレームにより定義される読み取り装置、方法、およびシステムにより解決される。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の実施形態では、磁気情報および光学情報を読み取り可能な読み取り装置が提供される。この読み取り装置は読み取り素子を含み、読み取り素子は、重複した磁気識別特徴および光学識別特徴を読み取るように構成された磁気光学基板を備え、磁気光学基板は、少なくとも部分的に透明である。本明細書では、タグまたは物体に対する識別特徴の位置を説明するために、前置詞「内(in)」または「上(on)」が使用される場合、その他の前置詞の使用も考慮する(例えば、「タグ内」は、「タグ上」としても考慮されるべきであり、この逆も同様である)ことに留意する。読み取り装置は、第1の識別特徴セットの読み取りから生成される第1の信号および第2の識別特徴セットの読み取りから生成される第2の信号が、独立して使用されて、タグまたは物体を識別する第1のシグネチャ(署名)および第2のシグネチャを導出するように構成される。
【0031】
さらなる実施形態では、磁気光学基板は、層構成を備え、層構成は、光学的に透明な基板と、第1の被膜層と、第2の被膜層とを含む。磁気光学基板は、保護層をさらに備える。
【0032】
さらなる実施形態では、第2の被膜層は、部分的に透明であり、部分的に反射性を有する。第2の被膜層は、光のうちの少なくとも一部を反射することができ、光は単色性である。本明細書では、「単色」光源は、厳密な単色(すなわち、一色)光源を指すのみならず、白色ではなく(すなわち、少なくとも一色または波長帯を実質的に除外するソース)、定義された波長範囲内の電磁放射線を発する任意の光源を含むものとも見なされ、例えば、450nm〜495nmの波長の光を発する光源は、通常、単色性青色光源とみなされるのに対して、単色性緑色光源は通常、495nm〜570nmを発すると見なされる。(事前に)定義された波長範囲内の放射線を発する場合に単色性であるというこの定義に従い、例えば、青および緑からなり、450nm〜570nmの範囲で光源から発せられるシアン光も、単色光としてみなされる。別の例として、本明細書では、用語「単色性」は、従来のスペクトル色に限定されず、任意の種類の適した事前定義された波長範囲を含むこともでき、本明細書では、例えば、600nm〜750nmは「単色」光源と見なされる。第2の被膜層は、ダイクロイックミラーまたは誘電ミラーを備え得る。第2の被膜層は、反射性を変更するようにも構成し得る。一実施形態では、第2の被膜層は、切り替え可能ミラーである。
【0033】
さらなる実施形態では、第2の被膜層は、少なくとも2つの領域を備え、第1の領域は、光学識別特徴を読み取るためのものであり、第2の領域は、磁気識別特徴を読み取るためのものであり、パターニングされた第2の被膜層は、第1の領域と第2の領域とが交互になったアレイに配置された複数の第1および第2の領域を備える。
【0034】
さらなる実施形態では、読み取り装置は、磁気識別特徴と共に磁場を誘導する交流電流を生成するように構成される。さらなる実施形態では、読み取り装置は、磁気識別特徴の領域内に磁場を生成するように構成される1つまたは複数の磁石を備える(これらの磁石は、例えば、永久磁石またはソレノイド磁石であることができる)。
【0035】
さらなる実施形態では、読み取り装置は、少なくとも2つの単色光信号を生成するように構成される1つまたは複数の光源を備え、2つの単色光信号のうちの少なくとも一方は、光学識別特徴の画像を生成可能な波長のものであり、少なくとも他方は、磁気識別特徴の画像を生成可能な波長のものである。少なくとも2つの単色信号のうちの1つは、偏光子を透過し得る。本明細書では、「波長」は、厳密に単一波長の光に限定されず、それに代えて、適宜、波長の範囲も含むことが理解される(例えば、「波長」は、620nm〜750nmの波長範囲を指すこともできる)。本明細書では、「偏光された」および「偏光子」等の用語は一般に、線形偏光を指すが、適切な場合、円偏光等の他の形態の偏光も含む。
【0036】
さらなる実施形態では、読み取り素子は、磁気光学基板を第1の識別特徴セットの領域上に位置決めする係合要素を備える。係合要素は磁気光学基板を実質的に囲む。係合要素は本質的に、タグまたは物体の係合トラックを相補する形状であり、それにより、相互ロック手段を形成する。係合要素は、キャビティまたは溝として形成することができ、溝は、少なくとも約50マイクロメートル、少なくとも約150マイクロメートル、少なくとも約200マイクロメートル、または少なくとも250マイクロメートルの高さを有する。係合要素は、突起としても形成してもよい。突起は、少なくとも約50マイクロメートル、少なくとも約150マイクロメートル、少なくとも約200マイクロメートル、または少なくとも250マイクロメートルの高さを有する。係合要素は、円形または多角形の断面を有する。
【0037】
さらなる実施形態では、少なくとも読み取り素子は、識別すべきタグまたは物体に接触した場合、識別すべきタグまたは物体に適合するように構成される。読み取り素子は、少なくとも読み取り素子が、識別すべきタグまたは物体に接触した場合、識別すべきタグまたは物体への適合を促進する適合要素を備える。適合要素は、少なくとも1つのバネ、スポンジ、吸引システム、油圧システム、空気圧システムを含む。適合要素は、読み取り中、少なくとも読み取り素子を読み取るべきエリアに押し付け、適合要素は、読み取り装置を落とした場合、または読み取り装置が固い表面に当てられる場合、読み取り素子の表面を破損から保護するように構成される。適合要素は、読み取り素子が押された場合、読み取り素子が係合要素の高さよりも下に沈むことができるようにも設計される。読み取り素子は、使用されない場合、係合要素の高さよりも下に収容されるが、読み取るべきタグまたは物体に係合した場合、係合要素は読み取り素子を読み取るべきエリアの表面上に押し出す。少なくとも読み取り素子は、係合要素から距離を置いて、読み取り素子が、識別すべきタグまたは物体に接触した場合、識別すべきタグまたは物体に適合できるようにする。
【0038】
本発明の第2の実施形態では、磁気情報および光学情報を読み取る読み取り装置が提供される。この読み取り装置は、磁気光学基板を備えた読み取り素子を含み、磁気光学基板は、光のうちの第1の部分を反射するように構成される反射層と、光のうちの第2の部分を透過するように構成される透明層とを含み、反射層および透明層は重複して、重複領域を形成し、重複領域は、物体の磁気情報および光学情報の両方を読み取ることが可能である。
【0039】
本発明の第3の実施形態では、識別されるように構成されたタグまたは物体を識別する読み取り装置が開示される。この読み取り装置は、識別されるように構成されたタグまたは物体内に配置された第1の識別特徴セットを読み取る読み取り素子を含み、読み取り素子は、磁気光学読み取り素子であり、磁気光学読み取り素子は、少なくとも1つの磁気光学基板を備える。読み取り素子は、読み取り素子を第1の識別特徴セット上に位置決めするための係合要素を含み、係合要素は実質的に、読み取り素子を囲み、本質的に、識別されるように構成されたタグまたは物体の係合トラックを相補する形状であり、それにより、相互ロック手段を形成する。係合要素は、溝または突起として形成される。
【0040】
本発明の第4の実施形態では、識別されるように構成されたタグまたは物体を識別する方法が開示される。この方法は、識別されるように構成されたタグまたは物品内に配置された第1の識別特徴セットの磁気光学読み取りのみから第1の信号を生成することを含み、第1の識別特徴セットは、タグまたは物体の識別層内に含まれる無秩序に配置された磁性粒子または磁化可能粒子を含む。そのように第1の識別特徴セットの読み取りから生成される第1の信号を使用して、タグまたは物体を識別する第1の署名(signature)が導出される。この方法は、第2の識別特徴セットの読み取りから第2の信号を生成することも含み、第2の識別特徴セットは、光学識別特徴を含み、第1の識別特徴セットおよび第2の識別特徴セットは、少なくとも部分的に重複することができる。
【0041】
さらなる実施形態では、無秩序に配置された磁性粒子または磁化可能粒子は、複数のランダムに分布した磁性粒子または磁化可能粒子を含む。磁性材料は、フェリ磁性材料、反強磁性材料、強磁性材料、または連続材料内の磁気特性変化ドメイン(磁気特性を変化させるボイドを含む)、およびこれらの組み合わせを含む。強磁性材料は、MnBi、CrTe、EuO、CrO、MnAs、Fe、Ni、Co、Gd、Dy、Nd;Fe、Ni、Co、Sm、Gd、Dyの対応する合金および酸化物、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。例示的な高保磁性材料は、Nd、Fe、およびBを含むネオジム磁石である。
【0042】
さらなる実施形態では、この方法は、第2の識別特徴セットの読み取りから第2の信号を生成することをさらに含む。第1の識別特徴セットの読み取りから生成される第1の信号および第2の識別特徴セットの読み取りから生成される第2の信号は、独立して使用されて、タグまたは物体を識別する第1の署名および第2の署名が導出される。第2の識別特徴セットは、チップ、磁気ストリップ、シリアルナンバー、または光学マークを含む。チップは、無線周波識別タグまたは接触ベースのメモリチップである。光学マークは、線形バーコード、2Dバーコード(PDF416標準等)、マトリックスバーコード(DataMatrix、QRコード(登録商標)、および数値シーケンスもしくは英数字シーケンスを表す他のオープンソースまたはプロプライエタリパターン)、またはホログラムである。光学マークは、裸眼には見えないことがあるが、電磁スペクトルの紫外線領域または赤外線領域で検出可能であり得る。
【0043】
さらなる実施形態では、第1の識別特徴セットおよび第2の識別特徴セットは、識別されるように構成されたタグまたは物体の係合トラック内に配置される。第1の識別特徴セットおよび第2の識別特徴セットは、同じ平面上にあってもよい。あるいは、第1の識別特徴セットおよび第2の識別特徴セットは、異なる平面にあってもよい。
【0044】
本発明の第5の実施形態では、識別されるように構成されたタグまたは物体を識別する方法が開示される。この方法は、識別されるように構成されたタグまたは物体内に配置された第1の識別特徴セットの磁気光学読み取りから、第1の信号を生成すること、識別されるように構成されたタグまたは物体内に配置された第2の識別特徴セットの読み取りから、第2の信号を生成することを含み、前記第1の識別特徴セットの読み取りから生成される第1の信号および第2の識別特徴セットからの読み取りから生成される第2の信号は、タグまたは物体を識別する第1の署名および第2の署名が導出されるように使用される。
【0045】
一実施形態では、第1の識別特徴セットは、無秩序に配置された磁性粒子または磁化可能粒子を含む。無秩序に配置された磁性粒子または磁化可能粒子は、複数のランダムに分布した磁性粒子または磁化可能粒子を含む。磁性材料は、フェリ磁性材料、反強磁性材料、強磁性材料、または連続材料内の磁気特性変化ドメイン(磁気特性を変化させるボイドを含む)、およびこれらの組み合わせを含む。強磁性材料は、MnBi、CrTe、EuO、CrO、MnAs、Fe、Ni、Co、Gd、Dy;Fe、Ni、Co、Sm、Gd、Dyの対応する合金および酸化物、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。例示的な高保磁性材料は、Nd、Fe、およびBを含むネオジム磁石である。
【0046】
さらなる実施形態では、第1の識別特徴セットおよび第2の識別特徴セットは、識別されるように構成されたタグまたは物体の係合トラック内に配置される。第1の識別特徴セットおよび第2の識別特徴セットは、同じ平面上にあってもよい。あるいは、第1の識別特徴セットおよび第2の識別特徴セットは、異なる平面にあってもよい。
【0047】
本発明の第6の実施形態では、識別されるように構成されたタグまたは物体を識別する識別システムが開示される。このシステムは、タグを取り付け得る物体を識別するタグと、識別されるように構成されたタグまたは物体内に配置された第1および第2の識別特徴セットを読み取る読み取り装置とを含む。
【0048】
一実施形態では、読み取り素子から得られた第1の信号は、実質的な磁場がない状態での同じ読み取り素子から得られる信号に対して正規化される。正規化は、実質的な磁場がない状態で読み取り素子から得られる信号を、読み取るべきエリアに係合した場合に読み取り素子から得られる信号から減算することにより、達成される。この正規化は、読み取り素子の破損またはばらつきにより、その他のデータよりも信頼性が低い可能性がある読み取り中の信号内のデータの部分を識別することをさらに含み、上記信頼性の低いデータは、その他のデータとは別様に処理される。
【0049】
さらなる実施形態では、読み取り素子から得られた第1の信号は、事前定義される閾値未満の信号内のすべてのデータを事前定義された値に設定することにより、または事前定義された閾値未満の信号内のデータを無視し、事前定義された閾値を超えるデータのみ(データの物理的位置を含む)を記憶することにより処理される。
【0050】
さらなる実施形態では、識別システムは、識別タグの参照読み取りから得られる参照署名が記憶されるデータ記憶媒体をさらに備える。事前に記憶された参照署名のデータ記憶媒体は、読み取り装置から離れたデータ記憶媒体であるか、またはデータ記憶媒体は読み取り装置内にあってもよい。事前に記憶される参照署名のデータ記憶媒体は、物体に取り付けられるタグ内に配置し得る。あるいは、事前に記憶される参照署名のデータ記憶媒体は、物体内に配置し得る。データ記憶媒体は、磁気ストリップ、メモリチップ、媒体ディスク、ハードディスク、スマートカード、RAMモジュール、磁気テープ、または2Dバーコードもしくはビットマップ等の従来の光学手段である。
【0051】
さらなる実施形態では、識別システムは、読み取り装置から離れたデータ処理装置をさらに備え、データ処理装置は、読み取られた署名と事前に記憶された参照署名とを照合するためのデータ処理を実行するように構成される。この実施形態では、データ記憶媒体は、リモートデータ処理装置と共に配置されてもよく、または同じであってもよい。
【0052】
さらなる実施形態では、読み取り装置は、磁場を発するか、または磁場を発するようにすることができる任意の物品についての情報を得るために使用される。例えば、磁場を使用して、例えば、電流が局所的な磁場を生成する構造物体または電子装置内の亀裂または他の傷(例えば、内包物および隙間)についての情報を得ることができ、実施例は、電子回路の非破壊的テストである。
【0053】
図面中、同様の参照文字は異なる図を通して一般に同じ部分を指す。図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、それに代えて、一般に、本発明の原理を示すことに重点が置かれている。以下の説明中、本発明の様々な実施形態について添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態による読み取り装置を利用する偽造防止システムを示す。
【図2】本発明の実施形態による読み取り装置を使用する認証プロセスを示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態による読み取り装置を示す。
【図4】従来技術に基づく、適した読み取り素子の断面図を示す。
【図5】図5Aおよび図5Bはそれぞれ本発明の実施形態によるタグ内に使用される磁性粒子の上面図および斜視図を示す。
【図6】図6Aおよび図6Bは本発明の実施形態によるタグに使用される、異なる密度の磁性粒子を示す。
【図7】図7Aおよび図7Bは本発明の実施形態による識別特徴を有するタグのさらなる例を示す。
【図8】図8A−図8Eは磁気情報および光学情報が重複するタグの断面図を示す。
【図9】本発明の別の実施形態による読み取り素子の断面図を示す。
【図10】図10Aは読み取り素子がグレースケール光学検出器である、光学バーコードおよび磁性粒子を有するタグのスキャンエリアを示し、図10Bは読み取り素子が図9に示されるようなものである、青緑バーコードおよび磁性粒子を有するタグのスキャンエリアを示す。
【図11】図11Aは本発明の実施形態による、赤色光が第2の被膜層および保護層を透過している読み取り装置を示し、図11Bは本発明の実施形態による、緑色光が第2の被膜層により反射されている図11Aの読み取り装置を示す。
【図12】図12Aは本発明の実施形態による、人工的に重ね合わせられた光学特徴および磁気特徴を有するタグの上面図を示し、図12Bは本発明の実施形態による、読み取り素子を使用して撮影されたタグの赤スペクトル画像を示し、図12Cは本発明の実施形態による、読み取り素子を使用して撮影されたタグの緑スペクトル画像を示す。
【図13】図13Aは人工的に重ね合わせられた光学特徴および磁気特徴を有するタグの上面図を示し、図13Bは本発明の実施形態による、読み取り素子を使用して撮影されたタグの撮像エリアの構成を示し、図13Cは本発明の実施形態による、読み取り素子を使用して撮影されたタグの画像からの光学タグ情報を示し、図13Dは本発明の実施形態による、読み取り素子を使用して撮影されたタグの画像からの磁気タグ情報を示す。
【図14】図14Aは本発明の実施形態による生成中のタグの光学上面図を示し、図14Bは本発明の実施形態による生成中のタグの磁気上面図を示し、図14Cは本発明の実施形態による、タグについての光学情報および磁気情報の読み取りに使用することができる読み取り素子の構成を示し、図14Dは本発明の実施形態による、図14Cの読み取り素子を使用して撮影されたタグの画像を示す。
【図15】図15Aは本発明の実施形態による格子パターンを示し、図15Bは本発明の実施形態によるデータマトリックスコードを示し、図15Cは本発明の実施形態による、図15Aからの格子パターンと、図15Bからのデータマトリックスコードとを重ねたものを示す。
【図16】図16Aは本発明の実施形態による生成中のタグの光学上面図を示し、図16Bは本発明の実施形態による生成中のタグの磁気上面図を示す(光学データマトリックスコードに関連付けられた格子パターンが、磁気図上に人工的に重ねられており、図16Cは本発明の実施形態による、タグについての光学情報および磁気情報の読み取りに使用することができる読み取り素子の構成を示し、図16Dは本発明の実施形態による図16Cの読み取り素子を使用して撮影されたタグの画像を示す。
【図17】本発明の実施形態によるタグの光学読み取りおよび磁気読み取りを示す。
【図18】図18Aは本発明の実施形態による読み取り素子の断面図を示し、図18Bは本発明の実施形態による読み取り素子内の中央を移動する光の方向を示し、図18Cは本発明の実施形態による磁気光学基板の異なるエリアから反射されている光を示す。
【図19】図19Aは本発明の実施形態による読み取り素子の断面図を示し、図19Bは本発明の実施形態による磁気光学基板の異なるエリアから反射されている読み取り素子内の光源から移動する光を示し、図19Cは本発明の別の実施形態による読み取り素子の断面図を示す。
【図20】図20A−図20Dは、本発明の実施形態による読み取り素子のいくつかの構成要素および2つの偏光セットとの相互作用の簡略化されたグラフ表現である。
【図21】図21Aは本発明の実施形態による人工的に重ねられた光学特徴および磁気特徴を有するタグの上面図を示し、図21Bは本発明の実施形態による、読み取り素子を使用して撮影されたタグの緑スペクトル画像を示し、図21Cは本発明の実施形態による、読み取り素子を使用して撮影されたタグの赤スペクトル画像を示す。
【図22】本発明の実施形態による磁気光学読み取り素子を使用して水平面上のタグを読み取る方法を示す。
【図23】本発明の実施形態による磁気光学読み取り素子およびタグを示す。
【図24】本発明の別の実施形態による磁気光学読み取り素子を使用して水平面上のタグを読み取る方法を示す。
【図25】図25A−図25Dは本発明の別の実施形態による、タグ表面に適合する磁気光学読み取り素子を使用して凸凹面上のタグを読み取る方法を示す。
【図26】本発明の実施形態による磁気光学読み取り素子を使用して整合ラベル内に含まれる指紋を読み取る方法を示す。
【図27】ラベルが固定される有価値物品が粗い表面を有する場合に、本発明の実施形態により整合ラベルがどのように役立ち得るかを示す。
【図28】本発明の実施形態によるさらなる整合ラベル形成を示す。
【図29】図29Aは本発明の実施形態による指紋領域を含むタグの断面図を示し、図29Bは本発明の実施形態によるタグおよび指紋領域の平面図を示す。
【図30】図30Aは本発明の実施形態による厚いラベルに磁気光学読み取り素子を係合させる前の状況を示し、図30Bは本発明の実施形態による、タグを読み取る際に、厚いラベルに押し付けられた磁気光学読み取り素子を示す。
【図31】本発明の実施形態による磁気光学読み取り素子を使用して、位置合わせされた特徴を有するラベルを読み取る方法を示す。
【図32】本発明の実施形態による指紋を含むタグを読み取る方法を示す。
【図33】本発明の実施形態による識別される物体の溝内のタグを示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の実施形態について特に、特定の実施形態を参照して図示し説明するが、特許請求の範囲により規定される本発明の主旨および範囲から逸脱せずに、形態および細部の様々な変更を行い得ることが当業者には理解されるべきである。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内にあるすべての変更は、包含されることが意図される。
【0056】
本発明の実施形態では、個々の磁性粒子から情報を取得することが可能であり、例えば、エリアが細かい解像度で一意のパターンを有するように、固定エリアでのランダムな位置を考慮する読み取り装置が提供される。
【0057】
図1は、本発明の実施形態による読み取り装置104を利用する偽造防止システム100を示す。ここに示されるシステム100は、モバイル装置106(携帯電話等)またはコンピュータ110を介してデータサーバ108と通信する基本的な読み取り装置104を示すが、読み取り装置104自体がより精巧であり、例えば、データケーブル、ローカルエリアネットワーク、ブルートゥース、Wi−Fi、WiMAX(Worldwide Interoperatiblity for Microwave Access)技術を使用するなど、またはさらには内蔵GPRS(General Packet Radio Service)チップもしくは3G/UMTS(Universal Mobile Telecommunication System)チップを使用して、それ自体がデータサーバ108と通信する携帯電話装置として機能することを含むような方法を介して、データベースまたはデータサーバ108と通信してもよいとも考えられることに留意する。読み取り装置104は、ユーザと直接通信するための方法、例えば、ユーザが読み取り装置104自体で情報を読み、情報を入力できるようにし得る画面およびキーボードを含んでもよい。偽造防止システム100は、少なくとも1つのタグ102、読み取り装置104、モバイル装置106もしくはコンピュータ110(読み取り装置104とデータサーバ108との間に直接通信手段がない場合)、およびリモートデータサーバ108を含み得る。各タグ102は、少なくとも1つの識別特徴セットを含む。識別特徴セットのいくつかの例としては、磁性粒子または磁化可能粒子の無秩序配列、磁気ストリップ、シリアル番号、バーコードまたはホログラム等の光学マークが挙げられる。
【0058】
図1に示される識別特徴は、磁気指紋領域112を形成する磁性粒子または磁化可能粒子の無秩序配列を含む。各タグ102は、識別される、または識別されるように構成される価値のある物体または物品262に取り付けられる。読み取り装置104は、タグ102上の少なくとも1つの識別特徴セットを読み取るために使用される。読み取り装置104は、識別特徴セットの読み取りから生成される信号をモバイル装置106またはコンピュータ110に送信する機能を有する。読み取り装置104からの暗号化された信号は、無線接続または有線接続を通してモバイル装置106またはコンピュータ110に送信することができる。無線接続のいくつかの例としては、ブルートゥースおよびWi−Fiが挙げられ、有線接続のいくつかの例としては、勧告規格232(RS232)およびユニバーサルシリアルバス(USB)が挙げられる。コンピュータ110は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、ラップトップ、またはパームトップであることができる。モバイル装置106は、例えば、携帯(セルラ)電話または個人情報端末(PDA)であることができる。モバイル装置106またはコンピュータ110は、インターネットを介して、リモートデータサーバであり得る(またはリモートサーバにリンクし得る)データサーバ108に接続することができる。モバイル装置106は、例えば、汎用パケット無線サービス(GPRS)または3G/UTMS技術を使用してローカルネットワークを介して接続する。
【0059】
図2は、本発明の実施形態による読み取り装置104を使用する認証プロセスを示すフローチャート200を示す。まず、202において、読み取り装置104が使用されて、第1の識別特徴セットおよび第2の識別特徴セットが走査される。第1の識別特徴セットおよび第2の識別特徴セットの走査は、単一ステップで実行してもよく、または2ステップで実行してもよい。第1の識別特徴セットは、磁気指紋領域112等の磁気情報を含み、第2の識別特徴セットは、線形バーコード、2Dバーコード、またはデータマトリックス等のマトリックスバーコード(本明細書では、このようなすべての種類のバーコードは一般にバーコードと呼ばれる)等の光学情報を含み得る。第1の識別特徴セットおよび第2の識別特徴セットの走査では、第2の識別特徴セットに対する第1の識別特徴セットの相対位置が考慮される。この例では、第1の特徴セットが磁気性であり、第2の特徴セットが光学性であるとして説明するが、各セットに存在する特徴の読み取り順または種類を交換してもよい。
【0060】
204において、読み取り装置104は、読み取られた信号をチェックして、何らかのエラーを読み取りにおいて検出できるか否かを調べる。読み取り装置104がエラーを検出する場合、210において、ユーザに、第1の識別特徴セットおよび第2の識別特徴セットの走査の再実行を促すか、または(エラーが致命的ではない場合)、エラーフラグを立て、データ送信に進むように促す。ユーザがデータ送信に進むことを選択した場合、例えば、ユーザに、モバイル装置またはコンピュータキーボードを使用してデータのうちのいくつかを手動で入力するようにも促し得る(例えば、バーコードが読み取りミスされた場合、ユーザは、再走査ではなくバーコード番号を入力することを選び得る)。その後、206において、少なくとも第1の識別特徴セット(すなわち、磁気指紋領域112)の読み取りから生成された信号またはデータが、暗号化される。任意的に、第2の識別特徴セットの読み取りから生成された信号またはデータも暗号化される。しかし、人間可読識別特徴を暗号化し得る異なるアルゴリズムまたは鍵を使用して、機械可読信号を暗号化することも本発明に包含される。これは、暗号化を危険に曝すことから保護することに役立つ。208において、少なくとも部分的に暗号化されたデータが、有線接続または無線接続を介してモバイル装置106またはコンピュータ110に送信される。212において、モバイル装置106は、例えば、GPRSを使用してインターネットを介してリモートデータサーバ108に接続するか、またはコンピュータ110が、インターネット接続を通してリモートサーバ108に接続される。
【0061】
214において、リモートサーバ108は、データベースに記憶されている信号(磁気指紋領域および/または光学情報の以前の走査からの)を磁気指紋領域からの走査信号と比較する。216において、サーバは、記憶されている信号と走査された信号とが一致できるか否かを判断する(ここでは、照合閾値が使用されて、データが適切な確実度で一致するか否かが判断される)。各信号が一致しない場合、218において、認証失敗通知がモバイル装置106またはコンピュータ110に送信される。情報が一致した場合、220において、モバイル装置106またはコンピュータ110は、照合成功通知を受信する。この通知には、ユーザに役立ち得るタグまたは物体についての追加情報が付随してもよい。図1と同様に、読み取り装置104がより精巧であり、周辺モバイル装置またはコンピュータなしで、それ自体がリモートデータサーバ108と通信可能であってもよいことが意図されることに留意する。このより精巧な読み取り装置104は、ユーザと直接通信するためのキーボードおよび表示画面を含み得る。用語「信号」または「複数の信号」が、識別特徴から読み取られるデータを指し、したがって、信号が、例えば、指紋領域の磁気特徴を表すイメージであってもよいことにさらに留意する。
【0062】
図3は、本発明の実施形態による読み取り装置104を示す。読み取り装置104は、読み取り素子114、スイッチ118、2つの発光ダイオード(LED)インジケータ120、2つのマイクロコントローラチップ122、可搬性電源124、ならびに通信電子装置およびソフトウェア(例えば、Bluetooth(登録商標)モジュール、Wi−Fiモジュール、USBモジュール、またはRS232モジュール)を含む。読み取り素子114は、タグ102上の第1の識別特徴セットを読み取るために使用される。読み取り素子114は、磁気識別特徴および光学識別特徴の両方を読み取ることができる。スイッチ118は、読み取り装置104をアクティブ化または非アクティブ化するために使用され、読み取り装置104上の任意の適した位置(例えば、エルゴノミクス的に)に位置決めすることができる。LEDインジケータ120は、読み取り装置104の状態、例えば、オンであるか否か、データ読み取り中、データ送信中、またはエラーに直面しているか否かの指示を提供する。各マイクロコントローラチップ122は、例えば、処理ユニット、入出力インタフェース、シリアル通信インタフェース、記憶装置を含む単一の集積回路である。必要なマイクロコントローラチップ122またはLEDインジケータ120の数は、読み取り装置104の要件に依存する。可搬性電源124は通常、例えば、使い捨て電池または受電式電池である(しかし、USB等の通信手段が使用される場合、読み取り装置104にUSBケーブルを介して給電することができる)。
【0063】
図4は、従来技術による読み取り素子134の断面図を示す。図4の読み取り素子134は、光学処理ユニット136および磁気光学基板138を含む。光学処理ユニット136は複数の構成要素を含み、構成要素は、光源140、2つの偏光子142、148(光源が偏光を発しない場合、示されるように2つの偏光子が必要であり得るか、または特定の状況では、例えば、偏光ビームスプリッタと組み合わせられた1つの偏光子を使用することが可能である)、ビームスプリッタ144、レンズ系146(1枚のみのレンズが図4に示されるが、一般に、良質の画像を達成するために、一連のレンズ要素が必要であり得ることが当業者には明らかであろう)、および光学検出器150(例えば、画像を撮影可能な電荷結合素子(CCD)、または補形金属酸化膜半導体(CMOS)チップ)を含む。図4、図9、図11、図18、および図19に関連して示され説明される構成が、単なる例示であり、厳密な構成は変更可能であり、例えば、偏光子148およびレンズ系146の位置は交換可能であり、または偏光子148をレンズ系146の間に配置してもよいことに留意する。さらに、レンズ系146内のレンズのうちのいくつかは、ビームスプリッタ144の前に位置決めしてもよく、またはビームスプリッタ144がレンズ系146内の一連のレンズ内にあってもよい。
【0064】
磁気光学基板138は、光学透明基板154と、第1の被膜層156、第2の被膜層158、および保護層160等の複数の磁気光学被膜とを備える。様々な適した構成が可能であり、例えば、米国特許第5,920,538号明細書に開示されるように、光学透明基板154は、単結晶ガーネット(スカンジウム等の他の成分をさらに含み得るガドリニウム・ガリウム・ガーネット等)であることができ、第1の被膜層または磁気光学膜156は、ファラデー回転子(例えば、フェライト−ガーネット膜を含む)であることができ、第2の被膜層または反射層158は、カー回転子(例えば、ガドリニウムフェライトを含む)であることができ、第2の被膜層158は、反射性または透明の保護層160でさらに被膜することができる。
【0065】
光源140は、偏光源または非偏光源であることができる。偏光源のいくつかの例としては、特定の種類のレーザが挙げられ、非偏光源のいくつかの例としては、発光ダイオード(LED)が挙げられる。さらに、光源140は単色性であり得るが、白色光源等の他の選択肢も適し得る。光源140からの光は、第1の偏光子142を透過し、次に、ビームスプリッタ144に入射する。光のかなりの割合は、ビームスプリッタ144から磁気光学基板138に向かって反射する。この光は、磁気光学被膜156、158、および160のうちの1つまたは複数により反射され、再びビームスプリッタ144に向かって移動する。その光のかなりの割合は、ビームスプリッタ144を透過し、レンズ系146および第2の偏光子148を通過してから、光学検出器150に達し、光学検出器150は、磁気光学被膜層156、158、160に存在する磁場の画像表現を捕捉する。図4、図9、図11、図18、および図19では、光路は一般に単一の矢印(または少数の矢印/線)で表されるが、これは、光がその単一の経路のみに沿って移動することを暗に示すことを意図せず、一般に、光は、磁気光学基板138の所望のエリアを撮像するのに十分に広いエリアにわたり得ることに留意する。第2の偏光子148が入射光の偏光に対して回転する(図4では、「入射光の偏光」は、光が第1の偏光子142を透過した直後の偏光を意味する)ことにさらに留意する。第2の偏光子148は、測定中の磁場に応じて、最大の画像コントラストを保証するように、入射光の偏光に対して(または逆も同様に)調整することができる。偏光源が使用される場合、必要な偏光子が1つのみであることに留意する。本明細書におけるすべてのイメージは、一定の縮尺で拡大縮小されたものではない。例えば、図4(および他の図)に示される磁気光学基板は、様々な被膜層を明確に区別できるように、図の残りの部分よりも厚くされていることが多い。
【0066】
保護層160は、第1の被膜層または磁気光学膜156および第2の被膜層または反射層158をあらゆる破損から保護するように機能する。保護層160は、好ましくは、ダイアモンド状炭素(DLC)もしくは四面体非晶質炭素(ta−C)等の固く薄い皮膜であり、または酸化アルミニウム(Al)のように透明であり得るが、そのように限定されない。保護層160の厚さは、選ばれる材料および内部応力に応じて数ナノメートル〜数マイクロメートルの範囲内であるが、そのように限定されない。
【0067】
光学処理ユニット136内の構成要素および磁気光学基板138内の層構成は、互いに対して固定された空間関係を有し得る。これにより、少なくとも主要な光学構成要素(例えば、光学検出器150、レンズ系146、偏光子142、148、ビームスプリッタ144、および磁気光学基板138)がすべて、一体のユニットまたはモジュール、すなわち、読み取り素子134を形成するものとして見なすことができるように、互いに対して固定されることが好ましいことを意味する。読み取り素子134がタグ102の磁気光学読み取りを利用し、光が、磁気光学基板138により読み取り素子134内で内部的に反射することに留意する。これは、磁場の解析に使用されている光が、タグ102の表面から反射しないことを意味する。
【0068】
磁気光学基板138は、光をまったくかまたは殆ど通さないため、タグ102の表面に配置された光学情報を読み取ることはできない。したがって、読み取り素子134は、光学情報および磁気情報がタグ102の同じエリアに配置されている(すなわち、重複する)場合、光学情報および磁気情報の結合信号を生成することもできない。光学情報および磁気情報の両方を読み取るように構成された磁気光学基板を備えた読み取り素子は、本発明の範囲内であり、例えば、図18、図19、および図20の説明においてさらに考察される。
【0069】
図5Aおよび図5Bのそれぞれは、本発明の実施形態によるタグ102内に使用される磁性粒子176(好ましくは、高保磁性)の上面図および斜視図を示す。明確な磁気光学信号を得るために、磁気指紋領域112を形成する高保磁性磁性材料の粒子176を使用すべきである。図5Bは、この実施形態では、磁性粒子176がベース層192とカバー層194との間に挟まれる層を形成することを示す。ベース層192およびカバー層194は一般に、材料の膜から形成され、ベース層192は、磁性粒子176に支持を提供し、カバー層194は、環境および摩耗からの保護を提供する。使用可能なカバー層194の最大厚は、磁性粒子176により生成される磁場の強度(磁場の強度自体は、例えば、磁性粒子176の残留磁化、磁性粒子176のサイズ、磁性粒子176の向き、および磁化の方向の関数である)、磁場の読み取りに使用される読み取り素子の感度、および全体システムに期待される分解能に依存する。本明細書では、磁性粒子176を、ポリマー材料、金属材料、ガラス材料、またはセラミック材料等の非磁性(または弱磁性)母材材料内に分散させ得、前記非磁性または弱磁性材料は、粒子の保護、粒子と存在するその他の層との粘着(すなわち、非磁性材料が磁性粒子を所定位置にロックする−例えば、接着の一形態)、およびベースもしくはカバーの層に対する粒子の塗布の容易さのうちの1つまたは複数を提供することが理解される。そのような場合、「磁性粒子176」は、該当する場合、非磁性母材材料を含むものと理解される。特定の場合、特別なベース層192がなく、磁性粒子176がタグの底において接着層に直接接触してもよく、または露出されてもよい。
【0070】
磁性粒子176は、高保磁性材料を含み得る。例示的な高保磁性材料は、Nd、Fe、およびBを含むネオジム磁石である。磁性粒子176は、フェリ磁性材料、反強磁性材料、強磁性材料、または連続材料内の磁気特性変化ドメイン(磁気特性を変化させるボイドを含む)、およびこれらの組み合わせを含み得る。強磁性材料は、MnBi、CrTe、EuO、CrO、MnAs、Fe、Ni、Co、Gd、Dy;Fe、Ni、Co、Sm、Gd、Dyの対応する合金および酸化物、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0071】
適するために、読み取り素子で読み取られるタグ102のエリアは、適した密度の粒子を含み得る。図6Aおよび図6Bは、本発明の実施形態により読み取られる2つのタグのエリア内に含まれる、異なる密度の磁性粒子を示す。図6Aは、非常に低密度の磁性粒子176を示し、その一方で、図6Bは非常に高密度の磁性粒子176を示す。図6Aの場合であり得るように、読み取られる平均的なタグ102のエリアに含まれる磁性粒子176が少なすぎる場合、一意に識別可能な指紋を有する多数のタグ102を達成することは困難であり得る。図6Bの場合であり得るように、読み取られる平均的なタグ102のエリアに含まれる磁性粒子176が多すぎる場合でも同様に、一意に識別可能な指紋を有する多数のタグ102を達成することは困難であり得る。したがって、一般に、使用されるタグ102が、適した密度の磁性粒子176を有することを保証することが望ましく、例えば、使用されるすべてのタグ102が少なくとも特定のサイズの20個〜50個の磁性粒子176を有さなければならないという閾値を設定することが可能である。多すぎるまたは少なすぎる磁性粒子176を有するタグ102は、例えば信号の第1の読み取りおよび記憶の際などの生産ラインではねることができる。
【0072】
大半の撮像チップ(例えば、CMOSチップ)は実際にはイメージのデジタル表現である(すなわち、ピクセル化される)ため、場合によっては、後述するように、許容基準を直接、イメージのピクセルに基づかせることがより簡単である。例えば、磁気光学読み取り素子が、強度の高い磁場ほど、明るいイメージになるように構成され、撮像センサが0〜255の目盛りで輝度を記録する(255が最も明るい)と想定する。その場合、適した磁気指紋があることを保証する別の方法は、特定の閾値を超える(例えば、0〜255の目盛りで閾値128を超える)輝度値を記録しているピクセルの数を数えることである。十分な数のピクセルが閾値を超える場合、タグ102が十分な数の磁性粒子176を有する(または少なくとも、存在する磁性粒子176が特に大きい、すなわち、磁化エリアの部分が十分である)と想定することができる。他方、タグ102が多すぎる磁性粒子176を含まないことをチェックするには、ピクセル最大数を超えるピクセルが閾値を超えないことをチェックすることで十分であり得る。(同様に、これは実際に、磁化エリアが閾値内にあることをチェックする)。さらに適した品質制御ステップは、設定された閾値を上回る特定数のピクセルが、設定される閾値を下回る特定数のピクセルで囲まれることを保証し、それにより、存在する離散領域が空間的に分解された特徴を表すことを保証することである。
【0073】
図7A〜図7Dは、本発明の実施形態による識別特徴を有するタグ102のさらなる例を示す。追加の識別特徴が追加のセキュリティまたは情報を提供するため、複数の識別特徴を採用し得る。これら追加の識別特徴のうちのいくつかとしては、磁気バーコード、磁気ボーダー、磁気英数字文字、磁気基準マーク、光学バーコード(データマトリックス等の様々な業界規格を含む線形および二次元)、光学基準マーク、光学英数字文字、可視マークが挙げられるが、これらに限定されず、例えば、タグ102は、無線周波識別(RFID)チップ、セキュリティインク、またはホログラムを含み得る。第1のバーコード184または第2のバーコード186は、裸眼では検出できないが、適宜構成された読み取り装置104を使用することにより、またはタグ102を電磁スペクトルのうちの1つまたは複数の特定の波長で照明することにより、検出し読み取ることができる、紫外線または赤外線(光学)インク等の隠しインクを使用してプリントし得る。磁気識別特徴および光学識別特徴は、複数の層を使用することにより、走査エリアに対して同じ位置に位置決めすることができる。
【0074】
図7Aは、磁気指紋領域112を有するタグ102を示す。第2の二次元バーコード186は、磁気指紋領域112に部分的に重複し、複数の磁気英数字文字182は、第2の二次元バーコード186の四隅に位置決めされている。磁気指紋領域112が図7Aおよび図7Bに示されるが、好ましくは、指紋領域112を、第2のバーコード186がプリントされた不透明カバー層の背後に配置してもよいことに留意する。したがって、ユーザは、指紋領域112を実際には見ることができないことがある。さらに、磁気特徴および光学特徴は、タグ102の同じまたは異なる層に配置されながら、重複し得る。
【0075】
図7Bは、磁気指紋領域112を有するタグ102を示す。第2の二次元バーコード186は、磁気指紋領域112に重複する。第2の二次元バーコード186は、第2の視準マーク180により囲まれ、第1の視準マーク178は、磁気ボーダー180の右上隅に位置決めされる。第3の視準マーク190は、第2の視準マーク180に隣接して、左上隅に位置決めされる。磁気英数字文字182は、第2の視準マーク180に隣接して位置決めされる。
【0076】
磁気指紋領域112の形成に使用される磁性粒子176は、通常、高保磁性のものである。そのような高保磁性磁性粒子176の一形態は、フレーク状の幾何学的形状である。
【0077】
読み取り素子が、タグ102の重複した光学特徴および磁気特徴を読み取ることが有利であり得る。重複および同様の用語は、同じエリアに配置される、重なる、または上下に重なることを意味するものとして理解すべきである。タグ102の光学特徴および磁気特徴は、タグ102の同じまたは異なる層で重複し得る。本明細書において見つけられる重複する光学特徴および磁気特徴を読み取ることの一利点は、タグ102をより小さくできることである。光学特徴が、磁気特徴の指紋照合の参照として使用され、磁気特徴に物理的に近いため、照合に関して磁気特徴と光学特徴との間により正確な相関も提供する。そのような読み取り素子および関連する装置、タグ、および方法について、詳細に後述する。
【0078】
図8A〜図8Eは、磁気情報および光学情報が重複する、タグ102の断面図を示す。図8Aでは、タグ102は、上面にプリントされた光学バーコード(図示せず)(本明細書では、「バーコード」は、データマトリックスコードおよび他の機械可読光学情報を含むものと解釈される)を有するカバー層194と、カバー層194の下に位置決めされた層の形態であり得る磁気指紋領域112と、磁気指紋領域112の下に位置決めされる接着層4210とを含み得る。バーコードが、純粋に例示のために、光学マークとして示されることに留意する。この図および他の図に関する以下の説明は、一般的なものであると見なされるべきであり、バーコードに限定されない。
【0079】
図8Bは、タグ102の光学上面図を示す。タグ102の表面にプリントされたバーコード184の形態の光学情報は、タグ102の上面図から見ることができる。
【0080】
図8Cは、タグ102の磁気上面図を示す。ユーザは、タグ102の磁気画像を撮影可能な場合、カバー層194および光学情報184を事実上「通り越して」、磁気指紋領域112内に含まれる磁性粒子4220を「見る」ことができる。
【0081】
磁性粒子4220は、特定の「色」のものとして説明されるが、色は、白黒の図の状況において説明される。さらに、磁性粒子4220の「色」は、どの光源140が使用中であるか、磁気光学基板138の性質、および読み取り素子の光学的セットアップに応じる。さらに、磁性粒子4220の結果として検出される光の「色」または強度は、磁性粒子4220により、層156、158、および160の領域での磁場にも応じる。例えば、N磁場は高強度(明るい)エリアになり得る一方で、S磁場は暗い(または低強度)領域になり得る。磁場の強度により(他の要因の中でも特に)、光の強度が決まる。したがって、光の強度は、磁場の強度がばらつく場合、磁性粒子4220にわたってばらつくことになる。したがって、図8Cに示される磁性粒子4220の光強度または色は、均一であるよりはむしろ、各磁性粒子4220にわたってばらつき得る。
【0082】
図8Dは、複合画像の上面図を示す(すなわち、光学特徴および磁気特徴が互いに重ねられる)。上から見た場合、バーコード184および磁性粒子4220が互いに重なることが明らかである。
【0083】
タグ102を、所与のエリア内の光学特徴または磁気特徴のみを読み取り可能な読み取り素子でスキャンした場合、図8Eは、結果として生成されるスキャンを示し、磁気指紋領域112の半分がスキャンされ、光学バーコード184の残り半分がスキャンされる。光学バーコード184が、示されるようにデータマトリックスコードである場合、エリアの半分のみをスキャンすることは、番号(またはデータマトリックス情報全体)を完全に解釈するには必ずしも十分ではないことがある。したがって、光学情報を完全には解釈できないことがある。
【0084】
図9は、本発明の別の実施形態による読み取り素子167の断面図を示す。読み取り素子167は、磁気情報および光学情報の両方を一度に読み取るように構成される。適した一構成では、読み取り素子167は、単一の偏光子142、148、共通のレンズ系146、ビームスプリッタ144、および単一の光源140を含む。
【0085】
一実施形態では、少なくともいくらかの光が、第1の被膜層156、第2の被膜層158、および保護層160を透過する。タグ102の表面が十分な反射性を有すると仮定すると、光は、タグ102の表面の少なくともいくつかの部分から反射し、元の読み取り素子167を透過して、光学検出器150により捕捉されもする。すなわち、光のうちの少なくとも一部は、タグ102の表面から反射し、読み取り素子167内で内部的に反射しない。図8Aに示されるタグ102の少なくとも一部が十分な反射性を有すると仮定すると(明らかに、光学バーコード184の裏のエリアは、その他のエリアほどは反射しない)、光学検出器150は、磁気特徴および光学特徴で変更された光の組み合わせを検出する。一実施形態では、磁気光学基板138は、読み取り素子167の略全幅にわたって広がり得る。一実施形態では、磁気光学基板138は、タグ102のスキャンエリアの略全体にわたって広がり得る。一実施形態では、読み取り素子167は、電子信号を伝動するコイル(図示せず)または他の構造を備えることができ、電気信号は、タグ102の磁性粒子4220に磁場を生成させる(そのような場合、好ましい磁性材料は、鉄ベースの強磁性材料等の柔らかい低保磁性磁性材料である)。一実施形態では、読み取り素子167は磁石(図示せず)を備えることができ、磁石は、タグ102のスキャンエリアに対して略均一の磁場を形成し得る。
【0086】
図10Aは、光学バーコード184および磁性粒子4220(図8Aから)を有するタグ102のスキャンエリアを示し、グレースケール光学検出器150を含む図9の読み取り素子167が使用される。いくつかの実施形態では、単色性光源が使用される。図10Aに見られるように、結果は、光学バーコード184と磁性粒子4220との組み合わせである。図10Aに示される例では、光学的に黒い領域はすべて、十分な光を反射せず、そのため、磁性粒子4220がその位置に存在するか否かに関わりなく、黒く見える。しかし、タグ102が少なくともいくらかの反射性を有する箇所(すなわち、黒いマークの間のエリア)では、反射光は、磁性粒子4220が存在する領域においてより高強度で(すなわち、より白く)見える。これは、反射エリアが、磁性粒子4220がその位置に存在するか否かに関わりなく、同量の光を反射するために発生する。しかし、磁性粒子4220が存在する場合、光の偏光はわずかに変更され、光学的セットアップに応じて、そのようにより大きく変更された光が、偏光子148を透過し、したがって、光学検出器150にとって明るいスポットとして見えることになる。このシステム/構成が、タグの反射エリアが光沢を有するか、または鏡面様である場合に最も上手く機能し、艶無しまたは他の様式で傷がある場合、衝突する光の偏光を変更して、読み取り素子の磁気特徴検出能力を低減する恐れがあることに留意する。例えば、様々な色の単色性光源およびタグ102自体の表面にプリントされた情報の様々な色方式を使用するなど、利用可能なこの様々な変形があり得る。この例および他の例において、選ばれる光学構成および磁性粒子4220の極性に応じて、磁性粒子4220を明るいエリアもしくは暗いエリアとして、または(極性の組み合わせが使用される場合)明るさおよび暗さが様々な領域として見せることが容易であり得ることに留意する。この構成を使用することにより、タグの反射エリア内の磁気特徴の位置を、参照シグネチャの作成に使用されるものと比較することがより容易であり得る。この場合、照合は、タグの反射エリアに対応する磁気情報のみに関係し、暗い(黒い)エリア内の磁気情報は無視される。したがって、データマトリックスは、反射エリアの明度が画像内で変わるため、磁気情報の存在により、解釈がより困難であり得るが、これは一般に、単に明度閾値を設定し、その閾値よりも明るいすべてのピクセルを、実際にどの程度明るいかに関わりなく、反射エリアの部分として見なすと仮定するなどの方法により、容易に解消される。
【0087】
図10Bは、タグ102のスキャンエリアを示し、図9の読み取り素子167が、反射面にプリントされた青緑バーコードを有するタグ102と共に使用される。ここで、光源140は白色光源であると仮定する。白色光源は、緑色光領域で最もよく応答すると仮定される磁気光学基板138と共に使用される。したがって、白色光が使用される場合、磁気領域は、磁気光学基板の性質により、光学検出器150にとっては緑に見える。タグ102のスキャンエリアは、読み取り素子167からは様々な色合いの緑に見えるが、緑の色合いは白黒図で表される。したがって、磁性粒子4220が明るいスポットであるように見え、光学バーコード184がより暗く見えることが分かる。光学バーコード184の部分と同じ場所に磁性粒子4220がある場合、光学バーコード184および磁性粒子4220の緑が相互作用して、別のバリエーションの緑を形成するが、本発明の実施形態をよりよく説明するために、このバリエーションは示されない。図9の読み取り素子167が、(上記または下記の)説明において例として使用されるが、概念は、図9の読み取り素子167に限定されず、すべての読み取り素子(特に、図11、図18、図19、および図20に示されるもの)に適用される一般的な概念として解釈されたい。この場合、異なる波長の光をバーコードの解釈に使用することが有利であり得、例えば、磁気光学基板が緑領域で優先的に機能する場合、その領域を使用して、磁気情報を読み取ることができ、その一方で、例えば、赤領域を使用して、光学情報を解釈することができる(青緑バーコードは、赤領域では黒く見え、その一方で、反射面のその他の部分は、画像内で明るく見える)。望まれる場合、この種のシステムは、読み取り素子内に2つの異なる光源を使用することにより、さらに向上させることができる−例えば、緑色光源が偏光され、その一方で、例えば、赤色光源は偏光されないままである(図20は、これに適した読み取り素子構成を提供する)。この構成では、画像の赤領域を、いかなる磁気情報もまったくない純粋な光学画像にすることができる。ここでは、「純粋」および「ない」等の用語および他の絶対的な用語は、その絶対的な形態で考えられず、示唆的な形態(すなわち、「略ない」)として考えられる。例えば、「いかなる磁気情報もまったくない純粋な光学画像」と記述されるが、実際には、CMOS撮像素子(例えば)は、撮像素子からの「赤領域」が緑領域および青領域からのいくらかの入力を含むように、赤センサ、緑センサ、および青センサの間にいくらかのクロストークを有する−これは、周知の現象であり、赤から緑画像および青画像のいくらかの部分を差し引いて、より純粋な赤画像にすることにより、最小化しようとする様々な方法がある。したがって、純粋な画像と記述される場合、絶対的な純粋性が、実際には達成不可能なことが多い何かであると理解されるが、本発明の文脈内で使用するために、「純粋」であることの関連が意図される。
【0088】
別の実施形態では、部分反射性の第2の被膜層158が使用される。図9は、この実施形態において、読み取り素子167の例としても使用される。第2の被膜層158により反射される光の量および第2の被膜層158を透過する光の量を調整することにより、光学検出器150により捕捉される最終的な画像への磁性粒子4220および光学特徴184の相対寄与を最適化することができる。例えば、図8Aでは、部分反射性の第2の被膜層158は、バーコードの黒いマークのエリアの上で、十分な光が反射され、それにより、バーコードに重複する磁性粒子または特徴4220の存在を検出可能なように構成することができる。ここで、「部分反射性の第2の被膜層158」は、磁気光学基板138、特に第1の被膜層156および第2の被膜層158により偏光が変更された光が、優先的に反射されるように向けられた反射性偏光膜を含むものとして理解される。これは、磁気情報が、他の非選択的であるが、部分反射性を有するミラーと比較して強化されることを意味する。
【0089】
別の実施形態では、波長選択的な第2の被膜層158が使用される。同じエリアからの光学特徴184および磁性粒子4220の同時スキャンを達成するさらなる方法は、波長選択的な第2の被膜層158またはフィルタシステムを使用することである。例えば、ダイクロイックミラーおよび誘電ミラーは、光の選択された波長(または波長範囲)を反射する一方で、その他の波長にミラーを透過させる薄膜ミラーである。図11Aおよび図11Bに示される各読み取り素子171または光学的セットアップが、ここでも、純粋に例示のためのものであり、厳密な構成が、所望の光学的性質およびミラーの性質に依存することに留意する。図11Aおよび図11Bの両方において、第2の被膜層158は、緑色光を反射するが、赤色光を透過させる波長選択的ミラーであると仮定される(図11Aは、第2の被膜層158および保護層160を透過している赤色光を示し(タグが図示されないが、光はタグの表面から反射されている)、図11Bは、選択的な第2の被膜層158により反射されている緑色光を示す)。すべての例と同様に、第2の被膜層158(または他の層)は単層として説明されるが、これは例示のためであり、これが、「層」が実際には複数の層である状況を含むと仮定され、例えば、そのような波長選択的ミラーの場合、各波長選択的ミラーは一般に、一連の層を含むことに留意する。図11Aおよび図11Bは、磁気光学基板138が光学処理ユニット136の光学閲覧エリアよりも小さいとも仮定する−これが必ずしも常に望ましい訳ではなく、代替として、磁気光学基板を読み取り素子の前部全体にわたって広げてもよい。読み取り素子171内のその他の構成要素は、図9と同じである。
【0090】
図12Aは、人工的に重ねられた光学特徴184および磁気特徴4220を有するタグ102の上面図を示す。図12Bは、図11Aおよび図11Bに説明されるような読み取り素子171を使用して撮影されたタグ102の赤スペクトル画像を示す。図12Cは、図11Aおよび図11Bに説明されるような読み取り素子171を使用して撮影されたタグの緑スペクトル画像を示す。図12Bおよび図12Cの両方において、磁気光学基板138外部の画像のエリアは、4610と記される一方で、磁気光学基板138が存在する画像のエリアは4620として記される。光学検出器150が、例えば、CMOS画像センサである場合、赤スペクトル画像および緑スペクトル画像の両方を同時に取得することが可能である(大半の市販のCMOS撮像チップで)ことに留意する。これは、大半の市販のCMOSセンサでは、撮像フォトセルが、それぞれ一色を感知する4つのフォトセルのクラスタにグループ化され、一般に、1つの赤感知フォトセル、2つの緑感知フォトセル、および1つの青感知フォトセルのフォーマットに従うためである。これは一般に、赤、緑、緑、青を表す「RGGB」構成として知られる。ユーザがフルカラー画像を欲する場合、すべてのフォトセルからの信号を組み合わせて、フルカラースペクトルを再生成するが、互いからスペクトルを分離し、赤スペクトル、緑スペクトル、および青スペクトルに別個に対処することも容易である。
【0091】
図12Bに示されるように、磁気光学基板138が存在する赤スペクトル画像のエリア(白黒で表される)は、純粋な光学画像ではなく、磁性粒子4220が存在するいくつかのより明るいエリアも含む。これは、大半の赤スペクトル光が第2の被膜層158を透過し、タグ102の表面(すなわち、タグ102の表面上の光学マークの画像)から反射する場合であっても、それにも関わらず、光は第1の被膜層156を透過し(タグ102に向かう途中及びタグ102の表面から反射された後の両方)、光の偏光が、磁場の存在により、第2の被膜層158を透過する際に変更されるためである。これは、磁気光学基板138が存在する場合、赤スペクトル画像が実際には、磁気特徴4220と光学特徴184との組み合わせであることを意味する。しかし、必要であれば、緑スペクトル画像は、光学特徴なしの磁気特徴4220の画像を提供するため(磁気光学基板138のエリアにおいて)、図12Cに示されるように、緑スペクトル画像(白黒で表される)からの情報を使用して、磁気特徴4220を除去することができる。この方法を使用して、光学検出器150からの1つの「スナップショット」が、タグ102からの磁気特徴4220および光学特徴184の両方を提供可能であり、重要なことに、磁気特徴4220および光学特徴184の互いに対する空間位置が、非常に正確に測定される。
【0092】
別の実施形態では、偏光子142を使用して、支配的な磁気特徴4220および光学特徴184がどのように、スペクトル画像内に存在するかを調整する(例えば、図12Bおよび図12C)。すなわち、偏光子142は、磁気特徴4220および光学特徴184が、スペクトル画像において強調および/または抑圧されるように構成することができる。同じエリアからの光学特徴184および磁性粒子4220の同時スキャンを達成するさらなる方法は、光のうちの選択された波長(または波長範囲)を偏光させ、他の波長を偏光させないことである。例えば、図19Cに示される読み取り素子は、上述したように、磁気光学情報を読み取ることができる。これは、仮に、光の赤スペクトルが偏光されない場合、磁気特徴は赤画像にまったく影響せず、図12B に示されるぼやけた磁気特徴が存在せず、すなわち、磁気光学エリア内部の光学画像4620は「クリーン」であるため、磁気情報および光学情報を同時に読み取る非常に効率的な手段である。これは、図19Cに関連しても考察される。偏光された光および偏光されない光が、磁気光学基板138および/またはタグ102から反射された後、結果として生成される2つの画像、例えば、図12Bおよび図12Cは、別個に使用してもよく、または光学特徴184のみもしくは磁気特徴4220のみが示されるように組み合わせることができる。
【0093】
一実施形態では、切り替え可能ミラーが使用される。図9は、この実施形態では、読み取り素子167の例としても使用される。第2の被膜層158は、切り替え可能ミラー内、すなわち、電場等の入力に基づいて光学反射性または透過性を変えることができる膜内に作られる。切り替え可能ミラーの一例は、「Proton Conductive Tantalum Oxide Thin Film Deposited by Reactive DC Magnetron Sputtering for All−Solid−State Switchable Mirror」、 K Tajima、Y Yamada、S Bao、 M Okada、およびK Yoshimura,Journal of Physics: Conference Series 100 (2008) 082017 (doi:10.1088/1742−6596/100/8/082017)に説明されているが、切り替え可能ミラーとして使用されている異なる技術の多くの例、例えば、米国特許第6,647,166号明細書、同第7,042615号明細書、および米国特許出願公開第2008/0186560号明細書がある。切り替え可能ミラーを使用することにより、磁気情報および光学情報をわずかに異なる時間であるが、厳密に同じエリアをスキャン(例えば、写真撮影)することができる。ミラーを続く画像撮影間で高速で切り替えることにより、複雑性を追加せずに、光学情報および磁気情報の両方の完全エリア画像を撮影することが可能である。数回切り替えることにより、元の光学参照が画像取得シーケンスの終了時になお同じ位置にあり、したがって、装置がプロセス中に不注意に動かされないことを保証することも可能である。
【0094】
したがって、第2の被膜層は、反射性を変えるように構成することができる。反射性は、偏光性および波長性を含むが、これらに限定されない。すなわち、第2の被膜層は、光の偏光または波長に基づいて、どの光を反射させるか、またはどの光を透過させるかを変更することができる。「Switchable optical polarizer based on electrochromism in stretch−aligned polyaniline」、Appl. Phys. Lett.83, 1307(2003)等のこれを達成可能な層の例は、当分野において既知である。
【0095】
一実施形態では、第1の被膜層156および/または第2の被膜層158としてパターニングされたミラーを使用することができる。第2の被膜層158(および必要であれば、第1の被膜層156)は、磁気光学基板138の表面のいくつかの領域が、反射性を有し、いくつかが透明であるようにパターニングされる。図13Aは、タグ102の上面図を示し、人工的に重ねられた光学特徴184および磁気特徴4220と共に示される。タグ102は、表面上にパターニングされたミラー層である第1の被膜層156および/または第2の被膜層を有する磁気光学基板138を有する読み取り素子を使用して読み取られるべきである。
【0096】
図13Bは、読み取り素子を使用して撮影されたタグの撮像エリアの構成を示す。画像の大部分は、純粋に光学画像エリア5210である。磁気光学基板138は、小さな正方形領域に分割され、領域によっては光学撮像5220専用であるものもあり、磁気特徴の撮像専用であるものもある。磁気4220および光学184の撮像正方形は、磁気光学基板138のエリアにわたるアレイに配置される。図13Cは、図13Aに示される読み取り素子を使用して、タグの撮影された画像からの光学のみのタグ情報を示す。磁気光学基板138の輪郭は、閲覧者が画像の残りの部分に対する磁気光学基板138の位置を容易に見られるように、薄い線として示される。ここで、光学情報は、磁気光学基板138の全体領域5210から得られると共に、光学部分5220からも得られる。図13Cでは、純粋な白色領域として示される磁気光学基板の磁気部分5230。CMOSセンサにより捕捉される同じ画像は、磁気光学基板138の磁気撮像シーケンス5230に対応する磁気特徴4220も含む。画像の部分は図13Dに示される。画像の光学部分は、単に純粋な白色として残され、磁気情報に関する画像の部分のみが示される。磁気光学基板138の輪郭は、閲覧者が画像の残りの部分に対する磁気光学基板138の位置を容易に見られるように薄い線として示される。
【0097】
CMOS撮像チップにより撮影される実際の画像が実際には、図13Cおよび図13Dに示される2つの画像の和であることに留意する。しかし、画像の部分は分割されて、画像の部分から得られるデータを別個に処理可能なことを強調する。これは、CMOS撮像チップに対する磁気光学基板138の相対位置が固定されるため、容易に行われる。したがって、画像のどの部分がタグ102内の磁気特徴4220に関連するか、およびどれがタグ102の光学情報184に関連するかの較正は簡単である。磁気光学基板138の磁気領域5230または光学領域5220を正しく選ぶことにより、磁気撮像領域により見えない場合であっても、タグ102のデータマトリックスコードを復号化可能なことに留意する。
【0098】
図13Bおよび図13Cでは、磁気光学基板138の光学部分および磁気部分は、データマトリックス要素のエリアの約1/4であるように選ばれている。これは、各データマトリック要素の部分がサンプリングされ、それが、特定のデータマトリックス要素が黒であるか、それとも白であるかを判断するために十分なことに意味する(データマトリックス要素に大きな破損がない限り)。この構成は、タグ102の磁気特徴4220および光学特徴184の同時読み取りを達成する簡単な方法を提供すると共に、データマトリックスコードを復号化し、タグ102上の光学マーク184に対する磁気特徴4220のうちの少なくともいくつかの位置を正確にマッピングするために十分な情報を提供する。この方法は、磁気特徴4220のサンプリングにより小さなエリアを提供し得るため、タグ102が十分に密にパッケージングされた磁気特徴4220を含むシステムを設計する際、ユーザが、正確かつ確実な照合を行うために十分な磁気特徴4220をサンプリングする非常に良好な可能性を有するように、注意を払う必要がある。同様に、光学情報184は、部分的に、磁気撮像領域5230により遮られるため、タグ102の光学特徴184を選ぶ際に、特徴を容易に復号化でき、画像が、タグ102の光学マークに対する磁気特徴4220の正確なマッピングを保証するために十分な光学特徴184を有する良好な可能性を有するように、注意を払わなければならない。
【0099】
この方法では、磁気光学基板138の第1の被膜層156および/または磁気光学基板138の第2の被膜層158および/または保護層160をパターニングして、光学撮像領域で最適な光学撮像が行われるようにし得ることに留意する。これらの領域は、回折が読み取り問題を生じさせるほど小さくあるべきではない。これらの領域のパターニングは、例えば、リフトオフパターニング、湿式化学エッチング、または乾式エッチング(例えば、反応性イオンエッチング)のうちの1つまたは複数と組み合わせて、フォトリソグラフィパターニング技法(例えば)を使用するような、様々な標準リソグラフィ技法により達成することができる。上記発明の様々な組み合わせ、例えば、パターン化された切り替え可能ミラーを利用し得る。第1の被膜層156を通してタグ102から光学特徴184を見ているすべての構成では、保護層160が少なくとも部分的に透明でなければならないことに留意する。
【0100】
上述した読み取り素子を使用して、タグ上の光学情報に基づいて、タグ102上の磁気情報を正規化する多くの方法がある。これにより、タグ102にプリントされた光学情報を使用して、タグ102のいくつかの参照読み取りに対して磁気特徴を正確に位置決めできることを意味する。光学参照としてデータマトリックスマークを使用する一方法を以下において説明し得る。
【0101】
図14Aは、生産中のタグ102の光学上面図を示す。データマトリックス184がタグ102の表面にプリントされ、データマトリックス184の周囲には、中心から外側に広がる4つの光学的視準マーク4710がある。図14Bは、生産中の同じタグ102の磁気上面図を示す。タグ102の表面下には、磁気特徴4220を含む磁気指紋領域112がある。
【0102】
図14Cは、タグ102上のデータマトリックス184および磁気特徴4220の読み取りに使用できる読み取り素子173の構成を示す。生産ラインには、少なくとも1つの読み取り素子173があり、この読み取り素子173を使用して、タグ102の参照読み取りを取得することができ、タグ102の参照シグネチャをデータベースに記憶できるようにする。この読み取り素子173は、現場でタグの読み取りに使用される読み取り素子よりも大きなスキャンエリアを有し、さらに、別様に構成することができる。スキャンエリアの大部分は、磁気データのスキャンに捧げられ(スキャンエリア4730)、その一方で、周縁エリア4720だけが、光学情報のスキャンに捧げられる。
【0103】
この読み取り素子173が、生産中のタグ102の上に配置された場合、図14Dに示されるような画像が得られる。この画像を使用して、データベースに記憶されるタグ102の参照シグネチャを導出し得る。ここで、視準マーク4710の部分は、周縁光学閲覧エリアを通して見えるが、画像の大部分は、タグ102の磁気特徴4220を示す。視準マーク4710およびデータマトリックス184が同じプリントステップでプリントされ、したがって、互いに正確に位置合わせされる(すなわち、データマトリックス184を構成する光学特徴の位置およびを確実に推定できる)と仮定すると、図14Dに示される画像を使用して、光学データマトリックス特徴184の位置に対する各磁気特徴4220の位置を正確にマッピングすることができる。視準マーク4710およびデータマトリックス特徴184の相対位置が、互いに対して正確または確実ではない場合、高分解能光学カメラを使用して、相対距離を測定することができ、これを使用して、データマトリックス特徴184に対する各磁気特徴4220の位置および向きをマッピングすることができる。
【0104】
上の図14A〜図14Dに関連して説明された参照画像を得る方法が、これを達成する単なる一方法であることに留意する。他の方法としては、別個の画像を一緒にステッチングすることが挙げられる−一般に、これらの別個の画像は、少なくともいくつかの領域で重複し得るが、厳密にそうである必要はない。さらに別の方法は、磁気光学基板上にダイクロイックミラーを使用することであり、磁気光学基板で覆われたエリア内であっても、磁気情報および光学情報の同時読み取りが可能である。
【0105】
図15A〜図15Cは、データマトリックスコードが実際に、規則正しい格子フォーマットに基づくため、磁気特徴の位置をマッピングするための参照光学マークとして機能するのに適することを示す。図15Aは、14×14要素格子パターン4910を示す。図15Bは、標準の14×14要素ECC200データマトリックスコード4920を示す。この場合、コード4920は16桁数「1234567890123456」を表す。図15Cは、図15Aからの格子パターン4910と、図15Bに示されるデータマトリックスコード4920とが重なったものを示す。図15Cから、データマトリックスコード4920が単純に、特定の要素が黒く充填され、他の要素は白いままである格子パターンであることが容易に分かる。これは、そのようなデータマトリックスコード4920を、磁気特徴をマッピングする格子パターンとして使用できることを意味する。この例は、理解が非常に簡単であるため選ばれたが、広範囲の光学マークが、磁気特徴をマッピングするための参照マークとして機能し得ることが当業者には明らかであろう。内挿(通常、光学マーク領域内の磁気特徴に対して)および外挿(通常、その領域外部の特徴に対して)の両方を使用することができる。
【0106】
図16Aは、図14A〜図14Dの製造中に示されたようなタグ102の光学上面図を示す。ここで、タグ102は、図14Aに示された視準マーク4710がもはや存在せず、タグ102の表面上の残りの光学マークがデータマトリックスコード4920のみであるように、ダイ切断されている。ここでの考察に対して、図14A〜図14Dに関連して説明したタグ102の参照読み取りが、最終的なタグ102(図16Bに示される)内のすべての磁気特徴4220が参照読み取り中にスキャンされるように行われたと仮定する。
【0107】
図16Bは、同じタグ102の磁気上面図を示す。磁気指紋領域112は、タグ102の略全体のエリアを覆って示される。磁気指紋領域112内に多くの磁性粒子4220があり、そのような磁性粒子4220のうちの1つがマークされる。図16Bは、データマトリックスコード4920からの格子パターン4910がどのようにして磁性粒子4220上に重ねられて、光学データマトリックスコード4920に対するそれらの位置を正確にマッピングできるようにするかということも人工的に示す。
【0108】
図16Cは、現場で使用すべき読み取り素子171の構成を示す。ここで、光学スキャンエリア4930は、磁気スキャンエリア4940よりもはるかに大きい。光学スキャンエリア4930の外周および磁気スキャンエリア4940の外周がマークされる。光学スキャンエリア4930よりも小さな磁気スキャンエリア4940を有することは、例えば、図11Aおよび図11Bに示されるフォーマットを有する読み取り素子171を使用して、達成することができる。
【0109】
図16Dは、読み取り素子171が、図16Aおよび図16Bに示されるタグ102上の中央に位置決めされた場合のタグ102の画像を示す。読み取り素子171はタグ102から磁性粒子4220およびデータマトリックスコード4920の両方を同時にスキャンすることが可能である。ここでも、光学スキャンエリア4930の外周および磁気スキャンエリア4940の外周がマークされる。図16Bと同様に、データマトリックスコード4920からの格子パターン4910は、磁気スキャンエリア4940内の磁気特徴4220に人工的に重ねられる。格子パターン4910を人工的に重ねることにより、タグ102のこの読み取りで撮像された磁気特徴4220の位置をどのようにして、タグ102の参照読み取りからの磁気特徴4220の位置に相関付けることができるか、すなわち、この読み取りから導出されるシグネチャをどのようにして、データベースに記憶されている参照シグネチャと比較できるかをグラフで実証することができる(参照読み取りについては、図14A〜図14Dに関連して説明した)。
【0110】
タグ102のさらなる読み取りを図17に示す。ここで、読み取り素子は、タグ102に対して不十分に位置合わせされる。読み取り素子は中央に配置されず、タグ102に対して回転している。ここでも、光学スキャンエリア4930の外周および磁気スキャンエリア4940の外周がマークされる。図16Dと同様に、データマトリックスコード4920からの格子パターン4910は、磁気スキャンエリア内の磁気特徴4220に人工的に重ねられる。格子パターン4910を人工的に重ねることにより、タグ102のこの読み取りで撮像された磁気特徴4220の位置をどのようにして、タグ102の参照読み取りからの磁気特徴4220の位置に相関付けることができるか、すなわち、この読み取りから導出されるシグネチャをどのようにして、データベースに記憶されている参照シグネチャと比較できるかをグラフで実証することができる(参照読み取りについては、図14A〜図14Dに関連して説明した)。これは、位置合わせが非常に不十分な読み取りであっても、システムが、読み取り中の磁気特徴4220の位置を参照読み取りに正確にマッピング可能なことを示す。この読み取りでスキャンされている磁気特徴4220が、図16Dに示される読み取りでスキャンされているものと異なるが、両方の場合で、スキャン中の磁気特徴4220が、はるかに大きな磁気スキャンエリアが利用される参照読み取り(図14A〜図14Dに関連して説明した)でスキャンされたことにさらに留意する。
【0111】
したがって、スキャンでの磁気特徴4220の位置を正確にマッピングできるように十分な光学情報がスキャンされると共に、十分に正確な照合を達成できるように、読み取りでスキャン中の磁気特徴4220の十分な量をタグ102の参照読み取りでスキャンすることもできる場合、現場での読み取りは照合に十分であることができる。先の文章中、「十分な量」および「十分に正確に」は、主観的な用語であり、閾値レベルを設定し得ることを示すためにのみ使用され、例えば、「十分な量」は、スキャンエリア内に存在する磁性粒子4220の累積磁性強度または数により決めることができ、「十分に正確に」は、照合結果の統計学的な信頼度の閾値であることができる。
【0112】
現場での読み取りおよび参照読み取りからの磁気特徴4220のマッピングに関して、光学特徴4920を、両読み取りでの磁気特徴4220の位置をマッピングする第1のステップとして使用することができ、非常に正確なマッピングの場合、第2のマッピングステップが必要であり得ることに留意されたい。この2つのステップのマッピングの一例について、ここで説明する:位置決めまたは正規化が、光学情報4920を使用して行われた後、第2のステップを行うことができ、磁気特徴4220を使用して、識別タグ102の参照読み取りから得られる、記憶されている参照シグネチャに対するより正確な位置決めが達成される。これは、光学位置決めステップから得られる一致の相関を行うことにより行うことができ、その後、得られた磁気特徴4220の画像を、特定の許容範囲内で左右上下に段階的に移動させることができ、各ステップ後、データを再び相関付けて、最良の一致を得ることができる。これにより、参照シグネチャに対して磁気特徴4220を正確に位置決めすることができるが、データが、光学マーク4920との相関を失い、不正確な一致の誤検出を生じさせ得るような程度まで移動しないようにするために、各方向での移動量に対する制限を設定しなければならない。
【0113】
参照読み取りと比較して小さな磁気光学スキャンエリアが、現場での読み取りに使用されるここに示される例は、単なる例である。十分な一致が可能であるように、参照読み取りおよび続く読み取りで読み取られる磁気特徴に十分な重複がある場合、必要とされる略あらゆるサイズおよび構成を使用することができる。
【0114】
図18A〜図18Cは、読み取り素子134の断面図を示す。図18Aでは、読み取り素子134は、複数の構成要素または光学要素を含み得、例えば、磁気光学基板138、光源140、第1の偏光子142、第2の偏光子148、ビームスプリッタ144、および光学検出器150が見られる。図9では、例えば、1つのみの要素として示されるレンズ系146は、ここでは、複数の凸または凹レンズ要素5111、5112、5113、5114、および5115として示される。構成要素は、保護管5120内に収容される。2つのレンズ要素5113および5114は、ピンホール5140と共に、その他の構成要素(保護管5120に対してすべての固定される)に対して移動可能な筐体5130内に配置される。この移動可能な筐体5130は、組立体または構成要素によるいかなる不完全性も、結像を不完全にしないように、結像を調整できるようにする。これは、最終的な組み立てステップ中、結像を調整でき、筐体5130(および関連する構成要素)を、結像が鮮鋭になるような最適な位置に設定できることを意味する。
【0115】
標準の光学構成と同様に、ピンホール5140は、被写界深度を制御できるようにする。すなわち、小さなピンホール5140は、大きなピンホール5140よりも大きな被写界深度になる。しかし、小さなピンホールは、より多くの光を遮断するため、画像はそれほど明るくなく、またはより明るい光源を使用する必要がある。大きな被写界深度を有することは、光学情報および磁気情報が同時に撮像される設計では重要であり得る(例えば、図11Aおよび図11Bに示される構成)。光吸収体5150が示される。これは、ビームスプリッタ144を透過し得る漂遊光を吸収するためのものである。光吸収体5150は、任意の光吸収材料から、例えば、黒いフェルトから作ることができる。保護管5120および筐体5130の内壁は、黒く作られ、漂遊光を吸収し得る。
【0116】
図18Bは、光源140の中央から移動し、ビームスプリッタ144の中央に移動する光路5170を示す。光の少なくとも一部は、磁気光学基板138に向かって反射し(光路5171)、その後、その光の少なくとも一部は、再びビームスプリッタに向かって反射し、ビームスプリッタ144に達した光の少なくとも一部は、ビームスプリッタ144を透過し、光学検出器150に移動する(光路5172)。
【0117】
光の移動は、図18Bに示される中央路のみではないことがある。図18Cは、磁気光学基板138の異なるエリアから反射された光がどのようにして、読み取り素子134を通して移動し、光学検出器150に収集し得るかを示す。鮮鋭な画像を得るための基本的な光学撮像概念および光学素子の設計は、文献において周知である。
【0118】
これは、読み取り素子構成の実際的な一設計にすぎず、他の多くの構成(2つの偏光子を含まないものもあれば、ビームスプリッタを含まないものもある)も実現可能である。
【0119】
例えば、図19A〜図19Cは、ビームスプリッタを含まない読み取り素子134の断面図を示す。ここでは、読み取り素子134は、軸外設計を利用する。すなわち、入力光源140は、管の中心軸からわずかにシフトされる。この特定の実施形態は、2つの偏光子を含み得る。偏光子142は光源140の前に配置される。偏光子148は光学検出器150の前に配置される。この特定の実施形態は、3枚のレンズ:レンズ1910、レンズ1920、およびレンズ1930を含む。ピンホール5140および保護管5120も含まれる。保護管5120は、読み取り素子134の様々な構成要素を収容し、各位置に固定した状態を保つように構成される。磁気光学基板138は、読み取り素子134の前部全体を覆うが、代替の実施形態は、より小さなサイズおよびより大きなサイズの磁気光学基板138を含む。さらに、代替の実施形態は、読み取り素子134の前部に対して様々な位置および向きに配置された磁気光学基板138を含む。
【0120】
図19Bは、本発明の実施形態により、光源140から発せられ、磁気光学基板の異なるエリアから反射された光を示す。光は、光源140から放射される。光は、第1の偏光子142を透過し、次に、前部レンズ1920および1920を透過してから、磁気光学基板138のミラー層から反射される。いくつかの実施形態では、磁気光学基板138は、ダイクロイックミラー層を含み得る。いくつかの実施形態では、磁気光学基板138は、ミラー層を含まない。いくつかの実施形態では、少なくともいくらかの光は、磁気光学基板138を透過し、タグ(図示せず)から反射される。
【0121】
光は、ミラー層、タグ、またはそれらの組み合わせから反射された後、再び前部レンズ1920および1910を透過し、ピンホール5140を通して最終レンズ1930に渡る。次に、光は、第2の偏光子148を透過し、光学検出器150に渡る。したがって、この実施形態は、磁気光学基板138から反射された光が、光学検出器150の表面上に結像するように構成される。第1の偏光子142に対する第2の偏光子148の回転は、光学検出器150により撮影される画像の磁気構成要素と光学構成要素との関係に影響する。
【0122】
図19Cは、本発明の別の実施形態による読み取り素子の断面図を示す。いくつかの実施形態では、追加の光源1950および1960を偏光子に合わせてもよく、または合わせなくてもよい。いくつかの実施形態では、追加の光源に合わせられた偏光子は、同じように向けなくてもよい。光源1950および1960は、読み取り素子134内の任意の適した位置に位置決めし得る。この構成は、ダイクロイックミラーを有する磁気光学基板との併用に適する。
【0123】
ダイクロイックミラーを含む実施形態では、ミラーは、例えば、緑から青の波長を反射するが、赤の波長の光を透過させるように設計し得る。一実施形態では、第1の光源140は、偏光子142により偏光され、緑/青(すなわち、シアン)光を生成する。光源1950および1960は、偏光されず、赤色光源であり得る。そのような構成は、特に、磁気読み取りおよび光学読み取りに対する照明状況を独立して最適化する能力を提供する。例えば、異なる強度を青/緑色光源および赤色光源に選択し得、磁気情報は、反射緑/青スペクトル光で表すことができ、光学情報は、反射赤色スペクトル光で表すことができる。この実施形態では、赤スペクトルは主に、光学情報の取得に使用される。この赤スペクトルは偏光されないため、第2の偏光子148の向きによる影響を受けず、その偏光子の向きは、磁気画像を最適化するように選ぶことができる(主に偏光シアン光に基づく)。
【0124】
図20A〜図20Dは、本発明の実施形態による読み取り素子の簡略化されたグラフ表現である。図20A〜図20Dが、本発明の実施形態のよりよい理解を助けるために、簡略化されることを理解されたい。したがって、図20A〜図20Dに示される読み取り素子は、図19Cに示される構成要素を含んでもよい(例えば、レンズおよび他の構成要素は、これらの図に関連する考察に直接関連しないため、図20A〜図20Dから省かれている)。図20A〜図20Dに示される構成要素の相対位置は、例示を目的としたものであり、他の実施形態では異なり得る。
【0125】
図20A〜図20Dに示される実施形態は、磁気光学基板138の表面にミラー層がない状態で、タグ102の光学情報および磁気情報を読み取るように構成される(それにも関わらず、この概念はミラー層が存在する状態で画像を向上させるために使用することもできる)。いくつかの実施形態では、光の大半は磁気光学基板138を透過し、基板138の下にあるタグ102により反射される。そのような実施形態では、高反射性タグ表面が望ましいことがある。タグ102の表面が十分な反射性を有する場合、光は、タグ102の表面の少なくともいくつかの部分から反射され、偏光子148を透過し、光学検出器150により捕捉することができる。代替の実施形態では、磁気光学基板138は、光源からの光を部分的または完全にミラーリングするように構成し得る。
【0126】
図20A〜図20Dは、緑色光源(図示せず)および赤色光源(図示せず)の前にそれぞれ位置決めされた光学検出器150、磁気光学基板138、偏光子148、ならびに偏光子2010、2020を示す。他の実施形態では、光源の色は、任意の適した色であり得る。偏光子2010は、偏光子148の向きに対して反時計回りに回転する。偏光子2020は、偏光子148の向きに対して時計回りに回転する。
【0127】
図20Bでは、緑色光2030の偏光平面は、緑色光が偏光子2010を透過する際、偏光子148の向きに対して反時計回りに回転する。同様に、赤色光2040の偏光平面は、赤色光が偏光子2020を透過する際、偏光子148の向きに対して時計回りに回転する。図20B〜図20Dでは、示される矢印が、問題となっている光の偏光角度を表すが、必ずしも光が移動する方向を表す訳ではないことに留意する。緑色光および赤色光は両方とも、磁気光学基板138に向かって移動する。
【0128】
図20Cでは、緑色光および赤色光は、磁気光学基板138の下のタグ102から反射され、偏光子148に向かって移動する。タグ102からの磁場は、緑色光および赤色光のうちの少なくともいくらかの部分の偏光平面を、偏光子2030および2040のそれぞれの初期平面に対して時計回りに回転させる。回転後、新しい偏光平面を矢印2050(緑色光の場合)および2060(赤色光の場合)で示す。偏光平面の回転は、一定の比率で拡大縮小されることを意図されず、例示のために誇張され得る。タグ102の光学的特徴は、緑色光および赤色光の少なくともいくらかの部分を変更し(例えば、黒のエリアが光を吸収する一方で、光沢のあるエリアは光を反射する)、したがって、光学情報が両方により伝達される。
【0129】
図20Dは、偏光子148を透過した緑色光2070および赤色光2080の偏光平面のグラフ表現を示す。緑色光は、偏光子148を透過するようによりよく向けられるため、赤色光よりも緑色光のほうが大きな割合で偏光子148を透過する。特に、この実施形態では、偏光子148を透過するようによりよく向けられた緑色光の部分は、偏光子2010により反時計回りに向けられ、タグ102の磁場の存在により、時計回りの回転を受けた。太字の矢印は、偏光子148を透過可能な各光の割合を表す。したがって、緑色光および赤色光が等しい明度で偏光子148に入ったと仮定すると、緑色光は、赤色光よりも明るく偏光子148を出る。
【0130】
光学検出器150に達する緑色光および赤色光との差を使用して、タグ102の光学的情報および磁気的情報を解析する。いくつかの実施形態では、光学検出器150は、緑色光および赤色光を処理して、緑色チャネル情報および赤色チャネル情報を形成する。したがって、チャネルを使用し、緑色チャネル情報および赤色チャネル情報に基づいて、画像を形成し得る。これらの画像を組み合わせて、磁気情報または光学情報を強化することができる(本明細書では、「組み合わせられた」または「組み合わせ」は、両情報セットに関わる任意の形態の数学的演算を意味し、例えば、「組み合わせられた」は、減算も意味することができ、または線形式もしくは非線形式と併用されて、両情報セットを一緒に使用して、特定の情報を抽出することもできる)。
【0131】
図21Aは、本発明の実施形態により人工的に重ねられた光学特徴184および磁気特徴4220を有するタグ102の上面図を示す。図21Bは、図20A〜図20Dに説明されるような読み取り素子を使用して撮影されたタグ102の緑スペクトル画像102aを示す。図21Cは、図20A〜図20Dに説明されるような読み取り素子を使用して撮影されたタグ102aの赤スペクトル画像102bを示す。ここで、磁気光学基板がミラー層を有さないこと、および光が光沢のあるタグ表面から反射されている(黒い光学マークがある場所、光が完全に吸収されると仮定される場所以外)と仮定する。図21Bおよび図21Cに示される理想的な画像が、光学的セットアップに大きく依存し、光学的条件またはタグ表面の条件が変わる場合、非常に異なる画像が得られることが当業者には明らかであろう。
【0132】
いくつかの実施形態では、光学情報が、赤色光および緑色光に同様に影響する場合、緑スペクトル画像102aおよび赤スペクトル画像102bの差異画像を生成することは、光学特徴184をなくすか、または少なくとも減らすが、磁気特徴4220は強化し得る。すなわち、緑スペクトル画像102aおよび赤スペクトル画像102bは、光学特徴184を同様に伝達するが、緑スペクトル画像102aは、磁気特徴4220が配置されている場所では、赤色スペクトル画像102bと異なる値を有する。部分的に、合算画像は、緑スペクトル画像102aおよび赤スペクトル画像102bでの磁気特徴4220の値の差により、磁気特徴4220を低減またはヌル化し得るため、緑スペクトル画像102aおよび赤スペクトル画像102bの合算画像の生成により、光学特徴184が結果的にもたらされ得る。
【0133】
光学特徴184および磁気特徴4220を適宜解決するためには、より複雑な解析が必要であり得ることを当業者なら理解するであろう。例えば、緑スペクトル画像102aおよび赤スペクトル画像102bは、磁気特徴4220および光学特徴184が重複する箇所では、磁気特徴4220および光学特徴184の組み合わせである情報を含み得る。さらに、すべての磁気特徴4220は、均一の色または強度の光で示されるが、各磁気特徴4220にわたる光の強度または色のばらつきが生じ得る。本開示の他の箇所と同様に、用語「差異」または「合算」は、画像を「減算」または「加算」して、調査中の特徴を強化する複雑な非線形方程式を含むものと理解される。例えば、通常、本開示全体を通して示される画像等、完全に均一な照明条件で画像を得ることは実際的に不可能である。大半の場合、照明は、いくつかのエリアにおいて、他よりも明るい(例えば、エッジよりも画像の中心において明るい)。そのような非均一の照明は、問い合わせ中の光学情報および磁気情報の両方に影響する。例えば、一方は画像の中心にあり(光が明度100単位を有する)、一方は、光の明度がより低い(明度10単位を仮定する)画像のエッジにある、磁場強度が等しい2つの磁気特徴があると仮定する。背景が画像から減算されると仮定する。簡単にするために、磁気特徴により、磁気光学基板が、存在する光のさらなる10%が第2の偏光子を透過するように、光の偏光を回転させたと仮定する。明るいエリアでの10%は、10単位の光である一方で、より暗いエッジでの10%は1単位のみの光である。したがって、画像の中心にある磁気特徴は、背景が減算された後、画像のエッジでの磁気特徴よりも明るく見える。したがって、本発明全体を通して、用語「合算」、「組み合わせ」、「加算」、および他の数学的用語は、単に簡単な線形加算または減算よりも複雑な演算を含むものと理解される。
【0134】
図22は、本発明の実施形態による磁気光学読み取り素子114を使用して有価値物品の水平面268上に埋め込まれたタグ102上の指紋領域112を読み取る方法を示す。読み取り素子114は、磁気光学読み取り素子であり、磁気光学基板138および光学処理ユニット136からなり、これらが組み合わせられて読み取り素子114を形成する。読み取り素子114は、読み取り素子114を破損から保護する外装2210で囲まれる。外装2210は、非磁性金属(アルミニウム等)、非磁性セラミック、またはプラスチック等の非磁性材料から製造することができる。特定の状況では、外装2210(または読み取り素子の周囲もしくは読み取り素子の他の構成要素)を弱磁性にすることが望ましく、その理由は、弱磁性にすることにより、読み取り素子114により検出される磁場を強化することができるためである。例えば、タグ102が、指紋領域112の磁気特徴が、読み取り中に読み取り素子114に面するN極を有するように磁化される場合、読み取り素子114が磁石のS極に見えるように、読み取り素子114または読み取り素子114近傍のある構成要素を弱く磁化させることが有利であり得る。これにより、読み取り素子114のS極が特徴のN極を引き付け、それにより、磁束線がタグ102の平面を超えて延びるように磁束線を曲げるため、検出中の磁場を強化することができる。あるいは、例えば、読み取り素子114の左側を弱いN極にし、右側を弱いS極にすることが有利であり得る。これは、磁束線を(主に)磁石の平面において曲げることができ、読み取りがリーダに依存し得る(すなわち、使用される読み取り素子の特定の磁化に依存する)ことを意味し得る。これを使用して、異なるスキャナが特定のタグを読み取ることができないことを保証し得る(指紋が一致しないため)。図22の左側は、磁気指紋112に接触する前の読み取り素子114を示し、図22の右側は、磁気指紋112に接触した状態の読み取り素子114を示す。水平面268上の指紋領域112を読み取る方法は、まず、磁気光学読み取り素子114を磁気指紋領域112に接触させ、次に、読み取り装置104上のボタンをアクティブ化することにより、達成される。ボタンがアクティブ化されると、イメージ信号を得ることができ、読み取り手順が完了する。
【0135】
図23は、本発明の実施形態による磁気光学読み取り素子114およびタグ102を示す。図23の左側では、構成要素は、どのように一緒に収まることができるかを容易に見るために拡大されている。一実施形態では、外装2210は、磁気光学基板138をタグ102上の磁気指紋のエリア上に位置決めするための係合要素のように機能し得る。磁気光学読み取り素子114への潜在的な破損を最小限に抑えるためにも、磁気光学読み取り素子114は、外装2210の表面よりも後退して配置されるように設計することができる。タグ102またはタグ102の部分が、少なくとも50μmの厚さである場合、外装2210および読み取り素子114により形成される溝を、ユーザが読み取り素子114をタグ102に位置合わせできるようにする物理的な位置合わせ方法として使用することができる。読み取り素子114は、例えば、外装2210の表面よりも少なくとも約50μm、少なくとも約150μm、少なくとも約200μm、または少なくとも250μm後退して配置される。通常、このために使用されるタグ102は、少なくとも50μmの厚さを有するように設計し得、読み取り素子114が外装2210の表面から後退する距離よりも厚くない場合には少なくとも同じ厚さであり得る。特定の状況では、効果的な物理的な位置合わせが、外装2210の片側のみを読み取り素子114の高さよりも上に出すことにより達成することができ、この場合、読み取り素子114の高さよりも上に突出した、外装2210により形成されるリップを使用して、読み取り素子114の縁部をタグ102またはタグ102、ラベル、または有価値物品の表面に形成された他の物理的な段差に案内し得ることに留意する。
【0136】
図24は、本発明の別の実施形態による磁気光学読み取り素子114を使用して水平面268上のタグ102を読み取る方法を示す。磁気光学読み取り素子114は、整合要素266(単純なバネセットとして示される)を介して保護外装2210内で摺動可能である。図24の左側は、タグ102に接触する前の読み取り素子114を示し、図24の右側は、タグ102に接触した状態の読み取り素子114を示す。読み取り素子104がタグ102に接触すると、読み取り素子114は押されてタグ102の表面に接触する。整合要素266により、読み取り素子114が、読み取り素子114またはタグ102の重要な指紋領域112を破損するほどの圧力ではないいくらかの圧力をタグ102に対して及ぼすことが保証される。これは、整合要素266の設計が、読み取り素子114がタグ102に対して及ぼす最大圧力を定義するためであり、読み取り装置104が非常に強く押された場合であっても、読み取り素子114は外装2210内に後退し、最終的に、外装2210の壁が過度の圧力を吸収する。整合要素266は、バネシステム、スポンジシステム、吸引システム、油圧システム、および空気システムを含み得る。整合要素266は、ユーザが読み取り中に不均等な力を加えた場合であっても、磁気光学読み取りヘッド114およびタグ102を読み取りプロセス中に常に接触できるようにする。
【0137】
図25A〜図25Dは、本発明の別の実施形態による磁気光学読み取り素子114を使用して凸凹した表面268上のタグ102を読み取る方法を示す。図25Aは、周囲の保護外装2210に対して小さなギャップ267を有する磁気光学読み取り素子114を示す。さらに、磁気光学読み取り素子ヘッド114は、整合要素266、例えば、バネ機構を介して外装2210に接続する。ギャップ267およびバネ機構266は両方とも、凸凹表面268上の磁気指紋領域112またはタグ102を読み取る際にある程度の補償を提供する。図25Aは、タグ102との係合前の読み取り素子114を示す。図25Bでは、図25Aに示すような磁気光学読み取り素子114は、凸凹表面268上のタグ102に接触させられ、磁気光学読み取り素子114は、外装2210内で移動して、凸凹表面268上のタグ102に整合することが可能である。図25Cおよび図25Dでは、ギャップ267を整合層269で置き換えて、磁気光学読み取りヘッド114の移動を補償することができる(図25Cは接触前の状況を示し、図25Dはタグ102との接触中の状況を示す)。指紋領域112内の磁気特徴の磁場の強度が、距離に伴って急速に減衰することに留意する。2つの磁気特徴が、タグ(これはタグ表面から測定される)内に同じ深さで配置され、これら2つの特徴が厳密に同じ磁気強度および配向の磁場を有すると想定する。そのような一方の特徴が、タグ102上の位置2510に配置され、他方が2520に配置される場合、図25Dに示すようなタグの読み取りは、読み取り素子114が、位置2510にある磁気特徴よりも位置2520にある磁気特徴からより強い寄与を測定することになる。これは、表面268のトポグラフィーにより、位置2520にある磁気特徴が、位置2510にある磁気特徴よりも読み取り素子114に物理的に近いためである。したがって、読み取りは実際には、タグ102または表面268のトポグラフィーが巻き込まれたタグ102の磁気特徴の測定になる。タグ102をある表面から取り外して別の表面に配置した場合、指紋読み取りが、配置されているトポグラフィーの変更と共に変更されるため、場合によっては、これは、強力な耐タンパー機構またはタンパー防止機構として使用することができる。他の状況では、特に、タグが最初に、有価値物品の表面に適用される前に製造ラインで読み取られる場合、タグ102の初回読み取りが、トポグラフィーによりタグ102の後続読み取りと良好に一致しない恐れがあるため、これは問題を生じさせる。そのような状況では、整合性タグを使用することが有利であり得る。別の方法は、適用される表面の輪郭に合う裏面を有するように成形し得るが、タグの正面は平坦なままであるべきタグ102を使用することであり得る。そのようなタグ102の例は、硬い平坦な正面層および熱可塑性材料で作られる下層(指紋領域の下)を有する多層タグであり得る。タグ102が有価値物品に適用される場合、タグ102は、熱可塑性層が溶融するか、または少なくとも軟化して、有価値物品の表面に整合し得るように加熱される。
【0138】
図26は、本発明の実施形態による磁気光学読み取り素子114を使用して整合性ラベル260内に含まれた指紋112を読み取る方法を示す。ここでは、整合性ラベル260は、円形断面を有する有価値物品262に取り付けられて示される。有価値物品262の形状により、整合性ラベル260の表面も、読み取り素子114に係合する前、湾曲している(この図の左側に示されるように)。その整合性により、ラベル260の表面は、読み取り素子114により係合された場合に変形して平坦面になることが可能である(この図の右側に示されるように)。これにより、ラベルの指紋領域112と読み取り素子114とを良好に接触させることができる。しかし、ラベル260が、指紋領域112が読み取り中にラベル260の平面において大きく歪むほどは厚くない、またはそこまでの整合性を有さないことが重要であり、大きな歪みは、指紋領域112内の磁気特徴を互いに対して変位させる恐れがあり、これは、記憶されている指紋信号と読み取られた指紋信号との一致を低減させる恐れがある。
【0139】
図27は、ラベル260が固定された有価値物品262が粗い表面を有する場合に、整合ラベル260がどのように役立つかを示す。図27の左側は、読み取り素子114との係合前の状況を示す。ラベル260は、有価値物品262の表面に整合して、ラベル表面を波形にさせる。一般に、指紋112は最初に、ラベル260が平坦に保たれる製造ラインで読み取られる。ラベル260が波形表面を有する場合に後続読み取りが行われる場合、ラベル260が整合しなければ、指紋領域112の特定の磁気特徴は、読み取り素子114の表面から離れ得る。しかし、整合ラベル260を使用しての読み取り中(いくらかの圧力が読み取り素子114に加えられた状態での読み取り素子114との係合中)、右側に示されるように、指紋領域112の表面は読み取り素子114に整合可能であり、それにより、指紋領域112の正確な読み取りが容易になる。
【0140】
図28は、本発明の実施形態による別の整合ラベル形成を示す。ここでは、ラベル260は、指紋領域112の表面が、指紋領域112を囲むラベル260の残りの表面に対してわずかに隆起するように構築される。この図の右側に示すように、読み取り素子114との係合前に有価値物品262に取り付けられると、指紋領域112の表面は、距離Xだけ、ラベル260の縁部の表面よりも上に隆起する。図28の左側に示すように、係合中、この距離はXに圧縮される。すなわち、指紋領域112の表面は、周囲表面の平面のより近くにあるように圧縮される。読み取り素子114の形状またはサイズ、および読み取り中に読み取り素子114に加えられる圧力に応じて、Xは、ゼロ(すなわち、周囲表面の平面にある)または負(すなわち、指紋領域の表面は、押されて周囲表面から後退して配置される)でさえあり得る。読み取り素子114に及ぼされるすべての圧力が、指紋領域112の表面の平坦化に向けて集中され、ラベル260の他の部分がわずかに隆起する場合(例えば、打抜き中に形成されるバリもしくはリップに起因するか、または破損に起因する)またはその他の部分が汚れを表面に有する場合、それらは指紋領域112の読み取りに顕著な影響を及ぼさないため、このラベル260の設計は指紋領域112と読み取り素子114との良好な接触に役立つ。
【0141】
図29Aは、本発明の実施形態による指紋領域112を含むタグ102の断面図を示す。タグ102は、識別される有価値物体262(例えば、指輪)内に埋め込まれ、磁気光学読み取り素子114は、本発明の実施形態によるものである。タグ102を含む指輪262の表面は、タグ102の表面と読み取り素子114との良好な接触を保証するために、平坦化されている。磁気光学読み取り素子114は、磁気指紋112を読み取るためにタグ102に接触させられる。図29Bは、本発明の実施形態によるタグ102および指紋領域112の平面図である。ここで、タグ102は、指輪表面上で利用可能なスペースに収まるように矩形である。指紋領域112は、指紋材料を含む細長い溝である。美観のために(例えば、指輪の周囲と同じように見えるように)、薄い金属層をタグ102上にメッキすることが実現可能であり、そうすることが望ましい場合がある。例えば、指輪が金の場合、指輪262のメッキは金であることができる。このメッキ(または他のコーティング)は、タグ102および指紋領域112を環境(例えば、引っ掻きおよび腐食)からの保護として機能することもできる。本発明の重要な特徴:1つの標準の読み取り素子を有する単一のスキャナが、様々な形状およびサイズであり、様々な有価値物品に含まれるか、またはその表面に取り付けられる指紋領域を読み取り可能であることが、この実施形態において強調される。許容可能な閾値を超える指紋の一致を保証するために、標準の読み取り装置104(および関連する磁気光学読み取り素子)が指紋領域112の十分に広い部分を読み取り可能な場合、すべての指紋領域112が同じ形状およびサイズである必要はない。これは、標準の読み取り装置104またはスキャナを広範囲の製品との併用に使用可能なため、商業的に非常に重要である。
【0142】
図30Aおよび図30Bは、本発明の実施形態による、タグ102を読み取る場合の磁気光学読み取り素子114の断面図を示す。磁気光学読み取り素子114は、保護外装2210で囲まれる。磁気光学読み取りヘッド114は、バネ機構266により外装2210に接続される。外装2210の内壁は本質的に、識別特徴セットを有するタグ102が位置決めされる厚いラベル258の周縁と相補的な形状である。
【0143】
図30Aは、磁気光学読み取り素子114と厚いラベル258との係合前の状況を示す。バネ266は非圧縮状態である。図30Bは、タグ102を読み取る際の厚いラベル258に押し当てられている磁気光学読み取り素子114を示す。保護外装2210は実質的に、厚いラベル258を囲む。磁気光学読み取りヘッド114が厚いラベル258に押し当てられると、バネ266は圧縮され、磁気光学読み取り素子114は外装2210の内部に押される。外装2210の内壁は、ラベル258の囲み、読み取り装置104とラベル258(ひいてはタグ102および指紋領域112)との正確な位置合わせを保証する物理的な係合機構をユーザに提供する。ラベル258および外装2210は、任意の適した形状、例えば、正方形、矩形、三角形、または多角形であることができるが、好ましくは、その形状は完全に対称ではなく、すなわち、形状は、ラベル258に対する読み取り装置104またはスキャナの向きを一意に定義する。そのようなラベル258および外装2210の構成を図31に示し、後述する。
【0144】
図31は、本発明の実施形態による磁気光学読み取り素子114を使用して位置合わせ機構222を有するラベル284を読み取る方法を示す。ラベル284は、薄いカバー層160で覆われた埋め込み指紋領域112を含む(指紋領域112は、カバー層160で隠されているため示されていない)。データマトリックスバーコード186および人間可読シリアル番号182が、カバー層160の表面上にプリントされる。ラベル284上の指紋の読み取りに望ましい位置合わせを達成するために、磁気光学読み取り素子114を囲むか、またはそれに隣接する筐体282の切り欠き280とラベル284のスタッブ222との組み合わせを使用して、相互ロック手段を提供することができる。磁気光学読み取り素子114がラベル284上に配置されると、磁気光学読み取り素子114の筐体282の切り欠き280は、ラベルに対するスキャナの正確な位置合わせおよび向きを保証するための機械的案内を提供する。相互ロックは、ユーザによる好ましい位置合わせでのラベル284に対する磁気光学読み取り素子114の調整を促す。筐体282が、前の図を参照して説明したように、保護外装であり得ることに留意する。
【0145】
図32は、本発明の実施形態による指紋112を含むタグ102を読み取る方法を示す。タグ102は、有価値物品262の表面内に埋め込まれる。有価値物品262は、タグ102に隣接する1つまたは複数の突起3210を有する。これら突起3210は、磁気光学読み取り素子114の筐体282を案内またはそれと相互ロックするように設計される。図32Aは、読み取り素子114とタグ102との係合前の状況を示す。図32Bは、係合中の状況を示す。ここで、磁気光学読み取り素子114は、磁気読み取り素子114がタグ102の表面に接触する(または少なくとも近傍にくる)ように下に移動している。突起3210は、タグ102に対して読み取り素子114の位置を案内するように機能する。突起3210がタグ102または筐体282を完全に囲んでよく、突起3210が、位置合わせの案内に役立つように、タグ102自体またはラベル上に形成されてもよいことに留意する。
【0146】
図33は、本発明の実施形態による識別される物体262の窪み264内の磁気指紋112を含むタグ102を示す。タグ102の窪み264の壁を使用して、図18に関連して説明したように、読み取り装置104またはスキャナとタグ102との位置合わせを助けることができる。そのような窪み264は、識別される物体262が、タグ102を取り付ける、適した平坦面を有さない場合にも有利である。そのような物体としては円筒形物体が挙げられるが、それに限定されない。そのような窪み264には、機械的摩耗および物体との不注意による接触からのタグ102の保護に役立つという利点もある。窪み264が図33に示すように端部が開口になっている必要はなく、任意の窪み、例えば、四壁を有する正方形断面の窪みも適し得ることに留意する。
【0147】
本発明について、特定の実施形態を参照して特に図示し説明したが、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、形態および詳細の様々な変更を行い得ることを当業者は理解されたい。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の均等物の意味および範囲内にあるすべての変更は、包含されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気情報および光学情報を読み取る読み取り装置であって、前記読み取り装置は読み取り素子を備え、前記読み取り素子は、重複した磁気識別特徴および光学識別特徴を読み取るように構成された磁気光学基板を備え、前記磁気光学基板は、少なくとも部分的に光学的に透明である、読み取り装置。
【請求項2】
前記磁気光学基板は層構成を備え、前記層構成は、
光学的に透明な基板と、
第1の被膜層と、
第2の被膜層と
を含む、請求項1に記載の読み取り装置。
【請求項3】
前記第2の被膜層は、部分的に光学的に透明であり、かつ部分的に反射性を有する、請求項2に記載の読み取り装置。
【請求項4】
前記第2の被膜層は、光のうちの少なくとも一部を反射し、前記光は単色性である、請求項3に記載の読み取り装置。
【請求項5】
前記第2の被膜層はダイクロイックミラーを備える、請求項3に記載の読み取り装置。
【請求項6】
前記第2の被膜層は誘電ミラーを備える、請求項3に記載の読み取り装置。
【請求項7】
前記第2の被膜層は、反射性を変更させるように構成される、請求項2に記載の読み取り装置。
【請求項8】
前記第2の被膜層は切り替え可能ミラーである、請求項7に記載の読み取り装置。
【請求項9】
前記反射性は、偏光性および波長性からなる群から選択される、請求項7に記載の読み取り装置。
【請求項10】
前記読み取り装置は、前記磁気識別特徴と共に磁場を誘導する交流電流を生成するように構成される、請求項1に記載の読み取り装置。
【請求項11】
前記読み取り装置は、導電コイルを備える、請求項10に記載の読み取り装置。
【請求項12】
前記読み取り装置は、前記磁気識別特徴のそれぞれに対して略均一の磁場を生成するように構成される1つまたは複数の磁石を備える、請求項1に記載の読み取り装置。
【請求項13】
前記読み取り装置は、少なくとも2つの単色光信号を生成するように構成された光源を備え、前記少なくとも2つの単色光信号は、前記光学識別特徴の画像または前記磁気識別特徴の画像を生成可能な波長のものである、請求項1に記載の読み取り装置。
【請求項14】
前記少なくとも2つの単色信号のうちの一方は、偏光レンズを透過する、請求項13に記載の読み取り装置。
【請求項15】
前記読み取り装置は、前記光学識別特徴の画像および前記磁気識別特徴の画像に基づいて、画像を生成するように構成される、請求項14に記載の読み取り装置。
【請求項16】
前記読み取り装置は、2つ以上の光源を備え、第1の光源は、前記光学識別特徴の画像を生成可能な単色光信号を生成するように構成され、第2の光源は、前記磁気識別特徴の画像を生成可能な単色光信号を生成するように構成される、請求項1に記載の読み取り装置。
【請求項17】
前記単色光信号のうちの少なくとも1つは、偏光レンズを透過する、請求項16に記載の読み取り装置。
【請求項18】
前記読み取り装置は、前記光学識別特徴の画像および前記磁気識別特徴の画像に基づいて、画像を生成するように構成される、請求項17に記載の読み取り装置。
【請求項19】
磁気情報および光学情報を読み取る読み取り装置であって、
磁気光学基板を備える読み取り素子を備え、前記磁気光学基板は、
光のうちの第1の部分を反射するように構成された反射層と、
光のうちの第2の部分を透過させるように構成された透明層と
を備え、
前記反射層および前記透明層は重複して、重複領域を形成し、前記重複領域は、物体の磁気情報および光学情報の両方を読み取ることが可能である、読み取り装置。
【請求項20】
前記磁気光学基板は層構成を備え、前記層構成は、
光学的に透明な基板と、
第1の被膜層と、
第2の被膜層と
を備え、前記第2の被膜層は、部分的に光学的に透明であり、かつ部分的に反射性を有する、請求項19に記載の読み取り装置。
【請求項21】
前記第2の被膜層は、光のうちの少なくとも一部を反射し、前記光は単色性である、請求項21に記載の読み取り装置。
【請求項22】
前記第2の被膜層はダイクロイックミラーを備える、請求項21に記載の読み取り装置。
【請求項23】
前記第2の被膜層は誘電ミラーを備える、請求項21に記載の読み取り装置。
【請求項24】
前記第2の被膜層は、反射性を変更させるように構成される、請求項20に記載の読み取り装置。
【請求項25】
前記第2の被膜層は切り替え可能ミラーである、請求項24に記載の読み取り装置。
【請求項26】
前記反射性は、偏光性および波長性からなる群から選択される、請求項24に記載の読み取り装置。
【請求項27】
前記読み取り装置は、前記磁気識別特徴と共に磁場を誘導する交流電流を生成するように構成される、請求項19に記載の読み取り装置。
【請求項28】
前記読み取り装置は、導電コイルを備える、請求項27に記載の読み取り装置。
【請求項29】
前記読み取り装置は、前記磁気識別特徴のそれぞれに対して略均一の磁場を生成するように構成される1つまたは複数の磁石を備える、請求項19に記載の読み取り装置。
【請求項30】
前記読み取り装置は、少なくとも2つの単色光信号を生成するように構成された光源を備え、前記少なくとも2つの単色光信号は、前記光学識別特徴の画像または前記磁気識別特徴の画像を生成可能な波長のものである、請求項19に記載の読み取り装置。
【請求項31】
前記少なくとも2つの単色信号のうちの一方は、偏光レンズを透過する、請求項30に記載の読み取り装置。
【請求項32】
前記読み取り装置は、前記光学識別特徴の画像および前記磁気識別特徴の画像に基づいて、画像を生成するように構成される、請求項30に記載の読み取り装置。
【請求項33】
前記読み取り装置は、2つ以上の光源を備え、第1の光源は、前記光学識別特徴の画像を生成可能な単色光信号を生成するように構成され、第2の光源は、前記磁気識別特徴の画像を生成可能な単色光信号を生成するように構成される、請求項19に記載の読み取り装置。
【請求項34】
前記単色光信号のうちの少なくとも1つは、偏光レンズを透過する、請求項33に記載の読み取り装置。
【請求項35】
前記読み取り装置は、前記光学識別特徴の画像および前記磁気識別特徴の画像に基づいて、画像を生成するように構成される、請求項34に記載の読み取り装置。
【請求項36】
前記第1の被膜層は磁気光学膜である、請求項2に記載の読み取り装置。
【請求項37】
前記磁気光学基板は、保護層をさらに備える、請求項2に記載の読み取り装置。
【請求項38】
前記読み取り素子は、前記磁気光学基板を位置決めするための係合要素を備える、請求項1に記載の読み取り装置。
【請求項39】
前記係合要素は前記磁気光学基板を実質的に囲む、請求項38に記載の読み取り装置。
【請求項40】
前記係合要素は本質的に、前記タグまたは物体の係合トラックを相補する形状であり、それにより、相互ロック手段を形成する、請求項38に記載の読み取り装置。
【請求項41】
前記係合要素は、キャビティまたは溝として形成される、請求項38に記載の読み取り装置。
【請求項42】
前記溝は、少なくとも約50マイクロメートル、少なくとも約150マイクロメートル、少なくとも約200マイクロメートル、または少なくとも250マイクロメートルの高さを有する、請求項41に記載の読み取り装置。
【請求項43】
前記係合要素は突起として形成される、請求項38に記載の読み取り装置。
【請求項44】
前記突起は、少なくとも約50マイクロメートル、少なくとも約150マイクロメートル、少なくとも約200マイクロメートル、または少なくとも250マイクロメートルの高さを有する、請求項43に記載の読み取り装置。
【請求項45】
前記係合要素は、円形または多角形の断面を有する、請求項38に記載の読み取り装置。
【請求項46】
前記読み取り素子は、前記識別すべきタグまたは物体に接触した場合、前記識別すべきタグまたは物体に適合するように構成される、請求項1に記載の読み取り装置。
【請求項47】
前記読み取り素子は、前記識別すべきタグまたは物体に接触した場合、前記識別すべきタグまたは物体への前記読み取り素子の適合を促進する適合要素を備える、請求項46に記載の読み取り装置。
【請求項48】
前記適合要素は、少なくとも1つのバネ、スポンジ、吸引システム、油圧システム、空気圧システムを含む、請求項47に記載の読み取り装置。
【請求項49】
前記適合要素は、読み取り中、少なくとも前記読み取り素子を読み取るべきエリアに押し付ける、請求項47に記載の読み取り装置。
【請求項50】
前記適合要素は、前記読み取り装置を落とした場合、または前記読み取り装置が固い表面に当てられる場合、前記読み取り素子の表面を破損から保護するように構成される、請求項47に記載の読み取り装置。
【請求項51】
前記適合要素は、前記読み取り素子が押された場合、前記読み取り素子が前記係合要素の高さよりも下に沈むことができるように設計される、請求項47に記載の読み取り装置。
【請求項52】
前記読み取り素子は、使用されない場合、前記係合要素の高さよりも下に収容されるが、前記読み取るべきタグまたは物体に係合した場合、前記係合要素は前記読み取り素子を前記読み取るべきエリアの表面上に押し出す、請求項47に記載の読み取り装置。
【請求項53】
少なくとも前記読み取り素子は、前記係合要素から距離を置いて、前記読み取り素子が、前記識別すべきタグまたは物体に接触した場合、前記識別すべきタグまたは物体に適合できるようにする、請求項47に記載の読み取り装置。
【請求項54】
識別されるように構成されたタグまたは物体を識別する方法であって、
識別されるように構成されたタグまたは物体内に配置された第1の識別特徴セットのみの磁気光学読み取りから、第1の信号を生成することであって、前記第1の識別特徴セットは、前記タグまたは物体の識別層内に含まれた磁性粒子または磁化可能な粒子の無秩序な配置を含み、そのようにして前記第1の識別特徴セットの読み取りから生成される前記第1の信号を使用して、前記タグまたは物体を識別する第1のシグネチャを導出すること、および
第2の識別特徴セットの読み取りから第2の信号を生成することであって、前記第2の識別特徴セットは、光学識別特徴を含み、前記第1の信号特徴セットおよび前記第2の識別特徴セットは、少なくとも部分的に重複すること
を含む、方法。
【請求項55】
前記無秩序に配置された磁性粒子または磁化可能粒子は、複数のランダムに分布した磁性粒子または磁化可能粒子を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記磁性粒子は高保磁性材料を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記高保磁性材料は、ネオジム鉄ホウ素合金からなる群から選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記磁性粒子は、フェリ磁性材料、反強磁性材料、強磁性材料、または連続材料内の磁気特性変化ドメイン(磁気特性を変化させるボイドを含む)、およびこれらの組み合わせを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記強磁性材料は、MnBi、CrTe、EuO、CrO、MnAs、Fe、Ni、Co、Gd、Dy;Fe、Ni、Co、Sm、Gd、Dyの対応する合金および酸化物、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第1の識別特徴セットの読み取りから生成される前記第1の信号および前記第2の識別特徴セットの読み取りから生成される前記第2の信号は、独立して使用されて、前記タグまたは物体を識別する第1の署名および第2の署名が導出される、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
前記光学識別特徴は、バーコードまたはホログラムを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項62】
前記第1の識別特徴セットおよび前記第2の識別特徴セットは、識別されるように構成された前記タグまたは物体内の係合トラック内に配置される、請求項54に記載の読み取り装置。
【請求項63】
前記第1の識別特徴セットおよび前記第2の識別特徴セットは、同じ平面にある、請求項54に記載の読み取り装置。
【請求項64】
前記第1の識別特徴セットおよび前記第2の識別特徴セットは、異なる平面にある、請求項54に記載の読み取り装置。
【請求項65】
識別されるように構成されたタグまたは物体を識別する方法であって、
識別されるように構成された前記タグまたは物体内に配置された第1の識別特徴セットの磁気光学読み取りから、第1の信号を生成すること、
識別されるように構成された前記タグまたは物体内に配置された第2の識別特徴セットの読み取りから、第2の信号を生成すること
を含み、
前記第1の識別特徴セットおよび前記第2の識別特徴セットは、少なくとも部分的に重複し、
前記第1の識別特徴セットの読み取りから生成される前記第1の信号および前記第2の識別特徴セットの読み取りから生成される前記第2の信号を使用して、前記タグまたは物体を識別する第1のシグネチャおよび第2のシグネチャを導出する、方法。
【請求項66】
前記第1の識別特徴セットから生成される前記第1の信号および前記第2の識別特徴セットから生成される前記第2の信号は、同時に生成される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記第1の識別特徴セットは第1の位置に位置決めされ、前記第2の識別特徴セットは第2の位置に位置決めされる、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記タグまたは物体を識別する第1のシグネチャおよび第2のシグネチャを導出する前に、前記第1の位置と前記第2の位置とを比較することをさらに含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記第1の識別特徴セットは、無秩序に配置された磁性粒子または磁化可能粒子を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記無秩序に配置された磁性粒子または磁化可能粒子は、複数のランダムに分布した磁性粒子または磁化可能粒子を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記磁性粒子は高保磁性材料を含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記高保磁性材料は、ネオジム鉄ボロン合金からなる群から選択される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記磁性粒子は、フェリ磁性材料、反強磁性材料、強磁性材料、または連続材料内の磁気特性変化ドメイン(磁気特性を変化させるボイドを含む)、およびこれらの組み合わせを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項74】
前記強磁性材料は、MnBi、CrTe、EuO、CrO、MnAs、Fe、Ni、Co、Gd、Dy;Fe、Ni、Co、Sm、Gd、Dyの対応する合金および酸化物、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項73に記載の読み取り装置。
【請求項75】
前記第2の識別特徴セットは、チップ、磁気ストリップ、シリアル番号、または光学マークを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項76】
前記チップは無線周波識別タグまたは接触ベースのチップである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記光学マークはバーコードまたはホログラムである、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記第1の識別特徴セットおよび前記第2の識別特徴セットは、前記識別されるように構成されたタグまたは物体内の係合トラック内に配置される、請求項65に記載の方法。
【請求項79】
前記第1の識別特徴セットおよび前記第2の識別特徴セットは、同じ平面にある、請求項65に記載の方法。
【請求項80】
前記第1の識別特徴セットおよび前記第2の識別特徴セットは、異なる平面にある、請求項65に記載の方法。
【請求項81】
識別されるように構成されたタグまたは物体を識別する識別システムであって、
前記タグを取り付けることができる物体を識別するタグであって、識別されるように構成された前記タグまたは物体内に配置された少なくとも第1および第2の識別特徴セットを含む、タグと、
請求項1に記載の読み取り装置と
を備える、システム。
【請求項82】
前記読み取り素子から得られる前記第1の信号は、実質的な磁場がない状態で同じ前記読み取り素子から得られる信号に対して正規化される、請求項81に記載の識別システム。
【請求項83】
前記正規化は、実質的な磁場がない状態で前記読み取り素子から得られる前記信号を、前記読み取られるエリアと係合した場合に前記読み取り素子から得られる前記信号から減算することにより達成される、請求項82に記載の識別システム。
【請求項84】
前記正規化は、前記読み取り中の信号内の、前記読み取り素子内の破損またはばらつきによりその他のデータよりも信頼性が低い可能性があるデータ部分を識別することを含み、前記信頼性の低いデータは、その他のデータとは別様に処理される、請求項83に記載の識別システム。
【請求項85】
前記読み取り素子から得られる前記第1の信号は、所定の閾値未満の前記信号内のすべてのデータを所定の値に設定することにより、または前記データを無視し、前記所定の閾値を上回るデータのみ(前記データの物理的な位置を含む)を記憶することにより処理される、請求項81に記載の識別システム。
【請求項86】
前記識別タグの参照読み取りから得られる参照署名が記憶されるデータ記憶媒体をさらに備える、請求項81に記載の識別システム。
【請求項87】
前記事前に記憶される参照署名の前記データ記憶媒体は、前記読み取り装置から離れたデータ記憶媒体である、請求項86に記載の識別システム。
【請求項88】
前記読み取り装置から離れたデータ処理装置をさらに備え、前記データ処理装置は、前記データ処理を実行して、前記読み取られた署名を前記事前に記憶される参照署名と照合するように構成される、請求項86に記載の識別システム。
【請求項89】
前記事前に記憶される参照署名の前記データ記憶媒体は、前記物体に取り付けられる前記タグ内に配置される、請求項86に記載の識別システム。
【請求項90】
前記事前に記憶される参照署名の前記データ記憶媒体は、前記物体内に配置される、請求項86に記載の識別システム。
【請求項91】
前記データ記憶媒体は、磁気ストリップ、メモリチップ、媒体ディスク、ハードディスク、スマートカード、RAMモジュール、磁気テープ、または2Dバーコードもしくはビットマップ等の従来の光学手段である、請求項86に記載の識別システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公表番号】特表2012−533111(P2012−533111A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519520(P2012−519520)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際出願番号】PCT/SG2010/000259
【国際公開番号】WO2011/005222
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(508334432)ビルケア テクノロジーズ シンガポール プライベート リミテッド (3)
【Fターム(参考)】