説明

識別アッセイ

【課題】サンプル中の特異的及び非特異的な抗薬物抗体の存在を識別するための方法、ならびにそのような方法の使用のためのキットを提供する。
【解決手段】サンプル中の薬物抗体に対する抗体を、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体を含むイムノアッセイを使用して測定するための方法であって、方法が、i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)を提供すること、捕捉薬物抗体を、i)サンプル、ii)サンプル(単量体型の薬物抗体が加えられている)、iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体が加えられている)と別々の接触させること、サンプル中の薬物抗体に対する抗体を、i)において陽性のイムノアッセイにより、ii)及びiii)において陰性のイムノアッセイにより測定することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル中の特異的及び非特異的な抗薬物抗体の存在を識別するための方法、ならびにそのような方法の使用のためのキットを含む。
【0002】
発明の背景
モノクローナル抗体を用いた標準的な固相イムノアッセイは、固相上に吸着させた抗体(捕捉抗体)、抗原、及び検出可能な標識、例えば、酵素に結合させた抗原の別のエピトープへの抗体(トレーサー抗体)の間の複合体の形成を含む。このように、サンドイッチが形成される:固相−捕捉抗体−抗原−トレーサー抗体。サンドイッチにより触媒される反応では、抗体−結合酵素の活性は、インキュベーション培地中の抗原濃度に比例する。標準的サンドイッチ方法は、二重抗原架橋イムノアッセイとも呼ばれる。なぜなら、捕捉抗体及びトレーサー抗体が同じ抗原の異なるエピトープに結合するからである。Hoesel, W., et al., J. Immunol. Methods 294 (2004) 101-110には、抗EPO二重抗原架橋アッセイが報告されており、これによりアミノ基及び炭水化物基に結合させた固定化rhEPOの混合物が使用された。イムノアッセイ、例えば二重抗原架橋ELISAなどは、抗体薬物への患者の免疫原性応答の研究における通常のアッセイ型である。Mire-Sluis, A. R., et al., J. Immunol. Methods 289 (2004) 1-16には、バイオテクノロジー製品に対する宿主抗体の検出を使用したイムノアッセイのデザイン及び最適化のための推奨事項をまとめている。Mire-Sluis et al.によると、周知の抗薬物抗体アッセイ形式は相当な不利益を示す。抗薬物抗体アッセイは、例えば、WO 2005/045058及びWO 90/006515に言及されている抗イディオタイプ抗体アッセイが、例えば、US 5,219,730、WO 87/002778、EP 0 139 389、及びEP 0 170 302に言及されている。Wadhwa, M., et al., J. Immunol. Methods 278 (2003) 1-17には、治療用の生物学的製剤により誘導される不要な抗体の検出、測定、及び特定のための戦略が報告されている。異なるイムノアッセイの原理が、例えば、Hage, D. S., Anal. Chem. 71 (1999) 294R-304Rにより記載されている。Lu, B., et al., Analyst. 121 (1996) 29R-32Rには、イムノアッセイでの使用のための抗体の定方向の固定化が報告されている。アビジン−ビオチン媒介性のイムノアッセイが、例えば、Wilchek, M., and Bayer, E. A., Methods Enzymol. 184 (1990) 467-469により報告されている。ELISAと表面プラズモン共鳴の比較が、Lofgren, J. A., et al., J. Immunol. 178 (2007) 7467-7472により報告された。
【0003】
発明の概要
本発明の第1の局面は、サンプル中の薬物抗体に対する抗体(抗薬物抗体、ADA)を、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体を含むイムノアッセイを使用して決定するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
c)サンプル中の薬物抗体に対する抗体を、b−i)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【0004】
本発明の別の局面は、サンプル中に存在する抗体が、特異的な抗薬物抗体又は非特異的な抗薬物抗体であるのかを、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体を含む二重抗原架橋イムノアッセイを使用して決定するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体が加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体が加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
c)サンプル中に存在する抗体が特異的な抗薬物抗体であることをb−i)及びb−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が非特異的な抗薬物抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−iv)において陽性のイムノアッセイにより、b−iii)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【0005】
本発明の第3の局面は、サンプル中で、ヒト化抗炎症薬物抗体への抗薬物抗体を、抗ヒトIgG抗体から、イムノアッセイを用いて識別するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体が加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体が加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
c)ヒト化抗炎症薬物抗体への抗薬物抗体をb−i)及びb−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が、抗ヒトIgG抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−iii)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【0006】
本発明のさらなる局面は、サンプル中の抗薬物抗体が単量体型又はオリゴマー型であるのかをイムノアッセイを用いて決定するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体が加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体が加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
c)サンプル中の抗薬物抗体が単量体型であることをb−i)において陽性のイムノアッセイにより、
α)b−ii)及びb−iii)において陰性のイムノアッセイにより、又は
β)b−ii)、b−iii)、b−iv)、及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、
あるいは、
サンプル中の抗薬物抗体がオリゴマー型であることをb−i)において陽性のイムノアッセイにより、
α)b−iii)において陰性のイムノアッセイにより、又は
β)b−iii)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、
を含む。それにより全ての他の列挙されていないイムノアッセイが陽性である。
【0007】
本発明の別の局面は、サンプル中のオリゴマーの抗薬物抗体の存在を、イムノアッセイを用いて決定するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体が加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体が加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
c)サンプル中の抗薬物抗体がオリゴマー型であることをb−i)及びb−iii)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iv)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【0008】
本発明のさらなる局面は、サンプル中で測定された抗薬物抗体のクラスを、イムノアッセイを用いて決定するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体が加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体が加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
c)抗薬物抗体のクラスが単量体の薬物抗体特異的な抗薬物抗体であることをb−i)及びb−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイ、b−ii)及びb−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は、
抗薬物抗体のクラスがオリゴマーの薬物抗体特異的な抗薬物抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイ、b−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は、
抗薬物抗体のクラスがオリゴマーの薬物抗体特異的ではない抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−iv)において陽性のイムノアッセイ、b−iii)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は、
抗薬物抗体のクラスが単量体の薬物抗体特異的ではない抗体であることをb−i)において陽性のイムノアッセイ、b−ii)及びb−iii)及びb−iv)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【0009】
一実施態様では、抗薬物抗体のクラスが以下の表に従って決定される:
【0010】
【表1】

【0011】
本発明の最後の局面は、サンプル中の単量体の抗薬物抗体の存在を、イムノアッセイを用いて決定するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体が加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体が加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
c)サンプル中の抗薬物抗体が単量体型であることをb−i)及びb−ii)及びb−iv)において陽性のイムノアッセイにより、b−iii)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【0012】
本発明の局面の一実施態様では、イムノアッセイは、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体を含む二重抗原架橋イムノアッセイである。本発明の局面の別の実施態様は、薬物抗体が炎症性疾患の処置のための抗体であることである。一実施態様では、炎症性疾患の処置のための抗体は、関節リウマチ又は変形性関節症の処置のための抗体である。別の実施態様では、炎症性疾患の処置のための抗体は、IL−6受容体に対する、又はIGF−1受容体に対する、又はIL−13受容体1アルファに対する抗体である。本発明の局面の一実施態様は、捕捉薬物抗体が、固相に結合された抗体部位中で異なる薬物抗体の少なくとも2つを含む薬物抗体の混合物であり、トレーサー薬物抗体が、検出可能な標識に結合されている抗体部位中で異なる薬物抗体の少なくとも2つを含む薬物抗体の混合物であることを含む。さらなる実施態様は、薬物抗体のその結合相手への結合が、N末端及び/又はε−アミノ基(リジン)、異なるリジンのε−アミノ基、薬物抗体のアミノ酸骨格のカルボキシ、スルフヒドリル、ヒドロキシル及び/又はフェノール官能基、及び/又は薬物抗体の炭水化物構造の糖アルコール基を介した化学結合により実施されることである。本発明の局面の実施態様では、捕捉薬物抗体の混合物又はトレーサー薬物抗体の混合物は、それらの結合相手へ、アミノ基を介して結合された薬物抗体及び炭水化物構造を介して結合された薬物抗体を含む。さらなる実施態様では、捕捉薬物抗体の固相への結合は、受動吸着により、又は特異的な結合対を介して実施される。本発明の一実施態様では、特異的な結合対(第1成分/第2成分)が、ストレプトアビジンもしくはアビジン/ビオチン、又は抗体/抗原(例えば、Hermanson, G. T., et al., Bioconjugate Techniques, Academic Press, 1996を参照のこと)、又はレクチン/多糖類、又はステロイド/ステロイド結合タンパク質、又はホルモン/ホルモン受容体、又は酵素/基質、又はIgG/プロテインA及び/又はGより選択される。一実施態様では、捕捉薬物抗体をビオチンに結合し、固相への結合は固定化アビジン又はストレプトアビジンを介して実施する。本発明の局面の一実施態様では、方法は、工程b)の後に、工程b)でサンプルと接触させた捕捉薬物抗体をトレーサー薬物抗体と接触させ、検出可能な標識を検出する追加工程ba)を含む。本発明の局面のさらに別の実施態様では、トレーサー薬物抗体を、特定の結合対を介して、検出可能な標識に結合させる。一実施態様では、トレーサー薬物抗体をジゴキシゲニンに結合させ、検出可能な標識への連結をジゴキシゲニンに対する抗体を介して実施する。本発明の局面の別の実施態様は、捕捉薬物抗体とトレーサー薬物抗体との比率が1:10〜50:1(比率は、異なりうる結合体の分子量とは無関係に、抗体分子の比率を意味する)であることである。
【0013】
本発明の別の局面は、サンプル中の薬物抗体への抗薬物抗体を決定するためのキットであって、以下:
a)ストレプトアビジンでコーティングされたマイクロタイタ―プレート、
b)薬物抗体のビオチンへの結合のための試薬、
c)薬物抗体のジゴキシゲニンへの結合のための試薬、
d)西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗ジゴキシゲニン抗体、
e)薬物抗体のオリゴマー化のための試薬、
f)単量体型のヒト免疫グロブリンG、及び
g)オリゴマー型のヒト免疫グロブリンG
を含む。
【0014】
本発明のさらなる局面は、サンプル中に存在する薬物抗体への抗体(抗薬物抗体)の種類を、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体を含む二重抗原架橋イムノアッセイを使用して決定するための方法であって、それにより方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体が加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体が加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
c)サンプル中に存在する抗体が特異的な単量体の抗薬物抗体であることをb−i)及びb−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が特異的なオリゴマーの抗薬物抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が非特異的なオリゴマーの抗ヒトIgG抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−iv)において陽性のイムノアッセイにより、b−iii)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が非特異的な抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−iii)b−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が非特異的な単量体の抗ヒトIgG抗体であることをb−i)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iii)及びb−iv)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、サンプル中の薬物抗体に対する抗体を、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体を含むイムノアッセイを使用して決定するための方法を報告し、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体が加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体が加えられている)、
c)サンプル中の薬物抗体に対する抗体をb−i)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【0016】
本発明の「薬物抗体」という用語は、個人に投与できる抗体を意味し、個人のサンプルが投与後に薬物抗体を含むと思われる。本発明に従って実施される1つのアッセイ内で、薬物抗体、捕捉薬物抗体、及びトレーサー薬物抗体は、「同じ」抗体分子を含み、例えば、同じ発現ベクターを用いて組換え産生され、同じアミノ酸配列を含む。薬物抗体(治療用モノクローナル抗体)は、種々の疾患、例えば腫瘍学的疾患(例、血液学的悪性腫瘍及び固形悪性腫瘍(非ホジキンリンパ腫、乳癌、及び結腸直腸癌を含む))又は炎症性疾患などの処置のために広く使用される。そのような抗体は、例えば、Levene, A. P., et al., Journal of the Royal Society of Medicine 98 (2005) 145-152;Groner, B., et al., Curr. Mol. Meth. 4 (2004) 539-547;及びHarris, M., Lancet Oncol. 5 (2004) 292-302により報告されている。例示的な抗体は、例えば、CD20、CD22、HLA−DR、CD33、CD52、EGFR、G250、GD3、HER2、PSMA、CD56、VEGF、VEGF2、CEA、Levis Y抗原、IL−6受容体、IGF−1受容体、又はIL−13受容体1アルファに対する抗体である。一実施態様では、薬物抗体は、炎症性疾患の処置のために有用である抗体、即ち、抗炎症抗体、例えば抗IL−6受容体抗体、又は抗IL−IGF−1受容体抗体、又は抗IL−13受容体1アルファ1抗体である。
【0017】
例示的な(好ましくはモノクローナル)抗体は、IL−6受容体に対する抗体である(mAb IL−6R)。そのような抗体は、例えば、Mihara, et al., Clin. Immunol. 98 (2001) 319-326;Nishimoto, N., et al, Blood 106 (2005) 2627-2632により、臨床試験NCT00046774において、又はWO 2004/096274において報告されている。
【0018】
例示的な(好ましくはモノクローナル)抗体は、IGF−1受容体に対する抗体(mAb IGF−1R)である。そのような抗体は、例えば、WO 2004/087756において、又は、WO 2005/005635において報告されている。
【0019】
例示的な(好ましくはモノクローナル)抗体は、IL−13受容体アルファに対する抗体(以下においてmAb IL−13Ra1又はmAb IL−13Rと示される)である。IL−13Ra1に対する抗体は、例えば、WO 96/29417、WO 97/15663、WO 03/080675、Graber, P., et al., Eur. J. Immunol. 28 (1998) 4286-4298;Poudrier, J., et al., J. Immunol. 163 (1999) 1153-1161;Poudrier, J., et al., Eur. J. Immunol. 30 (2000) 3157-3164;Aikawa, M., et al., Cytokine 13 (2001) 75-84から公知であり、例えば、R&D Systems Inc. USAから市販されている。IL−13Ra1に対するさらなる例示的な抗体が、WO 2006/072564に報告されている。
【0020】
本願内で使用する「抗薬物抗体」という用語は、薬物抗体の抗原性領域に対する、即ち、それに結合する抗体を意味する。この抗原性領域は、薬物抗体の可変領域、CDR、定常領域、又は糖構造でありうる。一実施態様では、抗薬物抗体は、薬物抗体のCDR領域又は薬物抗体の二次修飾(非ヒト細胞、例えばCHO細胞、HEK細胞、Sp2/0細胞、又はBHK細胞などでの薬物抗体の組換え産生に起因する)に対する。一般的に、抗薬物抗体は、薬物抗体が投与される動物の免疫系により認識される薬物抗体の抗原性領域に対する。上に記載の抗体を「特異的な抗薬物抗体」と呼ぶ。薬物抗体は、可能な限り少ない抗原性領域を含むように設計する。例えば、ヒトでの使用を意図した薬物抗体は、薬物抗体に対する免疫応答の生成を最小限にするために、ヒト患者への適用前にヒト化される。この免疫応答は、そのようなヒト化薬物抗体の非ヒト部分、例えば可変ドメイン中の相補性決定領域などに対する抗薬物抗体の形態でありうる(例、Pan, Y., et al., FASEB J. 9 (1995) 43-49を参照のこと)。
【0021】
「抗ヒトIgG抗体」という用語は、抗体クラスGのヒト抗体又はヒト化抗体の任意の抗原性領域に対するヒト抗体を意味する。そのような抗ヒトIgG抗体は、「非特異的な抗薬物抗体」の例である。「非特異的な抗薬物抗体」という用語は、本願内で、薬物抗体に結合するが、しかし、薬物抗体の特異性を決定しない共通の抗原部位への結合のため、多数の他の抗体(例えば内因性ヒト抗体など)にも結合する抗体を意味する。
【0022】
抗体は、タンパク質として、多くの反応部位、例えば、アミノ基(リジン、アルファ−アミノ基)、チオール基(シスチン、システイン、及びメチオニン)、カルボン酸基(アスパラギン酸、グルタミン酸)、及び糖アルコール基などを含む。これらを、表面、タンパク質、ポリマー(例えば、PEG、セルロース、又はポリスチロールなど)、酵素、又は結合対のメンバーなどの結合相手との結合のために用いることができる(例、Aslam M., and Dent, A., Bioconjuation MacMillan Ref. Ltd. (1999) 50-100を参照のこと)
【0023】
タンパク質の最も共通する反応基の1つは、アミノ酸リジンの脂肪族εアミンである。一般的に、ほぼ全ての抗体が大量のリジンを含む。リジンアミンはpH8.0超で適度に良好な求核剤であり(pKa=9.18)、従って、種々の試薬と容易かつ円滑に反応し、安定な結合を形成する。抗体中での別の共通の反応基は、含硫アミノ酸シスチン及びその還元産物システイン(又はハーフシスチン)からのチオール残基である。システインは遊離チオール基を含み、それはアミンよりも求核性であり、一般的にタンパク質中で最も反応性の官能基である。チオールは一般的に中性pHで反応性であり、従って、アミンの存在下で選択的に他の分子と共役できる。遊離スルフヒドリル基は比較的反応性であるため、これらの基を伴うタンパク質は、しばしば、それらと共に、それらの酸化型で、ジスルフィド基又はジスルフィド結合として存在する。シスチン及びシステインに加えて、一部のタンパク質はアミノ酸メチオニンも有し、それはチオエーテル結合中に硫黄を含んでいる。文献には、いくつかのチオレート架橋試薬、例えばトラウト試薬(2−イミノチオラン)、スクシンイミジル(アセチルチオ)酢酸(SATA)、又はスルホスクシンイミジル6−[3−(2−ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサン酸(スルホ−LC−SPDP)などの使用が報告されており、複数のスルフヒドリル基を反応性アミノ基を介して導入する効率的な方法を提供している。反応性エステル、特にN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルは、アミノ基の修飾のために最も共通に用いられる試薬の1つである。水性環境中での反応のための最適pHはpH8.0〜9.0である。イソチオシアネートはアミン修飾試薬であり、タンパク質とチオ尿素結合を形成する。それらは水溶液中(最適にはpH9.0〜9.5)でタンパク質アミンと反応する。アルデヒドは、穏やかな水性条件下で、脂肪族及び芳香族のアミン、ヒドラジン、及びヒドラジドと反応し、イミン中間体(シッフ塩基)を形成する。シッフ塩基は、穏やかな又は強い還元剤(例えば水素化ホウ素ナトリウム又はシアノ水素化ホウ素ナトリウム)を用いて選択的に還元でき、安定なアルキルアミン結合を生じる。アミンを修飾するために使用されてきた他の試薬は、酸無水物である。例えば、ジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA)は、2つのアミン反応性無水物基を含む二官能性キレート剤である。それは、タンパク質のN末端基及びε−アミン基と反応し、アミド結合を形成できる。無水物環が開き、配位化合物中で金属に強固に結合できる多価の金属キレートアームを作る。
【0024】
抗体中の別の共通する反応基は、カルボン酸基(アスパラギン酸、グルタミン酸)である。タンパク質は、C末端の位置ならびにアスパラギン酸及びグルタミン酸の側鎖内にカルボン酸基を含む。結合では、カルボン酸基は、通常、水溶性カルボジイミドの使用により反応性エステルに変換され、求核試薬(例えばアミン、ヒドラジド、又はヒドラジンなど)と反応する。アミン含有試薬は、他のアミンの存在下で、タンパク質上で活性化カルボン酸と選択的に反応するために、弱塩基性でなければならない。タンパク質架橋は、pHを8.0超に上げた時に起こりうる。
【0025】
過ヨウ素酸ナトリウムを使用して、炭水化物成分内の糖のアルコール部分をアルデヒドに酸化できる。各アルデヒド基は、カルボン酸で記載した通りに、アミン、ヒドラジド、又はヒドラジンと反応できる。炭水化物成分は、抗体の結晶可能フラグメント(Fc)領域上で主に見出されるため、結合は、抗原結合部位から離れた炭水化物の部位特異的修飾を通じて達成できる。
【0026】
チオール反応性試薬は、タンパク質上でチオール基と共役するものであり、チオエーテル結合産物を形成する。これらの試薬は、弱酸性から中性のpHで迅速に反応し、従って、アミン基の存在下で選択的に反応できる。ハロアセチル誘導体(例、ヨードアセトアミド)は、チオエーテル結合を形成し、チオール修飾のための試薬である。抗体中では、反応が、内因的に存在する、又は、抗体の種々の位置のシスチンジスルフィドでの還元に起因する、システイン基で生じる。さらなる有用な試薬はマレイミドである。マレイミドのチオール反応性試薬との反応は、本質的に、ヨードアセトアミドと同じである。マレイミドは、弱酸性又は中性のpHで迅速に反応する。
【0027】
アミン、ヒドラジド、及びヒドラジンは、アルデヒド及びカルボン酸反応性試薬(アミド結合、ヒドラゾン結合、又はアルキルアミン結合の形成)である。アミン、ヒドラジド、及びヒドラジンは、水溶性カルボジイミドによるカルボキシル基の活性化後、タンパク質のカルボン酸に結合できる。アミン含有試薬は弱塩基性であり、リジンのより高い塩基性のε−アミンの存在下でカルボジイミド活性化タンパク質と選択的に反応し、安定なアミド結合を形成しなければならない。アルデヒド基(抗体上の炭水化物残基の過ヨウ素酸酸化により抗体上に生成されうる)との反応において、シッフ塩基中間体が形成され、それは シアノ水素化ホウ素ナトリウム(穏やかで選択的)又は水素化ホウ素ナトリウム(強い)水溶性還元剤を用いた中間体の還元を通じてアルキルアミンに還元できる。
【0028】
本願内で使用する「サンプル」という用語は、限定はされないが、生物又は過去に生きていた物からの任意の量の物質を意味する。そのような生物は、限定はされないが、ヒト、マウス、サル、ラット、ウサギ、及び他の動物を含む。そのような物質は、限定はされないが、個人からの全血、血清、又は血漿を含み、それらは臨床ルーチンにおいて最も広く使用されるサンプルの供給源である。
【0029】
本願内で使用する「固相」という用語は、非液体物質を意味し、ポリマー、金属(常磁性粒子又は強磁性粒子)、ガラス、及びセラミックなどの物質から作られた粒子(微粒子及びビーズを含む);シリカ、アルミナ、及びポリマーゲルなどのゲル物質;毛細管(ポリマー、金属、ガラス、及び/又はセラミックで作られうる);ゼオライト及び他の多孔性物質;電極;マイクロタイタープレート;固体条片;及びキュベット、チューブ、又は他の分光計サンプル容器を含む。アッセイの固相成分は、「固相」がその表面に少なくとも1つの成分(捕捉薬物抗体と相互作用することが意図される)を含む点で、アッセイが接触しうる不活性な固体表面とは識別される。固相は固定成分、例えばチューブ、条片、キュベット、又はマイクロタイタ―プレートでよいが、又は、非固定成分、例えばビーズ及び微粒子でよい。微粒子は、均質なアッセイフォーマットのための固相としても使用できる。タンパク質及び他の物質の非共有結合性又は共有結合性の付着の両方を可能にする種々の微粒子を使用できる。そのような粒子は、ポリマー粒子、例えばポリスチレン及びポリ(メチルメタクリル酸);金粒子、例えば金ナノ粒子及び金コロイド;及びセラミック粒子、例えばシリカ、ガラス、及び金属酸化物の粒子を含む。例えば、Martin, C.R., et al., Analytical Chemistry-News & Features (1998) 322A-327Aを参照のこと。それは参照により本明細書に組み入れられる。本発明のイムノアッセイのための固体担体は、最新技術において広く記載されている(例、Butler, J. E., Methods 22 (2000) 4-23を参照のこと)。
【0030】
色素原(蛍光基又は発光基及び色素)、酵素、NMR活性基又は金属粒子、ハプテン(例、ジゴキシゲニン)は、検出可能な標識の例である。検出可能な標識は、また、光で活性化されうる架橋基(例、アジド基又はアジリン基)でありうる。電気化学発光により検出できる金属キレートは、検出可能なシグナル放出基でもあり、特に好ましくはルテニウムキレート(例、ルテニウム(ビスピリジル)2+キレート)である。適したルテニウム標識基は、例えば、EP 0 580 979、WO 90/005301、WO 90/11511、及びWO 92/14138に記載されている。
【0031】
サンプル(その中の抗体を測定することになる)は、しばしば、問題となっている抗体以外を含む。そのため、イムノアッセイによる測定が、サンプルが測定すべき抗体を含まないにもかかわらず、陽性のイムノアッセイをもたらすことは避けられない。そのようなアッセイを使用するために、そのような陽性のイムノアッセイを除く、又は、許容可能な割合(例、全陽性のイムノアッセイの5%未満)にまで少なくとも減らさなければならない。
【0032】
ここで、驚くべきことに、薬物抗体に対する抗体(抗薬物抗体、ADA)を測定するための方法による、分析すべきサンプルの陽性のイムノアッセイが、分析すべきサンプルを薬物抗体及び非特異的抗体でスパイクすることにより、及び、これらのスパイクしたサンプルを用いて方法の結果を判断することにより特定できることが見出されている。
【0033】
本願内で使用する「スパイクした」という用語は、分析すべきサンプルに添加物質(サンプル中に既に存在するかどうか分からない)を加えることを意味する。物質の添加は、物質が、サンプル中に、サンプル中の問題になっている抗薬物抗体の濃度を超える濃度で存在する効果を有する。一実施態様では、添加物質は抗体であり、別の実施態様では、それは薬物抗体又はFc部分特異的抗体、例えば抗ヒトIgG抗体などである。
【0034】
本明細書で使用する「抗体」という用語は、全抗体及び抗体フラグメントを含む種々な形態の抗体構造を包含する。一実施態様では、本発明の方法における薬物抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、又はT細胞抗原枯渇化(depleted)抗体である(例、WO 98/33523、WO 98/52976、又はWO 00/34317を参照のこと)。抗体の遺伝子工学は、例えば、Morrison, S. L., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81 (1984) 6851-6855;US 5,202,238及びUS 5,204,244;Riechmann, L., et al., Nature 332 (1988) 323-327;Neuberger, M. S., et al., Nature 314 (1985) 268-270;Lonberg, N., Nat. Biotechnol. 23 (2005) 1117-1125により報告されている。
【0035】
「抗体フラグメント」は、完全抗体と同じ抗原結合能を保持する完全抗体のフラグメントを意味する。「完全抗体」は、2つの軽ポリペプチド鎖及び重ポリペプチド鎖からなる抗体であり、それらの各々が可変領域及び定常領域を含む。「抗体結合体」は、抗体のさらなるポリペプチドとの結合体を意味する。抗原の結合は、さらなるポリペプチドへの結合により減弱しない。「抗体フラグメント」は、全長抗体の部分、好ましくはその可変ドメイン又は少なくともその抗原結合部分を含む。抗体フラグメントの例は、一本鎖抗体分子(scFv)、Fab、F(ab)2フラグメントなどである(それらが抗体の結合特性を保持する限り)。scFv抗体は、例えば、Huston, J. S., Methods in Enzymol. 203 (1991) 46-88に報告されている。Hustonは、また、リンカー及び本発明のために有用なポリペプチドの連結のための方法を報告している。
【0036】
抗体の「Fc部分」は抗原への結合に直接的に関与しないが、しかし、種々のエフェクター機能を呈する。重鎖の定常領域のアミノ酸配列に依存し、抗体(免疫グロブリン)はクラスIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに分けられる。これらのクラスの一部は、さらに、サブクラス(アイソタイプ)、即ち、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)又はIgA(IgA1及びIgA2)に分けられる。抗体が属する免疫グロブリンクラスに従い、免疫グロブリンの重鎖定常領域はそれぞれα(IgA)、δ(IgD),ε(IgE)、γ(IgG)、及びμ(IgM)と呼ばれる。本発明の方法における薬物抗体は、一実施態様において、IgGクラスに属する。「抗体のFc部分」は当業者に周知の用語であり、抗体のパパイン切断に基づき定義される。
【0037】
本明細書で使用する「抗体」という用語は、抗体遺伝子により実質的にコードされる1つ又は複数のポリペプチドからなるタンパク質を指す。抗体を構成する異なるポリペプチドは、それらの重量に応じて、軽ポリペプチド鎖及び重ポリペプチド鎖と呼ばれる。認識される抗体遺伝子は、異なる定常領域遺伝子ならびに無数の抗体可変領域遺伝子を含む。抗体は種々の型(例えば、単一の重鎖及び軽鎖、Fv、Fab、及びF(ab)2ならびに一本鎖(scFv)を含む)で存在しうる(例、Huston, J. S., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85 (1988) 5879-5883;Bird, R. E., et al., Science 242 (1988) 423-426;一般的に、Hood, L., et al., Immunology, Benjamin N. Y., 2nd edition (1984);Hunkapiller, T., and Hood, L., Nature 323 (1986) 15-16)。
【0038】
抗体は、一般的に、2つの軽ポリペプチド鎖及び2つの重ポリペプチド鎖を含む。重及び軽ポリペプチド鎖の各々が、抗原と相互作用できる結合ドメインを含む可変領域(ポリペプチド鎖のアミノ末端部分)を含む。重及び軽ポリペプチド鎖の各々が、定常領域(ポリペプチド鎖のカルボキシル末端部分)を含む。重鎖の定常領域は、抗体の、i)Fcガンマ受容体(FcγR)を持つ細胞、例えば食細胞、又は、ii)新生児Fc受容体(FcRn)、別名Brambell受容体を持つ細胞への結合を媒介する。抗体の軽鎖又は重鎖の可変ドメインは、次に、異なるセグメント、即ち、4つのフレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(CDR)を含む。
【0039】
非ヒト(例、げっ歯類)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト抗体及びヒト抗体に由来する部分配列を含む抗体である。大半の部分について、ヒト化抗体はヒト抗体(レシピエント抗体)に由来し、その中で超可変領域からの残基は、非ヒト種(例えばラット、ウサギ、又は非ヒト霊長類など)の超可変領域(ドナー抗体)からの残基により置換され、所望の特異性及び親和性を有する(例、Morrison, S. L., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81 (1984) 6851-6855;US 5,202,238;US 5,204,244を参照のこと)。一部の例では、ヒト抗体のフレームワーク領域(FR)残基は対応する非ヒト残基により置換される。さらに、ヒト化抗体は、さらなる修飾、例えば、レシピエント抗体又はドナー抗体では見出されないアミノ酸残基を含みうる。そのような修飾は、そのようなレシピエント抗体又はドナー抗体の変異体をもたらし、それらは対応する親配列と相同であるが、しかし、同一ではない。これらの修飾を施し、抗体の性能をさらに改良する。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つの、及び典型的に2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、その中で超可変ループの全て又は実質的に全てが非ヒトドナー抗体のそれに対応し、FRの全て又は実質的に全てがヒトレシピエント抗体のものである。ヒト化抗体は、場合により、少なくとも抗体定常領域の部分、典型的にヒト抗体の部分も含みうる。非ヒト抗体をヒト化するための方法が当技術分野において記載されている。好ましくは、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からヒト化抗体に導入された1つ又は複数のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、「インポート」残基と呼ばれ、典型的には「インポート」可変ドメインから取られる。ヒト化は、本質的に、Winter及び共同研究者の方法に従い、超可変領域配列を非ヒト抗体の対応する配列について置換することにより実施できる。従って、そのような「ヒト化」抗体は、実質的に未変化に満たないヒト可変ドメインが、非ヒト種からの対応する配列により置換されている抗体である。実際に、ヒト化抗体は、典型的に、一部の超可変領域残基及び恐らくは一部のフレームワーク領域残基が、げっ歯類又は非ヒト霊長類の抗体中の類似部位からの残基により置換されているヒト抗体である。
【0040】
本明細書で使用する「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、即ち、集団を含む個々の抗体が、少量で存在しうる起こりうる自然突然変異を除き、同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対する。さらに、ポリクローナル抗体の調製物(異なる抗原部位(決定基又はエピトープ)に対する異なる抗体を含む)とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の抗原部位に対する。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが他の抗体により汚染されずに合成できる点で有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体の特性を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈すべきではない。
【0041】
本願内で使用する「単量体型の抗体」という用語は、抗体が、共有結合的又は非共有結合的のいずれかで同じ特異性のさらなる抗体分子と結合しないことを意味する。例えば、抗IGF−1R抗体は、それが第2の抗IGF−1R抗体と結合しない場合、単量体型である。これは、抗体が共有結合的又は非共有結合的のいずれかで他の抗体、例えば抗IL−6R抗体と結合しうることを除外しない。
【0042】
本願内で使用する「オリゴマー型の抗体」という用語は、抗体が、共有結合的又は非共有結合的のいずれかで同じ特異性のさらなる抗体分子と結合することを意味する。一実施態様では、「オリゴマー型の抗体」は、同じ特異性の1つ又は複数のさらなる抗体分子と共有結合する。例えば、抗IGF−1R抗体は、それが少なくとも第2の抗IGF−1R抗体と結合する場合、オリゴマー型である。
【0043】
本願内で使用する「同じ特異性」という用語は、2つの抗体が同じ標的分子、即ち、同じ抗原に結合することを意味する。これは、2つの抗体が、抗原の異なるエピトープに結合することを除外しない。一実施態様では、オリゴマー型の抗体中に含まれる抗体は、同じ抗原及び同じエピトープに結合する。別の実施態様では、オリゴマー型の抗体中の抗体は、同じモノクローナル抗体である。
【0044】
本発明の第1の局面は、サンプル中の薬物抗体に対する抗体(抗薬物抗体、ADA)を捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体を含むイムノアッセイを使用して決定するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
c)サンプル中の薬物抗体に対する抗体を、b−i)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【0045】
この方法は、サンプルが、問題となっている抗薬物抗体以外の抗体(抗薬物抗体の検出のためのイムノアッセイにおいて干渉し、そのため、陽性のイムノアッセイをもたらしうる)を含む場合、特に有用である。一実施態様では、本発明の方法は、抗炎症治療のために使用される薬物抗体の抗薬物抗体の測定のために有用である。本願内で使用する「抗炎症治療のために使用される薬物抗体」という用語は、薬物抗体が炎症を媒介する細胞表面受容体に対することを意味する。そのような受容体は、例えば、IL−6受容体、又はIGF−1受容体、又はIL−13a受容体1である。対象からのサンプル(そのような抗炎症薬物抗体で処理した)を分析する場合、方法の陽性の結果が、サンプルの抗薬物抗体又は抗薬物抗体以外の抗体に基づくか否かを判断しなければならない。そのような場合の例は、対象からのサンプルであり、それは自己免疫疾患、例えばリウマチを有し、そのため対象から得られたサンプルはいわゆる「リウマチ因子」を含む。本願内で使用する「リウマチ因子」という用語は、ヒトIgG、より厳密にはヒトIgGのFc部分に結合する抗体を意味する。大半の場合において、これらの「リウマチ因子」はオリゴマー結合分子である。
【0046】
このように、驚くべきことに、そのような抗ヒトIgG抗体の干渉が、分析すべきサンプルを定義された抗体(単量体型又はオリゴマー型のいずれか)でスパイクし、スパイクされたサンプルを用い、イムノアッセイが陽性であるか否かを判断する異なるサンプルを用いて実施された方法の結果に基づき、抗薬物抗体を測定するための方法を実施することにより判断できることが見出されている。
【0047】
本発明の別の局面は、サンプル中に存在する抗体が抗薬物抗体又は抗ヒトIgG抗体であるのか、即ち、サンプル中に存在する抗体が特異的な薬物抗体又は非特異的な薬物抗体であるのかを、捕捉薬物及びトレーサー薬物抗体を含む二重抗原架橋イムノアッセイを使用して決定するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒトIgGがイムノアッセイ前に加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒトIgGがイムノアッセイ前に加えられている)、
c)サンプル中に存在する抗体が抗薬物抗体であることをb−i)及びb−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が抗ヒトIgG抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−iv)において陽性のイムノアッセイにより、b−iii)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【0048】
「陽性のイムノアッセイ」及び「陽性のイムノアッセイ結果」という用語は、本願内で互換的に使用され、添加されないサンプルを用いて実施されるイムノアッセイの場合において、添加されないサンプルを用いて実施されるイムノアッセイがイムノアッセイのバックグラウンドレベルを十分に上回るシグナルを生じることを意味する。一実施態様では、バックグラウンドレベルは、イムノアッセイにおいて異なる個体(薬物抗体が投与されなかった)からの多数のサンプルの測定により得られる平均シグナル+平均値の標準偏差の3倍、即ち、95%信頼区間である。同様に、「陰性のイムノアッセイ」及び「陰性のイムノアッセイ結果」という用語は、本願内で互換的に使用され、イムノアッセイのバックグラウンドレベル内でのシグナル、即ち、イムノアッセイにおいて抗体なしのサンプルを用いて得られるシグナルの標準偏差の3倍以内を意味する。
【0049】
「陽性のイムノアッセイ」及び「陽性のイムノアッセイ結果」という用語は、本願内で互換的に使用され、本願内で使用される添加されるサンプルを用いて実施されるイムノアッセイの場合において、添加されるサンプルを用いて実施されるイムノアッセイが、添加されないサンプルを用いて実施されるイムノアッセイの場合でのシグナルの、一実施態様では50%又はそれ以上、別の実施態様では65%又はそれ以上、さらに別の実施態様では80%又はそれ以上の相対シグナルを生じることを意味する。「陰性のイムノアッセイ」という用語は、本願内で使用される添加されるサンプルを用いて実施されるイムノアッセイの場合において、添加されるサンプルを用いて実施されるイムノアッセイが、添加されないサンプルを用いて実施されるイムノアッセイの場合でのシグナルの、一実施態様では50%未満、別の実施態様では65%未満、さらに別の実施態様では80%未満の相対シグナルを生じることを意味する。
【0050】
本発明のイムノアッセイは、以下の工程を以下の順番:
a)固相に結合した捕捉薬物抗体をスパイクしていない又はスパイクしたサンプルと接触させること、
b)接触させている固相に結合した捕捉薬物抗体をトレーサー薬物抗体を伴うサンプルと接触させること、
c)トレーサー薬物抗体に結合した検出可能な標識を検出することによりトレーサー薬物抗体を検出すること
で含む。
【0051】
場合により、洗浄工程を工程a)とb)、及びb)とc)の間に含めてよい。
【0052】
「陽性のイムノアッセイ」及び「陽性のイムノアッセイ結果」は以下
a)サンプル中に含まれる抗薬物抗体が捕捉薬物抗体により固相に結合されている、
b)トレーサー薬物抗体がa)の複合体に結合する、及び
c)トレーサー薬物抗体の検出可能な標識が、直接的に、又は、さらなる結合相手の助けを用いて検出される
の場合に得られる。
【0053】
「陰性のイムノアッセイ」及び「陰性のイムノアッセイ結果」の場合において、上に列挙する判断基準の1つ又は複数が満たされない。
【0054】
本発明の第3の局面は、サンプル中で、ヒト化抗炎症薬物抗体への抗薬物抗体を、抗ヒトIgG抗体から識別するため、即ち、特異的な抗薬物抗体を非特異的な抗薬物抗体から識別するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGがイムノアッセイ前に加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGがイムノアッセイ前に加えられている)、
c)ヒト化抗炎症薬物抗体への抗薬物抗体をb−i)及びb−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iii)において陰性のイムノアッセイにより測定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が、抗ヒトIgG抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−iii)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【0055】
本発明のさらなる局面は、サンプル中の抗薬物抗体は単量体型又はオリゴマー型であるのかを決定するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGがイムノアッセイ前に加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGがイムノアッセイ前に加えられている)、
c)サンプル中の抗薬物抗体が単量体型であることをb−i)及びb−ii)及びb−iv)において陽性のイムノアッセイにより、b−iii)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中の抗薬物抗体がオリゴマー型であることをb−i)及びb−iii)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iv)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【0056】
本発明の別の局面は、サンプル中のオリゴマーの抗薬物抗体の存在を決定するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGがイムノアッセイ前に加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGがイムノアッセイ前に加えられている)、
c)サンプル中の抗薬物抗体がオリゴマー型であることをb−i)及びb−iii)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iv)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【0057】
本発明の別の局面は、サンプル中の単量体の抗薬物抗体の存在を決定するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGがイムノアッセイ前に加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGがイムノアッセイ前に加えられている)、
c)サンプル中の抗薬物抗体が単量体型であることをb−i)及びb−ii)及びb−iv)において陽性のイムノアッセイにより、b−iii)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【0058】
ここで、驚くべきことに、単量体型及びオリゴマー型の薬物抗体ならびに単量体型及びオリゴマー型のヒトIgGでのサンプルの添加により、アッセイ結果のパターンを得ることができ、そこから結果のクラスの決定を実施できることが見出されている。以下のスキームに表わす:
【0059】
【表2】

【0060】
従って、本発明の方法を用いて、特異的及び非特異的な、ならびに、単量体及びオリゴマーのイムノアッセイ応答又は結果を分類できる。
【0061】
このように、本発明は、さらなる局面として、サンプル中の薬物抗体に対する抗体の測定での陽性の結果を、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体を含むイムノアッセイを使用して決定するための方法を含み、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGがイムノアッセイ前に加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGがイムノアッセイ前に加えられている)、
c)サンプル中の薬物抗体に対する抗体の測定での陽性の結果を、b−i)及びb−iii)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iv)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【0062】
本発明の局面の一実施態様は、イムノアッセイが捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体を使用した二重抗原架橋イムノアッセイであることである。本発明の局面の別の実施態様は、薬物抗体が炎症疾患の処置のための抗体であることである。一実施態様では、炎症性疾患の処置のための抗体は、関節リウマチ又は変形性関節症の処置のための抗体である。別の実施態様では、炎症性疾患の処置のための抗体は、IL−6受容体に対する、又はIGF−1受容体に対する、又はIL−13受容体1アルファに対する抗体である。本発明の局面の一実施態様は、捕捉薬物抗体が、固相に結合された抗体部位中で異なる薬物抗体の少なくとも2つを含む薬物抗体の混合物であり、トレーサー薬物抗体が、検出可能な標識に結合されている抗体部位中で異なる薬物抗体の少なくとも2つを含む薬物抗体の混合物であることを含む。さらなる実施態様は、薬物抗体のその結合相手への結合が、N末端及び/又はε−アミノ基(リジン)、異なるリジンのε−アミノ基、薬物抗体のアミノ酸骨格のカルボキシ、スルフヒドリル、ヒドロキシル及び/又はフェノール官能基、及び/又は薬物抗体の炭水化物構造の糖アルコール基を介した化学結合により実施されることである。本発明の局面の実施態様では、捕捉薬物抗体の混合物又はトレーサー薬物抗体の混合物は、それらの結合相手へ、アミノ基を介して、及び、炭水化物構造を介して結合された薬物抗体を含む。さらなる実施態様では、捕捉薬物抗体の固相への結合は、受動吸着により、又は特異的な結合対を介して実施される。本発明の一実施態様では、特異的な結合対(第1成分/第2成分)が、ストレプトアビジン又はアビジン/ビオチン、又は抗体/抗原(例えば、Hermanson, G. T., et al., Bioconjugate Techniques, Academic Press, 1996を参照のこと)、又はレクチン/多糖類、又はステロイド/ステロイド結合タンパク質、又はホルモン/ホルモン受容体、又は酵素/基質、又はIgG/プロテインA及び/又はGより選択される。一実施態様では、捕捉薬物抗体をビオチンに結合し、固相への結合は固定化アビジン又はストレプトアビジンを介して実施する。本発明の局面のさらに別の実施態様では、トレーサー薬物抗体を、特定の結合対を介して、検出可能な標識に結合させ、一実施態様では、トレーサー薬物抗体をジゴキシゲニンに結合させ、検出可能な標識への連結をジゴキシゲニンに対する抗体を介して実施する。本発明の局面の別の実施態様は、捕捉薬物抗体とトレーサー薬物抗体との比率が1:10〜50:1(比率は、異なりうる結合体の分子量とは無関係に、抗体分子の比率を意味する)であることである。
【0063】
本発明の別の局面は、適用した薬物抗体、特に治療用抗体への免疫系応答の種類を決定するための方法である。この方法を用いて、検出された薬物抗体が以下:
i)特異的な単量体の抗薬物抗体、又は
ii)特異的なオリゴマーの抗薬物抗体、又は
iii)非特異的なオリゴマーの抗ヒトIgG抗体、又は
iv)非特異的な単量体の抗ヒトIgG抗体、又は
v)非特異的抗体
の1つであるか否かを識別することが可能である。
【0064】
従って、本発明は、サンプル中に存在する薬物抗体への抗体(抗薬物抗体)の種類を、捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体を含む二重抗原架橋イムノアッセイを使用して決定するための方法を含み、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体がイムノアッセイ前に加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGがイムノアッセイ前に加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGがイムノアッセイ前に加えられている)、
c)サンプル中に存在する抗体が特異的な単量体の抗薬物抗体であることをb−i)及びb−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が特異的なオリゴマーの抗薬物抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が非特異的なオリゴマーの抗ヒトIgG抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−iv)において陽性のイムノアッセイにより、b−iii)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が非特異的な抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−iii)b−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が非特異的な単量体の抗ヒトIgG抗体であることをb−i)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iii)及びb−iv)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【0065】
以下の実施例、参考文献、及び図面を提供し、本発明の理解を助け、その真の範囲は添付の特許請求の範囲に示す。本発明の精神から逸脱することなく示した手順を改変できることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】抗薬物抗体の検出のための架橋アッセイビオチン化薬物抗体(捕捉−BI)をストレプトアビジンコーティングされたマイクロタイタ―プレート(SA−MTP)に結合させる;抗薬物抗体は、捕捉薬物抗体(捕捉−BI;BI=ビオチン化)とジゴキシゲニン標識トレーサー薬物抗体(トレーサー−DIG;DIG=ジゴキシゲニン化)を架橋する;固定化した複合体をポリクローナル抗ジゴキシゲニン西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体(DIG−pAb−POD)により検出する;ポリクローナルウサギ抗薬物抗体(rpAb)を標準として使用する。
【0067】
実施例
実施例1
D−ビオチノイル−アミノカプロン酸−N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルを用いた抗体mAb IL−6Rのビオチン化
IL−6受容体に対する抗体(mAb IL−6R)を緩衝液(100mMリン酸カリウム緩衝液(以下、K−POと示す)pH8.5)に対して透析した。その後、溶液をタンパク質濃度10mg/mlに調整した。D−ビオチノイル−アミノカプロン酸−N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルをDMSO中に溶解し、抗体溶液にモル比1:5で加えた。60分後、反応をL−リジンを加えることにより停止した。過剰の標識試薬を、150mM NaCl(pH7.5)を添加した25mM K−POに対する透析により除去した。
【0068】
実施例2
シトラコン酸無水物での処置後のD−ビオチノイル−アミノカプロン酸−N−ハイドロキシ−コハク酸イミトエステルを用いたmAb IL−6Rのビオチン化
mAb IL−6Rを100mM K−PO(pH8.4)に対して透析した。その後、溶液をタンパク質濃度20mg/mlに調整した。シトラコン酸無水物をDMSO中に溶解し、抗体溶液にモル比1:5で加えた。120分後、反応を、100mM K−PO(pH8.4)で平衡化したSephadex(登録商標)G25を伴うカラムでのクロマトグラフィーにより停止した。抗体溶液をタンパク質濃度約4mg/mlに調整した。D−ビオチノイル−アミノカプロン酸−N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルをDMSO中に溶解し、抗体溶液にモル比1:5で加えた。反応を60分後にL−リジンを加えることにより停止した。過剰の標識試薬を、200mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に対する透析により除去した。抗体溶液を、150mM NaCl(pH7.2)を添加した25mM K−POに、Sephadex(登録商標)G25を伴うカラムでのクロマトグラフィーにより移した。
【0069】
実施例3
ビオチンヒドラジドを用いたmAb IL−6Rのビオチン化
mAb IL−6Rを100mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)に対して透析した。その後、溶液をタンパク質濃度20mg/mlに調整した。過ヨウ素酸ナトリウムを100mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)中に溶解し、抗体溶液に最終濃度10mMまで加えた。反応を、30分後、100mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)で平衡化したSephadex(登録商標)G25カラムでのクロマトグラフィーにより停止した。抗体溶液をタンパク質濃度約5mg/mlに調整した。ビオチンヒドラジドをDMSO中に溶解し、抗体溶液にモル比1:50で加えた。反応を、120分後に、水素化ホウ素ナトリウムを最終濃度15mMまで加えることにより停止した。30分後、抗体溶液を、150mM NaCl(pH7.2)を添加した25mM K−POに対して透析した。
【0070】
実施例4
ジゴキシゲニン3−O−メチルカルボニル−ε−アミノカプロン酸−N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルを用いたmAb IL−6Rのジゴキシゲニン化
mAb IL−6Rをジゴキシゲニン化緩衝液(100mM K−PO, pH8.5)に対して透析した。その後、溶液をタンパク質濃度10mg/mlに調整した。ジゴキシゲニン3−O−メチルカルボニル−ε−アミノカプロン酸−N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルをDMSO中に溶解し、抗体溶液にモル比1:5で加えた。60分後、反応をL−リジンを加えることにより停止した。過剰の標識試薬を、150mM NaCl(pH7.5)を添加した25mM K−POに対する透析により除去した。
【0071】
実施例5
シトラコン酸無水物を用いた処理後のジゴキシゲニン3−O−メチルカルボニル−ε−アミノカプロン酸−N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルを用いたmAb IL−6Rのジゴキシゲニン化
mAb IL−6Rを100mM K−PO(pH8.4)に対して透析した。その後、溶液をタンパク質濃度20mg/mlに調整した。シトラコン酸無水物をDMSO中に溶解し、抗体溶液にモル比1:5で加えた。反応を、120分後に、100mM K−PO(pH8.4)で平衡化したSephadex(登録商標)G25を伴うカラムでのクロマトグラフィーにより停止した。抗体溶液をタンパク質濃度約4mg/mlに調整した。ジゴキシゲニン3−O−メチルカルボニル−ε−アミノカプロン酸−N−ヒドロキシ−スクシンイミドエステルをDMSO中に溶解し、抗体溶液にモル比1:5で加えた。反応を60分後にL−リジンを加えることにより停止した。過剰の標識試薬を、200mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に対する透析により除去した。抗体溶液を、25mM KPO4及び150mM NaCl(pH7.2)を伴う緩衝液に、Sephadex(登録商標)G25でのクロマトグラフィーにより移した。
【0072】
実施例6
ジゴキシゲニン−X−ヒドラジンを用いたmAb IL−6Rのジゴキシゲニン化
mAb IL−6Rを100mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)に対して透析した。その後、溶液をタンパク質濃度20mg/mlに調整した。過ヨウ素酸ナトリウムを100mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)中に溶解し、抗体溶液に最終濃度10mMまで加えた。反応を、30分後、100mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)で平衡化したSephadex(登録商標)G25カラムでのクロマトグラフィーにより停止した。抗体溶液をタンパク質濃度約5mg/mlに調整した。ジゴキシゲニン−X−ヒドラジンをDMSO中に溶解し、抗体溶液にモル比1:50で加えた。120分後、反応を、水素化ホウ素ナトリウムを最終濃度15mMまで加えることにより停止した。30分後、抗体溶液を、150mM NaCl(pH7.2)を添加した25mM K−POに対して透析した。
【0073】
実施例7
a)オリゴマー型の薬物抗体の生成
組換え薬物抗体(IgG)、例、抗IL−6R抗体、抗IGF−1R抗体、又は抗IL−13R抗体を、100mM NaCl(pH8.4)を添加した150mMリン酸ナトリウム緩衝液に対して透析し、その後、抗体溶液を抗体濃度55mg/mlまで濃縮した。
【0074】
スベリン酸ジスクシンイミジル(DSS)をDMSO中に溶解し、抗体溶液にモル比1:7(IgG:DSS)で加えた。混合物を25℃、pH8.4で撹拌しながらインキュベートした。そして、反応を、分析ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて分析する(例、TSK 4000カラムを使用)。重合を、通常60分後に、リジンを最終濃度10mMまで加えることにより停止させた。25℃で45分間のインキュベーション後、重合した薬物抗体をゲルろ過(例、Sephacryl S400カラムを使用)により分離し、低分子量の分画を除去した。
【0075】
b)オリゴマー型のヒトIgGの生成
ヒト血清からイオン交換クロマトグラフィーにより精製したヒトIgGを、100mM NaCl(pH8.4)を含む150mMリン酸カリウム緩衝液に対して透析し、タンパク質溶液をタンパク質濃度75mg/mlまで濃縮した。スベリン酸ジスクシンイミジル(DSS)をDMSO中に溶解し、抗体溶液にモル比1:5(IgG:DSS)で加えた。混合物を25℃、pH8.4で撹拌しながらインキュベートし、反応を、分析ゲルろ過カラムを用いて分析した(例、TSK 4000カラムを使用)。重合を、通常60分後に、リジンを最終濃度10mMまで加えることにより停止させた。25℃で45分間のインキュベーション後、オリゴマーのヒトIgGをゲルろ過(例、Sephacryl S400カラムを使用)により分離し、低分子量の分画を除去した。
【0076】
実施例8
アッセイの原理
ELISAでは、抗薬物抗体(ADA)を含むサンプルの捕捉のために、ストレプトアビジンマイクロタイタ―プレート(SA−MTP)上の固定化した薬物抗体(捕捉−BI)を利用する。捕捉ADAは、ジゴキシゲニン化薬物抗体(トレーサー−DIG)により検出する。ADAとトレーサー−DIGの結合複合体を、その基質ABTS(2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−スルホン酸))と反応するペルオキシダーゼ結合ポリクローナル抗DIG抗体及び続く測光読み出しにより検出する。光学密度(OD)を405nm(490nm参照波長を伴う)で測定する。標準曲線の決定のために、サンプルを、定めた濃度の抗薬物抗体の溶液により置換する。最高標準濃度は OD値1.8−2.2 AUに達しなければならない。
【0077】
第1工程では、全てのサンプルを、抗薬物抗体(ADA)について陽性又は陰性であるかについて、1:20希釈の全てのサンプルをテストすることによりスクリーニングした(スクリーニングアッセイ;イエス/ノー回答)。陽性/陰性のカットポイントを95%信頼区間でアッセイ応答、即ち、ブランク血清サンプルの複数分析からの光学密度(OD)を使用して決定した。
【0078】
第2工程では、全ての陽性サンプルを、最大4つの追加識別工程:
i)スパイクしていないサンプル
ii)サンプルを1μg/mlの単量体型の薬物抗体でスパイクすること
iii)サンプルを1μg/mlのオリゴマー型の薬物抗体でスパイクすること
iv)サンプルを1μg/mlの単量体型のヒトIgGでスパイクすること
v)サンプルを1μg/mlのオリゴマー型のヒトIgGでスパイクすること
を使用することにより再度テストし、応答(例、薬物特異性)を特性付けた。
【0079】
識別工程において、ELISAを上に記載の通りに再度実施したが(スクリーニングアッセイ)、しかし、サンプルは、マイクロタイタ―プレートへの適用前に、上に記載の通りに、4つの識別工程のために溶液ii)からv)と共に各々インキュベートした。スパイクした物質は、サンプルの物質(例、ADA)への結合について捕捉−BIと競合する。スパイクしていないサンプルのアッセイシグナルは、アッセイのダイナミックレンジ内でなければならず、さもないとサンプルをさらに希釈しなければならない。この最終サンプル希釈は、全ての識別工程でも使用しなければならない。スパイクした試薬(ii)−v))の存在に起因する吸光度の減少が20%未満である場合、テスト結果を「陽性」(陽性のイムノアッセイ)と見なした。吸光度の減少が20%以上である場合、テスト結果を「陰性」(陰性のイムノアッセイ)と見なした。換言すると、シグナル回収率が80%を超えた場合、テスト結果を「陽性」(陽性のイムノアッセイ)と見なし、シグナル回収率が80%未満である場合、テスト結果を「陰性」(陰性のイムノアッセイ)と見なした。
【0080】
実施例9
抗IL−6R抗体抗体の検出のためのELISA
アッセイは実施例8に従って実施した。例外:サンプル(スパイクした又はスパイクしていない)を薬物−DIGと1時間プレインキュベートした。結果を以下の表1に示す。
【0081】
【表3】

【0082】
実施例10
抗IGF−1R抗体抗体の検出のためのELISA
アッセイは実施例8に従って実施した。結果を以下の表2に示す。
【0083】
【表4】

【0084】
実施例11
抗IL−13R抗体抗体の検出のためのECLIA
アッセイは実施例8に従って実施した。例外:これは電気化学発光を検出方法として使用したアッセイである。これは、ルテニウム標識した薬物抗体を、ジゴキシゲニン化した薬物抗体及びペルオキシダーゼ結合抗DIG抗体の代わりにトレーサー−DIGとして使用した。結果を以下の表3に示す。
【0085】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中の薬物抗体に対する抗体(抗薬物抗体、ADA)をイムノアッセイを用いて決定するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体が加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体が加えられている)、
c)サンプル中の薬物抗体に対する抗体を、b−i)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【請求項2】
サンプル中に存在する抗体が、特異的な抗薬物抗体又は非特異的な抗薬物抗体であるのかを、イムノアッセイを用いて決定するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体が加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体が加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
c)サンプル中に存在する抗体が特異的な抗薬物抗体であることをb−i)及びb−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が非特異的な抗薬物抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−iv)において陽性のイムノアッセイにより、b−iii)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【請求項3】
サンプル中で、ヒト化抗炎症薬物抗体への抗薬物抗体を、抗ヒトIgG抗体から、イムノアッセイを用いて識別するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体が加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体が加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
c)ヒト化抗炎症薬物抗体への抗薬物抗体をb−i)及びb−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が、抗ヒトIgG抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−iii)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【請求項4】
サンプル中の抗薬物抗体が単量体型又はオリゴマー型であるのかをイムノアッセイを用いて決定するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体が加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体が加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
c)サンプル中の抗薬物抗体が単量体型であることをb−i)において陽性のイムノアッセイにより、
α)b−ii)及びb−iii)において陰性のイムノアッセイにより、又は
β)b−ii)、b−iii)、b−iv)、及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、
あるいは、
サンプル中の抗薬物抗体がオリゴマー型であることをb−i)において陽性のイムノアッセイにより、
α)b−iii)において陰性のイムノアッセイにより、又は
β)b−iii)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、
を含む。それにより全ての他の列挙されていないイムノアッセイが陽性である。
【請求項5】
サンプル中のオリゴマーの抗薬物抗体の存在を、イムノアッセイを用いて決定するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体が加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体が加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
c)サンプル中の抗薬物抗体がオリゴマー型であることをb−i)及びb−iii)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iv)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【請求項6】
サンプル中で測定された抗薬物抗体のクラスを、イムノアッセイを用いて決定するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体が加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体が加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
c)抗薬物抗体のクラスが単量体の薬物抗体特異的な抗薬物抗体であることをb−i)及びb−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイ、b−ii)及びb−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は、
抗薬物抗体のクラスがオリゴマーの薬物抗体特異的な抗薬物抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイ、b−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は、
抗薬物抗体のクラスがオリゴマーの薬物抗体特異的ではない抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−iv)において陽性のイムノアッセイ、b−iii)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は、
抗薬物抗体のクラスが単量体の薬物抗体特異的ではない抗体であることをb−i)において陽性のイムノアッセイ、b−ii)及びb−iii)及びb−iv)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【請求項7】
サンプル中の単量体の抗薬物抗体の存在を、イムノアッセイを用いて決定するための方法であって、方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体が加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体が加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
c)サンプル中の抗薬物抗体が単量体型であることをb−i)及びb−ii)及びb−iv)において陽性のイムノアッセイにより、b−iii)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【請求項8】
サンプル中に存在する薬物抗体への抗体の種類を、イムノアッセイを用いて決定するための方法であって、それにより方法は以下の工程:
a)以下を提供すること
a−i)捕捉薬物抗体(固相に結合された薬物抗体である)、
a−ii)トレーサー薬物抗体(検出可能な標識に結合された薬物抗体である)
b)捕捉薬物抗体を以下と別々に接触させること
b−i)サンプル
b−ii)サンプル(単量体型の薬物抗体が加えられている)、
b−iii)サンプル(オリゴマー型の薬物抗体が加えられている)、
b−iv)サンプル(単量体型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
b−v)サンプル(オリゴマー型のヒト免疫グロブリンGが加えられている)、
c)サンプル中に存在する抗体が特異的な単量体の抗薬物抗体であることをb−i)及びb−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が特異的なオリゴマーの抗薬物抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより、b−iii)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が非特異的なオリゴマーの抗ヒトIgG抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−iv)において陽性のイムノアッセイにより、b−iii)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が非特異的な抗体であることをb−i)及びb−ii)及びb−iii)b−iv)及びb−v)において陽性のイムノアッセイにより決定すること、又は
サンプル中に存在する抗体が非特異的な単量体の抗ヒトIgG抗体であることをb−i)において陽性のイムノアッセイにより、b−ii)及びb−iii)及びb−iv)及びb−v)において陰性のイムノアッセイにより決定すること
を含む。
【請求項9】
イムノアッセイが捕捉薬物抗体及びトレーサー薬物抗体を使用した二重抗原架橋イムノアッセイであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
薬物抗体が炎症性疾患の処置のための抗体であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
炎症性疾患の処置のための抗体が、関節リウマチ又は変形性関節症の処置のための抗体であることを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項12】
炎症性疾患の処置のための抗体が、IL−6受容体に対する、又はIGF−1受容体に対する、又はIL−13受容体1アルファに対する抗体であることを特徴とする、請求項10記載の方法。
【請求項13】
捕捉薬物抗体が、固相に結合された抗体部位中で異なる薬物抗体の少なくとも2つを含む薬物抗体の混合物であり、トレーサー薬物抗体が、検出可能な標識に結合されている抗体部位中で異なる薬物抗体の少なくとも2つを含む薬物抗体の混合物であることを含むことを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
薬物抗体のその結合相手への結合が、N末端及び/又はε−アミノ基(リジン)、異なるリジンのε−アミノ基、薬物抗体のアミノ酸骨格のカルボキシ官能基、スルフヒドリル官能基、ヒドロキシル官能基及び/又はフェノール官能基、及び/又は薬物抗体の炭水化物構造の糖アルコール基を介した化学結合により実施されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
捕捉薬物抗体の混合物又はトレーサー薬物抗体の混合物が、それらの結合相手へ、アミノ基を介して結合された薬物抗体及び炭水化物構造を介して結合された薬物抗体を含むことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
捕捉薬物抗体の固相への結合が、受動吸着により、又は特異的な結合対を介して実施されることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
特異的な結合対が、ストレプトアビジン又はアビジン/ビオチン、又は抗体/抗原、又はレクチン/多糖類、又はステロイド/ステロイド結合タンパク質、又はホルモン/ホルモン受容体、又は酵素/基質、又はIgG/プロテインA及び/又はGより選択されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
捕捉薬物抗体をビオチンに結合し、固相への結合は固定化アビジン又はストレプトアビジンを介して実施することを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
方法が、工程b)の後に、工程b)でサンプルと接触させた捕捉薬物抗体をトレーサー薬物抗体と接触させ、検出可能な標識を検出する追加工程b a)を含むことを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
トレーサー薬物抗体を、特定の結合対を介して、検出可能な標識に結合させることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
トレーサー薬物抗体をジゴキシゲニンに結合させ、検出可能な標識への連結をジゴキシゲニンに対する抗体を介して実施することを特徴とする、請求項20記載の方法。
【請求項22】
捕捉薬物抗体とトレーサー薬物抗体との比率が1:10〜50:1であることを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
サンプル中の薬物抗体への抗薬物抗体を決定するためのキットであって:
a)ストレプトアビジンでコーティングされたマイクロタイタ―プレート、
b)薬物抗体のビオチンへの結合のための試薬、
c)薬物抗体のジゴキシゲニンへの結合のための試薬、
d)西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗ジゴキシゲニン抗体、
e)薬物抗体のオリゴマー化のための試薬、
f)単量体型のヒト免疫グロブリンG、及び
g)オリゴマー型のヒト免疫グロブリンG
を含むキット。

【図1】
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【公開番号】特開2012−112972(P2012−112972A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−24388(P2012−24388)
【出願日】平成24年2月7日(2012.2.7)
【分割の表示】特願2010−537321(P2010−537321)の分割
【原出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】