説明

識別カードとそれを用いた入場管理システム

【目的】 紫外線インクなどの肉眼で視認できない不可視インクでバーコードなどのマークを識別コードとする安価でる程度のセキュリティを有する識別カードとその識別カードを用いる入場管理システムを提供する。
【構成】 識別カードとしてのIDカード8は,紙の基材8a,紙の印刷層8bを有し,印刷層8bに透明バーコード82が印刷されている。この透明バーコード82が識別コードとして使用される。紙を基材としており,安価に製造でき,透明不可視マークを用いることがセキュリティを有する。IDカード8は識別コード登録装置1で発行され,透明バーコード82に対応するコードが登録コード記憶装置2に記憶される。第1の端末装置6A内のIDチケット操作装置30に挿入されたIDカード8はその中の透明バーコードリーダ61で読み取られ,そのコードが識別装置4において識別され,入場者管理に使用される。IDチケット8の使用後は識別コード抹消装置3で抹消される。統計処理装置5が入場者の統計処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,紫外線などの入射光に対し可視または不可視の蛍光を発するインクや赤外線などの入射光に対し蛍光を発しまたは不可視の反射光を発するインクなど人間の眼で視認できないインクで書いた透明不可視マークを有する識別カード,および,その識別カードを用いた入場者管理システムに関する。
【0002】
【従来の技術】博覧会場,遊園地などにおいて,来訪者の来訪状況を分析することが行われている。その分析としは,博覧会場または遊園地を訪れた人の数,時間帯,その会場内の建物などへの入場状況などがある。従来,そのような分析を行うとすれば,係員がそれぞれの建物の入口で入場者を計数するなどの手作業で行っていた。しかしながら,かかる手作業はその後のデータ整理も含めて,多大の時間と労力がかかるという問題がある。かかる作業を自動化する方法としては認証カード(IDカード)を用い,磁気ストライプを自動的に読み取る装置を会場に入口などに設置する方法が考えられる。IDカードとしては,クレジットカード,銀行取引カードなどに用いられる磁気ストライプを用いたプラスチックカードが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】磁気ストライプを用いたプラスチックカードは比較的セキュリティが高く,長期間使用する用途に適しているが,上記博覧会場または遊園地のように当日だけに使用するような場合には下記に述べる問題を有していて,実用的でない。磁気ストライプを用いたプラスチックカードは,磁気ストライプ部が強力な磁石に影響でその磁化内容が変更されて使用できなくなることがある。また,磁気ストライプを用いたプラスチックカードは基材にプラスチックを用い,裏面に磁気ストライプは塗布しており,材料の価格および加工費などの観点から価格が高くなる。さらに上記プラスチックカードはその発行の即時性に欠け,その都度発行することができない。
【0004】以上に鑑みて,本発明は,博覧会場,遊園地などにおいて比較的短期間使用に耐用性があり,美観に優れ,安価な識別カードを提供することを目的とする。また本発明は,かかる識別カードを容易に即時性をもって発行でき,識別として使用し,その使用後容易に即時性をもって抹消させるに好適な入場管理システムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため,本発明によれば,紙葉に設けられた入場識別用透明不可視マークを有する識別カードが提供される。また本発明によれば,上記識別カードを用いる入場管理システムであって,識別用透明不可視マークに対応する登録コードを記憶し,紙葉に該透明不可視マークを有する識別用カードを発行する手段と,入場部のそれぞれに設けられ,該発行された識別カードの透明不可視マークを読み取りその有効性を確認し,当該入場部に入場したことを記憶するの識別手段手段と,各入場部への入場者の累計を算出する手段とを有する入場者管理システムが提供される。さらに上記識別カードの情報を用いて顧客管理を行う手段が設けられる。さらに本発明によれば,紙葉に設けられた透明不可視マークを有する認証カードが提供される。
【0006】
【作用】本発明の識別カードは基材を紙としてその上に塗布または転写によって設けられた透明不可視マークを用いるから,比較的短期間の使用に充分耐え,美観に優れ,安価である。本発明の入場管理システムにおいて,まず会場入口で来訪者ごとに識別カードの使用をその都度許可し,その許可したコードを登録して,その識別カードを,たとえば,博覧会場の会場券として来訪者に発行する。この識別カードを博覧会場内の各催し物会場の入口などに設置された透明不可視マークリーダなどに挿入して識別カードの透明不可視マークを読み取り,上記登録したコードに適合するとき,その識別カードを持った来訪者の来訪を計数する。また入場者の顧客管理を行うことができる。来訪者が博覧会場から退出するとき識別カードを会場出口に設置された透明不可視マークリーダに挿入すると,その使用の終了が確認され,上記登録したコードが抹消される。その識別カードは記念として来訪者に配付できる。また上記識別カードの透明不可視マークは肉眼で見えないから,セキュリティを有し,複製されにくく,上記識別カードとしてばかりでなく,銀行出納用カード,ゴルフ会員券などのIDチケットなどにも適用できる。
【0007】
【実施例】図1に本発明の入場管理システムの1実施例のシステム構成を示す。この入場管理システムは,図2に示した本発明の識別カードの実施例としてのIDチケット8を用いる。この入場管理システムは,識別コード登録装置1,登録コード記憶装置2,識別コード抹消装置3,識別装置4,統計処理装置5,および,第1〜第3の端末装置5〜7を有する。
【0008】この入場管理システムを博覧(イベント)会場の来訪者統計管理システムに適用した例について述べる。識別コード登録装置1は博覧会場の入口に配設されIDチケット8の発行を行う。この場合,IDチケット8は会場券およびその博覧会場内のクレジットカードとして利用できる。第1〜第3の端末装置6A〜6Cは博覧会場内のそれぞれの催し物会場(パビリオンまたはテーマパーク)の入口に配設され,発行されたIDチケット8を読み取る。その読み取り結果が識別装置4に入力され,識別装置4は発行されたIDチケット8の識別を行う。さらに統計処理装置5は識別装置4で識別した来訪者の統計処理を行う。識別コード抹消装置3は博覧会場の出口に配設され,使用ずみのIDチケット8の抹消処理を行う。
【0009】図2(A)に上記入場管理システムで使用するIDチケット8の平面図,図2(B)に図2(A)の線Y−YにおけるIDチケット8の断面図を示す。IDチケット8は,基材8aが紙で製造されており,この紙の基材8aの上に印刷層8bが被着され,この印刷層8bの一部に透明バーコード82の層8cが付着されており,この透明バーコード82の層8cには保護層としての透明のラミネート処理層8dが被覆されている。透明バーコードマーク領域81内に透明バーコード82が塗布されている。透明バーコード82は 人間の眼では見えない紫外線インクで複数本のバーコードとして描かれており,後述する透明バーコードリーダによってその透明バーコードが読み取られる。IDチケット8の印刷層8bには,来訪者コード83,挿入方向指示マーク84,博覧会場の写真88,その博覧会場の名称89が予め印刷されている。印刷層8bにはその来訪者が来訪者氏名85をサインする。また,印刷層8bには,IDチケット8発行のときの来訪日86が印刷される。なお基材8aの裏面にその博覧会場内の地図などが印刷されていてもよい。
【0010】図3に図1に示した入場管理システムを実現するコンピュータシステム10の構成を示す。コンピュータシステム10は,中央制御ユニット(CPU)11,バス12,透明バーコードリーダI/F回路13および14,鍵制御装置I/F回路15,ROM16,RAM17,ハードディスク装置(HDD)18,表示装置制御回路19,CRT表示器20,透明バーコードリーダ21,キィボード22,カード日付印刷用プリンタ23,ラミネート処理装置24および統計印刷用プリンタ25を有している。識別コード登録装置1および識別コード抹消装置3がそれぞれ,CPU11,バス12,透明バーコードリーダI/F回路13,ROM16,RAM17,表示装置制御回路19,CRT表示器20,キィボード22,カード日付印刷用プリンタ23,ラミネート処理装置24で実現されている。登録コード記憶装置2がハードディスク装置18で実現されている。識別装置4および統計処理装置5がCPU11,バス12,透明バーコードリーダI/F回路14,鍵制御装置I/F回路15,ROM16およびRAM17で実現されている。
【0011】図4は第1の端末装置6Aの1例として,ある催し物会場に入口に設けられたIDチケット操作装置30と,受付デスク40の上に設けられた資料配付装置42を示している。このIDチケット操作装置30が図3に示した透明バーコードリーダ61を内蔵し,さらに,IDカード挿入口31,緑色LEDの有効ランプ33および赤色LEDの無効ランプ34を有している。また受付デスク40にある資料配付装置42には図3に示した資料取り出し用の鍵操作装置62が内蔵されている。
【0012】図1および図3に示した入場管理システムの動作を述べる前に,IDチケット8の透明バーコードマーク領域81内に印刷された透明バーコード82の読み取り動作について述べる。図5は図3に示した透明バーコードリーダ21の回路構成を示し,図6は透明バーコードリーダ21の光学系の斜視図を示す。不可視マークリーダ21は,光学系210と信号処理部215からなる。光学系210は利用IDカード8の透明バーコード82,たとえば,紫外線インクで印刷された不可視バーコードに紫外線光を投射する光源212,光源212からの光が透明バーコード82で反射した光を反射させて偏向させる反射鏡211,光学フィルタ付レンズ213およびイメージセンサ214からなる。信号処理部215は,イメージセンサ214で電気信号に変換した信号を増幅する増幅回路216,波形整形を行う波形整形回路217,波形整形されたアナログ信号を二値化する二値処理回路218,および,コード変換回路219を有している。透明バーコード82は,人間の眼では見えない紫外線インクで複数本のバーコードとして描かれている。コード変換回路219からの電気信号が透明バーコードリーダI/F回路13を介してCPU11に入力され,RAM17に一時記憶される。
【0013】なお,第1の端末装置6A(図4のIDチケット操作装置30)内に配設されている透明バーコードリーダ61も上記透明バーコードリーダ21と同じ構成および同じ動作をする。したがって,透明バーコードリーダ51で読み取った透明バーコード82も電気信号としてRAM17に記憶される。
【0014】図7を参照して識別コード登録装置1の動作を主としてコンピュータシステム10内のCPU11の動作として述べる。
ステップS01,S02:博覧会場への来訪者が来訪手続きを行う。この例においては,その来訪者は関連する会社の社員であって,博覧会場に展示している会社から事前に招待されていて招待券を持っている人であるとする。その来訪者は招待券を博覧会場の入口にある受付に提示する。受付の係員は来訪者の種別に応じた来訪用紙とそれに対応するIDカードを選択して来訪用紙の下にはさむ。来訪用紙に来訪者がサインをすると,IDチケット8の来訪者氏名85に複写転記される。
ステップS03,S04:受付係員はサインが転記され,予め透明バーコードマーク領域81に透明バーコード82が添付されているIDチケット8を透明バーコードリーダ21に装荷し,キィボード22を操作して透明バーコードリーダ21から透明バーコード82を読み取らせる。CPU11は透明バーコードリーダI/F回路13を介して透明バーコード82を読み取り,そのコードをハードディスク装置18に登録させる。このHDD18に登録されたコードが下記に述べる識別の他,その来訪者の来場管理に使用される。
ステップS05:コードのハードディスク装置18への登録完了はCRT表示器20に表示される。受付係員はIDチケット8を透明バーコードリーダ21から取り出し,カード日付印刷用プリンタ23にかけ,キィボード22を操作して,来訪日86を印刷させる。この印刷としては,来訪者コード83の印刷を行ってもよい。
ステップS06:ラミネート処理については,図2に示したように,予め透明バーコード82が印刷されており,すでにラミネート層8dが被着されているこの例においては行われない。
ステップS07:受付係員は以上の処理が行われたIDチケット8を来訪者に渡す。以上により,招待された来訪者がその博覧会場で利用可能なIDチケット8が受付で発行されたことになる。また,以上の操作によって,その博覧会場に来訪した人と,招待元の会社名,来訪時間がハードディスク装置18に記憶される。
【0015】博覧会場においては,同業他者の展示物を見学できない,あるいは同業他者の技術資料は配付されないなどの制限がある場合がある。また上記招待券には自由ドリンクサービス,博覧会場内レストランの無料食事サービスなどの優待制度が盛り込まれている場合がある。上記発行されたIDチケット8はこのようなサービスなどにも利用できる。
【0016】次にIDチケット8を用いてそれぞれの催し物会場への入場管理を行う識別装置4(CPU11)の制御動作について述べる。この例では,図4に示したある催し物会場には,IDチケット8の透明バーコード82で規定される特定の来訪者のみ入場させるように入場制限する場合について述べる。すなわち,図4に示したIDチケット操作装置30内のIDカード挿入口31にIDチケット8を挿入して読み取られた透明バーコード82がハードディスク装置18に事前に記憶されている対象であり,許可された来訪者のみ,資料配付装置42から資料を入手できる例について述べる。
ステップS11:CPU11は透明バーコードリーダI/F回路14を介してその催し物会場のIDチケット操作装置30内の透明バーコードリーダ61を監視している。CPU11はIDチケット8を持った来訪者がそのIDチケット8をIDチケット操作装置30のIDカード挿入口31に挿入されるまで待機している。
ステップS12:CPU11はIDカード挿入口31にIDチケット8が挿入されたとき,透明バーコードリーダ61を介してIDチケット8内の透明バーコード82を読み取る。
ステップS13:CPU11は透明バーコード82に対応するバーコードが上述したその催し物会場に入場が許可された来訪者についてのコードに一致するか否かを照合する。
ステップS15:一致していれば,CPU11は有効と判断し,IDチケット操作装置30の緑色のLEDである有効ランプ33を点灯させる。
ステップS14:もし一致するコードがハードディスク装置18に存在しないときは,CPU11は赤色のLEDである無効ランプ34を点灯させて,ステップS11に戻る。この場合,鍵制御装置I/F回路15を介して資料配付装置42の鍵操作装置62の制御動作は行わない。
ステップS16:CPU11はIDカード挿入口31からIDチケット8が抜き取られるまで待機する。この待機は来訪者がIDチケット8をIDカード挿入口31に挿入したままになることを防止するためである。
ステップS17:CPU11は鍵制御装置I/F回路15を介して資料配付装置42の鍵操作装置62を操作して資料配付装置42からその来訪者がその中の資料を取り出すことを許可する。
ステップS18:CPU11は上記読み取った透明バーコード82のIDチケット8を持った来訪者がその催し物会場を来訪したこと,時間をハードディスク装置18に記憶する。また,さらにそのIDカード8から顧客管理を行う。すなわち,受付時にどの顧客(入場者)にIDカード8を発行したかが判るから,上述したIDカード8を使用して顧客の行動などが逐一記録され,その会場における顧客の行動管理に使用できるとともに,さらにその記録情報をもとに将来に向けて顧客管理情報として使用できる。
【0017】以上のように,IDチケット8を催し物会場の入場許可用IDカードとして利用できる。またIDチケット8をその催し物会場に来訪した来訪者の記録に使用できる。さらに,そのIDチケット8を持っている来訪者が博覧会場内のレストランで食事した場合,そのレストランにおいて,その透明バーコード82を読み取り,請求額を招待先の会社に請求することができる。そのためにレストランに上記透明バーコードリーダ21と同様の透明バーコードリーダ,キィボードなど有するマイクロコンピュータを配設し,そのマイクロコンピュータを登録コード記憶装置2に接続しておく。
【0018】来訪者がその博覧会場から去るとき,そのIDチケット8の利用が終了となり,識別コード抹消装置3がその使用許可の抹消処理を行う。その動作を図9を参照して述べる。
ステップS21:来訪者が博覧会場の出口から出るとき,出口の係員はIDチケット8を預かり,出口に配設されている透明バーコードリーダ21と同等の透明バーコードリーダ(図示せず)に挿入し,キィボード22と同等のキィボード(図示せず)を操作して抹消処理を開始する。
ステップS22,S23:透明バーコードリーダは透明バーコード82を読み取り,ハードディスク装置18内にIDチケット8の使用終了を記憶する。そして,統計処理装置5を起動してその来訪者が博覧会場内の見学状況,各催し物会場ごとの見学状況,来訪者のレストラン利用結果などが整理させる。
ステップS24:CPU11はそのIDチケット8について上記ハードディスク装置18に登録したコードを抹消する。これにより,そのIDチケット8は使用できなくなる。
ステップS25:出口の係員はIDチケット8をその来訪者に渡す。来訪者はそのIDチケット8を来訪記念として持ち替えることができる。IDチケット8には,図2に示したようにその来訪者,来訪日などが印刷されているから記念として保存することができる。
【0019】1日の終了,さらに展示期間の終了などにおいて,統計処理装置5が博覧会場への来訪者,時間,その他のデータを統計処理して統計印刷用プリンタ25に出力する。これにより,来訪者分析,レストラン利用の精算など自動処理させることができる。以上述べたように,IDチケット8をある程度のセキュリティを有する博覧会場の会場見学券および博覧会場内レストランへの簡単なクレジットカードとして使用することができる。このIDチケット8は肉眼で透明バーコード82が認識できないから,容易に複製できず,悪用されない。また上述したように,博覧会場の受付においてすぐ発行でき,発行の即時性に優れ,また,使用後は出口ですぐ抹消でき,抹消の即時性にすぐれる。このIDチケット8は携帯性に優れる。なお,図2に示した例では,博覧会場の写真88などの印刷部分と透明バーコードマーク領域81とを別の位置にしたが,透明バーコードマーク領域81は肉眼で見えず邪魔にならないので,同じ位置に重ねることができ,IDチケット8の寸法を小さくでき,一層,携帯性にすぐれる。また,基材8aが紙で製造し,その上に印刷層8bが付着された構造であるから印刷またはタイプ,サイン複写が可能である。このIDチケット8は上記構造ゆえ,安価に製造できる。さらに,IDチケット8を来訪者の来訪記念にすることができる。
【0020】以上の実施例では,透明バーコードマーク領域81に予め透明バーコード82が印刷されているものを用いる例を示したが,IDチケット8を発行する都度,透明バーコード82を,たとえば,透明不可視マーク用の顔料を用いて熱転写して印刷することもできる。
【0021】以上の実施例では,透明バーコード82を紫外線インクを用いた例について述べたが,本発明の透明不可視マークとしては赤外線によって蛍光を発するまたは不可視の反射光を発する赤外線インクを用いてもよい。
【0022】本発明の識別カードおよび入場管理システムは上記例に限定されず,その他の種々の用途に適用できる。たとえば,他の例としては,遊園地の入場管理システムに適用できる。この場合,入場券(パスポート)としてIDチケット8と同様のIDチケットを発行,その購入金額などに応じて利用できる行楽場所の制限にIDチケットを使用するとともに,それぞれの行楽場所ごとの利用状況,たとえば,大人と子供のそれぞれの入場数,時間帯,現在の入場者数,行楽所要時間などの統計処理を行うことができる。この場合,大人と子供に区別して透明バーコード82のコード番号を変えておき,大人と子供の区別を行えるようにする。このような行楽券は1日単位での利用であるから,透明バーコード82のコード番号は毎日同じ番号から繰り返してもよい。またかかるIDチケットは記念に持ち替えることができる。
【0023】本発明の識別カードおよび入場管理システムのその他の例としては,ゴルフ会員券,ビジタ利用券などに用いることができる。そのゴルフ場内でのレストラン,ゴルフ用品の購入,ロッカーの電子鍵用としてIDチケットを利用することができる。本発明の識別カードおよびそれを用いた入場管理システムは,上述した本発明の実施例の構想に基づく種々の用途に適用できる。このように,上述した識別カードは広く認証カードとしても用いることができる。
【0024】本発明の認証カードは,図2に示した形態に限定されず,透明不可視マークを有するその他種々のカードとして構成することができる。図10に本発明の第2実施例の遊園地利用IDチケット9を示す。このIDカード9の断面は図2(B)に示した断面と同様であり,その図解を省略する。このIDチケット9は上述した遊園地の利用券として用いる。IDチケット9の透明記号マーク領域91に,図2に示した利用IDカード8の透明バーコード82に代えて,透明数字92が印刷されている。その他の整理番号93,挿入方向指示マーク94,利用日96,遊園地全景写真絵98,遊園地名99は図2に示した来訪者コード83などと同様の印刷物である。このIDチケット9を処理する入場管理システムは図1および図3に示したシステム構成とほぼ同じであるが,この例においては,透明バーコード82に代えて透明数字92が印刷されているから,図3に示した透明バーコードリーダ21,透明バーコードリーダ61に代えて,透明マークOCRを用いる。すなわち,バーコード読み取りに代えて,OCR読み込みを行う。OCR読み込み結果をコードかした後の処理は上述した例と同じである。このように,認証カードとしては,透明不可視マークとして,バーコードに限らず,図10に示した数字,あるいは,その他の文字,記号を用いるこきができる。
【0025】
【発明の効果】以上述べたように,本発明の透明不可視マークを用いた識別カードは比較的短期間ある程度のセキュリティを有する識別カードとして有効に用いることができる。本発明の識別カードは,透明不可視マークを識別に用いるから,肉眼で見ることができず複製が困難である。このマークは透明であるからそのマークのために別途マーク付着空間を必要としない。したがって,印刷に重ねて透明不可視マークを塗布することができ,識別カードの寸法を小さくできる。かかる透明不可視マークを有する識別カードは発行および抹消の即時性に優れる。また,基材が紙であるから,安価であり,比較的短期間の使用に充分耐用性がある。さらに,透明不可視マークは美観を損ねず,識別カードに印刷されている情報を読み取る時の邪魔にならず,透明不可視マークに重ねて文字,図柄などを描けことができる。この紙基材に透明不可視マークを有する識別カードは安価に製造できる。また本発明の識別カードを用いた入場管理システムは,上記透明不可視マークを用いてある程度のセキュリティを有する入場管理システムとして有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の入場管理システムの構成図である。
【図2】本発明の識別カードとしての実施例のIDカードを示す図である。
【図3】図1に示した入場管理システムのコンピュータシステム構成図である。
【図4】本発明の入場管理システムの適用例としての催し物会場のIDチケット操作装置を示す図図である。
【図5】図2に示したIDカードの透明不可視マークを読み取る不可視マークリーダの回路構成図である。
【図6】図5に示した不可視マークリーダの光学系の斜視図である。
【図7】図1に示した識別コード登録装置の処理を示すフローチャートである。
【図8】図1に示す識別装置の処理を示すフローチャートである。
【図9】図1に示す識別コード抹消装置の処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の識別カードの他の実施例のIDカードの平面図である。
【符号の説明】
1・・識別コード登録装置,2・・登録コード記憶装置,3・・識別コード抹消装置,4・・識別装置,5・・統計処理装置,6A〜6C・・第1〜第3の端末装置,8,9・・IDチケット,10・・コンピュータシステム,11・・CPU,12・・バス,13・・透明バーコードリーダI/F回路,14・・透明バーコードリーダI/F回路,15・・鍵制御装置I/F回路15,16・・ROM,17・・RAM,18・・ハードディスク装置,19・・表示装置制御回路,20・・CRT表示器,21・・透明バーコードリーダ,22・・キィボード,23・・カード日付印刷用プリンタ,24・・ラミネート処理装置,25・・統計印刷用プリンタ,30・・IDチケット操作装置,31・・IDカード挿入口,33・・有効ランプ,34・・無効ランプ,40・・受付デスク,42・・資料配付装置,61・・透明バーコードリーダ,62・・鍵操作装置,8a・・基材,8b・・印刷層,8c・・透明バーコード層,8d・・ラミネート層,81・・透明バーコードマーク領域,82・・透明バーコード,83・・来訪者コード,84・・挿入方向指示マーク,85・・来訪者氏名,86・・来訪日,88・・博覧会場の写真,89・・博覧会場の名称,91・・透明記号マーク領域,92・・透明数字。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 紙葉に設けられた入場識別用透明不可視マークを有する識別カード。
【請求項2】 識別用透明不可視マークに対応する登録コードを記憶し,紙葉に該透明不可視マークを有する識別用カードを発行する手段と,入場部のそれぞれに設けられ,該発行された識別カードの透明不可視マークを読み取りその有効性を確認し,当該入場部に入場したことを記憶する識別手段手段と,各入場部への入場者の累計を算出する手段とを有する入場者管理システム。
【請求項3】 上記識別手段の処理後,識別用カードを用いて顧客管理を行う手段を有する請求項2記載の入場者管理システム。
【請求項4】 紙葉に設けられた透明不可視マークを有する認証カード。

【図4】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図10】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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