説明

識別子、進捗管理方法及び進捗管理システム

【課題】貼り付けた管理対象物2との一体不可分性を実現することができる二次元コード1を提供する。
【解決手段】管理対象物2に貼着された二次元コード本体10と、この二次元コード本体10上に透明ポリウレタン樹脂3を介して貼着されたガラス連続繊維シート4と、このガラス連続繊維シート4を封止したポリウレタン樹脂5と、ファイナルコーティングとしての透明ポリウレタン樹脂6を有して二次元コート1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は識別子、進捗管理方法及び進捗管理システムに関する。詳しくは、貼付した対象物との一体不可分性を担保することが可能な識別子、更には、こうした識別子を利用した進捗管理方法及び進捗管理システムに係るものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅等の建物を建築する建築工事は極めて多くの工程に分かれており、工務店の設計に始まり、各工程をそれぞれ違った専門の工事業者が施工することとなる。また、建築資材は資材メーカーから調達業者が調達した上で搬入業者が搬入することもある。
【0003】
この様に、住宅等の建物を建築する場合には、極めて多くの業者が関与することとなり、作業の進捗管理は一般に複雑になる。
【0004】
そして、特許文献1及び特許文献2には、管理対象物(建設資材等)にICタグや識別情報を印字したラベルを貼付し、ICタグやラベルの情報に基づいて複雑化した建築工事等の進捗管理を行うシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−59294号
【特許文献2】特開2007−323497号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した特許文献1や特許文献2に記載されたシステムでは、管理対象物とICタグやラベルが一体不可分に貼付されていることが前提となっている。
即ち、ICタグやラベルが管理対象物に貼付されていることを前提として管理するシステムであり、ICタグやラベルが管理対象物から剥がされて、他の物に貼付される等の不正があった場合には、進捗管理ができないこととなる。
【0007】
しかしながら、一般的なICタグやラベルでは、管理対象物との一体不可分性を担保することが困難である。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みて創案されたものであって、貼付した対象物との一体不可分性を担保し、確実な進捗管理を実現することができる識別子を提供することを目的とするものである。また、こうした識別子を利用した進捗管理方法及び進捗管理システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の識別子では、所定の情報が識別可能に表示されると共に、対象物に貼着された識別子本体と、該識別子本体上に貼着されたガラス連続繊維シートと、該ガラス連続繊維シートを封止した樹脂材料とを備える透明若しくは半透明の識別子であって、前記対象物と前記識別子本体との接着強度よりも、前記識別子本体と前記ガラス連続繊維シートとの接着強度が小さくなる様に構成されている。
【0010】
ここで、対象物と識別子本体との接着強度よりも、識別子本体とガラス連続繊維シートとの接着強度が小さいことによって、識別子本体を対象物から剥離しようとすると、識別子本体が破損してしまうこととなる。そのため、対象物と識別子本体との一体不可分性を担保することができ、識別子本体を対象物から他の物への付け替えを抑止することができる。
【0011】
なお、識別子は透明若しくは半透明に構成されているために、ガラス連続繊維シート及び樹脂材料を介しても、識別子は携帯電話等で充分に読み取ることが可能である。
【0012】
また、ガラス連続繊維シートが、複数の第1のガラス繊維糸を有し、この第1のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第1のガラス繊維と、第1のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第2のガラス繊維糸を有し、この第2のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第2のガラス繊維と、第1のガラス繊維糸及び第2のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第3のガラス繊維糸を有し、この第3のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第3のガラス繊維と、第1のガラス繊維糸、第2のガラス繊維糸及び第3のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第4のガラス繊維糸を有し、この第4のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第4のガラス繊維とを有し、第1のガラス繊維糸、第2のガラス繊維糸、第3のガラス繊維糸若しくは第4のガラス繊維糸から任意に選択された2つのガラス繊維糸の交点が、他のガラス繊維糸同士の間隙に位置すべく構成された場合には、第1のガラス繊維糸〜第4のガラス繊維糸が同一箇所で最大でも2つしか交差しないこととなり、ガラス連続繊維シートの薄膜化が実現する。
なお、ガラス連続繊維シートが薄膜化することによって、識別子の読み取りが一層容易になる。
【0013】
更に、第2のガラス繊維糸が第1のガラス繊維糸と略45度の角度をなし、第3のガラス繊維糸が第1のガラス繊維糸と略90度の角度をなし、第4のガラス繊維糸が第1のガラス繊維糸を略135度の角度をなして構成された場合には、第1のガラス繊維糸〜第4のガラス繊維糸が均等に配置されることとなり、ガラス繊維シートの厚さの均一性が向上する。
なお、ガラス連続繊維シートの厚さの均一性が向上することによって、識別子の読み取りがより一層容易になる。
【0014】
また、上記の目的を達成するために、本発明の進捗管理方法では、管理対象物を携帯端末で撮影し、撮影日時を示す情報と一体不可分な状態の画像を記録する工程と、管理対象物と一体不可分に貼付された識別子を前記携帯端末で読み取ることで得られる所定の電子メールアドレス宛に、前記画像を添付した電子メールを送信し、管理サーバが有する管理者端末のみがアクセス可能に構成された記録手段に前記画像と同画像が添付された電子メールの送信日時を記録する工程と、前記記録手段に記録された画像のうち、管理者端末から通信回線を介して公開許可がなされた画像を、同画像が添付された電子メールの送信日時と共に、管理サーバが有する外部からアクセス可能に構成された公開手段に記録する工程とを備える。
【0015】
更に、上記の目的を達成するために、本発明の進捗管理システムでは、管理者端末のみがアクセス可能に構成された記録手段と、外部からアクセス可能に構成された公開手段とを有する管理サーバを備える進捗管理システムであって、前記記録手段は、管理対象物と一体不可分に貼付された識別子を携帯端末で読み取ることで得られる所定の電子メールアドレス宛に電子メールに添付して送信された、管理対象物を携帯端末で撮影し、撮影日時を示す情報と一体不可分な状態の画像と、同画像が添付された電子メールの送信日時が記録され、前記公開手段は、前記記録手段に記録された画像のうち、管理者端末から通信回線を介して公開許可がなされた画像を、同画像が添付された電子メールの送信日時と共に記録される様に構成されている。
【0016】
ここで、管理対象物を携帯端末で撮影し、撮影日時を示す情報と一体不可分な状態で画像を記録(例えば、撮影日時から画像ファイルの名称を決定して記録)し、続いて、管理対象物と一体不可分に貼付された識別子を携帯端末で読み取ることで得られる所定の電子メールアドレス宛に、画像を添付した電子メールを送信し、管理サーバが有する管理者端末のみがアクセス可能に構成された記録手段に画像と画像が添付された電子メールの送信日時を記録することによって、管理者端末を利用する管理者が記録手段にアクセスすることで画像の撮影日時と送信日時を確認することができる。
【0017】
なお、画像は撮影日時を示す情報と一体不可分な状態であるために、画像の撮影日時の改竄等の不正を行うことができず、過去に撮影した他の画像を代用するといった不正を抑制することができる。また、識別子が管理対象物と一体不可分に貼付されているために、管理対象物と画像との一体性を担保することができ、識別子を管理対象物から剥がして他の場所から電子メールを送信するといった不正を抑制することができる。
即ち、画像と撮影日時の一体不可分性を担保すると共に、管理対象物と画像の一体不可分性を担保することによって、管理対象物、日時及び場所の一体不可分性を担保することができ、撮影日時や撮影場所等を偽った画像の送信を抑制することが可能となる。
【0018】
また、記録手段に記録された画像のうち、管理者端末からインターネット回線等の通信回線を介して公開許可がなされた画像のみが公開手段に記録されることによって、記録手段に記録された画像の撮影日時と送信日時とを管理者が確認し、所定の条件(撮影日時や撮影場所を偽っていないであろうと考えられる条件であり、例えば、「撮影日時から送信日時までの時間差が10分」といった条件)を満たす画像のみを公開手段に記録することが可能となる。
【0019】
但し、必ずしも所定の条件を満たしている画像のみを公開手段に記録する必要はなく、仮に所定の条件を満たしていない画像を公開手段に記録したとしても、公開手段には画像と共に送信日時をも記録されるため、公開手段にアクセスをした場合には、所定の条件を満たしているか否かを確認することができる。
【0020】
そのため、管理者が所定の条件を満たすか否かを確認する場合には、所定の条件を満たす画像のみを公開許可を行うこととし、管理者が所定の条件を満たすか否かの確認については必ずしも行わない場合には、所定の条件を満たしていない画像をも含めて公開許可を行うこととしても良い。
【0021】
なお、「外部からアクセス可能に構成された公開手段」とは、広く第3者からのアクセスが可能であり、何らのアクセス制限がなされていないといった意味ではなく、管理者端末のみにアクセスを認めている記録手段が外部からのアクセスを一切認めていないのに対して、管理者端末以外の端末(外部の端末)からのアクセスをも認めるといった意味である。そのため、汎用のアクセス制御手段を用いて(例えば、IDとパスワード等を用いて)、公開手段にアクセスできる者を制限しても構わないことは勿論である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の識別子では、貼付した対象物との一体不可分性を担保することができ、対象物の充分な管理を実現することができる。また、本発明の進捗管理方法及び進捗管理システムでは、管理対象物と識別子との一体不可分性が担保されていることもあり、充分な管理を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を適用した識別子の一例である二次元コードを説明するための模式図である。
【図2】ガラス連続繊維シートの構成を説明するための模式図である。
【図3】二次元コードの一体不可分性を説明するための模式図である。
【図4】本発明を適用した二次元コードを利用した建築物の管理システムの一例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」と称する)について説明を行う。
図1は本発明を適用した識別子の一例である二次元コード1を説明するための模式図である。ここで示す二次元コード1は、管理対象物2と、管理対象物2の表面に貼り付けられた二次元コード本体10と、二次元コード本体10の表面に透明ポリウレタン樹脂3を介して貼着されたガラス連続繊維シート4を有する。また、ガラス連続繊維シート4を封止するポリウレタン樹脂5と、ファイナルコーティングとしての透明ポリウレタン樹脂6を有する。
【0025】
なお、透明ポリウレタン樹脂3、ガラス連続繊維シート4、ポリウレタン樹脂5及び透明ポリウレタン樹脂6で構成される構造は透明(半透明)を呈しており、透明ポリウレタン樹脂3、ガラス連続繊維シート4、ポリウレタン樹脂5及び透明ポリウレタン樹脂6を介して二次元コード本体10の情報が読み取り可能である。
【0026】
ここで、管理対象物としては、建設資材、建築物本体等が挙げられる。また、二次元コード本体10としては、紙に二次元バーコードを印刷したもの等が考えられる。
【0027】
また、透明ポリウレタン樹脂3、5、6としては、例えば、Liquid Plastics Limited(LPL)社製の「デカサンクリアグレイズ」(英国登録商標)が挙げられる。
【0028】
ここで、「デカサンクリアグレイズ」は、無色透明の脂肪族ポリウレタンコーティング剤であり、その塗膜は耐久性に富み、水分の浸透を効果的に守ることができる。また、透明でウェット感のある美しい光沢性を有する仕上がりを実現でき、黄ばむことがない。更に、一液性で化学反応を起こしにくい脂肪族であり、優れた接着力、加水分解が起こりにくい性質、ブラシまたはローラーにより簡単に塗布可能であり、熱や紫外線に強く年中施工可能であり、部分補修が簡単であるといった特徴を有するものである。
【0029】
なお、「デカサンクリアグレイズ」に関するデータは以下に示す表1の通りである。
【0030】
【表1】

【0031】
また、ガラス連続繊維シート4は、補強用繊維シートとして機能するもので耐薬品性、耐久性に優れており、図2で示す様に、平帯状のガラス繊維糸が縦横斜めに編み込まれた構造となっている。具体的には、ガラス繊維糸が横方向に配置された第1のガラス繊維11と、ガラス繊維糸が斜め方向(第1のガラス繊維を構成するガラス繊維糸と45度の角度をなす方向)に配置された第2のガラス繊維12と、ガラス繊維糸が縦方向に配置された第3のガラス繊維13と、ガラス繊維糸が斜め方向(第1のガラス繊維を構成するガラス繊維糸と135度の角度をなす方向)に配置された第4のガラス繊維14が編み込まれた構造となっている。
【0032】
第1のガラス繊維11は平帯状の複数の第1のガラス繊維糸11Aが横方向に所定の間隙を介して略平行に配置されており、第2のガラス繊維12は平帯状の複数の第2のガラス繊維糸12Aが斜め方向(第1のガラス繊維糸11Aと45度の角度をなす方向)に所定の間隙を介して略平行に配置されている。また、第3のガラス繊維13は平帯状の第3のガラス繊維糸13Aが縦方向に所定の間隙を介して略平行に配置されており、第4のガラス繊維14は平帯状の第4のガラス繊維糸14Aが斜め方向(第1のガラス繊維糸11Aと135度の角度をなす方向)に所定の間隙を介して略平行に配置されている。
【0033】
ここで、第1のガラス繊維糸11A、第2のガラス繊維糸12A、第3のガラス繊維糸13A及び第4のガラス繊維糸14Aは、同一箇所で最大でも2つまでしか交差しない様に配置されている。
【0034】
即ち、第1のガラス繊維糸11Aと第2のガラス繊維糸12Aの交点は第3のガラス繊維糸13A同士の間隙に位置すると共に第4のガラス繊維糸14A同士の間隙に位置し、第1のガラス繊維糸11Aと第3のガラス繊維糸13Aの交点は第2のガラス繊維糸12A同士の間隙に位置すると共に第4のガラス繊維糸14A同士の間隙に位置し、第1のガラス繊維糸11Aと第4のガラス繊維糸14Aの交点は第2のガラス繊維糸12A同士の間隙に位置すると共に第3のガラス繊維糸13A同士の間隙に位置し、第2のガラス繊維糸12Aと第3のガラス繊維糸13Aの交点は第1のガラス繊維糸11A同士の間隙に位置すると共に第4のガラス繊維糸14A同士の間隙に位置し、第2のガラス繊維糸12Aと第4のガラス繊維糸14Aの交点は第1のガラス繊維糸11A同士の間隙に位置すると共に第3のガラス繊維糸13A同士の間隙に位置し、第3のガラス繊維糸13Aと第4のガラス繊維糸14Aの交点は第1のガラス繊維糸11A同士の間隙に位置すると共に第2のガラス繊維糸12A同士の間隙に位置する様に配置されている。
【0035】
なお、本実施の形態で使用したガラス連続繊維シート4の物性は以下に示す表2の通りである。
【0036】
【表2】

【0037】
ここで、本実施の形態では、第1のガラス繊維糸11A、第2のガラス繊維糸12A、第3のガラス繊維糸13A及び第4のガラス繊維糸14Aが、同一箇所で最大でも2つまでしか交差しない様に配置されたガラス連続繊維シート4を使用した場合を例に挙げて説明を行っているが、ガラス連続繊維シート4は必ずしもこのような構成である必要はない。例えば、特開2010−1707号公報に記載されている様な、繊維糸(ヤーン)を0°、±45°及び90°に配列して格子状に組み合わせ、同一箇所で4本の繊維糸(ヤーン)が交差する様に編み込まれた構成のガラス連続繊維シート(例えば、日東紡績株式会社製「ガラス長繊維(四軸組布KQ380)」)であっても良い。
【0038】
但し、第1のガラス繊維糸11A、第2のガラス繊維糸12A、第3のガラス繊維糸13A及び第4のガラス繊維糸14Aが、同一箇所で最大でも2つまでしか交差しない様に配置されたガラス連続繊維シート4を使用した場合の方が、二次元コード本体10をより鮮明に確認することができ、二次元コード本体10の読み取りを一層容易に行うことが可能となる。
【0039】
上記した本発明を適用した二次元コード1の透明度(透過率)の測定結果を表3(1)に示す。なお、表3(2)は、上述した特開2010−1707号公報に記載のガラス連続繊維シートを用いた場合の透明度(透過率)の測定結果である。
ここでのデータは、日本工業規格(JIS規格)K7136の「プラスチック透明材料のヘーズの求め方」に基づいて作成されたものである。
【0040】
【表3】

【0041】
表3からも明らかな様に、本発明を適用した二次元コード1は充分な透明度(透過率)を有しており、透明ポリウレタン樹脂3、ガラス連続繊維シート4、ポリウレタン樹脂5及び透明ポリウレタン樹脂6を介してでも、充分に二次元コード本体10を読み取ることが可能である。
【0042】
なお、本発明を適用した二次元コード1の各性能について表4に示す。
【0043】
【表4】

【0044】
また、上記した本発明を適用した二次元コード1では、管理対象物2から引き剥がそうとすると、図3で示す様に、二次元コード本体10が破れてしまうこととなり、管理対象物2と二次元コード1との一体不可分性を担保することができる。
【0045】
図4は本発明を適用した二次元コード1を利用した建築物の管理システムの一例を説明するための模式図である。ここでは、施工業者が有する携帯電話機21、施主が有する端末(パソコンや携帯電話)22及び工務店が有する端末(パソコンや携帯電話)23はインターネット24を介して管理サーバ25と相互に通信が可能である様に構成されている。
【0046】
なお、施主が有する端末22と管理サーバ25との通信、並びに工務店が有する端末23と管理サーバ25との通信は、アクセスすることが可能であれば必ずしもインターネット接続を利用する必要はなく、LAN(Local Area Network)接続や専用線接続等を利用しても良い。
【0047】
ここで、携帯電話機21は、管理対象物である建築物26に貼り付けられた二次元コード1を読み取り可能に構成されており、二次元コード1を読み取ることで認識するURLから管理サーバ25にアクセスすることができる。また、携帯電話機21にはカメラ機能が搭載されており、管理対象物を撮像することができ、また、撮像した画像を管理サーバ25に送信可能に構成されている。
【0048】
なお、携帯電話機21のカメラで撮像する画像には、撮像日時が画像ファイルの名称として記録されることとなる。例えば、2010年6月10日の午前9時30分に撮影した画像であれば、「201006100930」といった具合であり、2010年6月12日の午後2時15分に撮影した画像であれば「201006121415」といった具合である。
【0049】
また、管理サーバ25は画像受信手段27及び公開手段28を有しており、画像受信手段27は携帯電話機21から送信された画像を受信し保存できる様に構成されている。なお、画像受信手段27及び公開手段28には、画像と共に、携帯電話機21が電子メールを送信した送信日時も併せて保存できる様に構成されている。
【0050】
更に、画像受信手段27に保存された画像のうち、工務店が有する端末23から公開が承認された画像は公開手段28に保存されることとなる。なお、公開手段28に保存された画像については、施主が有する端末22から閲覧が可能となる。
【0051】
図4に示す建築物の管理システムでは、施工業者は予め定められたタイミングで携帯電話機21のカメラ機能を用いて写真を撮影する。具体的には、例えば、着工準備、仮設工事、地業・基礎工事、躯体工事、屋根工事、外部建具工事、外部仕上げ工事、断熱工事、造作工事、内部仕上工事、内部建具工事、雑工事、電気工事、給排水衛生工事、設備工事、外溝工事、オプション工事、社内検査、といったそれぞれの工程毎に写真を撮影する。
【0052】
次に、携帯電話機21で建築物26に貼り付けられた二次元コード1を読み取り、管理サーバ25のウェブサイトのアクセスを行う。なお、管理サーバ25のウェブサイトにアクセスを行うと、ログインID及びパスワードの入力を求められ、施工業者に事前に通知された所定のログインID及びパスワードを入力することで、施工業者用のページにアクセスすることができる。
【0053】
そして、施工業者は、施工業者用のページを通じて、携帯電話機21で撮像した画像を管理サーバ25に送信する。具体的には、例えば、施工業者用のページに記載されたメールアドレス(投稿用アドレス)宛に画像を添付した電子メールを送信することで、管理サーバ25に画像を送信する。
【0054】
なお、携帯電話機21から送信された画像は、管理サーバ25の画像受信手段27に保存されることとなる。
【0055】
続いて、工務店は、端末23で管理サーバ25のウェブサイトにアクセスを行う。なお、管理サーバ25のウェブサイトにアクセスを行うと、ログインID及びパスワードの入力が求められ、工務店用のログインIDとパスワードを入力することで、工務店用のページにアクセスすることができる。
【0056】
そして、工務店は、工務店用のページを通じて、施工業者から送信された画像の公開の承認を行う。なお、工務店用ページを通じて公開の承認がなされた画像については、上述した様に、画像受信手段27から公開手段28へと保存されることとなる。
【0057】
その後、施主は、端末22で管理サーバ25のウェブサイトにアクセスを行い、施主用のログインIDとパスワードを入力することで、公開手段28に保存された画像を閲覧することができる。
【0058】
本発明を適用した二次元コード1では、上述の様に、管理対象物2との一体不可分性を担保することができるために、上述した様な建築物の管理システムを安定して運用することが可能となる。
即ち、二次元コード1と建築物との一体不可分性が担保されておらず、二次元コード1が建築物から容易に分離してしまう場合には、施工業者が画像を送信するといった作業が行えないといったケースも想定できる。また、一体不可分性が担保されているが故に、建築物の完成から長期間が経過した場合(例えば、20年後のリフォームを検討しようとした場合)であっても施主が施工内容等を確認することができることとなる。
【0059】
更に、一体不可分性が担保されているために、施工業者が進捗情報の報告の不正を行う等の意図をもって、故意に二次元コード1を建築物から剥離するといったケースを抑止することができ、充分な進捗管理をも実現することができる。
【0060】
また、画像の撮影日時と電子メールの送信日時を画像受信手段27及び公開手段28に画像と共に保存しているために、画像の撮影日時や画像の送信日時の不正を抑止することが可能であり、また、事後的に画像の信憑性を確認することも可能となる。
【符号の説明】
【0061】
1 二次元コード
2 管理対象物
3 透明ポリウレタン樹脂
4 ガラス連続繊維シート
5 ポリウレタン樹脂
6 透明ポリウレタン樹脂
10 二次元コード本体
11 第1のガラス繊維
11A 第1のガラス繊維糸
12 第2のガラス繊維
12A 第2のガラス繊維糸
13 第3のガラス繊維
13A 第3のガラス繊維糸
14 第4のガラス繊維
14A 第4のガラス繊維糸
21 携帯電話機
22 端末
23 端末
24 インターネット
25 管理サーバ
26 建築物
27 画像受信手段
28 公開手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報が識別可能に表示されると共に、対象物に貼着された識別子本体と、
該識別子本体上に貼着されたガラス連続繊維シートと、
該ガラス連続繊維シートを封止した樹脂材料とを備える透明若しくは半透明の識別子であって、
前記対象物と前記識別子本体との接着強度よりも、前記識別子本体と前記ガラス連続繊維シートとの接着強度が小さい
識別子。
【請求項2】
前記識別子本体は紙から成る
請求項1に記載の識別子。
【請求項3】
前記ガラス連続繊維シートは、
複数の第1のガラス繊維糸を有し、該第1のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第1のガラス繊維と、
前記第1のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第2のガラス繊維糸を有し、該第2のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第2のガラス繊維と、
前記第1のガラス繊維糸及び前記第2のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第3のガラス繊維糸を有し、該第3のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第3のガラス繊維と、
前記第1のガラス繊維糸、前記第2のガラス繊維糸及び前記第3のガラス繊維糸とは異なる向きに配置された複数の第4のガラス繊維糸を有し、該第4のガラス繊維糸同士が所定の間隙を介して略平行に配置された第4のガラス繊維とを有し、
前記第1のガラス繊維糸、前記第2のガラス繊維糸、前記第3のガラス繊維糸若しくは前記第4のガラス繊維糸から任意に選択された2つのガラス繊維糸の交点が、他のガラス繊維糸同士の間隙に位置すべく構成された
請求項1または請求項2に記載の識別子。
【請求項4】
前記第2のガラス繊維糸は前記第1のガラス繊維糸と略45度の角度をなし、前記第3のガラス繊維糸は前記第1のガラス繊維糸と略90度の角度をなし、前記第4のガラス繊維糸は前記第1のガラス繊維糸と略135度の角度をなして構成された
請求項3に記載の識別子。
【請求項5】
管理対象物を携帯端末で撮影し、撮影日時を示す情報と一体不可分な状態の画像を記録する工程と、
管理対象物と一体不可分に貼付された識別子を前記携帯端末で読み取ることで得られる所定の電子メールアドレス宛に、前記画像を添付した電子メールを送信し、管理サーバが有する管理者端末のみがアクセス可能に構成された記録手段に前記画像と同画像が添付された電子メールの送信日時を記録する工程と、
前記記録手段に記録された画像のうち、管理者端末から通信回線を介して公開許可がなされた画像を、同画像が添付された電子メールの送信日時と共に、管理サーバが有する外部からアクセス可能に構成された公開手段に記録する工程とを備える
進捗管理方法。
【請求項6】
前記識別子は、
所定の情報が識別可能に表示されると共に、対象物に貼着された識別子本体と、
該識別子本体上に貼着されたガラス連続繊維シートと、
該ガラス連続繊維シートを封止した樹脂材料とを備える透明若しくは半透明の識別子であって、
前記対象物と前記識別子本体との接着強度よりも、前記識別子本体と前記ガラス連続繊維シートとの接着強度が小さい
請求項5に記載の進捗管理方法。
【請求項7】
管理者端末のみがアクセス可能に構成された記録手段と、外部からアクセス可能に構成された公開手段とを有する管理サーバを備える進捗管理システムであって、
前記記録手段は、管理対象物と一体不可分に貼付された識別子を携帯端末で読み取ることで得られる所定の電子メールアドレス宛に電子メールに添付して送信された、管理対象物を携帯端末で撮影し、撮影日時を示す情報と一体不可分な状態の画像と、同画像が添付された電子メールの送信日時が記録され、
前記公開手段は、前記記録手段に記録された画像のうち、管理者端末から通信回線を介して公開許可がなされた画像を、同画像が添付された電子メールの送信日時と共に記録される
進捗管理システム。
【請求項8】
前記識別子は、
所定の情報が識別可能に表示されると共に、対象物に貼着された識別子本体と、
該識別子本体上に貼着されたガラス連続繊維シートと、
該ガラス連続繊維シートを封止した樹脂材料とを備える透明若しくは半透明の識別子であって、
前記対象物と前記識別子本体との接着強度よりも、前記識別子本体と前記ガラス連続繊維シートとの接着強度が小さい
請求項7に記載の進捗管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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