識別子を有する試料管
試料管(1)には、底部(4)と一体化された側壁(3)に囲まれた上部開口(2)が設けられ、試料管(1)の底部(4)が、上部開口(2)の遠位に配置された実質的に平坦な下側部分(5)を含み、試料管が、当該試料管(1)の底部側に配置された識別部(6)を備える。本発明に係る試料管(1)は、識別部(6)が、第1色を持つ不透明部分(7)と、透明被覆層(8)とにより構成され、透明被覆層(8)が、レーザマーキングビームで照射されたときに、当該透明被覆層(8)の照射領域(9)を、第1色と対照をなす第2色の不透明領域に変換するレーザ感知充填材を含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
独立請求項1のプリアンブルによれば、本発明は、底部に一体化された側壁により囲まれた上部開口を有する試料管に関するものである。この試料管の底部は、上部開口の遠位に配置された実質的に平らな下側部分を有する。試料管は、その底部側に配置された識別部を含む。
【背景技術】
【0002】
液体試料の貯蔵および移送用の試料管は、例えば、生化学および生物学の研究または臨床診断にあたり液体処理技術を適用する実験室において良く知られている。比較的大きな試料管は、例えば、血液またはその他の体液を数ミリリットルまで収容することができる。一方、比較的小さな試料管は、液体または固体試料を数マイクロリットルだけ収容することができる微細管として知られている。従来より、ラックに格納することができる、標準マイクロプレート(ANSI/SBS規格1−2004を参照されたい)のサイズの微細管が知られている。この形式のラックとして、96本の微細管(例えば、EP1361441A1)や384本の微細管(例えば、EP0904841A2)で知られたラックがある。
【0003】
特に、複雑な実験環境において、そのような試料管の自動移送、貯蔵、検索および追跡のためには、試料管の個体識別が必要とされる。各試料の明確な識別が不可欠である臨床診断実験室の場合は、特にそうである。
【0004】
EP1210979B1のように、流体密封の底部キャップの内部、または試料管の二重側壁間の間隙内にある印刷識別タグを含む試料管が知られている。
【0005】
特開2004−053566号のように、底面に浅い円筒凹部を有する筒状ミニチューブが知られている。凹部は、ミニチューブに収容した内容物についての情報を有する2次元バーコードを天井面に有する。凹部は、水密状態でバーコードが設けられた記録面を保護するために、合成樹脂等の透明保護板を有する。
【0006】
特開2006−232292号のように、電子タグおよび無線IC(RFID)システムを有する容器が知られている。電子RFIDタグは、容器の底部内面に略水平になるように固定することが望ましい。容器内の流体からRFIDタグを保護するために、窪みを有する保護部材がタグの上に密封状態で配置されている。特開2006−168757号のように別の構成も知られており、ここでは、RFIDタグが、ガラス容器の底部の下側部分の凹部内に配置されて、凹部を覆うガラス板により密封状態で覆われている。
【0007】
US6,372,293B1のように別の方法も知られており、ここでは、囲まれた側壁および一体化された底部を含む一体構造の上部開口を有する管状容器が開示されている。底部の平面的な外面においては、底部表面上に蒸着された多層不透明塗膜内で機械可読データが符号化されている。機械可読コードは、第2層の部分を取り除くことにより多層塗膜内に形成されている。
【0008】
また、US6,270,728B1のようにさらに別の方法も知られており、ここでは、表面にドットコードを有する試験管が開示されている。ドットコードは、レーザにより試験管の底部表面に焼き付けられるもので、光学式読取り機構により読取り可能となっている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、底部側に配置された識別部を有する代替的な試料管を提案することである。
【0010】
この目的は、底部に一体化された側壁により囲まれた上部開口を有する試料管が提案されている独立請求項1の特徴部によって達成されるものである。試料管の底部は、上部開口の遠位に配置された実質的に平らな下側部分(downside)を有し、試料管が、その底部側に配置された識別部を含む。本発明に係る代替的な試料管は、識別部が、第1色を有する不透明部分と、透明被覆層とからなり、透明被覆層が、レーザマーキングビームによる照射によって、透明被覆層の照射領域を、第1色と対照をなす第2色の不透明領域に変換するレーザ感知充填材(filler)を含むことを特徴とする。
【0011】
追加的な好ましい実施形態および独創的な特徴は、従属請求項から派生する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明に係る試料管を、添付の模式図を用いてより詳細に説明する。それら図面は、本発明の範囲を制限することなく、好ましい例示的な実施形態を示すものである。
【図1】図1は、第1実施形態に係る平面的な二部構造の底部および一体化された識別子(identification)を有する試料管の縦断面図である。
【図2】図2は、第2実施形態に係る凹型の二部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図3】図3は、第3実施形態に係る平面的な三部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図4】図4は、第4実施形態に係る細くなった三部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図5】図5は、第5実施形態に係る細くなった三部構造の底部、一体化されたキャリア壁(carrier walls)および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図6】図6は、第6実施形態に係る細くなった三部構造の底部、スナップ式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図7】図7は、第7実施形態に係る細くなった四部構造の底部、スナップ式のキャリア壁および保護層が設けられた識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図8】図8は、第8実施形態に係る細くなった三部構造の底部、RFIDタグが設けられたスナップ式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図9】図9は、第9実施形態に係る細くなった三部構造の底部、RFIDタグが設けられた成形式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図10】図10は、第10実施形態に係る平面的な三部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図11】図11は、第11実施形態に係る細くなった四部構造の底部、RFIDタグが設けられたスナップ式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図12】図12は、第12実施形態に係る細くなった五部構造の底部、RFIDタグが設けられたスナップ式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の第1実施形態に係る平面的な二部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図を示している。試料管1は、側壁3に囲まれた上部開口2を有する。それら側壁は、円筒状の管を形成して、底部4と一体となっていることが望ましい。この図1から離れて、試料管1は、楕円または多角形断面(図示省略)を有するものであってもよい。側壁3の厚さは、管の予定容積に大きく依存し、この管の予定容積は、典型的には40μlから900μlまでの範囲となる。典型的な壁厚は、0.3mmから2mmまでの範囲であり、望ましくは、0.5mmから1mmまでの範囲である。試料管1の底部4は、上部開口2の遠位に配置された実質的に平らな下側部分5を有する。典型的な底厚は、0.2mmから1.2mmまでの範囲であり、望ましくは、0.3mmから1mmまでの範囲である。
【0014】
また、試料管1は、当該試料管1の底部側に位置する識別部6を含む。本発明によれば、識別部6は、第1色の不透明部分7と、透明被覆層8とから構成されている。透明被覆層8は、レーザマーキングビームによる照射によって、透明被覆層8の照射領域9を、第1色と対照をなす第2色の不透明領域に変換するレーザ感知充填材を含む。典型的な透明被覆層の厚さは、0.2mmから1.0mmまでの範囲であり、望ましくは、0.3mmから0.5mmまでの範囲である。
【0015】
本発明の概念において、“不透明な”という表現は、バーコードリーダにより発せられるレーザ走査光の相当量、すなわち、少なくとも60%、望ましくは75%より多く、特に望ましくは90%より多くが、物質を通過することを阻止する物質の能力のことを表している。本発明の概念において、“透明な”という表現は、バーコードリーダにより発せられるレーザ走査光の相当量、すなわち、少なくとも60%、望ましくは75%より多く、特に望ましくは90%より多くを通過させる物質の能力のことを表している。本発明の概念において、“充填材”という表現は、後で規定するように、望ましくは試料管1の各部分のプラスチック材料内に均等に分散される添加材のことを表している。
【0016】
本発明に係る試料管1においては、照射領域9が、直線的な1次元バーコード、円形の1次元バーコードおよび2次元バーコードを含む群から選ばれる識別マーキングの一部であることが、特に望ましい。
【0017】
図1は、識別部6の不透明部分7が試料管1の側壁3および底部4と同じ材料である試料管1を示している。この不透明部分7は、白色または乳白色の第1色を呈することが望ましい。この側壁2および底部4を有する試料管は、ポリプロピレン(望ましくは、オランダ王国ロッテルダム所在のLyondellBasell Industries社製のポリプロピレン単独重合体、PURELL HP371P)の一体射出成形体として仕上げることが望ましく、また、射出成形の前に、1−10質量%の白色着色剤、例えば、TiO2をポリプロピレンに添加することにより、この試料管1を着色することが望ましい。
【0018】
透明被覆層8として好ましい材料も、ポリプロピレンであり、特に、材料PURELL HP371Pネイチャー(そのままのもの)が特に好ましい。レーザ感知充填材としては、約0.5−5質量%のHP756197LS(オーストリアのグンポルツキルヒェン所在のGABRIEL−CHEMIE社製のMAXITHEN(登録商標))をポリプロピレンに加えることが望ましい。このレーザ感知充填材は、レーザマーキングビームによる照射によって、透明被覆層8の照射領域9を、第1色と非常に対照をなし且つ従来のバーコードリーダで容易に認識できる濃灰色または黒色の不透明領域に変換する。その他のレーザ感知充填材として、良好な対照をなす照射領域9を提供するが濃灰色、濃赤色、紺青色、暗緑色に着色された照射領域9をもたらすようなレーザ感知充填材(例えば、ドイツのダルムシュタット所在のメルク社から全7色からなるIriodin(登録商標)またはLazerflair(登録商標))を選択することができる。透明被覆層8は、試料管1の底部4の上にバックモールドすることができ、あるいは試料管1は、透明被覆層8の上にバックモールドすることもできる。第1実施形態に係る平面的な底部を有する試料管1の大量生産のさらなる可能性として、多構成要素射出成形(multi-component injection molding)も適用することができ、その場合、一の構成要素は、側壁3および底部4を有する試料管1であり、別の構成要素は、透明被覆層8である。
【0019】
図2は、本発明の第2実施形態に係る凹型の二部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図を示している。各材料および寸法は、図1に関して規定されるものと同じであることが望ましい。しかしながら、第2実施形態は、底部4の周縁に配置されて透明被覆層8の下面より突出する保護バー16を含む。これら保護バーは、閉リング構造体として、あるいは窪みにより隔てられた複数のバー(図示省略)として達成することができる。何れにしても、1または複数のそれら保護バーは、透明被覆層8に、その表面のキズに対する保護を与える。透明被覆層8の表面の代替的な保護手段として、保護バー16間の凹部15には、ポリプロピレン、好ましくは、PURELL HP371Pネイチャーの透明保護層14(図2の破線を参照)を(例えば、オーバーモールドにより)充填することができる。また、本発明の試料管は、ネジ式または押し付け式、ネジ込み式(図示)または押し込み式のキャップ18で密封することができる。
【0020】
この第2実施形態では、2つの構成要素からなる底部構造が示されている。この底部構造は、底部4(不透明部分7として)および透明層8を含む。このため、識別部6は、試料管1の底部4および透明層8から形成される。
【0021】
図3は、本発明の第3実施形態に係る平面的な三部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図を示している。この試料管1は、識別部6の不透明部分7が試料管1の側壁3および底部4と異なる材質である点が特徴となっている。その結果、既に説明した始めの2つの実施形態から外れて、側壁3および底部4の好ましい材料が、PURELL HP371Pネイチャーのような、透明なポリマ材料となる。側壁2および底部4を有するこの試料管1は、ポリプロピレンの一体射出成形体として仕上げることが望ましく、その各寸法は、図1に関して規定されるものと同じであることが望ましい。
【0022】
前の実施形態と同様に、この試料管1の不透明部分7は、明るい第1色を呈する。しかしながら、第1色は、白色、乳白色、明灰色、鮮赤色、鮮青色、鮮緑色、鮮黄色および鮮橙色を含む群から選ばれ、一方、第2色は、灰色、赤色、青色、緑色および黒色を含む群から選ばれた暗色とされる。不透明部分7はポリプロピレン(好ましくは、PURELL HP371P)であることが望ましく、また、1−10質量%の白色着色剤、例えば、TiO2をポリプロピレンに添加することにより、この不透明部分7を着色することが望ましい。透明被覆層8の好ましい材料もポリプロピレンであり、材料PURELL HP371Pネイチャーは、特に好ましい。この実施形態におけるレーザ感知充填材としても、約0.5−5質量%のHP756197LS(オーストリアのグンポルツキルヒェン所在のGABRIEL−CHEMIE社製のMAXITHEN(登録商標))をポリプロピレンに加えることが望ましい。試料管1の不透明部分7が濃灰色または黒色(それは、カーボンブラック充填材により実現することができる)であってもよく、また、透明被覆層8が、マーキングレーザで透明被覆層8を照射したときに輝点または白点に変化する特別なレーザ感知充填材(例えば、ドイツのダルムシュタット所在のメルク社製の白色のLazerflair(登録商標)810)を含むようにしてもよい。
【0023】
実際に、識別部6の不透明部分7および充填材を有する透明被覆層8は一緒になって二組成プラスチックシート10を構成するが、これは、多構成要素射出成形、積層またはバックモールディングにより形成することができる。この二組成プラスチックシート10は、試料管1の底部4に取り付ける(例えば、接着または溶着する)ことが望ましい。代替的な生産プロセスでは、試料管1の側壁2および底部4が二組成プラスチックシート10の不透明部分7の背側11にバックモールド(好ましくは、PURELL HP371Pネイチャー)される。
【0024】
第1乃至第3実施形態の何れかに係る試料管1の既に説明した特徴に加えて、試料管1の側壁3および底部4は、試料管1に流体バリアの向上をもたらすプラスチック成分を含む様々なプラスチック成分を有する。実際に、側壁3および底部4は、二層のポリプロピレン(PURELL HP371Pネイチャー、または1−10質量%の白色着色剤、例えば、TiO2で着色されたPURELL HP371P)と、その間にポリアミド中間体障壁層17とを備える。流体障壁層または中間流体障壁層17の目的は、水分子の管1内外への拡散、気体分子(例えば、O2、N2、CO2またはO3)の管1内外への拡散を遮断するか、あるいは少なくとも大幅に低減することである。すなわち、本明細書では、流体は、液体、気体または液体/気体の混合物として捉えられる。特に、長期間の貯蔵および輸送中に、O2またはO3のような気体は、試料管1または微細管の壁を通り抜けることができ、管内に格納された化学的または生物学的試料に破壊的影響を与える可能性がある。他方、水分の喪失も、試料を乾燥させてダメージを与える可能性がある。このため、試料管1内の拡散バリアを向上させること、並びに、それら管をきつくキャッピングまたはシーリングすることが、目標とされる。
【0025】
ポリアミド中間体障壁層17は、結晶性ポリアミド樹脂で形成することが好ましい。特に好ましいのは、結晶性ポリアミド樹脂のうちの1つであるナイロン−MXD6からなるポリアミド中間体障壁層17であり、これは、アジピン酸を用いて、三菱ガス化学株式会社(日本、東京)のメタキシリレンジアミン(MXDA)の重縮合を介して生産されるものである。このポリアミド中間体障壁層17の望ましい最大厚さは、40μmである。
【0026】
好ましい別のポリアミド中間体障壁層17は、非晶質ナイロン共重合体により形成される。特に好ましいのは、ナイロン6I/6Tから形成されるポリアミド中間体障壁層17であり、これは、EMS−GRIVORY社(スイス、ドマート/エムス)により製造されるポリアミド共重合体GRIVORY(登録商標)G21として知られている。このポリアミド中間体障壁層17の好ましい厚さは100−300μmである。
【0027】
言うまでもなく、本発明の試料管1はすべて、そのようなポリアミド中間体障壁層17を備えることができるが、それは、試料管側壁3および底部4の共押出により製造することが望ましい。
【0028】
図4は、第4実施形態に係る細くなった三部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図を示している。第3実施形態に関して述べたすべてのことが、この実施形態にも適用される。しかしながら、細くなった管の底部は、液体操作装置で液体を吸引した後に試料管1の内部に残留する液体の死容積が少なくなるという利点を与える。
【0029】
図5は、第5実施形態に係る細くなった三部構造の底部、一体化されたキャリア壁および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図である。第3実施形態に関して述べたすべてのことが、この実施形態にも適用される。第4実施形態と同様、本実施形態においても、細くなった管の底部は、液体操作装置で液体を吸引した後に試料管1の内部に残留する液体の死容積が少なくなるという利点を与える。キャリア壁12は、識別部6の不透明部分7およびレーザ感知充填材を有する透明被覆層8からなる二組成プラスチックシート10に、透明被覆層8の下面のキズに対するガードを与える。また、キャリア壁12は、試料管1の大きな設置面積を規定し、それにより試料管の安全に直立する能力を最大化する。
【0030】
また、この本発明に係る試料管1の第5実施形態は、(第3実施形態に関連して述べたように)試料管1に流体バリアの向上をもたらすプラスチック成分を含む様々なプラスチック成分を有する。また、この実施形態においても、識別部6の不透明部分7およびレーザ感知充填材を有する透明被覆層8は一緒になって二組成プラスチックシート10を構成するが、これは、多構成要素射出成形、積層またはバックモールディングにより形成することができる。この二組成プラスチックシート10は、試料管1の底部4に取り付ける(例えば、接着または溶着する)ことが望ましい。代替的な生産プロセスでは、試料管1の側壁2および底部4が二組成プラスチックシート10の不透明部分7の背側11にバックモールド(好ましくは、PURELL HP371Pネイチャー)される。好ましくは、周囲の外気から試料管1内の試料を安全に密封するために、密封フィルムまたは密封フォイル21(図示のように)が、溶着または接着により試料管1の上部開口2で側壁2の境界に適用される。この密封フィルムまたはフォイル21は、アルミニウムとポリマの一方または両方により形成することが望ましい。試料管への密封フォイル(すなわち、そのポリマラミネート)の溶着が適用されることとなる場合には、アルミニウムフォイル上のポリマラミネートが望ましい。
【0031】
図6は、第6実施形態に係る細くなった三部構造の底部、スナップ式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図を示している。ここでは、二組成プラスチックシート10は、その外周の周りにおいて、好ましくはポリプロピレンからなるキャリア壁12で、バックモールドおよび/または射出成形されている。特に、PURELL HP371Pネイチャーのポリプロピレンからキャリア壁12を形成することが好ましい。キャリア壁12は、試料管1の側壁2および/または底部4に形成されるサイズ設定された取付部13にスナップ留めされるように構成される。それら取付部13は、1つの単一リング状の窪みを含むことができ、キャリア壁12の相補的なリング状隆起によって把持される能力が、逃げ構造(relief structure)を介して向上されることが望ましい。この試料管1の側壁2および/または底部4の逃げ構造は、スナップ式のキャリア壁12のリング状窪み内に突出する。第2実施形態と比較すると、保護バー16が透明被覆層8の下面を超えて突出して、凹部15を形成し、透明被覆層8にキズに対する保護を与える。不透明部分7の後側11と底部の平面的な下側部分との間の間隙が最小化されるか、かつ/または、キャリア壁12とより重要な識別部6との取り外し不能な連結が望まれる場合には、上記間隙が接着剤で充填されることが望ましい。
【0032】
これまでに説明した実施形態とは異なり、第6実施形態に係る特定の試料管1のための識別子は、試料管の大量生産から独立して生産することができ、後で、空のまたは既に満たされている特に関心のある試料管1にスナップ式で取り付けることができる。これまでに説明した5つの実施形態の識別部とは異なり、単純な一義的なコードまたはナンバリングで十分でありかつ好ましい場合には、第6実施形態に係る試料管1の識別部6は、例えば、実験室の識別、ブランド設定またはロゴのような追加情報を保持することができる。また、キャリア壁は、有色のポリマから形成することができ、その色彩が試料管1を符号化するための追加の可能性を示すものとすることができる。よって、1の色彩(例えば、赤色、緑色、黄色、青色など)は、特別のまとまりの試料に与えることができ、そのまとまりは、例えば、特徴のあるケース、試料源、実験室などに指定されるものとされる。
【0033】
図6の提示から外れるが、本発明の趣旨からは外れることなく、試料管1の側壁2および/または底部4は、一連の好ましくは交互でリング状の窪みおよび隆起の形態を持つ取付部13を備えることができる。このため、キャリア壁12は、代替的には、一連の相補的な隆起および窪み(図示省略)を備えることができる。
【0034】
図7には、第7実施形態に係る細くなった四部構造の底部、スナップ式のキャリア壁および保護層が設けられた識別子を有する試料管の縦断面図が示されている。第6実施形態とは異なり、キャリア壁12が、透明か、不透明か、または着色されているかにかかわらず、任意のポリマ材料から形成することができる場合には、第7実施形態のキャリア壁12は透明であることが望ましい。それは、透明保護層14がキャリア壁12と一緒に成形されるためである。このため、識別部6の不透明部分7およびレーザ感知充填材を有する透明被覆層8により構成される二組成プラスチックシート10は、透明被覆層8の下面に対する擦り傷からガードまたは保護される。さらに、キャリア壁12には、(図7に示すように)透明保護層14の表面に凹部15を形成する保護バー16を設けることができる。キャリア壁12および透明保護層14の射出成形に好ましい材料は、ポリプロピレンであり、PURELL HP371Pネイチャーが特に好ましい。好ましくは、周囲の外気から試料管1内の試料を安全に密封するために、密封フィルムまたは密封フォイル21(図示のように)が、溶着または接着により試料管1の上部開口2で側壁2の境界に適用される。この密封フィルムまたはフォイル21は、アルミニウムとポリマの一方または両方により形成することが望ましい。試料管への密封フォイル(すなわち、そのポリマラミネート)の溶着が適用されることとなる場合には、アルミニウムフォイル上のポリマラミネートが望ましい。
【0035】
図7の提示から外れるが、本発明の趣旨からは外れることなく、保護バー16および凹部15を省略して、起立するための平面を試料管1に与えることができる。図8は、第8実施形態に係る細くなった三部構造の底部、無線IC(RFID)タグが設けられたスナップ式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図を示している。RFIDタグは、ポリマ材料に埋め込まれた半導体チップおよび関連アンテナを備えるものとして良く知られている。この実施形態においては、RFIDタグが不透明部分として機能する。第7実施形態と同様、この第8実施形態におけるキャリア壁12は、透明であることが望ましい。それは、透明被覆層8がキャリア壁12と一緒に成形されるためである。キャリア壁12には、(図8に示すように)透明保護層14の表面に凹部15を形成する保護バー16を追加的に設けることができる。キャリア壁12および透明保護層8の射出成形に好ましい材料は、ポリプロピレンであり、PURELL HP371Pネイチャーが特に好ましい。第2実施形態において既に規定したように、約0.5−5質量%のレーザ感知充填材、HP756197LSを、キャリア壁12のポリプロピレンと、特に、透明被覆層8に加えることが望ましい。
【0036】
RFIDタグは、特別な情報書き込み記憶および読み出し能力を試料管1に与える。書き込みおよび読み出しは、書き込み/読み出しデバイスとRFIDタグとの間の視覚的な接触無しに行うことができ、それにより、書き込み/読み出しデバイスと多数のRFIDタグとの間の高速な情報交換が可能になる。この情報交換は、一つ一つのRFIDタグを個々にアドレス指定することにより、連続して行われる。そのような情報の記憶および交換には、個人の患者データ、実験室プロセスデータなどが含まれるものであってもよい。また、試料管1に装着された特定のRFIDタグによる情報交換は、実験室において、そして複雑な実験室システムにおいても、試料管1の追跡を提供する。試料管に関する個別情報は、患者試料の明確な標識化を保証する。また、RFIDタグは、着色されたポリマを含むことができ、色彩が試料管1を符号化するための追加的な可能性を示すものとすることができる。よって、1の色彩(例えば、赤色、緑色、黄色、青色など)は、特別のまとまりの試料に与えることができ、そのまとまりは、例えば、特徴のあるケース、試料源、実験室などに指定されるものとされる。
【0037】
図9には、第9実施形態に係る細くなった三部構造の底部、RFIDタグが設けられた成形式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図が示されている。RFIDタグが試料管1にスナップ付けされる第9実施形態から外れるが、本実施形態では、RFIDタグが完全にモールド成形されている。
【0038】
・好ましい製造方法の第1ステップでは、RFIDタグを、ポリプロピレン(PURELL HP371Pネイチャーが特に好ましい)の透明被覆層8により、バックモールドする。既に規定したように、約0.5−5質量%のレーザ感知充填材、HP756197LSを、透明被覆層8のポリプロピレンに加えることが望ましい。バックモールディングと同じステップ内で、よって同じ材料組成で、キャリア壁12を透明被覆層8に形成することが好ましい。
【0039】
・好ましい製造方法の第2ステップでは、RFIDタグおよびキャリア壁12の内部を、第1ステップで使用したものと同じポリプロピレン材料(PURELL HP371Pネイチャー)でバックモールドすることが望ましい。しかしながら、レーザ感知充填材の添加は省略することができる。
【0040】
これにより、不透明部分7を内部に埋め込んだ透明な試料管1が製造されることとなる。既述の通り、不透明部分7をRFIDタグとすることができる。代替的には、不透明部分7は、有色のポリマから形成することができ、その色彩が試料管1を符号化するための追加の可能性を示すものとすることができる。よって、1の色彩(例えば、赤色、緑色、黄色、青色など)は、特別のまとまりの試料に与えることができ、そのまとまりは、例えば、特徴のあるケース、試料源、試料管容積、実験室などに指定されるものとされる。さらに、本発明の試料管は、少なくとも側壁3の上縁またはその領域において試料管1に接着または溶着されるキャップ18またはフォイル(例えば、図5および図7を参照)で密封することができる。
【0041】
代替的な別の試料管1においては、識別部6の不透明部分7が、プラスチック、紙または金属の着色シートおよび印刷層または溶射層からなる群から選択される。この不透明部分7は、レーザ感知充填材(好ましくは、0.5−5質量%のHP755197LS)を有する、好ましくはポリプロピレン(好ましくは、PURELL HP371Pネイチャー)からなる透明被覆層8でオーバーモールドされている。
【0042】
図10は、第10実施形態に係る平面的な三部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図を示している。二部構造の底部が示されている第2実施形態から外れるが、この第10実施形態は、三部構造の底部を特徴としている。この三部構造の底部は、試料管1の底部4、不透明部分7および透明層8を備えている。この試料管1の好ましい製造方式は、以下のステップを含む。
【0043】
・第1ステップでは、側壁3、底部4およびキャリア壁12を、透明なポリプロピレン(PURELL HP371Pネイチャーが特に好ましい)から成形する。
【0044】
・第2ステップでは、プラスチック、紙または金属の着色シートおよび印刷層または溶射層からなる群から選択される不透明部分7を、底部4の平面的な下側部分5に適用する。
【0045】
・第3ステップでは、不透明部分7を、ポリプロピレン(PURELL HP371Pネイチャーが特に好ましい)の透明被覆層8でオーバーモールドする。透明なポリプロピレンは、約0.5−5質量%のレーザ感知充填材、HP756197LSを含むことが望ましい。
【0046】
これにより、不透明部分7を内部に埋め込んだ透明な試料管1が製造されることとなる。既述の通り、不透明部分7をRFIDタグとすることができる。代替的には、不透明部分7は、有色のポリマから形成することができ、その色彩が試料管1を符号化するための追加の可能性を示すものとすることができる。よって、1の色彩(例えば、赤色、緑色、黄色、青色など)は、特別のまとまりの試料に与えることができ、そのまとまりは、例えば、特徴のあるケース、試料源、試料管容積、実験室などに指定されるものとされる。
【0047】
第10実施形態は、底部4の周縁に配置されて透明被覆層8の下面より突出する保護バー16を含むことが望ましい。これら保護バーは、閉リング構造体として、あるいは窪みにより隔てられた複数のバー(図示省略)として達成することができる。何れにしても、1または複数のそれら保護バー16は、透明被覆層8に、その表面のキズに対する保護を与える。透明被覆層8の表面の代替的な保護手段として、保護バー16間の凹部15に、ポリプロピレン、好ましくは、PURELL HP371Pネイチャーの透明保護層14(図10の破線を参照)を(例えば、オーバーモールドにより)充填することができる。また、本発明の試料管は、少なくとも側壁3の上縁またはその領域において試料管1に接着または溶着されるキャップ18またはメタルシート、好ましくはアルミニウムのメタルシートで、密封することができる。
【0048】
図11には、第11実施形態に係る細くなった四部構造の底部、RFIDタグが設けられたスナップ式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図が示されている。この実施形態は、第10実施形態と類似するものであるが、細くなった底部と、スナップ式のキャリア壁12に配置された識別部6とを有する。実際に、不透明部分7は、着色されたRFIDタグ、有色ポリマまたは着色された金属板とすることができる。
【0049】
それら色彩は、既述したように、RFIDタグと同様に、試料管1を符号化するための追加の可能性を提示する。好ましくは、不透明部分7は、透明被覆層8でオーバーモールドされるとともに、キャリア壁12が成形されるバックモールド部分19によりバックモールドされる。
【0050】
ここでは(その他のすべての実施形態と同様に)、不透明部分7および透明被覆層8のみが、透明被覆層8に焼き付けられたコード情報の相違の決め手となる。このため、識別部6を被覆しない試料管1のその他のすべての部分は、任意のポリマ材料から形成することができる。例えば、側壁3、底部4およびキャリア壁12を有するバックモールド部分19は、同じポリプロピレン材料で形成することができる。そのポリプロピレンは、PURELL HP371Pネイチャーが望ましい。代替的には、キャリア壁12を有するバックモールド部分19は、任意の所望着色剤を有するPURELL HP371Pのような異なる材料から形成することができ、それにより、試料管1に単純な色識別を与えることができる。別の代替的な変形例では、側壁3および底部4も、任意の所望着色剤を有するPURELL HP371Pのような任意の所望材料から形成することができ、それにより、試料管1に複合色識別を与えることができる。
【0051】
図12は、第12実施形態に係る細くなった五部構造の底部、RFIDタグが設けられたスナップ式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図を示している。この実施形態は、第11実施形態と類似しているが、識別部6が、オーバーモールド部分20として、透明保護層によりオーバーモールドされている。また、第11実施形態と同様に、不透明部分7は、着色されたRFIDタグ、有色ポリマまたは着色された金属板とすることができる。それら色彩は、既述したように、RFIDタグと同様に、試料管1を符号化するための追加の可能性を提示する。好ましくは、不透明部分7は、透明被覆層8でオーバーモールドされるとともに、キャリア壁12が成形されるバックモールド部分19によりバックモールドされる。バックモールド部分19およびオーバーモールド部分20については、キャリア壁12と同様に、同じ透明材料(好ましくは、PURELL HP371Pネイチャー)が使用される。これにより、識別部6に透明な外皮が与えられる。前の実施形態のように、試料管1の側壁3および底部4は、着色剤の有無に関わらず、ポリプロピレンにより形成することができる。本発明に係る試料管1のすべての部分において、ポリマ材料としてポリプロピレンを使用することが望ましいことを特に指摘しておきたい。この選択は、大量に製造されるそれら使い捨て試料管の単一のポリマ材料の再利用に、特に有用である。しかしながら、試料管1のある部分に特別な品質または属性が必要とされる場合には、その部分を、その他の任意の材料、あるいは金属によっても形成することができる。
【0052】
任意の特定の実施形態に関わりなく、本発明に係る試料管1は、ネジ式(例えば、図10を参照)、ネジ込み式(例えば、図2を参照)、押し付け式(図3を参照)または押し込み式(例えば、図9を参照)のキャップ18を備えて構成することが好ましい。特に、そのような微細管の24、96、384または1536本用のラックの区画に嵌入する微細管として、試料管1が実現されることが好ましい。そのようなラックは、ANSI/SBS規格による標準マイクロプレートの寸法を有することが好ましい。最も好ましい管の全体形状は円筒状であるが、円筒状からの僅かなズレは許容することができる。代替的には、周囲の外気から試料管1内の試料を安全に密封するために、密封フィルムまたは密封フォイル21(図5および図7に示すように)を、好ましくは溶着または接着により、試料管1の上部開口2で側壁2の境界に適用される。この密封フィルムまたはフォイル21は、アルミニウムとポリマの一方または両方により形成することが望ましい。試料管へのアルミニウム密封フォイル(すなわち、そのポリマラミネート)の溶着が適用されることとなる場合には、アルミニウムフォイル上のポリマラミネートが望ましい。
【0053】
示される図面から外れるが、本発明に係る試料管1は、底部4が側壁3に屈曲した形で一体となるように、内部を凹状に形成することもできる。
【0054】
提示した一連の実施形態から分かるように、本発明に係る試料管の材料の組合せは、側壁3および底部4が、照射領域9、すなわち識別コードに、対照色(図1および図2を参照)を与える好ましい1材料(例えば、レーザ感知充填材、HP755197LSを有するPURELL HP371Pネイチャー)からなるように選択することができる。例えば、PURELL HP371Pのような別の材料が選ばれる場合には、照射領域9、すなわち識別コードに、対照色を与えるために、追加の不透明部分7が必要とされる(図3乃至図12を参照)。
【0055】
キャップ18のネジ込みまたはネジ付けの操作中または取り外し中に試料管1がその軸まわりに回転するのを防止するには、望ましくは管側壁3から延出するフランジまたはフィン(図示省略)を使用することが有利であろう。そのようなフィンまたはフランジは、試料管1を格納するためのラックの区画内部の溝内に係合させることが望ましい。それら溝の形状および分布は、フランジまたはフィンの形状および分布に適合させることが望ましい。また、押し込まれたキャップまたは押し付けられたキャップを除去する際にラック内の試料管1を保持するために、ラックの区画内の保持手段を設けることも好ましい。そのような保持手段(例えば、バネ、ラッチまたはフック)は、試料管1の上または中の各窪み(図示省略)と係合させることが望ましい。また、そのような保持手段は、管がラックの区画から気付かずに落下するのを防止する。
【0056】
本発明者等は、本発明に係る試料管1の広い範囲の様々な実施形態を提供した。同じ符号は、明細書の各実施形態において具体的に指定されていない場合であっても、異なる実施形態の同じ特徴または少なくとも類似の特徴を示している。なお、それら実施形態の1またはそれ以上に関して開示または説明した特徴の如何なる組合せも、本発明の範囲に属することに留意されたい。したがって、添付図面に開示された各管または明細書に記載された各管は、試料管1の底部に与えられる識別子の種類に関係なく、例えば、ポリアミド中間体障壁層17を設けることも、省略することも可能であり、あるいは閉鎖キャップ18または密封フォイル21を設けることも、省略することも可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 試料管
2 上部開口
3 側壁
4 底部
5 底部の平面的な下側部分
6 識別部
7 不透明部分
8 透明被覆層
9 照射領域
10 二組成プラスチックシート
11 二組成プラスチックシートの不透明部分の背側
12 キャリア壁
13 取付部
14 透明保護層
15 凹部
16 保護バー
17 ポリアミド中間体障壁層
18 ネジ式、または押し付け式、ネジ込み式または押し込み式のキャップ
19 バックモールド部分
20 オーバーモールド部分
21 密封フィルム、密封フォイル
【技術分野】
【0001】
独立請求項1のプリアンブルによれば、本発明は、底部に一体化された側壁により囲まれた上部開口を有する試料管に関するものである。この試料管の底部は、上部開口の遠位に配置された実質的に平らな下側部分を有する。試料管は、その底部側に配置された識別部を含む。
【背景技術】
【0002】
液体試料の貯蔵および移送用の試料管は、例えば、生化学および生物学の研究または臨床診断にあたり液体処理技術を適用する実験室において良く知られている。比較的大きな試料管は、例えば、血液またはその他の体液を数ミリリットルまで収容することができる。一方、比較的小さな試料管は、液体または固体試料を数マイクロリットルだけ収容することができる微細管として知られている。従来より、ラックに格納することができる、標準マイクロプレート(ANSI/SBS規格1−2004を参照されたい)のサイズの微細管が知られている。この形式のラックとして、96本の微細管(例えば、EP1361441A1)や384本の微細管(例えば、EP0904841A2)で知られたラックがある。
【0003】
特に、複雑な実験環境において、そのような試料管の自動移送、貯蔵、検索および追跡のためには、試料管の個体識別が必要とされる。各試料の明確な識別が不可欠である臨床診断実験室の場合は、特にそうである。
【0004】
EP1210979B1のように、流体密封の底部キャップの内部、または試料管の二重側壁間の間隙内にある印刷識別タグを含む試料管が知られている。
【0005】
特開2004−053566号のように、底面に浅い円筒凹部を有する筒状ミニチューブが知られている。凹部は、ミニチューブに収容した内容物についての情報を有する2次元バーコードを天井面に有する。凹部は、水密状態でバーコードが設けられた記録面を保護するために、合成樹脂等の透明保護板を有する。
【0006】
特開2006−232292号のように、電子タグおよび無線IC(RFID)システムを有する容器が知られている。電子RFIDタグは、容器の底部内面に略水平になるように固定することが望ましい。容器内の流体からRFIDタグを保護するために、窪みを有する保護部材がタグの上に密封状態で配置されている。特開2006−168757号のように別の構成も知られており、ここでは、RFIDタグが、ガラス容器の底部の下側部分の凹部内に配置されて、凹部を覆うガラス板により密封状態で覆われている。
【0007】
US6,372,293B1のように別の方法も知られており、ここでは、囲まれた側壁および一体化された底部を含む一体構造の上部開口を有する管状容器が開示されている。底部の平面的な外面においては、底部表面上に蒸着された多層不透明塗膜内で機械可読データが符号化されている。機械可読コードは、第2層の部分を取り除くことにより多層塗膜内に形成されている。
【0008】
また、US6,270,728B1のようにさらに別の方法も知られており、ここでは、表面にドットコードを有する試験管が開示されている。ドットコードは、レーザにより試験管の底部表面に焼き付けられるもので、光学式読取り機構により読取り可能となっている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、底部側に配置された識別部を有する代替的な試料管を提案することである。
【0010】
この目的は、底部に一体化された側壁により囲まれた上部開口を有する試料管が提案されている独立請求項1の特徴部によって達成されるものである。試料管の底部は、上部開口の遠位に配置された実質的に平らな下側部分(downside)を有し、試料管が、その底部側に配置された識別部を含む。本発明に係る代替的な試料管は、識別部が、第1色を有する不透明部分と、透明被覆層とからなり、透明被覆層が、レーザマーキングビームによる照射によって、透明被覆層の照射領域を、第1色と対照をなす第2色の不透明領域に変換するレーザ感知充填材(filler)を含むことを特徴とする。
【0011】
追加的な好ましい実施形態および独創的な特徴は、従属請求項から派生する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明に係る試料管を、添付の模式図を用いてより詳細に説明する。それら図面は、本発明の範囲を制限することなく、好ましい例示的な実施形態を示すものである。
【図1】図1は、第1実施形態に係る平面的な二部構造の底部および一体化された識別子(identification)を有する試料管の縦断面図である。
【図2】図2は、第2実施形態に係る凹型の二部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図3】図3は、第3実施形態に係る平面的な三部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図4】図4は、第4実施形態に係る細くなった三部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図5】図5は、第5実施形態に係る細くなった三部構造の底部、一体化されたキャリア壁(carrier walls)および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図6】図6は、第6実施形態に係る細くなった三部構造の底部、スナップ式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図7】図7は、第7実施形態に係る細くなった四部構造の底部、スナップ式のキャリア壁および保護層が設けられた識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図8】図8は、第8実施形態に係る細くなった三部構造の底部、RFIDタグが設けられたスナップ式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図9】図9は、第9実施形態に係る細くなった三部構造の底部、RFIDタグが設けられた成形式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図10】図10は、第10実施形態に係る平面的な三部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図11】図11は、第11実施形態に係る細くなった四部構造の底部、RFIDタグが設けられたスナップ式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図である。
【図12】図12は、第12実施形態に係る細くなった五部構造の底部、RFIDタグが設けられたスナップ式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の第1実施形態に係る平面的な二部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図を示している。試料管1は、側壁3に囲まれた上部開口2を有する。それら側壁は、円筒状の管を形成して、底部4と一体となっていることが望ましい。この図1から離れて、試料管1は、楕円または多角形断面(図示省略)を有するものであってもよい。側壁3の厚さは、管の予定容積に大きく依存し、この管の予定容積は、典型的には40μlから900μlまでの範囲となる。典型的な壁厚は、0.3mmから2mmまでの範囲であり、望ましくは、0.5mmから1mmまでの範囲である。試料管1の底部4は、上部開口2の遠位に配置された実質的に平らな下側部分5を有する。典型的な底厚は、0.2mmから1.2mmまでの範囲であり、望ましくは、0.3mmから1mmまでの範囲である。
【0014】
また、試料管1は、当該試料管1の底部側に位置する識別部6を含む。本発明によれば、識別部6は、第1色の不透明部分7と、透明被覆層8とから構成されている。透明被覆層8は、レーザマーキングビームによる照射によって、透明被覆層8の照射領域9を、第1色と対照をなす第2色の不透明領域に変換するレーザ感知充填材を含む。典型的な透明被覆層の厚さは、0.2mmから1.0mmまでの範囲であり、望ましくは、0.3mmから0.5mmまでの範囲である。
【0015】
本発明の概念において、“不透明な”という表現は、バーコードリーダにより発せられるレーザ走査光の相当量、すなわち、少なくとも60%、望ましくは75%より多く、特に望ましくは90%より多くが、物質を通過することを阻止する物質の能力のことを表している。本発明の概念において、“透明な”という表現は、バーコードリーダにより発せられるレーザ走査光の相当量、すなわち、少なくとも60%、望ましくは75%より多く、特に望ましくは90%より多くを通過させる物質の能力のことを表している。本発明の概念において、“充填材”という表現は、後で規定するように、望ましくは試料管1の各部分のプラスチック材料内に均等に分散される添加材のことを表している。
【0016】
本発明に係る試料管1においては、照射領域9が、直線的な1次元バーコード、円形の1次元バーコードおよび2次元バーコードを含む群から選ばれる識別マーキングの一部であることが、特に望ましい。
【0017】
図1は、識別部6の不透明部分7が試料管1の側壁3および底部4と同じ材料である試料管1を示している。この不透明部分7は、白色または乳白色の第1色を呈することが望ましい。この側壁2および底部4を有する試料管は、ポリプロピレン(望ましくは、オランダ王国ロッテルダム所在のLyondellBasell Industries社製のポリプロピレン単独重合体、PURELL HP371P)の一体射出成形体として仕上げることが望ましく、また、射出成形の前に、1−10質量%の白色着色剤、例えば、TiO2をポリプロピレンに添加することにより、この試料管1を着色することが望ましい。
【0018】
透明被覆層8として好ましい材料も、ポリプロピレンであり、特に、材料PURELL HP371Pネイチャー(そのままのもの)が特に好ましい。レーザ感知充填材としては、約0.5−5質量%のHP756197LS(オーストリアのグンポルツキルヒェン所在のGABRIEL−CHEMIE社製のMAXITHEN(登録商標))をポリプロピレンに加えることが望ましい。このレーザ感知充填材は、レーザマーキングビームによる照射によって、透明被覆層8の照射領域9を、第1色と非常に対照をなし且つ従来のバーコードリーダで容易に認識できる濃灰色または黒色の不透明領域に変換する。その他のレーザ感知充填材として、良好な対照をなす照射領域9を提供するが濃灰色、濃赤色、紺青色、暗緑色に着色された照射領域9をもたらすようなレーザ感知充填材(例えば、ドイツのダルムシュタット所在のメルク社から全7色からなるIriodin(登録商標)またはLazerflair(登録商標))を選択することができる。透明被覆層8は、試料管1の底部4の上にバックモールドすることができ、あるいは試料管1は、透明被覆層8の上にバックモールドすることもできる。第1実施形態に係る平面的な底部を有する試料管1の大量生産のさらなる可能性として、多構成要素射出成形(multi-component injection molding)も適用することができ、その場合、一の構成要素は、側壁3および底部4を有する試料管1であり、別の構成要素は、透明被覆層8である。
【0019】
図2は、本発明の第2実施形態に係る凹型の二部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図を示している。各材料および寸法は、図1に関して規定されるものと同じであることが望ましい。しかしながら、第2実施形態は、底部4の周縁に配置されて透明被覆層8の下面より突出する保護バー16を含む。これら保護バーは、閉リング構造体として、あるいは窪みにより隔てられた複数のバー(図示省略)として達成することができる。何れにしても、1または複数のそれら保護バーは、透明被覆層8に、その表面のキズに対する保護を与える。透明被覆層8の表面の代替的な保護手段として、保護バー16間の凹部15には、ポリプロピレン、好ましくは、PURELL HP371Pネイチャーの透明保護層14(図2の破線を参照)を(例えば、オーバーモールドにより)充填することができる。また、本発明の試料管は、ネジ式または押し付け式、ネジ込み式(図示)または押し込み式のキャップ18で密封することができる。
【0020】
この第2実施形態では、2つの構成要素からなる底部構造が示されている。この底部構造は、底部4(不透明部分7として)および透明層8を含む。このため、識別部6は、試料管1の底部4および透明層8から形成される。
【0021】
図3は、本発明の第3実施形態に係る平面的な三部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図を示している。この試料管1は、識別部6の不透明部分7が試料管1の側壁3および底部4と異なる材質である点が特徴となっている。その結果、既に説明した始めの2つの実施形態から外れて、側壁3および底部4の好ましい材料が、PURELL HP371Pネイチャーのような、透明なポリマ材料となる。側壁2および底部4を有するこの試料管1は、ポリプロピレンの一体射出成形体として仕上げることが望ましく、その各寸法は、図1に関して規定されるものと同じであることが望ましい。
【0022】
前の実施形態と同様に、この試料管1の不透明部分7は、明るい第1色を呈する。しかしながら、第1色は、白色、乳白色、明灰色、鮮赤色、鮮青色、鮮緑色、鮮黄色および鮮橙色を含む群から選ばれ、一方、第2色は、灰色、赤色、青色、緑色および黒色を含む群から選ばれた暗色とされる。不透明部分7はポリプロピレン(好ましくは、PURELL HP371P)であることが望ましく、また、1−10質量%の白色着色剤、例えば、TiO2をポリプロピレンに添加することにより、この不透明部分7を着色することが望ましい。透明被覆層8の好ましい材料もポリプロピレンであり、材料PURELL HP371Pネイチャーは、特に好ましい。この実施形態におけるレーザ感知充填材としても、約0.5−5質量%のHP756197LS(オーストリアのグンポルツキルヒェン所在のGABRIEL−CHEMIE社製のMAXITHEN(登録商標))をポリプロピレンに加えることが望ましい。試料管1の不透明部分7が濃灰色または黒色(それは、カーボンブラック充填材により実現することができる)であってもよく、また、透明被覆層8が、マーキングレーザで透明被覆層8を照射したときに輝点または白点に変化する特別なレーザ感知充填材(例えば、ドイツのダルムシュタット所在のメルク社製の白色のLazerflair(登録商標)810)を含むようにしてもよい。
【0023】
実際に、識別部6の不透明部分7および充填材を有する透明被覆層8は一緒になって二組成プラスチックシート10を構成するが、これは、多構成要素射出成形、積層またはバックモールディングにより形成することができる。この二組成プラスチックシート10は、試料管1の底部4に取り付ける(例えば、接着または溶着する)ことが望ましい。代替的な生産プロセスでは、試料管1の側壁2および底部4が二組成プラスチックシート10の不透明部分7の背側11にバックモールド(好ましくは、PURELL HP371Pネイチャー)される。
【0024】
第1乃至第3実施形態の何れかに係る試料管1の既に説明した特徴に加えて、試料管1の側壁3および底部4は、試料管1に流体バリアの向上をもたらすプラスチック成分を含む様々なプラスチック成分を有する。実際に、側壁3および底部4は、二層のポリプロピレン(PURELL HP371Pネイチャー、または1−10質量%の白色着色剤、例えば、TiO2で着色されたPURELL HP371P)と、その間にポリアミド中間体障壁層17とを備える。流体障壁層または中間流体障壁層17の目的は、水分子の管1内外への拡散、気体分子(例えば、O2、N2、CO2またはO3)の管1内外への拡散を遮断するか、あるいは少なくとも大幅に低減することである。すなわち、本明細書では、流体は、液体、気体または液体/気体の混合物として捉えられる。特に、長期間の貯蔵および輸送中に、O2またはO3のような気体は、試料管1または微細管の壁を通り抜けることができ、管内に格納された化学的または生物学的試料に破壊的影響を与える可能性がある。他方、水分の喪失も、試料を乾燥させてダメージを与える可能性がある。このため、試料管1内の拡散バリアを向上させること、並びに、それら管をきつくキャッピングまたはシーリングすることが、目標とされる。
【0025】
ポリアミド中間体障壁層17は、結晶性ポリアミド樹脂で形成することが好ましい。特に好ましいのは、結晶性ポリアミド樹脂のうちの1つであるナイロン−MXD6からなるポリアミド中間体障壁層17であり、これは、アジピン酸を用いて、三菱ガス化学株式会社(日本、東京)のメタキシリレンジアミン(MXDA)の重縮合を介して生産されるものである。このポリアミド中間体障壁層17の望ましい最大厚さは、40μmである。
【0026】
好ましい別のポリアミド中間体障壁層17は、非晶質ナイロン共重合体により形成される。特に好ましいのは、ナイロン6I/6Tから形成されるポリアミド中間体障壁層17であり、これは、EMS−GRIVORY社(スイス、ドマート/エムス)により製造されるポリアミド共重合体GRIVORY(登録商標)G21として知られている。このポリアミド中間体障壁層17の好ましい厚さは100−300μmである。
【0027】
言うまでもなく、本発明の試料管1はすべて、そのようなポリアミド中間体障壁層17を備えることができるが、それは、試料管側壁3および底部4の共押出により製造することが望ましい。
【0028】
図4は、第4実施形態に係る細くなった三部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図を示している。第3実施形態に関して述べたすべてのことが、この実施形態にも適用される。しかしながら、細くなった管の底部は、液体操作装置で液体を吸引した後に試料管1の内部に残留する液体の死容積が少なくなるという利点を与える。
【0029】
図5は、第5実施形態に係る細くなった三部構造の底部、一体化されたキャリア壁および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図である。第3実施形態に関して述べたすべてのことが、この実施形態にも適用される。第4実施形態と同様、本実施形態においても、細くなった管の底部は、液体操作装置で液体を吸引した後に試料管1の内部に残留する液体の死容積が少なくなるという利点を与える。キャリア壁12は、識別部6の不透明部分7およびレーザ感知充填材を有する透明被覆層8からなる二組成プラスチックシート10に、透明被覆層8の下面のキズに対するガードを与える。また、キャリア壁12は、試料管1の大きな設置面積を規定し、それにより試料管の安全に直立する能力を最大化する。
【0030】
また、この本発明に係る試料管1の第5実施形態は、(第3実施形態に関連して述べたように)試料管1に流体バリアの向上をもたらすプラスチック成分を含む様々なプラスチック成分を有する。また、この実施形態においても、識別部6の不透明部分7およびレーザ感知充填材を有する透明被覆層8は一緒になって二組成プラスチックシート10を構成するが、これは、多構成要素射出成形、積層またはバックモールディングにより形成することができる。この二組成プラスチックシート10は、試料管1の底部4に取り付ける(例えば、接着または溶着する)ことが望ましい。代替的な生産プロセスでは、試料管1の側壁2および底部4が二組成プラスチックシート10の不透明部分7の背側11にバックモールド(好ましくは、PURELL HP371Pネイチャー)される。好ましくは、周囲の外気から試料管1内の試料を安全に密封するために、密封フィルムまたは密封フォイル21(図示のように)が、溶着または接着により試料管1の上部開口2で側壁2の境界に適用される。この密封フィルムまたはフォイル21は、アルミニウムとポリマの一方または両方により形成することが望ましい。試料管への密封フォイル(すなわち、そのポリマラミネート)の溶着が適用されることとなる場合には、アルミニウムフォイル上のポリマラミネートが望ましい。
【0031】
図6は、第6実施形態に係る細くなった三部構造の底部、スナップ式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図を示している。ここでは、二組成プラスチックシート10は、その外周の周りにおいて、好ましくはポリプロピレンからなるキャリア壁12で、バックモールドおよび/または射出成形されている。特に、PURELL HP371Pネイチャーのポリプロピレンからキャリア壁12を形成することが好ましい。キャリア壁12は、試料管1の側壁2および/または底部4に形成されるサイズ設定された取付部13にスナップ留めされるように構成される。それら取付部13は、1つの単一リング状の窪みを含むことができ、キャリア壁12の相補的なリング状隆起によって把持される能力が、逃げ構造(relief structure)を介して向上されることが望ましい。この試料管1の側壁2および/または底部4の逃げ構造は、スナップ式のキャリア壁12のリング状窪み内に突出する。第2実施形態と比較すると、保護バー16が透明被覆層8の下面を超えて突出して、凹部15を形成し、透明被覆層8にキズに対する保護を与える。不透明部分7の後側11と底部の平面的な下側部分との間の間隙が最小化されるか、かつ/または、キャリア壁12とより重要な識別部6との取り外し不能な連結が望まれる場合には、上記間隙が接着剤で充填されることが望ましい。
【0032】
これまでに説明した実施形態とは異なり、第6実施形態に係る特定の試料管1のための識別子は、試料管の大量生産から独立して生産することができ、後で、空のまたは既に満たされている特に関心のある試料管1にスナップ式で取り付けることができる。これまでに説明した5つの実施形態の識別部とは異なり、単純な一義的なコードまたはナンバリングで十分でありかつ好ましい場合には、第6実施形態に係る試料管1の識別部6は、例えば、実験室の識別、ブランド設定またはロゴのような追加情報を保持することができる。また、キャリア壁は、有色のポリマから形成することができ、その色彩が試料管1を符号化するための追加の可能性を示すものとすることができる。よって、1の色彩(例えば、赤色、緑色、黄色、青色など)は、特別のまとまりの試料に与えることができ、そのまとまりは、例えば、特徴のあるケース、試料源、実験室などに指定されるものとされる。
【0033】
図6の提示から外れるが、本発明の趣旨からは外れることなく、試料管1の側壁2および/または底部4は、一連の好ましくは交互でリング状の窪みおよび隆起の形態を持つ取付部13を備えることができる。このため、キャリア壁12は、代替的には、一連の相補的な隆起および窪み(図示省略)を備えることができる。
【0034】
図7には、第7実施形態に係る細くなった四部構造の底部、スナップ式のキャリア壁および保護層が設けられた識別子を有する試料管の縦断面図が示されている。第6実施形態とは異なり、キャリア壁12が、透明か、不透明か、または着色されているかにかかわらず、任意のポリマ材料から形成することができる場合には、第7実施形態のキャリア壁12は透明であることが望ましい。それは、透明保護層14がキャリア壁12と一緒に成形されるためである。このため、識別部6の不透明部分7およびレーザ感知充填材を有する透明被覆層8により構成される二組成プラスチックシート10は、透明被覆層8の下面に対する擦り傷からガードまたは保護される。さらに、キャリア壁12には、(図7に示すように)透明保護層14の表面に凹部15を形成する保護バー16を設けることができる。キャリア壁12および透明保護層14の射出成形に好ましい材料は、ポリプロピレンであり、PURELL HP371Pネイチャーが特に好ましい。好ましくは、周囲の外気から試料管1内の試料を安全に密封するために、密封フィルムまたは密封フォイル21(図示のように)が、溶着または接着により試料管1の上部開口2で側壁2の境界に適用される。この密封フィルムまたはフォイル21は、アルミニウムとポリマの一方または両方により形成することが望ましい。試料管への密封フォイル(すなわち、そのポリマラミネート)の溶着が適用されることとなる場合には、アルミニウムフォイル上のポリマラミネートが望ましい。
【0035】
図7の提示から外れるが、本発明の趣旨からは外れることなく、保護バー16および凹部15を省略して、起立するための平面を試料管1に与えることができる。図8は、第8実施形態に係る細くなった三部構造の底部、無線IC(RFID)タグが設けられたスナップ式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図を示している。RFIDタグは、ポリマ材料に埋め込まれた半導体チップおよび関連アンテナを備えるものとして良く知られている。この実施形態においては、RFIDタグが不透明部分として機能する。第7実施形態と同様、この第8実施形態におけるキャリア壁12は、透明であることが望ましい。それは、透明被覆層8がキャリア壁12と一緒に成形されるためである。キャリア壁12には、(図8に示すように)透明保護層14の表面に凹部15を形成する保護バー16を追加的に設けることができる。キャリア壁12および透明保護層8の射出成形に好ましい材料は、ポリプロピレンであり、PURELL HP371Pネイチャーが特に好ましい。第2実施形態において既に規定したように、約0.5−5質量%のレーザ感知充填材、HP756197LSを、キャリア壁12のポリプロピレンと、特に、透明被覆層8に加えることが望ましい。
【0036】
RFIDタグは、特別な情報書き込み記憶および読み出し能力を試料管1に与える。書き込みおよび読み出しは、書き込み/読み出しデバイスとRFIDタグとの間の視覚的な接触無しに行うことができ、それにより、書き込み/読み出しデバイスと多数のRFIDタグとの間の高速な情報交換が可能になる。この情報交換は、一つ一つのRFIDタグを個々にアドレス指定することにより、連続して行われる。そのような情報の記憶および交換には、個人の患者データ、実験室プロセスデータなどが含まれるものであってもよい。また、試料管1に装着された特定のRFIDタグによる情報交換は、実験室において、そして複雑な実験室システムにおいても、試料管1の追跡を提供する。試料管に関する個別情報は、患者試料の明確な標識化を保証する。また、RFIDタグは、着色されたポリマを含むことができ、色彩が試料管1を符号化するための追加的な可能性を示すものとすることができる。よって、1の色彩(例えば、赤色、緑色、黄色、青色など)は、特別のまとまりの試料に与えることができ、そのまとまりは、例えば、特徴のあるケース、試料源、実験室などに指定されるものとされる。
【0037】
図9には、第9実施形態に係る細くなった三部構造の底部、RFIDタグが設けられた成形式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図が示されている。RFIDタグが試料管1にスナップ付けされる第9実施形態から外れるが、本実施形態では、RFIDタグが完全にモールド成形されている。
【0038】
・好ましい製造方法の第1ステップでは、RFIDタグを、ポリプロピレン(PURELL HP371Pネイチャーが特に好ましい)の透明被覆層8により、バックモールドする。既に規定したように、約0.5−5質量%のレーザ感知充填材、HP756197LSを、透明被覆層8のポリプロピレンに加えることが望ましい。バックモールディングと同じステップ内で、よって同じ材料組成で、キャリア壁12を透明被覆層8に形成することが好ましい。
【0039】
・好ましい製造方法の第2ステップでは、RFIDタグおよびキャリア壁12の内部を、第1ステップで使用したものと同じポリプロピレン材料(PURELL HP371Pネイチャー)でバックモールドすることが望ましい。しかしながら、レーザ感知充填材の添加は省略することができる。
【0040】
これにより、不透明部分7を内部に埋め込んだ透明な試料管1が製造されることとなる。既述の通り、不透明部分7をRFIDタグとすることができる。代替的には、不透明部分7は、有色のポリマから形成することができ、その色彩が試料管1を符号化するための追加の可能性を示すものとすることができる。よって、1の色彩(例えば、赤色、緑色、黄色、青色など)は、特別のまとまりの試料に与えることができ、そのまとまりは、例えば、特徴のあるケース、試料源、試料管容積、実験室などに指定されるものとされる。さらに、本発明の試料管は、少なくとも側壁3の上縁またはその領域において試料管1に接着または溶着されるキャップ18またはフォイル(例えば、図5および図7を参照)で密封することができる。
【0041】
代替的な別の試料管1においては、識別部6の不透明部分7が、プラスチック、紙または金属の着色シートおよび印刷層または溶射層からなる群から選択される。この不透明部分7は、レーザ感知充填材(好ましくは、0.5−5質量%のHP755197LS)を有する、好ましくはポリプロピレン(好ましくは、PURELL HP371Pネイチャー)からなる透明被覆層8でオーバーモールドされている。
【0042】
図10は、第10実施形態に係る平面的な三部構造の底部および一体化された識別子を有する試料管の縦断面図を示している。二部構造の底部が示されている第2実施形態から外れるが、この第10実施形態は、三部構造の底部を特徴としている。この三部構造の底部は、試料管1の底部4、不透明部分7および透明層8を備えている。この試料管1の好ましい製造方式は、以下のステップを含む。
【0043】
・第1ステップでは、側壁3、底部4およびキャリア壁12を、透明なポリプロピレン(PURELL HP371Pネイチャーが特に好ましい)から成形する。
【0044】
・第2ステップでは、プラスチック、紙または金属の着色シートおよび印刷層または溶射層からなる群から選択される不透明部分7を、底部4の平面的な下側部分5に適用する。
【0045】
・第3ステップでは、不透明部分7を、ポリプロピレン(PURELL HP371Pネイチャーが特に好ましい)の透明被覆層8でオーバーモールドする。透明なポリプロピレンは、約0.5−5質量%のレーザ感知充填材、HP756197LSを含むことが望ましい。
【0046】
これにより、不透明部分7を内部に埋め込んだ透明な試料管1が製造されることとなる。既述の通り、不透明部分7をRFIDタグとすることができる。代替的には、不透明部分7は、有色のポリマから形成することができ、その色彩が試料管1を符号化するための追加の可能性を示すものとすることができる。よって、1の色彩(例えば、赤色、緑色、黄色、青色など)は、特別のまとまりの試料に与えることができ、そのまとまりは、例えば、特徴のあるケース、試料源、試料管容積、実験室などに指定されるものとされる。
【0047】
第10実施形態は、底部4の周縁に配置されて透明被覆層8の下面より突出する保護バー16を含むことが望ましい。これら保護バーは、閉リング構造体として、あるいは窪みにより隔てられた複数のバー(図示省略)として達成することができる。何れにしても、1または複数のそれら保護バー16は、透明被覆層8に、その表面のキズに対する保護を与える。透明被覆層8の表面の代替的な保護手段として、保護バー16間の凹部15に、ポリプロピレン、好ましくは、PURELL HP371Pネイチャーの透明保護層14(図10の破線を参照)を(例えば、オーバーモールドにより)充填することができる。また、本発明の試料管は、少なくとも側壁3の上縁またはその領域において試料管1に接着または溶着されるキャップ18またはメタルシート、好ましくはアルミニウムのメタルシートで、密封することができる。
【0048】
図11には、第11実施形態に係る細くなった四部構造の底部、RFIDタグが設けられたスナップ式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図が示されている。この実施形態は、第10実施形態と類似するものであるが、細くなった底部と、スナップ式のキャリア壁12に配置された識別部6とを有する。実際に、不透明部分7は、着色されたRFIDタグ、有色ポリマまたは着色された金属板とすることができる。
【0049】
それら色彩は、既述したように、RFIDタグと同様に、試料管1を符号化するための追加の可能性を提示する。好ましくは、不透明部分7は、透明被覆層8でオーバーモールドされるとともに、キャリア壁12が成形されるバックモールド部分19によりバックモールドされる。
【0050】
ここでは(その他のすべての実施形態と同様に)、不透明部分7および透明被覆層8のみが、透明被覆層8に焼き付けられたコード情報の相違の決め手となる。このため、識別部6を被覆しない試料管1のその他のすべての部分は、任意のポリマ材料から形成することができる。例えば、側壁3、底部4およびキャリア壁12を有するバックモールド部分19は、同じポリプロピレン材料で形成することができる。そのポリプロピレンは、PURELL HP371Pネイチャーが望ましい。代替的には、キャリア壁12を有するバックモールド部分19は、任意の所望着色剤を有するPURELL HP371Pのような異なる材料から形成することができ、それにより、試料管1に単純な色識別を与えることができる。別の代替的な変形例では、側壁3および底部4も、任意の所望着色剤を有するPURELL HP371Pのような任意の所望材料から形成することができ、それにより、試料管1に複合色識別を与えることができる。
【0051】
図12は、第12実施形態に係る細くなった五部構造の底部、RFIDタグが設けられたスナップ式のキャリア壁および識別子を有する試料管の縦断面図を示している。この実施形態は、第11実施形態と類似しているが、識別部6が、オーバーモールド部分20として、透明保護層によりオーバーモールドされている。また、第11実施形態と同様に、不透明部分7は、着色されたRFIDタグ、有色ポリマまたは着色された金属板とすることができる。それら色彩は、既述したように、RFIDタグと同様に、試料管1を符号化するための追加の可能性を提示する。好ましくは、不透明部分7は、透明被覆層8でオーバーモールドされるとともに、キャリア壁12が成形されるバックモールド部分19によりバックモールドされる。バックモールド部分19およびオーバーモールド部分20については、キャリア壁12と同様に、同じ透明材料(好ましくは、PURELL HP371Pネイチャー)が使用される。これにより、識別部6に透明な外皮が与えられる。前の実施形態のように、試料管1の側壁3および底部4は、着色剤の有無に関わらず、ポリプロピレンにより形成することができる。本発明に係る試料管1のすべての部分において、ポリマ材料としてポリプロピレンを使用することが望ましいことを特に指摘しておきたい。この選択は、大量に製造されるそれら使い捨て試料管の単一のポリマ材料の再利用に、特に有用である。しかしながら、試料管1のある部分に特別な品質または属性が必要とされる場合には、その部分を、その他の任意の材料、あるいは金属によっても形成することができる。
【0052】
任意の特定の実施形態に関わりなく、本発明に係る試料管1は、ネジ式(例えば、図10を参照)、ネジ込み式(例えば、図2を参照)、押し付け式(図3を参照)または押し込み式(例えば、図9を参照)のキャップ18を備えて構成することが好ましい。特に、そのような微細管の24、96、384または1536本用のラックの区画に嵌入する微細管として、試料管1が実現されることが好ましい。そのようなラックは、ANSI/SBS規格による標準マイクロプレートの寸法を有することが好ましい。最も好ましい管の全体形状は円筒状であるが、円筒状からの僅かなズレは許容することができる。代替的には、周囲の外気から試料管1内の試料を安全に密封するために、密封フィルムまたは密封フォイル21(図5および図7に示すように)を、好ましくは溶着または接着により、試料管1の上部開口2で側壁2の境界に適用される。この密封フィルムまたはフォイル21は、アルミニウムとポリマの一方または両方により形成することが望ましい。試料管へのアルミニウム密封フォイル(すなわち、そのポリマラミネート)の溶着が適用されることとなる場合には、アルミニウムフォイル上のポリマラミネートが望ましい。
【0053】
示される図面から外れるが、本発明に係る試料管1は、底部4が側壁3に屈曲した形で一体となるように、内部を凹状に形成することもできる。
【0054】
提示した一連の実施形態から分かるように、本発明に係る試料管の材料の組合せは、側壁3および底部4が、照射領域9、すなわち識別コードに、対照色(図1および図2を参照)を与える好ましい1材料(例えば、レーザ感知充填材、HP755197LSを有するPURELL HP371Pネイチャー)からなるように選択することができる。例えば、PURELL HP371Pのような別の材料が選ばれる場合には、照射領域9、すなわち識別コードに、対照色を与えるために、追加の不透明部分7が必要とされる(図3乃至図12を参照)。
【0055】
キャップ18のネジ込みまたはネジ付けの操作中または取り外し中に試料管1がその軸まわりに回転するのを防止するには、望ましくは管側壁3から延出するフランジまたはフィン(図示省略)を使用することが有利であろう。そのようなフィンまたはフランジは、試料管1を格納するためのラックの区画内部の溝内に係合させることが望ましい。それら溝の形状および分布は、フランジまたはフィンの形状および分布に適合させることが望ましい。また、押し込まれたキャップまたは押し付けられたキャップを除去する際にラック内の試料管1を保持するために、ラックの区画内の保持手段を設けることも好ましい。そのような保持手段(例えば、バネ、ラッチまたはフック)は、試料管1の上または中の各窪み(図示省略)と係合させることが望ましい。また、そのような保持手段は、管がラックの区画から気付かずに落下するのを防止する。
【0056】
本発明者等は、本発明に係る試料管1の広い範囲の様々な実施形態を提供した。同じ符号は、明細書の各実施形態において具体的に指定されていない場合であっても、異なる実施形態の同じ特徴または少なくとも類似の特徴を示している。なお、それら実施形態の1またはそれ以上に関して開示または説明した特徴の如何なる組合せも、本発明の範囲に属することに留意されたい。したがって、添付図面に開示された各管または明細書に記載された各管は、試料管1の底部に与えられる識別子の種類に関係なく、例えば、ポリアミド中間体障壁層17を設けることも、省略することも可能であり、あるいは閉鎖キャップ18または密封フォイル21を設けることも、省略することも可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 試料管
2 上部開口
3 側壁
4 底部
5 底部の平面的な下側部分
6 識別部
7 不透明部分
8 透明被覆層
9 照射領域
10 二組成プラスチックシート
11 二組成プラスチックシートの不透明部分の背側
12 キャリア壁
13 取付部
14 透明保護層
15 凹部
16 保護バー
17 ポリアミド中間体障壁層
18 ネジ式、または押し付け式、ネジ込み式または押し込み式のキャップ
19 バックモールド部分
20 オーバーモールド部分
21 密封フィルム、密封フォイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部(4)と一体化された側壁(3)に囲まれた上部開口(2)を有する試料管(1)であって、その底部(4)が、前記上部開口(2)の遠位に配置された実質的に平坦な下側部分(5)を含む試料管(1)において、
前記試料管(1)の底部側に配置された識別部(6)を備え、
前記識別部(6)が、第1色を持つ不透明部分(7)と、透明被覆層(8)とにより構成され、
前記透明被覆層(8)が、レーザマーキングビームで照射されたときに、当該透明被覆層(8)の照射領域(9)を、前記第1色と対照をなす第2色の不透明領域に変換するレーザ感知充填材を含むことを特徴とする試料管。
【請求項2】
請求項1に記載の試料管(1)において、
前記照射領域(9)が、直線的な1次元バーコード、円形の1次元バーコードおよび2次元バーコードを含む群から選択される識別マーキングの一部であることを特徴とする試料管。
【請求項3】
請求項1または2に記載の試料管(1)において、
前記識別部(6)の不透明部分(7)が、前記試料管(1)の側壁(3)および底部(4)と同じ材質であり、前記不透明部分(7)が白色または乳白色の第1色を呈する一方、前記第2色が、灰色、赤色、青色、緑色および黒色を含む群から選択される暗色であることを特徴とする試料管。
【請求項4】
請求項3に記載の試料管(1)において、
前記側壁(2)および前記底部(4)を有する前記試料管(1)が、ポリプロピレンの一体射出成形体として実現されることを特徴とする試料管。
【請求項5】
請求項1または2に記載の試料管(1)において、
前記識別部(6)の不透明部分(7)が、前記試料管(1)の側壁(3)および底部(4)とは異なる材質であり、前記不透明部分(7)が、白色、乳白色、灰色、赤色、青色、緑色、黄色および橙色を含む群から選択される明るい第1色を呈する一方、前記第2色が、灰色、赤色、青色、緑色および黒色を含む群から選択される暗色であることを特徴とする試料管。
【請求項6】
請求項5に記載の試料管(1)において、
前記識別部(6)の不透明部分(7)と、レーザ感知充填材を有する前記透明被覆層(8)とが一緒になって二組成プラスチックシート(10)を形成することを特徴とする試料管。
【請求項7】
請求項5または6に記載の試料管(1)において、
前記識別部(6)の不透明部分(7)が、レーザ感知充填材を有する透明被覆層(8)によって覆われた無線IC(RFID)タグとして実現されることを特徴とする試料管。
【請求項8】
請求項6または7に記載の試料管(1)において、
前記二組成プラスチックシート(10)が前記試料管(1)の底部(4)に取り付けられていることを特徴とする試料管。
【請求項9】
請求項6または7に記載の試料管(1)において、
前記試料管(1)の側壁(2)および底部(4)が、前記二組成プラスチックシート(10)の不透明部分(7)の背側(11)にバックモールドされていることを特徴とする試料管。
【請求項10】
請求項6または7に記載の試料管(1)において、
前記二組成プラスチックシート(10)が、その周縁の周りにおいて、キャリア壁(12)でバックモールドおよび/または射出成形され、前記キャリア壁(12)が、好ましくはポリプロピレンからなり、前記試料管(1)の側壁(2)および/または底部(4)上に形成された適宜にサイズ設定された取付部(13)にスナップ留めすることにより実現されることを特徴とする試料管。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の試料管(1)において、
前記透明被覆層(8)が、レーザ照射に反応する充填材を含むポリプロピレンにより形成されることを特徴とする試料管。
【請求項12】
請求項5に記載の試料管(1)において、
前記識別部(6)の不透明部分(7)が、プラスチック、紙または金属の着色シートおよび印刷層または溶射層を含む群から選択され、前記不透明部分(7)が、前記透明被覆層(8)によりオーバーモールドされ、前記透明被覆層(8)が、好ましくはポリプロピレンからなり、レーザ感知充填材を含むことを特徴とする試料管。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の試料管(1)において、
前記透明被覆層(8)が、好ましくはポリプロピレンからなる透明保護層(14)によりオーバーモールドされることを特徴とする試料管。
【請求項14】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の試料管(1)において、
前記透明被覆層(8)が、保護バー(16)により重ね合わせられた凹部(15)内に位置し、前記保護バー(16)が、好ましくはポリプロピレンからなり、前記試料管(1)の側壁(2)または底部(4)の一部または前記キャリア壁(12)の一部を構成することを特徴とする試料管。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に記載の試料管(1)において、
前記試料管(1)の側壁(3)および底部(4)が、様々なプラスチック成分を有し、その中に、前記試料管(1)に流体バリアの向上をもたらすプラスチック成分が含まれることを特徴とする試料管。
【請求項16】
請求項15に記載の試料管(1)において、
前記側壁(3)および前記底部(4)が、二層のポリプロピレンと、その間にポリアミド中間体障壁層(17)とを備えることを特徴とする試料管。
【請求項17】
請求項16に記載の試料管(1)において、
前記ポリアミド中間体障壁層(17)が、結晶性ポリアミド樹脂または非晶質ナイロン共重合体で形成されていることを特徴とする試料管。
【請求項18】
請求項1乃至17の何れか一項に記載の試料管(1)において、
前記側壁(3)が、前記試料管(1)の実質的に円筒状の形状を規定することを特徴とする試料管。
【請求項19】
請求項1乃至18の何れか一項に記載の試料管(1)において、
前記試料管(1)が、24、96、384または1536本の微細管用のラックの区画に嵌入する微細管として実現されることを特徴とする試料管。
【請求項20】
請求項1乃至19の何れか一項に記載の試料管(1)において、
前記試料管(1)が、ネジ式、押し付け式、ネジ込み式または押し込み式のキャップ(18)、または接着若しくは溶着される密封フォイルまたはフィルム(21)を備えることを特徴とする試料管。
【請求項1】
底部(4)と一体化された側壁(3)に囲まれた上部開口(2)を有する試料管(1)であって、その底部(4)が、前記上部開口(2)の遠位に配置された実質的に平坦な下側部分(5)を含む試料管(1)において、
前記試料管(1)の底部側に配置された識別部(6)を備え、
前記識別部(6)が、第1色を持つ不透明部分(7)と、透明被覆層(8)とにより構成され、
前記透明被覆層(8)が、レーザマーキングビームで照射されたときに、当該透明被覆層(8)の照射領域(9)を、前記第1色と対照をなす第2色の不透明領域に変換するレーザ感知充填材を含むことを特徴とする試料管。
【請求項2】
請求項1に記載の試料管(1)において、
前記照射領域(9)が、直線的な1次元バーコード、円形の1次元バーコードおよび2次元バーコードを含む群から選択される識別マーキングの一部であることを特徴とする試料管。
【請求項3】
請求項1または2に記載の試料管(1)において、
前記識別部(6)の不透明部分(7)が、前記試料管(1)の側壁(3)および底部(4)と同じ材質であり、前記不透明部分(7)が白色または乳白色の第1色を呈する一方、前記第2色が、灰色、赤色、青色、緑色および黒色を含む群から選択される暗色であることを特徴とする試料管。
【請求項4】
請求項3に記載の試料管(1)において、
前記側壁(2)および前記底部(4)を有する前記試料管(1)が、ポリプロピレンの一体射出成形体として実現されることを特徴とする試料管。
【請求項5】
請求項1または2に記載の試料管(1)において、
前記識別部(6)の不透明部分(7)が、前記試料管(1)の側壁(3)および底部(4)とは異なる材質であり、前記不透明部分(7)が、白色、乳白色、灰色、赤色、青色、緑色、黄色および橙色を含む群から選択される明るい第1色を呈する一方、前記第2色が、灰色、赤色、青色、緑色および黒色を含む群から選択される暗色であることを特徴とする試料管。
【請求項6】
請求項5に記載の試料管(1)において、
前記識別部(6)の不透明部分(7)と、レーザ感知充填材を有する前記透明被覆層(8)とが一緒になって二組成プラスチックシート(10)を形成することを特徴とする試料管。
【請求項7】
請求項5または6に記載の試料管(1)において、
前記識別部(6)の不透明部分(7)が、レーザ感知充填材を有する透明被覆層(8)によって覆われた無線IC(RFID)タグとして実現されることを特徴とする試料管。
【請求項8】
請求項6または7に記載の試料管(1)において、
前記二組成プラスチックシート(10)が前記試料管(1)の底部(4)に取り付けられていることを特徴とする試料管。
【請求項9】
請求項6または7に記載の試料管(1)において、
前記試料管(1)の側壁(2)および底部(4)が、前記二組成プラスチックシート(10)の不透明部分(7)の背側(11)にバックモールドされていることを特徴とする試料管。
【請求項10】
請求項6または7に記載の試料管(1)において、
前記二組成プラスチックシート(10)が、その周縁の周りにおいて、キャリア壁(12)でバックモールドおよび/または射出成形され、前記キャリア壁(12)が、好ましくはポリプロピレンからなり、前記試料管(1)の側壁(2)および/または底部(4)上に形成された適宜にサイズ設定された取付部(13)にスナップ留めすることにより実現されることを特徴とする試料管。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の試料管(1)において、
前記透明被覆層(8)が、レーザ照射に反応する充填材を含むポリプロピレンにより形成されることを特徴とする試料管。
【請求項12】
請求項5に記載の試料管(1)において、
前記識別部(6)の不透明部分(7)が、プラスチック、紙または金属の着色シートおよび印刷層または溶射層を含む群から選択され、前記不透明部分(7)が、前記透明被覆層(8)によりオーバーモールドされ、前記透明被覆層(8)が、好ましくはポリプロピレンからなり、レーザ感知充填材を含むことを特徴とする試料管。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の試料管(1)において、
前記透明被覆層(8)が、好ましくはポリプロピレンからなる透明保護層(14)によりオーバーモールドされることを特徴とする試料管。
【請求項14】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の試料管(1)において、
前記透明被覆層(8)が、保護バー(16)により重ね合わせられた凹部(15)内に位置し、前記保護バー(16)が、好ましくはポリプロピレンからなり、前記試料管(1)の側壁(2)または底部(4)の一部または前記キャリア壁(12)の一部を構成することを特徴とする試料管。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか一項に記載の試料管(1)において、
前記試料管(1)の側壁(3)および底部(4)が、様々なプラスチック成分を有し、その中に、前記試料管(1)に流体バリアの向上をもたらすプラスチック成分が含まれることを特徴とする試料管。
【請求項16】
請求項15に記載の試料管(1)において、
前記側壁(3)および前記底部(4)が、二層のポリプロピレンと、その間にポリアミド中間体障壁層(17)とを備えることを特徴とする試料管。
【請求項17】
請求項16に記載の試料管(1)において、
前記ポリアミド中間体障壁層(17)が、結晶性ポリアミド樹脂または非晶質ナイロン共重合体で形成されていることを特徴とする試料管。
【請求項18】
請求項1乃至17の何れか一項に記載の試料管(1)において、
前記側壁(3)が、前記試料管(1)の実質的に円筒状の形状を規定することを特徴とする試料管。
【請求項19】
請求項1乃至18の何れか一項に記載の試料管(1)において、
前記試料管(1)が、24、96、384または1536本の微細管用のラックの区画に嵌入する微細管として実現されることを特徴とする試料管。
【請求項20】
請求項1乃至19の何れか一項に記載の試料管(1)において、
前記試料管(1)が、ネジ式、押し付け式、ネジ込み式または押し込み式のキャップ(18)、または接着若しくは溶着される密封フォイルまたはフィルム(21)を備えることを特徴とする試料管。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−500983(P2012−500983A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524311(P2011−524311)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060392
【国際公開番号】WO2010/023102
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(511049635)ネクサス バイオシステムズ,インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】Nexus Biosystems,Inc.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060392
【国際公開番号】WO2010/023102
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(511049635)ネクサス バイオシステムズ,インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】Nexus Biosystems,Inc.
【Fターム(参考)】
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