説明

識別情報アクセス装置

【課題】 従来、読み取りが困難とされていた位置に存在するRFIDタグであっても、RFIDタグに記憶されている識別情報を読み取ることができる識別情報アクセス装置を提供する。
【解決手段】 記憶媒体が有するRFID用ICタグに記憶された識別情報を読み取ることができる第1のアンテナ部と、第1のアンテナ部と電気的に接続され、かつ、第1のアンテナ部を駆動して第1のアンテナ部から発する電磁波に基づいて識別情報を取得する制御装置と、第1のアンテナ部と別体の第2のアンテナ部であって、第1のアンテナ部から離隔した位置に配置され、かつ、第1のアンテナ部及び制御装置と電気的に接続されていない第2のアンテナ部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カジノなどで使用される同一形状の複数のゲーム用チップを互いに隣接させた状態で、より多くのゲーム用チップとアクセスするための識別情報アクセス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カジノなどでは、ゲーム用チップの真贋判定や自動計測などをするために、RFIDタグを内蔵したゲーム用チップが使用されている。具体的には、RFID読み取り用のアンテナをゲーム用テーブルの下方に設け、アンテナから磁界を生成させる。生成させた磁界が、ゲーム用テーブルに置かれたゲーム用チップを貫くようにして、RFIDタグに起電力を生じさせ、ベット用チップの識別情報(ユニークID)を検出していた(たとえば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
また、複数のアンテナを設けて読み書きをする場合には、複数のアンテナのうちの1つのアンテナを選択するための処理をしていた(たとえば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3839307号公報
【特許文献2】特許第4409540号公報
【特許文献3】特開2009−93340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に開示されている装置の場合では、磁界の及ぶ範囲は、アンテナの形状とアンテナに加えるRF信号の出力とによって決まる。したがって、RFIDタグの感度に応じた一定以上の距離だけ、RFIDタグがアンテナから離れると、ICを動作させるための起電力がRFIDタグに生じなくなり、RFIDタグの識別情報等の情報を読み取ることは困難になっていた。
【0006】
たとえば、ゲーム用テーブルに複数のゲーム用チップを積み重ねる場合がある。ゲーム用テーブルに近い位置では、アンテナまでの距離が短いので、磁界の強度が大きく、十分に起電力を生じさせることができ、RFIDタグを読み取ることができる。一方、ゲーム用テーブルから離隔した位置では、アンテナまでの距離が長くなるために、磁界の強度は小さく、十分な起電力を生じさせることができず、RFIDタグを読み取ることが困難になる場合があった。ゲーム用テーブルに複数のゲーム用チップを積み重ねたときに、積み重ねた全てのゲーム用チップのRFIDタグを読み取ることが困難になる場合が生じた。このRFIDタグを読み取ることができる距離は、一般に、電磁波の強度やRFIDタグの感度などによって決まるので、一律に決定できるものではない。
【0007】
また、特許文献3に開示されている装置の場合では、複数のアンテナのうちの1つのアンテナを選択するための処理をする必要があり、複数のアンテナの全てを用いて読み書きが完了するまでに時間を要した。また、選択するための処理を要し、制御処理が煩雑にならざるを得なかった。さらに、複数のアンテナの間で干渉が生ずる場合もあり、読み書きを終了したあとに照合するための処理をする必要があり、さらに時間を要するとともに処理が煩雑になった。
【0008】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アンテナからの距離が長いために、従来、読み取りが困難とされていた位置に存在するRFIDタグであっても、RFIDタグに記憶されている識別情報を読み取ることができる識別情報アクセス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態に係る特徴は、
記憶媒体が有するRFID用ICタグに記憶された識別情報を読み取ることができる第1のアンテナ部と、
前記第1のアンテナ部と電気的に接続され、かつ、前記第1のアンテナ部を駆動して前記第1のアンテナ部から発する電磁波に基づいて前記識別情報を取得する制御装置と、
前記第1のアンテナ部と別体の第2のアンテナ部であって、前記第1のアンテナ部から離隔した位置に配置され、かつ、前記第1のアンテナ部及び前記制御装置と電気的に接続されていない第2のアンテナ部と、を備えることである。
【0010】
また、本発明の実施の形態に係る特徴は、上述した構成において、
前記第2のアンテナ部は、前記第1のアンテナ部から発せられる電磁波を受信し、受信した電磁波と共振できる共振部を有することである。共振部は、受信した電磁波によって共振される。
【0011】
さらに、本発明の実施の形態に係る特徴は、上述した構成において、
前記共振部は、前記第1のアンテナ部から発せられる電磁波を受信できるアンテナと、所定の静電容量を有する静電部材と、所定の抵抗値を示す抵抗部材と、を有する共振回路を備えることである。
【0012】
さらにまた、本発明の実施の形態に係る特徴は、上述した構成において、
前記記憶媒体は、前記識別情報を読み取るための制御部を有し、
前記制御部の駆動に必要な起電力は、前記第1のアンテナ部の駆動と前記第2のアンテナ部の駆動とによって生成される電磁波により生じ前記制御部に供給されることである。
【0013】
また、本発明の実施の形態に係る特徴は、上述した構成において、
前記記憶媒体を配置できる位置において、前記第1のアンテナ部の駆動と前記第2のアンテナ部の駆動とによって生成される電磁波の強度を所定の強度以上にすることである。
【0014】
さらに、本発明の実施の形態に係る特徴は、上述した構成において、
前記制御装置による前記第1のアンテナ部の駆動と、前記共振部による前記第2のアンテナ部の駆動とによって生成される電磁波の周波数は、前記第1のアンテナ部から発せられる電磁波の周波数と同じであることである。
【0015】
さらにまた、本発明の実施の形態に係る特徴は、上述した構成において、
前記記憶媒体は、RFID用ICタグが内蔵されたカジノ用ゲームチップである。
【発明の効果】
【0016】
従来、アクセスが困難とされていた位置に配置されたRFIDタグとアクセスができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】識別情報アクセス装置の概要を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態による識別情報アクセス装置1の構成を示す概略図である。
【図3】共振装置310の具体的な構成を示す図である。
【図4】RFリーダライタ200の構成を示すブロック図である。
【図5】ゲーム用チップ400の構成を示すブロック図である。
【図6】第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300との距離と、第1のアンテナ装置100の駆動と第2のアンテナ装置300の駆動とによって生成される電磁波の強度との関係を示すグラフである。
【図7】第1のアンテナ装置100の駆動と第2のアンテナ装置300の駆動とによって生成される電磁波と磁力線との様子を示す図である。
【図8】チップトレイ構造体600を示す斜視図である。
【図9】直列に並んだ2本の溝612に設けられた第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300との概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0019】
<<<識別情報アクセス装置の概要>>>
図1は、識別情報アクセス装置の概要を示すブロック図である。
【0020】
本発明の実施の形態に係る識別情報アクセス装置は、
記憶媒体40(たとえば、後述するゲーム用チップ400など)が有するRFID用ICタグ42(たとえば、後述するRFID用ICタグ410など)に記憶された識別情報を読み取ることができる第1のアンテナ部10(たとえば、後述する第1のアンテナ装置100など)と、
前記第1のアンテナ部10と電気的に接続され、かつ、前記第1のアンテナ部10を駆動して前記第1のアンテナ部10から発する電磁波に基づいて前記識別情報を取得する制御装置(たとえば、後述するRFリーダライタ200など)と、
前記第1のアンテナ部10と別体の第2のアンテナ部30であって、前記第1のアンテナ部10から離隔した位置に配置され、かつ、前記第1のアンテナ部10及び前記制御装置20と電気的に接続されていない第2のアンテナ部30(たとえば、後述する第2のアンテナ装置300など)と、を備える。
【0021】
この構成によれば、第1のアンテナ部10から発する電磁波を受信し、受信した電磁波に応じて、第2のアンテナ部30からも電磁波を発するようにできる。このようにして、第1のアンテナ部10から離隔した位置に配置された第2のアンテナ部30からも電磁波を発するようにできる。したがって、従来、RFIDタグの読み取りが困難とされていた位置に、第1のアンテナ部10から発する電磁波又は第2のアンテナ部30から発する電磁波を的確に伝えて、記憶媒体40に受信させることができる。
【0022】
また、第1のアンテナ部10から発する電磁波のみで第2のアンテナ部30から電磁波を発することができるので、第2のアンテナ部30に電源を供給する必要がなく、構成や処理を簡素にできる。
【0023】
また、第2のアンテナ部30を制御装置に導線などで電気的に接続することなく、第2のアンテナ部30から電磁波を発するようにできるので、構成を簡素にできるとともに、第2のアンテナ部30の制御処理を不要にできる。
【0024】
さらにまた、第1のアンテナ部10と第2のアンテナ部30とを設けても、これらのアンテナを選択する処理や装置を不要にし、構成や処理を簡素にできる。
【0025】
また、第1のアンテナ部10と第2のアンテナ部30とを設けても、第1のアンテナ部10のみで識別情報を読み取ることができるので、読み取った後の識別情報の照合処理を不用にでき、処理を簡素にでき、処理時間を短くできる。さらに、第1のアンテナ部10のみで識別情報を読み取るので、干渉の影響も受けることなく、識別情報を読み取ることができる。
【0026】
本発明の実施の形態に係る特徴は、上述した構成において、
前記第2のアンテナ部30は、前記第1のアンテナ部10から発せられる電磁波を受信し、受信した電磁波と共振できる共振部31(たとえば、後述する共振装置310など)を有する。共振部31は、受信した電磁波によって共振される。
【0027】
この構成によれば、共振部31は、受信した電磁波によって共振されるので、受信した電磁波と共振による電磁波を生成することができ、第2のアンテナ部30から的確に電磁波を発することができる。共振させればよいので、第2のアンテナ部30に電源を供給する必要がなく、構成や処理を簡素にできる。
【0028】
本発明の実施の形態に係る特徴は、上述した構成において、
前記共振部31は、前記第1のアンテナ部10から発せられる電磁波を受信できるアンテナ32(たとえば、後述するアンテナ320など)と、所定の静電容量を有する静電部材33(たとえば、後述するコンデンサ330など)と、所定の抵抗値を示す抵抗部材34(たとえば、後述する抵抗340など)と、を有する共振回路を備える。
【0029】
この構成によれば、第1のアンテナ部10から発せられる電磁波などの各種の条件に応じて、所望する共振条件を容易に定めたり変更したりできるので、構成を簡素にできるとともに簡便に使用できる。
【0030】
本発明の実施の形態に係る特徴は、上述した構成において、
前記記憶媒体40は、前記識別情報を読み取るための制御部44(たとえば、後述する制御部412など)を有し、
前記制御部44の駆動に必要な起電力は、前記第1のアンテナ部10の駆動と前記第2のアンテナ部30の駆動とによって生成される電磁波により生じ前記制御部44に供給される。
【0031】
この構成によれば、制御部44の駆動に必要な起電力は、第1のアンテナ部10の駆動と第2のアンテナ部30の駆動とによって発せられる電磁波により生成されるので、電池など電源などを用いることがなく、制御部44を駆動することができ、記憶媒体40の構成を簡素にできる。また、制御部44を駆動できるので、従来、読み取りが困難とされていた位置にRFIDタグが存在する場合でも、識別情報を制御装置に供給できる。
【0032】
本発明の実施の形態に係る特徴は、上述した構成において、
前記記憶媒体40を配置できる位置において、前記第1のアンテナ部10の駆動と前記第2のアンテナ部30の駆動とによって生成される電磁波の強度を所定の強度以上にする。
【0033】
この構成によれば、所定の強度以上にするので、従来、読み取りが困難とされていた位置にRFIDタグが存在する場合でも、制御部44の駆動に必要な起電力を生じさせることができる。
【0034】
本発明の実施の形態に係る特徴は、上述した構成において、
前記制御装置20による前記第1のアンテナ部10の駆動と、前記共振部による前記第2のアンテナ部30の駆動とによって生成される電磁波の周波数は、前記第1のアンテナ部10から発せられる電磁波の周波数と同じである。
【0035】
この構成によれば、同じ周波数の電磁波を生じさせるので、共振を的確に起こすことができ、制御部44の駆動に必要な起電力を十分に生じさせることができる。
【0036】
本発明の実施の形態に係る特徴は、上述した構成において、
前記記憶媒体40は、RFID用ICタグが内蔵されたカジノ用ゲームチップである。
【0037】
この構成によれば、カジノでのカジノ用ゲームチップの管理を的確に行うことができる。
【0038】
<<<識別情報アクセス装置1の構成>>>
図2は、識別情報アクセス装置1の構成を示す概略図である。
識別情報アクセス装置1は、第1のアンテナ装置100とRFリーダライタ200と第2のアンテナ装置300とを有する。
【0039】
<<第2のアンテナ装置300>>
第2のアンテナ装置300は、共振装置310を有する。
【0040】
<共振装置310の構成>
図3は、共振装置310の具体的な構成を示す図である。
共振装置310は、アンテナ320とコンデンサ330と抵抗340とが並列に接続された共振回路によって構成される。すなわち、共振装置310は、いわゆるRLC並列回路によって構成される。
【0041】
共振装置310において、アンテナ320は、HF帯を想定しており、いわゆるループアンテナであり、導線を環状(ループ状)にして形成されたアンテナである。アンテナ320は、インダクタンスLのコイルとして機能する。アンテナ320の近傍では、磁界成分が支配的になる。
【0042】
コンデンサ330は、容量C(キャパシタンスC)を有する。また、抵抗340は、抵抗値Rを有する。これらのインダクタンスLと容量Cとを適宜決定することによって、共振装置310における共振周波数を定めることができる。共振周波数は、後述する第1のアンテナ装置100から発せられる電磁波の周波数と略同一である。
【0043】
第2のアンテナ装置300は、第1のアンテナ装置100から発せられる電磁波を受信する。共振装置310は、受信した電磁波によって、受信した電磁波の周波数と略同一の共振周波数の共振波を生成し、アンテナ320から共振波を出力する。
【0044】
第2のアンテナ装置300は、後述する第1のアンテナ装置100やRFリーダライタ200の構成と電気的に接続されていない。また、第2のアンテナ装置300は、第1のアンテナ装置100やRFリーダライタ200から離隔した位置に配置されている。
【0045】
<<第1のアンテナ装置100>>
第1のアンテナ装置100は、アンテナ110によって構成される。アンテナ110も、アンテナ320と同様に、HF帯を想定しており、いわゆるループアンテナであり、導線を環状(ループ状)にして形成されたアンテナである。アンテナ110も、所定のインダクタンスのコイルとして機能する。アンテナ110の近傍では、磁界成分が支配的になる。第1のアンテナ装置100は、後述するRFリーダライタ200に電気的に接続されている。
【0046】
第1のアンテナ装置100は、後述するRFリーダライタ200の変調部222から受け取った変調信号を変調波として、ゲーム用チップ400に向けて送信する。また、第1のアンテナ装置100は、ゲーム用チップ400から送信された変調波を受信し、この変調波を変調信号として、後述するRFリーダライタ200の復調部224に供給する。
【0047】
<<RFリーダライタ200の構成>>
図4は、RFリーダライタ200の構成を示すブロック図である。
【0048】
RFリーダライタ200は、第1のアンテナ装置100と電気的に接続されている。RFリーダライタ200は、第1のアンテナ装置100を介して、後述するゲーム用チップ400の内部に設けられているRFID用ICタグ410(図2参照)とアクセスできる。具体的には、RFリーダライタ200は、第1のアンテナ装置100を用いた無線通信によって、ゲーム用チップ400のRFID用ICタグ410に記憶されている各種の情報を読み取ったり又は書き込んだりする。
【0049】
RFID用ICタグ410に記憶されている各種の情報には、チップ識別情報が含まれる。チップ識別情報は、ゲーム用チップ400を識別するためのチップID(たとえば、IDシリアルナンバー)などの情報である。RFID用ICタグ410として書き換え可能なものを用いることで、RFリーダライタ200は、RFID用ICタグ410に所望する情報を書き込むことができる。このように、RFID用ICタグ410には、各種の情報を記憶することができるが、以下では、主として、チップ識別情報について説明する。
【0050】
RFリーダライタ200は、制御部210と送受信部220とを有する。送受信部220は、制御部210に電気的に接続されている。制御部210は、リーダ/ライタ制御装置(図4参照)から発せられた命令を受け取る。制御部210は、受け取った命令に応じて送受信部220を駆動する。
【0051】
送受信部220は、制御部210によって駆動されて、ゲーム用チップ400から発せられたチップ識別情報を読み取る。制御部210は、読み取ったチップ識別情報をリーダ/ライタ制御装置に送信する。制御部210は、たとえば、CPU、ROM及びRAM(図示せず)を有するマイクロコンピュータによって構成される。
【0052】
送受信部220は、第1のアンテナ装置100を介してゲーム用チップ400のRFID用ICタグ410と無線による通信を行う機能を有する。送受信部220は、変調部222と復調部24とを有する。送受信部220は、たとえば、変調回路や復調回路を有するRFモジュールなどから構成される。
【0053】
変調部222は、制御部210から受け取った所定のコマンド、リクエスト、命令などの情報に基づいて所定の変調方式でキャリア波を変調し、変調波(変調信号)を生成する。生成された変調波は、第1のアンテナ装置100に供給され、第1のアンテナ装置100から電磁波として発せられる。
【0054】
復調部224には、第1のアンテナ装置100が受信した変調波が、変調信号として供給される。この変調波は、ゲーム用チップ400において、RFID用ICタグ410が記憶しているデータに基づいて所定の変調方式でキャリア波が変調された電磁波である。復調部224は、第1のアンテナ装置100から供給された変調信号を復調し、RFID用ICタグ410が記憶していたデータを取り出して、制御部210に渡す。このようにして、RFID用ICタグ410が記憶しているチップ識別情報が制御部210に渡される。
【0055】
このように、RFリーダライタ200によって、第1のアンテナ装置100から電磁波を送信したり受信したりすることで、後述するゲーム用チップ400のRFID用ICタグ410とアクセスすることができる。
【0056】
<<<ゲーム用チップ400の構成>>>
図5は、ゲーム用チップ400の構成を示すブロック図である。
【0057】
ゲーム用チップ400は、カジノなどの遊技店で現金の代わりにディーラーや遊技者などの間でやり取りされる遊技媒体(記憶媒体)である。ゲーム用チップ400は、一般的には、樹脂などを円板状などに成形した媒体である。
【0058】
ゲーム用チップ400は、RFID用ICタグ410と、制御部412と、送受信部414と、アンテナ416とを有する。
【0059】
RFID用ICタグ410は、RFリーダライタ200から発せられた読み取り信号によって読み出し可能なチップ識別情報を記憶している。また、書き換え可能なICタグを用いることで、所望する各種の情報を書き込むこともできる。
【0060】
制御部412は、RFリーダライタ200から発せられたコマンドやリクエストや命令などを解釈し、これに応答する動作を実行する。送受信部414は、変調部(図示せず)、復調部(図示せず)を有する。送受信部414は、RFリーダライタ200と無線によりチップ識別情報などの各種の情報の送受信を行うために信号の変調/復調を行う。
【0061】
アンテナ416は、RFリーダライタ200に接続されている第1のアンテナ装置100からの変調波を受信できる。また、アンテナ416は、第2のアンテナ装置300から共振波も受信できる。
【0062】
第1のアンテナ装置100からの変調波と、第2のアンテナ装置300からの共振波との双方による電磁波の強度が、所定の強度であれば、制御部412や送受信部414を駆動するのに必要な起電力を生じさせることができ、受信した変調波や共振波によって制御部412及び送受信部414は給電される。
【0063】
変調波や共振波によって制御部412及び送受信部414が給電され駆動したときには、送受信部414は、RFリーダライタ200から発せられたコマンドやリクエストや命令に応じた情報、たとえば、チップ識別情報を示す変調信号を生成する。アンテナ416は、送受信部414が生成した変調信号を受け取り、チップ識別情報を示す変調波を送信する。この変調波の周波数は、第1のアンテナ装置100から送信される電磁波の周波数とは異なる。なお、上述したように、第1のアンテナ装置100から送信される電磁波の周波数と、第2のアンテナ装置300で生成される共振電磁波の周波数とは同じである。
【0064】
アンテナ416から発せられたキャリア波は、上述した第1のアンテナ装置100によって受信され、RFリーダライタ200に供給される。このようにすることで、RFリーダライタ200は、RFID用ICタグ410に記憶されたチップ識別情報を読み取ることができる。
【0065】
アンテナ416も、HF帯を想定しており、いわゆるループアンテナであり、導線を環状(ループ状)にして形成されたアンテナである。アンテナ416の近傍では、磁界成分が支配的になる。なお、ゲーム用チップ400のアンテナ416の大きさは、第1のアンテナ装置100のアンテナ110や、第2のアンテナ装置300のアンテナ320よりも小さい。このようにすることで、アンテナ416から発せられる電磁波の影響を小さくできる。
【0066】
<<<第1のアンテナ装置100によって生成される電磁波と、第2のアンテナ装置300によって生成される電磁波>>>
第1のアンテナ装置100の駆動と第2のアンテナ装置300の駆動とによって生成される電磁波について、図6及び図7を用いて説明する。
【0067】
図6(a)及び(b)は、第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300との距離と、第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300とによって生成される電磁波の強度との関係を示すグラフである。図6に示すグラフの横軸は、第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300などの位置を示し、単位は、たとえば、メートルなどである。また、縦軸は、電磁波の強度を示し、単位は、たとえば、アンペア毎メートルなどである。図6(a)及び(b)に示すグラフの横軸の原点Oの位置が、第1のアンテナ装置100が配置された位置である。
【0068】
図7(a)及び(b)は、第1のアンテナ装置100によって生成される電磁波及び磁力線と、第2のアンテナ装置300によって生成される電磁波との様子を示す図である。
【0069】
図6(a)及び図7(a)は、第1のアンテナ装置100を原点Oに配置し、第2のアンテナ装置300を位置d3に配置したときのグラフ及び図である。また、図6(b)及び図7(b)は、第1のアンテナ装置100を原点Oに配置し、第2のアンテナ装置300を位置d4に配置したときのグラフ及び図である。位置d4は、位置d3よりも原点Oに近い位置である。
【0070】
図6(a)及び(b)において、破線I1は、第1のアンテナ装置100によって生成される電磁波の強度を示す曲線である。また、第2のアンテナ装置300の共振装置310は、第1のアンテナ装置100によって生成された電磁波により共振され、第2のアンテナ装置300の共振装置310によって電磁波(以下、共振電磁波と称する。)が生成される。一点鎖線I2は、第2のアンテナ装置300によって生成される電磁波の強度を示す曲線である。また、図6(a)における実線I3、及び図6(b)における実線I4は、第1のアンテナ装置100によって生成される電磁波と、第2のアンテナ装置300の共振装置310によって生成され送信される電磁波とが合成したことによるその場所の電磁界強度を示す曲線である。以下では、この電磁界強度を合成電磁界強度と称する。
【0071】
図6(a)及び(b)において、水平方向に伸びる強度I0は、ゲーム用チップ400の制御部412の駆動に必要な起電力を生じさせるのに最小の電磁波の強度を示す。したがって、強度I0以上の強度の電磁波がゲーム用チップ400のアンテナ416で受信された場合には、制御部412及び送受信部414の駆動に必要な起電力を生じさせることができ、RFID用ICタグと読み書きをすることができる。一方、強度I0未満の強度の電磁波がゲーム用チップ400のアンテナ416で受信された場合には、制御部412及び送受信部414の駆動に必要な起電力を生じさせることができず、RFID用ICタグとの読み書きをすることができない。
【0072】
図6(a)の場合には、第2のアンテナ装置300を位置d3に配置している。この場合には、実線I3に示すように、合成電磁界強度I3は、位置d1ないしd2の間で、強度I0より小さくなる。したがって、位置d1ないしd2の間の位置に、ゲーム用チップ400が配置された場合には、合成電磁界強度I3が強度I0未満となる電磁波がゲーム用チップ400のアンテナ416で受信されることになり、制御部412の駆動に必要な起電力を生じさせることができず、RFID用ICタグとの読み書きをすることができない。
【0073】
一方、図6(b)の場合には、第2のアンテナ装置300を、位置d3よりも原点Oに近い位置d4に配置している。この場合には、第1のアンテナ装置100から第2のアンテナ装置300に至るまでの任意の位置で、合成電磁界強度I4は、強度I0より大きくなる。したがって、第1のアンテナ装置100から第2のアンテナ装置300に至るまでの間の任意の位置で、合成電磁界強度I4が強度I0以上となる電磁波がゲーム用チップ400のアンテナ416で受信される。強度I0以上となる電磁波の受信によって、ゲーム用チップ400の制御部412及び送受信部414に給電できる。給電によって制御部412及び送受信部414が駆動され、チップ識別情報を示すキャリア波がゲーム用チップ400から発せられる。このように、図6(b)の場合には、第1のアンテナ装置100から第2のアンテナ装置300に至るまでの位置に、ゲーム用チップ400を配置することができる。
【0074】
上述したように、図6(a)及び(b)は、電磁波の強度を示すグラフである。これに対して、図7(a)及び(b)は、生成される電磁波及び磁力線の様子を示す図である。図7(a)は、図6(a)と同様に、第1のアンテナ装置100を原点Oに配置するとともに、第2のアンテナ装置300を位置d3に配置した場合に生成される電磁波及び磁力線を示す図である。また、図7(b)は、図6(b)と同様に、第1のアンテナ装置100を原点Oに配置するとともに、第2のアンテナ装置300を位置d4に配置した場合に生成される電磁波及び磁力線を示す図である。
【0075】
第1のアンテナ装置100を原点Oに配置するとともに、第2のアンテナ装置300を位置d3に配置した場合には、図7(a)に示すように、第1のアンテナ装置100によって生成された電磁波(磁力線)の一部は、第2のアンテナ装置300に到達する。第2のアンテナ装置300に到達した電磁波は、第2のアンテナ装置300の共振装置310を共振させ、共振電磁波が生成される。
【0076】
図7(a)においては、第1のアンテナ装置100によって生成された電磁波のうち、強度が強度I0よりも大きくなる領域をH1で示した。図7(a)に示した例では、第1のアンテナ装置100が円形コイルの場合であり、領域H1を、略球形の形状を有する領域として示した。また、第2のアンテナ装置300の共振装置310による共振によって生成された共振電磁波のうち、強度が強度I0よりも大きくなる領域をH2で示した。領域H2も、第2のアンテナ装置300が円形コイルの場合であり、略球形の形状を有する領域として示した。
【0077】
図7(a)に示す例においては、領域H1に9枚のゲーム用チップ400(図7(a)において実線で示したゲーム用チップ)が含まれている。領域H1に含まれているので、9枚のゲーム用チップ400の各々で、強度I0以上の強度の電磁波が受信され、制御部412及び送受信部414の駆動に必要な起電力を生じさせることができ、RFID用ICタグとの読み書きをすることができる。
【0078】
同様に、図7(a)に示す例において、領域H2に2枚のゲーム用チップ400(図7(a)において実線で示したゲーム用チップ)が含まれている。領域H2に含まれているので、2枚のゲーム用チップ400の各々で、強度I0以上の強度の電磁波が受信され、制御部412及び送受信部414の駆動に必要な起電力を生じさせることができ、RFID用ICタグとの読み書きをすることができる。
【0079】
しかしながら、図7(a)に示す例では、領域H1と領域H2との間には、合成電磁界強度が強度I0よりも小さい領域が存在する。この領域が、図6(a)に示す位置d1と位置d2との間に対応する。したがって、位置d1と位置d2との間に、ゲーム用チップ400(図7(a)において破線で示した3枚のゲーム用チップ)を配置しても、受信した電磁波によって、制御部412及び送受信部414の駆動に必要な起電力を生じさせることができず、RFID用ICタグとの読み書きをすることができない。
【0080】
図7(a)と同様に、図7(b)においても、第1のアンテナ装置100によって生成された電磁波のうち、強度が強度I0よりも大きくなる領域をH1で示した。図7(b)に示した例でも、第1のアンテナ装置100が円形コイルの場合であり、領域H1を、略球形の形状を有する領域として示した。同様に、第2のアンテナ装置300の共振装置310の共振によって生成された共振電磁波のうち、強度が強度I0よりも大きくなる領域をH2で示した。同様に、領域H2も、第2のアンテナ装置300が円形コイルの場合であり、略球形の形状で示した。
【0081】
図7(b)に示す例の場合には、図7(a)とは異なり、領域H1と領域H2との間には、電磁波の強度が強度I0よりも小さくなる領域が存在せず、第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300との間の任意の位置で、合成電磁界強度は強度I0より大きくなる。したがって、第1のアンテナ装置100から第2のアンテナ装置300に至るまでの間の任意の位置で、合成電磁界強度が強度I0以上となる電磁波がゲーム用チップ400のアンテナ416で受信される。合成電磁界強度が強度I0以上となる電磁波によって、ゲーム用チップ400の制御部412及び送受信部414に給電できる。給電によって制御部412及び送受信部414が駆動され、チップ識別情報を示すキャリア波がゲーム用チップ400から発せられる。
【0082】
図7(b)に示す例においては、第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300との間に、15枚のゲーム用チップ400(図7(b)において実線で示したゲーム用チップ)が含まれている。これらのゲーム用チップ400は、必ず領域H1又はH2に含まれているので、15枚のゲーム用チップ400の各々で、強度I0以上の強度の電磁波が受信され、制御部412及び送受信部414の駆動に必要な起電力を生じさせることができ、15枚のゲーム用チップ400の全てのRFID用ICタグとの読み書きをすることができる。
【0083】
このように、第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300との間の距離を調節することによって、ゲーム用チップ400において十分な起電力を生じさせ、第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300との間の任意の位置にゲーム用チップ400を配置しても、RFID用ICタグとの読み書きをすることができる。
【0084】
上述したように、第1のアンテナ装置100によって生成される電磁波と、第2のアンテナ装置300の共振装置310によって生成される電磁波とが合成する。合成した場所における合成電磁界強度が強度I0以上となる電磁波がゲーム用チップ400のアンテナ416で受信できた場合には、ゲーム用チップ400の制御部412及び送受信部414に、駆動に必要な起電力を供給できる。起電力の供給によって制御部412及び送受信部414が駆動され、チップ識別情報を示すキャリア波がゲーム用チップ400から発せられる。
【0085】
また、第1のアンテナ装置100によって生成される電磁波の強度I1を調整することにより、第2のアンテナ装置300の共振装置310の共振によって生成される共振電磁波の強度I2を定めることができる。なお、第1のアンテナ装置100から発する電磁波の強度I1は、RFリーダライタ200の制御部210による制御によって定めることができ、RFリーダライタ200に接続されているリーダ/ライタ制御装置(図4参照)によって、強度I1を制御することができる。このように、RFリーダライタ200の制御部210や、リーダ/ライタ制御装置は、第1のアンテナ装置100から発する電磁波の強度を調整したり変更したりする強度設定装置を構成できる。
【0086】
このように、第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300との間の距離や、第1のアンテナ装置100から発する電磁波の強度や、RFIDタグの感度によって、領域H1及び領域H2の範囲を定めることができる。
【0087】
第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300との間の距離や、共振装置310の共振回路の時定数や、第1のアンテナ装置100によって生成される電磁波の周波数及び強度などを適宜調節することにより、第2のアンテナ装置300の共振装置310における共振条件を定めることができる。
【0088】
ここまでは、1つの第1のアンテナ装置100と1つの第2のアンテナ装置300とを用いた例を説明した。1つの第1のアンテナ装置100と複数の第2のアンテナ装置300とを用いてもよい。
【0089】
第1のアンテナ装置100と複数(i個)の第2のアンテナ装置300(1〜i)とを設けて、順次、共振を生じさせるようにできる。第1のアンテナ装置100に最も近い1番目の第2のアンテナ装置300(1)は、第1のアンテナ装置100から送信された電磁波によって共振されて共振電磁波を生成する。次に、1番目の第2のアンテナ装置300(1)に最も近い2番目の第2のアンテナ装置300(2)は、第1のアンテナ装置100から送信された共振電磁波によって共振されて、さらなる共振電磁波を生成する。次に、2番目の第2のアンテナ装置300(2)に最も近い3番目の第2のアンテナ装置300(3)が同様に、共振電磁波を生成する。このように順次、共振電磁波を生成していくことにより、i番目の第2のアンテナ装置300(i)に至るまで、共振電磁波を生成させることができる。第1のアンテナ装置100から送信された電磁波とこれらの共振電磁波との合成による合成電磁界強度が強度I0以上となる位置であれば、ゲーム用チップ400を置いて、制御部412及び送受信部414の駆動に必要な起電力を生じさせることができ、RFID用ICタグとの読み書きをすることができる。
【0090】
このようにすることで、第1のアンテナ装置100から離隔して、第1のアンテナ装置100から発せられた電磁波の強度が小さくなるような位置であっても、第2のアンテナ装置300を設けて共振電磁波を生成し、合成電磁界強度が強度I0以上になれば、ゲーム用チップ400のRFID用ICタグとの読み書きをすることができる。したがって、第1のアンテナ装置100と複数の第2のアンテナ装置300とを設けることによって、ゲーム用チップ400の制御部412及び送受信部414の駆動に要する起電力を生じさせる強度の磁場が存在する領域を拡大することができる。すなわち、複数の第2のアンテナ装置300を所定の位置に配置し、全ての第2のアンテナ装置300で共振を生じさせて所定の起電力を生じさせることで、所望する位置まで共振電磁場を生じさせることができ、その所望する位置にあるRFIDタグと読み書きすることができる。第2のアンテナ装置300で共振されることによって、第2のアンテナ装置300の位置まで第1のアンテナ装置100が延在するような構成にできる。
【0091】
第1のアンテナ装置100のアンテナ110のループ状の箇所と、第2のアンテナ装置300のアンテナ320のループ状の箇所と、ゲーム用チップ400のアンテナ416のループ状の箇所とが、互いに平行になるように配置するのが好ましい。このようにすることで、電磁波を効率よく送受信できる。なお、必ずしも、これらのアンテナのループ状の箇所が互いに平行になるように配置しなくてもよい。互いに平行に配置しなくても、第2のアンテナ装置300で共振させて、合成電磁界強度を強度I0以上にできれば、制御部412及び送受信部414の駆動に必要な起電力を生じさせることができる。したがって、第2のアンテナ装置300で共振させて、合成電磁界強度を強度I0以上にできれば、これらのアンテナを所望する向きに配置してよい。
【0092】
<<チップトレイ構造体600>>
図8は、チップトレイ構造体600を示す斜視図である。チップトレイ構造体600は、チップトレイ610と基板カバー620とベース630とからなる3層構造を有する。さらに、チップトレイ610の上部を覆うための蓋体660を有する。蓋体660は、チップトレイ610に対して施錠することができる。
【0093】
チップトレイ610は、遊技者に渡すゲーム用チップ400や、遊技者から回収したゲーム用チップ400を収納するためのトレイである。チップトレイ610にはゲーム用チップ400を収納するための複数の溝612、たとえば18本の溝612が手前側から奥側に向かって形成されている。1本の溝612には、30枚のゲーム用チップ500を収納することができる。
【0094】
このチップトレイ構造体600に、第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300とを設けて、チップトレイ構造体600に収容されているゲーム用チップ400のチップ識別情報によって、ゲーム用チップ400を管理することができる。
【0095】
図9は、チップトレイ610の直列に並んだ2本の溝612の近くに設けられた第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300との概略を示す図である。図9においては、直列に並んだ2本の溝612を、溝612a及び溝612bと称する。
【0096】
溝612a及び溝612bは、断面が略半円の略半円筒形の長尺な形状を有する。溝612aは、第1の端部622aと第2の端部624aとを有する。第1の端部622aと第2の端部624aとは、溝612aの長手方向において最も離隔した位置に互いに向かい会うように形成されている。溝612aにおいて、第1の端部622aと第2の端部624aとの間に、最大で30枚のゲーム用チップ400が収容される。同様に、溝612bは、第1の端部622bと第2の端部624bとを有する。第1の端部622bと第2の端部624bとは、溝612bの長手方向において最も離隔した位置に互いに向かい会うように形成されている。溝612bにおいて、第1の端部622bと第2の端部624bとの間に、最大で30枚のゲーム用チップ400が収容される。
【0097】
溝612aの第2の端部624aと溝612bの第1の端部622bとの間に、第1のアンテナ装置100が配置されている。第1のアンテナ装置100は、上述したように、ループアンテナである。また、ゲーム用チップ400のアンテナ416もループアンテナである。第1のアンテナ装置100のループ状のなす面が、溝612a及び溝612bに収納されたゲーム用チップ400のループ状のなす面と略平行になるように、第1のアンテナ装置100は配置されている。このようにすることで、第1のアンテナ装置100から発せられる磁力線を、ゲーム用チップ400のループアンテナに、的確に貫くことができ、第1のアンテナ装置100とゲーム用チップ400との間で、電磁波を効率よく送受信できる。
【0098】
溝612aの第1の端部622a側であって溝612aの外側に、第2のアンテナ装置300aが配置されている。同様に、溝612bの第2の端部624b側であって溝612bの外側に、第2のアンテナ装置300bが配置されている。第2のアンテナ装置300a及び300bも、上述したように、ループアンテナである。第2のアンテナ装置300a及び300bのループ状のなす面が、第1のアンテナ装置100のループ状のなす面と略平行になるように、第2のアンテナ装置300a及び300bは配置されている。このようにすることで、第1のアンテナ装置100やゲーム用チップ400から発せられる磁力線を、第2のアンテナ装置300a及び300bのループアンテナに、的確に貫くことができ、電磁波を効率よく送受信できる。
【0099】
第1のアンテナ装置100によって生成される電磁波は、第2のアンテナ装置300a及び300bの双方に向かって広がる。第2のアンテナ装置300aに向かって広がった電磁波は、第2のアンテナ装置300aの共振装置310を共振させ、溝612aに向かって共振電磁波を生成する。このようにすることで、溝612aにおいて、第1のアンテナ装置100によって生成される電磁波と、第2のアンテナ装置300aの共振装置310によって生成され送信される電磁波とが合成される。
【0100】
溝612aの長手方向の長さに応じて、第1のアンテナ装置100によって生成される電磁波の強度は定められている。具体的には、溝612aの第1の端部622aから第2の端部624aに至るまでに亘って、合成電磁界強度が、上述した強度I0以上となるように第1のアンテナ装置100によって生成される電磁波の強度は定められている。このようにすることで、溝612aのいずれの位置にゲーム用チップ400を配置したとしても、制御部412及び送受信部414の駆動に必要な起電力を生じさせることができ、RFID用ICタグとの読み書きをすることができる。
【0101】
溝612bも同様であり、溝612bのいずれの位置にゲーム用チップ400を配置したとしても、制御部412及び送受信部414の駆動に必要な起電力を生じさせることができ、RFID用ICタグとの読み書きをすることができる。
【0102】
このように、第1のアンテナ装置100を挟むように2つの第2のアンテナ装置300(一方の第2のアンテナ装置300及び他方の第2のアンテナ装置300)を設ける。第1のアンテナ装置100と一方の第2のアンテナ装置300との間には、ゲーム用チップ400を少なくとも1つ収容できる収容部を有する。また、第1のアンテナ装置100と他方の第2のアンテナ装置300との間には、ゲーム用チップ400を少なくとも1つ収容できる収容部を有する。
【0103】
第1のアンテナ装置100と一方の第2のアンテナ装置300との間に収容されたゲーム用チップ400は、これらの第1のアンテナ装置100と一方の第2のアンテナ装置300とによって、チップ識別情報が読み取られる。同様に、第1のアンテナ装置100と他方の第2のアンテナ装置300との間に収容されたゲーム用チップ400は、これらの第1のアンテナ装置100と他方の第2のアンテナ装置300とによって、チップ識別情報が読み取られる。
【0104】
このように、チップトレイ構造体600における直列に並んだ2本の溝612に対して第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300とを配置することによって、チップトレイ構造体600に収容された全てのゲーム用チップ400のチップ識別情報を読み取ることができる。
【0105】
チップトレイ610と基板カバー620とベース630と蓋体660は、非金属の材料、たとえば、プラスチックなどで構成されているものが好ましい。非金属の材料にすることで、第1のアンテナ装置100や一方の第2のアンテナ装置300から的確に所望する電磁波を生成することができる。
【0106】
<<他の実施の形態>>
上述した実施の形態では、第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300との間に配置されたゲーム用チップ400とアクセスする例を示した。しかしながら、図7(b)に示すように、第2のアンテナ装置300によって生成される電磁波は、第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300との間のみならず、第2のアンテナ装置300の外側、すなわち、第1のアンテナ装置100から離隔する方向の領域にも生成される(図7(a)及び(b)参照)。
【0107】
この第2のアンテナ装置300の外側に生成される電磁波を使って、ゲーム用チップ400とアクセスするようにしてもよい。すなわち、図7(b)に示す領域H2に含まれる領域ならば、第2のアンテナ装置300の外側にゲーム用チップ400を配置した場合であっても、ゲーム用チップ400のチップ識別情報を読み取ることができる。
【0108】
たとえば、ゲーム用テーブルの下方に第2のアンテナ装置300を設け、さらに、第2のアンテナ装置300の下方に第1のアンテナ装置100を設けるように構成し、第2のアンテナ装置300によって生成される領域H2がゲーム用テーブルの上方に漏れるようにする。このようにすることで、ゲーム用テーブルの上に配置されたゲーム用チップ400のチップ識別情報を読み取ることができる。
【0109】
第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300との距離や、第1のアンテナ装置100に供給する電力を調整することによって、ゲーム用テーブルの上方に漏れる電磁波の強度や広がりを所望するものにできる。具体的には、第1のアンテナ装置100の大きさを大きくしたり第1のアンテナ装置100に供給する電力を大きくしたりすることで、第2のアンテナ装置300によって生成される共振波の強度を大きくできる。一方、第2のアンテナ装置300の大きさを制限することで、第2のアンテナ装置300によって生成される共振波が広がる範囲を抑えることができる。このようにすることで、読み取ることができるゲーム用チップ400の枚数を増やすことができるとともに、隣接したベット領域にゲーム用チップ400が置かれた場合でも誤って読み取ることを防止できる。
【0110】
このように、第1のアンテナ装置100の大きさや、第1のアンテナ装置100に供給する電力や、第2のアンテナ装置300の大きさなどを調節することで、第2のアンテナ装置300によって生成される共振波の領域H2を所望するものにできる。
【0111】
また、識別情報アクセス装置を倉庫や書庫などのラックなどに用いて、物品の在庫管理などにも用いることができる。たとえば、第1のアンテナ装置100をラックの壁面や柱などに設け、第2のアンテナ装置300を第1のアンテナ装置100から離隔した壁面や柱などに設ける。第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300との間の空間において、合成電磁界強度が強度I0以上になるようにしたり、第2のアンテナ装置300で共振させるようにしたり、各種の条件を設定する。このようにすることで、第1のアンテナ装置100と第2のアンテナ装置300との間の空間にRFID用ICタグを設けた物品を配置する。RFID用ICタグには、その物品を識別するための識別情報が記憶されている。
【0112】
第1のアンテナ装置100にのみ、RFリーダライタ200を接続すればよいので、倉庫や書庫などの構成や管理を簡素にできる。特に、倉庫や書庫などでは、ラックを構成する壁面や柱が、複数、並置されている場合が多い。したがって、複数のアンテナを設ける必要がある。このような場合でも、RFリーダライタ200を接続する必要があるのは、アンテナ装置100のみであるので、配線を簡略化でき、倉庫や書庫などの構成や管理を簡素にできる。
【符号の説明】
【0113】
100 第1のアンテナ装置
200 RFリーダライタ
300 第2のアンテナ装置
310 共振装置
320 アンテナ320
330 コンデンサ330
340 抵抗
400 ゲーム用チップ(記憶媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体が有するRFID用ICタグに記憶された識別情報を読み取ることができる第1のアンテナ部と、
前記第1のアンテナ部と電気的に接続され、かつ、前記第1のアンテナ部を駆動して前記第1のアンテナ部から発する電磁波に基づいて前記識別情報を取得する制御装置と、
前記第1のアンテナ部と別体の第2のアンテナ部であって、前記第1のアンテナ部から離隔した位置に配置され、かつ、前記第1のアンテナ部及び前記制御装置と電気的に接続されていない第2のアンテナ部と、を備えた識別情報アクセス装置。
【請求項2】
前記第2のアンテナ部は、前記第1のアンテナ部から発せられる電磁波を受信し、受信した電磁波と共振できる共振部を有する請求項1に記載の識別情報アクセス装置。
【請求項3】
前記共振部は、前記第1のアンテナ部から発せられる電磁波を受信できるアンテナと、所定の静電容量を有する静電部材と、所定の抵抗値を示す抵抗部材と、を有する共振回路を備える請求項2に記載の識別情報アクセス装置。
【請求項4】
前記記憶媒体は、前記識別情報を読み取るための制御部を有し、
前記制御部の駆動に必要な起電力は、前記第1のアンテナ部の駆動と前記第2のアンテナ部の駆動とによって生成される電磁波により生じ前記制御部に供給される請求項1ないし3のいずれかに記載の識別情報アクセス装置。
【請求項5】
前記記憶媒体を配置できる位置において、前記第1のアンテナ部の駆動と前記第2のアンテナ部の駆動とによって生成される電磁波の強度を所定の強度以上にする請求項1ないし4のいずれかに記載の識別情報アクセス装置。
【請求項6】
前記制御装置による前記第1のアンテナ部の駆動と、前記共振部による前記第2のアンテナ部の駆動とによって生成される電磁波の周波数は、前記第1のアンテナ部から発せられる電磁波の周波数と同じである請求項2ないし5のいずれかに記載の識別情報アクセス装置。
【請求項7】
前記記憶媒体は、RFID用ICタグが内蔵されたカジノ用ゲームチップである請求項1ないし6のいずれかに記載の識別情報アクセス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−84139(P2013−84139A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223930(P2011−223930)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(598098526)株式会社ユニバーサルエンターテインメント (7,628)
【Fターム(参考)】