説明

識別装置および方法

物品をマーキングするための識別装置(2)が、熱赤外の波長において低い放射率を有しており、熱赤外の波長において実質的に透過性であって可視の色を付与するため少なくとも1つの可視の波長において実質的に吸収性であるように構成されている第1の層(14)と、熱赤外の波長において鏡面反射体として構成されている第2の層(12)とを含む、複数の層を含んでいる。この識別装置(2)で物品、特に車両にマーキングを施すための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、識別装置、特に可視、近赤外、および熱赤外の波長帯にスペクトル選択的な反射率を有している光学式の識別装置に関する。さらに本発明は、物品を識別装置でマーキングするための方法に関する。
【0002】
本発明の識別装置および方法は、これらに限られるわけではないが、特に車両または他の構造体へと、それらの識別を容易にするために適用可能である。本発明は、可視、近赤外、および熱赤外の画像化技法を組み合わせまたは個別に使用して、明確な識別を可能にする。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景として、熱赤外(IR)画像化技法が成熟して保有コストが低下しており、警察用ヘリコプターなどの空中偵察機がかなりの割合で、可視帯の暗視システムおよび熱IRカメラを備えるようになってきている。これらのカメラは、車両内および徒歩の悪人の追跡を容易にするためだけでなく、必要に応じて他の救急車両の案内および連携を容易にするために、地上の車両を追跡するために使用される。これらの機能は、警察用および他の救急用車両の明確な識別および追跡に依拠している。可視帯においては、これが、車両の屋根において暗い色のマーキングと高いコントラストの(明るい)背景とによって達成されており、場合によっては、このコントラストが、追跡中の航空機から例えばNightsunサーチライトを使用して照射することができる逆反射のふち取り(boarders)を使用することによって強調されている。
【0004】
場合によっては、より暗い中間色の色合いが車両において使用され、この場合には、必要とされる高いコントラストが、暗い(好ましくは黒色の)背景に、場合によっては逆反射である白色の識別マークを使用することによって保たれる。画像のコントラストは、マーキング材料の反射率の適切な相違、ならびに適切な波長および適切な方向からの照明に依存している。英国警察によって最も頻繁に使用されている識別の形態は、多数の文字、数字、ならびに正方形、円形、および三角形などといった形状を、車両の屋根に表示することである。文字は、典型的には300mmの高さを有し、文字の線幅が50mmよりも太いトランスポート・アルファベット・フォントを使用している。
【0005】
光のレベルが低い状況においては、「暗視ゴーグル(NVG)」または他の「暗視(NV)」設備が、車両の移動の監視を助けるために使用される。しかしながら、車両の屋根の識別マークは、文字および背景に使用されている材料がNVGおよびNV設備が使用するスペクトルの部分において類似の反射率を有しているため、これらの方法を使用しただけでは容易に識別することができない。NVGおよびNV設備は、物体の表面から反射された適切な源からのエネルギーに対して感度を有している。したがって、NV設備は、反射されてきた信号を増幅または「強化」しており、それゆえ、この種の装置に「イメージ・インテンシファイア」という慣用の別名がもたらされている。
【0006】
例えば夜間など、環境光が存在しない場合、熱画像化が車両の追跡に使用される。この技法は、0Kを超えるすべての物体が放射を発しており、地球上の居住領域において通常直面する範囲の温度(−20〜+40℃)において、この放射がいわゆる熱赤外において生じるという事実を利用している。熱赤外においては、従来からの可視のマーキングは明白ではない。熱画像化装置が動作する波長、すなわち3〜5マイクロメートル(μm)または8〜12マイクロメートル(μm)においては、視覚的に暗く色付けされた材料と視覚的に明るく色付けされた材料とは、同じ低い反射率を有している。したがって、車両のマーキング標章において使用される従来からの逆反射の材料がそうであるように、これらは同じ「IR色」に見える。文字および背景の両者が低い反射率を有するため、コントラストが存在せず、マークを見分けることができない。追跡対象の車両を照射することが可能ではあるが、例えば発見されたことを悪人に知らせてしまう可能性があり、あるいは多数の車両を監視する場合など、実際上の理由で常に好ましいわけではない。熱画像化装置は、物体の表面から反射された適切な源からのエネルギーおよび表面から放射されるエネルギーに対して、感度を有している。
【0007】
熱特性を有する識別装置が知られており、例えば異なる熱放射率/温度(したがって、異なる「IR色」)を有する領域を取り入れている表示パネルを記載している英国特許第2,320,902号明細書が参照される。しかしながら、英国特許第2,320,902号明細書に記載の識別装置は、加熱された記号を使用する能動的な表示である。したがって、英国特許第2,320,902号明細書の識別装置は、表示装置を動作させるために電源が必要とされるという付随の欠点を有している。同様に、国際公開第89/07232号パンフレットは、電気的に加熱された熱放射構造を有する教材が記載されている。
【0008】
法執行機関用および他の救急用車両のマーキングに加え、他の車両および容器のマーキングも、承認および非承認の移動を空中から追跡すべく車両の識別および認識を助けるための対象である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上述した従来からの印およびマーキング法の欠点の少なくともいくつかを軽減する識別装置および方法を提供することにある。本発明のさらなる目的は、視覚的な識別と互換性がありながら、熱赤外および近赤外の両方の波長帯において品物に受動的かつ控えめにマーキングを施すために使用でき、品物がそのような追跡および認識の目的のためのマーキングを必要とする場所において使用することができる、識別装置および方法を提供することにある。
【0010】
特に、本発明の識別装置および方法を、空中から地上車両を指揮および制御すべく個々の車両の認識を容易にするために、緊急の業務によって使用することができ、さらに詳しくは法執行機関によって使用することができる。車両の識別マークの提供に加え、本発明の識別装置は、データの統合の目的のために異なる波長帯からの重ね合わせ画像の位置合わせを容易にすることができる。この技法は、警察および救急を超えるさらなる用途を有することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、物品をマーキングするための識別装置であって、熱赤外の波長において低い放射率を有しており、可視の色を付与するため少なくとも1つの可視の波長を実質的に吸収するように構成された第1の層を含む複数の層を含む識別装置が、提案される。
【0012】
明確さという観点において、スペクトルの熱赤外(TIR)部分が、本明細書においては2000nm〜20000nmとして理解される一方で、スペクトルの可視(VIS)部分は、本明細書においては380nm〜700nmとして理解される。
【0013】
本発明の識別装置は、スペクトルの可視部分およびスペクトルの熱赤外部分の両者において検出可能である(適切な画像化設備を使用して)という点で、有益である。視覚的な色および低い熱放射率が、当該装置が適用された物品に関して、それぞれ可視および熱赤外の波長において光学的なコントラストをもたらす。
【0014】
好ましい実施形態において、識別装置は、熱赤外の波長において実質的に反射性であるように構成された第2の層を有している。例えば、第2の層を、熱赤外の波長において0.7〜0.99の範囲の反射率を有するように構成することができる。有利には、第2の層が、鏡面反射体として構成される。
【0015】
第2の層は、熱赤外の波長において、識別装置と識別装置が適用されてなる物品との間の光学的コントラストを向上させるという、さらなる利益を提供する。第2の層は、このやり方で、例えば低温である空の熱赤外放射などといった周囲の熱赤外線を反射することによって、光学的なコントラストを高めることができる。
【0016】
好ましくは、第1の層が、熱赤外の波長において実質的に透過性であるように構成されている。
【0017】
好都合には、第1の層が、肉眼にとって視覚的に暗く見えるよう、可視スペクトルの実質的に全体にわたって実質的に吸収性であるように構成されている。この場合には、識別装置は、可視の波長に0.2未満の反射率を有することができる。特に、第1の層が肉眼にとって視覚的に黒色に見えるよう、光フィルタを、可視スペクトルの実質的に全体にわたって低い反射率を有するように構成できる。この場合には、識別装置は、可視の波長に0.15未満の反射率を有することができる。
【0018】
第1の層は、好ましくはポリマーホストに複数の多色染料を含むことができる。
【0019】
他の実施形態においては、第2の層が、金属製の反射体を含む。好ましくは、第2の層が、アルミニウム、クロム、ニッケル、金、銅、銀、およびチタニウムのうちの少なくとも1つを含む金属を含んでいる。
【0020】
金属は、20〜100nmの範囲の厚さを有するアルミニウムを含むことができる。これに加え、あるいはこれに代えて、金属は、50〜200nmの範囲の厚さを有するクロムを含む。金属は、好ましくは20オーム・パー・スクエア未満のDC抵抗を有し、さらに好ましくは5オーム・パー・スクエア未満のDC抵抗を有する。
【0021】
典型的には、第1および第2の層が、ポリマーフィルムを含む基材層上に、積み重ねて配置される。各層の順序は、最初のカラー層が最も外側であり、第2のIR反射体層がその直下であり、基材フィルムが最も内側である。使用時、識別装置は物品へと、第1の層を最も外側にし、第2の層を基材フィルムと第1の層との間に配置した状態で、基材フィルムが好ましくは物品に密に接するように取り付けられる。基材層は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、および可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)のうちの少なくとも1つを含んでいる。使用可能な他の基材材料も、当業者であれば思い浮かべることができるであろう。
【0022】
好都合には、基材層が、20〜200μmの範囲の厚さを有している。
【0023】
他の実施形態においては、識別装置が接着層を含む。
【0024】
識別装置は、好ましくは環境保護層をさらに含み、そのような環境保護層は、例えばポリオレフィン材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、環状ポリオレフィン材料、およびポリオレフィン/スチレン共重合体のうちの少なくとも1つを含むポリマーを含んでいる。
【0025】
有利には、環境保護層は、5〜30μmの範囲の厚さを有している。
【0026】
本発明の第2の態様によれば、物品にマーキングを施すための方法であって、本発明の第1の態様による識別装置を上記物品に取り付けるステップを含んでいる方法が、提案される。
【0027】
好ましくは、識別装置が上記物品へと、使用時に識別装置が水平に対して0°〜40°の範囲の角度、より好ましくは水平に対して0°〜30°の範囲の角度、典型的には水平に対して0°、5°、10°、15°、20°、または25°に傾けられるように、取り付けられる。
【0028】
好ましい実施形態においては、この方法が、識別装置の領域へとカバー材料を適用するさらなるステップを含んでおり、カバー材料が、識別装置とは異なる赤外熱反射率を有している。好ましくは、カバー材料は、熱赤外の波長において低い反射率を有しており、ポリマーフィルム、塗装、または可視逆反射材料のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0029】
有利には、識別装置が取り付けられる物品が車両を含んでおり、その場合には、識別装置を取り付けるステップが、好ましくは識別装置を車両の上面に適用するステップを含んでいる。好ましい実施形態においては、この方法が、識別装置を車両の屋根に適用するステップを含んでいる。
【0030】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様による識別装置が取り付けられる物品が、提案される。好ましくは、物品は車両を含む。
【0031】
物品が車両を含む場合には、識別装置は、好ましくは車両の上面に、さらに好ましくは車両の屋根に取り付けられる。この構成配置において、識別装置は、使用時に例えば空の熱放射などといった周囲の熱放射を反射するように適合されている。
【0032】
本発明の第4の態様によれば、識別装置を製造するための方法であって、
(i)基材フィルムの第1の表面に金属の層を堆積させるステップと、
(ii)可視の色を有するカラー層を上記金属の層へと堆積させるステップと、
を含む方法が、提案される。
有利には、この方法が、
(iii)環境保護層を上記カラー層へと堆積させるステップをさらに含む。
さらにこの方法は、
(iv)基材フィルムの第2の表面に接着層を堆積させるステップを含むことができる。
【0033】
この方法が接着層を堆積させるステップを含む場合には、さらなるステップが、剥離可能な裏打ち層を接着層へと適用するステップを含む。
【0034】
金属を堆積させるステップは、高温箔印刷、真空堆積、蒸着、金属片含有のインクまたは塗料によるコーティング、あるいは直接金属印刷のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0035】
カラー層を堆積させるステップは、流体によるコート、積層フィルムの適用、および高温箔印刷のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0036】
本発明を多層構造に関して説明したが、これらに限られるわけではない。以上の説明にかかわらず、本発明を、物品用の識別装置であって、使用時に当該物品へと適用された際に、複数の可視および非可視の波長において眺めたときに高いコントラストのマーキングをもたらすように適合されている識別装置に関して考えることもできる。
【0037】
この場合、識別装置は、好ましくは、熱赤外の波長に低い放射率を有しており、可視の色を付与するために少なくとも1つの可視の波長に低い反射率を有する光フィルタを含んでいる。
【0038】
有利には、光フィルタが、熱赤外の波長に高い反射率を有するように構成されている。特に、光フィルタを、高い鏡面反射率を有するように構成することができる。
【0039】
好ましくは、光フィルタが、熱赤外の波長に0.7〜0.99の範囲の反射率を有している。さらに好ましくは、光フィルタが、近赤外の波長にも高い反射率を有しており、例えば近赤外の波長に少なくとも0.75の反射率を有している。
【0040】
有利には、光フィルタが、熱赤外の波長に低い吸収を有するように構成されている。
【0041】
好ましくは、第1の層が肉眼にとって視覚的に暗く見えるよう、光フィルタが、可視スペクトルの実質的に全体にわたって低い反射率を有するように構成されている。この場合には、光フィルタは、可視の波長に0.2未満の反射率を有することができる。さらに好ましくは、第1の層が肉眼にとって視覚的に黒色に見えるよう、光フィルタが、可視スペクトルの実質的に全体にわたって低い反射率を有するように構成されている。この場合には、光フィルタは、可視の波長に0.15未満の反射率を有することができる。
【0042】
有利には、光フィルタが、好ましくはポリマーホスト中に複数の多色染料を含んでいる。
【0043】
好ましくは、光フィルタが、金属製の反射体を含んでいる。例えば、光フィルタが、アルミニウム、クロム、ニッケル、金、銅、銀、およびチタニウムのうちの少なくとも1つを含む金属を含むことができる。
【0044】
次に、本発明を、添付の図面を参照しつつ、あくまで例として説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
ここで、本発明の第1の実施形態を参照すると、識別装置が、ここでは380〜700nmとされるスペクトルの可視(VIS)部分の全体にわたって、低い反射率(<0.1)の特性を有しており、すなわち視覚的に黒色である。ここでは700〜900nmとされるNVおよびNVGによって使用されるスペクトルの近赤外(NIR)部分(NVGは、通常は400〜900nmに感度を有し、780〜900nmのみがNIR領域にある)においては、本発明の識別装置は、中程度に反射性(>0.75)である。ここでは2000〜20000nmとされるスペクトルの熱赤外(TIR)部分においては、本発明の識別装置は反射性(0.7〜0.9)である。
【0046】
典型的には、本発明の識別装置は、フィルムの形態の光フィルタを含むが、これに限定されるわけではない。
【0047】
車両に使用される従来からの白色塗装は、スペクトルのVIS部分の全体にわたって高い反射率(>0.9)を有しており、スペクトルのTIR部分において低い反射率(<0.1)を有している。従来からの白色塗装で覆われた車両の上部に本発明による識別装置でマーキングを施すことによって、スペクトルのVIS部分およびTIR部分の両者において、周囲の材料との間に顕著な反射のコントラスト(>0.6〜0.8)を生み出すことができる。
【0048】
車両において従来から使用されている塗膜は、様々な可視色をもたらすよう、スペクトルのVIS部分において種々の反射率プロフィールを有しているが、スペクトルのTIR部分における反射率は小さい。白色でない車両において識別マークに高い視覚的コントラストを確保するためには、黒い背景に白い文字が好ましい。TIRにおいて同様に高いコントラストの識別マーキングを生み出すために、本発明の識別装置が、逆反射であっても、逆反射でなくても、従来からの低TIR反射率の白色の文字の背景として使用される。
【0049】
スペクトルのNIR部分において、車両の塗膜の反射率は、通常は低(<0.05)〜中程度(<0.5)の間で様々である。NVGおよびNV設備を使用して識別することができる車両の屋根のマーキングを、本発明の識別装置それ自身によって、あるいは従来からの低反射率マーキングフィルムとの組み合わせにおいて、実現することができる。NIR領域における中程度に高い(>0.75)反射率が、処置された車両の残りの部分に対して大きなコントラストを生み出す。
【0050】
本発明の識別装置の動作の説明として、画像センサに達するTIRエネルギーは、環境から反射されるエネルギーと車両の表面から生じるエネルギーとの合計である。不透明な物体についてのキルヒホッフ法則に従い、表面の反射率ρは、その放射率εに関係しており、すなわち、
ε=1−ρ
である。
【0051】
すなわち、高い反射率を有する表面は、低い放射率を有する。任意の特定の波長において表面から生じるエネルギーを、当該波長における黒い物体の発散度と当該波長における放射率との積から計算することができる。或る特定の波長において、反射率の大きい(放射率の小さい)表面は、同じ温度にある反射率の小さい(放射率の大きい)他の表面と比べ、発するエネルギーが小さい。したがって、高いTIR反射率の表面被膜を使用することで、観察される放射において、そのように処置された車両の表面からの直接放射の寄与が少なくなる。さらに、車両の屋根の識別装置に鏡のように高い反射率の材料を使用することで、空中のTIR画像化装置から眺めて観察される放射における背景の反射からの寄与が、空からの反射によって一般的に支配される。眺める角度が小さいとき、植物および背景の他の部分が反射されうる。高い建築物が車両に近くに存在する領域においては、それらからの放射も反射され、画像に寄与する。
【0052】
大部分の状況において、澄んだ空からの放射は、残りの背景と比べてきわめて少ない(すなわち、「低温」である)。空中における唯一の有意なTIR源は、昼間の間の太陽、および現れて太陽によって照らされている場合の月である。両者は、0.5°未満の立体角を定め、したがって車両の上部からの正反射によって観察される可能性は低く、それらが存在する場合には、それらの高い放射もまた「高温」として自明である。雲による覆いのもとでは、雲の下面が低温である澄んだ空よりも大幅に暖かい可能性があるため、コントラストが低下する。雲が一様な温度であることは稀であり、車両が移動しており、すなわち眺める角度が変化する典型的な状況においては、反射される放射は、時間変化する性質によってより自明にされる。低い熱IR放射率の塗装は、より拡散的な反射体となる傾向にあり、反射される放射をより大きな立体角にわたって平均化する傾向にあり、結果として反射される成分が、雲のない条件下においてより大きくなり、低TIR放射率の装置に隣接する高放射率材料に対するコントラストが低下すると予想される。
【0053】
熱画像を、黒色で低い熱エネルギーを表わし、白色で高い熱エネルギーを表わす、白黒の階調で表示することが慣例である。本発明の識別装置の高いTIR反射率は、マークされた車両の他の部分または背景よりも低い組み合わせられた自身の放射および反射を主に有し、したがって灰色または白色の背景に黒色で表れる。このように、例えば本発明によって視覚的には暗い赤外反射材料に形成された文字または他の符号など、白色の車両の上面に貼り付けられた識別装置は、VIS画像およびTIR画像の両者において白色の車両の黒い文字として表れる。同様に、車両の上面の本発明の識別装置を備える黒色の背景に取り付けられた従来からの白色の文字は、VIS画像およびTIR画像の両者において黒色の背景の上に白い文字として表れる。
【0054】
ここで図1を参照すると、本発明の一実施形態による識別装置が、可撓ポリマーフィルム基材4を複数の層でコートしてなるマーキングフィルム2で構成されている。可撓フィルム基材4の一方の面に、複合のマーキングフィルムを車両または他の構造体へと貼り付けることができるよう、接着層6が設けられている。適用前の保管、輸送、および成形の際にマーキングフィルムが貼り付いてしまうことがないよう、接着層6を「剥離層」10でコートされたもう1つのフィルム8で覆うと好都合である。例えばマーキングを或る場所に一時的に固定することができるよう磁気シートに取り付けるなど、車両または他の構造体への他の適用方法も、当業者にとって可能であろう。可撓フィルム基材4の他方の面には、金属の層12が堆積させられ、金属反射体を形成している。金属反射体層12を覆って、環境において変化しにくい染色ポリマーで形成されたカラー層14が、堆積させられている。カラー層の露出面へと積層される連続的なポリマーフィルムであり、あるいは堆積によるポリマーフィルムである任意の追加の環境保護層が、より大きな機械的耐久性が必要とされる場合に設けられる。金属反射体12の上方の各層の厚さおよび化学的組成は、所望の可視色および環境に対する保護をもたらしつつ、TIRおよびNIRエネルギーを大きく吸収することがないように、注意深く制御されなければならない。
【0055】
接着剤6は、好ましくは、例えばアクリル系のPSAを含む低初期付着の感圧接着剤(PSA)である(例えば、National Starch and Chemical company製のDURO−TAK(登録商標)380−3511)。適切な接着剤の他の形態も、当業者であれば思い浮かべることができるであろう。
【0056】
PSAは、例えば架橋シリコーンでコートされた紙など、剥離層10でコートされた紙またはフィルム8によって、使用の直前まで覆われている。
【0057】
支持フィルム4は、以下のフィルム形成ポリマーのうちの少なくとも1つを含んでいる。すなわち、20〜100マイクロメートル(μm)の厚さのポリエチレンテレフタレート(PET)、50〜125マイクロメートル(μm)の厚さの延伸ポリプロピレン(OPP)、50〜125マイクロメートル(μm)の厚さの二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、および50〜200マイクロメートル(μm)の厚さの可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)である。
【0058】
反射体層12は、以下の材料のうちの少なくとも1つを含んでいる。すなわち、20オーム・パー・スクエア未満、理想的には5オーム・パー・スクエア未満のDC抵抗を有する20〜100nmの厚さのアルミニウム、ならびに20オーム・パー・スクエア未満、理想的には5オーム・パー・スクエア未満のDC抵抗を有する50〜2000nmの厚さのクロムである。
【0059】
代案として、ニッケル、金、銅、銀、チタニウムなど、他のIR反射材料も使用可能である。それらは、所望の高TIR反射の鏡面仕上げを生み出す任意の技法によって堆積させることができ、最も頻繁には、蒸着などの真空堆積技法が使用される。アルミニウムは、低コストな材料として最適な材料であるが、塩および清浄化材料からの化学的攻撃に対する耐性が低い。クロムは、より厳しい化学的環境について最適な材料である。代案として、反射体層12は、例えば高温箔押し印刷など、印刷技法を使用して適用される。
【0060】
カラー層14は、以下の種類の材料から形成される。すなわち、アクリルなどの溶媒可溶性のフィルム形成ポリマー(または、ラッカー)、あるいはUV開始または架橋材料などの他のフィルム形成ポリマーである。ラッカー材料の例は、ポリメチル、アクリル酸エチルまたはアクリル酸ブチルなどのアクリル樹脂である。具体的な例は、Evacites2041ポリマー・バインダ(ICI Acrylics製)である。
【0061】
ラッカーは、ポリマーの溶媒化溶液をローラーでコートし、乾燥/硬化させることによって堆積させることができる。
【0062】
具体的な例として、カラー層14を、視覚的に黒色である層を形成すべく染料の混合物を含んでいる溶媒担持ポリマーホストを、厚さ40nmのアルミニウム層12をポリマーフィルム4からなる基材の片側へと熱蒸着することによって形成した第2の層へとローラーでコートすることによって、形成できる。次いで、感圧式の接着層を、基材フィルムの第2の側へとDURO−TAK(登録商標)感圧接着剤の溶液をローラーでコートすることによって堆積させて、黒色の貼り付け式の可視(VIS)黒色、近赤外(NIR)反射、熱赤外(TIR)反射のマーキングフィルムを形成することができる。このやり方で製造したマーキングフィルムの300nm〜2500nmの反射スペクトルが、図3に示されている。このやり方で製造したマーキングフィルムの2マイクロメートル(μm)〜20マイクロメートル(μm)の間の反射スペクトルが、図4に示されている。
【0063】
カラー層のポリマーに、染料が選択されて取り入れられているが、場合によっては、固体顔料、酸化またはUV安定化の添加剤、つや消し剤などといった他の材料を、最終的なフィルムの外観を変化させるべく加えてもよい。通常は、染料は、対象のTIRおよびNIR帯における吸収を最小限にしつつ、可視帯における吸収が最大になるように選択される。
【0064】
インク、染色、および塗装における暗い色は、通常カーボン・ブラックなどの強力な広帯域吸収材料を使用することによって達成されるが、これらの材料は、この用途には好ましくない。
【0065】
暗い色は、狭い吸収を有するいくつかの染料を暗い色を形成すべく混ぜ合わせてなる「多色染料」を混合することによって実現される。図2を参照すると、3つの染料の反射スペクトルと、黒色染料として組み合わせられたときのこれら染料の反射スペクトルが示されており、染料が800nmよりも上ではあまり吸収を示さないことに注目できる。多色による黒色を生み出すために使用できる染料は、以下の種類の染料から選択することができる。
【0066】
望ましい染料として、アゾ、キサンテン、アントラキノンの各染料が挙げられる。具体的な例としては、Town End(Leeds)Plc(Silvercourt、Intercity way,Leeds)から入手できる溶剤染料 青色36、溶剤染料 赤色24、および溶剤染料 黄色56の混合物である。
【0067】
カラー層14の厚さは、反射体層12から生じるエネルギーである放射TIR、ならびに反射NIRおよびTIRの吸収を防止するように制御される。カラー層14は、染料種の濃度またはコーティングの厚さから過剰に脆弱になることなく、必要とされる量の吸収染料を保持できるように十分に厚くなければならない。カラー層14について好ましい厚さは、0.5〜20マイクロメートル(μm)である。
【0068】
カラー層14は、上述のように最小限の厚さに保たれる。さらなる耐久性を、任意の(色の付いていない)環境保護層16を追加することによって加えることができる。このポリマー層4は、耐久性、化学的耐性、ならびにVIS、NIR、およびTIR透過性がバランスするように選択される。保護層16または染料およびカラー層ポリマーの酸化およびUV損傷の発生を遅らせるため、環境保護コーティング16に、UV吸収材料または他の劣化安定化添加剤を取り入れることができる。環境保護層ポリマー16は、ローラーまたは噴霧によるコーティングおよび後続の硬化計画によって他の溶媒化コーティングとして堆積させることができ、あるいは適切なポリマーの薄いフィルムを積層することによって堆積させることができる。代案として、例えば高温箔押し印刷など、他の技法も使用される。
【0069】
この保護層に使用することが可能なポリマーは、5〜30マイクロメートル(μm)の厚さのポリエチレン、5〜20マイクロメートル(μm)の厚さのポリプロピレン(OPPおよびBOPPを含む)、5〜20マイクロメートル(μm)の厚さのArton(登録商標)(JSR corporation)などの環状ポリオレフィン類、および5〜20マイクロメートル(μm)の厚さのKraton(登録商標)(Shell fine chemicals)などのポリオレフィン/スチレン共重合体など、ポリオレフィン類から選択できる。
【0070】
ブロック箔印刷法が、反射体、カラー層、および任意の環境保護層を適用するための他の製造技法を提供する。具体的な例としては、APIブロック箔印刷フィルム299を、Raflatac(登録商標)粘着フィルムへと高温箔印刷して、黒色の貼り付け式の可視黒色、NIR反射、TIR反射のマーキングフィルムを形成することができる。このやり方で製造したフィルムの300〜2500nmの間の反射スペクトルが、図5に示されている。このやり方で製造したマーキングフィルムの2〜20マイクロメートル(μm)の間の反射スペクトルが、図6に示されている。
【0071】
他の技法も、カラー層を適用するために使用することができ、そのような技法は、当業者であれば思い浮かべることができるであろう。
【0072】
本発明の識別装置の効果の実践的証明が、図7および図8に示されている。図7は、従来からの識別マークを車両の屋根に有している救急車両の熱画像を示している。車両の印に使用される標準的な標章材料は、車体を覆う塗料の放射率に類似した放射率を有している。結果として、熱画像化カメラによって眺めたとき、標章付けされた車両と標章付けされていない車両とが同じように見える。比較として、図8が、本発明による識別マークを車両の屋根に有している救急車両の熱画像を示している。識別マークの放射率と車両の塗装の放射率との相違ゆえに、熱のコントラストが追加されることで、熱カメラによる識別マークの検出が改善されている。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態による識別装置の概略の断面図を示している。識別装置が、複数の層でコートされた可撓ポリマーフィルム基材を有する光フィルタを含んでいる。
【図2】黒色の外観を与えるべく、図1に示した識別装置のカラー層において組み合わせることができる3つの染料の反射スペクトルを示している。
【図3】本発明の一実施形態による識別装置について、300nm〜2500nmの間の反射スペクトルを示している。この実施形態において、識別装置は、ポリマーフィルムからなる基材の片側へと厚さ40nmのアルミニウム層を熱蒸着することによって形成した第2の層へと、第1の層を視覚的に黒色である層を形成すべく染料の混合物を含んでいる溶媒担持ポリマーホストをローラーでコートすることによって形成してなる光フィルタを含む。次いで、DURO−TAK(登録商標)感圧接着剤の溶液をローラーでコートすることによって、基材フィルムの第2の面へと感圧式の接着層を堆積させて、黒色の貼り付け式の可視(VIS)黒色、近赤外(NIR)反射、熱赤外(TIR)反射のマーキングフィルムが形成されている。
【図4】図3に関して上述した同じ識別装置について、2マイクロメートル(μm)〜20マイクロメートル(μm)の間の反射スペクトルを示している。
【図5】本発明の一実施形態による識別装置について、300nm〜2500nmの間の反射スペクトルを示している。この実施形態においては、識別装置が、貼り付け式の可視(VIS)黒色、近赤外(NIR)反射、熱赤外(TIR)反射のマーキングフィルムを形成すべく、APIブロック印刷箔フィルム299をRaflatac(登録商標)粘着フィルムへと印刷してなる光フィルタを含む。
【図6】図5に関して上述した同じ識別装置について、2マイクロメートル(μm)〜20マイクロメートル(μm)の間の反射スペクトルを示している。
【図7】従来からの識別マークを車両の屋根に有している救急車両の熱画像を示している。車両の印に使用される標準的な標章材料は、車体を覆う塗料の放射率に類似した放射率を有している。結果として、熱画像化カメラによって眺めたとき、標章付けされた車両と標章付けされていない車両とが同じように見える。
【図8】本発明による識別マークを車両の屋根に有している救急車両の熱画像を示している。識別マークの放射率と車両の塗装の放射率との相違ゆえに、熱のコントラストが追加されることで、熱カメラによる検出が改善されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品をマーキングするための識別装置であって、熱赤外の波長において低い放射率を有しており、可視の色を付与するため少なくとも1つの可視の波長を実質的に吸収するように構成された第1の層を含む複数の層を含む、識別装置。
【請求項2】
熱赤外の波長において実質的に反射性であるように構成された第2の層を有する、請求項1に記載の識別装置。
【請求項3】
第2の層が、鏡面反射体として構成される、請求項2に記載の識別装置。
【請求項4】
第1の層が、熱赤外の波長において実質的に透過性であるように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の識別装置。
【請求項5】
第1の層が、肉眼にとって視覚的に暗く見えるよう、可視スペクトルの実質的に全体にわたって実質的に吸収性であるように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の識別装置。
【請求項6】
第1の層が、肉眼にとって視覚的に黒色に見えるよう、可視スペクトルの実質的に全体にわたって実質的に吸収性であるように構成される、請求項5に記載の識別装置。
【請求項7】
第1の層が、好ましくはポリマーホストに複数の多色染料を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の識別装置。
【請求項8】
第2の層が、金属製の反射体を含む、請求項2または3、あるいは請求項2に直接的または間接的に従属する、請求項4から7のいずれか一項に記載の識別装置。
【請求項9】
第2の層が、アルミニウム、クロム、ニッケル、金、銅、銀、およびチタニウムのうちの少なくとも1つを含む金属を含む、請求項8に記載の識別装置。
【請求項10】
金属が、20〜100nmの範囲の厚さを有するアルミニウムを含む、請求項9に記載の識別装置。
【請求項11】
金属が、50〜200nmの範囲の厚さを有するクロムを含む、請求項10に記載の識別装置。
【請求項12】
金属が、20オーム・パー・スクエア未満のDC抵抗を有する、請求項9から11のいずれか一項に記載の識別装置。
【請求項13】
金属が、5オーム・パー・スクエア未満のDC抵抗を有する、請求項12に記載の識別装置。
【請求項14】
第1および第2の層が、ポリマーフィルムを含む基材層上に、第2の層が第1の層と基材層との間に配置されるように積み重ねて配置されている、請求項2または3、あるいは請求項2に直接的または間接的に従属する、請求項4から13のいずれか一項に記載の識別装置。
【請求項15】
基材層が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、および可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)のうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の識別装置。
【請求項16】
基材層が、20〜200μmの範囲の厚さを有する、請求項14または15に記載の識別装置。
【請求項17】
接着層をさらに含む、請求項14から16のいずれか一項に記載の識別装置。
【請求項18】
環境保護層をさらに含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の識別装置。
【請求項19】
環境保護層が、ポリオレフィン材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、環状ポリオレフィン材料、およびポリオレフィン/スチレン共重合体のうちの少なくとも1つを含むポリマーを含む、請求項18に記載の識別装置。
【請求項20】
環境保護層が、5〜30μmの範囲の厚さを有する、請求項18または19に記載の識別装置。
【請求項21】
物品にマーキングを施すための方法であって、請求項1から20のいずれか一項に記載の識別装置を当該物品に取り付けるステップを含む、方法。
【請求項22】
識別装置の領域へと、識別装置とは異なる赤外熱反射率を有するカバー材料を適用するステップをさらに含む、請求項21に記載の物品マーキング方法。
【請求項23】
カバー材料が、熱赤外の波長において低い反射率を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
カバー材料が、ポリマーフィルム、可視逆反射フィルム、および塗装のうちの少なくとも1つを含む、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
物品が車両を含み、識別装置を取り付けるステップが、識別装置を車両の上面に適用することを含む、請求項21から24のいずれか一項に記載の物品マーキング方法。
【請求項26】
識別装置を車両の屋根に適用することを含む、請求項25に記載の物品マーキング方法。
【請求項27】
請求項1から20のいずれか一項に記載の識別装置が取り付けられてなる物品。
【請求項28】
車両を含む、請求項27に記載の物品。
【請求項29】
識別装置を車両の上面、好ましくは車両の屋根に取り付けてなる、請求項28に記載の物品。
【請求項30】
識別装置が、使用時に周囲の熱の放射を反射するように適合される、請求項28または29に記載の物品。
【請求項31】
識別装置を製造するための方法であって、
(i)基材フィルムの第1の表面に金属の層を堆積させるステップと、
(ii)可視の色を有するカラー層を前記金属の層へと堆積させるステップと、
を含む、方法。
【請求項32】
(iii)環境保護層を前記カラー層へと堆積させるステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
(iv)基材フィルムの第2の表面に接着層を堆積させるステップをさらに含む、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
剥離可能な裏打ち層を接着層へと適用するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
金属を堆積させるステップが、高温箔印刷、真空堆積、蒸着、および直接金属書き付けのうちの少なくとも1つを含む、請求項31から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
カラー層を堆積させるステップが、流体によるコート、積層フィルムの適用、および高温箔印刷のうちの少なくとも1つを含む、請求項31から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
物品用の識別装置であって、使用時に当該物品へと適用された際に、複数の可視および非可視の波長において眺めたときに高いコントラストのマーキングをもたらすように適合される、識別装置。
【請求項38】
熱赤外の波長に低い放射率を有しており、可視の色を付与するために少なくとも1つの可視の波長に低い反射率を有する光フィルタを含む、請求項37に記載の識別装置。
【請求項39】
光フィルタが、熱赤外の波長に高い反射率を有するように構成される、請求項38に記載の識別装置。
【請求項40】
光フィルタが、熱赤外の波長に高い鏡面反射率を有するように構成される、請求項39に記載の識別装置。
【請求項41】
光フィルタが、熱赤外の波長に0.7〜0.99の範囲の反射率を有する、請求項37から40のいずれか一項に記載の識別装置。
【請求項42】
光フィルタが、近赤外の波長に高い反射率を有する、請求項37から41のいずれか一項に記載の識別装置。
【請求項43】
光フィルタが、近赤外の波長に少なくとも0.75の反射率を有する、請求項42に記載の識別装置。
【請求項44】
光フィルタが、熱赤外の波長に低い吸収を有するように構成される、請求項37から43のいずれか一項に記載の識別装置。
【請求項45】
第1の層が肉眼にとって視覚的に暗く見えるよう、光フィルタが、可視スペクトルの実質的に全体にわたって低い反射率を有するように構成される、請求項37から44のいずれか一項に記載の識別装置。
【請求項46】
光フィルタが、可視の波長に0.2未満の反射率を有する、請求項45に記載の識別装置。
【請求項47】
第1の層が肉眼にとって視覚的に黒色に見えるように光フィルタが構成される、請求項46に記載の識別装置。
【請求項48】
光フィルタが、可視の波長に0.15未満の反射率を有する、請求項47に記載の識別装置。
【請求項49】
光フィルタが、複数の多色染料を含む、請求項37から48のいずれか一項に記載の識別装置。
【請求項50】
光フィルタが、金属製の反射体を含む、請求項37から49のいずれか一項に記載の識別装置。
【請求項51】
光フィルタが、アルミニウム、クロム、ニッケル、金、銅、銀、およびチタニウムのうちの少なくとも1つを含む金属を含む、請求項50に記載の識別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−509442(P2008−509442A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525330(P2007−525330)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000317
【国際公開番号】WO2006/016094
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(501352882)キネテイツク・リミテツド (93)